JP4509260B2 - やに除去剤およびそれを用いた清掃用薬剤、やに除去用嗜好食品、並びにそれを用いたやに除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙草等のやにを除去するためのやに除去剤に関するものであり、さらには壁や家具等に付着した煙草等のやにを効果的に除去することができる清掃用薬剤、および歯や義歯等に付着した煙草等のやにを効果的に除去することができるやに除去用嗜好食品、並びにそれを用いたやに除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、喫煙は、副流煙によって他人の人体に悪影響を与えることが知られている。また、室内での喫煙は、壁や家具等を黄色く変色させて汚したり、臭いを付着させる等の弊害があることも知られている。さらに、喫煙者本人にとっては、肺ガンの要因の一つともいわれている他、喫煙の際に歯や義歯等の表面に付着したやにが、歯表面を茶色く変色させて外観を損なわせ、しかも口臭の原因にもなっている。
【0003】
したがって、煙草等のやにを除去することは重要であり、従来より、各種のやに除去方法が提案されている。例えば、室内においては、従来公知の清掃用薬剤により、やにを除去することが行われている。しかし、清掃用薬剤は、一般に、やにの除去効果を備えているものの、拭き取る際に却って汚れを広げてしまったり、清掃用薬剤自体がしみ等の原因になったり、模様や色調が剥げたりするという欠点がある。
【0004】
また、口腔においては、各種の歯磨剤により、やにを除去することが行われている。しかし、歯磨剤は、その成分である研磨剤の物理的な摩耗力によって歯表面に付着したやにをこすり落としているため、再生不可能であるエナメル質を損傷させてしまうおそれがある。エナメル質が損傷を受けると、口腔疾患を招来するため、エナメル質を損傷させずにやにを除去する方法の開発は重要である。また、歯磨剤は、喫煙直後に習慣的に歯磨きを行うことで効果を発揮するものであり、喫煙後放置されると、やには歯表面に強固に付着し、長年にわたって蓄積されて完全に除去することが困難である。ところが、喫煙は喫煙後の余韻をも楽しむものであることから、喫煙直後に歯磨きを習慣化することは難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、これを解決するために、例えば(エタノール,プロパノール)と、多価アルコール誘導体と、(アミノ酸,安息香酸ベンジル)とを有効成分として含有する煙草やにとり組成物が提案されている(特公平3−40008号公報)。しかしながら、この煙草やにとり組成物は、洗口液、歯磨剤等の形態で用いたときには、有効にやに除去効果を発揮するが、例えばチューインガム等の嗜好品形態にした場合には、必須成分であるエタノールの飛散を防止するためにチューインガム等の嗜好品の表面をポリビニルアルコール製フィルム等の被覆材で被覆しなければならないという欠点がある。特に、チューインガムの場合は、煙草やにとり組成物中の各成分がガムベースの物性に影響するため、チューインガム本来の食感、風味を設計するのが難しいという欠点もある。さらに、煙草やにとり組成物中の有効成分がガムベース中に吸着されやすいため、リン酸カルシウムのような研磨効果を有する物質との併用が必要になるという欠点もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、煙草等のやにを効果的に除去することができるやに除去剤の提供をその目的とする。また、壁や家具等を傷めることなくそれらに付着した煙草等のやにを効果的に除去することができる清掃用薬剤の提供をその目的とする。さらに、歯または義歯等の表面を傷めることなくそれらに付着した煙草等のやにを効果的に除去することができるやに除去用嗜好食品と、それを用いるやに除去方法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)成分および(B)成分のうち、少なくとも(B)成分を必須成分とするやに除去剤を第1の要旨とする。
(A)ベンジルアルコール。
(B)アセトイン。
【0008】
また、本発明は、上記やに除去剤が含有されてなる清掃用薬剤を第2の要旨とする。さらに、本発明は、チューインガム、ソフトキャンディ、錠菓、グミキャンディのいずれかであって、上記(A)成分および(B)成分の少なくとも一方を必須成分とするやに除去剤を含有してなり、上記必須成分が全体に対し0.01重量%以上となる割合で含有されているやに除去用嗜好食品を第3の要旨とする。
【0009】
そして、本発明は、上記やに除去用嗜好食品が、チューインガムであるやに除去用嗜好食品を第4の要旨とする。また、本発明は、上記やに除去用嗜好食品を口中に滞留させることにより、口中に付着したやにを除去するようにしたやに除去方法を第5の要旨とする。
【0010】
すなわち、本発明者は、壁や家具等、あるいは歯や義歯等を傷めることなく、これらに付着した煙草等のやにを効果的に除去できる製品を開発すべく、鋭意研究を重ねた。その過程で、やに除去作用を有する化合物の発見を中心に各種の実験研究を重ねた結果、ベンジルアルコール(A成分)とアセトイン(B成分)がやに除去作用を有していることを突き止めた。その結果、やに除去剤として用いる場合、ベンジルアルコール(A成分)およびアセトイン(B成分)のうち、少なくともアセトインを必須成分とすれば、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。そして、上記やに除去剤を含有する清掃用薬剤であれば、壁や家具等を傷めることなくこれらに付着した煙草等のやにを効果的に除去できることを突き止めた。さらに、チューインガム、ソフトキャンディ、錠菓、グミキャンディのいずれかであって、上記ベンジルアルコールとアセトインの少なくとも一方を必須成分として0.01重量%以上の割合で含有するやに除去用嗜好食品であれば、歯や義歯等を傷めることなくこれらに付着した煙草等のやにを効果的に除去できることも突き止めた。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明のやに除去剤は、ベンジルアルコール(A成分)およびアセトイン(B成分)のうち、少なくともアセトインを必須成分とするものである。
【0013】
上記A成分であるベンジルアルコール(フェニルカルビノール)は、下記の化学式(1)で表される化合物である。この化合物は、弱い芳香を有する無色の液体である。そして、イランイラン油、ツベローズおよびアカシアの花精油等のなかに遊離状で含有する他、ジャスミンおよびガーデニアの花精油、ペルーおよびトルーパルサム、ソゴウ香、クローブ油等のなかにエステルとして存在しており、これら精油を精留するか、酸性フタル酸エステルとして分離精製する等によって製造される。
【0014】
【化1】
【0015】
また、上記B成分であるアセトイン(アセチルメチルカルビノール、ジメチルケトール)は、下記の化学式(2)で表される化合物である。この化合物は、製造直後は無臭の液体であるが、市販品は一部酸化してジアセチルとなるため、甘味のあるクリームやバターを思わせる香気がある。そして、バター,酒,醤油,パン等に存在しており、工業的にはジアセチルを硫酸と亜鉛で還元する等によって製造される。
【0016】
【化2】
CH3 CH(OH)COCH3 …(2)
【0017】
本発明のやに除去剤は、上記ベンジルアルコール(A成分)を任意成分とし、アセトイン(B成分)を必須成分として用いられ、例えば各種の製品原料に添加し、従来公知の方法により、各種の製品形態にして使用される。各種の製品としては、特に制限するものではなく、例えば清掃用薬剤、食品、洗口液,歯磨剤,錠剤,粉薬等の医薬品,医薬部外品等があげられる。食品としては、特に制限するものではなく各種のものがあげられるが、なかでも口中に長く咀嚼等によって滞留する嗜好食品、例えばチューインガム、ソフトキャンディ、錠菓、グミキャンディ等の嗜好食品が好適である。
【0018】
なお、本発明のやに除去剤は、上記のように製品原料に添加して使用する方法に限定されず、例えば予め製造された上記各種の製品の表面に、上記やに除去剤をまぶしたり、コーティングしたりしてもよい。また、各種の製品とともに用いず、本発明のやに除去剤を直接喫食してもよい。
【0019】
また、本発明では、上記やに除去剤中の任意成分であるベンジルアルコール(A成分)と、必須成分であるアセトイン(B成分)を必ずしも精製等して使用する必要はなく、A成分,B成分を含有するそれぞれの原料をそのまま使用してもよい。すなわち、A成分,B成分は、香料,溶剤,保留剤等の形態でそれぞれ市販されており、これら市販品を精製等することなく、上記各種の製品に添加して使用してもよい。
【0020】
そして、本発明のやに除去剤は、上記A成分とB成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、賦形剤等のその他の添加剤が添加されてあってもよい。
【0021】
つぎに、本発明の清掃用薬剤について説明する。
【0022】
本発明の清掃用薬剤は、上記ベンジルアルコール(A成分)およびアセトイン(B成分)のうち、少なくともアセトインを必須成分とするやに除去剤を含有するものである。
【0023】
すなわち、少なくともアセトイン(B成分)を用いることがやに除去効果の点から好ましい。
【0024】
本発明の清掃用薬剤は、通常、上記やに除去剤を、水,エタノール水溶液あるいはエタノール中に、溶解もしくは分散させることにより得られ、得られたものをそのまま壁や家具等に塗布して拭きとることにより使用される。これにより、壁や家具等を傷めることなくそれらに付着した煙草等のやにや臭いを効果的に除去することができる。なお、清掃用薬剤の任意成分として、植物乾留成分,各種洗浄剤,溶剤等を用いてもよい。これらの任意成分を用いることにより、さらなる清掃効果,消臭効果も加わり好適である。
【0025】
このようにして得られ、使用される清掃用薬剤は、上記やに除去剤中の必須成分(A成分,B成分のうちの少なくともB成分)が、清掃用薬剤全体中に30容積%以上の割合で含有されていることが好ましい。より好ましくは、50〜80容積%の範囲である。すなわち、30容積%未満であると、やに除去剤中の必須成分(A成分,B成分のうちの少なくともB成分)が少なすぎて、壁や家具等を傷めることなくそれらに付着したやにを除去するのが難しくなるおそれがあるからである。
【0026】
つぎに、本発明のやに除去用嗜好食品について説明する。
【0027】
本発明のやに除去用嗜好食品は、各種の嗜好食品中に、上記ベンジルアルコール(A成分)およびアセトイン(B成分)のうちの少なくとも一つを必須成分とするやに除去剤が添加されたものである。
【0028】
上記嗜好食品とは、口中に長く咀嚼等によって滞留する嗜好食品である、チューインガム、ソフトキャンディ、錠菓、グミキャンディのいずれかである。特に、歯や義歯等の表面から除去されたやにを取り込んで、再付着させることなく体外(口外)へ効果的に除去できる点で、チューインガムが最適である。
【0029】
そして、上記やに除去剤中の必須成分であるベンジルアルコール(A成分),アセトイン(B成分)は、単独であるいは2種組み合わせて用いられるが、なかでも、口中への刺激を抑えるという観点から、少なくともベンジルアルコール(A成分)を主成分として用いることが好ましい。ここで、主成分とは、やに除去剤の必須成分全体中の50重量%以上を占めている成分のことをいい、その成分のみからなる場合も含まれる。具体的には、主成分であるベンジルアルコール(A成分)がやに除去剤の必須成分全体中の50重量%以上を占める場合(A成分のみからなる場合も含む)には、口中への刺激を特に抑えることができるため好適である。
【0030】
本発明のやに除去用嗜好食品は、例えば上記やに除去剤と、各種の嗜好食品原料とを混合し、得られた混合物を用いて、従来公知の各種の嗜好食品の製造方法に従うことにより得られる。このようにして得られたやに除去用嗜好食品を喫食すると、歯や義歯等を傷めることなくそれらに付着した煙草等のやにや口臭を効果的に除去することができる。より具体的に説明すると、例えば、嗜好食品としてチューインガムを用いる場合は、まず、ニーダー中に通常のガムベース用原料を投入して溶融混合し、ガムベースを作製する。つぎに、上記ガムベースに対し糖類,色素等を添加して混合し、さらに上記やに除去剤,香料等を添加して混合する。そして、得られた混合物を適宜の形状に成形することにより、やに除去剤を含有するチューインガムが得られる。このようにして得られたチューインガムは、口中に含み、咀嚼することにより、歯や義歯等を傷めることなくそれらに付着した煙草等のやにや口臭を効果的に除去することができる。
【0031】
上記やに除去用嗜好食品は、やに除去剤中の必須成分(A成分,B成分)が、やに除去用嗜好食品全体中に0.01重量%以上の割合で含有されたものである。すなわち、0.01重量%未満であると、やに除去剤中の必須成分(A成分,B成分)が少なすぎて、歯や義歯等を傷めることなくそれらに付着したやにを除去するのが難しくなるおそれがあるからである。そして、より好適には、0.01〜10重量%の範囲であり、またチューインガム等の粘弾性嗜好食品においては、早期にやに除去の効果を発現させる点で、0.1〜10重量%の範囲にすると好適である。また、最適には、0.5〜5.0重量%の範囲である。すなわち、この範囲内であれば、やに除去効果に加えて、口中への刺激を抑え、嗜好食品本来の風味,食感を損なわないという効果が確実に得られるからである。
【0032】
また、上記やに除去剤中の必須成分としてベンジルアルコール(A成分)とアセトイン(B成分)とを併用した場合は、アセトイン(B成分)が、やに除去用嗜好食品全体中に0.05重量%以上、より好適には0.05〜10重量%、最適には0.1〜1.0重量%の割合で含有されていることが風味を損なうことなくやに除去効果を得るという観点から好ましい。
【0033】
なお、本発明のやに除去用嗜好食品は、各種の嗜好食品を芯材とし、その外表面に被覆層が形成された嗜好食品において、その被覆層中に上記やに除去剤が配合されてなるものであってもよい。このようなやに除去用嗜好食品は、例えば予め製造されたチューインガム等の嗜好食品の外表面に、上記やに除去剤(液体状等)をまぶしたり、コーティングしたりすることにより製造することができる。この態様であれば、口中に含んだ際、まず最初にやに除去剤を含む被覆層が歯や義歯等に接するため、より効果的にやにの除去が行えるという利点がある。例えば、チューインガムは、まず口中に含み、その後長く咀嚼し、最終的には口中から吐き出すものであるため、咀嚼時に、歯や義歯等に付着したやにに対しやに除去剤を含む被覆層が優先的に接することになり、やにの除去がより効果的に行えるという利点がある。
【0034】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0035】
【実施例1,2、参考例1、比較例1】
50容積%エタノール溶液に対し、つぎの濃度となるよう調製した。すなわち、ベンジルアルコール30容積%溶液(参考例1)、アセトイン30容積%溶液(実施例1)、ベンジルアルコールおよびアセトインをそれぞれ15容積%の割合で含有する溶液(実施例2)、水(比較例1)を準備し、これらを清掃用薬剤としてそれぞれやに付着壁紙の20cm四方に行き渡るように霧吹きで噴霧し、1分後に木綿布で拭き取った。なお、やに付着壁紙は、塩化ビニル製の壁紙に、煙草10本分の煙を吹き付けることにより作製した。
【0036】
このようにして処理されたやに付着壁紙の表面を、肉眼観察により下記の判定基準に従って判定し、その結果を下記の表1に示した。なお、コントロールとして、やにを付着させる前(煙草10本分の煙を吹き付ける前)の塩化ビニル製の壁紙を用いた。
(判定基準)
◎:コントロールと同等の状態である(やにが完全に除去されている)。
○:コントロールと略同等の状態である(やにが殆ど除去されている)。
×:汚れがひどい(やにが殆ど除去されていない)。
【0037】
【表1】
【0038】
上記表1の結果から、実施例品の清掃用薬剤は全て、壁紙に付着したやにを力を入れずに簡単に拭き取ることができ、不快な臭いも除去することができた。これに対し、比較例1品の清掃用薬剤は、壁紙に付着したやにを殆ど除去することができず、不快な臭いも除去できなかった。
【0039】
【実施例3〜8、比較例2】
下記の表2に示す各原料をニーダーを用いて混合した後、ブロック状(20mm×13mm×10mm)で重量約3.0g/個となるように成形して、チューインガムを作製した。なお、各実施例および比較例において、やに除去剤に関しては、同表に示す各成分を用い、その総含有割合をそれぞれ4重量%(実施例3)、1重量%(実施例4)、1重量%(実施例5)、0.1重量%(実施例6)、1重量%(実施例7)、10重量%(実施例8)に調製したものを用いた。また、やに除去剤を含有しないものを比較例2とした。
【0040】
このようにして得られた実施例品および比較例品のチューインガムについて、専門パネラー20名が10分間喫食して、風味,食感につき官能評価を行い、その結果を同表に併せて示した。なお、官能評価の評価基準は、以下のとおりとした。
〔風味、食感の評価基準〕
◎:チューインガム本来の風味,食感が損なわれておらず、大変良好である。
○:チューインガム本来の風味,食感が損なわれておらず、良好である。
△:チューインガム本来の風味,食感が損なわれていないが、風味,食感にやや劣る。
ただし、不快感はない。
×:チューインガム本来の風味,食感が損なわれており、風味,食感が悪い。
【0041】
また、やに除去効果については、つぎのようにして評価した。すなわち、まず、常習喫煙者21名(男性)を任意に選択し、3名づつ7つのグループに分けた後、全員に、通常の歯磨きをさせた。その後、指定の銘柄の煙草1本を喫煙させ、喫煙後に、1つのグループに実施例品および比較例品のチューインガムのうちの1種を与え、それぞれ5分間喫食させた。そして、これを煙草総本数5本となるまで繰り返した。なお、2本目からは歯磨きをさせなかった。その後、全員の上下の前歯の表裏(両面)をガーゼでこすり、歯の表面に付着したやにを採取し、ガーゼの着色度を肉眼観察により、下記の評価基準に従って、評価した。その結果を同表に併せて示した。
〔評価基準〕
◎:全く着色していない。
○:わずかに着色している。
△:やや着色が目立つ。
×:着色が非常に目立つ。
【0042】
【表2】
【0043】
上記表2の結果から、実施例品のチューインガムは全て、やに除去効果が高く、しかもチューインガム本来の風味,食感が損なわれておらず、良好であった。また、やに除去剤の総含有割合が同じである実施例4品,5品,7品を比較すると、アセトインをより多く含む実施例5品が最もやに除去効果が高かった。これに対し、比較例2品のチューインガムは、やに除去剤が含まれていないため、やに除去効果が殆どなく、好ましくなかった。
【0044】
【実施例9〜12、比較例3】
下記の表3に示す各原料を打錠して、1辺9mm×3辺、厚み4mm大の三角形状で重量0.34g/個となるように成形し、タブレットを作製した。なお、各実施例および比較例において、やに除去剤に関しては、同表に示す各成分を用い、その総含有量を、それぞれ0.01重量部(実施例9)、0.2重量部(実施例10)、0.5重量部(実施例11)、1.0重量部(実施例12)に調整したものを用いた。また、やに除去剤を含有しないものを比較例3とした。
【0045】
このようにして得られた実施例品および比較例品のタブレットについて、専門パネラー20名がそのタブレット2粒を口中にて5分間舐め、風味,食感につき、官能評価を行い、その結果を同表に併せて示した。なお、官能評価の評価基準は、以下のとおりとした。
〔風味、食感の評価基準〕
◎:タブレット本来の風味,食感が損なわれておらず、大変良好である。
○:タブレット本来の風味,食感が損なわれておらず、良好である。
△:タブレット本来の風味,食感が損なわれていないが、風味,食感にやや劣る。ただ
し、不快感はない。
×:タブレット本来の風味,食感が損なわれており、風味,食感が悪い。
【0046】
また、やに除去効果については、前記チューインガムに代え、タブレット2粒を用いた以外は、同様にして評価を行った。その結果を同表に併せて示した。なお、評価基準も同様とした。
【0047】
【表3】
【0048】
上記表3の結果から、実施例品のタブレットは全て、やに除去効果が高く、しかもタブレット本来の風味,食感が損なわれておらず、良好であった。これに対し、比較例3品のタブレットは、やに除去剤が含まれていないため、やに除去効果が殆どなく、好ましくなかった。
【0049】
【実施例13】
まず、ベンジルアルコールとアセトインが1:1(重量比)の割合で配合されてなるコーティング液を調製した。また、常法に従って、ガムベース40重量%,糖類59重量%,ミント香料1重量%の割合となるチューインガムを作製した。そして、得られたチューインガムの外表面を上記コーティング液でコーティングし、その後乾燥化して、被覆層を形成した。このようにして得られた被覆層付きチューインガムを、上記と同様の官能評価(風味,食感)をしたところ、良好な結果が得られた。また、上記と同様のやに除去効果を評価したところ、大変良好な結果が得られた。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明のやに除去剤は、ベンジルアルコール(A成分)およびアセトイン(B成分)のうち、少なくともアセトインを必須成分とするものであり、両成分はともにやに除去作用を備えたものであるため、壁や家具等、あるいは歯や義歯等を傷つけることなくこれらに付着した煙草等のやにを効果的に除去することができるものとなる。したがって、清掃用薬剤や嗜好食品等の各種の製品に添加すれば、やに除去効果を備えた製品を簡単に提供することができる。そして、上記ベンジルアルコール(A成分),アセトイン(B成分)は、揮発性成分でないため、従来のように、揮発を防止するための特別な包装,例えばポリビニルアルコール製フィルム等の被覆材を用いずとも、通常の包装で足りるという利点を有する。
【0051】
そして、上記やに除去剤を含有してなる清掃用薬剤であれば、壁や家具等を傷めることなくこれらに付着した煙草等のやにを有効に除去することができる。また、ベンジルアルコール(A成分)およびアセトイン(B成分)の少なくとも一方を必須成分とするやに除去剤を含有してなるやに除去用嗜好食品であれば、歯や義歯等を傷めることなくこれらに付着した煙草等のやにを有効に除去することができる。また、上記やに除去用嗜好食品であれば、歯磨剤等のように水を用いずともやにを除去することが可能であるため、場所や時間を選ばずに、やにを除去することができるという利点がある。また、上記やに除去用嗜好食品がやに除去剤を含有するチューインガム等の口中に長く滞留する嗜好食品である場合には、チューインガム等が咀嚼等によって口中に長く滞留することになることから、やに除去効果が特に高いものになるという利点がある。
Claims (5)
- 下記の(A)成分および(B)成分のうち、少なくとも(B)成分を必須成分とすることを特徴とするやに除去剤。
(A)ベンジルアルコール。
(B)アセトイン。 - 請求項1記載のやに除去剤が含有されてなることを特徴とする清掃用薬剤。
- チューインガム、ソフトキャンディ、錠菓、グミキャンディのいずれかであって、請求項1記載の(A)成分および(B)成分の少なくとも一方を必須成分とするやに除去剤を含有してなり、上記必須成分が全体に対し0.01重量%以上となる割合で含有されていることを特徴とするやに除去用嗜好食品。
- 上記やに除去用嗜好食品が、チューインガムである請求項3記載のやに除去用嗜好食品。
- 請求項3または4記載のやに除去用嗜好食品を口中に滞留させることにより、口中に付着したやにを除去することを特徴とするやに除去方法。
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