JP4497715B2 - シリンダ錠 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉等に取り付けられるシリンダ錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のシリンダ錠の一例として、特公平2−52070号公報に開示されたものがある。図12はそのようなシリンダ錠の施錠状態を示す横断面図、図13はこのシリンダ錠の施解錠に用いられるキーの斜視図であって、ハウジング03内にシリンダー心栓04が回転可能に嵌装され、そのシリンダー心栓04にはその回転軸線に平行に延びるキー受入れ用の溝穴05が設けられている。
【0003】
シリンダー心栓04はその回転軸線に対して側方に偏位した1列のくり穴06を有する。各くり穴06には施錠ピン07が嵌装され、各施錠ピン07は残り部分よりも小径のくびれ部分07aを有する。くびれ部分07aはすべてそれぞれのピンの長手方向同一の位置にある。各くり穴06にはばね015が装着され、関連するピンを図12で下方に付勢しているが、キーが後述のように溝穴05に挿入されるときには、各施錠ピン07はそれぞれのばね015に抗して可動である。
【0004】
シリンダー心栓04の外周部分には長手方向に延びる凹み020があってサイドバー010を収容している。サイドバー010は断面V字形の外側部010aを有し、シリンダー心栓04がハウジング03内で適当な角位置にあるとき、この外側部010aがハウジング03の内周部に形成されたV形断面の凹み021と係合する。サイドバー010の両端部と凹み020の後面(底面)との間にはばねが介装されてサイドバーを外方に付勢している。サイドバー010は、正しいキーが挿入されれば、シリンダー心栓04を回すことによってばねの作用に抗して内方に変位することができる。
【0005】
サイドバー010にはその内側沿いに複数の突耳010bが設けられている。これらの突耳010bはサイドバー010上の区々の高さすなわち垂直位置に設けられており、シリンダー心栓04を回そうとするときサイドバー010が後退し得るためには、これらの突耳010bがそれぞれの各施錠ピン07のくびれ部分07aに入らなければならない。各施錠ピン07はどれも同一であるから、サイドバー010の後退のためには、各施錠ピン07がシリンダー心栓04内のそれぞれのくり穴06の中で種々異なる垂直位置を採らなければならない。これらの各施錠ピン07の垂直位置をセットするのが後述するキー02のブレード部02bの一側面部分に形成されたコード面である。
【0006】
キー02は図13に詳細に図示されており、キー把持のための頭部02aとウェブすなわちブレード部02bとを有する。ブレード部02bはシリンダー心栓04内中央に配置された1列の通常のピンタンブラと係合するエッジコード02b′を担持している。図12には1組の通常型ピンタンプラが示されており、その下ピン08と上ピン09がそれぞれのくり穴018,019に収容されてばね016で付勢されている。
【0007】
キーブレード部02bの片側の側面部分02cには、施錠ピン07と協働するコード02c′が設けられ、キー02がシリンダー心栓04に完全に挿入されてピン位置を決めるときに、施錠ピン07の下端面と係合する。
【0008】
キー02をシリンダー心栓04の溝穴05に挿入すると、ブレード部02bのエッジコード02b′によって下ピン08と上ピン09が押上げられ、下ピン08と上ピン09の接触面がハウジング03とシリンダー心栓04の回転境界面に一致する。またこの時、キー02の側面に設けられたコード02c′によって施錠ピン07が押上げられ、すべての施錠ピン07のくびれ部分07aの垂直位置がサイドバー010の突耳010bと一致する。この状態でシリンダー心栓04をキー02により回転させると、図14に示されるように、サイドバー010の外側部010aの斜面がV形断面の凹み021の斜面に押されて、サイドバー010が凹み020内を後退し、突耳010bがくびれ部分07a内にはまり込む。こうしてシリンダー心栓04とハウジング03との相対回転運動が可能となり、シリンダ錠は解錠される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のシリンダ錠においては、キー02の側面部分02cにエッジコード02b′と同様なコード02c′を設けるので、その精密加工に特殊な工具と熟練を必要とし、製作費が高価であった。またサイドバー010には区々の高さ位置に突耳010bを設けるので、形状が複雑となり、この加工費も高かった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、所定の横断面形状に形成されるとともに、少なくとも一の側面にキーコード凹部が形成されたキーによって施錠されあるいは解錠されるシリンダ錠であって、内面が円筒状に形成された外筒と、該外筒の円筒状内面に回転自在に嵌装されるとともに、上記キーが軸線方向へ抜差し自在に挿入されるキー孔が設けられた内筒とを備え、上記外筒の円筒状内面には軸線方向に向いた断面V字状の係止溝が形成され、上記内筒には、該内筒の軸線方向に沿って複数のサイドピン案内孔が形成されるとともに、該内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部に対応する位置で、上記サイドピン案内孔と上記キー孔とを連通する連通部が形成され、かつ上記各サイドピン案内孔と連通するとともに施錠位置において上記外筒の断面V字状の係止溝に開口するサイドバー案内長孔が形成され、上記キーのキーコード凹部に嵌合できる球体が上記連通部に収納されるとともに、前記各サイドピン案内孔にサイドピンがそれぞれ摺動自在に嵌装され、該サイドピンを上記連通部に向けて付勢する付勢手段が設けられ、施錠状態で上記外筒の断面V字状の係止溝に係止できるサイドバーが上記サイドバー案内長孔に嵌装され、上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態においてのみ、上記サイドバーの先端部が上記外筒の断面V字状の係止溝から外れて前記内筒内に退入できるように、上記サイドピンと上記サイドバーとが形成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1記載の発明は前記のとおり構成され、キーの側面にキーコード凹部を設けるので、従来のようにキーの側面部分にエッジコード同様のコードを加工する場合と比較すれば、製作費を格段に低減できる。
【0012】
請求項1記載の発明はまた、キーのキーコード凹部とサイドピンとの間に球体を介在させるので、キーコード凹部の深さ方向とサイドピンの移動方向とが一致していなくても、力の方向が変換され、サイドピン案内孔内のサイドピンの移動が円滑になされる。
【0013】
次に請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記サイドバーの先端部を上記外筒の断面V字状の係止溝に圧入するよう付勢する付勢手段が設けられたことを特徴とするものである。したがって請求項2記載の発明では、キー孔からキーを引抜いた時、サイドバーの先端部が付勢されて外筒の断面V字状の係止溝に圧入され、確実に施錠される。
【0014】
更に請求項3記載の発明は、上記請求項1または請求項2記載の発明において、上記内筒に形成された連通部が、該内筒のキー孔とサイドピン案内孔とを連通する切欠き部であることを特徴とするものである。したがって請求項3の発明では、機械加工が極めて容易である。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、上記請求項1または請求項2記載の発明において、上記内筒に形成された連通部が、上記内筒のサイドピン案内孔からキー孔に向かい、上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部に対して上記球体を出没可能に案内する孔であることを特徴とするものである。したがって、請求項4の発明では、内筒の組立作業および外筒への取付作業が容易である。
【0016】
次に請求項5記載の発明は、上記請求項1ないし請求項4記載いずれかの発明において、上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態において、上記連通部より上記キーのキーコード凹部に嵌合する上記球体の突出量に対応して停止した上記サイドピンの位置にて、上記サイドバーの先端部が上記外筒の断面V字状係止溝から外れるように、上記サイドピンと上記サイドバーとの相互当接部に係合機構が形成されたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は上記のとおり構成され、サイドピンとサイドバーとの相互当接部に係合機構が形成されているので、シリンダ錠の施錠・解錠が確実に行なわれる。
【0018】
また請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、上記係合機構では、上記サイドピンに凹部または切欠きが形成され、上記サイドバーの基端に該サイドピンの凹部または切欠きに係脱自在に嵌合できる係合突部が形成されたことを特徴とするものである。
【0019】
したがって請求項6記載の発明では、サイドバーが全長にわたって同一断面であっても、サイドピンに形成される凹部または切欠きの位置を、キーのキーコード凹部の深さに対応させて適切に定めることによって、上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態においてのみ、サイドバーの基端係合突部をすべてのサイドピンの凹部に係合させることができる。その結果、従来のサイドバーの区々の高さ位置に突耳を設ける場合と比較して、サイドバーの製作が格段に容易となる。
【0020】
次に請求項7記載の発明は、上記請求項1ないし請求項6いずれか記載の発明において、上記サイドピンの先端部に上記球体と接する傾斜面が形成されたことを特徴とするものである。したがって請求項7記載の発明では、シリンダ錠の施錠・解錠が円滑に行なわれる。
【0021】
また請求項8記載の発明は、上記請求項7記載の発明において、上記サイドピンの先端部の傾斜面が該サイドピンの軸線を軸線とする円錐面であり、該サイドピンの上記凹部が環状であることを特徴とするものである。
【0022】
したがって請求項8記載の発明においては、サイドピンが軸線の周りにどのように回転しても、その機能が損われることはなく、故障の恐れが少ない。また、サイドピンを加工する際に回転位置決めをする必要がないから、製作費を低減できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態のシリンダ錠を施錠あるいは解錠するのに使用されるキーの側面図および縦断下面図である。このキー21はキー把持のための頭部22とブレード部23とから成る。そしてブレード部23は、図示しないが所定の横断面形状に形成されるとともに、上縁にはエッジコード部24が形成されている。本実施形態ではまた、ブレード部23の一側面にキーコード凹部25が形成されている。
【0024】
図2は本実施形態におけるシリンダ錠の施錠状態を示す横断面図(図3のII
−II断面図)、図3は図2のIII−III縦断平面図である。
【0025】
これらの図において、内面が円筒状に形成された外筒1内に内筒2が回転自在に嵌装されており、その内筒2には、前記キー21が抜差し自在に挿入されるキー孔3が設けられている。
【0026】
また、軸線を通る鉛直面に沿って一列に、外筒1と内筒2とを貫通しキー孔3に至る複数のメインピン案内孔4が、穿設されている。このメインピン案内孔4内には下ピン6、上ピン7が摺動自在に嵌装され、メインピン案内孔4上端を塞ぐ閉じ板8との間に嵌入されたスプリング9によって、下向き(キー孔3方向)に付勢されている。これら下ピン6、上ピン7の合計長さは、すべてのメインピン案内孔4においてほぼ一定であるが、個々の長さはマチマチである。そして、図1に示される施錠状態では、外筒1と内筒2との回転境界面(シヤーライン)にまたがって上ピン7が位置するようになっており、キー孔3に挿入されたキーのエッジコード部24のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態においてのみ、下ピン6と上ピン7の接触面が外筒1と内筒2の回転境界面と一致するようになっている。
【0027】
上記外筒1の円筒状内面には、軸線方向に平行な断面V字状の係止溝1aが形成されている。
【0028】
上記内筒2には、軸線方向に平行に配列して、複数のサイドピン案内孔11が穿設されている。そして前記キー21が内筒2のキー孔3に挿入された時、そのキー21のキーコード凹部25に対応する位置で、上記サイドピン案内孔11と上記キー孔3とを連通する切欠き状の連通部が形成され、キーコード凹部25に勘合できる球体14がその連通部に収納されている。また上記各サイドピン案内孔11にはサイドピン12がそれぞれ摺動自在に嵌装され、スプリング13によって上記連通部に向けて付勢されている。そしてサイドピン12の下端部には、上記球体14と接する傾斜面12aが形成されている。
【0029】
内筒2にはまた、各サイドピン案内孔11と連通し、図1で示される施錠位置において前記外筒1の断面V字状の係止溝1aに開口するサイドバー案内長孔16が形成されている。そしてそのサイドバー案内長孔16には、施錠状態で上記断面V字状の係止溝1aに係止できるサイドバー17が嵌装されている。そのサイドバー17は、先端部が上記断面V字状の係止溝1aに対応してV字状断面形状に形成され、その係止溝1aへ圧入されるよう、スプリング18で付勢されている。
【0030】
また上記サイドバー17の基端部には係合突部17bが形成される一方、上記サイドピン12の側面には凹部(切欠ぎ)12bが形成されている。その切欠ぎ12bが形成される位置は、各サイドピン12ごとに一様でなく、上記キー孔3に挿入されるキー21のキーコード凹部25のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態においてのみ、サイドバー17の先端部が外筒1の断面V字状の係止溝1aから外れて、サイドバー17が内筒2内に後退し、基端係合突部17bがすべての切欠ぎ12bに係合できるような位置となっている。
【0031】
図2、図3に示される状態では、すべてのメインピン案内孔4において上ピン7の位置が外筒1と内筒2との回転境界面にまたがっているので、外筒1と内筒2との相対回転運動が阻止される。加えて本実施形態においては、この時、サイドバー17はV字形断面の先端部が断面V字状の係止溝1a内に入り込んでおり、しかもすべてのサイドピン12の切欠ぎ12bがサイドバー17の位置からずれていて、サイドバー17は後退することができないから、ここでも外筒1と内筒2との相対運動が規制される。すなわち、シリンダ錠は施錠状態にある。
【0032】
次に図4は図2、図3に示されるシリンダ錠に図1に示されるキーを差込んだ状態を示す横断面図、図5は図4に示された状態から更にキーを回転させた状態を示す横断面図(図7のV−V断面図)、図6は図5と異なる断面を示す横断面図(図7のVI−VI断面図)、図7は図5、図6のVII−VII縦断面図である。
【0033】
図1に示されたキー21を内筒2のキー孔3に挿入すると、キー21のエッジコード部24によって、下ピン6、上ピン7はスプリング9の力に抗して押上げられ、すべてのメインピン案内孔4において、図4に図示されるように、下ピン6と上ピン7との接触面が外筒1と内筒2との回転境界面に一致するようになる。またこの時、キー21側面のキーコード凹部25に当接する球体14を介して、サイドピン12の下端傾斜面12aが押され、サイドピン12はスプリング13の力に抗して上方へ移動する。そしてキーコード凹部25のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致する限り、すべての切欠ぎ12bがサイドバー17の位置まで移行する(図4)。この時はまだ、サイドバー17はスプリング18により内筒2の外方に向かって付勢されているから、V字形断面の先端部が断面V字状の係止溝1a内に入り込んだ状態になっている。
【0034】
この状態でキー21により内筒2を外筒1に対して回転させると、サイドバー17の先端部の傾斜面が断面V字状の係止溝1aの傾斜面に押され、スプリング18の力に抗してサイドバー17がサイドバー案内孔16内を後退し、図5、図6、図7に示されるように、サイドピン12の切欠ぎ12bと係合する。こうして内筒2と外筒1との相対運動が実現し、図示しないノッチ等を駆動して、扉等が開かれることになる。
【0035】
本実施形態では、内筒2と外筒1との相対回転運動を阻止する手段として、メインピン案内孔4内の上ピン6、下ピン5による系統と、サイドピン12とサイドバー17の組合せによる系統の2通りの系統を備えているので、キー21を用いない不正解錠(いわゆるピッキング)が困難である。また、キー21がキー孔3に差込まれていない時、球体14が重力により最低位置、すなわちキー孔3を塞ぐ位置に転がって来るので、不正解錠はさらに困難になる。
【0036】
なお、球体14が上記のように重力により転がって来る最低位置は、キー21のキーコード凹部25の深さによって異なる。したがって各キーコード凹部25の中心の高さは、図1の側面図に示されるとおり、一様ではない。
【0037】
本実施形態ではまた、キー21の側面に複数のキーコード凹部25が設けられ、しかもそれらキーコード凹部25の中心が前記のとおり一直線上にないので、合鍵の製作すなわちキーの複製が極めて困難である。
【0038】
そして本実施形態では、キー21の側面にキーコード凹部25を設けるので、従来のようにキー02の側面部分02cにエッジコード02b′同様のコード02c′を加工する場合と比較すれば、製作費を格段に低減できる。
【0039】
また、サイドピン12とキー21のキーコード凹部25との間に球体を介在させるので、キーコード凹部25の深さ方向とサイドピン12の移動方向とが一致していないにもかかわらず、力の方向が変換され、サイドピン案内孔11内のサイドピン12の移動が円滑になされる。さらに本実施形態では、キー孔3からキー21を引抜いた時、サイドバー17の先端部がスプリング18により付勢されて外筒1の断面V字状の係止溝1aに圧入され、確実に施錠される。
【0040】
加えて本実施形態では、サイドピン12に形成される切欠ぎ12bの位置を、キー21のキーコード凹部25の深さに対応させて適切に定めることによって、サイドバー17が全長にわたって同一断面であるにもかかわらず、上記内筒2のキー孔3に挿入されたキー21のキーコード凹部25のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態においてのみ、サイドバー17の基端係合突部17bをサイドピン12の切欠ぎ12bに係合させることができる。したがって、従来のサイドバー010の区々の高さ位置に突耳010bを設ける場合と比較して、サイドバー17の製作が格段に容易となる。
【0041】
次に図8は、本発明の第2の実施形態のシリンダ錠にキーを差込んだ状態を示す横断面図である。本実施形態では、サイドピン32の下端部に、前記第1の実施形態の傾斜面12aの代りに、円錐面32aが形成されるとともに、側面には前記実施形態の切欠ぎ12bの代りに、全円周にわたって環状凹部32bが形成される。その他の部分については、前記第1の実施形態と同様なので、同一の符号を付け、詳しい説明を省略する。
【0042】
本実施形態は、上記のとおり構成されているので、サイドピン32が軸線のまわりにどのように回転しても機能を損なわれることなく、故障の心配がない。また、サイドピン32を加工する際に回転位置決めをする必要がないから、製作費を低減できる。その他、前記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
次に図9は本発明の第3の実施形態のシリンダ錠の施錠状態を示す内筒の横断面図(図10,図11のIX−IX断面図)、図10は同じく縦断平面図(図9,図11のX−X断面図)、図11は図10のXI−XI矢視一部切欠き側面図である。
【0044】
前記第1および第2の実施形態のおいては、内筒2の側部に下方から上方へ穿設されたサイドピン案内孔11とキー孔3とを連通する切欠ぎ状の連通部が形成されていたのに対し、本実施形態の内筒2に形成される連通部は、内筒2のサイドピン案内孔41からキー孔3に向かって、キー孔3に挿入されるキー21のキーコード凹部25に対し球体14を出没可能に案内する球体案内孔40である。すなわち、キー孔3に挿入されるキー21のキーコード凹部25位置に向かって、内筒2の下側部から水平方向に球体案内孔40が穿設され、この球体案内孔40内に球体14が収納・案内される。この場合、サイドピン案内孔41は球体案内孔40の位置に上方から穿設されている。そしてキー孔32を下方へ付勢するスプリング13の上端は、円筒の一側面が切欠がれた形状のスプリング押さえバー42によって拘束される。その他の部分については前記第1,第2の実施形態と同様なので、同一の符号を付け、詳しい説明を省略する。
【0045】
組付けに際しては、まず各球体案内孔40内に球体14を収容した後、各サイドピン案内孔41内に上方からサイドピン32を挿入する。更にスプリング13をセットし、スプリング押さえバー42で押える。その場合スプリング押さえバー42は、図9に示される状態から軸線の周りに180°回転した状態、すなわち円筒面を下にした状態で、各スプリング13を圧縮しつつ後方から挿入してゆき、最後に180°回転させて図9,図11に示される状態にする。
【0046】
この段階で、内筒2はそれ自体で1個の安定した組付体となり、組み込まれたスプリング13,サイドピン32,球体14等は、いずれも脱落する心配はない。その点で、スプリングやサイドピン,球体等の組み込みを、内筒2を外筒1に組み付ける時に同時に行なわねばならなかった前記第1,第2の実施形態と比較すると、本実施形態では組立作業が格段に容易になる。その他、前記第1,第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の一形態に使用されるキーの側面図および縦断下面図である。
【図2】図2は本実施形態におけるシリンダ錠の施錠状態を示す横断面図(図3のII−II断面図)である。
【図3】図3は図2のIII−III縦断平面図である。
【図4】図4は、図2、図3に示されるシリンダ錠に図1に示されるキーを差込んだ状態を示す横断面図である。
【図5】図5は図4に示された状態から更にキーを回転させた状態を示す横断面図(図7のV−V断面図)である。
【図6】図6は図5と異なる断面を示す横断面図(図7のVI−VI断面図)である。
【図7】図7は図5、図6のVII−VII縦断面図である。
【図8】図8は本発明の第2の実施形態のシリンダ錠にキーを差込んだ状態を示す横断面図である。
【図9】図9は本発明の第3の実施形態のシリンダ錠の施錠状態を示す内筒の横断面図(図10,図11のIX−IX断面図)である。
【図10】図10は同じく縦断平面図(図9,図11のX−X断面図)である。
【図11】図11は図10のXI−XI矢視一部切欠ぎ側面図である。
【図12】図12は従来のシリンダ錠の一例を示す施錠状態の横断面図である。
【図13】図13は図12のシリンダ錠の施解錠に用いられるキーの斜視図である。
【図14】図14は図12に示されるシリンダ錠に図13に示されるキーを差込んで回転させた状態を示す横断面図である。
【符号の説明】
1…外筒、1a…係止溝、2…内筒、3…キー孔、4…メインピン案内孔、6…下ピン、7…上ピン、8…閉じ板、9…スプリング、11…サイドピン案内孔、12…サイドピン、12a…傾斜面、12b…切欠ぎ、13…スプリング、14…球体、16…サイドバー案内長孔、17…サイドバー、17b…基端係合突部、18…スプリング、21…キー、24…エッジコード部、25…キーコード凹部、32…サイドピン、32a…円錐面、32b…環状凹部、40…球体案内孔、41…サイドピン案内孔、42…スプリング押さえバー。

Claims (8)

  1. 所定の横断面形状に形成されるとともに、少なくとも一の側面にキーコード凹部が形成されたキーによって施錠されあるいは解錠されるシリンダ錠であって、
    内面が円筒状に形成された外筒と、
    該外筒の円筒状内面に回転自在に嵌装されるとともに、上記キーが軸線方向へ抜差し自在に挿入されるキー孔が設けられた内筒とを備え、
    上記外筒の円筒状内面には軸線方向に向いた断面V字状の係止溝が形成され、
    上記内筒には、該内筒の軸線方向に沿って複数のサイドピン案内孔が形成されるとともに、該内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部に対応する位置で、上記サイドピン案内孔と上記キー孔とを連通する連通部が形成され、かつ上記各サイドピン案内孔と連通するとともに施錠位置において上記外筒の断面V字状の係止溝に開口するサイドバー案内長孔が形成され、
    上記キーのキーコード凹部に嵌合できる球体が上記連通部に収納されるとともに、前記各サイドピン案内孔にサイドピンがそれぞれ摺動自在に嵌装され、
    該サイドピンを上記連通部に向けて付勢する付勢手段が設けられ、
    施錠状態で上記外筒の断面V字状の係止溝に係止できるサイドバーが上記サイドバー案内長孔に嵌装され、
    上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態においてのみ、上記サイドバーの先端部が上記外筒の断面V字状の係止溝から外れて前記内筒内に退入できるように、上記サイドピンと上記サイドバーとが形成されたことを特徴とするシリンダ錠。
  2. 上記サイドバーの先端部を上記外筒の断面V字状の係止溝に圧入するよう付勢する付勢手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載のシリンダ錠。
  3. 上記内筒に形成された連通部は、該内筒のキー孔とサイドピン案内孔とを連通する切欠き部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリンダ錠。
  4. 上記内筒に形成された連通部は、上記内筒のサイドピン案内孔からキー孔に向かい、上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部に対して上記球体を出没可能に案内する孔であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリンダ錠。
  5. 上記内筒のキー孔に挿入されたキーのキーコード凹部のキーコードがシリンダ錠の設定キーコードと一致した状態において、上記連通部より上記キーのキーコード凹部に嵌合する上記球体の突出量に対応して停止した上記サイドピンの位置にて、上記サイドバーの先端部が上記外筒の断面V字状係止溝から外れるように、上記サイドピンと上記サイドバーとの相互当接部に係合機構が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載のシリンダ錠。
  6. 上記係合機構では、上記サイドピンに凹部または切欠きが形成され、上記サイドバーの基端に該サイドピンの凹部または切欠きに係脱自在に嵌合できる係合突部が形成されたことを特徴とする請求項5記載のシリンダ錠。
  7. 上記サイドピンの先端部に上記球体と接する傾斜面が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか記載のシリンダ錠。
  8. 上記サイドピンの先端部の傾斜面が該サイドピンの軸線を軸線とする円錐面であり、該サイドピンの上記凹部が環状であることを特徴とする請求項7記載のシリンダ錠。
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