JP4480053B2 - 冷却塔用送風機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却塔において空気の吸込通風を行う冷却塔用送風機に関し、特に低騒音で多くの風量を得られる冷却塔用送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工場や空気調和設備などで循環使用する水の冷却を目的として屋外に設置される冷却塔には、冷却塔内部で空気と水を直接接触させ、水と空気の温度差を利用する熱伝達すなわち顕熱による冷却作用及び、水自体の蒸発すなわち潜熱(蒸発熱)による冷却作用を合せ持つ開放式冷却塔と、熱交換器を有し、空気と水が直接接触しない密閉式冷却塔とがある。いずれの冷却塔も、送風機を用いて強制的に空気を水又は熱交換器と接触させる強制通風が一般的であり、その通風方式には、空気を冷却塔下部から送風機で押込む押込式と、冷却塔上部に設置した送風機の吸引によって冷却塔下部から空気を吸込む吸込式とがある。
【0003】
こうした冷却塔に使用する送風機の所要風圧は約7〜15mmAqと低圧であるが、大風量を要求されるため、従来は、送風機として軸流ファンが一般的に使用されていた。このような軸流ファンとして、従来、図6に示すものがある。この図6は従来の冷却塔用送風機の概略構成断面図を示す。
【0004】
図6において従来の冷却塔用送風機100は、冷却塔10の通風経路下流側である上方に回動自在に軸支され、複数の羽根101aを中心のハブ101bに取付けてなる羽根車101と、前記ハブ101bに接続され、前記羽根車101を軸支する軸部102と、羽根車101を回転させるモータ103と、モータ103と軸部102を連動させるベルト104と、羽根車101の周囲を囲むケーシング105とを備える構成である。
【0005】
上記した従来の冷却塔用送風機100では、流路断面積の割には大流量の気体が圧送でき、他の形式の送風機に比べて効率が高いという特長を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の冷却塔用送風機は以上のように構成されていたことから、冷却塔10への通風量を増やして冷却効率を上げるためには、羽根101aの総面積を増やしたり、羽根車101の回転数を増やしたりして送風能力を上げる必要があった。
【0007】
軸流ファンにおいて羽根の総面積を増やす場合、羽根の数を増やす、羽根車の直径を大きくするなどの方法があるが、冷却塔に配設されるため、スペースとの兼合いを考慮しなければならない上、直径を大きくすると羽根車の周速度の増加により騒音が大きくなってしまうことから、羽根の総面積を増やすことは難しかった。また、回転数を上げて風量を増やそうとすると、羽根車の周速度の増加で騒音が大きくなってしまうことから、回転数をあまり高くできない上、低騒音型の冷却塔とする場合には逆に回転数を低く抑えなければならないなど、風量増加による冷却の高効率化の達成と騒音の抑制との両立が難しいという課題を有した。
【0008】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、遠心ファンを用いて騒音の増大を伴わない風量増加が容易に行え、冷却塔の高効率化・小型化が図れると共に、騒音そのものも大幅に低減できる冷却塔用送風機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷却塔用送風機は、冷却塔で強制通風を行う冷却塔用送風機において、前記冷却塔の熱交換部分より通風経路下流側に配設され、前記熱交換部分を通じて空気を軸方向から吸込み、略遠心方向に送出する遠心ファンと、当該遠心ファンを中心として遠心ファンの周囲を取囲む略矩形又は方形開口形状の略筒状体で形成され、当該略筒状体の前記冷却塔熱交換部分側とは逆側の端部開口を空気の吐出口とされてなるケーシングと、前記ケーシングの通風経路上流側端部を閉塞する略板状体で形成され、前記遠心ファンの空気吸込側端部周囲に所定の隙間を介して近接する口縁を有する開口部が前記略板状体の略中央に形成されてなる気流案内板とを備え、前記ケーシングにおける略矩形又は方形開口の各辺寸法が、冷却塔の幅に収る大きさとされ、前記ケーシング内側で且つ前記気流案内板より下流側の略矩形又は方形開口領域には前記遠心ファンと当該遠心ファンの軸支機構のみ配設され、遠心ファンの外周とケーシングをなす各側壁との間の間隔を、遠心ファン外周の半径と遠心ファンにおける空気吸込側端部の開口半径との差寸法より大きくするものである。
このように本発明によれば、熱交換部分の下流側に遠心ファンを配設すると共に当該遠心ファンの周囲にケーシングを配設し、遠心ファンにおいて羽根枚数を多く且つ羽根の幅を軸方向にのばして総羽根面積を大きくすることで周速度を増加させずに風量を増やせることにより、騒音の発生を抑えながら風量増加が図れ、また、遠心ファンから側方に放出される空気の動圧をケーシングにより軸方向に方向を変えつつ静圧に変換できることとなり、冷却塔の冷却効率向上と騒音の抑制を両立させると共に、放出された空気が再度熱交換部分へ帰還する(ショートサーキット)現象も確実に防げる。
【0011】
また、本発明に係る冷却塔用送風機は必要に応じて、前記ケーシングが、遠心ファンの空気吸込側から通風経路下流側に向って拡開状に形成されるものである。このように本発明によれば、ケーシングが通風経路下流側に向って拡開状に形成され、遠心ファンとケーシング側面との間の空気通路が吐出口に向かってよりスムーズな拡開形状となることにより、遠心ファンから送風される空気を動圧から静圧へエネルギ損失を極力抑制して吐出できる。
【0012】
また、本発明に係る冷却塔用送風機は必要に応じて、前記遠心ファンが、内部の空気通路を遠心方向に対し通風経路下流側へ所定角度傾けて形成されるものである。このように本発明によれば、空気の遠心ファンから送出される向きが、遠心方向に対し通風経路下流側に傾けた向きに偏向されることにより、通風経路下流側の吐出口に向うケーシング内流れがスムーズになり、損失を減らして空気を効率よく吐出できることとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る冷却塔用送風機を図1〜図5に基づいて説明する。この図1は本実施の形態に係る冷却塔用送風機の設置状態正面図、図2は本実施の形態に係る冷却塔用送風機の設置状態説明図、図3は本実施の形態に係る冷却塔用送風機の概略構成平面図、図4は本実施の形態に係る冷却塔用送風機の縦断面図、図5は本実施の形態に係る冷却塔用送風機の羽根車の概略構成図を示す。
【0014】
前記各図に示すように、本実施の形態に係る冷却塔用送風機1は、冷却塔10の最上部に配設され、冷却塔10の内部の空気を吸引して外部に吐出する遠心ファンである羽根車2と、この羽根車2の中心に一端が固着され、他端にはプーリ3aが配設される軸部3と、この軸部3を回動自在に軸支する軸受部4と、この軸受部4上に配設され、ベルト5を通じて前記プーリ3aを回転させるモータ6と、羽根車2の周囲を囲み、前記軸受部4を取付けられて羽根車2を支えるケーシング7と、このケーシング7と冷却塔10の間に配設される気流案内板8とを備える構成である。
【0015】
前記羽根車2は、前記軸部3を固着されて中心軸をなすハブ2aと、略円盤状で外周部分を上方に傾けて形成され、前記ハブ2aにボルト止めされる主板2bと、この主板2bに略平行に配設され、主板2b同様略円盤状で外周部分を上方に傾けて形成され、中心部に空気の吸込口となる開口部を有する側板2cと、主板2bと側板2cの中間に回転方向に対して後向きとして取付けられる複数枚の羽根2dと、側板2cとハブ2aを連結して補強する4本のステー2eとを備える構成である。この羽根車2は、主板2b及び側板2cの外周部分を上方すなわち通風経路下流側に傾斜させて、羽根車2内部から外周に向う空気通路を上方へ傾けた構成としていることから、空気が遠心方向に対し上方に傾けた向きへ偏向されて送出され、ケーシング7内にスムーズに進入できることとなる。
【0016】
前記羽根2dは、ウレタン発泡体の芯の外周をFRPで覆って軽量且つ強固に形成されてなり、羽根断面が飛行機の翼のように膨らみをもった翼形となっているので、曲面状に成形した等厚の板状羽根に比べて羽根強度が高い。
【0017】
前記ケーシング7は、羽根車2を中心にその周囲を取囲む方形開口形状の筒体で形成され、この筒体の上部開口を上向きの吐出口7cとなし、筒体の各側壁7aを羽根車2の外周から所定間隔を空けて配置し、この側壁7aの羽根車最近傍位置から羽根車2の回転方向へ進むに従って断面積が徐々に増加する四つの拡大通路部7bを形成させてなる構成である
【0018】
前記気流案内板8は、ケーシング7の通風経路上流側端部を閉塞する略板状体で形成され、中央部には所定径の円形の開口部が形成されてなり、この開口部の口縁が上方へ突出しつつ羽根車2の空気吸込側端部周囲に所定の隙間を介して近接し、気流が冷却塔10から羽根車2を介さずにケーシング7へ流れるのを防ぐ仕組みである。
【0019】
次に、前記構成に基づく冷却塔用送風機における通風動作について説明する。モータ6により羽根車2を回動させると、冷却塔10内部に面する側板2cの開口部から冷却塔10の内部の空気が吸込まれる。ここで冷却塔10の内部の空気を吸込むことにより、冷却塔10には側方から新たに外気が吸込まれていく。羽根車2に吸込まれた空気は、羽根2dに沿って遠心方向へ流れて羽根車2の外へ送出される。羽根車2における羽根2dの配置が後向きであるので、羽根車2内の流れに無理がなく、また流線型の翼形羽根である羽根2dは流れに対して高揚力且つ低抵抗であるため、効率が良く騒音も小さい。空気は、吐出口7cから外気中にスムーズに吐出される。吐出口7cを上方に向けているので、吐出した空気が再度冷却塔10の内部に吸込まれる(ショートサーキット)現象はほとんど発生せず、常に温度の低い外気を冷却塔10内に取入れられる。
【0020】
このように、本実施の形態に係る冷却塔用送風機では、遠心ファンの一つである後向き羽根ファンを用い、軸流ファンに比べて羽根枚数を多くすると共に、羽根の幅を軸方向に延して羽根面積を大きくできることから、周速度を増加させずに風量を大幅に増やすことができ、冷却塔の冷却効率の向上と低騒音化が共に実現できる。また、ケーシング形状も単純化でき、製作しやすく低コスト化が図れる。
【0021】
なお、前記実施の形態に係る冷却塔用送風機においては、ケーシング7は単純な方形開口形状の筒体に形成されてなる構成としているが、この他、ケーシング7を、下部に対し上部を拡開させる逆角錐台状の筒体に形成する構成にすることもでき、羽根車2とケーシング7側面との間の空気通路が吐出口7cに向かってよりスムーズな拡開形状となることから、羽根車2から送出される空気を動圧から静圧へエネルギ損失を極力抑制して吐出できる
【0022】
また、前記実施の形態に係る冷却塔用送風機においては、羽根車2を後向き羽根ファンとする構成としているが、羽根車が、断面形状が円弧状で半径方向に短く軸方向に長い多数の羽根(通常36〜64枚)を回転方向に対して前向きに取付けられてなる多翼ファンとする構成にすることもでき、前向き羽根であるため、同一風量・圧力の条件で送風機を最も小型にできることとなる。また、複数の平板状の羽根が半径方向に向けて取付けられてなるラジアルファンとする構成にすることもでき、羽根の構造を簡単にでき、コストダウンが図れると共に、羽根強度が高く耐久性に優れることとなる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、熱交換部分の下流側に遠心ファンを配設すると共に当該遠心ファンの周囲にケーシングを配設し、遠心ファンにおいて羽根枚数を多く且つ羽根の幅を軸方向にのばして総羽根面積を大きくすることで周速度を増加させずに風量を増やせることにより、騒音の発生を抑えながら風量増加が図れ、また、遠心ファンから側方に放出される空気の動圧をケーシングにより軸方向に方向を変えつつ静圧に変換できることとなり、冷却塔の冷却効率向上と騒音の抑制を両立させると共に、放出された空気が再度熱交換部分へ帰還する(ショートサーキット)現象も確実に防げるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明においては、ケーシングが通風経路下流側に向って拡開状に形成され、遠心ファンとケーシング側面との間の空気通路が吐出口に向かってよりスムーズな拡開形状となることにより、遠心ファンから送風される空気を動圧から静圧へエネルギ損失を極力抑制して吐出できるという効果を有する。
【0026】
また、本発明においては、空気の遠心ファンから送出される向きが、遠心方向に対し通風経路下流側に傾けた向きに偏向されることにより、通風経路下流側の吐出口に向うケーシング内流れがスムーズになり、損失を減らして空気を効率よく吐出できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る冷却塔用送風機の設置状態の概略構成正面図である。
【図2】(A)は本発明の一実施の形態に係る冷却塔用送風機の設置状態の左側面図である。
(B)は本発明の一実施の形態に係る冷却塔用送風機の設置状態の平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る冷却塔用送風機の概略構成平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(A)は本発明の一実施の形態に係る冷却塔用送風機の羽根車の縦断面図である。
(B)は図5(A)のB矢視図である。
【図6】 (A)は従来の冷却塔用送風機の設置状態の概略構成平面図である。
(B)は図6(A)のC−C断面図である。
【符号の説明】
1、100 冷却塔用送風機
2、101 羽根車
2a、101b ハブ
2b 主板
2c 側板
2d、101a 羽根
2e ステー
3、102 軸部
3a プーリ
4 軸受部
5、104 ベルト
6、103 モータ
7、105 ケーシング
7a 側壁
7b 拡大通路部
7c 吐出口
8 気流案内板
9 仕切板
10 冷却塔

Claims (3)

  1. 冷却塔で強制通風を行う冷却塔用送風機において、
    前記冷却塔の熱交換部分より通風経路下流側に配設され、前記熱交換部分を通じて空気を軸方向から吸込み、略遠心方向に送出する遠心ファンと、
    当該遠心ファンを中心として遠心ファンの周囲を取囲む略矩形又は方形開口形状の略筒状体で形成され、当該略筒状体の前記冷却塔熱交換部分側とは逆側の端部開口を空気の吐出口とされてなるケーシングと、
    前記ケーシングの通風経路上流側端部を閉塞する略板状体で形成され、前記遠心ファンの空気吸込側端部周囲に所定の隙間を介して近接する口縁を有する開口部が前記略板状体の略中央に形成されてなる気流案内板とを備え
    前記ケーシングにおける略矩形又は方形開口の各辺寸法が、冷却塔の幅に収る大きさとされ、
    前記ケーシング内側で且つ前記気流案内板より下流側の略矩形又は方形開口領域には前記遠心ファンと当該遠心ファンの軸支機構のみ配設され、遠心ファンの外周とケーシングをなす各側壁との間の間隔を、遠心ファン外周の半径と遠心ファンにおける空気吸込側端部の開口半径との差寸法より大きくすることを
    特徴とする冷却塔用送風機。
  2. 前記請求項1に記載の冷却塔用送風機において、
    前記ケーシングが、遠心ファンの空気吸込側から通風経路下流側に向って拡開状に形成されることを
    特徴とする冷却塔用送風機。
  3. 前記請求項1又は2に記載の冷却塔用送風機において、
    前記遠心ファンが、内部の空気通路を遠心方向に対し通風経路下流側へ所定角度傾けて形成されることを
    特徴とする冷却塔用送風機。
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