JP4493492B2 - 脊椎動物における遺伝子移入のためのトランスポゾンベクターであるFrogPrince - Google Patents

脊椎動物における遺伝子移入のためのトランスポゾンベクターであるFrogPrince Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムに関するものであって、このトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムは、(a)機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠損しかつ目的のポリヌクレオチドを含むトランスポゾンであって、このトランスポゾンは逆方向反復配列を含み、この逆方向反復配列は、配列番号2内の反復配列およびその逆方向反復配列の各々と少なくとも90%の程度の同一性を有する、トランスポゾン、(b)配列番号3および4の配列を含むDNA結合ドメインをN末端に有するトランスポザーゼ、あるいは(c)(b)に記載のトランスポザーゼをコードするポリヌクレオチド、を含む。さらに、本発明は、目的のポリヌクレオチドを脊椎動物の細胞中に移入する方法に関するものであって、この移入する方法は本発明に係るトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを細胞内に導入する工程を包含する。さらに、本発明はRNAiをもたらす方法に関するものであって、このRNAiをもたらす方法は、(a)安定的にトランスポゾンを導入する工程であって、このトランスポゾンはsiRNAを発現する発現カセット、および本発明に係るトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの一部である選択マーカー遺伝子を細胞内に安定的に導入する工程、(b)上記選択マーカーを発現する細胞を選択する工程、および(c)所望の遺伝子の転写/翻訳がRNAiによってもたらされえているか否かを評価する工程、を含む。本発明のさらなる実施形態によると、ジーントラッピングのための方法であって、このジーントラッピングの方法は、(a)本発明に係るトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを細胞内に導入する工程、および(b)選択マーカーの発現を評価する工程であって、この選択マーカーの発現が、この細胞の転写された遺伝子内に該トランスポゾンが組み込まれたことを示す、工程、を含む。
本明細書中において、多くの文書が列挙される。製造業者の手引書を含むこれらの文書の開示内容は、本明細書中においてその全体が参考として援用される。
ヒトにおける遺伝的な障害および後天的な障害の処置(体細胞(somatic)遺伝子移入)について、ならびに農学および医学のバイオテクノロジーのための特定の脊椎動物種の遺伝子導入(生殖系遺伝子移入)についてのインビボ遺伝子送達戦略の開発に、かなりの努力がなされてきている。効果的な遺伝子治療のために、以下のことが必要である:(1)適切な細胞に特異的に高効率で治療遺伝子の送達を達成すること;(2)延長された期間にわたってその遺伝子を発現させること;(3)その治療遺伝子の導入が有害でないこと。
ヒト遺伝子治療の目的のための遺伝子治療に対して使用されるいくつかの方法およびベクターが存在する(Verma and Somia,1997)。これらの方法は、ウイルス性および非ウイルス性の技術として広く分類され得、そしてこれらの方法の全てが、利点および制限を有しており;これらの方法のいずれも、完全な解決を提供しない。一般に、導入遺伝子を組み込み得るベクターは、延長された発現を提供する能力をさらに有する。一方、挿入部位またはその近傍での内因性遺伝子機能の潜在的な崩壊のために、染色体への無作為な組み込みが関心をもたれている。
遺伝子移入のためにウイルスを適用することは、一般的な手法であるが、このベクターの遺伝的な設計は、サイズ、構造および発現の調節の面からのウイルスの制約に起因して制限されている。レトロウイルスベクター(Miller,1997)は、遺伝子導入される細胞の染色体への外来DNAの組み込みに効果的であり、そして長期間の(long−life)遺伝子発現に対して多くの利点を有する。しかし、これらの調製のための時間および財源(financial resource)は、工業規模の製造に受容可能であり得ない。さらに、他にいくつか考慮する事項(安全性、無作為な染色体への組み込み、および組み込みについての細胞複製の要求性を含む)が存在する。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に基づくレンチウイルスはレトロウイルスに属するが、分裂細胞および非分裂細胞の両方を感染し得る。アデノウイルスベクターは、広範な種々の分裂細胞および非分裂細胞の両方に導入遺伝子をインビボ遺伝子送達し得ること、および高レベルであるが短期間の導入遺伝子発現を媒介することが示されてきている。アデノウイルスは、染色体DNAへ移入される遺伝子を組み込む能力を欠き、細胞内でのウイルスの存在は寿命が短い(short−lived)。従って、組換えアデノウイルスベクターは、このベクターの免疫原性に起因するヒトにおいて所望されない免疫応答を生成する場合、反復して与えられなければならない。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、導入遺伝子の標的化された組み込み能を含む探求されるべきいくつかの潜在的な利点を有する。AAVビヒクルにおける明らかな制限の1つは、最大挿入サイズが低いことである(3.5〜4.0kb)。現在、組み合わせ(ハイブリッド)ベクター(レトロウイルス/アデノウイルス、レトロウイルス/AAVなど)が開発されている。このベクターは、個々のウイルスベクター系における特定の問題にたどり着き得る。
非ウイルス性の方法(DNA濃縮剤、リポソーム、マイクロインジェクションおよび「遺伝子銃」を含む)は、ウイルスよりも容易かつ安全であり得る。しかし、裸の(naked)DNAの進入(entry)および取り込みの効率は低く、この効率は、リポソームを使用することによって増強され得る。概して、現在使用されている非ウイルス系は、染色体への組み込みを促進するために供給されていない。結果として、非ウイルス系を使用する安定な遺伝子移入頻度は非常に低い。さらに、ほとんどの非ウイルス法は、しばしばコンカタマリゼーション(concatamerization)、および導入した(in put)DNAにおける無作為な崩壊を生じ、これらは遺伝子サイレンシングを導く。
転位し得るエレメント、すなわち、トランスポゾンは、移動可能なDNAセグメントであり、染色体内の1つの遺伝子座から別の遺伝子座へ移動し得る(Plasterkら、1999)。これらのエレメントは、保守的な「カットアンドペースト」機構を介して移動する:トランスポザーゼは、トランスポゾンをその元々の位置からの切除を触媒し、そしてゲノム中での他の場所での再組み込みを促進する。トランスポザーゼ欠損エレメントは、トランスポザーゼが別のトランスポザーゼ遺伝子によってトランスに提供される場合に、動員され得る。従って、トランスポゾンは、遺伝子導入によってゲノムに新たな表現型を持ち込むためのビヒクルとして利用され得る。これらは感染性ではなく、そしてその宿主に対する適合の必要性に起因して、ウイルスよりも宿主に対してより有害ではないと考えられている。
DNAトランスポゾンは、十分確立された非脊椎動物モデル系(例えば、Drosophila melanogasterまたはCaenorhabditis elegans)および植物において、挿入的な変異誘発、遺伝子マッピング、および遺伝子移入に慣用的に使用される。しかし、転位し得るエレメントは、2つの理由のために脊椎動物の組み込みに使用されていなかった。第1に、現在まで、これらの種において、十分規定された、DNAに基づく移動可能なエレメントが存在しなかった。第2に、動物において、ある種から別の種への活性なトランスポゾン系の移入に対する主要な障害が、天然の宿主によって産生される因子の必要性に起因する転位の種特異性の主要な障害であった。
Sleeping Beauty(SB)は、Tc1様の活性なトランスポゾンであり、硬骨類のゲノム中に見出される不活性なエレメントの一部分(bits and pieces)から再構成される(Ivicsら、1997)。SBは、サカナ、カエル、および多くの哺乳動物種(マウスおよびヒトの細胞を含む)における効果的かつ正確なカット−アンド−ペースト転位を媒介する(Ivicsら、1997;Luoら、1998;Izsvakら、2000;Yantら、2000)。
しかし、異なる種に由来する細胞株におけるSB転位の効率は、変動し得る。例えば、SB転位の効率は、メダカ細胞においてかなり貧弱である(Izsvakら、2000)。このことは、この重要な脊椎動物モデル生物におけるSBの使用を潜在的に制限する。この減少は、完全には理解されておらず、いくつかの要因の結果であり得る。SBはサカナのエレメントであるので、可能性のある説明の1つは、メダカゲノムにおける内因性のエレメントによって干渉され得るということである。従って、種々の脊椎動物由来のトランスポゾンのパレットを有することによって、このような問題が解消され得る。よって、本発明の根底をなす技術的な問題は、脊椎動物におけるゲノムツールとしてのトランスポゾンの潜在性を広げるために、代替のトランスポゾン依存的な遺伝子送達系を提供することである。
従って、本発明は、トランスポゾンに基づくDNA組み込み系に関し:
(a)機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠損しかつ目的のポリヌクレオチドを含むトランスポゾンであって、このトランスポゾンは逆方向反復配列を含み、この逆方向反復配列は、配列番号2内の反復配列またはその逆方向反復配列の各々と少なくとも90%の程度の同一性を有する、トランスポゾン、および
(b)DNA結合ドメインをN末端に有するトランスポザーゼであって、このDNA結合ドメインは配列番号3および4の配列、または配列番号3および/または4の配列と少なくとも90%の程度の同一性を有する配列を有する、トランスポザーゼ、または
(c)(b)に記載のトランスポザーゼをコードするポリヌクレオチド、
を含む。
DNA結合ドメインは、配列番号6の配列を含むかまたは配列番号6の配列からなることが好ましい。本発明の本実施形態および以下の全ての実施形態において、トランスポゾンが、逆方向反復配列(inverted repeat)を含むことがさらに好ましい。ここで、5‘逆方向反復配列は図2の第1位を有する5’末端で開始しそして図2の第1621位で終止する。また好ましくは、トランスポゾンの逆方向反復配列および/またはN末端は、それぞれ配列番号2およびその逆方向反復配列(本明細書中の上記でいわれる配列番号2のより短いフラグメントおよびその逆方向反復配列)とならびに配列番号3および/または4あるいは配列番号6と、少なくとも95%(例えば、少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%)の程度の同一性を有する。核酸配列(およびアミノ酸配列)の同一性は、慣用的に得られる方法またはコンピュータープログラム(BLAST(Altschul,S.F.,Gish,W.,Miller,W.,Myers,E.W.&Lipman,D.J.(1990),J.Mol.Biol.215:403−410)またはその改変(Altschul,S.F. and Gish,W.(1996),Methods Enzymol.266,460−480)、FASTA(W.R.Pearson and D.J.Lipman(1998),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:2444−2448)あるいはSmith−Watermanアルゴリズムの実行(Smith TF,Waterman MS(1981),J Mol Biol:147:195−7を含む)に従って決定され得る。用語「逆方向反復配列(inverted repeat)」は、当該分野におけるものと同一の意味を有する。
用語「トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム」は、「遺伝子移入系」の意味を含み、染色体DNAのようなDNAへの組み込みを媒介するために必要な構成要素を提供するシステムをいう。これらの構成要素は、本発明に従って、Frog Princeトランスポゾンに由来し、その同定は、添付される実施例に記載され、そして上記の本発明の主要な実施形態の特徴(a)、(b)および(c)においてさらに規定される。本発明に従って達成される組み込みは、典型的なクラスII転位である。本発明に従って達成される組み込みは、通常無作為な事象であるが、トランスポザーゼが、例えばDNA標的化ドメインに連結されるか、または特定のDNA配列を特異的に認識するDNA標的化ドメインを含むタンパク質と(例えば、リンカーを介して連結されるタンパク質相互作用ドメインを介して)特異的に相互作用する場合は、標的化された様式でもまたもたらされ得る(EP 03 00 2637.1、EP 03 00 2630.6およびEP 03 00 2638.9を参照のこと)。これらの特許出願の内容は、本明細書中にその全体が参考として援用される。本発明のトランスポザーゼはまた、核局在シグナル(NLS)を含み、さらに、DNA結合ドメイン、配列番号3および4のヘリックス−ターン−ヘリックス、ならびに触媒ドメインの配列を含む。
構成要素(a)および(b)ならびに/または(c)は、好ましくは、別の構成要素として本システム中に存在する。いくつかの場合において、少なくともトランスポゾンが別の構成要素として保持されることが、さらに好ましい。用語「別の構成要素として」は、本発明のシステムにおいて列挙される構成要素(すなわち、トランスポゾン、ポリヌクレオチドおよび/またはトランスポザーゼ)が物理的に異なる分子実体である事実をいう。例えば、(a)に記載されるトランスポザーゼおよび(c)に記載されるポリヌクレオチドは、1つの単一のポリヌクレオチドを形成し得ないが、2つの異なるポリヌクレオチドとして存在する。すなわち、これらは、本発明のDNA組み込みシステムにおいて、必要に応じて、別々に伝播される。
用語「機能的なトランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠くトランスポゾン」は、機能的なトランスポザーゼ、好ましくは、天然に存在するトランスポザーゼをコードする完全な配列をもはや含まない、トランスポゾンに基づくDNA分子をいう。好ましくは、機能的なトランスポザーゼ、好ましくは、天然に存在するトランスポザーゼをコードする完全な配列、またはその一部は、トランスポゾンから欠失されている。あるいは、トランスポザーゼをコードする遺伝子は変異されており、その結果、天然に存在するトランスポザーゼもしくはそのフラグメントまたはトランスポザーゼの機能(すなわち、DNA標的部位へのトランスポゾンの挿入を媒介する機能)を有するその誘導体は、もはや含まれない。あるいは、その活性は、有意に、例えば、少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも80%、90%、95%、または99%に低減されている。上記でいわれるような変異は、分子生物学の標準的な教科書(例えば、「Molecular Biology of the Gene」(Walsonら編),4th edition,The Benjamin/Cummings Publishing Company,Inc.,Menlo Park,CA,1987)に記載されるような置換、複製、挿入などを含む。トランスポゾンは、トランスポザーゼによってトランスに提供される移動に必要とされる特定の配列でなければならない。これらは、トランスポザーゼに対する結合部位を含む末端逆方向反復である。
本発明に従えば、用語「ポリヌクレオチド」は、RNA、DNAもしくはPNA、またはこれらの改変を含む、任意の型のポリヌクレオチドをいう。本発明に従えば、この用語は、DNA分子を示すことが好ましい。
用語「配列番号2内の反復配列およびその逆方向反復配列の各々とある程度の同一性を有する」は、配列番号2がトランスポゾンの5‘末端での反復配列(例えば、図2の1位〜124位および1408位〜1621位)を示す/含むという事実をいう。逆方向の相補配列(逆方向反復配列)は、トランスポゾンの3’末端に見出され得る。本発明に従えば、5‘反復配列および3’反復配列は、目的のポリヌクレオチドを含むトランスポゾン内に残される。さらなる手引きについて、図2を参照すれば、これらの反復配列が強調されている。よって、この逆方向反復配列は、本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムにおいて、5‘反復配列をみなす場合、配列番号2(または図2の1位で始まり214位で終止する配列)に含まれる反復配列と少なくとも90%の程度の同一性を有し、3‘反復配列をみなす場合、配列番号2(または図2の1408位で始まり1621位で終止する配列)の逆方向相補配列に含まれる反復配列と少なくとも90%の程度の同一性を有する。
用語「配列番号3および4の配列を含むDNA結合ドメインあるいは配列番号3および/または4に少なくとも90%の程度の同一性を有するDNA結合ドメインをN末端で有するトランスポザーゼ」は、トランスポザーゼ機能を有する(ポリ)ペプチドをいう。基質特異的およびDNA結合/組み込み能に関して、配列番号1のFrog Princeトランポザーゼの機能に対応する。配列番号3および4は、DNA結合領域において見出される2つのヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフに対応する。よって、この用語は、好ましくは天然の存在するトランスポザーゼ内のアミノ酸を欠きかつ基質のDNA挿入をなお媒介する、天然に存在するトランスポザーゼに由来するフラグメントをいう。あるいは、この用語は、天然に存在するトランスポザーゼの誘導体(例えば、天然に存在するトランスポザーゼを含む融合タンパク質)をいう。ここで、1またはそれ以上のアミノ酸が、置換、欠失、付加されており、転位または複製が生じている場合は、好ましくない。このような改変は、組換えDNA技術によってもたらされることが好ましい。さらなる改変はまた、トランスポザーゼタンパク質に化学的な改変を適用することによってもたらされ得る。このようなタンパク質(およびそのフラグメントまたは誘導体)は、組換え的に産生され得、天然に存在するタンパク質と同一またはほぼ同一の特性を残し得る。
用語「(ポリ)ペプチド」は、代替的に、ペプチドまたはポリペプチドという。ペプチドは、慣用的には、30個までのアミノ酸を有するアミノ酸配列であり、ポリペプチド(「タンパク質」ともいわれる)は、少なくとも31個のアミノ酸のストレッチを含む。
本発明に従えば、新規の転位可能なエレメントシステムが、両生類種Rana pipensのゲノムにおいて見出される不活性なエレメントから開発された。このシステム、すなわち、Frog Prince(FP)と名付けられたシステムは、遺伝物質を脊椎動物の染色体中に挿入するためのベクターとして簡便に使用され得る。
所望のトランスポゾンベクターの主要な特性のいくつかは、以下である:使用が容易であること;比較的広範な宿主範囲;染色体組み込み効率;および、トランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物の複数の世代にわたって導入遺伝子の正確な発現を安定に維持すること。
より詳細には、特に、脊椎動物への遺伝子移入のための、利用可能な先行技術のシステムを超える本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの利点は、以下に記載され得る:広範な脊椎動物細胞を形質転換し得る;さらに、DNAに基づくトランスポゾンであるので、目的のポリヌクレオチド(好ましくは、レトロウイルスベクターストック中で変異を導入する導入遺伝子)の逆転写に必要ではない。トランスポゾンは感染性ではないので、トランスポゾンに基づくベクターは、複製コンピテントではなく、よって他の細胞集団に広がらない。さらに、本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムは、移動のために、目的のポリヌクレオチド(例えば、導入遺伝子)に両側で隣接する約230bpのトランスポゾン逆方向反復配列DNAのみを必要とする;転位は誘導可能であり、そしてトランスポザーゼタンパク質のみを必要とし、よって、トランスポザーゼ発現の制御によってジャンピングの部位および移動は単純に制御され得る。さらに、本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムは、染色体へ遺伝子を安定で単一コピーの組換えを媒介し、トランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物の複数の世代を通じての長期間の発現の基礎を形成する。一旦組み込まれると、エレメントは、形質転換された細胞のゲノムにおいて、安定で、優勢な遺伝決定因子として振舞うことが予想される。なぜなら、(1)トランスポゾンの細胞内での存在はわずかのみであり、トランスポゾンが触媒される場合の時間枠(time window)に限定されるからであり、そして(2)組み込まれたエレメントを活性化し得そして移動し得る内因性トランスポザーゼの供給源が存在する証拠がないからである;いくつかのカエル種を除いて、転位性の構成要素(自律性)エレメントの組換えおよび放出を可能にする本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムに対して十分な相同性を有する内因性配列が脊椎動物ゲノム中に存在しない。本発明のシステムはまた、過剰発現阻害と呼ばれる現象に感受性ではない多くの先行技術のトランスポゾンと比較してさらなる利点を有する。すなわち、本発明のシステムのトランスポゾン濃度を特定の制限を超えて増加させた場合でさえ、トランスポゾンは、転位反応を阻害しない。特定の範囲の転位反応を制限する先行技術のトランスポゾンの特性は、いくつかの適用(例えば、遺伝子治療の特定の適用)に不都合であり得る。本発明のシステムは、過剰発現阻害の現象を被ることなく、2桁多い量のトランスポゾンを負荷され得る。
SBおよびFrog Princeのトランスポザーゼのアミノ酸配列の比較について、図7を参照のこと。
本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの別の重要な利点は、トランスポザーゼが基質のみと、すなわち、本発明の主要な実施形態の特性(a)に記載される逆方向反復配列と特異的に相互作用するかまたは最初に特異的に相互作用することである。このことの意義は、トランスポザーゼが、Frog Princeトランスポゾンとは異なりかつゲノム(例えば、ヒトおよびメダカのゲノム)において内因性である転位可能なエレメントと相互作用し得ずそして当該エレメントを移動し得ないということである。逆に、Frog Princeトランスポザーゼとは異なる内因性のトランスポザーゼは、Frog Princeトランスポザーゼを移動させない。このトランスポゾン−トランスポザーゼ相互作用の特異性は、組み込まれた導入遺伝子の安定性および内因性遺伝子の安定性を確実にする。
本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの好ましい実施形態において、トランスポザーゼは、配列番号5によって示される双極(bipartite)核局在シグナル、および/または配列番号6のDNA結合ドメイン、および/または配列番号7によって示されるDD(34)Eシグネチャーを有する触媒ドメインを含む。あるいは、核局在シグナル、触媒ドメインおよび/またはDNA結合ドメインは、配列番号5、6および/または7によって示される配列と、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも98%、最も好ましくは、少なくとも99%の同一性の領域を有する。
本発明の主要な実施形態にあるように、野生型配列の分子改変は、上記に列挙された活性が保持されている限りにおいて、この好ましい実施形態にとって適している。
本発明に従えば、特に好ましくは、トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの上記トランスポザーゼは、配列番号1によって示される配列と、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも98%、最も好ましくは、少なくとも99%の程度の同一性を有するアミノ酸配列を有する。他のもっとも好ましい実施形態において、トランスポザーゼは、配列番号1と同じアミノ酸配列を有する。100パーセントの同一性と関連する本発明の実施形態は、添付例に記載する野生型Frog Princeトランスポゾンに関するものである。本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムのさらにこの好ましい実施形態は、目的のポリヌクレオチドが遺伝子であることを要する。用語「遺伝子」は、当該分野において公知であり、一部の転写物(transcribed portion)、および、プロモーターを含んだ5‘ならびに3’隣接領域(flanking regions)を含んでいる(例えば、「Biotechnology」,2nd edition,1993,page666et seq.,H.−J.Rehm,G.Reed,VCH,Weinheimら編、参照のこと)。本発明に従えば、用語「遺伝子」は人工遺伝子(artificial gene)をも含み、その人工遺伝子は、例えば、転写される配列が異種のプロモーターの制御を受け、ならびに、必要に応じて、異種のエンハンサーのような付加的な異種の調節エレメントとも関連する。目的の遺伝子は、インビボ観察のためのグリーン蛍光タンパク質、およびルシフェラーゼのような受容体、あるいは抗生物質耐性遺伝子をコードし得る。
目的のポリヌクレオチド、および好ましい遺伝子は、天然に存在するあらゆるポリヌクレオチド、または人工ポリヌクレオチド、またはバクテリア、ウイルス、バクテリオファージ、もしくは動物由来の遺伝子であることが可能である。本発明に従えば、上記遺伝子は、動物、魚、カエルのような両生類、爬虫類、または鳥由来であることが好ましい。特に好ましくは、上記動物がヒトである。目的のポリヌクレオチドは多様な性質のものであってよい。例えば、何もコードしていないもの(non−coding nature)であってもよく、したがって、過剰発現したとき、疾患の原因に含まれる遺伝子の標的崩壊(targeted disruption)に有用である。さらなる例において、トランスポゾンは、トランスポゾンが内在性の遺伝子の十分近くに挿入された場合、遺伝子の発現を増強するプロモーター配列を含むことが可能である。その上、トランスポゾンは、特定の標的の中に入った挿入を特定するための適切な選択計画(例えば、細胞の表現型の変化に基づくもの)が利用できる場合、転位に必要な配列に加えて、あらゆる配列を欠損することが可能である。更なる代替としては、目的のポリヌクレオチドは、続いてトランスポゾンの挿入を特定ためのシークエンスタグとして機能する。
本発明におけるトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの、他の好ましい実施形態において、上記目的のポリヌクレオチドは治療的に活性なペプチド(ポリペプチド)をコードする。この実施形態によると、治療的に価値のあるペプチド(ポリペプチド)は、そのようなペプチド(ポリペプチド)を必要とする場合、細胞の中に標的し得る。組織特異的な発現が所望される場合、組織特異的プロモーターは、上記ペプチド(ポリペプチド)の発現を駆動し得る。治療的に活性なペプチド(ポリペプチド)は、疾患の兆候または進行を妨げる、任意のペプチドまたはタンパク質であり得る。この治療的に活性なペプチド(ポリペプチド)は、上記兆候あるいは進行を、直接的または間接的に干渉し得る。治療的に活性なペプチド(ポリペプチド)としては、増殖因子または分化因子(例えば、GCSF,GM−CSF)のクラスのペプチド(ポリペプチド)、ならびにインターロイキンおよびインターフェロン、または体内において不都合な化合物に結合する、操作された抗体誘導体(例えばscFvs)が挙げられる。トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムは、血友病のような単一遺伝子の疾患についての遺伝子治療のためのベクターとして使用され得る。適切な転写調節配列を備えた血液凝固因子である第8因子、第10因子をコードするcDNAは、転位可能なエレメントベクター(transposable element vector)の中に組み込まれ得る。トランスポザーゼは、染色体の中への治療遺伝子の安定的な組み込みを媒介し、長期間の遺伝子発現、および血清中での導入遺伝子産物の増加を確実にする。
本発明の別の好ましい実施形態において、トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムは、上記目的のポリヌクレオチドが、siRNAに転写し、選択マーカーをコードすることを必要とする。このポリヌクレオチドは、所望の標的の発現に関してRNAiを媒介するヘアピンRNA分子に転写され得る;さらなる手引きについては、例えば、Elbashir et al.,Nature 411(2001),494−498,Bernstein et al.,RNA 7(2001),1509−1521,Boutla et al.,Curr.Biol.11(2001),1776−1780を参照のこと。本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムは、脊椎動物細胞での安定的な遺伝子ノックダウンのために、染色体へのRNAi発現カセットの安定的な挿入に使用され得る。本実施形態は、トランスポゾンが、抗生物質マーカー遺伝子のような選択マーカー、およびRNAi発現カセットの両方を含むことを必要とする。形質転換細胞は、例えば、抗生物質耐性に基づいて選択され得、そしてこれらの細胞は、効果的にRNAiカセットを発現するようである。この方法は、転位によって、安定なRNAiクローンの作製およびスクリーニングを簡略化する。
本発明のさらに好ましい実施形態において、トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの上記目的のポリヌクレオチドは、イントロンスプライシングアクセプター部位、および(sitea)選択マーカー遺伝子を含み、上記遺伝子はメチオニン開始コドンを欠きかつmRNAを安定にするためのポリA付加シグナルを含む。本実施形態は、発現された遺伝子における転位事象を作製し、かつ転位を選択するためのトランスポゾンベクター内部での遺伝子トラッピング発現カセットとして使用され得る。例えば,ジーントラッピングトランスポゾン(gene trap transposon)は、スプライシングアクセプター部位を含むマウスengrailed 2イントロン、および開始メチオニンコドンを欠くネオマイシン耐性マーカー遺伝子のような選択マーカーを保有し得る。従って、選択マーカーの発現は、内因性遺伝子との融合タンパク質が形成される場合のみ得られ得る。ジーントラッピングトランスポゾン構築物は、ヒトHeLa細胞のような細胞の中に、トランスポザーゼの供給源と共にトランスフェクトされ得る。ジーントラッピングトランスポゾンのいくつかは、遺伝子のイントロンおよび非翻訳領域に挿入し、その画分は適切な方向にあり、その結果、内因性遺伝子と例えばネオマーカー遺伝子との間に融合転写物が産生され得る。いくつかのトランスポゾンの挿入物は、G418耐性細胞クローンからクローニングされる。これら挿入物の全ては、遺伝子において生じる。ジーントラッピングベクターが活性に転写される遺伝子の中への組み込みは、生きた動物の中での遺伝子座特異的マーカーとして機能し得、そして破壊された遺伝子を特定するためのタグを提供する。別の好ましい実施形態におけるトランスポゾンに基づくDNAの組み換えシステムは、上記のトランスポザーゼが、増強されたトランスポザーゼ活性を有することを必要とする。コード配列の中にわずかな改変を保有する、タンパク質の点突然変異バージョンは、しばしば元々のバージョンと比べてより高い活性を示す。この理由として、いくつかのタンパク質は「過剰活性(hyperactive)」バージョンを得るために改変されている。周知の例はGFP(Green Fluorescence Protein)対eGFPタンパク質(e−enhanced)であり、eGFPタンパク質は、天然に存在するタンパク質に対して改変されており、そして実験室での使用にとってよりよい特性を有している。細菌(Tn5)および昆虫(Himar1)から得られる過剰活性なトランスポザーゼもまた知られている。これらのトランスポザーゼは、元々のタンパク質と比べて、1〜2桁高いDNA転位を支持することが報告されている。
脊椎動物のトランスポゾンの性能に対する大いなる期待に向けて、Frog Princeトランスポザーゼに対してHYPERACTIVE SCREENが開始された。本実験は、オリジナルと比較して10〜100倍よりよく機能するシステムを生成することが期待される。
添付の実施例において、「過剰活性トランスポゾンシステム」を生成する試みが首尾よいアプローチであることが実証される。
本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムのさらに好ましい実施形態では、(a)のトランスポゾンおよび/または(c)のポリヌクレオチドは、少なくとも1つのベクター、すなわち1つまたはそれ以上のベクターに含まれる(あるいは、トランスポゾンは、ベクター配列なしに、(例えば、環状型形態で)提供され得る)。上記列挙されたポリヌクレオチドのいずれかに使用されるベクターは、本発明に従えば、発現ベクター、遺伝子移入ベクター、または遺伝子ターゲティングベクターであり得る。発現ベクターは、当該分野において周知であり、そして広範に利用可能である(引用文献のAusubelらを参照のこと)。本発明のベクターのより好ましいこの実施形態では、ポリヌクレオチドは、原核生物細胞もしくは真核生物細胞またはその単離された画分における発現を可能にする発現制御配列に、作動可能に連結される。上記ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドの転写を含み、より好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を含む。この場合、トランスポゾンの供給源はmRNAであり得る。代替の実施形態において、トランスポザーゼmRNAは目的の細胞内に導入される。真核生物細胞(好ましくは、哺乳動物細胞)における、発現を確実なものとする調節エレメントは、当業者に周知である。これらは、通常、転写の開始を確実なものとする調節配列、ならびに、必要に応じて、転写の終止および転写物の安定を確実なものとするポリAシグナルを含む。さらなる調節エレメントは、転写エンハンサーおよび翻訳エンハンサーを含み得る。原核生物宿主細胞における発現を可能にする調節エレメントとして可能なものは、例えば、E.coliでのlacプロモーター、trpプロモーターまたはtacプロモーターを含み、そして真核生物宿主細胞での発現を可能にする調節エレメントの例は、酵母でのAOX1プロモーターもしくはGAL1プロモーター、または哺乳動物細胞および他の動物細胞でのCMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサーもしくはグロビンイントロンを含む。転写の開始に関与するエレメントの近傍に、そのような調節エレメントはまた、SV40−ポリA部位、またはtk−ポリA部位のような転写終止シグナルを、ポリヌクレオチドの下流に含み得る。この観点において、適切な発現ベクターが、当該分野において公知である(例えば、Okayama−Berg cDNA expression vector pcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(in−vitrogene)、pSPORT1(GIBCO BRL))。
遺伝子治療は、エクソビボ技術またはインビボ技術によって細胞の中に治療遺伝子を導入することに基づいており、遺伝子移入の最も大切な適用の1つである。インビトロ遺伝子治療、またはインビボ遺伝子治療に適切なベクター、方法または遺伝子送達系は、文献に記載されており、そして当業者に公知である(例えば、Giordano,Nature Medicine 2(1996),534−539;Schaper,Circ.Res.79(1996),911−919;Anderson,Science 256(1992),808−813,Isner,Lancet 348(1996),370−374;Muhlhauser,Circ.Res.77(1995),1077−1086;Onodua,Blood 91(1998),30−36;Verzeletti,Hum.Gene Ther.9(1998),2243−2251;Verma,Nature 389(1997),239−242;Anderson,Nature 392(Supp.1998),25−30;Wang,Gene Therapy 4(1997),393−400;Wang,Nature Medicine 2(1996),714−716;WO94/29469;WO97/00957;US5,580,859;US5,589,466;US4,394,448、またはSchaper,Current Opinion in Biotechnology 7(1996),635−640,およびこれらの文献中に列挙された参考文献を参照のこと)。特に、上記ベクターおよび/または遺伝子送達系はまた、例えば、神経の組織/細胞(とりわけ、Boemer,J.Virology 71(1997)6641−6649を参照のこと)、または視床下部(とりわけ、Geddes,Front Neuroendocrinol.20(1999),296−316、またはGeddes,Nat.Med.3(1997),1402−1404を参照のこと)における遺伝子治療アプローチの中に記載されている。神経学的な組織/細胞における使用にさらに適切な遺伝子治療の構築物が、当該分野において公知である(例えば、Meier(1999),J.Neuropathol.Exp.Neurol.58,1099−1110)。本発明に従って使用されるベクターは、エレクトロポレーション、弾道(例えば、遺伝子銃)、または細胞への他の送達系のために、直接的な導入用またはリポソームを介する導入用に設計されても、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター)であってもよい。さらにバキュロウイルス系は、本発明の核酸分子のために、真核生物発現系として使用され得る。導入および遺伝子治療のアプローチは、好ましくは、機能的な分子(好ましくは、治療的に活性な分子)の発現を導くべきであり、これによって、上記発現された分子は、遺伝子治療アプローチによって改善、予防、または治療され得る任意の疾患の処置、改善、および/または予防に特に有用である。
特に好ましい実施形態において、上記ベクターの少なくとも1つはプラスミドである。プラスミドは、当該分野において周知であり、組み換え目的のために、例えば、Sambrook et al.「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」,2nd edition,CSH Press,Cold Spring Harbor,1989;Ausubel et al.,「Current Protocols In Molecular Biology」(2001),John Wiley & Sons;N.Y.に記載されている。プラスミドは、小さな染色体外のものとして特徴付けられ、通常は自己複製する環状二本鎖DNA分子である。プラスミドは原核生物および真核生物において天然に存在し、そして通常、少なくとも1つの複製起点および少数の遺伝子を含む。プラスミドに基づくベクターの形態は、プラスミドの生産が容易であり、安価であり、そしてスケールアップされ得るので、特に有利である。
本発明はまた、本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを用いてトランスフェクトまたは形質転換された宿主細胞に関する。本発明の宿主細胞は、原核生物細胞であり得るが、真核生物細胞(例えば、Spodoptera frugiperda細胞のような昆虫細胞、Saccharomyces cerevisiae細胞もしくはPichia pastoris細胞のような酵母細胞、Aspergillus細胞のような真菌細胞、または脊椎動物細胞)が好ましい。後者に関して、細胞は、ヒト細胞のような哺乳動物細胞であることが好ましい。この細胞は、細胞株の一部であってもよい。
さらに、本発明は、非ヒトトランスジェニック動物に関し、この非ヒトトランスジェニック動物は、(a)のトランスポゾン、または本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを含み、ここで、これら構成要素の少なくとも1つは、ベクターに含まれるか、または当該動物のゲノムの中に安定的に組み込まれた環状の形態の中に含まれる。トランスジェニック動物は、操作に利用可能な任意の動物であり得、この操作はトランスジェニック動物を生じる。哺乳動物(例えば、ラットまたはマウス)が好ましい。一方、非ヒトトランスジェニック動物は、サカナ(例えば、ゼブラフィッシュ)または両生類(例えば、カエル)であり得る。
上記に従えば、本発明はまた、脊椎動物の細胞中に目的のポリヌクレオチドを移入する方法に関し、本方法は、本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを上記細胞内に導入する工程を含む。
好ましくは、上記移入はインビトロでもたらされる。
本発明の異なる好ましい実施形態において、上記移入はインビボでもたらされる。
本発明に従えば、より好ましい方法は、(a)ポリヌクレオチドが細胞の染色体内に安定的に組み込まれている細胞を選択する工程;および(b)上記細胞または上記細胞に由来する細胞を上記細胞と同一種の脊椎動物中に導入または再導入する工程をさらに含む方法が、より好ましい。
ポリヌクレオチドが染色体の中に安定的に組み込まれた細胞の選択は、トランスポゾンおよび染色体DNAの共有結合を物理的に示すこと(例えば、トランスポゾンの配列を独特の配列タグとして用いるPCRによって)によってなされ得る。
本発明の方法の特に好ましい実施形態において、上記細胞が再導入される脊椎動物は、上記細胞が上記移入の前に採取された脊椎動物である。
上記移入をもたらすための種々の技術が、当該分野において公知である。従って、トランスポゾンシステムの構成要素を細胞中に導入するための多くの異なる方法が存在する。通常、裸のプラスミドDNAは、通常、細胞によって効率よく取り込まれないため、細胞膜を浸透し得る他の分子と都合よく会合されるか(associated)または結合される(coupled)。遺伝子銃は、細胞内に打ち込まれることによって積荷を送達する、DNAで覆われた小さな粒子を用いるか、または生細胞への高速溶媒(high speed solvent)(DNA溶液)送達を用いる。一般的な原理は、細胞膜を通過する高速浸透を経る、細胞中へのDNAの物理的な送達である。リポソームは、DNAを小さな人工膜粒子の中にパッケージングするために用いられ、上記リポソームは、細胞膜と融合し得るか、またはエンドサイトーシスを介して細胞に取り込まれ得、その結果、積荷であるDNAを内部移行させる。エレクトロポレーションは、細胞膜を横切ってDNAを移入するために、高圧電気ショックを用いる。アデノウイルス−ポリリジン複合体は、アデノウイルスの天然の能力を介して、感染細胞にDNAを移入するために用いられる。これら種々の方法は、Current Protocols in Human Genetics(1997)に記載される。本発明に従えば、上記移入が遺伝子銃、あるいはリポソーム、ポリエチレンイミン、アデノウイルス−ポリリジン−DNA複合体、リポフェクション、エレクトロポレーション、トランスフェクション、または感染/形質導入によって媒介または補助される遺伝子移入によってもたらされる方法が、好ましい。
感染を用いる場合のオプションに関して、上記感染または形質導入が、組み換えレトロウイルス、組み換えアデノウイルス、組み換えヘルペスウイルスまたは組み換えアデノ随伴ウイルスによって媒介または補助されることが好ましい。
本発明の方法の異なる好ましい実施形態において、上記細胞は体細胞である。体細胞の操作に関連して、上記脊椎動物が、哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類または鳥類であることが特に好ましい。上記哺乳動物がヒトであることが最も好ましい。
本発明の方法の代替の好ましい実施形態において、上記細胞は生殖系細胞である。生殖系細胞の操作に関連して、上記脊椎動物は、非ヒト哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類または鳥類であることが特に好ましい。生殖系細胞に関連して、上記細胞は多分化能性(pluripotent)または多能性(multipotent)であることが好ましい。異なる好ましい実施形態における対応する方法は、上記生殖系細胞または上記生殖系細胞に由来する細胞を上記細胞と同一種の脊椎動物に再導入した後にトランスジェニック脊椎動物を生育する工程をさらに含み、ここで、上記脊椎動物またはトランスジェニック脊椎動物がヒトではない。トランスジェニック動物の作出は、本明細書中で簡単に上述され、そして当該分野において十分に確立された技術である。非ヒトトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウス)を作製するための方法は、上記のようなポリヌクレオチドまたはターゲティングベクターを、生殖細胞、胚細胞、幹細胞もしくは卵またはそれら由来の細胞の中へ導入することを含む。非ヒト動物が、本明細書中に記載される本発明のスクリーニング方法に従って用いられ得る。トランスジェニック胚の産生およびこれらのスクリーニングは、例えば、A.L.Joyner編、Gene Targeting,A Practical Approach(1993),Oxford University Pressに記載されるように実施され得る。胚の胚膜(embryonal membranes)のDNAは、例えば、適切なプローブを用いるサザンブロットを使用して解析され得る。非ヒトトランスジェニック動物を作製するための一般的な方法は、当該分野において記載されている(例えば、WO 94/24274を参照のこと)。非ヒトトランスジェニック生物(相同的にターゲティングされた非ヒト動物を含む)を作製するために、胚性幹細胞(ES細胞)が好ましい。マウスES細胞(例えば、有糸分裂的に不活性なSNL76/7細胞支持細胞層の上で生育させたAB−1系統(McMahon and Bradley,Cell 62:1073−1085(1990))は、実質的に、Robertson,E.J.(1987)Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach.E.J.Robertson,ed.(Oxford:IRL Press),p.71−112に記載され、相同遺伝子ターゲティングに用いられ得る。他の適切なES系統としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:E14系統(Hooper et al.,Nature 326:292−295(1987))、D3系統(Doetschman et al.,J.Embryol.Exp.Morph. 87:27−45(1985))、CCE系統(Robertson et al.,Nature 323:445−448(1986))、AK−7系統(Zhuang et al.,Cell 77:875−884(1994))。特異的に標的化された変異を保有するES細胞からのマウス系統の作製の成否は、ES細胞の多分化能すなわち、一旦、胚を発生する宿主(例えば、胚盤胞または桑実胚)に注入されると胚発生に関与しかつ生じた動物の生殖細胞に寄与するES細胞の能力に依存する。注入されたES細胞を含む胚盤胞は、偽妊娠の非ヒト雌の子宮の中で発達し得、そして、例えば、キメラマウスとして生まれる。生じたトランスジェニックマウスは、リコンビナーゼまたはレポーターの遺伝子座のどちらかを有する細胞のキメラであり、戻し交雑され、そして、リコンビナーゼまたはレポーターの遺伝子座(単数または複数)のいずれかが異種接合であるトランスジェニックマウスを同定するために、子孫の尾からの生検材料DNAに対するPCRまたはサザンブロット解析によって、正しく標的化された導入遺伝子の存在をスクリーニングされる。トランスジェニックハエ(例えば、Drosophila melanogaster)を作製する方法はまた、当該分野において記載されている。例えば、US−A−4,670,388,Brand&Perrimon,Development(1993)118:401−415;およびPhelps&Brand,Methods(April 1998)14:367−379を参照のこと。トランスジェニックムシ(worm)(例えば、C.elegans)は、Melloら(1991)Efficient gene transfer in C.elegans:extrachromosomal maintenance and integration of transforming sequences.Embo J 10,3959−70、Plasterk,(1995),Reverse genetics:from gene sequence to mutant worm.Methods Cell Biol 48,59−80に記載されるように作製され得る。トランスジェニック動物に関して、上述されてきた適用の全ては、2個、3個、またはそれ以上の導入遺伝子を保有する動物に対してもまた適用する。トランスジェニック動物の発生および/または一生(life)における特定の段階において、タンパク質の発現を不活性化または機能することもまた、所望され得る。このことは、例えば、組織特異的に調節されたプロモーターおよび/または誘導可能なプロモーター、発生特異的(development)に調節されたプロモーターおよび/または誘導可能なプロモーター、ならびに/あるいは細胞特異的(cell)に調節されたプロモーターおよび/または誘導可能なプロモーターを使用することによって達成され得、これらのプロモーターは、例えば、コードするRNA(encoding RNA)をコードするRNA転写物に対して指向されるアンチセンスまたはリボザイムの発現を駆動する。適切な誘導システムは、例えば、GrossenおよびBujard(Proc.Natl.Acad.Sci.89USA(1992),5547−5551)、およびGossenら(Trends Biotech.12(1994),58−62)によって記載されるような、テトラサイクリンによって調節された遺伝子発現システムである。同様に変異タンパク質の発現は、このような調節エレメントによって制御され得る。
さらに、細胞が、核酸分子もしくはその一部の転写および/または発現を含む(好ましくは、それらのゲノム中に安定的に組み込まれる)ように作製されたトランスジェニック動物において、所望のタンパク質の合成は減少され得る。好ましい実施形態において、この減少は、アンチ−センス、センス、リボザイム、同時抑制および/または優性変異体効果によって達成される。「アンチセンス」および「アンチセンスヌクレオチド」は、天然に存在する遺伝子産物の発現をブロックするDNA構築物またはRNA構築物を意味する。
このことを達成するための技術が、当業者に周知である。これらはとしては、例えば、アンチセンス−RNA、リボザイム、siRNA、アンチセンスおよびリボザイムの機能を結合した分子の発現、ならびに/または同時抑制効果を提供する分子の発現が挙げられる。上述もまた参照のこと。細胞中で所望のタンパク質の量を減少させるためにアンチセンスのアプローチを用いる場合、アンチセンス−RNAをコードする核酸分子は、形質転換に使用される動物種と同一起源であることが好ましい。しかし、所望のタンパク質をコードする内因性に存在する核酸分子と高い程度の相同性を示す核酸分子もまた使用し得る。この場合、相同性は、好ましくは80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%より高い。トランスジェニック真核生物細胞中での所望のタンパク質合成の減少は、例えば、カルシウムシグナリングにおける変化を生じ得る。このような細胞を含むトランスジェニック動物中において、この変化は、種々の生理的変化、発生的変化および/または形態的変化を導き得る。
生殖細胞、または生殖系細胞に由来する細胞(例えば、胚盤胞段階の細胞)が操作される場合、上記導入または再導入は、精子、マイクロインジェクションまたは遺伝子銃によって媒介されるかまたはもたらされることが好ましい。
さらに、本発明は、RNAiをもたらす方法に関するものであって、本方法は、
(a)本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの一部であるトランスポゾンを細胞に安定的に導入する工程であって、ここで、目的のポリヌクレオチドがsiRNAに転写し、かつ選択マーカーをコードする工程;
(b)上記選択マーカーを発現する細胞を選択する工程;および
(c)所望の遺伝子の転写/翻訳がRNAiによってもたらされているか否かを評価する工程、
を含む。
本発明の本方法の適用が、本明細書中で上述した本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの対応する実施形態と関連して、議論されてきた。本発明のDNA組み込みシステムに関連して記載されるこれらの適用および好ましい実施形態は、必要な変更を加えて(mutatis mutandis)、本発明の方法に適用する。トランスポゾンの組み込みは、本明細書中でいわれるトランスポザーゼによって媒介され、上記トランスポザーゼは、タンパク質として、またはタンパク質をコードする核酸として、細胞中または前駆細胞中に導入されることが好ましい。
さらに本発明は、ジーントラッピング遺伝子の方法に関し、本方法は、
(a)目的のポリヌクレオチドが、イントロンスプライシングアクセプター部位および選択マーカー遺伝子を含む本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを細胞内に導入する工程であって、ここで、上記遺伝子はメチオニン開始コドンを欠きかつポリA付加シグナルを含む工程;ならびに
(b)選択マーカーの発現を評価する工程であって、上記選択マーカーの発現が、該細胞の転写された遺伝子内に該トランスポゾンが組み込まれたことを示す工程
を含む。
上述の実施形態にあるように、本発明の本方法の適用が、本明細書中で上述された本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの対応する実施形態と関連して議論されてきた。本発明のDNA組み込みシステムに関連して記載されるこれらの適用および好ましい実施形態は、必要な変更を加えて、本発明の方法に適用する。これらの適用はまた、必要な変更を加えて、本発明の方法に適用する。スプライシングアクセプター部位に加えて、イントロンの一部または完全なイントロンは、目的のポリヌクレオチドの中に含まれ得る。
本発明の方法の好ましい実施形態において、本方法はさらに、
(c)タグとしての上記組み込まれたトランスポゾンによって、破壊された遺伝子を同定する工程を含む。
上述したように、活性に転写される遺伝子の中へのジーントラッピングベクターの組み込みは、生きた動物中で遺伝子座特異的マーカーとして機能し得、そして破壊された遺伝子を同定するためのタグを提供する。
本発明はまた、配列番号2内の反復配列および配列番号2の逆方向反復配列の各々と少なくとも90%の程度の同一性を有する逆方向反復配列、ならびに配列番号3および4の配列を含むDNA結合ドメイン、またはより好ましくは配列番号6のDNA結合ドメインをN末端に有するトランスポザーゼを含むか、またはこの逆方向反復配列からなることを特徴とするトランスポゾンに関する。トランスポザーゼが配列番号1のアミノ酸配列を有し、かつ隣接配列(繰り返し配列)が配列番号2の配列を含むかもしくは配列番号2の配列からなる場合のトランスポゾンは、より好ましい。さらなる代替の実施形態において、配列番号1(または配列番号3および/または4、あるいは配列番号6)および配列番号2の配列と、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも98%、最も好ましくは、少なくとも99%の同一であるアミノ酸配列および核酸配列が使用される。
最後に、本発明は、本発明のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを含む組成物に関する。この組成物は、例えば、診断組成物もしくは診断キットまたは薬学的組成物であり得る。組成物の種々の構成要素は、1つまたはそれ以上の容器(例えば、1つまたはそれ以上のバイアル)の中に包装され得る。この構成要素に加えて、バイアルは、保存のための保存剤または緩衝液を含み得る。
好ましくは、組成物は薬学的組成物である。薬学的組成物は、固体形態、液体形態または気体形態であり得、とりわけ、粉末、錠剤、溶液またはエアロゾルの形態であり得る。この組成物は、本明細書中上記で言及した別々の構成要素の少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ、最も好ましくは5つのセットを含み得る。
この薬学的組成物は、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、および/または希釈液を含むことが好ましい。本明細書中に開示される薬学的組成物は、遺伝子治療の方法によって予防、改善または治療され得る任意の疾患の処置に特に有用であり得る。この障害は、血友病、アルファ−アンチトリプシン(alpha−antitrypsin)における欠損、家族性の高コレステロール血症、筋ジストロフィー、嚢胞性繊維症、癌、重篤な免疫不全合併症(combined immunodeficiency)および糖尿病を含むが、これらに限定されない。
適切な薬学的なキャリア、賦形剤および/または希釈剤の例は、当該分野において周知であり、上記例は、リン酸緩衝化生理食塩水、水、エマルション(例えば、油/水エマルション)、様々な型の湿潤剤、滅菌溶液などを含む。このようなキャリアを含む組成物は、周知の慣用的な方法によって処方され得る。これら薬学的組成物は、適切な用量で被験体に投与され得る。適切な組成物の投与は、異なった方法によって(例えば、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、皮内投与、鼻腔内投与、または気管支内投与によって)もたらされ得る。この投与は、例えば、筋肉の癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌または固形癌の部位への注入および/または送達によって行われることが、特に好ましい。本発明の組成物はまた、直接(例えば、外側の標的部位または脳のような内側の標的部位への、バイオリステック(biolistic)送達によって)、標的部位に投与され得る。投薬レジメンは、主治医および臨床的要因によって決定される。医学分野において周知であるように、いずれか一人の患者に対する投薬量は、多くの要因に依存しており、この多くの要因としては、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与されるべき特定の化合物、性、投与時間および投与経路、一般的な健康、ならびに同時に投与される他の薬物が挙げられる。タンパク質として(proteinaceous)薬学的に活性な物質は、一回投与が体重1kgあたり1ngと10mgとの間の量で存在し得る;しかし、特に前述の要因を考慮すると、この例示的な範囲より少ないかまたは多い投与量が想定される。レジメンが連続的な注入である場合、このレジメンは、1分間に体重1kgあたり1μgユニットから10mgユニットの範囲であるべきである。DNA投与の好ましい投薬量は、DNA分子が10から1012コピーである。
進行は、定期的な評価によってモニタリングされ得る。本発明の組成物は、局所的または全身的に投与され得る。非経口投与のための調整物は、滅菌水溶液または非水性の水溶液、懸濁液、およびエマルションを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、および注入可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性のキャリアとしては、水、アルコール/水溶液、エマルション、または懸濁液(生理的食塩水および緩衝化媒体を含む)が挙げられる。非経口のビヒクルとしては、塩化ナトリウム水溶液、リンガーデキストロース(Ringer‘s dextrose)、デキストロース、および塩化ナトリウム、乳酸リンガー(lactated Ringer’s)、または不揮発性油(fixed oil)が挙げられる。静脈内のビヒクルとしては、流体でありかつ栄養性の補充液、電解質補充液(例えば、リンガーデキストロースをベースとしたもの)などが挙げられる。防腐剤および他の添加物(例えば、抗菌薬、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなど)もまた、存在し得る。さらに、本発明の薬学的組成物は、この薬学的組成物の意図される用途に依存してさらなる薬剤を含み得る。この薬学的組成物は免疫賦活物質(immune enhancers)などのようなさらなる薬剤を含むことが特に好ましい。
実施例は、本発明を例証する。
(実施例1:ORFトラッピングを用いるRana pipiensからのトランスポザーセ遺伝子の単離) これまでに脊椎動物種から単離された天然に存在するTc1/marinerエレメントの全ては、これらのトランスポザーゼ遺伝子中に多くの変異を含む不活性な(自律性でない)コピーである。ゲノム中のこれらのエレメントの比較的高いコピー数が、非選択(nonselective)法を用いて機能的トランスポザーゼ遺伝子を単離することを事実上不可能にしている。脊椎動物において潜在的に活性なトランスポザーゼ遺伝子の検索において、本発明者らは、オープンリーディングフレーム(ORF)−トラッピング法を考案した。この手順は、ゲノムDNAからのPCR産物のプールを作製することに基づいており、トランスポザーゼ遺伝子配列に隣接するプライマー(図1)を使用する。5‘−プライマーは、推定の翻訳開始シグナルを含み、3’−プライマーは終止コドンを欠く。ついで、PCR産物を、発現ベクターにクローニングしてlacZとの融合遺伝子を作製する。リコンビナントプライマーを、E.coliに形質転換し、そしてX−galプレート上にプレーティングする。クローニングした配列がlacZ遺伝子とインフレームである場合はブルーコロニーのみが生じ得る。この方法は、遮られていないORFの選択に有用であるべきであるが、ミスセンス変異またはインフレームでの挿入もしくは欠失を取り除かない。 本発明者らは、Rana pipensからのDNAサンプルに対してORF−トラッピングを適用した。ここで、Xenopus laevisにおけるTxrエレメントの公開されたコンセンサス配列(Lamら、1996)に従って設計したPCRプライマーを使用した。細菌へのライブラリーの形質転換後、4つのブルーコロニー(総数約100コロニー中)は、未成熟な終止コドンを含まないトランスポザーゼコード配列の存在を示した。クローニングした配列4つ全ては、推定のコンセンサスTxrトランスポザーゼ遺伝子より長かった。このRana配列は、5‘末端逆方向反復配列の一部を含む領域を含み、この配列はTxrコピー中にはない配列が続いた。明らかに、Txrエレメントは、トランスポザーゼ遺伝子のN末端部分をカバーする180bpの保存された欠失を含み、このことは、Lamら(1996)によるトランスポザーゼ配列の誤った推定を導いた。同様に、保存された欠失は、メダカにおけるTdf1エレメントの場合に記載されている(Izsvakら、1995)。Rana配列およびTxrコード領域の残りは、約90%相同性を示した(データは示さず)。
本発明者らのORF−トラッピングの効果をチェックするために、Ranaトランスポゾンのゲノムコピー数を、ドットブロッティングによって見積もった。R.pipensハプロイドゲノムのサイズを6.6×10bpと仮定して、本発明者らは、トランスポザーゼ遺伝子が、ハプロイドゲノムあたり8000回示されると見積もった。これは、R.pipensゲノムの約0.1%を示す。この数は、他の種における他のTc1様エレメントについて見出される0.02〜0.6%の範囲内である。これらのデータは、本発明者らの新規ORF−トラッピング法が、トランスポザーゼファミリーが普遍的に示されるゲノムからの比較的良好な形状であるトランスポザーゼ遺伝子の同定に明らかに寄与したことを示す。 (実施例2:Frog Princeトランスポゾンシステムの2つの構成要素の同定)
コンセンサスRana遺伝子(図2)は、典型的なTc1様トランスポザーゼをコードし、これは、推定の2つのヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフ、双極性(bipartite)の核局在シグナル、およびDD(34)E特性(signatuer)を有する触媒ドメインから構成される推定のN末端DNA結合ドメインを含む(Plasterkら、1999)(図2)。本発明者らが単離した異なる3つのトランスポザーゼ遺伝子の1つは、コンセンサスから2ヌクレオチドのみ異なった。この差異は、そのORFにおいて2つのアミノ酸置換を生じる。これらの1つは、トランスポザーゼの触媒ドメインの最初の部分でのThr→Ser(152)置換であった。他のミスセンス変異は、このタンパク質のC末端に近いArg→Cys(315)を導くCpG部位の5mC残基のアミノ酸除去(deamination)に起因した。部位特異的PCR変異誘発法を使用して、コンセンサスRanaトランスポザーゼ遺伝子の配列を派生させた(図2)。FPトランスポザーゼのコードされるアミノ酸配列を配列番号1に示す。
Rana型トランスポザーゼについての結合部位を派生させるために、スプリンケレット(splinkerette)PCRをゲノムDNAに適用して、ゲノム隣接配列と一緒に完全な逆方向反復配列を増幅した。異なる5つのクローンのアラインメントは、トランスポザーゼ遺伝子に隣接する214bp長の完全な逆方向反復配列を示した(図2)。逆方向反復配列のDNA配列をまた配列番号2に示す。Ranaトランスポゾンは、典型的なIR/DR−型のエレメントである。すなわち、IRは、4つのトランスポザーゼ結合部位を含み、これは、IRの末端で直接的な反復配列(DR)として示される(Ivicsら、1997)。DRは、21ヌクレオチド長であり、そして外側の部位と内側の部位との間で1ヌクレオチド異なる。IR配列は、コンセンサストランスポザーゼ遺伝子と一緒に、本発明者らがFrog Princeと名付けた新規転位可能なエレメントシステムの構成要素を構成する。
(実施例3:FPの転位)
Sleeping Beautyは、ヒト細胞において高い転位活性を示す(Ivicsら、1997)。よって、Frog Princeエレメントの転位活性についての最初の試験を、SBについて確立された転位アッセイ(Ivicsら、1997)を使用して、培養したHela細胞で行った。このアッセイは、トランスポザーゼを発現するヘルパープラスミド、およびネオマイシン耐性(neo)遺伝子を終末IRの間に有するトランスポゾンを含むドナー構築物の同時トランスフェクトに基づく。トランスポザーゼによって触媒される導入遺伝子組み込みの効率を、染色体組み込みおよび選択マーカー遺伝子の発現に起因するG418耐性コロニー数から解明した(Ivicsら、1997)。再構築したコンセンサスRanaトランスポザーゼORF(pFV−FrogPrince中)、および2つのアミノ酸変化を含むその前駆体遺伝子(pFV−mFrogPrince中)を、Txr型構築物(pTxr−neo)またはFrogPrince型(pFrogPrince−neo)基質構築物のいずれかと一緒にトランスフェクトした(図3)。pFV−FrogPrinceをその基質であるpFrogPrince−neoとともに同時トランスフェクトした場合、コロニー数で17倍の増加を検出した。この結果は、本発明者らが、Rana pipensゲノムから活性なトランスポゾンシステムを首尾よく派生させかつ操作したことを示す。mFrogPrinceトランスポザーゼは、完全に不活性であり、このことは、アミノ酸T(152)またはR(315)のいずれかまたは両方の重要性を示す。驚くことに、本発明者らは、pFV−FrogPrinceをpTxr−neoとともに同時トランスフェクトした場合、G418耐性細胞コロニー数での5倍の増加を観察した(図3)。よって、Ranaトランスポザーゼは、Xenopusトランスポゾンを交差移動(cross−mobilize)し得、このことは、これらの種において2つのトランスポザーゼファミリーが最近分かれたことを示す。対照的に、FPとSleeping Beautyとの間では交差移動を観察しなかった。これらのデータは一緒に、Frog Princeトランスポゾンシステムが、プラスミドからヒトゲノムへの導入遺伝子組み込み効率を顕著に増加させ得ることを示す。
(実施例4:ヒトゲノムへのFrog Princeのカットアンドペースト転位)
Tc1/marinerエレメントは、カットアンドペースト機構を介してTAジヌクレオチドに転位する(transpose)。TA標的ジヌクレオチドはぶんかつされ、そして組み込まれたトランスポゾンと両端で隣接する。これは、Tc1/mariner転位の印である(Plasterkら、1999)。組み込まれたFrog Princeトランスポゾンの隣接配列を試験するために、ゲノムDNAを、個々のG418耐性Helaクローンから単離し、そしてスプリンケレットPCRに供した。本発明者らは、異なる3つのトランスポゾン挿入を分ける(bordering)左連結および右連結をクローニングおよび配列決定した。これらの2つは、イントロンからであり、そして1つは非遺伝子配列からであった(データは示さず)。3つの場合全てにおいて、Prince挿入は、予想したTAジヌクレオチドによって、トランスポゾンの両端で隣接され、互いに異なる配列およびトランスポゾン−ドナープラスミドの配列が続いた(図4)。トランスポゾンの右IRまたは左IRのいずれかを分ける他の4つの隣接配列を用いて同様の結果を得た(データは示さず)。標的部位の検査は、異なるヒト染色体において、挿入の全てがTAジヌクレオチドで生じたことを示した(図4)。総じて、これらのデータは、FPが、ヒトゲノム中の種々の位置への正確なカットアンドペースト転位に従うことを示す。
(実施例5:FPは種々の脊椎動物細胞株において活性である)
SBは、異なる脊椎動物細胞株において種々の転位活性を有する(Izsvakら、2000)。しかし、SBは、サカナ由来の合成エレメントであり、そしてFrog Princeは、両生類のゲノムから再構築され、よって、同一セットの細胞株は、これらの2つのトランスポゾンシステムに対して異なる任意の環境を提供し得る。従って、本発明者らは、標準的なトランスポゾンアッセイを用いて、培養細胞株(2つの哺乳動物、両生類、および2つの魚類)におけるこれら2つのシステムの活性を比較した。同時トランスフェクションに使用したプラスミドは、SBの場合、pFV−SBおよびpT/neoであり(Ivicsら、1997)、FPシステムの場合、pFV−FrogPrinceおよびpFrogPrince−neoであった。ベクターバックボーン、プロモーター、ポリAシグナルおよびトランスポゾンマーカー遺伝子は、これら2つのシステムの構築物において同一であった。FPは、試験した全ての細胞株においてSBよりもより活性であるようだ(図5)。しかし、これら2つのトランスポゾンシステムの転位効率における差異は、中程度であり、そしてPAC2メダカ細胞株においてのみ統計学的に有意であった。これらのデータは、FPの転位が系統発生的に近似する分類群に限定されず、そしてFPがこれまでに記載されている脊椎動物種において最も活性な転位可能なエレメントであるということを示す。
(実施例6:ヒトHela細胞におけるFrog Princeを用いるジーントラッピング)
本発明者らは、Frog Princeトランスポゾンベクター内のジーントラッピング発現カセットを使用して、発現した遺伝子において転位事象を生成しかつ選択した。ジーントラッピングトランスポゾンカセットは、マウスengrailed 2イントロンを保有し、これは、スプライシングアクセプター(SA)部位、および開始メチオニンコドンを欠くネオマイシン耐性マーカー遺伝子(neo)を含む。よって、neo発現は、内因性遺伝子との融合タンパク質が作製される場合にのみ得られえる。トランスポゾンはまた、ゲノム中のあらゆる部位での挿入事象を選択するために、zeo発現カセットを含む。ジーントラッピングトランスポゾン構築物を、トランスポザーゼ供給源(FP Tpase)と一緒に、ヒトHela細胞中にトランスフェクトした。ジーントラッピングトランスポゾンのいくつかが、イントロンおよび遺伝子の非翻訳領域に挿入する。ここで、この画分は、内因性遺伝子とneoマーカー遺伝子との間の融合転写物が産生され得るように適切な方向にある。トランスフェクトされた細胞を、zeocinおよびG418の選択下においた。いくつかのトランスポゾン挿入を、抗生物質耐性細胞クローンからクローニングし、そして挿入物を、BLASTを使用してヒト染色体上にマッピングした。これらの挿入の全てが遺伝子中で生じた。活性に転写される遺伝子へのジーントラッピングベクターの組み込みは、生きた動物において遺伝子座特異的マーカーとして機能し得、そして破壊された遺伝子を同定するためのタグを提供する。この実験において使用したこれらの構築物および得られた結果を、図6に示す。
(実施例7:増加した転位活性を有するトランスポザーゼの生成)
GENE MORPH(Stratagene)キットを用いたFrog Princeトランスポザーゼ遺伝子への点変異の導入は、PCR変異誘発アプローチに基づいた。遺伝子あたり平均して1つの点変異が生成されるような条件を設定した。本発明者らは、約10,000個の変異トランスポザーゼ遺伝子のライブラリーを作製した。PCR産物を、真核生物発現ベクター中に高効率(80〜90%のクローンがトランスポザーゼ遺伝子を含む)でクローニングした。プラスミドDNAを、96ウェルフォーマットでpipetting robot(Tecan)を用いてこれらのクローンから精製した。精製したプラスミドDNAを使用して、高スループット転位アッセイにおいてヒト培養細胞をトランスフェクトした。変異トランスポザーゼを、ネオマイシン耐性遺伝子を含むトランスポゾンDNAとともに同時トランスフェクトした。耐性コロニーの増加した数は、スクリーン上での過剰活性(hyperactivity)を示す。
このように、本発明者らは、過剰活性を示す3つのクローンを同定した。クローンAD8、BG8およびBG12は、FPの少なくとも3倍高い活性を有することが見積もられる。本発明者らは、野生型タンパク質と比較して10倍〜100倍高い活性の過剰活性トランスポザーゼを産生するという本研究が事実であると確信するが、このことを否定することは何もない。
Figure 0004493492
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図1は、Rana pipiensのゲノムからトランスポザーゼのORFをトラッピングするための戦略を示す概略図である。トランスポザーゼ遺伝子は、推定の遺伝子配列に隣接するように設計されたプライマー(矢印によって示す)を用い、ゲノムDNAからPCR増幅される。トランスポザーゼをコードする領域(白四角によって示す)のコレクションが増幅され得る。これら遺伝子の大部分は、点突然変異(▼)、フレームシフト(◆)、および未成熟翻訳終止コドン(●)に起因して、欠損である。遮られていないORFは、CMVプロモーターによって駆動されるLacZ遺伝子と融合したPCR産物をクローニングし、上記PCR産物をE.coliに形質転換し、そして上記E.coliをX−galプレート上にプレーティングすることによって選択され得る。 図2は、完全長Frog Prince転位エレメントの、推定のコンセンサス配列を示す。IRを黒塗りで示す。21bpの長さのDRを、白四角によって示す。トランスポザーゼのコードされるアミノ酸配列を、DNA配列の下に示す。Xenopus Txrコンセンサスにはない新たに同定された配列に、下線を付す。星印は塩基対の位置を示し、ここで、RanaエレメントとXenopusエレメントとの間の配列が、トランスポザーゼ結合部位内で異なり、そして共通配列を派生させるためにトランスポザーゼ遺伝子内に置換が導入される。 図3は、ヒトHeLa細胞における、FPの転位および基質認識を調べた結果を示す。図中の表に記載した、異なる組み合わせのドナープラスミドおよびヘルパープラスミドを、HeLa細胞に同時トランスフェクトした。pCMV−βgalをドナープラスミドと共にトランスフェクションしたものがコントロールとして機能する。導入遺伝子の組み込み効率を、G418選択下で細胞をプレーティングした後の、抗生物質耐性コロニーを計数することによって見積もる。左の数字は、10個細胞をプレーティングした際のコロニー数の平均値を示す。結果は、少なくとも3回のトランスフェクション実験を示す。エラーバーはSEMを示す。 図4は、ヒト染色体への、FP媒介性カットアンドペースト転位を示す。一番上に、FP−neoエレメントの概略図を示す。IRを黒矢印で示し、SV40プロモーターおよびネオマイシン耐性マーカー遺伝子(neo)を、それぞれ白矢印および白四角によって示す。ドナー構築物中のエレメントに隣接する、隣接pUC19ベクターのバックボーン配列を、イタリック体で示す。トランスポザーゼについての標的部位として機能するヒトゲノム配列の3つの領域を、以下に示す。正確なカットアンドペースト転位は、ゲノムTA標的ジヌクレオチドの重複を導く。このTA標的ジヌクレオチドを、太文字で示す。 図5は、多様な脊椎動物種の中でのFPの活性を示す。FPおよびSBのドナープラスミドおよびヘルパープラスミドを、Hela(ヒト)細胞株、CHO−K1(ハムスター)細胞株、A6(アフリカツメガエル)細胞株、FHM(ファットヘッドミノウ)細胞株、およびPAC2(メダカ)細胞株に、同時トランスフェクトした。転位効率を、トランスポザーゼ存在下で得られるG418耐性細胞クローンの数対トランスポザーゼ非存在下で得られるG418耐性細胞クローンの数の間で導き出される比によって算出した。FPの活性(黒色カラムによって示す)を、SBの活性(白色カラム)と比較した。相対的な効率をY軸上に示し、所定の細胞株におけるSBの活性を、任意に値1とする。示される数値は、少なくとも3回の繰り返し行ったトランスフェクションによって得られた平均値である。エラーバーはSEMを示す。 図6は、Frog Princeトランスポザーゼに基づくジーントラッピング構築物、およびジーントラッピング方法を用いて得られる結果を示す。図は、Frog Princeトランスポゾンに基づくジーンラッピングベクターの重要な構成要素を示す。より詳細には、添付の実施例6を参照のこと。本発明の方法を用いてトラッピングされた遺伝子およびエクソン(遺伝子が位置する染色体を含む)もまた、示す。 図7は、Sleeping BeautyトランスポザーゼおよびFrog Princeトランスポザーゼのアミノ酸配列のアラインメントを示す。同一のアミノ酸を黒塗りで示し、そして保存されたアミノ酸を灰色で示す。2つのトランスポザーゼのアミノ酸配列の同一性のレベルは、約50%である。

Claims (45)

  1. トランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムであって:
    (a)機能的トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを欠損しかつ目的のポリヌクレオチドを含むトランスポゾンであって、該トランスポゾンは逆方向反復配列を含み、該逆方向反復配列は、配列番号2内の反復配列およびその逆方向反復配列の各々と少なくとも90%の程度の同一性を有する、トランスポゾン;
    (b)配列番号3および4の配列を含むDNA結合ドメイン、または配列番号3および/または4と少なくとも90%の程度の同一性を有するDNA結合ドメインをN末端に有するトランスポザーゼ;あるいは
    (c)(b)に記載のトランスポザーゼをコードするポリヌクレオチド
    を含む、DNA組み込みシステム。
  2. 前記トランスポザーゼは、配列番号5で示される双極核局在シグナル、および/または配列番号7で示されるDD(34)E特性を有する触媒ドメイン、および/または配列番号6のDNA結合ドメインを含む、請求項1に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  3. 前記トランスポザーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の程度の同一性を有する、請求項1または2に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  4. 前記目的のポリヌクレオチドが遺伝子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  5. 前記遺伝子は、哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類または鳥類由来である、請求項4に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  6. 前記哺乳動物はヒトである、請求項5に記載のトランスポンに基づくDNA組み込みシステム。
  7. 前記目的のポリヌクレオチドが治療的に活性を有するペプチド(ポリペプチド)をコードする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  8. 前記目的のポリヌクレオチドがsiRNAに転写されかつ選択マーカーをコードする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  9. 前記目的のポリペプチドが、イントロンスプライシングアクセプター部位および選択マーカー遺伝子を含み、該遺伝子はメチオニン開始コドンを欠きかつポリA付加シグナルを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  10. 前記トランスポザーゼは、増強されたトランスポザーゼ活性を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  11. (a)に記載のトランスポゾンおよび/または(c)に記載のポリヌクレオチドが、少なくとも1つのベクター中に含まれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  12. 前記ベクターがプラスミドである、請求項11に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステム。
  13. 請求項11または12に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを用いてトランスフェクトまたは形質転換された宿主細胞。
  14. (a)に記載のトランスポゾンまたは請求項11もしくは12に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムをゲノム中に安定的に組み込んで含む、非ヒトトランスジェニック動物。
  15. 非ヒト脊椎動物の細胞中に目的のポリヌクレオチドを移入する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを該細胞に導入する工程を包含する、方法。
  16. 前記移入がインビトロで行われる、請求項15記載の方法。
  17. 前記移入がインビボで行われる、請求項15記載の方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって:
    (a)細胞を選択する工程であって、前記ポリヌクレオチドが該細胞に安定的に組み込まれている、工程;および
    (b)該細胞または該細胞に由来する細胞を該細胞と同一種の非ヒト脊椎動物に導入または再導入する工程
    をさらに包含する、方法。
  19. 前記細胞が再導入されている非ヒト脊椎動物が、該細胞を前記移入の前に採取した非ヒト脊椎動物である、請求項16または18に記載の方法。
  20. 前記移入が、遺伝子銃、あるいはリポソーム、ポリエチレンイミン、アデノウイルス−ポリリジン−DNA複合体、リポフェクション、エレクトロポレーション、トランスフェクション/形質導入、または感染によって媒介または補助される遺伝子移入によってもたらされる、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記感染または形質導入が、組み換えレトロウイルス、組み換えアデノウイルス、組み換えヘルペスウイルス、または組み換えアデノ随伴ウイルスによって媒介または補助される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記細胞が体細胞である、請求項15〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記非ヒト脊椎動物が、哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類、または鳥類である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記細胞が生殖系細胞である、請求項15〜21のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記非ヒト脊椎動物が、非ヒト哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類、または鳥類である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記生殖系細胞または前記生殖系細胞に由来する細胞を該細胞と同一種の脊椎動物に再導入した後に脊椎動物を生育する工程であって、該脊椎動物またはトランスジェニック脊椎動物がヒトではない、工程
    をさらに包含する、請求項24または25に記載の方法。
  27. 前記導入又は再導入が、精子、マイクロインジェクションまたは遺伝子銃によって媒介されるかまたはもたらされる、請求項15、17、24、25または26に記載の方法。
  28. RNAi法であって:
    (a)請求項8に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの一部であるトランスポゾンを非ヒト細胞内に安定的に導入する工程;
    (b)前記選択マーカーを発現する細胞を選択する工程;および
    (c)所望の遺伝子の転写/翻訳がRNAiによって影響されているか否かを評価する工程
    を包含する、方法。
  29. ジーントラッピング法であって:
    (a)請求項9に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを非ヒト細胞内に導入する工程;および
    (b)選択マーカーの発現を評価する工程であって、該選択マーカーの発現が、該細胞の転写された遺伝子内に該トランスポゾンが組み込まれたことを示す、工程
    を包含する、方法。
  30. (a)前記組み込まれたトランスポゾンをタグとして用いる、破壊された遺伝子を同定する工程を包含する、請求項29に記載の方法。
  31. 配列番号2内の反復配列およびその逆方向反復配列の各々と少なくとも90%の程度の同一性を有する逆方向反復配列;ならびに、配列番号3および4の配列を含むDNA結合ドメインをN末端に有するトランスポザーゼを含むか、またはこれらからなることを特徴とするトランスポゾン。
  32. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを含む組成物。
  33. 脊椎動物の細胞(ヒト受精卵およびヒト胚を除く)中に目的のポリヌクレオチドを移入する方法であって、前記移入がエクソビボおよびインビトロの少なくとも1つで行われる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを該細胞に導入する工程を包含する、方法。
  34. 前記移入が、遺伝子銃、あるいはリポソーム、ポリエチレンイミン、アデノウイルス−ポリリジン−DNA複合体、リポフェクション、エレクトロポレーション、トランスフェクション/形質導入、または感染によって媒介または補助される遺伝子移入によってもたらされる、請求項33に記載の方法。
  35. 前記感染または形質導入が、組み換えレトロウイルス、組み換えアデノウイルス、組み換えヘルペスウイルス、または組み換えアデノ随伴ウイルスによって媒介または補助される、請求項34に記載の方法。
  36. 前記細胞が体細胞である、請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記脊椎動物が、哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類、または鳥類である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記哺乳動物がヒトである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記細胞が生殖系細胞である、請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記脊椎動物が、非ヒト哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類、または鳥類である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記生殖系細胞または前記生殖系細胞に由来する細胞を該細胞と同一種の脊椎動物に再導入した後に脊椎動物を生育する工程であって、該脊椎動物またはトランスジェニック脊椎動物がヒトではない、工程
    をさらに包含する、請求項39または40に記載の方法。
  42. 前記導入又は再導入が、精子、マイクロインジェクションまたは遺伝子銃によって媒介されるかまたはもたらされる、請求項33、39、40または41に記載の方法。
  43. RNAi法であって:
    (a)請求項8に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムの一部であるトランスポゾンを、エクソビボおよびインビトロの少なくとも1つで細胞(ヒト受精卵およびヒト胚を除く)内に安定的に導入する工程;
    (b)前記選択マーカーを発現する細胞を選択する工程;および
    (c)所望の遺伝子の転写/翻訳がRNAiによって影響されているか否かを評価する工程
    を包含する、方法。
  44. ジーントラッピング法であって:
    (a)請求項9に記載のトランスポゾンに基づくDNA組み込みシステムを、エクソビボおよびインビトロの少なくとも1つで細胞(ヒト受精卵およびヒト胚を除く)内に導入する工程;および
    (b)選択マーカーの発現を評価する工程であって、該選択マーカーの発現が、該細胞の転写された遺伝子内に該トランスポゾンが組み込まれたことを示す、工程
    を包含する、方法。
  45. (a)前記組み込まれたトランスポゾンをタグとして用いる、破壊された遺伝子を同定する工程を包含する、請求項44に記載の方法。
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