JP4489306B2 - 化石燃料貫流ボイラ - Google Patents
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Description
本発明は、化石燃料用の燃焼室を有し、この燃焼室の高温ガス側に水平煙道を介して垂直煙道が後置接続され、燃焼室の囲壁が垂直に配置され互いに気密溶接された蒸発管で形成された貫流ボイラに関する。
【0002】
ボイラを備えた原動所において、燃料の含有エネルギはボイラ内で水及び/又は水蒸気からなる流体(以下、媒体流という。)であって、液状の媒体流を蒸発するために利用される。その媒体流は通常、蒸気発生回路内を導かれる。ボイラで用意された蒸気は、例えば蒸気タービンを駆動するために利用されおよび/又は密閉外部プロセスに利用される。蒸気が蒸気タービンを駆動すると、その蒸気タービンのタービン軸を介して通常、発電機や作業機械が駆動される。発電機の場合、発生した電流は、複合電力系統および/又は独立電力系統に供給される。
【0003】
そのボイラは貫流ボイラとして形成される。貫流ボイラは、VGBクラフトベルクステヒニーク(Kraftwerkstechnik)73(1993年)、第4号、第352〜360頁に掲載のJ.フランケ、W.ケーラー、E.ウィッチョー共著の論文「ベンソンボイラの蒸発器構想」で公知である。貫流ボイラの場合、蒸発管として設けられた蒸気発生管の熱は、媒体流を蒸気発生管の一回の通過で蒸発させる。
【0004】
貫流ボイラは通常、垂直構造の燃焼室を装備している。これは、燃焼室がほぼ垂直方向への加熱媒体又は高温ガスの通過に対し設計されることを意味する。燃焼室には、高温ガス側に水平煙道が後置接続され、高温ガス流が燃焼室から水平煙道に移行する際、高温ガスのほぼ水平方向への転向が行われる。しかしそのような燃焼室は一般に、温度に条件づけられて燃焼室長さが変化するため、燃焼室を懸垂支持する架台を必要とする。これは、貫流ボイラを製造および組み立てる際にかなり高い技術的経費がかかることを意味し、その経費は、貫流ボイラの構造高さが大きくなればなる程高くなる。これは特に、全負荷時に80kg/秒より大きな蒸気出力に対し設計されている貫流ボイラに当てはまる。
【0005】
貫流ボイラは圧力の制限を受けないので、主蒸気圧は、液状媒体と蒸気状媒体との間にほんの僅かな密度差しか存在しない水の臨界圧(Pkri=221バール)よりかなり高くできる。高い主蒸気圧は、高い熱効率を助長し、従って燃料として、例えば石炭や活性炭を燃焼させる化石燃料式原動所におけるCO2の発生量を少なくする。
【0006】
特別な問題は、貫流ボイラの煙道や燃焼室の囲壁を、そこで生ずる管壁温度又は材料温度に応じ設計することにある。約200バール迄の未臨界圧力範囲において、燃焼室の囲壁温度は、蒸発管の内周面の湿りが保障されるとき、主に水の飽和温度の高さによって決定される。これは、例えば内周面に表面組織を有する蒸発管を利用することによって達成される。そのため、特に内側フィン(ひれ)付き蒸発管が考慮され、その貫流ボイラへの採用は、例えば上述の文献で知られている。この所謂フィン付き管、即ち内周面にフィンが付けられた管は、管内壁から媒体流への特に良好な熱伝達率を有する。
【0007】
貫流ボイラの管壁が互いに溶接されているとき、ボイラの運転中、異なった温度の管壁間に熱応力が生ずることは、経験的に避けられない。これは、特に燃焼室とこれに後置接続された水平煙道との接続部分に、即ち燃焼室の出口範囲の蒸発管と水平煙道の入口範囲の蒸気発生管との間に生ずる。この熱応力により貫流ボイラの寿命が著しく短縮され、極端な場合に管に亀裂が生じる。
【0008】
本発明の課題は、特に安価な製造費および組立費しか必要とせず、運転中に燃焼室とこれに後置接続された水平煙道との接続部の温度差が小さくなる、冒頭に述べた形式の化石燃料式貫流ボイラを提供することにある。これは特に、互いに直接あるいは間接的に隣接する燃焼室の蒸発管と、燃焼室に後置接続された水平煙道の蒸気発生管とに適用される。
【0009】
この課題は、本発明によれば、化石燃料用の燃焼室を有し、この燃焼室に水平煙道を介して垂直煙道が高温ガスの流れ方向で見て後側に接続され、燃焼室が水平煙道の高さに配置された複数のバーナを有し、燃焼室の囲壁が垂直に配置され互いに気密溶接された複数の蒸発管で形成され、大多数の蒸発管が各々並行して水及び/又は水蒸気からなる流体(以下、媒体流という。)を供給され、前記水平煙道の側壁が、垂直に配置され互いに気密溶接され且つ並行して媒体流が供給される蒸気発生管で形成され、前記燃焼室の出口範囲の囲壁と水平煙道の入口範囲の側壁とが溶接接続され、前記水平煙道の側壁の蒸気発生管が、燃焼室の出口範囲における蒸発管と隣接している化石燃料貫流ボイラであって、前記燃焼室の出口範囲および水平煙道の入口範囲を含む接続部分において、並行して媒体流が供給される一部の蒸発管が、先ず上から下向きに、次いで下から上向きにUターンしてループ状に導かれ、これによって、貫流ボイラの運転中、蒸発管の上から下向きに導かれる部分において、媒体流の予熱が行われように前記ループ状に導かれることにより解決される。
【0010】
本発明は、特に安価な製造・組立費で作れる貫流ボイラは、単純に形成できる懸垂構造物を有さねばならないという考えから出発している。技術的に非常に安価に作れる燃焼室懸垂支持用の架台は、貫流ボイラの比較的低い構造高さに伴い生ずる。貫流ボイラの特に低い構造高さは、燃焼室を水平構造に形成することで得られる。そのため、バーナを燃焼室壁に水平煙道の高さに配置する。これにより、貫流ボイラの運転中、高温ガスは燃焼室をほぼ水平の主流れ方向に流れる。
【0011】
更に水平燃焼室を備えた貫流ボイラの運転中、燃焼室と水平煙道との接続部の温度差を、熱応力による過早の材料疲労を確実に防止するため特に小さくせねばならない。燃焼室の出口範囲と水平煙道の入口範囲での熱応力による材料疲労を確実に防止するには、この温度差を、特に互いに直接又は間接的に隣接する燃焼室の蒸発管と水平煙道の蒸気発生管との間で、特に小さくせねばならない。
【0012】
しかし貫流ボイラの運転中、媒体流が供給される蒸発管の入口部分は、燃焼室に後置接続された水平煙道の蒸気発生管の入口部分よりも非常に低温である。即ち、水平煙道の蒸気発生管に流入する高温媒体流に比べ比較的冷たい媒体流が、蒸発管に流入する。即ち、貫流ボイラの運転中、蒸発管は入口部分が、水平煙道の入口部分における蒸気発生管よりも冷たい。従って、燃焼室と水平煙道との接続部に、熱応力による材料疲労が生ずることが予期される。
【0013】
しかしいま燃焼室の蒸発管に低温媒体流でなく高温媒体流が流入すれば、蒸発管の入口部分と蒸気発生管の入口部分との温度差は、低温媒体流が蒸発管に流入する場合程は大きくならない。即ち、媒体流が、先ず燃焼室と水平煙道との接続部から第2蒸発管より遠く離れて配置された第1蒸発管内を導かれ、続いて第2蒸発管内を導かれるとき、貫流ボイラの運転中、加熱により予熱された媒体流が、第2蒸発管に流入する。蒸発管が燃焼室の囲壁の中央に媒体流の入口を備えるとき、第1蒸発管と第2蒸発管との間の経費のかかる接続が省かれる。蒸発管は燃焼室において先ず上から下向きに、次いで下から上向きに導かれる。これによって、貫流ボイラの運転中、媒体流が燃焼室の下部における蒸発管の上述の入口部分に流入する前に、蒸発管の上から下向きに導かれる部分において、媒体流の加熱が行われる。この場合、燃焼室のその囲壁において、媒体流が並行して供給される若干の蒸発管がループ状に導かれていると特に有利である。
【0014】
水平煙道および/又は垂直煙道の側壁は、好適には、垂直に配置され互いに気密溶接され且つ並行して媒体流が供給される蒸気発生管で形成されている。
【0015】
好適には、燃焼室の並列接続された多数の蒸発管に、各々媒体流用の共通の入口管寄せ装置が前置接続され、共通の出口管寄せ装置が後置接続される。即ち、この実施態様で形成された貫流ボイラは、並列接続された多数の蒸発管間の確実な圧力バランスを可能にし、並列接続された全ての蒸発管は同じ総圧力損失を示す。これは、低加熱蒸発管に比べ、高加熱蒸発管において流量が増大することを意味する。これは、水平煙道又は垂直煙道の並行して媒体流が供給される多数の蒸気発生管に対しても適用され、媒体流側において、各々共通の入口管寄せ装置が前置接続され、共通の出口管寄せ装置が後置接続される。
【0016】
好適には、燃焼室の正面壁の蒸発管は、媒体流側において、燃焼室の側壁を形成する囲壁の蒸発管に前置接続されている。これにより、燃焼室の高加熱正面壁の特に良好な冷却が保障される。
【0017】
本発明の他の実施態様において、燃焼室の多数の蒸発管の内径は、燃焼室における蒸発管の各々の位置に応じ選定される。このようにして、蒸発管は燃焼室内の高温ガス側の予設定可能な加熱温度分布に適合される。こうして蒸発管の貫流に影響を及ぼすことで、蒸発管の出口における温度差が特に確実に小さくなる。
【0018】
蒸発管内を導かれる媒体流に燃焼室の熱を特に良好に伝達するため、多数の蒸発管の内周面に各々多条ねじを形成するフィンを設けるのがよい。その場合、管軸線に対して垂直な平面と管内周面に設けられたフィンのフランクとの成す傾斜角αは60°より小さく、好適には55°より小さい。
【0019】
即ち内側フィンのない蒸発管、所謂平滑管として形成した蒸発管の場合、所定の蒸気含有量から特に良好な熱伝達に必要な管壁の湿りがもはや維持できない。湿りが不足すると、所々に乾いた管壁が生ずる。そのような乾いた管壁への移行は、熱伝達挙動が悪い所謂熱伝達危機を生じ、このために一般に、この個所で管壁温度が特に著しく上昇する。しかしこの熱伝達危機は、内側フィン付き蒸発管においては平滑管と異なり、蒸気含有量が0.9より大きいとき、即ち蒸発の完了直前に初めて生ずる。その理由は、スパイラル状フィンによって流れに旋回が与えられることにある。異なる遠心力に基づき、水分は蒸気分から分離され、管壁を伝って搬送される。これにより、管壁の湿りは高い蒸気含有量迄維持され、従って、熱伝達危機の場所に高い流速が生ずる。これは、熱伝達危機にも係らず非常に良好な熱伝達を生じさせ、その結果、管壁温度が低下する。
【0020】
好適には、燃焼室の多数の蒸発管は、媒体流の流量を減少するための手段を有する。その手段を絞り装置として形成するのが特に有利である。その装置は、例えば各蒸発管の内部において或る個所で管内径を狭める蒸発管内への組込み物である。燃焼室の蒸発管に媒体流を供給する多数の並列配管を有する配管系における、流量を減少するための手段も有効である。その配管系は、媒体流が並行して供給される蒸発管の入口管寄せ装置にも前置接続される。この配管系の1つ又は複数の配管に、例えば絞り弁が設けられる。蒸発管を通る媒体流の流量を減少するための手段により、個々の蒸発管を通る媒体流の流量が、燃焼室におけるその都度の加熱量に適合させられる。これによって、蒸発管の出口における媒体流の温度差が、追加的に特に確実に小さくされる。
【0021】
隣接する蒸発管ないし蒸気発生管は長手側が、好ましくは帯金、所謂フィンを介して互いに気密溶接される。このフィンは、管の製造時に既に管と固く結合され、これと共に単一品を形成する。管とフィンとから成るこの単一品は、フィン付き管とも呼ばれる。フィン幅は蒸発管ないし蒸気発生管への入熱量に影響を与える。従ってフィン幅は、貫流ボイラにおける各蒸発管ないし蒸気発生管の各位置に関係し、高温ガス側の予設定できる加熱温度分布に適合される。その加熱温度分布として、経験値から求められた代表的な加熱温度分布又は、例えば段階的な加熱温度分布のような大体の推定でもよい。フィン幅の適当な選定により、種々の蒸発管ないし蒸気発生管が著しく異なる加熱を受ける場合でも、全ての蒸発管ないし蒸気発生管への入熱量は、蒸発管ないし蒸気発生管の出口における温度差が特に小さくなるように、調整できる。このようにして、材料の過早の疲労は確実に防止される。これによって、貫流ボイラは特に長い寿命を示す。
【0022】
好適には、水平煙道内に複数の過熱器を配置し、これらの過熱器を高温ガスの主流れ方向に対してほぼ垂直に配置し、その管を媒体流の貫流に対して並列接続する。懸垂構造で配置され且つ隔壁加熱器とも呼ばれるこれらの過熱器は、主に対流加熱され、媒体流側において燃焼室の蒸発管に後置接続される。これによって、高温ガス熱の特に良好な利用が保障される。
【0023】
好適には、垂直煙道は複数の対流加熱器を有し、これら加熱器は高温ガスの主流れ方向に対しほぼ垂直に配置された管で形成される。対流加熱器のこれらの管は、媒体流の貫流に対し並列接続される。対流加熱器も主に対流で加熱される。
【0024】
更に高温ガスの熱の特に完全な利用を保障するため、垂直煙道は好ましくはエコノマイザを有する。
【0025】
好適には燃焼室の正面壁、即ち燃焼室の水平煙道への流出開口と反対側に位置する壁にバーナが配置される。このような構成の貫流ボイラは、特に簡単に燃料の燃焼長に適合させられる。燃料の燃焼長とは、所定の平均高温ガス温度での水平方向の高温ガス速度と、燃料の火炎の燃焼時間tAとの積を意味する。その都度の貫流ボイラにおける最大燃焼長は、貫流ボイラの全負荷時、所謂全負荷運転時の蒸気出力Mにおいて生ずる。燃料の火炎の燃焼時間tAは、平均粒度の微粉炭が、所定の平均高温ガス温度で完全燃焼するのに必要な時間である。
【0026】
燃焼室の下部は、好ましくは灰出しホッパとして形成される。かくして、貫流ボイラの運転中、化石燃料の燃焼に伴い生ずる灰は簡単に、例えば灰出しホッパ下に配置した灰出し装置に排出される。化石燃料は固形の石炭である。
【0027】
水平煙道の材料損傷と例えば高温溶融灰の侵入に基づく不所望の汚れを特に減らすため、燃焼室の正面壁から水平煙道の入口範囲迄の距離で規定される燃焼室の長さは、貫流ボイラの全負荷時における燃料の燃焼長と少なくとも同じとするとよい。燃焼室の下部は灰出しホッパとして形成し、燃焼室の水平長さは、通常灰出しホッパ上縁から燃焼室天井迄の燃焼室高さの少なくとも80%である。
【0028】
化石燃料の燃焼熱を特に良好に利用するために、好適には、燃焼室の長さL(m)は、全負荷時における貫流ボイラの蒸気出力M(kg/秒)、化石燃料の火炎の燃焼時間tA(秒)および燃焼室からの高温ガスの出口温度TBRK(℃)の関数として選定される。その場合、全負荷時の貫流ボイラの所定の蒸気出力Mにおいて、近似的に、次の(1)式および(2)式のうち大きい方の値が適用される。
【数1】
L(M、tA)=(C1+C2・M)・tA (1)
【数2】
L(M、TBRK)=(C3・TBRK+C4)M+C5(TBRK)2+C6・TBRK+C7
(2)
【0029】
ここで、C1=8m/秒、C2=0.0057m/kg、C3=−1.905・10-4(m・秒)/(kg℃)、C4=0.286(秒・m)/kg、C5=3・10-4m/(℃)2、C6=−0.842m/℃、C7=603.41mである。
【0030】
ここで近似的とは、各々の式で規定された燃焼室長さLの値の+20/−10%が許容偏差であることを意味する。
【0031】
本発明によって得られる利点は特に、燃焼室の囲壁における若干の蒸発管をループ状に導くことで、貫流ボイラの運転中、燃焼室と水平煙道の接続部の直ぐ周辺における温度差が、特に小さくなることにある。従って貫流ボイラの運転中、燃焼室と水平煙道の接続部における互いに直接隣接する燃焼室の蒸発管と水平煙道の蒸気発生管との間の温度差によりひき起こされる熱応力が、例えば管亀裂を生ずる恐れがある値よりもかなり低く保たれる。これに伴い、貫流ボイラに水平燃焼室を非常に長い寿命で採用できる。高温ガスのほぼ水平の主流れ方向に対して燃焼室を設計することで、貫流ボイラの構造は特にコンパクトになり、これは、この貫流ボイラを蒸気タービンを備えた原動所に組み入れる際に、貫流ボイラから蒸気タービン迄の接続管を特に短くすることを可能にする。
【0032】
以下図を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお各図において同一部分には同一符号を付している
【0033】
図1の貫流ボイラ2は、蒸気タービン設備を有する原動所(図示せず)に付属している。貫流ボイラ2は全負荷時に少なくとも80kg/秒の蒸気出力に対して設計されている。貫流ボイラ2で発生された蒸気は蒸気タービンを駆動するために利用され、この蒸気タービンは発電機を駆動する。発電機で発生された電力は、複合電力系統あるいは独立電力系統への給電に利用される。
【0034】
化石燃料貫流ボイラ2は、水平構造に形成された燃焼室4を備える。この燃焼室4の高温ガス側には、水平煙道6を介し垂直煙道8が後置接続されている。燃焼室4の下部は灰出しホッパ5により形成され、その上縁は終点X、Yを含む補助線で示す。貫流ボイラ2の運転中、灰出しホッパ5を通して、化石燃料Bの灰がその下に設けた灰出し装置7に排出される。燃焼室4の囲壁9は、垂直に配置され互いに気密溶接された多数の蒸発管10で形成されている。そのN本の蒸発管10には、並行して媒体流Sが供給される。正面壁11は燃焼室4の囲壁9である。追加的に水平煙道6の側壁12ないし垂直煙道8の側壁14も、垂直に配置され互いに気密溶接された多数の蒸気発生管16、17で形成される。この場合、その蒸気発生管16、17には各々並行して媒体流Sが供給される。
【0035】
燃焼室4の多数の蒸発管10には、媒体流側において、媒体流Sに対する入口管寄せ装置18が前置接続され、出口管寄せ装置20が後置接続されている。入口管寄せ装置18は多数の並行入口管寄せを備える。蒸発管10の入口管寄せ装置18に媒体流Sを供給するため配管系19が設けられている。この配管系19は並列接続された多数の配管を有し、これらの配管は各々、入口管寄せ装置18の1つの入口管寄せに接続されている。
【0036】
同様に、水平煙道6の側壁12の媒体流Sが並行して供給される蒸気発生管16に、共通の入口管寄せ装置21が前置接続されている。その場合、蒸気発生管16の入口管寄せ装置21に媒体流Sを導入するため、同様に配管系19が設けられている。この配管系19はここでも多数の並列接続された配管を有する。これらの配管は各々入口管寄せ装置21の入口管寄せに接続されている。
【0037】
入口管寄せ装置18、21と出口管寄せ装置20、22を備えた貫流ボイラ2をこのように形成することで、並列接続された全ての蒸発管10ないし蒸気発生管16が同じ総圧力損失を有するよう、燃焼室4の互いに並列接続された蒸発管10間、ないし水平煙道6の互いに並列接続された蒸気発生管16間の圧力を特に確実にバランスできる。これは、高加熱蒸発管10ないし高加熱蒸気発生管16において、低加熱蒸発管10ないし低加熱蒸気発生管16に比べ流量を増大せねばならないことを意味する。
【0038】
蒸発管10は管内径Dを有し、内周面にフィン40を有する(図2参照)。このフィン40は多条ねじの形をし、フィン高さCを有する。その管軸線に対して垂直な平面42と管内周面に設けられたフィン40のフランク44との成す傾斜角αは55°より小さい。これにより、蒸発管10の内壁から蒸発管10内を導かれる媒体流Sへの特に高い熱伝達率が、同時に低い管壁温度が得られる。
【0039】
燃焼室4の蒸発管10の管内径Dは、燃焼室4内における各蒸発管10の位置に関係して選定される。このようにして、貫流ボイラ2は蒸発管10の種々の強さの加熱量に合わされる。このような燃焼室4の蒸発管10の設計は、蒸発管10の出口における温度差を特に小さくすることを、特に確実に保障する。
【0040】
媒体流Sの流量を減少する手段として、蒸発管10の一部に絞り装置(図示せず)が装備されている。絞り装置は、或る個所で管内径Dを狭める孔開き絞り板として形成され、貫流ボイラ2の運転中に低加熱蒸発管10における媒体流Sの流量を減少させ、これにより、媒体流Sの流量を加熱量に適合させる。
【0041】
更に、蒸発管10内での媒体流Sの流量を減少する手段として、配管系19の1つ又は複数の配管に、絞り装置特に絞り弁が装備されている(図示せず)。
【0042】
互いに隣接する蒸発管10ないし蒸気発生管16、17は、それらの長手側がフィンを介して互いに、詳述しない方法で気密溶接されている。つまり、そのフィン幅を適当に選定することで、蒸発管10ないし蒸気発生管16、17の加熱量が制御される。従って、各フィン幅は、貫流ボイラ2における各蒸発管10ないし蒸気発生管16、17の位置に関係する予め設定できる高温ガス側の加熱温度分布に合わされている。温度分布は、経験値から求めた代表的な加熱温度分布であるか、あるいは大体の推定でもよい。これにより、蒸発管10ないし蒸気発生管16、17が著しく異なる加熱を受ける場合でも、蒸発管10ないし蒸気発生管16、17の出口における温度差は、特に小さくできる。かくして、材料の疲労を確実に防止し、貫流ボイラ2の長寿命を保障できる。
【0043】
水平燃焼室4を配管敷設して形成する際、互いに気密溶接された個々の蒸発管10の加熱量が、貫流ボイラ2の運転中に非常に異なってしまうことにつき考慮せねばならない。そのため、蒸発管10の内側フィン、隣接する蒸発管10へのフィン結合および管内径Dについて、全蒸発管10が異なる加熱量にも係らずほぼ同じ出口温度を有し、貫流ボイラ2のあらゆる運転状態で全蒸発管10の十分な冷却が保障されるように設計する。貫流ボイラ2の運転中における若干の蒸発管10の低加熱は、絞り装置の組込みにより補助的に考慮する。
【0044】
燃焼室4における蒸発管10の管内径Dは、燃焼室4内における蒸発管10の各々の位置に関係して選定される。貫流ボイラ2の運転中に強く加熱される蒸発管10は、貫流ボイラ2の運転中に弱く加熱される蒸発管10よりも、大きな管内径Dとされる。これにより、管内径が全て同じにされている場合に比べ、大きな管内径Dを持つ蒸発管10内における媒体流Sの流量が増大し、これに伴い、異なった加熱量による蒸発管10の出口における温度差は減少される。蒸発管10内における媒体流Sの流量を加熱量に合わせる別の処置は、蒸発管10の一部におよび/又は媒体流Sを供給するために用意された配管系19に、絞り装置を組み込むことにある。これに対して、加熱量を蒸発管10内における媒体流Sの流量に適合させるために、フィン幅が燃焼室4内における蒸発管10の位置に関係して選定される。上述の全ての処置は、個々の蒸発管10が大きく異なって加熱されるにもかかわらず、貫流ボイラ2の運転中に、蒸発管10内を導かれる媒体流Sの比熱量がほぼ同じとなり、これによって、蒸発管10の出口における温度差が小さくなる。蒸発管10の内側フィンは、貫流ボイラ2のあらゆる負荷状態で、異なる加熱量および異なる媒体流Sの流量にも係らず、蒸発管10の特に確実な冷却が保障されるよう設計されている。
【0045】
水平煙道6は隔壁伝熱面として形成された多数の過熱器23を備える。これらの過熱器23は高温ガスGの主流れ方向24に対し垂直な懸垂構造で配置され、その管は媒体流Sの貫流に対し各々並列接続されている。過熱器23は主に対流加熱され、媒体流側において燃焼室4の蒸発管10に後置接続されている。
【0046】
垂直煙道8は、主に対流加熱される多数の対流加熱器26を備える。これら対流加熱器26は、高温ガスGの主流れ方向24に対しほぼ垂直に配置された管で構成されている。これら管は、媒体流Sの貫流に対し各々並列接続されている。更に垂直煙道8内にエコノマイザ28が配置されている。垂直煙道8は出口側が別の熱交換器、例えば空気加熱器に開口し、そこから、集塵機を介して煙突に通じている。垂直煙道8に後置接続された構造部品は、図1には示していない。
【0047】
貫流ボイラ2は、特に低い構造高さの水平燃焼室4で実現され、従って特に安価な製造費および組立費で建設できる。このために、貫流ボイラ2の燃焼室4は化石燃料用の多数のバーナ30を有している。これらのバーナ30は、燃焼室4の正面壁11に、水平煙道6の高さで配置されている。
【0048】
特に高い効率を得るため、化石燃料Bを特に完全燃焼させ、高温ガス側から見て水平煙道6の最初の過熱器23の材料損傷および例えば高温溶融灰の侵入によるその過熱器23の汚染を特に確実に防止できるようにするため、燃焼室4の長さLを、これが貫流ボイラ2の全負荷運転中に燃料Bの燃焼長を越えるように選定してある。長さLは燃焼室4の正面壁11から水平煙道6の入口範囲32迄の距離である。燃料Bの燃焼長は、所定の平均高温ガス温度時における水平方向の高温ガス速度と、燃料Bの火炎Fの燃焼時間tAとの積として規定される。その都度の貫流ボイラ2における最大燃焼長は、貫流ボイラ2の全負荷運転中に生ずる。燃料Bの火炎Fの燃焼時間tAは、例えば平均粒度の微粉炭が所定の平均高温ガス温度時に完全燃焼するために必要とする時間である。
【0049】
化石燃料Bの燃焼熱の特に良好な利用を保障するため、燃焼室4の長さL(m)は、全負荷時における燃焼室4からの高温ガスGの出口温度TBRK(℃)、燃料Bの火炎Fの燃焼時間tA(秒)、貫流ボイラ2の蒸気出力M(kg/秒)に関係して適当に選定される。燃焼室4の水平長さLは、燃焼室4の高さHの約80%である。高さHは、図1において終点X、Yを含む線で示す燃焼室4の灰出しホッパ上縁から燃焼室天井迄の距離である。燃焼室4の長さLは、近似的に次の式(1)、(2)によって決定される。
【数3】
L(M、tA)=(C1+C2・M)・tA (1)
【数4】
L(M、TBRK)=(C3・TBRK+C4)M+C5(TBRK)2+C6・TBRK+C7
(2)
【0050】
ここでC1=8m/秒、C2=0.0057m/kg、C3=−1.905・10-4(m・秒)/(kg℃)、C4=0.286(秒・m)/kg、C5=3・10-4m/(℃)2、C6=−0.842m/℃、C7=603.41mである。
【0051】
この場合の許容偏差は、近似的に、各式で規定される燃焼室長さLの+20%/−10%である。全負荷時における貫流ボイラ2の所定の蒸気出力Mに対して貫流ボイラ2を設計する際、燃焼室4の長さLに対し、式(1)、(2)からの大きい方の値が適用される。
【0052】
貫流ボイラ2の考え得る設計例として、全負荷時における貫流ボイラ2の蒸気出力Mに関する燃焼室4の長さLに対して、図3の座標系に、6つの曲線K1〜K6を記してある。それら曲線には、次のパラメータが対応する。即ち、K1、K2、K3に各々式(1)におけるtA=3秒、tA=2.5秒、tA=2秒が対応し、K4、K5、K6に各々式(2)におけるTBRK=1200℃、TBRK=1300℃、TBRK=1400℃が対応している。
【0053】
従って、燃焼室4の長さLを決定するために、例えば燃焼時間tA=3秒および燃焼室4からの高温ガスGの出口温度TBRK=1200℃に対して、曲線K1、K4が関与する。これにより、貫流ボイラ2の全負荷時に所定の蒸気出力Mの場合において、燃焼室4の長さLは次のようになる。即ち各々曲線K4に基づいて、M=80kg/秒の場合L=29m、M=160kg/秒の場合L=34m、M=560kg/秒の場合L=57mとなる。
【0054】
即ち常に、実線で示す曲線K4が適用される。
【0055】
燃料Bの火炎Fの燃焼時間tA=2.5秒および燃焼室4からの高温ガスGの出口温度TBRK=1300℃に対し、例えば曲線K2、K5が関与する。これにより、貫流ボイラ2の全負荷時、所定の蒸気出力Mにおいて、燃焼室4の長さLは次のようになる。即ち、M=80kg/秒の場合曲線K2に基づいてL=21m、M=180kg/秒の場合曲線K2、K5に基づいてL=23m、M=560kg/秒の場合曲線K5に基づいてL=37mとなる。
【0056】
即ち、蒸気出力M=180kg/秒迄は、実線で示す曲線K2の部分が適用され、このMの値の範囲では破線で示された曲線K5は適用されない。180kg/秒より大きなMの値に対して、実線で示された曲線K5の部分が適用され、このMの値の範囲では破線で示された曲線K2は適用されない。
【0057】
燃料Bの火炎Fの燃焼時間tA=2秒および燃焼室4からの高温ガスGの出口温度TBRK=1400℃に対し、例えば曲線K3、K6が関与する。これにより、貫流ボイラ2の全負荷時、所定の蒸気出力Mの場合に、燃焼室4の長さLは次のようになる。即ち、M=80kg/秒の場合曲線K3に基づいてL=18m、M=465kg/秒の場合曲線K3、K6に基づいてL=21m、M=560kg/秒の場合曲線K6に基づいてL=23mとなる。
【0058】
即ち蒸気出力M=465kg/秒迄の範囲では実線で示す曲線K3が適用され、破線で示す曲線K6は適用されない。465kg/秒より大きなMの値には、実線で示す曲線K6の部分が適用され、破線で示す曲線K3は適用されない。
【0059】
貫流ボイラ2の運転中、燃焼室4の出口範囲34と水平煙道6の入口範囲32との間に比較的小さな温度差が生ずるようにするため、図1に示す接続部分Zに蒸発管50、51が特別な形態で導かれている。この接続部分Zは、図4および図5に異なる実施例が詳細に示され、燃焼室4の出口範囲34と水平煙道6の入口範囲32を含んでいる。蒸発管50は、水平煙道6の側壁12に直接溶接された燃焼室4の囲壁9の蒸発管10であり、蒸発管52は、蒸発管50に直接隣接する燃焼室4の囲壁9の蒸発管10である。蒸気発生管54は燃焼室4の囲壁9に直接溶接された水平煙道6の蒸気発生管16であり、蒸気発生管56は蒸気発生管54に直接隣接する水平煙道6の側壁12の蒸気発生管16である。
【0060】
蒸発管50は、図4のように、燃焼室4の囲壁9の入口部分Eの上側で初めて囲壁9に入り込んでいる。蒸発管50は入口側が配管系19を介してエコノマイザ26に接続されている。これによって、貫流ボイラ2の始動前における蒸発管50のガス抜き、従ってその特に確実な貫流が達成される。蒸発管50は媒体流Sをまず上から下向きに導くように考慮されている。それから入口管寄せ装置18の直近で、蒸発管50は180°転向され、そして媒体流Sは蒸発管50を下から上向きに流れる。蒸発管50は、それが燃焼室4の囲壁9に入り込む個所の上側で、囲壁9上で一管ピッチだけ横にバーナ30の方向にずらされ、それから上向きに導かれている。即ち、蒸発管50は最終部分が蒸発管50の最初の部分と垂直方向において一致して導かれている。
【0061】
水平煙道6の側壁12の蒸気発生管54は、その入口管寄せ装置21から出た後で初めて水平煙道6の側壁12の外側を導かれている。蒸発管50が横にずらされて継続して導かれる個所の上で初めて、蒸気発生管54は水平煙道6の側壁12に入り込んでいる。即ち燃焼室4の囲壁9と、水平煙道6の側壁12との接続部36で、その下部は燃焼室4の囲壁9に属し、上部は水平煙道6の側壁12に属する。蒸発管52ないし蒸気発生管56は、他の蒸発管10ないし蒸気発生管16のように、燃焼室4の囲壁9ないし水平煙道6の側壁12において垂直に導かれ、入口側が入口管寄せ装置18、21に、出口側が出口管寄せ装置20、22に接続されている。
【0062】
図5は、燃焼室4の囲壁9と水平煙道6の側壁12との接続部分Zの異なる実施例を示す。この場合、入口側が配管系19を介してエコノマイザに接続された蒸発管50は、一管ピッチだけ横にずらされ、入口部分Eの上側で燃焼室4の囲壁9に入り込んでいる。ここで一管ピッチだけ横にずらすとは、蒸発管50の燃焼室4の囲壁9への入り込みが、燃焼室4と水平煙道6との接続部36から管層だけ離れて行われることを意味する。蒸発管50は入口管寄せ装置18の直近で90°転向され、燃焼室4の囲壁9の外側を水平煙道6の側壁12の方向に導かれる。蒸発管50は、水平煙道6の側壁12に入り込む前に、改めて出口管寄せ装置22に向けて90°転向される。そして蒸発管50は、燃焼室4と水平煙道6との接続部36から管層だけ離れて、水平煙道6の側壁12上を垂直に導かれる。蒸発管50は、水平煙道6の側壁12上で、(蒸発管50の燃焼室4の囲壁9への入り込み個所下側で)改めて一管層だけ横にずらされ、それから垂直方向に導かれている。これによっていまや、蒸発管50は燃焼室4と水平煙道6との接続部36に直に境を接している。蒸発管50の燃焼室4の囲壁9への入り込み高さの上側で、蒸発管50は改めて転向され、詳しくは水平煙道6の側壁12から燃焼室4の囲壁9への方向変換が行われる。蒸発管50はその最終部分が、燃焼室4の囲壁9において、燃焼室4と水平煙道6との接続部36に沿って、出口管寄せ装置20に向けて垂直に導かれている。
【0063】
蒸発管52の案内は、蒸発管50の案内と類似する。即ち蒸発管52は、蒸発管50の入り込み個所の下側で燃焼室4の囲壁9に入り込み、入口側が配管系19を介してエコノマイザ28に接続されている。蒸発管52の入り込みは、燃焼室4と水平煙道6との接続部36に接する管層で行われる。蒸発管52は、燃焼室4の囲壁9に入り込んだ後、上から下向きに導かれている。この蒸発管52は、入口管寄せ装置18の直近で、水平煙道6の側壁12に向けて90°転向されている。蒸発管52は、燃焼室4と水平煙道6との接続部36に接する第1管層の高さでもう一度90°だけ転向され、水平煙道6の側壁12に入り込む。蒸発管52はこの高さから水平煙道6の側壁12において垂直に導かれている。即ち蒸発管52は、燃焼室4の囲壁9への水平煙道6の側壁12の接続管を形成している。蒸発管52は、燃焼室4の囲壁9における蒸発管52の入り込み高さ上側で垂直方向に導かれるよう、燃焼室4の囲壁9への蒸発管52の入り込み高さの上側で、水平煙道6の側壁12から出ている。詳しくは蒸発管52の入り込み個所と垂直方向において一致している。それから蒸発管52は、蒸発管50の第1部分と垂直方向で一致して燃焼室4の囲壁9内を垂直に導かれるよう、燃焼室4の囲壁9における蒸発管52の入り込み個所上側で改めて転向されている。即ち蒸発管52の最終部分は、蒸発管50の第1部分と垂直方向で一致して導かれている。蒸発管50と52は、入口側がエコノマイザ28と入口管寄せ装置18との間の配管系19に接続され、出口側が出口管寄せ装置20に接続されている。
【0064】
蒸気発生管54は入口側が入口管寄せ装置21に接続されている。蒸気発生管54は入口管寄せ装置21から出た後、水平煙道6の外側を導かれる。蒸気発生管54は、蒸発管50を水平煙道6の側壁12から燃焼室4の囲壁9に移行する個所の上側で、水平煙道6の側壁12に入り込んでいる。水平煙道6の側壁12内を導かれる蒸気発生管54の最終部分は、燃焼室4と水平煙道6との接続部36に沿って導かれる。即ち水平煙道6の側壁12は、接続部36において、下部が蒸発管50により、そして上部が蒸気発生管54により形成されている。
【0065】
図5では、蒸気発生管56も入口側が入口管寄せ装置21に接続されている。蒸気発生管56は、まず水平煙道6の外側を導かれている。蒸気発生管56は、蒸発管50が接続部36に対し一管層ずらされて接続部36に直に接するように転向される個所の上側で初めて、水平煙道6の側壁12に入り込んでいる。蒸気発生管55、56は、各々出口側で出口管寄せ装置22に接続されている。
【0066】
蒸発管50、52ないし蒸気発生管54、56を特別に案内することで、貫流ボイラ2の運転中、燃焼室4と水平煙道6との間の接続部36における温度差が確実に小さくなる。媒体流S、従って蒸発管50、52も、入口部分Eの上側で燃焼室4の囲壁9に流入する。蒸発管50、52ないし蒸気発生管54、56の継続的な案内は、貫流ボイラ2の運転中、蒸発管50、52とそれらの中を導かれる媒体流Sとを、蒸気発生管54、56および水平煙道6の側壁12の他の蒸気発生管16との直接接続を行う前に、加熱により予熱することで行われる。これにより、貫流ボイラ2の運転中、接続部36における蒸発管50、52は、燃焼室4の囲壁9のその直近の蒸発管10よりも高い温度を示す。
【0067】
燃焼室4の蒸発管10ないし水平煙道6の蒸気発生管16における媒体流Sの考え得る温度Tsに対する例として、図5の実施例に対し、図6における座標系に、蒸発管10、50、52ないし蒸気発生管54、56の上から下向きに貫流する部分の相対管長R(%)に関係する幾つかの温度Ts(℃)が、曲線U1〜U4で記入してある。図示の曲線において、水平に導かれる範囲、即ち段は考慮していない。曲線U1は、水平煙道6の蒸気発生管16の温度経過、U2はその蒸発管10の相対管長Rに沿った温度経過、U3は特別に導かれた蒸発管50の下から上に貫流される部分の温度経過、そしてU4は燃焼室4の囲壁9の蒸発管52の下から上に貫流される部分の温度経過である。図示の曲線を参照して、燃焼室4の囲壁9における入口部分Eで蒸発管50、52を特別に案内することにより、水平煙道6の側壁12の蒸気発生管16に対する温度差がかなり減少することが明白である。例えば、蒸発管50、52の温度は蒸発管50、52の入口部分Eで45K(ケルビン温度)だけ高められる。これに伴い、貫流ボイラ2の運転中、燃焼室4と水平煙道6との接続部36において、入口部分Eの蒸発管50、52と水平煙道6の蒸気発生管16の特に小さな温度差が保障される。
【0068】
貫流ボイラ2の運転中、バーナ30に化石燃料Bが供給される。バーナ30の火炎Fは水平に延びる。燃焼室4の構造により、燃焼中に生ずる高温ガスGの流れは、ほぼ水平の主流れ方向24を持つ。このガスGは水平煙道6を通りほぼ底に向かって延びる垂直煙道8に達し、そこから煙突(図示せず)を通って出る。
【0069】
エコノマイザ28に流入する媒体流Sは、貫流ボイラ2の燃焼室4の、蒸発管10の入口管寄せ装置18に到達する。貫流ボイラ2の燃焼室4の垂直に配置され互いに気密溶接された多数の蒸発管10内で、媒体流Sの蒸発および場合によっては部分的な過熱が行われる。その際生じた蒸気ないし水・蒸気混合物は、媒体流S用の出口管寄せ装置20内に集められる。蒸気ないし水・蒸気混合物は、そこから水平煙道6および垂直煙道8の壁を通り水平煙道6の過熱器23に到達する。この過熱器23内で蒸気が一層過熱され、この蒸気は続いて使用に供され、例えば蒸気タービンの駆動に利用される。
【0070】
貫流ボイラの運転中、蒸発管50、52の特別な案内により、燃焼室4の出口範囲34と水平煙道6の入口範囲32との間の温度差が特に小さくなる。その場合、燃焼室4の長さLを全負荷時の貫流ボイラ2の蒸気出力Mに関係して選定することで、化石燃料Bの燃焼熱を確実に利用することができる。更に、貫流ボイラ2はその特に低い構造高さおよびコンパクトな構造により、特に安価な製造費と組立費で建設できる。その場合、非常に安い技術的費用で作れる架台を利用できる。蒸気タービンと低い構造高さの貫流ボイラ2とを備えた原動所の場合、貫流ボイラ2から蒸気タービン迄の接続配管は、特に短く設計できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二煙道形の化石燃料式貫流ボイラの概略側面図。
【図2】 個々の蒸発管の概略縦断面図。
【図3】 燃焼室の長さLと蒸気出力Mとの関係を示した曲線図。
【図4】 燃焼室と水平煙道との接続部分の概略構成図。
【図5】 燃焼室と水平煙道との接続部分の異なった実施例の概略構成図。
【図6】 媒体流の温度と蒸発管ないし蒸気発生管の相対管長との関係を示した曲線図。
【符号の説明】
2 貫流ボイラ
4 燃焼室
6 水平煙道
8 垂直煙道
9 燃焼室の囲壁
10 蒸発管
12 水平煙道の側壁
16 蒸気発生管
18 入口管寄せ装置
19 配管系
20 出口管寄せ装置
23 過熱器
26 対流加熱器
30 バーナ
40 フィン
B 燃料
Claims (18)
- 化石燃料(B)用の燃焼室(4)を有し、この燃焼室(4)に水平煙道(6)を介して垂直煙道(8)が高温ガスの流れ方向で見て後側に接続され、燃焼室(4)が水平煙道(6)の高さに配置された複数のバーナ(30)を有し、燃焼室(4)の囲壁(9)が垂直に配置され互いに気密溶接された複数の蒸発管(10)で形成され、大多数の蒸発管(10)が各々並行して水及び/又は水蒸気からなる流体(以下、媒体流という。)(S)を供給され、前記水平煙道(6)の側壁(12)が、垂直に配置され互いに気密溶接され且つ並行して媒体流(S)が供給される蒸気発生管(16)で形成され、前記燃焼室(4)の出口範囲の囲壁(9)と水平煙道(6)の入口範囲(32)の側壁とが溶接接続され、前記水平煙道の側壁の蒸気発生管が、燃焼室の出口範囲における蒸発管と隣接している化石燃料貫流ボイラであって、
前記燃焼室(4)の出口範囲(34)および水平煙道(6)の入口範囲(32)を含む接続部分(Z)において、並行して媒体流(S)が供給される一部の蒸発管(50,52)が、先ず上から下向きに、次いで下から上向きにUターンしてループ状に導かれ、これによって、貫流ボイラの運転中、蒸発管の上から下向きに導かれる部分において、媒体流の予熱が行われように前記ループ状に導かれることを特徴とする化石燃料貫流ボイラ。 - 垂直煙道(8)の側壁(14)が、垂直に配置され互いに気密溶接され且つ並行して媒体流(S)が供給される蒸気発生管(17)で形成されたことを特徴とする請求項1記載の貫流ボイラ。
- 並行して媒体流(S)が供給される大多数の蒸発管(10)に、各々、共通の入口管寄せ装置(18)が媒体流の流れ方向で見て前側に接続され、共通の出口管寄せ装置(20)が後側に接続されたことを特徴とする請求項1または2記載の貫流ボイラ。
- 水平煙道(6)あるいは垂直煙道(8)の並行して媒体流(S)が供給される複数の蒸気発生管(16、17)に、各々、共通の入口管寄せ装置(21)が媒体流の流れ方向で見て前側に接続され、共通の出口管寄せ装置(22)が後側に接続されたことを特徴とする請求項1ないし3の1つに記載の貫流ボイラ。
- 正面壁(11)が燃焼室(4)の囲壁(9)であり、この正面壁(11)の蒸発管(10)が並行して媒体流(S)を供給されることを特徴とする請求項1ないし4の1つに記載の貫流ボイラ。
- 燃焼室(4)の正面壁(11)の蒸発管(10)が、燃焼室(4)の他の囲壁(9)の蒸発管に媒体流の流れ方向で見て前側に接続されたことを特徴とする請求項1ないし5の1つに記載の貫流ボイラ。
- 燃焼室(4)における複数の蒸発管(10)の管内径(D)が、燃焼室(4)における蒸発管(10)の各々の位置に関係して選定されたことを特徴とする請求項1ないし6の1つに記載の貫流ボイラ。
- 複数の蒸発管(10)がその内周面に各々多条ねじを形成するフィン(40)を有することを特徴とする請求項1ないし7の1つに記載の貫流ボイラ。
- 管軸線に対して垂直な平面(42)と管内周面に設けられたフィン(40)のフランクとの成す傾斜角(α)が、60°より小さいことを特徴とする請求項8記載の貫流ボイラ。
- 複数の蒸発管(10)が各々絞り装置を有することを特徴とする請求項1ないし9の1つに記載の貫流ボイラ。
- 媒体流(S)を燃焼室(4)の蒸発管(10)に供給するための配管系(19)が設けられ、その配管系(19)が媒体流(S)の流量を減少するために、複数の絞り装置を有することを特徴とする請求項1ないし10の1つに記載の貫流ボイラ。
- 隣接する蒸発管(10)ないし蒸気発生管(16、17)がフィンを介して互いに気密溶接され、そのフィン幅が、燃焼室(4)における水平煙道(6)および/又は垂直煙道(8)の蒸発管(10)ないし蒸気発生管(16、17)のその都度の位置に関係して選定されたことを特徴とする請求項1ないし11の1つに記載の貫流ボイラ。
- 水平煙道(6)内に複数の過熱器(23)が懸垂構造で配置されたことを特徴とする請求項1ないし12の1つに記載の貫流ボイラ。
- 垂直煙道(8)内に複数の対流加熱器(26)が配置されたことを特徴とする請求項1ないし13の1つに記載の貫流ボイラ。
- バーナ(30)が燃焼室(4)の正面壁(11)に配置されたことを特徴とする請求項1ないし14の1つに記載の貫流ボイラ。
- 燃焼室(4)の正面壁(11)から水平煙道(6)の入口範囲(32)迄の距離で規定される燃焼室(4)の長さ(L)が、貫流ボイラ(2)の全負荷時における燃料(B)の燃焼長と少なくとも同じであることを特徴とする請求項1ないし15の1つに記載の貫流ボイラ。
- 燃焼室(4)の長さL(m)が、全負荷時の蒸気出力(M)、燃料(B)の火炎(F)の燃焼時間(tA)および/又は燃焼室(4)からの高温ガス(G)の出口温度(TBRK)の関数として、近似的に次式で選定され、
L(M、tA)=(C1+C2・M)・tA (1)
L(M、TBRK)=(C3・TBRK+C4)M+C5(TBRK)2+C6・TBRK+C7
(2)
ここでC1=8m/秒、C2=0.0057m/kg、C3=−1.905・10-4(m・秒)/(kg・℃)、C4=0.286(秒・m)/kg、C5=3・10-4m/(℃)2、C6=−0.842m/℃、C7=603.41mであり、
全負荷時の所定の蒸気出力(M)に対し、各燃焼室(4)の大きい方の長さ(L)が適用されることを特徴とする請求項1ないし16の1つに記載の貫流ボイラ。 - 燃焼室(4)の下部が、灰出しホッパ(5)として形成されたことを特徴とする請求項1ないし17の1つに記載の貫流ボイラ。
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