JP4516024B2 - 鋳造用中子 - Google Patents

鋳造用中子 Download PDF

Info

Publication number
JP4516024B2
JP4516024B2 JP2005514063A JP2005514063A JP4516024B2 JP 4516024 B2 JP4516024 B2 JP 4516024B2 JP 2005514063 A JP2005514063 A JP 2005514063A JP 2005514063 A JP2005514063 A JP 2005514063A JP 4516024 B2 JP4516024 B2 JP 4516024B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
salt
bending strength
casting
ceramic material
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005514063A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2005028142A1 (ja
Inventor
盾 八百川
浩一 安斎
養司 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Motor Co Ltd filed Critical Yamaha Motor Co Ltd
Publication of JPWO2005028142A1 publication Critical patent/JPWO2005028142A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4516024B2 publication Critical patent/JP4516024B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22CFOUNDRY MOULDING
    • B22C9/00Moulds or cores; Moulding processes
    • B22C9/10Cores; Manufacture or installation of cores
    • B22C9/105Salt cores

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Mold Materials And Core Materials (AREA)

Description

本発明は、非鉄合金鋳物を鋳造するのに用いられる金型、特にダイカスト鋳造金型内にも装填され、その高圧の鋳造圧力環境にも耐え得る、ソルト材料によって形成した鋳造用中子に関するものである。
従来、ダイカスト鋳造法は、複雑形状部品を寸法精度良く廉価に多量生産できる。しかし、形状によっては崩壊性の鋳造用中子を利用せざるを得ない場合がある。従来、崩壊性の中子としては、砂を使用して形成されたシェル中子の他に、いわゆるソルト中子がある。このソルト中子は、生産性を考える場合、極めて魅力的な選択である。
すなわち、ソルト中子は、鋳造終了後に温水または蒸気によって溶解させて除去することができるために、ソルト中子を使用することにより、砂からなる中子(例えばシェル中子)を使用する場合に較べると、砂出し作業の手間を省け、生産性を高めることができる。なぜなら、シェル中子の場合、溶湯が中子との境界面において砂粒の隙間に入り、砂が取れなくなる、所謂さし込み現象が起こる。
このため、金型から製品を取出した後に、製品を何台かのノックアウトマシンにかけて内部から砂を出し、さらに、さし込みで落ち難い砂をショットブラストで落とす必要があり、砂出し作業が大変でコストアップになっているからである。
この種のソルト中子は、例えば、特公昭48−17570号公報(以下、単に特許文献1という)や、米国特許第3963818号明細書(以下、単に特許文献2という)や、米国特許第4361181号明細書(以下、単に特許文献3という)や、米国特許第5165464号明細書(以下、単に特許文献4という)に開示されているように、塩化ナトリウム(NaCl)や塩化カリウム(KCl)を主な材料(ソルト材料)として形成されている。
特許文献1ないし特許文献3に示されたソルト中子は、粒状(粉状)の塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩化物をプレス成形法により所定の形状に成形し、この成形物を焼結させることによって形成されている。
特許文献4に記載されているソルト中子は、ソルト材料として塩化ナトリウムが用いられ、ダイカスト鋳造法によって所定の形状に成形されている。
また、米国特許第4446906号明細書(以下、単に特許文献5という)と、米国特許第5803151号明細書(以下、単に特許文献6という)と、特公昭49−15140号公報(以下、単に特許文献7という)と、特公昭48−8368号公報(以下、単に特許文献8という)と、特公昭49−46450号公報(以下、単に特許文献9という)と、米国特許第4840219号明細書(以下、単に特許文献10という)には、ソルト材料に充填材としてセラミックスが混入されたソルト中子が開示されている。
特許文献5に示されたソルト中子は、充填用セラミックスとしてシリカ(SiO)またはアルミナ(Al)が用いられ、ダイカスト鋳造法によって所定の形状に成形されている。このソルト中子の引張り強度は150〜175psiと記載されており、これは1.03〜1.2MPaに相当する。同じ崩壊性中子であるシェル中子では抗折強度試験法によって得られた抗折強度の値によって中子の強度を評価するのが一般的であり、ソルト中子でも抗折強度による評価方法を採用し得る。
抗折強度は中子に曲げ応力が作用した時の中子の強度を表すバロメータである。曲げ応力が作用する時としては例えば溶湯がゲートからキャビティ内に高速で流れ込んで内部のソルト中子にぶつかった時あるいは中子の金型内への取り付け作業時に中子に衝撃が加わった時などが想定される。このように曲げ応力が生じることは、ダイカスト鋳造法で中子が折れる主要因である。特許文献5にはこの抗折強度について何ら記載がない。明細書にこの中子を使ってエンジンブロックをダイカスト鋳造法で生産したとされているものの、商用実績がないことから推測して、このソルト中子はダイカスト鋳造法の高圧の溶湯圧力、高速の射出速度に耐え得る抗折強度はもっていなかったと推測される。
特許文献6に示されたソルト中子は、充填用セラミックスとしてアルミナ、珪砂、窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素(BC)などの粒子、繊維、ウィスカ等が用いられている。このソルト中子は、前記充填用セラミックスとソルト材料との混合物を加圧成形法により所定の形状に成形した後に焼結させることによって形成されている。この特許は、プロセスは異なるがソルト中子をセラミックスの各種形態の材料で補強することを示唆している。
特許文献7および特許文献8に示されたソルト中子は、充填用セラミックスとしてアルミナが用いられている。特許文献9に示されたソルト中子は、充填用セラミックスとしてシリカ、アルミナ、ジルコニア(ZrO)などが用いられている。これらの特許文献7〜9に示されたソルト中子は鋳造によって形成されている。
特許文献10に示されたソルト中子は、充填用セラミックスとして粒径が大小異なる2種類のアルミナがソルト材料に混入され、ダイカスト鋳造法によって所定の形状に成形されている。このソルト中子に用いられるソルト材料は、塩化ナトリウムに炭酸ナトリウム(NaCO)を混合させた混合塩である。
このように混合塩をソルト材料として用いるソルト中子は、上記の他に米国特許第5303761号明細書(以下、単に特許文献11という)と、特開昭50−136225号公報(以下、単に特許文献12という)とに記載されている。
特許文献11には、特許文献10と同様に塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムとからなる混合塩が示されている。特許文献12には、炭酸ナトリウムに塩化カリウムと塩化ナトリウムとを混合させてなる混合塩が開示されている。
また、混合塩にセラミックスが混入されたソルト材料は、特公昭48−39696号公報(以下、単に特許文献13という)と、特開昭51−50218号公報(以下、単に特許文献14という)とに示されている。
特許文献13には、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムからなる混合塩に、アルミナ、酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物や、珪砂、タルク、クレーなどの珪酸質粉粒物が混合されたソルト材料が示されている。
特許文献14には、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム(NaSO)、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムからなる混合塩にシリカ・アルミナ・ファイバーなどが混入されたソルト材料が示されている。
このようにソルト材料を混合塩とすることによって、ソルト材料が単一の塩化物や炭酸塩または硫酸塩などによって形成されている場合に比べて、ソルト材料の融点を相対的に低くすることができる。
上述した特許文献1〜特許文献3および特許文献6に示されたソルト中子は、プレス成形法によって形成されているために、複雑な形状に形成することができないという問題があった。このような問題は、特許文献4,5、特許文献10,11に示されているように、ダイカスト等の鋳造法によりソルト中子を形成することによって、ある程度は解消することができる。しかし、この特許文献4に示されたソルト中子は、抗折強度が低く、このソルト中子を使用して行う製品鋳造の制約条件が多くなるという問題があった。
すなわち、特許文献4に示されたソルト中子は、塩化ナトリウムや塩化カリウムのように材料自体が脆弱な材料のみで作られており(例、抗折強度1〜1.5MPa)、このため、この中子は、製品鋳造時に破壊されることがないように、溶湯の供給圧力が低く、かつ流速を抑えた例えば重力金型鋳造法や低圧鋳造法(LP)にしか用いることができず、一般的にダイカスト法と呼ばれる高圧高速ダイカスト法には用いることができなかった。なお、従来のダイカスト法は、重力金型鋳造法や低圧鋳造法などに較べると鋳造時の溶湯圧力が40〜100MPaと高く、射出速度も速い(湯口速度で20〜100m/秒)ために、ソルト中子とは別の中子であっても使用することは困難を伴なう。溶湯の供給圧力は高いが、速度を低く抑えた層流ダイカスト法およびスクイズダイカスト法等においては、強度を向上させたシェル中子{抗折強度3〜6MPa(現時点でのMax値6MPa)}が用いられることがあるが、この場合には、前述のように鋳造後の砂出し作業の時間が過度に長くなり、製造コストが著しく高くなってしまう。
ソルト中子の抗折強度を増大させるためには、特許文献5,10や特許文献13,14に示されているように、ソルト材料に補強材としてセラミックスを混入させることが考えられる。しかしながら、従来のセラミックス混入型のソルト中子は、期待したほど高い抗折強度を得ることはできなかった。これは、セラミックス材料として、汎用的な工業材料や天然材料(例えばアルミナやシリカ等)を主体としていたためセラミックス材料がソルト材料中に充分に分散していなかったり、適切な物性のセラミックス材料を用いていなかったことが原因であると考えられる。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、流動性に優れ、ダイカスト法、重力金型鋳造法、低圧鋳造法等の鋳造によって複雑な形状の中子に形成することができ、しかも、中子として抗折強度が高く、ダイカスト鋳造法にも適用可能なソルト中子を提供することを目的とする。
近年、人工的に合成されたセラミックス等(カオリンを再溶融し、粉砕、分級したもので、例えば合成ムライトの粉砕品。カオリンを造粒し、ロータリー・キルンで焼結して分級したもので、例えば合成ムライトの焼結品。フラックス法で析出させフラックスを除去して分級したもので、例えばホウ酸アルミニウム。気相法で析出させて分級したもので、例えば炭化ケイ素や窒化ケイ素)が生産されるようになっている。
これらの人工的に合成された材料は、従来強化プラスチックの補強材料や、耐熱性を有するピストン材料として使われたり、アスベストの代替材料としてブレーキシューに使われたり、あるいは航空・宇宙用に開発された工業材料であり、ソルト中子の強化用セラミックスとして開発されたものではない。
しかし、密度や粒径や形状等は多様なものが市販されており、又、耐熱性や強度安定性も旧来のセラミックスに比べ著しく改善されており、本発明者らはこの点に着目して、これら材料をソルト強化用セラミックスとして活用できないか再検討し、本発明に至ったものである。
この目的を達成するため、本発明に係る鋳造用中子は、ソルト材料とセラミックス材料との混合材料を鋳造によって形成してなる鋳造用中子であって、前記ソルト材料を、カリウムまたはナトリウムの塩化物、臭化物、炭酸塩、硫酸塩のうちいずれか一つとし、前記セラミックス材料は、人工的に合成された密度が2.2g/cmより大きく4g/cm以下の粒状を呈するものとしたものである。
請求項2に記載した発明に係る鋳造用中子は、請求項1に記載した発明に係る鋳造用中子において、セラミックス材料を、密度が2.79g/cm〜3.15g/cmの合成ムライトとしたものである。
請求項3に記載した発明に係る鋳造用中子は、請求項1に記載した鋳造用中子において、セラミックス材料を、密度が2.93g/cmのホウ酸アルミニウムとしたものである。
請求項4に記載した発明に係る鋳造用中子は、請求項1に記載した発明に係る鋳造用中子において、前記セラミックス材料の粒径を150μm以下としたものである。
請求項5に記載した発明に係る鋳造用中子は、請求項1に記載した発明に係る鋳造用中子において、前記セラミックス材料を、合成ムライト、ホウ酸アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、チタン酸アルミニウム、コージーライトのうちいずれか一つとしたものである。
以上説明したように、本発明によれば、セラミックス材料がソルト材料中に充分に分散したソルト中子を鋳造によって形成することができる。
したがって、本発明に係る鋳造用中子は、鋳造後に水(温水や蒸気も含む)によって除去することができる特性を有しながら、鋳造によって複雑な形状に形成することができ、しかも、セラミックス材料からなる強化材によって抗折強度が予想以上に増大するようになる。このため、本発明に係る鋳造用中子は、例えば従来困難であったダイキャスト機にも使用することができるようになるばかりか、その他の鋳型に装着するときにも特に慎重に取り扱う必要はないから、鋳造の自由度を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、合成ムライトがソルト材料中に充分に分散したソルト中子を鋳造によって形成することができる。
請求項3記載の発明によれば、ホウ酸アルミニウムがソルト材料中に充分に分散したソルト中子を鋳造によって形成することができる。
請求項4記載の発明によれば、セラミックス材料がソルト材料中に充分に分散したソルト中子を鋳造によって形成することができる。
したがって、本発明に係る鋳造用中子は、鋳造後に水(温水や蒸気も含む)によって除去することができる特性を有しながら、鋳造によって複雑な形状に形成することができ、しかも、セラミックス材料からなる強化材によって抗折強度が予想以上に増大するようになる。このため、この発明に係る鋳造用中子は、例えば従来困難であったダイキャスト機にも使用することができるようになるばかりか、その他の鋳型に装着するときにも特に慎重に取り扱う必要はないから、鋳造の自由度を向上させることができる。
請求項5記載の発明によれば、粒状を呈するセラミックス材料によって充分に強化されたソルト中子を形成することができる。
したがって、この発明に係る鋳造用中子は、鋳造後に水(温水や蒸気も含む)によって除去することができる特性を有しながら、鋳造によって複雑な形状に形成することができ、しかも、粒状のセラミックス材料からなる強化材によって抗折強度が予想以上に増大するようになる。このため、この発明に係る鋳造用中子は、例えば従来困難であったダイキャスト機にも使用することができるようになるばかりか、その他の鋳型に装着するときにも特に慎重に取り扱う必要はないから、鋳造の自由度を向上させることができる。また、1種類のセラミックス材料を使用するので、ソルト中子を水で溶解させてセラミックス材料を回収し、再利用が可能となる。
図1は、本発明に係る鋳造用中子を使用して鋳造した場合のシリンダブロックを示す斜視図である。 図2は、合成ムライトの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図3は、合成ムライトの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図4は、抗折試験片を示す図である。 図5は、抗折試験片と抗折力との関係を示すグラフである。 図6は、ホウ酸アルミニウムの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図7は、窒化ケイ素の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図8は、炭化ケイ素の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図9は、窒化アルミニウムの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図10は、炭化ホウ素の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図11は、チタン酸アルミニウムとスピネルの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図12は、アルミナの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図13は、第1〜第8の実施の形態で示した全てのセラミックス材料の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図14は、第1〜第8の実施の形態で示した全てのセラミックス材料の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図15は、塩化カリウムとセラミックス材料との混合条件を示す図である。 図16は、粒状セラミックス材料の混合比と流動性の関係を示す図である。 図17は、粒状セラミックス材料の混合比と流動性の関係を示す図である。 図18は、粒状セラミックス材料の混合比と流動性の関係を示す図である。 図19は、ホウ酸アルミニウムウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図20は、窒化ケイ素ウィスカ・炭化ケイ素ウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図21は、チタン酸カリウムウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図22は、酸化亜鉛ウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図23は、第9〜第12の実施の形態で示した全てのウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。 図24は、セラミックスウィスカの混合比と流動性の関係を示す図である。 図25は、臭化カリウムまたは臭化ナトリウムとホウ酸アルミニウムウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る鋳造用中子の一実施の形態を図1ないし図5によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る鋳造用中子を使用して鋳造した場合のシリンダブロックの斜視図で、同図は一部を破断した状態で描いてある。図2および図3は合成ムライトの混合量と抗折強度との関係を示すグラフ、図4は抗折試験片を示す図、図5は抗折試験片の重量と抗折力との関係を示すグラフである。
図1において、符号1で示すものは本発明に係る鋳造用中子としてのソルト中子2を使用して鋳造されたエンジン用シリンダブロックである。このシリンダブロック1は、自動二輪車用水冷式4サイクル4気筒エンジンを形成するためのもので、ダイカスト鋳造法によって所定の形状に形成されている。この実施の形態によるシリンダブロック1は、四箇所のシリンダボア3、3…を有するシリンダボディ4と、このシリンダボディ4の下端から下方に延びる上部クランクケース5とが一体に形成されている。この上部クランクケース5は、下端部に下部クランクケース(図示せず)が取付けられ、この下部クランクケースと協働してクランク軸(図示せず)を回転自在に支持するものである。
上述したシリンダボディ4は、いわゆるクローズドデッキ型のものであり、本発明に係るソルト中子2を用いてウォータージャケット6が内部に形成されている。このウォータージャケット6は、シリンダボディ4の一側部に突設されてシリンダボア3の並設方向に延びる冷却水通路形成部7に形成された冷却水入口8と、冷却水通路形成部7の内部に形成された冷却水分配通路(図示せず)と、この冷却水分配通路に連通されるとともに全てのシリンダボア3の周囲を覆うように形成された主冷却水通路9と、この主冷却水通路9から図において上側へ延びてシリンダボディ4の上端の合わせ面4aに開口する連通路10などによって構成されている。
すなわち、このウォータージャケット6は、冷却水入口8から流入した冷却水を冷却水分配通路によってシリンダボアの周囲の主冷却水通路9に供給し、さらに、この冷却水を主冷却水通路9から連通路10を通してシリンダヘッド(図示せず)内の冷却水通路に導くように構成されている。このようにウォータージャケット6が形成されることにより、このシリンダボディ4は、シリンダヘッドが接続される上端の合わせ面4aにウォータージャケット6の連通路10が開口する他はシリンダボディ4の天井壁(合わせ面4aを形成する壁)で覆われるようになり、クローズドデッキ型の構成となる。
ウォータージャケットを形成するためのソルト中子2は、ウォータージャケット6の各部を一体に接続した形状に形成されている。図1においては、ソルト中子2の形状(ウォータージャケット6の形状)を理解し易いように、シリンダボディ4の一部を破断した状態で描いてある。
ソルト中子2は、後述するソルト材料とセラミックス材料との混合物からなる中子材料を使用してダイカスト鋳造法によってウォータージャケット6の形状となるように形成されている。この実施の形態によるソルト中子2は、図1に示すように、冷却水入口8と冷却水分配通路とを形成する通路形成部2aと、四箇所のシリンダボア3の周囲を囲む形状の環状部2bと、この環状部2bから上方へ突出する複数の凸部2cとが全て一体に形成されている。これらの凸部2cによってウォータージャケット6の連通路10が形成される。このソルト中子2は、従来からよく知られているように、鋳造時には幅木(図示せず)によって金型(図示せず)内の所定の位置に支持され、鋳造後に温水または蒸気によって溶解させて除去する。
このソルト中子2を鋳造後に除去するためには、温水が貯留された水槽(図示せず)にシリンダブロック1を浸漬させることによって行う。このようにシリンダブロック1を水槽中に浸漬させることにより、ソルト中子2における通路形成部2aと、合わせ面4aに露出する凸部2cが温水に接触して溶解し、この溶解部分が徐々に拡がって最終的に全ての部位が溶解する。この中子除去工程では、ウォータージャケット6内に残存したソルト中子2の溶解を促進するために、穴から圧力をもって温水または蒸気を吹き掛けることもできる。なお、このソルト中子2は、凸部2cが形成される部位に凸部2cの代わりに幅木を挿入することができる。
この実施の形態によるソルト中子2としては、例えばソルト材料として塩化カリウムが使用され、セラミックス材料として後述する合成ムライト〔3Al.2SiO{伊藤忠セラテック(株)製MM−325mesh混合量40wt%}〕が使用される。このソルト中子2をダイカスト鋳造法によって形成するに当たっては、先ず、ソルト材料とセラミックス材料との混合物を加熱してソルト材料を溶融させ、この溶融物をセラミックス材料が充分に分散するように攪拌することによって混合溶湯を作る。その後、この混合溶湯をソルト中子用の金型に高圧注入して凝固させ、凝固後に金型から取り出すことによって行う。
セラミックス材料である合成ムライトを選定するに当たっては、市販されている粒状(粉状)の合成ムライトの中から下記の表1に示す複数のものを選び、さらに、この中から鋳造に用いることができるものを下記の実験によって選別することによって行った。
Figure 0004516024
表1において、製品名は製造者が販売時に使用する合成ムライトを特定する表示である。試行混合量は、塩化カリウムに混合させた合成ムライトの重量の割合を示す。
表1に示す合成ムライトの中から鋳造に用いることができるものを選別する実験は、塩化カリウムと合成ムライトとの混合物を加熱して塩化カリウムを溶解させた後に充分攪拌し、溶解用容器を上下方向に逆となるように返して容器内の溶湯が流れ出るか否かで溶湯の流動性の有無を確認することによって行った。この実験により、上述したように溶解用容器を返した状態で溶湯に流動性を有するものを鋳造可能なものとして選択した。この結果を表1と図16、図17に示す。
上述した溶解用容器としては、INCONEL X−750製るつぼ、または、高アルミナ質タンマン管を使用した。また、塩化カリウムの溶解は、塩化カリウムを入れた溶解用容器を電気抵抗炉に投入し、大気中で加熱することによって行った。鋳造は、溶湯を温度が800℃の状態で約25℃の金型に注入することによって行った。鋳造後には、熱収縮により試験片が金型に固着することを防ぐために、溶湯を注入してから20秒程度経過した後に試験片を金型から取り出し、室温にて空冷によって冷却した。
この実験により、表1および図15に示すように、CeraBeads#650は、30%、40%、50%および60%で流動性が認められた。このことから、CeraBeads#650は、混合量が60%以下であれば充分流動性があり、鋳造可能と考えられたが、溶解用容器の底に沈殿することから鋳造に用いることができないことが判った。(表1、図15、図16)
CeraBeads#1700は、混合量が20%、30%、40%、50%および60%で流動性が認められた。このことから、CeraBeads#1700は、混合量が60%以下であれば充分流動性があり、鋳造可能と考えられる。
CeraBeads#1450は、混合量が40%、50%および60%で流動性が認められた。このことから、CeraBeads#1450は、混合量が60%以下であれば充分流動性があり、鋳造可能と考えられる。CeraBeads#1700と#1450のいずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した。(表1、図15、図16)
MM−325meshは、混合量が10%、20%、30%および40%で流動性が認められた。このことから、MM−325meshは、混合量が40%以下であれば充分流動性があり、鋳造可能と考えられる。また、MM−325meshは塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した。(表1、図15、図17)
MM−200meshと、MM−150meshと、MM−100meshと、SM−325meshは、混合量が20%、30%および40%で流動性が認められた。このことから、MM−200meshと、MM−150meshと、MM−100meshと、SM−325meshは、混合量が40%以下であれば充分流動性があり、鋳造可能と考えられる。またこれらのものはいずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した。(表1、図15、図17)
MM35〜100meshは、混合量が30%と40%のものしか実験を行っていないが、この混合量では流動性は認められるものの(表1、図17参照)、溶解用容器の底に沈殿してしまい(表1、図15参照)、材料として不適であることが判った。
MM−16meshは、混合量が20%、30%、40%で流動性が認められるものの、溶解用容器の底に沈殿してしまい、材料として不適であることが判った。なお、表1において、CeraBeadsは焼結品であり、MMは粉砕品である。
これらのセラミックス材料のうち、MM−16mesh以外の沈殿したものを除いてを使用して下記の表2、表3および表4に示すように混合量毎に抗折試験片を作り、抗折強度を求めたところ、図2および図3に示す結果が得られた。
Figure 0004516024
Figure 0004516024
Figure 0004516024
MM−325meshの抗折試験片は、表2に示すように、混合量0%と10%のものを5個ずつ形成し、混合量20%のものを7個、混合量30%のものを5個、混合量40%のものを8個造った。表2、表3および表4に示す抗折試験片は、図4に示すように、幅18mm、高さ20mm、長さ約120mmの断面長方形の棒状を呈するように鋳造によって形成した。この抗折試験片の鋳造は、前述の流動性の確認と同様INCONEL X−750製るつぼまたはタンマン管に塩化カリウムと合成ムライトとを入れ、炉で加熱して塩化カリウムを溶解させた後、充分攪拌させた溶湯を金型に注入することによって行った。溶湯の温度は800℃とした。
抗折強度は、抗折試験片の中央部を間隔が50mmとなる2点で支え、これらの支持点の中間部分を、間隔が10mmとなる二つの押圧点を有する押圧装置によって押圧し、抗折試験片が折れるときの荷重に基づいて下記の式によって求めた。
σ=3Pm/bh‥‥式1
この式1において、σ:抗折強度〔MPa〕、P:抗折荷重〔N〕、m=20mm、b=18mm、h=20mmである。
合成ムライト(MM−325mesh)の抗折強度は、図2に示すように、混合量に略比例して増大することが判った。なお、図2中の実線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。混合量が同一であっても抗折強度が異なるのは、試験片内に10%程度の鋳巣が形成されていることや、セラミックス材料の混合量に若干の不均一があったことが原因であった。このことを確認するために試験片の重量に対する抗折力を求めたところ、図5に示すように、これら両者も略比例関係にあることが判った。
したがって、図2から判るように、塩化カリウムに合成ムライト(MM−325mesh)を混合してなるソルト中子2は、合成ムライトの混合量が25%〜40%の範囲であれば、抗折強度が最大約14MPaとなり、ダイカスト法で使用できる抗折強度(約8MPa)を有するようになる。このような事実は、この実施の形態によるソルト中子2が、ダイカスト法を含めて従来の殆どの鋳造法に使用することができることを意味する。
この結果、このソルト中子2を用いることによって、注湯時の圧力や鋳型の形状など、鋳造の自由度を向上させることができる。なお、発明者らは現状ソルト中子より強度が高いと言われるシェル中子の現在の技術水準における抗折強度最大値が約6MPaであることから、ダイカスト鋳造法にも適用可能なソルト中子の目標抗折強度を、少なくとも8MPa以上とした。
また、図3から判るように、他の合成ムライトからなるセラミックス材料についても、MM−16meshとCeraBeads#1700とCeraBeads#1450とCeraBeads#650の他はMM−325meshと同様に高い抗折強度が得られることが判った。
このように抗折強度が高くなるようにソルト中子2を形成することができたのは、合成ムライトの密度(2.79g/cm〜3.15g/cm)は塩化カリウムの溶融状態での密度(1.57g/cm)より適度に大きく、溶融状態にある塩化カリウム中に合成ムライトの個々の粒子が略均等に分散して凝固することにより、ソルト内部の亀裂進展を抑制するからであると考えられる。このことは、沈殿するMM−16meshやCeraBeads#650においては強度が得られていないことから明らかである。
また、このソルト中子2は、主成分である塩化カリウムが温水に溶解する物質であるため、鋳造後に温水に溶かして除去することができる。すなわち、このソルト中子2を使用して形成した鋳造物を例えば温水に浸漬させることにより、ソルト中子2が除去されるから、従来のソルト中子と同様に例えばシェル中子を用いる場合に較べて中子除去工程でのコストを低減することができる。
さらに、ソルト中子2に混合されているセラミックス材料は1種類の合成ムライトのみであり、上述したようにソルト中子2を水(湯)に溶かすことにより塩化カリウムから分離する。このため、これを集めて乾燥させることによって、セラミックス材料は容易に再利用することができる。すなわち、セラミックス材料を再利用することができるから、ソルト中子2の製作コストを低減することができる。もし、セラミック材料が複数であると、ソルト中子を温水に溶かして回収しても、回収したセラミックス材料の混合割合が不安定となって管理ができず、セラミックス材料を再利用し難くなる。
(第2の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈するホウ酸アルミニウム(9Al.2B)を使用することができる。ホウ酸アルミニウムを塩化カリウムに混合することにより、図6に示すような抗折強度が得られた。
図6はホウ酸アルミニウムの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図6に示す抗折強度は、ホウ酸アルミニウムをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図6中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用したホウ酸アルミニウムは、市販されている粒状のものの中から下記の表5に示す3種類のものを選択した。
Figure 0004516024
表5に示す3種類のホウ酸アルミニウムのうち、溶湯の流動性の有無から判断して鋳造に用いることができたものは、Albolite PF03の混合量10%と15%のものと、Albolite PF08の混合量10%、15%および20%のものと、Albolite PC30の混合量10%、20%、30%および35%のものであった(表5、図16参照)。このことから、Albolite PF03は混合量が15%以下であれば、Albolite PF08は混合量が20%以下であれば、Albolite PC30は混合量が35%以下であれば、充分に流動性があり、鋳造可能と考えられる。
これらのホウ酸アルミニウムはいずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した(図15参照)。これらのホウ酸アルミニウムの密度はいずれも2.93g/cmであり、Albolite PF03の粒径は2.3μmであり、Albolite PF08の粒径は7.3μmであり、Albolite PC30の粒径は48.92μmである。
上述した粒径の異なる3種類のホウ酸アルミニウムについて、下記の表6に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このようにホウ酸アルミニウムをセラミックス材料として使用する場合には、図6に示すように、混合量を10%〜20%とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
また、図6に示すように、ホウ酸アルミニウムの抗折強度は、粒径に殆ど影響を受けることがないことが判る。
したがって、上述したようにセラミックス材料としてホウ酸アルミニウムを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第3の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈する窒化ケイ素(Si)を使用することができる。窒化ケイ素を塩化カリウムに混合することにより、図7に示すような抗折強度が得られた。
図7は窒化ケイ素の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図7に示す抗折強度は、窒化ケイ素をセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図7中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用する窒化ケイ素は、市販されている粒状のものの中から下記の表7に示す4種類のものを選択した。
Figure 0004516024
表7に示す4種類の窒化ケイ素のうち、流動性の有無から判断して鋳造に用いることができたものは、表7、図17に示す通りNP−600の混合量20%および25%のものと、SN−7の20%、30%および40%のものと、SN−9の20%、30%、35%および40%のものと、HM−5MFの10%、20%、25%のものであった。このことから、NP−600は混合量が25%以下であれば、SN−7は混合量が40%以下であれば、SN−9は混合量が40%以下であれば、HM−5MFは混合量が25%以下であれば、鋳造可能と考えられる。
これら4種類のセラミック材料は、いずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した(図15参照)。
NP−600、SN−7およびSN−9の密度は3.18g/cmで、HM−5MFの密度は3.19g/cmである。これら4種類の窒化ケイ素は、粒径が互いに異なるものである。
上述した4種類の窒化ケイ素について、下記の表8に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように窒化ケイ素をセラミックス材料として使用する場合には、図7に示すように、混合量を20%以上とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
また、図7に示すように、窒化ケイ素の抗折強度は、粒径に殆ど影響を受けることがないことが判る。
したがって、上述したようにセラミックス材料として窒化ケイ素を使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第4の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈する炭化ケイ素(SiC)を使用することができる。炭化ケイ素を塩化カリウムに混合することにより、図8に示すような抗折強度が得られた。
図8は炭化ケイ素の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図8に示す抗折強度は、炭化ケイ素をセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図8中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用する炭化ケイ素は、市販されている粒状のものの中から下記の表9に示す3種類のものを選択した。
Figure 0004516024
表9に示す3種類の炭化ケイ素は、溶湯の流動性から判断して混合量10%、20%、30%、40%および45%のものが鋳造に用いることができることが判った(図18参照)。このことから、3種類の炭化ケイ素は、混合量がいずれも45%以下であれば鋳造可能と考えられる。
これらの炭化ケイ素は、いずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した(図15参照)。これらの炭化ケイ素は、密度はいずれも3.23g/cmであり、粒径が互いに異なるものである。
上述した3種類の炭化ケイ素について、下記の表10に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように炭化ケイ素をセラミックス材料として使用する場合には、図8に示すように、混合量を25%〜30%以上とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
また、図8に示すように、炭化ケイ素の抗折強度は、粒径に殆ど影響を受けることがないことが判る。
したがって、上述したようにセラミックス材料として炭化ケイ素を使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第5の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈する窒化アルミニウム(AlN)を使用することができる。窒化アルミニウムを塩化カリウムに混合することにより、図9に示すような抗折強度が得られた。
図9は窒化アルミニウムの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図9に示す抗折強度は、窒化アルミニウムをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図9中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用する窒化アルミニウムは、市販されている粒状のものの中から下記の表11に示す2種類のものを選択した。
Figure 0004516024
表11に示す2種類の窒化アルミニウムは、流動性の点から混合量20%、30%、40%のものが鋳造に用いることができることが判った(表11、図18参照)。このことから、2種類の窒化アルミニウムはいずれも混合量が40%であれば鋳造可能と考えられる。
これらの窒化アルミニウムは、いずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した(図15参照)。これらの窒化アルミニウムは、密度はいずれも3.25g/cmであり、粒径が互いに異なるものである。
上述した2種類の窒化アルミニウムについて、下記の表12に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように窒化アルミニウムをセラミックス材料として使用する場合には、図9に示すように、混合量を15%以上とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
また、図9に示すように、窒化アルミニウムの抗折強度は、粒径に殆ど影響を受けることがないことが判る。
したがって、上述したようにセラミックス材料として窒化アルミニウムを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第6の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈する炭化ホウ素(BC)を使用することができる。炭化ホウ素を塩化カリウムに混合することにより、図10に示すような抗折強度が得られた。
図10は炭化ホウ素の混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図10に示す抗折強度は、炭化ホウ素をセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図10中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用する炭化ホウ素は、市販されている粒状のものの中から下記の表13に示す3種類のものを選択した。
Figure 0004516024
表13に示す3種類の炭化ホウ素のうち、流動性の点から鋳造に用いることができたものは、#1200の混合量20%、30%、33.75%のものと、S1とS3の混合量20%、30%および40%のものであった(表13、図16参照)。このことから、#1200は混合量が33.75%以下であれば、S1とS3は混合量が40%以下であれば、鋳造可能と考えられる。これら3種類の炭化ホウ素のうち、S3は塩化カリウムの溶湯中に沈殿するが、他の#1200とS1は分散することも確認した(図15参照)。また、これらの炭化ホウ素は、密度が2.51g/cmであり、粒径が互いに異なるものである。
上述した3種類の炭化ホウ素について、下記の表14に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように炭化ホウ素をセラミックス材料として使用する場合には、図10に示すように、試料名#1200と試料名S1とにおいて混合量を20%以上とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。また、図10に示すように、分散してしまうS3は強度が得られないことも判る。
したがって、上述したようにセラミックス材料として炭化ホウ素を使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第7の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈するチタン酸アルミニウム(AlTiO)や、スピネル(コージーライト:MgO.Al)を使用することができる。これらのセラミックス材料を塩化カリウムに混合することにより、図11に示すような抗折強度が得られた。
図11はチタン酸アルミニウムとスピネルの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図11に示す抗折強度は、チタン酸アルミニウムとスピネルとをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図11中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用するチタン酸アルミニウムとスピネルは、市販されている粒状のものの中から下記の表15に示すものを選択した。
Figure 0004516024
表15に示すチタン酸アルミニウムは、流動性の点から混合量10%、20%、30%および40%のものが鋳造に用いることができ、スピネルは、流動性の点から混合量20%、30%、40%のものが鋳造に用いることができることが判った(表15、図18参照)。このことから、チタン酸アルミニウムとスピネルは、いずれも混合量40%以下であれば鋳造可能と考えられる。また、これら両セラミックス材料とも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した(図15参照)。
チタン酸アルミニウムは密度が3.7g/cm,粒径が1μmであり,スピネルの密度は3.27g/cm,粒径が75μmである。
上述したセラミックス材料について、下記の表16に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このようにチタン酸アルミニウムとスピネルをセラミックス材料として使用する場合には、図11に示すように、混合量を20%以上とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
したがって、上述したようにセラミックス材料としてチタン酸アルミニウムまたはスピネルを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第8の実施の形態)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料として粒状を呈するアルミナ(Al)を使用することができる。アルミナを塩化カリウムに混合することにより、図12に示すような抗折強度が得られた。
図12はアルミナの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図12に示す抗折強度は、アルミナをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図12中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。
実験を行うに当たって使用するアルミナは、市販されている粒状のものの中から下記の表17に示すものを選択した。
Figure 0004516024
表17に示すアルミナは、流動性の点から混合量20%、30%、35%(AL−45−1)のものが鋳造に用いることができることが判った(図18参照)。このことから、AL−45−1は混合量35%以下であれば、その他のものは混合量30%以下であれば、鋳造可能と考えられる。
これらのアルミナは、いずれも塩化カリウムの溶湯中に分散することも確認した(図15参照)。また、これらのアルミナは、密度は約4g/cmであり、粒径は0.6μmのもの(AL−160SG)と、1μmのもの(AL−45−1)と、3〜4μmのもの(A−42−1)と、40〜50μmのもの(A−12)とである。
上述したアルミナについて、下記の表18に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このようにアルミナをセラミックス材料として使用する場合には、図12に示すように、混合量を20%以上とすることによって、抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
したがって、上述したようにセラミックス材料としてアルミナを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
上述した第1〜第8の実施の形態で示した全てのセラミックス材料の混合量と抗折強度との関係を図13と図14に示す。これらの図から判るように、上述したセラミックス材料のうち、抗折強度が最も高いソルト中子を形成することができるものは窒化アルミニウムであった。
また、上述したセラミックス材料のうち、材料単価が最も安価なものは合成ムライトであり、材料量(混合量)が最も少なくてよいものはホウ酸アルミニウムである。すなわち、合成ムライトまたはホウ酸アルミニウムを使用することにより、製造コストを低く抑えながら高い強度を有するソルト中子を製造することができる。
第1〜第8の実施の形態で示したセラミックス材料を用いることにより鋳造性に優れ強度の高いソルト中子を形成することができたのは、下記の理由によると考えられる。これは、これらのセラミックス材料を塩化カリウムに混合させてなる溶湯に流動性があり、これらのセラミックス材料の密度が溶融状態での塩化カリウムの密度(1.57g/cm)より適度に大きい値であり、これらのセラミックス材料が溶融状態の塩化カリウム中に広くかつ均等に分散して、ソルト内部の亀裂進展を抑制することができたからであると考えられる。
すなわち、「流動性」があるので鋳造が可能となり、「分散」しているので充分な強度が得られたものである。このうち「流動性」に影響するのは主にセラミックス材料の混合量(wt%)で、「分散」には密度が影響するということである。このため、第1〜第8の実施の形態で示したものとは別のセラミックス材料であったとしても、密度が上述した各セラミックス材料に近似するものであり、流動性を有する溶湯が形成されるものであれば、上述した実施の形態で示したものと同等の強度を有するソルト中子を形成することができると考えられる。
セラミックス材料が溶融状態のソルト材料中によく分散するか調査するために、塩化カリウムとセラミックス材料との混合条件について発明者らが行った実験によれば、図15に示すように、溶融した塩化カリウム中に分散するセラミックス材料は、密度の最小値が2.28g/cm(窒化ホウ素)より大きく最大値が4g/cm(アルミナ)であり、粒径の最大値が約150μmであることが判った。
これは、分散には溶湯の凝固時間とセラミックス材料の沈殿速度が密接に関連しているからである。沈殿速度の理論式は、
V=g(ρc−ρs)d/18μ‥‥式2
である。ここでVは沈殿速度〔m/s〕、gは重力加速度9.80〔m/s〕、ρcはセラミックス材料の密度〔g/cm〕、ρsは溶融状態のソルト材料の密度〔g/cm〕、dはセラミック材料の粒径〔m〕、μはソルト材料の粘性係数〔Pa・s〕である。
式2によれば、沈殿速度Vは、セラミックス材料と溶融状態のソルト材料の密度差の1乗に比例し、粒径の2乗に比例する。このことから、粒径については、150μmより大きいと沈殿速度が非常に速くなりセラミックス材料をよく分散させることができないと考えられる。一方、セラミックス材料の密度に関しては、沈殿速度に対する影響量が粒径の影響に較べて小さいので、今回実験を行っていない4g/cmより大きいセラミックス材料であってもよく分散させることは可能と推測できる。
また、各セラミックス材料の混合量と流動性の関係は、図16〜図18に示すようになることが判った。図16〜図18は、セラミックス材料と塩化カリウムとをタンマン管に入れて800℃で溶解した後、充分に攪拌し、タンマン管を下方に向けて返す実験によって求めた。この実験で溶湯がタンマン管から流れ出るものを「流動性あり」とし、そうでないものを「流動性なし」とした。
したがって、密度が2.2g/cm(=窒化ホウ素の密度)より大きく4g/cm以下または/かつ粒径が約150μm以下で粒状に形成されて塩化カリウム溶湯中に充分に分散するセラミックス材料であれば、ダイカスト法にも使うことができるような強度を有するソルト中子を形成することができる。
(第1の参考例)
本発明に係るソルト中子は、セラミックス材料としてホウ酸アルミニウムウィスカ(9Al23.2B23)、窒化ケイ素ウィスカ(Si34)、炭化ケイ素ウィスカ(SiC)、6チタン酸カリウムウィスカ(K2O.6TiO2)、8チタン酸カリウムウィスカ(K2O.8TiO2)および酸化亜鉛ウィスカ(ZnO)を使用することができる。
これらのセラミックウィスカとしては、下記の表19に示すものがある。
Figure 0004516024
表19に示すように、ホウ酸アルミニウムウィスカ(製品名Albolex M20)は、流動性の点から混合量10%、15%および18.67%のものが鋳造に用いることができることが判った(図24参照)。このことから、ホウ酸アルミニウムウィスカは、混合量が18.67%以下であれば鋳造可能と考えられる。
窒化ケイ素ウィスカ(製品名SNW #1−S)と、炭化ケイ素ウィスカ(製品名SCW# 1−0.8)と、6チタン酸カリウムウィスカ(製品名Tismo N)と、8チタン酸カリウムウィスカ(製品名Tismo D)は、混合量5%と7%のものが鋳造に用いることができることが判った(図24参照)。このことから、これらのウィスカは、混合量が7%以下であれば鋳造可能と考えられる。
酸化亜鉛ウィスカ(製品名WZ−0501)は、混合量5%、10%および15%のものが鋳造に用いることができることが判った(図24参照)。このことから、酸化亜鉛ウィスカは、混合量が15%以下であれば鋳造可能と考えられる。
これらのウィスカのうち、ホウ酸アルミニウムウィスカを塩化カリウムに混合することにより、図19に示すような抗折強度が得られた。
図19はホウ酸アルミニウムウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図19に示す抗折強度は、ホウ酸アルミニウムウィスカをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図19中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。この実験を行うに当たっては、下記の表20に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このようにホウ酸アルミニウムウィスカをセラミックス材料として使用する場合には、図19に示すように、混合量が5%以上であれば抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。また、混合量が18%であれば、35MPaもの抗折強度を示すことが判った。
したがって、上述したようにセラミックス材料としてホウ酸アルミニウムウィスカを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第2の参考例)
窒化ケイ素ウィスカまたは炭化ケイ素ウィスカを塩化カリウムに混合することにより、図20に示すような抗折強度が得られた。
図20は窒化ケイ素ウィスカの混合量および炭化ケイ素ウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図20に示す抗折強度は、窒化ケイ素ウィスカまたは炭化ケイ素ウィスカをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図20中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。この実験を行うに当たっては、下記の表21に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように窒化ケイ素ウィスカまたは炭化ケイ素ウィスカをセラミックス材料として使用する場合には、図20に示すように、混合量が7%であれば抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
したがって、上述したようにセラミックス材料として窒化ケイ素ウィスカまたは炭化ケイ素ウィスカを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第3の参考例)
6チタン酸カリウムウィスカまたは8チタン酸カリウムウィスカを塩化カリウムに混合することにより、図21に示すような抗折強度が得られた。
図21は6チタン酸カリウムウィスカの混合量および8チタン酸カリウムウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図21に示す抗折強度は、6チタン酸カリウムウィスカまたは8チタン酸カリウムウィスカをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図21中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。この実験を行うに当たっては、下記の表22に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように6チタン酸カリウムウィスカまたは8チタン酸カリウムウィスカをセラミックス材料として使用する場合には、図21に示すように、混合量が7%であれば抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。
したがって、上述したようにセラミックス材料として6チタン酸カリウムウィスカまたは8チタン酸カリウムウィスカを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
(第4の参考例)
酸化亜鉛ウィスカを塩化カリウムに混合することにより、図22に示すような抗折強度が得られた。
図22は酸化亜鉛ウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。図22に示す抗折強度は、酸化亜鉛ウィスカをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図22中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。この実験を行うに当たっては、下記の表23に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。
Figure 0004516024
このように酸化亜鉛ウィスカをセラミックス材料として使用する場合には、図22に示すように、混合量を15%とすることによって、抗折強度の高いソルト中子を形成することができる。
したがって、上述したようにセラミックス材料として酸化亜鉛ウィスカを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
上述した第1〜第4の参考例で示した全てのウィスカの混合量と抗折強度との関係を図23に示す。図23から判るように、上述したウィスカのうち、抗折強度が最も高いソルト中子を形成することができるものはホウ酸アルミニウムウィスカであった。
また、各セラミックスウィスカの混合量と流動性の関係は、図24に示すようになることが判った。図24は、セラミックスウィスカと塩化カリウムとをタンマン管に入れて800℃で溶解した後、充分に攪拌し、タンマン管を下方に向けて返す実験によって求めた。この実験で溶湯がタンマン管から流れ出るものを「流動性あり」とし、そうでないものを「流動性なし」とした。
上述した各実施の形態においては、ソルト材料として塩化カリウムを使用する例を示したが、ソルト材料は、塩化カリウムの他に、ナトリウム塩化物、カリウムまたはナトリウムの臭化物、炭酸塩、硫酸塩のうちいずれか一つを使用することができる。ナトリウム塩化物としては、塩化ナトリウム(NaCl)を使用することができる。カリウムまたはナトリウムの臭化物としては、臭化カリウム(KBr)または臭化ナトリウム(NaBr)を使用することができる。炭酸塩としては炭酸ナトリウム(NaCO)と炭酸カリウム(KCO)とを使用することができる。硫酸塩としては硫酸カリウム(KSO)を使用することができる。
(第5の参考例)
ソルト材料として臭化カリウムまたは臭化ナトリウムを使用し、これらのソルト材料にホウ酸アルミニウムウィスカを混合することにより、図25に示すような抗折強度が得られた。
図25は臭化カリウムまたは臭化ナトリウムとホウ酸アルミニウムウィスカの混合量と抗折強度との関係を示すグラフである。同図中には、異なるソルト材料にホウ酸アルミニウムウィスカを混合させた場合の抗折強度も記載した。この異なるソルト材料としては、塩化カリウムと塩化ナトリウムとを使用した。また、図25中には、各ソルト材料の固体状態での密度ρを記載した。臭化カリウムの固体状態での密度ρは2.75g/cm3 であり、臭化ナトリウムの固体状態の密度ρは3.21g/cm3 であり、塩化カリウムの固体状態での密度ρは1.98g/cm3 であり、塩化ナトリウムの固体状態での密度ρは2.17g/cm3 である。
図25に示す抗折強度は、ホウ酸アルミニウムウィスカをセラミックス材料として第1の実施の形態で示した実験を行うことによって求めたものである。なお、図25中の線は、最小自乗法を用いて描いた近似曲線である。この実験を行うに当たっては、下記の表24〜表27に示すように混合量毎に抗折試験片を作成し、抗折強度を求めた。下記の表24は臭化カリウムにホウ酸アルミニウムを混合させた場合の抗折強度を示し、表25は臭化ナトリウムにホウ酸アルミニウムを混合させた場合の抗折強度を示す。
表26は塩化カリウムにホウ酸アルミニウムを混合させた場合の抗折強度を示す。表26は、表20に記載したものにホウ酸アルミニウムウィスカの混合量が0の場合と、ホウ酸アルミニウムウィスカの混合量が3wt%の場合との二つの実験結果を追加したものである。表27は塩化ナトリウムにホウ酸アルミニウムを混合させた場合の抗折強度を示す。
この参考例で使用したホウ酸アルミニウムウィスカは、第1の参考例(図19、表19参照)で説明したものと同一のものである。
Figure 0004516024
Figure 0004516024
Figure 0004516024
Figure 0004516024
このように臭化カリウムまたは臭化ナトリウムにホウ酸アルミニウムウィスカを混合させる場合には、図25に示すように、混合量が3wt%以上であれば抗折強度が8MPaより大きくなることが判った。また、図25においては、塩化ナトリウムにホウ酸アルミニウムウィスカを混合させることによって、抗折強度の高いソルト中子を形成することができることが分かる。
したがって、上述したようにソルト材料として臭化カリウムまたは臭化ナトリウムを使用しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏するといえる。
また、ソルト材料は、上述したように単一の塩化物、臭化物または塩を使用する他に、カリウム塩化物またはナトリウム塩化物と、カリウムまたはナトリウムの炭酸塩あるいは硫酸塩との混合塩を使用することができる。例えば、塩化カリウムと炭酸ナトリウムとの混合塩や、塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムとの混合塩や、塩化ナトリウムと炭酸カリウムとの混合塩や、塩化カリウムと硫酸カリウムとの混合塩を使用することができる。
このようにソルト材料を混合塩とすることにより、従来からよく知られているように融点の低いソルト中子を形成することができる。このため、ソルト中子を鋳造するときの温度を低くすることができ、その分、鋳造装置の消費電力を低減できるようになり、ソルト中子を製造するためのコストを低減することができる。また、上記のような4種類の混合塩によって形成されたソルト中子は、鋳造した中子の表面にしわが発生し難くなることも判った。
本発明に係る鋳造用中子は、ダイカスト鋳造金型に用いて有用である。

Claims (5)

  1. ソルト材料とセラミックス材料との混合材料を鋳造によって形成してなる鋳造用中子であって、前記ソルト材料は、カリウムまたはナトリウムの塩化物、臭化物、炭酸塩、硫酸塩のうちいずれか一つのものであり、前記セラミックス材料は、人工的に合成された密度が2.2g/cm3より大きく4g/cm3以下の粒状を呈するものである鋳造用中子。
  2. 請求項1記載の鋳造用中子において、セラミックス材料は、密度が2.79g/cm3〜3.15g/cm3の合成ムライトである鋳造用中子。
  3. 請求項1記載の鋳造用中子において、セラミックス材料は、密度が2.93g/cm3のホウ酸アルミニウムである鋳造用中子。
  4. 請求項1記載の鋳造用中子において、前記セラミックス材料の粒径は150μm以下である鋳造用中子。
  5. 請求項1記載の鋳造用中子において、前記セラミックス材料は、合成ムライト、ホウ酸アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、チタン酸アルミニウム、コージーライトのうちいずれか一つである鋳造用中子。
JP2005514063A 2003-09-17 2004-09-17 鋳造用中子 Expired - Fee Related JP4516024B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003324778 2003-09-17
JP2003324778 2003-09-17
PCT/JP2004/013669 WO2005028142A1 (ja) 2003-09-17 2004-09-17 鋳造用中子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2005028142A1 JPWO2005028142A1 (ja) 2007-11-15
JP4516024B2 true JP4516024B2 (ja) 2010-08-04

Family

ID=34372754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005514063A Expired - Fee Related JP4516024B2 (ja) 2003-09-17 2004-09-17 鋳造用中子

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20060185815A1 (ja)
EP (2) EP2316592A1 (ja)
JP (1) JP4516024B2 (ja)
AT (1) ATE496713T1 (ja)
DE (1) DE602004031244D1 (ja)
WO (1) WO2005028142A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090288797A1 (en) * 2006-05-19 2009-11-26 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Expendable salt core for casting
WO2009136650A1 (ja) * 2008-05-09 2009-11-12 ヤマハ発動機株式会社 鋳造用塩中子の製造方法
ITMI20120950A1 (it) 2012-06-01 2013-12-02 Flavio Mancini Metodo e impianto per ottenere getti pressofusi in leghe leggere con anime non metalliche
US9856818B2 (en) * 2012-11-27 2018-01-02 Cummins Inc. Stabilized engine casting core assembly, method for making an engine body, and engine body formed thereby
KR102478505B1 (ko) 2016-12-23 2022-12-15 현대자동차주식회사 알루미늄 주조용 솔트코어 및 이의 제조방법
RU2731996C1 (ru) * 2020-02-03 2020-09-09 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рыбинский государственный авиационный технический университет имени П.А. Соловьева" Добавка для растворения стержней в скрытых полостях отливок

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4839696B1 (ja) * 1969-12-27 1973-11-26
JPS5150218A (ja) * 1974-10-29 1976-05-01 Kobe Steel Ltd Suiyoseinakago
JPS5210803B1 (ja) * 1968-01-20 1977-03-26
JPH04276273A (ja) * 1991-02-28 1992-10-01 Ee M Technol:Kk ゴルフクラブヘッドの一体成形方法

Family Cites Families (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3073770A (en) * 1961-04-24 1963-01-15 Bell Telephone Labor Inc Mullite synthesis
GB1055737A (en) * 1964-03-25 1967-01-18 Wellworthy Ltd Improvements in casting processes
GB1111225A (en) * 1965-07-26 1968-04-24 Wellworthy Ltd Improvements in casting processes
GB1179241A (en) * 1966-07-15 1970-01-28 Unilever Ltd Soluble Cores.
JPS4817570B1 (ja) 1969-05-09 1973-05-30
JPS4915140B1 (ja) * 1969-10-02 1974-04-12
JPS4839696A (ja) 1971-09-27 1973-06-11
US3963818A (en) 1971-10-29 1976-06-15 Toyo Kogyo Co., Ltd. Water soluble core for pressure die casting and process for making the same
JPS5121863B2 (ja) 1972-06-05 1976-07-06
JPS4946450A (ja) 1972-09-06 1974-05-04
JPS5215446B2 (ja) 1974-04-19 1977-04-30
DE2917208A1 (de) 1979-04-27 1980-12-04 Alcan Aluminiumwerke Giesskern zur erzeugung schwer zugaenglicher hohlraeume in gusstuecken, sowie verfahren zu dessen herstellung
US4446906A (en) 1980-11-13 1984-05-08 Ford Motor Company Method of making a cast aluminum based engine block
EP0138985A4 (en) * 1983-03-28 1987-11-23 Park Chem Co PRINTING PRESS METHOD WITH THE USE OF SALT CORE AND COMPOSITION FOR THE PRODUCTION THEREOF.
GB8314089D0 (en) * 1983-05-20 1983-06-29 Doulton Ind Products Ltd Moulding
GB8409044D0 (en) * 1984-04-07 1984-05-16 Gkn Technology Ltd Casting metal articles
US4840219A (en) 1988-03-28 1989-06-20 Foreman Robert W Mixture and method for preparing casting cores and cores prepared thereby
US5165464A (en) 1991-09-27 1992-11-24 Brunswick Corporation Method of casting hypereutectic aluminum-silicon alloys using a salt core
US5303761A (en) 1993-03-05 1994-04-19 Puget Corporation Die casting using casting salt cores
EP0687538B1 (en) * 1994-01-06 2002-03-27 Otsuka Kagaku Kabushiki Kaisha Resin composition for a mold, mold and molding method using the same mold
US5803151A (en) * 1996-07-01 1998-09-08 Alyn Corporation Soluble core method of manufacturing metal cast products
KR20000006623A (ko) * 1999-07-06 2000-02-07 이인호 고압주조용붕괴성코어의제조방법과코어및그코어의추출방법

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5210803B1 (ja) * 1968-01-20 1977-03-26
JPS4839696B1 (ja) * 1969-12-27 1973-11-26
JPS5150218A (ja) * 1974-10-29 1976-05-01 Kobe Steel Ltd Suiyoseinakago
JPH04276273A (ja) * 1991-02-28 1992-10-01 Ee M Technol:Kk ゴルフクラブヘッドの一体成形方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP1674173A4 (en) 2006-12-20
EP1674173B1 (en) 2011-01-26
WO2005028142A1 (ja) 2005-03-31
EP2316592A1 (en) 2011-05-04
ATE496713T1 (de) 2011-02-15
US20060185815A1 (en) 2006-08-24
JPWO2005028142A1 (ja) 2007-11-15
DE602004031244D1 (de) 2011-03-10
EP1674173A1 (en) 2006-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060185815A1 (en) Expandable core for use in casting
KR20090048492A (ko) 라이너가 없는 실린더를 갖는 엔진 블록을 주조하기 위한 내마모성 알루미늄 합금
WO2001002112A1 (en) Disintegrative core for high pressure casting, method for manufacturing the same, and method for extracting the same
PL178048B1 (pl) Pokrycie ochronne na formy odlewnicze
CN1082466A (zh) 铸铁件树脂砂型(芯)用水基涂料
JP2009507093A (ja) 硼珪酸ガラスを含んだ成形材料混合物
KR100629998B1 (ko) 강화재가 제공된 세라믹 쉘 금형 및 그의 제조 방법
Liu et al. Comparative study on performance and microstructure of composite water-soluble salt core material for manufacturing hollow zinc alloy castings
Sinha et al. Influence of mold material on the mold stability for foundry use
Gawronová et al. Evaluation of additive manufacturing of sand cores in terms of the resulting surface roughness
JP4776953B2 (ja) 鋳物の製造方法
JP2000119070A (ja) キャスタブル耐火物およびそれを用いた耐火煉瓦
JP4209286B2 (ja) 高強度水溶性中子、及びその製造方法
US4605057A (en) Process for producing core for casting
Reddy Development of Alumina Investment Shell Molds to Cast 7075 Al-Alloy
Mondal et al. Net-shape manufacturing of intricate components of A356/SiCp composite through rapid-prototyping-integrated investment casting
Reddy Impact of Boron Coated Investment Shell Moulds on Surface Modification of Hypoeutectic Al-Si Alloys
Reddy Structure and Morphology of Recycled Iron-Rich Al-Si Alloys Cast in Thin-Walled Investment Shell Moulds
JP6865424B1 (ja) 溶融風砕法人工砂及びその製造方法
JP7130903B2 (ja) 低融点非鉄金属用耐火材
WO2001045876A1 (en) Crack resistant shell mold and method
Reddy Microstructure and Mechanical Properties of AA2219 Alloy Turbine Impeller Manufactured by Investment Casting
Reddy Counter-Gravity Casting of IN625 Alloy in Thin-walled Investment Shell Moulds
JP4923265B2 (ja) 新規組成物からなる成形用型
MEKANIKAL PENGESAHAN PENYEDIAAN SALINAN E-THESIS

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100511

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100513

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees