JP4520819B2 - プラントの故障予測方法 - Google Patents

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本発明は、所定のロジックに基づいてプラントの故障を予測するプラントの故障予測方法に関し、特に、配管系統のバルブや圧縮・膨張タービンやヒータなどの制御系を実装してプロセス制御を行う化学・鉄鋼・石油プラントなどの制御を適正に行うためのプラントの故障予測方法に関する。
近年、化学・鉄鋼・石油プラントの複雑化・特殊化が益々進んでいる。しかし、一方では、運転コスト節減などの理由から、オペレーティング現場ではオペレータの少人数化に拍車がかかっている。このような環境下において、複雑かつ汎用化されていないプラントの監視を少人数で実施することは非常に難しく、異常発生時にプラントの停止警報などが発報されてから、初めてプラントの異変が表面化するといった事例も多い。そのため、プラントの故障予測のシミュレーションをリアルタイムで行って事前に異常を検出する故障予測システムが非常に有用となる。
このようなプラントの故障予測システムは従来より種々報告されている。例えば、大型冷凍設備について、プロセスシミュレータを用いて個々の制御変数の予測を行うシステムや、予め収集したプラント管理データから、プラント異常により変動が予想される化学パラメータを予測し、基準値と化学パラメータ変動との比較でプラントの異常事象を診断する方法などが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、発電プラントの化学管理に関するデータを収集して所定の評価基準と比較することによりプランの異常事象を診断する技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの制御変数の予測を行うシステムでは、予測対象装置となる配管やバルブCV値等の全パラメータを調査したり、プラント管理データを収集したりするなど、細かい制御定数の合わせ込みを実施する必要がある。したがって、このような故障予測システムは個々に特性の異なるプラントに対して汎用的に適用することはできない。
そこで、汎用的な故障予測システムに適用させる方法として、正常時の入出力データに基づいてモデル同定(またはシステム同定)を行い、基準プラントにおける特性モデルのパラメータと運用プラントにおける特性モデルのパラメータとを比較してプラントの異常診断を行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2に開示されている方法では、異常診断のみを目的としているため、個々のモデルについては詳細な設定が必要であるので、やはり汎用性という点においては問題がある。そこで、個々のモデルに適用できるような汎用性のある故障予測の方法として、プロセス制御の応答傾向を記憶しておき、応答の所要時間と応答傾向の関係を比較することによって異常を検出する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
Maekawa R., et.al.,Simulation system for a large scale cryogenic facility at NIFS, Proceedings of the 19th International Cryogenic Engineering Conference, Narosa Pubilishing House,691-694 (2002) 特開2003−122429号公報 特開2003−303020号公報 特開平5−40517号公報
しかしながら、特許文献3に開示されている故障予測システムは汎用性が高いという利点があるものの、故障診断のロジックが単純であって複雑なプラントにおける各制御系の特性を十分考慮したものではないので、プラントプロセスの一部の故障にしか適用することができない。すなわち、上記従来の故障予測システムでは、制御系を十分考慮したものにしようとすると、プラント毎にトレンド特性が異なることから、個々のプラントに合わせた制御設定を行う必要があると共に細かい制御の要素が多くなるため、化学・鉄鋼・石油プラントのような異種プラントには適応できない。一方、汎用性を求めて単純なロジックにすると、プラントの一部の故障にしか適応できないという不具合が生じる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、制御系を含めたシミュレーションが可能であって、設定項目が少なく、かつ汎用性の高い故障予測システムのロジックに基づいてプラントの故障を予測するプラントの故障予測方法を提供することを目的とする。
本発明によるプラントの故障予測方法は、上記の目的を達成するために創案されたものであり、プロセス制御を行うプラントの故障を自動的に予測するプラントの故障予測方法であって、相互に影響を及ぼしあう制御系同士の入出力系統を多入力多出力型とし、プラントの実測データを用いて最小二乗法で伝達関数を求めるシステム同定を行う手順と、システム同定した数学モデルに基づいて、数分前の制御変数及び数分前から現時点までの操作変数の2つの実測データをシミュレーションして現在の推定値を算出する手順と、現時点の実測データと推定値との差分を数時間分に亘って積分する手順と、差分の積分値があらかじめ設定した閾値を超えたときに故障予測の警報を発報する手順とを含むことを特徴とする。
かかる手順によれば、互いに影響を及ぼしあう制御系同士を多入力多出力型としてプラントの実測データを用いてシステム同定を行う。そして、システム同定した数学モデルに基づいて、現在運転中の数分前の制御変数と数分前から現時点までの操作変数の2つの実測データから現在のシミュレーション値を算出する。さらに、実測データと算出したシミュレーション値との差分を数時間分に亘って積分し、その差分の積分値があらかじめ設定した閾値を超えたときに警報を発報するようにしている。これによって、プロセスごとに制御設定を行ったり個別の制御を行ったりする必要がなくなるので、複雑なプラントのプロセスについても容易に故障予測を行うことができる。
また、本発明によるプラントの故障予測方法においては、前記制御系同士は、制御ループで結ばれた制御系と互いに外乱を及ぼしあう制御系とを組み合わせた組合せ制御系であって、システム同定は、組合せ制御系による多入力多出力の数学モデルを作成することを特徴とする。これによって互いに外乱を及ぼしあうプロセスを持つプラントの故障予測を行うことができるので、さらに複雑なプラントの故障予測を行うことができる。
また、本発明によるプラントの故障予測方法においては、システム同定した数学モデルはARX(Auto-Regressive eXogenous)モデルであることを特徴とする。すなわち、ARXモデルはシステム同定の中で最も単純な数学モデルであるので、複雑なプラントの制御変数や操作変数でも容易にモデル化することができる。
本発明によるプラントの故障予測方法によれば、ロジックを自動システム化することにより、ユーザは、システム導入時に制御ループで結ばれている制御系と互いに外乱として影響を及ぼしあう制御系を設定するだけで、正確な故障予測のシミュレーションが実施することができる。そして、数時間分の実測値とシミュレーション値の差分の積分値を所定の閾値と比較することによって、プロセス制御系を考慮した故障の事前予測を容易に行うことができる。これによって、プロセスごとに制御設定を行ったり個別の制御を行ったりする必要がなくなるので、化学・鉄鋼・石油プラントのような複雑なプラントの故障予測を容易に行うことができる。
<発明の概要>
本発明によるプラントの故障予測方法は、プロセス制御を行うプラントにおいて、互いに影響を及ぼしあう制御系同士を多入力多出力型としてプラントの実測データを用いたシステム同定を行う。そして、システム同定した数学モデルに基づいて、「数分前の制御変数」および「数分前から現時点までの操作変数」の2つの実測値から現在のシミュレーション値を算出する。さらに、数時間分の実測値と現在のシミュレーション値の差分を積分し、その差分の積分値が所定の閾値を超えたときに警報を発報することによってプラントの故障を事前に予測することを特徴とする。また、前記のシステム同定は、制御ループで結ばれた制御系と、互いに外乱を及ぼしあう制御系とを組み合わせた多入力多出力の数学モデルで故障の事前予測を行う。
尚、システム同定とは、制御対象となるシステムにおける入出力の時系列データから対象の数学モデルを作成することであって、プロセス制御の分野で広く利用されている。このシステム同定の中で最も単純な数学モデルがARXモデルであるので、本発明ではこのARXモデルを用いてプラントの故障予測方法を実現している。
<実施の形態>
以下、図面を参照しながら本発明におけるプラントの故障予測方法の実施の形態を詳細に説明する。通常、空気から窒素などを分離精製する空気深冷分離装置の制御監視システムにおいては、空気深冷分離装置の過去の運転時におけるプラントの実測値、例えば、弁開度、温度、圧力、ガス流量、及び液面などの数値を操作変数として、システム同定の数学モデルへ入力する。つまり、これらの実測値に基づいて最小二乗法によってシステム同定を行い、多項式の伝達関数の係数を求める。この同定モデルは式誤差モデルに基づいて式(1)のようなARXモデルを使用する。
A(q)y(k)=B(q)u(k)+w(k) (1)
上記の式(1)のようなARXモデルは以下のようにして得られる。すなわち、差分方程式で外乱項を白色雑音w(k)とした式(2)に、パラメータベクトルとして式(3)を、データベクトルとして式(4)をそれぞれ定義すると、出力y(k)は式(5)のように表現することができる。
y(k)+ay(k−1)+…+anay(k−n
=bu(k−1)+…+bnbu(k−n)+w(k) (2)

θ=[a,…,ana,b,…,bnb] (3)
φ(k)=[−y(k−1),…,−y(k−n),u(k−1),…u(k−n)] (4)
y(k)=θφ(k)+w(k) (5)
ここで、既約なシフトオペレータqの多項式である以下の2式を上記の式(4)に導入する。
A(q)=1+a−1+…+ana−na
B(q)=b−1+…+bnb−nb
すると、式(2)は式(1)のように書き直すことができる。この式(1)がARXモデルであって、システム同定においてしばしば利用される数学モデルである。式(1)のようなARXモデルは、図1に示す多入力多出力の数学モデルの概念図のように、操作変数u(k)を入力し、外乱w(k)を加えて制御変数y(k)を出力する制御系のモデルである。そして、現在の出力y(k)を有限個の過去の出力デ−タy(k−n)と入力デ−タu(k−n)に関連づけることによって故障予測を行う。
尚、図1に示す各要素はそれぞれ次のように定義する。
A(q):多項式(1+a−1+a−2+…)
B(q):多項式(b−1+b−2+…)
y(k):制御変数(例えば、圧力や温度など)
u(k):操作変数(例えば、バルブ開度など)
w(k):雑音(例えば、ノイズなど)
図1のようなARXモデルを用いたシミュレーションでは、以下に示すように、現在の制御変数y(k)は、m段前からのデータを使用して現在の値を予測するものである。
m−1段前の制御変数は、
y(k−m+1)=B(q)u(k−m+1)+[1−A(q)]y(k−m+1)
m−2段前の制御変数は、
y(k−m+2)=B(q)u(k−m+2)+[1−A(q)]y(k−m+2)
というようにして求め、
現在の制御変数は、
y(k)=B(q)u(k)+[1−A(q)]y(k)
として求める。
システム同定のARXモデルの入出力系は、制御ループで結ばれている制御系だけではなく、互いに外乱として影響を及ぼしあう制御系を組み合わせて多入力多出力型としてある。また、システム同定のARXモデル内の伝達関数の次数(べき数)は損失関数が最小になるように求めている。このようにしてシステム同定したARXモデルを使用して、「数分前の制御変数」と「数分前から現在の操作変数」の2つの実測値から現在のシミュレーション値を算出する。この方法は、シミュレーションの初期値として「数分前の制御変数」を採用し、各時間における操作変数とARXモデルから次段時間の制御変数を逐次計算する手法である。このような故障予測は、実測値とシミュレーション値との差分を数時間に亘って積分し、その積分値が所定の閾値を超えたときに警報を発報するように設定することにより行う。
<実施例>
システム同定の数学モデルとしてARXモデルを用いて、プラントの故障事前予測を行う場合の概念図を図2に示す。
データベース21は、プラントの過去のデータを蓄積している。システム同定部22では、データベース21のデータを読み込み、伝達関数23を決定し、出力する。一度決定した伝達関数23は、新たにシステム同定を実施するまで、メモリ上、あるいは伝達関数用データベース等に保持する。
故障予測対象のプラント25から、実際のプラントデータ26(操作変数および制御変数)を収集する。
シミュレーション部24において、伝達関数23と実際のプラントデータ26を使用し、現在の制御変数推定値をシミュレーションする。シミュレーション部24においてシミュレーションした値を、現在の制御変数推定値27として保持する。保持した値は、次回、シミュレーションを行うまでは、メモリ上、あるいは伝達関数用データベース等に保持する。
現在の制御変数推定値27と、実際のプラントデータ26との差の積分値を異常判定部28において逐次計算し、一定値以上の値となった場合、警報を発するようにする。
次に、深冷空気分離装置の故障予測を行う場合の実施例を説明する。図3は、本発明の一実施例としてプラント異常診断システムを適用した深冷空気分離装置の系統図である。深冷空気分離装置の制御系統は、原料空気精製系統1、蒸留分離系統2、及び製品回収系統3にブロック分けされている。原料空気精製系統1は、主に、空気を圧縮する圧縮機11と圧縮空気に含まれる二酸化炭素や水分を除去するMS吸着器12とによって構成されている。また、蒸留分離系統2は、空気を冷却・液化する主熱交換器13と冷却空気から窒素、酸素、アルゴンなどを分離する精留塔14とによって構成されている。製品回収系統3は配管とバルブのみによって構成されている。
図3に示す深冷空気分離装置は、原料となる空気を圧縮機11で圧縮した後、低温によって固化する二酸化炭素や水分をMS吸着器12によって除去する。さらに、圧縮空気を主熱交換器13で冷却・液化した後、精留塔14で窒素、酸素、アルゴンなどに分離する。このようにして、精留塔14によって原料空気から高純度の窒素を製品として精製し、製品回収系統3へ取り出す。このとき、制御系統は、各系統ごとに制御ループで結ばれている制御系だけではなく、互いに外乱として影響を及ぼしあう制御系を組み合わせて一つのARXモデルを形成している。
図4は、図3の原料空気精製系統1におけるARXモデルの作成テーブルを示す図である。すなわち、原料空気精製系統1において、図4のテーブルに示すような操作変数u(k)と制御変数y(k)の組み合わせで一つのARXモデルを作成する。例えば、原料空気精製系統1の原料空気圧力調整弁PV1791を操作変数u(k)としたときは原料空気圧力PT1791を制御変数y(k)として組み合わせ、プレクーラTV2401を操作変数u(k)としたときはMS吸着器12の入力温度TE2401を制御変数y(k)として組み合わせ、さらに、アフタークーラTV2403を操作変数u(k)としたときはMS吸着器12の出口温度TE2403を制御変数y(k)として組み合わせる。
図5は、図3の蒸留分離系統2におけるARXモデルの作成テーブルを示す図である。蒸留分離系統2においては図5のテーブルに示すような操作変数u(k)と制御変数y(k)の組み合わせで一つのARXモデルを作成する。例えば、蒸留分離系統2の液化窒素注入弁LV3501を操作変数u(k)としたときは精留塔14の液面LT3501を制御変数y(k)として組み合わせ、プレクーラFV2441を操作変数u(k)としたときは液体空気流量FT2441を制御変数y(k)として組み合わせる。
図6は、図3の製品回収系統3におけるARXモデルの作成テーブルを示す図である。製品回収系統3においては図6のテーブルに示すような操作変数u(k)と制御変数y(k)の組み合わせで一つのARXモデルを作成する。例えば、製品回収系統3の製品窒素流量調整弁FV3521を操作変数u(k)としたときは、製品窒素流量FT3521と製品窒素圧力PT3521を制御変数y(k)として組み合わせる。このようにして、多入力多出力の組み合わせのARXモデルを監視したい制御変数の組み合わせの数だけ作成する。このとき、ARXモデルの組み合わせ数には制限はない。
以下、上記のようにして作成したARXモデルを用いて図1に示す深冷空気分離装置のシステム同定を行った結果のシミュレーション動作について説明する。図7は、図3に示す深冷空気分離装置の蒸留分離系統2で収集したデータに基づいてシステム同定したARXモデルによるシミュレーションの一例を示す図であり、(a)は操作変数u(k)として液化窒素注入弁LV3501を操作したときの特性(上図)と制御変数y(k)として液面LT3501が変化したときの特性(下図)の関係を示し、(b)は操作変数u(k)としてプレクーラFV2441を操作したときの特性(上図)と制御変数y(k)として液体空気流量FT2441が変化したときの特性(下図)の関係を示している。何れの特性図も横軸は時間(h)を表わし、縦軸は、液化窒素注入弁LV3501及びプレクーラFV2441はバルブ開度の変化の割合(%)を表わし、液面LT3501は精留塔14の液面位置(mm)を表わし、液体空気流量FT2441は流量(Nm/h)を表わしている。
図7のデータは、図5に示した蒸留分離系統2のARXモデルで、蒸留分離系統2における精留塔14の液面制御と空流量制御を2入力2出力でシステム同定して得られたシミュレーション結果を実測値と比較したものである。何れの特性も実測値が実線で示されシミュレーション結果が破線で示されている。
このときの操作変数u(k)は、蒸留分離系統2における液化窒素注入弁LV3501の開度及びプレクーラの液体空気流量調節弁FV2441の開度(%)であり、それに対応する制御変数y(k)は、それぞれの開度の結果で得られた精留塔14の塔底部での液面LT3501の高さ(mm)及び液体空気流量FT2441の流量値(Nm/h)である。
つまり、図7(a)の上図は、液体窒素注入弁LV3501の弁開度の時間変化を示したものであり、精留塔14の液面の実測値に基づいたフィードバック制御により、弁開度は82〜2%程度変化している。また、図7(a)の下図は、精留塔14の塔底部の液面LT3501の高さの実測値(実線)とシミュレーション値(破線)を示したものである。図7(a)から明らかなように、シミュレーション値(破線)は液体窒素注入弁LV3501の弁開度の変化に対応して液面の変化をよく表している。
図7(b)の上図は、プレクーラの液体空気流量調節弁FV2441の弁開度の時間変化を示したものである。液体空気流量の実測値に基づいたフィードバック制御によって弁開度は48〜56%程度変化している。また、図7(b)の下図は、液体空気流量FT2441の実測値(実線)と、シミュレーション値(破線)を示したものである。図6(b9から明らかなように、シミュレーション値(破線)は液体空気流量調節弁FV2441の弁開度の変化に対応して液体空気流量の変化をよく表している。
次に、蒸留分離系統2の液体窒素注入弁LV3501が詰まり、正常に精留塔14へ液体窒素の注入ができなくなった故障事例について、本発明のARXモデルを適用した例を説明する。図8は、図1の深冷空気分離装置において故障が生じた場合のシミュレーションの一例を示す図である。すなわち、図8(a)は、蒸留分離系統2の液体窒素注入弁LV3501の開度の時間変化を示したものである。また図8(b)は、精留塔14の塔底部の液面LT3501の時間変化の実測値(実線)と、シミュレーション値(破線)を示したものである。図8(a)に示すように、時刻が2h付近で液体窒素注入弁LV3501が詰まっていることで(つまり、液体窒素注入弁LV3501の開度が0%になっていることで)、精留塔14への液体窒素の注入が行われないと、図8(b)に示すように、液面LT3501の実測値は、実線で示すように精留塔14の塔底部まで液面が徐々に下がっていく。そのため、液体窒素注入弁LV3501は、図8(a)で示すように液面を維持するために再び弁開度を82%で保持している。
一方、図8(b)の破線で示す液面LT3501のシミュレーション値は、時刻が2h付近の故障発生後から、徐々に、精留塔14の液面の実測値から乖離していく。この差の積分値に対して警報設定をすることにより、早い段階でプラントの異常が検知することができる。例えば、液体窒素注入弁LV3501や、精留塔14の塔底部の液面LT3501の時間変化をシミュレーションできるモデルがあれば、これらの実測値とシミュレーション結果を比較して、異常検知することが可能であるが、個々の実測値に適用したモデルを作成することは、前述の通り困難である。それに比較して、本発明による故障予測の方法を適用すれば、ARXモデルを用いることによって各実測値に固有のモデルを作成する必要がなくなるので、相互に影響を及ぼすと考えられる操作変数と制御変数を組合せてARXモデルを作成すればプラント全体の異常検知が容易に行うことができる。
本発明によるプラントの故障予測方法によれば、操作変数と制御変数を組合せてARXモデルを作成することにより、個々の設定や制御を行わなくても容易にプラントの異常状態を予測することができるので、化学・鉄鋼・石油プラントのような異種プラントや複合プラントの故障予測に利用することができる。
本発明に適用される多入力多出力の同定モデルの概念図である。 システム同定の数学モデルとしてARXモデルを用いて、プラントの故障事前予測を行う場合の本発明の概念図である。 本発明の一実施例としてプラント異常診断システムを適用した深冷空気分離装置の系統図である。 図3の原料空気精製系統1におけるARXモデルの作成テーブルを示す図である。 図3の蒸留分離系統2におけるARXモデルの作成テーブルを示す図である。 図3の製品回収系統3におけるARXモデルの作成テーブルを示す図である。 図3に示す深冷空気分離装置の蒸留分離系統2で収集したデータに基づいてシステム同定したARXモデルによるシミュレーションの一例を示す図である。 図1の深冷空気分離装置において故障が生じた場合のシミュレーションの一例を示す図である。
符号の説明
1 原料空気精製系統
2 蒸留分離系統
3 製品回収系統
11 圧縮機
12 MS吸着器
13 主熱交換器
14 精留塔


Claims (3)

  1. プロセス制御を行うプラントの故障を自動的に予測するプラントの故障予測方法であって、
    相互に影響を及ぼしあう制御系同士の入出力系統を多入力多出力型とし、前記プラントの実測データを用いて最小二乗法で伝達関数を求めるシステム同定を行う手順と、
    前記システム同定した数学モデルに基づいて、数分前の制御変数及び数分前から現時点までの操作変数の2つの実測データをシミュレーションして現在の制御変数の推定値を算出する手順と、
    現時点の制御変数の実測データと前記現在の制御変数の推定値との差分を数時間分に亘って積分する手順と、
    前記差分の積分値があらかじめ設定した閾値を超えたときに故障予測の警報を発報する手順と
    を含むことを特徴とするプラントの故障予測方法。
  2. 前記制御系同士は、制御ループで結ばれた制御系と互いに外乱を及ぼしあう制御系とを組み合わせた組合せ制御系であり、
    前記システム同定は、前記組合せ制御系による多入力多出力の数学モデルを作成することを特徴とする請求項1に記載のプラントの故障予測方法。
  3. 前記システム同定した数学モデルはARXモデルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラントの故障予測方法。
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