開示の内容
[発明の分野]
本発明は一般に心臓外科の技法および装置、特に脈管再生(なかでも経心筋レーザ脈管再生(TMR))の方法と装置に関する.
[発明の背景]
TMRは虚血心筋における血液供給を改良するために、虚血性の心臓組織の中(通常左心室壁)にチャンネルを形成するための周知の技法である。この技法は例えば本出願において参照するJournal of Clinical Laser Medicine & Surgery, vol. 11(1993), pages 15-l9に掲載された”Transmyocardial Laser Revascularization: A Review”と題された記事においてMirhoseini, et al. が述べており、さらには同様に参照するThe Lancet, vol. 348 (1996), page 118に掲載された”High-power lasers help the ischaemic heart” と題された記事においてBonnが述べている。
TMRでは、周知のように、コンピュータ制御レーザを用い心筋に直径およそ1ミリメートル大の左心室と連通する穴をあける。1平方センチメートルあたり穴がおよそ1つというのが典型的な密度である。通常、鼓動を続けている心臓を露出するような切込みを胸と心膜にあけ、レーザビームは切り込みを介して心外膜に照射される。通常CO2 レーザかエキシマすなわちHo:YAGレーザを用い、およそ1000Wのパルスを照射する。パルスは心筋を光蒸発させ心内膜を通して心室に通ずるチャンネルを形成する。通常チャンネルの外側の心外膜開口部の血液は数分後に凝固するが、心室に連通したチャンネルの内側部分は開存している。血流はこれらのチャンネルを通って流れ、心収縮期に自然状態で存在する心筋類洞へ達し、これによって欠陥のある動脈血供給を補うのだという仮説が立てられている。
特にCO2 レーザを使用する場合、一般にレーザを患者のECGに連動するように駆動して、心収縮の間(すなわち心臓サイクルの不応期に)パルスを照射させる。レーザパルスを心臓サイクルの他の時点で照射すると、望ましくない心臓搏動不整が引き起こされる場合がある。鼓動速度、心筋の厚みおよび他の要素を参考にして、各レーザパルスの最適エネルギーレベルを決定する。
本出願で参照するAita他(米国特許第5,380,316及び5,554,152)は、患者の胸腔に挿入される細長くフレキシブルなレーザ処理装置を使用した術中心筋脈管再生方法について述べている。装置の遠位端は、心室に隣接した心臓の外部壁の領域に向けられ、レーザエネルギーを壁に向かって照射することによって心筋を貫通するチャンネルを形成する。
本出願において参照するAita他(米国特許第5,389,096)は、経皮の心筋脈管再生(PMR)方法および装置について記述している。偏向可能な細長いレーザ処理装置が患者の心臓の中の領域に向かって案内され、装置の遠位端は心臓の内壁の対象領域に向けられる。壁はレーザエネルギーの照射を受け、好ましくは、心外膜に穴を開けずにチャンネルを形成する。
PMRではチャンネルを心臓の内部から外へあけるので、チャンネルを外部から穴をあける一般的なTMR方法と異なってチャンネルが心臓壁をいっぱいに貫く必要はない。しかしながら、他の点では心臓へのPMRの影響はTMRのそれと本質的に同様である。したがって、本特許出願の文脈では、TMRという用語は心筋のレーザ脈管再生のための心外と心内の両方の方法を示すのに使用される。
[発明の概要]
本発明の目的は、改良されたTMRの方法および装置を提供することである。
TMRのレーザ穴あけ手順の制御を改良すること、特に穴あけの深さと方向を制御することが、本発明のいくつかの態様のさらなる目的である。
本発明のいくつかの態様によれば、穴あけの角度は制御され実質的に所定の角度で心筋に穴があけられる。好ましくは、組織を貫通する長いチャンネルを作成するために穴は斜めにあけられる。周知のように、こうしてできた長いチャンネルは心臓壁に対して直角にあけたチャンネルよりも心筋のより大きな容積と連通する。その結果、斜めのチャンネルは組織の中における心室の血液の環流を高め、直角に形成されたチャンネルよりも多くの心筋類洞と連通する可能性を持つ。
TMRと関連して使用される方法であって、心臓組織の中の生理的な信号をマッピングし検出するための方法を提供し、治療対象の心臓の穴あけ領域で生じている状態に対して穴あけ手順を最適化しようとすることが本発明のいくつかの態様のさらに別の目的である。
本発明の好適な実施例では、TMR治療において使用されるカテーテルは光学ないしは赤外線導波管とカテーテルの遠位端に隣接した少なくとも1個のセンサを備えて成る。カテーテルは、身体に外科的に挿入され心筋の表面と当接する遠位端を有し、基部に近い端で体外のコンソールに接続されている。
周知のように導波管は好ましくは赤外線ないしは光ファイバとし、カテーテルの基部に近い端で好ましくは周知のパルスCO2 レーザ、Ho:YAGレーザ(エキシマレーザ)などの高出力レーザによるビームを受けて、心臓の表面にビームを方向づける。コンソールは、治療を誘導・制御するためにセンサからの信号を受信・分析する。
本発明のいくつかの好適な実施例では、経皮的に動脈系にカテーテルを通すことによって、カテーテルを心臓の室の中、好ましくは左心室の中に挿入する。代わりに、カテーテルを静脈系に通し右房と心室に通り抜けさせてもよい。これらの好適な実施例では、カテーテルは心内膜と当接し、レーザは内部から心筋に穴をあけるために照射される。好ましくは、これらの穴は心外膜に入り込まない程度の深さまであける。さらに好ましくは、穴は心筋類洞と連通可能な深さまであけ、好ましくは心臓組織の表面に垂直な方向に測定して8mmの深さまであける。より好ましくは、最大でも6mmの深さ、最も好ましくはおよそ3mmの深さまで穴をあける。
本発明の他の好適な実施例では、カテーテルは胸壁の外科的切開を通して、さらには心膜を通して挿入される。カテーテルは左心室の心外膜と当接し、レーザは心筋から左心室に至る穴をあけるために照射される。レーザはカテーテルの遠位端のセンサから受信する信号によって誘導される。
好ましくは、心臓組織にあけられる穴の直径はおよそ1mmである。本発明の好適な実施例では、穴は円形というより楕円の断面を有している。楕円の穴は同じ断面積の円形の穴より大きな表面積を持っており、したがって、心筋への血液の環流を促進する点でより効果的である。好ましくは、あけようとする穴の目標の形および直径と実質的に同じ形および直径を有する出力レーザビームプロフィール(profile)を提供するように、カテーテルの遠位端で導波管に広がりを持たせるとよい。
本発明のいくつかの好適な実施例では、心臓組織において衝撃波を発生させるように十分高い出力密度を持つレーザの焦点を心臓組織に合わせる。CO2 レーザ照射の場合、出力密度は好ましくは少なくとも1MW/CM2 である。衝撃波はこの組織に入射するレーザビームの光蒸発効果と共に作用して心臓筋に穴をあける。両者が共に作用する方が、光蒸発(または切除)単独で穴をあける場合よりも心筋の環流を改善する点において効果的であると考えられている。好ましくは、少なくとも導波管に隣接したカテーテルの遠位端の一部が、レーザビームによって発生する衝撃波を集中させその焦点が心臓組織の中に合うような形に形成される。
本発明のいくつかの好適な実施例では、カテーテルはその遠位端に外科用の切断器具を有する。切断器具はすなわち、心臓組織の外側の固い層を通して制御された所定の深さの切込みを形成するのに用いられる。すなわち、カテーテルが心室に挿入される実施例では心内膜まで達する切り込みであり、カテーテルが胸壁と心膜を通して挿入される実施例では心外膜まで達する切り込みである。レーザは、より軟質の内側の心筋層を通る穴をあけるために、外側の固い層の切込みに照射される。その結果、所望の深さの穴を形成するのに、かなりエネルギーを落としたレーザパルスを使用することができる。
好ましくは、これらの好適な実施例では、切断器具が切込みを行っている間はカテーテルの光学導波管はカテーテルの中に引っ込められ、その後レーザエネルギーを切込みに送出する際には末端においてカテーテルから外に延びる。この様に、レーザパルスをより精確に心筋の所望の部位に送出することができる。
本発明のいくつかの好適な実施例では、カテーテルはレーザが所定の角度で心筋に達するように制御される。以上の好適な実施例と比べて、周知のカテーテルベースの方法およびシステムでは、ビーム角度を実質的に制御することは一般にできない。
これらの好適な実施例では、レーザビームは好ましくは斜めに照射される。すなわち心臓の表面に対して(表面に垂直な方向に対して測って)大きな入射角で照射される。好ましくは、入射角は20度以上、より好ましくは40度以上、最も好ましくは60度以上である。レーザビームの入射角を大きくとると、それに対応して穴が大きな角度であけられる。その結果、心室の血液が心筋に流れるチャンネルは一般により長くなり、したがって、周知のように、入射角が通常の場合やそれに近い場合のチャンネルと比べて、より大きい数の類洞と連通する可能性を持つ。心臓の表面に対するレーザビームの入射角は、カテーテルが胸壁と心膜を通して挿入され心外膜と当接する際に、非常に簡単かつ正確に制御することができる。
以上のいくつかの好適な実施例では、レーザビームがカテーテルの長軸に対して所定の斜めの角度を張ってカテーテルの遠位端から送出されるように、カテーテルが構成される。そのような斜行ビーム照射の光学技法および装置は周知である。例えばそのようなカテーテルの遠位端が心臓組織の表面に対して実質的に垂直な方向に当接した場合、レーザビームは実質的には所定の斜角で組織にあてられる。
もしくは、遠位端を含むカテーテルの遠位の部分は心臓壁に対して実質的に接線となる部位に置いてもよい。レーザビームは上記のように遠位端から心臓組織に向かって実質的に斜めに向けられる。心臓組織に対して接線となるような所望の部位と方向にカテーテルを置くための方法および装置は、本特許出願の譲受人に譲渡され本出願において参照する1997年1月3日出願の「等角カテーテル(Conformal Catheter)」と題された暫定的な米国特許出願において記述されている。もしくは、あるいはさらに、周知のようにカテーテルの位置を蛍光X線透視検査などの撮像技術、またはカテーテル内に固定した位置センサの働きを借りて定めてもよい。
本発明のいくつかの好適な実施例では、カテーテルは真空吸引用の管腔を含む。周知のように、管腔はカテーテルの基部に近い端で真空ポンプまたは他の適当な吸引装置と結合される。吸引管腔はカテーテルの遠位端に出口を持っている。好ましくは出口は導波管に隣接する。穴があけられることになっている心臓組織部位に接触するように遠位端を配置し、ポンプまたは吸引装置を駆動する。レーザ照射中に遠位端を保持する管腔の遠位の出口に部分的な真空が形成される。
さらには、あるいはもしくは、J形の格納式の鉤、保持具およびねじなどの外科の道具をカテーテルの遠位端の出口に送り込むために管腔を使用してもよい。これらの道具を、TMR手術と関連した心臓外科手術を実行する際に使用することも考えられる。
本発明のいくつかの好適な実施例では、カテーテルの遠位端の少なくとも1個のセンサは位置および/または方位センサを含む。好ましくは、本出願で参照する1995年1月24日に出願された国際特許出願公開第WO96/05768号で記述されているように、このセンサは、外部から印加された時変する磁場に応じた信号を発生させる複数の非同心コイルを含む。もしくは、位置センサは同様に参照する米国特許第5,391,199号に記述されているように単一のコイルを含む場合もある。あるいは数本のコイルを含む場合もある。コイル信号は、カテーテルの位置および/または方位座標、好ましくは6次元位置および方位座標を決定するために、上記の国際特許出願公開公報で記述されているように分析される。
さらにもしくは、位置センサは、RFセンサ、DC磁場センサ、超音波センサ、またはイスラエルのBiosense社(Tirat Hacarmel)製のCartoシステムなどのどのようなタイプの周知の微小な位置および/または方位センサであってもよい。
レーザが照射を行う前にカテーテルの遠位端が所定の好ましい位置および/または方位で心臓組織と当接しているかどうかを確かめるために、位置センサから得られるカテーテルの座標を用いる。好ましくは、例えば超音波撮像によって取得される心臓のマップ上に座標が記録される。もしくは、本特許出願の譲受人に譲渡されここに参照する米国特許出願第08/595,365号および国際特許出願第PCT/US95/O1103号において記述されているように、マップはマッピングカテーテルを用いて取得してもよい。
好ましくは、上記のTMRカテーテルが有するセンサと同じかまたは同等の位置センサを含む第2の基準カテーテルを、心臓に対して固定の周知の位置に挿入する。この基準カテーテルの位置および/またはは方位座標は、TMRカテーテルの座標を心臓に対して固定された基準系に変換するために使用される。このように、心臓の動きから生じるTMRカテーテルの配置エラーは抑えられる。
もしくは、位置のセンサを含む基準要素を身体表面に置いてTMRカテーテルの座標を身体に対して固定の基準系に変換してもよい。このやり方で心臓の動きによるエラーを修正することはできないが、身体の動きに起因するTMRカテーテルの配置エラーは、心臓に2番目のカテーテルを配置しなくても抑えられる。
これらのいくつかの好適な実施例では、位置センサから受信した信号は、例えば本特許出願の譲受人に譲渡され本出願において参照する米国の暫定的特許出願第60/011,720号に記述されているように、レーザの動作を制御するために用いられる。カテーテルの遠位端が心臓組織に所望の穴をあけられる適切な位置と方位にあることがはっきりしているときだけ、レーザは発光することができる。
好ましくは、多くの穴の位置と方位座標によってコンソールを予めプログラムしておく。カテーテルを心臓組織の表面で動かし、カテーテルが穴の1つの座標に達した時にレーザが発光するよう制御する。穴があけられた後に、カテーテルの位置を好ましくは(例えばコンピュータメモリ上の)上記の心臓のマップ上にマークしておく。
本発明のいくつかの好適な実施例では、カテーテルの遠位端の少なくとも1個のセンサは電極を含む。電極は心臓組織の中の局所的な電位を検知してそれに対応した信号を発生させる。好ましくは電極から受信する信号をレーザパルス点火の引き金として使用する。これによってパルスはカテーテルが当接している組織が収縮期(不応期)中の適切なタイミングで照射される。この様に、心筋の電気的活動および収縮における局部的変異を考慮に入れ、周知のように外部的に測定したECG信号をこの目的に使用した場合に比べてより大きな精度でもって、最適の瞬間にレーザを点火させるように制御することができる。
これらのいくつかの好適な実施例では、上記の米国の特許出願第08/595,365号および本特許出願の譲受人に譲渡され本出願で参照する米国の暫定的特許出願第60/009,769号において記述されているように、電極を心臓の生存性マップを作成する際に用いる。もしくは、生存性マップは心臓の中に配置された別のカテーテルを用いて作成してもよい。好ましくはその別のカテーテルはTMRカテーテルを挿入する前に取り除く。
生存性マップは、適切なかん流が行われている他の領域とは異なり、また梗塞のためあるいは虚血が長引いたために生存性を失った領域とも異なった、虚血性ではあるがまだ生存性を有する心臓組織の領域を確認するために使用される。
マップは好ましくは心臓組織を通る活性信号の流れを示す電気生理学的データに基づく。もしくは、マップは心臓サイクルの心臓の収縮期と弛緩期における心臓壁の厚みの変化などの生力学的なデータから得てもよいし、生力学的データと電気生理学的データの組み合わせから得てもよい。好ましくは、TMR治療は虚血性ではあるが生存可能な領域で実行する。
本発明のいくつかの好適な実施例では、カテーテルの遠位端の少なくとも1個のセンサは超音波変換器を含む。好ましくは、変換器はカテーテルの遠位端の位置に隣接した心臓組織の厚みに対応する信号を発生させる。好ましくは、厚み対応信号は心筋にあける穴の所望の深さを決定する際に用いる。そして、レーザエネルギーを制御してこの所定の深さの穴を形成する。
さらに好ましくは、変換器によって発生する信号は、レーザであける穴の深さおよび/または方向をモニターするのに使用する。
さらにあるいは代わりに、超音波信号は動的に心臓組織の厚みをモニターするのに使用する。周知のように、組織は心収縮の間厚みを増し、し緩期の間薄くなるというサイクルを繰り返す。サイクルの中で心臓組織が最も厚くなる時にパルスが照射されるようにレーザを点火してもよいし、もしくは最も薄くなる時にパルスが照射されるように点火してもよい。そのような厚みを引き金とした穴あけは、ECGや他の電気生理学的信号に基づくレーザ点火の代わりとなることができ、潜在的に手術の精度と安全を高める。
もしくは、カテーテルがその遠位端に隣接した位置および/または方位センサを含む本発明の好適な実施例では、このセンサから受信した信号を用いて心臓壁の動きを検出してもよい。そして、レーザは心収縮期の急速な運動に対応して点火される。
要約すれば、本発明の好適な実施例では、カテーテルは上記のようにレーザ光線送出光学系および1つ以上のセンサを含む。好ましくは1個以上のセンサとしては、電気生理学的探知電極、位置センサ、超音波変換装置、心臓壁の厚みを測定する他の周知のセンサ、上記米国特許出願第08/595,365号あるいは暫定的米国特許出願60/009,769号で述べられている、心臓組織の生存性を測定するための他の周知のセンサ、または心臓組織のかん流を測定するための他の周知のセンサといった各タイプのセンサのうち少なくとも1つが含まれる。
発明のいくつかの好適な実施例では、他の特性に応じてシステムの引き金が引かれる。例えば、心臓サイクルの一つないしは複数のフェーズ、あるいはセンサの速度または加速度など局所的な心臓の機械的特性に応じて照射の引き金が引かれてもよい。
さらに、あるいはもしくは、発明のいくつかの好適な実施例では、安定状態が達成されるまでシステムの稼動は抑制される。例えば、心臓サイクル、心臓リズム、プローブの遠位端の心臓組織に対する位置の安定性、プローブの遠位端と心臓組織の間の周期的な角度関係の安定性、プローブと心臓組織の間の接触の安定性が保たれない場合、照射を禁止してもよい。
これらの条件のいくつかは、心臓に対して外部から行った測定に基づいて決定してもよく、またそれらのすべてを心臓自体の上で行われた測定に基づいて行ってもよい。
本発明のいくつかの好適な実施例では、そのようなカテーテルは上記のように経皮的に挿入され、心内膜を通じて心臓組織の中にチャンネルを設けるために、すなわち心臓の室の中から心臓筋へと至るチャンネルを設けるために使用される。他の好適な実施例では、そのようなカテーテルは胸壁を通して挿入され心外膜を通してチャンネルをあける、すなわち心筋を通して心室に至るチャンネルをあける。
上記の好適な実施例ではカテーテルはその遠位端にセンサを有するが、本発明の方法のいくつかを用いればセンサを使わずにより有効かつ安全にTMRを実行できるという点が評価されるであろう。例えば、本発明の原理によれば、心臓の内部からまたは外部から心臓筋に斜行チャンネルをあけるために任意の適当なレーザを用いてよい。この場合、好ましくはカテーテルは、TMR手順に先駆けて製作された生存性マップに基づいてチャンネル形成位置に置かれる。
本発明はTMRの文脈で記述されておりレーザ光を使用した穴あけに関連しているが、本発明の適用範囲はより広いものである。本発明は心臓への照射全般の制御を対象としたものであり、特にレーザ光もしくは他の形式の照射によって心筋の中に照射チャンネルを形成する際に応用することができる。
さらに、ここで使用される用語「座標」は、位置と方位を表す6つの座標のいずれかを表すものであり、例えば3つの位置座標および3つの方位座標を意味するものである。
このように本発明の好ましい実施例によれば、対象物である心臓組織と係合する遠位端を有し、心臓の放射線治療を提供する伸長プローブであって、当該心臓組織に対して放射線照射をするために放射線を運搬する導波路と、伸長プローブの遠位端に隣接し、放射線治療を制御する間に使用信号を生成するセンサとからなる伸長プローブが提供される。
好ましくは、このプローブは、これの遠位端付近にある開口部と連通した縦長の管腔を有するものである。また、好ましくは、管腔は開口部に部分真空空間を創り出すために吸引装置に対して近接して結合されるものである。本発明の好ましい一実施例においては、外科手術用切断器具は管腔を貫いてプローブの遠位端まで通じている。
本発明の好ましい実施例においては、導波路が前記プローブの遠位端から末端方向に延長可能であるものである。
本発明の好ましい実施例においては、プローブの遠位端は全体に凹型の外表面を導波路付近に有し、この外表面が遠位端に対して末端方向に衝撃波を集束するものである。好ましくは、凹型の外表面は導波路の遠位端に形成された光ファイバ面板からなるものである。
本発明の好ましい実施例においては、プローブはさらにこれに関連した軸に沿って放射線を集束する集束レンズを備えたものである。好ましくは、レンズは放射線が全体に楕円形状を有するビームを形成するように放射線を集束するものである。
本発明の好ましい実施例においては、放射線は前記プローブの長軸に相関のある所定の斜角でプローブから方向づけされるものである。好ましくは、斜角でプローブから放射線を方向づける光偏向素子を有するものである。
好ましくは、センサは心臓組織より電気生理信号を受け取る少なくとも1つの電極を備えるものである。
代わりにあるいは加えて、センサは超音波変換器を備えたものである。好ましくは、超音波変換器はプローブの遠位端に関連して全体に末端方向に操縦可能な超音波ビームを発射するものである。
代わりにあるいは加えて、センサは座標センサ(coordinate sensor)からなるものである。好ましくは、座標センサはプローブの6次元の位置座標と方位座標を表示する信号を生成するものである。座標センサは外部より加えられた磁界に対応した信号を生成する1つ以上のコイルを備えるものである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、上記に記載したプローブと、このプローブの導波路に結合した放射線源と、放射線作動源を有しておりプローブのセンサより信号を受け取り、この信号に対応させて放射線源を制御する制御ユニットとからなる心臓の治療用装置を提供される。
好ましくは、この装置は所望の座標にある心臓組織を照射するためにプローブの遠位端を操縦する位置決め作動装置を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、この装置は放射線作動源を有しておりプローブの座標センサより信号を受け取り、この信号に応答してプローブの遠位端の座標を制御する制御ユニットとからなるものである。
好ましくは、制御ユニットは信号に基づいてプローブの遠位端の位置座標を決定し、位置決め作動装置は所望の位置に心臓組織を係合するように、位置座標に基づいてプローブを操縦するものである。
好ましくは、制御ユニットは信号に基づいてプローブの遠位端の方位座標を決定し、位置決め作動装置は所望の角度で心臓組織に係合するように方位座標に基づいてプローブを操縦するものである。好ましくは、制御ユニットは座標を所定値と比較し、座標が実質的に所定値と等しい場合に放射線源を始動させるものである。
本発明の好ましい実施例においては、この装置は請求の範囲第18項から第23項のうちのいずれか1項により構成され、基準プローブを備えており、制御ユニットは基準プローブの座標を決定し、プローブの座標を基準プローブの座標に参照させるものである。好ましくは、制御ユニットは所望の角度で心臓組織に放射線を照射するようにその座標に基づいてプローブを制御するものである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、対象物である心臓組織と係合する遠位端を有し、心臓組織に対して放射線照射をするために放射線を運搬する導波路とからなる伸長プローブと、プローブの導波路に結合した放射線源と、制御可能な角度でその表面を照射するようにプローブの座標を制御する位置決め作動装置を備えた制御ユニットとからなる心臓の治療用装置が提供される。
好ましくは、プローブは同様にその遠位端に隣接したセンサを備え、このセンサは制御ユニットに信号を供給するものである。
本発明の好ましい実施例においては、制御ユニットは信号の変動に応答して放射線源を始動させるものである。
好ましくは、制御ユニットは所望の深度までチャンネルを開けるように放射線源を制御するものである。好ましくは、制御ユニットは、所望の深度までチャンネルを開けるための放射線源を制御するように信号に基づいてチャンネルの深度を決定するものである。
本発明の好ましい実施例においては、制御ユニットは信号の変動に応答して放射線源を始動させるものである。好ましくは、制御ユニットは心臓サイクルの位相に応答して放射線源を始動させるものである。
本発明の好ましい実施例においては、制御ユニットは心臓の局所的機械特性に基づいて放射線源を始動させるものである。好ましくは、局所的機械特性は心臓の一部に結合したセンサの位置、心臓の一部に結合したセンサの速度、心臓の一部に結合したセンサの加速度、および心臓の一部に対するセンサの方位のうちの1つ以上を含むものである。
本発明の好ましい実施例においては、制御ユニットは安定条件が満足された場合にのみ放射線源を始動させるものである。好ましくは、安定条件は心臓サイクルの安定度が一定の安定範囲内にあること、心臓リズムの安定度が一定の安定範囲内にあること、心臓組織に関するプローブの遠位端位置の安定度が一定の安定範囲内にあること、プローブの遠位端と心臓組織間の周期的角度関係の安定度が一定の安定範囲内にあること、およびプローブと心臓組織間の安定接触を含むことのうちの1つ以上を含むものである。
適当な場合には、安定条件は治療される患者に対して外部ないし内部よりなされる測定により導かれてもよい。
本発明の好ましい実施例においては、プローブは管腔を有しており、心臓組織を潅注する供給する潅注用液体源を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、放射線源はレーザである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、心臓の連続位置に治療を行う手段と、連続位置が記憶された記憶装置とからなる心臓の治療装置が提供される。
本発明の好ましい実施例においては、治療を行う手段はプローブを備えており、この治療装置は心臓のマップを表示する表示装置と、治療が行われた場合に心臓の表示装置に治療位置で印をつける制御装置とを備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、表示装置は、連続治療の各々の位置を示すものである。
好ましくは、この治療は放射線源を用いて心臓を放射線照射することを含むものである。好ましくは、放射線源はレーザである。代わりにあるいは加えて、この治療は心筋内部に放射線進路を形成することを含むものである。代わりにあるいは加えて、この治療は心筋にドリルで穴を開けることを含むものである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、対象物である心臓組織の表面とプローブを係合する段階と、心臓の心外膜か心内膜かどちらかでよい表面に対して、斜角もありうる制御可能な角度でプローブを介して心臓組織に放射線を照射する段階とを備えた心臓の治療方法が提供される。
本発明の好ましい実施例においては、その角度はその表面に垂直な軸に対して少なくとも20゜、40゜、あるいは60゜である。
本発明の好ましい実施例においては、照射する段階は心臓組織に衝撃波を生成する段階を備え、好ましくは、衝撃波を生成する段階は、プローブの凹面からの衝撃波の反射により心臓組織に衝撃波を集中させるものである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、対象物である心臓組織の表面とプローブを係合する段階と、プローブを介して心臓組織に放射線を照射する段階であって、この放射線が心臓組織に衝撃波を生成することと、プローブの凹面からの衝撃波の反射によって心臓組織の衝撃波を集中する段階とを備えた心臓治療方法が提供される。
本発明の好ましい実施例においては、放射線照射は心臓組織を光蒸発させる段階を備えるものである。代わりにあるいは加えて、放射線照射はレーザ放射である。
好ましくは、放射線照射は心臓組織の複数の放射線進路を形成する段階を備える。
本発明の好ましい実施例においては、放射線進路は全体に断面が楕円形をしているものである。
さらに、対象物である心臓組織の表面とプローブを係合する段階と、プローブを介して心臓に放射線を照射することによって心臓組織に断面が楕円形をした1つ以上の放射線進路を形成する段階とを備えた心臓の治療方法が提供される。
好ましくは、放射線照射はレーザ放射である。代わりにあるいは加えて、放射線進路を形成する段階はチャンネルを開ける段階を備えるものである。本発明の好ましい実施例においては、この方法は心内膜の表面に垂直方向に測定した場合にわずか10mm以下の深度にチャンネルを開ける段階を備えるものである。さらに好ましくは、その深度はわずか6mm以下かおよそ4mmの深度である。
本発明の好ましい実施例においては、プローブを心臓組織と係合する段階はプローブの遠位部が心臓組織と接線接触を行う段階を備え、心臓組織に放射線照射する段階はプローブの長軸に対する角度でプローブからの放射線を方向づける段階を備えるものである。
好ましくは、この方法は、心臓組織の所望の位置にプローブを据え付けるためにプローブの管腔を介して吸引力を及ぼす段階を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、この方法は検知される特性に応答して放射線照射を制御する段階を備えるものである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、対象物である心臓組織の表面とプローブを係合する段階と、心臓の局部特性を検知する段階と、検知された特性に応答して放射線照射を制御しながら、プローブを介して心臓に放射線を照射する段階とを備えた心臓の治療方法が提供される。
好ましくは、心臓の特性を検知する段階は心臓組織の電位を検知する段階を備えるものである。
好ましくは、その特性に応答して放射線照射を制御する段階は電位に応答して放射線照射を始動する段階を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、心臓の特性を検知する段階は心臓の生存性マップを生成する段階、および/または心臓組織からの超音波信号を受信する段階および/またはプローブ付近の心臓組織の厚みを決定するために超音波信号を分析する段階を備えるものである。好ましくは、その特性に応答して放射線照射を制御する段階は厚みの変動に応答して放射線照射を始動する段階を備えるものである。好ましくは、心臓組織の特性を検知する段階はチャンネルの深度を決定するために超音波信号を分析する段階を備えるものである。
好ましくは、その特性に応答して放射線照射を制御する段階は所望深度を有するチャンネルを開けるために放射線照射を制御する段階を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、この方法はプローブの座標を決定するためにプローブに結合した座標センサからの信号を受信し分析する段階を備え、プローブを心臓組織の表面と係合する段階は座標に基づいてプローブの係合座標を制御する段階を備えるものである。
さらに本発明の好ましい実施例によれば、プローブの座標を決定するためにプローブに結合した座標センサからの信号を受信し分析する段階と、信号に基づいてプローブの係合座標を制御しながら、対象物である心臓組織の表面とプローブを係合する段階と、プローブの導波路を介して心臓組織に放射線を照射することによって心臓組織に1つ以上の放射線進路を形成する段階とを備えた心臓の治療方法が提供される。
好ましくは、プローブの座標を決定するために信号を受信し分析する段階はプローブの少なくとも3つの位置座標と少なくとも1つの方位座標を決定する段階を備えるものである。
好ましくは、プローブの係合座標を制御する段階は心臓組織の表面に対してプローブの角方位を制御する段階を備えるものである。
好ましくは、座標センサからの信号を受信し分析する段階はプローブに対して加えられる磁界に応答して生成された信号を受信し分析する段階を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、この方法は心臓マップを用いてプローブの座標を登録する段階を備えるものである。好ましくは、心臓マップを用いて座標を登録する段階は心臓の生存性マップを用いて座標を登録する段階を備えるものである。
本発明の好ましい実施例においては、この方法は心臓マップに対して1つ以上の放射線照射位置の座標を記録する段階を備えるものである、
本発明の好ましい実施例においては、この方法は心臓組織に形成されるべき放射線進路のうちの少なくとも1つに対応してプローブ目標座標を選択する段階を備え、プローブの座標はチャンネルのうち少なくとも1つの目標座標に対応している場合に、進路を形成する段階は放射線照射を始動するものである。
好ましくは、放射線進路を形成する段階は心臓の収縮期の収縮を示す座標センサから受信した信号変化に応答して放射線照射を始動する段階を備えるものである。
好ましくは、この方法は、心臓に基準プローブを固定する段階と、基準プローブの座標を決定するために基準プローブから信号を受信し分析する段階とを備え、プローブの座標を決定するためにプローブに結合した位置センサからの信号を受信し分析する段階は、プローブの座標を基準プローブの座標に参照する段階を備えるものである。
本発明は、以下に述べるその好ましい実施例の詳細な説明より、以下の図面と共に十分に理解されるであろう。
[好適な実施例の詳細な記述]
TMRシステム20を模式的に示した図1Aおよび図1Bを参照するに、本発明の好適な実施例によるシステム20は対象身体へ挿入されるカテーテル22を含む。カテーテル22は、赤外線を伝える光ファイバもしくは空洞の導波管から成り好ましくは周知のCO2 レーザ光を伝えるのに適した光導波管24を備える。もしくは、導波管24は、可視光線、赤外線または紫外線の波長を伝達する同様に周知のタイプであってもよい。好ましくは、以下に記述する通り、カテーテル22の遠位端34の集束レンズ32は周知のように導波管24からのレーザ光の焦点を心臓組織に合わせる。
カテーテル22はその基部に近い端26においてコンソール28に接続され、コンソールは光学的に導波管24と結合したレーザ光源30を含む。好ましくは光源30はCO2 レーザもしくはHo:YAGレーザ(エキシマレーザ)を含むが、同様に他のタイプのパルス式高出力レーザを用いてもよいことは当業者にとって明らかであろう。また導波管やシステム20の他の要素に変更を加えてもよい。また好ましくは、コンソール28は制御ユニットの形に包括されるディスプレイ46、ユーザコントロール48、信号処理回路44を含む。一般に制御ユニットは、以下に記述されるシステムの検出・計算およびその他の機能を実行する。
カテーテル22はさらに、遠位端34に隣接した既知の位置に固定された位置センサ36を含む。好ましくは、センサ36は上記の国際特許出願公開第WO96/05768号で記述されているように、3つの微少非同心コイル38を含む。もしくは他のタイプの位置センサを使用してもよい。コイル38は身体の外の磁場発生コイル(図示しない)によって印加された磁場に対応した電気信号を発生させる。これらの信号はカテーテル22のワイヤ40を通して回路44に伝えられ、回路は信号を分析して遠位端34の6次元の位置および方位座標を決定する。後述するように、これらの座標は心臓筋に穴をあける前にカテーテル22の位置を決定するために使用される。いくつかの好適な実施例では、実施例の文脈から明らかなように、6つより少ない座標(例えば1つか2つの方位座標だけ)のみを必要とする。
図1Bに示されるように、好ましくはカテーテル22はその遠位端に遠位端34に隣接した心臓組織の電位を検出するための電極42を有する。電極42からの局所的な電気記録信号はワイヤ40によって同様に回路44に伝えられる。好ましくは、これらの信号はレーザ光源30の引き金として用いられる。最も好ましくは、電気記録波形の不応期において引き金となる。
本発明の1つの好適な実施例では、心臓50にはペースメーカを取り付ける。このペーシング(心臓調整)は心臓に既存の律動障害がある場合に特に重要である。周知のように、外部のペーシングによって、または追加ペーシングカテーテルを挿入することによってペーシングを提供することができる。もしくは、ペーシングパルスを電極42に加えるか、または別のペーシングをカテーテル22に追加してもよい。
カテーテルシステム20はある一定のタイプのセンサとの関連で図示・記述されているが、周知のようにカテーテル22は他のセンサや他のタイプの要素を含んでいてもよい。例えば、本特許出願の譲受人に譲渡され本出願において参照する1996年2月15日出願の暫定的米国特許出願第60/011,724号に記載されているように、追加電極を遠位端34または遠位端に隣接した位置に設けてもよい。カテーテル自体22の上に設けてもよいし、カテーテルに固定した構造の上に設けてもよい。例えば、こうした多重電極はカテーテル22に隣接した心臓組織の中の電気伝導速度を測定するために使用してもよく、後述するようにTMR治療は低伝導速度の部位に好ましくは集中して行う。
センサ36はさらに他のタイプの磁場感応センサや超音波位置センサなどのように周知の任意の微少位置センサを適宜含んでいてもよい。好ましくは、カテーテル22は周知の(しかし簡潔化のために図示していない)遠位端34の舵取りを行うための偏向メカニズムを含む。例えば、カテーテル22は、カテーテルを略反対の2つの方向にそれぞれ異なった半径を描きつつ曲げる周知の2半径メカニズムを含んでもよい。カテーテルの遠位端を偏向させるのに好適な装置は本出願が参照し、本出願と同じ譲受人に譲渡されかつ本出願と出願日が同一である「カテーテルのマッピング」と題した国際特許出願に記述されている。
図2Aは本発明の好適な実施例に従って患者の心臓50に挿入されたカテーテル22の部分概略図である。カテーテル22は例えば大たい動脈を通して経皮的に患者の脈管系に挿入され、大動脈52を介して心臓50の左心室54に通り抜ける。遠位端34は心内膜56に対して所望の位置と方位に置かれ、後述するように穴をあける。
図2Aに示されるように、好ましくは第2の基準カテーテル58を脈管系を介して挿入し、心臓50の適所に固定される。例えば右心室60または冠状動脈の1つに固定される。基準カテーテル58は好ましくはセンサ36と同じタイプの位置センサ62を含む。心臓50内のカテーテル58の位置は、好ましくはX線、CTまたは超音波などの心臓撮像法を用いて確かめる。センサ62で発生する信号によって決定されるカテーテル58の位置および/または方位座標は心臓の形および特徴と対応させて登録してもよい。これらの座標は、カテーテル22の遠位端の座標の基準となる心臓50に固定された基準系を確立するために用いられる。
もしくは、位置センサ62を含む基準要素(図示しない)を患者の身体外部に固定してもよい。この場合、センサ62で発生する信号から決定される基準要素の座標は、身体に固定された基準系を確立するために用いられる。カテーテル22の遠位端の座標は身体固定の基準系を基準とする。好ましくは、センサ62は患者の呼吸および/または心拍と連動して動作するように制御される。
さらにもしくは、またはさらには、センサ36の座標は、例えば上記米国特許出願第08/595,365号に従って形成される心臓の幾何学マップと対応させて登録してもよいし、以下に記述するように心臓の生存性マップと対応させて登録してもよい。そのような生存性マップは本発明の譲受人に譲渡された”CARDIAC ELECTROMECHANICS”と題せられ、本出願が参照する同日出願の国際特許出願において詳細に記述されている装置および方法によって製作されてもよい。
図2Bは、心臓50の心臓筋66において本発明の好適な実施例に従ってチャンネル68をあけるカテーテル22の細部を示す部分概略図である。カテーテル22の遠位端34は好ましくはレンズ32の光軸70と心内膜56の表面に垂直な軸72との間の角度として定義される斜角θを形成しつつ心内膜56と当接する。その結果、心内膜56を通るチャンネル68が心臓筋66の所望の深さdに達するまで斜角θをもってあけられる。好ましくは、dは8mm以下である、これに対して周知のTMR法では、心臓筋66を貫通するチャンネルまたは10〜30mmの深さまで達するチャンネルをあける。より好ましくは、dは6mm以下であり、最も好ましくはおよそ3mmである。
チャンネル68のような浅い斜行チャンネルを形成すれば、心室54からの血液が心臓筋66内のの比較的多くの類洞に達することができ、一方で心臓組織への不必要な損傷を抑えることができる。その上、浅い斜行チャンネルは血液を心室54に最も近い心臓筋66の内部に供給する点でより効果的であり、この部分が最も虚血に犯されやすい傾向を有するのである。
好ましくは、心臓組織の中にあける穴68の直径はおよそ1ミリメートルである。本発明のいくつかの好適な実施例では、穴68は円形ではなく楕円の横断面を有する。楕円の穴は同じ断面積の円形の穴より大きな表面積を持っており、したがって心臓筋66への血液の環流を促進する点でより効果的である。好ましくは、あけようとする穴の目標の形および直径と実質的に同じ形および直径を有する出力レーザビームプロフィールを提供するように、カテーテルの遠位端で導波管24に広がりを持たせるとよい。加えてあるいは代わりに、レンズ32は不均一な角度を持つ周知の集束要素としてもよい。例えば、所望の非円形のビームプロフィールを形成する円柱レンズとしてもよい。
本発明のいくつかの好適な実施例では、組織において衝撃波を発生させるように十分高い出力密度を持つレーザの焦点を心臓組織に合わせるCO2 レーザ照射の場合、出力密度は好ましくは少なくとも1MW/CM2 である。衝撃波は組織に入射するレーザビームの光蒸発効果と共に作用して心臓筋66にチャンネル68をあける。両者が共に作用する方が、切除のみで穴をあける場合よりも心筋の環流を改善する点において効果的であると考えられている。
そこで図3Aは本発明の別の好適な実施例によるカテーテル22の遠位端34の概略断面図である。導波管24に隣接したカテーテルの遠位端の一部が、凹形の反射面35を形成するように加工される。この表面は、心臓筋に入射するレーザビームによって発生する衝撃波の焦点を合わせ、チャンネル68の有効性を増加させるように働く。
図3Bは、同様の本発明の好適な別実施例による遠位端34の概略断面図である。
この場合、図3Aの場合と比べて導波管24は反射面35からそれほどはみ出ておらずむしろ反斜面35と同一平面上にある。 図3Bに示すカテーテル22の遠位端34の形は、図3Aに示される形に比べて導波管24が損傷しにくく、表面24の領域において凝血塊などの異物が捕獲される傾向が少ない。図3Aおよび図3Bの導波管24および表面35(または前面板38)の構成は例として示しただけであり、他の構成を用いても心臓組織の中に衝撃波を収束するという所望の効果が同様に達成できることは理解されるであろう。導波管の端は表面と同一平面でもよいしはみ出てもよい。図で示されるように、カテーテル22の遠位端34に対して中心を合わせてもよいし中心がずれていてもよい。さらに光ファイバは図3Aおよび図3Bに示されるように1束の形でカテーテル22全体の長さを通り抜ける必要はない。カテーテルの中に放射状に分配して遠位端34に集めてもよい。
図3Cは、本発明のさらに別の好適な実施例による遠位端34の概略断面図である。レーザ光源30がHo:YAGレーザもしくは近赤外線レーザから成る場合に特に役に立つ構成である。図3Cに示す導波管24は好ましくは光ファイバ37の束を備える。光ファイバ束は、周知のように遠位端34で溶断され広げられて凹形の前面板38を形成する。もしくは、導波管は遠位端において摩滅・磨き上げ処理され前面板38と同様の凹形の構造を形成する単一のファイバから成るものであってもよい。上記の反射面35と同様、前面板38はレーザが発生する衝撃波の焦点を合わせる。
再び図2Bを参照すると、センサ36に対して定められる位置および方位座標は、チャンネル68をあける前にカテーテル22の遠位端34が適切に配置されているかどうかを確かめるために用いられる。好ましくは、センサ36が発生する信号は、遠位端34が適切な位置と方位に配置された時のみ光源が点火するようにレーザ光源を制御するために用いられる。もしくは、センサ36が発生する信号は、レーザビームを遮断し遠位端34が適切な位置と方位に配置された時以外はレーザビームが導波管24に達するのを防ぐシャッター(図示しない)を制御するために用いられる。好ましくは、チャンネル68を始めとする複数のチャネルに対応する位置および方位座標によってコンソール28を予めプログラムしておく。遠位端34が心室54の心臓筋66上を動く際に、光源30は、遠位端が予めプログラムされた適切な位置および方位座標に達する度に点火してチャンネルの一つを形成するように制御される。各チャンネルがあけられた後、好ましくはその位置は以下に記述されるようにコンソール28によって記録され、心臓のマップ上にマークしておいてもよい。
図2Bに示すように、電極42は心内膜56と当接し、心臓組織から電気記録信号を受信する。好ましくは、レーザ光源30が発火する前に、上記米国特許出願第08/595,365号および第60/009,769号で記述されているように、電極42を用いて心臓50の生存性マップを作成する。このマップは本図で示すように心臓の内部から作成してもよいし、もしくは例えば図4Bに示すように心臓の外部から作成してもよい。マップを作成するには、一般にらせん状のパターンを描くように心内膜56に沿って電極42を動かす。好ましくは心尖57から大動脈52に向かって持ち上げていく。生存性マップは、適切なかん流が行われている他の領域とは異なり、また梗塞のためあるいは虚血が長引いたために生存性を失った領域とも異なった、虚血性ではあるがまだ生存性を有する心筋66の領域を確認するために使用される。そのような虚血性の領域は以下の特性の一部またはすべての特徴を有する。(1)活性化信号に対する反応が全くあるいはほとんどない。(2)心臓弛緩期の拡大および/または収縮期の収縮が全くあるいはほとんどない。(3)伝導速度が遅い。(4)低電気記録信号レベル。(5)損傷電流の存在。
好ましくは、TMR治療は虚血性ではあるがまだ生存性が残っている領域で実行される。さらに好ましくは、虚血を防ぎ心臓組織への一層の損傷を防ぐために治療は梗塞のすぐ後に行う。
図4Aは、本発明の別の好適な実施例に従ってカテーテル22の代わりに用いられる側面点火式のカテーテル74の遠位端34の細部を示す概略図である。カテーテル74は、カテーテル22との関連で上に述べたやり方と実質的に同様のやり方でカテーテルの基部に近い端(図示しない)においてコンソール28と結合される位置センサ36および導波管24を含む。しかしながら、カテーテル74では、周知の光学偏向要素76が導波管24を介して伝えられるレーザエネルギーのビームを偏向するので、所定の斜角を形成しつつ遠位端34から軸70に沿ってビームは送出される。
また、カテーテル74は好ましくは吸引チャンネルとして働く管腔78を含む。管腔78は遠位端34またはその付近で穴80となる。管腔は、周知のようにコンソール28においてポンプまたは他の適当な吸引装置と結合される。また管腔78を他の目的に用いることもできる。例えば、導波管24の遠位端および/または隣接する心臓組織を洗浄するため、および/または微少外科装置(図4Cに示す)を穴80まで導くために用いることができる。
好ましくは、カテーテル74は、カテーテル22の電極42のような一つ以上の電極、およびカテーテルの舵取りを行うための上記の偏向メカニズムを含む。これらの要素は簡潔な表示を行う目的のため図4Aでは示されていない。
図4Bは、カテーテル74が本発明の好適な実施例に従って斜行TMRチャンネル88をあける心臓50の細部を示す概略断面図である。この実施例では、周知のようにカテーテル74は胸壁の切込みおよび患者の心膜の切込みに挿入される。切込みは好ましくは最小限に観血的な1−2cmの切込みである。カテーテル74は心外膜82と当接する。遠位端34に隣接し遠位端34を含むカテーテル74の一部は、心外膜の表面に沿った所望の位置に接線を成すように配置される。好ましくは、管腔78は吸引されて穴80において部分的な真空を発生させ、その結果遠位端34を所定の位置に据えつける。もしくは、外科装置を管腔78(例えば図4Cに示す)にくぐらせ、心外膜82を保持することによって機械的にカテーテル74を据えつけるために用いてもよい。そうすれば同じ目的のために吸引を用いなくてもすむ。レーザ光源30が駆動され、心臓筋66および心内膜56を通じて心室54へ達するチャンネル88が所望の位置および所定の角度であけられる。センサ36で読み取った位置に基づいて心臓50の外側の幾何学的マップを作成してもよい。
これらの読み取り結果は、例えば上記の米国の特許出願第08/596,365号で記述されているように、心臓の内表面の別の幾何学的なマップに記録してもよい。そして、外側と内側のマップは、カテーテル74の位置における心臓組織の厚みを測定するために比較される。またカテーテル74が上記のように適当な電極を含む場合、心臓50の外側の電気的活動をマッピングしてもよい。
カテーテル74を同様の方法で使用して、図2Bに示すチャンネル68のように、心室54の内部からチャンネルをあけてもよいことは理解されるだろう。この場合、カテーテルの遠位の部分は好ましくは心内膜56に対して接線となるように位置決めされる。好ましくは、例えば上記の1997年1月3日付けの暫定的な出願において記述されているように、カテーテル74の位置は心室54の外形的な特徴と対応させて記録する。
カテーテル74が心臓50の内部から作用するか外側から作用するかに関係なく、特に穴80を介した吸引と併用された場合、カテーテル74を接線配置とすることによって、チャンネル68および88を形成中にカテーテルの安定が確実に保たれる点が特筆すべきである。この接線配置のおかげで、チャンネルを光学偏向要素76によって決定した所望の角度で形成することができる。
図4Cは、本発明の別の好適な実施例による、カテーテル74の代わりに用いうる側面点火式カテーテル75の遠位端34の細部を示す概略図である。カテーテル75は、管腔78の中に含む形で外科の切断器具79を備える。器具79は、開口部80を通って外部に広げられ心臓組織の丈夫な外側の層に小さい切込みを形成する。その切込みを通してレーザビームを照射することによってより軟質な心臓筋66においてチャンネルを形成する。
好ましくは、カテーテル75の中の光学導波管24は、カテーテルに追加される管腔77の中にフレキシブルな光ファイバー束を備えている。好ましくは、切断器具が切込みを行っている間は導波管24はカテーテルの中に引っ込められ、その後レーザエネルギーを切込みに送出する際には末端において開口部81を介してカテーテルから外に延びる。この様に、レーザパルスは心臓筋の所望の部位に向かってより精確に送出される。
図5は本発明の好適な実施例によるTMR用の別のカテーテル90の細部を示す概略図である。カテーテル90は導波管24、レンズ32および位置センサ36を含んでおり、上記のカテーテル20に関して述べたようにコンソール28と結合されている。それに加えて、カテーテル90は超音波変換器92を含む。好ましくは、変換器92は、カテーテル90の遠位端34に対してさまざまな角度でビーム94を放つ周知の変換器アレイを備えて成る。もしくは、心臓壁の厚みをモニターするために、後述するように、単一の変換器要素を同様に用いてもよい。変換器92はワイヤ40を介して信号処理回路44と結合される。
好ましくは、カテーテル90は心臓50の組織と斜めに接触する。例えば図5に示すように心内膜56と接触する。回路44が変換器92から受信する信号は、心臓50の壁の厚さtを測定するために用いられる。測定された厚さは、チャンネル68をあける最適の深さを定める際に好ましくは使用され、その深さに従ってレーザ光源30が制御される。さらに好ましくは、レーザ源の各パルスまたは数パルスに続いて、変換器信号はチャンネル68の深さと方向を測定するのに用いられ、最適な所望の深さに達しているどうか並びにカテーテル90が適切な方向に向けられているかどうかを決定するのに用いられる。
さらに、変換器92は動的に壁の厚さtをモニターするのに好ましくは用いられ、各心臓サイクルの過程が進んでいる間に多重測定を行う。好ましくはこの動的な測定結果に基づいてレーザ光源30を点火する。局所的な収縮期もしくはその付近において、すなわち心臓50の壁がほぼ最大の厚さを持つ時に、光源が点火されるのである。この厚さに基づいた点火方式は、電気生理学的信号に基づいた点火方式と併用して、またはそれに取って代わって用いてもよい。
上記実施例ではカテーテル22,74および90はある一定の好適な組み合わせおよび構成に従って様々なセンサおよび光学要素を含んでいるが、本発明の他の好適な実施例では、TMRカテーテルは他の組み合わせ方に従って、そして同一または別の構成に従ってこれらのセンサおよび要素の一部もしくは全てを含んでいてもよい。また、そのようなカテーテルは周知の他のタイプのセンサ、例えば心機能の他の態様を診断する際に役に立つ温度センサや圧力センサを含んでいてもよい。
図6は、本発明の好適な実施例によるTMR法における主要なステップをまとめたフローチャートである。この方法は図1Aおよび図1Bに示すカテーテル22を念頭において以下に記述されるが、以下に述べるようにこの方法の原理を他の適当なカテーテルを使用して適用してもよいことは理解されるであろう。
TMRを始める前に、心臓50の中で少なくとも1つの治療候補領域を定める。上述のように、領域は生存性マッピングもしくは心臓壁の厚みの測定およびマッピングによって確認してもよい。またはイスラエル(Tirat Haearmel)のBiosense社によるNOGAなどのような周知の他の方法によって確認してもよい。好ましくは、候補領域の境界はコンソール28が格納した心臓のマップ上にマークされる。
そしてカテーテル22は候補領域に誘導される。カテーテルの遠位端34の位置と方位は、位置センサ36から受信した信号に基づいて制御ユニットの位置決めアクチュエータによって確認・制御され、格納された心臓のマップと比較される。もしくは、位置決めアクチュエータは、受信した信号に基づいて、または信号から得られる情報を含む表示およびマップに基づいてオペレータが操作してもよい。
遠位端が適当な位置および方位に配置されると、上記のように例えば照射アクチュエータによってレーザ光源30が点火させられ心臓組織の中にチャンネルをあける。チャンネルの位置はマップ上にマークされ、次にカテーテル2を再配置しては次のチャンネルをあける。好ましくは、チャンネルが候補領域全体にわたって所望の密度で形成されるまで、この手順は繰り返される。
周知の他のタイプのカテーテルと装置を使用して、例えば狭くて浅いチャンネル68をあける際に本発明の原理と方法を適用することができる点は評価されるべきである。これらのチャンネルは上記のようにレーザ光源を使用してあけてもよいし、他の適当なタイプの周知のドリル、例えば高速回転切除ドリルヘッドを使用してあけてもよい。もしくは、焦点を絞った高強度の超音波放射ビームを使用してチャンネルを形成してもよい。この場合、好ましくは、本出願と同じ譲受人に譲渡されており本出願が参照するイスラエル特許出願第119,137において記述されているように、超音波ビームを点火する前に心臓組織の中のチャンネル形成の対象となる領域に微小気泡を注入する。上記の好適な実施例ではカテーテル22,74および90を左心室54の壁にチャンネルを形成するために用いるるが、本発明の原理に従った同様の装置と技法を、心臓50の他の室に穴をあけるために使用してもよいことは理解されるだろう。
発明のいくつかの好適な実施例では、他の特性に対応してシステムの引き金が引かれる。例えば、心臓サイクルの一つないしは複数のフェーズ、あるいはセンサの速度または加速度など局所的な心臓の機械的特性に応じて照射の引き金が引かれてもよい。
もしくは、あるいはさらには、電気生理学的探知電極、超音波変換装置、心臓壁の厚みを測定する他の周知のセンサ、上記米国特許出願第08/595,365号あるいは暫定的米国特許出願第60/009,769号で述べられている心臓組織の生存性を測定するための他の周知のセンサ、心臓組織のかん流を測定するための他の周知のセンサといった各タイプのセンサのうち少なくとも1個以上のセンサが生成する信号に基づいて照射を開始する。
もしくは、またはさらには、発明のいくつかの好適な実施例では、安定状態が達成されるまではシステムは抑制される。例えば、心臓サイクル、心臓リズム、プローブの遠位端の心臓組織に対する位置の安定性、プローブの遠位端と心臓組織の間の周期的な角度関係の安定性、プローブと心臓組織の間の接触の安定性が保たれない場合、照射を禁止してもよい。
さらに、照射は多入力に対応するものであってもよいが、少なくともこれらの入力のいくつかが存在しない場合には一般に照射は起こらない。例えば、典型的なシステムでは、フットスイッチを踏むなどオペレータが積極的な命令を与えない限り、照射は禁止される。
これらの条件のいくつかは、心臓に対する外部からの測定値に基づいて決定してもよいし、あるいは条件のすべてを心臓自体の上で行われた測定に基づいて決定してもよい。
以上に説明した好適な実施例は例として述べただけであり、発明の全範囲はクレームによってのみ限定される。
本発明の具体的な実施態様は、以下の通りである。
(1)心臓に脈管再生治療を施す方法であって、
前記心臓の複数の位置にプローブを配置すること、
前記位置で前記心臓の生理学的特性を検出すること、
前記位置の前記検出生理学的特性に基づいて前記心臓の生存性マップを作成することであって、前記生存性マップが前記心臓の生存性組織を示すこと、
前記生存性マップに従って前記心臓の前記生存性組織に少なくとも1つのチャンネルを形成すること、及び
前記少なくとも1つのチャンネルを形成した位置に従う位置において前記マップにマークを付けることを備えている方法。
(2)前記チャンネルを支配可能な角度に形成することを備えている実施態様(1)に記載の方法。
(3)前記支配可能な角度は斜角である実施態様(2)に記載の方法。
(4)前記斜角は前記心臓の位置に垂直な軸に対して少なくとも20°である実施態様(3)に記載の方法。
(5)前記チャンネルは前記プローブで形成する実施態様(4)に記載の方法。
(6)前記生理学的特性は前記心臓の位置の電位である実施態様(1)に記載の方法。
(7)前記生理学的特性は前記心臓の位置の動きである実施態様(1)に記載の方法。
(8)前記チャンネルを放射線源で形成することを備えている実施態様(1)に記載の方法。
(9)前記チャンネル形成工程と関連して前記心臓の位置に衝撃波を与えることを備えている実施態様(8)に記載の方法。
(10)患者の心臓に脈管再生治療を施す装置であって、
前記患者の外部に配置したコンソール、
前記コンソールに適切に接続したプローブであって、位置センサ、前記心臓の生理学的特性を検出する電極、及び前記心臓に少なくとも1つのチャンネルを形成する導波路を有すると共に、前記心臓の生存性組織を示す前記心臓の生存性マップを作成するプローブを備え、
前記コンソールは前記プローブの位置、及び前記心臓の前記生存性組織に前記少なくとも1つのチャンネルを形成する位置を前記生存性マップに従って決定すると共に、前記導波路を介して前記心臓への脈管再生治療も制御するようになっている装置。
(11)前記プローブの前記位置を決定するため、前記コンソールに適切に接続した基準センサを備えている実施態様(10)に記載の装置。
(12)前記患者の外部に配置した磁場発生コイルを備えている実施態様(11)に記載の装置。
(13)前記導波路は光学導波路である実施態様(12)に記載の装置。
(14)前光学導波路はレーザを使用する実施態様(13)に記載の装置。
(15)前記プローブは貫通した管腔を備えている実施態様(12)に記載の装置。
(16)前記管腔を通り抜けることができる切断器具を備えている実施態様(15)に記載の装置。
(17)前記生存性マップは電気生理学的データに基づいている実施態様(10)に記載の装置。
(18)前記生存性マップは生力学的データにも基づいている実施態様(17)に記載の装置。
(19)前記生存性マップは生力学的データに基づいている実施態様(10)に記載の装置。
(20)心臓に脈管再生治療を施す方法であって、
前記心臓の複数の位置にプローブを配置すること、
前記位置において前記心臓の生理学的特性を検出することであって、前記生理学的特性が前記心臓の位置の動きを含んでいること、
前記位置の前記検出生理学的特性に基づいて前記心臓の生存性マップを作成することであって、前記生存性マップが前記心臓の生存性組織を示すこと、及び
前記生存性マップに従って前記心臓の前記生存性組織に少なくとも1つのチャンネルを形成することを備えている方法。
(21)前記少なくとも1つのチャンネルを形成した位置に従う位置において前記マップにマークを付けることを備えている実施態様(20)に記載の方法。
(22)前記チャンネルを支配可能な角度で形成することを備えている実施態様(20)に記載の方法。
(23)前記支配可能な角度は斜角である実施態様(22)に記載の方法。
(24)前記斜角は前記心臓の位置に垂直な軸に対して少なくとも20°である実施態様(22)に記載の方法。
(25)前記チャンネルは前記プローブで形成する実施態様(24)に記載の方法。
(26)前記生理学的特性は前記心臓の位置の電位も含んでいる実施態様(20)に記載の方法。
(27)前記チャンネルを放射線源で形成することを備えている実施態様(20)に記載の方法。
(28)前記チャンネル形成工程と関連して前記心臓の位置に衝撃波を与えることを備えている実施態様(27)に記載の方法。
図1Aは、本発明の好ましい実施例によるTMRのような放射線治療において使用されるカテーテルシステムの概略図である。
図1Bは、本発明の好ましい実施例による図1Aのカテーテルの遠位端の詳細を示す概略図である。
図2Aは、本発明の好ましい実施例による図1A,1BのカテーテルがTMR手法のような放射線治療を行うために挿入される人間の心臓の断面概略図である。
図2Bは、本発明の好ましい実施例による図2Aの心臓組織に開けられたチャンネルを示す断面概略詳細図である。
図3Aは、本発明の他にとるべき好ましい実施例によるTMRのような放射線治療において使用されるカテーテルの遠位端の詳細を示す断面概略図である。
図3Bは、本発明の他にとるべき好ましい実施例によるTMRのような放射線治療において使用されるカテーテルの遠位端の詳細を示す断面概略図である。
図3Cは、本発明の他にとるべき好ましい実施例によるTMRのような放射線治療において使用されるカテーテルの遠位端の詳細を示す断面概略図である。
図4Aは、本発明の好ましい実施例によるTMRのような放射線治療において使用される他のカテーテルの遠位端の詳細を示す断面概略図である。
図4Bは、本発明の他の好ましい実施例による人間の心臓の断面概略詳細図であり、その外表面に対して図4Aのカテーテルが例えばTMR手法と同様に放射線照射を行うように係合される。
図4Cは、本発明の好ましい実施例によるTMRのような放射線治療において使用される、さらに他のカテーテルの遠位端の詳細を示す断面概略図である。
図5は、本発明の他にとるべき好ましい実施例による、人間の心臓組織と接触してTMRのような放射線治療において使用される、さらに他のカテーテルの遠位端の詳細を示す断面概略図である。
図6は、本発明の好ましい実施例によるTMRのような放射線治療の手順を示すフローチャート図である。