JP4513671B2 - 気圧変動訓練装置 - Google Patents
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Description
気圧変動訓練装置は、具体的には、スポーツ選手の高地トレーニング、登山家の登山訓練、研究機関による心肺機能や運動機能の研究、航空機の乗務員や添乗員の飛行訓練等において模擬的に気圧変動を体感する低圧訓練装置、あるいはダイバーの潜水訓練等において模擬的に気圧変動を体感する高圧訓練装置として利用される。
これを避けるため、減圧環境のトレーニング空間を作り出して、擬似的に高地訓練を行うようにした減圧訓練施設が開示されている(特許文献1参照)。
2室構造の気圧変動訓練装置では、それぞれの訓練室を独立に使用するようにして、異なる気圧変動パターンの2つの訓練を同時並行して行うことで、効率的に訓練を行うことができるが、それだけではない。2室を有効利用して訓練を行う方法として、例えば、複数の被訓練者が同時に第一の訓練室(主室あるいは副室)に入って訓練を行っている途中で、一部の被訓練者が体調を崩すと、その被訓練者が第二の訓練室(副室あるいは主室)に移動し、第二訓練室を大気圧に戻すことで、体調を崩した被訓練者だけを室外に脱出することができ、残りの被訓練者は訓練を続行することができる。
そして、訓練室の気圧等を調整する操作部は監視窓の近傍に設けてあり、必ず監視員が監視窓から内部状況を目視で監視しながら、操作部から原則として手動操作で気圧制御を行うことにより、訓練室内の気圧を変動させたり、気圧を維持したりしている。
そして、低圧環境下での滞在訓練のみ、訓練開始から終了まで長時間を要するため、全工程を自動で行う全自動で行うこととしていた。この場合も、全自動工程中に、何らかの理由で一時的に手動制御を行うと、それ以後は手動制御で訓練を行っている。
また、全自動で行う訓練についても、一旦手動操作が行われると、その後は最後まで手動操作で制御しなければならなかった。
また、本発明は様々な形態での訓練を行うことができる汎用性の高い2室構造の気圧変動装置に適した操作を行うことができる気圧変動訓練装置を提供することを目的とする。
また、手動制御とは、気圧調整のすべてを手動で行う操作をいい、自動制御とは、操作部近傍の監視窓から目視確認できる側の訓練室内を、その訓練室側の操作部により、内部を監視しながら少なくとも一部の操作を自動で行う操作をいう。遠隔自動制御とは、操作部近傍の監視窓から目視確認できない反対側の訓練室内を、その操作部により、少なくとも一部の操作を自動で行う操作をいう。
主室操作部では主室監視窓から主室内を監視しながら、手動制御又は自動制御による気圧調整の操作を行う。さらに、主室操作部で主室を手動制御又は自動制御している場合は、副室について自動制御による気圧調整の操作を行う。すなわち、急減圧訓練のため副室を真空タンク代わりに使用する場合等のように、副室内に被訓練者が入室しておらず、副室内を監視する必要が無い場合(被訓練者が副室に入室していないことから手動制御による細かい気圧制御は必要ない)に限って、遠隔自動操作(副室について主室操作部からの自動操作)を行うことができるようにする。
同様に、副室操作部では、副室監視窓から副室内を監視しながら、手動制御又は自動制御による気圧調整の操作を行う。さらに、副室操作部で副室を手動制御又は自動制御している場合、主室について自動制御による気圧調整の操作を行う。すなわち、主室内に被訓練者が入室しておらず、主室内を監視する必要が無い場合(被訓練者が主質に入室していないことから手動制御による細かい気圧制御は必要ない)に限って、遠隔自動操作(主室について副室操作部からの遠隔自動操作)を行うことができるようにする。
また、本発明によれば、様々な形態での訓練を行うことができる汎用性の高い2室構造の気圧変動訓練装置とすることができる。さらに、訓練内容に応じて一部に自動制御を混在した操作や、安全上問題ない場合は他室側の操作部からの遠隔自動操作を行うことができるので、使いやすい気圧変動訓練装置とすることができる。
上記発明において、実質的に目標気圧となる値および実質的に気圧変化率となる値を制御パラメータとして設定する制御パラメータ入力部を備え、自動制御および遠隔自動制御を行うときに入力された制御パラメータに基づいて現在の気圧から目標気圧までの気圧変動の自動制御が行われるようにしてもよい。
ここで、実質的に目標気圧になる値、実質的に気圧変化率となる値とは、目標気圧や気圧変化率そのものだけではなく、これらに換算できるパラメータを含むことを意味する。例えば、航空機の訓練であれば、目標気圧や気圧変化率に換算することができる目標高度や高度変化率をパラメータとすることができ、ダイバー訓練であれば、潜水深度や潜水深度変化率をパラメータとすることができる。
この発明によれば、主室と副室とが異なる気圧に調整された状態のときに急減圧スイッチを作動させることにより、直前の気圧が低い側の訓練室(真空タンクとして用いる側の訓練室)に向けて、直前の気圧が高い側の訓練室(被訓練者が入室している側の訓練室)から一気に空気を移動させることができる。この結果、大型の真空ポンプを用いて排気することなく、急減圧を実現することができる。
この発明によれば、制御部は、自動制御中または遠隔自動制御中に手動制御の操作信号の入力がなされたときに手動制御の操作信号を優先して制御することができ、自動制御中であっても手動の操作を行えば、直ちに手動制御に切り換わることができ、迅速な操作を行うことができる。
具体的には、例えば、主室操作部で主室を手動制御又は自動制御していることを条件にして、副室について遠隔自動制御による気圧調整の操作を行うことができるようにする。副室操作部で副室を手動制御又は自動制御していることを条件にして、主室について遠隔自動制御による気圧調整の操作を行うことができるようにする。
これにより、主室、副室を同時に2箇所の操作部から遠隔制御することはできないので、より操作の安全性を高めることができる。
また、何かの操作を行ったり、制御モードの切換を行ったりするときに、安全上問題があるときにはその制御モードによる処理は許容されないので、操作性とともに安全性についても優れた処理にすることができる。
この低圧訓練装置10は、主室11、副室12、連通機構13、給排気機構14、主室側操作部15、副室側操作部16、制御部17により構成される。
連通機構13は、主室11と副室12の屋根上に設けてあり、口径の大きな配管(例えば内径100mm)からなる連通路27と開閉弁28とにより構成してある。この開閉弁28を開くことにより、二室間が連通して短時間のうちに同圧になるようにしてある。
主室操作部15の副室操作領域44には、同様に、遠隔自動制御操作を行うための遠隔ボタン58、遠隔自動制御を開始するためのスタートボタン59、ホールドボタン60、目標高度設定部61、レート設定部62が設けられている。
副室操作部16の主室操作領域74には、同様に、遠隔ボタン88、スタートボタン89、ホールドボタン90、目標高度設定部91、レート設定部92が設けられている。
主室操作部15からは、主室11についての自動操作(A)と、主室11についての手動操作(E)と、自動操作(A)または手動操作(E)が行われている場合の副室12についての遠隔自動操作(B)を行うことができるようにしてある。
また、副室操作部16からは、副室12についての自動操作(C)と、副室12についての手動操作(G)と、自動操作(C)または手動操作(G)が行われている場合の主室11についての遠隔自動操作(D)を行うことができるようにしてある。
制御部17は、低圧訓練装置10全体の制御を行うが、そのうち本発明に関係する制御を機能ごとのブロックに分けて説明すると、操作信号入力部1と、制御パラメータ入力部2と、制御モード判定部3と、許容処理実行部4と、急減圧制御部5とにより構成される。
図示しない電源スイッチをONにすることにより、装置が起動する。このとき、制御モード(手動、自動、遠隔自動)は選択されていない。また、給気弁36〜39、排気弁32〜35はすべて閉じている。これは装置停止時には全ての弁を閉じた状態にしているためである。図7は電源投入直後の画面表示を示す図である。いずれの制御モードも選択されておらず、手動ボタン、自動ボタン、リモートボタン(遠隔自動ボタン)は消灯している。また、給気弁、排気弁は閉じている(画面の左右端に表示されている排気ツマミ、給気ツマミの隣に表示してある丸いランプが点灯している)。
図8は真空ポンプをONにしたときの画面表示である。主室側真空ポンプ操作ボタン47または副室側真空ポンプ操作ボタン77をONにすることにより、これらのポンプボタンが点灯する。同時に手動ボタン52、82がONになって点灯する。すなわち、手動制御が選択された状態になり、画面上で手動操作ボタンが点灯する。
このとき主室11側は、スタートボタン53、89が押されておらず、制御状態(自動制御状態あるいは遠隔自動制御状態)ではないため、他のモードへ移行することができる。図9は自動ボタン53(図4)を押して自動制御を選択したときの画面表示図、図10は遠隔ボタン88(図5)を押して遠隔自動制御(リモート)を選択したときの画面表示図である。
図11は主室11を遠隔自動制御中に、図4のスタートボタン54を押して自動制御に移行したときの画面表示図であり、図12は主室11を自動制御中に図5のスタートボタン89を押して遠隔自動制御に移行したときの画面表示図である。このように、自動制御中、遠隔自動制御中における自動、リモート間の移行では、制御自体はそのままで制御モードを切り換えることができる。
図13は、自動制御中に手動ボタン52(図4)を押して手動制御に移行したときの画面表示図である。この場合はそれまでの制御を停止(スタートボタンは消灯)し、制御パラメータである目標高度やレートを消去してから、手動制御に移行する。
室間扉ボタン48、78(図4、図5)をONにして扉を開くことにより、両室を連通し、実質的に1室状態にして自動制御を行っている場合に、主室側操作部15からの自動制御を、副室側操作部16からの自動制御に移行する場合は、それまでの制御を停止してからでなければ移行できない。図14は1室状態で主室側操作部15からの自動制御をしているときの画面表示図である。この状態から制御を停止して(スタートボタン消灯)、制御パラメータである目標高度やレートを消去し、図15に示すように副室側操作部16による自動制御に移行する。
手動制御、自動制御、遠隔自動制御のいずれのモードであっても、これまでの制御を停止してモード未選択状態にし、全給気弁、全排気弁を閉じた状態にしてからでなければ真空ポンプをOFFにできない。図16は真空ポンプをOFFにするときの画面表示図である。モードが未選択状態となり、給排気弁は閉じ、真空ポンプが停止(消灯)している。
自動制御または遠隔自動制御中に手動給気ツマミ45、75、手動排気ツマミ46、76の手動操作を行うことにより、自動給気弁37、39、自動排気弁33、35を閉じ、手動給気弁36、38、手動排気弁32、34が開成される。図17は主室操作部15による自動制御中(図14参照)に、手動排気ツマミ46を操作したときの画面表示図である。主室11側の手動排気弁32(図3)が開いて、排気弁が閉止状態であることを示していたランプ(排気操作ツマミの横の丸いランプ)が消え、主室側操作部15による手動制御に移行する。
自動制御選択時、自動制御中、遠隔自動制御時、遠隔自動制御中は、目標高度やレート等の設定パラメータを入力することができる。図18は主室側操作部15による自動制御選択時に目標高度およびレートを入力したときの画面表示図である。
自動制御または遠隔自動制御を選択し、設定パラメータを入力することにより、制御を開始するスタートボタンを作動することができる。図19は主室側操作部15で自動制御を選択し、目標高度およびレートの入力を終えた後にスタートしたときの画面表示図である。以後、現在高度(現在気圧)から目標高度(目標気圧)までの自動制御が実行される。
自動制御中または遠隔自動制御中は、主室側操作部15と副室側操作部16との双方で制御中であることを示すスタートボタンが点灯し、設定中の目標高度やレートが表示される。
自動制御により目標高度に到達するとスタートボタンが消灯し、ホールドボタンが点灯する。また、目標高度に達する前にホールドボタン55を押すと、その場合もホールドボタンが点灯する。その後再びホールドボタン55を押してホールド状態を解除すると、再び自動制御に切り換わる。図20は主室側操作部15で主室11を自動制御中に、ホールドボタン55を押したときの画面表示図である。
図21は主室11および副室12をそれぞれ自動制御(もしくは遠隔自動制御)により同圧状態にホールドしているときの表示画面図である。同圧状態になると室間扉26を開いて1室状態に移行することができる。同圧状態で主室側操作部15の室間扉ボタン48を押して室間扉26を開くと、図22の画面表示図に示すように主室11側の自動制御を継続し、副室12側の表示は消灯する。
図23は主室11および副室12をそれぞれ自動制御により異圧状態にしてホールドしたときの画面表示図である。異なる気圧でホールド状態になると(ただし主室より副室が低圧)連通路開閉弁28を開いて急減圧動作を起こし1室状態に移行することができる。図23の状態から急減圧ボタン49を押すことにより、図24に示すよう自動制御によるホールド状態は解除され、手動制御に移行する。
室間扉26を開き、あるいは急減圧動作により、実質的に1室状態にした後、再び2室状態へ移行する場合は、ホールド状態である場合のみ自動制御、遠隔自動制御を継続し、手動制御の場合は、手動制御を継続する。図25は急減圧動作後に元の状態に復帰したときの画面表示図である。急減圧動作は終了し、手動制御を継続している。
上記実施形態は、低圧訓練装置であるが、高圧訓練装置の場合でも同様である。ただし、この場合は真空ポンプに代えて、加圧ポンプを用いることになる。
2:制御パラメータ入力部
3:制御モード判定部
4:許容処理実行部
5:急減圧制御部
10:低圧訓練装置(気圧変動訓練装置)
11:主室
12:副室
14:給排気機構(主室給排気手段、副室給排気手段)
15:主室操作部
16:副室操作部
17:制御部
22:主室監視窓
24:副室監視窓
26:室間扉
27:連通路
28:開閉弁
31:真空ポンプ
41:主室操作パネル
45、75:給気操作ツマミ
46、76:排気操作ツマミ
49:急減圧スイッチ
52、82:手動ボタン
53、83:自動ボタン
54、59、84、89:スタートボタン
55、60、85、90:ホールドボタン
56、61、86、91:目標高度設定部
57、62、87、92:レート設定部
58、88:遠隔ボタン
71:副室操作パネル
Claims (5)
- 扉付きの隔壁で仕切られる主室および副室と、
主室内および副室内を各々外部から目視で監視するための主室監視窓および副室監視窓と、
主室内および副室内を各々独立に給排気する主室給排気手段および副室給排気手段と、
主室監視窓近傍に設置され主室給排気手段により主室内を手動制御または自動制御で気圧調整する操作を行うとともに、主室内の気圧調整を行うときに同時に副室給排気手段により副室内を遠隔自動制御で気圧調整する操作を行う主室側操作部と、
副室監視窓近傍に設置され副室給排気手段により副室内を手動制御または自動制御で気圧調整する操作とともに、副室内の気圧調整を行うときに同時に主室給排気手段により主室内を遠隔自動制御で気圧調整する操作を行う副室側操作部と、
主室側操作部または副室側操作部による操作に基づいて発生する操作信号に基づいて主室給排気手段および副室給排気手段の制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする気圧変動訓練装置。 - 実質的に目標気圧となる値および実質的に気圧変化率となる値を制御パラメータとして設定する制御パラメータ入力部を備え、自動制御および遠隔自動制御を行うときに入力された制御パラメータに基づいて現在の気圧から目標気圧までの気圧変動の自動制御が行われることを特徴とする請求項1に記載の気圧変動訓練装置。
- 少なくとも主室側操作部と副室側操作部のいずれかに急減圧操作スイッチを取り付けるとともに、主室と副室とを接続する連通路と、連通路を開閉する連通路開閉弁と、主室と副室とが異なる気圧に調整された状態で急減圧操作スイッチを作動したときに連通路開閉弁を開いていずれか一方の室内を急減圧させる急減圧制御部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の気圧変動訓練装置。
- 制御部は、自動制御中または遠隔自動制御中に手動制御の操作信号の入力がなされたときに手動制御の操作信号を優先することを特徴とする請求項1に記載の気圧変動訓練装置。
- 制御部は、主室側操作部または副室側操作部からの操作信号の入力があるときに手動制御、自動制御、遠隔自動制御のうちいずれの操作信号であるかを判定する制御モード判定部と、制御モード判定部により判定された制御モードによる操作が現時点で許容できる場合にその操作信号の処理を実行する許容処理実行部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の気圧変動訓練装置。
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