JP4502883B2 - 樹脂成形物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シート、塗膜、多孔質膜などの各種形態を有する樹脂成形物を親水性物質からなる蒸気と接触させて、親水性を向上させる樹脂成形物の製造方法に関し、特に疎水性樹脂の親水化に有用である。
一般的に、エンジニアリングプラスチックは、耐薬品性に優れ、高い物理的強度を持つといった優れた特性を示す。この性質を生かし、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PPES(ポリフェニルスルホン)といったポリマーを用いて、逆洗や薬洗に対する高い耐久性を有した多孔質分離膜を作成し、これを用いた水処理を行ってきた。しかし、これらの疎水性ポリマーは、他のプラスチックと比較して親水性が低く、これを分離膜として用いた場合、原水中に含まれる微細な粒子、タンパク質などの固形物質が膜面に付着しやすく、かつ付着した汚れが取れにくいという問題があった。
このような疎水性ポリマーを用いた多孔質膜を親水化する方法としては、表面に親水性物質を付着・被覆させる方法、プラズマ等を用いて親水性基をポリマーに導入する方法など、各種の方法が存在する。具体的には、例えばPVDF多孔質膜を親水化する方法として、PVDF多孔質膜を溶剤で湿潤化した後、ポリビニルピロリドンと重合開始剤とを含む溶液に接触させて加熱し、ポリビニルピロリドンを架橋させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法やその他の従来法では、多孔質膜の微細孔の内部まで、均一に親水性物質で被覆するのが困難であり、多孔質膜の阻止性能や透過性能を損なう場合もあった。また、親水性物質の脱落などが生じやすく、親水性物質の被覆によって、多孔質膜の耐薬品性や耐逆洗性が低下し易い。そして、親水性物質の架橋や重合を伴う方法では、工程が複雑化し、コスト的に不利となるなどの問題もある。
また、塗膜を親水化する方法として、ライン塗装工程において基材表面に形成された塗膜を50℃以上の水蒸気を用いて処理することにより親水化し、水に対する接触角を低下させる表面の改質方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、水蒸気を用いて塗膜等を親水化処理する方法は、被処理物の材質等によって、その効果が異なり、特に疎水性ポリマーを水蒸気と接触させてもその効果がほとんど得られないことが判明した。
一方、ポリマーに充填剤を添加して、成形物の表面特性を改質する方法も、種々知られている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂の接着性を改善するために、無機微粒子を添加する方法などである。しかし、添加する無機微粒子の含有量が多くなると、フッ素樹脂の本来の物性を損なう場合があった。
特開平11−302438号公報 特開2000−129213号公報
そこで、本発明の目的は、簡易な方法で十分な親水化が可能で、成形物の物性も維持され易い樹脂成形物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、クレイを分散させた樹脂成形物を水等の親水性物質からなる蒸気と接触させることにより、親水性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の樹脂成形物の製造方法は、親水性化合物で有機化された有機化クレイを分散させた樹脂成形物を、親水性物質からなる蒸気と接触させる工程を含むことを特徴とする。本発明によると、樹脂成形物を親水性物質からなる蒸気と接触させる際に、予めクレイを添加しておくとで、実施例の結果が示すように、親水性が向上する。その理由の詳細は明らかでないが、親水性物質からなる蒸気が樹脂成形物の表面と接触した際、表面付近に存在するクレイと親水性物質との相互作用により、クレイが化学的又は物理的に親水性を発揮し易い状態になるためと考えられる。また、後述するように、クレイの層間剥離を利用して分散させるため、微細な分散状態となるので、樹脂成形物の物性も維持され易くなる。
また、親水性化合物で有機化された有機化クレイを用いることにより、有機化クレイの層間剥離を利用して親水性化合物を分子レベルで分散させることができ、親水性物質からなる蒸気による処理の効果を更に高めることができる。
本発明の製造方法は、前記成形物が無孔質状の表面を有する場合、又前記成形物が多孔質膜である場合でも上記の作用効果を奏することができる。
また、前記親水性物質からなる蒸気と接触させる際の処理条件が、樹脂材料の結晶化温度より40℃低い温度以上、熱劣化しない温度以下で、処理時間5〜180分であることが好ましい。かかる温度条件では、分子レベルの分子移動や分子鎖の移動が可能となり、親水性物質からなる蒸気による処理の効果を更に高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。複合材料中に補強分子を分散させる際、仮に分子のサイズ(ナノメートルオーダー)で分散させ、界面相互作用を増大させることができれば、材料の力学的特性の著しい向上あるいは予期せぬ新しい性質が現れることが期待される。現在までに報告されているポリマー系ナノコンポジットの特徴としては、比重は元のポリマーとほとんど変わらないが、機械的と熱的性質が向上し、また、難燃性、ガスバリア性、透明性などの機能的性質も発現することが知られており、しかも材料は既存の物質のみで比較的容易に製造できるという利点がある。
本発明らは、無機層状珪酸塩を親水性アルキレンオキシドで修飾することにより有機化クレイを作成し、これを前述の高い機能性を持つ疎水性ポリマーにナノレベルで分散させることにより、材料の様々な特性を保持したまま、多孔質膜等の成形物の親水性を向上できることを見出した。本発明は、クレイを分散させた樹脂成形物を、親水性物質からなる蒸気と接触させる工程により、クレイの含有量を増加させずに、更に親水性を向上させるものである。
一般的に、超微粒子を単純な攪拌混練によってマトリックス中に分散させようとしても、界面エネルギー増大に伴う粒子間相互作用により、粒子は凝集し、ナノ分散は困難である。超微粒子を凝集させずに複合材料を得る代表的な方法として
1)層間挿入法(インターカレーション法)
2)In−Situ法
3)超微粒子直接分散法
等が挙げられ、この中で最も主流に用いられているのが層間挿入法である。モンモリロナイトなどのスメクタイト族粘土鉱物は層状の化合物であり、層が負の電荷を帯び、これを補うために層間に陽イオンが存在している。この陽イオンを第4級アンモニウム塩などのオニウム塩で置換すれば無機層状化合物を有機変性させることができる。
本発明者らは、最も簡単な手法として、有機化クレイと分離膜の素材となるポリマーとを共通の溶媒に分散させ、加熱攪拌した後、相分離等によって多孔質化することで、ナノコンポジット化した親水化多孔質膜を得ることができた。
本発明では、クレイ、好ましくは、親水性化合物で有機化された有機化クレイを使用する。有機化クレイ等は、市販品を使用したり、イオン交換法などで得ることができる。具体的には、例えば、Na−モンモリロナイトなどのクレイを温水に攪拌・分散させる一方で、親水性基を有するアミン化合物を塩酸などと反応させて得られた親水性化合物(オニウムイオン等)の溶液を、先の分散液中に加えることで、親水性化合物で有機化された有機化クレイを得ることができる。
クレイ(粘土鉱物)とは、層状構造を持つ珪酸塩鉱物等であり、多数のシート(あるものは珪酸で構成された四面体シート、あるものはAlやMgなどを含む八面体シートである。)が積層された層状構造を有する物質である。このシートによる層状構造やシートを構成する元素の種類等は個々のクレイによって様々である。
有機化されるクレイの具体例としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、又は膨潤性マイカなどが挙げられる。これらは、天然のものでも、合成されたものでもよい。中でも、無機層状珪酸塩が好ましい。
上記のクレイの有機化には親水性化合物を使用することができる。親水性化合物としては、クレイとイオン結合(イオン交換)するものが好ましく、親水性基を有するアンモニウムイオンやホスホニウムイオンなどの有機オニウムイオンが好ましい。親水性基としては、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基などのオキシアルキレン基(ポリオキシアルキレン基を含む)などが好ましい。
具体的には、親水性基を付与する前の有機オニウムイオンとして、例えば、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ラウリルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、同様のアルキル基を有するアルキルホスホニウムイオン等を用いることができる。有機オニウムイオンとしては、オキシアルキレン基を有する化合物が好ましく、特に複数のオキシアルキレン基を有する化合物が好ましい。
また、有機化クレイの粒子の大きさとしては、SEM又はTEMで測定する平均粒径として0.01〜0.3μmが好ましく、0.03〜0.1μmがより好ましい。有機化クレイが0.01μmより小さいと、粒子の脱落や成形物の強度低下が生じる傾向がある。
有機化クレイは、希釈剤に対する分散性が24時間静置しても沈殿が生じず良好である必要があり、本発明を達成する為には親水基と分散性を両立した有機化クレイを選択するのが好ましい。
成形物を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、その他の耐熱性樹脂などが挙げられるが、親水性物質からなる蒸気による親水化の向上効果が大きいことから、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンやポリフッ化ビニリデンを骨格とした共重合体、他にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプ口ピレン)などが何れも使用可能である。
本発明の製造方法は、疎水性ポリマーを使用する場合に特に有効であるが、疎水性ポリマーとしては、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PPES(ポリフェニルスルホン)、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
有機化クレイは、樹脂100重量部に対して、20〜200重量部含有されるのが好ましく、25〜150重量部含有されるのがより好ましい。20重量部未満では、親水化処理の効果が不十分となる傾向があり、200重量部を超えると、成型時の粘度の増加が大きくなり、成形性が悪くなる傾向がある。
本発明では、成形物が無孔質状の表面を有するものに適用できるが、樹脂の溶液を用いて形成される塗膜や、成形物の表面に塗膜を形成したものが好ましい。
また、本発明は、成形物が多孔質膜である場合でも適用できる。かかる多孔質膜は、湿式相分離法、乾式相分離法、延伸法など、何れの製法で製膜したものでもよいが、孔径制御の容易性などの観点から、相分離法を利用して製造するのが好ましい。相分離法には、水等の非溶媒によって相分離を引き起こす非溶媒誘起相分離法(湿式相分離法)と、熱によって相分離を引き起こす熱誘起相分離法(TIPS法)とが存在する。本発明では、親水性を向上させる効果が大きいことから、TIPS法などの乾式製膜法で得られたものに有効である。以下、TIPS法と湿式相分離法とを利用した製造方法を例にとり説明する。
TIPS法では、例えば、クレイを含有し樹脂を貧溶媒に加熱溶解した製膜原液を、基材に塗工し又は芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、空間を通過後に、相分離温度以下の冷却浴で凝固させる製造方法が採用される。好ましくは、有機化されたクレイを含有しポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に加熱溶解した製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、空間を通過後に、相分離温度以下の冷却浴で凝固させる中空糸多孔質膜の製造方法が採用される。
用いられる貧溶媒は、冷却によりポリフッ化ビニリデン系樹脂の析出やゲル化が可能なものであればよい。具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類の他、安息香酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸エステル類、トリメリト酸エステル類、リン酸エステル類及びケトン類の1種以上が挙げられる。また、この単一溶媒または混合溶媒にアセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の良溶媒あるいは水等の非溶媒を混合して、多孔質膜形成可能な溶媒になる程度に溶解性を調節した混合溶媒も使用可能である。
製膜原液中の樹脂濃度は、通常10〜60重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。60重量%を越えるときは、製膜原液の粘度が高すぎ製膜が困難になり、また多孔質膜の多孔度が低くなる傾向がある。一方、10重量%より少ないと、得られる多孔質膜の機械的強度が乏しくなる傾向がある。
また、溶解・分散の際の加熱温度は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が貧溶媒との混合状態で溶融する温度以上で、さらにポリフッ化ビニリデン系樹脂が熱分解する温度以下であればよい。好ましくは、製膜原液の冷却前の温度が135℃以上であり、より好ましくは140℃以上でポリフッ化ビニリデン系樹脂の熱分解温度未満である。
本発明では、製膜原液に対して、必要に応じ、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤などの各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明では、上記のような製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出するが、かかる芯液としては、高沸点(好ましくは沸点が製膜原液の温度以上)の溶剤であれば何れのものも使用することができる。具体的には、上記の貧溶媒として例示したものや、加熱によってもポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解しない非溶媒が挙げられ、両者の混合溶剤系なども使用可能である。
また、吐出する際の芯液の温度は、相分離温度以上でポリフッ化ビニリデン系樹脂の熱分解温度未満であることが好ましいが、製膜原液の温度±10℃の範囲内がより好ましい。
本発明では、このような製膜原液を二重管ノズルから吐出し、空間(エアギャップ)を通過させて相分離温度以下の冷却浴などで冷却されることにより相分離させて凝固させることによってポリフッ化ビニリデン系樹脂の中空糸多孔質膜を得る。
製膜工程においてエアギャップは3〜500mmが好ましく、5〜200mmがより好ましい。また、空間を通過する際の時間(エアギャップ/紡速)が、0.01〜2.00秒であることが好ましい。一方、冷却温度は−5〜60℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。
冷却液としては、水などの非溶媒の他、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸エステル類、トリメリト酸エステル類、リン酸エステル類、ケトン類などの貧溶媒や、貧溶媒と非溶媒との混合液を使用することも可能である。
その後、貧溶媒をアルコール類やアセトンなどによって洗浄し、貧溶媒を除去するのが好ましい。その後、必要に応じて多孔質膜を乾燥せる。乾燥方法には、加熱乾燥、熱風による乾燥、加熱ロールに接触させる等の方法が挙げられる。
一方、湿式相分離法では、例えば、クレイを含有し樹脂を溶解した製膜原液を、基材に塗工し又は芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、非溶媒を入れた凝固浴で凝固させる製造方法が採用される。
製膜原液の調製には、まず、親水性化合物で有機化された有機化クレイを疎水性ポリマー等の溶液に分散する。かかる溶液が製膜に使用する製膜溶液(ドープ)となる。ポリマーの溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、などが好ましく用いられる。また、貧溶媒としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコール、メタノール、エタノール、インプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン等が好ましく用いられる。溶媒と貧溶媒の混合溶媒中の貧溶媒の含有量は、得られる混合溶媒が均一である限り特に制限されないが、通常、5〜50重量%、好ましくは20〜45重量%である。
製膜溶液中のポリマー濃度は、通常10〜30重量%が好ましい。30重量%を越えるときは、得られる多孔質分離膜の透水性が実用性に乏しく、一方、10重量%より少ないときは、得られる多孔質分離膜の機械的強度が乏しく、充分な背圧強度が得られず、また実用十分な阻止性能を有さない。
有機化クレイを溶液中に分散させる方法としては、何れの方法でもよいが、例えば、有機化クレイを溶媒に添加して超音波を付与しながら攪拌し、次いで、これにポリマーとその他の添加剤を添加した後、超音波を付与しながら加熱下で攪拌して製膜溶液を得ることができる。
有機化クレイは、製膜溶液中に1〜10重量%含有されるのが好ましい。また、溶解の際の加熱温度は40〜80℃が好ましい。また、その他の条件としては、相分離法による一般の製膜条件が採用できる。
次いで、上記の溶液を相分離させて多孔質膜を得る。相分離は、製膜溶液を一定厚みにキャストしたものを非溶媒に浸漬したり、温度変化させたり、両者の組み合わせなどで行うことができる。相分離のための非溶媒としては、水や水に他の成分を含む混合物などが一般に使用される。また、このような非溶媒は、膜中の溶媒を脱溶媒する効果がある。十分に脱溶媒された多孔質膜は、水分を除去するために乾燥される。
一方、塗膜やフィルムを形成する場合、上記の製膜に用いるドープと同様して作製した樹脂溶液を、剥離性基材や成形物に塗布後、溶媒を乾燥させればよい。また、塊状の成形物にクレイを分散させる場合、予め、比較的低分子量の樹脂を融解させたものに、クレイを分散させたマスターバッチを調製し、これを成型時に混合するなど、マスターバッチを用いる方法が好ましい。
本発明では、以上のようにして得られた樹脂成形物を、親水性物質からなる蒸気と接触させる工程を含む。親水性物質からなる蒸気の発生量は、例えば水蒸気の場合、大気圧下において100℃未満では小さくなるため、100℃以上の雰囲気とすることで、高濃度の親水性物質からなる蒸気と成形物とを接触させることができる。この観点から、接触の際の温度は100℃以上が好ましい。なお、加圧状態で蒸発平衡を保ちながら、親水性物質からなる蒸気と接触させることも可能である。
親水性物質としては、水の他、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、N−メチルピロリドン、ピリジン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾール、テトラハイドロフラン等の極性溶媒などが挙げられる。これらは混合して使用することも可能であり、その他の成分とともに蒸気中に含有されていてもよい。
但し、樹脂材料の結晶化温度(DSC測定)を考慮した場合、前記親水性物質からなる蒸気と接触させる際の処理条件としては、樹脂材料の結晶化温度より40℃低い温度以上、熱劣化しない温度以下で、処理時間5〜180分であることが好ましい。より好ましくは、樹脂材料の結晶化温度より20℃低い温度以上で結晶化温度+10℃以下である。
従って、親水性物質からなる蒸気雰囲気が維持可能な恒温槽や、親水性物質からなる蒸気発生器を利用して、樹脂成形物を親水性物質からなる蒸気と接触させることができる。
本発明の親水性向上法で作製された成形物は、無孔状物の場合は包装用材料などに用いられる。多孔状物の場合は、食品工業におけるアルコール飲料や果汁飲料等の除菌、降濁、除蛋白質、半導体製造工業における超純水の製造、医薬品工業における無菌水の製造、各種工業排水、ビル等の建築物排水、下水の除濁、河川水、かん水、海水の逆浸透法による脱塩の前処理などに用いられ、菌体や微粒子及び高分子物質を効率良く分離・除去し、且つ機械的強度に優れる精密ろ過または限外ろ過用の多孔質分離膜や電池の隔膜に提供できる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(接触角)
一般的に用いられる方法にて、フィルムに5μmLの水滴を静かに滴下し、滴下後30秒後のフィルムと水滴との接触角度を測定した。
(透水特性)
中空糸多孔質膜の内面側より純水を加圧(0.1MPa)して通水し、外面側へ透過してくる一定時間当たりの水の量を計量した。
(実施例1)
ポリフッ化ビニリデン(ソルベイ社製、SOLEF6020、結晶化温度134℃)10重量部を、DMAc(ジメチルアセトアミド)を90重量部に加え、80℃に加熱し撹拌しながら溶解した。均一溶解した後小分けし、コープケミカル社製有機化クレイ(SPN:珪酸(Na/Mg)PPG−25ジエチルアンモニウムクロリド)をポリマー100重量部に対して各25、50、100、150重量部加え、超音波を付与しながら撹拌翼により3000rmmの速度で室温にて攪拌し、製膜原料とした。
溶解後、室温まで冷却しガラス板上に、製膜原料をギャップ400μmに調整したアプリケーターにより流延した。流延後130℃で溶剤を乾燥させ、厚み35μmのフィルムをえた。それぞれの製膜原料についてフィルムを作製した。
次いで、表1に示す処理温度と処理時間にて蒸気処理を実施し、水に対する接触角を測定した。
(比較例1)
有機化クレイを添加しないこと以外は実施例1と同じ方法でフィルムを作製し(0%品)、表1に示す同様な条件で蒸気処理を行い、接触角を測定した。
(比較例2)
実施例1と同じ方法でフィルムを作製し、蒸気処理でなく乾熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様な操作を行い水の接触角を測定した。表2にその結果を示す。
Figure 0004502883
Figure 0004502883
表1の結果が示すように、水に対する接触角は、クレイ添加量が多く、処理温度がより高く、処理時間が長くなるにつれ、蒸気処理の未実施品に比較し小さくなった。なお、クレイを含有しないフィルムでは、蒸気処理の効果は認められなかった。また、表2の結果が示すように、乾熱処理では接触角の低下はほとんど見られなかった。
(実施例2)
コープケミカル社製有機化クレイ(SPN:珪酸(Na/Mg)PPG−25ジエチルアンモニウムクロリド)3.0重量部、フタル酸ジエチル67.0重量部、ポリフッ化ビニリデン(ソルベイ社製、SOLEF6020、結晶化温度134℃)30.0重量部を、180℃、15分、50rpmで混練りした。混練り後、一旦室温まで冷却し製膜原料とした。この製膜原料を再度180℃に加温し、芯液にフタル酸ジエチルを用いて、二重管ノズルより5℃に調温された冷却水槽へ0.2m/分の速度で押し出し、中空状多孔体を得た。このときノズルから冷却水槽までの高さは2cmとした。
次に得られた中空糸膜をエタノールに24時間浸漬し、フタル酸ジエチルを抽出洗浄し、室温にて乾燥した。続いて、121℃、1.2kgf/cm、30分の条件で蒸気処理を行い乾燥し、膜が乾燥している状態からの透過水量を測定した。表3にその結果を示す。
(比較例3)
実施例2において蒸気処理を行わないこと以外は実施例2と同様にして中空糸膜を作製し、透過水量を測定した。表3にその結果を示す。
Figure 0004502883
表3の結果が示すように、親水化クレイを添加して蒸気処理を行うことで、親水性が向上し、乾燥状態から透過水量が得られた。

Claims (5)

  1. 親水性化合物で有機化された有機化クレイを分散させた樹脂成形物を、親水性物質からなる蒸気と接触させる工程を含む樹脂成形物の製造方法。
  2. 前記親水性化合物がオキシアルキレン基を有する化合物である請求項1記載の樹脂成形物の製造方法。
  3. 前記成形物が無孔質状の表面を有する請求項1又は2に記載の樹脂成形物の製造方法。
  4. 前記成形物が多孔質膜である請求項1又は2に記載の樹脂成形物の製造方法。
  5. 前記親水性物質からなる蒸気と接触させる際の処理条件が、樹脂材料の結晶化温度より40℃低い温度以上、熱劣化しない温度以下で、処理時間5〜180分である請求項1〜4いずれかに記載の樹脂成形物の製造方法。
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