本発明の骨子は、通信端末が、下り回線の回線品質を示す情報のうち、基地局に誤って受信された場合に下り回線のスループットが低下する可能性が高い情報ほど伝播路において誤りにくくして送信することにより、下り回線のスループットの低下を防止することである。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
上述したように、基地局は、下り回線の回線品質が最良の通信端末に優先的に通信リソースを割り振る。換言すれば、基地局は、最も番号の大きなDRC信号を選択し、その選択したDRC信号を送信した通信端末に優先的に通信リソースを割り振る。よって、基地局におけるDRC信号の選択頻度は、図1に示すようになる。図1は、基地局におけるDRC信号の選択頻度を示したグラフである。なお、この図では、DRC番号には1〜5が使用されており、番号が大きいほど回線品質が良いことを示す。
図1に示すように、番号が大きいDRC信号ほど基地局において選択される頻度が高くなる。つまり、下り回線の回線品質が良い通信端末ほど通信リソースが割り当てられる頻度が高くなる。このような関係は、通信端末が多数存在して下り回線の回線品質が良い通信端末が存在する確率が増えることにより生じるものである。
このように、各DRC信号の選択頻度は、回線品質に応じて相違している。つまり、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号は選択される頻度が高くなる傾向にあるため、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号が誤って受信されると、下り回線のスループットが低下する可能性が高い。また、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号は選択される頻度が低くなる傾向にあるため、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号が誤って受信されても、下り回線のスループットの低下に与える影響は小さい。
そこで、本発明の実施の形態1に係る通信端末は、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど送信パワを高くして送信するものである。また、本発明の実施の形態1に係る基地局は、所定のしきい値より受信パワが低いDRC信号を除外して、通信リソースの割り当てを行うものである。
図2は、本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図である。
図2において、割り当て部101は、後述する復調部114で抽出されたDRC信号から後述する不使用DRC検出部116で検出されたDRC信号を除外したDRC信号に基づいて各通信端末への通信リソースの割り振りを決定する。そして、割り当て部101は、決定した通信リソースの割り振りに基づいて、バッファ102に下り送信データの出力を指示し、適応符号化部103に下り送信データの符号化方式を指示し、適応変調部104に下り送信データの変調方式を指示する。
バッファ102は、下り送信データを保持し、割り当て部101からの指示に従って、所定の通信端末に対する下り送信データを適応符号化部103に出力する。適応符号化部103は、割り当て部101の指示に従って、バッファ102からの出力信号を符号化して適応変調部104に出力する。適応変調部104は、割り当て部102の指示に従って、適応符号化部103からの出力信号を変調して拡散部105に出力する。拡散部105は、適応変調部104からの出力信号を拡散して多重部108に出力する。
変調部106は、パイロット信号を変調して拡散部107に出力する。拡散部107は、変調部106からの出力信号を拡散して多重部108に出力する。
多重部108は、拡散後の下り送信データに拡散後のパイロット信号を所定の間隔で時間多重し、送信RF部109に出力する。送信RF部109は、多重部108からの出力信号の周波数を無線周波数に変換して共用器110に出力する。
共用器110は、送信RF部109からの出力信号をアンテナ111から通信端末に無線送信する。また、共用器110は、各通信端末から無線送信され、アンテナ111に無線受信された信号を受信RF部112に出力する。
受信RF部112は、共用器110から出力された無線周波数信号の周波数をベースバンドに変換して逆拡散部113に出力する。逆拡散部113は、ベースバンド信号を、DRC信号を拡散している拡散コードで逆拡散して復調部114および受信パワ算出部115に出力する。
復調部114は、逆拡散部113からの出力信号を復調してDRC信号を抽出し、割り当て部101に出力する。
受信パワ算出部115は、逆拡散後のDRC信号の受信パワを測定し、不使用DRC検出部116に出力する。不使用DRC検出部116には、後述するような所定のしきい値が設定されており、このしきい値よりも低い受信パワのDRC信号を検出し、検出結果を割り当て部101に出力する。
なお、逆拡散部113、復調部114、受信パワ算出部115および不使用DRC検出部116は、通信端末ごとに設けられており、それぞれの復調部114から通信端末ごとのDRC信号が出力され、それぞれの不使用DRC検出部116から通信端末ごとの検出結果が出力される。
図3は、本発明の実施の形態1に係る通信端末の構成を示すブロック図である。 図3において、通信モード決定部201は、後述するCIR測定部219にて測定されたCIRに基づいて、変調方式と符号化方式の組み合わせを示す通信モードを決定して、DRC信号作成部202に出力する。また、通信モード決定部201は、決定した通信モードに基づいて、適応復調部216に下り受信データの復調方式を指示し、適応復号化部217に下り受信データの復号化方式を指示する。
DRC信号作成部202は、通信モード決定部201から出力された通信モードに対応する番号のDRC信号を作成して、変調部203およびDRCパワ制御部205に出力する。
変調部203は、DRC信号を変調して拡散部204に出力する。拡散部204は、変調部203からの出力信号を拡散してDRCパワ制御部205に出力する。DRCパワ制御部205は、DRC番号と送信パワとの対応関係が示されている送信パワテーブル206を参照して、後述するパイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワに基づいてDRC信号の送信パワを制御し、送信パワ制御後のDRC信号を多重部210に出力する。なお、DRC信号の送信パワの具体的な制御方法については後述する。
変調部207は、パイロット信号を変調して拡散部208に出力する。拡散部208は、変調部207からの出力信号を拡散してパイロットパワ制御部209に出力する。パイロットパワ制御部209は、パイロット信号の送信パワを制御して、送信パワ制御後のパイロット信号を多重部210に出力する。また、パイロットパワ制御部209は、パイロット信号の送信パワをDRCパワ制御部209に出力する。
多重部210は、送信パワ制御後のDRC信号と送信パワ制御後のパイロット信号とを所定の間隔で時間多重し、送信RF部211に出力する。送信RF部211は、多重部210からの出力信号の周波数を無線周波数に変換して共用器212に出力する。
共用器212は、送信RF部211からの出力信号をアンテナ213から基地局に無線送信する。また、共用器212は、基地局から無線送信され、アンテナ213に無線受信された信号を受信RF部214に出力する。
受信RF部214は、共用器212から出力された無線周波数信号の周波数をベースバンドに変換し、逆拡散部215および逆拡散部218に出力する。
逆拡散部215は、ベースバンド信号のデータ成分を逆拡散して適応復調部216に出力する。適応復調部216は、通信モード決定部201の指示に従って、逆拡散部215からの出力信号を復調して適応復号化部217に出力する。適応復号化部217は、通信モード決定部201の指示に従って、適応復調部216からの出力信号を復号して、受信データを得る。
逆拡散部218は、ベースバンド信号のパイロット信号成分を逆拡散してCIR測定部219に出力する。CIR測定部219は、逆拡散部218から出力されたパイロット信号のCIRを測定して通信モード決定部201に出力する。
次に、上記図2に示した基地局と上記図3に示した通信端末との間における信号の送受の手順について説明する。
まず、通信開始時に、基地局の変調部106にてパイロット信号が変調され、拡散部107にて拡散され、多重部108に出力される。多重部108からは拡散後のパイロット信号のみが送信RF部109に出力される。拡散後のパイロット信号は、送信RF部109にて無線周波数に周波数変換され、共用器110を介してアンテナ111から各通信端末に無線送信される。
基地局から無線送信されたパイロット信号成分のみの無線信号は、通信端末のアンテナ213に受信され、共用器212を介し、受信RF部214にてベースバンドに周波数変換される。ベースバンド信号のパイロット信号成分は、逆拡散部218にて逆拡散され、CIR測定部219に出力される。
次に、CIR測定部219において、逆拡散部218から出力されたパイロット信号のCIRが測定され、通信モード決定部201にて、CIRに基づいて通信モードが決定される。そして、DRC信号作成部202にて、通信モードに対応する番号のDRC信号が作成される。
DRC信号は、変調部203にて変調され、拡散部204にて拡散され、DRCパワ制御部205に出力される。DRCパワ制御部205においては、パイロットパワ制御部209から出力されるパイロット信号の送信パワと送信パワテーブル206に予め設定されているパイロット信号の送信パワとDRC信号の送信パワとの比に基づいて、DRC信号の送信パワが制御される。
以下、送信パワテーブル206の設定内容について説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る通信端末が備える送信パワテーブルの内容を示す図である。
送信パワテーブル206には、DRC番号とDRC信号の送信パワとの対応関係が示されており、DRC番号が大きくなるほど送信パワが高くなるように設定されている。なお、ここでは、DRC番号には1〜5が使用されており、番号が大きいほど下り回線の回線品質が良いことを示すものとする。つまり、送信パワテーブル206には、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど送信パワが高くなるように設定されている。
上述したように下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど基地局において選択される頻度が高くなる傾向があるため、本実施の形態では、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど送信パワが高くなるようにして、誤りにくくする。これにより、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号が誤って受信される確率を、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号が誤って受信される確率よりも低くすることができる。換言すれば、基地局で選択される頻度が高いDRC信号が誤って受信される確率を、基地局で選択される頻度が低いDRC信号が誤って受信される確率よりも低くすることができる。
また、送信パワテーブル206に設定されるDRC信号の送信パワは、パイロット信号の送信パワとの比によって表されている。ここでは、図4に示すように、DRC番号1〜5の真ん中に当たるDRC番号3を基準として、DRC番号3より小さい番号を示すDRC信号はパイロット信号の送信パワより低い送信パワで送信され、DRC番号3より大きい番号を示すDRC信号はパイロット信号の送信パワより高い送信パワで送信されるように設定されている。つまり、ここでは、所定の回線品質(ここでは、DRC番号3のDRC信号に対応する回線品質)よりも悪い回線品質を示すDRC信号はパイロット信号の送信パワより低い送信パワで送信され、所定の回線品質よりも良い回線品質を示すDRC信号はパイロット信号の送信パワより高い送信パワで送信されるように設定されている。
このように、本実施の形態では、従来のDRC信号の送信パワ(つまり、ここでのパイロット信号の送信パワ)に比べ、送信パワを増加させるDRC信号と送信パワを減少させるDRC信号とを設定し、DRC信号の送信パワの増減値の合計を±0dBとすることにより、DRC信号の平均的な送信パワを従来と比べ一定に保ったまま、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど誤りにくくすることができる。つまり、上り回線のキャパシティを従来に比べ減少させることなく、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど誤りにくくすることができる。
また、このように、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号(図4においては、DRC番号1および2のDRC信号)は従来に比べ低い送信パワで送信されるため、基地局から離れた位置に存在し、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号を送信する可能性が高い通信端末においては、消費電力を削減することができる。つまり、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号を送信する通信端末では、従来そもそも高い送信パワでDRC信号を送信していたのに対して、本実施の形態によれば、DRC信号の送信パワをその高い送信パワよりも低くすることができるので、通信端末の消費電力を大きく削減することができる。
なお、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号は基地局において選択される頻度がそもそも低いため、このように下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号を従来よりも低い送信パワで送信しても、スループットの低下に与える影響はほとんどない。
また、本実施の形態では、上り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号(図4においては、DRC番号4および5のDRC信号)は、従来に比べ高い送信パワで送信される。しかし、上り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号は、基地局の比較的近くに存在する通信端末から送信される可能性が高い。また、上り回線で通常行われているパイロット信号に対する送信パワ制御により、基地局の比較的近くに存在する通信端末から送信されるパイロット信号の送信パワ(つまり、従来のDRC信号の送信パワ)は、そもそも低い。よって、上り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号を送信する通信端末では、従来そもそも低かったDRC信号の送信パワが増加しても、DRC信号の送信パワは依然として低く消費電力は依然として低いため、電力消費に与える影響はほとんどない。
DRCパワ制御部205においては、パイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワが送信パワテーブル206に設定された比によって調節されることにより、DRC信号の送信パワが求められる。そして、DRCパワ制御部205においては、拡散部204から出力されたDRC信号の送信パワがこの求められた送信パワに制御され、送信パワ制御後のDRC信号が多重部210に出力される。具体的には、例えば、DRC信号作成部202からDRCパワ制御部205に出力されたDRC信号の番号が5である場合には、拡散部204から出力されたDRC信号の送信パワは、パイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワよりも2dB低い送信パワに制御される。
送信パワ制御後のDRC信号は、多重部210においてパイロット信号と多重され、送信RF部211にて無線周波数に周波数変換され、共用器212を介してアンテナ213から基地局に無線送信される。
通信端末から無線送信された信号は、基地局のアンテナ111に受信され、共用器110を介して受信RF部112に入力される。受信RF部112に入力された信号は、ベースバンドに周波数変換され、逆拡散部113にてDRC信号を拡散している拡散コードで逆拡散され、復調部114および受信パワ算出部115に出力される。
復調部114では、逆拡散部113からの出力信号が復調されてDRC信号が抽出され、割り当て部101に出力される。
ここで、通信端末では、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号は従来に比べ低い送信パワで送信されるため、基地局では下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号が誤って受信される確率が高くなる。また、誤って受信されたDRC信号に基づいて通信リソースの割り振りが行われると、上述したように、下り回線のスループットが低下する。
そこで、受信パワ算出部115では、逆拡散後のDRC信号の受信パワが測定され、不使用DRC検出部116に出力される。不使用DRC検出部116には、下り回線の回線品質が最も悪いことを示すDRC信号(図4では、DRC番号1のDRC信号)に誤りが発生しない最低の受信パワがしきい値として予め設定されている。そして、不使用DRC検出部116では、このしきい値よりも小さい受信パワのDRC信号が検出されて、検出結果が割り当て部101に出力される。不使用DRC検出部116で検出されたDRC信号は、割り当て部101が通信リソースの割り振りを決定する際に用いないDRC信号である。
割り当て部101では、復調部114で抽出されたDRC信号から不使用DRC検出部116で検出されたDRC信号が除外された残りのDRC信号に基づいて各通信端末への通信リソースの割り振りが決定される。
このように、本実施の形態に係る基地局では、下り回線の回線品質が最も悪いことを示すDRC信号が誤って受信されない最低の受信パワよりも低い受信パワのDRC信号を除外する。すなわち、本実施の形態に係る基地局では、誤りが発生しやすい通知信号を除外して下り回線の通信リソースの割り振りを決定する。このため、本実施の形態に係る基地局よれば、下り回線の回線品質が悪いことを示すDRC信号が従来に比べ低い送信パワで送信されても、誤ったDRC信号に基づいて通信リソースの割り振りが決定されることを防止することができる。
このように、本実施の形態によれば、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど送信パワを高くして送信するため、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど誤りにくくすることができ、基地局において選択される頻度の高いDRC信号の誤り発生率を低くすることができる。これにより、誤ったDRC信号に基づいて通信リソースの割り振りが決定される可能性を低くすることができるので、下り回線のスループットの低下を防止することができる。
なお、本実施の形態に係る基地局を図5に示すような構成としてもよい。図5は、本発明の実施の形態1に係る基地局の別の構成を示すブロック図である。すなわち、図2に示した受信パワ算出部115および不使用DRC検出部116に代えて、尤度算出部301および不使用DRC検出部302を備えて基地局を構成するようにしてもよい。なお、以下の説明では、図2と同じ構成には図2と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
図5において、尤度算出部301は、DRC信号の確からしさの度合いを示す尤度を算出し、不使用DRC検出部302に出力する。不使用DRC検出部302には、下り回線の回線品質が最も悪いことを示すDRC信号に誤りが発生しない最低の尤度がしきい値として予め設定されている。そして、不使用DRC検出部302では、このしきい値よりも小さい尤度のDRC信号が検出されて、検出結果が割り当て部101に出力される。
このように本実施の形態に係る基地局を図5に示すような構成とした場合にも、上記同様の効果を呈する。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る通信端末は、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど、他のDRC信号の符号語に対する最小符号間距離が大きい符号語に変換して送信するものである。
図6は、本発明の実施の形態2に係る通信端末の構成を示すブロック図である。この図に示すように本実施の形態に係る通信端末は、図3に示す変調部203、拡散部204、DRCパワ制御部205および送信パワテーブル206に代えて、符号語選択部401、符号語テーブル402、変調部403および拡散部404を備えて構成される。なお、以下の説明では、図3と同じ構成には図3と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
符号語選択部401は、符号語テーブル402を参照して、DRC信号作成部202で作成されたDRC信号を、所定の符号語に変換して、変調部403に出力する。変調部403は、符号語を変調して拡散部404に出力する。拡散部404は、変調部403からの出力信号を拡散して多重部210に出力する。
次に、本実施の形態に係る通信端末の動作について説明する。
まず、符号語テーブル402の設定内容について説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る通信端末が備える符号語テーブルの内容を示す図である。
符号語テーブル402には、DRC番号とDRC信号変換後の符号語との対応関係が示されており、DRC番号が大きくなるほど、最小符号間距離が大きい符号語に変換されるように設定されている。なお、ここでは、DRC番号には1〜5が使用されており、番号が大きいほど下り回線の回線品質が良いことを示すものとする。つまり、符号語テーブル402には、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど、最小符号間距離が大きい符号語に変換されるように設定されている。
ここで、符号間距離とは、各符号語間において相違するビット数であり、最小符号間距離とは、ある符号語が他のすべての符号語に対して相違する最低のビット数である。具体的には、DRC番号5のDRC信号に対応する符号語は'111111111'であり、この符号語'111111111'は、DRC番号1〜4のDRC信号に対応する符号語のいずれと比較した場合にも、最低でも6ビット相違する。よって、DRC番号5のDRC信号に対応する符号語の最小符号間距離は6である。同様に、DRC番号4のDRC信号に対応する符号語の最小符号間距離は3である。
よって、DRC番号5のDRC信号に対応する符号語は、DRC番号4のDRC信号に対応する符号語よりも、他の符号語に誤りにくくなる。つまり、最小符号間距離が大きい符号語ほど、他の符号語に誤りにくくなる。
符号語選択部401においては、DRC信号作成部202から出力されたDRC信号が符号語テーブル402に設定された符号語に変換されて、変調部403に出力される。具体的には、例えば、DRC信号作成部202から出力されたDRC信号が番号5のDRC信号である場合には、符号語'111111111'に変換される。
変換後の符号語は、変調部403において変調され、拡散部404において拡散される。拡散後の符号語は、多重部210においてパイロット信号と多重され、送信RF部211にて無線周波数に周波数変換され、共用器212を介してアンテナ213から基地局に無線送信される。
このように、本実施の形態によれば、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど、他のDRC信号の符号語に対する最小符号間距離が大きい符号語に変換して送信するため、下り回線の回線品質が良いことを示すDRC信号ほど誤りにくくすることができ、基地局において選択される頻度の高いDRC信号の誤り発生率を低くすることができる。これにより、誤ったDRC信号に基づいて通信リソースの割り振りが決定される可能性を低くすることができるので、下り回線のスループットの低下を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、DRC信号の送信パワを増加させることなく基地局において選択される頻度の高いDRC信号の誤り発生率を低くすることができるため、通信端末の消費電力を増加させることなく、誤ったDRC信号に基づいて通信リソースの割り振りが決定される可能性を低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、符号語の符号長を一定にしたまま各DRC信号に対応する符号語の誤りにくさを変えることができるため、基地局では、各符号長に応じて復調系統を複数備える必要がないので、基地局の装置構成を簡易にすることができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る基地局は、通信リソースの割り振りが決定される際に除外されるDRC信号の発生率に基づいてテーブル書き換えのための制御信号を通信端末へ送信し、本発明の実施の形態3に係る通信端末は、基地局から送信された制御信号に基づいて送信パワテーブルまたは符号語テーブルの内容を書き換えるものである。
図8は、本発明の実施の形態3に係る基地局の構成を示すブロック図である。この図に示すように本実施の形態に係る基地局は、図2に示す構成に、さらに検出率算出部501、制御信号作成部502、変調部503および拡散部504を備えて構成される。なお、以下の説明では、図2と同じ構成には図2と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
図8において、検出率算出部501は、不使用DRC検出部116での検出率を算出し、制御信号作成部502に出力する。すなわち、検出率算出部501は、通信リソースの割り振りが決定される際に除外されるDRC信号の発生率を算出する。制御信号作成部502は、検出率に基づいてテーブル書き換えのための制御信号(以下「テーブル書き換え信号」という。)を作成し変調部503へ出力する。変調部503は、テーブル書き換え信号を変調し、拡散部504へ出力する。拡散部504は、変調部503からの出力信号を拡散して多重部108に出力する。
図9は、本発明の実施の形態3に係る通信端末の構成を示すブロック図である。この図に示すように本実施の形態に係る通信端末は、図3に示す構成に、さらに逆拡散部601、復調部602およびテーブル書き換え部603を備えて構成される。なお、以下の説明では、図3と同じ構成には図3と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
図9において、逆拡散部601は、ベースバンド信号を、テーブル書き換え信号を拡散している拡散コードで逆拡散して復調部602に出力する。復調部602は、逆拡散部601からの出力信号を復調してテーブル書き換え信号を抽出して、テーブル書き換え部603へ出力する。テーブル書き換え部603は、テーブル書き換え信号に従って送信パワテーブルの内容を書き換える。
次に、上記図8に示した基地局と上記図9に示した通信端末との間における信号の送受の手順について説明する。
まず、基地局の検出率算出部501において、不使用DRC検出部116での検出率が算出されて、制御信号作成部502へ出力される。検出率は、例えば、所定の時間における検出回数から算出することができる。
制御信号作成部502は、検出率の所定のしきい値が設定されており、このしきい値と検出率算出部501で算出された検出率とが比較される。そして、検出率算出部501で算出された検出率がしきい値以上となる場合には、送信パワテーブル206に設定されている送信パワをすべて増加させるように指示するテーブル書き換え信号が作成され、変調部503に出力される。つまり、制御信号作成部502では、通信リソースの割り振りが決定される際に除外されるDRC信号の発生率が所定のしきい値以上となる場合には、各DRC信号の送信パワを現在よりも一律に増加させるように指示するテーブル書き換え信号が作成される。
テーブル書き換え信号は、変調部503にて変調され、拡散部504にて拡散され、多重部108に出力される。拡散後のテーブル書き換え信号は、多重部108にて送信データおよびパイロット信号と多重され、送信RF部109にて無線周波数に周波数変換され、共用器110を介してアンテナ111から各通信端末に無線送信される。
基地局から無線送信された無線信号は、通信端末のアンテナ213に受信され、共用器212を介し、受信RF部214にてベースバンドに周波数変換される。ベースバンド信号は、逆拡散部601にて逆拡散され、復調部602にて復調されてテーブル書き換え信号が抽出される。抽出されたテーブル書き換え信号は、テーブル書き換え部603へ出力される。
そしてテーブル書き換え部603によって、テーブル書き換え信号に従って送信パワテーブル206の内容が書き換えられる。つまり、テーブル書き換え部603は、送信パワテーブル206に設定されている送信パワをすべて増加させる。
なお、上記説明では、テーブル書き換え部603が送信パワテーブル206の内容を書き換える構成としたが、本実施の形態を実施の形態2に係る通信端末に適用し、テーブル書き換え部603が図6に示す符号語テーブル402の内容を書き換える構成としてもよい。
この場合、本実施の形態に係る基地局の制御信号作成部502は、検出率算出部501で算出された検出率がしきい値以上となる場合には、符号語テーブル402に設定されている符号語の最小符号間距離をすべて大きくするように指示するテーブル書き換え信号を作成する。つまり、制御信号作成部502は、通信リソースの割り振りが決定される際に除外されるDRC信号の発生率が所定のしきい値以上となる場合には、各DRC信号に対応する符号語の最小符号間距離を現在よりも一律に大きくするように指示するテーブル書き換え信号を作成する。そして、通信端末のテーブル書き換え部603は、テーブル書き換え信号に従って符号語テーブル402の内容を書き換える。つまり、テーブル書き換え部603は、符号語テーブル402に設定されている符号語を、現在よりも最小符号間距離をすべて大きくした符号語に書き換える。
このように本実施の形態では、通信リソースの割り振りが決定される際に除外されるDRC信号の発生率に基づいて送信パワテーブルまたは符号語テーブルの内容を書き換える。換言すれば、本実施の形態では、通信環境の変動に対応して適応的に送信パワテーブルまたは符号語テーブルの内容を書き換える。つまり、本実施の形態によれば、通信環境が悪化して通信リソースの割り振りが決定される際に除外されるDRC信号の発生率が所定のしきい値以上となった場合に、各DRC信号の送信パワを増加させ、または各DRC信号に対応する符号語の最小符号間距離を大きくするため、通信環境が悪化した場合にもDRC信号の誤り発生率を抑えることができる。
なお、本実施の形態では、検出率の所定のしきい値は、通信システムが適用される環境を考慮して適宜定められる。
また、本実施の形態では、制御信号作成部502にさらに2つ目の所定のしきい値を設定し、検出率算出部501で算出された検出率がこの2つ目のしきい値よりも小さくなる場合には、送信パワテーブル206に設定されている送信パワをすべて減少させるように指示するテーブル書き換え信号を作成するようにしてもよい。これにより、DRC信号の受信品質が過剰となる場合にはDRC信号の送信パワを下げることができるため、通信端末の消費電力を削減することができる。
また、本実施の形態では、不使用DRC検出部116での検出率に基づいてテーブルの書き換えを行ったが、移動局から送信されたDRC信号のうち通信リソースの割り振りの決定に用いられたDRC信号の分布に基づいて、その分布が最適な分布になるようにテーブルを書き換えるようにしてもよい。この場合には、図8に示す基地局は、検出率算出部に代えて使用DRC分布判定部を備えて構成され、使用DRC分布判定部は、復調部114から出力されるDRC信号と不使用DRC検出部116から出力される検出結果とから通信リソースの割り振りの決定に用いられたDRC信号の分布を判定し、その分布を示す信号を制御信号作成部502に出力する。また、制御信号作成部502は、使用DRC分布判定部から出力された分布を示す信号に基づいて、テーブル書き換え信号を作成する。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る通信端末は、下り回線の回線品質が良いことを示すCIR情報ほど送信パワを高くして送信するものである。また、本発明の実施の形態4に係る基地局は、所定のしきい値より受信パワが低いCIR情報を除外して、通信リソースの割り当てを行うものである。
上記実施の形態1では、通信端末が、CIRに基づいて通信モードを決定して、その決定した通信モードに対応するDRC信号を所定の送信パワで基地局に送信し、基地局が、DRC信号に基づいて各通信端末への通信リソースの割り振りを決定した。DRC信号は、下り回線の回線品質を示す他の情報(例えば、下り回線のCIR)に比べ非常に少ないビット数で表すことができるため、DRC信号を用いることにより、上り回線の回線使用効率を高めることができるという長所がある。一方、通信端末は、通信モードを決定してDRC信号を作成する必要があり、また、通信モード決定用のテーブルやDRC信号作成用のテーブル等を備える必要があるため、通信端末の消費電力が増大し、装置規模が大きくなってしまうという短所がある。
そこで、本実施の形態では、通信端末が、CIR情報を所定の送信パワで基地局に送信し、基地局が、CIR情報に基づいて通信モードを決定した後、各通信端末への通信リソースの割り振りを決定する。このようにすることにより、上り回線の回線使用効率が多少低くなってしまうという短所があるが、通信端末は、通信モードを決定してDRC信号を作成する必要がなくなり、また、通信モード決定用のテーブルやDRC信号作成用のテーブル等を備える必要がなくなるため、通信端末の消費電力を削減でき、装置規模を小さくすることができるという大きな長所がある。また、本実施の形態では、基地局において複数の端末のCIR情報を比較して正確な通信モードを確実に決定することができるため、本実施の形態は、各通信端末においてCIRから通信モードを単純に決定することができない場合等に、特に有効である。
以下、本実施の形態に係る基地局および本実施の形態に係る通信端末について説明する。図10は、本発明の実施の形態4に係る基地局の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、図2と同じ構成には図2と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
図10において、復調部701は、逆拡散部113からの出力信号を復調してCIR情報を含む信号(以下、「CIR信号」という。)を抽出し、割り当て部704に出力する。
受信パワ算出部702は、逆拡散後のCIR信号の受信パワを測定し、不使用CIR検出部703に出力する。不使用CIR検出部703には、実施の形態1と同様に所定のしきい値が設定されており、このしきい値よりも低い受信パワのCIR信号を検出し、検出結果を割り当て部704に出力する。
なお、逆拡散部113、復調部701、受信パワ算出部702および不使用CIR検出部703は、通信端末ごとに設けられており、それぞれの復調部701から通信端末ごとのCIR信号が出力され、それぞれの不使用CIR検出部703から通信端末ごとの検出結果が出力される。
割り当て部704は、復調部701で抽出されたCIR信号から不使用CIR検出部703で検出されたCIR信号を除外したCIR信号が示すCIR情報に基づいて各通信端末への通信リソースの割り振りを決定する。そして、割り当て部704は、決定した通信リソースの割り振りに基づいて、バッファ102に下り送信データの出力を指示し、CIR情報を通信モード決定部705に出力する。
通信モード決定部705は、割り当て部704から出力されたCIR情報に基づいて、変調方式と符号化方式の組み合わせを示す通信モードを決定して、その通信モードを示す信号を変調部706に出力する。また、通信モード決定部705は、決定した通信モードに基づいて、適応符号化部103に下り送信データの符号化方式を指示し、適応変調部104に下り送信データの変調方式を指示する。変調部706は、通信モードを示す信号を変調し、拡散部707に出力する。拡散部707は、変調部706からの出力信号を拡散して多重部108に出力する。
図11は、本発明の実施の形態4に係る通信端末の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、図3と同じ構成には図3と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
図11において、CIR情報作成部801は、CIR測定部219で測定されたCIRを示すCIR信号を作成して、変調部802およびCIR情報パワ制御部804に出力する。変調部802は、CIR信号を変調して拡散部803に出力する。拡散部803は、変調部802からの出力信号を拡散してCIR情報パワ制御部804に出力する。CIR情報パワ制御部804は、CIRの大きさと送信パワとの対応関係が示されている送信パワテーブル805を参照して、パイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワに基づいてCIR信号の送信パワを制御し、送信パワ制御後のCIR信号を多重部210に出力する。
逆拡散部807は、ベースバンド信号を、通信モードを示す信号を拡散している拡散コードで逆拡散して、逆拡散後の信号を通信モード検出部808に出力する。通信モード検出部808は、逆拡散部807からの出力信号を復調して、通信モードを検出する。そして、通信モード検出部808は、検出した通信モードに基づいて、適応復調部216に下り受信データの復調方式を指示し、適応復号化部217に下り受信データの復号化方式を指示する。
次に、上記図10に示した基地局と上記図11に示した通信端末との間における信号の送受の手順について説明する。
まず、図11に示す通信端末において、CIR測定部219では、逆拡散部218から出力されたパイロット信号のCIRが測定され、CIR情報作成部801にて、CIR信号が作成される。
CIR信号は、変調部802にて変調され、拡散部803にて拡散され、CIR情報パワ制御部804に出力される。送信パワテーブル805には、実施の形態1と同様に、CIRの大きさとCIR信号の送信パワとの対応関係が示されており、CIRが大きくなるほどCIR信号の送信パワが高くなるように設定されている。つまり、送信パワテーブル805には、実施の形態1と同様に、下り回線の回線品質が良いことを示すCIR信号ほど送信パワが高くなるように設定されている。また、送信パワテーブル805に設定されるCIR信号の送信パワは、実施の形態1と同様に、パイロット信号の送信パワとの比によって表されている。
CIR情報パワ制御部804においては、パイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワが送信パワテーブル805に設定された比によって調節されることにより、CIR信号の送信パワが求められる。そして、CIR情報パワ制御部804においては、拡散部803から出力されたCIR信号の送信パワがこの求められた送信パワに制御され、送信パワ制御後のCIR信号が多重部210に出力される。
送信パワ制御後のCIR信号は、多重部210においてパイロット信号と多重され、送信RF部211にて無線周波数に周波数変換され、共用器212を介してアンテナ213から基地局に無線送信される。
図10に示す基地局では、復調部701にて、逆拡散部113からの出力信号が復調されてCIR信号が抽出され、割り当て部704に出力される。受信パワ算出部702では、逆拡散後のCIR信号の受信パワが測定され、不使用CIR検出部703に出力される。不使用CIR検出部703には、実施の形態1と同様に、下り回線の回線品質が最も悪いことを示すCIR信号に誤りが発生しない最低の受信パワがしきい値として予め設定されている。そして、不使用CIR検出部703では、このしきい値よりも小さい受信パワのCIR信号が検出されて、検出結果が割り当て部704に出力される。不使用CIR検出部703で検出されたCIR信号は、割り当て部704が通信リソースの割り振りを決定する際に用いないCIR信号である。
割り当て部704では、復調部701で抽出されたCIR信号から不使用CIR検出部703で検出されたCIR信号が除外された残りのCIR信号が示すCIRに基づいて各通信端末への通信リソースの割り振りが決定され、CIR情報が通信モード決定部705に出力される。
通信モード決定部705では、割り当て部704から出力されたCIR情報に基づいて、通信モードが決定され、その通信モードを示す信号が変調部706に出力される。通信モードを示す信号は、変調部706にて変調され、拡散部707にて拡散され、多重部108にて送信データおよびパイロット信号と多重され、送信RF部109にて無線周波数に周波数変換され、共用器110を介してアンテナ111から通信端末に無線送信される。
図11に示す通信端末では、逆拡散部807にて、ベースバンド信号が逆拡散され、逆拡散後の信号が通信モード検出部808に出力される。通信モード検出部808では、逆拡散部807からの出力信号が復調されて通信モードが検出され、検出された通信モードに基づいて、適応復調部216に下り受信データの復調方式が指示され、適応復号化部217に下り受信データの復号化方式が指示される。
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、下り回線の回線品質が良いことを示すCIR信号ほど送信パワを高くして送信するため、基地局において使用される頻度の高いCIR情報の誤り発生率を低くすることができる。これにより、誤ったCIR情報に基づいて通信リソースの割り振りが決定される可能性を低くすることができるので、下り回線のスループットの低下を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、下り回線の回線品質が最も悪いことを示すCIR信号が誤って受信されない最低の受信パワよりも低い受信パワのCIR信号を除外するため、下り回線の回線品質が悪いことを示すCIR信号が従来に比べ低い送信パワで送信されても、誤ったCIR情報に基づいて通信リソースの割り振りが決定されることを防止することができる。
なお、本実施の形態に係る基地局を図12に示すような構成としてもよい。図12は、本発明の実施の形態4に係る基地局の別の構成を示すブロック図である。すなわち、図10に示した受信パワ算出部702および不使用CIR検出部703に代えて、尤度算出部901および不使用CIR検出部902を備えて基地局を構成するようにしてもよい。なお、以下の説明では、図10と同じ構成には図10と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12において、尤度算出部901は、CIR信号の確からしさの度合いを示す尤度を算出し、不使用CIR検出部902に出力する。不使用CIR検出部902には、下り回線の回線品質が最も悪いことを示すCIR信号に誤りが発生しない最低の尤度がしきい値として予め設定されている。そして、不使用CIR検出部902では、このしきい値よりも小さい尤度のCIR信号が検出されて、検出結果が割り当て部704に出力される。
このように本実施の形態に係る基地局を図12に示すような構成とした場合にも、上記同様の効果を呈する。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る通信端末は、下り回線の回線品質が良いことを示すCIR信号ほど、他のCIR信号の符号語に対する最小符号間距離が大きい符号語に変換して送信するものである。
図13は、本発明の実施の形態5に係る通信端末の構成を示すブロック図である。この図に示すように本実施の形態に係る通信端末は、図11に示す変調部802、拡散部803、CIR情報パワ制御部804および送信パワテーブル805に代えて、符号語選択部1001、符号語テーブル1002、変調部1003および拡散部1004を備えて構成される。なお、以下の説明では、図11と同じ構成には図11と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
符号語選択部1001は、符号語テーブル1002を参照して、CIR情報作成部801で作成されたCIR信号を、所定の符号語に変換して、変調部1003に出力する。変調部1003は、符号語を変調して拡散部1004に出力する。拡散部1004は、変調部1003からの出力信号を拡散して多重部210に出力する。
次に、本実施の形態に係る通信端末の動作について説明する。
符号語テーブル1002には、上記実施の形態2と同様に、CIRの大きさとCIR信号変換後の符号語との対応関係が示されており、CIRの大きさが大きくなるほど、最小符号間距離が大きい符号語にCIR信号が変換されるように設定されている。つまり、符号語テーブル1002には、下り回線の回線品質が良いことを示すCIR信号ほど、最小符号間距離が大きい符号語に変換されるように設定されている。
符号語選択部1001においては、CIR情報作成部801から出力されたCIR信号が符号語テーブル1002に設定された符号語に変換されて、変調部1003に出力される。変換後の符号語は、変調部1003において変調され、拡散部1004において拡散される。拡散後の符号語は、多重部210においてパイロット信号と多重され、送信RF部211にて無線周波数に周波数変換され、共用器212を介してアンテナ213から基地局に無線送信される。
このように、本実施の形態によれば、実施の形態2と同様に、下り回線の回線品質が良いことを示すCIR信号ほど、他のCIR信号の符号語に対する最小符号間距離が大きい符号語に変換して送信するため、基地局において使用される頻度の高いCIR情報の誤り発生率を低くすることができる。これにより、誤ったCIR情報に基づいて通信リソースの割り振りが決定される可能性を低くすることができるので、下り回線のスループットの低下を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、実施の形態2と同様に、CIR信号の送信パワを増加させることなく基地局において使用される頻度の高いCIR情報の誤り発生率を低くすることができるため、通信端末の消費電力を増加させることなく、誤ったCIR情報に基づいて通信リソースの割り振りが決定される可能性を低くすることができる。
また、本実施の形態によれば、実施の形態2と同様に、符号語の符号長を一定にしたまま各CIR信号に対応する符号語の誤りにくさを変えることができるため、基地局では、各符号長に応じて復調系統を複数備える必要がないので、基地局の装置構成を簡易にすることができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6〜8に係る通信端末は、CIR情報のうち変化量が大きい情報ほど伝播路において誤りにくくして送信するものである。換言すれば、本発明の実施の形態6〜8に係る通信端末は、CIR情報のうち大まかな値を示す情報ほど伝搬路において誤りにくくして送信するものである。
ここで、「変化量が大きい情報」および「大まかな値を示す情報」とは、具体的には例えば、CIR値が少数値(例えば、8.7dB)で示される場合には、整数部分(すなわち、ここでは'8')のことである。この場合、整数部分の1単位あたりの変化量は1dBであり、少数部分の1単位あたりの変化量は0.1dBであるため、整数部分が「変化量が大きい情報」となる。したがって、基地局では、整数部分を誤って受信すると、少数部分を誤って受信した場合に比べて、誤りの度合いが大きくなってしまい、誤った通信モードが決定されてしまう可能性が高くなる。すなわち、下り回線のスループットが低下する可能性が高くなってしまう。
また、CIR情報は、通常、限られたビット数の符号語に変換されて基地局に送信される。また、CIR情報の送信に使用できる送信パワや拡散コードの拡散率にも制限がある。よって、CIR情報全体を誤りにくくすることは限界があり、難しい。
そこで、本発明の実施の形態6〜8では、CIR情報の送信についての上記制限内で、CIR情報のうち「変化量が大きい情報」(すなわち、「大まかな値を示す情報」)だけでも正確に受信されるように、上記制限内で「変化量が大きい情報」ほど伝播路において誤りにくくして送信する。
以下、本発明の実施の形態6に係る通信端末について説明する。本発明の実施の形態6に係る通信端末は、CIR値のうち上位の桁の値ほど符号長が長い符号語に変換して送信するものである。
図14は、本発明の実施の形態6に係る通信端末の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、図11と同じ構成には図11と同じ符号を付して、その詳しい説明は省略する。
図14において、CIR信号作成部1101は、CIR測定部219で測定されたCIR値を符号語に変換してCIR信号を作成し、作成したCIR信号を多重部210に出力する。この際、CIR信号作成部1101は、CIR値のうち上位の桁の値ほど符号長が長い符号語に変換してCIR信号を作成する。
次いで、CIR信号作成部1101の構成について説明する。図15は、本発明の実施の形態6に係る通信端末のCIR信号作成部の構成を示すブロック図である。
図15において、上位桁情報生成部1201は、CIR測定部219から出力されたCIR値のうち上位の桁の値を6ビット符号化部1203に出力する。下位桁情報生成部1202は、CIR測定部219から出力されたCIR値のうち下位の桁の値を4ビット符号化部1204に出力する。具体的には、例えばCIR測定部219から出力されたCIR値が8.7dBであった場合には、上位桁情報生成部1201は、'8'という整数部分の値を6ビット符号化部1203に出力し、下位桁情報生成部1202は、'7'という少数部分の値を4ビット符号化部1204に出力する。
6ビット符号化部1203は、上位桁情報生成部1201から出力された値(ここでは、'8')を6ビットの符号語に変換して、6ビットの符号語を時間多重部1205に出力する。4ビット符号化部1204は、下位桁情報生成部1202から出力された値(ここでは、'7')を4ビットの符号語に変換して、4ビットの符号語を時間多重部1205に出力する。なお、ここでは、CIR値を示すのに使用できるビット数は10ビットであるものとする。
時間多重部1205は、1スロットの前半部分に6ビットの符号語を格納し、それに続く後半部分に4ビットの符号語を格納することにより、CIR値の整数部分の符号語(すなわち、上位の桁の値に対応する符号語)とCIR値の少数部分の符号語(すなわち、下位の桁の値に対応する符号語)とを時間多重する。そして、時間多重部1205は、時間多重した10ビットの符号語をCIR信号として変調部1206に出力する。なお、ここでは、10ビットで1スロットが構成され、前半6ビットでCIR値の整数部分を表し、後半4ビットでCIR値の少数部分を表すものとする。
変調部1206は、CIR信号を変調して拡散部1207に出力する。拡散部1207は、変調部1206からの出力信号を拡散して多重部210に出力する。
次いで、上記構成を有する通信端末の動作について説明する。
6ビット符号化部1203では、CIR値のうち上位の桁の値(ここでは、'8')が6ビットの符号語に変換される。一方、4ビット符号化部1204では、CIR値のうち下位の桁の値(ここでは、'7')が4ビットの符号語に変換される。
6ビットで表される符号語の種類は26個であり、4ビットで表される符号語の種類は24個であるため、6ビットで表される符号語の方が各符号語間における最小符号間距離を大きくとることができる。よって、6ビットで表される符号語の方が、4ビットで表される符号語に比べて、他の符号語に誤りにくくなる。つまり、本実施の形態では、CIR値のうち上位の桁の値の方が誤りにくくなる。
このように、本実施の形態に係る通信端末は、CIR値を示すのに使用できる10ビットという制限内で、CIR値のうち上位の桁の値ほど符号長が長い符号語に変換することにより、変化量が大きい上位の桁の値ほど誤りにくくして送信することができる。これにより、伝播路においてたとえCIR信号に誤りが発生したとしても、基地局では、CIR値のうち上位の桁の値ほど正確に受信できる確率が高くなり、CIR値の誤りの度合いを小さく抑えることができる。よって、基地局では、誤った通信モードが決定される可能性を低くすることができる。
なお、本実施の形態においては、上位の桁の値が6ビットの符号語に変換され下位の桁の値が4ビットの符号語に変換されるとして説明した。しかし、上位の桁の値に対応する符合語のビット数が下位の桁の値に対応する符合語のビット数よりも多ければ、これらのビット数に特に制限されない。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る通信端末は、CIR値のうち上位の桁の値ほど送信パワを高くして送信するものである。
本実施の形態に係る通信端末は、実施の形態6に係る通信端末と、CIR信号作成部1101の内部構成のみが相違するため、以下の説明では、CIR信号作成部1101についてのみ説明する。
図16は、本発明の実施の形態7に係る通信端末のCIR信号作成部の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、図15と同じ構成には図15と同じ符号を付して、その詳しい説明は省略する。
図16に示すCIR信号作成部1101は、CIR測定部219で測定されたCIR値を符号語に変換した後、上位の桁の値ほど送信パワを高くしてCIR信号を作成する。
図16において、5ビット符号化部1301は、上位桁情報生成部1201から出力された値を5ビットの符号語に変換して、5ビットの符号語を変調部1303に出力する。また、5ビット符号化部1302は、下位桁情報生成部1202から出力された値を5ビットの符号語に変換して、5ビットの符号語を変調部1304に出力する。このように、本実施の形態では、上位の桁の値も下位の桁の値も共に5ビットの符号語に変換されるため、符号語の点からは、両者間において誤りにくさに差はない。
変調部1303は、5ビット符号化部1301から出力された符号語を変調して、上位桁拡散部1305に出力する。また、変調部1304は、5ビット符号化部1302から出力された符号語を変調して、下位桁拡散部1306に出力する。
上位桁拡散部1305は、変調部1303からの出力信号を拡散して、上位桁パワ制御部1307に出力する。また、下位桁拡散部1306は、変調部1304からの出力信号を拡散して、下位桁パワ制御部1308に出力する。この際、上位桁拡散部1305と下位桁拡散部1306とは、拡散率が同じで違う種類の拡散コードを使用してそれぞれ拡散処理を行う。つまり、CIR値の上位の桁の値と下位の桁の値とは、拡散率が同じで違う種類の拡散コードで拡散される。
上位桁パワ制御部1307は、パイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワに基づいて、CIR値の上位の桁の値を示す信号の送信パワを制御し、送信パワ制御後の信号をコード多重部1309に出力する。また、下位桁パワ制御部1308は、パイロットパワ制御部209から出力されたパイロット信号の送信パワに基づいて、CIR値の下位の桁の値を示す信号の送信パワを制御し、送信パワ制御後の信号をコード多重部1309に出力する。なお、送信パワの具体的な制御方法は後述する。
コード多重部1309は、CIR値の上位の桁の値を示す信号と下位の桁の値を示す信号とを同一時間帯で多重する。つまり、コード多重部1309は、上位の桁の値を示す信号と下位の桁の値を示す信号とをコード多重する。
次いで、上記構成を有する通信端末の動作について説明する。
上位桁パワ制御部1307では、CIR値の上位の桁の値を示す信号が、パイロット信号の送信パワよりも所定の値だけ高い送信パワに制御される。また、下位桁パワ制御部1308では、CIR値の下位の桁の値を示す信号が、パイロット信号の送信パワよりも所定の値だけ低い送信パワに制御される。つまり、CIR値のうち上位の桁の値ほど送信パワが高くなる。
このように、本実施の形態に係る通信端末は、CIR値のうち上位の桁の値ほど送信パワを高くして送信することにより、変化量が大きい上位の桁の値ほど誤りにくくして送信することができる。これにより、伝播路においてたとえCIR信号に誤りが発生したとしても、基地局では、CIR値のうち上位の桁の値ほど正確に受信できる確率が高くなり、CIR値の誤りの度合いを小さく抑えることができる。よって、基地局では、誤った通信モードが決定される可能性を低くすることができる。
また、本実施の形態では、従来のCIR信号の送信パワ(つまり、ここでのパイロット信号の送信パワ)に比べ、上位の桁の値については送信パワを高くし、下位の桁の値については上位の桁の値について高くした分だけ送信パワを低くして、送信パワの増減値の合計を±0dBとすることにより、CIR信号全体の送信パワを従来のCIR信号の送信パワと同一に保つようにした。よって、本実施の形態によれば、CIR信号の送信パワを従来と同一に保ったまま、上位の桁の値ほど誤りにくくして送信することができる。つまり、上り回線のキャパシティを従来に比べ減少させることなく、上位の桁の値ほど誤りにくくして送信することができる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係る通信端末は、CIR値のうち上位の桁の値ほど拡散率の高い拡散コードで拡散して送信するものである。
本実施の形態に係る通信端末は、実施の形態6および7に係る通信端末と、CIR信号作成部1101の内部構成のみが相違するため、以下の説明では、CIR信号作成部1101についてのみ説明する。
図17は、本発明の実施の形態8に係る通信端末のCIR信号作成部の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、図15または図16と同じ構成には図15または図16と同じ符号を付して、その詳しい説明は省略する。
図17に示すCIR信号作成部1101は、CIR測定部219で測定されたCIR値を符号語に変換した後、上位の桁の値ほど拡散率の高い拡散コードで拡散してCIR信号を作成する。
図17において、上位桁拡散部1401は、変調部1303からの出力信号を拡散して、時間多重部1205に出力する。また、下位桁拡散部1402は、変調部1304からの出力信号を拡散して、時間多重部1205に出力する。この際、上位桁拡散部1401は、下位桁拡散部1402で使用されるのと同じ種類で、かつ下位桁拡散部1402での拡散率よりも高い拡散率の拡散コードで拡散処理を行う。つまり、CIR値の上位の桁の値は、下位の桁の値よりも高い拡散率で拡散される。これにより、上位の桁の値ほど伝搬路において誤りにくくなる。
このように、本実施の形態に係る通信端末は、CIR値のうち上位の桁の値ほど拡散率を高くして送信することにより、変化量が大きい上位の桁の値ほど誤りにくくして送信することができる。これにより、伝播路においてたとえCIR信号に誤りが発生したとしても、基地局では、CIR値のうち上位の桁の値ほど正確に受信できる確率が高くなり、CIR値の誤りの度合いを小さく抑えることができる。よって、基地局では、誤った通信モードが決定される可能性を低くすることができる。
また、本実施の形態では、従来のCIR信号の拡散率に比べ、上位の桁の値については拡散率を高くし、下位の桁の値については上位の桁の値について高くした分だけ拡散率を低くする。このようにして、1スロットで送れるデータ量を従来のCIR信号と同等に保つようにした。よって、本実施の形態によれば、1スロットで送れるデータ量を減少させることなく、上位の桁の値ほど誤りにくくして送信することができる。
なお、上記実施の形態1に係る通信端末と上記実施の形態2に係る通信端末とを組み合わせて実施することも可能である。また、上記実施の形態4に係る通信端末と上記実施の形態5に係る通信端末とを組み合わせて実施することも可能である。また、上記実施の形態6〜8に係る通信端末をそれぞれ組み合わせて実施することも可能である。また、上記実施の形態4に係る通信端末が備える送信パワテーブルおよび上記実施の形態5に係る通信端末が備える符号語テーブルを、上記実施の形態3と同様にして、基地局からの制御信号に基づいて適宜書き換えることも可能である。
また、上記実施の形態1〜8では、パイロット信号が時間多重される場合について説明したが、上記実施の形態1〜8はこれに限られるものではなく、パイロット信号がコード多重される場合にも適用可能なものである。
また、上記実施の形態1〜8では、パイロット信号の受信品質を示す値としてCIRを用いたが、これに限られるものではなく、受信品質を示せる値であればいかなる値を用いても構わない。
また、上記実施の形態1〜5では、不使用DRC検出部および不使用CIR検出部に設定される所定のしきい値を固定値としたが、DRC信号の誤り率やCIR信号の誤り率に応じてしきい値を適応的に変化させる構成としてもよい。
また、上記実施の形態6〜8では、各符号語を多重する際には、時間多重およびコード多重のどちらを用いて多重してもよい。
また、上記実施の形態6〜8では、整数部分1桁、少数部分1桁で表されるCIR値を一例に挙げて説明した。しかし、これに限られるものではなく、上記実施の形態6〜8は、複数の桁で表されるCIR値についてすべて実施可能なものである。
また、上記実施の形態6〜8では、CIR値の上位の桁の値を「変化量が大きい情報」として説明した。しかし、「変化量が大きい情報」は、必ずしも桁の大きさと対応するものではない。例えば、まず2dBずつ変化する値で0dB,2dB,4dB,6dB…と大まかな値を示し、その大まかな値に対し1dBの増加の有無を示す情報を付加してCIR値を整数で表す方法を採る場合には、2dBずつ変化する値が「変化量が大きい情報」となる。この方法では、例えば7dBのCIR値を表す場合には、6dBを示す情報と1dBの増加が有ることを示す情報との2つの情報が含まれたCIR信号が基地局に送信される。この際通信端末装置は、上記実施の形態6〜8と同様にして、6dBを示す情報を1dBの増加が有ることを示す情報よりも誤りにくくして送信する。