JP4488337B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
画像更新が線順次走査型の液晶では、画像の更新に有限の時間がかかることにより、光軸のシフト時に異なるフレームでの画像が混在することによる画質劣化が起る。これに対し、光軸のシフトを行う期間には、液晶パネルに表示を行わないとする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、光軸シフト時には異なるフレームの画像は混在しないが、表示を行わない期間が生じることから、画像の輝度、光の利用効率が低下する。
また、光軸をシフトする素子を複数に分割し、画像の更新に同期して、順次切り換えることで、シフトの有無に対応した画像を表示することを可能としている方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この場合、分割した光軸シフトを行うための素子は、結像面付近に設置する必要がある。具体的には、液晶パネル表面か、別途結像系を光学的に準備する必要がある。光学的に結像位置を準備することは、装置が大型化することは避けられず、また、液晶パネル表面に設置する場合は、ヘッドマウントディスプレイ等の複雑な投写系を持たないので、比較的低光量の装置に限定されることになる。
また別に、光軸をそれぞれ逆方向にシフトするように形状を加工した硝子基板を、扇状に加工し、交互に設置することで、液晶パネルの画像更新(走査線)に同期させて回転させて、異なるフレームの画像混在を防いでいる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この場合も、光軸をシフトさせる機能は、液晶パネル表面か、別途、結像系を準備して設置する必要が有る。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、更新が完了した画像での光軸のシフトによる画像の乱れを無くし、画像の乱れが、画面内の一定の位置に常に現れることを防ぎ、定常位置で視認されやすい画面の乱れを見えにくくし、偏向素子の安定動作を実現し、高画質を実現することができる、低コスト化の可能な液晶画像表示装置を得ることを目的とする。
本発明は、光変調素子からの変調された光を、偏向素子により偏向を行い、偏向された位置に対応する画像をサブフレームとして光変調素子に表示することで、光変調素子の画素数以上の表示を実現するものである。本発明は、光変調素子の画像更新方法が、線順次で行われるものに関するものである。
画像更新時間は、光変調素子のアーキテクチャにより制限される。線順次駆動の光変調素子では、1走査線にデータを読み込む時間をかける走査線数でおおよその画像更新時間を求めることができる。1画面の更新には、1〜2msec程度の時間が必要である。
上記画像更新の他に、画像の表示位置を変化させる表示方法では、有限の時間をかけて画像を偏向する。本発明は、この偏向動作に関するものである。
1サブフレーム時間は、画像更新が始まってから次に表示されるサブフレームの画像への更新が開始されるまでの期間である。1フレームを4サブフレームで表示を行う場合について具体的な時間例を示す。
1フレーム時間1/60秒=16.7msec、1サブフレーム時間1/60/4=4.17msec、画像更新時間1.5msec(この例は、時間の一例を示すのみで、この時間配分により、本発明は制限をうけるものではない。)である。
偏向素子の駆動条件を調整することで、図2に示すタイムチャートの駆動を実現した。図2中、偏向動作時間は画像更新時間内で偏向動作を行っている。偏向動作は、動作開始時間から動作終了時間までの期間で、偏向に必要な動作を完了する。この期間は、光変調素子からの光軸が移動を行っている。
図3は、画像更新時間外で、偏向動作を行った例である。実際に画像を表示して、画質を比較した。評価は、ポイント数を変化させた文字、写真による自然画、直線によるグラフ、CAD画像を使用した。被験者は25人で、本発明による図2に示すタイムチャートによる画像(画像1)と図3に示すタイムチャートによる画像(画像2)それぞれを比較し、もう一方より画質がより良いと感じた方へ投票を行った。結果を表1に示す。
本発明の実施例として、図8に示すブロック図の偏向動作時間を調整する回路を作成した。以下に動作を説明する。
乱数発生回路31は、0から1までの任意の乱数を発生する。発生した乱数をr1とする。偏向時間の調整は、偏向時間は一定なので、偏向動作開始時点を調整し、動作開始後は、一定の偏向動作時間で動作させた。
図4に動作開始時間として調整する部分を動作開始時間1、動作開始時間2として示した。この期間で任意に偏向素子の動作開始時間を変化させる。
(動作開始時間2)−(動作開始時間1)=tとする。
乱数r1を使用して、偏向素子の動作開始時間は、t×r1で求められる。
サブフレームは、垂直同期信号から一定時間後に走査線単位に画像の更新が開始される。
上記により決定された動作開始時間は、画像の更新と同じく垂直同期信号後、一定時間後に、画像の更新が開始された時間からカウンタ32による時間の計測が始まり、求められた動作開始時間後に偏向素子駆動回路33を制御して偏向素子34を動作させる(図8参照)。
なお、乱数発生回路には、出力段に2段のレジスタ35をもうけ、新たな乱数発生時に、前回の乱数出力と比較し、同じ場合には破棄して新たに乱数を発生する乱数制御回路36を付加した。これにより、同じ位置での偏向動作を防ぐことができる。偏向動作は、サブフレームの分割数をnとして、自然数mとの積n×m単位で行う。本実施例では、n=4、m=1で行った。
フレームの計数は、カウンタ制御回路37で、垂直同期信号(1フレーム更新に1回入力される)を計数することで行われる。
同じタイミングで動作中は、乱数制御回路36からは同じ数値が出力され、4サブフレーム表示後は、新たな乱数が出力される。
乱数については、本発明では、4サブフレーム毎に変更されるタイミングに対応するので、同じ乱数が出力されても、前回と異なる乱数に変更されるまでの時間は確保された。
実施例1と同じく、画像の比較を行った。
評価は、ポイント数を変化させた文字、写真による自然画、直線によるグラフ、CAD画像を使用した。被験者は25人で、図2に示すタイムチャートによる画像(画像1)と本実施例により偏向動作時間を変更した画像(画像3)それぞれを比較し、もう一方より画質がより良いと感じた方へ投票を行った。結果を表2に示す。
時間の調整は、駆動波形を調整して、変位量の時間当たりの変化率を調整することで行った。同じ偏向動作時間をもつ素子を使用して、実際に画像を表示して、画質を比較した。
評価は、ポイント数を変化させた文字、写真による自然画、直線によるグラフ、CAD画像を使用した。被験者は25人で、偏向動作時間をサブフレーム時間に対して、20%、33%、40%、50%に変更した偏向素子を使用して、同じ画像の比較を行った。評価は、各画像毎に、偏向動作時間を変えて観察し、良好と判断する偏向動作時間に投票を行った。結果を表3、グラフを図9に示す。
図10にブロック図を示す。サブフレームデータはフレームバッファ制御回路41に入力される。フレームバッファには、それぞれサブフレームの画像データを記憶する(フレームバッファ制御回路には、同期信号やクロック信号、イネーブル信号等の画像データの制御信号も入力される)。説明のために仮にフレームバッファ1である42に、n−1フレームで表示した画像データを記憶しているとする。nフレームで表示する画像データがフレームバッファに入力されると、フレームバッファ制御回路41はフレームバッファ2である43へnフレームの画像データを入力すると同時にフレームバッファ1内のnフレームデータとの比較を行う。
また、同時にフレームバッファ1内のnフレームデータを表示するために、光変調素子44へ出力する。比較器1である45は、単純に2つのデータが均しいか異なるかのみを判断する。これにより、比較器の回路規模を小型化することができた。比較の結果異なる場合はフラグをたてる。
このフラグをカウンタ46で計数し、条件(この実施例では全体の10%以下)を記憶した条件用ROM47(好ましくは電気的に書き換えが可能なフラッシュROM、EEPROM等を使用することで、必要に応じて外部から書き換えを行うことができる)へ記憶する。記憶された条件に対して、カウンタの計数結果を比較器2である48で比較する。比較結果を元に、次の画像更新時の偏向素子50の駆動条件を、偏向素子制御回路49で調整した。
比較のために本発明による偏向素子50の動作時間を調整する機能をはずし、その他の構成は同じ装置を試作し、本発明による表示装置と、比較例による表示装置を連続動作させた。結果、比較例では、偏向素子の一部に配向の乱れによると考えられる白濁が見られた。本発明により、偏向素子の安定動作を実現できることがわかった。
本発明の実施例として、光学系と光変調素子を3枚(RGB用)を使用して、投射型表示装置を試作した。光源として超高圧水銀灯11を放物面リフレクタに組み合わせたランプを使用した(図5参照)。光を均一化するために、インテグレータと、偏光を一方向に揃えるために、偏光変換素子を使用して、光変調素子の光変調を行う部分を略均一に照明した。色分解と合成は図5に示す光学系を作成して行った。
インテグレータ、偏光変換素子12を通過した光は、各ダイクロイックミラー14、16で、各波長帯(それぞれ赤。緑、青に相当)で反射、または透過される。
図5では、各ダイクロイックミラーは、反射する色を付けた名称記載している。青反射ダイクロイックミラー14は、青を反射して、緑・赤を透過する。それぞれのダイクロイックミラーで反射または透過される光を矢印で示す。
各色に分解された光は、PBS(偏光ビームスプリッタ)21で反射されて光変調素子22へ入射する(尚、図中のリレーレンズは、緑、赤を示す光路に対して、青のみ光路長が異なるため、これを調整するためのものである。)。
光変調素子で変調した光変調を加えた光は90度偏光が回転している。この光はダイクロイックプリズム23で色合成され、光偏向素子24へ入射する。光偏向素子で偏向したのち、投射レンズ25を介してスクリーンへ投射することで表示を行う。ここでは、光偏向素子として、強誘電性液晶を使用して垂直配向させた偏向素子を使用した。
説明図として、図6にガラス基板3、配向膜2、液晶1からなる偏向素子の断面図を示す。図中電極4により液晶に電界を印加する。入射光は液晶の状態により第1、第2の射出光にシフトされる。
図7は液晶の状態を示している。この配向状態に応じて図6に示す2方向のシフトを実現する。図6に示すように、1素子で水平または垂直の1方向のシフトを実現する。本発明に使用するために、シフト方向が互いに直交する2素子を使用する。本偏向素子は、駆動電圧により偏向量が増加し、ある電圧以上では、ほぼ一定量となる。電圧による偏向量が一定になる部分では、電圧が高いほど偏向動作の時間は短くなる。本偏向素子は、電圧の制御により、偏向動作時間が短い状態と長い状態を設定した。設定に従い、表示するためのコンピュータが省電力モード(消費電力を低減するために、ハードディスクのスピンドル回転停止、表示装置の表示内容を黒一色等にする。一般には、入力装置からの入力が停止した後、一定時間でこのモードが開始される。入力装置からの入力を検知すると通常の動作モードに復帰する)に入ることで黒一色表示となるよう設定した。省電力モードでは、全画面黒一色となり、偏向素子の動作速度は通常使用状態より長くなった。
比較のために本発明による偏向素子の動作時間を調整する機能をはずし、その他の構成は同じ装置を試作した。本発明による表示装置と、比較例による表示装置を連続動作させた。結果、比較例では、偏向素子の一部に配向の乱れによると考えられる白濁が見られた。本発明により、偏向素子の安定動作を実現できることがわかった。
2 配向膜
3 ガラス基板
4 電極
11 超高圧水銀灯
12 インテグレータ、偏光変換素子
13 ミラー
14 青反射ダイクロイックミラー
15 赤
16 緑反射ダイクロイックミラー
17 緑
18 青
19 ミラー
20 リレーレンズ
21 偏光ビームスプリッタ(PBS)
22 光変調素子
23 ダイクロイックプリズム
24 偏向素子
25 投射レンズ
Claims (1)
- 2次元配列の画素をもち、画素毎に電気信号を入力することで透過光または反射光を変調し、入力する電気信号の更新を少なくとも1走査線毎に行う光変調素子と、該光変調素子で変調した光を偏向する偏向素子を使用し、1フレームを複数のサブフレームに分割して、前記偏向素子によりに偏向された位置に対応したサブフレーム画像を時分割に前記光変調素子に表示する表示装置において、
前記偏向素子で光の方向を一方から他方への切替に必要な時間を偏向素子の動作時間として、前記偏向素子の動作時間は、前記光変調素子が画像を更新するために必要な時間である画像更新時間以内であり、かつ前記光変調素子が画像を更新している時間内で偏向素子の動作が開始し終了する表示装置であって、
前記偏向素子の動作を開始するタイミングは、1フレームをサブフレームに分割する分割数をn、mを自然数として、m×nであらわされる周期で変更され、各周期前後で偏向素子が動作を開始するタイミングは異なり、かつm×nで示される周期について、複数の周期間でランダムなタイミングで偏向素子が動作を開始することを特徴とする表示装置。
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