JP4474993B2 - ダクト内騒音制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、騒音発生源よりダクト内を伝送されて放出される騒音を低減するために用いるダクト内騒音制御方法に関するものである。
工場施設等では、使用する各種機器が騒音を発生する騒音発生源となり、該騒音発生源より発せられる騒音が、所要の空気流通路(ダクト)内を伝送されて放出されることがある。たとえば、過給器や送風機(ブロワ)等では、ファンの回転騒音等の騒音が、吸気ダクトや排気ダクトに直接入り、これらのダクト内を伝送された後、放出されることがある。
この種のダクト内を伝送されて放出される騒音を低減するための対策の1つとしては、ダクトの途中位置にヘルムホルツ共鳴器を設けることが広く一般に知られている。
しかし、ヘルムホルツ共鳴器は、その形状、寸法等によって決定される一定の周波数において共鳴するものである。そのため、特定の周波数近辺の狭い周波数帯域でしか騒音低減効果を期待できない。そのために、より広範な周波数帯域で騒音を低減できるようにすることが望まれている。
ところで、構造物に発生する振動を制御する技術分野においては、制振対象となる構造物の上部に動吸振器を設置して、該動吸振器の質量(駆動マス)を、上記主構造の揺れに対して所要位相ずらして振動させることにより、上記主構造の振動を制限させることが考えられてきているが、上記のような動吸振器を用いて構造物の制振を行う場合、通常、主構造と動吸振器の同調周波数は、上記駆動マスの固定した固有振動数の近くの帯域のみとなり、この帯域でしか制振効果が得られない。このことに鑑みて、かかる動吸振器に広帯域に亘る制振効果を発揮させる、すなわち、制御対象となる主構造のモデル化誤差、固有振動数等のパラメータの変動が多少あっても制御効果が劣化しないようロバスト性を改善できるようにするための制御理論として、たとえば、動吸振器における駆動マス主構造の振動制御のロバスト性(性質)を改善すべくH無限大制御理論を用いた方法を採ることが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
更に、本発明者は、先の出願(特願2003−126663号)において、構造物の振動を制御する際に高いロバスト性を得ることができるようにするための振動制御方法として、制振対象に動吸振器を設置することを仮想した条件下にて、上記制振対象の振動を抑制させることができるように上記仮想した動吸振器を駆動させるときに該仮想した動吸振器より上記制振対象へ作用することとなる力を算出し、該算出された力を制御入力として所要のアクチュエータにより上記制振対象へ作用させるようにする振動制御方法を提案している。
小池・野波・西村・佐塚・谷田・鈴木,「2台のハイブリッド式制振装置による柔軟構造物のH∞/μ曲げ・ねじり制御」,日本機械学会,No.95−28,第4回「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集、1995年,p.209−212
ところが、広範な周波数帯域で騒音を低減できるようにするために、騒音発生源よりダクト内を伝送される騒音を空気の振動としてとらえて、上記非特許文献1に記載されているような振動制御方法を、騒音の制御に適用することを考えた場合、非特許文献1に記載されている振動制御方法は、制御則を制御対象に依存して決定しているため、制御対象のモデル化誤差や変動の許容範囲があまり大きくなく、ロバスト性はそれほど高いものとすることはできない。
すなわち、非特許文献1に記載された振動制御方法で用いている制御則では、制御対象の変動とともに制御効果が弱まり、固有振動数が20〜30%変わる程度の変動で不安定になってしまう。
そのために、実際上不可避の制御対象のモデル化誤差や変動により、制御効果の悪化や不安定発振が生じてしまうといった問題が生じる虞が懸念される。
したがって、このような問題の起こらない制御(ロバスト制御)の確立が重要課題となる。
なお、本発明者が先の出願で提案している上述の振動制御方法は、制振対象の振動を抑制させることができるように該制振対象に設置することを仮想した動吸振器の駆動力を算出するに際して、制御対象の運動特性を用いておらず、且つ上記仮想した動吸振器の同調周波数を任意とする制御が行えるように上記仮想した動吸振器の駆動力の制御則を設定しているため、これらの相乗効果により制振対象に対し、広帯域に亘ってロバスト性の高い多数モードの振動制御を行なうことができるものとなっている。しかし、これは構造物の振動制御方法であって、そのまま騒音の制御に適用できるものではない。
そこで、本発明者は、上記先の出願にて提案しているロバスト性の高い振動制御方法を、騒音発生源よりダクト内を伝送される騒音のアクティブな騒音制御に拡張、発展させることを考え、本発明をなした。
したがって、本発明の目的とするところは、ロバスト性の高いダクト内騒音制御方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明に対応して、騒音発生源からの騒音の伝送経路となるダクトの所要個所に設けてある騒音制御用スピーカの設置位置に、任意の周波数に同調し得るヘルムホルツ共鳴器が設置されていると仮想した条件の下で、ダクト内全体の騒音の音圧を低減させることができるよう上記仮想したヘルムホルツ共鳴器を共鳴させるときに該仮想ヘルムホルツ共鳴器からダクト内への媒質流量をオンライン計算し、算出される媒質流量が達成されるように上記騒音制御用スピーカを駆動するダクト内騒音制御方法とする。
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)騒音発生源からの騒音の伝送経路となるダクトの所要個所に設けてある騒音制御用スピーカの設置位置に、任意の周波数に同調し得るヘルムホルツ共鳴器が設置されていると仮想した条件の下で、ダクト内全体の騒音の音圧を低減させることができるよう上記仮想したヘルムホルツ共鳴器を共鳴させるときに該仮想ヘルムホルツ共鳴器からダクト内への媒質流量をオンライン計算し、算出される媒質流量が達成されるように上記騒音制御用スピーカを駆動するダクト内騒音制御方法としてあるので、音圧検出マイクよりコントローラへ入力されるダクト内騒音の音圧に応じて、該コントローラより騒音制御用スピーカへ駆動指令を与えて、該騒音制御用スピーカの駆動により上記ダクト内音場の騒音に対し、上記設置を仮想した任意周波数に同調し得るヘルムホルツ共鳴器を共鳴させて騒音を低減させる場合と同様の媒質流量を与えることができるようになることから、ダクト内の騒音を低減させることができる。したがって、上記騒音発生源よりダクト内を伝送された後、放出される騒音を低減させることが可能になる。
(2)更に、ダクトのモデル化誤差や変動が生じたとしても、ダクト内を伝送される騒音に対し、広帯域に亘ってロバスト性の高い多数モードの騒音制御を行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)は本発明のダクト内騒音制御方法の実施に用いるダクト内騒音制御装置の一形態を示すもので、以下のような構成としてある。
すなわち、図1(イ)に示す如く、一端側に各種機器のような騒音発生源2が接続されていて該騒音発生源2にて発せられる騒音が伝送されるダクト1の途中位置に、騒音制御用スピーカ3を設置する。該騒音制御用スピーカ3の近傍位置には、上記ダクト1内を伝送される騒音の上記騒音制御用スピーカ3の設置位置における音圧を検出するための音圧検出マイク4を設ける。更に、該音圧検出マイク4にて検出されるダクト1内の騒音の音圧の検出信号を基に、後述する制御則にしたがって上記騒音制御用スピーカ3へ駆動指令を与えるコントローラ5を備える。
上記コントローラ5の制御則は、図1(ロ)に示す如く、先ず、上記ダクト1における騒音制御用スピーカ3の設置位置にヘルムホルツ共鳴器を設置する場合を仮想した条件下にて、該設置を仮想したヘルムホルツ共鳴器(以下、仮想ヘルムホルツ共鳴器という)の方程式が、任意周波数に同時同調することができるようにしたときに、該仮想ヘルムホルツ共鳴器よりダクト1内音場へ与えられる媒質流量を算出する(ステップ1:S1)。次に、上記算出された仮想ヘルムホルツ共鳴器よりダクト1内音場へ与えられる媒質流量を上記騒音制御用スピーカ3で実装するために必要な駆動力を算出し、音圧検出マイク4にて検出される検出音圧より上記算出された駆動力までのコントローラ伝達関数を算出する(ステップ2:S2)。次いで、算出されたコントローラ伝達関数に基づき、音圧検出マイク4にて検出されるダクト1内音圧に応じた駆動力を、騒音制御用スピーカ3へ駆動指令として付与させるようにする(ステップ3:S3)ようにしてある。
以下詳述する。
先ず、ダクト内騒音制御装置のモデルとして、図2(イ)に示す如く、図1(イ)と同様の構成において、ダクト1の一端部に設ける騒音発生源2を、加振用スピーカ(騒音発生源と同じ符号2で示してある)とする場合について考える。
図2(イ)のように加振用スピーカ2と騒音制御用スピーカ3が設置されたダクト1内の音圧を支配する波動方程式(ダクト1内音圧に関するモード方程式)は、以下のようになる。
Figure 0004474993
ここで、x:ダクト1における騒音入射位置(図では加振用スピーカ2に接続してあるダクト1の左端部)を原点とするダクト1の長手方向の座標軸上の位置、p:ダクト内音圧、c:音速、ρ:媒質密度、S:ダクト1の断面積、S:騒音制御用スピーカ3の音圧を受ける面積、S:加振用スピーカ2の音圧を受ける面積、u:騒音制御用スピーカマスの変位、u:加振用スピーカマスの変位、L:騒音制御用スピーカ3の位置(x座標)、をそれぞれ示す。なお、本明細書の各数式内にて上に・を付したパラメータは、該パラメータの時間微分:d/dtを表し、又、上に‥を付したパラメータは、該パラメータの2回時間微分:d/dtを表すものとする。
上記式(1)の右辺はわき出し流量の時間微分を表すものである。式(1)をモード方程式に変換するため、モード座標をqとおいて、式(1)の解をモード関数の重ね合わせとして表すと、
Figure 0004474993
となる。ここで、X(x)は次式によって与えられるダクト内音圧pのn次モードの固有振動モード関数である(なお、次式におけるLはダクト1の全長を表す)。
Figure 0004474993
式(2)を式(1)に代入し、両辺にX(x)をかけて0<x<Lで積分してモード座標に関する微分方程式を導き、ダクト内音圧pのn次モードの減衰比ζを導入すると、次式が得られる。
Figure 0004474993
ここで、ε
Figure 0004474993
で表される積分値である。又、ωはダクト内音圧pのn次モードの固有振動数を示す。
次に、本発明のダクト内騒音制御方法における制御則について説明する。
上記制御則を導くにあたり、先ず、上記ダクト1における騒音制御用スピーカ3の設置位置Lに、図2(ロ)に示す如く、ヘルムホルツ共鳴器6(体積ν)を、長さL、断面積Sの結合管(結合部)7を介して設置したと仮想した場合に行なわれる騒音の受動制御について考えてみる。この場合、ダクト1と上記ヘルムホルツ共鳴器6との結合管7の長さLが短く、該結合管7内の媒質(質量ρ)が一様に速度dξ/dtで運動する(ξは結合管7内の媒質の変位を表す)として、結合管7内の媒質の運動方程式を導き、ヘルムホルツ共鳴器6の減衰比をζとおいて減衰項を導入すると以下のようになる。
Figure 0004474993
ここで、
Figure 0004474993
がヘルムホルツ共鳴器の固有振動数(同調周波数)である。
上記式(6)は物理的に以下のことを表している。すなわち、結合管7内媒質内変位ξが正になると、ヘルムホルツ共鳴器6内の媒質が圧縮されて該ヘルムホルツ共鳴器6内の圧力が増えて、結合管7内の媒質がダクト1の方へ押し戻され、逆に、結合管7内媒質変位ξが負になると、ヘルムホルツ共鳴器6内の圧力が減って結合管7内媒質はヘルムホルツ共鳴器6側に押される。したがって、上記のようなばね効果によって、結合管7内媒質の運動は、固有振動数ωを持つ振動型の方程式(6)に支配されることとなる。
そこで、加振用スピーカ2を任意の加振振動数ωにて加振させるときの加速度
Figure 0004474993
に対する定常振動解を式(4)(n=1)と式(6)より求めるため、解を、
Figure 0004474993
とおいて(Q及び上に^を付したξは、それぞれ対応するパラメータq及びξのラプラス変換を表す)、代入すると、振幅を求める方程式として次式を得る。
Figure 0004474993
ここで、Uは加振用スピーカマスの変位uのラプラス変換を表す。
この解は、逆行列の公式より
Figure 0004474993
となる。ここで、Aは式(10)の係数行列式である。
上記式(11)より、ダクト内音圧pは、ω=ω、すなわち、加振用スピーカ2の加振振動数ωが、ヘルムホルツ共鳴器6の同調周波数ωに近いときのみ小さくなる。したがって、上記ヘルムホルツ共鳴器6を設置することによるダクト1内騒音の受動制御では、ヘルムホルツ共鳴器6の同調周波数ω近くの狭帯域でしか制御効果が得られないことが明らかとなる。
この原因は、ダクト内音圧(制御対象)pの応答振幅Qが、必ず、逆行列の公式より式(10)の係数行列の(2,2)成分、すなわち、ヘルムホルツ共鳴器6の基礎方程式である式(6)の左辺の特性多項式に比例した形になり、この特性多項式がヘルムホルツ共鳴器6の同調周波数の近くでしか小さくならないことに起因している。
そこで、本発明のダクト内騒音制御方法では、上記のような問題を解決し、多数モード周波数の広帯域で制御効果を得ることができるようにするために、ヘルムホルツ共鳴器の方程式が、式(6)の代わりに以下の式(12)のように任意周波数に同時同調した形となるヘルムホルツ共鳴器(以下、ターゲット共鳴器という)を仮に実現しようとする。
Figure 0004474993
ここで、gは、後で導く安定条件のもとで1に近い値をとることが許される定数である。
又、ζ及びωはそれぞれ所要の定数である。この安定条件下では、時間変動がexp(iωt)の形に与えられる任意周波数の加振に対して、時間の2回微分演算子は任意周波数の二乗の逆符号と等価である。したがって、
Figure 0004474993
なる置き換えが可能であるため、上記式(12)は任意周波数gωに同調された形の次式と等価になる。
Figure 0004474993
次いで、上記ターゲット共鳴器からダクト1内音場へ与えられる媒質流量を実現するように騒音制御用スピーカ3を駆動するアクティブ制御則を導く。
上記ターゲット共鳴器の断面積をSとして、該ターゲット共鳴器(ヘルムホルツ共鳴器)からダクト1内音場へ与えられる媒質流量を、断面積Sの騒音制御用スピーカ3の変位uで実現するために要求される幾何学的条件
Figure 0004474993
を用いて、上記ターゲット共鳴器方程式となる式(12)を、騒音制御用スピーカ3の変位uで表した形に書き換えると、
Figure 0004474993
となる(図1(ロ)の制御則のステップ1)。この式(16)を、制御対象の方程式(4)と連成させた式は、式(10)に対比して、
Figure 0004474993
となる。この解は、逆行列の公式より以下のようになる。
Figure 0004474993
ここで、Aは式(17)の係数行列式である。したがって、式(11)とは対照的に、特性多項式(式(17)の係数行列の(2,2)成分)が広い周波数範囲で小さい値を取るため、広帯域で制御効果が得られることが期待できる。
次に、上記ターゲット共鳴器の安定性解析を行い、上記gの許容範囲を定める。
上記式(17)の係数行列式からs=iωの関係を用いて特性方程式を導くと、以下のようになる。
Figure 0004474993
ここで、
Figure 0004474993
である。上記において、aが正となるように定数gを、
Figure 0004474993
の範囲にとれば、フルビッツ行列式
Figure 0004474993
は正であり、安定であることが確認できる。すなわち、式(22a)のDが正であることは、負号のついたaが、aの第1項と、aの第2項の積と相殺することを式(20)により確認することによっても分かる。又、式(20e)より0の特性根があり、このために、式(18)の分母に因数sが生じても、s=iω=0の極限で解は有限で安定であることが式(18)より確かめられる。高次モードを考慮した場合には、gの安定限界を式(21)のよう解析的に決定することは困難であるが、gを1から徐々に小さくしながら時刻歴応答解析を行ない、安定制御できるgを探せば、容易にgの安定限界を見出すことが可能である。
したがって、上記のようにgの値を適宜選定することにより、上記仮想したターゲット共鳴器によれば、ダクト1内音場の任意の周波数の騒音に同時同調することができるようになると考えられることから、上記仮想のターゲット共鳴器の方程式(16)を、騒音制御用スピーカ3の動特性を介して実装するためのコントローラ伝達関数を導く方法について説明する。
騒音制御用スピーカ3の運動方程式は、ラプラス変換領域で、駆動力をFとすると以下のように表される。
Figure 0004474993
ここで、ζは、
Figure 0004474993
で示される騒音制御用スピーカ3の減衰比である。又、その他のパラメータは以下の通りである。s:ラプラス変換パラメータ、S:騒音制御用スピーカ3の音圧を受ける面積、m:騒音制御用スピーカ3の質量、P:ダクト内音圧pのラプラス変換、U:騒音制御用スピーカマスの変位uのラプラス変換
上記ターゲット共鳴器の基礎方程式である式(16)のラプラス変換表示は、
Figure 0004474993
となる。
式(23)から式(25)を辺々引き、両式の残差が0となるように駆動力を計算すると、以下のようになる。
Figure 0004474993
ここで、式(23)、式(25)の左辺の特性多項式を以下のように表記している。
Figure 0004474993
上記式(25)より得られる関係
Figure 0004474993
を式(26)に代入すれば、音圧検出マイク4による検出音圧から騒音制御用スピーカ3の駆動力までのコントローラ伝達関数H(s)を次のように決定できる(図1(ロ)の制御則のステップ2)。
Figure 0004474993
更に、該式(29)に、上記式(27)を代入し、以下のように変形を進めれば、1次遅れ要素と積分要素で実装できる形にできる。
Figure 0004474993
ここで、コントローラの極を決める定数Aを以下のように定義した。
Figure 0004474993
したがって、騒音発生源2より発せられる騒音がダクト1内を伝送されている状態のときに、音圧検出マイク4よりコントローラ5へ入力されるダクト内音圧pに応じて、該コントローラ5より騒音制御用スピーカ3へ上記算出されたコントローラ伝達関数H(s)に基づいて決定される駆動指令を与える(図1(ロ)の制御則のステップ3)と、上記騒音制御用スピーカ3の駆動により上記ダクト1内音場の騒音に対し、上記設置を仮想したターゲット共鳴器を共鳴させて騒音を低減させる場合と同様の媒質流量を与えることができるようになるため、ダクト1内音場の騒音を低減させることができる。したがって、上記騒音発生源2よりダクト内を伝送された後、放出される騒音を低減させることが可能になる。
しかも、上記コントローラ5における上記仮想のターゲット共鳴器による作用を騒音制御用スピーカ3の動特性により実装するためのコントローラ伝達関数H(s)には、パラメータとして、ダクト1の長さLやダクト1の断面積Sの項が含まれていないため、ダクト1のモデル化誤差や変動が生じたとしても、ダクト1内を伝送される騒音に対し、広帯域に亘ってロバスト性の高い多数モードの騒音制御を行うことができる。このことは、後述する実施例の結果からも明らかである。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、たとえば、騒音発生源2より発せられてダクト1内を伝送されて放出される騒音の低減化を図ることが望まれる個所であれば、騒音発生源2としては、過給器、送風機(ファン)以外のいかなる機器、あるいは、スピーカ等の音源であってもよい。又、本発明は、騒音発生源2側と騒音の放出側の途中位置に騒音制御用スピーカ3と音圧検出マイク4を設置することができるダクト1であれば、その形状や長さは任意のものに適用でき、更に、騒音発生源1より発せられる騒音を伝送する内部空間が存在するダクト状のものであれば、吸気ダクトや排気ダクトのように積極的に空気を流通させるようなダクト1以外のものにも適用できる。更に、ダクト1としては、一端側の外部位置に存在する騒音発生源2よりダクト1内部へ伝送される騒音が、該ダクト1内部を通して他端側より放出されるものであれば適用でき、必ずしも騒音発生源2が一端に直接接続されていない場合であってもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
以下、本発明者の行った数値実験結果について説明する。
(1)
図2(イ)に示したと同様の装置モデルを用いて、本発明のダクト内騒音制御方法による騒音の制御効果を、約50〜800Hzと広帯域に亘る周波数応答として、ダクト1の長さ寸法Lを1mと1.8mとする2つの条件の下でそれぞれ検証した。ダクト1の長さ寸法L以外の各パラメータの設定は同様であり、個々のパラメータの数値については結果と共に図3(イ)(ロ)中に記載してある。
なお、本数値実験では、周波数応答は、制御の不安定発振がないことを検証するため、解をeiωtに比例する形におき、振幅に関する代数方程式を解くことによって定常振幅を求める周波数領域での方法によらず、時間領域で時刻歴応答解析を行なうことによって求めるようにしてある。すなわち、ある加振周波数での時間応答をルンゲ・クッタ・ギル法で定常振幅に達するまで数値解析し、定常振幅に達したときの振幅を加振周波数の関数としてプロットした。この方法では、制御が不安定であると発振して定常振幅に達せず、図3(イ)(ロ)のような周波数応答曲線を描くことはできないので、安定性検証に有効である。
ダクト1の長さ寸法Lを1mとした場合についての周波数応答の結果を図3(イ)に実線8で示す。図3(イ)に破線9で示したものは、比較として同寸法のダクト1における無制御の場合の周波数応答を示すものである。これにより、本発明のダクト内騒音制御方法を適用した場合(実線8)には、無制御の場合(破線9)に対し、多数モードの広い周波数範囲でよい騒音制御効果(騒音低減効果)を得ることができることが判明した。
又、ダクト1の長さ寸法を1.8mとした場合についての周波数応答の結果を図3(ロ)に実線10で示す。図3(ロ)に破線11で示したものは、比較として同寸法のダクト1における無制御の場合の周波数応答を示すものである。この場合にも、本発明のダクト内騒音制御方法を適用した場合(実線10)は、無制御の場合(破線11)に対し、多数モードの広い周波数範囲でよい騒音制御効果を得ることができることが判明した。
更に、ダクト1の長さ寸法を1m及び1.8mと大幅に変更して、図3(イ)における破線9及び図3(ロ)における破線11にてそれぞれ示される無制御時の共振周波数の変化からも分かるように制御対象の特性を大きく変化させたとしても、制御則のパラメータを同一とした条件の下で、制御効果が維持されており、高いロバスト性を有することが判明した。
なお、図4(イ)(ロ)は、それぞれ上記と同様に長さ寸法を1mと1.8mに設定してあるダクト1に対し、図2(ロ)に示すモデル図と同様にヘルムホルツ共鳴器6を取り付けて受動制御を行わせる場合の制御効果について、図3(イ)(ロ)に示したと同様の周波数応答の結果をそれぞれ示すものである。図4(イ)及び図4(ロ)では、設置するヘルムホルツ共鳴器6の同調周波数は、それぞれ、ω/2π=255Hz及び142Hzとしてある。その他の各パラメータは、図4(イ)(ロ)中に記載してある。
図4(イ)及び図4(ロ)に示された結果より、ヘルムホルツ共鳴器6の設置による受動制御では、設置するヘルムホルツ共鳴器6の同調周波数近くの狭い帯域でしか制御効果が得られないことが分かる。
(2)
図5(イ)及び図5(ロ)は、図3(ロ)に示したと同様の条件の下で、(S/S)/Lの値、及び、gの値をそれぞれ減らすことにより制御を弱めることができることを示すものである。その結果は、図5(イ)における実線10a、及び、図5(ロ)における実線10bにそれぞれ示す。
上記それぞれの場合に制御を弱めることができることについての理由は、式(4)の右辺の制御入力項に式(28)を代入すると、
Figure 0004474993
となり、この制御入力項の係数
Figure 0004474993
が、(S/S)/Lとgのいずれかの値の減少に伴って小さくなることに起因している。この際、注意すべき点は、図3(ロ)では、図5(イ)(ロ)のどちらの場合に比較しても、この係数が3倍大きく、制御効果が強くなっているが、(S/S)/Lを増すよりgを増す方が制御効果の増強が著しいことである。
この理由は以下のように考察できる。すなわち、Aがgによることに注意すると(式(31)参照)、gが小さいときはAが小さいので式(32)は検出音圧に対する比例制御として作用するが、gが増すとAが増し、1/(s+A)の方が1/sより位相が大きくなって検出音圧に対する微分制御に近づく。その結果、gの増加に伴い散逸効果が生まれるためである。このような制御効果が、上述したgを増すことによる任意周波数同調性によってもたらされる。
本発明のダクト内騒音制御方法の実施に用いるダクト内騒音制御装置を示すもので、(イ)は概要図、(ロ)はコントローラにおける制御則のフローを示す図である。 本発明のダクト内騒音制御方法における制御則を導くために用いる装置モデル示すもので、(イ)はダクト内騒音制御装置における騒音発生源として加振用スピーカを接続した場合を示す概要図、(ロ)は(イ)と同様に加振用スピーカを接続したダクトにヘルムホルツ共鳴器を取り付けた状態を示す概要図である。 本発明のダクト内騒音制御方法による制御効果を検証した結果を示すもので、(イ)はダクトの長さ寸法を1mとした場合、(ロ)はダクトの長さ寸法を1.8mとした場合における周波数応答をそれぞれ示す図である。 ダクトにヘルムホルツ共鳴器を取り付けて騒音の受動制御を行わせる場合の制御効果を示すもので、(イ)はダクトの長さ寸法を1mとした場合、(ロ)はダクトの長さ寸法を1.8mとした場合における周波数応答をそれぞれ示す図である。 (イ)(ロ)はいずれも図3(ロ)と同様の条件の下で、それぞれ一部のパラメータの値を変更した場合に得られる騒音の制御効果を示す周波数応答を示す図である。
符号の説明
1 ダクト
2 加振用スピーカ(騒音発生源)
3 騒音制御用スピーカ
4 音圧検出マイク
5 コントローラ
6 ヘルムホルツ共鳴器

Claims (1)

  1. 騒音発生源からの騒音の伝送経路となるダクトの所要個所に設けてある騒音制御用スピーカの設置位置に、任意の周波数に同調し得るヘルムホルツ共鳴器が設置されていると仮想した条件の下で、ダクト内全体の騒音の音圧を低減させることができるよう上記仮想したヘルムホルツ共鳴器を共鳴させるときに該仮想ヘルムホルツ共鳴器からダクト内への媒質流量をオンライン計算し、算出される媒質流量が達成されるように上記騒音制御用スピーカを駆動することを特徴とするダクト内騒音制御方法。
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