JP4517754B2 - 駆動軸監視装置 - Google Patents
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Description
ところが、上記のような駆動軸では、その回転トルクは正常な動作時でも数十(トン・メータ)であり、圧延ローラ間の設定寸法よりも僅かに大きい寸法の鋼材が当該ローラ間に流されるミス圧延などの過負荷(異常)動作時の場合には、百(トン・メータ)を超える値を示すことがあった。また、圧延設備では、2本の上記駆動軸が上下に近接配置された状態で回転駆動されており、さらには駆動軸の交換作業等を実施する際にワイヤなどを当該駆動軸の外周面に巻回して駆動軸を吊り上げる必要があることから、トルク検出用センサなどの設置箇所を確保することは難しかった。それ故、圧延設備などの駆動軸では、その回転トルクが非常な高トルクである点とも相まって、当該駆動軸に対しトルク検出用センサを常設することは実際上不可能であり、回転トルクを精度よく検知して駆動軸を常に監視できなかった。
前記十字軸継手の十字軸の4つの各軸に装着されるとともに、前記軸部の軸方向端面が連結されることによって、当該軸部の軸心周りに周方向に間隔をあけて配置された4つのベアリングカップと、前記ベアリングカップの変形を検出するセンサと、前記センサの検出結果を基に前記駆動軸の回転トルクを検知する検知部とを備え、前記センサが、前記ベアリングカップにおける、前記駆動軸の回転方向に関する中央位置よりも回転方向後方側の部分に設けられていることを特徴とするものである。
また、上記駆動軸監視装置において、前記センサが、前記ベアリングカップにおける、前記駆動軸の回転方向に関する中央位置よりも回転方向後方側の部分に設けられているので、センサが駆動軸動作中に最も変形を生じ易いベアリングカップの部分に設置されることとなり、センサの検出精度を高めることが可能となって検知部の回転トルクの検知精度も向上させることができる。
この場合、センサは上記ベアリングカップの変形に伴って変化する上記固定ボルトでの締め付け力の変化を検出することとなり、上記検知部が駆動軸の回転トルクだけでなく、上記締め付け力変化を基に固定ボルトの状態監視を行うこともできる。
この場合、上記検知部がベアリングカップに設けられた二つのセンサの検出結果の差動処理を行うことにより、周囲温度による各センサ出力の温度ドリフトを補償することができ、周囲温度の影響によりトルク検知の精度低下を防ぐことができる。
また、上記孔131aには、蓋14が着脱可能に取り付けられており、上記転がり接触部から当該孔131aを介して外部にグリースが漏れ出るのを防ぐようになっている。詳細にいえば、この蓋14には、例えば段差状に形成された孔131aの内周面と密接して当該孔131aを実質的に密閉する平底碗状の取付部14aと、その底部から軸12aの軸方向に延設されてその軸側の上記孔12bに挿入された丸棒状の支持部14bとを有している。
詳細にいえば、各ベアリングカップ13は、カップ部131の左右両端部側に設けられたボルト穴に取り付けられた固定ボルト15a、15bを介して、駆動軸10の対応する軸部の端部に形成されたフランジ部に固定されている。また、これら各固定ボルト15a、15bは、そのボルト頭部とベアリングカップ13のカップ部131との間にワッシャ16a、16bをそれぞれ介在させて、所定の締め付け力にて上記ボルト穴に螺合されている。
また、上記の各ワッシャ16a、16bには、本発明の駆動軸監視装置に含まれた荷重センサ17a、17bが設置されており、後に詳述するように、駆動軸10の回転動作に起因して生じるベアリングカップ13の変形を検出することにより当該駆動軸10の回転トルクを検知するようになっている。
また、他の3箇所のベアリングカップ13についても同様に、各々2個の荷重センサ17a、17bが固定ボルト15a、15bのワッシャ16a、16bに設置されており、対応するベアリングカップ13の変形に起因する荷重を検出し、子機1と同様にベアリングカップ13毎に設けられた子機2、3、4に検出信号を出力している。
図4(a)に示すように、上記駆動軸10が停止状態または無負荷状態で回転駆動されているとき、つまり上記圧延ローラ間に処理対象の鋼材が流されていないときには、ベアリングカップ13に変形がほとんど発生していない。また、各ワッシャ16a、16bのテーパ部では、対応する固定ボルト15a、15bが螺合されたときでの上記所定の締め付け力に起因する歪みを除いて、新たな歪みはほとんど生じておらず、それ故、荷重センサ17a、17bは、ほぼ均等の基準電圧値を示す検出信号を出力する。
上記ワイヤレス基板32には、例えばDSPを用いて構成された送受信回路32aと、この送受信回路32aや上記センサ回路31aなどで使用されるプログラム等のデータを保持するメモリ32bとを備えており、当該ワイヤレス基板32がセンサ回路31aからの上記センサ検出信号データを無線送信するデータ送信部を構成している。上記送受信回路32aには、所定周波数の発信波(搬送波)を発振する発振機能、この搬送波に検出信号データを乗せるための変調機能が付与されている。また、送受信回路32aは、後述の親機5(図6)からの発信波を受信して、その受信した発信波を復調してその発信波に含まれた同親機5からの指示信号を抽出する復調機能を有しており、前記指示信号によって子機1の各部はその駆動制御が行われるようになっている。また、送受信回路32aには、バッテリー電源33の上方で蓋14の開口端付近に配置されるアンテナ34が接続されており、このアンテナ34が上記センサ検出信号データのシリアルデータ列を含んだ送信波を外部に発信する。尚、この説明以外に、アンテナ34をベアリングカップ13の外表面に沿わせて配置する構成でもよい。
また、上記子機1〜4及び荷重センサ17a、17bは、上記駆動軸監視装置Tに含まれたものであり、各子機1〜4にはそれぞれ識別子としての連続した整数のID番号0,1,2,3が割り当てられており、各子機1〜4の上記送受信回路32aでは、センサ検出結果の送信を行うときに例えばヘッダー部に割り当てられたID番号を含めて、送信波を発信するように構成されている。そして、駆動軸監視装置T内で各子機1〜4と、これら子機1〜4各々に接続された荷重センサ17a、17bとを特定可能になっている。
尚、この回転トルクのデータ値の取得処理は、いずれか一方の荷重センサ17a、17bの検出データ値だけを用いて行うこともできる。但し、上記のように、パネルコンピュータ7が差動処理を実施する場合の方が、各検出データ値での周囲温度の影響を相殺できる点で好ましい。また、パネルコンピュータ7では、4個のベアリングカップに各々設けられた一対の荷重センサ17a、17bの各検出データ値に基づいて4つの回転トルクのデータ値を同時に得て、これらデータ値を相互チェックすることで回転トルクの検知精度を高めている。
さらに、このコンピュータ7では、取得した回転トルクのデータ値を蓄積するようになっており、この蓄積データを基に対応するベアリングカップ13での疲労(経年劣化)の程度や駆動軸10の破損前兆などを把握する機能も含まれている。
また、PC 8には、パネルコンピュータ7が有する上記のコンピュータ機能に加えて、入力した検出データやそれに基づく疲労の診断結果などのデータを保存したり、他の情報処理端末21に上記の保存データを提供するWebサーバとして働いたりするようなサーバ機能が付与されている。
また、ベアリングカップ13における負荷(回転方向)側の固定ボルト15aのワッシャ16aにも荷重センサ17aを設け、パネルコンピュータ7がこれらのセンサ17a、17bのセンサ出力についての差動処理を実施し各センサ出力での周囲温度の影響を相殺しているので、周囲温度による各センサ出力の温度ドリフトを補償することができ、周囲温度の影響によりトルク検知の精度低下を防ぐことができる。また、このように、荷重センサ17a、17bを回転方向側及びこれと反対方向側に設置しているので、圧延設備において、いわゆるリバース圧延などが実施されて駆動軸10の回転方向が上記通常の回転方向Rと反対方向に回転されたときでも、上記センサ17aはベアリングカップ13の最も変形を生じ易い部分に配置されることとなり、駆動軸10の回転方向に変更により、その回転トルクの検知精度の低下が生じるのを防止できる。
図に示すように、本実施形態では、上記荷重センサ17a、17bがベアリングカップ13における、上記通常の回転方向R側の部分及びこの回転方向Rと反対方向側の部分として、当該カップ13の右側部及び左側部の表面にそれぞれ直接的に取り付けられている。これらセンサ17a、17bは、荷重検出が可能なセラミックタイプのピエゾ素子によって構成されたものであり、実施形態1のものに比べて高い強度をもっている。
以上の構成により、本実施形態では、荷重センサ17a、17bは、駆動軸10の回転動作に応じたベアリングカップ13の変形を直接的に検出し、パネルコンピュータ7またはPC 8(検知部)が、上記実施形態1と同様に、荷重センサ17a、17bの検出結果から得られるカップ変形量を用いて、駆動軸10の回転トルクを検知する。従って、本実施形態では、実施形態1と同様な効果を奏することができる。
また、上記の説明では、歪みゲージまたはセラミックタイプのピエゾ素子を用いた2個の荷重センサをベアリングカップ毎に設置した構成について説明したが、本発明は、上記荷重を検出することができるセンサであれば、センサの種類や設置数、設置箇所等は上記のものに何等限定されない。例えばベアリングカップの変形に同調する磁性部材を当該カップに設けて、磁気センサによりこのカップ変形を検出してもよい。但し、上記各実施形態のように、2個のセンサをベアリングカップ毎に設けてそのセンサ出力の差動処理を行う場合の方が、温度補償がなされたセンサ出力による回転トルク検知をより精度よく行える点で好ましい。
また、上記の説明では、パネルコンピュータまたはPCにおいて、荷重センサの検出結果に基づく駆動軸の回転トルクの検知処理等を行わせる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記センサ回路に設けたDSP等のデータ処理部において上記の検出結果を用いた検知処理等を実行させてもよい。
8 PC(検知部)
10 駆動軸
11 十字軸継手
12 十字軸
12a 軸
13 ベアリングカップ
15a、15b 固定ボルト
16a、16b ワッシャ
17a、17b センサ
31a センサ回路(検知部)
T 駆動軸監視装置
Claims (3)
- 十字軸継手と、この十字軸継手を介して連結された複数の軸部とを備えた駆動軸を監視する駆動軸監視装置であって、
前記十字軸継手の十字軸の4つの各軸に装着されるとともに、前記軸部の軸方向端面に連結されることによって、当該軸部の軸心周りに周方向に間隔をあけて配置された4つのベアリングカップと、
前記ベアリングカップの変形を検出するセンサと、
前記センサの検出結果を基に前記駆動軸の回転トルクを検知する検知部と
を備え、
前記センサが、前記ベアリングカップにおける、前記駆動軸の回転方向に関する中央位置よりも回転方向後方側の部分に設けられていることを特徴とする駆動軸監視装置。 - 前記センサが、前記ベアリングカップと前記軸部とを固定する固定ボルトの、ボルト頭部と当該ベアリングカップとの間に配置されたワッシャに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の駆動軸監視装置。
- 前記センサが、前記ベアリングカップにおける、前記駆動軸の回転方向に関する中央位置よりも回転方向先方側の部分にも設けられ、
前記検知部が、前記回転方向先方側のセンサと、前記回転方向後方側のセンサとの検出結果の差動処理を実施する機能を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動軸監視装置。
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