JP4514335B2 - ガスタービンおよびタービン段の冷却方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明はガスタービンおよび冷却空気を用いたガスタービンのタービン段の冷却方法に関する。
【0002】
ガスタービン設備は通常電気エネルギを発生するために使用される。燃料の含有エネルギは発電機あるいは作動機械を駆動するタービン軸の回転運動を発生するために利用される。ガスタービン設備の運転中において通常、大気が吸い込まれ、ガスタービンに付設された空気圧縮機で高圧に圧縮される。その圧縮空気の大部分は1つあるいは複数の燃焼室に送られ、そこで燃料(例えば燃料ガス)と混合される。
【0003】
ガス・空気混合気は燃焼され、その際に生じた高温燃焼ガスは仕事をしながら膨張してタービン軸を駆動する。そのためにガスタービンは多数のタービン翼を有している。それらのタービン翼は固定の静翼およびロータと共に回転する動翼の形で複数のタービン段に配置されている。ガスタービンにおいて発生したタービン軸の回転運動によって、通常発電機に加えてガスタービン設備の空気圧縮機も駆動される。
【0004】
ガスタービンの出力容量を高めるためおよびこれによってガスタービン設備のできるだけ高い効率を得るために、ガスタービンに流入する際の燃焼ガスの温度は特に例えば1000〜1300℃の高温にされるように努められる。もっともこの温度の上限はタービン翼の熱負荷容量から生ずる。
【0005】
ガスタービンの損傷が確実に防止されるようにタービン翼が冷却されると、燃焼ガスの温度の上昇が許される。タービン翼を冷却するために通常、空気圧縮機において空気流の一部が取り出され、種々のタービン段に冷却空気として導入される。しかしこのために、ガスタービンに燃焼用として供給できる空気量が減少する。
【0006】
本発明の課題は、タービン段を冷却するために供給される冷却空気量が僅かな技術的労力で少なくされるようなガスタービンを提供することにある。更にガスタービンのタービン段の冷却方法を提供することにある。
【0007】
ガスタービンに関する課題は本発明によれば高温ガス通路内に配設された静翼を含む複数のタービン段と、空気圧縮機と、前記タービン段を冷却するために前記複数のタービン段に対応して設けられ、冷却空気出口を有する冷却空気の複数の導入管とを備え、前記冷却空気は、前記空気圧縮機の圧力レベルの異なる複数箇所から、前記複数の導入管の冷却空気出口を介して前記静翼に導入され、前記タービン段冷却後、前記高温ガス通路に排出され、前記導入管前記冷却空気出口における冷却空気の予設定可能な圧力の第1の調整手段を有しているガスタービンであって、前記冷却空気の圧力を計測し制御装置に計測値を入力すべく接続されたセンサが、前記複数の導入管の各冷却空気出口に設置され、前記冷却空気出口における冷却空気の圧力が、前記制御装置により前記第1の調整手段を介して、各タービン段の冷却空気量が冷却目的を満足するのに必要十分であるような大きさに制限すべく所定の圧力に調整されることによって解決される。
【0008】
本発明は、ガスタービン設備の空気圧縮機における圧縮空気の圧力形成が直線的ではなく段階的に行われるという考えから出発している。段階的な圧力形成は、大気温度、前置バッフル板位置および圧力比のような種々のパラメータに関係する。これらのパラメータによって、空気圧縮機の運転中、空気圧縮機の所定の個所にかかっている圧力も変化する。空気圧縮機の所定の個所におけるこの圧力値の変動はさほど大きくはないが、その都度の圧力値を空気圧縮機出口端における圧力値で標準化するときにも存在する。ここで標準化とは、空気圧縮機の所定の個所におけるその都度の圧力値と空気圧縮機出口端における圧力値との商を形成することを意味する。冷却空気系は空気圧縮機の所定の個所における特に低い標準抽出圧力に対して設計する必要がある。これは標準抽出圧力が増大すると必然的に必要量以上に冷却空気量を増大させてしまう。この作用は、冷たい冷却空気がガスタービンで膨張して仕事をする作動媒体の温度を低下させるので、ガスタービンの効率に大きく不利に影響する。
【0009】
冷却空気の圧力変動が特に確実に防止されることによって、過剰冷却空気が防止される。その場合、ガスタービンの種々の運転状態に関して、冷却空気の圧力を調整できる方がよいが、そのために必要な技術的労力を特に僅かにしなければならない。これは本発明によれば、冷却空気がタービン段に静翼を通して導入され、冷却空気出口における冷却空気の予設定可能な圧力が調整できることによって解決される。
【0010】
タービン段の動翼に冷却空気が静翼を通して導入されると有利である。即ち動翼の大きな遠心力負荷のために、動翼における冷却空気の予設定可能な目標圧力値を調整する手段を構成することは技術的に難点がある。この難点は、冷却空気が静翼を通して動翼に所定の圧力で導入される場合には生じない。
【0011】
冷却空気の導入管は好適には、冷却空気出口における圧力調整手段として絞り要素(特に絞りフラッパ弁)を有している。冷却空気の周知の流れ状態において、冷却空気出口における予設定可能な圧力は、その絞り要素(特に絞りフラッパ)によって構造的に特に簡単に調整できる。
【0012】
ガスタービンの種々の運転状態に関して、冷却空気の導入管の圧力調整手段を制御する制御装置を備えていると有利である。この制御装置は例えば測定線を介して冷却空気出口における圧力を測定し、予設定可能な圧力に応じて絞り要素を制御し、そして導入される冷却空気量を調整する。
【0013】
静翼の下流における冷却空気の流速および流れ方向の調整手段を備えていると有利である。このようにして、動翼及び/又はタービン軸に流入する際の冷却空気の流速および流れ方向は、冷却空気が動翼及び/又はタービン軸の局所的な周速と方向を有するように設計される。これによって冷却空気の損失および必要な冷却空気量が特に少なくされる。更に冷却空気の加速はそれを冷却させるので、動翼の十分な冷却が特に確実に保証される。本発明の他の実施態様において、この調整手段は旋回ノズルを含んでいる。
【0014】
冷却空気導入管の冷却空気出口が開口しているタービン段は好適には、最初のタービン段(高圧段)と最終段(低圧段)との間に配置されているタービン段である。そのようなタービン段はつまり通常ガスタービン設備の空気圧縮機の抽出個所から出発してタービン軸を通して冷却空気を供給される。冷却空気を静翼を通して中央タービン段へ供給すると、タービン軸を通して中央タービン段の動翼へ供給する冷却空気の大きな圧力損失を伴う独立した供給を省くことができる。
【0015】
冷却空気を用いたガスタービンのタービン段の冷却方法に関する上述の課題は、本発明によれば、冷却空気を用いたガスタービンの複数のタービン段の冷却方法であって、高温ガス通路内に配設された各タービン段の静翼に冷却空気が、前記複数のタービン段に対応して設けられた複数の導入管における冷却空気出口を介して導入され、前記タービン段冷却後、前記高温ガス通路に排出され、前記各冷却空気出口における冷却空気の予設定可能な圧力が調整されるガスタービンのタービン段の冷却方法において、前記各冷却空気出口の圧力が測定され、かつ制御装置により、各タービン段の冷却空気量が冷却目的を満足するのに必要十分であるような大きさに制限すべく所定の圧力に調整されることによって解決される。その有利な実施態様において、タービン段の動翼に冷却空気が静翼を通して導入される。その場合、静翼の後ろの出口側(下流)における冷却空気の流速および流れ方向が調整されると有利である。
【0016】
本発明によって得られる利点は特に、冷却空気出口における予設定可能な圧力の調整によって、冷却空気の圧力変動が確実に防止され、必要な冷却空気量が特に少なくなるという点にある。これによって冷却空気系はガスタービンの要求に対する抽出圧力と無関係に設計できる。更に冷却空気の圧力損失は、冷却空気が特に短い経路を通して静翼から動翼に到達するので特に小さくなる。更にまたガスタービンの効率は必要な冷却空気量が少量であることによって増大する。冷却系が閉鎖系統として形成されている場合、即ち冷却空気がガスタービンの作動媒体と混合されない場合、ガスタービンの効率は一層向上する。
【0017】
以下において図に示した実施例を参照して本発明を詳細に説明する。各図において同一部分には同一符号が付されている。
【0018】
図1に概略的に示されているガスタービン設備2は、空気圧縮機6が連結されているガスタービン4を有している。空気圧縮機6は入口側が空気吸込み管8に接続されている。ガスタービン4には配管10を介して作動媒体AMを供給するために燃焼室12が前置接続されている。この燃焼室12は空気圧縮機6の主空気管14に接続されている。ガスタービン4の燃焼室12には燃料Bを供給する燃料管16が開口している。ガスタービン4および空気圧縮機6並びに発電機18は共通の軸20を有している。ガスタービン4に冷却空気Kを導入するために、空気圧縮機6は多数の冷却空気管22を介してガスタービン4に接続されている。冷却空気管22はここでは1本しか示されていない。これらの冷却空気管22は空気圧縮機6の種々の個所、従って種々の圧力レベルから出ている。ガスタービン4は出口側が排気管23に接続されている。ガスタービン4で膨張した作動媒体AM′及び/又は温まった冷却空気K′はこの排気管33を通ってガスタービン4から出る。
【0019】
図2にはガスタービン4のタービン段24が縦断面図で示されている。このタービン段24はガスタービン4の作動媒体AMの流れ方向25に関して高温ガス通路27においてガスタービン4の第1タービン段24Aの後ろおよび第2タービン段24Bの前に存在している。ガスタービン4の中央タービン段24は、ガスタービン4の車室29に配置されている静翼26およびタービン軸20に配置されている動翼30を有している。ガスタービン4の車室29は高温ガス通路27を包囲しているが、これは図に詳細に示されていない。作動媒体AMはほぼ水平に流れ方向25にガスタービン4の車室29を貫流し、各タービン段24の静翼26および動翼30を介して案内される。
【0020】
中央タービン段24を冷却空気Kで冷却するために、冷却空気系31が設けられている。この冷却空気系31はガスタービン4の車室29を貫通して延びる冷却空気Kの導入管32を有している。この導入管32は1本あるいは複数本の冷却空気管22に図示していない方式で接続されている。ガスタービン設備2の空気圧縮機6から冷却空気Kが、冷却空気Kの導入管32を介して冷却空気出口34を通って静翼26に到達する。導入管32内には、冷却空気出口34における冷却空気Kの予設定可能な圧力の調整手段36として、絞りフラッパ弁として形成された絞り要素36が配置されている。更に冷却空気系31は制御装置38を有している。この制御装置38は接続配線40を介して絞り要素36と、測定線41を介して冷却空気出口34に接続されている。
【0021】
静翼26を貫通して通された冷却空気通路42は出口側が旋回ノズル44Aに開口している。この旋回ノズル44Aは詳細に示されていない方式でタービン軸20に固定されている2つのパッキンによって形成されている。これらのパッキンは静翼26とタービン軸20との隙間を閉鎖している。旋回ノズル44Aは、静翼26の後ろの出口側における冷却空気Kの流速および流れ方向の調整手段44である。旋回ノズルから出た冷却空気Kはタービン軸20内に形成された通路46に流入する。旋回ノズル44Aから出た冷却空気Kの圧力が通路46内における圧力より大きいので、補助的なガイドは不要である。例えば旋回ノズル44Aにおける冷却空気Kは点Xにおいて9.97バールの圧力および410℃の温度を有し、旋回ノズル44Aの下流の出口側における点Yにおいて8.88バールの圧力および390℃の温度を有し、通路46の入口部位における点Zにおいて8.35バールの圧力および388℃の温度を有している。
【0022】
冷却空気Kはタービン軸20の内部を貫通して延びる通路46を通って、動翼30の内部を通されている通路48に到達する。その代わりに冷却空気Kを動翼30に直接導くこともできる。通路48は高温ガス通路27に開口し、そこで冷却空気Kとガスタービン4の作動媒体AMとの混合が行われる。冷たい冷却空気とこれに比べて熱い作動媒体AMとの混合によって、作動媒体AMの冷却が行われ、これによってガスタービンの効率が低下する。
【0023】
冷却空気系31は開放系統として形成されている。この開放系統において冷却空気Kはガスタービン4の作動媒体AMと混合される。あるいはまた閉鎖系統として形成することもできる。閉鎖系統の場合、冷却空気Kはガスタービン4の作動媒体AMに到達せず、これによってガスタービンの効率が向上する。
【0024】
ガスタービン4の冷却に必要な冷却空気量を特に少なくするために、冷却空気Kは予設定可能な圧力で静翼26を通ってタービン軸20に配置された動翼30に導かれる。このために冷却空気Kはガスタービン設備2の空気圧縮機6から取り出され、ガスタービン4の中央タービン段24に冷却空気管22を通して導入される。冷却空気Kは導入管32を通ってそれに後置接続された冷却空気出口34に到達する。冷却空気出口34においては制御装置38によって冷却空気Kを所定の圧力に調整できる。このために制御装置38は測定線41を介してセンサ(図示せず)によって冷却空気出口34における絞り要素36の後ろの出口側の冷却空気Kの圧力を測定する。制御装置38は接続配線40を介して絞り要素36の開度を、制御装置38で予め設定された圧力が冷却空気出口34にかかっているように制御する。冷却空気Kは冷却空気出口34から静翼26内に設けられた通路42を通って、静翼26の後ろに出口側に配置された旋回ノズル44Aに到達する。この旋回ノズル44Aは冷却空気Kをタービン軸20の円周方向に、冷却空気Kがタービン軸20に流入する際にその局所的な周速と方向を有するように加速する。この加速によって冷却空気Kの温度はそれがタービン軸20に流入する際に下げられる。タービン軸20の内部に設けられた通路46を通って、冷却空気Kは動翼30に、および最終的に高温ガス通路27に到達する。
【0025】
ガスタービン4の静翼26を通して動翼30へ冷却空気Kを案内すると、タービン段24における冷却空気Kの流れ経路が特に短くなるので、冷却空気Kにおける圧力損失は特に僅かである。この場合、旋回ノズル44Aは冷却空気Kの冷却を生じさせる。静翼26の冷却空気入口(冷却空気導入管の冷却空気出口34)における予設定可能な圧力の調整によって、冷却空気量が冷却目的を満足するのに十分であるような大きさに制限される。これによってガスタービン設備2は冷却空気消費量が特に少なくなり、これによってガスタービン4の非常に高い効率が生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガスタービンを備えたガスタービン設備の概略構成図。
【図2】 図1におけるガスタービンのタービン段の概略縦断面図。
【符号の説明】
4 ガスタービン
24 タービン段
26 静翼
32 冷却空気の導入管
34 冷却空気出口
36 絞り要素
38 制御装置
44A 旋回ノズル
K 冷却空気

Claims (9)

  1. 高温ガス通路(27)内に配設された静翼(26)を含む複数のタービン段(24)と、空気圧縮機(6)と、前記タービン段(24)を冷却するために前記複数のタービン段に対応して設けられ、冷却空気出口(34)を有する冷却空気(K)の複数の導入管(32)とを備え、前記冷却空気(K)は、前記空気圧縮機(6)の圧力レベルの異なる複数箇所から、前記複数の導入管(32)の冷却空気出口(34)を介して前記静翼(26)に導入され、前記タービン段冷却後、前記高温ガス通路(27)に排出され、前記導入管(32)は、前記冷却空気出口(34)における冷却空気(K)の予設定可能な圧力の第1の調整手段(36)を有しているガスタービン(4)であって、
    前記冷却空気(K)の圧力を計測し制御装置(38)に計測値を入力すべく接続されたセンサが、前記複数の導入管(32)の各冷却空気出口(34)に設置され、
    前記各冷却空気出口(34)における冷却空気(K)の圧力が、前記制御装置(38)により前記第1の調整手段(36)を介して、各タービン段の冷却空気量が冷却目的を満足するのに必要十分であるような大きさに制限すべく所定の圧力に調整されることを特徴とするガスタービン。
  2. タービン段(24)が動翼(30)を含み、この動翼(30)に冷却空気(K)が静翼(26)を通して導入される請求項1記載のガスタービン。
  3. 導入管(32)が、第1の圧力調整手段(36)として絞り要素(36)を有している請求項1又は2記載のガスタービン。
  4. 静翼(26)の下流における冷却空気(K)の流速および流れ方向の第2の調整手段(44)を備えている請求項1乃至3の1つに記載のガスタービン。
  5. 冷却空気(K)の流速および流れ方向の第2の調整手段(44)が旋回ノズル(44A)を含んでいる請求項4記載のガスタービン。
  6. 複数のタービン段(24、24A、24B)を備え、タービン段(24)が、最初のタービン段(24A)の後ろおよび最後のタービン段(24B)の前に配置されたタービン段である請求項1乃至5の1つに記載のガスタービン。
  7. 冷却空気(K)を用いたガスタービン(4)の複数のタービン段(24)の冷却方法であって、高温ガス通路(27)内に配設された各タービン段(24)の静翼(26)に冷却空気(K)が、前記複数のタービン段に対応して設けられた複数の導入管(32)における冷却空気出口(34)を介して導入され、前記タービン段冷却後、前記高温ガス通路(27)に排出され、前記各冷却空気出口(34)における冷却空気(K)の予設定可能な圧力が調整されるガスタービンのタービン段の冷却方法において、
    前記各冷却空気出口の圧力が測定され、かつ制御装置により、各タービン段の冷却空気量が冷却目的を満足するのに必要十分であるような大きさに制限すべく所定の圧力に調整されることを特徴とするガスタービンのタービン段の冷却方法。
  8. タービン段(24)が動翼(30)を含み、この動翼(30)に冷却空気(K)が静翼(26)を通して導入される請求項7記載の方法。
  9. 静翼(26)の下流における冷却空気(K)の流速および流れ方向が調整される請求項7又は8記載の方法。
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