JP4493829B2 - ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中から焼却灰を凝集沈殿、分離して水中におけるダイオキシン類の量を大幅に低減させることのできるダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、企業や家庭から排出される生ゴミや有機産業廃棄物は、これらゴミを収集した地域のゴミ焼却炉にて焼却処分されている。そして、上記有機産業廃棄物には、ポリ塩化ビニル等の塩素を含む合成樹脂類が混在していることから、焼却過程において化学反応が生じて猛毒のダイオキシン類が生成することが知られている。
【0003】
又、上記ゴミ焼却炉は、一定期間毎に焼却炉の清掃が行われる。この清掃は、焼却炉内の焼却灰を除去するとともに、焼却炉内を水洗いすることにより行われる。
【0004】
しかしながら、上記焼却炉内の清掃に用いられた後の焼却灰が分散した状態の排水にはダイオキシン類が含まれていることから、この排水を外部に排出する前にダイオキシン類の除去処理を行っておく必要がある。
【0005】
そこで、上記排水にポリ塩化アルミニウム等の無機系凝集剤を添加し、排水中に分散した焼却灰を凝集沈殿させて除去することが試みられているが、焼却灰を効果的に凝集、沈殿させるに至っておらず、又、上記無機系凝集剤の代わりに高分子系凝集剤を添加することも考えられるが、この高分子系凝集剤は人工的に合成されたものであることから今後、人体或いは環境に大きな影響を及ぼす虞れがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中に天然化合物であるフミン質溶液を添加して上記焼却灰を効率良く凝集沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から分離することによって水中のダイオキシン類の量を大幅に低減することができるダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法は、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中にフミン質溶液を添加して上記焼却灰を凝集沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から除去することにより水中におけるダイオキシン類の量を低減させることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明のダイオキシン類を含む焼却灰の処理方法は、焼却炉内の清掃に用いられてダイオキシン類が表面に吸着した焼却灰が分散している水中にフミン質溶液を所定量添加することにより行われる。
【0009】
すると、水中に含まれるダイオキシン類の殆どは焼却灰の表面に吸着した状態で存在している一方、上記フミン質は、高分子化合物であって凝集剤としての作用を有することから、水中に分散する焼却灰同士を集合させて大きな粒子に成長させ、焼却灰をそれに吸着したダイオキシン類と共に水中から効率良く且つ確実に沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から分離することにより、水中に含まれるダイオキシン類の量の大幅な低減を図ることができる。
【0010】
しかも、上記フミン質は、分子量が数千以上の色素成分であって芳香環を基本構造とする高分子有機酸であり、親油性をも有していることから、上記焼却灰の表面に吸着したダイオキシン類は、上記フミン質に対して高い親和性を有し、よって、フミン質により凝集させられた焼却灰の表面に吸着しているダイオキシン類は、焼却灰を凝集させているフミン質との間の高い親和力によって焼却灰から遊離するのを確実に防止させられており、ダイオキシン類を焼却灰に確実に吸着させた状態で水中から確実に分離することができる。
【0011】
又、焼却灰のうち非常に微細なもので水中に分散した状態の焼却灰は、その表面に付着したダイオキシン類とフミン質との間の高い親和力によってフミン質に吸着され、水中に含まれるダイオキシン類を更に除去、低減させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法を詳細に説明する。上記ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水とは、例えば、各地域のゴミ焼却炉を一定期間毎に水洗いする時に発生する排水が挙げられ、この排水中には多数の焼却灰が分散した状態となっているとともに、この焼却灰の表面にはポリ塩化ビニル等の塩素を含む合成樹脂を燃焼させた時に発生するポリ塩化ジペンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジペンゾフラン、コプラナーPCB等のダイオキシン類が吸着している。上記処理方法は、上記ダイオキシン類が吸着した焼却灰の殆どを凝集沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から除去することにより、水中のダイオキシン類濃度を大幅に低減させるものである。
【0013】
上記焼却灰が分散した水中に添加されるフミン質溶液は、水中にフミン質を溶解させてなるものである。このフミン質とは、植物体の分解と腐植化に伴う各種の生物的、非生物的なプロセスによって合成された高分子有機物であり、複雑な化学構造を持ち、非晶質であること、分解に対する抵抗性を持つこと、暗色を呈すること、酸としての性質を持つこと等の特徴を有する。
【0014】
詳細には、上記フミン質は、酸及びアルカリへの溶解性によって区別されたフルボ酸、腐植酸(フミン酸)、ヒューミンの他に、有機溶媒で抽出されないケロジェンを含む。
【0015】
上記フルボ酸は、土壌や堆積物からアルカリによって抽出される有機物又は水質中に溶存する有機物のうち、酸性(pH=1)にしても沈殿しないものであり、具体的には、カルボキシル基に富んだ腐植物質や、分子量の大きな多糖類、配糖体、フェノール性物質等の多様な物質の混合物である。
【0016】
そして、上記腐植酸は、土壌、湖底・海底堆積物、堆積岩等からアルカリによって抽出され、酸によって沈殿する赤褐色又は暗褐色の有機物であり、カルボキシル基やフェノール性水酸基によって酸としての性質を示し、重量平均分子量が数万から数十万の多分散性の高分子である。又、上記ヒューミンは、アルカリ性溶媒で土壌から抽出できない有機物である。
【0017】
上記処理方法において用いられるフミン質溶液は、広葉樹の枯れ葉を水に浸漬させた後、この水を必要に応じて濾過することにより得られたものである。
【0018】
又、上記フミン質溶液のフミン質濃度、即ち、上記フミン質溶液の有機炭素濃度(TOC)は、低いと、上記水中に分散した焼却灰の凝集効果が低く、焼却灰を効果的に凝集、沈殿させることができないことがあるので、20mgC/l以上が好ましく、25〜100mgC/lがより好ましい。
【0019】
しかして、上記処理方法では、例えば、焼却炉内を洗浄することにより生じた排水、即ち、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水を容器内に集水し、この容器内の水中に上記フミン質溶液を添加し両者が均一に混合するように攪拌する。すると、上記フミン質は凝集剤となって、水中の焼却灰同士を集合させ大きな粒子に成長させて、水中に分散する焼却灰の殆どを沈殿させる。
【0020】
この時、ダイオキシン類は焼却灰の表面に吸着した状態で存在していることから、上記の如くして水中に分散した焼却灰を凝集沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から除去することにより水中からダイオキシン類の殆どを分離、除去することができる。
【0021】
しかも、上記フミン質は、芳香環を基本構造とする高分子有機酸であることから親油性をも有し、ダイオキシン類と優れた親和性を有する。従って、上記フミン質によって凝集、沈殿させられた焼却灰に吸着しているダイオキシン類は、焼却灰に吸着したフミン質との親和力によって焼却灰から遊離するのを確実に防止されており、よって、焼却灰に吸着したダイオキシン類は、フミン質による焼却灰の凝集作用により焼却灰と共に確実に水中から分離、除去される。
【0022】
又、非常に微細で水中に分散している焼却灰は、その表面に付着したダイオキシン類とフミン質との高い親和性によってフミン質により捕捉され、上記焼却灰と共に水中から分離、除去される。
【0023】
このように、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中にフミン質溶液を所望量添加するといった簡単な作業でもって、水中に分散する焼却灰をそれに吸着しているダイオキシン類と共に分離、除去することができるとともに、水中に分散している微量のダイオキシン類をも水中から分離、除去することができ、よって、上記ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法によれば、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中からダイオキシン類の殆どを分離、除去することができる。
【0024】
(実施例)
ゴミ焼却場内の残置飛灰等の洗浄に用いられ、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した排水1リットルを用意して所定の槽内に供給した。一方、ケヤキ等の落葉広葉樹の枯れ葉20gを水1リットル中に1週間浸漬することによりフミン質溶液を得た。なお、フミン質溶液の有機炭素濃度は、80mgC/lであった。そして、上記槽内に入れた排水1リットル中に上記フミン質溶液200ミリリットルを添加したところ、上記排水中の焼却灰の殆どが凝集、沈殿した。そして、この排水中から沈殿した焼却灰を除去した。
【0025】
(比較例)
ゴミ焼却場内の残置飛灰等の洗浄に用いられ、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した排水1リットルを用意して所定の槽内に供給し、この槽内の排水中の焼却灰を自然沈降させた後、上記槽内の排水を孔径1μmのガラス繊維製濾紙にて濾過した。
【0026】
上記処理後の排水中のダイオキシン類の量を以下の方法で測定したところ、実施例では1.4pgTEQ/l、比較例では160pgTEQ/lであった。
【0027】
(フミン質溶液中の有機炭素濃度の測定)
フミン質溶液中の有機炭素濃度は、有機炭素濃度測定器(島津製作所社製 商品名「TOC5000A」)を用いて測定した。
【0028】
(ダイオキシン類の量の測定)
厚生省告示第234号「ダイオキシン類の濃度算出方法」に準拠して測定した。
【0029】
【発明の効果】
本発明のダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法は、ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中に、広葉樹の枯れ葉を水に浸漬させて得られるフミン質溶液を添加して上記焼却灰を凝集沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から除去することにより水中におけるダイオキシン類の量を低減させることを特徴とするので、フミン質溶液を焼却灰が分散した水中に添加するといった簡単な作業だけで水中からダイオキシン類の殆どを除去することができる。
【0030】
しかも、上記フミン質は、芳香環を基本構造とし親油性をも有していることから、ダイオキシン類との親和力によって焼却灰の表面に吸着したダイオキシン類が焼却灰から遊離するのを確実に防止しつつ焼却灰を凝集、沈殿させることができるとともに、水中に分散した微量のダイオキシン類をフミン質に吸着させて水中のダイオキシン類を焼却灰と共に分離、除去することができ、水中のダイオキシン類の大幅な除去、低減を図ることができる。
【0031】
又、上記フミン質は天然化合物であり、人工合成による高分子系凝集剤を用いる場合と異なり、環境面においても優れている。
Claims (1)
- ダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水中に、広葉樹の枯れ葉を水に浸漬させて得られるフミン質溶液を添加して上記焼却灰を凝集沈殿させ、この沈殿した焼却灰を水中から除去することにより水中におけるダイオキシン類の量を低減させることを特徴とするダイオキシン類を含む焼却灰が分散した水の処理方法。
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