JP4485643B2 - 研磨装置及び被研磨材の研磨方法 - Google Patents

研磨装置及び被研磨材の研磨方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウェーハ等の被研磨材を研磨する研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、精密な研磨精度が要求される被研磨材、例えばシリコンインゴットから切り出した半導体ウェーハ(以下、単にウェーハという)などの表面を研磨する研磨装置の一例としては、回転駆動される回転テーブルの上面に例えば硬質ウレタンからなるポリッシング用のパッド(研磨パッド)を設け、このパッド上に、例えば研磨砥粒によって懸濁される溶液からなるスラリーを供給しつつ、ウェーハを保持ヘッドによって保持してパッド表面に押し付け、この状態で、パッドと保持ヘッドとを相対的に移動させることによってウェーハの片面を研磨するものがある。
この研磨装置は、CMP装置(ケミカルメカニカルポリッシングマシン)と呼ばれるものであって、そのウェーハの研磨のメカニズムは、研磨砥粒である微粒子シリカ等によるメカニカルな要素(遊離砥粒)とアルカリ液や酸性液等によるエッチング要素等を複合したメカノ・ケミカル研磨法に基づいている。
この研磨装置では、ウェーハの研磨条件に合わせてパッドやスラリーの性質、研磨時間等が変更され、ウェーハの研磨が最適な条件の下で行われるように調整される。ここで、スラリーの性質とは、スラリーを構成する研磨砥粒の材質、大きさ、研磨砥粒によって懸濁される溶液の性質(溶液のpH、濃度など)を指している。
【0003】
ところで、この研磨装置では、例えばウェーハの表面の研磨工程を、ウェーハの表面の凹凸を取るための粗い研磨、ウェーハの表面を平坦にするための精密な研磨、ウェーハの表面を鏡面仕上げするための仕上げの研磨といった具合に複数の段階に分けて、それぞれ最適な研磨条件の下でウェーハの研磨を行っている。
また、ウェーハは、ウェーハ上に回路を形成するためにその表面に酸化膜や金属膜などの薄膜が形成されるものなので、研磨する膜の材質によって研磨条件も変えている。
このような複数の研磨条件でのウェーハの研磨を連続的に行うことができるように、パッドが設けられる回転テーブルと回転テーブルを回転駆動する駆動装置とを備える研磨ステーションを複数備え、ウェーハを保持する保持ヘッドを各研磨ステーション間で移動させるヘッド移動手段を備え、各研磨ステーションがそれぞれ異なる研磨条件に合わせて調整される研磨装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように研磨条件が異なる研磨ステーション間でウェーハを移動させる際に、ウェーハ及び保持ヘッドに付着しているスラリーを確実に取り除かないと、例えばスラリーの性質、すなわち研磨砥粒の材質や大きさ、溶液の性質が異なる場合、ウェーハ及び保持ヘッドに付着しているスラリーによって新たに移動した研磨ステーションを汚染してしまう。
そして、異なる性質を持つスラリーが混じると、研磨ステーションの研磨条件が変わるだけでなく、スラリーが凝集したりゲル化してウェーハの表面を損傷させる原因となったり、また、ウェーハの異常腐蝕などを引き起こす原因となる。
このような不都合を防止するために、従来は研磨ステーション間に洗浄装置を設け、ウェーハ及び保持ヘッドを研磨ステーション間で移動させる場合にこれらウェーハ及び保持ヘッドの洗浄を行っていた。
【0005】
しかし、これらの洗浄は、保持ヘッドによってウェーハが保持された状態で洗浄が行われていたので、例えばウェーハと保持ヘッドとの間に侵入したスラリーなどは十分に取り除くことができず、新たな研磨ステーションで研磨を行っているうちに、取りきれなかったスラリーが研磨ステーション上に流出してしまうので、上記の不都合を回避することはできないというのが現状である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の研磨条件での被研磨材の研磨を良好に行うことができる研磨装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の研磨装置においては、被研磨材の研磨が行われる研磨ステーションと、前記被研磨材の洗浄が行われる洗浄ステーションとが交互に複数配置され、
前記各研磨ステーションがそれぞれ異なる研磨条件に合わせて調整され、
前記被研磨材を保持して前記研磨ステーションと前記洗浄ステーションとの間を順次搬送するアームとを備え、
前記アームが、回転軸を中心として旋回可能にして設けられ、前記研磨ステーション及び前記洗浄ステーションが、前記回転軸を中心とする円上に配置されるとともに、
これら全ての研磨ステーションまたは全ての洗浄ステーションで処理を並行して行うことができるように前記アームが、全ての研磨ステーションと対向する位置に張り出すとともに旋回した場合全ての洗浄ステーションと対向する位置に張り出す複数の端部を有し、それぞれの端部下面に前記被研磨材を保持する保持ヘッドを複数備え、
前記洗浄ステーションが、前記被研磨材が載置される保持台座と洗浄装置とを備え、
前記保持台座が、前記アームの前記保持ヘッドを対向させた状態で、該保持ヘッドに近接する方向に移動可能に設けられ、
前記洗浄装置が、洗浄部材と、該洗浄部材を前記保持ヘッドと前記保持台座との間位置に進出させる洗浄部材駆動装置とによって構成されて、前記保持ヘッドに保持された状態での前記被研磨材の洗浄、前記保持台座上に載置された状態での前記被研磨材および前記被研磨材によって覆われていた部分も含む前記保持ヘッドの洗浄、前記被研磨材を外した状態での前記保持ヘッドのみの洗浄をそれぞれ行うことを特徴とする。
本発明の研磨装置においては、前記研磨ステーションが、表面に研磨パッドが貼付されたプラテンを有し、
前記アームが、前記被研磨材を保持して前記研磨パッドに前記被研磨材の一面を当接させつつ軸線回りに回転する保持ヘッドを複数備え、
前記アームには、前記保持ヘッドの上部に連結されるとともにこの保持ヘッドを水平回転自在に支持するスピンドルと、前記スピンドルを係合させるための筒状係合部を有するスピンドルハウジングとが複数設けられ、
前記スピンドルには、前記アームとの相対的位置を変化させることによって前記保持ヘッドの軸線方向の位置を調整するための調整機構が備えられたことができる。
本発明の研磨装置の前記スピンドルは、下部に前記保持ヘッドを連結するための連結部を備えた軸本体と、
この軸本体と軸線方向の相対的位置を保ちつつ前記軸本体を回転自在に支持するベアリングと、
このベアリングを支持するための、外周におねじ部を有した筒状のベアリング支持部とを備えるとともに、
前記スピンドルハウジングの係合部内周には前記おねじ部と螺合されるためのめねじ部が設けられており、前記おねじ部を前記めねじ部に沿って回転させることにより前記保持ヘッドが軸線方向に移動されることができる。
本発明の被研磨材の研磨方法は、上記のいずれかに記載の研磨装置により被研磨材を研磨するウェーハ研磨方法であって、
前記保持ヘッドを水平回転自在に支持するためのスピンドルを、前記アームに複数設けられたスピンドルハウジングの係合部にそれぞれ係合させ、
前記被研磨材と前記研磨パッドとを当接しつつ回転させるとともに、前記スピンドルに備えられた調整機構によって前記アームとの相対的位置を変化させるように前記保持ヘッドの軸線方向の位置を調整することによって、前記複数の被研磨材は、それぞれの位置を調整されつつ研磨されることを特徴とする。
本発明の被研磨材の研磨方法は、複数の前記研磨ステーションにおいて同時に前記被研磨材の研磨を行い、
前記被研磨材の研磨工程中において、前記保持ヘッドのうち、前記被研磨材の研磨が終了した保持ヘッドを、研磨が終了した時点でその軸線方向の位置を前記調整機構によって調整して、研磨が終了した前記被研磨材を前記研磨パッドから離間させることができる。
本発明の被研磨材の研磨方法は、各研磨工程後の洗浄において、
前記保持ヘッドに保持される前記被研磨材の下部に当接させてこれらを洗浄するステップと、
前記保持ヘッドから前記被研磨材を前記保持台座上に移し替えて、該洗浄部材を前記保持ヘッドと前記保持台座との間に進出させ、前記被研磨材によって覆われていた部分も含む前記保持ヘッドの下部と、前記被研磨材の上部および側面とを洗浄するステップと、
前記保持台座を前記被研磨材ごと降下させて、改めて前記保持ヘッドの下部のみの洗浄を行うステップと、を有することが可能である。
本発明の研磨装置においては、被研磨材の研磨が行われる研磨ステーションと、前記被研磨材の洗浄が行われる洗浄ステーションとが交互に複数配置され、前記被研磨材を保持して前記研磨ステーションと前記洗浄ステーションとの間を順次搬送するアームとを備え、前記アームが、前記被研磨材を保持する保持ヘッドを備え、前記洗浄ステーションが、前記被研磨材が載置される保持台座と、前記保持ヘッドに保持された状態での前記被研磨材の洗浄、前記保持台座上に載置された状態での前記被研磨材の洗浄、及び該被研磨材を外した状態での前記保持ヘッドの洗浄を行う洗浄装置とを備えていることを特徴とする。
【0008】
このように構成される研磨装置においては、各研磨ステーション間で被研磨材を移動させる際に、被研磨部材が洗浄ステーションに搬送されて洗浄される。
そして、洗浄ステーションにおいて、洗浄装置によって保持ヘッドに保持された状態での被研磨材の洗浄、保持台座上に載置された状態での被研磨材の洗浄、及び被研磨材を外した状態での保持ヘッドの洗浄が行われ、被研磨材と保持ヘッドとの間に侵入したスラリーも取り除かれる。
これによって、複数の研磨条件で被研磨材の研磨を行っても、性質の異なるスラリーが混合される恐れが低減される。
【0009】
本発明の研磨装置においては、請求項1記載の研磨装置において、前記保持台座が、前記アームの前記保持ヘッドを対向させた状態で、該保持ヘッドに近接する方向に移動可能に設けられ、前記洗浄装置が、洗浄部材と、該洗浄部材を前記保持ヘッドと前記保持台座との間に進出させる洗浄部材駆動装置とによって構成されていることを特徴とする。このように構成される研磨装置においては、被研磨材を保持ヘッドから外して保持台座上に載置し、保持台座を保持ヘッドに近接させ、この状態でこれらの間に洗浄部材駆動装置によって洗浄部材を進出させることで、洗浄部材によって被研磨材の保持ヘッド側の洗浄と保持ヘッドの下部の洗浄を同時に行うことができる。
【0010】
本発明の研磨装置においては、前述の研磨装置において、前記アームが、回転軸を中心として旋回可能にして設けられ、前記研磨ステーション及び前記洗浄ステーションが、前記回転軸を中心とする略円上に配置されていることを特徴とする。このように構成される研磨装置においては、研磨ステーション及び洗浄ステーションが密集して配置され、研磨装置の設置面積が小さくなる。また、アームを簡単な構成とすることができる。
【0011】
本発明の研磨装置においては、前記研磨ステーションが、表面に研磨パッドが貼付されたプラテンを有し、前記アームが、前記被研磨材を保持して前記研磨パッドに前記被研磨材の一面を当接させつつ軸線回りに回転する保持ヘッドを複数備え、前記アームには、前記保持ヘッドの上部に連結されるとともにこの保持ヘッドを水平回転自在に支持するスピンドルと、前記スピンドルを係合させるための筒状係合部を有するスピンドルハウジングとが複数設けられ、前記スピンドルには、前記アームとの相対的位置を変化させることによって前記保持ヘッドの軸線方向の位置を調整するための調整機構が備えられたことを特徴とする。
【0012】
研磨装置において、被研磨材の研磨に用いる研磨パッドは、被研磨材の研磨を続けることでその厚みが減少し、保持ヘッドとプラテンに貼付された研磨パッドとの位置が微妙に変化する場合がある。そのため、被研磨材の均一性、平坦性が悪化するという不都合が生じていた。従来の研磨装置においては、保持ヘッドの軸線方向の位置調節は、保持ヘッドが取り付けられる部材(例えばアーム等)を上下させることで行っており、保持ヘッドが複数ある場合には、各保持ヘッドごとに位置調整を行うことはできなかった。また、保持ヘッドにおいて被研磨材を保持する部分を軸線方向に変位可能にする機構を設けたものも知られているが、この場合には保持ヘッドの構造が複雑となるために、コストがかかってしまう。また、保持ヘッドの構造が複雑になることで、保持ヘッドに付着したスラリーを洗浄によって除去しにくくなってしまう。
上記のように構成される本発明の研磨装置においては、保持ヘッドの軸線方向の位置は、調整機構によってそれぞれ別個に調整することができるため、それぞれ被研磨材の研磨条件を一定に保ちつつ、安定した研磨を行うことができる。
ここで、調整機構としては、スピンドルの軸線方向の位置の調整に通常用いられる機構を用いてもよい。また、調整機構は、保持ヘッドの位置調整を手動で行うようにしてもよく、また調整機構を例えば研磨装置の動作を制御する制御装置によって動作を制御されて、研磨パッドの高さ等の条件に応じて、自動的に保持ヘッドの位置調整を行う構成としてもよい。
【0013】
本発明の研磨装置においては、前記スピンドルは、下部に前記保持ヘッドを連結するための連結部を備えた軸本体と、この軸本体と軸線方向の相対的位置を保ちつつ前記軸本体を回転自在に支持するベアリングと、このベアリングを支持するための、外周におねじ部を有した筒状のベアリング支持部とを備えるとともに、前記スピンドルハウジングの係合部内周には前記おねじ部と螺合されるためのめねじ部が設けられており、前記おねじ部を前記めねじ部に沿って回転させることにより前記保持ヘッドが軸線方向に移動されることを特徴とする。このように構成される研磨装置は、おねじ部をめねじ部に沿って回転させることにより、ベアリング支持部はベアリングとともに軸線方向に移動され、これにともなって軸本体も軸線方向に移動される。このとき、保持ヘッドと連結する部分である連結部も軸線方向に移動されるため、被研磨材の軸線方向の位置は調整される。そして、軸本体の回転中においても、ベアリング支持部の回転は可能であるため、研磨工程中においても位置調整を行うことができる。ここで、調整機構として、ベアリング支持部を回転させる駆動装置を設けて、位置調整を自動的に行えるようにしてもよい。
【0014】
本発明の被研磨材の研磨方法においては、被研磨材の研磨が行われる研磨ステーションが複数配置され、前記被研磨材を保持して前記研磨ステーション間を順次搬送するアームを備え、前記研磨ステーションが、表面に研磨パッドが貼付されたプラテンを有し、前記アームが、前記被研磨材を保持して前記研磨パッドに前記被研磨材の一面を当接させる保持ヘッドを複数備え、この保持ヘッドと前記プラテンとの相対運動により前記研磨パッドで前記被研磨材を研磨するウェーハ研磨方法であって、前記保持ヘッドを水平回転自在に支持するためのスピンドルを、前記アームに複数設けられたスピンドルハウジングの係合部にそれぞれ係合させ、前記被研磨材と前記研磨パッドとを当接しつつ回転させるとともに、前記スピンドルに備えられた調整機構によって前記アームとの相対的位置を変化させるように前記保持ヘッドの軸線方向の位置を調整することによって、前記複数の被研磨材は、それぞれの位置を調整されつつ研磨されることを特徴とする。この被研磨材の研磨方法においては、スピンドルに備えられた調整機構によって各保持ヘッドの位置調整を行い、この状態で被研磨材の研磨が行われるので、各被研磨材が適切な研磨条件で研磨され、被研磨材の研磨を良好に行うことができる。
【0015】
本発明の被研磨材の研磨方法においては、複数の前記研磨ステーションにおいて同時に前記被研磨材の研磨を行い、前記被研磨材の研磨工程中において、前記保持ヘッドのうち、前記被研磨材の研磨が終了した保持ヘッドを、研磨が終了した時点でその軸線方向の位置を前記調整機構によって調整して、研磨が終了した前記被研磨材を前記研磨パッドから離間させることを特徴とする。
【0016】
従来の被研磨材の研磨方法は、研磨パッドが貼付された複数のプラテン(研磨ステーション)に、共通のアームに取り付けられる保持ヘッドを当接させ、これら保持ヘッドと研磨パッドとを相対移動させることで被研磨材の研磨を行っている。そして、各保持ヘッドには、被研磨材の背面を例えば空気圧等によって押圧して被研磨材の研磨を行っている。そして、例えば各保持ヘッドに保持された被研磨材の研磨条件が異なるなどして各被研磨材の研磨時間が異なる場合には、研磨を終了した保持ヘッドにおいて被研磨材を研磨パッドに押し付ける圧力を抜いて、被研磨材の研磨が進行しないようにしている。
しかし、この場合にも、被研磨材は研磨パッドに当接した状態で回転されていることにはかわりなく、またスラリーのエッチング作用は継続するので、被研磨材の研磨は研磨終了時から次第に進行してしまう。
上記した本発明の被研磨材の研磨方法においては、複数の保持ヘッドのうち、被研磨材の研磨が終了した保持ヘッドが調整機構によって位置を調整されて、被研磨材が研磨パッドから離間されるので、研磨終了後には研磨パッドによる研磨作用及びこの研磨作用とスラリーのエッチング作用との相互作用による研磨の進行を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である研磨装置1を図1から図4を用いて説明する。研磨装置1は、図1の平面図に示すように、平面視略矩形をなす基台1a上に、ウェーハW(被研磨材)の研磨が行われる研磨ステーション2a、2bと、ウェーハWの洗浄が行われる洗浄ステーション3a、3bと、ウェーハWを保持してこれら研磨ステーションと洗浄ステーションとの間で順次搬送するアーム4とを設け、洗浄ステーション3aの近傍に、ウェーハWが収容されるカセット6と、カセット6と洗浄ステーション3aとの間でウェーハWの搬送を行うロボットアーム7を設けたものである。
アーム4は、中央部をアーム回転軸4a(回転軸)によって支持されて、アーム回転軸4aを中心として、研磨ステーション2a、2b及び洗浄ステーション3a、3bの上方で略水平面上を旋回可能にして設けられる略矩形板形状の部材である。また、アーム4の両端部下面には、それぞれスピンドル8を介して、ウェーハWを保持する保持ヘッド5が二台ずつ設けられている。そして、研磨ステーション2a、2b及び洗浄ステーション3a、3bは、アーム4のアーム回転軸4aを中心とする略円上で交互に配置されており、本実施の形態では、これらはアーム回転軸4aに対して約90度位相を変えて配置されている。
カセット6は、研磨前のウェーハWが収容されるインカセット6aと、研磨済みのウェーハWが収容されるアウトカセット6bとがあり、これらカセット6は、ロボットアーム7を中心とする円上に配置されている(図1参照)。
ここで、研磨装置1を構成する各部材は、図示せぬ制御装置によりその動作を自動または手動で制御されるものである。
【0018】
研磨ステーション2a、2bは、図1に示すように、上面に例えば硬質ウレタンからなるポリッシング用のパッド11が設けられる回転テーブル12と、パッド11の表面を研磨してその表面状態を調整するドレッサー13を備えている。また、パッド11の表面にスラリーを供給するスラリー供給装置(図示せず)も備えている。
ドレッサー13は、回転テーブル12の側方に設けられたドレッサー回転軸13aに旋回アーム13bを介して研磨砥石13cが設けられ、ドレッサー回転軸13aを回動させることで、回転するパッド11上において研磨砥石13cを往復揺動させてパッド11の表面を研磨するものである。
上記回転テーブル12及びドレッサー13の研磨砥石13cは、図示せぬ駆動装置によって、互いに当接した状態でそれぞれ回転駆動されるものである。
ここで、本実施の形態では、研磨ステーション2aはウェーハWの粗い研磨を行うよう調整され、研磨ステーション2bは、ウェーハWの精密な研磨を行うよう調整されているものとする。すなわち、研磨ステーション2aでは、ウェーハWを研磨する量が多いので、研磨能力の高いパッド11及びスラリーが用いられ、かつ研磨時間が十分長く設定され、研磨ステーション2bでは、ウェーハWを研磨する量が少ないので、研磨能力の低いパッド11及びスラリーが用いられ、かつ研磨時間が短く設定される。
【0019】
前記洗浄ステーション3a、3bは、図2の要部拡大側断面図に示すように、基台1aに形成される収容溝16と、収容溝16に昇降装置17を介して設けられ、上面にウェーハが載置される略皿形の保持台座18と、ウェーハW及び保持ヘッド5の下部の洗浄を行う洗浄装置19とによって構成されている。
収容溝16は、図3の要部拡大平面図に示すように、アーム4の回転中心に対する接線方向に長く形成されている。
保持台座18は、アーム4の片側に設けられる二台の保持ヘッド5に対向するようにして収容溝16の長手方向に二台並べて配置され、昇降装置17によってアーム4の保持ヘッド5を対向させた状態で保持ヘッド5に近接する方向に向けて移動されるものである(図2では保持ヘッド5及び保持台座18はともに片方のみ図示)。本実施の形態では、昇降装置17として、図2に示すように、収容溝16の内壁面にステー17aを介して取り付けられて、保持ヘッド5に向けて伸縮する空気圧シリンダー17bを用いている。
【0020】
洗浄装置19は、図2及び図3に示すように、回転軸を略水平かつ収容溝16の長手方向に直交させて設けられる洗浄ローラ21(洗浄部材)と、洗浄ローラ21を保持ヘッド5と保持台座18との間に進出させる洗浄部材駆動装置22によって構成されている。
洗浄ローラ21は、ウェーハWの外径よりも長く形成され、その周壁には、例えばスポンジ部材等が設けられ、洗浄部材駆動装置22によって回転駆動されることでスポンジ部材によってウェーハWまたは保持ヘッド5の下部に付着したスラリー等をこすり取って除去するものである。洗浄ローラ21の回転軸には、図示せぬ洗浄液供給装置から純水等の洗浄液が供給されており、この洗浄液がスポンジ部材を通じて外周側に滲出することで、ウェーハW、保持ヘッド5及び洗浄ローラ21自体のすすぎを行ってより効果的にこれらの洗浄を行えるようになっている。
洗浄部材駆動装置22は、収容溝16の長手方向の両縁部に沿って設けられるレール23と、図示せぬ駆動装置によってレール23上を移動するよう駆動され、かつ洗浄ローラ21をその回転軸回りで回転駆動する駆動モータ24とによって構成される。
【0021】
前記保持ヘッド5は、その上端を略水平方向の回転を許容されかつ上下に昇降可能にしてアーム4に支持されて、その下部でウェーハWの片面を保持するものである(図2参照)。保持ヘッド5は、図示せぬ駆動装置に接続されており、これによって保持ヘッド5は、研磨ステーション2aまたは研磨ステーション2bのパッド11の表面に対して略平行な面上で回転駆動されるようになっている。
ここで、図2では研磨ステーション2bのみ図示しており、またドレッサー13の図示を略している。
【0022】
前記スピンドル8は、図2に示したアーム4と保持ヘッド5とを連結する部分に設置されるものである。
図5にスピンドル8の側断面図を示す。スピンドル8は、アーム4に設けられているスピンドルハウジング46に形成された貫通孔である係合部50内部に設けられている。このスピンドル8は、ほぼ円筒管形状に形成された軸本体8aと、アーム4の下部に配されたスピンドル側連結部34と、アーム4の上部に設けられて、軸本体8aとアーム4との相対的位置を変化させる調整機構38とを備えている。係合部50内部には第1ベアリング33が設置されており、軸本体8aは第1ベアリング33によって回転自在に支持されている。また、アーム4の上面には、上側フランジ45が設けられている。そして、スピンドル8とアーム4とは取付ネジ4bによって連結されている。
【0023】
スピンドルハウジング46のうち筒状に形成された係合部50内部には第1ベアリング33が嵌合されている。このとき、第1ベアリング33は係合部50内部において軸線方向に摺動自在に支持されており、第1ベアリング33の外周と係合部50内周とは固定されていない状態となっている。また、第1ベアリング33と軸本体8aの軸線方向の相対的位置は変化されないように設けられている。
【0024】
スピンドルハウジング46の下面には、円環状に形成された環状凸部46aが鉛直方向下向きに二重に形成されている。また、第1ベアリング33の内周下部には、半径方向に突出した円環状の係止部46bが形成されており、摺動自在に支持された第1ベアリング33の下方への移動を規制している。このとき、係止部46bの上面に円環状の板ばね55を設けることも可能であり、この板ばね55によって第1ベアリング33の下部と係止部46bとが当接されたときの衝撃をやわらげるようになっている。
【0025】
円筒状に形成された上側フランジ部45の内部にはベアリング支持部35が設けられている。このベアリング支持部35は筒状に形成されており、外周面の下部には位置調整用おねじ部36が形成されている。この位置調整用おねじ部36は、スピンドルハウジング46の内周面の上部に形成された位置調整用めねじ部43と螺合されるようになっている。このとき位置調整用めねじ部43の軸線方向の幅は、位置調整用おねじ部36の軸線方向の幅より大きく形成されている。また、ベアリング支持部35外周面と上側フランジ部45の内周面とは当接された状態であり、ベアリング支持部35は上側フランジ部45内部で回転可能となっている。
【0026】
ベアリング支持部35の筒状内部には第2ベアリング37が設けられており、軸本体8aは、この第2ベアリング37と第1ベアリング33とで回転自在に支持された構成となっている。また、ベアリング支持部35の下部には第2ベアリング37を下方から支持するように設けられた段部35aが形成されているとともに、第2ベアリング37外周とベアリング支持部35内周とは固定されている。この第2ベアリング37はアンギュラ玉軸受によって形成されており、軸本体8aの軸線方向(スラスト方向)の移動を規制している。このため、軸本体8aと第2ベアリング37との相対的位置は変化されないようになっている。
【0027】
ベアリング支持部35の上方には、中心に軸本体8aが挿通される筒状部を有する従動ギア39cが設けられている。ここで、軸本体8aは、従動ギア39cの筒状内部で回転可能となっている。アーム4の上方には、駆動軸39aに駆動ギア39bが設けられる駆動モータ39が設置されており、駆動ギア39bは、従動ギア39cと噛み合わされている。
そして駆動モータ39の駆動軸39aの回転を駆動ギア39bを介して従動ギア39cに伝達して、従動ギア39cをベアリング支持部35とともに回転させることにより、軸本体8aは軸線方向に移動されるようになっている。
【0028】
つまり、ベアリング支持部35と従動ギア39と第2ベアリング37とは固定されているとともに、第1ベアリング33はスピンドルハウジング46に対して摺動可能となっている。また、第2ベアリング37によって軸本体8aのスラスト方向への移動は規制されており、第1ベアリング33と第2ベアリング37と軸本体8aとの相対的位置は変わらないように設けられている。
【0029】
このとき、ベアリング支持部35を回転させることによって、位置調整用おねじ部36が位置調整用めねじ部43に沿って回転され、それに伴ってベアリング支持部35はスピンドルハウジング46に対して軸線方向に移動される。そのため軸本体8aは、ベアリング支持部35との相対的位置を変えることなく、アーム4に固定されたスピンドルハウジング46に対して相対的に軸線方向に移動されるようになっている。
【0030】
ここで、本発明の研磨装置1では、例えば駆動モータ39の駆動軸39aの回転方向を切り換えるか、または駆動ギア39bを設ける代わりに、駆動軸39aの回転を正逆いずれかの方向に選択的に変換して従動ギア39cに伝達させることが可能なギアボックスを設けるなどして、ベアリング支持部35を正逆いずれの方向にも回転可能としている。また、駆動モータ39としては、ベアリング支持部35が回転される量の制御を容易にするために、例えばサーボモータ等が用いられる。
【0031】
アーム4下方に突出したスピンドル8の下部には、保持ヘッド5と連結されるためのスピンドル側連結部34が形成されている。このスピンドル連結部34は、軸本体8aに連結された外筒部47と、この外筒部47内部に設けられた筒状の位置調整部材48とを備えている。また、位置調整部材48の上方に一体的に設置されたスペーサー51の厚みを変更することにより、スピンドル側連結部34に連結される保持ヘッド5の位置を調整することも可能となっている。
【0032】
外筒部47の内周面には、ヘッド取付用めねじ部49が形成されており、保持ヘッド5に設けられるおねじ部が螺着されるようになっている(保持ヘッド5との接続構造はこれに限られるものではなく、部材同士の接続に通常用いられる任意の構造を採用することができる)。
また、外筒部47の外側上面には、環状凸部46aに沿うように形成された環状凹部47aが設けられている。すなわちこれらによってラビリンスリングが構成されており、環状凸部46aと環状凹部47aとによって複雑な形状を有する隙間が形成されたことにより、この隙間には粘性摩擦抵抗や表面張力が作用され、第1ベアリング33側には研磨剤などの液体や異物などが侵入しないようになっている。
【0033】
このように構成される研磨装置1によるウェーハWの研磨は、次のようにして行われる。
まず、ロボットアーム7によって、インカセット6aから研磨前のウェーハWを取り出して、洗浄ステーション3aの二台の保持台座18上に、それぞれウェーハWを一枚ずつ載置する。そして、アーム4を旋回させてその片側に設けられる二台の保持ヘッド5を保持台座18上のウェーハWの上方に位置させ、この状態で保持ヘッド5を降下させ、これら保持ヘッド5にそれぞれウェーハWを保持させる(ステップ1)。
ここで、アーム4に、アーム4をアーム回転軸4aに沿って昇降させる機構を設けて、アーム4を昇降させることで保持ヘッド5を昇降させるようにしてもよい。
【0034】
次に、保持ヘッド5を上昇させた後、アーム4を図1において時計回りに約90度旋回させて、保持ヘッド5を研磨ステーション2aの回転テーブル12の上方に位置させる。この状態で保持ヘッド5を降下させて、保持ヘッド5に保持されるウェーハWを回転テーブル12上のパッド11の表面に当接させる。
これと並行して、保持ヘッド5及び回転テーブル12を回転駆動し、パッド11とウェーハWとを相対的に移動させてウェーハWの粗い研磨を行う(ステップ2)。
そして、ウェーハWの研磨状態を確認しつつ最適な状態となるように、それぞれの保持ヘッド5においてウェーハWとパッド11との位置を調整する。なおウェーハWの研磨状態の確認は、例えば研磨抵抗検出用センサ出力や目視などによって行うことができる。保持ヘッド5の高さ方向の位置調整は、位置調整用おねじ部36と位置調整用めねじ部43との螺合によって行われるため、例えばμm単位の微調整を容易に行うことができる。
また、研磨ステーション2aに搬入された保持ヘッド5のうち、例えばいずれか一方の側に保持されるウェーハWの研磨が他方の保持ヘッド5に保持されるウェーハWよりも先に研磨が終了する場合がある。この場合には、先に研磨を終えたウェーハWを保持する保持ヘッド5を上昇させてパッド11から離間させ、先に研磨を終えた方のウェーハWの研磨の進行を抑える。
このような制御は、以降の各研磨工程においても行われる。
【0035】
そして、ウェーハWの研磨を終えた後、保持ヘッド5を上昇させてパッド11の表面からウェーハWを離間させ、この状態でアーム4を時計回りに約90度旋回させて、保持ヘッド5を洗浄ステーション3bの上方に位置させる。
続いて、洗浄装置19の洗浄ローラ21を、洗浄装置19の洗浄部材駆動装置22を構成する駆動モータ24によって回転駆動しながらレール23に沿って移動させ、保持ヘッド5の下部と洗浄ステーション3bの保持台座18の上部との間に進出させる。これによって、図4(a)の要部拡大側面図に示すように、洗浄ローラ21を保持ヘッド5に保持されるウェーハWの下部に当接させてこれらを洗浄する(ステップ3)。
【0036】
次に、一旦洗浄ローラ21を保持ヘッド5の下部と保持台座18の上部との間から退避させ、この状態で保持ヘッド5と保持台座18とを近接させて、保持ヘッド5からウェーハWを保持台座18上に移し替える。そして、保持ヘッド5と保持台座18との間に適宜間隔を確保した状態で洗浄ローラ21を保持ヘッド5の下部と保持台座18の上部との間に進出させ、図4(b)に示すように、ウェーハWによって覆われていた部分も含む保持ヘッド5の下部と、ウェーハWの上部(側面も含む)とを洗浄する。
続いて、保持台座18をウェーハWごと降下させて、改めて保持ヘッド5の下部のみの洗浄を行う(図4(c)参照)。
そして、保持ヘッド5の洗浄を終えた後に、保持ヘッド5と保持台座18とを近接させて、保持ヘッド5に再びウェーハWを保持させる(ステップ4)。
【0037】
ここで、上記ステップ3、4と並行して、ステップ1の操作を行う。すなわち、ロボットアーム7によって、インカセット6aから新たに研磨前のウェーハWを取り出して洗浄ステーション3aの保持台座18上に載置し、このウェーハWを保持ヘッド5に保持させる。また、この時に、研磨ステーション2aにおいてドレッサー13によるパッド11の表面の調整も行われる(ステップ5)。このように、ウェーハWの洗浄とパッド11の表面の調整作業とを並行して行うことで、ウェーハWの洗浄のために全体の作業時間に与える影響を低減してスループットの低下を最低限に抑えている。
【0038】
次に、アーム4の両端の保持ヘッド5を上昇させた後にアーム4を図1において時計回りに約90度旋回させて、洗浄ステーション3bでの洗浄を終えた側の保持ヘッド5を研磨ステーション2bのパッド11の上方に、研磨前のウェーハWを保持する保持ヘッド5を研磨ステーション2aのパッド11の上方にそれぞれ位置させる。この状態で、ステップ2と同様にして、洗浄ステーション3bでの洗浄を終えたウェーハWの精密な研磨と、研磨前のウェーハWの粗い研磨を行う(ステップ6)。
【0039】
ここで、ステップ6において、研磨ステーション2bに対して研磨ステーション2aの方がウェーハWを研磨する時間が長いので、研磨ステーション2bでのウェーハWの研磨が終了した時点で、研磨ステーション2b側の保持ヘッド5を研磨パッド11から離間させ、ウェーハWの研磨量が最適となるよう調節する。
ここで、研磨ステーション2b側では、ウェーハWの精密な研磨を終えた後、ウェーハW表面の微小スクラッチを取るために、研磨ステーション2b側の研磨パッド11上のスラリーを純水に置換した状態でさらにウェーハWを研磨して、ウェーハWのバフ研磨(仕上げの研磨)を行う。
【0040】
そして、研磨ステーション2a及び研磨ステーション2bにおけるウェーハWの研磨を終えた後、アーム4の両端の保持ヘッド5を上昇させてパッド11の表面からウェーハWを離間させる。そして、この状態でアーム4を時計回りに約90度旋回させて、研磨ステーション2bでの研磨を終えたウェーハWを洗浄ステーション3aの上方に、研磨ステーション2aでの研磨を終えたウェーハWを洗浄ステーション3bの上方にそれぞれ位置させる。そして、洗浄装置6a、6bによって、ステップ3、4と同様にして、ウェーハWの洗浄を行う。
また、これと並行して、ステップ5と同様にして、研磨ステーション2a、2bにおいてパッド11の表面の調整も行う(ステップ7)。
【0041】
そして、ウェーハWの洗浄を終えた後、洗浄ステーション3a上に載置された研磨済みのウェーハWを、前記ロボットアーム7によってアウトカセット6bに収容する(ステップ8)。
【0042】
そして、これ以降は、上記したステップ5からステップ8までの作業を繰り返して、ウェーハWの研磨を連続的に行う。
【0043】
このように構成される研磨装置1においては、洗浄ステーション3a、3bにおいて、洗浄装置6によって保持ヘッド5に保持された状態でのウェーハWの洗浄、保持台座18上に載置された状態でのウェーハWの洗浄、及びウェーハWを外した状態での保持ヘッド5の洗浄が行われ、ウェーハWと保持ヘッド5との間に侵入したスラリーも取り除かれる。また、ウェーハWの上面の洗浄と保持ヘッド5の下部の洗浄を同時に行うことができる。
また、研磨ステーション2a、2bと洗浄ステーション3a、3bとが交互に配置されて、ウェーハWの洗浄が、研磨ステーション2a、2bにおけるパッド11の表面の調整作業と並行して行われるので、ウェーハWの洗浄のために全体の作業時間に与える影響を少なくして、スループットの低下を最低限に抑えることができる。
また、研磨ステーション2a、2b及び洗浄ステーション3a、3bが、アーム4のアーム回転軸4aを中心とする略円上に配置されるので、これらを密集して配置して、研磨装置1の設置面積を小さくすることができる。
【0044】
このように構成される研磨装置1によれば、研磨ステーション2a、2b間でスラリーが混合される恐れを低減することができるので、複数の研磨条件、例えば研磨ステーション2aでは酸性のスラリーを用い、研磨ステーション2bではアルカリ性のスラリーを用いてウェーハWを研磨するような場合にも、ウェーハWの研磨を良好に行うことができる。
また、ウェーハWの上面の洗浄と保持ヘッド5の下部の洗浄を同時に行うことができるので、これらの洗浄に要する時間を短縮して、作業効率を向上させることができる。
さらに、研磨装置1の設置面積が小さくなり、研磨装置1の設置場所にかかる費用が低減されるので、研磨装置1によって研磨されるウェーハWの製造コストを低減することができる。また、アーム4を単純な構造とすることができ、研磨装置1の製造コストを低減することができる。
【0045】
このように、複数設けられた保持ヘッド5を支持しているそれぞれのスピンドル8に、保持ヘッド5の高さ調整機構38として、ベアリング支持部35外方の位置調整用おねじ部36と、この位置調整用おねじ部36に螺合されスピンドルハウジング46に形成させた位置調整用めねじ部43と、前記ベアリング支持部35を駆動ギア39a、従動ギア39cとを介して回転駆動する駆動モータ39とを設けたので、ベアリング支持部35を回転させることによって、軸本体8aは軸線方向に移動される。そのため、保持ヘッド5の位置の微調整を容易に行うことができるとともに、ウェーハWとパッド11との位置の微調整を行うことができ、複数の保持ヘッド5を備えた構成でも、それぞれの調整を別個に行うことができ、全てのウェーハWの研磨を安定して行うことができる。
【0046】
また、ウェーハWの研磨中においても軸線方向位置の微調整を可能なものとしたことにより、研磨中に加工条件が変化された場合においても確実に対応することができる。なお、ここでいう加工条件の変化とは、例えば研磨を続けることによってそれぞれの保持ヘッド50において生じるセッティングのわずかなずれや、パッド11の厚みが徐々に薄くなるといったことなどが挙げられる。
【0047】
本発明による研磨装置1においては、各々の保持ヘッド5の最適な高さ調節はそれぞれ個別することが可能であるとともに、例えばステッピングモータを用いて容易且つ安価に行うことができる。
なお、上記実施の形態では、研磨ステーション及び洗浄ステーションを、それぞれ二台ずつ、アーム4のアーム回転軸4aを中心とする略円上で交互に配置し、かつこれらをアーム4のアーム回転軸4aに対して約90度位相を変えて配置した研磨装置1を示したが、これに限られることなく、ウェーハWの研磨工程をさらに細かい段階に分けるために、例えば図6に示すように、研磨ステーション及び洗浄ステーションをそれぞれ三台ずつ(それぞれ研磨ステーション2a、2b、2c、洗浄ステーション3a、3b、3cとする)、アーム回転軸4aを中心とする円上に、アーム回転軸4aに対して約60度位相を変えて配置してもよく、また、さらに研磨ステーション及び洗浄ステーションの数を多くしてもよい。
この場合、全ての研磨ステーションまたは全ての洗浄ステーションでウェーハWの処理を並行して行うことができるように、アーム4に、全ての研磨ステーション(または全ての洗浄ステーション)と対向する位置に保持ヘッド5を設ける。すなわち、例えばこれら研磨ステーション及び洗浄ステーションがそれぞれ三台である場合には、アーム4を、アーム回転軸4aに対して約120度位相を違えて三方向に張り出す端部を有する略Y字形状に形成し、それぞれの端部下面に保持ヘッド5を設けるなどする。
また、研磨装置1を、研磨ステーション及び洗浄ステーションを直列に配置し、アームをこれらに沿って移動可能に設けることによって構成してもよい。
また、上記実施の形態において、駆動モータ39、駆動ギア39b、従動ギア39cを設ける代わりに、例えばベアリング支持部35に、その外周に張り出させてハンドルを設けて、手動によってベアリング支持部35を回転させられるようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、研磨装置1を、シリコンインゴットから切り出した半導体ウェーハの表面の研磨に用いた例を示したが、これに限られることなく、表面に半導体デバイス用の回路パターンを形成する過程における半導体ウェーハの表面の研磨に用いてもよい。
また、保持ヘッドの軸線方向の位置を調整する調整機構は、上記実施の形態に示す構成に限らず、スピンドルの軸線方向の位置の調整に通常用いられる任意の構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、洗浄ローラ21及び洗浄部材駆動装置22とによって構成される洗浄装置19を用いた例を示したが、これに限られることなく、洗浄装置は、洗浄部材が保持ヘッド5と保持台座18との間に進退させることが可能な構成であればよい。
例えば図7に示すように、一端に設けられる軸61aを支点として他端を揺動されることでこの他端を保持ヘッド5と保持台座18との間に進退可能とされるアーム61(洗浄部材駆動装置)と、このアーム61の揺動される側の端部に取り付けられて、図示せぬ駆動装置によって保持ヘッド5の軸線に略平行な軸線回りに回転される略円盤形状の洗浄部材62とを有する洗浄装置63を用いることができる。ここで、図7では、保持ヘッド5及び保持台座18に保持されるウェーハWの洗浄を可能にするため、洗浄部材62をアーム61の先端の上下に取り付けている。また、洗浄部材62として、保持ヘッド5またはウェーハWに対向する面の外周部が内周部よりも突出される略カップ状の部材(スポンジ部材等)を有し、外周部62aによってウェーハWまたは保持ヘッド5を洗浄するものを用いている。
この場合、洗浄部材62は、保持ヘッド5またはウェーハWの洗浄時にはアーム61によって保持ヘッド5及び保持台座18に対して偏心した位置に移動されて、外周部62aを保持ヘッド5の下部またはウェーハW表面に当接させた状態で自身の軸線回りに回転される。この状態で、保持ヘッド5または保持台座18もそれぞれ図示せぬ駆動装置によってその軸線回りに回転させられることで、保持ヘッド5の下部全体または保持ヘッド5に保持されるウェーハWの下面側全体、もしくは保持台座18に保持されるウェーハWの上面側全体を洗浄するものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明の研磨装置は、以下のような効果を有するものである。
本発明の研磨装置によれば、性質の異なるスラリーが混合される恐れが低減され、複数の研磨条件での被研磨材の研磨を良好に行うことができる。
【0049】
本発明の研磨装置によれば、被研磨材の他面の洗浄と保持ヘッドの下部の洗浄が同時に行われるので、これらの洗浄に要する時間を短縮して、作業効率を向上させることができる。
【0050】
本発明の研磨装置によれば、研磨装置の設置面積が小さくなり、研磨装置の設置場所にかかる費用が低減されるので、研磨装置によって研磨される被研磨材の製造コストを低減することができる。また、アームを単純な構造とすることができ、研磨装置の製造コストを低減することができる。
【0051】
本発明の研磨装置によれば、保持ヘッドの軸線方向の位置は、調整機構によってそれぞれ別個に調整することができるため、それぞれ被研磨材の研磨条件を一定に保ちつつ、安定した研磨を行うことができる。
【0052】
本発明の研磨装置によれば、このように構成される研磨装置は、おねじ部をめねじ部に沿って回転させることにより、ベアリング支持部はベアリングとともに軸線方向に移動され、これにともなって軸本体も軸線方向に移動される。このとき、保持ヘッドと連結する部分である連結部も軸線方向に移動されるため、被研磨材の軸線方向の位置は調整される。そして、軸本体の回転中においても、ベアリング支持部の回転は可能であるため、研磨工程中においても位置調整を行うことができる。
【0053】
本発明の被研磨材の研磨方法においては、スピンドルに備えられた調整機構によって各保持ヘッドの位置調整を行い、この状態で被研磨材の研磨が行われるので、各被研磨材が適切な研磨条件で研磨され、被研磨材の研磨を良好に行うことができる。
【0054】
本発明の被研磨材の研磨方法によれば、複数の保持ヘッドのうち、被研磨材の研磨が終了した保持ヘッドが調整機構によって位置を調整されて、被研磨材が研磨パッドから離間されるので、研磨終了後には研磨パッドによる研磨作用及びこの研磨作用とスラリーのエッチング作用との相互作用による研磨の進行を防止して、被研磨材の仕上がりのばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における研磨装置の平面図である。
【図2】 本発明の実施の形態における研磨装置の要部拡大側断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態における研磨装置の要部拡大平面図である。
【図4】 本発明の実施の形態における研磨装置の洗浄装置によるウェーハ(被洗浄材)及び保持ヘッドの洗浄の様子を示す要部拡大側面図である。
【図5】 本発明の実施の形態における研磨装置に用いられるスピンドルの側断面図である。
【図6】 本発明の研磨装置の他の実施の形態を示す平面図である。
【図7】 本発明の研磨装置に用いられる洗浄装置の他の例を示す要部拡大側断面図である。
【符号の説明】
1 研磨装置 2a、2b 研磨ステーション
3a、3b 洗浄ステーション 4 アーム
4a アーム回転軸(回転軸) 5 保持ヘッド
8 スピンドル 8a 軸本体
11 パッド(研磨パッド) 12 プラテン
18 保持台座 19 洗浄装置
21 洗浄ローラ(洗浄部材) 22 洗浄部材駆動装置
33、37 第1、第2ベアリング 34 スピンドル側連結部
35 ベアリング支持部 36 位置調整用おねじ部
38 調整機構 43 位置調整用めねじ部
46 スピンドルハウジング
W ウェーハ(被研磨材)

Claims (6)

  1. 被研磨材の研磨が行われる研磨ステーションと、前記被研磨材の洗浄が行われる洗浄ステーションとが交互に複数配置され、
    前記各研磨ステーションがそれぞれ異なる研磨条件に合わせて調整され、
    前記被研磨材を保持して前記研磨ステーションと前記洗浄ステーションとの間を順次搬送するアームとを備え、
    前記アームが、回転軸を中心として旋回可能にして設けられ、前記研磨ステーション及び前記洗浄ステーションが、前記回転軸を中心とする円上に配置されるとともに、
    これら全ての研磨ステーションまたは全ての洗浄ステーションで処理を並行して行うことができるように前記アームが、全ての研磨ステーションと対向する位置に張り出すとともに旋回した場合全ての洗浄ステーションと対向する位置に張り出す複数の端部を有し、それぞれの端部下面に前記被研磨材を保持する保持ヘッドを複数備え、
    前記洗浄ステーションが、前記被研磨材が載置される保持台座と洗浄装置とを備え、
    前記保持台座が、前記アームの前記保持ヘッドを対向させた状態で、該保持ヘッドに近接する方向に移動可能に設けられ、
    前記洗浄装置が、洗浄部材と、該洗浄部材を前記保持ヘッドと前記保持台座との間位置に進出させる洗浄部材駆動装置とによって構成されて、前記保持ヘッドに保持された状態での前記被研磨材の洗浄、前記保持台座上に載置された状態での前記被研磨材および前記被研磨材によって覆われていた部分も含む前記保持ヘッドの洗浄、前記被研磨材を外した状態での前記保持ヘッドのみの洗浄をそれぞれ行うことを特徴とする研磨装置。
  2. 前記研磨ステーションが、表面に研磨パッドが貼付されたプラテンを有し、
    前記アームが、前記被研磨材を保持して前記研磨パッドに前記被研磨材の一面を当接させつつ軸線回りに回転する保持ヘッドを複数備え、
    前記アームには、前記保持ヘッドの上部に連結されるとともにこの保持ヘッドを水平回転自在に支持するスピンドルと、前記スピンドルを係合させるための筒状係合部を有するスピンドルハウジングとが複数設けられ、
    前記スピンドルには、前記アームとの相対的位置を変化させることによって前記保持ヘッドの軸線方向の位置を調整するための調整機構が備えられたことを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
  3. 前記スピンドルは、下部に前記保持ヘッドを連結するための連結部を備えた軸本体と、
    この軸本体と軸線方向の相対的位置を保ちつつ前記軸本体を回転自在に支持するベアリングと、
    このベアリングを支持するための、外周におねじ部を有した筒状のベアリング支持部とを備えるとともに、
    前記スピンドルハウジングの係合部内周には前記おねじ部と螺合されるためのめねじ部が設けられており、前記おねじ部を前記めねじ部に沿って回転させることにより前記保持ヘッドが軸線方向に移動されることを特徴とする請求項2に記載の研磨装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の研磨装置により被研磨材を研磨するウェーハ研磨方法であって、
    前記保持ヘッドを水平回転自在に支持するためのスピンドルを、前記アームに複数設けられたスピンドルハウジングの係合部にそれぞれ係合させ、
    前記被研磨材と前記研磨パッドとを当接しつつ回転させるとともに、前記スピンドルに備えられた調整機構によって前記アームとの相対的位置を変化させるように前記保持ヘッドの軸線方向の位置を調整することによって、前記複数の被研磨材は、それぞれの位置を調整されつつ研磨されることを特徴とする被研磨材の研磨方法。
  5. 複数の前記研磨ステーションにおいて同時に前記被研磨材の研磨を行い、
    前記被研磨材の研磨工程中において、前記保持ヘッドのうち、前記被研磨材の研磨が終了した保持ヘッドを、研磨が終了した時点でその軸線方向の位置を前記調整機構によって調整して、研磨が終了した前記被研磨材を前記研磨パッドから離間させることを特徴とする請求項4記載の被研磨材の研磨方法。
  6. 各研磨工程後の洗浄において、
    前記保持ヘッドに保持される前記被研磨材の下部に当接させてこれらを洗浄するステップと、
    前記保持ヘッドから前記被研磨材を前記保持台座上に移し替えて、該洗浄部材を前記保持ヘッドと前記保持台座との間に進出させ、前記被研磨材によって覆われていた部分も含む前記保持ヘッドの下部と、前記被研磨材の上部および側面とを洗浄するステップと、
    前記保持台座を前記被研磨材ごと降下させて、改めて前記保持ヘッドの下部のみの洗浄を行うステップと、
    を有することを特徴とする請求項5記載の被研磨材の研磨方法。
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