JP4522606B2 - 空気イオンの発生方法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低耐電物体、負帯電物体あるいは正帯電物体を空気イオンで除電する場合に、逆帯電させないように除電するための空気小イオンを空気中に発生させる方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水滴の分裂によって空気イオンが発生する現象は、レナード効果(Lenard‘effect)として古くから知られている。レナード効果は、水滴が空中で分裂するとき、より正確には、水滴が障壁である金属板に衝突して微細水滴に分裂するとき、付近の空気中に負イオンが発生し、水滴が負イオンと等量の正電荷を得る、というものである。この現象は、その後、水滴が空気中で分裂するだけでレナードと同様な効果が起こり得る事がシンプソン(Simpson)の実験によってたしかめられた。
【0003】
シンプソンは、この実験結果を、雷雲の中での電気分離の説明に応用している。シンプソンの実験によれば、半径2.4mmの水滴の落下速度は8m/secである。雷雲内の上昇気流は8m/sec以上のことも希ではないから、半径2.5mm以下の水滴は落下できず、かえって上方へ運ばれてしまう。半径2.5mm以上の水滴は分裂し、上昇気流に乗って上方へ運ばれるが、途中で大きな水滴に成長して落下し、再び、分裂する。このように分裂を繰り返すために、前の効果はさらに大きくなり、結局雷雲の上方に負電荷、下方に正電化が集まることになる。即ち負極性の雷雲になる、というものである(気象電気学 畠山ほか著
岩波書店1955 P94〜95参照)。
【0004】
レナード効果を利用して空気中に負イオンを発生させる装置は、例えば特公平5−587555号(先行例1)に記載され、また、このような負イオン発生装置を一般家庭用又は事務所用として小型化をしたものは、例えば実開平4−126717号公報(先行例2)に空気清浄機として開示されている。
【0005】
水の噴霧に伴う帯電現象によって生ずる空気イオンを放出して、空気中にほぼ等量の正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させる空気イオンの発生装置は2000−114798号(先行例3)が出願されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、レナード効果によれば、空気中に負イオンが発生し、水滴が負イオンと等量の正電荷を得る、という観念が定着しており、空気中にほぼ等量の正、負イオンを発生させることについては、殆ど着目されることはなった。一方、静電気理論によれば、レナード効果は、水の噴霧に伴う帯電現象であって、電気二重層の構造から小さな液滴は、負イオンが過剰に、大きな液滴は、正イオンが過剰な状態になって帯電する、と説明されている(「静電気ハンドブック」静電気学会編オーム社出版頁104〜105参照)。
【0007】
レナード効果を利用して空気中に負イオンを発生させる装置によれば、空気中に負イオンを豊富に発生させることができるため、主として負イオンの生理作用を利用して快適な空間を形成するための装置に用いられてきた。そのほか、除電装置として正電荷に帯電した物体の除電処理は可能である。しかし、負電荷に帯電した物体の除電処理には適用することができない。物体は、正電荷に帯電するものものと、負電荷に帯電するものとがある。したがって、帯電物体の除電処理を行なうには、基本的には、等量の正電荷のイオンと、負電荷のイオンを含む空気を帯電物体に吹き付けるのが望ましい。
【0008】
ここで、シンプソンの実験によっても、静電気理論によっても、空気中に発生する負イオンも結局は水滴であり、水滴の大小は、相対的なものであるから、噴霧水滴を微細化することによって、空気中にもし、ほぼ等量の正電荷の空気小イオンと、負電荷の空気小イオンを発生させることができれば、帯電物体の除電処理その他の技術分野への応用、展開が大いに期待できる。もっとも、水の噴霧によれば、空気イオンの発生に付随して大粒の水滴が発生するという問題がある。大粒の水滴は、半導体装置などの電子部品には大敵である。しかし、幸いなことに、水滴を空気中から分離除去する技術は、先行例1をはじめとしてレナード効果を利用して空気中に負イオンを発生させる装置において既に確立している。
【0009】
又、水の噴霧に伴う帯電現象を利用してほぼ等量の正電荷の空気小イオンと、負電荷の空気小イオンを空気中に発生させる方法とその装置も既に確立されている。しかし、100V以下の低耐電圧部品の場合、ほぼ等量の正・負空気イオンにかたよりがある場合に、かたよった方に帯電して絶縁破壊を起こす場合がある。又、1KV以上の帯電部品の場合、暴露時間と除電時間との関連を決めて、正・負空気イオンの片寄りを付けて暴露時間の短縮をはかる等の対応が必要である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する、本発明による空気イオンの発生方法においては、水と空気との摩擦による帯電現象によって生ずる空気イオンを放出して、空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させる静電気発生処理において、水滴分裂に用いる水の比抵抗値を制御管理する事により、空気中に放出する正電荷の空気小イオン量と負電荷の空気小イオン量及びその比の制御を行なう空気イオン発生処理であり、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を空気中から除去する除水処理とを順次行なうことである。
【0012】
静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、加圧水の比抵抗値は活性炭とイオン交換樹脂で調整する事である。
【0013】
静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、空気中の有機成分がTOC成分として極微量水側に移行しても問題にならない対象物の場合、加圧水の比抵抗値はイオン交換樹脂で調整する事である。
【0014】
電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、加圧水の比抵抗値は逆浸透(RO)膜で調整する事である。
【0015】
静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、加圧水の比抵抗値制御はバイパス水路を設けて処理する事である。
【0016】
静電気発生処理において、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を加熱により空気中に蒸散して除去する除水処理を行なうことである。
【0017】
水滴分裂に用いる水の比抵抗値を制御管理する事により、空気中に放出する正電荷の空気小イオン量と負電荷の空気小イオン量及びその比の制御された空気イオンにより低耐電圧物体、正帯電体あるいは負帯電体等の帯電物体を逆帯電させること無く除電を行なう事に用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1の発明においては、イオン発生量制御処理と、静電気発生処理とを有する空気イオンの発生方法であって、静電気発生処理は、空気中に水を噴霧し、水滴分裂に伴う帯電現象によって、空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させる処理であり、イオン発生量制御処理は、予め噴霧する水の比抵抗値の大小に応じて正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンとの発生量と発生割合を制御する処理である。
【0019】
静電気発生処理においては、水の噴霧により微細水滴を空気中に発生させる。この微細水滴は水と空気との摩擦によって、正電荷と負電荷とに帯電している。噴霧水は、イオン発生量制御処理によって、予め比抵抗計で管理された水質の水である。
【0020】
本発明において、正電荷に帯電した微細水滴を正電荷の空気小イオン、負電荷に帯電した微細水滴を負電荷の空気小イオンと定義している。なお、本発明において、発生する正電荷の空気小イオンと、負電荷の空気小イオンとの発生量は水の比抵抗値に依存しており、比抵抗値が0.75〜1.5MΩ・cm近傍でほぼ等量となり、比抵抗値が高くなると負電荷の空気小イオン量に対し正電荷の空気小イオン量が多くなる。逆に、比抵抗値が低くなると負電荷の空気小イオンが多くなる。
【0021】
従って、正/負イオン比は水質としての比抵抗値で管理制御が可能である。静電気発生処理を行なったままの空気は、霧化状態であり、電気ヒーター部を通過させることにより空気は透明となり、その空気は、紙、布などを濡らすことがない。
【0022】
請求項2の発明においては,静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に水を噴霧する処理である。正電荷の空気小イオンと、負電荷の空気小イオンとは、二流体ノズル、別名空気噴射ノズル、気液混合型ノズル、エアーアトマイジングなどとよばれるノズルを用いて有効に発生させる。
【0023】
請求項の発明において、加圧水を活性炭とイオン交換樹脂で処理しているのは、空気中の微粒子はHEPA・ULPAフィルターで処理が可能であるが、空気中の有機成分がTOC成分として水側に移行するため予め活性炭で処理した後、比抵抗値調整用のイオン交換樹脂で処理している。
【0024】
請求項の発明においては、空気中の有機成分がTOC成分として極微量水側に移行しても問題にならない対象物の場合、比抵抗値調節用のイオン交換樹脂のみで処理する。
【0025】
請求項の発明は、請求項の活性炭及びイオン交換樹脂の両機能を兼ね備えた逆浸透(RO)膜により比抵抗値調整を行った方法である。活性炭及びイオン交換樹脂は吸着能が低下して再生等の処理が必要であるが、逆浸透(RO)膜は再生などの処理が不要である。
【0026】
請求項の発明においては、比抵抗値調整ラインに対してバイパスラインを設け流量調節用のバルブをそれぞれに設けることにより、比抵抗値調整ラインとバイパスラインの水の混合比を制御し、比抵抗値の調節と安定化を行なう。
【0027】
請求項の発明においては、吹出口に加熱器を設け、吹出口の空気温度より10℃位高くなるように加温して乾いた空気として吐出させることを特徴としている。
【0028】
請求項1の発明においては、一連の風路の中で静電気発生処理と除水処理とを順次行なう装置構成にすることで、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を空気中から除去し、濡れを嫌う場所でも本発明の装置を利用することができる。
【0029】
請求項1の発明においては、水滴分裂に用いる比抵抗値を制御管理する事により、空気中に放出する正電荷の空気小イオン量と負電荷の空気小イオン量及びその比の制御された空気イオンとは低耐電圧物体、正帯電体、負帯電体等の帯電物体の除電に用いられるものであることを特徴としている。
【0030】
例えば、携帯電話の組立てラインにおいて、組立て部品中、低耐電圧(100V以下)の剥離帯電で非常に静電破壊されやすいものがある。このような低耐電圧部品を空気イオンにより除電する場合は、正/負イオンが等価でバランスしていないと逆帯電による静電破壊が起こる場合がある。このような低耐電圧部品の除電には水質としての比抵抗値を0.75〜1.5MΩ・cmの間に設定して制御管理し、正/負イオン量を等価にして除電すると逆帯電の無い安定した製造ラインが組める。
【0031】
一方、塩ビ板の如く、マイナス(−)1KV以上の非常に強力な摩擦帯電物体を短時間に除電する場合には、多量の正電荷の空気小イオンの方が除電し易い。このような場合の除電には、水質としての比抵抗値を3MΩ・cm以上に設定して制御し、多量の正イオン発生状態として、予め除電時間を測り、暴露時間を決めた上で除電する。
【0032】
他方、アクリル板の如く、プラス(+)1KV以上の非常に強力な摩擦帯電物体を短時間で除電する場合には、塩ビ板の逆で、このような場合の除電には、水質としての比抵抗値を0.5MΩ・cm以下に設定して制御し、多量の負イオン発生状態として、予め除電時間を測り、暴露時間を決めた上で除電する。この様に水質としての比抵抗値(MΩ・cm)を制御管理することによりあらゆる帯電物体を除電する空気小イオンを製造することができる。
【0033】
本発明においては、空気中に発生させた正電荷の空気小イオンと、負電荷の空気小イオンとは、帯電物体の除電に用いられるものである。本発明の空気イオン発生装置より発生させた正、負の空気小イオンは、コロナ放電によって発生させた空気イオンに比べて寿命が長く、半減期で400秒もあり、空気管路を通して遠くまで搬送できる。また、移動度が0.52cm2/V・sec以上の空気小イオンは、帯電した物質の静電気を除去するだけでなく大気の電気伝導度も改善する、即ち帯電し難い雰囲気になる。
【0034】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
【0035】
(実施例1)
図1において、本発明による空気イオンの発生装置は、イオン発生部1と、気液分離部2と、加熱ヒーター3と、水タンク4との組み合わせからなるものである。イオン発生部1と、気液分離部2とは、接続部5にて接続され、イオン発生部1の入力側には、送風機6が接続され、気液分離部2の出力側には空気イオン噴射部7が接続されている。加熱ヒーター3は、気液分離部2と空気イオン噴射部7とをつなぐ空気イオン搬送部8に設置され、空気イオン搬送部8内を流動する空気を加熱し、空気中に含まれる霧化水滴を加熱により空気中に蒸散するためのものである。イオン発生部1は、空気中に、水の噴霧に伴う帯電現象によって生ずる正、負の空気イオンを発生させる部分であり、静電気発生処理を行なうための静電気発生手段としてイオン発生部1の噴射水供給パイプ9に二流体ノズル10a、10b、10cを設置している。
【0036】
二流体ノズル10a、10b、10cには、ポンプ11から給水されるが、ポンプ11と、二流体ノズル10a、10b、10cとは水質制御管理回路によってつながれている。水質制御管理回路は、主管路12と、主管路12から分岐させたバイパス管路13とからなり、主管路12には、主管路流量調節バルブ14が取り付けられ、バイパス管路13には、これを開閉するバイパス管路流量調節バルブ15が接続されている。主管路12には活性炭ボンベ16とイオン交換樹脂ボンベ17とが接続され、バイパス管路13と合流させた後の管路には、比抵抗計18が接続され、管路内を流動する水の水質を比抵抗計18で測定し、その測定結果に基づき、制御指令を発し、主管路流量調節バルブ14とバイパス管路流量調節バルブ15の開閉度を制御し、これによって、二流体ノズル10a、10b、10cに給水する水の比抵抗値の制御管理を行なう。
【0037】
二流体ノズル10a、10b、10cには、空気供給パイプ19を通して空気圧縮機20で圧縮された加圧空気が供給され、水はポンプ11で汲み上げた水タンク4内の水が加圧され、比抵抗計18に接続された噴射水供給パイプ9を通して供給される。二流体ノズル10a、10b、10cからは、供給された加圧空気と加圧水が噴霧され、噴霧に伴う帯電現象によって生ずる空気イオンを放出して、予め、水質制御管理されている比抵抗値に依存する空気イオン比で空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させる。
【0038】
空気中に水を噴霧し、水滴分裂に伴う帯電現象によって、空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させる処理が静電気発生処理であり、噴霧する水の比抵抗値の大小に応じて正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンとの発生量と発生割合を制御する処理がイオン発生量制御処理である。
【0039】
気液分離部2は、大粒に凝集した水滴を分離するサイクロンセパレータであり、霧化水滴以外の大粒水滴を除去する除水手段である。加熱ヒーター3は、霧化水滴を加熱して蒸散させて、乾いた空気として空気イオン噴射部7へ供給する。二流体ノズル10a、10b、10cには、外部混合型又は内部混合型のノズルを用いる。活性炭ボンベ16の活性炭はヤシガラ活性炭で、イオン交換樹脂ボンベ17の樹脂はカチオン樹脂とアニオン樹脂とで構成される通常ミックスベッド(MB)と呼ばれるものである。
【0040】
二流体ノズルには、外部混合型と内部混合型との2種類がある。
【0041】
図2に外部混合型の二流体ノズルの構造、図3に内部混合型二流体ノズルの構造を示す(いずれもエバーロイ(株)製)。外部混合型の二流体ノズル(内部混合型二流体ノズル)は、そのノズル本体21(22)の筒内に形成された圧縮空気流路23(24)と、圧縮空気流路23(24)に直交して配置された水流路25(26)とを有するものであり、外部混合型の二流体ノズルでは、水流路25のノズル孔と、圧縮空気流路23のノズル孔とが平行に開口され、内部混合型の二流体ノズルでは、水流路26と、圧縮空気流路24とがノズル本体22内で合流して1孔のノズルが開口されている。
【0042】
なお、図1の例では、噴射水供給パイプ9の上下3個所に二流体ノズル10a、10b、10cを設けた例を示しているが、その個数と配置は、この例に限らず1個、または複数個の二流体ノズルを噴射水供給パイプ9の中心に対し放射状に取り付けても、上下に直列に取り付けても、それらを組み合わせた配置にしてもよい。
【0043】
実施例において、水タンク4内の水をポンプ11で汲み出して比抵抗値調整用回路を通した加圧水を二流体ノズル10a、10b、10cに給水するとともに空気圧縮機20を駆動して外部から吸引した空気を加圧し、その加圧空気を二流体ノズル10a、10b、10cに給気する。一方、送風機6を駆動して外部の空気を吸引し、旋回流を形成してイオン発生部1に送気する。二流体ノズル10a、10b、10cからは、イオン発生部1に送気された空気中に、加圧水と加圧空気とが噴射される。外部混合型の二流体ノズルでは、加圧水と、加圧空気とが空気中に放出されてから混合され、内部混合型の二流体ノズルでは加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出される。
【0044】
何れの場合も正、負に帯電した空気イオンがノズルから放出され、発生した空気イオンの正電荷と負電荷との発生量ならびにその比率は比抵抗値に応じて決定され、比抵抗値は、加圧水の比抵抗値調整によって決定される。
【0045】
図4に、水の比抵抗値と、正負イオン量との関係を示す。図4において、発生実験によれば,加圧水の比抵抗値(MΩ・cm)が小さいときには負イオンの発生量が多く、正イオンの発生量が少ないが、加圧水の比抵抗値が大きくなるに従って、負イオンの発生量が減少し、正イオンの発生量が増大する傾向を示し、或る値を境として逆転し、正イオンの発生量が飛躍的に増大し、負イオンの発生量がさらに減少して行くことがわかった。実験によれば、加圧水の比抵抗値0.5MΩ・cm以下で、負イオンの発生量は140万個/cc以上、正イオンの発生量は40万個/cc以下であったのに対し、加圧水の比抵抗値2MΩ・cm以上では、逆転して負イオンの発生量は6万個/cc以下、正イオンの発生量は180万個/cc以上に達することがわかった。
【0046】
図1において、ノズルから放出された空気イオンを含む空気は、旋回流となって、イオン発生部1内を流動し、空気イオンの発生に付随して放出された大粒の水滴とともに引き続き気液分離部2のサイクロンセパレータ内に送り込まれ、サイクロンセパレータ内を引き続き旋回しながら流動し、旋回流中に含まれる大粒の水滴は、遠心力分離され、さらに除水処理として、霧化水滴は引き続き加熱ヒーター3により蒸散させ、水質調整としての比抵抗値に準じた正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンがその比に応じて空気イオン噴射部7から外部に送気される。
【0047】
内部混合型二流体ノズル(エバーロイ(株)製)を用い、以下の実験条件で、空気イオンの発生量を測定した。発生した空気小イオンは、ダン科学(株)製イオンカウンターでイオン移動度を0.4cm2/V・secに設定して測定した。
【0048】
下記実験条件による測定結果を表1に示す。
【0049】
<実験条件>
1.実験室温度:23±1℃、 湿度:50±3%RH
2.空気イオン発生装置運転条件
・送風機風量 : 2m3/min
・圧縮空気圧 : 4Kg/cm2
・噴射水圧:2Kg/cm2、水量:10L/hr、水温:22℃
・水タンク水量:20L(精製水)(補給水も精製水使用)
・バイパス菅路流量調節バルブ(15)開度 : 0〜90°
・主菅路流量調節バルブ(16)開度 : 0〜90°
【0050】
【表1】
水質のための比抵抗値と正/負空気小イオン量
Figure 0004522606
【0051】
実施例1によれば、同じ条件の下で、内部混合型の二流体ノズルと、外部混合型二流体ノズルのいずれの場合も同じ様に比抵抗値に依存した空気イオンの発生がみられた。又、比抵抗値調整回路用の活性炭及びイオン交換樹脂の代りに逆浸透(RO)膜を使用した場合も同様の傾向が見られた。
【0052】
図1において、次に<表1>水質.がNo.1、No.6、No.8のもので、空気イオン噴射部から20cmの距離にトレック・ジャパン(株)製の帯電圧プレートモニター(エアーイオナイゼーションモニター、Model 156A)27を空気イオン噴射部7に向き合わせて、その直下に置き、室温23℃±1℃、湿度50%±3%RHの部屋で、空気イオン噴射部7の温度29℃、湿度55%RHの条件で除電時間を測定した。その結果を図に示した。
【0053】
No.1の水質の場合はマイナスに帯電した場合に特徴があり、−10KV帯電の除電時間は10秒でその後は逆帯電している。従って、空気イオン暴露時間を10秒に設定した除電を行なう。No.8の水質の場合はプラスに帯電した場合に特徴があり、+10KV帯電の除電時間は23秒でその後は逆帯電する。従って、空気イオンの暴露時間を23秒に設定した除電を行なう。No.6の水質の場合はプラス/マイナスいずれに帯電したものも逆帯電せず、0Vに収斂している。
【0054】
従って、No.6の水質の場合は低耐電圧部品で100V以下の剥離帯電部品の除電に適していると考えられる。
【0055】
本実施例では、内部混合型二流体ノズルによる比抵抗値調整用としての比抵抗値と発生する正・負空気小イオンとの関連性及び帯電圧(V)減衰除電事例で述べたが、外部混合型二流体ノズルでも超音波発振器による霧化発生でも同様の結果が得られた。
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明方法によるときには、静電気発生処理と、イオン発生量制御処理を行なうことによって、空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させるとともに、発生する正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンとの発生量を噴霧する水の比抵抗の値に応じて制御して空気中に発生させる正電荷の空気小イオンと、負電荷の空気小イオンとの発生量の比率を自由に設定することができ、したがって、本発明によれば、さらに除水処理を組み合わせ、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を空気中から除去することによって、帯電物体を濡らすこと無く、又、帯電物体を除電する際、逆帯電させること無く各種帯電物体の除電に優れた効果を得ることが出来る。
【0057】
除湿処理としては、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を加熱することによって、これを空気中に蒸散して有効に除去することができ、たとえ空気小イオンとしての微細水滴が含まれているとしても、その水滴は実質的に視認できない程度に小さく、またガラス板を濡らすこともないため、帯電物体の除電に用いて優れた効果を得る事ができる。
【0058】
また、本発明装置によれば、静電気発生手段と、除水手段と組み合わせて前記静電気発生処理と、除水処理とを順次行なうものであり、静電気発生手段には、二流体ノズル(外部混合型の二流体ノズル、内部混合型の二流体ノズル)のほか、超音波発振器、いわゆる超音波加湿器を用いて水滴分裂に伴う帯電現象によって生ずる空気イオンを放出する際、比抵抗値調整用としての比抵抗値を制御管理することにより除電対象物の帯電状況により、空気中に任意の正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させることができ、又除水手段には、サイクロンセパレータを用いて大粒の水滴を除去した後さらに霧化状態の水滴を加熱により蒸散させることにより除電対象物を濡らすこと無く、任意の正、負空気小イオンを多量発生させ透明な高湿度のぬれない清浄空気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例で空気イオン発生装置の構成図
【図2】外部混合型二流体ノズルの断面図
【図3】内部混合型二流体ノズルの断面図
【図4】水の比抵抗値と正負イオン量との関係を示す図
【図5】実施例で得られた各種空気イオンによる帯電プレートでの除電結果を示す図
【符号の説明】
1 イオン発生部
2 気液分離部
3 加熱ヒーター
4 水タンク
5 接続部
6 送風機
7 空気イオン噴射部
8 空気イオン搬送部
9 噴射水供給パイプ
10a 二流体ノズル
10b 二流体ノズル
10c 二流体ノズル
11 ポンプ
12 主管路
13 バイパス菅路
14 主管路流量調節バルブ
15 バイパス管路流量調節バルブ
16 活性炭ボンベ
17 イオン交換樹脂ボンベ
18 比抵抗計
19 空気供給パイプ
20 空気圧縮機
21 外部混合型ノズル本体
22 内部混合型ノズル本体
23 外部混合型ノズル圧縮空気流路
24 内部混合型ノズル圧縮空気流路
25 外部混合型ノズル水流路
26 内部混合型ノズル水流路
27 帯電圧プレートモニター

Claims (17)

  1. 静電気発生処理と、イオン発生量制御処理を有する空気イオンの発生方法であって、静電気発生処理は、空気中に水を噴霧し、水滴分裂に伴う帯電現象によって、空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させる処理であり、イオン発生量制御処理は、噴霧する水の比抵抗値の大小に応じて正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンとの発生量と発生割合を制御する処理であることを特徴とする空気イオンの発生方法。
  2. 静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に水を噴霧する処理であることを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生方法。
  3. イオン発生量制御処理は、比抵抗値が調整された加圧水を空気中に噴霧する処理であることを特徴とする請求項2記載の空気イオンの発生方法。
  4. 加圧水の比抵抗値は、活性炭とイオン交換樹脂を用いて調整するものであることを特徴とする請求項3記載の空気イオンの発生方法。
  5. 空気中の有機成分がTOC成分として極微量水側に移行しても問題にならない対象物の場合、加圧水の比抵抗値は、イオン交換樹脂を用いて調整するものであることを特徴とする請求項3記載の空気イオンの発生方法。
  6. 加圧水の比抵抗値は逆浸透(RO)膜で調整する事を特徴とする請求項3記載の空気イオンの発生方法。
  7. 加圧水の供給管路バイパス水路を設け、加圧水の比抵抗値の調節は、バイパス路内を流れる水に対して行なわれるものであることを特徴とする請求項3、4、5または6記載の空気イオンの発生方法。
  8. 除水処理を有し、除水処理は、静電気発生処理によって、空気中に放出される霧化水滴を空気中から除去する処理であることを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生方法。
  9. 除水処理は、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を加熱により空気中に蒸散して除去する処理であることを特徴とする請求項記載の空気イオンの発生方法。
  10. 水滴分裂に伴う帯電現象によって生ずる空気イオンを放出して、空気中に正電荷の空気小イオンと負電荷の空気小イオンを発生させるに際し、水滴分裂に用いる水の比抵抗値を制御管理して、空気中に放出する正電荷の空気小イオン量と負電荷の空気小イオン量及びその比の制御を行なう静電気発生処理と、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を空気中から除去する除水処理とを順次行なうことを特徴とする空気イオンの発生装置。
  11. 静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、加圧水の水質は比抵抗値で制御管理されるものであることを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生装置。
  12. 静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、加圧水の比抵抗値は活性炭とイオン交換樹脂で処理されることを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生装置。
  13. 静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、空気中の有機成分がTOC成分として極微量水側に移行しても問題にならない対象物の場合、加圧水の比抵抗値はイオン交換樹脂で処理されることを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生装置。
  14. 静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、加圧水の比抵抗値は逆浸透(RO)膜で処理されることを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生方法。
  15. 静電気発生処理は、加圧水と、加圧空気とを混合して空気中に放出する処理であり、バイパス水路を有し、バイパス水路は、バイパス路内を流れる水の比抵抗値を調整する管路であることを特徴とする請求項12、13または14載の空気イオンの発生装置。
  16. 静電気発生処理において、空気イオンの発生に付随して放出される霧化水滴を加熱により空気中に蒸散して除去する除水処理を行なうことを特徴とする請求項1記載の空気イオンの発生装置。
  17. 加圧水の比抵抗値を制御して発生させた空気イオンは、低耐電圧物体、正帯電体、負帯電体等の帯電物体の除電に用いられるものであることを特徴する請求項1記載の空気イオン発生装置。
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