JP4480564B2 - 圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置 - Google Patents
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油圧供給口を備えたマニホールドに一般的な絞り弁を設ける構成では、マニホールドを用意し、そのマニホールドに絞り弁を取り付ける手間がかかるうえに、絞り弁を設ける油圧通路の位置によっては、絞り弁のメンテナンスが困難になる課題がある。
特に、機械加工現場などのように切粉等の異物が多い過酷な条件で使用されるクランプ装置においては、絞り機構に異物が詰まるおそれがある。このため、シリンダ装置は、油圧通路の絞り機能を備えると共に、異物が詰まりにくく、メンテナンス性を良くすることが望まれていた。
さらに、ハウジング内に共回り防止ピンを固定する固定穴を設けることにより、その固定穴を避けてハウジング内に油圧通路、空気通路などを形成しなければならず、それらの圧力流体通路の経路設計が制限されるという課題がある。特に、小型のクランプ装置においてはハウジングも小型であるため、多数の圧力流体通路をハウジング内に設けなければならない場合には困難を伴うことになる。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)製造コストを低減できるとともに、圧力流体通路に設けられる絞り機構のメンテナンス性を高めたシリンダ装置を提供する。
(b)圧力流体通路の経路設計の自由度を維持できるとともに、専用の共回り防止具を設ける個数を低減したり又はなくすことができるシリンダ装置を提供する。
(c)上記シリンダ装置を搭載し、(a)(b)に係る各目的を達成できる実用的な位置決め装置又はクランプ装置を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
下記各発明において、符号は対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、符号に係る形態に限定されないことは言うまでもない。
(第1発明)
本発明に係る圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置は、例えば図1又は図4Aに示すように次のように構成した。
ハウジング7内にシリンダ孔8を形成し、そのシリンダ孔8にピストン13を進退可能に挿入し、そのピストン13に連結部材19をネジ係合によって連結し、その連結部材19に作動手段20を連結し、外部操作具が上記の連結部材19の被操作部22を介して前記ネジ係合を締結および解除するように構成したシリンダ装置であって、
上記ピストン13に対面する圧力流体室23を上記シリンダ孔8内に設け、その圧力流体室23に連通される流体通路25を上記ハウジング7に設け、その流体通路25のうちの上記の圧力流体室23への導入路27を上記ピストン13の進退方向へ延びるように形成し、その導入路27にロッド部材30を移動自在に挿入することによって絞り機構を構成し、
前記の導入路27を、前記ピストン13の進退方向とほぼ平行に形成し、
そのピストン13に、前記の導入路27に対面する係合穴34を設け、
前記ロッド部材30の一端部を上記の導入路27に移動自在に挿入するとともに同上ロッド部材30の他端部を上記の係合穴34に遊嵌し、
前記の連結部材19の前記ネジ係合を締結および解除するときに、その連結部材19の回転に追従して前記ピストン13が共回りすることを上記ロッド部材30によって防止したことを特徴とする。
上記の連結部材の一例としてはボルト式又はナット式が考えられる。ボルト式の連結部材の場合には、例えば六角穴からなる被操作部を六角レンチからなる外部操作具によって操作する。また、ナット式の連結部材である場合には、例えば、六角ナットの外周面からなる被操作部を六角スパナからなる外部操作具によって操作する。
本発明において、上記ロッド部材は、導入路を流れる圧力流体が絞り機能を発揮できる長さに設定される。
本明細書において、上記作動手段とはピストンの進退方向の力をシリンダ装置が使用される目的に応じた作用力に変換する機構を言う。
ピストンの進退移動時に圧力流体室に対して圧力流体が流入及び流出することに伴ってロッド部材は導入路内を往復移動するので、これら導入路とロッド部材との隙間に異物が噛み込んだ場合でもその異物を外部へ排出できる。このため、絞り機構は、異物の詰まりを防止でき、長期間にわたってメンテナンスフリーにできる。
導入路にロッド部材を挿入するだけで絞り機構が構成できるので、製造コストを低減できる。
ロッド部材を、流体通路の絞り機構のみならず、共回り防止具としても機能させることができる。つまり、ロッド部材を絞り機構と共回り防止具の両方に用いることができるので、専用の共回り防止具を設ける個数を低減したり又はなくすことができる。
本発明は、上記発明において、前記の流体通路25の周壁に、前記の導入路27内で前記ロッド部材30が所定量以上に移動するのを規制する受け止め面29を設けたことを特徴とする。
上記受け止め面は導入路内に設けられる場合と、導入路近くの流体通路内に設けられる場合が例示できる。
本発明であれば、絞り機構としてのロッド部材を本来動作すべき範囲内で良好に機能させることができる。
本発明は、上記各発明において、前記の導入路27を円形孔によって構成し、前記ロッド部材30をほぼ円柱状に構成したことを特徴とする。
本発明であれば、孔の形成及びロッド部材の製造コストが低減でき、安価に絞り機構を構成することができる。
本発明は、上記各発明において、前記ハウジング7内で前記シリンダ孔8に小径孔14を連通させ、その小径孔14に前記ピストン13のロッド部17を挿入し、
上記の小径孔14の周壁部分に前記の導入路27を設けたことを特徴とする。
本発明であれば、上記小径孔の周囲のスペースを有効に利用できるので、導入路の長さを確保することとハウジングの背丈を小さくすることを両立できる。
本発明に係る圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置は、図1と、図3Bから図3Eに示すように、次のように構成してもよい。
ハウジング7内にシリンダ孔8を形成し、そのシリンダ孔8にピストン13を進退可能に挿入し、そのピストン13に連結部材19をネジ係合によって連結し、その連結部材19に作動手段20を連結し、外部操作具が上記の連結部材19の被操作部22を介して前記ネジ係合を締結および解除するように構成したシリンダ装置であって、
上記ピストン13に対面する圧力流体室23を上記シリンダ孔8内に設け、その圧力流体室23に連通される流体通路25を上記ハウジング7に設け、
上記ピストン13の共回りを防止するロッド部材30を上記ハウジング7に装着し、そのロッド部材30に絞り通路42,43,44,51を設け、
前記の流体通路25を上記の絞り通路42,43,44,51を介して前記の圧力流体室23へ連通させた。
本発明において、共回り防止用ロッド部材がシリンダ装置に複数ある場合には、その複数のロッド部材のうち少なくとも一つのロッド部材を本発明に係る構成にすればよい。即ち、その少なくとも一つのロッド部材に絞り通路を形成するとともに、その絞り通路に流体通路を連通させ、ロッド部材をハウジングに装着できるようにすれば良い。
本発明において、ロッド部材を上記ハウジングに装着する形態は、完全に固定する形態と、若干移動できる形態で取り付ける場合の両方を含む。
さらに、絞り通路をロッド部材に設けることで、シリンダ装置を製造する場合に構成部品数を低減することができる。
(第1実施形態)
図1と図2は本発明の第1実施形態を示している。この第1実施形態は、絞り機構と共回り防止機能を兼用した本発明の一実施形態である。
図1はリリース状態の位置決め装置の縦断面図であり、図2はロック状態の位置決め装置の縦断面図である。
一方、上記ワークパレット2の被支持面4には円形の位置決め孔5が複数開口される。各位置決め孔5に後述するプラグ部11が挿入される。なお、ここでは複数セットの位置決め孔5およびプラグ部11のうち、1セットだけを示してある。
ブランジ部10は図示しない複数のボルトによってベースプレート1に固定される。
また、ハウジング7内にはピストン13が保密状に挿入されるシリンダ孔8と、小径孔14と、プラグ部11の筒孔15とが上向きに形成してある。
連結ボルト19の頭部には、外部操作具としての六角レンチを係合させるレンチ孔(被操作部22)が設けられており、六角レンチの操作によって、連結ボルト19をロッド部17の雌ネジ孔16に締結又は解除させる。これによって、ピストン13に対する連結ボルト19のネジ係合を外した状態とネジ係合させた状態とを、位置決め装置の上方から切替えできるように構成してある。
ハウジング7内には空気供給通路49が形成してあり、ベースプレート1のエア供給ポート50からの空気が前記の筒孔15を通って作動手段20に噴射され、その作動手段20に付着した切粉等の異物を吹き飛ばすことができるようになっている。
位置決め作動部36は、プラグ部11の外周に環状のスリーブ部材37が配置された構成とされ、ピストン13の往復動作に伴う連結ボルト19の往復運動にしたがって、図1に示すリリース状態と図2に示すロック状態とを選択できるように構成してある。
まず、位置決め装置の基本的な動作について説明する。
図1に示すリリース状態では第1油圧室23の圧油をロックポート24から排油するとともに、第2油圧室32に圧油を供給して、ピストン13をシリンダ上壁面47に当接した状態にする。ピストン13がシリンダ上壁面47に当接した状態では、連結ボルト19は上方に移動し、スリーブ部材37は縮径状態になっている。スリーブ部材37をワークパレット2の位置決め孔5に挿入した状態では、ワークパレット2の位置決め孔5と上記スリーブ部材37の外周面との間には半径隙間が形成されている。
ロック駆動時にはワークパレット2の被支持面4がハウジング7の支持面12に当接されることにより、上下方向の位置決めが行われるとともにスリーブ部材37の過剰な下降が阻止される。
まず、導入路27内にロッド部材30が挿入され、その隙間40(図3A参照)によって油圧通路25が絞られているので、前記ロック作動時にロックボート24へ多量の圧油が供給された場合でも、ピストン13の急激な下降が抑制される。
また、第1油圧室23への圧油の供給および排出に伴って導入路27内のロッド部材30は僅かであるが上下に移動するので上記隙間40に異物が溜りにくくなる。
また、好ましくはピストン13のストロークを0.5mm〜5mmの短い範囲に設定し、導入路27内へのロッド部材30の挿入長さを5mm〜25mmに設定し、係合穴34へのロッド部材30の挿入長さを3mm〜15mmに設定した方が良い。
特に、図1に示す構成では、ハウジング7に形成されるシリンダ孔8の下面は開口され、第2油圧室32はピストン下面と装着穴3の底面の間に構成されているので、ピストン13から連結ボルト19を外して、フランジ部10をベースプレート1から取り外し、前記開口からピストン13を取り出すだけで、ハウジング7を一切分解することなく、絞り機構と共回り防止機構のメンテナンスが行える利点がある。この利点は第2油圧室32の位置に皿バネなどを設けそのバネ力でリリース状態にする構成でも同様に享受できる。
図4A,図4Bは本発明の第2実施形態を説明するための図であり、図4Aは位置決め装置の縦断面図、図4Bはその要部拡大断面図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様の部材には同一の符号を付けてその説明は省略する。
この第2実施形態の特徴は、ピストン上面48に係合穴34(図1参照)を設けず、導入路27に挿入されるロッド部材30はピストン上面48に当接した状態を維持する長さに設定されている点である。
このように第2実施形態のロッド部材30も絞り機構として機能するとともにピストン13の上下動に伴って移動することになるので、ロッド部材30と導入路27の隙間に異物が詰まることを抑制することができる。
なお、上記の導入路27は例示した垂直方向に形成することに代えて斜め方向へ延びるように形成してもよい。
次に本発明の第3実施形態を図1、図3D及び図3Eを参照しつつ説明する。
この第3実施形態は、ピストン13の共回りを防止するロッド部材30をハウジング7に装着し、そのロッド部材30に絞り通路を形成し、油圧通路25を上記の絞り通路を介して第1油圧室23へ連通させたことを特徴とする。
なお、ロッド部材30の下部域をピストン13の係合穴34に遊嵌状態で係合させる構成は、第1実施形態の構成と同様である。
この構成であってもロッド部材30は絞り機構としての機能と共回り防止具としての機能の両方を備えることができる。また、ロッド部材30はシリンダ孔8からピストン13を外す時に露出する構成になっているので、絞り機構のメンテナンス性が向上する。
例えば、上記の各実施形態では、連結部材としての連結ボルト19の脚ネジ部をピストン13のロッド部17にネジ止めするようにしたが、これに代えて、上記の連結部材をナットによって構成してもよい。この場合、シリンダ装置の上部構造は、例えば次のように構成される。
上記ピストン13の上記ロッド部17を前記プラグ部11の上端面よりも上方に突出させ、その突出部に雄ネジを形成し、連結部材としてのナットを上記の雄ネジにネジ係合させる。そして、上記ロッド部17の上部と上記ナットとの間に、前記の位置決め作動部36の上フランジ部を挟み付けて固定するのである。
Claims (5)
- ハウジング(7)内にシリンダ孔(8)を形成し、そのシリンダ孔(8)にピストン(13)を進退可能に挿入し、そのピストン(13)に連結部材(19)をネジ係合によって連結し、その連結部材(19)に作動手段(20)を連結し、外部操作具が上記の連結部材(19)の被操作部(22)を介して前記ネジ係合を締結および解除するように構成したシリンダ装置であって、
上記ピストン(13)に対面する圧力流体室(23)を上記シリンダ孔(8)内に設け、その圧力流体室(23)に連通される流体通路(25)を上記ハウジング(7)に設け、その流体通路(25)のうちの上記の圧力流体室(23)への導入路(27)を上記ピストン(13)の進退方向へ延びるように形成し、その導入路(27)にロッド部材(30)を移動自在に挿入することによって絞り機構を構成し、
前記の導入路(27)を、前記ピストン(13)の進退方向とほぼ平行に形成し、
そのピストン(13)に、前記の導入路(27)に対面する係合穴(34)を設け、
前記ロッド部材(30)の一端部を上記の導入路(27)に移動自在に挿入するとともに同上ロッド部材(30)の他端部を上記の係合穴(34)に遊嵌し、
前記の連結部材(19)の前記ネジ係合を締結および解除するときに、その連結部材(19)の回転に追従して前記ピストン(13)が共回りすることを上記ロッド部材(30)によって防止した、ことを特徴とする圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置。 - 請求項1に記載した圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置において、前記の流体通路(25)の周壁に、前記の導入路(27)内で前記ロッド部材(30)が所定量以上に移動するのを規制する受け止め面(29)を設けた、ことを特徴とする圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置。
- 請求項1から2のいずれか一項に記載した圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置において、前記の導入路(27)を円形孔によって構成し、前記ロッド部材(30)をほぼ円柱状に構成した、ことを特徴とする圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載した圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置において、前記ハウジング(7)内で前記シリンダ孔(8)に小径孔(14)を連通させ、その小径孔(14)に前記ピストン(13)のロッド部(17)を挿入し、
上記の小径孔(14)の周壁部分に前記の導入路(27)を設けた、ことを特徴とする圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置。 - ハウジング(7)内にシリンダ孔(8)を形成し、そのシリンダ孔(8)にピストン(13)を進退可能に挿入し、そのピストン(13)に連結部材(19)をネジ係合によって連結し、その連結部材(19)に作動手段(20)を連結し、外部操作具が上記の連結部材(19)の被操作部(22)を介して前記ネジ係合を締結および解除するように構成したシリンダ装置であって、
上記ピストン(13)に対面する圧力流体室(23)を上記シリンダ孔(8)内に設け、その圧力流体室(23)に連通される流体通路(25)を上記ハウジング(7)に設け、
上記ピストン(13)の共回りを防止するロッド部材(30)を上記ハウジング(7)に装着し、そのロッド部材(30)に絞り通路(42,43,44,51)を設け、
前記の流体通路(25)を上記の絞り通路(42,43,44,51) を介して前記の圧力流体室(23)へ連通させた、ことを特徴とする圧力流体の絞り機構付きシリンダ装置。
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