JP4505995B2 - 情報空間管理方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多数のクライアントが一つの情報空間を共有したり、一つの情報空間をグループ化してアクセスできるように情報空間を管理する情報空間管理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、インターネットやLAN(Local Area Network)といったネットワークの発達により、多数のユーザが一つの情報空間を共有することが可能となっている。例えば、ネットワークを介しての遠隔会議システムや、遠隔講義システムなどの実用化が可能となってきている。
【0003】
例として、インターネットを介して遠隔講義や遠隔会議を行う場合について考える。例えば、現在では、サーバから配信されたデータをユーザが受け取りながら同時に再生するようなストリーミング再生により、リアルタイムで音声および画像を伝送できる、RealMedia(商標)を用いて、インターネット放送が行われている。これを利用することにより、遠隔講義を行うことができる。
【0004】
また例えば、サーバにアクセスする複数のユーザの間で、並列的にテキストデータなどのデータのやりとりを行うことができる、Real Time Chatting Systemを用いて、互いにデータをやりとりし、意見交換すなわち会話を行うことで、遠隔会議を実現することができる。
【0005】
さらに、通常の講義や会議では、黒板やホワイトボードといった板書に相当する共有すべきコンテンツが存在する。これは、サーバに板書データに相当する画像データをアップロードし、各ユーザがその画像データを閲覧することで、実現が可能である。これに限らず、GCP(Global Computing Platform)と称されるサーバレスのシステムでも、NePre(ネットワークプレゼンテーション)の如く、実現することが可能となりつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際の会議や講義の形態は、常に一意であるとは限らない。上述した従来のシステムでは、上述した形態以外の他の形態に対応することができないという問題点があった。
【0007】
一例として、講義では、講義者が多数の受講者に向けて一方的に情報を提供するという形態の他に、例えば学校などで、講義と演習とを共に行い、演習中には受講者によって形成された複数のグループによるグループ学習を行うという形態が存在する。この形態では、講義者から受講者への情報提供と共に、グループ内での情報交換と、複数のグループから講義者への情報提供とが行われることになる。上述の従来のシステムでは、このような、一つの情報空間を全体で共有したり、グループ化したりするような形態には対応できないという問題点があった。
【0008】
また、このグループ学習が行われる講義におけるコンテンツ共有について考える。まず、講義者により提供されたコンテンツは、受講者全員に共有される必要がある。一方、グループ内のコンテンツは、グループ内のメンバ全員に共有される必要があるが、必ずしも講義者に対して共有される必要はない。また、例えばグループによってまとめられたコンテンツは、各グループと講義者とで共有される。上述の従来のシステムでは、このような、全体で共有されるコンテンツと、グループ単位で共有されるコンテンツとを同時に管理、運用することが難しいという問題点があった。
【0009】
したがって、この発明の目的は、会議や講義などにおける可能な形態に適した会話(情報交換)のための情報空間を構成できるような情報空間管理方法および装置を提供することにある。
【0010】
この発明は、上述した課題を解決するために、複数の情報処理装置間で双方向に通信を行えるようにされたネットワーク上に構成される情報空間を管理する情報空間管理装置において、ユーザに対してHTTPによるサービスを提供するHTTPサーバと、ユーザから発信されたチャットメッセージの交換を行い、さらに、ユーザに対するブラウザコントロールを行うことによりユーザにチャットサービスを提供するチャットサーバと、ユーザに対する権限の設定を行うことによりモデレータおよびユーザの権限を設定するユーザ管理アプリケーションと、HTTPサーバに読み込まれることにより情報空間が設定されるhtmlファイルを作成する情報空間管理アプリケーションとを格納するアプリケーションサーバとを備え、ユーザの権限に応じてチャットメッセージおよびブラウザコントロールの到達範囲を制限することにより情報空間における階層構造が実現され、情報空間内では、ユーザのそれぞれがユーザの感情および状態を示すアバタで表現される情報空間管理装置である。
【0011】
また、この発明は、複数の情報処理装置間で双方向に通信を行えるようにされたネットワーク上に構成される情報空間を管理する情報空間管理装置において、ユーザに対してHTTPによるサービスを提供するHTTPサーバと、ユーザから発信されたチャットメッセージの交換を行い、さらに、ユーザに対するブラウザコントロールを行うことによりユーザにチャットサービスを提供するチャットサーバと、ユーザの権限を設定するユーザ管理アプリケーションと、HTTPサーバに読み込まれることにより情報空間が設定されるhtmlファイルを作成する情報空間管理アプリケーションとを格納するアプリケーションサーバとを備え、ユーザの権限に応じてチャットメッセージおよびブラウザコントロールの到達範囲を制限することにより情報空間における階層構造が実現され情報空間管理アプリケーションは、情報空間の機能に基づき、アクセスするユーザのうち1から多に情報が供給される第1の情報空間と、アクセスするユーザ間で互いに情報のやりとりが可能な第2の情報空間と、アクセスするユーザが1のみで外部と情報のやりとりがなされない第3の情報空間と、第1および第2の情報空間が複合された第4の情報空間とに分類されて情報空間が設定されるようにhtmlファイルを作成する情報空間管理装置である。
【0014】
上述したように、この発明は、ネットワーク上に情報空間を定義するモデレータが生成され、モデレータは、定義した情報空間に対して全ての権限を有するようにされているため、情報空間の制御が容易に行える。
【0015】
また、この発明は、情報空間が、情報空間の機能に基づき、アクセスするユーザのうち1から多に情報が供給される第1の情報空間と、アクセスするユーザ間で互いに情報のやりとりが可能な第2の情報空間と、アクセスするユーザが1のみで外部と情報のやりとりがなされない第3の情報空間と、第1および第2の情報空間が融合された第4の情報空間とに分類されて定義されるため、会議の形態に適した情報空間を構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態について説明する。この発明では、ネットワーク上に構成される情報空間に対し、会議や講義の概念を幾つかに定義し、定義されたそれぞれの概念の中でのメンバの役割を特定する。そして、そのメンバの役割の中に、「モデレータ」という概念を導入する。この「モデレータ」の動きを用いて、定義されたそれぞれの概念を象徴化し、これにより、情報空間の管理を行う。
【0017】
また、この発明では、情報空間で扱われるコンテンツの管理において、情報空間に参加しているメンバは、共同で同じコンテンツ(例えばファイル)を見ることができるようにされる。また、このコンテンツの書き替えおよび差し替えがメンバによって可能とされる。さらに、コンテンツは、情報空間に参加しているメンバの誰もが扱うことが可能とされ、コンテンツの取り扱いのレベルがフレキシブルとされる。
【0018】
図1は、この発明に適用できる一例のシステムを概略的に示す。複数のユーザ2、2、・・・によってそれぞれ操作される、パーソナルコンピュータなどの情報端末からなるクライアント装置3、3、・・・が通信ネットワーク1に接続される。通信ネットワーク1は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)のような、双方向で通信を行うことができるようにされた通信手段である。
【0019】
双方向の通信ネットワーク1に対して、このようにクライアント装置3、3、・・・が接続されることで、通信ネットワーク1によって形成される情報空間を、クライアント装置3、3、・・・で共有することができる。このような情報空間には、複数のクライアント装置3、3、・・・から同時および並列的にアクセスが可能で、アクセスされた複数のクライアント装置3、3、・・・の間で情報の共有が可能である。
【0020】
なお、通信ネットワーク1に対して、所定のサービスを提供するサーバ4を接続することもできる。以下では、通信ネットワーク1にはサーバ4が接続され、通信ネットワーク1を介してなされる全てのサービスは、サーバ4から提供されるものとする。なお、サーバ4は、この発明の構成においては、省略することができる。
【0021】
情報空間は、既存の概念では、例えば同時および並列的にアクセスしている複数のユーザ間でのテキストデータなどによる会話を楽しめるようにされた、所謂チャットシステムや、例えば複数のユーザによりなされた発言などが一覧で表示され、表示された発言に対してさらに発言を加えることができるようにされた、所謂掲示板システムなどに相当する。
【0022】
システムがサーバ4を擁する場合、例えば、クライアント装置3、3、・・・がそれぞれサーバ4と通信を行い、サーバ4上に構築される情報空間に共にアクセスすることで、クライアント装置3、3、・・・間で情報空間が共有される。サーバ4が省略されているシステムでは、例えば、クライアント装置3、3、・・・にそれぞれ構築される情報空間を、通信ネットワーク1を介して仮想的に結合することで、クライアント装置3、3、・・・による情報空間の共有を実現することができる。
【0023】
この発明では、モデレータと称される概念を導入し、モデレータにより通信ネットワーク1上に情報空間が立ち上げられる。実際には、例えば情報空間を立ち上げるために用いられたクライアント装置3の操作を行ったユーザ2の、立ち上げられた当該情報空間内での仮想的な存在がモデレータである。モデレータは、立ち上げられた情報空間に参加してくる非モデレータに対して所定の制限を与える権限を有する。なお、モデレータは、必ずしもユーザ2を伴う必要はない。例えば、情報空間をコンピュータプログラムによって自動的に立ち上がるようにすることで、モデレータそのものを情報空間内に仮想的に存在させることができる。
【0024】
なお、情報空間の立ち上げは、例えばクライアント装置3やサーバ4を用いてその情報空間の属性情報などの設定をネットワーク1に対して行い、ネットワーク1上に情報空間を定義することでなされる。
【0025】
この発明においては、一つの情報空間に対して、その情報空間に包含される部分情報空間を立ち上げることができる。立ち上げられた部分情報空間も、一つの情報空間である。すなわち、部分情報空間の下位に、さらに部分情報空間を立ち上げることができる。部分情報空間は、上位の情報空間に属し、上位の情報空間の情報を共有する。部分情報空間は、上位の情報空間が無くなると共に消滅するようにできる。また、部分情報空間は、属していた上位の情報空間が無くなっても消滅しないようにもできる。
【0026】
部分情報空間も、上述のデフォルトの情報空間の場合と同様に、当該部分情報空間を立ち上げる発起人が必要である。この発起人は、上述と同様に、当該部分情報空間のモデレータと称される。
【0027】
情報空間(部分情報空間)には、下記に示すような幾種類かの形態が考えられる。
(1)教室型
(2)円卓会議型
(3)自習型
(4)教室型と円卓会議型の複合型(以降、「複合型」と称する)
【0028】
図2〜図5は、これら4種類の形態を模式的に示す。なお、以降では、通信ネットワーク1においてデフォルトに存在する情報空間の直下に形成される部分情報空間を、便宜上、情報空間と称し、この情報空間の下に形成される部分情報空間と区別するものとする。
【0029】
(1)の教室型は、例えば一人の講義者に対して多数の受講者が存在する形態である。教室型においては、情報は、講義者(教師など)から受講者(生徒など)に対して一方的に与えられ、講義者が提示する情報は、受講者に共有される。
【0030】
例えば、図2に一例が示されるように、講義者11であるモデレータは、いわばこの情報空間の主催者であって、この情報空間10においては絶対的な存在である。講義者11から受講者12、12、・・・に対して発言および資料(コンテンツ)の提示という形で一方的に情報が提供される。資料の提示は、実際の講義などに準えていうと、例えば黒板やホワイトボードなどの板書13による記述である。
【0031】
(2)の円卓会議型は、参加している複数のユーザ全員が情報を共有する形態である。円卓会議型においては、情報は、参加ユーザ全員に共有されると共に、参加ユーザ全員から情報の提供がなされ、参加ユーザ同士での情報交換を行うことができる。
【0032】
例えば、図3に一例が示されるように、円卓会議型においては、一つの情報空間10に対して複数の部分情報空間14、14、・・・が存在する。部分情報空間14、14、・・・のそれぞれでは、部分情報空間14に参加している各ユーザ15、15、・・・に対して、平等に発言の機会が与えられる。部分情報空間14に参加しているユーザの一人を、その部分情報空間14におけるリーダ16とすることもできる。
【0033】
円卓会議型では、実際の会議などに準えて、板書13’などの形態で当該部分情報空間に参加している各ユーザ間で情報を共有し、資料の提示などを行うことができる。この場合、板書13’に対する記述は、時系列に沿ってシリアルになされるのに限らず、例えば想定される完成形に向けて、各部から書き込むようにもできる。
【0034】
(3)の自習型は、各ユーザがそれぞれ個別に情報空間を立ち上げ、各ユーザは、各ユーザ毎の情報空間内だけで情報を扱う形態である。この自習型の場合には、各ユーザ毎の情報空間は、デフォルトの情報空間に対する部分情報空間である必要は無い。さらに、自習型では、クライアント装置3がネットワーク1に接続されている必要も無い。図4は、自習型の一例の形態を示す。自習型では、このように、情報空間10において各ユーザ18、18、・・・がそれぞれ完結する。
【0035】
(4)の複合型は、例えば教室などで講義が行われている際に、その講義の中でグループでの演習が行われるような形態である。図5に一例が示されるように、情報空間10の中に、部分情報空間14、14、・・・が存在する。すなわち、部分情報空間14、14、・・・は、より上位の情報空間10に属している。
【0036】
部分情報空間14、14、・・・に参加しているユーザ15、15、・・・は、上位の情報空間10のメンバである。上位の情報空間10のモデレータ(例えば講義者11)は、上述した教室型と同様に、当該情報空間10および下位の部分情報空間14、14、・・・に対して絶対的な存在とされる。モデレータ(講義者11)により提示される情報やコンテンツは、各部分情報空間(各グループ)14、14、・・・に共有される。それと共に、モデレータ(講義者11)から提示される情報やコンテンツは、各部分情報空間14、14、・・・に参加しているユーザ15、15、・・・に共有される。
【0037】
一方、情報空間10に属する各部分情報空間14、14、・・・は、上述した円卓会議型と同様に、部分情報空間14、14、・・・のそれぞれにおいて、参加している各ユーザ15、15、・・・間で情報やコンテンツが部分情報空間毎に共有される。各部分情報空間14、14、・・・で共有される情報は、上位の情報空間10のモデレータ(講義者11)との間で共有される。各部分情報空間14、14、・・・間での情報の共有は、なされない。
【0038】
これらの4種類の形態を実現することで、現実に存在する会議、講義および演習などの形態を漏らさずに、情報空間として提供することができる。
【0039】
上述したように、この発明では、情報空間が階層的に構成される。図6は、この情報空間の階層構造をモデル化して示す。ここでは、この発明によるシステムを、学校の教室における授業に適用してモデル化している。なお、以降の説明は、この学校の教室における授業のモデルに基づき行う。
【0040】
図6の場合、授業が行われる各教室20、20’、・・・は、それぞれが、通信ネットワーク1上に形成されたデフォルトの情報空間に属する部分情報空間としての情報空間10である。一つの情報空間10中に、情報空間10の下位の情報空間として、複数の部分情報空間14が属することができる。この図6の例では、情報空間10としての教室20内に、部分情報空間14としての円卓21が複数、属している。
【0041】
教室20の中には、ユーザ22、22、・・・が存在する。ユーザ22、22、・・・は、クライアント装置3を用いて通信ネットワーク1に接続しているユーザ2、2、・・・の、情報空間内での仮想的な存在である。情報空間10として授業を行う教室20が適用されているこの例では、ユーザ22、22、・・・のうち少なくとも一人(ユーザ22’とする)は、例えば教師であり、その他のユーザ22、22、・・・は、例えば生徒である。ユーザ22、22、・・・の一部は円卓21のメンバであり、別の一部は円卓21’のメンバである。また、ユーザ22、22、・・・のうちさらに別の一部は、教室20には属するが円卓21および21’には属していないメンバである。
【0042】
また、この図6の例では、情報空間10である教室20に対して主モデレータAが置かれると共に、追加モデレータA’が置かれている。主モデレータAは、例えば、教室20の場合には、システム管理者が指名したユーザ22’であり、円卓21の場合には、その円卓を作成したユーザ22”が主モデレータBとされる。これに対して、追加モデレータは、他のモデレータから指名されたモデレータである。教室20においては、主モデレータAに対して追加モデレータA’が指名される。同様に、円卓21Aにおいては、主モデレータBに対して追加モデレータB’が指名される。
【0043】
さらに、この図6においては、デフォルトの情報空間に対して、情報空間10としての教室20の他に、他の情報空間10としての他の教室20’がさらに存在する。他の教室20’も、教室20と同様に、ユーザ22、22、・・・を擁する。なお、この図6において、他の教室20’のモデレータは省略されている。他の教室20’と教室20とは、互いに独立した情報空間10として存在し、例えば他の教室20’と教室20との間では、情報交換および情報やコンテンツの共有は、なされない。
【0044】
さらにまた、図6の例では、教室20および20’の外にも、ユーザ22、22、・・・が存在する。これらユーザ22、22、・・・は、ユーザ22それ自身で情報空間が完結する存在であって、システム上で互いに情報が交換されない。また、教室外にモデレータを置く必要は、無い。
【0045】
このように、この発明においては、参加者の分離および融合を、自在に行うことができる。参加者の教室20や円卓21への参加および教室20や円卓21からの離脱が自在にできると共に、参加者の階層的なグループ分けも可能とされている。このためには、システムは、参加者のグループへの帰属状態を常に認識している必要がある。
【0046】
より具体的には、例えばシステムにおいてグループ管理のためにデーモンプログラムが一つ起動され、
グループ1=(グループ2,グループ3)
グループ2=Aさん,Bさん,Cさん
グループ3=Aさん,Dさん,Eさん
このようにグループ管理される。この管理をリアルタイムで行うことで、参加者の階層的なグループ管理を実現することができる。階層は、さらに多層とすることができる。
【0047】
通信ネットワーク1上で上述のような構成が実現される場合、ユーザ2は、クライアント装置3上で動作するブラウザと称されるアプリケーションソフトウェアを用いて、情報空間10および/または部分情報空間14に存在する情報やコンテンツの閲覧、ならびに、情報やコンテンツの提供を行う。これら、ブラウザによるコンテンツや情報の閲覧、提供の際に、後述する所定の制限の下、モデレータにより各ユーザのアクセス制御がなされる。
【0048】
また、ユーザ間やユーザとモデレータ間における、例えばテキストデータなどによる意見交換は、ブラウザ上で略リアルタイムでのテキスト情報などの入力や表示などが可能とされたチャットシステムによって実現が可能である。チャットシステムは、クライアント装置3においては、チャットクライアントソフトウェア(以降、チャットクライアントと略称する)によって利用される。チャットクライアントは、後述する所定の制限の下にアクセス制御がなされる。
【0049】
チャットクライアントは、例えばブラウザに組み込まれ、所定の表示などを行うようにブラウザを制御する。したがって、チャットクライアントによるチャットは、実際には、ブラウザ上でなされる。
【0050】
この発明の実施の一形態では、モデレータに、他のユーザが用いるブラウザをコントロールする権限を持たせる。例えば、モデレータは、自分のブラウザを用いて、コントロール対象となるブラウザに対し、起動や終了の制御、アクセス先の指定を行うことができるようにされる。
【0051】
上位の情報空間(例えば情報空間10)のモデレータは、下位の情報空間(例えば部分情報空間14)のモデレータに対してブラウザコントロールの権限を持つ。一方、下位の情報空間のモデレータは、上位の情報空間のモデレータに対するブラウザコントロールの権限を持たない。また、モデレータは、自分がモデレータである情報空間あるいはその情報空間の下位の情報空間に参加している他のユーザに対して、ブラウザコントロールの権限を有する。このようにモデレータの権限を定義することで、上述したような、情報空間10や部分情報空間14の構築および制御が可能となる。
【0052】
図7は、ユーザおよび各レベルのモデレータの、チャットメッセージおよびブラウザコントロールの到達範囲の例を示す。上述の図6の例に倣い、教室20および円卓21における、チャットメッセージおよびブラウザコントロールの発信場所と、発信場所に対する受信可能な受信場所との関係を示す。
【0053】
発信場所および受信場所としては、教室20外、教室20内、円卓21内および「どこでも」(当該情報空間内の任意の場所)が想定される。ユーザ種別は、教室20の内外および円卓21の内外において、モデレータ、モデレータ以外および「誰でも」(任意のユーザ種)が想定されている。モデレータは、主モデレータおよび追加モデレータを含む。ユーザ種別に応じて、発信場所に対する受信可能な場所が制限される。
【0054】
先ず、自分自身、すなわち、クライアント装置3自身は、自分が発したチャットメッセージを、当該情報空間内の任意の場所で受信可能である。また、自分が発したブラウザコントロールを、当該情報空間内の任意の場所で受信可能である。一方、教室20内および円卓21内から発せられたチャットメッセージおよびブラウザコントロールは、教室20外の誰も受信できない。つまり、チャットメッセージおよびブラウザコントロールは、教室20、すなわち一つの情報空間10内で閉じている。また、教室20外で発せられたチャットメッセージおよびブラウザコントロールは、自分自身以外の誰にも受信されない。
【0055】
チャットメッセージに関して、教室20のモデレータAおよびA’は、教室20内の任意の相手に発信することができる。教室20内に存在し、且つ、円卓21内に存在しないユーザ(例えば図6のユーザC)は、当該ユーザ同士あるいは教室20のモデレータAおよびA’のみとチャットメッセージの交換ができる。すなわち、円卓21は、教室20のモデレータAおよびA’以外に対して、閉じている。
【0056】
一方、円卓21内では、円卓21のモデレータB、B’およびその円卓21のユーザ(例えば図6のユーザD)間で、自由にチャットメッセージの交換を行うことができる。
【0057】
ブラウザコントロールに関して、モデレータだけがブラウザコントロールの権限を有する。教室20のモデレータAおよびA’は、その教室20に属する円卓21内に存在するユーザも含めた教室の全てのユーザ22、22、・・・に対して、ブラウザコントロールの権限を有する。また、円卓21内では、円卓21のモデレータB、B’がその円卓21内に存在する全てのユーザ22、22、・・・に対して、ブラウザコントロールの権限を有する。
【0058】
一方、モデレータA、A’、BおよびB’以外のユーザは、自分自身以外のブラウザに対して、ブラウザコントロールの権限を有していない。
【0059】
このように、ユーザの権限に応じて、チャットメッセージおよびブラウザコントロールの到達範囲を制限することで、情報空間10における階層構造を実現することができる。
【0060】
図8に上述した図1の構成をより具体的に示し、この発明の実施の一形態による一例のシステムについて、より具体的に説明する。クライアント装置3は、例えばパーソナルコンピュータであって、ブラウザ100およびチャットクライアント101の2つのソフトウェアが搭載されている。クライアント装置3は、ユーザ2に操作される。
【0061】
なお、モデレータと非モデレータとは、同様の構成のクライアント装置3を用いることができる。
【0062】
サーバ4は、互いに接続された4つのサーバであるHTTPサーバ200、チャットサーバ201、APサーバ202およびデータベースサーバ203から構成される。これらのサーバ200、201、202および203は、1台のコンピュータによって構成することもできる。
【0063】
HTTPサーバ200は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)によるサービスを提供するサーバである。HTTPサーバ200では、クライアント装置3におけるブラウザ100からの要求に対して、指定されたHTML(Hyper-Text Markup Language)ファイルを読み込み、返答メッセージを返す。HTTPサーバ200に対してアクセスがなされた、あるいは、HTTPサーバ200がアクセスしたURL(Uniform Resource Locator)のログは、後述するデータベースサーバ203に渡され、URLログデータベース220に格納される。
【0064】
教室において行われる授業がモデル化されたこの図8の例では、HTTPサーバ200から各ユーザのブラウザ100に対して送られるコンテンツは、例えば教材である。一例として、教室20のモデレータAである教師は、教室20に存在する他のユーザに対して所定の教材をコンテンツとして提供する。提供された教材は、各ユーザによって共有される。教材は、例えば教材オーサリング部211により作成され、教材データベース210に所定に格納される。HTTPサーバ200は、ブラウザ100からの要求に応じて所定のHTMLを読み込み、読み込まれたHTMLファイルの記述に従い、教材データベース210に格納された教材を読み出し、ブラウザ100に対して所定に送信する。
【0065】
チャットサーバ201は、チャットクライアント101に対してチャットサービスを提供する。チャットクライアント101は、チャットサーバ201に対して送信されたログイン要求が受け付けられ、認証されて、チャットが行えるようにされる。ログイン中のユーザやモデレータは、チャットサーバ201に管理される。
【0066】
チャットに参加しているユーザは、チャットサーバ201において、その属しているグループが動的に管理される。この場合、グループは、図6の例でいうと、教室20、20’、・・・、円卓21、21’、・・・などの、情報空間10や部分情報空間14を指す。すなわち、グループの動的な管理により、例えば教室20や円卓21に参加しているユーザは、教室20や円卓21から自由に抜けられる。また、教室20に参加しているユーザは、教室20内に、自由に他の円卓21’を作成することができる。円卓21’を作成したユーザ22は、上述したように、作成された円卓21’のモデレータになる。
【0067】
なお、円卓21、21’、・・・は、その円卓に参加しているユーザ22、22、・・・が全て居なくなったら、教室20、20’・・・内から削除される。
【0068】
チャットサーバ201は、上述のように、チャットに参加しているユーザのグループを動的に管理すると共に、そのグループに基づき、チャットによるメッセージ交換の範囲を、図7で示されるように制御する。チャットサーバ201では、このメッセージ交換の範囲に基づき、ユーザから発信されたメッセージの交換を行う。それと共に、チャットサーバ201は、チャットに参加している各ユーザのブラウザ100に対するブラウザコントロールも、そのサーバが属するグループに応じて、図7で示されるように管理する。
【0069】
各ユーザによってなされたチャットのログは、後述するデータベースサーバ203に供給され、チャットログデータベース221に記録される。
【0070】
なお、この図8の例では、チャットサーバ201は、所定に指定されたシナリオをチャットに参加しているユーザに提示し、そのシナリオに沿った議論ができるようにされている。シナリオは、シナリオデータベース223に格納される。例えば、教室20における主モデレータであるモデレータA(ユーザ22’)から、ブラウザ100によってHTTPサーバ200にシナリオの指示がなされる。この指示は、HTTPサーバ200からチャットサーバ201に渡され、チャットサーバ201は、渡された指示に基づきシナリオデータベース223を検索し、所定のシナリオを得る。このシナリオがチャットサーバ201から各ユーザのチャットクライアント101に送られ、クライアント装置3において、例えばシナリオに沿った表示がなされる。
【0071】
また、チャットサーバ201では、チャットログデータベース221に格納されたチャットのログに基づき、各ユーザ22、22、・・・の進捗率を求めることができる。進捗率の評価は、指定された進捗評価アルゴリズムによって計算される。
【0072】
APサーバ202は、アプリケーションサーバであって、ユーザ管理、コンテンツ管理、シナリオ管理、教室管理、進捗管理、ログインおよびメニューの各アプリケーションが格納される。APサーバ202に格納された各アプリケーションは、URLに基づき管理される。HTTPサーバ200に対するURL要求に基づき、APサーバ202において、これらのアプリケーションが起動される。
【0073】
ユーザ管理アプリケーションは、このシステムに参加するユーザの管理を行う。例えば、ユーザ管理アプリケーションにより、このシステムにログインするためのパスワードやユーザの属性情報などによるユーザ情報のユーザ情報データベース222への登録や、データベース222に登録されたユーザ情報の更新および削除などを行うように、データベースサーバ203に指示が与えられる。ユーザのパスワードの変更なども、同様にして、ユーザ管理アプリケーションから行われる。さらに、ユーザに対する権限の設定がユーザ管理アプリケーションによって行われる。例えば、ユーザ管理アプリケーションによって、教室20および円卓21それぞれにおけるモデレータおよび非モデレータの権限が動的に設定される。
【0074】
コンテンツ管理アプリケーションは、HTTPサーバ200によりユーザに提供されるコンテンツの管理を行う。例えば、コンテンツ管理アプリケーションによって、コンテンツの登録、更新および削除が行われる。
【0075】
シナリオ管理アプリケーションは、チャットサーバ201によりユーザに提供されるシナリオの管理を行う。例えば、シナリオ管理アプリケーションにより、シナリオデータベース223に対するシナリオの登録や、データベース223に登録された更新および削除などを行うように、データベースサーバ203に指示が与えられる。
【0076】
教室管理アプリケーションは、教室20の管理を行う。例えば、教室管理アプリケーションにおいて、所定のHTMLファイルが作成される。このHTMLファイルがHTTPサーバ200に読み込まれることで、ユーザに対してコンテンツやチャットシステムが提供可能な状態となり、情報空間10が設定される。設定されたこの情報空間10が、教室20となる。このように作成された教室20には、名前を付けることが可能である。また、教室管理アプリケーションでは、作成された教室20の更新や削除が行われる。さらに、教室管理アプリケーションにおいて、作成された教室20に対するモデレータAが指定される。
【0077】
進捗管理アプリケーションでは、教室20においてなされる授業などの進捗状況が管理される。例えば、上述したように、進捗管理アプリケーションで、チャットログ221に基づき進捗が解析される。さらに、進捗管理アプリケーションでは、解析された進捗情報を進捗情報データベース224に格納するようにデータベースサーバ203に指示が出される。
【0078】
また、APサーバ202では、ユーザのログインを行い、セッションを管理すると共に、上述したAPサーバ202で管理される各アプリケーションを起動するためのメニューが表示される。
【0079】
データベースサーバ203は、上述した各アプリケーションで使用されるデータベース、すなわち、URLログデータベース220、チャットログデータベース221、ユーザ情報データベース222、シナリオデータベース223および進捗情報データベース224の管理を行う。
【0080】
チャットクライアント101について、より詳細に説明する。上述したように、チャットクライアント101は、例えばブラウザ100に組み込まれ、チャットサーバ201と通信を行うと共に、ブラウザ100に対して所定の表示などを行うように指示を与える。チャットクライアント101は、GUI(Graphical User Interface)、通信機能、ブラウザ制御機能、設定機能およびプロキシ機能を有する。
【0081】
これらのうち、通信機能は、チャットサーバ201との通信を行う機能である。ブラウザ制御機能は、チャットサーバ201から受信したコントロールデータに応じてブラウザ100を制御する。設定機能は、クライアント装置3側での、例えばサーバ4のアドレス指定などの各種設定を行う。プロキシ機能は、代理サーバ(Proxy Server)に対応するための機能である。
【0082】
図9〜図12に、チャットクライアント101のGUIによるクライアント装置3に対する表示画面の例を示し、チャットクライアント101のGUIについて説明する。チャットクライアント101において、GUIによってログインおよびログアウトがなされる。図9は、あるユーザのクライアント装置3に対して、チャットクライアント101により表示される、ログインを行うログイン画面300の一例を示す。入力枠301および302に、ユーザ名およびパスワードをそれぞれ入力し、ボタン303を押すことで、ログインすることができる。
【0083】
ログインした直後は、ユーザは、教室20外に存在するものとされる。例えば、ログイン直後のユーザは、単にネットワーク1にアクセス可能な状態になっただけである。これは、上述した情報空間の4種類の形態のうち(3)の自習型に相当する。
【0084】
図10は、ログイン画面300で所定の入力を行い、ボタン303を押した直後の教室外画面310の一例を示す。表示部311に、現在ネットワーク1にアクセスしているユーザが一覧で表示される。このとき、ユーザ毎にマークを選択して表示させることができる。この、ユーザを表すマークを、アバタ(Avatar)と称する。例えば、アバタは、ユーザにより、アバタ選択欄314に一覧表示された数種類のアバタの中から好みのものが選択される。アバタの選択は、ユーザ毎になされる。
【0085】
なお、図10では、アバタ選択欄314に、3種類のアバタが表示されているが、これはこの例に限らず、さらに多種類のアバタを表示させるようにしてもよい。
【0086】
アバタをユーザ毎に選択し表示することで、ユーザの識別を直感的に行うことができるようになる。さらに、喜怒哀楽(笑、恥、怒、泣、驚)などのユーザの感情を表現するアバタを用意し、ユーザが状況に応じてこれらのアバタから適当なものを選択する頃で、ユーザの感情を表現することができる。同様に、「OK」、「Yes」、「No」、「待って」などを示すアバタを用意することで、ユーザの判断や要求をアバタで表現することができる。さらに、「教室外」、「着席(教室内)」、「離席(教室内)」などの、ユーザの状態を示すアバタを用意することもできる。これらのアバタを選択する操作部分を、GUIとして新たに設けることも可能である。
【0087】
また、アバタは、上述の各種類毎の画像データをそれぞれ用意するのに限らず、例えば基本となる画像データを所定に変化させて、様々な表現を行わせるようにもできる。
【0088】
なお、アバタの表示は、チャットサーバ201から送信されたコントロールデータによっても変更することができる。
【0089】
教室外画面310の表示部311では、ユーザの名前とアバタ表示の他に、ユーザが何処に、すなわち、どの教室およびどの円卓に属しているかが表示される。
【0090】
教室外画面310の右側に、チャット画面312Aおよび312Bが表示される。チャット画面312Bは、発言の入力画面である。チャット画面312Aは、他のユーザによる発言とチャット画面312Bによって入力された自分の発言とが、時系列に沿って、略リアルタイムで表示される。なお、図7を用いて既に説明したように、教室20外では、自分以外の他のユーザとチャットメッセージを交換することができない。そのため、教室外画面310では、チャット画面312Aは、空白とされる。
【0091】
教室外画面310において、ボタン313を押すことで、教室20に参加することができる。例えば、ボタン313を押すと、現在立ち上がっている教室20、20、・・・が一覧で表示される。ユーザは、その一覧表示の中から、自分が参加したい教室20を所定に選択し、選択された教室20に参加することができる。
【0092】
図11は、ユーザがある教室20を選択し、その教室20に参加したときの、教室内画面320の一例を示す。表示部321に、現在当該ユーザが参加している教室名が表示される。表示部322には、現在その教室20に参加しているユーザ22、22,・・・が表示される。この図11では、ユーザの表示は、アバタと名前によってなされる。自分に対応したユーザ表示に限り、例えばマウスなどのポインティングデバイスを用いて、表示位置を表示部322内で移動させることができる。
【0093】
上述したように、ユーザは、教室内画面320において、アバタ選択欄314を所定に操作することで、操作を行ったユーザ22自身に対応したアバタ表示を変化させ、ユーザ22の状態や喜怒哀楽などを表現することができる。
【0094】
また、教室20に参加しているユーザ22、22、・・・が、教室20に属する円卓21にさらに参加していることが考えられる。このとき、そのユーザ22を示すアバタは、教室20内にいて円卓21に参加していない他のユーザ22のアバタとは、異なる表示とすることが好ましい。例えば、チャットサーバ201から各クライアント装置3に対して、当該ユーザのアバタ表示を変化させるようなコントロールデータが送信される。各クライアント装置3によりこのコントロールデータが受信され、チャットクライアント101により、当該アバタ表示が変化される。
【0095】
一方、ユーザ22が教室20に参加することで、当該ユーザは、教室20に参加している他のユーザ22、22、・・・との間でチャットを行うことができる。チャット画面312Aによりなされているチャットに対して、チャット画面312Bから発言を入力すると、チャット画面312Aの表示に、チャット画面312Bから入力された発言がその発言を行ったユーザ名と共に、追加されて表示される。
【0096】
教室内画面320において、ボタン324を押すことで、円卓21に参加することができる。例えば、ボタン324を押すと、現在立ち上がっている円卓21、21、・・・が一覧で表示される。ユーザ22は、その一覧表示の中から、自分が参加したい円卓21を所定に選択することで、その円卓21に参加することができる。
【0097】
また、教室内画面320では、所定の操作により、円卓21を教室20内に新規に作成することができる。作成された円卓21には、名前を付けることができる。円卓21を新規に作成したユーザ22は、その円卓21の主モデレータBとされる。作成された円卓21は、上述した円卓のリストに加えられる。
【0098】
さらに、教室20の主モデレータAは、教室内画面320において、表示部322に表示されているユーザ表示に対して所定の操作を行うことで、操作の対象となったユーザ22を追加モデレータA’として指定することができる。例えば、マウスなどのポインティングデバイスを用いて対象となるユーザ表示を指定し、所定の操作を行うことで、当該ユーザ22が追加モデレータA’として指定される。
【0099】
なお、教室内画面320において、ボタン323を操作することによって、教室外画面310が表示され、教室20から抜けることができる。
【0100】
図12は、ユーザがある円卓21を選択し、その円卓21に参加したときの、円卓画面330の一例を示す。表示部331には、この円卓画面330による円卓名と、当該円卓21が存在する教室20の教室名とが表示される。表示部332には、当該円卓21に参加しているユーザ22、22、・・・が表示される。この図12の例では、各ユーザ22、22、・・・がアバタと名前により表され、表示部332内の任意の位置に表示される。自分に対応したユーザ表示に限り、例えばマウスなどのポインティングデバイスを用いることで、表示位置を表示部332内で移動させることができる。
【0101】
円卓21の主モデレータBは、円卓画面330において、表示部332に表示されているユーザ表示に対して所定の操作を行うことで、操作の対象となったユーザ22を追加モデレータB’として指定することができる。例えば、マウスなどのポインティングデバイスを用いて対象となるユーザ表示を指定し、所定の操作を行うことで、当該ユーザ22が追加モデレータB’として指定される。
【0102】
チャット画面312Aおよび312Bによる円卓画面330におけるチャットは、上述の図7に従い、同じ円卓21内のメンバ間で行うことができると共に、この円卓21が属する教室20のモデレータA、A’との間で行うことができる。
【0103】
なお、円卓画面330において、ボタン333を操作することによって、教室内画面320が表示され、円卓画面330から抜けることができる。
【0104】
図13は、教室20および円卓21の作成権限および作成方法の例を示す。先ず、教室20について説明する。教室20は、このシステム全体を管理するシステム管理者によって作成される。また、教室20の主モデレータの指名も、システム管理者によって行われる。さらに、教室20の消去も、システム管理者によって行われる。教室20における追加モデレータA’は、主モデレータAにより指名および解除される。既に教室20に存在する追加モデレータA’により、新たに他の追加モデレータを指名および解除することもできる。一方、教室20の主モデレータAは、システム管理者のみが解除できる。なお、教室20に関するこれらの操作は、ブラウザ100から行われる。
【0105】
次に、円卓21について説明する。円卓21は、教室20に参加しているユーザ22、22、・・・が何時でも作成可能である。なお、形態が教室と円卓の複合型である場合には、教室20の主モデレータAにより、教室20に属される円卓21の作成を制限するようにできる。作成された円卓21の主モデレータBは、その円卓21の作成者が兼任される。ただし、実際には、円卓21においてリーダー役のユーザが入れ替わることが考えられるため、円卓21の作成者とその円卓21の主モデレータBとを別個に決められる方が、好ましい。
【0106】
また、円卓21は、その円卓21に参加しているユーザ22、22、・・・が一人もいなくなったときに、自動的に消去される。円卓21における追加モデレータB’は、円卓21の主モデレータBにより指名および解除される。既にその円卓21に存在する追加モデレータB’により、新たに他の追加モデレータを追加および解除することもできる。一方、円卓21の主モデレータBは、他のモデレータからは解除できない。なお、円卓21に関するこれらの操作は、チャットクライアント101から行われる。
【0107】
この発明の実施の一形態では、情報空間において情報を共有するために、ホワイトボードシステムを用いる。以下、このホワイトボードシステムについて説明する。この実施の一形態によるホワイトボードシステムでは、現実世界の黒板やホワイトボードと同様に教室20の参加メンバ全員で一つの画面を見ることができると共に、教室の参加メンバ全員で共用される画面から、グループ毎、例えば円卓21、21、・・・毎に共有される画面へと移行することができる。
【0108】
図14は、この実施の一形態に適用可能なホワイトボードシステムによる一例の表示350を示す。この表示350は、例えばクライアント装置3の表示画面に、ブラウザによって表示され、教室20、20、・・・や円卓21、21、・・・毎に異なったコンテンツが表示される。コンテンツ表示領域351は、ホワイトボードが想定されたコンテンツが表示される。例えば、この表示350は、ある円卓21における議題や議題に関する情報がその円卓21に参加しているユーザ22、22、・・・のクライアント装置3、3、・・・に表示され、議題がその円卓21に参加しているユーザ22、22、・・・に共有される。
【0109】
コンテンツ表示領域351に対するコンテンツの入力は、キーボード入力によりテキストベースで行ってもよいし、例えばクライアント装置3に手書き入力機能などを設け、手書き入力によって行うようにしてもよい。手書き入力の際には、入力された情報をテキスト変換してもよいし、グラフィック情報のまま扱ってもよい。
【0110】
コンテンツ表示領域351の表示内容は、所定のタイミングで保存される。例えば、コンテンツ表示領域351に対する入力が変わるタイミングで、表示内容が保存される。これに限らず、例えば1分間隔といった、所定間隔で定期的に保存するようにしても良い。所定時間が経過しても入力が無い場合に保存するようにもできる。また、当該円卓21に参加しているユーザ22による所定の操作により保存するようにもできる。保存先は、例えばサーバ4である。サーバ4を用いないシステムの場合には、当該円卓21の参加ユーザ22のクライアント装置3に保存するようにしてもよい。
【0111】
チャット画面352は、当該円卓21に参加しているユーザ22、22、・・・間でなされるチャットが表示される。図14の例では、テキストベースのチャット画面となっているが、これはこの例に限らず、例えばクライアント装置3にマイクやスピーカなどを用いた音声入出力手段を設け、音声による入出力を行うようにもできる。
【0112】
表示350の左下には、当該円卓21に参加しているユーザ22、22、・・・のアバタ353、353、・・・が表示される。表示350内に仮想的に設けられた表情ボタン354を所定に操作することで、操作ユーザ22に対応したアバタ353を変更することができ、例えばそのときの操作ユーザ22の感情などを、円卓21に参加している他のユーザ22、22、・・・に表示することができる。ボタン355を操作することで、操作ユーザ22は、円卓21から離脱することができる。
【0113】
表示350に対して所定の操作を行うことにより、円卓21を分割し、複数のグループとすることができる。図15は、円卓21が分割された一例の表示360を示す。図15では、表示360の左側に、分割された円卓21の一方のグループ(ワークグループA:WG−A)による表示361Aが表示され、表示360の右側に、分割された円卓21の他方のグループ(ワークグループB:WG−B)による表示361Bが表示される。
【0114】
なお、この図15の例では、表示360は、分割された円卓21Aおよび21Bにおいて、表示361Aおよび361Bを互いに参照できるように構成されているが、これはこの例に限定されない。WG−Aの表示361AおよびWG−Bの表示361Bのうち、ユーザ22が参加している円卓21に対応してる側の表示がクライアント装置3に選択的に表示されるようにしてもよい。
【0115】
表示361A内のコンテンツ表示領域362Aは、WG−Aに参加しているユーザに共有されるコンテンツが表示される。WG−Aに参加しているユーザのアバタ353が表示361A内に表示される。表示361Bにおいても同様に、コンテンツ表示領域362BにWG−Bに参加しているユーザに共有されるコンテンツが表示され、表示361A内にWG−Bに参加しているユーザのアバタ353が表示される。なお、図15では省略されているが、表示361Aおよび361Bにおいて、上述した図14と同様に、チャット画面や表情ボタンなどが設けられる。
【0116】
円卓21の分割直後は、表示領域361Aおよび362Bにおいて、分割直前のコンテンツが継承される。例えば図15に一例が示されるように、分割の直前に表示された「議題A」が表示領域361Aおよび361Bに共に表示される。また、円卓21分割直後のこの時点では、表示領域361Aおよび361Bの表示内容も、同一である。
【0117】
図15の状態から時間が経つにつれ、WG−AおよびWG−Bのそれぞれにおいて参加ユーザ間での会話が進む。その結果、例えばWG−AおよびWG−Bのコンテンツがそれぞれ変化する。図16に一例が示されるように、WG−Aでは「議題A」が「議題A’」に変化し、WG−Bでは、「議題A」が「議題A”」に変化している。表示領域361Aおよび361Bの表示内容も、それに伴いそれぞれ変化している。
【0118】
円卓21が分割された複数のグループの内容を一つに統合することも可能である。図17は、図15および図16に示される2グループが一つに統合された後の一例の表示を示す。この図17の例では、統合された画面は、上述の図14に示した分割前の表示350と対応する構成とされる。分割前における円卓21の参加ユーザ22、22、・・・のアバタ353、353、・・・が表示350の左下に表示されている。統合後の新しい議題Bが入力され、コンテンツ表示領域351に表示される。
【0119】
2つのグループで別々に討論された内容、すなわち、分割中のWG−AおよびWG−Bそれぞれのコンテンツは、時間を遡って参照することができる。コンテンツ履歴の参照は、例えば円卓21の分割および統合のタイミング、ならびに、コンテンツの保存タイミングを節点とした木構造を構成することで可能とされる。
【0120】
図18は、コンテンツが表示されるコンテンツ表示領域351に対して履歴木表示部351Bが設けられた例を示す。コンテンツ表示領域351Aは、現在のコンテンツが表示され、履歴木表示部351Bは、コンテンツの履歴が示される。図18の例では、黒丸(●)が上述した木構造の節点を表し、この黒丸部分を指定することで、対応するコンテンツがコンテンツ表示領域351に表示される。
【0121】
図19を用いて、履歴木の形成について説明する。図19Aにおいて、時刻T1は、初期状態であって、コンテンツ表示領域351に対して何も表示されていないものとする。初期状態に対して、円卓21に参加しているあるユーザ22(X氏とする)により入力が行われ、時刻T2にコンテンツ表示領域351の表示内容が保存される。同様に、時刻T3、T4、・・・で表示内容が保存される。図19Aの時刻Txが上述の図18における木構造の節点(●)に対応する。なお、表示内容の保存は、コンテンツ表示領域351で表示内容の消去が行われる直前に行うと好ましい。
【0122】
このように形成された履歴木に対して、例えば時刻T3を指定することで、時刻T3に保存された内容が読み出され、指定操作が行われたクライアント装置3に表示される。
【0123】
図19Bは、円卓21が分割された場合の一例の履歴木を示す。この図19Bの例では、時刻T2の時点で円卓21が分割され、表示361Aおよび361Bが形成される。分割された一方では、時刻T3およびT4でコンテンツ表示領域362Aの内容が保存される。分割された他方では、時刻T6およびT7でコンテンツ表示領域362Bの内容が保存される。そして、時刻T5で、分割されたそれぞれが統合される。
【0124】
このように形成された履歴木に対して、例えば時刻T3を指定することで、時刻T3に保存された内容が読み出され、指定操作が行われたクライアント装置3に表示される。また、図19Bの例では、例えば時刻T5、T7、T6、T2と辿ることで、統合後、分割時、分割前の表示内容を追って表示させることができる。
【0125】
なお、上述では、会議システムとしてこの発明の実施の一形態を説明しているため、ホワイトボードシステムが採用されているが、これはこの例に限定されない。例えば、会議システム以外にこの発明を適用する場合には、ホワイトボードシステムを省略することが可能である。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、情報空間を教室型、円卓型、自習型、教室型と円卓型の複合型の4種類で定義しているため、ネットワーク上での情報管理を容易にできるという効果がある。
【0127】
また、この発明は、情報空間に参加しているメンバが共同で一つのコンテンツを見ることができ、コンテンツの書き替えおよび差し替えができるようにされていると共に、コンテンツの取り扱いのレベルがフレキシブルとされ、メンバの誰もがコンテンツを取り扱うことができるようにされているため、ネットワーク上で、現実のホワイトボードなどと同等の機能を実現することができるという効果がある。
【0128】
さらに、これらの効果のため、特に遠隔地同士でネットワークを介してなされる会議や教育の分野でよりきめ細かい議論が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に適用できる一例のシステムを概略的に示す略線図である。
【図2】情報空間の形態を模式的に示す略線図である。
【図3】情報空間の形態を模式的に示す略線図である。
【図4】情報空間の形態を模式的に示す略線図である。
【図5】情報空間の形態を模式的に示す略線図である。
【図6】情報空間の階層構造をモデル化して示す略線図である。
【図7】ユーザおよび各レベルのモデレータのチャットメッセージおよびブラウザコントロールの到達範囲の例を示す略線図である。
【図8】この発明の実施の一形態による一例のシステムについてより具体的に示すブロック図である。
【図9】ログインを行うログイン画面の一例を示す略線図である。
【図10】ログイン直後の教室外画面の一例を示す略線図である。
【図11】ユーザが教室に参加したときの教室内画面の一例を示す略線図である。
【図12】ユーザが円卓に参加したときの円卓画面の一例を示す略線図である。
【図13】教室および円卓の作成権限および作成方法の例を示す略線図である。
【図14】実施の一形態に適用可能なホワイトボードシステムによる一例の表示を示す略線図である。
【図15】円卓が分割された一例の表示を示す略線図である。
【図16】円卓が分割された一例の表示を示す略線図である。
【図17】2グループが一つに統合された一例の表示を示す略線図である。
【図18】コンテンツが表示される表示領域に対して履歴木表示部が設けられた例を示す略線図である。
【図19】履歴木の形成について説明するための略線図である。
【符号の説明】
1・・・ネットワーク、2・・・ユーザ、3・・・クライアント装置、4・・・サーバ、10・・・情報空間、11・・・講義者、13・・・板書、14・・・部分情報空間、15・・・ユーザ、20・・・教室、21・・・円卓、22・・・ユーザ、100・・・ブラウザ、101・・・チャットクライアント、310・・・教室外画面、312A,213B・・・チャット画面、330・・・円卓画面、350・・・ホワイトボードシステムによる表示、351・・・コンテンツ表示領域、352・・・チャット画面、353・・・アバタ、362A,362B・・・コンテンツ表示領域
Claims (9)
- 複数の情報処理装置間で双方向に通信を行えるようにされたネットワーク上に構成される情報空間を管理する情報空間管理装置において、
ユーザに対してHTTPによるサービスを提供するHTTPサーバと、
上記ユーザから発信されたチャットメッセージの交換を行い、さらに、上記ユーザに対するブラウザコントロールを行うことにより上記ユーザにチャットサービスを提供するチャットサーバと、
上記ユーザの権限を設定するユーザ管理アプリケーションと、上記HTTPサーバに読み込まれることにより上記情報空間が設定されるhtmlファイルを作成する情報空間管理アプリケーションとを格納するアプリケーションサーバとを備え、
上記ユーザの権限に応じて上記チャットメッセージおよび上記ブラウザコントロールの到達範囲を制限することにより上記情報空間における階層構造が実現され、
上記情報空間内では、上記ユーザのそれぞれが上記ユーザの感情および状態を示すアバタで表現される情報空間管理装置。 - 請求項1に記載の情報空間管理装置において、
上記情報空間は、階層的に定義することができることを特徴とする情報空間管理装置。 - 請求項2に記載の情報空間管理装置において、
上記階層的に定義された上記情報空間のそれぞれに上記モデレータが存在することを特徴とする情報空間管理装置。 - 請求項2に記載の情報空間管理装置において、
上記階層的に定義された上記情報空間のそれぞれに属するユーザが互いに重複することができることを特徴とする情報空間管理装置。 - 請求項1に記載の情報空間管理装置において、
上記情報空間内のコンテンツは該情報空間に上記アクセスしている上記ユーザにより共有できることを特徴とする情報空間管理装置。 - 請求項1に記載の情報空間管理装置において、
上記モデレータは、上記情報空間定義のステップで該モデレータによって定義された上記情報空間にユーザがアクセスするためのインターフェイスを制御する上記権限を有することを特徴とする情報空間管理装置。 - 複数の情報処理装置間で双方向に通信を行えるようにされたネットワーク上に構成される情報空間を管理する情報空間管理装置において、
ユーザに対してHTTPによるサービスを提供するHTTPサーバと、
上記ユーザから発信されたチャットメッセージの交換を行い、さらに、上記ユーザに対するブラウザコントロールを行うことにより上記ユーザにチャットサービスを提供するチャットサーバと、
上記ユーザの権限を設定するユーザ管理アプリケーションと、上記HTTPサーバに読み込まれることにより上記情報空間が設定されるhtmlファイルを作成する情報空間管理アプリケーションとを格納するアプリケーションサーバとを備え、
上記ユーザの権限に応じて上記チャットメッセージおよび上記ブラウザコントロールの到達範囲を制限することにより上記情報空間における階層構造が実現され、
上記情報空間管理アプリケーションは、上記情報空間の機能に基づき、アクセスする上記ユーザのうち1から多に情報が供給される第1の情報空間と、アクセスする上記ユーザ間で互いに情報のやりとりが可能な第2の情報空間と、アクセスする上記ユーザが1のみで外部と情報のやりとりがなされない第3の情報空間と、上記第1および第2の情報空間が複合された第4の情報空間とに分類されて上記情報空間が設定されるように上記htmlファイルを作成する
情報空間管理装置。 - 請求項7に記載の情報空間管理装置において、
上記第1の情報空間内のコンテンツは、該第1の情報空間にアクセスしている上記多のユーザ全員が見ることができることを特徴とする情報空間管理装置。 - 請求項7に記載の情報空間管理装置において、
上記第2の情報空間内のコンテンツは、該第2の情報空間にアクセスしている上記ユーザ全員で共有されることを特徴とする情報空間管理装置。
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