JP4500981B2 - 床構造の構築方法及び床構造 - Google Patents
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Description
かかる合成床構造に用いるデッキプレートの形状はJIS G3352に規定されているが、1枚当たり3〜7山が一般的であり、3山のものが最も多く用いられている。山と山との間および両端には谷部が設けられている。
このようなデッキプレートを用いる合成床構造を構築する際には、コンクリートの漏れ防止、デッキプレートとコンクリートの一体化が重要である。このため、デッキプレートの両端谷部に係合部を設けて隣接配置されるデッキプレートの係合部と重合させて連続配置することにより、隣接デッキプレート間の隙間をなくし、コンクリートの漏れを防止している(例えば、特許文献1参照)。
合成床構造では、コンクリートの漏れ防止のため隙間なくデッキプレートを配置する必要から、デッキプレートを設置する部屋ごとに綿密な割付図の作成が必要となる。特に、各階の隅角部や柱部周囲および端部等で定尺のデッキプレートが使えない部分では、デッキプレートの切欠き加工や、補助部材の利用が必要となる。
このように、合成床構造には、デッキプレートの配置計画が煩雑であり、また、定尺デッキプレートが使えない部分の加工等に手間がかかり、これらによる作業効率の低下と材料費の増大がコストアップにつながるという問題があった。
また、作業面においては建築物の工事中、一般に建築物内部には足場がなく、梁、大引、根太などの骨組を足場代わりにせざるをえず、とても危険な高所作業となっている。もっとも、これら骨組の上に仮設床を設置して作業することも可能であるが、床施工前に仮設床を取り払う必要があり、非効率であると同時にコストアップになってしまう。
また、フローリング、畳などの床上仕上げ材の厚さの違いを勘案して床仕上り高さを揃えバリアフリーとするため各部屋ごとに床下地材の高さ調整を簡易にできる床構造を提供することを目的としている。
しかし、木造や鉄骨造の戸建住宅において根太に代えてデッキプレートを適用した場合には以下の問題がある。
木造や鉄骨造の戸建住宅では建物規模が小さく、共同住宅でも住戸単位で戸境壁により仕切られるため、いずれの場合も事務所ビルなどと比べて床1単位当たりの面積は小さい。
また、住戸内には柱や耐力壁が多く配置されるが、これらは構造躯体として鉄骨工事、骨組工事(木造の場合)の工程の際に実施され、床施工はその後工程になる場合が多い。
また、間取りプランや梁の配置も住戸によって異なることが一般的であるため、デッキプレートの割付図は住戸ごとに作成することが必要となる。1単位の床面積が事務所ビルや工場、体育館と比べて小さく、さらには隅角部や柱、耐力壁および端部等で、定尺のデッキプレートが使えない部分の占める比率が高いため、デッキプレートの割付図の作成手間、デッキプレートの切欠き加工や、補助部材の利用が増大する。
梁間と該梁間に設置する金属板の幅寸法に基づいて、梁と金属板の隙間寸法及び/又は各金属板相互間の隙間寸法が所定値になるように金属板の枚数、配置を設定する割付工程と、該割付工程で決められた配置に基づいて金属板を梁間に設置する金属板設置工程と、金属板の山部に床板を設置する床板設置工程と、を備えたものである。
・建築物件ごとに金属板(床下地材)の割付図を作成する手間を省略できる。
・金属板(床下地材)の切り欠き加工や役物などの補助部材の利用が不要となる。
・隣り合う金属板(床下地材)が接触することにより発生する床鳴り音を防止できる。
・床面内のたわみ剛性を均一化できる。
金属板の製造精度は通常±1〜3mmであるが、隙間寸法を5mm以上とすることにより、精度範囲内の寸法のばらつきがあっても金属板同士が接触しないようにできる。
また、一方で、工事中の足場として用いる目的からは隙間の幅は小さい方が望ましく、少なくとも足幅より小さい方が安全である。そこで、靴等を履いた作業員の足幅は10cm程度であることから、隙間寸法を100mm以下に設定することで、金属板設置状態を安全な足場として利用できる。
・金属板(床下地材)の切り欠き加工や役物などの補助部材の利用が不要となる。
・隣り合う金属板(床下地材)が接触することにより発生する床鳴り音を防止できる。
・床面内のたわみ剛性を均一化できる。
・金属板を可能な限り多数設置することができ、床の耐力を大きくすることができる。
図1〜図4は本発明の一実施の形態に係る床構造の構築方法の各工程を説明するための説明図であり、ブレース2が設置された柱6と横架材7の接合部を示している。本発明の一実施の形態は、図1〜図4に示すように、山部1と谷部3が交互に平行に形成された金属板5をH形鋼梁などの横架材7に支持してなる床構造の構築方法であって、梁間と該梁間に設置する金属板5の幅寸法に基づいて、梁と金属板の隙間寸法及び各金属板相互間の隙間寸法が所定値になるように金属板5の枚数、配置を設定する割付工程と、該割付工程で決められた配置に基づいて金属板5を梁間に設置する金属板設置工程(図1〜図3参照)と、金属板5の山部1に床板を設置する床板設置工程(図4参照)とを備えている。
横架材とは、一般に、建物の骨組で、横に架け渡された構造材をいい、梁、桁、棟木を含む概念である。もっとも、本明細書においては、金属板5の端部を直接又は他の部材を介して支持する部材を横架材といい、他の構造部材を梁ということとして区別を明確にしている。
[金属板の形状・寸法]
本実施の形態に用いる金属板5は、山部1の間に谷部3が配置され、両端に谷部3の概略半幅の端部谷部4をもつデッキプレート形状に類似した断面を有している。金属板5を床下地材として用い、梁や大引などの横架材に支持してスパンを大きくとるためには金属板5の曲げ剛性を十分に確保しなければならない。この点を考慮した金属板の山部1の高さHは25mm〜100mm、厚さが0.8〜2.3mmが好ましい。なお、金属板5の隣り合う山部1の間隔W(山部から山部までの一周期の幅)は90mm〜300mmが望ましいが、この寸法に限定されるものではない。本実施形態では断面形状が台形のものを使用したが、この形状に限定されるものではない。
同様に厚さは力学的な安全性、合理性から望ましくは1.2mmである。1.2mm未満では金属板の曲げ剛性がやはり小さくなりスパンが小さくなる。0.8mmが下限である。厚くすると材料費がアップすると同時に、成形加工や切断、孔あけ、ビス打ちなどの作業性が悪くなる、重くて取扱いもしづらくなる。適正な上限は1.6mmである。特に必要がある場合でも2.3mm以下である。
住宅の建設現場において、床下地材としての金属板5の敷設作業は通常、2人1組で金属板5の長手方向の両端をつかんでの人力作業となる。金属板5を敷設するタイミングは直下階の柱や梁の骨組の建方が終了した時点であり、これから金属板5を敷設する階の柱や梁の骨組の建方に先立って敷設作業は行われる。金属板5の敷設作業は直下階の梁の上を作業者が歩行移動しながらの作業となる。幅100mmそこそこの狭い梁の上で、直下の床までの高さが約3mもある危険な高所作業となる。高い所で金属板が風を受けてあおられると、作業者がバランスを崩しやすくなり、危険度が大きくなる。
一方、山の数を少なくすると、一定の床面積を敷設するための金属板5の枚数が増えるため、作業時間は延びてしまう。比較のため、厚さ1.2mm、山部1の高さ75mm、隣り合う山部1の間隔W200mm、長さ2mを共通にし、2山の金属板と3山の金属板を試作した。この試作した金属板を用い、実際の建設現場の2階部分で金属板の敷設試験を行い、作業性を比較した。金属板1枚あたりの重量は各々13kg、19kgである。敷設試験の結果、狭い梁上での高所作業では、2山の方が3山より同じ面積を敷設するのに要する時間を短縮できることが分かった。
以上は金属板の好適な山の数についての検討結果であるが、実用上、金属板の山の数はなるべく1種類に統一した方が管理上や経済性の観点からは望ましいものの、特殊な間取りプランなどにおいては、例えば2山と1山の金属板を併用するなど2種類以上の異なる山の数の金属板を組み合わせて用いても差し支えない。
[割付工程]
割付工程とは、梁間と該梁間に設置する金属板5の幅寸法に基づいて、梁と金属板の隙間寸法及び各金属板相互間の隙間寸法が所定値になるように金属板5の枚数、配置を設定する工程である。
住宅の平面モジュール寸法としては900mmなどが一部用いられているが、1mモジュールと尺貫法の3尺に対応する910mmモジュールの2種類が大半である。間取りや平面図のプランは、通常、モジュール寸法幅の格子の目状にメッシュ切りされたグリッドに壁、室、階段などの配置を書き込み間取りを作成する。このため、部屋の寸法はmモジュールで1×1=1m2、910mmモジュールで0.910×0.910=0.8281m2が最小の面積単位となる。1/2モジュールを許容する場合には、mモジュールで0.5×0.5=0.25m2、910mmモジュールで0.455×0.455=0.207025m2が最小の面積単位となる。室寸法は最小の面積単位の整数倍となる。例外も許容されるが、これが原則である。
例えば、中低層住宅では梁と梁との間隔は5P以下(P=910mmまたは1m)が多い。
なお、工事中の足場として用いる目的から、隙間の幅は小さい方が望ましい。少なくとも足幅より小さい方が安全である。靴等を履いた作業員の足幅は100mm程度であるので、隙間は5〜100mmの範囲でできるだけ小さくすることが望ましい。また、隣り合う金属板5の隙間は管理の都合上、均等になっていることが望ましい。
金属板5の幅は工業的に一定寸法に規格され製造される。したがって、この割付工程では、梁間寸法と金属板5の幅の組合せについて、隙間が5〜100mmの範囲でできるだけ小さくできる割付を予め設定しておき、これを表に現しておく。
金属板設置工程は割付工程で決められた配置に基づいて金属板5を梁間に設置する工程である。この作業は現場で行われるが、予め設定された表1又は表2に示すルールに基づいて行われるので、簡易かつ効率よく行うことができる。
金属板5を横架材7に設置するにあたり、例えば図1に示すように等辺山形鋼のようなアングル材11を横架材7に設置し、このアングル材11を介して金属板5を設置するのが好ましい。具体的には、それ自身が等辺山形鋼のようなアングル受片12を梁上フランジ下端にボルト留めする。つぎに、所定長さのアングル材11をアングル受片12にボルト留めする。
つぎに、図2に示すように、予め作成した割付表に基づいて金属板5をアングル材11上に配置する。本実施の形態では、幅寸法412mmの金属板5を910mmモジュールで2Pの梁間に設置する例であり、表1の2Pの欄に従って配置すればよい。すなわち、図3に示すように、4枚の金属板5を両端の梁13,15との隙間Aを5mmとし、各金属板間の隙間Bを20mmとなるように配置する。
配置後、金属板5の谷部3、端部谷部4をアングル材11にボルト留め又はネジ留めする。
また、アングル材11を横架材7の上面より数mm程度下げる場合には、金属板5の位置決めにおいて横架材7が定規の働きをし、位置決めが容易になるという効果を奏する。
さらに、アングル材11を横架材7の上面より数mm程度下げる場合には、横架材7が金属板5のストッパとして機能し、金属板5が滑り落ちるのを防止することができる。
図4に示すように、設置した金属板5の上に合板17を張る。なお、合板17は金属板5にネジ留めする。
壁と異なり床の遮音性能で最も重要なものは重量床衝撃音遮断性能である。重量床衝撃音遮断性能は床の剛性と面密度が支配的な要因となって性能が決まる。隙間による音漏れ現象は500Hz以上の高周波数域の遮音性能に影響を生じる恐れがあるが、重量床衝撃音遮断性能は63Hz、125Hz域の低周波数域を中心とする性能評価のため、隙間はほとんど問題にならない。隙間が問題になるのは、重量床衝撃音遮断性能ではなく、軽量床衝撃音遮断性能と空気伝搬音の遮音性能である。この場合500Hz以上の周波数で注意が必要である。ただし、金属板の上の合板、フローリングなどの木質面材、天井石膏ボードが空気伝搬音の遮音要素として働くので、現実にはほとんど問題にならない。逆に、隣接する金属板の間に隙間を設けることにより、金属板が重ならず接触することがなくなるので、床鳴り音の恐れを減じることができる。
このように、梁13,15と金属板5との間、及び隣接する金属板5相互間に隙間を設けたことによる遮音性の低下を生ずる可能性は極めて低く実際上はほとんど問題にならない。
なお、含鉄粒体に酸化鉄を用いれば安価で高比重を得られるが、これに限るものではない。また、粘弾性物質の表裏にポリエステル不織布を一体化させ、防音マットに形成しておけば、取扱いが便利である。
防音マット19の上面には仕上げ材としてフローリング21を糊釘併用固定する。
本実施の形態は、横架材7として、H形鋼を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図6は本実施の形態の斜視図、図7は図6の断面図である。
本実施の形態においては、まず、H形鋼7の上フランジ7aの片側の水平な下面と┐字姿勢にしたアングル受片12の水平な上面を合せるように接合する。そして、H形鋼7に接合した┐字姿勢のアングル受片12の鉛直面と└字姿勢のアングル材11の鉛直面を合せるようにして接合する。
なお、この例では金属板5の山部上面とH形鋼梁上面の高さ位置が略同一になるように└字姿勢のアングル材が取り付けられている。このため、H形鋼7の上フランジ上面の上方に金属板5が突出しないので、住宅の階高を抑えるための手段としてはもっとも好適である。
本実施の形態も、実施の形態2と同様に横架材7としてH形鋼を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図8は本実施の形態の斜視図、図9は図8の断面図である。
本実施の形態においては、まずH形鋼7の上フランジ7aの片側の水平な上面と┘字姿勢のアングル受片12の水平な下面を合せるように接合する。そして、この┘字姿勢のアングル受片12の鉛直面と└字姿勢のアングル材11の鉛直面を合せるようにして接合する。アングル材11の取り付けを容易にするための手段としてはこの方法が好適である。
本実施の形態も、実施の形態2と同様に横架材7としてH形鋼を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図10は本実施の形態の斜視図、図11は図10の断面図である。
本実施の形態においては、まずH形鋼7の上フランジ7aの片側の水平な上面と┘字姿勢のアングル受片12の水平な下面を合せるように接合する。そして、この┘字姿勢のアングル受片12の鉛直面と┌字姿勢のアングル材11の鉛直面を合せるようにして接合した例である。この例は、フローリング、畳などの床仕上げ材の厚さの違いを勘案して定めた寸法相当分だけ金属板5をH形鋼梁上面から下げることが何らかの理由により不可能な場合に、次善策として比較的薄い床下地材を嵩上げして取り付けるための手段として好適である。
本実施の形態は、横架材としてH形鋼梁に代えて米ツガ材からなる木梁25を用いた場合における金属板5の取付態様を示すものである。図12は本実施の形態の斜視図であり、床板である合板17の一部を破砕して示している。
図12に示すように、木梁25を用いた場合には、アングル受片を用いることなくアングル材11を木梁25に直接ボルト留め又はネジ留めすることができる。
もっとも、合板17と木梁25の接合は任意であり、例えば十分な水平面内せん断剛性、水平面内せん断耐力が確保されるようであれば、合板17と木梁25の接合を省略しても構わないし、あるいは、合板17と木梁25の接合を省略する代わりに金属板5の山部1と合板17の接合を一部省略してもよい。
また、アングル材11としては、等辺山形鋼の他に、不等辺山形鋼、溝形鋼、Box形鋼、リップ溝形鋼など断面形状の異なる鋼材を用いてもよい。
本実施の形態は、実施の形態5と同様に、横架材として木梁25を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図13は本実施の形態の斜視図であり、図14は断面図である。
本実施の形態は、実施の形態5の場合と逆に水平片が垂直片の上方になるようにアングル材11を木梁25に取り付けたものである。金属板5の山部1の上面レベルと木梁25の上面レベルが略同一となるようにアングル材11が木梁側面に取り付けられている点は実施の形態5と同様である。
本実施の形態は、実施の形態5と同様に、横架材として木梁25を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図16は本実施の形態の斜視図であり、図17は断面図である。
本実施の形態においては、フローリング、畳などの床仕上げ材の厚さの違いを勘案して定めた寸法相当分だけ木梁上面から下げた位置にアングル材11を取り付けた例である。
また、金属板5をアングル材11に設置する態様として、金属板5の谷部3、端部谷部4ではなく、図19に示すように、山部1の下面を金属板5の山幅より短い材軸長さのアングル材11で支持するようにしてもよい。このようにすれば、アングル材11を木梁25に固定する上で最低限必要となる木梁25の高さ(せい)は小さくて済む。
図20に示すものと図21に示すものとの違いは座彫り形状、アングル材11の木梁25への固定方法(┌字姿勢、または└字姿勢)である。図21に示すものでは座彫り形状が大きくなるものの、図20の場合に懸念される座彫り境界部を支点とするアングル材のテコ反力発生による中ボルトへの付加軸力の発生を防止できる。
なお、アングル材11を木梁25に固定する上で最低限、必要となる木梁の高さ(せい)は、座彫り形状の大小関係と同様、図20の方が小さくて済む。テコ反力の大小、木梁25の高さ(せい)、については住宅床の大きさ(長さおよび幅)に影響される部分が大きいので、使用に際しては状況に応じて適宜、選択することができる。
本実施の形態は、実施の形態5と同様に、横架材として木梁25を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図23は本実施の形態の斜視図であり、図24は断面図である。
本実施の形態においては、アングル材11の水平片が木梁25の上面とほぼ面一になるようにアングル材11を木梁25に取り付けたものである。これにより、見かけ上、木梁25の幅が広くなるので、金属板5の敷設作業時の安全性を向上させるための手段として好適である。
また、アングル材11を木梁25の上面より数mm程度下げる場合には、金属板5の位置決めにおいて木梁25が定規の働きをし、位置決めが容易になる効果を奏する。
さらに、アングル材11を木梁25の上面より数mm程度下げる場合には、木梁25が金属板5のストッパとして機能し、金属板5が滑り落ちるのを防止することができる。
本実施の形態は、実施の形態5と同様に、横架材として木梁25を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図25は本実施の形態の斜視図であり、図26は断面図である。
本実施の形態のものは、図10、図11に示した実施の形態4と同様にアングル受片12を用いる構成であり、フローリング、畳などの床仕上げ材の厚さの違いを勘案して定めた寸法相当分だけ木梁上面から下げることが何らかの理由により不可能な場合に、次善策として比較的薄い床下地材を嵩上げして取り付けるための手段として好適である。
本実施の形態は、実施の形態5と同様に、横架材として木梁25を用いた場合における金属板5の他の取付態様を示すものである。図27は本実施の形態の斜視図であり、図28は断面図である。
本実施の形態のものは、図8、図9に示した実施の形態3と同様の構成であり、アングル材11の取り付けを容易にするための手段として好適な例である。
本実施の形態は、横架材として木梁25を用いた場合において、金属板5を木梁25に固定した木製の角材24を介して木梁25に取付ける例を示したものである。図29は金属板5を取付ける前の状態を示す斜視図、図30は金属板5を取付けた後の状態を示す斜視図である。
本実施の形態のように、角材24の上面と木梁25の上面とがほぼ面一になるように配置すれば、木梁25の幅が見かけ上広くなるので、金属板5の敷設作業時の安全性を向上させることができる。
また、金属板5を木梁25に取付ける手段として角材24を用いれば、アングル材11を用いる場合に比較して、コストを大幅に低減できる。
本実施の形態は、横架材として木梁25を用いた場合において、金属板5を木梁25に固定した木製の角材24を介して木梁25に取付ける他の例を示したものである。図31は金属板5を取付ける前の状態を示す斜視図、図32は金属板5を取付けた後の状態を示す斜視図である。
また、角材24、28を木梁25、梁15の上面より数mm程度下げる場合には、木梁25、梁15が金属板5のストッパとして機能し、金属板5が滑り落ちるのを防止することができる。
なお、上記の例においては、金属板5を木梁25、梁15に取付ける手段として木製の角材24を例に挙げたが、木製の板材のようなものであってもよい。
本実施の形態は、実施の形態12における角材24、28を金属板5の高さ分だけ下方に配置したものである。図33は金属板5を取付ける前の状態を示す斜視図、図34は金属板5を取付けた後の状態を示す斜視図である。
図33に示すように、角材24、28を金属板5の高さ分だけ下方に配置したことにより、図34に示すように、金属板5を設置したときに、金属板5の山部1と木梁25及び梁15の上面の位置がほぼ同一になる。
なお、図35では木梁25に直接金属板5を取付ける例を示しているが、横架材としてH形鋼を用いた場合も同様に金属板5を直接取付けることは可能である。
また、床板については、合板を用いた場合について説明したが、OSB、パーティクルボードなどの木質面材、セメント板、火山灰を固めた無機質エンジニアリングパネルなどの無機質系面材などを用いることもできる。
角材24、角材28の材質は、横架材と同様のものを用いることができる。断面は角形状が好適であるが、必要により面取りした断面や多角形状、多角形の一部に曲面を持つ断面であってもよい。
1.試験体
(1)試験体の共通仕様
(i)形状:試験体の形状は、図38に示すように、木製角材からなる枠材31の中に
複数の金属板5を、所定の隙間をあけて配置したものである。なお、枠材3
1の左右の辺が本実施の形態における横架材7に、上下の辺が梁13,15
に相当する。
図38(a)が床板取付前の状態を示し、図38(b)が床板取付後の
状態を示している。
(ii)試験体寸法: 2m×3m
(iii) 金属板の仕様:山数:2山、山部の高さ75mm、幅412mm、長さ188
0mm(但し、試験体4のみ2000mm)
(2)試験体の個別仕様
試験体の個別仕様は表3に示す通りである。
(1) 試験体1:標準試験体
(2) 試験体2:金属板の枚数を一枚減らした点。
(3) 試験体3:両端の金属板をアングル材を介して枠材31の上下の辺(実施の形
態における梁13,15に相等)と接合した点。
なお、図32においては枠材31の上下の辺との接合部材として角
材28を用いているが、試験体3では角材28ではなく、鋼製のアン
グル材を用いた。
(4) 試験体4:金属板を直接横架材に取付けた点。
(5) 試験体5:金属板と横架材との接合を角材(木製)によって行った点。
(6) 試験体6:床板17と枠材31とを接合した点。
載荷試験装置は、図39に示すように、試験体の図中下辺を冶具35に取り付け、試験体の上辺の一端側に載荷用のジャッキ37をロードセル39を介して取り付けている。
また、試験体の水平変位を計測する変位計41、43、試験体の浮き上がり変位を計測する変位計45、47を設置している。
3.載荷方法
上記の試験体に対する載荷方法は、図39に示す載荷装置によって、後記の文献の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく性能表示の構造方法の試験法、評価法
床倍率を算定するための水平構面の面内せん断試験」に準じて実施した。
具体的には、載荷点における荷重と上下梁の水平変位(δ1,δ2)、枠材31における左右の辺の浮き上がり変位(δ3,δ4)を計測する。なお、載荷制御は、下式に示す真のせん断変形角θ0にて行う。
θ0=(δ1−δ2)/3000−(δ3−δ4)/2000
床倍率とは、下記の文献に示された方法に従って算出した値であり、床の面内方向の構造性能を示す指標である。床倍率が1以上であれば、構造性能として実用に供するものと評価できる。
文献名:日本住宅・木材技術センター:木造軸組工法住宅の許容応力度設計第ニ版,2002年6月
試験体2は床倍率が1.84であり、試験体1の床倍率より若干だけ小さくなっているが、1よりも十分大きく、構造性能として実用に供するものである。試験体2は、金属板を一枚減らしたものであることから、各金属板の隙間の累積値が金属板1枚の幅寸法よりも大きくなっている。しかし、この場合でも構造性能として実用に供するものであることが実証されたことから、各金属板の隙間の累積値が金属板1枚の幅寸法よりも小さくなるように設定すれば、十分に実用に供する構造性能が得られることが分かる。
試験体3は床倍率が2.48であり、試験体1の床倍率よりも大きくなっている。このことから、両端の金属板を梁と接合することによって構造性能を高めることができることが実証された。
試験体5は床倍率が1.11であり、試験体1の床倍率より小さくなっているが、構造性能として実用に供するものと評価できる最低基準である1以上である。金属板を横架材に取付ける部材として木材を用いても構造性能として実用に供するものであることが実証された。
試験体6は床倍率が4.63であり、試験体1の床倍率を大きく上回る。このことから、床板と枠材(横架材7、梁13,15に相等)を接合することで構造性能を大きく向上させることができることが実証された。
3 谷部
4 端部谷部
5 金属板
7 横架材
11 アングル材
12 アングル受片
17 合板
19 防音マット
21 フローリング
24 角材
Claims (13)
- 山部と谷部が交互に平行に形成された金属板を横架材に支持してなる床構造の構築方法であって、
梁間と該梁間に設置する金属板の幅寸法に基づいて、梁と金属板の隙間寸法及び/又は各金属板相互間の隙間寸法が所定値になるように金属板の枚数、配置を設定する割付工程と、該割付工程で決められた配置に基づいて金属板を梁間に設置する金属板設置工程と、金属板の山部に床板を設置する床板設置工程と、を備えたことを特徴とする床構造の構築方法。 - 割付工程は、隙間寸法の梁間当りの累積値が金属板1枚の幅寸法よりも小さくなるように設定することを特徴とする請求項1記載の床構造の構築方法。
- 割付工程は、隙間寸法が100mm以下になるように設定することを特徴とする請求項1又は2記載の床構造の構築方法。
- 金属板設置工程は、金属板の山部と横架材の上面部の位置がほぼ面一になるように金属板を設置し、床板設置工程は床板を金属板の山部と横架材の両方に亘るように設置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の床構造の構築方法。
- 金属板設置工程は、フローリング、畳などの床仕上げ材の厚さの違いを勘案して定めた寸法相当分だけ金属板の山部が横架材の上面から下げた位置になるように金属板を設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の床構造の構築方法。
- 金属板設置工程は、金属板をアングル材を介して横架材に設置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の床構造の構築方法。
- 金属板設置工程は、金属板を木材を介して横架材に設置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の床構造の構築方法。
- 金属板の材料として、2枚の鋼板等の間に粘弾性樹脂を挟んだ制振鋼板を用いたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の床構造の構築方法。
- 横架材として、米ツガ、米マツなどの一般建築用材、枠組壁工法用構造材、集成材、LVL、TJIなどの木質系材料、または、H形鋼、溝形鋼、Box形鋼、リップ溝形鋼などの鋼材、あるいは、木材や防振材などと鋼材を組み合わせた複合材を用いたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の床構造の構築方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の床構造の構築方法によって構築されたことを特徴とする床構造。
- 山部と谷部が交互に平行に形成された複数の金属板を、梁と金属板の間及び/又は各金属板相互間に隙間を設けた状態で配置して横架材に支持してなる床構造であって、
前記隙間の梁間当りの累積値が金属板1枚の幅寸法よりも小さくなるように設定したことを特徴とする床構造。 - 金属板を、アングル材を介して横架材に設置したことを特徴とする請求項11に記載の床構造。
- 金属板を、木材を介して横架材に設置したことを特徴とする請求項11に記載の床構造。
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