以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のインクカートリッジ14が装着される多機能装置1の外観を示した斜視図である。
多機能装置1は、下部にプリンタ部11が設けられ、そのプリンタ部11の上部にスキャナ部12が設けられている。多機能装置1は、プリンタ部11とスキャナ部12とが一体的に設けられたMFD(Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能およびファクシミリ機能等の各種機能を有している。
多機能装置1は、主にコンピュータ(外部PC、図示せず)に接続されて、このコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、被記録媒体たる記録用紙に画像や文書を記録するものである。また、多機能装置1は、デジタルカメラ等(図示せず)の外部機器と接続されて、このデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録することができる。また、多機能装置1は、受話器2を使用することにより相手側装置と通話可能であると共に、相手側装置に対して画像データを送信することができる。さらに、多機能装置1は、後述されるスロット部23を備えており、このスロット部23にメモリカード等の各種記憶媒体を装填することで、その記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することもできる。
多機能装置1は、プリンタ部11がインクジェット記録装置として構成されており、インク滴を吐出する記録ヘッド(図示せず)に供給されるインクを予め貯留しておくリフィルユニット13が、多機能装置1の前面底部に備えられている。なお、リフィルユニット13は、コンパクトに設計され且つインクカートリッジ14の交換が容易に行えるよう構成されているが、その詳細な説明については後述する。
スキャナ部12は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置部15と、その原稿載置部15の上部(図1上方)に設けられた原稿カバー16とを備えている。原稿カバー16は、自動原稿搬送機構(ADF:AutoDocumentFeeder、以下「ADF」という。)17を備えており、原稿載置部15の背面側(図1奧側)に蝶番を介して開閉自在に取り付けられている。このため、原稿カバー16は、原稿載置部15に対して矢印A方向に回動することによって開閉される。本実施例では、原稿載置部15は、多機能装置1の筐体の一部を構成し、原稿カバー16は、多機能装置1の上面の一部を構成している。
原稿載置部15は、原稿カバー16との間にコンタクトガラス板(図示せず)を備えており、画像読取ユニット(図示せず)を内部に備えている。原稿は、原稿カバー16とコンタクトガラス板との間に配置され、画像読取ユニットは、コンタクトガラス板の下方をコンタクトガラス板に沿って移動することにより、原稿から画像を読み取る。
原稿カバー16は、ADF17を備えており、このADF17は、原稿トレイ18から排紙トレイ19へ所定枚数までの原稿を連続搬送可能に構成されている。なお、ADF17は既知の構造を有するものであるから、その詳細な説明は省略する。また、本実施例において、ADF17を備えない構成としても良い。この構成では、ユーザーによって原稿カバー16が開かれて、コンタクトガラス板上に原稿がセットされる。
プリンタ部11は、インクジェット記録ヘッド(図示せず)を有する画像記録部を備えており、インクジェット記録装置として構成されている。プリンタ部11は、多機能装置1の前方側(図1正面側)で且つ多機能装置1の底部側(図1下側)に、リフィルユニット13を備えている。即ち、リフィルユニット13は、多機能装置1の前面1a側で且つ底面1b側に内蔵されている。本実施例では、リフィルユニット13は、4つのインクカートリッジ14を収容保持できるよう構成されており、そのインクカートリッジ14には、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のインクがそれぞれ貯留される。インクカートリッジ14に貯留された各色のインクは、インクチューブ53(図5参照)を介して記録ヘッドへ供給される。
また、リフィルユニット13の前面(図1正面)には、前面1a端部(図1正面右側の端部)に形成された開口21を開閉する開閉蓋20が設けられている。開閉蓋20は、前方(図1正面方向)へ倒伏することによって開口21からリフィルユニット13を露出させる姿勢と、開口21を閉じてリフィルユニット13を収容する姿勢との間で回動自在に構成されている。
また、多機能装置1の前面1a中央には、開口22が形成されており、この開口22の内部に給紙トレイ(図示せず)が配置される(図1では給紙トレイが外された状態が図示されている)。なお、給紙トレイから送り出された記録用紙は、背面側に送られた後に上方へ送られ、最終的に正面側に搬送され、その記録用紙が搬送される間に記録用紙上に画像が記録される。その後、開口22の内部において給紙トレイ上部に設けられた排紙トレイ(図示せず)に排出される。
多機能装置1の正面側の上面(図1正面上部)には、操作パネル30が取り付けられている。この操作パネル30は、プリンタ部11やスキャナ部12の操作等をするための操作部であって、各種操作キー31〜34及び液晶表示部35等が設けられている。なお、操作パネル30上に配置された各種操作キー31〜34は、図示されていないフラットケーブルを介して、主たる制御を行う制御手段としての制御装置(又は制御基板、図示せず)に接続されている。制御装置は、各種操作キー31〜34からの指令を処理すると共に、上述した受話器2からの指令を処理し、多機能装置1の作動を制御する。なお、制御装置は、多機能装置1にパーソナルコンピュータ等が接続されている場合には、操作パネル30からの指示の他、このパーソナルコンピュータから送信される指示に基づいて多機能装置1の作動を制御する。
操作パネル30の下方(図1下方)には、各種小型メモリーカード等の記憶媒体を装着可能なスロット部23が備えられている。小型メモリーカードは画像データが記憶されており、その小型メモリカードから読み出された画像データ(又は画像データに関する情報)は液晶表示部35に表示される。そして、液晶表示部35に表示された任意の画像は、操作パネル30の操作により、記録用紙に記録可能に構成されている。
次に、図2〜図6を参照して、リフィルユニット13について説明する。図2は、リフィルユニット13の斜視図である。図3は、リフィルユニット13の扉41が開かれた状態の側面図である。図4は、図2のIV−IV線におけるリフィルユニット13の断面図であり、インクカートリッジ14が装着された状態が示されている。図5は、図2のV−V線におけるリフィルユニット13の断面図であり、インクカートリッジ14が装着された状態が示されている。図6は、リフィルユニット13の扉41の分解斜視図である。なお、図3及び図4は、ニードル形成部材48が取り外された状態が図示されている。
図2に示すように、リフィルユニット13は、インクカートリッジ14が挿脱されるケース40と、そのケース40に連結される扉41とを主に備えている。ケース40は、全体として略直方体に形成されており、図4に示すように、その内部にインクカートリッジ14を収容保持する収納室50(収納部)が区画形成されている。本実施例では、ケース40は、4つの収納室50を有し、各収納室50に4つのインクカートリッジ14が挿脱される。各収納室50の内壁面形状は、インクカートリッジ14の外形状に対応した空間を画定するよう形成されており、各インクカートリッジ14がケース40に装着されると、がたつくことなくケース40内に保持される。
図2に示すように、ケース40は、底板部42と、この底板部42の左右両側に立設された一対の側板部43(図2左奧側の側板部43は図示せず)と、各側板部43間に架け渡すように配置された天板部44とを備えており、さらに、各収納室50を区画するための隔壁部47(図4参照)を収納室50内部に備えている。この隔壁部47は、ケース40に収容されるインクカートリッジ14の数に応じてその配置数が決められると共に、インクカートリッジ14の幅方向の厚みに応じてその配置位置が決められている。図4に示すように、隔壁部47は、底板部42と天板部44との上下から立設するリブ状に形成されている。なお、隔壁部47は、各収納室50を完全に区画する必要はないので、少なくとも底板部42又は天板部44のいずれか一方から内側に突出し、隣り合う収納室50間を仕切る形状であれば、如何なる形状であっても良い。
また、図2に示すように、ケース40の背面側(図2右奧側)には、開口した切欠部40a(開口部)が形成されており、その切欠部40aにニードル形成部材48が嵌め込まれる。ニードル形成部材48には、ケース40の収納室50に収納されるインクカートリッジ14の数に応じて、インクカートリッジ14内のインクを抽出するニードル49(抽出部材)が形成されている。
図5に示すように、ニードル49は、ニードル形成部材48が切欠部40aに嵌め込まれた状態で、ケース40の開口45方向で且つ略水平方向(インクカートリッジの装着方向)に沿って延設されている。このニードル49は、インクカートリッジ14が収納室50内に装着されると、インクカートリッジ14のインク供給部120(図8参照)内に挿入され、インク供給機構500(図22参照)の供給バルブ620(図22参照)を押圧することで、インクの供給路を形成するものである。ニードル49は、ケース40の背面側(図5右側)において、上方に突出したインク抽出口52と連通しており、そのインク抽出口52にインクチューブ53が連結されている。インクチューブ53は、インクジェット記録ヘッド(図示せず)に連結されており、インクカートリッジ14内のインクをインクジェット記録ヘッドに供給することができる。
また、ニードル49の上方(図5上方)となるケース40の側壁には、インクカートリッジ14内に大気を導入する通路54が形成されている。インクカートリッジ14内のインクがニードル49を介して抽出されると、その抽出されたインクに対応した大気が通路54を通りインクカートリッジ14内に供給される。
さらに、通路54の上方には、インクカートリッジ14側(図5左側)に突出した突起55が形成されている。この突起55は、後述するケース嵌合溝214b2,224b2(図8参照)内に嵌合されるガイド突起である。さらに、インクカートリッジ14が上下逆に装着されようとした場合には、この突起55によりインクカートリッジ14の逆差しを防止することができる。このインクカートリッジ14の逆差し防止についての詳細な説明は、後述する。なお、インクカートリッジ14の内部構造についての詳細な説明も後述する。
また、ケース40の背面側においてニードル49と通路54との間には、インクカートリッジ14内のインクの液面高さ(インク残量)を検出するインク残量検出センサ57が設けられている。このインク残量検出センサ57は、発光部57aと受光部57bを有する透過型の光学式センサであり、収納室50内に収納されるインクカートリッジ14の数に対応して設けられている。また、インク残量検出センサ57は、インクカートリッジ14が収納室50内に収容された状態で、インクカートリッジ14の検出部140(図8参照)に対応した位置に設けられており、収納室50内に収納されたインクカートリッジ14の検出部140の両側を発光部57aと受光部57bとが挟み込むことができる位置に配置される。(図18(b)参照)インク残量検出センサ57は、制御装置に接続されており、この制御装置によって常に各インクカートリッジ14に貯留されているインクの残量が監視される。
天板部44には、リブ44aが立設されており、これにより、ケース40の剛性が向上する。さらに、天板部44には、スイングアーム機構44bが備えられている。スイングアーム機構44bは、天板部44との間に引張バネが取り付けられており、扉41方向(図2左手前側、図3〜図5左側)に常時弾性付勢されている。スイングアーム機構44bは、弾性付勢された状態で、ケース40(収納室50)内の突出した先端部が、例えばインクカートリッジ14の係止部217a,227a(図8参照)に係合するよう構成されている。よって、ケース40に装着されたインクカートリッジ14を確実に保持することができる。
ケース40の前面(インクカートリッジ14が装着される挿入口)には開口45が設けられている。この開口45は、各収納室50に対応してそれぞれ設けられている。即ち、各開口45にそれぞれ連続してケース40内に各収納室50が設けられており、4つのインクカートリッジ14は、開口45を通じて各収納室50に対してそれぞれ挿脱される。
扉41は、開口45を開閉するものであり、各開口45にそれぞれ設けられている。扉41は、図2の左奧から1,3,4番目の扉41のように、開口45を閉じる姿勢(閉塞姿勢)と、図2の左奧から2番目の扉41のように、開口45を開放する姿勢(開放姿勢)との間で姿勢変化されて、開口45の開閉を行うことができる。扉41が閉塞姿勢となったときは、収納室50内にインクカートリッジ14が確実に保持され、扉41が開放姿勢となったときは、収納室50に対してインクカートリッジ14を容易に挿脱可能である。
ここで、図6を参照して、扉41の構造について詳細に説明する。扉41は、扉本体60と、その扉本体60に設けられた押圧保持部材61と、扉41をケース40に対して固定(ロック)する扉ロック部材62(ロックバー)と、扉41が固定された状態を解除するロック解除レバー63とを備えている。扉本体60、押圧保持部材61、扉ロック部材62及びロック解除レバー63は、それぞれ樹脂により成形されている。
図6に示すように、扉本体60は、細長矩形の略板状に形成されている。扉本体60の外形形状は、ケース40の開口45の形状に対応して形成されている。扉本体60の下端部(図6下側端部)には、ケース40の前面下部に支持される回動軸部64が形成されている。具体的には、ケース40の底板部42の前端部に軸受部42aが形成されており(図2,3,4参照)、この軸受部42aに回動軸部64が回動自在に嵌め込まれている。これにより、扉本体60は、起立して開口45を閉じることができ、倒伏して開口45を開くことができる。
扉本体60の下端部には、扉本体60と一体的に形成される引出部材65が設けられている。この引出部材65は、略L字状に形成されており、延設部65aと屈曲部65bとを有している。延設部65aは、扉本体60の下端部(回動軸部64)に連続して設けられ、さらに屈曲部65bは、延設部65aに対して略90°の角度をなして連続して設けられている。
扉41が閉塞姿勢となったときは(図4の状態)、屈曲部65bの先端は、収納室50の載置面51(インクカートリッジ14の底面と当接する収納室50内の底面、図4参照)よりも上方に突出している。扉本体60は、回動軸部64を回転中心として回動し、これにより、L字状に形成された引出部材65も回動軸部64を中心にして回動する。扉41が開放姿勢に変化すると(図3の状態)、引出部材65の屈曲部65bが回動軸部64を中心に回動する。このとき、屈曲部65bが回動することによって、外壁面65cは、略垂直に起立した状態(図4の状態)から略水平な状態に変化する(図3の状態)。引出部材65の延設部65aの長さは所定の寸法に設定されており、このため、屈曲部65bが回動されると、外壁面65cは、ケース40の載置面51よりも若干上方で且つ、載置面51に対して略水平となる。
なお、外壁面65cは、扉41が開放姿勢となる状態では、インクカートリッジ14を収納室50内の載置面51上へ案内するガイド面としても機能する。よって、引出部材65は、インクカートリッジ14を収納室50から引き出すための部材として機能することに加えて、インクカートリッジ14を収納室50へ挿入する際の案内部材としても機能する。
本実施例では、各扉本体60に2つの引出部材65が設けられている。即ち、各引出部材65は、扉本体60の幅方向に対向配置され、インクカートリッジ14を幅方向に挟み込んで支持するよう構成されている。また、本実施例では、各引出部材65の間隔は、インクカートリッジ14の幅方向よりも小さく設定されている。
押圧保持部材61の両側面には、爪61aが側面から外方に突設されており、扉本体60には、爪61aが収納される爪収納部60aが設けられている。爪収納部60aは、扉本体60の長手方向(図6上下方向)に略直交する方向に延びる溝から構成されている。爪61aは、爪収納部60aにスライド自在に嵌め込まれるので、押圧保持部材61は、扉本体60の長手方向に対して直交する方向に進退可能に支持される。即ち、押圧保持部材61は、扉本体60の内面から隆起した突出姿勢(図3の状態)と、突出姿勢から扉本体60側へ退避した退避姿勢(図4の状態)との間で変位することができる。また、押圧保持部材61と扉本体60との間にコイルバネ66が介在されている。従って、押圧保持部材61は、常時突出姿勢となるように弾性付勢されている。
押圧保持部材61は、扉41が閉塞姿勢となった場合、インクカートリッジ14の側面と当接し、インクカートリッジ14により相対的に押圧されて退避姿勢側へ変位する(図4の状態)。よって、インクカートリッジ14は、押圧保持部材61を介してコイルバネ66の弾性力を受けて、ケース40の奧側(インクカートリッジ14が装着される方向奧側)へ押しつけられることになる。従って、インクカートリッジ14がケース40に対して位置決めされた状態で保持される。
本実施例では、押圧保持部材61は平板状に形成され、その押圧保持部材61の壁面61b(扉41が閉塞姿勢となった場合にインクカートリッジ14の側面と当接する面)は平坦面に形成され、その壁面61bに一対の突条61cが形成されている。従って、扉41が閉塞姿勢となった場合には、これら突条61cがインクカートリッジ14の側面に当接し押圧する。
また、押圧保持部材61は、閉塞姿勢となった場合には、インクカートリッジ14の垂直方向(図4上下方向)において中心位置より若干下方を押圧するよう構成されている。即ち、押圧保持部材61は、インクカートリッジ14の垂直方向において中心位置より下方と当接して押圧する位置に設けられている。これは、ユーザーが扉41を操作する場合の操作性を向上するためである。例えば、押圧保持部材61がインクカートリッジ14の垂直方向において中心位置または中心位置より上方に位置すると、ユーザーは、ロック解除レバー63近傍を持って扉41を操作するので、ユーザーが操作する部分と押圧保持部材61との距離が近くなる。そのため、押圧保持部材61のコイルバネ66が作用する力が大きくなり、扉41を操作するのに大きな力が必要となる。一方、押圧保持部材61の位置を、インクカートリッジ14の垂直方向において中心位置より下方とすれば、ユーザーが操作する部分と押圧保持部材61との距離が離れるので、ユーザーは、小さな力で扉41を操作することができる。また、押圧保持部材61が余りにインクカートリッジ14の垂直方向下方に位置すると、インクカートリッジ14の端部を押圧することになるので、インクカートリッジ14が収納室50内で傾いてしまい、インクカートリッジ14を正確に保持できない場合がある。しかし、本実施例では、インクカートリッジ14の垂直方向において、中心位置より若干下方に押圧保持部材61が位置するので、インクカートリッジ14を正確に装着または保持することができると共に、小さな力でスムーズな装着を行うことができる。なお、インクカートリッジ14の垂直方向において中心位置より若干下方とは、押圧保持部材61の垂直方向における中心がインクカートリッジ14の垂直方向における中心よりも下方に位置することを意味しており、かかる位置関係であれば、押圧保持部材61の上端部の一部が(図4上方端部)が、インクカートリッジ14の中心位置より上方となるものであっても良い。
なお、後述するが、本実施例のインクカートリッジ14は、押圧保持部材61と当接する側面と対向する側面に、インク供給部120と大気導入部130とを備えており、そのインク供給部120及び大気導入部130は、弾性力を有する弁(バルブ)機構を備えている。即ち、インクカートリッジ14内部と外部との連通を遮断するように、バルブ(供給バルブ620及び大気バルブ720)を外方へ押圧する付勢力(第1及び第2供給スプリング630,650及び第1及び第2大気スプリング730,750)を有している。よって、本実施例の押圧保持部材61の弾性力は、インクカートリッジ14と外部とを確実に連通させるために、インク供給部120及び大気導入部130のバルブ機構が有する弾性力より大きくなるよう構成されている。従って、インクカートリッジ14が収納室50内に装着された場合には、インクカートリッジ14内のインクが確実に供給されると共に、インクカートリッジ14内に大気を確実に導入することができる。また、インクカートリッジ14は、収納室50への装着姿勢で、インク供給部120が下方端部で且つ大気導入部130が上方端部となるので、押圧保持部材61は、インクカートリッジ14の垂直方向において中心位置に比較的近い位置を押圧する。よって、インクカートリッジ14の上下一方の端部を押圧する場合に比較して、モーメント力が作用する方向が安定するので、インクカートリッジ14を安定して保持することができる。
扉ロック部材62は、扉本体60の上端部(図6上側端部)に取り付けられている。扉ロック部材62は、主軸部62aと、主軸部62aの上端(図6上側)に連続してケース40の内側方向に突出する鍵部62bと、主軸部62aの下端(図6下側)に連続してケース40の外側に突出する座部62c(当接部)とを有している。
扉ロック部材62は、扉本体60に対して上下方向(図6上下方向)に進退可能に支持されている。扉本体60の上端部には、スライドレール60bが上下方向に延設されている。また、扉ロック部材62の主軸部62aには、上下方向に延びるスライド溝62dが設けられている。このスライド溝62dに扉本体60のスライドレール60bが挿入され、扉ロック部材62が上下にスライド自在に構成される。
主軸部62aの鍵部62b側の両側面下部には、爪62eが設けられている。扉ロック部材62が扉本体60に嵌め込まれたときは、爪62eが扉本体60に設けられた爪収容部60cに収容される。この爪収容部60cは、上下方向に所定長さだけ延びる溝から構成されている。従って、扉ロック部材62が上方あるいは下方へスライドすると、爪62eが爪収容部60cの内壁面に当接し、扉ロック部材62の上下方向へのスライドが規制される。
爪収容部60cを構成する溝の長さが所定寸法に設定されることにより、扉ロック部材62のスライド範囲が規定される。扉ロック部材62が扉本体60に対して上方へスライドし、爪62eが爪収容部60cの内壁面の上縁に当接すると、扉ロック部材62は、扉本体60の上端から上方に突出した姿勢となる。また、扉ロック部材62が扉本体60に対して下方へスライドし、爪62eが爪収容部60cの内壁面の底縁に当接すると、扉ロック部材62は、扉本体60の内側に退避する姿勢となる。本明細書において、扉ロック部材62が爪収容部60cの内壁面の上縁に当接する位置を「突出位置」と定義し、扉ロック部材62が爪収容部60cの底縁に当接する位置を「退避位置」と定義する。
また、扉ロック部材62と扉本体60との間には、コイルバネ67(弾性部材)が介在されている。従って、扉ロック部材62は、常時扉本体60から上方に突出するように、即ち、突出位置へ変位する方向に弾性付勢されている。
また、扉ロック部材62の鍵部62bの上面は、下方へ傾斜した傾斜面となっている。従って、扉41が開放姿勢から閉塞姿勢へと変化したときに、扉ロック部材62の上面がケース40の開口45の上縁部に当接し、さらに扉41が閉塞姿勢側へ回動されると、扉ロック部材62が開口45の上縁部に相対的に押圧されつつ扉本体60の内側へ退避する。そして、扉41が完全に閉塞姿勢へと姿勢変化すると、扉ロック部材62が再び扉本体60から突出し、鍵部62bがケース40の上縁部に当接係合する。
このとき、扉ロック部材62の鍵部62bは、ケース40の開口45上縁部に設けられたロック部材嵌合部46(図2,5参照)に嵌め込まれた状態となる。扉ロック部材62は、コイルバネ67によって常時扉本体60から突出するように弾性的に付勢されているので、ロック部材嵌合部46内に押圧されるが、扉ロック部材62の位置は、突出位置よりも若干退避位置側へ退避した中間位置となる。扉ロック部材62は、中間位置にあるときは常にロック部材嵌合部46に弾性的に押しつけられているので、扉ロック部材62が容易にロック部材嵌合部46から外れることはない。
ロック解除レバー63は、矩形の板状に形成されており、ケース40に固定された状態で扉本体60の外側上方に取り付けられている。また、扉本体60は、ロック解除レバー63を収容する収納部60dを備えている。この収納部60dは、扉本体60に設けられた凹部からなり、後述するが、ロック解除レバー63が変位したときにロック解除レバー63が収納部60dに嵌め込まれる。
ロック解除レバー63の下端部には、支持ピン63aが設けられている。一方、扉本体60には、支持ピン63aが嵌合されるピン支持孔60eが設けられている。このピン支持孔60eに支持ピン63aが嵌合されることで、ロック解除レバー63が支持ピン63aを回動中心として回動自在に構成される。具体的には、ロック解除レバー63は、起立することによって扉本体60の外側面と略平行となる姿勢と、略45°(degree)に傾斜した姿勢(図2の右側の扉41の状態)と、さらに、略水平に倒伏した姿勢(図2の右側から2番目の扉41の状態)との間で自由に回動変位するよう構成されている。なお、本明細書において、収納部60dに収納された場合のロック解除レバー63の位置を「収納位置」と定義し、ロック解除レバー63が略45°に傾斜した場合のロック解除レバー63の位置を「中立位置」と定義し、略水平に倒伏したときのロック解除レバー63の位置を「倒伏位置」と定義する。
ロック解除レバー63の下端部は、連動カム63bであり、連動カム63bは、ロック解除レバー63の位置が変化したときに扉ロック部材62を上下にスライドさせるためのものである。連動カム63bが設けられることにより、ロック解除レバー63が収納位置から中立位置を経て倒伏位置まで回動された際には、扉ロック部材62は、突出位置から中間位置を経て退避位置までスライドする。逆に言えば、扉ロック部材62が突出位置にあるときは、ロック解除レバー63は収納位置に配置され、扉41が閉じられ、扉ロック部材62がケース40のロック部材嵌合部46に当接している状態では、ロック解除レバー63は、収納位置と中立位置との間で自由に変位することができる。このとき、ロック解除レバー63は、自重によって常時中立位置に変位するように、その重心位置が設定されている。ロック解除レバー63は、自重によって中立位置となるので、倒伏位置への操作性を向上することができる。
ここで、ロック解除レバー63の作動要領について説明する。ロック解除レバー63の連動カム63bは、扉ロック部材62の座部62cに当接している。扉41が閉じられた状態(図4の状態)では、ロック解除レバー63は、連動カム63bを介して扉ロック部材62をさらに下方へ押圧する方向に回転しようとする。しかし、扉ロック部材62がコイルバネ67によって常時上方へ弾性付勢されているので、ロック解除レバー63の自重の作用のみによって扉ロック部材62が変位されることはなく、扉ロック部材62は、中間位置に維持される。
ただし、ロック解除レバー63が強制的に回動された場合、例えば、インクカートリッジ14を交換しようとするユーザーがロック解除レバー63を操作して回動した場合には、ロック解除レバー63は倒伏位置まで回動変位される。ロック解除レバー63が倒伏位置まで変位すると、連動カム63bが支持ピン63aを中心にして回動変位し、扉ロック部材62の座部62cを押し下げる。これにより、扉ロック部材62は、コイルバネ67の弾性力に抗して下方へ移動し、退避位置へと変位する。扉ロック部材62が退避位置へ変位すれば、扉41のロックが解除され、当該扉41は、閉塞姿勢から開放姿勢へと変化する。
なお、扉ロック部材62は、常時コイルバネ67による弾性力を受けているので、ロック解除レバー63に作用する回動力がなくなれば、換言すれば、ユーザーがロック解除レバー63から手を離せば、扉ロック部材62は、扉本体60から最も突出した姿勢となり、ロック解除レバー63は、収納位置まで強制的に変位する。即ち、扉41が開放姿勢にあるときは、ロック解除レバー63は、扉本体60にほぼ収容された姿勢となる。従って、インクカートリッジ14を交換する場合には、ロックレバー92が扉本体60内にほぼ収容された状態となるため、扉41がほぼ水平状態となるまで回動軸部64を回動の中心として回動できるので、ユーザーは容易にインクカートリッジ14を交換できる。また、押圧保持部材61の壁面61bに設けられている2つの突条61cは、屈曲部65b間のガイド部と協働して、インクカートリッジ14を収納室50に収容する際のガイドとしても作用する。即ち、インクカートリッジ14が収納室50に挿入されるときは、ユーザーはインクカートリッジ14の底面を突条61c上に乗せると共にインクカートリッジ14の先端部分を屈曲部65b間に載置し、そのままインクカートリッジ14を収納室50方向へ押し込めばよい。また、インクカートリッジ14を収納室50から抜き取るときは、ユーザーはインクカートリッジ14の底面が屈曲部65b間から突条61c上に至るまで抜き取ればよい。
多機能装置1が通常の使用状態であるときは、リフィルユニット13の扉41が閉じられ、ロック解除レバー63が中立位置に配置されている。従って、図1に示すように、インクカートリッジ14の交換時において開閉蓋20が開かれたときは、ロック解除レバー63は、正面側に傾倒している。このため、ユーザーは、ロック解除レバー63を容易に操作することができるという利点がある。ところで、図1に示すようにリフィルユニット13が多機能装置1の前面1aに配置されていることから、ロック解除レバー63が中立位置に配置されていれば(前面側に傾倒していれば)、リフィルユニット13を収容するために広いスペースが多機能装置1内に確保される必要がある。従って、リフィルユニット13は、開口21周縁よりも内奥に配置される必要があり、そのため、多機能装置1の外形寸法が大きくなってしまうおそれがある。しかし、本実施例では、ロック解除レバー63は、扉41がケース40に対して閉塞姿勢にあるときは、中立位置と収納位置との間で自由に回動することができるので、リフィルユニット13は、開口21の周縁近傍に配置され得る。リフィルユニット13が開口21の周縁に配置されたとしても、開閉蓋20が閉じられる際に開閉蓋20の内壁面がロック解除レバー63に当接し、完全に開閉蓋20が閉じられると、ロック解除レバー63は、開閉蓋20に押されながら収納位置へ変位するからである。従って、本実施例では、多機能装置1のコンパクト設計が可能である。
次に、図7〜図13を参照して、本実施例で使用されるインクカートリッジ14について説明する。インクカートリッジ14は、予めインクを貯留しておくためのものであり、各インクカートリッジ14には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のインクがそれぞれ貯留されている。但し、各インクカートリッジ14の構造は、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ14のみが他のカラーインクを貯留するインクカートリッジ14に比べて僅かに厚く形成されている。これは、一般的にブラックインクの需要が最も多く大量に消費されることと、ブラックインクは顔料系のインクで構成されると共にカラーインクは染料系のインクで構成されるので、カラーインクにブラックインクが混入するとその復旧作業に多量のカラーインクを消費しなければならないからである。そのため、カラーインクとブラックインクとを視認して確認できるように、ブラックインクの外形状を大きく形成している。なお、カラーインクを貯留するインクカートリッジ14の構造は、全て同形状に形成されている。
まず、図7〜図9を参照して、カラーインクが貯留されるカラー用のインクカートリッジ14について説明する。図7は、カラー用のインクカートリッジ14の外観を示した斜視図である。図8は、カラー用のインクカートリッジ14を分解した斜視図である。図9は、プロテクタ300を示した図であり、(a)は、図8のIXa視におけるプロテクタ300の上面図であり、(b)は、図9(a)のIXb−IXb線におけるプロテクタ300の断面図である。なお、以下の説明において、X方向はインクカートリッジ14(ケース200、インク貯留体100)の長手方向を示すものであり、Y方向は、X方向と直交するインクカートリッジ14(ケース200、インク貯留体100)の高さ方向を示すものであり、Z方向は、X方向及びY方向と直交するインクカートリッジ14(ケース200、インク貯留体100)の幅方向(厚み方向)を示すものである。また、図8に示される矢印Bは、インクカートリッジ14の長手方向を示すX方向と平行なものであり、インクカートリッジ14がリフィルユニット13に装着されるときの装着方向を示すものでもある。
図7に示すように、カラー用のインクカートリッジ14は、インクを貯留するインク貯留体100(図8参照)の略全体を覆うケース200と、そのケース200に取り付けられ、インクカートリッジ14が搬送される際にインク貯留体100を保護するプロテクタ300とを備えている。図7から明らかなように、ケース200は互いに対向する一対の最大面210a,220aを含む直方体状に形成されている。(後述するケース1200,2200も同様)なお、本実施例では、インク貯留体100、ケース200、プロテクタ300及び後述するインクカートリッジ14に含まれる全ての部材は、樹脂材料から形成されており、金属材料を有していないので、廃棄処分の際に焼却することができる。例えば、樹脂材料としては、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンなどが例示される。
図8に示すように、インク貯留体100は、インクを貯留するインク貯留室111(インク貯留室111を含む内部空間)を形成するフレーム部110と、そのフレーム部110に貯留されているインクを多機能装置1(図1参照)に供給するインク供給部120と、フレーム部110内に大気を導入する大気導入部130と、フレーム部110内に貯留されているインクの残量を検出するために設けられた検出部140(被照射部)と、フレーム部110内にインクを分注するインク分注部150と、フレーム部110にインク貯留室を形成するためにフレーム部110の両面(図8上下の2面)に溶着されるフィルム160とを主に備えている。なお、フレーム部110、インク供給部120、大気導入部130、検出部140、インク分注部150及びフィルム160の説明およびインク貯留体100の製造工程については後述する。
ケース200は、インク貯留体100を上下(図8上下、Z方向)から挟み込む2つのケース部材210,220で構成されており、第1ケース部材210は、インク貯留体100の図8下側面を覆う部材であり、第2ケース部材220は、インク貯留体100の図8上側面を覆う部材である。第1及び第2ケース部材210,220は、樹脂材料から構成されており、射出成形により製造される。なお、第1及び第2ケース部材210,220の深さ(図8上方方向の長さ(Z方向の長さ))は、略同等に形成されており、これらの深さの合計がインク貯留体100の厚みと略同等となるように形成されている。よって、インク貯留体100とケース200の内面との距離が短くなる(隙間が狭くなる)ので、ケース200の外方から内方に圧力が掛ったとしても、ケース200の変形量が少なくなるので、ケース200が破損することを低減できる。
第1ケース部材210は、最大面210aを形成する板状部と、その板状部の4辺の外縁部分から略垂直方向(図8上下方向、Z方向)に立設される立壁部210b〜210eとで構成されている。立壁部210d〜210eは、第1ケース部材210のプロテクタ300側となる立壁が立壁部210bであり、その立壁部210bに対向配置される立壁が立壁部210cであり、その立壁部210c,210bにそれぞれ連設される立壁が立壁部210d,210e(図8右側が立壁部210d、図8左側が立壁部210d)である。
第1ケース部材210の立壁部210bには、インク供給部120及び大気導入部130をケース200外部に露出するための2つのケース切欠部211,212が形成されている。ケース切欠部211,212は、立壁部210bの先端から略半円状に形成されており、図8右手前側のケース切欠部211がインク供給部120に対応した切欠であり、図8左奧側のケース切欠部212が大気導入部130に対応した切欠である。また、ケース切欠部211とケース切欠部212との間には、矩形状に切りかかれた矩形状のケース切欠部213が形成されており、これは、検出部140を挟み込む位置までインク残量検出センサ57(図5参照)を挿入させるための切欠である。また、第1ケース部材210のケース切欠部211に連接する内側面には、インク供給部120と当接する当接溝211aが形成され、第1ケース部材210のケース切欠部212に連接される内側面には、大気導入部130と当接する当接溝212bが形成されている。この当接溝212a,212bを設けることで、インク貯留体100の第1ケース部材210への位置合わせが容易となる。
また、第1ケース部材210には、ケース切欠部211〜213が形成された面(立壁部210b)からプロテクタ300方向(図8左手前方向、X方向)に突出する2つのケース突出部214a,214bが形成されている。ケース突出部214a,214bは、ケース切欠部211〜213を挟むようにY方向に並んで第1ケース部材210の両側(図8右手前側端部と図8左奧側端部)に形成されており、インク供給部120側(図8右手前側)がケース突出部214aであり、大気導入部130側(図8左奧側)がケース突出部214bである。また、ケース突出部214aは、第1ケース部材210の立壁部210dの外面と連接する部分から先端(プロテクタ300方向、図8左手前方向)に向かって、ケース切欠部211〜213方向(第1ケース部材210内側方向)に傾斜した傾斜面214a2を有している。インクカートリッジ14を多機能装置1(図1参照)に装着する場合には、ケース突出部214aが下側となって装着される。よって、インクカートリッジ14が装着される場合に、傾斜面214a2がリフィルユニット13の底壁部42と当接すると、その傾斜によりインクカートリッジ14が所定の装着位置にスムーズに誘導される。
ケース突出部214aには、ケース切欠部211〜213側となる内側面に、矩形状に切りかかれたケース突出切欠部214a1が形成されている。また、ケース突出部214bには、ケース切欠部211〜213側となる内側面に、矩形状に切りかかれたケース突出切欠部214b1が形成されている。このケース突出切欠部214a1,214b1は、プロテクタ300がケース200に取り付けられた状態で、プロテクタ300が自然に脱着することを防止するために設けられており、後述するプロテクタ300の突起部330a1,330b1(図9参照)が嵌合される。
さらに、ケース突出部214bには、後述するプロテクタ300の第1プロテクタ嵌合部320(図9参照)が嵌合される嵌合部としてのケース嵌合溝214b2が形成されている。このケース嵌合溝214b2は、ケース突出部214bの先端(プロテクタ300側の端部)から立壁部210eの一部に亘って形成されている。
また、第1ケース部材210には、インク供給部120側(図8右手前側)の立壁部210d近傍に第2ケース部材220方向(Z方向)に突起し、ケース200内に内封されるインク貯留体100の位置決めを行う棒部材215aと、大気導入部130側(図8左奧側)の立壁部210e近傍に第2ケース部材220方向(Z方向)に突起し、ケース200内に内封されるインク貯留体100の位置決めを行う棒部材215b,215cとが形成されている。この棒部材215a〜215cの3箇所により、インク貯留体100を位置決めするので、インク貯留体100の取り付け方向が間違って取り付けられることを防止できる。
第2ケース部材220は、最大面220aを形成する板状部と、その板状部の4辺の外縁部分から略垂直方向(図8上下方向、Z方向)に立設される立壁部220b〜220eとで構成されている。立壁部220b〜220eは、第2ケース部材220のプロテクタ300側となる立壁が立壁部220bであり、その立壁部220bに対向配置される立壁が立壁部220cであり、その立壁部220c,220bにそれぞれ連設される立壁が立壁部220d,220e(図8右側が立壁部220d、図8左側が立壁部220d)である。
第2ケース部材220は、第1ケース部材210とほぼ対称的な構造を有しており、第1ケース部材210と同様に、立壁部220bに3つのケース切欠部221〜223が形成されると共に、ケース切欠部221に連接される当接溝221a及びケース切欠部222に連接される当接溝222aが形成されている。ケース切欠部221,222は第1ケース部材210のケース切欠部211,212と同一形状(略半円形状)に形成されており、ケース切欠部223は第1ケース部材210のケース切欠部213と同一形状(略矩形状)に形成されている。また、ケース切欠部221〜223の両側には、ケース突出部224a,224bが形成され、そのケース突出部224aは、第2ケース部材220の立壁部210dの外面と連接する部分から先端に向けて、ケース切欠部221〜223方向に傾斜する傾斜面224a2を有している。また、ケース突出部224aには、ケース突出切欠部224a1(図示せず)が形成され、ケース突出部224bには、ケース突出切欠部224b1と、ケース突出部224bの先端から立壁部220eの一部に亘ってケース嵌合溝224b2が形成されている。また、第2ケース部材220には、第1ケース部材210の棒部材215a〜215cが形成された位置に対応して第1ケース部材210方向(Z方向)に貫通し、棒部材215a〜215cと嵌合する孔を有する嵌合孔部225a〜225c(図示せず)が設けられている。
ケース200は、上述したように、第1ケース部材210と第2ケース部材220とが略同形状に形成されており、インク貯留体100を挟持した状態となると、ケース切欠部211,221によりインク供給部120の一部を外部に露出する略円形の貫通孔が形成され、ケース切欠部212,222により大気導入部130の一部を外部に露出する略円形の貫通孔が形成され、ケース切欠部213,223と検出部140の側壁とによりインク残量検出センサ57(図5参照)を挿入可能な貫通孔が検出部140の両側(図8上下の両側、Z方向における両側)に形成される。さらに、ケース突出部214aとケース突出部224aにより、リフィルユニット13のインク汚れ防止、カートリッジが誤姿勢でリフィルユニット13に装着されることの防止、及びインク供給部120及び大気導入部130の破損防止に寄与する突起(「第1突出部」、又は「他方の突出部」)が形成され、ケース突出部214bとケース突出部224bにより、ケース突出部214aとケース突出部224aから形成される突起とともに上記した誤姿勢装着の防止、及びインク供給部120等の破損防止に寄与する突起(「第2突出部」、又は「一方の突出部」)が形成される。これらの突起については後ほど詳しく説明する。なお、図8から明らかなように、インク供給部120は、ケース突出部214bとケース突出部224bからなる突起よりもケース突出部214aとケース突出部224aなる突起に近接して位置している。また、ケース突出切欠部214a1,224a1によりプロテクタ300の突出部330a1(図9参照)が緩挿される貫通孔が形成され、ケース突出切欠部214b1,224b1によりプロテクタ300の突出部330b1(図9参照)が緩挿される貫通孔が形成され、ケース嵌合溝214b2,224b2によりプロテクタ300の第1プロテクタ嵌合部320(図9参照)が嵌合される略直方体の嵌合溝が形成される。
以上の説明から明らかなように、第1ケース部材210と第2ケース部材220は、全体的な外観だけでなく、ケース突出部214a,214b,224a,224bやケース切欠部211〜213,221〜223等の細部についても同形状となるように形成されている。従って、第1ケース部材210及び第2ケース部材220を樹脂成型する場合には、これらの金型形状が近似することから、金型設計にかかるコストを抑えることができる。
次に、ケース200の外形状について説明する。第1及び第2ケース部材210,220は、長手方向B(図8右奧側と図8左手前側とを結ぶX方向、図8矢印B)と直交する方向(Y方向)の立壁部210d,210e,220d,220e(両側側面)が凹状に形成され、第1及び第2ケース部材210,220の最大面210a,220a(表面)に対して段差が形成されている。この段差部分において、第1及び第2ケース部材210,220が溶着され、ケース200に対してインク貯留体100が固着される。段差部分は、インク供給部120側(図8右手前側)の段差部分が第1ケース溶着部216,226であり、大気導入部130側(図8左奧側)の段差部分が第2ケース溶着部217,227である。
なお、以下の説明において、第1及び第2ケース部材210,220の長手方向B(X方向と平行な方向)は、インクカートリッジ14の長手方向、インク貯留体100の長手方向、ケース200の長手方向を意味するものとする。
ここで、第2ケース部材220の第1及び第2ケース溶着部226,227について説明する。第1ケース溶着部226は、ケース突出部224aと同一平面上に連接されると共に、そのケース突出部224aの反対側に、第2ケース部材220の内側方向に凹状に形成された凹部226aと、インクカートリッジ14をリフィルユニット13(図1参照)から取り外す場合に扉41の引出部材65(図6参照)と係合する係合部226bとを有している。なお、凹部226aは、引出部材65が回動動作した場合の揺動範囲を確保するための領域である。ケース溶着部227は、第2ケース部材220の長手方向Bの略中間位置に凹状に形成された係止部227aを有し、その係止部227aは、リフィルユニット13に装着された状態で、スイングアーム機構44b(図2参照)と係合する部分である。
なお、詳細な説明は省略するが、第1ケース部材210にも、第2ケース部材220の凹部226a、係合部226b及び係止部227aと同形状に形成された凹部216a(図示せず)、係合部216b(図示せず)及び係止部217aとが形成されている。
次に、図8及び図9を参照して、プロテクタ300について説明する。図9は、プロテクタ300を示した図であり、図9(a)は、図8のIXa視におけるプロテクタ300の上面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線におけるプロテクタ300の断面図である。なお、プロテクタ300は、インクカートリッジ14が出荷される場合に、インク貯留体100の特にインク供給部120及び大気導入部130を保護するための部材である。また、プロテクタ300は、樹脂材料から構成されており、射出成形により製造される。
図8に示すように、プロテクタ300は、底面の大気導入部130側(図8左奧側)に対応した箇所にプロテクタ貫通孔310が形成されている。これは、大気バルブ720を動作させるためのバルブ開放部721a(図33参照)が大気導入部130の外方に突出しているからであり、そのバルブ開放部721aを保護するためにプロテクタ貫通孔310が形成されている。
図9(a)の上面図に示すように、プロテクタ300のプロテクタ貫通孔310側(図9(a)左側)の端部近傍には、ケース嵌合溝214b2,224b2(図8参照)により形成される嵌合溝に嵌合される第1プロテクタ嵌合部320が形成されている。また、第1プロテクタ嵌合部320が形成された側の反対側(図9(a)右側)の端部近傍には、ケース突出切欠部214a1,224a1(図8参照)により形成される貫通孔に嵌合されて、ケース200に対してプロテクタ300を固着する第2プロテクタ嵌合部330aが形成され、第1プロテクタ嵌合部320とプロテクタ貫通孔310との間には、ケース突出切欠部214b1,224b1(図8参照)により形成される貫通孔に嵌合されて、ケース200に対してプロテクタ300を固着する第2プロテクタ嵌合部330bが形成されている。
また、プロテクタ300の長手方向C(図8、図9におけるY方向)の略中間位置には、ケース切欠部213,223と検出部140(図8参照)の側壁とにより形成される貫通孔内に緩挿されるプロテクタ緩挿部340a,340bが形成されている。プロテクタ緩挿部340a,340bは、長手方向Cに平行に形成された両側壁(図9(a)上下の側壁)に連接されると共に、上方(図9(a)紙面手前側、図8ではインク貯留体100側となるX方向)に突出して形成されている。なお、プロテクタ300の底面からは、複数のリブが立設され、プロテクタ300の強度を保っている。
第1プロテクタ嵌合部320は、プロテクタ300の長手方向Cと直交する方向(図9(a)上下方向、X方向)に平行な方向に延在するように配置され、プロテクタ300の底壁から立設されたプロテクタ立壁321と、そのプロテクタ立壁321からプロテクタ貫通孔310と反対側(図9(a)左側)の側壁に連接される2つのプロテクタ立壁322とで構成されている。図9(b)に示すように、プロテクタ立壁322は、第1プロテクタ嵌合部320の上端部(図9(b)上側端部)からプロテクタ立壁321と平行に形成される上部と、第1プロテクタ嵌合部320の突出方向(図9(b)上方、X方向)の略中間位置からプロテクタ300の側壁まで連接される下部とで構成され、段差を有している。
よって、ケース嵌合溝214b2,224b2(図8参照)により形成される嵌合溝に嵌合される場合には、プロテクタ立壁321とプロテクタ立壁322の上部とが嵌合溝内に挿入される。第1プロテクタ嵌合部320が嵌合溝に挿入される場合には、長手方向C(Y方向)と直交するZ方向に延在するプロテクタ立壁321の両端部と、長手方向Cのプロテクタ立壁322の端部とにより規制されつつ挿入される。ここで、第1プロテクタ嵌合部320がケース嵌合溝214b2,224b2(図8参照)により形成される嵌合溝と略同形状に形成されていると、プロテクタ300の取り付けに手間がかかる一方、その嵌合溝に対して第1プロテクタ嵌合部320が極端に小さいとプロテクタ300の取り付け方向の位置決めができない。しかし、プロテクタ立壁321,322により、1の面(プロテクタ立壁321の平面)と4つの点(プロテクタ立壁321の両側端部とプロテクタ立壁322の2つの端部)で規制しつつ挿入が行われるので、プロテクタ300の装着性を向上しつつ、誤装着の防止を行える。
図9(b)に示すように、第2プロテクタ嵌合部330a,330bは、互いに離れる方向に突起した突起部330a1,330b1が第2プロテクタ嵌合部330a,330bの先端部(図9(b)上側の端部)に形成されており、その先端部からプロテクタ300の底面方向(図9(b)下方)に略棒状に形成された棒部330a2,330b2が形成されている。また、棒部330a2,330b2は、プロテクタ300が樹脂材料で形成されることから弾性力を有しており、第2プロテクタ嵌合部330a,330bが内側方向に弾性変形して、プロテクタ300の着脱が行われる。
ここで、図10及び図11を参照して、ブラック用のインクカートリッジ14について説明する。図10は、ブラック用のインクカートリッジ14の外観を示した斜視図である。図11は、ブラック用のインクカートリッジ14を分解した斜視図である。
図10及び図11に示すように、ブラック用のインクカートリッジ14は、カラー用のインクカートリッジ14に対して外形が大きく(厚み(Z方向の長さ)が厚く)構成されている。具体的には、ケース1200を構成する第2ケース部材220は、カラー用の第2ケース部材220と同一であり、ケース1200を構成する第1ケース部材1210がカラー用の第1ケース部材210に対して厚く(Z方向の長さが長く)形成されている。なお、インク貯留体100は、ブラック用のインクを貯留するのに十分な容量を有しているので、カラー用のインク貯留体100と同形状に構成されており、共通部品化されている。また、プロテクタ1300は、ケース1200に対応して形成され、プロテクタ300に比べて上下方向(Z方向)に厚く形成されている。よって、ブラック用のインクカートリッジ14についての説明は、第1ケース部材1210について説明し、第2ケース部材220、インク貯留体100及びプロテクタ1300の説明は省略する。また、第1ケース部材1210は、第1ケース部材210に対して深さ(図11上下方向の厚み(Z方向の長さ))が異なるのみであり、その他の構成は、同形状に構成されているので、詳細な説明は省略する。
図11に示すように、第1ケース部材1210は、最大面1210aを形成する板状部と、その板状部の4辺の外縁部分から略垂直方向(図11上下方向、Z方向)に立設される立壁部1210b〜1210eとで構成されている。立壁部1210b〜1210eは、第1ケース部材1210のプロテクタ1300側となる立壁が立壁部1210bであり、その立壁部1210bに対向配置される立壁が立壁部1210cであり、その立壁部1210c,1210bにそれぞれ連設される立壁が立壁部1210d,1210e(図11右側が立壁部1210d、図11左側が立壁部1210d)である。なお、ブラック用のインクカートリッジ14は、立壁部1210b〜1210eの立壁高さがカラー用の第1ケース部材210の立壁部210b〜210eの立壁高さの略2倍に形成されており、その分、インクカートリッジ14の厚みが増して構成されている。
第1ケース部材1210には、第1ケース部材210と同様に、インク供給部120及び大気導入部130をケース200外部に露出するために、立壁部1210bに略半円状に形成されたケース切欠部1211,1212が形成され、ケース切欠部1211とケース切欠部1212との間には、矩形状に切りかかれたケース切欠部1213が形成されている。また、第1ケース部材1210の両側には、2つのケース突出部1214a,1214bが形成され、ケース突出部1214aは、傾斜面1214a2を有している。また、第1ケース部材1210には、インク貯留体100の位置決めを行う棒部材1215a,1215b,1215cが形成されている。
さらに、第1ケース部材1210には、その内側面の略全体(最大面1210aの略全体)にリブ1218が設けられている。このリブ1218は、第1ケース部材1210の外形を第1ケース部材210に対して大きくした分(第1ケース部材210の立壁部210b〜210eと、第1ケース部材1210の立壁部1210b〜1210eとの高さの差分)、インク貯留体100側に向けてZ方向に突起している。このリブ1218を設けることで、インク貯留体100と第1ケース部材1210との間に形成される空間(隙間)を埋めることができる。そのため、ケース1200の外方からの圧力に対して強度を保つことができる。
また、ブラック用のインクカートリッジ14の外形を他のカラー用のインクカートリッジ14の外形より大きくすることで、ブラック用のインクカートリッジ14を他のインクカートリッジ14と区別することができる。また、ブラックは、他のカラーに比べて濃い色となるので、リフィルユニット13内に間違って装着され使用されることは好ましくない。しかし、ブラック用のインクカートリッジ14の外形を大きく形成することで、他のインクカートリッジ14とを区別することができるので、間違って装着されることを低減することができる。さらに、リフィルユニット13内の収納室50は、各インクカートリッジ14の大きさに応じて形成されているので、ブラック用のインクカートリッジ14がカラー用のインクカートリッジ14に対応した収納室50に装着されることはない。
また、ブラック用のインクカートリッジ14は、第1ケース部材1210と第2ケース部材220との上下方向(Z方向)の厚みが異なるので、上下方向においてその中心位置からシフトした位置(偏った位置)に、インク供給部120、大気導入部130及び検出部140が位置することになる。
次に、図12及び図13を参照して、大容量ブラック用のインクカートリッジ14について説明する。図12は、大容量ブラック用のインクカートリッジ14の外観を示した斜視図である。図13は、大容量ブラック用のインクカートリッジ14を分解した斜視図である。
図12及び図13に示すように、大容量ブラック用のインクカートリッジ14は、カラー用およびブラック用のインクカートリッジ14に対して外形が大きく(Z方向に長く)構成されている。具体的には、第2ケース部材2220の立壁部2220b〜2220eの立壁高さを、第2ケース部材220の立壁部220b〜220eの立壁高さの略2倍に形成し、ケース2200を構成する第2ケース部材2220をカラー用およびブラック用の第2ケース部材220に対して厚くしただけである。また、ケース2200を構成する第1ケース部材2210は、ブラック用の第1ケース部材1210のリブ1218を無くしただけである。さらに、インク貯留体2100は、カラー用およびブラック用のインク貯留体100に対して容量が多くなるよう厚くしただけである。よって、大容量ブラック用のインクカートリッジ14についての詳細な説明は省略する。なお、大容量ブラック用のインクカートリッジ14に付される符番は、カラー用のインクカートリッジ14に付された符番に2000を足したものとする。また、第1ケース部材2210と第2ケース部材2220の上下方向(Z方向)の厚みは略同等となるので、その上下方向の中心位置に、インク供給部2120、大気導入部2130及び検出部2140が位置することになる。
以上説明した3種類の大きさのインクカートリッジに対応して、多機能装置1のリフィルユニット13は、カラー用のインクカートリッジ14を収容する複数の収納室50と、ブラック用のインクカートリッジ14と大容量ブラック用のインクカートリッジ14とを選択的に収容する1つの収納室50(この収納室50の内部空間は大容量ブラック用のインクカートリッジ14に対応した大きさを有する)を備えて構成されることが望ましい。一般的に、カラー印字に比べてブラックインクのみを使用するテキスト印字の頻度の方が多いからである。しかし、テキスト印字の頻度が少ないユーザに向けて、カラー用のインクカートリッジ14を収容する複数の収納室50と、ブラック用のインクカートリッジ14を収容する1つの収納室50を備えてリフィルユニット13が構成されるタイプの多機能装置1を提供してもよい。これについては後に再び説明する。
次に、図14を参照して、インク貯留体100について説明する。図14は、インク貯留体100を示した図であり、図14(a)は、インク貯留体100の正面図であり、図14(b)は、インク貯留体100の背面図である。なお、図14に示したインク貯留体100の状態が、インクカートリッジ14を多機能装置1(図1参照)に装着する姿勢である。これは、図14に示されるとおり、インクカートリッジ14(インク貯留体100)の長手方向(X方向)及び厚み方向(Z方向)が水平方向となる姿勢であり、インク供給部120、大気導入部130及び検出部140が側面に位置し、インク供給部120が底部側に位置し、大気導入部130が天井側に位置する姿勢である。なお、インク貯留体2100は、インク貯留体100に対して厚み(X方向の長さ)が異なるだけなので、その詳細な説明は省略する。
インク貯留体100は、上述したように、フレーム部110、インク供給部120、大気導入部130、検出部140、インク分注部150とフィルム160とを主に備えて構成されている。なお、インク貯留体100は、扁平形状の略6面体として構成されている。その6面体の最大面積となる一対の面は、図14に示すインク貯留体100の正面側および背面側を形成する面であり、その正面側の面と背面側の面とを連結する4方向に位置する側面(側壁)との略6つの面で構成されている。なお、インク貯留体100の最大面積となる一対の面は、ケース200に装填されたときはケース200の一対の最大面210a,220aと平行となる。また、フレーム部110の正面側と背面側との両面にフィルム160が溶着されるので、扁平状に形成されたインク貯留体100の厚み(Z方向の長さ)を、板材により両面を塞ぐ場合と比較して薄くすることができる。
まず、フレーム部110について詳細に説明する。また、フレーム部110は、樹脂材料から構成されており、射出成形により製造される。
図14(a)に示すように、フレーム部110の正面側には、その外縁部分近傍にフィルム160を溶着する外周溶着部400aと、その外周溶着部400aの内側に設けられた複数の内周溶着部411a〜417aとが形成されている。外周溶着部400aは、フレーム部110の内部空間(インク貯留室111の第1室111a側の空間)を画定する立壁である。なお、図14(a)で示した、内周溶着部(リブ又は第1リブ)411a〜417aの黒塗りされた先端部分が溶着面部(リブの固着部又は第1リブの固着部)であり、外周溶着部400aの正面側先端(黒塗りされた部分)が第1開口112a周縁の溶着面部(固着部)である。その溶着面部にフィルム160が超音波溶着により溶着される。
図14(b)に示すように、フレーム部110の背面側には、その外縁部分近傍にフィルム160を溶着する外周溶着部400bと、その外周溶着部400bの内側に設けられた複数の内周溶着部411a〜417bとが形成されている。外周溶着部400bは、フレーム部110の内部空間を画定する立壁である。外周溶着部400bは、フレーム部110の内部空間(インク貯留室111の第2室111b側の空間)を画定する立壁である。なお、図14(b)に示した、内周溶着部(リブ又は第2リブ)411b〜417bの黒塗りされた先端部分が溶着面部(リブの固着部又は第2リブの固着部)であり、外部溶着部400bの背面側先端(黒塗りされた部分)が開口周縁の溶着面部(固着部)である。その溶着部にフィルム160が超音波溶着により溶着される。
また、外周溶着部400a,400bの内側がインクが貯留されるインク貯留室111となる。図14(a)に示した正面側の領域がインク貯留室111の第1室111aであり、図14(b)に示した背面側の領域がインク貯留室111の第2室111bである。また、図14(a)に示した外周溶着部400aがフレーム部110の第1開口112aであり、図14(b)に示した外周溶着部400bがフレーム部110の第2開口112bである。
フレーム部110は、主に、インク供給部120と連通し、インク貯留室111内に貯留されたインクを外部に供給する供給路形成部420(図14(a)及び図14(b)参照)と、大気導入部130と連通し、インク貯留室111内に大気を導入する大気連通路形成部430(図14(a)参照)と、フレーム部110(又はインク貯留室111)の略中心部に形成され、大気導入部130近傍とインク分注部150近傍とを連結する板状の連結形成部440(図14(a)及び図14(b)参照)と、インク分注部150と連通し、インク貯留室111内にインクを分注する分注路形成部450(図14(b)参照)とを備えている。ここで、連結形成部440は、インク貯留室111の第1室111aと第2室111bとを互いに連通した状態で区画するものであり、外周溶着部400aに溶着されたフィルム160が延在する仮想平面R(図示せず)と外周溶着部400bに溶着されたフィルム160が延在する仮想平面S(図示せず)との間にあってこれらの仮想平面と平行な平面上に延在する連結板である。この連結形成部440については後程に詳しく説明する。また、大気連通路形成部430は、フレーム部110の正面側(インク貯留室111の第1室111a側)にのみ位置するように形成されており、大略、外周溶着部400aの一部と内周溶着部412aと仮想平面Rと仮想平面Sとの間においてこれらと平行に延在する板部438とによって区画されている。この大気連通路形成部430についても後程詳しく説明する。なお、本実施例では、フレーム部110内のインク貯留室111(内部空間)を、供給路形成部420、大気連通路形成部430、連結形成部440及び分注路形成部450を含めた領域とするが、大気連通路形成部430が大気をインク貯留室111内に導入するための大気の通路なので、フレーム部110内のインク貯留室111(内部空間)とは異なる領域としても良い。これは、上記のインク貯留室111(内部空間)から、大気連通路形成部430を除いた空間を実質的にインクが貯留される空間としてみなすことを意味する。
また、フレーム部110の外縁部において、底部(図14(a)下部および図14(b)下部)の1箇所と上部(図14(a)上部および図14(b)上部)の2箇所に薄板状の凸部が形成され、その凸部に上述した第1ケース部材210の棒部材215a〜215c(図8参照)が挿通される貫通孔460a〜460cが形成されている。
まず、図14(a)を参照して、内周溶着部411a〜417aについて説明する。内周溶着部411a〜417aは、供給路形成部420に設けられた内周溶着部411aと、大気連通路形成部430に設けられた内周溶着部412aと、連結形成部440に設けられた内周溶着部413a〜417aとで構成されている。また、内周溶着部411a〜417aの溶着面部は、外周溶着部400aの溶着面部と同一の仮想平面上に位置しており、フィルム160を同一平面(仮想平面R)上で溶着することができる。
内周溶着部411aは、供給路形成部420に設けられており、フレーム部110の長手方向B(図8参照、図14(a)左右方向)に交わる方向に下降傾斜した立壁で構成されている。内周溶着部412aは、大気連通路形成部430において、後述する大気接続路433の1の側壁(立壁)を形成するものであり、フレーム部110の長手方向B(X方向)に交わる方向に下降傾斜した立壁で構成されている。内周溶着部413aは、大気導入部130近傍に設けられており、フレーム部110の長手方向Bに対して交わる方向に下降傾斜した立壁と、その立壁からフレーム部110の長手方向Bに対して略直交する方向(図14(a)上下方向)に延びた立壁とで略T字状に構成されている。内周溶着部414aは、略逆コ字状に形成されており、フレーム部110の長手方向Bに対して平行となる立壁と、その立壁からフレーム部110の長手方向Bに対して略直交する方向に延びた立壁と、その立壁からフレーム部110の長手方向Bに対して交わる方向に下降傾斜した立壁とで構成されている。内周溶着部415aは、フレーム部110の長手方向Bに対して平行となる立壁と、その立壁からフレーム部110の下部方向に向かうようにほぼ直角に湾曲した立壁と、その立壁からフレーム部110の長手方向Bに対して交わる方向(Y方向)に下降した立壁とで構成されている。内周溶着部416aは、インク分注部150近傍に設けられており、フレーム部110の長手方向Bに対して交わる方向に下降傾斜した立壁で構成されている。内周溶着部417aは、インク分注部150近傍に設けられており、フレーム部110の長手方向Bに対して略直交する方向に延びた立壁と、その立壁からフレーム部110の長手方向Bに対して交わる方向に下降傾斜した立壁とで構成されている。
即ち、内周溶着部411a〜417aは、少なくとも一部の立壁が、フレーム部110の長手方向Bに対して下降傾斜したり略直交する方向(即ち、インクカートリッジ14が装着される姿勢においてインク貯留室111の底部側)に延びており、その底部側(図14(a)下部側)の端部が自由端となっている。よって、フレーム部110にフィルム160を溶着する際にフィルム160の弛みを抑制するために、外周溶着部400aの内側に複数の内周溶着部411a〜417aを設けたとしても、その複数の内周溶着部411a〜417aがインク供給部120に向かうインクの流れを極力妨げないようになっている。また、内周溶着部411a〜417aは、外周溶着部400aの内側に拡散されて(複数個に分散されて)配置されているので、フィルム160の弛みの発生を効率良く防止すると共に、インクの流れを妨げないようになっている。
図14(b)に示すように、内周溶着部411b〜417bは、内周溶着部411b及び内周溶着部413b〜417bが、上述した内周溶着部411a及び内周溶着部413a〜417aと略同形状で且つ、内周溶着部411a及び内周溶着部413a〜417aに対応した位置に形成されており、内周溶着部412bのみ内周溶着部412aと異なる位置に異なる形状で形成されている。また、内周溶着部411b〜417bの溶着面部は、外周溶着部400bの溶着面部と同一の仮想平面上に位置しており、フィルム160を同一平面(仮想平面S)上で溶着することができる。
内周溶着部412bは、外周溶着部400bからフレーム部110の長手方向Bに対して略直交する方向(Y方向)に延びた立壁で構成された内周溶着部412b1と、同様に、外周溶着部400bから長手方向Bに対して略直交する方向に延びた立壁で構成された内周溶着部412b2とで構成されている。そして、内周溶着部412b1と内周溶着部412b2は、大気連通路形成部430を画定する板部438から立設している。これは、大気連通路形成部430がフレーム部110の正面側にのみ形成されているからであり、その大気連通路形成部430の背面側に対応した部分のフィルム160の弛みの発生を抑制するために、内周溶着部412b1,412b2が設けられている。なお、フレーム部110の背面側も、正面側と同様に、内周溶着部411b〜417bが自由端となり拡散して(複数個に分散して)設けられているので、フィルム160の弛みの発生を抑制しつつ、インクの流れの妨げを効率よく低減することができる。
また、内周溶着部411a〜417a,411b〜417bを拡散して(複数個に分散して)備えることで、例えば、軟性な樹脂材料からケース200が形成されている場合には、そのケースがインク貯留体100側に変形したとしても、内周溶着部411a〜417a,411b〜417bによりケースの変形を規制することができる。よって、ケースの破損およびフィルム160の破損を防止することができる。さらに、外周溶着部400a,400b及び内周溶着部411a〜417a,411b〜417bは、正面側または背面側に立設された立壁で形成されているので、フレーム部110を射出成形する場合に、極端に複雑な金型を必要としない。よって、インクカートリッジ14の製作コストの低減を図ることができる。
次に、図15を参照して、供給路形成部420について説明する。図15は、供給路形成部420を示した図であり、図15(a)は、供給路形成部420の概略を示した図(フレーム部110の背面側の図)であり、図15(b)は、図15(a)のXVb−XVb線における供給路形成部420の断面図であり、図15(c)は、インク残量が減少した状態を示した図であり、図15(d)は、インクの供給が終了した状態を示した図である。
図15(a)に示すように、供給路形成部420は、インク供給部120に連通する第1供給連通孔421と、その第1供給連通孔421を囲むように、図15(a)紙面垂直方向視略三角形の枠状に形成された供給隔壁422と、供給隔壁422の内側の領域を占めるとともに仮想平面Rと仮想平面Sとの間においてこれらと平行に延在する板部427と、供給隔壁422の一部が切りかかれて形成された第2供給連通孔423と、インク貯留室111の底部の一部(図15(a)下部、外周溶着部400bにおけるインク貯留室111の底部となる部分400b1のうちの一部の壁部)を凹状(階段状)にして形成された供給凹部424と、外周溶着部400bと供給隔壁422から延出し仮想平面Rと仮想平面Sとの間においてこれらと平行に延在する板部428と、板部428の自由端に設けられ後述する回転部材としてのセンサーアーム470(「変位部材」、図19参照)が取り付けられるアーム挟持部425と、そのアーム挟持部425から検出部140(図14(b)参照)方向に設けられた内周溶着部411aとを主に備えている。なお、供給隔壁422はフィルム160が溶着されるものであり、その溶着面部は、外周溶着部400bの溶着面部と同一の仮想平面(仮想平面S)上に位置している。また、供給隔壁422と板部427により囲まれた空間は、インク供給部120に供給するインクを一旦貯留するインク供給室426であり、供給凹部424と板部428により形成される空間は、凹部空間424aである。図14(b)に示されるように、この凹部空間424aは、カートリッジ14の高さ方向(Y方向)においてインク貯留室111(内部空間)底部となる部分400b1よりも低く、インク貯留室111のうちの最も底部側(最も低い側)に位置する空間部分となっている。また、図15(a)に示されるように、第1供給連通孔421は底部400b1(凹部空間424aの上端部と同じ高さ)よりも上方に形成されており、第2供給連通孔423は底部400b1よりも下方に形成されている。つまり、第2供給連通孔423は第1供給連通孔421よりもインク貯留室111の下方側(底部側)に位置している。また、アーム挟持部425は、図15(a)紙面垂直方向視略逆C状に形成されており、インク供給部120とは反対側(図15(a)左側)の一部が開口されている。また、図14(a)及び図14(b)にも示されるように、上述した内周溶着部411bと内周溶着部411aは、板部428から互いに反対側に向けて立設している。
図15(b)に示すように、供給隔壁422は、フィルム160が溶着されると、フレーム部110(インク貯留室111)内部と、第1供給連通孔421とを隔てるように形成されている。即ち、供給隔壁422により囲まれたインク供給室426は、フレーム部110内部との連通を第2供給連通孔423のみで行う。よって、フレーム部110内に貯留されたインクは、第2供給連通路423からインク供給室426内に供給され、その後、第1供給連通孔421からインク供給部120に供給される(図15(c)矢印Dで示した通路(インク流路))。
次に、図15(c)及び図15(d)を参照して、フレーム部110内部のインクをインク供給部120に供給するインク流路Dについて説明する。図15(c)に示すように、フレーム部110の内部に貯留されたインクの液面Iが供給凹部424より上方にある場合は、図15(c)の矢印Dのインク流路を通ってインク供給部120にインクが供給される。この場合、凹部空間424aがインクに満たされているので、供給隔壁422により囲まれたインク供給室426内もインクが満たされている。即ち、図15(c)の状態では、インク供給室426内にインクが充満しているので、インクの液面Iが第1供給連通孔421より下がっても、第2供給連通孔423を介してインク供給部120にインクを供給することができる。本実施例では、インク供給部120は、図8に示すように略円柱状となると共に、後述するように、インク供給体116内にインク供給機構500の一部と逆止弁670が収容され、さらに逆止弁670の軸部672(図29参照)が第1供給連通孔421を挿通するので、インク供給機構500と逆止弁670が占めるスペースを考慮すると、第1供給連通孔421をインク貯留室111(ブレーム部110)の底部側に形成するのに限界がある。供給隔壁422を設けない構成では、第1供給連通孔421よりインクの液面Iが下がると、インクの供給ができなくなり、インク貯留室111内のインクの使い切りが悪くなる。しかし、供給隔壁422を設け、第2供給連通孔433を第1供給連通孔431より底部側に形成することで、インクの液面Iが第2供給連通孔433より下がるまでインクを供給できるので、インクの使い切りを良くすることができる。
図15(c)の状態から更にインクが供給されて、インクの液面Iが供給凹部424の上端部より下方となり、第2供給連通孔423より低くなると、第2供給連通孔423を介して供給隔壁422により囲まれたインク供給室426内に大気が流入し、その結果、それ以上インクの供給が行えなくなる(図15(d)の状態)。
図15(d)に示すように、外周溶着部400bにおけるインク貯留室111の底部となる部分400b1と、第2供給連通孔423の下端との間には距離t1の差が設けられている。ここで、第2供給連通孔423がインク貯留室111の底部となる部分400b1より上方にあると、インクの液面Iが第2供給連通孔423に達すると、それ以上インクの供給が行えないので、インクの使い切りが悪くなる。そこで、供給凹部424を設け、第2供給連通孔423の位置をインク貯留室111の底部となる部分400b1より距離t1分下方に位置するよう構成している。そのため、図15(d)に示すように、インクの供給が終了した状態では、供給凹部424の底部近傍(第2供給連通孔423より下方部分)に若干のインクのみが残留するだけとなり供給できないインク量を格段に少なくすることができる。また、供給凹部424は、インク貯留室111の最底部に形成されているので(図14参照)、インクが少なくなったときインク貯留室111内のインクは供給凹部424に流れ込んで、供給凹部424に集まる。よって、供給凹部424を設けることにより、インク貯留室111内のインクの使い切りを良くすることができる。
また、供給凹部424内に残留するインク内には、カスEが残留している。これは、第2供給連通孔423と、供給凹部424の底部側壁(図15(d)下側の側壁)との間に距離t2の差が設けているからである。上述したように、第2供給連通孔423よりインクの液面Iが下がると、それ以上インクの供給ができないことから、第2供給連通孔423と供給凹部424の底部側壁との間にあるインクは、インク供給部120へ供給されず、供給凹部424内に残る。インク内には、インクカートリッジ14の製作時にフレーム部110内に残ってしまう埃やプラスチックカスが残留していることがあるが、その埃やプラスチックカスは、インクの比重より大きい比重となるので、フレーム部110内の底部近傍に残留する。よって、図15(d)に示すように、供給凹部424内に残留するインク内には、カスEが残留する。カスEがインク供給部120に供給され、多機能装置1(図1参照)に供給されると、インク詰まりが発生する可能性があり、正確な印刷ができなくなってしまう。しかし、上述したように、第2供給連通孔423と供給凹部424の底部側壁との間に距離t2を設けることにより、カスEは、供給凹部424内に残留するので、インク詰まりの発生を低減することができる。
次に、図16を参照して、大気連通路形成部430について説明する。図16は、大気連通路形成部430を示した図であり、図16(a)は、大気連通路形成部430の概略を示した斜視図であり、図16(b)は、図16(a)の矢印XVIb視における大気連通路形成部430を示した図であり、図16(c)は、図16(a)の矢印XVIc視における大気連通路形成部430を示した図である。
図16(a)に示すように、大気連通路形成部430は、大気導入部130と連通する略直方体に形成された第1大気連通室431と、インク貯留室111と連通する略直方体に形成された第2大気連通室432と、第1大気連通室431と第2大気連通室432とをフィルム160が溶着される第1面437a側(図16左手前側、第1面437aは仮想平面Rに含まれる面である)で連通する大気接続路433とを主に備えている。第1大気連通室431、第2大気連通室432及び大気接続路433は、図16(a)手前側にフィルム160が溶着されることで、それぞれ室及び通路が形成される。
第1大気連通室431の第1面437a側に対向する第2面437b側(第2面437bは上述した板部438の面である。)には、大気導入部130と連通する第1大気連通孔434が形成されている。また、第2大気連通室432には、インク貯留室111の第1室111aと連通する第2大気連通孔435が第1面437a側に形成され、インク貯留室111の第2室111bと連通する第3大気連通孔436が第2面437b(板部438)に形成されている。また、第1大気連通孔434は、第1大気連通室431の大気導入部130側(図16左奧側)の側壁面431aに形成され、連通口433bは、第2大気連通室432の第1大気連通室431側(図16左奧側)の側壁面432aに形成されている。なお、上述したように、大気接続路433の側壁の一方(図16(a)下側の側壁)が、内周溶着部412aである。
大気接続路433には、第1大気連通室431と第2大気連通室432とのそれぞれに連通する連通口433a,433bが第1面437a側に形成されており、その連通口433a,433bは、第1大気連通室431及び第2大気連通室432の側壁面積(連通口433a,433bが形成された側壁面431a,432a)より、極端に小さい開口面積となっている。大気を導入する通路の断面面積が極端に小さい部分(大気接続路433)を設けることにより(所謂ラビリンス)、大気が通過する場合の流通の抵抗が大きくなる。よって、大気接続路433を通って必要以上のインクが蒸発することを低減できる。
また、図14(a)からも明らかなように、大気接続路433は、第1大気連通室431から第2大気連通室432方向に下降傾斜している。大気接続路433が下降傾斜することにより、インクカートリッジ14が多機能装置1のリフィルユニット13に装着される姿勢にあるときに、大気接続路433内に侵入してしまったインクを重力によって自然にインク貯留室111へ戻すことができる。また、大気接続路433の断面面積を小さくすることで、インク貯留室111内に貯留されるインクが大気接続路433内に侵入することを低減することができる。ここで、大気接続路433内にインクが侵入すると、メニスカスが形成され正常に大気を導入できない場合がある。上述したように、大気接続路433は下降傾斜しているので、例えインクが侵入したとしてもインク貯留室111へインクを戻すので、メニスカスが形成されることを極力防止することができる。さらに、大気接続路433は、フィルム160が溶着されることで通路が形成されるので、少なくとも1つの面が撓み変形可能な側壁となる。すなわち、大気接続路433はその断面積が変化しやすく構成される。よって、メニスカスが形成されたとしても、そのフィルム160が撓み変形することでメニスカスが破壊されやすくなるので、大気を正常に導入することができる。なお、第2大気連通孔435の一部の面もフィルム160により形成されるので、第2大気連通孔435にメニスカスが形成されることを極力防止することができる。
また、第3大気連通孔436は、インクカートリッジ14が多機能装置1(図1参照)に装着された姿勢において(図16(a)の状態)、第2大気連通室432の最上部に形成されている。よって、第2大気連通孔435にメニスカスが形成されていたり、第2大気連通孔435を塞ぐほどインクが貯留されている場合であっても、第3大気連通孔436を介して大気をインク貯留室111内に確実に導入することができる。
次に、図16(b)及び図16(c)を参照して、大気連通路形成部430からのインクの漏れ出しを防止する機構について説明する。上述したように、インクカートリッジ14のケース200は互いに対向する一対の最大面を含む立方体状に形成されているため、これを平らな床上に載置させるときは、一対の最大面210a,220aのいずれか一方が下面(底面)となる2通りの載置姿勢を取り得る。このとき大気導入部130はケース200の側面に位置するが、以下に説明するようにいずれの姿勢においてもインクは大気連通路形成部430から漏れ出しにくいようになっている。
なお、図16(b)及び図16(c)は、2通りの載置姿勢にそれぞれ対応する大気連通路形成部430の姿勢を示すものであり、図16(b)は、大気接続路433が下側(フレーム部110の第1室111a側が下側、第1面437aが下側)に位置するようインクカートリッジ14が置かれた場合であり、図16(c)は、大気接続路433が上側(フレーム部110の第2室111b側が下側、第2面437bが下側)に位置するようインクカートリッジ14が置かれた場合である。
図16(b)に示すように、インクカートリッジ14の搬送中などに、大気接続路433が下側に位置するようインクカートリッジ14が置かれると、インク貯留室111内に貯留されたインクが第2大気連通室432及び大気連通室433を通って、第1大気連通室431内に侵入する。なお、上述したように、大気接続路433は、第2大気連通室432の側面の面積より極端に小さい連通口433bにより連通しているので、インク貯留室111内のインクが大気連通室433を通り第1大気連通室431内に、必ずしも侵入しない場合もある。図16(b)の状態では、第1大気連通孔434の開口位置までインクの液面Iが達していないので、大気接続路433が下側に位置するようインクカートリッジ14が置かれたとしても、インクが大気導入部130から外部に流出することを防止することができる。
図16(c)に示すように、インクカートリッジ14の搬送中などに、大気接続路433が上側に位置するようインクカートリッジ14が置かれると、インク貯留室111内に貯留されるインクは、第2大気連通室432に流入するが、大気接続路433の連通口433bの開口位置までインクの液面Iが達しない。その結果、連通口433bから大気接続路433内にインクが流入しないので、第1大気連通室431内にインクが流入しない。よって、大気接続路433が上側に位置するようインクカートリッジ14が置かれても、インクが大気導入部130から外部に流出することを防止することができる。
上述したように、第1大気連通室431、第2大気連通室432と大気接続路433を上記構成にすると共に、第1大気連通孔434の開口位置および連通口433bの開口位置を大気接続路433に対して対称となる位置に設けることで、大気導入部130からインクが漏れ出すことを防止することができる。さらに、大気接続路433の断面面積を小さくすることで、インクの蒸発を低減できると共に、第1大気連通室431内にインクが流入することを防止することができる。
ここで、図14に戻って、連結形成部440について説明する。連結形成部440は、インク貯留室111内において、大気導入部130近傍とインク分注部150近傍とを連結するものであり、インク貯留室111内の略中心位置に形成されている。よって、連結形成部440は、フレーム部110の対向する2箇所を連結するので、フレーム部110の強度を保つ補強部材でもある。また、連結形成部440は、第1開口112a側と第2開口112b側とが略同等の空間領域となるよう仕切る仕切板(インク貯留室111の第1室111aと第2室111bとを互いに連通した状態で仕切る仕切板)でもある。
連結形成部440は、内周溶着部415a,415bを境目として、大気導入部130側(図14(a)左側または図14(b)右側)に設けられた大気側連結部441と、インク分注部150側(図14(a)右側または図14(b)左側)に設けられた分注連結部442とで構成されている。大気側連結部441には、その大気側連結部441から内周溶着部413a,413b,414a,414bが、それぞれ第1及び第2開口112a,112b側(図14(a)紙面垂直方向視手前側及び奧側または図14(b)紙面垂直方向視手前側及び奧側、ここで紙面垂直方向はZ方向と平行)に立設されている。さらに、大気側連結部441の高さ方向(Y方向)の上端は、大気連通路形成部430の内周溶着部412aと連結している。また、分注側連結部442には、その分注側連結部442から内周溶着部416a,416b,417a,417bが、それぞれ第1及び第2開口112a,112b側(図14(a)紙面垂直方向視手前側及び奧側または図14(b)紙面垂直方向視手前側及び奧側、ここで紙面垂直方向はZ方向と平行)に立設されている。
また、大気側連結部441には、第1室111aと第2室111bとの間を連通する第1連結連通孔443が形成されており、分注側連結部442には、第1室111aと第2室111bとの間を連結する第2〜第4連結連通孔444〜446が形成されている。ここで、連結形成部440に連結連通孔443〜446が形成されていないと、インク貯留室111の略中心部において第1室111aと第2室111bとが連通しないので、第1室111aと第2室111bとのインク量に若干の差が生じる場合もある。第1室111aと第2室111bとのインク量に差があると、インク貯留室111内の気圧に差が生じるので、スムーズに(又は正確に)インクを供給できない弊害が生じる。しかし、連結連通孔443〜446を連結形成部440に拡散して形成することで、第1室111aと第2室111bとのインク量を略同等にすることができ、インクをスムーズに(又は正確に)供給することができる。
なお、大気側連結部441と分注側連結部442と大気連通路形成部430とで囲まれた部分は、第1室111aと第2室111bとを連通する第1貯留室内開口113であり、大気側連結部441と分注側連結部442と供給路形成部420とで囲まれた部分は、第1室111aと第2室111bとを連通する第2貯留室内開口114である。即ち、インク貯留室111内に大気を導入する部分と、インク貯留室111内に貯留されたインクを外部に供給する部分は、連結形成部440が存在しておらず、第1室111aと第2室111bとが仕切られることなく連通している。よって、大気の導入とインクの供給とを安定した空間内で行うことができる。
また、連結形成部440には、連結形成部440から第1開口112a側に立設する複数の内周溶着部412a〜417aを連結する連結リブ418a及び連結形成部440から第2開口112b側に立設する内周溶着部412b〜417bを連結する連結リブ418bが形成されている。この連結リブ418a,418bは、図示しないが、内周溶着部412a〜417a及び内周溶着部412b〜417bより低い立壁で且つ薄肉状に形成されている。さらに、連結リブ418a,418bは、そのほどんとが連結形成部440の縁に形成されている。よって、連結リブ418a,418bが内周溶着部412a〜417a,412b〜417bを連結すると共に、連結形成部440の縁に形成されているので、連結形成部440の強度を保つことができる。また、連結リブ418a,418bは、薄肉状に形成されると共に、内周溶着部412a〜417a,412b〜417bより低い立壁で形成されているので、インクの流れを妨げにくくなっている。
次に、図17を参照して、分注路形成部450について説明する。図17は、分注路形成部450を示した図であり、図17(a)は、分注路形成部450の概略を示した図であり、図17(b)は、図17(a)のXVIIb−XVIIb線における分注路形成部450の断面図である。なお、分注路形成部450には、インクが分注される姿勢において、インク貯留室111内の最上部に位置しており、分注されたインクはインク供給部120及び大気導入部130方向に流下する。
図示するように、分注路形成部450は、後述するインク分注栓520(図21参照)が圧入される略筒状に形成された分注筒部451と、その分注筒部451とインク貯留室111内との間を連通する第1分注連通孔452と、分注筒部451の外面から立設されその立設先端がフィルム160が溶着される溶着面部になるとともに、第1分注連通孔452をインク貯留室111に対して隔壁する略U字状の分注隔壁453と、その分注隔壁453の開口部分となる第2分注連通孔454とを主に備えている。また、分注筒部451の開放された部分は、フレーム部110の外側端面に形成される開口451aであり、その開口451aに対向する面が分注筒部451の底部451bである。また、分注隔壁453とフィルム160とにより画定される範囲は、分注隔壁流路453aである。
なお、分注隔壁453は、フィルム160が溶着される内周溶着部となるものであり、フィルム160が溶着された状態で分注隔壁流路453a及び第2分注連通孔454が形成される。また、分注隔壁453の溶着端部は、他の内周溶着部411b〜417bの溶着端部と同様に、外周溶着部400bの溶着端部と同一の仮想平面上に位置している。
また、後述するが、インク貯留室111内にインクを分注する場合には、第2分注連通孔454が上方に位置し第1分注連通孔452が下方に位置する状態で、インクの分注が行われる(図17(a)においてY方向を水平方向とした姿勢)。また、分注形成部450の分注筒部451、第1分注連通孔452、分注隔壁453に囲まれた分注隔壁流路453a、第2分注連通孔454の順番にインクが通り、インクの液面Iが図17(a)に達するぐらいまでインクが分注される。また、分注隔壁453は、第1分注連通孔452から第2分注連通孔454まで略直線的に形成されている。よって、インクの分注が抵抗無くスムーズに行われる。
なお、インク貯留室111内が一杯になるようインクを分注すると、インクカートリッジ14が置かれる環境によっては、インクの体積が膨張してフィルム160が破損したり変形したりする。フィルム160が破損すればインクが漏れ出すし、フィルム160が変形すればインク貯留室111内の容積が変化して安定したインクの供給を行えない。よって、フィルム160の破損及び変形を防止するために、インク貯留室111内が一杯になるまでインクを分注しない。
また、本実施例では、インクが分注された後のインク貯留室111内の気圧を大気圧より低くする。そのため、分注路形成部450からインク貯留室111内の大気を吸引して減圧する後減圧工程が行われる場合がある。これは、インクの脱気度を保つために、インク貯留室111内の大気を減らすために行われると共に、インク内に気泡が発生するのを低減するために行われる。インクの脱気は、インクの粘性を略一定に保つためであり、インク内の気泡の発生は、気泡が多機能装置1(図1参照)に供給されてしまうと、インクを吐出するための圧力が吐出口(図示せず)に伝わらず正確なインクの吐出できないからである。
また、後減圧工程を行う場合に、分注路形成部450からインク貯留室111内の大気を吸引すると、折角適量のインクを分注したにも関わらず、正確なインク量とならない。インク量が減少すれば、インクカートリッジ14の使用者に損失を与えてしまうこととなり、好ましくない。そこで、第1分注連通孔452を略U字状の分注隔壁453で囲み、第2分注連通孔454をインクの液面I(又は第1分注連通孔452)より上方(図17(a)上側)にすることで、インク貯留室111内を減圧したとしても、インクの液面Iと第2分注連通孔454との間に距離があるので、インク貯留室111内のインクが分注路形成部450を通って、外部に抜き取られることを極力防止することができる。
ここで、図18を参照して、検出部140近傍の構造について説明する。図18は、検出部140近傍を示した図であり、図18(a)は、検出部140近傍の概略を示した図であり、図18(b)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線における検出部140の断面図であり、図18(c)は、図18(a)のXVIIIc−XVIIIc線における検出部140近傍の断面図である。
図18(a)に示すように、検出部140は、フレーム部110から外方(図18(a)右側)に突起している。検出部140は、センサーアーム470(図19参照)の先端(遮蔽アーム部473c)を一対の壁面によって挟みむように内包し、センサーアーム470が変位可能な通路を形成する内包部141を備えている。内包部141は、内包部141内の下部(図18(a)下側)の底壁141aによって形成される底面と、底壁141aから両側に立設される両側壁141bによって形成される一対の側面と、底壁141aから立設されると共に両側壁141bと連設される奧側側壁141cによって形成される奧側側面と、両側壁141b及び奧側側壁141cの上縁部と連設され底壁141aに対向配置される天井壁141dによって形成される天井面により略箱状の通路に形成されている。検出部140は、さらに、底壁141aによって形成される底面から上方に突出するように設けられ、センサーアーム470を下方から支持するアーム支持部142を備えており、検出部140の近傍には、アーム支持部142と連接され、供給路形成部420方向に延びると共に、フレーム部110の内壁(外周溶着部400b)から立設した立壁143が設けられている。図18(b)から明らかなように、アーム支持部142は、検出部140内の通路の幅方向(Z方向)における中央に形成されており、センサーアーム470の先端(遮蔽アーム部473c)も検出部140内の通路の中央に位置するように配されている。なお、詳細は後述するが、センサーアーム470はインク貯留室111内のインク量に応じて回動するものであって、多機能装置1に設けられたインク残量検出センサ57(図5参照)によって遮蔽アーム部473cの位置を検出することにより、インクカートリッジ14が多機能装置1のリフィルユニット13の収納室50(図4参照)に装着されたこと、及びインク残量が少なくなったことを検出するために用いられる部材である。図18(b)には、インクカートリッジ14が多機能装置1の収納室50に収納されたときの、インク残量検出センサ57の発光部57aと受光部57bの位置が示されているが、図示されるように、発光部57aと受光部57bは検出部140に近接して位置している。
図18(b)に示すように、内包部141の内壁(一対の壁面、両側壁141bの内面)とセンサーアーム470の外壁との間の第1間隙t3より、内包部141の内壁(一対の壁面、両側壁141bの内面)とアーム支持部142の外壁との間の第2間隙t4の方が狭くなるように、アーム支持部142の厚みが形成されている。ここで、検出部140内に貯留されたインクが減少し、そのインクの減少にしたがってインクの液面Iが下がり、検出部140よりインクの液面Iが下がると、検出部140内のインクがなくなるが、センサーアーム470と内包部141との間の第1間隙t3が微小であることから、インクの表面張力により検出部140内にインクが残り、そのインクの表面張力によりセンサーアーム470が正常に回動動作しない場合がある。因みに、第1間隔t3を微小間隔としているのは、この間隔を広くすると発光部57aと受光部57bの間隔も広がり、インク残量検出センサ57の検出感度が劣化するからである。そこで、第1間隙t3>第2間隙t4となるようアーム支持部142を形成することで、センサーアーム470と内包部141との間に生じるインクの表面張力より、アーム支持部142と内包部141との間に生じるインクの表面張力の方が大きくなるようにしている。これにより、内包部141内に残留するインクは、アーム支持部142と内包部141との間に引き寄せられるので、センサーアーム470と内包部141との間にインクが残ることを極力回避でき、センサーアーム470の挙動が阻害されることを抑制することができる。従って、センサーアーム470が正常に挙動するので、インク残量を正確に検出することができる。
また、図18(a)に示すように、内包部141の下部(図18(a)下側)の底壁141aは、インク貯留室111方向に下降傾斜しているので、内包部141内の底壁141aにより形成される底面も下降傾斜している。よって、内包部141とアーム支持部142との間に引き寄せられたインクは、インク貯留室111(又は供給路形成部420)方向に流下する。さらに、図18(b)の断面図に示すように、内包部141の底壁141aとアーム支持部142との連接部分(縁部)は、断面視角状(略直角)に形成されているので、その内包部141とアーム支持部142との連接部分の毛管力が強くなり、インクをインク貯留室111(又は供給路形成部420)側に誘導し易い形状になっている。即ち、内包部141とアーム支持部142との連結部分は、インクを誘導する液体誘導(案内)路となる。よって、内包部141内に残留するインクを効率よく流下させることができる。
また、図18(a)に示すように、アーム支持部141に連接される立壁143は、アーム支持部141から供給路形成部420方向に下降傾斜する傾斜面143aに形成されている。なお、傾斜面143aは、フレーム部110の内壁(外周溶着部400b)の一部を構成する。さらに、図18(c)の断面図に示すように、立壁143とフレーム部110の内壁との連接部分は、断面視角状(略直角)に形成されると共に、アーム支持部141の厚みと略同等に形成されている。よって、立壁143が供給路形成部420方向に下降傾斜していると共に、フレーム部110の内壁との連接部分が略直角に形成されているので、その傾斜と毛管力により効率よく供給路形成部420方向にインクを誘導することができる。即ち、立壁143とフレーム部110の内壁との連結部分は、インクを誘導する液体誘導(案内)路となる。なお、アーム支持部142と立壁143との厚みが略同等に形成されているので、アーム支持部142から立壁143が連続して形成される。よって、供給路形成部420へのインクの誘導にも抵抗がなく効率良くインクを誘導することができる。
なお、センサーアーム470が上方へ回動した場合には、検出部140の底壁141aと対向する天井壁141cにより形成される天井面にセンサーアーム470が当接し、センサーアーム470の回動が規制される。よって、センサーアーム470が内包部140から飛び出すことを防止できるので、センサーアーム470の挙動が正確となり、インク残量を正確に検出することができる。
ここで、図19を参照して、センサーアーム470について説明する。図19は、センサーアーム470を示した図であり、図19(a)は、センサーアーム470の正面側を示した図であり、図19(b)は、図19(a)の矢印XIXb視におけるセンサーアーム470を示した図である。センサーアーム470は、インク貯留室111内のインク残量を検出するための部材である。また、センサーアーム470は、樹脂材料(例えばポリプロピレン)から構成されており、射出成形により製造される。
センサーアーム470は、インク貯留室111内でインク残量に応じて回動する回動部材であり、インク貯留室111内に貯留されるインク残量を検出するインク残量検出センサ57(図5参照)により一部分が検出される。センサーアーム470は、インクの比重より小さい比重となる素材で形成されたバランス部471と、フレーム部110に揺動可能に取り付けられる取付部472と、その取付部472からバランス部471に対して略垂直方向(図19(a)上方)に延びると共にさらに上方へ傾斜して延び、インク残量検出センサ57の検出可能範囲を遮るアーム部473とを主に備えている。なお、取付部472は、バランス部471とアーム部473とを連結する連結部となる。
取付部472には、フレーム部110のアーム挟持部425(図14参照)に取り付けられる略円柱状の取付軸472aが形成されている。この取付軸472aは、アーム挟持部425の内径より小さい直径に形成されると共に、アーム挟持部425の開口の長さより大きな直径に形成されている。よって、センサーアーム470が回動動作する場合に、抵抗が少なく動作できると共にセンサーアーム470がアーム挟持部425から外れてしまうことを防止できる。
アーム部473は、バランス部471に対して略垂直方向(図19(a)上方)に延びる垂直アーム部473aと、その垂直アーム部473aから上方傾斜した傾斜アーム部473bと、インク残量検出センサ57の検出可能範囲を遮る光遮断部としての遮蔽アーム部473cとで構成されている。
図19(b)に示すように、アーム部473は、バランス部471及び取付部472に対して極端に薄く形成されている。これは、アーム部473が厚く形成されていると、検出部140が大規模化され、その結果インクカートリッジ14が大きくなったり、センサーアーム470が回動動作する場合の抵抗力が増え、正確なインク残量が検出できない場合がある。さらに、上述したように、検出部140の厚みが増すと、その分インク残量検出センサ57の検出範囲が広くなり検出感度が劣化することから、検出特性の良い高価で高性能なインク残量検出センサが必要となる。そこで、インクカートリッジ14の大規模化を防止すると共に正確なインク残量を検出するために、アーム部473が薄く形成されている。なお、垂直アーム部473aと傾斜アーム部473bには、リブ473dが形成され強度が保たれている。
また、遮蔽アーム部473cには、検出部140内に収納される部分の上下2箇所(図19(a)上側端部と下側端部)に、略半球状のアーム突起部473e1,473e2が設けられており、このアーム突起部473e1,473e2により遮蔽アーム部473cがインクの表面張力により検出部140の内壁に密着して回動不能となることを低減している。即ち、アーム突起部473e1,373e2が半球状に形成されているので、検出部140の内壁と当接する部分がアーム突起部473e1,473e2の先端だけとなるので、インクの表面張力の影響が少なくなる。
バランス部471は、インクの比重より小さい比重となる樹脂材料から構成されているので、インクの残量の低下に伴いインクの液面Iが下がると、そのインクの液面Iが下がることに伴ってバランス部471がフレーム部110の底部方向(インク貯留室111の底部方向、図14(a)及び図14(b)では下方)に移動する。バランス部471が底部方向に移動すると、取付部472を回転軸の支軸として、アーム部473が上部方向へ移動して、遮蔽アーム部473cがインク残量検出センサ57の検出可能範囲から外れてインクが無くなった状態を検出できる。
なお、従来のバランス部は、バランス部をインクの液面Iに浮かせるために、バランス部内部を空洞化したものがあったが、この構成では、バランス部の加工(又は成形)が困難となる。これに対し、本実施例では、センサーアーム470の素材をインクの比重より小さい比重となる素材で構成しているので、加工工程を必要とせず、さらに、複雑な金型を製作する必要がないので、センサーアーム470の製作コストを低減することができる。
次に、図20を参照して、インク供給部120、大気導入部130及び検出部140の位置関係および形状について説明する。図20は、インク貯留体100の一部を示した図であり、図20(a)は、インク貯留体100の側面を示した図であり、図20(b)は、インク貯留体100の正面の一部を示した図であり、図20(c)は、図20(a)のXXc−XXc線における断面図である。
図20(a)及び図20(b)に示すように、フレーム部110の1の側面(一端面、インクカートリッジ14が装着される場合にその装着方向前方となる側面)には、インク供給部120、大気導入部130及び検出部140が設けられている。なお、上述したように、図20(a)及び図20(b)に示した姿勢が、リフィルユニット13(図1参照)の収納室50内にインクカートリッジ14が装着される姿勢である。よって、インクカートリッジ14がリフィルユニット13内に装着された状態では、上方(図20(a)上方)から下方(図20(a)下方)に、大気導入部130、検出部140、インク供給部120の順番に整列する。すなわち、インクカートリッジ14の高さ方向(Y方向)に整列する。
また、図20(a)に示すように、検出部140の幅t5は、インク供給部120の開口(後述する供給キャップ600の開口600a(図34参照))直径t6に対して短く構成されている。さらに、図20(b)に示すように、インク供給部120及び大気導入部130に対して、検出部140は、フレーム部110方向に凹んで(インク貯留室111側に後退した位置に)形成されている。
上述したように、検出部140内側には、センサーアーム470のアーム部473が位置している。また、後述するが、アーム部473が回動動作することによって、インク残量検出センサ57(図5参照)の光路が遮光状態から開放されることでインクの残量を検出することができる。インク残量検出センサ57は、検出部140の両側(図20(a)の左右両側)に受光部57bと発光部57aとが位置するので、検出部140の両側面(図20(a)左右両側の面、図20(b)手前側および奧側の面)が検出面140a,140bとなる。なお、図20(a)から明らかなように、これらの検出面140a,140bは、インクカートリッジ14がリフィルユニット13に装着された姿勢にあるとき、インクカートリッジ14の高さ方向(Y方向)と平行、すなわち鉛直となる。そして、これらの検出面140a,140bの表面にインクが付着した場合には、正確なインクの残量を検出できない場合がある。
例えば、多機能装置1の搬送時には、必ずしも多機能装置1が水平となるよう搬送されるとは限らない。よって、インク供給部120が上部に位置する場合もあるが、このときインク供給部120からインクが漏れ出し検出部140に付着してしまうことがある。また、インクカートリッジ144をリフィルユニット13から一旦取り外す際には、多機能装置1のニードル49に付着したインクがインク供給部120の開口近傍にインクが付着しやすいが、取り外した後、ユーザがインクカートリッジ14を取り扱う際の姿勢によっては、インク供給部120の開口近傍に付着したインクが検出部140に付着することがある。そして、検出部140にインクが付着した状態で、再度インクカートリッジ14をリフィルユニット13に装着すると、上述したように、装着状態においては検出部140(の検出面140a,140b)とインク残量検出センサ57の受光部57bと発光部57aが近接するので、検出部140に付着したインクがインク残量検出センサ57の受光部57bと発光部57aに乗り移る虞がある。このようにして、インク残量検出センサ57に付着したインクは、光を遮るためインク残量検出センサ57の感度を悪化させることとなる。この感度の悪化は、顔料インクを用いるブラックカートリッジにおいてはさらに顕著になる。
本実施例では、図20(b)に示すように、検出部140の位置が、インク供給部120に対してインク貯留室111側に後退した位置に設けられているので、インク供給部120からインクが垂れ落ちたとしても、検出部140に付着しにくくすることができる。すなわち、インク供給部120の開口近傍に付着したインクは、ユーザがインクカートリッジ14をインク供給部120が検出部140よりも上方で、且つ、インク供給部120の端面(供給キャップ600の開口600aが形成された端面)が垂直となる姿勢に保持したときに、最も重力の影響を受けて落下しやすくなるが、検出部140がインク供給部120に対してインク貯留室111側に後退しているため、落下するインクが検出部140には向かわず、よって検出部140には付着しないのである。
また、検出面140a,140bは、インクカートリッジ14がリフィルユニット13に装着された姿勢にあるとき鉛直となるので、検出面140a,140bにインクが付着したままインクカートリッジ14をリフィルユニット13に装着したとき、インクは重力の影響を最も受けやすくなるため速やかに落下する。従って、インクがインク残量検出センサ57の受光部57bと発光部57aに乗り移ることを極力回避することができる。しかも、落下したインクが、インク供給部120の端面には付着しない。
さらに、図20(c)に示すように、検出部140は、フレーム部110の側面から検出面140a,140bを形成する側壁が立設されている。よって、フレーム部110の側面と検出面140a,140bとが交わる縁部140cは、略直角の角度に形成されている。縁部140c近傍にインクが付着した場合には、縁部140cが略直角に形成されているので、縁部140cの毛細管力が作用して、インクが縁部140cを伝わってインク供給部120側に流れやすくなる。よって、検出面140a,140bにインクが付着することを低減することができる。
次に、図21を参照して、インク貯留体100の部品構成について説明する。図21は、インク貯留体100を分解した正面図である。
図21に示すように、インク貯留体100は、主に4つの要素に分解される。4つの部品は、フレーム部110と、インク供給部120を構成するインク供給機構500と、大気導入部130を構成する大気導入機構510と、インク分注部150の分注筒部451(図17参照)内に圧入されるインク分注栓520とである。インク分注栓520は、プルチゴムなどの弾性部材で構成されており、一旦、分注筒部451内に圧入されると、簡単に取り外しができないと共に、針を抜き差ししても針の進入路が閉塞されるよう構成されている。
また、フレーム部110には、インク供給機構500の一部が内挿される略筒状に形成されたインク供給体116と、大気導入機構510の一部が内挿される略筒状に形成された大気導入体117とが一体に形成されている。さらに、インク供給体116には、インク供給機構500を固着するためにインク供給体116の外周方向に突起した突起部116a,116b(突起部116bは図示せず)が、インク供給体115の軸心を中心に対称配置(図21紙面垂直方向手前側と奧側に配置)されている。同様に、大気導入体117には、大気導入機構510を固着するために大気導入体117の外周方向に突起した突起部117a,117b(突起部117bは図示せず)が、大気導入体117の軸心を中心に対称配置(図21紙面垂直方向手前側と奧側に配置)されている。突起部116a,116b,117a,117bは、インク貯留室111側の端面が、インク供給体116の外周面又は大気導入体117の外周面に対して垂直方向(Z方向)に突起しており、その突起した先端部から、インク供給体116の外周面または大気導入体117の外周面に傾斜して形成されている。即ち、インク供給機構500及び大気導入機構510がインク供給体116及び大気導入体117に取り付けられた場合には、インク供給機構500及び大気導入機構510が簡単に脱着されることを防止できる。
次に、図22から図33を参照して、インク供給機構500及び大気導入機構510の構成部品について説明する。図22は、インク供給機構500及び大気導入機構510を分解した図であり、図22(a)は、インク供給機構500の分解図であり、図22(b)は、大気導入機構510の分解図である。
図22(a)に示すように、インク供給機構500は、インク供給体116に装着される供給キャップ600と、多機能装置1(図1参照)のニードル49(図2参照)が挿入されるゴム等の弾性を有する樹脂材料から構成された供給ジョイント610と、その供給ジョイント610と底壁が当接したときにインクの流路を閉塞する供給バルブ620と、その供給バルブ620内に収納され樹脂性の弾性材料で構成された第1供給スプリング630と、供給バルブ620の開放面を覆うと共にニードル49に押圧された供給バルブ620の移動方向である1軸方向(図22(a)軸心O1方向、以下「インク供給機構500の軸心O1方向」とも称す、この方向は、図14から明らかなように、インク供給機構500がインクカートリッジ14に組み込まれるとX方向と平行になる)に動作可能な供給スライダ640と、その供給スライダ640内に収納され第1供給スプリング630と同材料で同形状に形成された第2供給スプリング650と、その第2供給スプリング650と当接すると共に逆止弁670を受ける弁座660と、その弁座660との間で逆止弁670を覆うカバー680とを備えている。なお、供給バルブ620、第1供給スプリング630、供給スライダ640及び第2供給スプリング650が実際に動作する供給弁機構501となる。
また、図22(b)に示すように、大気導入機構510は、大気導入体117に装着される大気キャップ700と、ゴム等の弾性を有する樹脂材料から構成された大気ジョイント710と、その大気ジョイント710と底壁が当接した場合にインクの流路を閉塞すると共に、インクカートリッジ14が多機能装置1(リフィルユニット13、図1参照)に装着される場合に、多機能装置1の背面56(図5参照)と当接して大気の流路(通路)を開放する大気バルブ720と、その大気バルブ720内に収納され樹脂性の弾性材料で構成された第1大気スプリング730と、大気バルブ720の開放面を覆うと共に押圧された大気バルブ720の移動方向である1軸方向(図22(b)矢印O2方向、以下「大気供給機構510の軸心O2方向」とも称す、図14から明らかなように、大気供給機構510がインクカートリッジ14が組み込まれるとX方向と平行になる)に動作可能な大気スライダ740と、その大気スライダ740内に収納され第1大気スプリング730と同材料で同形状に形成された第2大気スプリング750とを備えている。なお、大気バルブ720、第1大気スプリング730、大気スライダ740及び第2大気スプリング750が実際に動作する大気弁機構511となる。
以下に、図23から図33を参照して、供給キャップ600、供給ジョイント610、供給バルブ620、第1及び第2供給スプリング630,650、供給スライダ640、弁座660、逆止弁670、カバー680、大気キャップ700、大気ジョイント710、大気バルブ720、第1及び第2大気スプリング730,750、大気スライダ740について説明する。
図23は、供給キャップ600を示した図であり、図23(a)は、供給キャップ600の側面を示した図であり、図23(b)は、図23(a)の矢印XXIIIb視における供給キャップ600の側面を示した図であり、図23(c)は、供給キャップ600の平面を示した図であり、図23(d)は、供給キャップ600の底面を示した図であり、図23(e)は、図23(c)のXXIIIe−XXIIIe線における供給キャップ600の断面図である。
図23(a)に示すように、供給キャップ600は、側面視(図23(a)紙面垂直方向視)2段形状に形成されており、図23(a)上側部分は、インク供給体116の外周面に対して固着され、略筒状に形成された供給固着部601であり、図23(b)下側部分は、インクカートリッジ14外部へのインク垂れを防止するためのインク貯め空間を有するインク貯め部602である。
供給固着部601には、インク貯め部602の連結部分から上部近傍(図23(a)上側端部近傍)に至る部分まで形成され、供給キャップ600がインク供給体116(図21参照)に固着される場合に、そのインク供給体116の突起部116a,116b(図21参照)と係合する係合孔603a,603b(係合孔601bは図23(b)参照)が形成されている。
図23(b)に示すように、供給固着部601には、係合孔603a,603bを結ぶ直線に対して略直交する直線上に並んで形成され(インク供給機構500の軸心O1に対して略90度移動した位置)、供給固着部601の上面(図23(b)上側端面)からインク貯め部602方向に向かって切りかかれた一対の供給キャップ切欠部604a,604b(供給キャップ切欠部604bは図23(c)参照)が形成されている。
図23(c)の正面図および図23(d)の底面図に示すように、供給キャップ600のインク貯め部602の略中心位置には、後述するニードル49(図2参照)が挿通される挿通孔605が形成されている。図23(c)に示すように、挿通孔605を形成する円から1つ外側の円までは、インク貯め部602の上部端面を形成する第1上部壁606aであり、第1上部壁606aを形成する外側の円から1つ外側の円までは、インク貯め部602の底面方向に下降傾斜した傾斜面を形成する傾斜壁606bであり、その傾斜壁606bを形成する外側の円から1つ外側の円までは、インク貯め部602の下部端面を形成する下部壁606cであり、下部壁606cを形成する外側の円から1つ外側の円までは、供給固着部601の下部端面を形成すると共にインク貯め部602の上部端面を形成する第2上部壁606dであり、下部壁606cと第2上部壁606dとを連結する部分がインク貯め部602の外周面を形成する外周壁606eである。なお、傾斜壁606bがインク貯め部602の内側の筒状部となると共に、その傾斜壁606bに対して下部壁606cにより連結された外周壁606eは、傾斜壁606b(内側の筒状部)を取り囲む外側の筒状部となる。
また、図23(d)では、傾斜壁606bが下降傾斜しているので、ニードル49の挿入口は、インクの最終的な出口となる開口600aを最大径として挿通孔605に向かって縮径し、図23(e)の断面図に図示するようにテーパ状に形成されている。よって、ニードル49が挿入される場合には、そのテーパ状に形成された傾斜面に誘導されつつ行われるので、ニードル49の挿入がスムーズに行われる。よって、傾斜壁606bの軸心O1側の内周面がニードル49(図2参照)が挿入される挿入路となる。また、図23(c)及び図23(e)に示す範囲t7の間(即ち、傾斜壁606b、下部壁606c及び外周壁606eにより形成される空間)がインクを貯蔵(貯留)可能なインク貯蔵部607となる。
なお、供給キャップ600をインク供給体116(図21参照)に取り付ける場合には、インク供給体116の突起部116a,116bが外周方向に突起しているので、供給キャップ600が外周方向に拡径しながら取り付けが行われる。供給キャップ600の拡径は、供給キャップ切欠部604a,604bが形成されているため、係合孔603a,603bが互いに離れる方向に拡径する。よって、供給キャップ600を取り付ける場合に、強い圧力をかけることなく行えるので、供給キャップ600の破損を低減しつつ装着効率を向上することができる。
図24は、供給ジョイント610を示した図であり、図24(a)は、供給ジョイント610の側面を示した図であり、図24(b)は、供給ジョイント610の平面を示した図であり、図24(c)は、供給ジョイント610の底面を示した図であり、図24(d)は、図24(b)のXXIVd−XXIVd線における供給ジョイント610の断面図である。
図24(a)に示すように、供給ジョイント610は、側面視(図24(a)紙面垂直方向視)において3段に形成されている。最下段部(図24(a)下側)に示されている部分は、供給キャップ600(図23参照)のインク貯め部602の第2上部壁606d及び供給固着部601の内周面に当接する部分であり、供給ジョイント610の外周部を形成するジョイント外周部611である。このジョイント外周部611は、供給キャップ600がインク供給体116に固着された状態となると、供給キャップ600の第2上部壁606dとインク供給体116の外側端面との間に挟持される部分である。ジョイント外周部611の上段に示された部分は、インク供給体116(図21参照)の内部に圧入されて配設されると共に、供給ジョイント610の内周部を形成するジョイント内周部612であり、図24(a)には、ジョイント内周部612の上部分が図示されている。さらに、ジョイント内周部612の上段に示された部分は、供給バルブ620(図25参照)と当接するジョイント当接部613である。また、供給ジョイント610は、樹脂ゴム等の弾性材料によって構成されている。
なお、図24(b)に示すように、供給ジョイント610の軸心は、インク供給機構500の軸心O1上に位置し、その軸心O1から外周方向に向かって、ジョイント当接部613、ジョイント内周部612、ジョイント外周部611の順番に形成されている。
図24(d)に示すように、ジョイント内周部612の上面612a(供給バルブ620と接触する側の面)からは、ジョイント当接部613が突出している。ジョイント当接部613は、先端部613a(図24(d)上側端部)に向かうほど細く形成されており、その先端部613aが供給バルブ620の底面に当接して、インクの流路を閉塞する。さらに、ジョイント内周部612には、その内周面から軸心O1に向かって突起したジョイント突起部614と、ジョイント内周部612の底面612b(図24(d)下側)に形成されたニードル49(図2参照)の挿入口となる開口612cと、開口612cとジョイント突起部614との間に形成された階段状の挿入通路612dとが形成されている。図24(c)に示すように、挿入通路612dの階段状に形成された部分は、軸心O1から外周方向に略等間隔に形成されている。なお、ジョイント突起部614の内周面614aは、インク供給機構500の軸心O1方向と平行に設けられており、段差面614bは、軸心O1方向に対して直交する方向に設けられている。
また、図24(d)に示すように、供給ジョイント610には、ジョイント内周部612の底面612bからジョイント当接部613の先端部613a(図24(d)上側から下側)まで貫通したインク流路615が形成されている。このインク流路615は、底面612bに形成された開口612cと、開口612cに連設された階段状の挿入通路612dにより画定された階段部流路615aと、挿入通路612dに連接されたジョイント突起部614の内周面614aにより画定された突起部流路615bと、ジョイント突起部614の内周面614aに連設された段差面614bとこの段差面614bに連設されたジョイント当接部613の内周面613bとによって画定された当接部流路615cから構成されている。
階段部流路615aは、軸心O1方向において下部半分が階段状に形成されると共に、上部半分が突起部流路615bに向かってテーパ状に形成されている。また、階段部流路615aは、開口612cからジョイント突起部614の内周面614aとの連接部に向けて徐々に径が小さくなる階段状に形成されている。階段部流路615aは、下部が階段状に形成されているので、ニードル49(図2参照)が抜かれて微量なインクがインク流路615を伝わって流れてきても、その階段部の角部による毛管力によりインクを保持し、供給ジョイント610外部へインクが垂れ出すことを防止することができる。また、ニードル49が抜かれる際に、ニードル49の先端からインク流路615内にインクが垂れ落ちたとしても同様に垂れ出しを防止できる。なお、本実施例では、供給キャップ600がインク貯め部602を備えているので、階段部流路615aの下部半分の階段状に形成された部分をテーパ状に形成するものとしても良い。
突起部流路615bは、インク流路615の最小内径となる流路であり、略中空円柱状に形成されている。この突起部流路615bの内径は、ニードル49(図2参照)の直径よりも若干小さく形成されている。当接部流路615cは、突起部流路615bよりも大きい内径を有する略中空円柱状に形成されており、その内径はニードル49の直径よりも十分に大きなものとなっている。そして、突起部流路615bと当接部流路615cの境界に段差面614bが形成されることにより、突起部流路615bから当接部流路615cに至る軸心O1方向における内径は急激に変化している。これにより、図24(d)に示すように、ジョイント当接部613は、その内周面613bと段差面614bとによって座繰状に切り欠かれた構造となっており、その切り欠き部分の周囲にジョイント当接部613の先端部613aが位置するようになっている。
開口612cから挿入されたニードル49は、階段部流路615aのテーパ状に形成された上部部分に案内されて突起部流路615bに挿入される。このとき、突起部流路615bの内径はニードル49の直径よりも若干小さいため、ニードル49は、突起部流路615bを形成するジョイント突起部614の内周面614aに弾性的に密着して突起部流路615bを押し広げるように圧入される。即ち、ジョイント突起部614は、突起部流路615bに圧入されたニードル49の周囲を封止するように作用する。なお、供給ジョイント610のニードル49の外周と弾性的に密着する部分の面積が多くなると、インクカートリッジ14の多機能装置1(図1参照)への装着時の抵抗が大きくなり、スムーズな装着ができなくなってしまう。しかし、本実施例では、ジョイント突起部614を設け、この内周面614aにおいてのみニードル49と当接する構成としたので、ニードル49との密着面を少なくすることができ、多機能装置1への装着をスムーズに行うことができる。なお、インク流路615は、ニードル49が挿通されるので、実際にインクが流れる流路は、ニードル49の内部となる。また、当接部流路615cを座ぐり状に形成することで、ニードル49が挿通された場合の供給ジョイント610の軸心O1方向への変位を少なくすることができる。
図25は、供給バルブ620を示した図であり、図25(a)は、供給バルブ620の側面を示した図であり、図25(b)は、図25(a)の矢印XXVb視における供給バルブ620の側面とを示した図であり、図25(c)は、供給バルブ620の平面を示した図であり、図25(d)は、供給バルブ620の底面を示した図であり、図25(e)は、図25(c)のXXVe−XXVe線における供給バルブ620の断面図である。
図25(a)に示すように、供給バルブ620は、供給バルブ620の底面(図25(a)下側面)を形成するバルブ底壁621と、そのバルブ底壁621からインク供給機構500(図22参照)の軸心O1方向に沿って立設されるバルブ外周壁622とを備えている。
バルブ外周壁622には、供給スライダ640(図27参照)のスライダ緩挿部643が緩挿される一対のバルブガイド溝623が形成されている。図25(c)に示すように、一対のバルブガイド溝623は、インク供給機構500の軸心O1に対して対称形成されている。また、図25(a)に示すように、バルブ外周壁622には、軸心O1方向において、バルブ外周壁622の上部からバルブ底壁621の反対方向に突出するバルブ突出壁624が形成されており、バルブガイド溝623は、そのバルブ突出壁624の先端からバルブ外周壁622の下部近傍に亘って形成されている。よって、バルブガイド溝623の距離を長く確保することにより、スライダ緩挿部643がバルブガイド溝623から外れてしまうことを防止できる。
また、バルブ外周壁622には、バルブ底壁621の反対方向に突出し、供給スライダ640の動作を規制する一対のバルブ規制部625が連接されている。バルブ規制部625の各々は、その先端(図25(a)上側部分の先端)から軸心O1に向かって突出すると共に、供給スライダ640と係合するバルブフック部626を備えている。
さらに、バルブ外周壁622には、外周方向に半円状に突起し、バルブ外周壁622の上部から下部に亘って形成されたバルブ突起部622aがバルブ外周壁622に沿って等間隔に4つ形成されている。このバルブ突起部622aは、供給バルブ620がインク供給体116(図21参照)内に挿入された場合に、供給バルブ620の動作をスムーズに行うために設けられている。バルブ突起部622aがないと、インク供給体116の内周面とバルブ外周壁622が当接する場合があるので、インク供給体116との当接面積が大きくなり、動作時の抵抗が大きくなってしまう。そこで、半円状に突起したバルブ突起部622aを設けることで、インク供給体116の内周面にはバルブ突起部622aのみが当接するようになり、供給バルブ620のインク供給体116内の動作がスムーズになる。
また、バルブ規制部625及びバルブ突出壁624は、バルブ外周壁622から上方へ延びて形成されている。これにより、軸心O1方向に直交する方向への供給スライダ640のずれを防止することができる。さらに、バルブ規制部625により供給スライダ640の軸心O1方向への動作を規制するので、第1供給スプリング630を確実に収納して動作させることができる。
図25(c)に示すように、インク供給機構500の軸心O1方向(図25(c)紙面垂直方向)視において、バルブ底壁621には、バルブガイド溝623及びバルブ規制部625に対応した位置に、バルブ底壁621の上下方向(図25(c)紙面垂直方向)に連通する4つのインク流路627が形成されている。また、バルブ底壁621は、その底面から上方(図25(c)紙面垂直方向手前側)に突出し、第1供給スプリング630(図26参照)のスプリング上部632を受ける台座であるバルブ受け部628を備えている。バルブ受け部628は、バルブ底壁621上において略平行に配置された2つの板状部材からなる。また、図25(e)に示すように、バルブ受け部628の軸心O1方向の高さは、バルブ外周壁622に対して極端に低く形成されている。バルブ受け部628は、バルブ外周壁622内の空間に第1供給スプリング630が配設されたときに、第1供給スプリング630をバルブ底壁621と当接させないために設けられている。これは、第1供給スプリング630がバルブ底壁621と当接してしまうと、インクの流路が塞がれてしまいインクが流れなくなるからである。よって、バルブ受け部628は、インクの流路を確保をするために設けられており、第1供給スプリング630がバルブ底壁621に当接しなければ良いので、必要最小限の高さに形成され、インク供給機構500の軸心O1方向の大きさが大規模化することを防止している。
また、バルブ受け部628の外側で且つインク流路627の内側には、第1供給スプリング630のスプリング上部632の外周面を覆う略円弧状に形成されたバルブ内周壁629が設けられている。このバルブ内周壁629は、第1供給スプリング630の軸心O1と直交する方向への移動を規制するために設けられており、第1供給スプリング630の軸心O1と直交する方向への移動を規制することで、第1供給スプリング630の可撓が軸心O1方向に正確に行われる。
図26は、第1供給スプリング630を示した図であり、図26(a)は、第1供給スプリング630の側面を示した図であり、図26(b)は、第1供給スプリング630の平面を示した図であり、図26(c)は、第1供給スプリング630の底面を示した図であり、図26(d)は、図26(b)のXXVId−XXVId線における第1供給スプリング630の断面図である。
第1供給スプリング630は、略逆お椀側(又は略中空円錐形)に形成されており、第1供給スプリング630の底面(直径の大きい方の端部)を形成する輪状のスプリング底部631と、そのスプリング底部631の直径より小さな直径に形成されると共に、第1供給スプリング630の上面の頂部(直径の小さい方の端部)を形成する輪状のスプリング上部632と、そのスプリング上部632とスプリング底部631との間に連接されると共に、インク供給機構500の軸心O1方向(ニードル49(図2参照)に押圧された供給バルブ620の移動方向であり、第1供給スプリング630及び第2供給スプリング650の付勢方向でもある)の荷重がかかった場合に屈曲変形するスプリング可撓部633とを主に備えている。スプリング上部632は、供給バルブ620(図25参照)のバルブ受け部628に当接し、供給バルブ620を供給ジョイント610(図24参照)方向へ押圧する押圧部となるものである。なお、スプリング底部631の直径がスプリング上部632の直径より大きく形成されているので、スプリング底部631がスプリング可撓部633が弾性変形する場合の基部となる。
図26(d)に示すように、第1供給スプリング630には、スプリング上部632の先端(図26(d)右側端面)からスプリング底部631の底面(図26(d)左側端面)まで連通したインク流路634が形成されている。このインク流路634は、スプリング上部632の内周面により画定される上部流路634aと、スプリング可撓部633の内周面により画定される可撓部流路634bと、スプリング底部631の内周面により画定される底部流路634cとにより構成されている。このインク流路634の開口面積は、図26(d)に示されるように、スプリング上部632の先端からスプリング底部631の底面に向けて徐々に大きくなるようになっている。また、図26(b)及び図26(c)に示すように、スプリング上部632の上部流路634aは、紙面垂直方向視において円形に形成されている。なお、スプリング可撓部633を軸心O1から離れる側に凸となるように湾曲させて、略逆お椀型に形成することで、スプリング可撓部633が略円錐状である場合に比べて、スプリング可撓部633が撓みやすくなっている。
なお、スプリング上部632の上部流路634aの断面形状を略四角形に形成するものとしても良い。上部流路634aの開口を略四角形に形成すると、インクに含まれた気泡による影響を少なくすることができる。ここで、インクに含まれた気泡が球体であるために上部流路634aの内径より大きく成長した気泡によって流路が塞がれてしまうと、インクの流路(通路)がなくなり正常にインクを多機能装置1(図1参照)に送り込むことができない。その結果、多機能装置1による印刷の品質が低下してしまう。しかし、上部流路634aの開口を略四角形に形成することで、上部流路634aの開口面に大きく成長した気泡が停留してもその四隅は塞がれないので、インクの流路が塞がれることを防止して、印刷の品質が低下することを低減できる。さらに、上部流路634aの開口面は四角形に限られず六角形や星型等の多角形状に形成するものとしても良いし、本実施例のように、円形であっても気泡の影響が少なくなる直径に形成するものとしても良い。
図26(d)に示すように、スプリング上部632は、軸心O1方向に延在する比較的厚肉の筒状に形成されており、軸心O1方向(第1供給スプリング630の付勢方向)と垂直な断面形状が均一となるように形勢されている。同様に、スプリング底部631も軸心O1方向に延在する比較的厚肉の筒状に形成されており、軸心O1方向と垂直な断面形状が均一となっている。
また、図26(d)に示すように、スプリング可撓部633は、軸心O1方向に対して所定の角度で湾曲した(又は傾斜した)略逆お椀型(又は略円錐状)に形成されており、これにより、スプリング底部631及びスプリング上部632に比べて軸心O1方向における荷重に対する強度が弱くなっている。しかも、スプリング可撓部633の厚みは、スプリング底部631及びスプリング上部632に比べて薄く形成されているので、これによっても強度が弱くなっている。従って、第1供給スプリング630が弾性変形する場合には、スプリング可撓部633が撓んで変形する。
なお、第2供給スプリング650は、第1供給スプリング630と同形状に形成されており、第2供給スプリング650の構成は、スプリング底部651、スプリング上部652、スプリング可撓部653とインク流路654(上部流路654a、可撓部流路654bと底部流路654c)とから構成される。さらに、第1大気スプリング730及び第2大気スプリング750も、第1供給スプリング630と同形状に形成されており、それぞれ、スプリング底部731,751、スプリング上部732,752、スプリング可撓部733,753とインク流路734,754(上部流路734a,754a、可撓部流路734b,754bと底部流路734c,754c)とから構成される。
図27は、供給スライダ640を示した図であり、図27(a)は、供給スライダ640の側面を示した図であり、図27(b)は、図27(a)の矢印XXVIIb視における供給スライダ640の側面を示した図であり、図27(c)は、供給スライダ640の平面を示した図であり、図27(d)は、供給スライダ640の底面を示した図であり、図27(e)は、図27(c)のXXVIIe−XXVIIe線における供給スライダ640の断面図である。
供給スライダ640は、第1供給スプリング630(図26参照)及び第2供給スプリング650よりも高硬度の樹脂材料で形成されており、供給スライダ640の外周を形成するスライダ外周壁641と、そのスライダ外周壁641からインク供給機構500の軸心O1方向にそれぞれ突出した一対のスライダ突出壁642a,642bと、スライダ外周壁641からスライダ突出壁642aの上部先端(図27(a)上側端面)まで延在し、供給バルブ620のバルブガイド溝623(図25参照)に緩挿される一対のスライダ緩挿部643と、スライダ外周壁641の内側に形成され、第1及び第2供給スプリング630,650のスプリング底部631,651と当接して、第1及び第2供給スプリング630,650が両側面に配設されるスライダ台座部644と、そのスライダ台座部644の中心位置に形成され、スライダ台座部644の上下を連通するスライダ連通孔645とを主に備えている。図27(c)から明らかなように、スライダ突出壁642a,642bは軸心O1を挟んで対象に位置しており、一対のスライダ緩挿部643も軸心O1を挟んで対象に位置している。
スライダ外周壁641の内径は、第1及び第2供給スプリング630,650のスプリング底部631,651の外径と略同等に形成されると共に、そのスライダ外周壁641からスライダ突出壁642a,642bが軸心O1方向それぞれに突出して形成されているので、第1及び第2供給スプリング630,650が配設された場合には、第1及び第2スプリング630,650の軸心O1と直交する方向への移動が規制される。よって、第1及び第2スプリング630,650は、軸心O1方向に確実に弾性変形する。
スライダ緩挿部643は、供給スライダ640の軸心O1方向に延在するように形成されている(スライダ外周壁641とスライダ突起部642に亘って形成されている)ので、バルブガイド溝623(図25参照)内に緩挿されると、供給スライダ640の軸心O1方向の移動がスムーズに行われると共に、軸心O1方向と直交する方向へのずれを防止することができる。
図28は、弁座660を示した図であり、図28(a)は、弁座660の側面を示した図であり、図28(b)は、弁座660の平面を示した図であり、図28(c)は、弁座660の底面を示した図であり、図28(d)は、図28(b)のXXVIIId−XXVIIId線における弁座660の断面図である。
図28(a)に示すように、弁座660は、その弁座660の底面を形成すると共に、第2供給スプリング650のスプリング上部632と当接する弁座底部661と、その弁座底部661の上面(図28(a)上側)に配置された弁座受け部662とを備えて構成されている。弁座受け部662は、弁座660の中心へ向かうほど下降傾斜した弁座傾斜面662aを備えており、その弁座傾斜面662aにより後述する逆止弁670が受けられる。
図28(b)に示すように、弁座受け部662は、弁座660の周方向に所定の等間隔で6個形成されている。また、6個の弁座受け部662のうち3個の弁座受け部662には、弁座660の表裏を貫通する第1弁座貫通孔662bが形成されている。この第1弁座貫通孔662bは、弁座受け部662の弁座傾斜面662a以外の部分(弁座受け部662の水平部分)に形成されている。よって、逆止弁670を受ける部分とは異なる部分に第1弁座貫通孔662bが形成されているので、インクの流路が塞がれることを防止できる。
また、弁座660の弁座受け部662の間には、弁座底部661を貫通する第2弁座貫通孔663が形成されている。第2弁座貫通孔663は、図28(b)において、インク供給機構500(図22参照)の軸心O1を通る中心線(図28に示す中心線Q)を基準して左右対称に6個形成されている。この第2弁座貫通孔663は、インクの流れるインク流路となる。
図28(c)に示すように、弁座底部661の底面には、各第2弁座貫通孔663を連通する凹状の弁座連通溝664が形成されている。この弁座連通溝664は、弁座底部661の底面において、第2弁座貫通孔663同士を略直線状に連通している。よって、弁座底部661には、軸心O1において交差する3本の弁座連通溝664が形成される。また、弁座底部661の底面には、その底面から突出した一対の弁座突出部665が形成されている。この弁座突出部665には、第2供給スプリングのスプリング上部652が収納され、第2供給スプリング650のスプリング上部652の外周面と当接することで、第2供給スプリング650の軸心O1と直交する方向への移動が規制される。
図28(d)に示すように、弁座受け部662の弁座傾斜面662aと第2弁座貫通孔663との間には、軸心O1方向に隙間が形成されている。よって、逆止弁670が弁座傾斜面662aに支持された場合であっても、インクの流路が確保される。また、第2供給スプリング650のスプリング上部632の端面が第2弁座貫通孔663の底面に当接した場合であっても、第2弁座貫通孔663が弁座突出部665の仮想円周(図28(c)仮想平面R)より外側に位置しているので、弁座連通溝664によりインク流路が確保される。また、弁座連通溝664が全ての第2弁座貫通孔663と連通しているので、弁座突出部665に囲まれた第2弁座貫通孔663があっても、インク流路は確実に確保される。
図29は、逆止弁670を示した図であり、図29(a)は、逆止弁670の側面を示した図であり、図29(b)は、逆止弁670の平面を示した図であり、図29(c)は、逆止弁670の底面を示した図であり、図29(c)は、図29(a)のXXIXd−XXIXd線における逆止弁670の断面図である。
逆止弁670は、側面視(図29(a)紙面垂直方向視)において略傘形状に形成されており、傘部671と軸部672とで構成されている。傘部671は、カバー680(図30参照)と当接することでインクの流路を塞ぐものであり、図29(b)及び図29(d)に示すように、軸部672と連結される連結部671aと、その連結部671aから外周方向に略均等に延びると共に薄肉状に形成された羽根部671bとを備えて構成されている。よって、カバー680と当接する場合には、薄肉状に形成された羽根部671bが弾性変形しつつカバー680に密着するので、カバー680と逆止弁670との間のインク流路の連通を確実に遮断することができる。
また、図29(a)に示すように、傘部671の下部表面は、湾曲して形成されており、弁座660の弁座受け部662(図28参照)により支えられるので、傘部671が弁座660の弁座受け部662に支えられている状態では、インクの流路が開放された状態となり、逆止弁670の傘部671がカバー680と当接した状態では、インクの流路が閉塞された状態となる。
また、軸部672は、後述するカバー680の第2カバー連通孔684(図30参照)に挿通される部分である。その軸部672は、カバー680に取り付けられた状態でカバー680近傍に位置し、略球状に形成された球部672aを有している。この球部672aは、カバー680の第2カバー連通孔684の直径より大きな直径に形成され、逆止弁670がカバー680に一旦取り付けられた後に、逆止弁670が抜け落ちることを防止している。よって、インクカートリッジ14の製作時に逆止弁670が紛失することを低減することができると共に、作業性の向上が図れる。
図30は、カバー680を示した図であり、図30(a)は、カバー680の側面を示した図であり、図30(b)は、カバー680の平面を示した図であり、図30(c)は、カバー680の底面を示した図であり、図30(d)は、図30(b)のXXXd−XXXd線におけるカバー680の断面図である。
カバー680は、下面側(弁座660(図28参照)側)が開口した略円筒状に形成されている。カバー680は、その外周を形成するカバー外周壁681と、カバー680の上面(図30(a)上側)を形成するカバー上部682とを備え、下面側が開口して形成されている。カバー680は、下面(図30(a)下側)の開口に弁座660が嵌合され、弁座660とカバー680との間に逆止弁670が収納される。即ち、カバー680と弁座660とによって逆止弁670を収納する空間が形成される。
図30(b)又は図30(c)に示すように、カバー上部682には、カバー680の表裏を貫通する第1カバー貫通孔683が、軸心O1に対して周方向に6個形成されている。この第1カバー貫通孔683がインクが流れる流路となり、逆止弁670の傘部671(図29参照)がカバー上部682に当接することで、第1カバー貫通孔683が塞がれて、インク流路が塞がれる。
また、カバー上部682の中央(インク供給機構500の軸心O1を通る位置)には、逆止弁670の軸部672が挿通される第2カバー貫通孔684が形成されている。この第2カバー貫通孔684に逆止弁670の軸部672が挿通されて、逆止弁670の組み付けが行われる。第2カバー貫通孔684は、逆止弁670が挿通された状態であっても、その内周面の一部にインクの流路が形成される。しかし、逆止弁670の傘部671がカバー上部682と当接すると、第1カバー貫通孔683の全体が閉塞されるので、中央に形成された第2カバー貫通孔684のインク流路も同時に閉塞される。
図31は、大気キャップ700を示した図であり、図31(a)は、大気キャップ700の側面を示した図であり、図31(b)は、図31(a)の矢印XXXIb視における大気キャップ700の側面を示した図であり、図31(c)は、大気キャップ700の平面を示した図であり、図31(d)は、大気キャップ700の底面を示した図であり、図31(e)は、図31(c)のXXXIe−XXXIe線における大気キャップ700の断面図である。
図31(a)に示すように、大気キャップ700は、その大気キャップ700の側壁を形成すると共に大気導入体117(図21参照)に固着される略筒状の大気固着部701と、大気キャップ700の底壁を形成する大気キャップ底壁702とを備えて構成されている。大気固着部701には、大気固着部701の下部(図31(a)下側)から上部近傍(図31(a)上側の端部近傍)に至る部分まで形成され、大気キャップ700が大気導入体117に固着される場合に、上述した大気導入体117の突起部117a,117bに係合される係合孔703a,703b(係合孔703bは図31(b)参照)が形成されている。
図31(b)に示すように、大気固着部701には、係合孔703a,703bが形成された位置から、大気導入機構510の軸心O2に対して略90度移動した位置に形成され、大気固着部701の上端部から下部近傍に亘って切りかかれた大気キャップ切欠部704a,704b(大気キャップ切欠部704bは図示せず)が形成されている。
なお、図31(c)の平面図および図31(d)の底面図に示すように、大気キャップ底壁702の略中心位置には、後述する大気ジョイント710のジョイントスカート部714(図32参照)と大気バルブ720のバルブ開放部721a(図33参照)が挿通される大気キャップ挿通孔705が形成されている。なお、大気キャップ底壁702の内面と大気固着部701の内周面とに、大気ジョイント710(図32参照)が当接して収納される。
なお、大気キャップ700を大気導入体117に取り付ける場合には、供給キャップ600と同様に、大気導入体117の突起部117a,117bが外周方向に突起しているので、大気キャップ700が外周方向に拡径しながら取り付けられる。よって、大気キャップ700を取り付ける場合に、強い圧力をかけることなく行えると共に、大気キャップ700の破損を低減しつつ装着効率を向上することができる。
図32は、大気ジョイント710を示した図であり、図32(a)は、大気ジョイント710の側面を示した図であり、図32(b)は、大気ジョイント710の平面を示した図であり、図32(c)は、大気ジョイント710の底面を示した図であり、図32(d)は、図32(b)のXXXIId−XXXIId線における大気ジョイント710の断面図である。
図32(a)に示すように、大気ジョイント710は、側面視(図32(a)紙面垂直方向視)において4段に形成されている。下方(図32(a)下側)から2段目に示されている部分は、大気キャップ700の大気固着部701(図31参照)の内周面と大気キャップ底壁702とに当接する部分であり、大気ジョイント710の外周部を形成するジョイント外周部711である。そのジョイント外周部711の上段に示された部分は、大気導入体117(図21参照)の内部に配設されると共に、大気ジョイント710の内周部を形成するジョイント内周部712であり、図32(a)には、ジョイント内周部712の上部が図示されている。さらに、ジョイント内周部712の上段に示された部分は、大気バルブ720と当接するジョイント当接部713である。また、最下段に示された部分は、大気バルブ720のバルブ開放部721a(図33参照)の外面を覆うと共に、大気キャップ700から外方へ露出する部材であり、薄肉状に形成されたジョイントスカート部714である。
図32(b)に示すように、ジョイント外周部711、ジョイント内周部712、ジョイント当接部713及びジョイントスカート部714の軸心は、大気導入機構510の軸心O2方向と同一軸心上に位置している。また、大気ジョイント710は、樹脂ゴム等の弾性材料によって構成されているので、薄肉状に形成されたジョイントスカート部714は、インクカートリッジ14が多機能装置1(図1参照)に装着される場合には、多機能装置1側の端面と当接して弾性変形する。
また、図32(d)に示すように、ジョイント内周部712の上面712a(大気バルブ720と接触する側の面)からは、ジョイント当接部713が突出している。ジョイント当接部713は、先端部713a(図32(d)上側端部)に向かうほど細く形成されており、その先端部713aが大気バルブ720の底面に当接して、大気の導入路を閉塞する。また、図32(d)に示すように、大気ジョイント710には、ジョイント内周部712の底面からジョイント当接部713の先端部713a(図32(d)上側から下側)まで貫通したジョイント通路715が形成されており、このジョイント通路715内を大気バルブ720のバルブ開放部721aが挿通される。
図33は、大気バルブ720を示した図であり、図33(a)は、大気バルブ720の側面を示した図であり、図33(b)は、大気バルブ720の底面を示した図である。なお、大気バルブ720は、供給バルブ620に対して、バルブ底壁721の底面から突出すると共に、多機能装置1(図1参照)側と当接して大気導入路を開放するバルブ開放部721aが追加された構成である。よって、バルブ底壁721、バルブ外周壁722、バルブ突起部722a、バルブガイド溝723、バルブ突出壁724、バルブ規制部725、バルブフック部726、大気導入路(インク流路627に対応した部分)、バルブ受け部728及びバルブ内周壁729についての詳細な説明は省略する。また、大気バルブ720の側面図(図33(a))と底面図(図33(b))によって視認不可となる部分の図示も省略する。
大気バルブ720は、バルブ底壁721の底面から突出したバルブ開放部721aを備えている。バルブ開放部721aは、大気導入機構510の軸心O2上に位置しており、略棒状に形成されている。また、バルブ開放部721aには、その外周面に下部(図22下側端面)からバルブ底壁721に亘って外周方向に突起した略半円状の凸部721bが形成されている。このバルブ開放部721aは、上述した大気ジョイント710のジョイント通路715(図32参照)内を通り、さらには、大気キャップ700(図31参照)の外部に一部が露出される。インクカートリッジ14が多機能装置1(図1参照)に装着される場合には、バルブ開放部721aが多機能装置1の端面と当接し、大気ジョイント710のジョイント当接部713(先端部713a)との当接が解除され、大気導入路が形成される。
なお、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着され、バルブ開放部721aが動作する場合には、大気ジョイント710のジョイントスカート部714も多機能装置1の端面と当接し弾性変形し、大気導入路とジョイントスカート部714の外側との連通を遮断する。よって、多機能装置1側から導入される大気をスムーズに導入することができる。また、ジョイントスカート部714が軸心O2に向かって弾性変形してバルブ開放部721aに当接したとしても、バルブ開放部721aの凸部721bにより、大気の導入路を確保することができる。よって、大気導入路が閉塞され、大気がインク貯留室111(図14参照)内に導入されないことを防止できる。
次に、図34を参照して、インク供給体116及び大気導入体117にインク供給機構500及び大気導入機構510を組み付けた状態について説明する。図34は、インク供給体116及び大気導入体117にインク供給機構500及び大気導入機構510を組み付けた状態を示した部分的な断面図である。
図34に示すように、インク供給機構500は、インク供給体116の内周面800内に挿入されて取り付けられており、大気導入機構510は、大気導入体117の内周面810内に挿入されて取り付けられている。
まず、インク供給体116に取り付けられたインク供給機構500について説明する。インク供給体116の内周面800には、供給路形成部420の第1供給連通孔421側に、内周面800の内側方向に突出した突出壁801が形成され、その突出壁801は、カバー680を収納可能な階段状に形成されている。その突出壁801の階段状に形成された段差面801aにカバー680が当接するように内挿され、インク供給機構500の第1供給連通孔421側の位置が定められる。
カバー680の第2カバー貫通孔684には、逆止弁670の軸部672が挿通され、その逆止弁670をカバー680内に収納するように弁座660が配置されている。その弁座660の底面側(図34左側)には、第2供給スプリング650が配置され、その第2供給スプリング650を収納するように供給スライダ640が配置されている。供給スライダ640の第2供給スプリング650の反対側には、第1供給スプリング630が収納され、供給スライダ640と供給バルブ620との間に第1供給スプリング630が配置されている。また、供給バルブ620の底面と当接するように供給ジョイント610が配置され、その供給ジョイント610の底面と当接するように供給キャップ600がインク供給体116の外側に固着される。供給キャップ600は、インク供給体116の突起部116a,116bと係合して固着されるので、インク供給機構500の外側の位置が定められる。従って、供給キャップ600とインク供給体116の内周面800の段差面801aとにより、インク供給機構500の軸心O1方向の位置決めがなされる。
また、インク供給体116の内周面800の内径は、供給バルブ620の外径より若干大きく形成されており、インク供給体116内部で供給バルブ620の軸心O1方向への動作がスムーズに行われるよう構成されている。上述したように供給バルブ620の外周面には、4つのバルブ突起部622aが形成され、内周面800との当接面積が小さくなるよう構成されている。よって、供給バルブ620が軸心O1に対して斜め方向に動作して内周面800に当接したとしても、供給バルブ620が動作不可となることを防止できる。なお、供給バルブ620と内周面800との間には隙間が形成されてるので、インク供給機構500の内部を通るインク流路と、供給バルブ620の外側を通るインク流路とが形成される。よって、インク供給体116の内周面800は、インク流路室を形成する空間である。
上述したように、スライダ台座部644は、第1供給スプリング630と第2スプリング部材のスプリング底部631によって挟持された状態となっている。また、スプリング台座部644の第2供給スプリング650のスプリング底部631との当接側では、供給バルブ620の2つのバルブフック部626により係合され、軸心O1方向への移動が規制されている。供給バルブ620と供給スライダ640との間に形成される空間は、第1供給スプリング630の軸心O1方向の長さより短くなっており、そのため、第1供給スプリング630は、インク供給体116に取り付けられた状態で既に撓み変形している。
次に、大気導入体117に取り付けられた大気導入機構510について説明する。大気導入体117の内周面810は、大気導入路形成部430の第1大気連通室431側の端面に、大気導入機構510方向(図34左方向)に突起した突起部811が設けられている。この突起部811は、一対の板状部材で構成され、第2大気スプリング750のスプリング上部752の端面と当接する。よって、突起部811と第2大気スプリング750のスプリング上部752との間に大気導入路が形成される。また、突起部811に第2大気スプリング750が当接することで、大気導入機構510の第1大気連通孔434側の位置が定められる。
大気導入機構510は、インク供給機構500側と同様に、第2大気スプリング750を収納するように大気スライダ740が配置され、その大気スライダ740の第2大気スプリング750の反対側には、第1大気スプリング730が収納され、大気スライダ740と大気バルブ720との間に第1大気スプリング730が配置されている。また、大気バルブ720の底面と当接するように大気ジョイント710が配置され、その大気ジョイント710のジョイントスカート部714より外周側の底面と当接するように大気キャップ700が大気導入体117の外側に固着される。大気キャップ700は、大気導入体117の突起部117a,117bと係合して固着されるので、大気導入機構510の外側の位置が定められる。従って、大気キャップ700と大気導入体117の内周面810の突起部811とにより、大気導入機構510の軸心O2方向の位置決めがなされる。
なお、大気バルブ720と大気スライダ740との間に形成される空間は、第1大気スプリング730の軸心O2方向の長さより短くなるので、インク供給機構500と同様に、第1大気スプリング730は、大気導入体117に組み付けられた状態で既に撓み変形している。
次に、図35から図39を参照して、インクカートリッジ14の製造工程について説明する。図35は、フィルム160が溶着される前の製造工程を説明する図である。図36は、フィルム160の溶着工程について説明する図であり、図36(a)は、フィルム160のフレーム部110への溶着面を説明する図であり、図36(b)は、フィルム160をフレーム部110に溶着する溶着工程について説明する図である。図37は、フィルム160の溶着後に行われる製造工程を説明する図であり、図37(a)は、インク供給機構500及び大気導入機構510をフレーム部110に取り付ける取付工程について説明する図であり、図37(b)は、減圧工程について説明する図であり、図37(c)は、インクの分注工程について説明する図である。図38は、ケース200の組付工程について説明する図であり、図38(a)は、ケース200をフレーム部110を挟持する工程について説明する図であり、図38(b)は、ケース200を溶着する溶着工程について説明する図である。図39は、インクカートリッジ14の出荷前に行われる製造工程について説明する図であり、図39(a)は、プロテクタ300を取り付ける工程について説明する図であり、図39(b)は、インクカートリッジ14を包装袋930で包装する工程について説明する図である。
図35に示すように、インクカートリッジ14の製造は、まず、フレーム部110にセンサーアーム470を取り付ける。なお、フレーム部110及びセンサーアーム470は、前工程(成型工程)において、射出成形によりそれぞれ成形される。即ち、フレーム部110を射出成形する第1成型工程(準備工程)と、センサーアーム470を射出成形する第2成型工程(準備工程)とにより、それぞれ前もって成形される。
センサーアーム470は、センサーアーム470の取付部472に設けられた取付軸472aを、フレーム部110の供給路形成部420近傍に設けられたアーム挟持部425に取り付けられる(センサーアーム470の取着工程、準備工程)。アーム挟持部425は、インク供給体116側とは反対側(図35上方)が開口している。即ち、アーム挟持部425の開口は、第2貯留室開口114側に開口している。よって、センサーアーム470の取り付けを、第1室111aと第2室111bが連通した範囲で行えるので、干渉物が少なくセンサーアーム470の取り付けを効率よく行うことができる。また、センサーアーム470は、アーム部473の遮蔽アーム部473cが検出部140の内側(内包部141内)に収納されるように取り付けられる。センサーアーム470がアーム挟持部425に取り付けられると、遮蔽アーム部473cは検出部140の内包部141の各壁141a〜141dにより上下左右の可動範囲が規制される。即ち、一端、センサーアーム470の取り付けが終わると、簡単にセンサーアーム470が外れることがないので、インクカートリッジ14の製作作業が煩雑となることを防止できると共に、インクカートリッジの搬送時にセンサーアーム470が検出部140から外れてしまうことを防止できる。よって、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着された場合には、インクエンプティを確実に検出できるので、製品の信頼性を向上することができる。
なお、本実施例では、センサーアーム470の取付部472(取付軸472a)が、フレーム部110のアーム挟持部425に枢支されることによってセンサーアーム470の回動動作の軸となる枢支部を構成しているが、フレーム部110側に取付軸を設け、センサーアーム470側に挟持部を設ける構造にしても良いし、ヒンジ結合によりセンサーアーム470とフレーム部110とを取り付ける構造にしても良い。即ち、センサーアーム470がフレーム部110に対して回動可能に取り付けられれば、その取付構造は、如何なる構造であっても良い。
センサーアーム470の取り付けが終わると、次に、インク分注栓520をインク分注部150の分注筒部451内に圧入する(インク分注栓520の圧入工程、準備工程)。インク分注栓520は、インク分注栓520の外側端面520aが、フレーム部110の外面と略同一平面上になるように圧入し、分注筒部451の底部451bと当接する位置までは圧入しない。これは、上述したように、分注路形成部450の第1分注連通孔452が分注筒部451の側面に形成されているためであり、インク分注栓520を分注筒部451の奧まで圧入すると、第1分注連通孔452が閉塞されてしまい、インクの分注ができないからである。なお、インク分注栓520の取り付けをセンサーアーム470の取り付けの前に行ってもよい。
図36(a)に示すように、センサーアーム470及びインク分注栓520の取り付けが終わると、次にフィルム160の溶着を行う(フィルム160の固着工程)。フィルム160のフレーム部110への溶着は、第1開口112aと第2開口112bとの両面の開口を覆うように行われる。即ち、第1開口112aにフィルム160を溶着する第1固着工程(準備工程)と、第2開口112bにフィルム160を溶着する第2固着工程との2回の固着工程により、フィルム160がフレーム部110の両面に溶着される。
また、図36(b)に示すように、フィルム160は、フレーム部110の外形より大きくカットされ、フレーム部110を覆うように設置される。この際、フレーム部110側から吸引装置(図示せず)でフィルム160を吸引することで、皺なくフィルム160が第1開口112a及び第2開口112b上に配置される。その後、フィルム160の上方から第1及び第2開口112a,112bの外周部分(外周溶着部400a,400b)を覆うよう超音波装着装置(図示せず)の超音波溶着面900が設置され、フィルム160がフレーム部110に溶着される。なお、フィルム160の各溶着部への溶着は、図37(a)の黒く塗りつぶされた部分(外周溶着部400a,400b及び内周溶着部411a〜417a,411b〜417b)が溶着される。
フレーム部110には、外周溶着部400a,400bの内周側に複数の内周溶着部411a〜417a,411b〜417bが拡散して形成されているので、その全ての溶着部に対応して超音波溶着を行うと、超音波溶着面900の構造が複雑になり、製作コストが高くなってしまう。しかし、本実施例では、超音波溶着装置の超音波溶着面900が全ての溶着部(外周溶着部と内周溶着部)を覆うよう構成されているので、フィルム160の溶着工程の製作コストが高くなることを低減できる。
また、フィルム160は、ナイロン製のフィルムとポリエチレン製のフィルムとからなる2層式のフィルム(以下「ナイロンポリエチレン」と称す)で構成され、フレーム部110と接する側がポリエチレン製のフィルム層となっている。このナイロンポリエチレンは、液体を完全に遮断するがガス遮断性が小さいので、フィルム160により略密閉されたインク貯留室111と後述する包装袋930(図39(b)参照)との間で、僅かに気体の行き来が可能になっている。よって、インク貯留室111内のインク内に存在する気体が、徐々にフィルム160を通り内包体930とケース200との間に形成される空間へ移動できるので、インク内に気泡が発生することを防止することができる。従って、インク内の気泡による印刷の品質低下の発生を防止することができる。なお、フィルム160は、強度を保てると共にガス遮断性の小さいものであれば、如何なる材質で構成されるものとしても良い。例えば、ナイロン製のフィルムとポリプロピレン製のフィルムとを2層に形成したフィルムや、ナイロンとポリエチレン又はナイロンとポリプロピレンとを混合して成形したフィルムなどが挙げられる。
また、フレーム部110は、ポリエチレン製の樹脂により形成されており、フィルム160のフレーム部110側のフィルムと同系統の材質で構成されている。フィルム160とフレーム部110とを同材料で構成することにより、超音波溶着時にフィルム160と溶着部との両者が溶融して確実に溶着することができる。本実施例では、フィルム160は、2層構造になっている。ナイロン製のフィルムは、ポリエチレン製のフィルムに比べると、強度の面で優れるものの溶融点が高いため溶着の作業性の面では劣っている。そこで、フィルム160をナイロン製とポリエチレン製の2層構造にすることで、強度を確保するとともに、ポリエチレン製の層をフレーム部110との溶着層として、低い加熱温度での溶着を可能として溶着作業性を確保している。しかも、ナイロン製の層は溶着作業の際に溶融しないので、溶着部分近傍のフィルムの厚みの変化が少なくなり、溶着部分近傍のフィルムの強度も保つことができる。
図37(a)に示すように、フィルム160の溶着が終わると、次に、インク供給機構500と大気導入機構510のフレーム部110への取り付けが行われる。インク供給体116にインク供給機構500が取り付けられ(インク供給機構500の取付工程、準備工程)、大気導入体117に大気導入機構510が取り付けられる(大気導入機構510の取付工程、準備工程)。インク供給機構500の取り付け(取付工程)は、まず、カバー680、逆止弁670及び弁座660を一体としたものをインク供給体116内部(段差面801aと当接する位置)に内挿する。この際、逆止弁670の先端が第1供給連通孔421(図34参照)を挿通し、供給隔壁422により囲まれた空間内に突出するよう取り付けを行う。その後、供給キャップ600内に供給ジョイント610、供給バルブ620、第1供給スプリング630、供給スライダ640、第2供給スプリング650を一体としたものを、インク供給体116の内周面800内に内挿すると共に、供給キャップ600をインク供給体116の外周面に固着する。この際、供給キャップ600がインク供給体116方向に押圧され、供給キャップ600の係合孔603a,603bが、インク供給体116の突起部116a,116bに係合される。供給ジョイント610は、ジョイント内周部612がインク供給体116の内周面800内に圧入され、ジョイント外周部611がインク供給体116と供給キャップ600との間で挟持される。供給キャップ600のインク供給体116への取付が終わると、インク供給機構500の取り付けが終了し、インク供給部120が構成される。
また、大気導入機構510の大気導入体117への取り付け(取付工程)は、インク供給機構500のインク供給体116への取り付けと同様に、大気キャップ700に大気ジョイント710、大気バルブ720、第1大気スプリング730、大気スライダ740、第2大気スプリング750とを一体としたものを、大気導入体117の内周面810内に内挿すると共に、大気キャップ700を大気導入体117の外周面に固着することで行われる。この際、大気キャップ700が大気導入体117側に押圧され、大気キャップ700の係合孔703a,703bが、大気導入体117の突起部117a,117bに嵌合される。大気ジョイント710は、ジョイント内周部712が大気導入体117の内周面810内に圧入され、ジョイント外周部711が大気導入体117と大気キャップ700との間で挟持される。大気キャップ700の大気導入体117への取付が終わると、大気導入機構510の取り付けが終了し、大気導入部130が構成される。
図37(b)に示すように、インク供給機構500及び大気導入機構510のインク供給体116及び大気導入体117への取り付け(各取付工程)が終わると、フレーム部110(インク貯留室111)内を減圧する減圧工程が行われる。本実施例では、フレーム部110内の減圧は、インク供給部120側から行われる。フレーム部110内の減圧は、まず、減圧装置910の吸引管911をインク供給機構500の供給ジョイント610を挿通させて供給バルブ620を押圧し、インク流路を開放させる。その後、吸引ポンプ(P1)912を駆動してフレーム部110内の大気を吸引する。減圧装置910によりフレーム部110内の大気が吸引され、所定の圧力(少なくとも大気圧より低い圧力)となったら、吸引ポンプ912が停止され、吸引管911をインク供給部120から抜く。なお、吸引管911がインク供給部120から抜かれると、第1及び第2供給スプリング630,650の弾性力により、供給バルブ620が供給ジョイント610のジョイント当接部613と当接し、インクの流路が閉塞されるので、減圧した状態が保たれる。
図37(c)に示すように、減圧工程によりフレーム部110内の減圧が終わると、インク分注針920をインク分注栓520に差し、フレーム部110(インク貯留室111)内にインクを分注する(インク分注工程)。インク貯留室111内は減圧されているので、インクは、勢いよくインク貯留室111内に分注され、所定量のインクが分注されると、分注針920が抜かれてインクの分注工程が終了する。インクが分注された後のインク貯留室111内の気圧p1(第1の圧力)となる。また、所定量のインクとは、図37(c)に示すように、大気連通路形成部430の第2大気連通孔435及び第3大気連通孔436よりインクの液面Iが下方となる量である。よって、インクを分注する際に、インクが大気接続路433に侵入することを回避することができる。なお、インク貯留室111内に隙間なくインクを分注しないのは、上述したように、フィルム160の破損や変形を防止するためである。また、図37(c)に示した、インクの液面Iより下方がインクが貯留されるインク空間であり、インクの液面Iより上方の空間と大気連通路形成部430を含む空間とが大気連通空間(減圧空間)であるが、インク空間および大気連通空間は、インクカートリッジ14が置かれた状態およびインク残量に応じて形状および大きさが変化する。
なお、減圧装置910によりインク貯留室111内を減圧した状態でインクの分注を行うので、インクの分注が終了した後であっても、インク貯留室111内の気圧が減圧された状態(気圧p1)となる。そのため、インク分注工程の後に後減圧工程を必要としない場合もある。後減圧工程を行わなければ、製作工程を簡略化することができる。しかし、インクの分注が行われた後のインク貯留室111内の気圧p1は、必ずしも所定範囲内にあるとは限らないので、所定範囲内の気圧とするために(所定範囲内の気圧であることを確認するために)、本実施例では、後減圧工程を行う。
ここで、図示しないが、インクの分注が終了した後に行われる後減圧工程について説明する。後減圧工程は、インク分注栓520に差されたインク分注針920を利用して行われる。即ち、インク分注針920には、インクを供給する供給装置(図示せず)とフレーム部110内の大気を吸引して減圧をする減圧装置(図示せず)とが接続されており、インクの分注が終了した時点で、流路が切り替えられて減圧装置による減圧が開始される。後減圧が行われた後のインク貯留室111内の気圧p3(第3の圧力)は、インクの分注後のインク貯留室111内の気圧p1より低い気圧となる。よって、後減圧工程を行うことにより、インク貯留室111内の気体の量がより少なくなるので、インク内における気泡の発生をより防止し、気泡による印刷の品質劣化を回避できる。また、インク分注工程の際に流入するインクがインク貯留室111内の内面に衝突することで、気泡が生じやすくなるが、このとき発生した気泡も除去することができる。なお、後減圧を行うための減圧針(図示せず)をインク分注針920とは別に設け、インク分注針920を抜いた後に減圧針をさして減圧を行うよう構成しても良い。
また、図17に示したように、分注路形成部450は、第2分注連通孔454の開口位置がインクの液面Iより上方(図17(a)上方)に位置しているので、減圧装置により後減圧を行ったとしても、インクが分注路を伝わって外部に吸引されることがない。よって、一旦分注したインク量が後減圧をすることにより変化することがなく、所定量のインクを確実に分注することができる。
なお、図示しないが、インクの分注(又は後減圧)が終わると、インク分注栓520が分注筒部451の底部451b(インク貯留室111側の端面)に当接するまで圧入される。よって、インク分注栓520が分注筒部451の底部451bまで圧入された後は、第1分注連通孔452がインク分注栓520の外周面により閉塞されるので、誤って再度分注針を差したとしてもインクの分注が行われない。即ち、インクカートリッジ14の製作工程において、分注工程が2回行われることを防止し、不良品の発生を防止することができる。
図38(a)に示すように、インクの分注(又は後減圧)が終わると、インク貯留体100の製造が完了するので、その後ケース200の組み立てが行われる(ケース200の組立工程)。なお、ケース200(第1及び第2ケース部材210,220)は、射出成型により成型され、予め製作されている(第3成型工程)。
カバー200のインク貯留体100への組み立ては、上述したように、フレーム部110の外周部分に形成された3つの貫通孔460a〜460c(貫通孔460b,460cは図14参照)に、第1ケース部材210の棒部材215a〜215cを挿通させ、第1ケース部材210にインク貯留体100を組み付ける。この際、ケース切欠部211,212に、インク供給部120(供給キャップ600)、大気導入部130(大気キャップ700)がそれぞれ嵌め込まれると共に、当接溝211a,212aにインク供給部120の外壁(供給キャップ600の外周面)と大気導入部130の外壁(大気キャップ700の外周面)とが当接する。その後、第2ケース部材220の嵌合孔部225a〜225c(図示せず)が、第1ケース部材210の棒部材215a〜215cと嵌合するように、第2ケース部材220を取り付ける。この際、第2ケース部材220のケース切欠部221,222にインク供給部120(供給キャップ600)、大気導入部130(大気キャップ700)がそれぞれ嵌め込まれると共に、当接溝221a,222aにインク供給部120の外壁(供給キャップ600の外周面)と大気導入部130の外壁(大気キャップ700の外周面)とが当接する。
図38(b)に示すように、第1及び第2ケース210,220の組み立て(組立工程)が終わると、第1及び第2ケース部材210,220を互いに溶着する(ケース200の溶着工程)。第1及び第2ケース部材210,220の溶着は、第1ケース部材210の第1ケース溶着部216と第2ケース部材220の第1ケース溶着部226とが溶着されると共に、第1ケース部材210の第2ケース溶着部217と第2ケース部材220の第2ケース溶着部227とが溶着される(図38(b)の斜線部分が溶着される)。なお、本実施例では、ケース200の溶着は、第1及び第2ケース溶着部226,227全体を溶着するものとしたが、数カ所を部分的に溶着しても良い。即ち、ケース200が搬送中に剥がれない、又は、人為的な行為により簡単に剥がれないように溶着するものであれば、溶着範囲や溶着方法はどのような範囲や方法としても良い。
なお、本実施例では、インク貯留体100内にインクを分注した後に第1及び第2ケース部材210,220を組み立て、その後、第1及び第2ケース部材210,220を溶着するので、超音波溶着による振動がインクにより吸収される。よって、ケース200を溶着するための振動が伝わり、フレーム部110の溶着部やフィルム160が破損したり、フィルム160が剥がれてしまうことを低減できる。また、第1及び第2ケース部材210,220の溶着部分を部分的に行う場合には、超音波溶着による振動の発生が少なくなるので、各部品の破損やフィルム160の剥がれをさらに低減することができる。
また、図38(b)に示すように、ケース突出部214a,224a(ケース突出部214aは図示せず)と、ケース突出部214b,224b(ケース突出部214bは図示せず)とは、インク供給部120及び大気導入部130より外方へ突出している。よって、インクカートリッジ14を多機能装置1に装着する際に、インクカートリッジ14を落としたとしても、ケース突出部214a,214b,224a,224bが地面と衝突するので、インク供給部120及び大気導入部130が破損することを防止することができる。さらに、大気導入路が開放されたり、インク供給路が開放されることも防止できるので、インクが漏れ出すことを防止することができる。
図39(a)に示すように、ケース200の溶着工程が終わると、プロテクタ300をケース200に取り付ける(プロテクタ300の取付工程)。このプロテクタ300は、多機能装置1(図1参照)にインクカートリッジ14が取り付けられる場合には取り外されるので、着脱自在に構成されている。上述したように、第1及び第2ケース部材210,220のケース突出切欠部214a1,224a1(図8参照)により形成される貫通孔と、第1及び第2ケース部材210,220のケース突出切欠部214b1,224b1により形成される貫通孔とに、プロテクタ300の突起部330a1,330b1が嵌合されることで、プロテクタ300のケース200への取り付けが行われる。なお、プロテクタ300の第2プロテクタ嵌合部330a,330bは、互いに離れる方向に弾性変形することで、プロテクタ300の着脱を容易に行うことができる。
図39(b)に示すように、プロテクタ300が取り付け(取付工程)が終わると、インクカートリッジ14を出荷するために、インクカートリッジ14を包装袋930内部に収容する(収容工程)。その後、包装袋930内を減圧装置940により減圧する(包装袋930の包装空間減圧工程)。包装袋930は、一端側(図39(b)左手前側の端部)が開放された袋体であり、包装工程では、インクカートリッジ14を内包した状態で、開口931を残し他の開放された部分を超音波溶着する。その開口931から、減圧装置940の吸引管941を挿通して、吸引ポンプ(P2)942を駆動することで、包装袋930内の大気を吸引して減圧する。この減圧による包装袋930の気圧は、大気圧より低い気圧となるが、インク貯留室111内の減圧された気圧p3(又は後減圧工程を行わない場合には気圧p1)より低い気圧p2(第2の圧力)となるよう減圧される。減圧装置940による減圧が終わると、吸引管941を抜いて、開口931を溶着して、インクカートリッジ14が出荷できる状態となる。なお、気圧p1〜p3の関係は、p2<p3<p1の関係にある。
包装空間減圧工程によって、包装袋930内をインク貯留室111内の気圧より低い気圧とすることで、インクカートリッジ14のフィルム160は、包装袋930側(ケース200側)に撓み変形可能となる。包装袋930内の気圧がインク貯留室111内の気圧より高いと、インクカートリッジ14が長期間使用されずに放置された場合、インク貯留室111内が減圧された状態でフィルム160が硬くなり固まったり破損してしまうことがある。フィルム160が固まってしまうと、インク貯留室116の形状が変化すると共に気圧が不均一となるので、正確なインク供給をできない。また、フィルム160が破損するとインク貯留室111内のインクがインクカートリッジ14外部に流出してしまう。しかし、本実施例では、包装袋930内をインク貯留室111内の気圧より低い気圧となるよう減圧するので、フィルム160が包装袋930側に変形可能(復帰可能)である。よって、長期間使用されない場合でも、フィルム160が固まってインクを正確に供給できなくなることを低減できると共に、フィルム160の破損を防止することができる。
また、包装袋930内をインク貯留室111内の気圧より低い気圧とすることで、インク貯留室111内に残留した気体(先に実施した後減圧工程により、残留する気体は僅かではある)を徐々にインク貯留室111の外へ移動させることができる。これは、上述したように、フィルム160がガス遮断性の小さいナイロンポリエチレンによって形成されているため、インク貯留室111内の空間の気圧と包装袋930内でインク貯留室111の外の空間の気圧とが平衡状態に遷移しようとして、インク貯留室111内から外へ気体が移動するからである。従って、インク貯留室111に貯留されたインクの脱気が促進され、気泡がより発生しにくくなるため、印字品質を良好に維持することができる。
また、本実施例では、プロテクタ300をケース200に取り付けた状態で、インクカートリッジ14を包装袋930で包装して減圧するので、包装袋930が減圧により変形することに伴い直接大気導入部130(及びインク供給部120)に接触することがない。大気導入部130はバルブ開放部721aが外部に突出しているので、包装袋930が直接バルブ開放部721aに接触すると、バルブ開放部721aが動作して大気導入路が開放されてしまう場合がある。大気導入路が開放されると、インク貯留室111内のインクが漏れ出してしまう。また、大気導入部130及びインク供給部120が包装袋930の変形に伴い破損してしまう場合もある。しかし、本実施例では、プロテクタ300とケース200に取り付けるので、大気導入部130及びインク供給部120の破損を防止できると共に、大気導入路が開放されることを防止することができる。
以上、説明したように、インクカートリッジ14は、フレーム部110のインク貯留室111内にインクを分注した後に、インク貯留体100にケース200を被せて溶着することで製作される。従来のインクカートリッジには、インク貯留体にケースを被せた後(インクカートリッジの組み立てを全て完了した後)にケース外部からインクを分注するものもあった。この従来のインクカートリッジでは、インクの貯留量やインク色に応じて、それぞれフレームとケースとを用意する必要があった。しかし、本実施例では、インク貯留体100のインク貯留室111内にインクを分注した後にケース200を被せるので、インク貯留体100を共通部品化することができる。即ち、ケースの形状が異なる場合であっても、インク貯留体100を共通化して使用することができる。その結果、インクカートリッジ14の製作コストを低減することができる。
また、インクカートリッジ14は、インク分注部150(インク分注栓520)がケース200によって外部から目視不可能となり、完全に隠蔽されているので、ユーザが誤ってインク分注栓520を取り外し、インクを外部に飛び散らすといった不具合を防止することができる。
次に、図40を参照して、インクカートリッジ14の多機能装置1への装着方法について説明する。図40は、インクカートリッジ14を多機能装置1へ装着する方法を示した図である。
インクカートリッジ14を多機能装置1に取り付ける場合には、まず、包装袋930を破り、包装袋930内からインクカートリッジ14を取り出す。その後、ケース200からプロテクタ300を取り外した状態で行われる。なお、各インクカートリッジ14(カラー用、ブラック用および大容量ブラック用)の多機能装置1への装着方向は同様である。
まず、図40(a)を参照して、多機能装置1のリフィルユニット13の内部構造について説明する。リフィルユニット13は、上述したように、ケース40の背面56側の下方にニードル49が配設されており、ニードル49は、インクカートリッジ14の装着方向F(図40(a)矢印F)に沿って突出している。この装着方向Fは、図40(c)から明らかなようにリフィルユニット13に装着されたインクカートリッジ14の長手方向(矢印B方向、X方向)と平行である。ニードル49の上方には、インク残量検出センサ57が配設されている。インク残量検出センサ57は、略コ字状に形成されており、コ字状の開放された一方の端部が光を発光する発光部57aであり、他方の端部が光を受光する受光部57b(図示せず)である。その発光部57aと受光部57bが、ケース切欠部213,223と検出部140により形成される貫通孔にそれぞれ挿通されるよう、背面56から突出して取り付けられている。なお、インク残量検出センサ57は、発光部57aから発光された光を受光部57bが受光した場合に、多機能装置1に設けられた制御装置に信号を出力せずに(又は出力し)、発光部57aから発光された光が遮断され受光部57bが受光できない場合に、制御装置に信号を出力する(又は出力しない)よう構成されている。
図40(a)に示すように、インクカートリッジ14(プロテクタ300が取り外された状態)を多機能装置1に装着する場合には、インクカートリッジ14をインク供給部120が下方で大気導入部130が上方となるよう装着する。この状態が、インクカートリッジ14の正規の装着姿勢(又は第1の姿勢)である。
また、インクカートリッジ14は、多機能装置1に装着された状態で、下方から上方に向かって、インク供給部120、検出部140、大気導入部130の順番になっており、さらに、インク供給部120、検出部140及び大気導入部130が1端面に形成されている。この1端面は、図40(b)から明らかように、インクカートリッジ14が正規の装着姿勢にあるときに、装着方向Fにおいて前方に位置するケース200の1側面のことである。よって、インク供給部120、検出部140及び大気導入部130が1端面に集中して設けられているので、多機能装置1側に必要となるインク残量検出センサ57、ニードル49、通路54を一面(背面56)に集約して設けることができる。仮に、インク供給部120がインクカートリッジ14の下面に設けられ、検出部140と大気導入部130がインクカートリッジ14の側面に設けられているとすると、多機能装置1側はニードル49をリフィルユニット13のケース40の底面側に設け、インク残量検出センサ57と通路54をケース40の側面(背面56)側に設けざるを得なくなり、これらが分散し多機能装置1が大型化する。しかし、本実施例ではこれらが集約されるため、多機能装置1の小規模化を図ることができる。
また、1端面において、下方から上方に向かって、インク供給部120、検出部140、の順番に設けられており、且つ、インク残量の検出方式として、センサーアーム470を用いた方式を採用したことで、インクの使い切りを良くすることができる。これは以下の理由による。
光検出器(本実施例におけるインク残量検知センサ57に対応)を用いてインクカートリッジの一部分(本実施例における検出部140に対応)を照射してインク残量を検出するときに、仮にインクの有無を直接検出する方式(光検出器の光路中にインクが存在するか否かでインク残量を検出する方式)を用いたとすると、本実施例のように、1端面にインク供給口(本実施例におけるインク供給部120に対応)と光検出器で照射される被照射部分(検出部140)がともに設けられている構成では、インクの使い切りを良くすることができない。すなわち、インク供給口の下方に被照射部を配した構成では、インク供給口の位置が相対的に高くなるため、インク供給口よりも下方に貯留されるインクを使い残すことになって消費効率が劣化するし、インク供給口の上方に被照射部を配した構成では、被照射部の位置が相対的に高くなるため、光検出器がインク無しを検出したときは、まだ相当量のインクが残っており、光検出器の検出結果に基づいてユーザにインク無しを告知すると、インクの使い残しが多くなる。しかし、本実施例においては、センサアーム470を用いたことにより、被照射部が相対的に高い位置に設けられていても、実際のインク残量が少なくなったタイミングでインク無しを検出することができ、また、インク供給口を低い位置に設けるためインクの使い残しが少なくなるのである(説明が前後するが、センサーアーム470を用いたインク残量検出方法については後程詳しく説明する)。
なお、インクカートリッジの構成が、インク供給口がインクカートリッジの下面に設けられ、被照射部がインクカートリッジの側面に設けられてものであれば、インクの有無を直接検出する方式であってもインクの使い切りは悪化しない。しかしこの場合は、上述したように、多機能装置1が大型化するという別の不具合がある。すなわち、本実施例の発明においてのみ、多機能装置1の小規模化とインクの使い切りの向上がともに実現できるのである。
図40(a)に示すように、インクカートリッジ14の装着は、ケース200のケース突出部214a,224a(第1ケース溶着部216,226)を扉本体60の上面を滑らせるように挿入し、インクカートリッジ14の大部分がリフィルユニット13内に挿入されるまで、インクカートリッジ14の背面を装着方向Fに押して行われる。なお、上述したように、ケース突出部214a,224aには、傾斜面214a2,224a2が形成されているので、その傾斜面214a2,224a2によりインクカートリッジ14をスムーズに挿入することができる。
図40(b)に示すように、インクカートリッジ14がリフィルユニット13内を装着方向Fに押し込まれた状態となると、突起55がケース突起溝214b2,224b2によって形成される溝内に嵌挿されている。さらに、ニードル49の先端がインク供給部120の供給キャップ600内に位置している。インクカートリッジ14は、突起55とケース突起溝214b2,224b2とにより左右方向(図40(b)手前側から奧側への方向)の移動が規制され、リフィルユニット13の底板部42及び天板部44により上下方向の移動が規制されるので、インクカートリッジ14が斜めに挿入されてインク残量検出センサ57及びニードル49が破損してしまうことを防止することができる。また、突起55を設けることによって、インクカートリッジ14の装着を正規の装着位置に誘導しつつ行うことができる。
図40(b)の状態から扉部材60を図40(b)に示す矢印方向に回動させると、扉部材60の押圧保持部材61がインクカートリッジ14の背面と当接し、インクカートリッジ14が装着方向Fに押圧される。さらに扉部材60を矢印方向に回動させると、扉部材60の扉ロック部材62がリフィルユニット13のロック部材嵌合部46に嵌合して、インクカートリッジ14の装着が完了する(図40(c)の状態)。なお、図示および説明は省略するが、図40(c)の状態となると、スイングアーム機構44bの先端が係止部217a,227a内に嵌りインクカートリッジ14を保持する。
インクカートリッジ14の装着が完了すると、ニードル49がインク供給部120内部に挿入され、インク供給が可能な状態となり、大気導入部130のバルブ開放部721aがケース40の背面56と当接して大気が導入可能な状態となり、インク残量検出センサ57がケース切欠部213,223と検出部140とにより形成される貫通孔に挿通され、インク残量を検出可能な状態となるが、詳細な説明については後述する。
また、インクカートリッジ14がリフィルユニット13内に装着されると、インク残量検出センサ57が、ケース切欠部213,223と検出部140とにより形成された貫通孔に挿通されるので、インク残量検出センサ57の発光部57a及び受光部57bがケース200内に位置することになる。よって、インク残量検出センサ57の破損を防止できると共に、埃や塵などが発光部57a及び受光部57bに付着して誤検出となることを防止することができる。
また、上述したように、押圧保持部材61は、コイルバネ66により付勢されているので、インクカートリッジ14を安定して保持することができる。インクカートリッジ14がリフィルユニット13に装着された状態では(又は装着される際には)、インク供給機構500及び大気導入機構510の各スプリング部材630,650,730,750の弾性力が、ニードル49が配設された側面から離れる方向(図40左方向、反装着方向)に作用している。上述したように、押圧保持部材61は、これらのスプリング部材630,650,730,750により発生する弾性力より大きな弾性力を有するよう構成されているので、一旦インクカートリッジ14が装着された状態では、安定して保持することができる。さらに、押圧保持部材61は、インク供給部120と大気導入部130との略中間位置より若干下方を押圧しているので、インク供給部120及び大気導入部130に対して略均等となる弾性力を作用させることができる。よって、インクカートリッジ14は、リフィルユニット13内に安定して装着できる。
ここで、図41を参照して、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着された場合のインク供給機構500及び大気導入機構510の動作について説明する。図41は、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着された状態を示した図である。なお、図41は、インク供給機構500及び大気導入機構510の動作を説明するための図であるので、ケース200や、多機能装置1の突起55などは省略して図示してある。
図41に示すように、インクカートリッジ14が多機能装置1(リフィルユニット13内)に装着されると、インク残量検出センサ57の発光部57a及び受光部57b(図示せず)が検出部140を挟み込む位置に配置される。検出部140は、半透明または透明な樹脂材料で構成されているので、インク残量検出センサ57の発光部57aから発光される光が検出部140を通過し、受光部57bが光を受光することができる。上述したように、検出部140の内包部141には、センサーアーム470の遮蔽アーム部473cが配置されているので、このセンサーアーム470の動作によりインク残量を検出することができる。このセンサーアーム470の動作については後述する。
インク供給機構500は、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着されると、供給キャップ600の傾斜壁606dに囲まされた空間、供給キャップ600の挿通孔605、供給ジョイント600のインク流路615の順番にニードル49が挿通され、そのニードル49の先端が供給バルブ620のバルブ底壁621と当接して供給バルブ620が押される。その結果、供給バルブ620が供給ジョイント610のジョイント当接部613から離れてインクの流路が形成される。なお、ニードル49は、インク抽出口52及びインクチューブ53を介して多機能装置1の吐出口(図示せず)と連通している。また、ニードル49の先端には、インク流路を確保するための切欠49aが形成されており、ニードル49の先端が供給バルブ620のバルブ底壁621に当接したとしても、切欠49aによりインク流路が確保される。
ここで、供給バルブ620がニードル49に押される場合のインク供給機構500の動作について説明する。供給バルブ620(及び供給スライダ640)内に収納されている第1供給スプリング630は、上述したように、スプリング可撓部633が若干撓んでいる。一方、供給スライダ640の第1供給スプリング630とは反対側に配置された第2供給スプリング650のスプリング可撓部653に撓みは生じていない。これは、第1及び第2供給スプリング630,650の撓む順序を決めるためである。即ち、スプリング可撓部633が撓んでいる第1供給スプリング630の方が第2供給スプリング650よりも撓みやすくなるので、ニードル49が挿通されると、第1供給スプリング630が先に撓み、その後、第2供給スプリング650が撓む。
ここで、インク供給機構500の軸心O1方向の高さは、各部品毎に生産時の寸法誤差があるので、部品点数が多くなるほど寸法誤差が生じやすくなる。しかし、供給スライダ640が供給ジョイント610のバルブフック部626に当接されているので、少なくとも第1供給スプリング630の寸法の誤差が関係なくなる。よって、インク供給機構500の寸法誤差も少なくなり、インク供給機構500の伸縮動作が安定する。
また、供給バルブ620のバルブ外周壁622の内径と、供給スライダ640のスライダ外周壁641の外径とは略同等に形成されている。よって、供給スライダ640がインク供給機構500の軸心O1方向に動作した場合に、移動方向のずれの発生を防止することができる。また、スライダ外周壁641の内径と、第1及び第2供給スプリング630,650のスプリング底部631,651の外径とが略同等に形成されている。よって、第1及び第2スプリング部材630,650が、供給スライダ640のスライダ台座部644に配設された状態で、軸心O1と直交する方向(図41上下方向)へずれることを低減することができる。また、供給バルブ620のバルブ外周壁622の外形は、インク供給体116の内径より若干小さく形成されているが、供給バルブ620のバルブ外周壁622から外方向にバルブ突起部622aが形成されているので、供給バルブ620が軸心O1方向に動作した場合における移動方向のずれを防止することができる。従って、インク供給機構500の軸心O1方向への伸縮動作が安定する。
また、ニードル49により供給バルブ620のバルブ底壁621が押されて、弁座660方向(図41右方)へ移動すると、この移動に伴って、第1供給スプリング630が圧縮するように可撓変形し、さらに、ニードル49が挿入すると、供給バルブ620が弁座660方向へ移動し、これに伴って、供給スライダ640が弁座660方向(第1供給スプリング630及び第2供給スプリング650の付勢方向と反対方向)に移動して、第2供給スプリング650が可撓変形する。この状態が図41に示した状態である。
インクカートリッジ14が多機能装置1のケース40に装着された状態となると、第1及び第2供給スプリング630,650も弾性変形して、矢印Kで示すインク流路Kが形成される。インク流路Kは、インク貯留室111(図14参照)、第2供給連通孔423、第1供給連通孔421、カバー680の第1カバー貫通孔683(及び第2カバー貫通孔684)、弁座660の第1弁座貫通孔662b及び第2弁座貫通孔663、弁座660の弁座連通溝664、第2供給スプリング650のインク流路654、供給スライダ640のスライダ貫通孔645、第1供給スプリング630のインク流路634、第1供給スプリング630とバルブ受け部628との間に形成される流路、供給バルブ620のインク流路627、ニードル49の切欠49a、ニードル49の内部を順番に通る流路である。この流路がインクの大半が流れる主流路となる。また、供給バルブ620のバルブ外周壁622とインク供給体116の内周面と間の空間もインク流路となる。
ここで、供給ジョイント610内にニードル49が挿通された場合の供給ジョイント610の動作について説明する。ニードル49が階段部流路615aを経て突起部流路615b内に圧入されると、ジョイント突起部614は、その内周面614aとニードル49の外周面との摩擦によりニードル49に引きずられてニードル49の挿通方向(図41右側)へ変位する(当接部流路615c内に変位する)。このとき、ジョイント当接部613は、座繰状に切り欠かれた構造となっているので、ジョイント突起部614のニードル49の挿通方向への変位は、直接ジョイント当接部613の先端613aには伝わらない。即ち、ジョイント当接部613の先端613aは挿通方向へはほとんど変位せず、ジョイント当接部613の先端613aはニードル49から離れる方向に若干変位する。よって、ニードル49の挿通に伴う供給ジョイント610の形状変化は、ジョイント当接部613を互いに離れる方向へ変位させる形状変化となる。仮に、ジョイント当接部613が、ジョイント突起部614の内周面614aからジョイント当接部613の先端613aに向かってなだらかな斜面を有する形状であったとすると、ニードル49の挿通に伴ってジョイント突起部614がニードル49の挿通方向に変位するように変形し、ジョイント当接部613にジョイント突起部614の変形が直接伝わって、ジョイント突起部614と共にジョイント当接部613が挿通方向に変位してしまう。その結果、供給バルブ620とジョイント当接部613との間にインク流路を形成するためのニードル49の挿置ストロークが長くなるので、ニードル49を長く形成しなければならない。しかも、ニードル49が長くなると、他の部材と接触して破損し易くなるし、インク供給機構500の軸心O1方向の長さが長くなり大規模化する。しかし、本実施例では、ジョイント当接部613がニードル49の挿通方向と略直交する方向へ変位するので、インク流路を形成するためのストロークを長くする必要がない。よって、ニードル49が他の部材と接触することを低減して破損を低減できると共に、インク供給機構500の大規模化も低減することができる。
なお、インクカートリッジ14が多機能装置1から脱着されると、ニードル49が抜かれることに伴い、供給バルブ620のバルブ底壁621が供給ジョイント610のジョイント当接部613と当接してインク流路Kが閉塞される。この際、第2供給スプリング650は伸びきった状態となり、第1供給スプリング630は若干撓み変形した状態に復帰する。インクカートリッジ14が多機能装置1から脱着される場合には、ニードル49が抜かれるのに伴い供給ジョイント610のインク流路615(当接部流路615c及び突起部流路615b)近傍にあるインクが供給キャップ600方向(図41左方)へ流れてしまい、階段部流路615aに流出する。しかし、階段部流路615aに流出するインクは微量であるので、階段部流路615aの階段部の毛管力によりインクを保持し、インクインクカートリッジ14外部への流出を低減できる。さらに、階段部流路615aから流出したとしても、供給キャップ600のインク貯め部602の開口部が階段部流路615aの開口612cより広くなっているので、流出したインクは供給キャップ600のインク貯蔵部607に流入する。よって、インクカートリッジ14外部へインクが流れ出すことを確実に防止することができる。
次に、大気導入機構510側について説明する。大気導入機構510は、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着されると、大気キャップ700から外部に露出した大気バルブ720のバルブ開放部721aがケース40の背面56と当接し、大気バルブ720を押す。その結果、大気バルブ720が大気ジョイント710のジョイント当接部713から離れて、図示する矢印Lで示した大気導入路Lが形成される。また、大気バルブ720のバルブ開放部721aが背面56に当接して押されると、大気ジョイント710のジョイントスカート部714が背面56に当接し、ジョイントスカート部714が拡径(又は縮径)するよう撓み変形する。その結果、背面56に密着し、ジョイントスカート部714の外側と内側とを遮蔽する。ジョイントスカート部714の内側となる背面56には、大気を導入する通路となる通路54が形成されており、その通路54を介して大気がインク貯留室111内に導入される。
大気バルブ720が押される場合の大気導入機構510の動作について説明する。大気バルブ720(及び大気スライダ740)内に収納されている第1大気スプリング730は、上述したように、スプリング可撓部733が若干撓んでいる一方、第2大気スプリング750のスプリング可撓部753に撓みは生じていない。よって、第1及び第2大気スプリング730,750にも撓む順序が決められている。
また、大気バルブ720のバルブ外周壁722の内径と、大気スライダ740のスライダ外周壁741の外径とは略同等に形成されている。よって、大気スライダ740が大気導入機構510の軸心O2方向に動作した場合に、移動方向のずれの発生を防止することができる。また、スライダ外周壁741の内径と、第1及び第2大気スプリング部材730,750のスプリング底部731,751の外径とが略同等に形成されている。よって、第1及び第2大気スプリング730,750が、大気スライダ740のスライダ台座部744に配設された状態で、軸心O2と直交する方向(図41上下方向)へずれることを防止することができる。また、大気バルブ720のバルブ外周壁722の外形は、大気導入体117の内径より若干小さく形成されているが、大気バルブ720のバルブ外周壁722から外方向にバルブ突起部722aが形成されているので、大気バルブ720が軸心O2方向に動作した場合における移動方向のずれを防止することができる。従って、大気導入気候510の軸心O2方向への伸縮動作が安定する。
また、バルブ開放部721aにより大気バルブ720が押されて、突起部811方向(図41右方)へ移動すると、この移動に伴って、第1大気スプリング730が圧縮するように可撓変形し、さらに、大気バルブ720が押されると、大気スライダ740が突起部811方向に移動して、第2大気スプリング750が可撓変形する。この状態が図41に示した状態である。
インクカートリッジ14が多機能装置1のケース40に装着された状態となると、第1及び第2大気スプリング730,750も弾性変形して、矢印Lで示す大気導入路Lが形成される。大気導入路Lは、大気ジョイント710のジョイント通路715、大気バルブ720のインク流路734、第1大気スプリング730とバルブ受け部728との間に形成される流路、第1大気スプリング730のインク流路734、大気スライダ740のスライダ貫通孔745、第2大気スプリング750のインク流路754、第2大気スプリング750のスプリング上部752と突起部811との間に形成される流路、第1大気連通孔434を順番に通る流路である。この流路が大気の大半が流れる主流路となる。また、大気バルブ720のバルブ外周壁722と大気導入体117の内周面810と間の空間も大気導入路となる。その後、図16に示したように、第1大気連通室431、連通口433a、大気接続路433、連通口433b、第2大気連通室432、第2大気連通孔435及び第3大気連通孔436を通り、インク貯留室111内に大気が導入される。大気導入路Lが開放されると、インク貯留室111内が大気圧となるよう大気が導入される。
以上、説明したように、インク流路K及び大気導入路Lは、インクカートリッジ14を多機能装置1に装着することに伴い形成される。また、インク供給機構500及び大気導入機構510の動作は、スムーズで且つ軸心O1,O2に対してずれなく動作する。よって、インクカートリッジ14の装着を容易としつつ、インクの供給および大気の導入を確実に行うことができる。
次に、図42及び図43を参照して、インク貯留室111内のインク残量の検出方法について説明する。図42は、インク貯留室111内のインク残量に対応するセンサーアーム470の動作を示した図であり、図42(a)は、インク残量有りの状態を示しており、図42(b)は、インク残量無し(インクエンプティ)の状態を示している。図43は、センサーアーム470の動作原理を模式的に示した図である。
図42(a)に示すように、インク貯留室111内にインクが多く貯留されている状態(少なくとも内周溶着部415a,415b,416a,416bの下側端部より多く貯留されている状態)では、センサーアーム470のバランス部471がインクの比重より小さい比重となる樹脂材料から形成されているので、バランス部471に生じる浮力が大きくなり、バランス部471がインク内に浮いている。図42(a)に示すように、バランス部471がインク中にある状態では、バランス部471に生じる重力および浮力と遮蔽アーム部473cに生じる重力および浮力との合成力によって全体として反時計回り方向(図43の矢印G1方向)への回動力を受けるが、遮蔽アーム部473cは、検出部140(内包部141)の底壁141aから立設されたアーム支持部143に当接するので、インク残量検出センサ57の発光部57a及び受光部57bとの間の光路を遮断する位置に配置される。この状態がインク有りの状態であり、多機能装置1の制御装置(図示せず)でインク有りの判別がなされる。
インク流路Kを通り、インク貯留室111内のインクが減少すると、そのインクの減少に伴いインクの液面Iが下がっていく。インクの液面Iが下がると、遮蔽アーム部473cがインクの液面Iに現れ、その後、バランス部471もインクの液面Iに現れる。バランス部471がインクの液面Iに現れると、バランス部471は、遮蔽アーム部473cに比べて重量が大きいので、バランス部471に生じる反時計方向回り(図43の矢印G1方向)の浮力と、時計方向回り(図43の矢印G2方向)の重力とが釣り合うようになり、全体として合成力が釣り合う。その後、さらにインクの液面Iが下がっていくと、バランス部471は液面Iに追従して下方に移動するため、センサアーム470は時計周り方向に回動する。この回動動作によって遮蔽アーム部473cがアーム支持部143から離れて上方に移動し、インク残量検出センサ57の発光部57a及び受光部57bとの間の光路を通過させる位置まで回動する。この状態がインク無し状態であり、多機能装置1の制御装置(図示せず)でインク無しの判別がなされる。
以上の説明において、図42(a)及び図42(b)に示されるように、バランス部471は、インク残量が多い状態のときからインク残量無しの状態に至るまで、インク供給部120とほぼ同じ高さに位置しており、インク残量無しの状態では、インク貯留室111の底部400b1(図15参照)の近傍に位置している。よって、インク貯留室111内のインクが残り少なくなったときにインク無しの判別が正しくなされている。
図42(b)に示すように、インク無しの状態となっても、インク貯留室111内のインクは若干残っている。このときのインクの液面Iは、インク貯留室111の底部となる部分400b1より僅かに高い位置である。そして、上述したように、インク貯留室111とインク供給部120とは、供給隔壁422により画定されたインク供給室426(図15参照)を介して連通しており、インク貯留室111とインク供給室426は供給隔壁422に設けられた底部400b1より下方に位置する第2供給連通孔423により連通しているが、この第2供給連通孔423よりインクの液面Iが低くなると、供給隔壁422の内側に大気が入りインクの供給が行えない状態となる。そのため、本実施例では、インク供給が行えなくなる直前をインクエンプティと検出するために、インクの液面Iが第2供給連通孔423より上方であるときにセンサアーム470が回動してインク無しが検出されるようになっている。このように、第2供給連通孔423がインク貯留室111の底部となる部分400b1よりも下方に位置することで、インクエンプティが検出される前にインク切れが生じることは確実に回避される。また、インク無しの状態が判別されたときに、インク貯留室111の底部400b1上にはインクが殆どなく、インク貯留室111における底部400b1より低い位置に形成された比較的狭い空間である凹部空間424a内にインクが残るだけであるから、インク無しの状態が判別されたときの使い残されたインク量は極めて少なく無駄がない。
インク無しの判別がなされると、使用者にインク無しを示唆するために、インク無しランプを点灯したり、音声によりインク無しを知らせる。なお、制御装置に設けられたカウンタを使用し、インクが吐出された回数を記憶し、仮想的にインク無しを判断するソフトカウンタを併用して、インク残量を検出するものとしても良い。
図42(a)及び図42(b)に示すように、センサーアーム470の取付軸472aとフレーム部110のアーム挟持部425との取り付け位置、即ち、センサーアーム470が回動動作する中心(枢支部)位置は、検出部140より下方で且つインク供給部120より上方に配設されると共に、供給路形成部420よりインクカートリッジ14の装着方向において後方(図42(a)及び図42(b)左側)に位置している。本実施例は、インクカートリッジ14の1の側面にインク供給部120、大気導入部130及び検出部140を集約配置している。これは、多機能装置1のリフィルユニット13に各機構(インク供給機構、大気導入機構、インク残量検出機構)を集約配置させて、リフィルユニット13が複雑な形状となることを防ぎ、小規模化を図るためである。また、インク供給部120は、インクを多機能装置1に流出して供給する部分なので、インクの使い切りを良くするためにインクカートリッジ14の下端側に設けることが好ましく、大気導入部130は、大気をインクカートリッジ14内に導入する部分なので、インクカートリッジ14の上端側に設けることが好ましい。そのため、検出部140は、インク供給部120と大気導入部130との間に配置するのがスペース効率上好ましくなる。このような本実施例のインクカートリッジ14において、センサーアーム470の回動中心位置が検出部140より上方(又は同位置)に配置されると、バランス部471と取付部472の間の長さが長尺化することでセンサーアーム470が大型化してしまい、その分貯留できるインク貯留量が減少してしまう。一方、センサーアーム470の回動中心位置がインク供給部120より下方に配置されると、バランス部471の可動範囲が極めて小さくなり、インクエンプティの検出が困難となる。よって、本実施例では、センサーアーム470の回動中心位置(取付部472からなる「枢支部」)を、インク供給部120の上方で且つ検出部140の下方に配置している。その結果、上述したように、インクエンプティを確実に検出し、且つ、センサアーム470の大型化によるインク貯留量の減少を回避している。
また、本実施例のインクカートリッジ14において、バランス部471を供給隔壁422の近傍に配置すると、バランス部471が第2供給連通孔423に近くなり、バランス部471が動作する振動がインクに伝わり、インクの流れの妨げになってしまう。特に、インクの液面Iが波打ってしまうと、第2供給連通孔423から大気が供給隔壁422内に侵入する場合もあり、インク供給の妨げになる。反対に、バランス部471を供給隔壁422から極端に離すと、アーム部473が大きくなるので、バランス部471の浮力を確保するためにバランス部471も大規模化してしまう。その結果、インク貯留室111内のインク貯留量が少なくなってしまう。よって、本実施例では、センサーアーム470の回動中心位置を供給隔壁422の近傍とし、バランス部471がY方向におけるインク貯留室111の中間位置に位置するようにして、上述したセンサアーム470の大型化とインクの流れへの悪影響を回避している。
なお、図42(a)に示すように、センサーアーム470は、アーム挟持部425に取り付けられた状態で且つインク有り状態では、遮蔽アーム部473cの上部端面(図42上側端面)がインクの液面と略平行に位置している。この状態でインクの液面が下がり、遮蔽アーム473cの上部端面と同位置となると、インクの表面張力により遮蔽アーム473cを保持する力が作用する。インクの表面張力が遮蔽アーム473cを保持する力がバランス部473aの浮力より大きいと、センサーアーム470が正常に動作しなくなってしまう。そこで、本実施例では、遮蔽アーム473cの検出部140外部となる上部端面を下降傾斜するよう角度を持たせており、遮蔽アーム473cのインクの液面と略平行となる部分を少なくしている。よって、インクの表面張力が遮蔽アーム473cに作用する力を小さくすることができ、センサーアーム470を正常に動作させることができる。
ここで、図44を参照して、インクカートリッジ14が誤った姿勢で装着される場合について説明する。図44は、インクカートリッジ14が誤姿勢で多機能装置1に装着されるときの状態を示した断面図である。
図44に示すように、インクカートリッジ14がケース40内に挿入される場合に、正規の装着姿勢に対して上下が反対に装着されると、ケース突出部214a,224aの先端が突起55の先端と衝突する。なお、正規の装着姿勢とは上下が反対に装着される状態は、インク供給部120が上部に位置し大気導入部130が下部に位置した状態であり、正規の装着姿勢に対して誤姿勢(又は第2の姿勢)となる。
図44に示すように、ニードル49のニードル形成部材48からの突出距離t8に対して、突起55のケース40の背面56からの突出距離と、ケース突出部214a,224aのケース200からの突出距離との合計の突出距離t9の方が、長くなっている。突出距離t8と突出距離t9とに差を設けることにより、大気導入部130から外方に突出したバルブ開放部721aの先端とニードル49の先端とが非接触となっている。ニードル49は、インクカートリッジ14内のインクを抽出して、インクジェット記録ヘッド(図示せず)にインクを供給するための部材であるので、ニードル49が破損や変形すると、インクが正確に供給されずに印刷が正確に行われない場合がある。よって、ニードル49とバルブ開放部721aが衝突して、ニードル49が破損および変形することは好ましくない。しかし、上述したように、突出距離t8と突出距離t9とに差を設けることで、ニードル49がバルブ開放部721aと衝突することを防止できるので、ニードル49の破損や変形を防止でき、インクを確実に供給することができる。
さらに、検出部140とケース切欠部213,223とにより形成される貫通孔(検出窓)の上下方向(図44上下方向)における位置は、中心から若干ずれているので、インクカートリッジ14が正規の装着姿勢に対して上下逆にして装着されると、ケース200の外壁にインク残量検出センサ57が衝突してしまい、インク残量検出センサ57が破損してしまう場合がある。しかし、突出距離t8と突出距離t9とに差を設けているので、インク残量検出センサ57がケース200の外壁と衝突して破損してしまうことを防止することができ、インク残量を正確に検出することができる。
次に、図45を参照して、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着された状態から脱着する方法について説明する。図45は、インクカートリッジ14を多機能装置1から脱着する方法を示した図である。
図45(a)に示すように、インクカートリッジ14を多機能装置1(リフィルユニット13)から脱着する場合には、扉41のロック解除レバー63を、手前側(図45(a)左方向)へ回動させる(図45(a)矢印方向へ回動)。上述したように、ロック解除レバー63を回動させると、扉ロック部材62とロック部材嵌合部46との係合状態が解除され、その結果、扉41を手前側に回動することができる。
扉41の引出部材65の屈曲部65bの一部は、ケース200の凹部216a,226a(凹部226aは図45(a)奧側となるので図示せず)内に配置されているので、ロック解除レバー63を持って回動させると、扉41の引出部材65の屈曲部65bの先端がケース200の係止部216b,226b(係止部226bは図45(b)奧側となるので図示せず)に当接する(図45(b)の状態)。さらに、図45(b)の状態から扉41を手前側(図45(b)矢印方向)に回動させると、引出部材65の屈曲部65bによりケース200の係止部216b,226bが引き出され、その結果、インクカートリッジ14の一部がケース40内から突出した状態となる(図45(c)の状態)。この状態となると、ユーザーは、インクカートリッジ14を容易に取り出すことができる。よって、インクカートリッジ14の交換作業の作業性が良くなる。
ここで、図46を参照して、インクカートリッジ14を多機能装置1から脱着した場合に、インク垂れを防止する機構について説明する。図46は、インクカートリッジ14が多機能装置1から脱着される状態と、インクカートリッジ14の正面視を示した図であり、図46(a)及び図46(b)は、インクカートリッジ14が脱着される状態変化を示した図であり、図46(c)は、インクカートリッジ14の正面視を示した図である。
上述したように、ニードル49は、インクカートリッジ14が多機能装置1に装着された状態では、インク供給部120内に挿入されている。インク供給機構500は、第1供給スプリング630及び第2供給スプリング650により付勢されたバルブ機構であるので、インクカートリッジ14を多機能装置1から脱着する場合(図46(a)の状態から図46(b)の状態へ移行する場合)に、ニードル49の突出先端にインクが付着したり、又、最悪の場合には、インク供給部120からインクが流出してしまう場合がある。これは、ニードル49が供給ジョイント610から外される際に、供給バルブ620が第1供給スプリング630及び第2供給スプリング650の付勢力によってジョイント当接部613に当接する方向に移動するために、インクが突起部流路615bから階段部流路615aに向けて流出する方向に押し出されようとすることから、インクがニードル49の突出先端に一層纏わり付いたり、又、インク供給部120の外に向けて流出することが起こりえるのである。そのため、インクカートリッジ14が脱着される場合に、ニードル49の先端に付着したインクがインク滴として垂れたり、インク供給部120からインクが垂れ流れてしまう。
しかし、図46(b)に示すように、本実施例では、ケース突出部214a,224aからなる突起(第1突出部)がインク供給部120の突出先端より外方(図46(b)右方向)に突出しているので、ニードル49の先端に付着したインクがインク滴として垂れた場合や、インク供給部120からインクが垂れ流れたとしても、その垂れたインクを、ケース突出部214a,224aのインク供給部120側の面に付着させることができる。しかも、ケース突出部214a,224aとインク供給部120は比較的近接して位置しているので、インク供給部120から垂れたインクをケース突出部214a,224aに付着させやすくなっている。
図46(c)に示すように、供給キャップ600の挿通孔605は、ニードル49が挿通されると共に、インクが流出するインク供給口であり、その挿通孔605の直径t10に対して、ケース突出部214a,224aのインクカートリッジ14の幅方向(図46(c)左右方向、Z方向)の厚みt11の方が長くなっている。(ニードル49の直径は、挿通孔605の直径t10より若干細く形成されている。)さらに、垂直視したとき(Y方向から見たとき)に、挿通孔605はケース突出部214a,224aが占める領域内に全て収まっている。よって、インクカートリッジ14が脱着される場合に、ニードル49の先端に付着したインクが垂れたり、挿通孔605からインクが垂れ流れたりしても、その垂れたインクをケース突出部214a,224aによりキャッチすることができる。さらに、ケース突出部214a,224aは、インクカートリッジ14の装着姿勢において、水平方向(図46(a)及び(b)左右方向)に突出すると共に、インク供給部120側となる面が略平面に形成されているので、ケース突出部214a,224a上に付着したインクが更に下方へ垂れることを防止することができる。その結果、インクがリフィルユニット13内に垂れて汚れることを防止することができる。リフィルユニット13内が汚れてしまうと、インクカートリッジ14の着脱時にカートリッジ14が汚れ、これによりユーザーの手が汚れてしまう場合がある。しかし、インクがリフィルユニット13内に付着することを極力防止できるので、かかる問題を回避することができる。
上述した構成が汚れの防止に望ましいのであるが、これに限られることはなく、図14(c)にも示されるように、ケース突出部214a,224aは、インクカートリッジ14の垂直方向(図46(c)上下方向)において、連通孔605の中心を通る直線(図14(c)における直線p、供給キャップ600の開口600aの中心を通る直線でもある)の上に少なくとも一部が位置するものであれば良い。インク供給部120及びニードル49から垂れ落ちるインクの多くは、直線pに沿って落下経路を取り得るからである。従って、かかる構成であれば、ケース突出部214a,224aのインクカートリッジ14の幅方向の長さが挿通孔605の幅方向の長さt10よりも短かったとしても、リフィルユニット13の汚れ防止に貢献することができる。この場合、ケース突出部214a,224aによるインクの保持力は弱くなるため、一旦ケース突出部214a,224aでキャッチしたインクがリフィルユニット13内に垂れ落ちることも想定される。しかし、交換されるインクカートリッジ14は、ニードル49の先端がインク供給部120から抜かれた状態でリフィルユニット13内に長時間放置されることは殆どなく、リフィルユニット13から速やかに取り出されるので、かかる不具合は生じ難い。ちなみに、また、ケース突出部214a,224aが細く形成されていても、誤姿勢でインクカートリッジ14が装着される場合には、突起55の先端と衝突するので、誤装着の防止をすることもできる。さらに、ケース突出部214a,224aが直線p上に正確には位置しないものであっても、インク供給部120の垂直下方に位置していれば、インク供給部120から垂れ落ちるインクを多少はキャッチできるため、ケース突出部214a,224aを設けない場合に比べればリフィルユニット13内の汚れを防止することができる。
次に、図47を参照して、インクカートリッジ14の検出部140の検出面140a,140bにインクが付着することを低減する構造について説明する。図47は、インクカートリッジ14の検出部140の検出面140a,140bにインクが付着することを低減する構造を説明するための図であり、図47(a)は、インクカートリッジ14がリフィルユニット13(多機能装置1)から着脱される状態を示しており、図47(b)は、インクカートリッジ14の検出部140が形成された面を示した図であり、図47(c)は、インクカートリッジ14の斜視図である。なお、図47(a)のインクカートリッジ14は、その外形と検出部140との位置関係を示すための図であるので、詳細な構造は図示せず概略が示されている。
図47(a)に示すように、インクカートリッジ14をリフィルユニット13から着脱すると、インク供給部120の突出先端またはニードル49の突出先端からインクが飛び散る場合がある。これは、インク供給部120のインク供給機構500が第1及び第2供給スプリング630,650の弾性力により開閉動作をするので、インクカートリッジ14の着脱の際にインクの圧力が急激に変化して、インク供給機構500内に貯まっているインクが勢い良く飛び出したり、ニードル49がインク供給部120内に位置している状態(インクカートリッジ14が装着された状態)から突然外部に露出されると、インクが逆流して飛び散ってしまうからである。なお、インクの飛び散りは、インクカートリッジ14の着脱の際に毎回発生するわけではなく、インクが飛び散らない場合の方が多い。
また、図47(a)に示すように、インクカートリッジ14が装着姿勢の状態では、インク残量検出センサ57に対応した位置に検出部140が位置するので、インク供給部120(又はニードル49)より上方に検出部140が位置する。ニードル49及びインク供給部120から飛び散るインクの大部分は、自重により下方(反検出部140方向)に飛び散るので、検出部140をインク供給部120の上方に設けるだけで、検出部140にインクが付着することを低減することができる。さらに、検出面140a,140bは、挿通孔605と検出部140の中心とを結ぶ直線に平行となる平面で形成されている(図47(b)参照)。挿通孔605から飛び散るインクは、その大部分は略直線状に飛び散るので、挿通孔605からインクが飛び散ったとしても、検出面140a,140bに付着するインクは少なくなり、検出面140a,140bにインクが付着することを低減することができる。
また、図47(b)に示すように、インクカートリッジ14が使用途中で脱着されて、インク供給部120及び大気導入部130の位置関係が、インクカートリッジ14の装着姿勢(図47(a)の姿勢)に対して上下逆に置かれると、即ち、大気導入部130が下方に位置すると共にインク供給部120が上方に位置して置かれると、インク供給部120の供給キャップ600の挿通孔605からインクが垂れ流れることもある。挿通孔605から垂れるインクは自重により流れるので、検出部140方向に略直線的に流れ出して、検出部140の検出面140a,140bに付着する。
しかし、検出部140は、大気導入部130が下方で且つインク供給部120が上方となって配置された状態(図47(b)の状態)では、検出部140の検出面140a,140bが垂直方向(図47(b)において符号の向きを基準として上下方向)に配置されるので、検出面140a,140bに付着したインクは自重により大気導入部130側に垂れ流れる。また、検出面140a,140bは、樹脂材料によって表面が滑らかな平面で形成されているので、付着したインクが垂れ流れやすくなっている。よって、検出部140の側面にインクが付着することを低減することができる。また、インクカートリッジ14が装着される場合には、インク供給部120が下方で且つ大気導入部130が上方に位置して配置されるので(図47(a)の姿勢)、インクカートリッジ14の着脱時に検出部140にインクが付着していても、インク供給部120側にインクが流れ、検出面140a,140bにインクが付着することを低減することができる。さらに、上述したように、検出面140a,140bとフレーム部110の側面110aとの縁部140cは、略直角に形成されているので、検出面140a,140bに付着したインクは、縁部140cの毛細管力の作用により下方へ流れやすくなっている。従って、検出面140a,140bにインクが付着することを低減することができる。
また、図47(c)に示すように、検出部140は、ケース200の内側に配置されており、ケース切欠部213,223により検出面140a,140bの両側に、インク残量検出センサ57の発光部57a及び受光部57bが進入する空間が形成されている。よって、検出部140は、ケース200に覆われているので、インクが飛び散ったとしても、その飛び散ったインクが検出部140の検出面140a,140bに付着することを低減することができる。さらに、インク供給部120は、その一部がケース200から外方に突出しているので、インクカートリッジ14の装着姿勢において(図47(a)の状態)、検出部140までの距離が遠くなる。よって、飛び散ったインクの大部分は、検出部140まで届かないので、検出面140a,140bにインクが付着することを低減することができる。また、ケース突出部214a,224a及びケース突出部214b,224bは、インク供給部120及び大気導入部130を挟んで両側に形成されており、そのインク供給部120より外方に突出している。よって、インクカートリッジ14を落下させてしまった場合に、インク供給部120が落下面と接触することを防止できるので、接触の衝撃でインク供給部120からインクが流れ出すことを低減することができる。その結果、検出面140a,140bにインクが付着することを低減することができる。
次に、図48及び図49を参照して、リフィルユニット13のケース40(図2参照)について説明する。図48は、ケース40の正面を示した図であり、図48(a)は、大容量ブラック用またはブラック用のインクカートリッジ14とカラーインク用のインクカートリッジ14とを収納可能なケース40の正面図であり、図48(b)は、ブラック用のインクカートリッジ14とカラー用のインクカートリッジ14とを収納可能なケース2040の正面図である。なお、本実施例では、ケース40が多機能装置1に配設されているが、ケース40に代えてケース2040を配設した多機能装置1を提供することもできる。図49は、ケース40,2040の断面の概略を示した断面図であり、図49(a)は、図48(a)のXXXXIXa−XXXXIXa線におけるケース40の概略を示した断面図であり、図49(b)は、図48(b)のXXXXIXb−XXXXIXb線におけるケース2040の概略を示した断面図である。なお、図49は、ニードル形成部材48とインクカートリッジ14との断面を示しており、ケース40,2040を構成するその他の構成を省略して示している。また、図48から図50では、カラー用のインクカートリッジをインクカートリッジ14cとし、ブラック用のインクカートリッジをインクカートリッジ14k1とし、大容量ブラック用のインクカートリッジをインクカートリッジ14k2として示す。
図48(a)に示すように、ケース40は、4つのインクカートリッジを配列して収納可能に構成されており、その4つのインクカートリッジの配列状態は、カラー用のインクカートリッジ14cが3つ並んで配置され、その隣に大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2又はブラック用のインクカートリッジ14k1が配置される。即ち、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2又はブラック用のインクカートリッジ14k1は、インクカートリッジの配列方向(図48(a)左右方向)において端部となる位置に選択的に収納される。なお、図48(a)に示すケース40には、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2が収納されている。
図48(b)に示すように、ケース2040は、4つのインクカートリッジを配列して収納可能に構成されており、その4つのインクカートリッジの配列状態は、カラー用のインクカートリッジ14cが3つ並んで配置され、その隣にブラック用のインクカートリッジ14k1が配置される。即ち、ケース40と同様に、ブラック用のインクカートリッジ14k1は、インクカートリッジの配列方向(図48(b)左右方向)において端部となる位置に収納される。
なお、ケース40は、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2とブラック用のインクカートリッジ14k1との両方を装着できるので、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2の厚みに対応して形成されている。そのため、ケース40の横幅(各インクカートリッジ14c,14k2の配列方向の幅、図48(a)左右方向)t14は、、ケース2040の横幅(各インクカートリッジ14c,14k1の配列方向の幅、図48(b)の左右方向)t15より長くなっている。このケース40の横幅t14とケース2040の横幅t15との差は、図11で示した第2ケース部材220の立壁部220b〜220eの高さと、図13で示した第2ケース部材2220の立壁部2220b〜2220eの高さとの差分に対応している。
また、ケース40は、ブラック用のインクカートリッジ14k1と大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2とが選択的に装着されるものとし、ケース2040は、ブラック用のインクカートリッジ14k1のみが装着されるものとした。これはすなわち、2種類の多機能装置1をユーザに提供することを意味する。既に上述したように、テキスト印字の頻度が少ないユーザには大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2が不要であることから、かかるユーザには、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2が装着できない小型の多機能装置1を提供することが好ましい。また、ブラック用のインクカートリッジ14k1が装着されるケース2040と、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2が装着されるケース40とは、外形状が若干異なるだけなので、金型の大部分を共通して使用することができ、コスト低減を図ることができる。
図49(a)に示すように、インクカートリッジ14c,14k2がケース40内に収納された状態では、インクカートリッジ14c,14k2のそれぞれのインク供給機構500内にニードル49が進入している。カラー用のインクカートリッジ14cに進入するニードル49同士の間隔t16は同間隔となり、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2に進入するニードル49と隣接するカラー用のインクカートリッジ14cに進入するニードル49との間隔t17は、間隔t16より距離が長く形成されている。この間隔t16と間隔t17との差は、図8で示した第1ケース部材210の立壁部210b〜210eの高さと、図13で示した第1ケース部材2210の立壁部2210b〜2210eの高さとの差分に対応している。
図49(b)に示すように、インクカートリッジ14c,14k1がケース2040内に収納された状態では、インクカートリッジ14c,14k1のそれぞれのインク供給機構500内にニードル49が進入している。カラー用のインクカートリッジ14cに進入するニードル49同士の間隔t16と、ブラック用のインクカートリッジ14k1に進入するニードル49と隣接するカラー用のインクカートリッジ14cに進入するニードル49との間隔t17とは、ケース40の間隔t16,t17と同一長さとなっている。これは、ケース2040のブラック用のインクカートリッジ14k1の収納状態(収納姿勢)を、第1ケース部材1210をカラー用のインクカートリッジ14c側に配置することで、ブラック用のインクカートリッジ14k1に進入するニードル49と隣接するカラー用のインクカートリッジ14cに進入するニードル49との距離が、ケース40の大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2に進入するニードル49と隣接するカラー用のインクカートリッジ14cに進入するニードル49との距離と同じになるからである。言い換えれば、インクカートリッジ14cのインク供給部120の位置に対するインクカートリッジ14k1のインク供給部120の位置とインクカートリッジ14k2のインク供給部120の位置とが同位置となるからである。その結果、ケース40及びケース2040に配設されるニードル形成部材48は、ケース40,2040の横幅t14,t15が異なる場合であっても、同一のものが配設可能となるので、ケース40,2040の2つのケースを製作する場合に、ニードル形成部材48が共通部品となりコスト低減を図ることができる。
また、上述したように、インク供給機構500は、第1供給スプリング630及び第2供給スプリング650により付勢されたバルブ機構であるので、インクカートリッジ14を多機能装置1から脱着する場合に、インク供給部120からインクが流出してしまう場合、又は、最悪な場合には、周囲にインクが飛び散ってしまうことがある。ニードル49は、連続して配列されており、そのニードル49間を仕切る仕切板が設けられていないので、インク供給部120からインクが飛び散ると、その飛び散ったインクが隣接するニードル49に付着してしまう。ニードル49は、多機能装置1にインクを供給する部分であるので、ニードル49に他のインク色が混じると、印刷時の色変化が起こり印刷の品質が低下してしまう。本実施例では、ブラックインクが顔料系のインクであり、カラーインクが染料系のインクで構成されている。これは、ブラックインクは主にテキスト印刷で使用されるので、文字のエッジを明確にするために、用紙への浸透性が低い顔料系のインクで構成され、一方、カラーインクは主に画像印刷に使用されるので、ドットの粒状感がでにくく色合いを綺麗にするために、用紙への浸透性が高い染料系のインクで構成されている。カラーインク同士が混ざった場合の色変化の影響は小さいが、ブラックインクが他のカラーインクに混ざった場合には、色変化の影響が大きくなるので、ブラックインクが他のカラーインクと混ざることは好ましくない。また、他のインク色が混ざったことが確認された場合には、一般的にインクを強制的に排出する復帰処理(パージ)を行うが、その復帰処理のために無駄なインクが消費されるため、インクの使用効率も低下してしまう。さらに、ブラックインクは顔料系のインクであるので、染料系のインクに比べて粘性が高く、復帰処理を行ったとしても容易に取り除くことができない。そのため、復帰処理に時間を要し、無駄に排出されるインク量が多くなってしまう。しかし、本実施例では、ブラックインクが貯留されたインクカートリッジ14k1,14k2は、ケース40の配列方向の端部に配置され、さらに、インク供給部120(及びニードル49)が、カラー用のインクカートリッジ14cから離れる方向にシフトしているので、ブラックインクが飛び散ったとしても、その飛び散ったインクが隣接するニードル49に付着しにくくすることができる。従って、印刷の品質が低下することを抑制できるし、復帰処理のために無駄なインクが多量に消費されることを抑制することができる。
次に、図50を参照して、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2又はブラック用のインクカートリッジ14k1とカラー用のインクカートリッジ14cとがケース40内に装着された状態を説明する。図50は、ケース40内に各インクカートリッジ14c,14k1,14k2がそれぞれ装着された状態を概略的に示した概略断面図であり、図50(a)は、インクカートリッジ14k1,14cがケース40内に装着された状態を示しており、図50(b)は、インクカートリッジ14k2,14cがケース40内に装着された状態を示している。
図50(a)に示すように、リフィルユニット13(ケース40)の底板部42と天板部44には、ケース200又はケース1200のケース溶着部216,226,1216及びケース溶着部217,227,1217をそれぞれ収納可能な収納溝42c1〜42c4,44c1〜44c4が形成されている。収納溝42c1〜42c4,44c1〜44c4は、全て同形状に形成されている。
また、収納溝42c1,42c2との間、及び、収納溝42c2,42c3との間は、距離t12離れており、収納溝42c3,42c4との間は、距離t12より長い距離t13離れている。これは、上述したように、ブラック用のインクカートリッジ14k1が、他のカラー用のインクカートリッジ14cに対して外形が大きく形成されているためであり、ブラック用のインクカートリッジ14k1のインク供給部120及び大気導入部130が他のカラー用のインクカートリッジ14cのインク供給部120及び大気導入部130から離れる方向(図50左右方向)に、距離t12と距離t13との差分シフトした位置となっているからである。なお、距離t12と距離t13との差は、上述したニードル49間の間隔t16と間隔t17との差と同一であり、図8で示した第1ケース部材210の立壁部210b〜210eの高さと、図13で示した第1ケース部材2210の立壁部2210b〜2210eの高さとの差分、又は、図8で示した第1ケース部材210の立壁部210b〜210eの高さと、図11で示した第1ケース部材1210の立壁部1210b〜1210eの高さとの差分に対応している。
また、ブラック用のインクカートリッジ14k1の第2ケース部材220の外面と、側板部43の内面との間には、所定空間Xが形成されている。この所定空間Xは、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2に対応して形成されている。即ち、図50(b)に示すように、リフィルユニット13を、ブラック用のインクカートリッジ14k1及び大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2に兼用して使用するためである。
図50(b)に示すように、大容量ブラック用のインクカートリッジ14k2がリフィルユニット13内に装着されると、ブラック用のインクカートリッジ14k1が装着された場合に形成された空間が埋まっている。さらに、インクカートリッジ14k1が装着される場合と、インクカートリッジ14k2が装着される場合とで、インク供給部120及び大気導入部130の位置が同じとなる。よって、ブラック用のインクカートリッジ14k1,14k2を使用する場合であっても、ケース40を兼用することができるので、製作コストを低減することができる。
次に、図51を参照して、ケース200,1200,2200の部品構成の組み合わせについて説明する。図51は、ケース部材210,220,1210,2210,2220の組み合わせを模式的に示した模式図である。
図51(a)は、ケース200の模式図である。本実施例によれば、ケース200は、第1及び第2ケース部材210,220により構成されており、その第1及び第2ケース部材210,220の厚み(第1及び第2ケース部材210,220の立壁部210b〜210e,220b〜220eの高さ、図51(a)左右方向)は、それぞれ厚みt18となっている。
図51(b)は、ケース2200の模式図である。ケース2200は、第1及び第2ケース部材2210,2220により形成されており、その第1及び第2ケース部材2210,2220の厚み(第1及び第2ケース部材2210,2220の立壁部2210b〜2210e,2220b〜2220eの高さ、図51(b)左右方向)は、それぞれ厚みt18の略2倍の厚みとなる厚みt19となっている。
図51(c)は、ケース1200の模式図である。ケース1200は、第1及び第2ケース部材1210,220により形成されており、その第1及び第2ケース部材1210,220の厚み(第1及ぶ第2ケース部材1210,220の立壁部1210b〜1210e,220b〜220eの高さ、図51(c)左右方向)は、第1ケース部材1210が厚みt19となっており、第2ケース部材220が厚みt18となっている。
よって、本実施例によれば、厚みの異なる2つの第1ケース部材と、厚みの異なる2つの第2ケース部材とから、外形状の大きさが異なる(内容量が異なる)3種類のケース200,1200,2200が形成される。なお、本実施例においては、ケース200を構成する第1及び第2ケース部材210,220の厚みが等しく、ケース2200を構成する第1及び第2ケース部材2210,2220の厚みも等しくなっているが、このように厚みを等しくすることは外形状の大きさが異なる3種類のケース200,1200,2200を形成するために不可欠の条件ではない。すなわち、最も大きい第1のインクカートリッジ(ケース2200)を構成するケース部材の一方の側(第1ケース部材2210)の厚みが最も小さい第3のインクカートリッジ(ケース200)を構成するケース部材の一方の側(第1ケース部材210)の厚みより大きく、且つ、最も大きい第1のインクカートリッジを構成するケース部材の他方の側(第2ケース部材2220)の厚みが最も小さい第3のインクカートリッジを構成するケース部材の他方の側(第2ケース部材220)の厚みより大きいものであれば、4つのケース部材から外形状の大きさが異なる3種類のケースを作製することができる。以上説明した条件を第1条件と称する。なお、この第1条件に加えて更に条件を追加することで4つのケース部材から4種類のケースを作製することができる。これについては後ほど詳しく説明する。
ケース200,1200,2200は、樹脂材料で構成されており、射出成型により製造される。そのため、各ケース200,1200,2200に対応した金型が必要となり、全てのケースに対応した金型を製作した場合6種類が必要となる。すなわち、ケース200,1200,2200は内部に空間を有するものであるため、これらを構成するには、例えば1面が開口した容器本体とその開口を塞ぐ蓋体のように、少なくとも2つの部材が必要となり、本実施例のように、3つのケース200,1200,2200の大きさが互いに異なる場合は、6種類の部材が必要になるのである。
しかし、金型は高額であるため、極力共通とすることが好ましい。本実施例では、ブラック用の第2ケース部材220をカラー用の第2ケース部材220と共通化している。よって、ブラック用の第2ケース部材220用に専用の金型を必要としないので、コスト低減を図れる。さらに、ブラック用の第1ケース部材1210は、カラー用の第1ケース部材210に対して深くし、リブ1218を設けただけである。よって、ブラック用の第1ケース部材1210用のリブ1218より立壁部1210b〜1210eの先端側は、カラー用の第1ケース部材210の立壁部210b〜210e先端側と同形状となる。従って、第1ケース部材1210,210用の主要部分に対応した金型を共通化し、それぞれ第1ケース部材210に対応した部材、第1ケース部材1210に対応した部材を交換することで、第1ケース部材1210,210を製造することができる。即ち、2種類の金型を製作する場合に比較して、コスト低減を図ることができる。また、大容量ブラック用の第1ケース部材2210は、ブラック用の第1ケース部材1210のリブ1218を取り外したものと同形状となるので、第1ケース部材210,1210,2210の主要部分に対応した金型を共通化することができる。このように、インクカートリッジ144c,14k1,14k2が複数種類ある場合であっても、金型を極力共通化することで、コスト低減を図ることができる。また、互いに大きさの異なるケース200,1200,2200において、インク供給部120と大気導入部130を外部に突出させるための貫通孔を同一の形状にし、この貫通孔の半分に対応する略半円形状のケース切欠部211,212,221,222,1211,1212,2211,2212,2221,2222を、第1ケース部材210、第2ケース部材220、ブラック用の第1ケース部材1210、大容量ブラック用の第1ケース部材2210、及び大容量ブラック用の第2ケース部材2220に同一の略半円形状として形成させるようにしたことで、各金型の部分的な構造の共通化が図れ、金型を設計するためのコストの低減になっている。
なお、本実施例では、ケース200の第2ケース部材220と、ケース2200の第1ケース部材2210と略同形状に形成された第1ケース部材1210によりケース1200を構成したが、図51(d)に示すように、ケース200の第1ケース部材210と、ケース2200の第2ケース部材2220と略同形状に形成された第2ケース部材1220によりケース1200αを構成するものとして良い。なお、ケース部材210,220は立壁部210b〜210e,220b〜220eの高さが略同等に形成され、ケース部材2210,2220は立壁部210b〜210e,220b〜220eの高さが略同等に形成されているので、ケース1200aとケース1200の外形状の大きさはほぼ同じとなる。
また、単に、第1ケース部材210と第2ケース部材2220との組み合わせからなるケース、又は、第1ケース部材2210と第2ケース部材220との組み合わせからなるケースをブラック用のケースとして構成するものとしても良い。即ち、ケースの構成として、カラー用の小規模となるケースと、大容量ブラック用の大規模となるケースと、ブラック用の中規模となるケースとの3つのケースが構成可能なケース部材の組み合わせであれば、その組み合わせはどのような組み合わせであっても良い。
次に、図52を参照して、第2実施例について説明する。図52は、第2実施例のインクカートリッジ3014と、リフィルユニット3013とを示した図であり、図52(a)は、第2実施例のインクカートリッジ3014の側面を示した図であり、図52(b)は、インクカートリッジ3014がリフィルユニット3013内に装着された状態の断面を示した図である。
図52(a)に示すように、第2実施例のインクカートリッジ3014は、第1実施例のインクカートリッジ14に対して、大気導入部130の位置が異なるよう構成されている。第2実施例のインクカートリッジ3014は、ケース3200の上面に形成された貫通孔3130からラビリンス状に形成された大気導入通路3131を通り、インクカートリッジ3014内に大気が導入される。
図52(b)に示すように、第2実施例のリフィルユニット3013は、扉41に設けられた押圧保持部材3061の位置が、第1実施例の扉41に設けられた押圧保持部材61の位置より下方になるよう構成されている。これは、第2実施例のインクカートリッジ3014の押圧保持部材3061と対向する側面に、大気導入部が無いからであり、そのため、インクカートリッジ3014をリフィルユニット3013内に装着する際に作用する弾性力(第1供給スプリング630と第2供給スプリング650による弾性力)が、インクカートリッジ3014の下部にしか作用しないからである。よって、インクカートリッジ3014をリフィルユニット3013内に安定して装着するために、押圧保持部材3061とインク供給部120とが水平方向(図52(b)左右方向)において略同一直線上となるよう構成されている。略同一直線上に位置することで、弾性力が作用する方向も略同一直線上となるので、インクカートリッジ3014が傾くことを低減して、安定して装着することができる。
なお、第2実施例のインクカートリッジ3014は、内部にインク貯留体100を備える構成としても良いし、ケース3200内にインクが貯留されるよう構成しても良い。
次に、図53を参照して、第3及び第4実施例について説明する。図53は、第3及び第4実施例のインクカートリッジ4014,5014の外観を示した斜視図であり、図53(a)は、第3実施例のインクカートリッジ4014の外観を示した斜視図であり、図53(b)は、第4実施例のインクカートリッジ5014の外観を示した斜視図である。
図53(a)に示すように、第3実施例のインクカートリッジ4014は、その上面(図53(a)上側の面)の一部に大気をインクカートリッジ4014内に導入する貫通孔4130が形成され、この貫通孔4130から導入された大気は、ラビリンス状の大気導入通路4131(内径が小さく比較的距離のある通路)を通り、インクカートリッジ4014内に導入される。インクカートリッジ4014は、使用前の状態でインクカートリッジ4014内のインクの脱気度および流出を防ぐために、シール部材4132が貼着されている。インクカートリッジ4014を使用する場合には、シール部材4132が剥がされた後に、多機能装置1に装着される。
インクカートリッジ4014の略鉛直方向(図53(a)上下方向)に延在する一端面からは、検出部4140(被照射部)が外方に突出して形成され、さらに、その下部にインク供給部4120が形成されている。インク供給部4120の突出先端には、ニードル49が挿入されるインク供給口4121が形成されている。なお、第3実施例のインクカートリッジ4014は、インク貯留体100に相当する構成を有しておらず、筐体の内部に直接インクが貯留される。
図53(a)の右側には、図中の2点鎖線の断面図が図示されている。図示するように、インク供給部4120の内部には、ニードル49が挿通される挿通部を形成するジョイント4122と、そのジョイント4122のインクカートリッジ4014内側方向に配置され、ジョイント4122の開口を塞ぐバルブ4123と、そのバルブ4123をジョイント4122方向に付勢するスプリング部材4124が設けられている。これらによってインク供給口4121を開閉するバルブ機構が構成されている。また、インクカートリッジ4014の内側とインク供給部4120との間を区画する区画壁4125がインクカートリッジ4014の本体に一体に設けられている。図53(a)に示されるようにこの区画壁4125はバルブ機構を収容する空間を形成するものである。
図53(b)に示すように、第4実施例のインクカートリッジ5014は、第3実施例のインク供給部4120に代えて、第1実施例のインク供給部120と同形状のインク供給部5120が形成されている。その他の構造は、第3実施例のインクカートリッジと同一なので、その詳細な説明は省略する。
なお、第3及び第4実施例の検出部4140は、第1実施例同様にセンサーアーム470を内部に備えるものとしても良い。センサーアーム470を備えていれば、インクカートリッジ4014,5014を多機能装置1に装着した状態で、インク残量を正確に検出することができる。また、第3及び第4実施例においては、ケース突出部214a,224aからなる突起(第1突出部)及びケース突出部214b,224bからなる突起(第1突出部)が省略されているが、これらを設けるものであっても良い。
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
ここで、図54から図56を参照して、ケース部材の組み合わせの変形例について説明する。図54から図56は、ケース部材の組み合わせの変形例を説明するための図であり、ケース部材の概略が示されている。上述したように、本実施例では、厚みの異なる2種類の第1ケース部材210及び第1ケース部材1210,2210と、厚みの異なる2種類の第2ケース部材220及び第2ケース部材2220とから、外形状の大きさが異なる3種類のケース200,1200(又は1200α),2200が形成された。これに代えて、変形例のケース部材の組み合わせは、4つのケース部材から外形状の大きさが異なる(内容量が異なる)4種類のケースを形成できる。以下に、その説明をする。
まず、図54を参照して説明する。図54(a)に示すように、ケースC1は、ケース部材l20とケース部材r21とで構成されている。ケース部材l20,r21のそれぞれの厚みは、ケース部材l20が厚みt20で構成され、ケース部材r21が厚みt20よりも厚い厚みt21で構成されている。図54(b)に示すように、ケースC2は、ケース部材l21とケース部材r22とで構成されている。ケース部材l21,r22のそれぞれの厚みは、ケース部材l21が厚みt21で構成され、ケース部材r22が厚みt21より厚い厚みt22で構成されている。さらに、ケース部材r22の厚みt22とケース部材r21の厚みt21の差と、ケース部材l21の厚みt21とケース部材l20の厚みt20の差とが異なっている。
このケースC1を構成するケース部材l20,r21と、ケースC2を構成するケース部材l21,r22との組み合わせを変更すると、図54(c)に示すケースC3と、図54(d)に示すケースC4とが形成される。具体的には、ケースC3は、ケース部材l20とケース部材r22とで構成され、ケースC4は、ケース部材l21とケース部材r21とで構成されている。
よって、ケースC1を構成するケース部材l20,r21と、ケースC2を構成するケース部材l21,r22との4つのケース部材から、小規模であるケースC1と、大規模であるケースC2と、2種類の中規模となるケースC3,C4が形成される。また、ケースC1からケースC4は、その外形状の大きさ(厚み)が全て異なっており、C1<C4<C3<C2の関係となっている。従って、4つのケース部材l20,r21,l21,r22から貯留すべきインクの量に応じて外形状が異なる4つのケースを形成することができる。
このように4つのケース部材から外形状の大きさが異なる4種類のケースを作製するには、上述した第1条件に加えて以下の第2条件が必要となる。その第2条件とは、最も大きい第1のインクカートリッジ(ケースC2)を構成するケース部材の一方の側(ケース部材r22)の厚みt22と最も小さい第3のインクカートリッジ(C1)を構成するケース部材の一方の側(ケース部材r21)の厚みt21との差分(t22−t21)を、最も大きい第1のインクカートリッジを構成するケース部材の他方の側(ケース部材l21)の厚みt21と最も小さい第3のインクカートリッジを構成するケース部材の他方の側(ケース部材l20)の厚みt20との差分(t21−t20)に対して異ならせることである。例えば、第1条件を満たし第2条件を満たさないように、t20=10mm、t21=25mm、t22=40mm(t22−t21=15mm、t21−t20=15mm)とすると、各ケースの厚みは、C1=35mm、C2=65mm、C3=50mm、C4=50mmとなり、3種類の大きさのケースしか作製できないが、第1条件と第2条件を満たすように、t20=10mm、t21=20mm、t22=40mm(t22−t21=20mm、t21−t20=10mm)とすると、各ケースの厚みは、C1=30mm、C2=60mm、C3=50mm、C4=40mmとなり、4種類の大きさのケースを作製することができる。
次に、図55を参照して説明する。図55(a)に示すように、ケースC5は、ケース部材l20とケース部材r20とで構成されている。ケース部材l20,r20の厚みはt20で構成されている。図55(b)に示すケースC2は、図54(b)のケースC2と同一であるので、その説明は省略する。
このケースC5を構成するケース部材l20,r20と、ケースC2を構成するケース部材l21,r22との組み合わせを変更すると、図55(c)に示すケースC3と、図55(d)に示すケースC6とが形成される。具体的には、ケースC3は、ケース部材l20とケース部材r22とで構成され、ケースC6は、ケース部材l21とケース部材r20とで構成されている。さらに、ケース部材r22の厚みt22とケース部材r20の厚みt20の差と、ケース部材l21の厚みt21とケース部材l20の厚みt20の差とが異なっており、上述した第1条件と第2条件をいすれも満たしている。
よって、ケースC5を構成するケース部材l20,r20と、ケースC2を構成するケース部材l21,r22との4つのケース部材から、小規模であるケースC5と、大規模であるケースC2と、2種類の中規模となるケースC3,C6が形成される。また、ケースC2,3,5,6は、その外形状の大きさ(厚み)が全て異なっており、C5<C6<C3<C2の関係となっている。従って、4つのケース部材l20,r20,l21,r22から貯留すべきインクの量に応じて外形状が異なる4つのケースを形成することができる。
次に、図56を参照して説明する。図56(a)に示すケースC1は、図54に示すケースC1と同一であるので、その説明は省略する。図56(b)に示すように、ケースC7は、ケース部材l22とケース部材r22とで構成されている。ケース部材l22,r22の厚みはt22で構成されている。
このケースC1を構成するケース部材l20,r21と、ケースC7を構成するケース部材l22,r22との組み合わせを変更すると、図56(c)に示すケースC3と、図55(d)に示すケースC8とが形成される。具体的には、ケースC3は、ケース部材l20とケース部材r22とで構成され、ケースC8は、ケース部材l22とケース部材r21とで構成されている。さらに、ケース部材r22の厚みt22とケース部材r21の厚みt21の差と、ケース部材l22の厚みt22とケース部材l20の厚みt20の差とが異なっており、上述した第1条件と第2条件をいすれも満たしている。
よって、ケースC1を構成するケース部材l20,r21と、ケースC7を構成するケース部材l22,r22との4つのケース部材から、小規模であるケースC1と、大規模であるケースC7と、2種類の中規模となるケースC3,C8が形成される。また、ケースC1,3,7,8は、その外形状の大きさ(厚み)が全て異なっており、C1<C3<C8<C7の関係となっている。従って、4つのケース部材l20,r21,l22,r22から貯留すべきインクの量に応じて外形状が異なる4つのケースを形成することができる。
以上のように、各ケースを形成するケース部材において、一方側に配置されるケース部材の厚みと、他方側に配置されるケース部材の厚みとがそれぞれ異なる場合には、4つのケース部材から外形状の大きさの異なる(内容量が異なる)4つのケースを形成することができる。
次に本実施例の他の変形例について説明する。上記実施例では、第1及び第2供給スプリング630,650と、第1及び第2大気スプリング730,750との弾性力により供給バルブ620及び大気バルブ720を供給ジョイント610及び大気ジョイント710方向に付勢してインク流路Kおよび大気導入路Lを塞ぐよう構成した。これに対して、金属材料または樹脂材料からなるコイルスプリング部材の弾性力により供給バルブ及び大気バルブを供給ジョイント及び大気ジョイント方向に付勢してインク流路および大気導入路を塞ぐよう構成しても良い。また、コイルスプリングは、少なくとも一部が円錐状に形成されたものを使用すれば、インク供給機構および大気導入機構を小規模化することができる。また、供給スライダ640及び大気スライダ740とを備えずに、第1供給スプリング630と第2供給スプリング650及び第1大気スプリング730と第2大気スプリング750とが直接当接する構造にし、さらに供給バルブ及び大気バルブを底板のみの簡易的な構造とするよう構成しても良い。この構成とすれば、インク供給機構および大気導入機構の構造が簡略化されるので、製作コストの低減化を図ることができる。さらに、第1供給(大気)スプリング及び第2供給(大気)スプリングとが一体に連結された構造にしても良い。また、供給バルブ620及び大気バルブ720にバルブフック部626,726を備えずに、供給(大気)スライダ640(740)と、第1及び第2供給(大気)スプリング630,650(730,750)とを一体に連結し、その一体に連結された供給(大気)スライダと第1及び第2供給(大気)スプリングとが自由に動作可能に構成するものとしても良い。
また、逆止弁670は、傘部671と軸部672とで構成されるものとしたが、傘部671のみの構成としても良い。逆止弁670は、インクの逆流を防止するためのものであるので、カバー680の第1カバー貫通孔683と第2カバー貫通孔684との連通を遮蔽できる構成できればよい。また、カバー680は、第2カバー貫通孔684が穿設されていない構成としても良い。
また、上記実施例では、供給ジョイント610のジョイント突起部614とジョイント当接部613との間が座繰状に形成されるものとしたが、供給ジョイントのジョイント当接部の外周部に溝部を形成するものとしても良い。この溝部によりジョイント突起部の変位が吸収されるので、ジョイント当接部がニードル49の挿入に伴って、挿入方向に変位することを低減することができる。さらに、ジョイント当接部の内径をジョイント突起部の内径に対して大きく形成すれば、ジョイント突起部の変位がジョイント当接部に伝わることを低減することができる。
また、上記実施例では、フレーム部110の第1開口112a及び第2開口112bの両側にフィルム160を溶着するものとしたが、一方の開口が側壁により閉塞され、他方の開口のみにフィルム160を溶着するよう構成してもよい。この場合、第2開口112b側が側壁で閉塞され、第1開口112aにフィルム160を溶着するよう構成すれば、大気接続路433の側壁がフィルム160で形成されるので、大気接続路433にメニスカスが形成されることを低減することができる。また、第2開口112b側を側壁で閉塞する場合には、その側壁が支持板となり、フレーム部の強度が保たれるので、インク貯留室内を連結する連結形成部(仕切板)を有しないよう構成しても良い。この場合、支持板の一方の面側からのみ内周溶着部を立設させればよい。
また、上記実施例では、フレーム部110に溶着されるフィルム160を、フレーム部110側がナイロン層で構成されるものとしたが、そのナイロン層に撥水コーティングを施すものとしても良い。この構成とすれば、大気接続路433にメニスカスが形成されることをより一層防止することができる。
また、上記実施例では、大気連通路形成部430は、第1大気連通室431から第2大気連通室432に向かって下降傾斜するよう構成したが、大気接続路433の1の面がフィルム160によって構成されているので、大気接続路433内でメニスカスが形成されることを防止することができる。よって、大気連通路形成部430を必ずしも下降傾斜するよう構成しなくても良く、インクカートリッジ14の装着姿勢において水平となるよう構成しても良い。
また、上記実施例では、全ての溶着工程を超音波溶着で行うものとしたが、接着剤で貼着可能な場合には、接着剤により貼着するものとしても良いし、他の溶着方法を使用して溶着するものとしても良い。例えば、ケース200の溶着は、第1及び第2ケース部材210,220が剥がれなければよいので、接着剤により接着することもできる。
以下に、本発明のインクカートリッジ、インク貯留体、インクカートリッジの包装体、インクカートリッジ包装体の製造方法及びインクカートリッジの製造方法の変形例を示す。
インクを貯留する内部空間を有するインク貯留体と、前記インク貯留体を内包するケースとを備え、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、前記内部空間に連通する開口を有するフレーム部材と、前記開口の開口周縁に固着され前記開口を閉封するフィルムとを備え、前記フレーム部材は、前記内部空間側から前記フィルムを支持するリブを備えていることを特徴とするインクカートリッジA1。
インクカートリッジA1において、前記フィルムは、前記リブに固着されていることを特徴とするインクカートリッジA2。
インクカートリッジA2において、前記フィルムと前記リブとの固着は、前記フィルムと前記リブとの内の少なくとも一方を溶融させて互いを接合することにより行われることを特徴とするインクカートリッジA3。
インクカートリッジA2又はA3において、前記フィルムに固着される前記リブの固着部は、前記フィルムに固着される前記開口の開口周縁における固着部と同一の仮想平面上に位置していることを特徴とするインクカートリッジA4。
インクカートリッジA1からA4のいずれかにおいて、前記ケースの一部であって前記開口に対向する部分が前記開口側へ向けて変位すると、前記変位を前記リブが規制するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジA5。
インクカートリッジA1からA5のいずれかにおいて、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において、前記リブは、下降傾斜して形成されると共に下降傾斜端部が自由端として形成され、重力により流動する前記インクを前記内部空間の底部側へ向けて案内可能に構成されていることを特徴とするインクカートリッジA6。
インクカートリッジA1からA6のいずれかにおいて、前記リブは、前記フレーム部材の開口領域において、複数が分散配置されていることを特徴とするインクカートリッジA7。
インクカートリッジA1からA7のいずれかにおいて、前記フレーム部材は、前記開口を画定する外枠部と、前記外枠部から前記開口の開口面と略平行に延在する支持板を備え、前記リブは前記支持板に立設されていることを特徴とするインクカートリッジA8。
インクカートリッジA1からA8のいずれかに使用されるものであることを特徴とするインク貯留体A9。
インクを貯留する内部空間を有するインク貯留体と、前記インク貯留体を内包するケースとを備え、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、前記内部空間に連通する第1開口及び第2開口を有するフレーム部材と、前記第1開口及び第2開口の各開口周縁に固着され前記第1開口及び第2開口をそれぞれ閉封するフィルムとを備え、前記フレーム部材は、前記内部空間を前記第1開口側の第1室および前記第2開口側の第2室に仕切る仕切板と、前記仕切板から立設され前記第1開口側から前記フィルムを支持する第1リブと、前記仕切板から立設され前記第2開口側から前記フィルムを支持する第2リブとを備えていることを特徴とするインクカートリッジB1。
インクカートリッジB1において、前記フィルムは、前記第1リブ及び第2リブにそれぞれ固着されていることを特徴とするインクカートリッジB2。
インクカートリッジB2において、前記フィルムと前記第1リブ及び第2リブとの固着は、前記フィルムと前記第1リブ及び第2リブとの内の少なくとも一方を溶融させて互いを接合することにより行われることを特徴とするインクカートリッジB3。
インクカートリッジB2又はB3において、前記フィルムに固着される前記第1リブの固着部は、前記フィルムに固着される第1開口の開口周縁における固着部と共に第1の仮想平面上に位置する一方、前記フィルムに固着される前記第2リブの固着部は、前記フィルムに固着される第2開口の開口周縁における固着部と共に第2の仮想平面上に位置していることを特徴とするインクカートリッジB4。
インクカートリッジB4において、前記第1の仮想平面と前記第2の仮想平面とが平行であることを特徴とするインクカートリッジB5。
インクカートリッジB1からB5のいずれかにおいて、前記ケースの一部であって前記第1開口及び第2開口に対向する部分が前記第1開口及び第2開口側へ向けて変位すると、前記各変位をそれぞれ前記第1リブ及び第2リブが規制するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジB6。
インクカートリッジB1からB6のいずれかにおいて、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において、前記第1リブ及び第2リブは、下降傾斜して形成されると共に、下降傾斜端部が自由端として形成され、重力により流動する前記インクを前記第1室及び第2室の底部側へ向けて案内可能に構成されていることを特徴とするインクカートリッジB7。
インクカートリッジB1からB7のいずれかにおいて、前記第1リブ及び第2リブは、前記フレーム部材の開口領域において、それぞれ複数が分散配置されていることを特徴とするインクカートリッジB8。
インクカートリッジB1からB8のいずれかにおいて、前記仕切板は、前記第1室と第2室とを連通する連通路を備えていることを特徴とするインクカートリッジB9。
インクカートリッジB9において、前記内部空間内に軸支され前記インクの減少に伴って回動する回動部材を備え、前記回動部材は、前記連通路内に配設されていることを特徴とするインクカートリッジB10。
インクカートリッジB10において、前記回動部材は、略円柱状の軸状部を備え、前記仕切板は、前記回動部材の軸状部を回動可能に挟持する挟持部を備えると共に、前記挟持部は、前記連通路に面する側が開放された断面略C字状に形成され、前記仕切板の挟持部に前記回動部材の軸状部を挿入し挟持させることで、前記回動部材が前記仕切板に回動可能に支持されることを特徴とするインクカートリッジB11。
インクカートリッジB1からB11のいずれかにおいて、前記フレーム部材は、前記仕切板から立設される補助壁部を備え、前記補助壁部は、前記リブよりも立設高さが低くされていることを特徴とするインクカートリッジB12。
インクカートリッジB12において、前記補助壁部は、前記リブよりも薄肉に構成されていることを特徴とするインクカートリッジB13。
インクカートリッジB12又はB13において、前記補助壁部は、前記連通路に隣接する前記仕切板の端縁部において前記仕切板から立設されていることを特徴とするインクカートリッジB14。
インクカートリッジB12からB14のいずれかにおいて、前記リブが複数ある場合に、前記複数のリブを前記補助壁部が連結していることを特徴とするインクカートリッジB15。
インクカートリッジB1からB15のいずれかにおいて、前記フレーム部材は、前記第1開口及び第2開口を画定する外枠部を備え、前記仕切板は、前記第1開口及び第2開口の開口面間の空間において前記外枠部から延在するように形成されていることを特徴とするインクカートリッジB16。
インクカートリッジB1からB16のいずれかに使用されるものであることを特徴とするインク貯留体B17。
インクを貯留する内部空間を有するインク貯留体を備え、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、内部に栓部材が圧入可能なインク注入流路を有する注入部と、前記注入部のインク注入流路を前記内部空間に連通させる連通部とを備え、前記連通部は、前記注入部のインク注入流路に連通する第1孔と、前記内部空間に連通する第2孔と、前記第1孔と第2孔とを接続し前記インク注入流路と前記内部空間とを連通させる接続流路とを備え、前記注入部のインク注入流路を通じて前記内部空間にインクを注入するインク注入作業の際の姿勢であるインク注入姿勢を前記インク貯留体がとるときに、前記第2孔が前記第1孔よりも上方に位置することを特徴とするインクカートリッジC1。
インクカートリッジC1において、前記インク貯留体は、開口を有するフレーム部材と、前記開口の開口周縁に固着されるフィルムとを備え、前記フレーム部材の開口を前記フィルムによって閉封することで、前記フレーム部材と前記フィルムとの間に前記内部空間を形成するものであり、前記連通部は、前記内部空間内に立設される壁部を備え、前記壁部に前記フィルムが固着されることで、前記壁部と前記フィルムとの間に前記接続流路を形成するものであることを特徴とするインクカートリッジC2。
インクカートリッジC2において、前記壁部は、前記注入部の外面から立設されていることを特徴とするインクカートリッジC3。
インクカートリッジC2又はC3において、前記フィルムに固着される前記壁部の固着部は、前記フィルムに固着される前記開口の開口周縁における固着部と同一の仮想平面上に位置していることを特徴とするインクカートリッジC4。
インクカートリッジC1からC4のいずれかにおいて、前記連通部の第2孔は、前記栓部材の圧入方向始端側となる前記インク注入流路の開口側に位置し、かつ、前記連通部の第1孔は、前記栓部材の圧入方向終端側となる前記インク注入流路の底部側に位置していることを特徴とするインクカートリッジC5。
インクカートリッジC2からC5のいずれかにおいて、前記連通部の接続流路は、直線状に延設されていることを特徴とするインクカートリッジC6。
インクカートリッジC1からC6のいずれかにおいて、前記インク注入姿勢では、前記連通部が前記内部空間の最上方に位置することを特徴とするインクカートリッジC7。
インクカートリッジC1からC7のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、偏平形状の略六面体として構成され、前記注入部は、前記略六面体の最も大きな面積を有する一対の面に連設される側面から前記栓部材を圧入する向きで前記インク貯留体の内部に配設されていることを特徴とするインクカートリッジC8。
インクカートリッジC9からC10のいずれかにおいて、前記インク注入作業は、前記インク注入流路を通じて前記内部空間にインクを注入し、さらに前記インク注入流路を通じて前記内部空間を吸引して前記内部空間を減圧するものであることを特徴とするインクカートリッジC9。
インクカートリッジC9において、前記インク注入作業は、前記内部空間にインクを注入する前に、前記内部空間を吸引して前記内部空間を減圧するものであることを特徴とするインクカートリッジC10。
インクを貯留する内部空間を有するインク貯留体と、前記インク貯留体の内部空間に大気を導入する大気導入部とを備え、前記インク貯留体は、互いに対向する第1面及び第2面とこれら第1面及び第2面の周縁を互いに連結する側面とを有して構成されると共に、前記大気導入部は、前記インク貯留体の前記側面に配置され、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、前記大気導入部からの大気を前記内部空間に導く大気連通路を備え、前記大気連通路は、前記大気導入部に連通する第1連通室と、前記内部空間に連通する第2連通室と、前記第2連通室と前記第1連通室とを接続する接続路とを備え、前記第1連通室及び第2連通室は、前記第1面側に底面が位置すると共に前記第2面側に天井面が位置する空間として形成され、前記第1連通室と前記大気導入部とを連通させる第1孔が前記第1連通室の底面から離間する位置に配置され、かつ、前記接続路と前記第2連通室とを連通させる第2孔が前記第2連通室の天井面から離間する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジD1。
インクカートリッジD1において、前記第1面を載置面として載置した場合には、前記第1孔が前記第2孔よりも上方に位置し、かつ、前記第2面を載置面として載置した場合には、前記第2孔が前記第1孔よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジD2。
インクカートリッジD1又はD2において、前記第1孔が前記第1連通室の側壁面に開口されると共に前記第1連通室の天井面に接する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジD3。
インクカートリッジD1からD3のいずれかにおいて、前記第2孔が前記第2連通室の側壁面に開口されると共に前記第2連通室の底面に接する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジD4。
インクカートリッジD1からD4のいずれかにおいて、前記第2連通室には、前記第2連通室と前記内部空間とを連通させる第3孔及び第4孔の少なくとも2つの孔が形成されていることを特徴とするインクカートリッジD5。
インクカートリッジD5において、前記内部空間を第1室及び第2室に仕切る仕切板を備えると共に、前記第2連通室の天井面が前記仕切板を兼用するように構成され、前記第3孔が前記第2連通室の側壁面に開口され、前記第4孔が前記第2連通室の天井面に開口されていることを特徴とするインクカートリッジD6。
インクカートリッジD6において、前記第4孔が前記天井面の角部の内で前記第2孔から最も離間して位置する角部に開口されていることを特徴とするインクカートリッジD7。
インクカートリッジD6において、前記インクジェット記録装置への装着姿勢において、前記第4孔が前記第2連通室内で最も上方に位置していることを特徴とするインクカートリッジD8。
インクカートリッジD5からD8のいずれかにおいて、前記第2孔の開口面積が前記第3孔及び第4孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジD9。
インクカートリッジD5からD9のいずれかにおいて、前記接続路の流路断面積が前記第3孔及び第4孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジD10。
インクカートリッジD1からD10のいずれかにおいて、前記第2孔の開口面積が前記第1孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジD11。
インクカートリッジD1からD11のいずれかにおいて、前記接続路の流路断面積が前記第1孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジD12。
インクカートリッジD1からD12のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、前記内部空間に連通する開口を有するフレーム部材と、前記開口の開口周縁に固着され前記開口を閉封するフィルムとを備え、前記接続路の天井面及び前記接続路の側壁面が前記フレーム部材により形成されると共に、前記接続路の底面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジD13。
インクカートリッジD13において、前記第1連通室の天井面及び前記第1連通室の側壁面が前記フレーム部材により形成されると共に、前記第1連通室の底面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジD14。
インクカートリッジD13又はD14において、前記第2連通室の天井面及び前記第2連通室の側壁面が前記フレーム部材により形成されると共に、前記第2連通室の底面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジD15。
インクカートリッジD14又はD15において、前記第3孔が前記第2連通室の側壁面に開口されると共に前記第2連通室の底面に接する位置に配置され、前記第3孔の開口周縁の一部が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジD16。
インクカートリッジD1からD16のいずれかにおいて、前記インクジェット記録装置への装着姿勢において、前記内部空間の上方に前記大気連通路が配置されると共に、前記大気導入部との連通側から前記内部空間との連通側へ向かうに従って前記大気連通路が下降傾斜するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジD17。
インクカートリッジD13からD16のいずれかにおいて、前記フィルムには、少なくとも前記大気連通路の底面を形成する部位に撥水加工が施されていることを特徴とするインクカートリッジD18。
インクを貯留する内部空間と前記内部空間に大気を導く大気連通路とを有するインク貯留体と、前記インク貯留体の側面に配置され前記大気連通路へ大気を導入する大気導入部とを備え、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インクジェット記録装置への装着姿勢では、前記内部空間の上方に前記大気連通路が配置されると共に、前記大気導入部との連通側から前記内部空間との連通側へ向かうに従って前記大気連通路が下降傾斜するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジE1。
インクカートリッジE1において、前記インク貯留体は、前記内部空間に連通する開口を有するフレーム部材と、前記開口の開口周縁に固着され前記開口を閉封するフィルムとを備え、前記大気連通路の一の面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジE2。
インクを貯留する内部空間と前記内部空間に大気を導く大気連通路とを有するインク貯留体と、前記インク貯留体の側面に配置され前記大気連通路へ大気を導入する大気導入部とを備え、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、前記内部空間に連通する開口を有するフレーム部材と、前記開口の開口周縁に固着され前記開口を閉封するフィルムとを備え、前記大気連通路の一の面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジE3。
インクカートリッジE3において、前記インクジェット記録装置への装着姿勢では、前記内部空間の上方に前記大気連通路が配置されると共に、前記大気導入部との連通側から前記内部空間との連通側へ向かうに従って前記大気連通路が下降傾斜するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジE4。
インクカートリッジE2からE4のいずれかにおいて、前記フィルムには、少なくとも前記大気連通路の前記一の面を形成する部位に撥水加工が施されていることを特徴とするインクカートリッジE5。
インクカートリッジE1からE5のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、互いに対向する第1面及び第2面とこれら第1面及び第2面の周縁を互いに連結する側面とを有して構成されると共に、前記大気導入部は、前記インク貯留体の前記側面に配置されるものであり、前記大気連通路は、前記大気導入部に連通する第1連通室と、前記内部空間に連通する第2連通室と、前記第2連通室と前記第1連通室とを接続する接続路とを備え、前記第1連通室及び第2連通室は、前記第1面側に底面が位置すると共に前記第2面側に天井面が位置する空間として形成され、前記第1連通室と前記大気導入部とを連通させる第1孔が前記第1連通室の底面から離間する位置に配置され、かつ、前記接続路と前記第2連通室とを連通させる第2孔が前記第2連通室の天井面から離間する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジE6。
インクカートリッジE6において、前記第1面を載置面として載置した場合には、前記第1孔が前記第2孔よりも上方に位置し、かつ、前記第2面を載置面として載置した場合には、前記第2孔が前記第1孔よりも上方に位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジE7。
インクカートリッジE6又はE7において、前記第1孔が前記第1連通室の側壁面に開口されると共に前記第1連通室の天井面に接する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジE8。
インクカートリッジE6からE8のいずれかにおいて、前記第2孔が前記第2連通室の側壁面に開口されると共に前記第2連通室の底面に接する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジE9。
インクカートリッジE6からE9のいずれかにおいて、前記第2連通室には、前記第2連通室と前記内部空間とを連通させる第3孔及び第4孔の少なくとも2つの孔が形成されていることを特徴とするインクカートリッジE10。
インクカートリッジE10において、前記内部空間を第1室及び第2室に仕切る仕切板を備えると共に、前記第2連通室の天井面が前記仕切板を兼用するように構成され、前記第3孔が前記第2連通室の側壁面に開口され、前記第4孔が前記第2連通室の天井面に開口されていることを特徴とするインクカートリッジE11。
インクカートリッジE10において、前記第4孔が前記天井面の角部の内で前記第2孔から最も離間して位置する角部に開口されていることを特徴とするインクカートリッジE12。
インクカートリッジE10において、前記インクジェット記録装置への装着姿勢において、前記第4孔が前記第2連通室内で最も上方に位置していることを特徴とするインクカートリッジE13。
インクカートリッジE10からE13のいずれかにおいて、前記第2孔の開口面積が前記第3孔及び第4孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジE14。
インクカートリッジE10からE14のいずれかにおいて、前記接続路の流路断面積が前記第3孔及び第4孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジE15。
インクカートリッジE6からE15のいずれかにおいて、前記第2孔の開口面積が前記第1孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジE16。
インクカートリッジE1からE16のいずれかにおいて、前記接続路の流路断面積が前記第1孔の開口面積よりも小さな面積とされていることを特徴とするインクカートリッジE17。
インクカートリッジE6からE17のいずれかにおいて、前記第1連通室の天井面及び前記第1連通室の側壁面が前記フレーム部材により形成されると共に、前記第1連通室の底面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジE18。
インクカートリッジE6からE18のいずれかにおいて、前記第2連通室の天井面及び前記第2連通室の側壁面が前記フレーム部材により形成されると共に、前記第2連通室の底面が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジE19。
インクカートリッジE10において、前記第3孔が前記第2連通室の側壁面に開口されると共に前記第2連通室の底面に接する位置に配置され、前記第3孔の開口周縁の一部が前記フィルムにより形成されていることを特徴とするインクカートリッジE20。
インクを貯留する内部空間を有するインク貯留体を備え、前記インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体の側面に配設され前記内部空間に貯留されたインクを前記インクジェット記録装置に供給するインク供給孔と、前記インク供給孔に連通されると共に前記内部空間内を区画壁により区画して形成されるインク供給室と、前記インク供給室を前記内部空間に連通させると共に前記区画壁に開口されるインク連通孔とを備え、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において、前記インク連通孔が前記インク供給孔よりも下方に位置することを特徴とするインクカートリッジF1。
インクカートリッジF1において、前記インク連通孔は、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において、前記内部空間の底面から所定間隔だけ離間して位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジF2。
インクカートリッジF1又はF2において、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において前記内部空間の底面となる壁部の一部を凹設して形成される凹設部を備えると共に、前記凹設部が前記インク連通孔の下方に位置していることを特徴とするインクカートリッジF3。
インクカートリッジF3において、前記インク連通孔が前記凹設部により形成される空間内に位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジF4。
インクカートリッジF1又はF2において、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において前記内部空間の底面となる壁部は、階段状の段部として形成されると共に、前記段部の内の最下段が前記インク連通孔の下方に位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジF5。
インクカートリッジF5において、前記インク連通孔が前記段部の内の最下段により形成される空間内に位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジF6。
インクカートリッジF5又はF7において、前記インク供給部が配設される前記インク貯留体の側面は、前記インク貯留体の互いに対向する第1面及び第2面の周縁を互いに連結する部位であり、前記凹設部により形成される空間または前記段部の内の最下段により形成される空間の幅寸法は、少なくとも前記第1面と第2面との間の対向間隔寸法よりも小さくされていることを特徴とするインクカートリッジF7。
インクカートリッジF1からF7のいずれかにおいて、前記インク供給室は、前記インク供給孔から離間するに従って断面積が減少する先細の形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジF8。
インクカートリッジF1からF8のいずれかにおいて、前記区画壁は、前記インクジェット記録装置に装着された姿勢において前記内部空間の底面となる壁部に連設されると共に前記壁部から上昇傾斜して形成されていることを特徴とするインクカートリッジF9。
インクカートリッジF9において、前記壁部から上昇傾斜される前記区画壁に前記インク連通孔が形成されていることを特徴とするインクカートリッジF10。
インクカートリッジF5からF10のいずれかにおいて、前記内部空間内に軸支され前記インクの減少に伴って回動する回動部材を備え、前記回動部材の一部が前記階段状の段部であって前記最下段に隣接する段部により形成される空間内に位置するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジF11。
インクカートリッジF1からF11のいずれかにおいて、前記インク貯留体の側面に配設され、前記インクジェット記録装置に装着されることで、前記内部空間に貯留されたインクを前記インク供給孔を介して前記インクジェット記録装置に供給するインク供給部を備えていることを特徴とするインクカートリッジF12。
インクを貯留するインク貯留室を形成するインク貯留体と、インク貯留室内に回動可能に設けられインクの減少にともなって回動する回動部材とを備え、前記回動部材はその回動によって変位する光遮断部を有し、前記インク貯留体には、前記回動部材の回動面と略平行な一対の壁面によって前記光遮断部材が変位可能に位置する通路を形成するとともに、インクジェット記録装置に装着されたときに外部から光が照射される被検出部が設けられたインクカートリッジにおいて、前記被検出部は、前記光遮断部の下方側に、前記光遮断部と前記一対の壁面との間に形成される一対の第1間隙にそれぞれ連続する一対の第2間隙を有し、前記第2間隙の間隙は前記第1間隙よりも狭いことを特徴とするインクカートリッジG1。
インクカートリッジG1において、前記被検出部は、前記一対の壁面の間に位置し前記回動面と略平行に延在するとともに前記光遮断部よりも厚みのある第1立壁を有し、前記一対の第2間隙は、前記一対の壁面と前記第1立壁との間に形成されていることを特徴とするインクカートリッジG2。
インクカートリッジG2において、前記被検出部は、前記一対の壁面の下端部を連結するとともに前記第1立壁が立設される底面を備え、その底面は前記インク貯留室側の下方側に向けて下降傾斜して構成されていることを特徴とするインクカートリッジG3。
インクカートリッジG3において、前記第1立壁と前記底面とが交差する縁部は断面視角状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジG4。
インクカートリッジG2またはG3において、前記被検出部の底面よりも下方の前記インク貯留体に設けられ前記インク貯留室内のインクをインクジェット記録装置に供給するインク供給部と、そのインク供給部と前記被検出部の底面との間を繋ぐ前記インク貯留体の内面から立設され、前記第1立壁と連続する位置から前記インク供給部側に向けて延びる第2立壁とを備えていることを特徴とするインクカートリッジG5。
インクカートリッジG5において、前記第2立壁と前記インク貯留体の内面とが交差する縁部は断面視角状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジG6。
インクカートリッジG5またはG6において、前記第2立壁が立設する前記インク貯留体の内面は、前記被検出部側から前記インク供給部側に向かって下降傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とするインクカートリッジG7。
インクカートリッジG1からG7のいずれかにおいて、前記回転部材は、前記光遮断部と、その光検出部の反対側に位置するバランス部と、そのバランス部と光遮断部とを連結して軸支される支点を有する連結部とを備え、前記回転部材のうち少なくとも前記バランス部は、インクの比重よりも小さい比重の材料で構成されていることを特徴とすることを特徴とするインクカートリッジG8。
インクカートリッジG8において、前記バランス部はポリプロピレンで構成されていることを特徴とするインクカートリッジG9。
インクカートリッジG3からG9において、前記被検出部は、前記底面と対向配置され前記一対の壁面の上縁部と連結される天井面を備え、その天井面は、前記光遮断部が前記天井面に当接する位置に配置されていることを特徴とするインクカートリッジG10。
インクを貯留するインク貯留室を形成するインク貯留体と、インク貯留室内に回動可能に設けられインクの減少にともなって回動する回動部材とを備え、前記回動部材はその回動によって変位する光遮断部を有し、前記インク貯留体には、前記回動部材の回動面と略平行な一対の壁面によって前記光遮断部材が変位可能に位置する通路を形成するとともに、インクジェット記録装置に装着されたときに外部から光が照射される被検出部が設けられたインクカートリッジにおいて、前記被検出部は、前記光遮断部の下方側に、前記光遮断部と前記一対の壁面との間に形成される一対の第1間隙にそれぞれ連続する一対の液体案内路を有し、前記一対の液体案内路は、前記第1間隙に残留するインクを毛管現象によって引き込むものであることを特徴とするインクカートリッジG11。
その一部にインクが貯留される内部空間を有するインク貯留体を備えインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジと、そのインクカートリッジを内包する可撓性および気体遮断性を有する包装袋とを備えたインクカートリッジ包装体において、前記インク貯留体は、前記内部空間に連通する第1開口を有するフレーム部材と、その第1開口の周縁部に固着され第1開口を閉封する可撓性および気体透過性を有する第1フィルムと、前記内部空間のうちインクが貯留される空間以外の空間であって大気圧よりも低い第1の圧力に減圧された減圧空間とを備え、前記包装袋の内部は、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に減圧されていることを特徴とするインクカートリッジ包装体H1。
インクカートリッジ包装体H1において、前記フレーム部材は、前記内部空間側から前記第1フィルムを支持する第1リブを備えていることを特徴とするインクカートリッジ包装体H2。
インクカートリッジ包装体H2において、前記第1フィルムは、前記第1リブに固着されていることを特徴とするインクカートリッジ包装体H3。
インクカートリッジ包装体H2又はH3において、前記インク貯留体は、前記フレーム部材の前記第1開口とは反対側に開口され前記内部空間に連通する第2開口と、その第2開口の周縁部に固着され第2開口を閉封する可撓性および気体透過性を有する第2フィルムと、前記内部空間を前記第1開口側の第1室および前記第2開口側の第2室とに仕切る仕切板とを備え、前記仕切板には、前記第1開口側に前記第1フィルムを支持する前記第1リブが立設されるとともに、前記第2開口側に前記第2フィルムを支持する第2リブが立設されていることを特徴とするインクカートリッジ包装体H4。
インクカートリッジ包装体H4において、前記第2フィルムは、前記第2リブに固着されていることを特徴とするインクカートリッジ包装体H5。
インクカートリッジ包装体H1からH5のいずれかにおいて、前記内部空間は、少なくとも一部にインクが貯留されるインク空間と、そのインク空間と外部とを連通させる大気連通空間とを備え、前記減圧空間は、前記大気連通空間を含むことを特徴とするインクカートリッジ包装体H6。
その一部にインクが貯留される内部空間を有するインク貯留体を備えインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジと、そのインクカートリッジを内包する可撓性および気体遮断性を有する包装袋とを備えたインクカートリッジ包装体の製造方法において、前記内部空間に連通する第1開口を有するフレーム部材と、その第1開口の周縁部に固着され第1開口を閉封する可撓性および気体透過性を有する第1フィルムとを備えた前記ンク貯留体を準備する準備工程と、その準備工程によって準備された前記インク貯留体が有する前記内部空間を予め大気圧よりも低い圧力に減圧し、前記内部空間に大気圧よりも低い第1の圧力に減圧された減圧空間が残るようにインクを分注するインク分注工程と、そのインク分注工程によってインクが充填された前記インクカートリッジを前記包装袋の内部に収容する収容工程と、その収容工程によって前記インクカートリッジが収容されている前記包装袋の内部を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に減圧する包装空間減圧工程とを備えていることを特徴とするインクカートリッジ包装体の製造方法H7。
インクカートリッジ包装体の製造方法H7において、前記インク分注工程は、前記減圧空間を前記第1の圧力よりも低く前記第2の圧力よりも高い第3の圧力に減圧する後減圧工程を備えていることを特徴とするインクカートリッジ包装体の製造方法H8。
インクカートリッジ包装体の製造方法H7又はH8において、前記準備工程は、前記フレーム部材と、前記内部空間側から前記第1フィルムを支持する第1リブとを備えた前記インク貯留体を成型する成型工程と、その成型工程によって成型される前記フレーム部材の第1開口を閉封するように前記第1開口の周縁部と前記第1リブとに前記第1フィルムを固着する第1固着工程とを備えていることを特徴とするインクカートリッジ包装体の製造方法H9。
インクカートリッジ包装体の製造方法H9において、前記成型工程では、前記フレーム部材の前記第1開口とは反対側に開口され前記内部空間に連通する第2開口を備えた前記インク貯留体が成型され、前記準備工程は、前記成型工程によって成型される前記フレーム部材の第2開口を閉封するように前記第2開口の周縁部に可撓性および気体透過性を有する第2フィルムを固着する第2固着工程を備えていることを特徴とするインクカートリッジ包装体の製造方法H10。
インクカートリッジ包装体の製造方法H10において、前記成型工程では、前記内部空間を前記第1開口側の第1室および前記第2開口側の第2室とに仕切る仕切板と、その仕切板から前記第1開口側に立設する前記第1リブおよび前記第2開口側に立設する第2リブとを備えた前記インク貯留体が成型され、前記第2固着工程は、前記第2開口の周縁部に前記第1フィルムを固着するとともに、前記第2リブと前記第2フィルムとを固着することを特徴とするインクカートリッジ包装体の製造方法H11。
インクを貯留するインク貯留室と、そのインク貯留室と連通するインク供給路とを有するインク貯留体を備えインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク供給路のインクの出口側に装着され、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される第1挿入路を形成し、その第1挿入路に挿入された前記インク抽出部材に密着するための弾性を有する弾性部材と、前記インク供給路内において前記弾性部材よりも前記インク貯留室側に設けられ、前記インクジェット記録装置から外れた状態で前記弾性部材に当接して前記第1挿入路を閉鎖し、前記インクジェット記録装置に装着された状態で前記インク抽出部材の端部に当接して前記インク貯留室から前記インク抽出部材へのインクの供給を許容する弁部材と、前記弾性部材が前記インク貯留室側とは反対側から外れるのを防止するキャップとを備え、そのキャップは、前記第1挿入路と略同軸上に延び前記第1挿入路よりも先に前記インク抽出部材が挿入される第2挿入路と、その第2挿入路を内部に有し、その第2挿入路のうち前記第1挿入路側の端部の開口径が前記第1挿入路の前記インク抽出部材の挿入される側の開口径よりも小さく構成されている内側筒状部と、その内側筒状部を取り囲む第1外側筒状部と、その第1外側筒状部と前記内側筒状部とを前記インク抽出部材が挿入される側において連結する連結部と、その連結部と前記第1外側筒状部と前記内側筒状部とによって囲まれて形成され前記第1挿入路と前記内側筒状部の端部との間から流下するインクを貯蔵するインク貯蔵部とを備えていることを特徴とするインクカートリッジI1。
インクカートリッジI1において、前記キャップは、前記第1外側筒状部の前記第1挿入路側の端部に形成され前記弾性部材の前記インク抽出部材が挿入される側の面と当接するフランジ部と、そのフランジ部の周縁から前記弾性部材の外周面に沿って前記インク貯留室側に延びる第2外側筒状部とを備えていることを特徴とするインクカートリッジI2。
インクカートリッジI2において、前記インク貯留体は、前記インク供給路が形成された筒状のインク供給部を有し、そのインク供給部の外周面には外方に向けて突出する突起が突設されており、前記第2外側筒状部は、前記弾性部材と前記インク供給部とを内包して前記インク貯留室側に延びるとともに、前記突起が嵌め込まれる嵌合部が形成されていることを特徴とするインクカートリッジI3。
インクカートリッジI2またはI3において、前記第2外側筒状部には、前記インク貯留室側の端部から前記フランジ部に向けて延びる切欠部が形成されていることを特徴とするインクカートリッジI4。
インクカートリッジI1からI4のいずれかにおいて、前記第1挿入路の少なくとも一部は、前記インク抽出部材が挿入される方向に向けて縮径する断面視テーパー状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジI5。
インクカートリッジI1からI4のいずれかにおいて、前記第1挿入路の少なくとも一部は、前記インク抽出部材が挿入される方向に向けて縮径する断面視テーパー状に且つ階段状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジI6。
インクカートリッジI1からI6のいずれかにおいて、前記第2挿入路の少なくとも一部は、前記インク抽出部材が挿入される方向に向けて縮径する断面視テーパー状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジI7。
インクカートリッジI3からI7のいずれかにおいて、前記弾性部材は、前記インク供給部の前記インク貯留室とは反対側の端部と前記第2外側筒部と前記フランジ部とに囲まれた空間に圧入される第1圧入部と、その第1圧入部から前記第1挿入路側に突出して前記第1挿入路内に圧入される第2圧入部とを備えていることを特徴とするインクカートリッジI8。
内部にインクを貯留するインク貯留室を有するとともに、インクジェット記録装置に装着されたときの姿勢で略鉛鉛直方向に延在する側面を備え、前記インクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジであって、前記側面には、前記インク貯留室内に貯留されたインクを前記インクジェット記録装置に供給するインク供給部と、前記インク貯留室内に大気を導入する大気導入部と、前記インク貯留室内のインク残量を検出するために前記インクジェット記録装置に設けられた光学式センサからの出射光が照射される被検出部とが配置されており、前記大気導入部は、前記インク供給部よりも上方に位置するとともに、前記被検出部は前記インク供給部よりも上方で且つ前記大気導入部よりも下方に位置することを特徴とするインクカートリッジJ1。
インクカートリッジJ1において、前記インク貯留室内には、インクの減少にともなって回動するとともにその回動によって変位する光遮断部を有する回動部材が設けられており、前記被検出部は、前記インク貯留室を画定する壁面の一部によって前記光遮断部材が変位可能に位置する通路を形成するものであり、前記光学式センサによって前記光遮断部の位置が検出されることで、前記インク貯留室内のインク残量が検出されることを特徴とするインクカートリッジJ2。
インクカートリッジJ2において、前記回動部材は、一端側に前記光遮断部材が設けられるとともに他端側にバランス部が設けられ、前記光遮断部と前記バランス部との間を枢支点として回動するものであり、前記バランス部は、全体がインク内に位置するときは重力よりも大きい浮力が作用して上方に変位し、インクが減少してその一部がインク面から露出したときは浮力が減少して下方に変位するものであることを特徴とするインクカートリッジJ3。
インクカートリッジJ3において、前記大気導入部の内部に形成される通路と、その通路の内部に装着され、前記インクカートリッジを前記インクジェット記録装置に装着した状態で前記インクジェット記録装置側から押圧される押圧部材を有し、その押圧部材が押圧されることで前記インク貯留室と外部とを連通させ、前記インクカートリッジが前記インクジェット記録装置から外れた状態で前記インク貯留室と外部との連通を遮断する弁部材とを備えていることを特徴とするインクカートリッジJ4。
インクカートリッジJ1からJ4のいずれかにおいて、前記インク供給部と前記被検出部は前記側面から突出しており、前記被検出部は、前記インク供給部と前記大気導入部の突出先端よりも前記側面側に設けられていることを特徴とするインクカートリッジJ5。
インクカートリッジJ5において、前記インク貯留室を形成するインク貯留体と、そのインク貯留体を内包するとともに前記側面を画定するケースとを備え、前記インク供給部、前記大気導入部、及び前記被検出部は、前記インク貯留体から突出して形成されており、前記ケースは、前記インク供給部を外部に突出させるインク供給部貫通孔と、前記大気導入部貫通孔と、前記被検出部を外部に露出させる検出窓とを有していることを特徴とするインクカートリッジJ6。
インクカートリッジJ6において、前記ケースは、前記インク供給部と前記被検出部と前記大気導入部とを挟む両側から前記インク供給部や前記大気導入部よりも外部に突出する突出部とを備えていることを特徴とするインクカートリッジJ7。
インクカートリッジJ7において、前記突出部の一方は、前記インクジェット記録装置の装着部に配置されている嵌合部に嵌合される被嵌合部を備えていることを特徴とするインクカートリッジJ8。
インクカートリッジJ8において、前記嵌合部は、前記インクジェット記録装置の装着部に前記インクカートリッジが装着される方向に沿って延びるガイド棒であって、前記被嵌合部は前記ガイド棒が挿嵌される方向に延びるガイド溝であることを特徴とするインクカートリッジJ9。
インクが少なくとも一部に貯留される内部空間を有するインク貯留体と、そのインク貯留体を内包する複数の構成部品からなるケースとを備えインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジの製造方法において、前記内部空間内にインクを分注するインク分注工程と、そのインク分注工程によって前記内部空間にインクが貯留されている状態の前記インク貯留体が前記ケースの内部に収容されるように前記複数の構成部品を組立る組立工程と、その組立工程によって前記インク貯留体が前記ケースの内部に収容されている状態で前記複数の構成部品同士を超音波によって振動させることで溶着する溶着工程とを備えていることを特徴とするインクカートリッジの製造方法K1。
インクカートリッジの製造方法K1において、前記インク分注工程の前に前記内部空間に連通する第1開口を有するフレーム部材と、その第1開口の周縁部に固着され第1開口を閉封する可撓性を有する第1フィルムと、その第1フィルムを前記内部空間側から支持する第1リブとを備えた前記インク貯留体を準備する準備工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジの製造方法K2。
インクカートリッジの製造方法K2において、前記準備工程は、前記フレーム部材と、前記内部空間側から前記第1フィルムを支持する第1リブとを備えた前記インク貯留体を成型する第1成型工程と、その第1成型工程によって成型される前記フレーム部材の第1開口を閉封するように前記第1開口の周縁部と前記第1リブとに前記第1フィルムを固着する第1固着工程とを備えていることを特徴とするインクカートリッジの製造方法K3。
インクカートリッジの製造方法K3において、前記第1成型工程では、前記フレーム部材の前記第1開口とは反対側に開口され前記内部空間に連通する第2開口を備えた前記インク貯留体が成型され、その第1成型工程によって成型される前記フレーム部材の第2開口を閉封するように前記第2開口の周縁部に可撓性および気体透過性を有する第2フィルムを固着する第2固着工程を備えていることを特徴とするインクカートリッジの製造方法K4。
インクカートリッジの製造方法K4において、前記第1成型工程では、前記内部空間を前記第1開口側の第1室および前記第2開口側の第2室とに仕切る仕切板と、その仕切板から前記第1開口側に立設する前記第1リブおよび前記第2開口側に立設する第2リブとを備えた前記インク貯留体が成型され、前記第2固着工程は、前記第2開口の周縁部に前記第2フィルムを固着するとともに、前記第2リブに前記第2フィルムを固着することを特徴とするインクカートリッジの製造方法K5。
インクカートリッジの製造方法K3からK5において、前記準備工程は、インクの減少にともなって前記内部空間を回動するとともにその回動によって変位する光遮断部を有する回動部材を成型する第2成型工程を備え、前記第1成型工程では、前記フレーム部材に設けられ前記光遮断部材が変位可能に位置する通路を形成するとともに前記インクジェット記録装置に設けられた光学式センサからの出射光が照射される被検出部を備えた前記インク貯留体が成型され、前記準備工程は、前記第2成型工程によって成型される回動部材を前記フレーム部材に取着する取着工程を備えていることを特徴とするインクカートリッジの製造方法K6。
インクカートリッジの製造方法K6において、前記第1成型工程では、前記フレーム部材の側面から突出して前記インク貯留室内のインクを前記インクジェット記録装置に供給するインク供給部と、そのインク供給部が突出する前記フレーム部材の側面から前記インク供給部と同じ方向に突出して前記インク貯留室内に大気を導入する大気導入部と、その大気導入部と前記インク供給部とが突出する前記フレーム部材の側面であって前記大気導入部と前記インク供給部との間から前記大気導入部と前記インク供給部とが突出する方向と同じ方向に突出する前記被検出部とを備えた前記インク貯留体が成型されることを特徴とするインクカートリッジの製造方法K7。
インクカートリッジの製造方法K7において、前記準備工程は、前記インク供給部を外部に突出させるインク供給部貫通孔と、前記大気導入部を外部に突出させる大気導入部貫通孔と、前記被検出部を外部に露出させる検出窓とが前記ケースの一面に配置されるように前記複数の構成部品を成型する第3成型工程を備え、前記組立工程では、前記インク供給部が前記インク供給部貫通孔から外部に突出し、前記大気導入部が前記大気導入貫通孔から外部に突出し、前記被検出部が前記検出窓から外部に露出するように前記第3成型工程によって成型される前記複数の構成部品が組立てられ、前記溶着工程では、前記ケースの一面以外の部分において前記複数の構成部品が互いに溶着されることを特徴とするインクカートリッジの製造方法K8。
内部にインクを貯留するインク貯留室を有するケースを備え、前記インク貯留室に貯留されたインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジにおいて、前記ケースの一面から外方に突出し、前記インク貯留室内のインクを前記インクジェット記録装置に供給するインク供給部と、前記ケースの前記一面から前記インク供給部と同じ方向に向けて外方に突出し、前記インク貯留室内に大気を導入する大気導入部と、前記ケースに連結され前記インク供給部と前記大気導入部とが突出する方向と同じ方向に前記インク供給部や前記大気導入部よりも外方に突出する一対の突出部とを備え、前記一対の突出部は、前記インク供給部と前記大気導入部とを挟む両側に各々配置されていることを特徴とするインクカートリッジL1。
インクカートリッジL1において、前記突出部の一方は、前記インクジェット記録装置の装着部に配置されている嵌合部に嵌合される被嵌合部を備えていることを特徴とするインクカートリッジL2。
インクカートリッジL2において、前記嵌合部は、前記インクジェット記録装置の装着部に前記インクカートリッジが装着される方向に沿って延びるガイド棒であって、前記被嵌合部は前記ガイド棒が挿嵌される方向に延びるガイド溝であることを特徴とするインクカートリッジL3。
インクカートリッジL1からL3のいずれかにおいて、前記ケースは、前記一面を含む略箱状に形成されており、前記一対の突出部は、前記インク供給部と前記大気導入部とが並ぶ方向に前記インク供給部と前記大気導入部とを挟んで前記一面の両端部に配置されており、前記一対の突出部のうち前記インクジェット記録装置に装着した状態で下方に位置する突出部は、前記一面とは別の前記ケースの底面から連続して上方に向けて延びる傾斜面を備えていることを特徴とするインクカートリッジL4。
インクカートリッジL1からL4のいずれかにおいて、前記インク貯留室を形成するものであって前記ケースに内包されるインク貯留体を備え、前記インク供給部と前記大気導入部とは、前記インク貯留体から外方に向けて突出して形成されており、前記ケースには、前記一面に、前記インク供給部を外部に突出させるインク供給部貫通孔と、前記大気導入部を外部に突出させる大気導入部貫通孔とが形成されていることを特徴とするインクカートリッジL5。
インクカートリッジL5において、前記インク供給部と前記大気導入部と間から前記インク貯留体の一部が前記インク供給部や前記大気導入部が突出する方向と同じ方向に突出して形成され、インク残量を検出するために前記インクジェット記録装置に設けられた光学式センサからの出射光が照射される被検出部を備え、前記ケースの前記一面には、前記被検出部に対応する位置に開口する検出窓が形成されていることを特徴とするインクカートリッジL6。
インクカートリッジL6において、前記インク貯留室内には、インクの減少にともなって回動するとともにその回動によって変位する光遮断部を有する回動部材が設けられており、前記被検出部は、前記インク貯留室を画定する壁面の一部によって前記光遮断部が変位可能に位置する通路を形成するものであり、前記光学式センサによって前記光遮断部の位置が検出されることで、前記インク貯留室内のインク残量が検出されることを特徴とするインクカートリッジL7。