JP4511698B2 - 配管用保温材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管と配管支持具との間に介在させる配管用保温材に関する。
【0002】
【従来の技術】
配管を配管支持具によって支持する際に、両者の間に保温材を介在させることは広く行なわれている。
【0003】
保温材として、合成樹脂発泡体で形成する構成、2分割タイプとし、両者の接合面に凹部及び凸部を形成して合体させる構成は、実開昭56−15883号、同59−56476号公報、特開平8−277970号公報、意匠登録第549239号公報などに記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、保温材を2分割タイプとし、両者の接合面に対称的な凹凸面を形成する構成は知られている。接合面の凹凸は保温材を円筒状に維持するのに有効であるが、従来の保温材の接合面凹凸は、上記した特開平8−277970号公報に示されているように、ストレートな凹条ないし凸条であるために、配管工事施工時にズレが生じたり、又は、正確に合体させた状態から配管の振動等によりズレが生じることがある。このような合体状態のズレを防止するには、保温材の外周に溝を設け、この溝の幅にぴったり合うようなバンドを持つ支持具を利用することが要求されるが、保温材外周の溝とバンドの幅が正確に一致しない場合には、保温材の合体状態にズレが生じる。
【0005】
従来、保温材は上下で分割された形で配管に取り付けられる態様であったが、吊り下げ支持タイプの配管支持では、2つのバンド部のそれぞれに分割された保温材を予め仮止めしておくことが作業能率の向上に都合がよいが、従来タイプの接合面構造の保温材では、上下の位置に接合面が存在することとなる結果、保温材の接合面に結露が生じた場合、接合面に上記したズレが生じると、結露が容易に落下するすることなり、配管の防錆の点からも好ましくない。
【0006】
本発明者は、上記に鑑み、2分割タイプとし接合面に凹凸を設けて合体させる保温材において、合体状態にズレが生じることのない接合面構造を有する配管用保温材を、特願平11−17870号として、先に提案した。
【0007】
上記先提案に係る配管用の保温材は、(1)合成樹脂発泡体で2分割に形成した保温材の分割体のそれぞれの接合面に、凹凸で形成される係止機構が配置されていること、(2)合成樹脂発泡体で2分割に形成した保温材の分割体のそれぞれの接合面のそれぞれに凸部と凹部とから成る係止機構が相似形となるように配置されていること、をそれぞれ特徴とする技術である。
【0008】
本発明は、かかる先提案技術について、更に合体状態にズレが生じ難いように且つ接合作業がし易いように改良を加えることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る配管用保温材は、下記の通りである。
【0010】
1.合成樹脂発泡体で2分割に形成した分割体の1対で構成される配管用支持金具の部分に使用される保温材において、
2分割の分割体が1対に合体される接合面には、凸部と凹部とで形成される係止機構が配置されており、
合体させた分割体が配管軸方向にずれることが規制される構成であり、
該合体させた分割体が配管軸方向にずれることが規制される構成が、
前記2分割の分割体の各々の周面端に位置する2つの接合面は、一方の分割体と他方の分割体とが相互に接合する平面状であり、
前記2つの接合面の各々には、該接合面の配管軸直交方向の中央部に前記凸部と凹部とが各1個ずつ配管軸方向の一端縁から他端縁まで直線状に且つ連続して配置されており、
前記一方の接合面における凸部は、該平面状接合面の一端縁から中央まで凸状であり、前記一方の接合面における凹部は、該平面状接合面の他端縁から中央まで凹状であり、
前記他方の接合面における凸部は、該平面状接合面の他端縁から中央まで凸状であり、前記他方の接合面における凹部は、該平面状接合面の一端縁から中央まで凹状である構成であり、
該係止機構の凸部と凹部の各々が、配管軸方向における中央から端部に向かうに従って次第に先細りになる構成であり、
同一形状を有する2つの分割体を組み合わせることで1対の配管用保温材と成るように、1つの分割体の一方の接合面に形成された係止機構と、他方の接合面に形成された係止機構とが、配管軸の中央を支点とする点対称の同一形状に形成された構成であることを特徴とする配管用保温材。
【0011】
2.前記係止機構の凸部が、配管軸方向における中央から一方の端部に向かうに従って次第に高くなる構成であり、
前記係止機構の凹部が、配管軸方向における中央から他方の端部に向かうに従って次第に深くなる構成であることを特徴とする上記1に記載の配管用保温材。
【0012】
本発明に係る配管用保温材の参考例は、下記の通りである。
(1)合成樹脂発泡体で2分割に形成した分割体の1対で構成される配管用支持金具の部分に使用される保温材において、
2分割の分割体が1対に合体される接合面には、凸部と凹部とで形成される係止機構が配置されており、
合体させた分割体が配管軸方向にずれることが規制される構成であり、
該合体させた分割体が配管軸方向にずれることが規制される構成が、
前記2分割の分割体の各々の周面端に位置する2つの接合面は、一方の分割体と他方の分割体とが相互に接合する平面状であり、
前記2つの接合面の一方には前記凸部が配置され、他方の接合面には前記凹部が配置されており、
前記一方の接合面における凸部は、該平面状接合面の端縁から中央まで凸状であり、
前記他方の接合面における凹部は、該平面状接合面の端縁から中央まで凹状である構成であり、
配管軸方向における接合面の中央と凸部上面とを結ぶ面が傾斜面であり、該傾斜面が前記接合面高さから凸部上面高さに向かうに従って前記中央から端縁方向に傾斜している構成であり、
配管軸方向における接合面の中央と凹部底面とを結ぶ面が傾斜面であり、該傾斜面が前記接合面高さから凹部底面高さに向かうに従って前記中央から端縁方向に傾斜している構成であることを特徴とする配管用保温材。
【0013】
(2)同一形状を有する2つの分割体を組み合わせることで1対の配管用保温材と成るように、1つの分割体の一方の接合面に形成された係止機構と、他方の接合面に形成された形式機構とが、配管軸の中央を支点とする点対称の相似形に形成された構成であることを特徴とする上記(1)に記載の配管用保温材。
【0014】
(3)配管径方向における接合面と前記凸部上面とを結ぶ面が傾斜面であり、該傾斜面が接合面に対して鈍角に立ち上がる構成であり、
配管径方向における接合面と前記凹部底面とを結ぶ面が傾斜面であり、該傾斜面が凹部底面に対して鈍角に立ち上がる構成であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の配管用保温材。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1及び図4に示す実施例を説明する。
この実施例の保温材10は、配管用吊り金具などにより配管を天井などから懸架する場合に利用される。保温材10は、ウレタン系の如き断熱性の合成樹脂発泡体で形成されており、同一形状のものを一対として合体させて利用する。接合面11と12のそれぞれには、凸部13と凹部14とから成る係止機構が相似形となるように配置されている。従って、分割された一対の保温材10を合体させると、接合面11と12とでは、凸部13と他方の分割体の凹部14とが、凹部14と他方の分割体の凸部13とがそれぞれ嵌入し合うことになり分割体のそれぞれが矢符方向に移動することが規制される。
【0016】
前記凸部13は中央から端部に向かうに従って次第に先細りになるように且つ高くなるように構成されており、また前記凹部14は中央から端部に向かうに従って次第に先細りに且つ深くなるように構成されている。
【0017】
また、凸部13は中央部から高くなるに従って端部側に近くなるように、また凹部14は中央部から深くなるに従って端部側に近くなるように、各々を形成することによって傾斜面15を構成している。この構成によって分割体の接合作業が更にし易くなる。
【0018】
図示の実施例では、係止機構として凸部13と凹部14の2種類の組み合わせとしたが、3分割以上であってよい。
【0019】
配管用吊り金具は、図示しないが、そのバンド部分が周面に施された凹面部15に位置するよう配置される。本発明では、上記した係止機構により、合体された分割体が矢符方向に移動することがないので、配管用吊り金具のバンドの幅と凹面部15の幅とに不一致があってもよい。
【0020】
尚、配管用吊り金具のバンド部分(一対)に両面接着テープなどにより予め仮止めしておく態様では、接合面が図示の如き横方向でなく縦の方向となるようにそれぞれの分割体を配置する。
【0021】
図2に示す実施例を説明する。この実施例の保温材10は、据置型として支持バンドにより床面上に配管を支持する場合に利用される。保温材10の構成は、一方の分割体の底部が床に設置する構造となっている点を除き、図1に示した実施例と同一である。
【0022】
図3に示す参考例では、係止機構の凸部13及び凹部14の配置位置及び形状が実施例と異なる。また、凸部13及び凹部14の側面部にも傾斜面15’を設ける。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る保温材によれば、合体させた保温材の分割体が、配管工事の際にも、或いは振動などにより位置ズレを発生することがなく、且つ配管工事の際の分割体の接合作業がし易くなり、頭記した課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る保温材の実施例を示す斜視図
【図2】本発明に係る保温材の他の実施例を示す斜視図
【図3】本発明に係る保温材の参考例を示す斜視図
【図4】図1に示す保温材分割体の平面図(A)、正面図(B)、一部切欠右側面図(C)及び要部斜視図(D)
【符号の説明】
10−保温材
11−接合面
12−接合面
13−係止機構の凸部
14−係止機構の凹部
15、15’−傾斜面
16−凹面部
Claims (2)
- 合成樹脂発泡体で2分割に形成した分割体の1対で構成される配管用支持金具の部分に使用される保温材において、
2分割の分割体が1対に合体される接合面には、凸部と凹部とで形成される係止機構が配置されており、
合体させた分割体が配管軸方向にずれることが規制される構成であり、
該合体させた分割体が配管軸方向にずれることが規制される構成が、
前記2分割の分割体の各々の周面端に位置する2つの接合面は、一方の分割体と他方の分割体とが相互に接合する平面状であり、
前記2つの接合面の各々には、該接合面の配管軸直交方向の中央部に前記凸部と凹部とが各1個ずつ配管軸方向の一端縁から他端縁まで直線状に且つ連続して配置されており、
前記一方の接合面における凸部は、該平面状接合面の一端縁から中央まで凸状であり、前記一方の接合面における凹部は、該平面状接合面の他端縁から中央まで凹状であり、
前記他方の接合面における凸部は、該平面状接合面の他端縁から中央まで凸状であり、前記他方の接合面における凹部は、該平面状接合面の一端縁から中央まで凹状である構成であり、
該係止機構の凸部と凹部の各々が、配管軸方向における中央から端部に向かうに従って次第に先細りになる構成であり、
同一形状を有する2つの分割体を組み合わせることで1対の配管用保温材と成るように、1つの分割体の一方の接合面に形成された係止機構と、他方の接合面に形成された係止機構とが、配管軸の中央を支点とする点対称の同一形状に形成された構成であることを特徴とする配管用保温材。 - 前記係止機構の凸部が、配管軸方向における中央から一方の端部に向かうに従って次第に高くなる構成であり、
前記係止機構の凹部が、配管軸方向における中央から他方の端部に向かうに従って次第に深くなる構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管用保温材。
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