JP4542073B2 - フィルム止め部材 - Google Patents

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Description

本発明は、ビニールハウスなどの外表面に被覆される合成樹脂フィルムをハウス構築材上に定着させる際に用いられるフィルム止め部材に関する。
従来、ビニールハウスなどの温室設備の外表面に被覆される合成樹脂フィルムは、ビニールハウスの骨格をなすハウス構築材上にフィルム定着用のフィルム止め部材を介してハウス構築材上に定着させている。このフィルム止め部材は、長尺帯状のスチール板などを屈曲させてフィルムの定着部となるフィルム定着溝を長手方向に沿って設けた杆状体であり、フィルム定着溝の内部にフィルムを弛ませて挿入すると共に、同フィルムの上から所定の振り幅で蛇行したフィルム係止用のスプリングを挿入することにより、スプリングと定着溝の側壁部とでフィルムをクランプするようになっている。
このようなフィルム止め部材に関連して、例えば以下のような技術のものが提案されている。
特許文献1には、長板状の底壁部の左右端縁をそれぞれ内側に向けて斜め上方に立設した左右側壁部の先端を内側に折り返して折込部を形成し、この折込部の折り返し内表面と側壁部表面とが略面一となるようにしたフィルム止め部材が提案されている。
特許文献2には、定着溝の開口縁部で左右側壁部の先端を外側に湾曲させて湾曲部を形成し、定着溝にフィルムを挿入する際に、フィルムが開口縁部でひっかかること無くスムーズに挿入されるように構成したものが開示されている。
特開2005−295997号公報 登録実用新案第3031353号公報
しかしながら、前記特許文献などに記載の従来のフィルム止め部材のものでは以下のような課題があった。
(1)特許文献1に記載の折込部の折り返し内表面と側壁部表面とが略面一となるようにしたフィルム止め部材では、折込部で金属部分が潰れた状態で重なっているため、強風などに対してビニールハウス全体を保持するために必要な曲げ剛性やねじれ剛性などの構造強度を有効に発揮しにくいという課題があった。
(2)さらに、定着溝の開口部における引っ掛かり抵抗が少ないために定着溝に保持する合成樹脂フィルムやスプリングが抜け落ち易く安定性やフィルム保持性に乏しいという問題もあった。
(3)特許文献2に示されるように左右側壁部の先端を外側に折り込んで折込部を形成した場合には、先端の折込部分に雨水などが溜まり易く、これが錆の要因となることに加えて、その湾曲した先端で合成樹脂フィルムを圧着保持するので摩擦抵抗が少なく、確実な把持が困難になる場合があるという問題があった。
(4)従来のフィルム止め部材では、スプリングを挿入できるように定着溝の開口幅を確保しつつも、挿入したスプリングが定着溝から抜け出ないように定着溝の左右側壁部を傾斜させなければならず定着溝を浅く形成せざるを得なかった。そのため、2枚目以降のフィルムを積層して定着させるだけの十分な広さをもった定着溝を確保するのが困難であるという課題があった。
(5)定着溝の左右側壁部を中途から底壁部と直角に立ち上げるようにして複数本のスプリングを収容することもできるが、スプリングが定着溝の内部で傾斜した状態でとどまって、スプリングの押圧力が定着溝の左右側壁部へ伝わらず、フィルムを確実に定着できないことがあった。
(6)スプリングを定着溝の内部で斜めに傾いた状態のままにしておくと、長期間にわたってフィルムが局部的に押し付けられることになって、フィルムが破損するおそれがあった。このためスプリングを底壁部と平行にしようとすると、フィルムが側壁部とスプリングとに挟まれた状態のまま引きずられて、破損してしまうことがあった。
(7)フィルム止め部材同士を連結するために端部をスエジ加工する場合、定着溝の開口部に設けた抜け止め部や折込部のせいで、側壁部のある左右方向だけでなく上下方向の圧縮度合いも考慮しなければならない。このため底壁部を波形状などにして圧縮度合いを高めないと、他方のフィルム止め部材の定着溝に挿入可能な大きさとならず、スエジ加工部分における定着溝の内部空間が狭くなり、スプリングを挿入することが困難となることもあった。
(8)フィルム止め部材の端部を他方のフィルム止め部材の定着溝に差し込むことでフィルム止め部材同士を連結する場合に、端部をエジ加工する段階でわざわざ湾曲部を潰して、フィルム止め部材の定着溝に差し込みやすい形状としなければならず、加工性が悪いという問題があった。
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、ビニールハウス全体を維持するのに必要な構造強度を付与することができ、多数の合成樹脂フィルムであっても確実かつ効果的に保持することができるとともに、雨水などが溜まり難い優れた防錆性を有し、スエジ加工性にも優れたフィルム止め部材を提供することを目的とする。
(1)前記従来の課題を解決するためになされた本発明は、合成樹脂フィルムをハウス構築材上に被覆定着するためのフィルム止め部材であって、前記ハウス構築材にその背面側が固定される長尺帯板状の底壁部と、前記底壁部の長手側をなす左右端縁をそれぞれ内側斜め上方に立ち上げて形成される左右側壁部と、前記左右側壁部の先端を、内側に屈曲させて円柱状空間を有するように折り返して形成した折込部と、を有し、前記折込部を有する左右側壁部と前記底壁部とにより囲繞され、その内部に装着される弾性係止部材によって合成樹脂フィルムがクランプされるフィルム定着溝が形成されており、前記左右側壁部、前記底壁部の縁端から湾曲して形成される湾曲部と、同湾曲部と前記折込部との間に形成される直線部とを有し、前記折込部は、前記左右側壁部の先端を前記直線部の上端から外方に屈曲させて順次内巻き方向へ屈曲させて形成した屈曲部を有するとともに、さらに内巻き方向に折り返してその先端部を前記屈曲部に当接させ、前記弾性係止部材が係止可能な係止部を当該折込部の一部に前記底壁部と略平行に形成し、前記直線部は、前記底壁部面とのなす角度が、前記湾曲部の内方立ち上げ角度よりも大きい45〜80度であって、且つ、前記フィルム定着溝における深さと開口幅と最大幅との比率を、それぞれ129〜133:175〜185:314〜316となるように形成した。
本発明によれば、ハウス構築材にその背面側が固定される長尺帯板状の底壁部と、前記底壁部の長手側をなす左右端縁をそれぞれ内側斜め上方に立ち上げて形成される左右側壁部と、前記左右側壁部の先端を、内側に屈曲させて円柱状空間を有するように折り返して形成した折込部と、を有し、前記折込部を有する左右側壁部と前記底壁部とにより囲繞され、その内部に装着される弾性係止部材によって合成樹脂フィルムがクランプされるフィルム定着溝が形成されており、前記左右側壁部、前記底壁部の縁端から湾曲して形成される湾曲部と、同湾曲部と前記折込部との間に形成される直線部とを有し、前記折込部は、前記左右側壁部の先端を前記直線部の上端から外方に屈曲させて順次内巻き方向へ屈曲させて形成した屈曲部を有するとともに、さらに内巻き方向に折り返してその先端部を前記屈曲部に当接させ、前記弾性係止部材が係止可能な係止部を当該折込部の一部に前記底壁部と略平行に形成し、前記直線部は、前記底壁部面とのなす角度が、前記湾曲部の内方立ち上げ角度よりも大きい45〜80度であって、且つ、前記フィルム定着溝における深さと開口幅と最大幅との比率を、それぞれ129〜133:175〜185:314〜316となるように形成したために、素材重量を最小限度に軽減しながらビニールハウス全体を維持するのに必要な構造強度を確保することができる。
また、前述の折込部に替えて、前記左右側壁部の先端を膨大状に形成した膨大部とし、同膨大部の一部に前記底壁部と略平行に形成することによっても、素材重量を最小限度に軽減しながらビニールハウス全体を維持するのに必要な構造強度を確保することができる。
また、フィルム定着溝を広く確保できるので、2層以上の合成樹脂フィルムであっても確実かつ効果的に保持することができる。
また、ねじれ剛性が高められるので他のフィルム止め部材と接合するための接合部をスエジ加工する際の加工性に優れたフィルム止め部材を提供することができる。
また、折込部を、前記左右側壁部の先端をそれぞれ内側に折り返して形成した場合、折込部に雨水などが溜まり難いので防錆性に優れる。
本実施形態に係るフィルム止め部材は、合成樹脂フィルムをハウス構築材上に被覆定着するためのフィルム止め部材であって、前記ハウス構築材にその背面側が固定される長尺帯板状の底壁部と、前記底壁部の長手側をなす左右端縁をそれぞれ内側斜め上方に立ち上げて形成される左右側壁部と、前記左右側壁部の先端を、内側又は外側に折り返して形成した折込部と、を有し、前記折込部を有する左右側壁部と前記底壁部とにより囲繞され、その内部に装着される弾性係止部材によって前記合成樹脂フィルムがクランプされるフィルム定着溝を形成するとともに、前記弾性係止部材が係止可能な係止部を、前記形成折込部の一部に前記底壁部と略平行に形成したものである。
したがって、前記折込部によって、ねじれ剛性や曲げ剛性が高められビニールハウスの全体構造を維持するのに必要な強度を付与することができる。しかも、折込部の係止部によって弾性係止部材を確実に係止してフィルム定着溝を広く確保できるので、多数の合成樹脂フィルムであっても確実かつ効果的に把持することができる。
また、前述の折込部に替えて、前記左右側壁部をフィルム止め部材の短手方向断面視において、先端膨大状に形成して膨大部とし、同膨大部の一部に前記底壁部と略平行に形成することによっても、ねじれ剛性や曲げ剛性が高められビニールハウスの全体構造を維持するのに必要な強度を付与することができる。しかも、膨大部の係止部によって弾性係止部材を確実に係止してフィルム定着溝を広く確保できるので、多数の合成樹脂フィルムであっても確実かつ効果的に把持することができる。
フィルム止め部材は屋外に設置される温室などのハウス構築材の骨組みに取り付けられ、合成樹脂フィルムや緊締バンドなどが被覆されて固定される。なお、フィルム止め部材は、スチールなどからなる金属板を屈曲させたり、アルミなどの金属を押出加工したりすることにより形成することができる。
底壁部は、温室などのハウス構築材にその背面側がボルトナット、ジョイント金具などの係止具を介して固定される長尺帯板状であって、その左右両側端に設けられた左右側壁部との間にフィルム定着溝が形成されるようになっている。
また、前記折込部は、前記左右側壁部の先端をそれぞれ内側に折り返してなり、折り返し先端部側に、前記底壁部と略平行な係止部を形成することができる。かかる構成によれば、さらに、雨水などが溜まり難い優れた防錆性を有することになる。
また、前記折込部は、前記左右側壁部の先端をそれぞれ一旦内側に平行に折曲して前記底壁部と略平行な係止部を形成するとともに、この係止部の先端を外側に折り返して形成してもよい。
また、前記折込部に替えて、前記左右側壁部の先端を膨大状として膨大部を形成する場合には、溶融した金属を例えば金口等により押し出して、膨大部を有するフィルム止め部材を押出成形するようにしても良い。
ところで、左右側壁部は、底壁部の長手側をなす左右端縁をそれぞれ内側斜め上方に立ち上げて形成される部分である。
この左右側壁部は、底壁部の縁端から湾曲して形成される湾曲部と、この湾曲部に延設され折込部または膨大部との間に前記底壁部面とのなす角度が45〜80度に形成される直線部とを有する構成とするとよい。
かかる構成により、フィルム定着溝に2枚以上の合成樹脂フィルムや、例えばスプリングなどの弾性係止部材を保持できる広さと形状に設定することもできる。なお、前記湾曲部に延設され折込部との間に前記底壁部面とのなす角度の好ましい範囲は、55〜73度であり、より好ましくは60〜66度である。
上述したように、折込部または膨大部には、前記底壁部と略平行な係止部が形成されているが、かかる係止部によって、線状のスプリングなどからなる弾性係止部材を容易に係止することが可能となり、スプリングの脱落、ひいてはフィルムの脱落を防止することができる。
さらに、前記折込部または膨大部の形状として、前記底壁部と略平行な係止部を除いて湾曲状に形成するか、又は横断面視で略矩形形状に形成することができる。
折込部を、底壁部と略平行な係止部を除いて湾曲状に形成した場合は、左右側壁部の先端側をそれぞれ内側に湾曲させて円柱状空間を有するように折り返して、その先端が底壁部に略平行となるように形成するとよい。
これによってフィルム止め部材に所定のねじれ剛性や曲げ剛性が付与されるようにして、そのビニールハウスの耐久性や、フィルム定着作業における施工性、フィルム止め部材の製造における加工性が良好になるようにしている。なお、折込部の形状を、横断面視で略矩形形状に形成しても略同等の効果を得ることができる。
フィルム定着溝は、その断面が上部開口から底壁部に向かって拡大するように形成され、その内部で弾性的に拡大する弾性係止部材が収納されるようになっている。フィルム定着溝の上部開口にはクランプされる合成樹脂フィルムや弾性係止部材を係止するための形状を備えた折込部または膨大部が設けられている。
なお、ビニールハウスを形成するためには、例えば、合成樹脂フィルムが風などで外方へ膨らんだりすることを防止するための緊締バンドを装着したり、シートを二重張りにしたりする必要があるが、その場合についても、スプリングなどの弾性係止部材を複数用いることでフィルム止め部材に被覆定着することができる。
すなわち、ハウス形成用の合成樹脂フィルムがすでに挿入されたフィルム定着溝の部内に、緊締バンドや他の合成樹脂フィルムを挿入するとともに、その上からやはり波形線状のスプリング(弾性係止部材)を配設して止着するのである。このように、一つのフィルム止め部材を用いて二重あるいは三重のシート材を止着する場合が多々あるので、フィルム止め部材のフィルム定着溝は、それに見合った深さを有する構成となっている。
本実施形態のフィルム止め部材は、前記左右側壁部及び前記底壁部の一端部側には連結される他方のフィルム定着溝に嵌合する縮形連結部が設けられ、前記縮形連結部には前記左右側壁部の一部を切り欠いて形成される側壁切欠部を有するように構成することもできる。
これによって、フィルム止め部材の一端部又は両端部に他のフィルム止め部材のフィルム定着溝に挿入可能な縮形連結部を形成して、フィルム係止用のスプリングを縮形連結部のフィルム定着溝に複数本安定して挿入することができる。そのため、縮形連結部においても複数枚のフィルムを確実に定着させることができる。
しかも、側壁切欠部を有する縮形連結部に、フィルム止め部材の一端を挿入して連結した場合、フィルム止め部材の一端と、縮形連結部の切欠端部とが付き合わされて、必要以上にフィルム止め部材が押し込まれることを防止でき、フィルム止め部材同士を略面一状態で連結することが可能となり、この連結部分においても、フィルム止め部材をハウス構築材へ連結するための連結金具等を装着することが可能となる。
なお、縮形連結部は、底壁部を上方から押圧保持した状態でフィルム定着溝を左右方向から押圧して左右側壁部を上方へ伸延させることにより形成することができる。すなわち、スエジ加工を行う際にフィルム定着溝に対して左右方向からのみ圧力をかけることにより、縮形連結部の上下幅はスエジ加工前より短くならないようにすると共に、圧力のかかった底壁部は左右側壁部側に逃がして、底壁部の形状を平面状に保ちながら縮形連結部の左右幅を短くすることができる。そして、左右側壁部をそれぞれ切り欠くことによって側壁切欠部を形成する。なお、予め、素材となる帯状スチール板を所定形状に切り欠いておき、これを折り曲げ加工して底壁部及び左右側壁部、折込部(膨大部)を形成した後、スエジ加工に所望の側壁切欠部が形成されるようにしてもよい。このようにして簡単な加工で手間をかけることなく縮形連結部を形成させることができ、フィルム止め部材の製造コストを低く抑えることができる。こうして、縮形連結部を他のフィルム止め部材のフィルム定着溝にその長手方向からスライドさせて挿入することで両者を確実に固定することができる。
本実施形態のフィルム止め部材は、左右側壁部が底壁部の縁端から湾曲して形成される湾曲部と、湾曲部に延設され折込部または膨大部との間に底壁部面とのなす角度が45〜80度に形成される直線部とを有するように構成できる。これによって、複数組からなる合成樹脂フィルムと弾性係止部材を挿入するのに十分なスペースをフィルム定着溝内に確保することができ、しかも合成樹脂フィルムなどが容易に抜け落ちることのない安定状態に設定することができる。このように、底壁部に対する左右側壁部の傾斜角度を所定範囲内に設定することにより、フィルム定着溝の内部に挿入した線状スプリングを左右側壁部の傾斜面によって底壁部側に押しやって、フィルム定着溝の内部でスプリングを底壁部と水平に配置して、スプリングの押圧力を左右側壁部に均等に作用させて、合成樹脂フィルムを確実に定着させることができる
ここで、左右側壁部の直線部が底壁部面に対してなす角度が45度よりも小さくなると、3組以上の弾性係止部材と合成樹脂フィルムをフィルム定着溝に収容するのが困難になる。逆に直線部の角度が65度を超えると、線状スプリングが脱落する方向にスリップしやすくなり、フィルム定着溝に装着される弾性係止部材の弾性力を左右側壁部に効果的に作用させることができずフィルム保持力が不安定になるからである。特に、直線部の角度が80度を超えると、スプリングが著しく抜け落ちやすくなり、フィルム止め部材としての機能を大きく損なってしまう。
からである。
また、フィルム定着溝における深さと開口幅、最大幅との比率はそれぞれ、129〜133:175〜185:314〜316、より好ましくは、130:180:315となるように形成するのが望ましい。かかる比率とすることにより、弾性係止部材を挿入可能な開口幅と、複数本のスプリングを挿入可能な深さとを確保しながらフィルム定着溝の最大幅を可及的に小さくすることができ、フィルム止め部材の大型化を防ぐことができる。
本実施形態のフィルム止め部材は、前記底壁部内側の中央及びその両側には前記止め部材本体を、係止具を介して固定するための位置決め用孔列を設けることができる。これによって、不安定な足場などハウス構築材にフィルム止め部材を取り付ける作業などにおいても、ボルトナットなどの係止具を確実に取り付けることができる。また、係止具を中央及び左右の位置決め用孔列に交互に振り分けて配置することによって、係止具を一直線上に配置する場合に較べて、その取り付け強度を高めることができる。
位置決め用孔列は、底壁部の中央及びその左右の一直線上に互いに平行に配置された凹部などのポンチ孔であって、回転する孔開けドリルなどの先端をはずれることなく保持して、足場の悪い場合でも容易に作業が行えるようにしたものである。
以下、本発明に係るフィルム止め部材の実施例について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本実施例に係るフィルム止め部材が適用されるビニールハウスの説明図、図2は同フィルム止め部材の斜視図、図3は同フィルム止め部材同士の接合状態を示す斜視図、図4はその正面図である。
図1に示すように、ビニールハウス1は複数のハウス構築材2を適宜個所で所定の緊締具により連結して構築されている。これらハウス構築材2を組み合わせて構築した構造物の外側にフィルム止め部材10がボルトナットなどの係止具を介して取り付けられる。そして、ハウス形成用の合成樹脂フィルムFがフィルム止め部材10のフィルム定着溝15に弾性係止部材とともに装着固定されて被覆されるようになっている。なお、図中、4はビニールハウス1の妻面に形成した出入口である。
ビニールハウスに被覆される合成樹脂フィルムは、所謂農業用フィルムであり、塩化ビニル系のフィルム(塩ビ系フィルム)や、ポリオレフィン系のフィルム(PO系フィルム)が好適に用いられる。本実施例では、塩ビ系フィルムよりも耐候性に富むPO系フィルムを用いている。しかし、このPO系フィルムは、塩ビ系フィルムよりも伸縮しにくく、また、擦りなどに弱く、傷つき易いという性質がある。
合成樹脂フィルムFの構造物への被覆は、縦配置したハウス構築材2、2・・間に、後に詳述するフィルム止め部材10を架設しておき、このフィルム止め部材10に形成されたフィルム定着溝15に合成樹脂フィルムFの一部を挿入するとともに、弾性係止部材となる波形線状のスプリングSを装着して張設するようにしている。そして、張設した合成樹脂フィルムFが風などの力を受けてフィルム止め部材10から外れてしまうことがないように、別途、緊締バンド3を合成樹脂フィルムの上から適宜箇所に張設している。
図2に示すようにフィルム止め部材10は、ハウス構築材2にその背面側が固定される底壁部11、底壁部11の長手側をなす左右端縁をそれぞれ内側斜め上方に立ち上げて形成された左右側壁部12、13、左右側壁部12、13の先端側をそれぞれ内側に湾曲させて円柱状空間を有するように折り返してその先端が底壁部11に略平行となるように形成された折込部14、合成樹脂フィルムがクランプされるフィルム定着溝15、左右側壁部及び前記底壁部の一端部側にスエジ加工及び切削加工により形成された側壁切欠部を有して形成された縮形連結部16、底壁部11内側の中央及びその両側に各3列で設けられた深さが約0.5mm、直径が約0.5mmのポンチ穴からなる位置決め用孔列17a〜17cとを有している。
フィルム止め部材10は、例えば約2m〜10mの長さであり、図3に示すようにその両側又は一方の端部に設けられた縮形連結部16を他方のフィルム止め部材のフィルム定着溝15に嵌合することによって連結させ、所定の長さに設定することができる。
フィルム止め部材10の左右側壁部12、13をその底壁部11の側端から立ち上げる際には、まず、底壁部11に対して略45度の傾斜角度で金属板を湾曲状に立ち上げて湾曲部20を形成し、この湾曲部20から連続した金属板を底壁部11に対して略65度の傾斜角度で直線状に立ち上げて、直線部19を形成する。
このように、左右側壁部12、13の立ち上げ角度を中途で変更して、湾曲部20と直線部19とを形成することにより、定着させる合成樹脂フィルムFが1枚の場合には、湾曲部20の内側部分にスプリングSを収容して、合成樹脂フィルムFを確実に定着することができる。そして、定着させる合成樹脂フィルムFが複数枚になったとしても、湾曲部20の内側部分に収容できないスプリングSを直線部19の内側部分に収容して、複数枚の合成樹脂フィルムFを安定に定着させることができる。
また、底壁部11の左右両端から左右側壁部12、13を立ち上げたとき、底壁部11と左右側壁部12、13との間に形成されるフィルム定着溝15の深さが13±0.1mmとなり、開口幅が18±0.5mmとなり、最大幅が31.5±0.1mmとなるように形成している。このように、フィルム定着溝15の深さと開口幅と最大幅との比率を略130:180:315(すなわち、略26:36:63)とすることにより、フィルム定着溝15において、スプリングSを挿入可能な開口幅と、複数本のスプリングSを収容可能な深さとを確保しながらその最大幅を可及的に小さくすることができ、フィルム止め部材10の大型化を防ぐことができる。
左右側壁部12、13の先端にはそれぞれ折込部14が形成されている。すなわち、左右側壁部12、13の先端をそれぞれフィルム定着溝15の内側に円柱状空間を形成するように折り返してその端部が底壁部11に対して略平行となるようにしている。このようにフィルム定着溝15の開口部に折込部14が配置されるようにしているので、折込部14に合成樹脂フィルムFが引っかからないように気を配りながらフィルム定着作業を行う必要が無く、フィルム定着作業の作業効率を向上させることができる。また、合成樹脂フィルムFが開口部で引き裂かれて破損して無駄なフィルムが発生するのを防止することができる。
また、図2〜図4に示すように、上記構成からなるフィルム止め部材10の端部をスエジ加工により縮形連結部16を形成してオス側端部と成し、縮形連結部16をスエジ加工してないフィルム止め部材10のフィルム定着溝15の端部(メス側端部)にスライド挿入して、複数本のフィルム止め部材10を適宜連結できるようにしている。特に、縮形連結部16となるフィルム止め部材10の端部をスエジ加工時に四方から縮形するように加圧した後、左右側壁部12、13の開口部側を所定深さ、例えばフィルム止め部材19本体の高さに対して1/3〜1/2となるような深さで切り欠くように加工して側壁切欠部を設けることができる。これによって、所定の連結強度を有した縮形連結部を形成させることができるとともに、フィルム止め部材10の製造コストを低く抑えることができる。
また、図3及び図4に示すように、縮形連結部16の上下幅及び左右幅がスエジ加工していないフィルム止め部材10の本体部の上下幅及び左右幅よりも短くなるようにすることもできる。これにより、スエジ加工していないフィルム止め部材10の端部にスエジ加工したフィルム止め部材10の縮形連結部16をスライド挿入したときには、フィルム止め部材10のフィルム定着溝15の内部に縮形連結部16が完全に収容されることとなる。
ただし、この場合、図5(a)に示すように、メス側端部に、オス側端部の縮形連結部16を深く挿入すると、メス側端部の左右側壁部12、13がオス側端部の左右側壁部12、13に沿って拡張し変形することとなる。
一方、スエジ加工部分に側壁切欠部を設けたオス側端部を備えるフィルム止め部材10によれば、メス側端部に挿入した場合であっても、メス側端部の左右側壁部12、13が、オス側端部の左右側壁部12、13に沿って拡張し変形することがない。
すなわち、図5(b)に示すように、メス側端部にオス側端部を挿入すると、縮形連結部16全体が、メス側端部のフィルム定着溝15に収まった際に、オス側折込部端面14aと、メス側折込部端面14bとが当接してストッパの役割を果たし、更なる挿入を阻止できるようにしている。
したがって、フィルム止め部材10同士の連結部の変形を防止することができる。
また、オス側端部の折込部14の一部を切り欠いて、側壁切欠部を設けた縮形連結部16によれば、メス側端部にオス側端部を挿入した際に、メス側端部の折込部14と、オス側端部の折込部14とが左右方向に重なり合うことがないため、フィルム止め部材10の中途部近傍の開口幅Xと、連結部近傍の連結部開口幅Yとの長さを略同一とすることができる。
それゆえ、連結部開口幅Yが狭隘となることを防止することができ、スプリングSの装着性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、金属板を屈曲させて上記構成のフィルム止め部材10を形成しているが、これに限らず、押出加工によって同様の構成のフィルム止め部材を形成することもできる。
フィルム止め部材10に合成樹脂フィルムFを取り付ける場合は、図6に示すように、フィルム定着溝15の開口部側からその内部に合成樹脂フィルムFを挿入し、次に合成樹脂フィルムFの上からフィルム定着溝15の幅に合わせて所定の振り幅で蛇行させた専用のスプリングSを挿入し、スプリングSとフィルム定着溝15の左右側壁部12、13とで合成樹脂フィルムFをクランプして、合成樹脂フィルムFがフィルム止め部材10から外れないようにする。そして、フィルム止め部材10に複数枚の合成樹脂フィルムFを同時に取り付ける場合には、上述したフィルム定着作業を、1枚の合成樹脂フィルムFを定着させる度に繰り返して、定着させる合成樹脂フィルムFの枚数と同数のスプリングSをフィルム定着溝15に挿入して定着させる。
図7は本実施例に係るフィルム止め部材10(図7(c))を含み、フィルム定着溝の形状がそれぞれ異なる4種のフィルム止め部材の断面図であり、図8〜図10はそれぞれ各フィルム止め部材の機械的特性(曲げ剛性(lx、ly)及びねじれ剛性)の測定結果を示したグラフである。
なお、表1は機械的特性の測定結果のデータであり、フィルム止め部材の各寸法緒元の他に、フィルム止め部材の底壁部の面に沿う方向の曲げ剛性(lx)及び底壁部の面に対する法線方向の曲げ剛性(ly)、ねじれ剛性(lp)の断面性能の測定データが示されている。
Figure 0004542073
機械的特性の測定に供した4種のフィルム止め部材(a)〜(d)のフィルム止め部材は、図7に示すようにそれぞれ以下のような形態的特徴を有している。
(a)比較例1:左右側壁部の開口部先端を外側に湾曲するようにして折込部を形成したフィルム止め部材である。
(b)比較例2:左右側壁部上部にそれぞれ平行となるようにして箱状のフィルム定着部を形成したフィルム止め部材である。
(c)本実施例:左右側壁部の先端側をそれぞれ内側に湾曲させて円柱状空間を有するように折り返してその先端が底壁部に略平行となるような折込部を設けた実施例となるフィルム止め部材である。
(d)比較例3:左右側壁部の先端側を外側に2段階に屈曲させて折込部とするとともに、フィルム定着溝を構成する左右側壁部の下部を湾曲状にして上部を直線状に形成するようにしたフィルム止め部材である。
フィルム止め部材にスプリングSを装着しようとすると、図7に示すように、斜めの姿勢となる場合がある。このときのフィルム止め部材の側壁部分となす角度αとβとを比較すると、αよりも、フィルム定着溝(15)側となす角度βが大きい方が、スプリングSをフィルム定着溝(15)に押し込み易く、平行な安定した姿勢をとらせることが容易である。
このαとβとの関係をみると、比較例2を除けばそのようなα<βの関係にあり、装着性としては問題が無いことが分る。
また、ここで底壁部11に対する直線部19の角度の好ましい範囲は、45〜80度、より好ましくは60〜73度である。
更に詳説すると、まず、図11(a)に示すように、スプリングSの上部接点Lと、スプリングSの延長線と底壁部11の延長線との交点Mと、前述の接点Lから底壁部11へ下ろした垂線と底壁部11との交点Nと、で囲まれる三角形Tを考慮する。なお、図11は説明の便宜上模式的に示すものであり、各角度や長さ、フィルム止め部材10とスプリングSとの相対的な大きさ等は必ずしも正確に表しているものではない。
ここで、例えば、フィルム止め部材10の最小内径幅W1を22.9mmとし、最大内径幅W2を30.0mmとし、最大内部高Hを9.25mmとし、スプリングSの直径は2mmとする。
この場合、前述のαとβが等しくなるのは、α=β=90度の場合であり、この際スプリングSの弾性力のベクトルと、直線部19からの垂直抗力のベクトルは、一直線上となるため、スプリングSはフィルム止め部材10から離脱する方向へも、収まる方向へも動かないこととなる。
そこでこの状態を基準として、スプリングSがフィルム止め部材10の内方へ収まるようにすべく、底壁部11に対する直線部19の角度Uの好ましい範囲を検討すると、図11(b)に示すように、スプリングSの直径を加味して、底辺が26.45mm、高さが7.25mmの直角三角形T’とすることができる。この頂点L’、頂点M’、頂点N’からなる直角三角形T’は、直角三角形Tと相似である
そして、この直角三角形T’よりθ°の値を求めると、三角関数の定理より
tanθ°=7.25÷24.45
θ°=0.296523517tan−1=16.51632873°
という値が導かれる。
ここで、底壁部11に対する直線部19の角度Uは、
U°=β°−θ°=90°−16.51632873°≒73°
となる。ただし、断面円形状のスプリングSと、直線部19との接点位置によっては、角度Uは80°程度まで許容できるものと考えられる。
一方、湾曲部20の内方立ち上げ角度V°は、45°であるため、角度Uは45°以上であることが好ましい。
併せて、角度Uの最大角度は、80°よりも小さい程、フィルム止め部材10の内方へスプリングSを収納するように働かせることができる。
したがって、底壁部11に対する直線部19の角度の好ましい範囲は45〜80度、より好ましくは60〜73度である。
また、ビニールハウス1を構築する場合、フィルム止め部材10は上下方向に所定間隔をあけて複数個用いる。例えば、NO.1〜NO.5の5本のフィルム止め部材10を用いる場合、フィルムを止める順番は、通常、一方から順番にではなく、NO.1、NO.5、NO.3、NO.2、NO.4というような張り方をする。塩ビ系フィルムよりも伸縮性が劣るPO系フィルムを用いる場合は、上記NO.3〜NO.5においては、フィルムがフィルム定着溝15の底部から浮いてしまうことが多い。したがって、スプリングSがフィルム定着溝(15)の上側位置で係止することになる。なお、スプリングSを複数個重ねて用いる場合も最上段のスプリングSはフィルム定着溝(15)の上側位置で係止することになる。
このように、スプリングSがフィルム定着溝(15)の上側位置で係止している場合、風などの影響によって、そのまま抜け出るおそれがある。特に、比較例1、3ではそのおそれが大である。本実施例に係るフィルム止め部材10と比較例2とは、係止部18が内側に突出しているので、スプリングSの抜けを可及的に防止することが可能となっている。
このように、スプリングSの装着性、抜け防止性能の面からみると、本実施例に係るフィルム止め部材10のみが両性能を十分に満たしており、他の比較例1〜3に比べて優位にあることが明らかである。
また、図8〜図10に示されるように、本実施例のフィルム止め部材10(図7(c))は、曲げ剛性及びねじれ剛性の点で比較例1〜3のフィルム止め部材より優れていることが分かる。なお、比較例2の箱型のフィルム定着溝を有したフィルム止め部材では、実施例のものとほぼ同様の機械的特性を有しているが、複数の合成樹脂フィルムをフィルム定着溝に装着する場合にスプリングを安定的に配置しにくいという欠点があり、本実施例のものの方が使い勝手などの総合的な面で優れているといえる。
表2は本実施例に係るフィルム止め部材10(c)と前述の比較例に係るフィルム止め部材(a)、(b)、(d)とにおける使用特性を評価したデータの比較表である。また、図12はフィルム部材(a)〜(d)の断面図であり、3枚のスプリングを内包させた場合としている。
Figure 0004542073
表2においては、フィルム定着溝に装着される合成樹脂フィルムを3枚としてスプリングを3本用いた場合の評価、合成樹脂フィルムの収まり具合の評価、ポリオレフィンフィルムの保持強度に対する評価、フィルム展張時の破れ評価、フィルム貼り付け作業時に靴など踏みつけた場合の破れ評価、錆びに対する抵抗性評価、前記機械的特性の評価がそれぞれ示されている。これらの各評価においては、◎印のものを最良評価として◎→○→△→▲→×の順に評価をランク付けされたもので表示している。
表2から明らかなように、本実施例のフィルム止め部材(表2の(c)に示すもの)は、前記評価のすべてにおいて最良(◎)となる評価である。特に、3枚の合成樹脂フィルムを保持する場合の保持強度や、本体強度などの点で優れていることが分かる。したがって、実施例のフィルム止め部材は、素材重量を最小限度に軽減しながらビニールハウス全体を維持するのに必要な構造強度を確保することができるとともに、2層または3層以上の合成樹脂フィルムを確実かつ効果的に保持することができ、生産性と経済性に優れていることがわかる。
次に、本発明に係るフィルム止め部材10において、左右側壁部12、13の先端の形状を適宜変更し、折込部14または膨大部30の機能性をさらに向上させた実施形態についていくつか例示する。
〔第1実施形態〕
図13は、第1の実施形態としてのフィルム止め部材10を示しており、図13(a)は前述してきたフィルム止め部材10の断面図を示している。図13(b)(c)は、図13(a)と基本的構造を同じくするが、左右側壁部12、13の先端を内側に折り返して形成した折込部14の形状において異なる。
まず、図13(a)の折込部14について説明すると、直線部19の上端からやや外方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、第2屈曲部22と第3屈曲部23と第4屈曲部24とを略同一円弧上に位置させながら滑らかに内巻き方向へ屈曲させて円周曲面状とし、第5屈曲部25に接続させている。
第5屈曲部25では、さらに内巻きに折り返してその先端近傍が底壁部11に略平行となるように形成しており、この底壁部11と略平行となった面を係止部18としている。
また、第5屈曲部25にて折り返した先端部18aは、第2屈曲部22の近傍に当接させている。
このように各屈曲部21〜25を屈曲させて折込部14を形成することにより、同折込部14の内方には断面視略半円形状の空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができる。
また、第5屈曲部25で底壁部11と略平行となるように折り返して形成した係止部18により、フィルム定着溝15に嵌着した弾性係止部材(たとえば、波形線状のスプリング)がフィルム止め部材10から不用意に外れてしまうことを効果的に防止することができる。
さらに、第5屈曲部25にて折り返した先端部18aを、第2屈曲部22の近傍に当接させるようにしているため、雨水や結露水などの水分が空間Aに浸入することを防止することができるため、腐食によるフィルム止め部材10の耐久性の劣化を可及的に防止することができる。
併せて、各屈曲部21〜25のいずれかの内周面近傍に係止部18の先端部18aを当接させること(本実施形態では第2屈曲部22の内周面に当接)は、フィルム止め部材10に合成樹脂フィルムFをクランプさせた際に、同合成樹脂フィルムFが先端部18aのエッジ等に接触して穿孔が生じたり、損傷することを防止することができる。
図13(b)は、折込部14を断面視略矩形状に形成している点に特徴を有している。すなわち、直線部19の上端からやや外方に屈曲させて第1屈曲部21を形成し、さらに、底壁部11に対して略垂直に上方へ屈曲させて第2屈曲部22を形成している。
そして、第3屈曲部23では、底壁部11と略平行となるように約90度の角度で内方に屈曲し、第4屈曲部24では底壁部11に対して略垂直に下方へ屈曲し、第5屈曲部25に接続させている。
第5屈曲部25では、さらに約90度の角度で内方に屈曲してその先端近傍が底壁部11に略平行となるように形成しており、この底壁部11と略平行となった面を係止部18としている。
また、第5屈曲部25にて折り返した先端部18aは、図13の(a)と同様に第2屈曲部22の近傍内壁側に当接させている。
図13(b)に示すように各屈曲部21〜25を内方へ屈曲させて折込部14を形成することにより、同折込部14の内方には断面視略矩形状の空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができる。
併せて、図13(a)の説明でも述べたように、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部18aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
図13(c)は、折込部14を曲面と角とで形成している点に特徴を有している。すなわち、直線部19の上端からやや外方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、第2屈曲部22と第3屈曲部23とを略同一円弧上に位置させながら滑らかに内巻き方向へ屈曲させて円周曲面状とし、第4屈曲部24に接続させている。
そして、第4屈曲部24では底壁部11に対して略垂直に下方へ屈曲し、第5屈曲部25では、さらに約90度の角度で内方に屈曲してその先端近傍が底壁部11に略平行となるように形成しており、この底壁部11と略平行となった面を係止部18としている。
また、第5屈曲部25にて折り返した先端部18aは、図13(a)及び(b)と同様に第2屈曲部22の内壁側近傍に当接させている。
このように、図13(c)に示すように各屈曲部21〜25を内方へ屈曲させて折込部14を形成することによっても、同折込部14の内方には空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部18aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
図13(d)は、折込部14を断面視略三角形状に形成している点に特徴を有している。すなわち、直線部19の上端からやや外方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、第2屈曲部22を鋭角にして内方斜め上へ向けて伸延させ、第3屈曲部23を略平面状となし、第4屈曲部24に接続させている。
そして、第4屈曲部24では底壁部11に対して略垂直に下方へ屈曲し、第5屈曲部25では、さらに約90度の角度で内方に屈曲してその先端近傍が底壁部11に略平行となるように形成しており、この底壁部11と略平行となった面を係止部18としている。
また、第5屈曲部25にて折り返した先端部18aは、図13(a)、(b)、(c)と同様に第2屈曲部22の内壁側近傍に当接させている。
このように、図13(d)に示すように各屈曲部21〜25を内方へ屈曲させて折込部14を形成することによっても、同折込部14の内方には空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部18aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
〔第2実施形態〕
図14は、第2の実施形態としてのフィルム止め部材10を示しており、図14(a)(b)(c)は、第1の実施形態に示したフィルム止め部材10と基本的構造を同じくするが、左右側壁部12、13の先端を外側に折り返して形成した折込部14の形状において異なる。
まず、図14(a)の折込部14について説明すると、直線部19の上端から、底壁部11と略平行となるように内方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、この底壁部11と略平行となった面を係止部18としている。
そして、第2屈曲部22と、第3屈曲部23と、第4屈曲部24と、第5屈曲部25とを略同一円弧上に位置させながら滑らかに外巻き方向へ屈曲させて円周曲面状とし、その先端部25aは、第1屈曲部21の近傍に当接させている。
このように各屈曲部21〜25を外方へ屈曲させて折込部14を形成することにより、同折込部14の内方には断面視略半円形状の空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができる。
併せて、第1の実施形態の説明でも述べたように、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部25aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
図14(b)は、折込部14を断面視略矩形状に形成している点に特徴を有している。すなわち、直線部19の上端から、底壁部11と略平行となるように内方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、底壁部11に対して略垂直に上方へ屈曲させて第2屈曲部22を形成している。ここで、第1屈曲部21と第2屈曲部22との間に形成した底壁部11と略平行な面を係止部18としている。
そして、第3屈曲部23では、底壁部11と略平行となるように約90度の角度で外方に屈曲し、第4屈曲部24では底壁部11に対して略垂直に下方へ屈曲し、第5屈曲部25に接続させている。
第5屈曲部25では、さらに内方に屈曲してその先端部25aは、第1屈曲部21の近傍に当接するように構成している。
このように、図14(b)に示すように各屈曲部21〜25を外方へ屈曲させて折込部14を形成することによっても、同折込部14の内方には断面視略矩形状の空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部25aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
図14(c)は、折込部14を曲面と角とで形成している点に特徴を有している。すなわち、直線部19の上端から、底壁部11と略平行となるように内方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、底壁部11に対して略垂直に上方へ屈曲させて第2屈曲部22を形成し、第3屈曲部23に接続している。ここで、第1屈曲部21と第2屈曲部22との間に形成した底壁部11と略平行な面を係止部18としている。
そして、第3屈曲部23では、底壁部11と略平行となるように約90度の角度で外方に屈曲して第4屈曲部24に接続している。
第4屈曲部24と第5屈曲部25とは、略同一円弧上に位置させながら滑らかに外巻き方向へ屈曲させて円周曲面状としており、第5屈曲部25では、同円弧上で引き続き内方に屈曲してその先端部25aは、第1屈曲部21の近傍に当接するように構成している。
このように、図14(c)に示すように各屈曲部21〜25を外方へ屈曲させて折込部14を形成することによっても、同折込部14の内方には断面視略矩形状の空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部25aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
図14(d)は、折込部14を断面視略三角形状に形成している点に特徴を有している。すなわち、直線部19の上端から、底壁部11と略平行となるように内方に屈曲させて第1屈曲部21を形成するとともに、底壁部11に対して略垂直に上方へ屈曲させて第2屈曲部22を形成し、第3屈曲部23に接続している。ここで、第1屈曲部21と第2屈曲部22との間に形成した底壁部11と略平行な面を係止部18としている。
そして、第3屈曲部23では、鋭角にして外方斜め下へ向けて伸延させ、第4屈曲部24を略平面状となして第5屈曲部25に接続している。
第5屈曲部25では、再度鋭角状に内方へ向けて屈曲し、その先端部25aは、第1屈曲部21の近傍に当接するように構成している。
このように、図14(d)に示すように各屈曲部21〜25を外方へ屈曲させて折込部14を形成することによっても、同折込部14の内方には断面視略矩形状の空間Aを形成することができ、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落防止や、空間Aに浸入する水分によって生じる腐食の防止や、先端部25aのエッジ等に接触して合成樹脂フィルムFが損傷するのを防止することができる。
〔第3実施形態〕
図15は、第3の実施形態としてのフィルム止め部材10を示しており、図15(a)(b)(c)は、第1及び第2の実施形態に示したフィルム止め部材10と基本的構造を同じくするが、左右側壁部12、13の先端に膨大部30を形成した点において異なる。
まず、図15(a)の膨大部30について説明すると、直線部19の上端に、断面視略半円状の膨大部30を設けている。そして、フィルム定着溝15側に突出した膨大部30の下面に、底壁部11と略平行となる面を形成して係止部18としている。
このように、図15(a)に示すように膨大部30を形成することによっても、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落を可及的に防止することができる。
図15(b)は、直線部19の上端に、断面視略矩形状の膨大部30を設けている。そして、フィルム定着溝15側に突出した膨大部30の下面に、底壁部11と略平行となる面を形成して係止部18としている。
このように、図15(b)に示すように膨大部30を形成することによっても、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落を可及的に防止することができる。

図15(c)は、直線部19の上端に、膨大部外壁30a側を図15(a)のように曲面状に形成し、膨大部内壁30b側を図15(c)のように矩形状に形成した膨大部30を配設している。そして、フィルム定着溝15側に突出した膨大部30の下面に、底壁部11と略平行となる面を形成して係止部18としている。
このように、図15(c)に示すように膨大部30を形成することによっても、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落を可及的に防止することができる。
図15(d)は、直線部19の上端に、膨大部外壁30a側を図15(a)のように曲面状に形成し、直線部19の上端に、断面視略三角形状の膨大部30を設けている。そして、フィルム定着溝15側に突出した膨大部30の下面に、底壁部11と略平行となる面を形成して係止部18としている。
このように、図15(d)に示すように膨大部30を形成することによっても、フィルム止め部材10の剛性を向上させることができるとともに、係止部18による弾性係止部材の脱落を可及的に防止することができる。
なお、第1及び第2の実施形態で示した折込部14に替えて、図15(a)〜(d)に示すように、左右側壁部12、13の先端に膨大部を設けることにより、前述の空間Aに浸入する水分によって生じる腐食や、先端部25aのエッジ等に接触によって生じる合成樹脂フィルムFの損傷を更に防止することができる。
併せて、本第3実施形態で示した膨大部30の内部には、長手方向へ断面視所定形状の空間を設けるようにしても良い。
ここで、膨大部30の内部に設ける空間の断面視における形状は特に限定されるものではなく、丸、三角、四角や折込部14の外形に応じた形状とすることができる。
このように、膨大部30の内部に空間を設けることにより、フィルム止め部材10を構成する材料の使用量を減少させることができ、材料費のコストダウンを図ることができる。
図16は本フィルム止め部材10に適用されるシート材留め具の斜視図、図17は同シート材留め具の止着状態を示す説明図である。
本フィルム止め部材10は、左右側壁部の先端側をそれぞれ内側に湾曲させて円柱状空間を有するように折り返してその先端が底壁部に略平行となるように形成された折込部を配置しているので、図17に示すように、そのフィルム定着溝15に装着されるシート材留め具50を介してビニールハウス用の合成樹脂フィルムFや緊締バンド3などが定着される。
シート材留め具50は、押し出し成形などにより製造されたアルミ製やアルミ合金製であって、図16に示すようにシート材である緊締バンド3に裏面が当接する帯板状の底面部51と、この底面部51の一方の長手側から立設した連結部52と、この連結部52の上端に一体的に形成され、底面部51と平行状態に連設された帯状の上面部53とからなり、横断面視で略乙字状に形成されている。なお、シート材留め具50の長さとしては、止着するシート材に合わせて適宜設定でき、合成樹脂フィルムFを止着するような場合はフィルム止め部材10と同じ長さとしてもよいし、本実施形態のように緊締バンド3を止着する場合であれば、適宜長さに切断したものとすればよい。
図17に示すように、シート材留め具50の底面部51は、フィルム止め部材10のフィルム定着溝15内に配置可能であり、この底面部51の幅は、フィルム止め部材10の開口部の幅寸よりも広く形成されるとともに、フィルム止め部材10の底壁部11の幅寸よりは狭く形成されている。
また、この底面部51の一方の長手側端縁を、所定のアールを有し外観的に略円形状とした膨出部51aとしており、底面部51をフィルム止め部材10のフィルム定着溝15内に配置したときに、この膨出部51aがフィルム止め部材10の左右側壁部12、13の内側に係合可能となっている。
さらに、底面部51の一方の長手側縁部を、前記連結部52よりも外側に突出させ張り出し部51bを形成しており、この張り出し部51bを設けることにより、シート材留め具50をフィルム止め部材10のフィルム定着溝15に装着した際に、この張り出し部51bがフィルム止め部材10の他側の左右側壁部12、13に係合可能となる。
前記上面部53には、フィルム止め部材10の他側の左右側壁部12、13の上端に係合する係合片部53aを前記連結部52の上端よりも底面部51の外側に突出形成するとともに、この係合片部53aの端縁についても所定のアールを有し外観的に略円形状とした膨出部53cが形成されている。
また、図16に示すように、係合片部53aと連結部52との間には留め具湾曲部54を形成しており、この留め具湾曲部54のアールを、フィルム止め部材10に設けた折込部14と略等しくして、底面部51をフィルム止め部材10のフィルム定着溝15内に装着したときに、留め具湾曲部54と折込部14とが可及的に密接するようにしている。
また、上面部53には、係合片部53aの突出方向と反対側に突出した突出片部53bが形成されている。上述した底面部51と上面部53とを連結する連結部52は、本実施形態においては、フィルム止め部材10の左右側壁部12、13に対応するように内側に傾斜した形状としており、底面部51の幅を上述した範囲において可及的に広くできるようにしている。
さらに、スプリングSによってシート材留め具50が付勢されていることから、張り出し部51bもフィルム止め部材10の左右側壁部12、13の内側に押し付けられて係合し、たとえ上述した方向とは逆の力が緊締バンド3に作用したとしても、シート材留め具50は、フィルム止め部材10のフィルム定着溝15から容易に脱落することはない。
以上説明したように本発明のフィルム止め部材は、左右側壁部の先端側をそれぞれ内側に湾曲させて円柱状空間を有するように折り返してその先端が底壁部に略平行となるように折込部を設けることを要旨としたものであり、これに該当するものは本発明の権利範囲である。例えば、本実施形態ではフィルム止め部材同士を接合するための連結部として側壁切欠部を有した縮形連結部16を設けるようにしたが、通常のスエジ加工のみで形成される連結部を有したフィルム止め部材にも本発明を適用することができる。
また、左右側壁部12、13の先端に形成した折込部14に形成した各屈曲部21〜25の数は用途に応じて適宜増減可能なものであり、特に限定されるものではない。
本実施例に係るフィルム止め部材が適用されるビニールハウスの説明図である。 同フィルム止め部材の説明図である。 同フィルム止め部材同士の接合状態を示す斜視図である。 同フィルム止め部材同士の接合状態を示す正面図である。 同フィルム止め部材同士の接合状態を示す説明図である。 同フィルム止め部材の合成樹脂フィルムの取り付け状態の説明図である。 フィルム定着溝の形状がそれぞれ異なるフィルム止め部材の断面図である。 各フィルム止め部材の曲げ剛性(lx)の測定結果を示すグラフである。 各フィルム止め部材の曲げ剛性(ly)の測定結果を示すグラフである。 各フィルム止め部材のねじれ剛性の測定結果を示すグラフである。 フィルム止め部材と弾性係止部材との接触角度を示した説明図である。 表2の総合評価に用いたフィルム止め部材の断面図である。 折込部の形状がそれぞれ異なるフィルム止め部材の断面図である。 折込部の形状がそれぞれ異なるフィルム止め部材の断面図である。 膨大部の形状がそれぞれ異なるフィルム止め部材の断面図である。 フィルム止め部材に適用されるシート材留め具の斜視図である。 同シート材留め具の止着状態を示す説明図である。
符号の説明
1 ビニールハウス
2 ハウス構築材
3 緊締バンド
4 ビニールハウス出入口
10 フィルム止め部材
11 底壁部
12、13 左右側壁部
14 折込部
15 フィルム定着溝
16 縮形連結部
17a〜17c 位置決め用孔列
50 シート留め具
51 底面部
51a 膨出部
51b 張り出し部
52 連結部
53 上面部
53a 係合片部
53b 突出片部
F 合成樹脂フィルム
S スプリング(弾性係止部材)

Claims (1)

  1. 合成樹脂フィルムをハウス構築材上に被覆定着するためのフィルム止め部材であって、
    前記ハウス構築材にその背面側が固定される長尺帯板状の底壁部と、
    前記底壁部の長手側をなす左右端縁をそれぞれ内側斜め上方に立ち上げて形成される左右側壁部と、
    前記左右側壁部の先端を、内側に屈曲させて円柱状空間を有するように折り返して形成した折込部と、を有し、
    前記折込部を有する左右側壁部と前記底壁部とにより囲繞され、その内部に装着される弾性係止部材によって合成樹脂フィルムがクランプされるフィルム定着溝が形成されており、
    前記左右側壁部、前記底壁部の縁端から湾曲して形成される湾曲部と、同湾曲部と前記折込部との間に形成される直線部とを有し、
    前記折込部は、前記左右側壁部の先端を前記直線部の上端から外方に屈曲させて順次内巻き方向へ屈曲させて形成した屈曲部を有するとともに、さらに内巻き方向に折り返してその先端部を前記屈曲部に当接させ、前記弾性係止部材が係止可能な係止部を当該折込部の一部に前記底壁部と略平行に形成し、
    前記直線部は、前記底壁部面とのなす角度が、前記湾曲部の内方立ち上げ角度よりも大きい45〜80度であって、且つ、前記フィルム定着溝における深さと開口幅と最大幅との比率を、それぞれ129〜133:175〜185:314〜316となるように形成していることを特徴とするフィルム止め部材。
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