以下、図面とともに本発明による歩幅測定装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一又は相当の部分には同一符号を付すこととする。
本発明の第1実施形態に係る歩幅測定装置10について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る歩幅測定装置を概略的に示す斜視図である。図1に示す歩幅測定装置10は、トレッドミル20の走行面30上を走行する被験者Sの歩幅を測定する装置である。歩幅測定装置10は、トレッドミル20、信号波出射部40(信号波出射手段)、第2の信号波出射部42(第2の信号波出射手段)、検出器部60、及びコンピュータ90を備えている。
トレッドミル20は、その内部に一対のローラー22,24が平行に設置されている。ローラー22,24には無端ベルト26が掛け渡されており、カバー28の矩形状の開口部より露出する無端ベルト26の面が走行面30となる。駆動装置(図示せず)がローラー22,24の回転速度を制御することによって、無端ベルト26の走行面30は所定方向(図中、矢印X方向)に駆動される。
信号波出射部40は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置されており、上記の所定方向に交差する方向、かつ、走行面30に対して所定の高さに信号波L1を出射する。本実施形態では、信号波出射部40は、信号波L1として光ビームL1を出射する光源であり、縁部32に沿うカバー28上に配置されている。光ビームL1の出射方向は、上記の所定方向に実質的に直交する方向である。また、信号波出射部40が光ビームL1を出射する所定の高さとは、走行面30に着地した被験者Sの足(又は靴)の側部の先端から踵にかけて光ビームL1が照射される高さである。この所定の高さは、例えば、走行面30から2、3センチの高さである。
第2の信号波出射部42は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置されており、第2の信号波L2を出射する。本実施形態では、第2の信号波出射部42は、第2の信号波L2として光ビームL2を出射する光源であり、縁部32に沿うカバー28上に配置されている。第2の信号波出射部42は、信号波出射部40と同様の所定の高さに光ビームL2を出射する。また、第2の信号波出射部42は、光ビームL1の出射方向に対して所定角度傾斜するよう光ビームL2を出射する。この所定角度については、後述する。
検出器部60は、信号波検出部62(信号波検出手段)、第2の信号波検出部64(第2の信号波検出手段)、及び演算部66を備えている。
信号波検出部62は、トレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置において信号波出射部40と対向配置され、信号波出射部40によって出射された信号波L1を検出する。本実施形態では、信号波検出部62は、光ビームL1を受光するための受光素子を搭載しており、縁部34に沿うカバー28上に配置されている。信号波検出部62は光ビームL1が遮断されたときには第1の信号を、光ビームL1を検出したときには第2の信号をそれぞれ演算部66に出力する。
本実施形態では、光ビームL1と被験者Sの足が交差せず、光ビームL1を受光している場合、信号波検出部62は第2の信号としてON信号を演算部66に出力する。一方、光ビームL1と被験者Sの足が交差し、光ビームL1が遮断されている場合、信号波検出部62は第1の信号としてOFF信号を演算部66に出力する。
第2の信号波検出部64は、トレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置において、第2の信号波L2を検出するように配置されている。本実施形態では、第2の信号波検出部64は、光ビームL2を受光するための受光素子を搭載しており、縁部34に沿うカバー28上に配置されている。第2の信号波検出部64は、第2の信号波出射部42からの光ビームL2が遮断されている場合には第1の信号としてOFF信号を、光ビームL2を受光している場合には第2の信号としてON信号を演算部66に出力する。
以下、演算部66について詳細に説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る歩幅測定装置の検出器部の構成を示す図である。図2に示す演算部66は、タイミング検出部67と、移動時間演算部68、ノイズ除去部70、移動速度演算部72(移動速度演算手段)、ストライド時間演算部74(ストライド時間演算手段)、歩幅演算部76(歩幅演算手段)、データ出力部78、及び左右判定部80(左右判定手段)を有している。
以下、時刻の経過と共に走行面を走行する被験者Sの足が光ビームL1及びL2と交差する状態を示す図3、図3に示す状態A〜Fを経ることによって信号波検出部62から出力される信号のタイムチャートである図4(a)、同様に第2の信号波検出部64から出力される信号のタイムチャートである図4(b)を参照しつつ、演算部66の構成要素について詳細に説明する。なお、以下の説明では、時刻の順序を表すために、添字n−1及びnを用いる。
タイミング検出部67は、信号波検出部62から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nを抽出し、移動速度演算部72及びストライド時間演算部74に出力する。また、タイミング検出部67は、第2の信号波検出部64から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts2nを抽出して、立下り時刻Ts1nと立下り時刻Ts2nを左右判定部80に出力する。
移動時間演算部68は、タイミング検出部67によって出力された立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nとの差演算を実行し、その実行結果を移動時間ΔTnとしてノイズ除去部70に出力する。すなわち、移動時間演算部68は、被験者Sの足によって光ビームL1が遮断されていた時間である移動時間ΔTnをノイズ除去部70に逐次出力する。
例えば、被験者Sの左足が図3の状態D〜Eに示すように走行面30上を通過すると、図4(a)に示すように信号波検出部62からはTs1n〜Te1nの間、すなわちΔTnの時間、OFF信号が出力される。移動時間演算部68は、Ts1nとTe1nとの差演算の結果である移動時間ΔTnをノイズ除去部70に出力する。
ノイズ除去部70は、移動時間演算部68によって出力された移動時間ΔTnと、異なる時刻に出力された移動時間とを、所定の規則に基づいて比較する。ノイズ除去部70は、比較の結果、移動時間ΔTnが異なる時刻に出力された移動時間よりも所定量短いと判断した場合、移動時間ΔTnをノイズとして除去する。一方、ノイズ除去部70は、同様の比較の結果、移動時間ΔTnが短くないと判断した場合には、その移動時間ΔTnを移動速度演算部72に出力する。本実施形態では、上記所定の規則として、ノイズ除去部70は、移動時間ΔTnを、異なる時刻に算出された数回分の移動時間の平均による平均時間と比較し、例えば移動時間ΔTnが上記の平均時間の1/2以下であった場合には、移動時間ΔTnを除去する。なお、所定の規則には、異なる時刻に算出された数回分の移動時間の平均や標準偏差を用いて、移動時間ΔTnと比較するなど、種々の規則が適用され得る。
移動速度演算部72は、被験者Sの足のサイズDとノイズ除去部70から出力された移動時間ΔTnとの商演算の結果を被験者Sの移動速度Vnとして算出する。移動速度演算部72は、移動速度Vnを歩幅演算部76及びデータ出力部78に出力する。
ストライド時間演算部74は、信号波検出部62から続けて出力される二つのOFF信号の出力時刻の差演算を実行し、その実行結果をストライド時間Stnとして歩幅演算部76及びデータ出力部78に出力する。本実施形態では、タイミング検出部67から出力される立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1との平均と、タイミング検出部67から各々続けて出力される立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nとの平均との差演算を実行し、その実行結果を、ストライド時間Stnとする。このようにして算出されるストライド時間は被験者Sが一歩進むのにかかる時間である。
例えば、被験者Sの右足が図3の状態A〜Bに示すように走行面30上を通過すると、図4(a)に示すように時刻Ts1n-1からTe1n-1の間OFF信号が出力され、続けて被験者Sの左足が状態D〜Eに示すように走行面30上を通過すると、時刻Ts1nからTe1nの間OFF信号が出力される。ストライド時間演算部74は、タイミング検出部67から出力された立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1の平均時刻と、立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nの平均時刻との差演算を実行し、その実行結果をストライド時間Stnとして歩幅演算部76に出力する。
このように、ストライド時間演算部74は、タイミング検出部67から出力された立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1の平均時刻と、立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nの平均時刻との差演算によって、ストライド時間Stnを精度良く求めることができる。なお、ストライド時間Stnは、信号波検出部62によって続けて出力される二つのOFF信号の立ち上がり時刻の差、或いは、立ち下がり時刻の差から求められても良い。
歩幅演算部76は、移動速度演算部72から出力された移動速度と、ストライド時間演算部74から出力されたストライド時間との積演算を実行し、その実行結果を被験者Sの歩幅Wnとする。歩幅演算部76は、算出した歩幅Wnをデータ出力部78に出力する。本実施形態では、歩幅演算部76は、移動速度演算部72から出力された移動速度Vn-1とストライド時間演算部74から出力されたストライド時間Stnとの積演算の結果を歩幅Wnとする。
左右判定部80は、信号波検出部62によって出力されるOFF信号の出力時刻と第2の信号波検出部64によって出力されるOFF信号の出力時刻との差から、歩幅演算部76で算出された歩幅の左右を判定する。
より具体的には、左右判定部80は、タイミング検出部67から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts1n-1と立下り時刻Ts2n-1の時刻差An-1と、タイミング検出部67から続けて出力されるOFF信号の立下り時刻Ts1nと立下り時刻Ts2nの時刻差Anを求める。そして、左右判定部80は、時刻差An-1とAnとを比較し、AnがAn-1より小さければ歩幅演算部76によって算出された歩幅Wnは、縁部32に近い方の足、本実施形態では左足と判定し、逆の場合には、右足と判定する。左右判定部80は、この判断の結果、歩幅演算部76によって算出された歩幅Wnが右足あるいは左足である旨を示す信号をデータ出力部78に出力する。
例えば、被験者Sの右足が図3の状態A〜Cに示すように走行面30上を通過すると、図4(a)に示すように時刻Ts1n-1からOFF信号が出力され、更に図4(b)に示すように、時刻Ts2n-1からOFF信号が出力される。続いて、被験者Sの左足が図3の状態D〜Fに示すように走行面30上を通過すると、図4(a)に示すように時刻Ts1nからOFF信号が出力され、更に図4(b)に示すように、時刻Ts2nからOFF信号が出力される。左右判定部80は、タイミング検出部67から出力された立下り時刻Ts1n-1と立下り時刻Ts2n-1の時刻差An-1と、立下り時刻Ts1nと立下り時刻Ts2nの時刻差Anとを比較してAnの方が小さいと判定し、歩幅演算部76によって算出された歩幅Wnは左足である旨を示す信号をデータ出力部78に出力する。
ここで、第2の信号波出射部42が出射する光ビームL2に関する上記の所定角度について説明する。所定角度とは、左右判定部80において第1計測時間(An−1)と第2計測時間(An)の比較が可能になる程度の角度である。より具体的には、所定角度θは、以下のようにしてもとめることが可能である。時速10kmで被験者Sが走行している場合、被験者Sは10msの間に約2.7cm進む。すなわち、第1計測時間と第2計測時間とに100msの差をつけるには、第2の信号波出射部42の出射した光ビームL2が右足と交差する地点と、第2の信号波出射部42の出射した光ビームL2が左足と交差する地点との間がX方向に約30cm離れていれば良いことになる。したがって第2の信号波出射部42と第2の信号波検出部64との距離が80cmであるとき、所定角度θは、tanθ=30cm/80cmの角度となる。
データ出力部78は、歩幅演算部76によって出力された歩幅及び左右判定部80によって出力された歩幅の左右を示す信号をコンピュータ90及びトレッドミル20の走行面30を駆動する駆動装置に出力する。
コンピュータ90は、物理的には、CPU(中央処理装置)、メモリといった記憶装置、キーボードといった入力装置、ディスプレイといった表示装置などを有している。コンピュータ90は、RS232Cのシリアルインターフェイス等を経由して歩幅測定装置10から入力された移動速度、ストライド時間、及び歩幅の情報を記録し、歩幅の変化やストライド時間の増減に伴う移動速度の変化等をリアルタイムにグラフとして表示する。
次に、検出器部60の動作について説明する。図5は、検出器部60の動作を示すフローチャートである。なお、図5では、便宜上、検出器部60の動作をステップS01〜S10の順に表しているが、検出器部60の動作は図5に示す順序に限られない。
図5に示すように、信号波検出部62から出力されたOFF信号の立下り時刻Ts1n及び立上り時刻Te1nがタイミング検出部67によって抽出され、移動時間演算部68、及び、ストライド時間演算部74に出力される。立下り時刻Ts1nは、左右判定部80にも出力される(ステップS01)。
次いで、移動時間演算部68は、立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nとの差演算を逐次実行し、その実行結果を移動時間ΔTnとして、ノイズ除去部70に出力する(ステップS02)。
次いで、ノイズ除去部70は、移動時間演算部68によって出力された移動時間ΔTnのうち、上述したようにノイズと判断されるものを除去し、ノイズと判断しない場合には、その移動時間ΔTnを移動速度演算部72に出力する(ステップS03)。
次いで、移動速度演算部72は、被験者Sの足のサイズDとノイズ除去部70から出力された移動時間ΔTnの商演算を実行し、その実行結果を被験者Sの移動速度Vnとして歩幅演算部76、及びデータ出力部78に出力する(ステップS04)。
次いで、ストライド時間演算部74は、タイミング検出部67から出力された立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1の平均時刻と、続けてタイミング検出部67から出力された立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nの平均時刻との差演算を実行し、その実行結果をストライド時間Stnとして歩幅演算部76、及びデータ出力部78に出力する(ステップS05)。
次いで、歩幅演算部76は、移動速度演算部72によって出力された移動速度Vn-1とストライド時間Stnとの積演算を実行し、その実行結果を被験者Sの歩幅Wnとして、データ出力部78に出力する(ステップS06)。
次いで、タイミング検出部67は、第2の信号波検出部64から出力されたOFF信号の立下り時間Ts2nを抽出して、左右判定部80に出力する(ステップS07)。左右判定部80は、立下り時間Ts2nと立下り時間Ts1nとの時刻差Anを求め(ステップS08)、既に求められている時刻差An-1と時刻差Anとを比較することによって、歩幅演算部76によって出力された歩幅Wnが左右のいずれの足によるものかを判定する。左右判定部80はその判定結果に応じて、左足あるいは右足である旨の信号をデータ出力部78に出力する(ステップS09)。
データ出力部78は、被験者Sの移動速度Vn、ストライド時間Stn、及び歩幅Wnをコンピュータ90やトレッドミル20の駆動装置等に出力する。コンピュータ90は歩幅の時間変化グラフに新たに算出された歩幅Wnを表示し、トレッドミル20の駆動装置は被験者Sの移動速度Vnやストライド時間Stnに応じて走行面30の駆動速度を調整する。
次いで、被験者Sによってトレッドミル20の動作が停止されたか否かが検出され(ステップS10)、停止された場合には検出器部60の動作は停止し、一方、停止されていない場合には、ステップS01からの一連の動作が繰り返される。
以上説明したように、本実施形態の歩幅測定装置10によれば、センサとして走行面30の一方の縁部32に沿うカバー28上に信号波出射部40を設け、他方の縁部34に信号波検出部62を設けることによって、被験者Sの歩幅を測定することができるので、小型化された歩幅測定装置が提供される。また、本実施形態の歩幅測定装置10は、ベルトの駆動速度を用いずとも、被験者Sの移動速度を算出することができる。
さらに、本実施形態の歩幅測定装置10によれば、光ビームL1を遮断してから光ビームL2を遮断するまでの時間が、左右の足で異なることを利用して、算出された歩幅が左右いずれの足によるものなのかを判定することができる。
なお、クロストークを回避するため、信号波出射部40をトレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置に配置し、信号波検出部62をトレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置しても良い。もしくは、第2の信号波出射部42をトレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置に配置し、第2の信号波検出部64をトレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置しても良い。
また、信号波出射部40によって出射される信号波L1及び第2の信号波出射部42によって出射される第2の信号波L2の波長は、同一でも良いし、異なっても良い。また、上記の信号波L1及び上記の第2の信号波L2は光パルスであっても良く、それらの周波数は、同一でも良く、異なっても良い。
次に、本発明の第2実施形態にかかる歩幅測定装置100を説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る歩幅測定装置を概略的に示す斜視図である。図6に示す歩幅測定装置100は、第1実施形態の歩幅測定装置10と同様のトレッドミル20、信号波出射部40(信号波出射手段)、第2の信号波出射部(第2の信号波出射手段)42、コンピュータ90を備えている。歩幅測定装置100は、更に検出器部160を備えている。ここでは、第1実施形態の歩幅測定装置10と構成の異なる検出器部160について説明する。
検出器部160は、信号波検出部162(信号波検出手段)、第2の信号波検出部164(第2の信号波検出手段)、及び演算部166を備えている。信号波検出部162は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置、すなわち縁部32に沿うカバー28上に配置され、信号波出射部40から出射され被験者Sの足によって反射される光ビームL1の反射光を受光する。信号波検出部162は、光ビームL1の反射光を受光した場合には第1の信号としてON信号を演算部166に出力し、反射光を受光していない場合には第2の信号としてOFF信号を演算部166に出力する。
第2の信号波検出部164は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置、すなわち縁部32に沿うカバー28上に配置され、第2の信号波出射部42から出射され被験者Sの足によって反射される光ビームL2の反射光を受光する。第2の信号波検出部164は、光ビームL2の反射光を受光した場合には第1の信号としてON信号を演算部166に出力し、反射光を受光していない場合には第2の信号としてOFF信号を演算部166に出力する。
以上のように、信号波検出部162及び第2の信号波検出部164は、第1の信号としてON信号を演算部166に出力する。演算部166は、信号波検出部162及び第2の信号波検出部164の各々から出力されるON信号に基づいて歩幅を求めるための処理を実行する。したがって、演算部166が歩幅を求めるための処理は、立上り時刻と立下り時刻とが逆転しているのみで、他の処理については第1実施形態の演算部66と同様であり、構成要素も同様であるので演算部166の説明を省略する。
以上説明したように、被験者Sの足によって反射される光ビームL1の反射光を用いても、被験者Sの歩幅を求めることが可能である。また、被験者Sの足によって反射される光ビームL2の反射光を用いても、被験者Sの歩幅が左右いずれの足によるものかを判定することができる。
次に、本発明の第3実施形態にかかる歩幅測定装置200について説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係る歩幅測定装置を概略的に示す斜視図である。図7に示す歩幅測定装置200は、第1実施形態の歩幅測定装置10と同様のトレッドミル20及びコンピュータ90を備える。さらに、歩幅測定装置200は、第1の信号波出射部240(第1の信号波出射手段)、第2の信号波出射部242(第2の信号波出射手段)、第3の信号波出射部244(第3の信号波出射手段)、及び検出器部260を備えている。
第1の信号波出射部240は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置されており、トレッドミル20の走行面30が駆動される所定方向(図9の参照符号X)に交差する方向、かつ、走行面に対して所定の高さに第1の信号波L1を出射する。本実施形態では、第1の信号波出射部240は、第1の信号波L1として光ビームL1を出射する光源であり、縁部32に沿うカバー28上に配置されている。光ビームL1の出射方向は、上記の所定方向に実質的に直交する方向である。また、所定の高さとは第1実施形態と同様の高さである。
第2の信号波出射部242は、第1の信号波出射部240が設けられた位置から上記の所定方向に所定距離D隔てて配置され、所定方向に交差する方向、かつ、走行面30に対して所定の高さに第2の信号波L2を出射する。本実施形態では、第2の信号波出射部242は、第2の信号波L2として光ビームL2を出射する光源であり、縁部32に沿うカバー28上に配置されている。光ビームL2の出射方向及び走行面30に対する高さは、光ビームL1と同様である。また、上記の所定距離Dとは、被験者Sの歩幅を考慮して得られる距離であり、例えば、被験者Sの歩幅を60cmとすると10〜15cmの距離とされる。
第3の信号波出射部244は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置されており、第3の信号波L3を出射する。本実施形態では、第3の信号波出射部244は、第3の信号波L3として光ビームL3を出射する光源であり、縁部32に沿うカバー28上に配置されている。上記の所定の高さ、すなわち、光ビームL3が通過する走行面30に対する高さは、光ビームL1の高さと同様である。第3の信号波出射部244は、光ビームL1の出射方向に対して所定角度傾斜するよう光ビームL3を出射する。この所定角度は、第1実施形態の光ビームL1とL2それぞれの出射方向がなす角度と同様である。
検出器部260は、第1の信号波検出部262(第1の信号波検出手段)、第2の信号波検出部264(第2の信号波検出手段)、第3の信号波検出部265(第3の信号波検出手段)、及び演算部266を備えている。
第1の信号波検出部262は、トレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置において第1の信号波出射部240と対向配置され、第1の信号波出射部240によって出射された第1の信号波L1を検出する。本実施形態では、第1の信号波検出部262は、光ビームL1を受光するための受光素子を搭載しており、縁部34に沿うカバー28上に配置されている。第1の信号波検出部262は光ビームL1が遮断されたときには第1の信号としてOFF信号を、光ビームL1を検出したときには第2の信号としてON信号をそれぞれ演算部266に出力する。
第2の信号波検出部264は、トレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置において第2の信号波出射部242と対向配置され、第2の信号波出射部242によって出射された第2の信号波L2を検出する。本実施形態では、第2の信号波検出部264は、光ビームL2を受光するための受光素子を搭載しており、縁部34に沿うカバー28上に配置されている。第2の信号波検出部264は光ビームL2が遮断されたときには第1の信号としてOFF信号を、光ビームL2を検出したときには第2の信号としてON信号をそれぞれ演算部266に出力する。
第3の信号波検出部265は、トレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置において、第3の信号波L3を検出するように配置されている。本実施形態では、第3の信号波検出部265は、光ビームL3を受光するための受光素子を搭載しており、縁部34に沿うカバー28上に配置されている。第3の信号波検出部265は、第3の信号波出射部244からの光ビームL3を受光している場合には第1の信号としてOFF信号を、光ビームL3が遮断されている場合には第2の信号としてON信号を演算部266に出力する。
以下、演算部266について詳細に説明する。図8は、演算部266の構成を示す図である。演算部266は、タイミング検出部267、移動時間演算部268(移動時間演算手段)、ノイズ除去部270(ノイズ除去手段)、移動速度演算部272(移動速度演算手段)、ストライド時間演算部274(ストライド時間演算手段)、歩幅演算部276(歩幅演算手段)、データ出力部278、及び左右判定部280(左右判定手段)を有している。
以下、時刻の経過と共に走行面を走行する被験者Sの足が光ビームL1、L2及びL3と交差する状態を示す図9、図9に示す状態A〜Jを経た場合に第1の信号波検出部262から出力される信号のタイムチャートである図10(a)、同様に第3の信号波検出部265から出力される信号のタイムチャートである図10(b)、同様に第2の信号波検出部264から出力される信号のタイムチャートである図10(c)を参照しつつ、演算部266の構成要素について詳細に説明する。なお、以下の説明では、時刻の順序を表すために、添字n−1及びnを用いる。
タイミング検出部267は、第1の信号波検出部262から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1n、第2の信号波検出部264から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts2nと立上り時刻Te2nをそれぞれ抽出し、移動速度演算部272及びストライド時間演算部274に出力する。また、タイミング検出部267は、第3の信号波検出部266から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts3nを抽出して、立下り時刻Ts1nとTs2nと共に、Ts3nを左右判定部280に出力する。
移動時間演算部268は、本実施形態では、タイミング検出部267によって出力された立下り時刻Ts1nと立下り時刻Ts2nとの差演算を実行し、その実行結果を移動時間ΔTsnとしてノイズ除去部270に出力する。また、移動時間演算部268は、タイミング検出部267によって出力された立上り時刻Te1nと立上り時刻Te2nとの差演算を実行し、その実行結果を移動時間ΔTenとしてノイズ除去部に出力する。すなわち、移動時間演算部268は、被験者Sの足によって光ビームL1が遮断されてから光ビームL2が遮断されるまでの時間である移動時間をノイズ除去部270に逐次出力する。
例えば、被験者Sの右足が図9の状態F〜Jに示すように走行面30上を通過すると、図10(a)に示すように第1の信号波検出部262からはTs1n〜Te1nの間、OFF信号が出力される。また、第2の信号波検出部264からは、図10(c)に示すようにTs2n〜Te2nの間、OFF信号が出力される。移動時間演算部268は、Ts1nとTs2nとの差演算の結果である移動時間ΔTsn、Te1nとTe2nとの差演算の結果である移動時間ΔTenをノイズ除去部270に出力する。
なお、本実施形態では、移動時間演算部268は、移動時間としてΔTsn及びΔTenをノイズ除去部270に出力しているが、いずれか一方のみを出力しても良い。
ノイズ除去部270は、第1実施形態のノイズ除去部70と同様に、移動時間演算部268から出力された移動時間のうち、ノイズと判断されるものを除去し、一方、ノイズと判断しない移動時間については、移動速度演算部272に出力する。ノイズ除去部270の処理については、第1実施形態説明のノイズ除去部70と同様であるので、詳細についての説明を省略する。
移動速度演算部272は、第1の信号波出射部240と第2の信号波出射部242との間の所定距離Dとノイズ除去部270から出力された移動時間との商演算を実行し、その実行結果を被験者Sの移動速度Vnとして歩幅演算部276に出力する。本実施形態では、移動速度演算部272は、上記所定距離Dとノイズ除去部270から出力された移動時間ΔTsnとの商演算によって求められる移動速度Vsnと、所定距離Dと移動時間ΔTenとの商演算によって求められた移動速度Venとの平均を移動速度Vnとして、歩幅演算部276に出力する。なお、移動速度演算部272は、上記の移動速度Vsn及び移動速度Venのいずれか一方を移動速度Vnとしても良い。
ストライド時間演算部274は、第1の信号波検出部262又は第2の信号波検出部264のうちの一方から続けて出力される二つのOFF信号の出力時刻の差演算を実行し、その実行結果をストライド時間Stnとして歩幅演算部276及びデータ出力部278に出力する。
本実施形態では、ストライド時間演算部274は、タイミング検出部267から出力される立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1との平均と、タイミング検出部267から各々続けて出力される立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nとの平均との差演算を実行し、その実行結果を、ストライド時間Stnとする。このようにして算出されるストライド時間Stnは被験者Sが一歩進むのにかかる時間である。
例えば、被験者Sの右足が図9の状態A〜Bに示すように走行面30上を通過すると、図10(a)に示すように時刻Ts1n-1からTe1n-1の間OFF信号が出力され、続けて被験者Sの左足が状態F〜Gに示すように走行面30上を通過すると、時刻Ts1nからTe1nの間OFF信号が出力される。ストライド時間演算部274は、タイミング検出部267から出力された立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1の平均時刻と、立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nの平均時刻との差演算を実行し、その実行結果をストライド時間Stnとして歩幅演算部276に出力する。
このように、ストライド時間演算部274は、タイミング検出部267から出力された立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1の平均時刻と、立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nの平均時刻との差演算によって、ストライド時間Stnを精度良く求めることができる。なお、ストライド時間Stnは、立下り時刻Ts1n-1とTs1nとの差、または、立上り時刻Te1n-1とTe1nとの差から求められても良い。
歩幅演算部276は、移動速度演算部272から出力された移動速度と、ストライド時間演算部274から出力されたストライド時間との積演算を実行し、その実行結果を被験者Sの歩幅Wnとする。歩幅演算部276は算出した歩幅Wnをデータ出力部278に出力する。本実施形態では、歩幅演算部276は、移動速度演算部272から出力された移動速度Vn-1とストライド時間演算部274から出力されたストライド時間Stnとの積演算の結果を歩幅Wnとする。
左右判定部280は、第1の信号波検出部262または第2の信号波検出部264の一方から出力されるOFF信号の出力時刻と第3の信号波検出部265から出力されるOFF信号の出力時刻との差から、歩幅演算部276で算出された歩幅の左右を判定する。
より具体的には、本実施形態では、左右判定部280は、タイミング検出部267から出力されるOFF信号の立下り時刻Ts1n-1と立下り時刻Ts3n-1との時刻差An-1と、タイミング検出部267から続けて出力されるOFF信号の立下り時刻Ts1nと立下り時刻Ts3nとの時刻差Anを求める。そして、左右判定部280は、時刻差An-1とAnとを比較し、AnがAn-1より小さければ歩幅演算部276によって算出された歩幅Wnは、縁部32に近い方の足、本実施形態では左足と判定し、逆の場合には、右足と判定する。左右判定部280は、この判断の結果、歩幅演算部276によって算出された歩幅Wnが右足あるいは左足である旨を示す信号をデータ出力部278に出力する。データ出力部278については、第1実施形態のデータ出力部78と同様の構成を有するので、説明を省略する。
次に、歩幅測定装置200の検出器部260における動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、図11は、便宜上、検出器部260の動作をステップS21〜S31の順に表しているが、検出器部260の動作は図11に示す順序に限られない。
図11に示すように、第1の信号波検出部262から出力されたOFF信号の立下り時刻Ts1n及び立上り時刻Te1nがタイミング検出部267によって抽出され、移動時間演算部268、及び、ストライド時間演算部274に出力される。立下り時刻Ts1nは、左右判定部280にも出力される(ステップS21)。
次いで、第3の信号波検出部265から出力されたOFF信号の立下り時刻Ts3nがタイミング検出部267によって抽出され、左右判定部280に出力される(ステップS22)。
次いで、第2の信号波検出部264から出力されたOFF信号の立下り時刻Ts2n及び立上り時刻Te2nがタイミング検出部267によって抽出され、移動時間演算部268、及び、ストライド時間演算部274に出力される(ステップS23)。
次いで、移動時間演算部268は、立下り時刻Ts1nと立下り時刻Ts2nとの差演算、立上り時刻Te1nと立上り時刻Te2nとの差演算を逐次実行し、実行結果を移動時間ΔTsn、ΔTenとしてそれぞれノイズ除去部270に出力する(ステップS24)。
次いで、ノイズ除去部270は、移動時間演算部268によって出力された移動時間ΔTsn、ΔTenのうち、上述したようにノイズと判断されるものを除去し、ノイズと判断しない場合には、移動時間ΔTsn、ΔTenを移動速度演算部272に出力する(ステップS25)。
次いで、移動速度演算部272は、所定距離Dとノイズ除去部270から出力された移動時間ΔTsn、ΔTenの商演算を実行し、移動速度Vsn、Venを算出し、VsnとVenとの平均を移動速度Vnとして歩幅演算部276、及びデータ出力部278に出力する(ステップS26)。
次いで、ストライド時間演算部274は、タイミング検出部267から出力された立下り時刻Ts1n-1と立上り時刻Te1n-1の平均時刻と、続けてタイミング検出部267から出力された立下り時刻Ts1nと立上り時刻Te1nの平均時刻との差演算を実行し、その実行結果をストライド時間Stnとして歩幅演算部276、及びデータ出力部278に出力する(ステップS27)。
次いで、歩幅演算部276は、移動速度演算部272によって出力された移動速度Vn-1とストライド時間Stnとの積演算を実行し、その実行結果を被験者Sの歩幅Wnとして、データ出力部278に出力する(ステップS28)。
次いで、左右判定部280は、立下り時間Ts3nと立下り時間Ts1nとの時刻差Anを求め(ステップS29)、既に求められている時刻差An-1と時刻差Anとを比較することによって、歩幅演算部276によって出力された歩幅Wnが左右のいずれの足によるものかを判定する。左右判定部280はその判定結果に応じて、左足あるいは右足である旨の信号をデータ出力部278に出力する(ステップS30)。
データ出力部278は、被験者Sの移動速度Vn、ストライド時間Stn、及び歩幅Wnをコンピュータ90やトレッドミル20の駆動装置等に出力する。コンピュータ90は歩幅の時間変化グラフに新たに算出された歩幅Wnを表示し、トレッドミル20の駆動装置は被験者Sの移動速度Vnやストライド時間Stnに応じて走行面30の駆動速度を調整する。
次いで、被験者Sによってトレッドミル20の動作が停止されたか否かが検出され(ステップS31)、停止された場合には検出器部260の動作は停止し、一方、停止されていない場合には、ステップS21からの一連の動作が繰り返される。
以上説明したように、本実施形態の歩幅測定装置200によれば、センサとして走行面30の一方の縁部32に沿うカバー28上に第1の信号波出射部240及び第2の信号波出射部242を設け、他方の縁部34に第1の信号波検出部262及び第2の信号波検出部264を設けることによって、被験者Sの歩幅を測定することができるので、小型化された歩幅測定装置が提供される。また、本実施形態の歩幅測定装置200は、ベルトの駆動速度を用いずとも、被験者Sの移動速度を算出することができる。
さらに、本実施形態の歩幅測定装置200によれば、光ビームL1を遮断してから光ビームL3を遮断するまでの時間が、左右の足で異なることを利用して、算出された歩幅が左右いずれの足によるものなのかを判定することができる。
なお、クロストークを回避するため、第1の信号波出射部240及び第2の信号波出射部242をトレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置に配置し、第1の信号波検出部262及び第2の信号波検出部264をトレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置しても良い。もしくは、第3の信号波出射部244をトレッドミル20の他方の縁部34に沿う位置に配置し、第3の信号波検出部265をトレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置に配置しても良い。
また、第1の信号波出射部240によって出射される第1の信号波L1、第2の信号波出射部242によって出射される第2の信号波L2、及び第3の信号波出射部244によって出射される第3の信号波L3、の波長は、同一でも良いし、異なっても良い。また、上記の第1の信号波L1、上記の第2の信号波L2、及び上記の第3の信号波L3は光パルスであっても良く、それらの周波数は、同一でも良く、異なっても良い。
次に、本発明の第4実施形態にかかる歩幅測定装置300を説明する。図12は、本発明の第4実施形態に係る歩幅測定装置を概略的に示す斜視図である。図12に示す歩幅測定装置300は、第1実施形態の歩幅測定装置10と同様のトレッドミル20、コンピュータ90、第3実施形態と同様の第1の信号波出射部240(第1の信号波出射手段)、第2の信号波出射部242(第2の信号波出射手段)、第3の信号波出射部244(第3の信号波出射手段)を備えている。歩幅測定装置100は、更に検出器部360を備えている。ここでは、第1実施形態の歩幅測定装置10、第3実施形態の歩幅測定装置200と構成の異なる検出器部360について説明する。
検出器部360は、第1の信号波検出部362(第1の信号波検出手段)、第2の信号波検出部364(第2の信号波検出手段)、第3の信号波検出部365(第3の信号波検出手段)、及び演算部366を備えている。
第1の信号波検出部362は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置、すなわち縁部32に沿うカバー28上に配置され、信号波出射部240から出射され被験者Sの足によって反射される光ビームL1の反射光を受光する。第1の信号波検出部362は、光ビームL1の反射光を受光した場合には第1の信号としてON信号を演算部366に出力し、反射光を受光していない場合には第2の信号としてOFF信号を演算部366に出力する。
第2の信号波検出部364は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置、すなわち縁部32に沿うカバー28上に配置され、第2の信号波出射部242から出射され被験者Sの足によって反射される光ビームL2の反射光を受光する。第2の信号波検出部364は、光ビームL2の反射光を受光した場合には第1の信号としてON信号を演算部366に出力し、反射光を受光していない場合には第2の信号としてOFF信号を演算部366に出力する。
第3の信号波検出部365は、トレッドミル20の一方の縁部32に沿う位置、すなわち縁部32に沿うカバー28上に配置され、第3の信号波出射部244から出射され被験者Sの足によって反射される光ビームL3の反射光を受光する。第3の信号波検出部365は、光ビームL3の反射光を受光した場合には第1の信号としてON信号を演算部366に出力し、反射光を受光していない場合には第2の信号としてOFF信号を演算部366に出力する。
以上のように、第1の信号波検出部362、第2の信号波検出部364、及び第3の信号波検出部365は、第1の信号としてON信号を演算部366に出力する。演算部366は、1の信号波検出部362、第2の信号波検出部364、及び第3の信号波検出部365の各々から出力されるON信号に基づいて歩幅を求めるための処理を実行する。したがって、演算部366が歩幅を求めるための処理は、立上り時刻と立下り時刻とが逆転しているのみで、他の処理については第3実施形態の演算部266と同様であり、構成要素も同様であるので演算部366の説明を省略する。
以上説明したように、被験者Sの足によって反射される光ビームL1の反射光及びL2の反射光を用いても、被験者Sの歩幅を求めることが可能である。また、被験者Sの足によって反射される光ビームL3の反射光を用いても、被験者Sの歩幅が左右いずれの足によるものかを判定することができる。
以上本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を構成できる。例えば、被験者Sが走行面30において着地すべき位置を拘束しないように、複数の信号波出射部と信号波検出部を設置してもよい。これにより被験者Sの足と光ビームとが交差した時間を複数の信号波検出部の出力から選択できるので、被験者Sがどの位置に着地しても歩幅を算出することができる。
また、信号波出射部40、第2の信号波出射部42、第1の信号波出射部240、第2の信号波出射部242、第3の信号波出射部244は、光ビームに代えて、超音波あるいは電波等を出射する送信器を搭載しても良い。これに応じて、信号波検出部62、第2の信号波検出部64、信号波検出部162、第2の信号波検出部164、第1の信号波検出部262、第2の信号波検出部264、第3の信号波検出部265、第1の信号波検出部362、第2の信号波検出部364、第3の信号波検出部365には、超音波あるいは電波等を受信するためのディテクターを用いることができる。
以下、本発明の第5実施形態に係る歩幅測定装置について説明する。図13は、本発明の第5実施形態に係る歩幅測定装置を概略的に示す斜視図である。図13に示す歩幅測定装置400は、第1の実施形態の歩幅測定装置10と同様のトレッドミル20及びコンピュータ90を備える。更に、歩幅測定装置400は、複数の信号波出射部(信号波出射手段)402、複数の信号波検出部(信号波検出手段)404、第2の信号波出射部(第2の信号波出射手段)406、第2の信号波検出部(第2の信号波検出手段)408、及び演算部410を備えている。
複数の信号波出射部402は各々、走行面30の縁部に沿う位置において、隣り合う信号波検出部402と所定距離隔てて設けられている。本実施形態において、複数の信号波出射部402は、縁部32に沿うカバー28上に設けられている。複数の信号波出射部402は各々、所定方向Xに交差する方向、かつ、走行面30上の所定の高さに信号波を出射する。この信号波は、例えば光ビームであることができる。また、所定の高さとは、第1実施形態の光ビーム1の走行面30に対する高さと同様である。
複数の信号波検出部404は、走行面30の縁部に沿う位置に配置され、対応の信号波出射手段402によって出射された信号波を受ける。本実施の形態において、複数の信号波検出部404は、縁部34に沿うカバー28上に配置されている。
複数の信号波検出部404は、信号波に被験者の足が交差した場合の第1の信号と、信号波に前記被験者の足が交差しない場合の第2の信号とを出力する。本実施の形態において、信号波すなわち信号波出射部402からの光ビームに被験者の足が交差し、当該光ビームが遮断された場合に、信号波検出部404は、OFF信号を演算部410に出力する。一方、信号波出射部402からの光ビームに被験者の足が交差せず、当該光ビームを受光した場合に、信号波検出部404は、ON信号を演算部410に出力する。
第2の信号波出射部406は、走行面30の縁部に沿う位置に配置されている。第2の信号波出射部406は、所定方向Xに交差する方向に第2の信号波を出射する。第2の信号波出射部406は、第2の信号波の出射時刻を、演算部410に出力する。本実施の形態において、第2の信号波出射部406は、縁部32に沿うカバー28上に配置されており、第2の信号波として超音波を出射する。
第2の信号波検出部408は、走行面30の縁部に沿う位置において、第2の信号波の反射波を受信する。第2の信号波検出部408は、第2の信号波の受信時刻を、演算部410に出力する。第2の信号波検出部408は、本実施形態において、第2の信号波検出部408は、縁部32に沿うカバー28上に配置されており、第2の信号波出射部406から出射されて被験者の足によって反射される超音波を受信する。
以下、演算部410について説明する。図14は、第5実施形態に係る演算部の構成を示す図である。図14に示す演算部410は、物理的にプロセッサ、及びメモリ等の要素によって構成されている。演算部410は、機能的には、直線検出部(直線検出手段)412、着地時刻検出部(着地時刻検出手段)414、歩幅演算部(歩幅演算手段)416、ストライド時間演算部418、移動速度演算部(移動速度演算手段)420、左右判定部(左右判定手段)422、及びデータ出力部424を有している。
直線検出部412は、信号波検出部404からの信号(ON信号及びOFF信号)を受ける。信号波検出部404は、OFF信号の立下り時刻Tsと立上り時刻Trを当該信号の出力元である信号波検出部404を識別可能な態様で検出する。例えば、直線検出部412は、当該直線検出部412と複数の信号波検出部404とを結ぶ複数の信号線のうちどの信号線を介して伝送された信号であるかによって、当該信号の出力元である信号波検出部404を識別する。
以下、説明の便宜上、”i”を信号検出部404の識別番号とし、走行面30aの一端に近い信号波検出部404から順に1から昇順で整数の識別番号を付して説明する。また、Tsi,Triと記す立下り時刻,立上り時刻は各々、識別番号iの信号検出部404からの信号に基づいて検出された立下り時刻Ts,立上り時刻Trとする。
図15は、直線検出部の直線検出処理の概念を示す図である。図15において、横軸は、所定方向Xにおける信号波検出部404の位置を示しており、縦軸は時間を示している。図15において、白抜きの円は、立下り時刻Tsを一つのパラメータとする変数を示しており、白抜きの四角は、立上り時刻Trを一つのパラメータとする変数を示している。
直線検出部412は、信号波検出部404から出力される立下り時刻Tsi又は信号波検出部404から各々出力される立上り時刻Triと、対応の信号波検出部404の所定方向Xにおける位置とをパラメータとする変数を生成する。直線検出部412は、被験者の足が走行面30上を所定方向Xに通過することによって得られる一群の変数からなる変数のセットを生成する。直線検出部412は、当該変数のセットにフィットする直線を検出する。以下、立下り時刻Tsが変数におけるパラメータである場合について、説明する。
直線検出部412は、変数のセットにフィットする直線を検出するために、変数のパラメータである信号検出部404の位置が一端34aに近い順にi番目の変数とi+1番目の変数とを用いて、次式(1)によって傾きSlを算出する。
直線検出部412は、式(1)におけるiを2から初めて、所定数の傾きが安定している場合に、例えば、式(1)によるi=2の場合の傾きとi=2の変数を通過する直線を検出する。図15には、直線検出部412によって検出された直線L
n−1,L
n,L
n+1が示されている。なお、”n”は、時間方向における順序を表すインデックスである。
着地時刻検出部414は、被験者の足の走行面30への着地時刻を検出する。着地時刻を検出するために、着地時刻検出部414は、上記の変数のセットに含まれる変数のうち、当該変数のセットを用いて検出された直線Lnに対する誤差が所定値以内の変数であって、信号検出部404の位置として最も一端30aに近い位置をパラメータとして含む変数を検出する。着地時刻検出部414は、検出した当該変数に含まれている立下り時刻Tsより遅い立下り時刻Tsと、検出した当該変数に含まれている位置より一端30aに近い位置をパラメータとして含む変数を上記の変数のセットから検出する。着地時刻検出部414は、検出した変数に含まれている立下り時刻Tsを着地時刻Tlnとして検出する(図15参照)。
歩幅演算部416は、被験者Sの歩幅を算出する。具体的に、歩幅演算部416は、着地時刻Tlnを通過する直線と、直線Ln,直線Ln−1との交点Cn,Cn−1を検出する。歩幅演算部416は、交点Cn,Cn−1から特定される所定方向Xにおける距離を歩幅Wnとして算出する(図15参照)。
ストライド時間演算部418は、被験者Sが一歩に要する時間、すなわちストライド時間を算出する。ストライド時間演算部418は、着地時刻Tlnと着地時刻Tln−1との間の時間を算出し、当該時間をストライド時間Tsnとする(図15参照)。
移動速度演算部420は、被験者Sの足の速度(移動速度)を算出する。移動速度演算部420は、歩幅Snとストライド時間Tsnとの商演算の結果を、被験者Sの足の速度Vnとして算出する。
左右判定部422は、上記の歩幅Wn、ストライド時間Tsn、及び足の速度Vnが被験者Sの左右の足の何れによるものかを判定する。具体的に、左右判定部422は、第2の信号波の出射時刻を第2の信号波出射部406から受け、第2の信号波の反射波の受信時刻を第2の信号波検出部408から受ける。左右判定部422は、当該受信時刻と当該出射時刻との差を算出することによって、伝搬時間Ttnを算出する。左右判定部422は、伝搬時間Ttnを直前に算出した伝搬時間Ttn−1と比較することによって、伝搬時間Ttnが短い場合には、本実施形態では左足である旨の判定結果を出力する。
データ出力部424は、上記の歩幅Wn、ストライド時間Tsn、足の速度Vn、左右の足の判定結果を含むデータを、コンピュータ90に出力する。コンピュータ90は、データ出力部424からのデータを受け、当該データに含まれる歩幅Wn、ストライド時間Tsn、足の速度Vn、及び左右の足の判定結果に関する画面を出力する。コンピュータ90は、例えば、該データに含まれる歩幅Wn、ストライド時間Tsn、足の速度Vn、及び左右の足の判定結果をグラフ化してなる画面を出力することができる。
以下、演算部410の動作について説明する。図16は本発明の第5実施形態に係る演算部の動作を示すフローチャートである。図16に示すように、演算部410では、まず、直線検出部412が、上記の変数のセットから直線Lnを検出(ステップS51)。次いで、着地時刻検出部414が、当該変数のセットと直線Lnとを用いて、着地時刻Tlnを検出する(ステップS52)。
次いで、歩幅演算部416が、着地時刻Tlnを通過する直線と、直線Ln,直線Ln−1それぞれとの交点Cn,Cn−1を検出し、交点Cn,Cn−1によって特定される距離を、歩幅Wnとして算出する(ステップS53)。
次いで、ストライド時間演算部418が、着地時刻Tlnと着地時刻Tln−1との間の時間をストライド時間Tsnとして算出する(ステップS54)。そして、移動速度演算部420が、歩幅Wnとストライド時間Tsnとの商演算によって、被験者Sの足の速度(移動速度)Vnを算出する(ステップS55)。
次いで、左右判定部422が、歩幅Wn、移動速度Vn、及びストライド時間Tsnが被験者Sの左右の足の何れによるものかを上述したように判定し(ステップS56)、データ出力部424が、歩幅Wn、移動速度Vn、ストライド時間Tsn、及び左右判定部422の判定結果を含むデータを、コンピュータ90に出力する(ステップS57)。以上によって、コンピュータ90の画面に、歩幅Wn、移動速度Vn、ストライド時間Tsn、及び足の左右の判定結果が表示される。
次いで、被験者Sによってトレッドミル20の動作が停止されたか否かが検出され(ステップS58)、停止された場合には演算部410の動作は停止し、一方、停止されていない場合には、ステップS51からの一連の動作が繰り返される。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることができることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
10,100,200,300…歩幅測定装置、20…トレッドミル、22,24…ローラー、26…無端ベルト、28…カバー、30…走行面、40…信号波出射部、240…第1の信号波出射部、42,242…第2の信号波出射部、244…第3の信号波出射部、60,160,260,360…検出器部、62…信号波検出部、262…第1の信号波検出部、64,164,264,364…第2の信号波検出部、265…第3の信号波検出部、66,166,266,366…演算部、67,267…タイミング検出部、68,268…移動時間演算部、70,270…ノイズ除去部、72,272…移動速度演算部、74,274…ストライド時間演算部、76,276…歩幅演算部、78,278…データ出力部、80、280…左右判定部、90…コンピュータ。