JP4524428B2 - 紫外線防止効果計測方法及びシステム - Google Patents
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Description
幼稚園や小学校でも、テント等を用いて積極的に日除けを作っている。
ここで、紫外線による弊害防止に日除けを作って対処する場合において、「日除けはどの程度の大きさにするべきか?」、「どの程度、紫外線被曝が防げるのか?」について考慮する必要がある。換言すれば、紫外線防止効果の定量的な評価を行う必要がある。
環境省の「紫外線保健指導マニュアル」でも、定量的な記述は存在しない。
しかし、この技術では、塗料或いはクリームの様な不定形の材料における単位面積当りの紫外線遮蔽効果を測定することは可能であるが、テント等の様に一定の形状を有する日除けにおける紫外線遮蔽効果を測定することは不可能であり、日除けにおける紫外線防止効果の定量的な評価を行い得るものではない。
即ち、{1+(L1/L2)}/Np2/Np1 なる式により求められる数値(ASPF:直射日光下で皮膚に紅斑が出来る時間と、日除け内で皮膚に紅斑が出来る時間との比率)で、対象物(日除け4)の紫外線防止効果を定量的に評価する制御を行う機能を有している。
上述する構成を具備する本発明によれば、紫外線天空率算定図(2)と射影図(5)とを重ね合わせる(6)という簡単な処理と、プロット(P)を数えてその数を比較するという簡単な処理とにより、日除けがある場合の紫外線のCIE紫外線量(UV2)或いはUVIndexに対応するパラメータ、すなわちプロット(P)の数を求めることができる。そして、紫外線天空率算定図(2)は日除けが無い場合に対応するので、両者のプロット(P)数を比較することにより、紫外線による紅斑の防止効果を定量的に評価できる。
{1+(太陽直射の水平成分/天空放射)}/紫外線天空率
即ち、{1+(L1/L2)}/Np2/Np1
により、直射日光下で皮膚に紅斑が出来る時間と日除け内で皮膚に紅斑が出来る時間との比率(ASPF)を求め、対象物(日除け4)の紫外線防止効果を定量的に評価するのである。
すなわち、直射日光下で皮膚に紅斑が出来る時間と日除け内で皮膚に紅斑が出来る時間との比率(ASPF)が大きければ、長時間に亘って皮膚に紅斑が出来ない訳であるため、紫外線防止効果が大きい。
従って、上述した式は、沖縄県を除く我国においては、真夏の晴天日の正午前後という条件下においては、 ASPF=2.5/紫外線天空率 という形態に簡略化することが可能である。
一方、建築施工後であれば、射影図は、例えばデジタルカメラと魚眼レンズとを用いて、撮影することにより取得すれば良い。
UV−Cは、空気中の酸素分子とオゾン層で完全にさえぎられて地表には届かない。生体への影響が強い紫外線の内、UV−Bがオゾン層の変化に影響され、現在その増加が問題となっている。UV−AはUV−Bほど有害ではないが、長時間浴びた場合の健康影響が懸念されている。
測定は、「真夏」、「晴天日」、「北緯35°」、「正午」という条件で行う。
分光測定を行うことにより、UV−B(及びUV−Aの一部)がどの程度照射されているかが分かる。
尚、当該波長域(280nm〜340nm)ではUV−Aは一部であって人の皮膚への影響も極めて小さいので、省略して、UV−Bのみを云々する(図5参照)。
又、後述する分光器で直接計測された紫外線量をUV1と表記する。
「145」という例示された区画数(セルの数)が多過ぎると、全ての区画について紫外線量のデータを取るのに時間が掛かり過ぎてしまう。
一方、区画の数が少な過ぎると、計測の精度や、紫外線遮蔽の定量的分析の精度が低くなる。
ここで、図5のCIE紅斑作用曲線は、紫外線の人の皮膚への影響の大きさを示した特性図であり、横軸に波長をとり、縦軸に人の皮膚への影響の大きさ(相対地)をとっている。図5によれば、凡そ波長300ナノメートル以上になれば、人の皮膚への影響は急速に減衰している。
図2で示すのは、プロットPを打ち終わった状態の図、すなわち、紫外線天空率算定図(紫外線天空率算定図の作成工程については後述する図11のフローチャート参照)である。
換言すれば、日除けを設けた場合の天空写真(図3の5)を取得する。
ここで、図3の円3と、図1、図2の円1とが、同一であることが必要である。
図3において、ハッチングを付しているのが、日除け4の射影領域40である。
図4において、ハッチングを付した領域40は、日除け4の射影図である。
太陽からの直射による紫外線L1は、日除け4により完全に遮蔽される(後述の図10参照)。
従って、図4において、ハッチングを付した領域40では、直射による紫外線は全く照射されない。
要は、2枚の図面(紫外線天空率算定図と射影図)を重ね合わせた際に、(CIE紫外線量UV2或いはUVIndexと対応する)プロットPの数が数えられれば良い。
従って、図2におけるプロットPの全数Np1と、図4におけるプロットPの数(ハッチングを付していない領域のプロットの数)Np2とを比較することにより、日除けによる紫外線遮断の定量的評価が可能となる。
そして、紫外線の強度を表現する点の数の「比」から紫外線がどの程度遮られたのかが分かることにより、当該日除け4による紫外線の被曝防止における定量的な効果が分かる。
紫外線天空率を、以下の式によって表す。
紫外線天空率
=(図4におけるハッチング以外の領域のプロットの数)/(図2の全プロット数)=Np2/Np1
上述の紫外線天空率を用いれば、その様な時間(日除けの内側で、皮膚に紅斑を生ぜずに済む時間)を容易に用いることが出来る。
可視光線では、太陽と天空放射との比が約9:1であるのに対して、紫外線では、太陽と天空放射との比が約1.5:1である。すなわち、可視光線に比較して、紫外線照射量では天空放射の比率が大きい。そのため、曇天でも日焼けする。
一方、日除け4内における紫外線量は紫外線天空率×天空放射である。
日除け4内では、いわゆる「影になる」ため、「太陽直射の水平成分」は「ゼロ(0)」となる。
換言すれば、「日除け」は、太陽直射の水平成分がゼロとなる様に製造されている。
しかし、日除け4内でも、天空放射の一部が入ってくる(紫外線天空率×天空放射)。
ASPF
=(日除け内で皮膚に紅斑が出来る時間)/(直射日光下で皮膚に紅斑が出来る時間)
=(直射日光下の紫外線量)/(日除け内の紫外線量)
=全天放射/(紫外線天空率×天空放射)
={太陽直射の水平成分+天空放射}/(紫外線天空率×天空放射)
={1+(太陽直射の水平成分/天空放射)}/紫外線天空率
={1+(L1/L2)}/(Np2/Np1)
紫外線天空率は、図1〜図4で説明した通り、プロット数の比(Np2/Np1)として求まる
一方、「太陽直射の水平成分/天空放射」は、発明者の測定によれば、「真夏」、「晴天日」、「北緯35°」、「正午」という条件で、約1.5。そして、この「1.5」という数値は、沖縄を除く、日本全国で適用可能である。
従って、
ASPF=(1+1.5)/天空率
=2.5/天空率
=2.5/(Np2/Np1)
(上式は、図12のステップS15において、「係数」を2.5にした場合を示す)
ASPF=2.5/0.6≒4
このことは、例えば、直射日光下で、20分で紅斑が出るのであれば、ASPFが4の日除け内では、紅斑が出るまで80分掛かる、ということを意味している。
ここで、皮膚の安全性を考慮すれば、ASPFから求めた時間よりも、短い時間だけの紫外線被曝に留めるべきである。
ここで、本発明の第2実施形態は、上述した日除けによる紫外線の被曝防止における定量的な効果を判定するための装置に係るものである。
即ち、紫外線量計測ユニット7は、ロータ71と、ロータ71を回転駆動させるステップモータ72と、ステップモータ72の回転を制御するコントロールユニット73とを備えている。
そして、分光器75は各セルにおける紫外線量UV1を計測して、後述する紫外線天空率算定図作成ユニット20のCIE紫外線量決定ユニット8に計測した紫外線量UV1のデータを送信する様に構成されている。
図8において、紫外線天空率算定図作成ユニット20は、前述の計測ユニット7と、CIE紫外線量決定ユニット8と、記憶手段であるデータベース9と、描画ユニット10とによって構成されている。
また、描画ユニット10は、CIE紫外線量決定ユニット8で演算された当該セルのCIE紫外線量UV2から、CIE紫外線量UV2に応じた描画用のプロットP数のデータをデータベース9から引き出して、図1の様に区画した各セルにプロットして、図2のような紫外線天空率算定図2を作成する。
図10において、符号100は太陽を示す。又、図10においてL1は太陽直射の水平成分を、L2は空天放射を示す。
ASPF=2.5/(Np2/Np1)を求め、制御を終了する。
{1+(太陽直射の水平成分/天空放射)}/紫外線天空率
即ち、{1+(L1/L2)}/Np2/Np1
により、直射日光下で皮膚に紅斑が出来る時間と日除け内で皮膚に紅斑が出来る時間との比率(ASPF)を求め、対象物である日除け4の紫外線防止効果を定量的に評価することが出来る。
すなわち、直射日光下で皮膚に紅斑が出来る時間と日除け内で皮膚に紅斑が出来る時間との比率(ASPF)が大きければ、長時間に亘って皮膚に紅斑が出来ない訳であるため、紫外線防止効果が大きい。
従って、上述した式は、沖縄県を除く我国においては、真夏の晴天日の正午前後という条件下においては、 ASPF=2.5/紫外線天空率 という形態に簡略化することが可能である。
一方、建築施工後であれば、射影図は、例えばデジタルカメラと魚眼レンズとを用いて、撮影することにより取得することが出来る。
但し、これ等は温度等のパラメータも関連する。換言すれば、化学変化、材料劣化、退色や変色のパラメータは、UV−Aのみではなく、UV−Aは、その1要素に過ぎないので、その他のパラメータを合わせて、評価する様に構成する必要がある。
2・・・紫外線天空率算定図
4・・・日除け
5・・・射影図
6・・・紫外線天空率算定図に射影図を重ね合せた図
7・・・紫外線量計測ユニット
8・・・CIE紫外線量決定ユニット
9・・・記憶手段/データベース
10・・・描画ユニット
11・・・射影図作成ユニット
12・・・重ね合せユニット
13・・・ASPF決定ユニット
15・・・表示手段/モニタ
20・・・紫外線天空率決定ユニット
75・・・分光器
Claims (3)
- 天空を示す円形の領域(1)を複数の区画に区分し、区分毎に紫外線量を計測して紫外線が人体の皮膚に及ぼす影響の強さで重み付けした紫外線量の単位面積当りの数値に比例した数のプロット(P)が描画されており、それらのプロット(P)数が計測可能である紫外線天空率算定図(2)を作り、前記天空を示す円形の領域(1)と同一寸法の天空を示す円形の領域(3)に紫外線防止効果を定量的に評価しようとする対象物(4)を設けて、その対象物の下方領域から見た射影図(5)を作成し、前記紫外線天空率算定図(2)と前記射影図(5)とを重ね合わせ、前記重ね合わせにより射影図の対象物(4)を示す領域(40)以外の領域に存在するプロット(P)の総和である全プロット数を計測し、前記紫外線天空率算定図(2)の全プロット数と前記対象物(4)を示す領域(40)以外のプロット数(Np2)との比率と、太陽直射の水平成分と天空放射との比とを用いて、 {1+(太陽直射の水平成分/天空放射)}/紫外線天空率 なる式より求められる数値で対象物の紫外線防止効果を評価することを特徴とする紫外線防止効果計測方法。
- 天空を示す円形の領域(1)を複数の区画に区分してその各区分に分光器(75)が位置できる紫外線計測ユニット(7)を有し、前記計測ユニット(7)と紫外線量決定ユニット(8)と記憶手段(9)と描画ユニット(10)とよりなる紫外線天空率算定図作成ユニット(20)を備え、その紫外線量決定ユニット(8)は前記紫外線計測ユニット(7)から伝送されたデータと記憶手段(9)に記憶されたデータによって人間の皮膚への被爆影響度を考慮した重み付けされた紫外線量を演算するものであり、前記描画ユニット(10)は計測ユニット(7)からの分光器(75)の位置データである各区分の情報を受信すると共に紫外線量決定ユニット(8)で演算された重み付けされた紫外線量に応じてプロット(P)数のデータを記憶手段(9)から引き出して各区分毎にプロットして紫外線天空率算定図を作成するものであり、そして紫外線防止効果を定量的に評価しようとする対象物(4)の下の地表(E)上に射影図作成ユニット(11)が設置され、その射影図作成ユニット(11)で撮影した前記対象物(4)の射影図データが伝送されるコントロールユニット(73)を設け、前記記憶手段(9)に記憶された紫外線天空率算定図のデータと前記対象物(4)の射影図データとを重ね合わせる重ね合わせユニット(12)と、その重ね合わせにより前記対象物(4)の射影図と重複しない部分の紫外線天空算定図のプロット(P)の数を数えて紫外線天空率を決定する紫外線決定ユニット(20)と、その紫外線決定ユニットで決定された紫外線天空率から直射日光下で皮膚に紅斑ができる時間と対象物(4)内で皮膚に紅斑ができる時間との比率(ASPF)を決定する比率決定ユニット(13)とを備えることを特徴とする紫外線防止効果計測システム。
- 前記比率決定ユニット(13)は紫外線天空率算定図におけるプロットの総数と前記プロット数計測工程で計測されたプロットの数との比率と、太陽直射の水平成分と天空放射との比とを用いて、 {1+(太陽直射の水平成分/天空放射)}/紫外線天空率 なる式により求められる数値で、対象物の紫外線防止効果を定量的に評価する制御を行う機能を有する請求項2記載の紫外線防止効果計測システム。
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