JP4511673B2 - 交流無停電電源装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、商用交流電源が停電しても安定した電圧および周波数を確保するための無停電電源システムに係り、より詳しくは停電時に蓄電池の放電電気量に基づいて放電終止電圧までの蓄電池の保持時間を求め、この保持時間が所定時間以下になった時に負荷の待避処理を実行する機能を有する交流無停電電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の交流無停電電源装置は、図2にその一例を示すごとく、常時は商用電源1からの交流電力を直送ライン10を介して直接、または整流器2によって整流された直流電力をインバータ3によって変換して得た交流電力を負荷4に供給するとともに、前記交流電力を充電器7で変換して得た充電電力、または前記整流器2からの直流電力によって充電される蓄電池6を設け、停電時に前記蓄電池6からの直流電力をインバータ3によって交流電力に変換して前記負荷4に供給するようにしたものである。
【0003】
上記した、従来の交流無停電電源装置では、停電時に前記蓄電池6からの直流電力をインバータ3によって交流電力に変換して負荷4に供給しているが、停電が長時間になると、蓄電池6は放電終止電圧近くまで放電することがあるため、通常は蓄電池6が過放電によって損傷しないように、放電終止電圧に達した時に放電を停止させるとともに、放電を停止させる前に負荷4に警報信号を送出することにより、その警報信号を受けた負荷4が自動的に待避処理を実行するようにしている。
【0004】
従来、このような、放電終止電圧に達した時に放電を停止させること、放電を停止させる前に負荷4に待避処理を実行させることは、放電時の蓄電池6の端子電圧を検出し、この検出した端子電圧の対応値を基準値と比較することによって行われていた。また、別の待避処理方法としてパーソナルコンピュータで放電を停止する指示を出力してもらう無停電電源装置もある。このような無停電電源装置は、例えば特開平11−155243に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した、放電終止電圧に達した時に放電を停止させることに関しては、放電終止電圧は、蓄電池6の種類やセル数によって変化するだけであるが、放電を停止させる前に負荷4に待避処理を実行させることに関しては、蓄電池6の端子電圧が待避処理を実行する時の電圧に達してから放電終止電圧に達するまでの時間は、それまでの負荷4に対する蓄電池6の放電電気量、蓄電池6の放電時の周囲温度、放電までの蓄電池6の使用期間、蓄電池6の充電電圧に応じて変化するため、待避処理に要する時間はほぼ一定であるにもかかわらず、待避処理の実行中に蓄電池6の放電が停止してしまったり、これを避けるために待避処理の実行を早く設定すると、蓄電池6の容量が十分に引き出せないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような従来の問題を解決するためになされたもので、蓄電池の放電が停止する前に負荷の待避処理を確実に実行することができる交流無停電電源装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、停電時に蓄電池の放電電流を一定の時間ごとにサンプリングして算出した放電電気量に基づいて、放電終止電圧までの蓄電池の保持時間を求め、この保持時間が所定時間以下になった時に負荷の待避処理を実行する機能を有するもので、その要旨は、商用電源からの交流電力を整流する整流器と、この整流器からの直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記整流器とインバータとの接続点に接続され、前記整流器からの直流電力または商用電源からの交流電力を充電器で変換して得た充電電力で充電される蓄電池とを有し、常時は前記交流電力を直接または前記整流器とインバータを介して負荷に供給し、停電時は前記蓄電池からの直流電力をインバータで交流電力に変換して負荷に供給する交流無停電電源装置において、停電時に蓄電池の放電電流を一定の時間ごとにサンプリングして放電電気量を算出する放電電気量算出手段と、この放電電気量算出手段によって算出された放電電気量を蓄電池の定格放電電気量と比較する比較手段と、この比較手段による比較結果に基づいて放電終止電圧まで放電した場合の保持時間を算出する保持時間算出手段と、この保持時間算出手段による保持時間が所定時間以下になった時に警報信号を送出する警報信号送出手段とを設け、前記警報信号によって負荷の待避処理を実行する機能を具備したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は上記の交流無停電電源装置に、比較手段による比較結果に基づいて放電終止電圧までの残容量を算出する残容量算出手段、負荷の待避処理の実行後、蓄電池の放電を停止させる放電制御手段、蓄電池の定格放電電気量を、サンプリングする蓄電池の放電電流に対応させて補正する補正手段、蓄電池の定格放電電気量を、蓄電池の放電時の周囲温度に対応させて補正する補正手段、蓄電池の定格放電電気量を、蓄電池の使用期間に対応させて補正する補正手段をそれぞれ単独、もしくは組合わせて付設することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る交流無停電電源装置の一実施例を示すブロック図で、図2と同じ機能を有する部分には同じ符号を付して以下の説明は省略する。
【0010】
すなわち、図1に示す交流無停電電源装置は、図2に示す従来の交流無停電電源装置に、停電時の蓄電池6の放電電流を一定の時間ごとにサンプリングして放電電気量を算出する放電電気量算出手段5と、この放電電気量算出手段5によって算出された放電電気量を蓄電池6の定格放電電気量と比較する比較手段8と、この比較手段8による比較結果に基づいて放電終止電圧まで放電した場合の保持時間を算出する保持時間算出手段9と、この保持時間算出手段9による保持時間が所定時間以下になった時に警報信号を送出する警報信号送出手段11とを設け、前記警報信号によって負荷の待避処理を実行する機能を付加した構成となしたもので、前記放電電気量算出手段5は、蓄電池6の放電電流を一定の時間、たとえば1秒ごとにサンプリングして現時点までの放電電気量を算出する機能を有し、前記比較手段8は、蓄電池6の定格放電電気量に対する現時点までの放電電気量の比率を算出する機能を有する。そして、前記比較手段8によって算出された比率により、現時点、すなわちサンプリング時点での蓄電池6の放電電流で放電終止電圧までの残容量を、残容量算出手段13によって算出するとともに、現時点での蓄電池6の放電電流で放電終止電圧まで継続放電した場合の保持時間を、保持時間算出手段9によって算出し、この保持時間が所定時間以下になった時に警報信号送出手段11によって警報信号を送出するとともに、この警報信号によって負荷4の待避処理を実行するように構成されている。さらに、前述した待避処理を実行した後、放電制御手段12によって蓄電池6の放電終止電圧を検出して放電を停止させる仕組みとなっている。
【0011】
なお、前記警報信号は、保持時間が負荷4の待避処理に要する時間以上である時に送出されるようにしておくことはいうまでもないが、この保持時間は蓄電池6の放電電流の大小、放電時の周囲温度の高低、放電までの使用期間の長短によって定格放電電気量が変化するため、蓄電池6の定格放電電気量はこれらの要素を加味して補正したうえで比較手段8による、現時点までの放電電気量の比率の算出に用いるのがよい。
【0012】
すなわち、蓄電池6は、現時点までの放電容量が同じであっても、それまでの放電電流が大であれば残容量は小さくなって保持時間は短くなり、放電電流が小であれば残容量は大きくなって保持時間は長くなり、放電時の周囲温度が低ければ残容量は小さくなって保持時間は短くなり、放電時の周囲温度が高ければ残容量は大きくなって保持時間は長くなり、放電までの使用期間が長ければ残容量は小さくなって保持時間は短くなり、放電までの使用期間が短ければ残容量は大きくなって保持時間は長くなるので、定格放電電気量を放電電流の大小、放電時の周囲温度の高低、放電までの使用期間の長短によって補正し、上述のような残容量と保持時間が得られるように補正係数を定めるのがよい。
【0013】
例えば、放電電流の大小に関する補正係数は、20時間率容量が38AHの密閉形鉛蓄電池であれば、放電電流が1.9A(1/20C)以下の時に1.0になるようにして未補正の定格放電電気量に基づいて残容量と保持時間を算出し、放電電流が1.9A(1/20C)を超えると1.0より小さくなるようにして補正後の定格放電電気量に基づいて残容量と保持時間を算出すればよい。なお、この場合、サンプリング時点ごとに、その時点までの放電電流の平均値に基づいて補正しても、最大値に基づいて補正してもよいが、警報信号による負荷4の待避処理を確実に実行するためには、最大値に基づいて補正するのがよい。
【0014】
同様に、放電時の周囲温度の高低に関する補正係数は、放電時の周囲温度が25℃の時に1.0になるようにして未補正の定格放電電気量に基づいて残容量と保持時間を算出し、放電時の周囲温度が25℃未満であれば、1.0より小さく、放電時の周囲温度が25℃を超えると1.0より大きくなるようにして補正後の定格放電電気量に基づいて残容量と保持時間を算出すればよい。
【0015】
同様に、放電までの使用期間の長短に関する補正係数は、使用期間が、放電容量が半減するまでの平均的な使用期間の2分の1までは1.0になるようにして未補正の定格放電電気量に基づいて残容量と保持時間を算出し、放電容量が半減するまでの平均的な使用期間の2分の1を超えると1.0より小さくなるようにして補正後の定格放電電気量に基づいて残容量と保持時間を算出すればよい。
【0016】
上述した補正係数は相互に関連するので、残容量と保持時間は、定格放電電気量/(放電電流の大小に関する補正係数×周囲温度の高低に関する補正係数×放電までの使用期間の長短に関する補正係数)によって補正した定格放電電気量に基づいて算出するのが好ましい。
【0017】
【発明の効果】
上記した如く、本発明によれば、蓄電池の使用条件に対応して残容量と保持時間を定めるとともに、この保持時間が負荷の待避処理を実行するのに要する時間以上である時に警報信号を送出することができるから、蓄電池の放電が停止する前に負荷の待避処理を確実に実行することができ、交流無停電電源装置の信頼性の向上に寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る交流無停電電源装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の対象とする従来の交流無停電電源装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 交流電源
2 整流器
3 インバータ
4 負荷
5 放電電気量算出手段
6 蓄電池
7 充電器
8 比較手段
9 保持時間算出手段
10 直送ライン
11 警報信号送出手段
12 放電制御手段
13 残容量算出手段

Claims (6)

  1. 交流電源から供給される電力を蓄電池に蓄電し、前記交流電源の停電時に前記蓄電池からの直流電力をインバータで交流電力に変換して負荷に供給し、停電時に前記畜電池から電力の供給を開始してから蓄電池の放電終止電圧までの保持時間を算出する保持時間算出手段と、当該保持時間算出手段によって算出された保持時間が所定値以下になった時に警報信号を送出する警報信号送出手段とを備えて、前記警報信号によって負荷の待避処理を実行可能とする交流無停電電源装置において、
    前記交流電源の停電時に前記蓄電池の放電電流を一定の時間ごとにサンプリングして放電電気量を算出する放電電気量算出手段と、
    前記蓄電池の定格放電電気量を補正する補正手段と、
    サンプリング時点において、前記放電電気量算出手段によって算出された放電電気量と前記補正手段で補正された定格放電電気量とを比較する比較手段とを備え、
    前記保持時間算出手段は、前記比較手段による比較結果に基づいて、保持時間を算出し、
    前記補正手段は、サンプリング時点における定格放電電気量を、前記蓄電池の放電までの使用期間に対応させて補正する
    ことを特徴とする交流無停電電源装置。
  2. 請求項1記載の交流無停電電源装置であって、
    前記補正手段は、サンプリング時点における定格放電電気量を、前記蓄電池の放電までの使用期間に加えて、蓄電池の放電電流に対応させて補正する
    ことを特徴とする交流無停電電源装置。
  3. 請求項2記載の交流無停電電源装置であって、
    前記補正手段は、サンプリング時点における定格放電電気量を、前記蓄電池の放電までの使用期間、蓄電池の放電電流に加えて、放電時の周囲温度に対応させて補正する
    ことを特徴とする交流無停電電源装置。
  4. 請求項3記載の交流無停電電源装置であって、
    前記補正手段は、サンプリング時点における定格放電電気量を、(放電電流の大小に関する補正係数×周囲温度の高低に関する補正係数×放電までの使用期間の長短に関する補正係数)の式によって補正する
    ことを特徴とする交流無停電電源装置。
  5. 請求項1ないし4の何れかに記載の交流無停電電源装置であって、
    補正された定格放電電気量に対するサンプリング時点までの電気量を比較し、比較結果に基づいて放電終止電圧までの残容量を算出すると共に、
    前記サンプリング時点における放電電気量が放電終止電圧まで継続した場合に、前記残存量と前記放電電気量とに基づいて保持時間を算出し、算出した保持時間が所定値以下になった時に警報信号を送出する
    ことを特徴とする交流無停電電源装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載の交流無停電電源装置において、負荷の待避処理の実行後、蓄電池の放電を停止させる放電制御手段を設けたことを特徴とする交流無停電電源装置。
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