JP4474852B2

JP4474852B2 - Resin composition for sliding member and sliding member

Info

Publication number: JP4474852B2
Application number: JP2003186636A
Authority: JP
Inventors: 一夫平井
Original assignee: Oiles Corp
Current assignee: Oiles Corp
Priority date: 2003-06-30
Filing date: 2003-06-30
Publication date: 2010-06-09
Anticipated expiration: 2023-06-30
Also published as: JP2005023105A

Description

【０００１】
【発明が属する技術分野】
本発明は、摺動部材用樹脂組成物および摺動部材に関し、詳しくは、摺動相手材としてアルミニウム合金などの軟質金属を使用した場合に、特に優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐摩耗性などを有しており、軸受、歯車などの機械要素の材料として広く使用されている。しかしながら、これら熱可塑性ポリエステル樹脂単独では、充分な摩擦摩耗特性が発揮されない。それ故、黒鉛、二硫化モリブデン、四ふっ化エチレン樹脂などの固体潤滑剤、鉱油やロウなどの潤滑油剤、ポリエチレン樹脂などの低摩擦性を有する他の合成樹脂などを熱可塑性ポリエステル樹脂に添加して、摩擦摩耗特性の向上が図られている。
【０００３】
例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂と特定量のステア燐酸カルシウムとから成る成形性に優れた樹脂組成物が提案されている（特許文献１参照）。ポリエチレンテレフタレート樹脂と中性または一部中和したモンタンワックス塩またはモンタンワックスエステル塩およびガラス繊維とから成る成形性に優れた樹脂組成物が提案されている（特許文献２参照）。ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂の群から選ばれる熱可塑性樹脂と特定の超高分子量ポリエチレン樹脂粉末とを溶融混練してなる耐衝撃性および耐摩耗性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提案されている（特許文献３参照）。
【０００４】
近年、複写機などＯＡ機器の発達に伴い、機械装置、機器類の軽量化が要求されている。このため、摺動部材の相手材としてアルミニウム合金が使用されている。軸受などの摺動部材においては、相手材の材質、表面性状などが、優れた摩擦摩耗特性を得るための重要な要素の１つである。
【０００５】
しかしながら、上記特許文献１〜３に開示された樹脂組成物から成る摺動部材は、アルミニウム合金から成る相手材との摺動において、摩擦係数が高く、摩耗量も大きいという問題があり、また、使用条件によってはアルミニウム合金から成る相手材表面に損傷を与えることもある。このため、アルミニウム合金などの軟質金属から成る摺動相手材に対して、良好な摩擦摩耗特性を示す摺動部材の提供が望まれている。
【０００６】
【特許文献１】
特開昭５１−１１４４５４号公報
【特許文献２】
特公昭５８−４６１５０号公報
【特許文献３】
特公昭６３−６５２３２号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実情に鑑みなされたもので、その目的は、相手材としてアルミニウム合金などの軟質金属を使用した場合、優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、主成分としてのポリブチレンテレフタレート樹脂に特定量の炭化水素系ワックスと、燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩のいずれか一種を配合した樹脂組成物から成る摺動部材が、優れた摩擦摩耗特性を発揮することを見出した。
【０００９】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、その第一の要旨は、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、炭化水素系ワックスと、燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩の群から選択された少なくとも一種と、芳香族ポリアミド樹脂粉末またはパラヒドロキシ安息香酸の単独重合体粉末を配合して成り、これらの配合成分の合計量に対し、炭化水素系ワックスの配合量が１〜１０重量％、燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩の群から選択された少なくとも一種の配合量が０．１〜３重量％、芳香族ポリアミド樹脂粉末またはパラヒドロキシ安息香酸の単独重合体粉末の配合量が１〜１５重量％であることを特徴とする摺動部材用樹脂組成物に存する。
【００１１】
また、第二の要旨は、上記摺動部材用樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする摺動部材に存する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を説明する。先ず、摺動部材用樹脂組成物について説明する。本発明の摺動部材用樹脂組成物は、炭化水素系ワックスと、燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩の群から選択された少なくとも一種と、主成分としてのポリブチレンテレフタレート樹脂（以下、「ＰＢＴ」と略称する。）と、耐摩耗充填材としての芳香族ポリアミド樹脂粉末または芳香族ポリエステル樹脂粉末を配合して成る。
【００１３】
使用される炭化水素系ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックスが挙げられる。これらの炭化水素系ワックスは、摩擦係数を低減する作用を有すると共に、相手材の損傷を著しく低減させる。
【００１４】
炭化水素系ワックスの配合量は、通常１〜１０重量％、好ましくは３〜７重量％、更に好ましくは５〜７重量％である。炭化水素系ワックスの配合量が、１重量％未満の場合は、低摩擦性に充分寄与せず、かつ、所望の低摩擦特性が得られない。また、配合量が１０重量％を超えた場合は成形性が悪くなると共に、得られた摺動部材の強度が低下する。
【００１５】
使用される燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩は、それ自体では潤滑性を示さないが、ＰＢＴと炭化水素系ワックスとの混合物に配合されることにより、相手材との摺動において、ＰＢＴおよび炭化水素系ワックスから成る混合被膜の相手材表面への形成を助長し、相手材表面への保持性を高め、かつ、耐久性を高める効果を発揮する。
【００１６】
燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩の群から選択された少なくとも一種の配合量は、通常０．１〜３重量％、好ましくは０．５〜２重量％である。配合量が０．１重量％未満の場合は、ＰＢＴおよび炭化水素系ワックスから成る混合被膜の相手材表面への造膜性、相手材表面での保持性、および、耐久性の効果が発揮されない。また、３重量％を超えた場合は、混合被膜の相手材表面への造膜性に問題を生じ、相手材表面に良好な混合被膜の形成が困難となり、その結果、摩擦摩耗特性が悪化することがある。
【００１７】
燐酸塩としては、燐酸三リチウム、燐酸水素二リチウム、燐酸三カルシウム、燐酸一水素カルシウム等が挙げられ、燐酸三リチウムが好適である。硫酸塩としては、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、硫酸バリウムが好適である。炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムが挙げられ、炭酸リチウムおよび炭酸カルシウムが好適である。
【００１８】
使用されるＰＢＴは、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートとブタンジオールとの重縮合によって得られる熱可塑性樹脂であり、以下の特長を有する。（１）摩擦係数が小さく、かつ、耐摩耗性に優れる。（２）高い融点（２２５℃）を有する。（３）耐薬品性に優れる。（４）吸水率が０．１％以下である。ＰＢＴの配合量は、樹脂組成物量からＰＢＴ以外の配合成分の量を差引いた残りの量であり、好ましくは７２〜９５重量％、更に好ましくは７５〜９０重量％である。
【００１９】
使用される芳香族ポリアミド樹脂としては、メタ型のポリメタフェニレンイソフタルアミド樹脂、パラ型のポリパラフェニレンテレフタルアミド樹脂およびコポリパラフェニレン・３，４’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が挙げられる。メタ型のポリメタフェニレンイソフタルアミド樹脂の具体例としては、帝人社製の「コーネックス（商品名）」、デュポン社製の「ノーメックス（商品名）」が挙げられる。パラ型のポリパラフェニレンテレフタルアミド樹脂の具体例としては、デュポン社製の「ケブラー（商品名）」、テイジン・トワロン社製の「トワロン（商品名）」が挙げられる。コポリパラフェニレン・３，４’オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂の具体例としては、帝人社製の「テクノーラ（商品名）」が挙げられる。これらの芳香族ポリアミド樹脂は、粉末の形態で使用される。
【００２０】
使用される芳香族ポリエステル樹脂としては、パラヒドロキシ安息香酸の単独重合体（ホモポリマー）が使用される。芳香族ポリエステル樹脂の具体例としては、住友化学工業社製の「スミカスーパーＬＣＰ（商品名）」が挙げられる。この芳香族ポリエステル樹脂は、粉末の形態で使用される。
【００２１】
【化１】

【００２２】
芳香族ポリアミド樹脂粉末または芳香族ポリエステル樹脂粉末は、摺動部材の耐摩耗性を向上させる効果を発揮する。芳香族ポリアミド樹脂または芳香族ポリエステル樹脂の配合量は、１〜１５重量％、好ましくは５〜１５重量％である。配合量が１重量％未満の場合は、耐摩耗性の向上に効果が認められず、また、１５重量％を超えた場合は、成形性に悪影響を及ぼすばかりでなく成形品の強度低下を招く虞がある。
【００２３】
本発明では低摩擦性の更なる向上を目的として、上述の成分組成の樹脂組成物に対し、固体潤滑剤や潤滑油、高級脂肪酸などの潤滑油剤を配合してもよい。固体潤滑剤としては、黒鉛、窒化ホウ素、四ふっ化エチレン樹脂、ポリエチレン樹脂の何れかが挙げられる。潤滑油としては、エンジン油、マシン油などの鉱油、ヒマシ油などの植物油、エステル油、シリコーン油などの合成油などが挙げられる。高級脂肪酸としては、炭素数が１４以上の飽和脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸など、炭素数が１８以上の不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。これら固体潤滑剤または潤滑油剤の配合量としては、１〜５重量％が好適である。
【００２４】
摺動部材用樹脂組成物は、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機によって、上述の各成分の所定量を混合し、得られた混合物を成形して得られる。
【００２５】
本発明の摺動部材は、前述の摺動部材用樹脂組成物を成形して得られる。摺動部材用樹脂組成物の成形は、射出成形機または押出成形機により直接成形する方法、摺動部材用樹脂組成物から得られたペレットを射出成形機または押出成形機により成形する方法のいずれであってもよい。後者の方法を具体的に説明すると、摺動部材用樹脂組成物をシリンダー温度１５０〜２６０℃、ダイス温度２３０〜２６０℃、スクリュー回転数１５０〜２５０ｒｐｍの押出成形機に投入して紐状の成形物を作製し、この紐状の成形物を切断してペレットを作製する。このペレットを成形原料として、該成形原料をシリンダー温度２００〜２６０℃、金型温度６０〜８０℃、ノズル温度２３０〜２５０℃、射出圧力５００〜８００ｋｇｆ／ｃｍ^２に調整した射出成形機に投入して所望の形状の成形物を得る。
【００２６】
本発明の摺動部材は、アルミニウム合金などの軟質金属を摺動相手材とした場合、特に摩擦摩耗特性に優れており、例えば、ジャーナル試験において、摩擦係数（安定時）が通常０．２０以下、好ましくは０．１８６以下であり、摩耗量が２５μｍ以下、好ましくは１５μｍ以下である。そして、事務・情報機器、電装機器、家電機器などのすべり軸受、すべり軸受装置、シール材などの摺動接触する摺動部材として好適である。
【００２７】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【００２８】
参考例１
ＰＢＴ（東洋紡績社製「ペルプレンＮ−１０４０（商品名）」）９６．５重量％、炭化水素系ワックスとしてパラフィンワックス３重量％、燐酸三リチウム０．５重量％を混合して混合物を作製した。次いで、シリンダー温度２００〜２６０℃、ダイス温度２５０℃、スクリュー回転数２００ｒｐｍの押出成形機に得られた混合物を投入して紐状の成形物を作製した。得られた紐状の成形物を切断して、ＰＢＴ９６．５重量％、パラフィンワックス３重量％および燐酸三リチウム０．５重量％から成るペレットを作製した。次いで、シリンダー温度２００〜２４０℃、金型温度７０℃、ノズル温度２４０℃、射出圧力６００ｋｇｆ／ｃｍ^２に調整した射出成形機のホッパーに得られたペレットを投入して内径１０ｍｍ、外径１４ｍｍ、長さ１０ｍｍの円筒状試験片（摺動部材）を作製した。
【００２９】
参考例２〜１１、実施例１〜１２、比較例１〜４
参考例１において、表２〜表８に示す様に組成を変更した以外は、参考例１と同様の方法により、内径１０ｍｍ、外径１４ｍｍ、長さ１０ｍｍの円筒状試験片（摺動部材）を作製した。成分組成を表２〜表８に示す。
【００３０】
上述した参考例１〜１１、実施例１〜１２及び比較例１〜４で作製した円筒状試験片について、摺動性能をジャーナル試験により試験した。試験条件を表１に示す。摺動特性を表２〜表８に示す。なお、摩擦係数については、試験開始から安定時に移行した段階での摩擦係数を示し、摩耗量については、試験終了後の円筒状試験片（摺動部材）の寸法変化量で示した。また、試験後の相手材の表面状態の評価を、損傷が認められないものを○、損傷が認められるものを×にて表示した。
【００３１】
【表１】
＜ジャーナル試験＞
すべり速度２０ｍ／ｍｉｎ
荷重５ｋｇｆ
相手材アルミニウム合金（ＪＩＳ−Ｈ−４００１記号Ａ５０５２）
試験時間２４ｈｒ
潤滑無潤滑
【００３２】
【表２】

【００３３】
【表３】

【００３４】
【表４】

【００３５】
【表５】

【００３６】
【表６】

【００３７】
【表７】

【００３８】
【表８】

【００３９】
表中、ＰＢＴとして東洋紡績社製の「ペルプレンＮ−１０４０（商品名）」を、四ふっ化エチレン樹脂としてダイキン工業社製の「ルブロンＬ５（商品名）」を、パラ型のポリパラフェニレンテレフタルアミドとしてテイジン・トワロン社製の「トワロン（商品名）」を、パラヒドロキシ安息香酸のホモポリマーとして住友化学工業社製の「スミカスーパーＬＣＰ−Ｅ１０１Ｍ（商品名）」を使用した。
【００４０】
以上の結果から、本発明の摺動部材は、いずれも良好な摩擦摩耗特性を示した。また、試験後の相手材表面には何らの損傷も認められなかった。他方、燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩の群から選択される１種を含有しない比較例１及び２の樹脂組成物を成形してなる摺動部材は、摩擦係数が高く、摩耗量も多く、摩擦摩耗特性に劣っていた。また、炭化水素系ワックスと、燐酸塩、硫酸塩および炭酸塩の群から選択される１種の代わりに固体潤滑剤または潤滑油剤を含有した比較例３及び４の樹脂組成物を成形してなる摺動部材は、試験開始直後に摩擦係数が急激に上昇し、相手材表面に引掻き傷のような損傷が認められたので試験を中止した。
【００４１】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、アルミニウム合金などの軟質金属を相手材とした場合に、優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材が提供される。[0001]
[Technical field to which the invention belongs]
The present invention relates to a resin composition for a sliding member and a sliding member, and more specifically, for a sliding member that exhibits particularly excellent frictional wear characteristics when a soft metal such as an aluminum alloy is used as a sliding partner material. The present invention relates to a resin composition and a sliding member.
[0002]
[Prior art]
Thermoplastic polyester resins such as polybutylene terephthalate resin and polyethylene terephthalate resin have mechanical strength and wear resistance and are widely used as materials for machine elements such as bearings and gears. However, these thermoplastic polyester resins alone do not exhibit sufficient friction and wear characteristics. Therefore, solid lubricants such as graphite, molybdenum disulfide, and ethylene tetrafluoride resin, lubricants such as mineral oil and wax, and other synthetic resins having low friction properties such as polyethylene resin are added to the thermoplastic polyester resin. Thus, the friction and wear characteristics are improved.
[0003]
For example, a resin composition excellent in moldability composed of a polybutylene terephthalate resin and a specific amount of calcium stearate has been proposed (see Patent Document 1). A resin composition excellent in moldability comprising a polyethylene terephthalate resin, a neutral or partially neutralized montan wax salt or montan wax ester salt and glass fiber has been proposed (see Patent Document 2). Thermoplastic resin composition excellent in impact resistance and wear resistance obtained by melt-kneading a thermoplastic resin selected from the group of polyamide resin, polyacetal resin, polyester resin and polycarbonate resin and a specific ultrahigh molecular weight polyethylene resin powder Has been proposed (see Patent Document 3).
[0004]
In recent years, with the development of OA equipment such as copying machines, there has been a demand for weight reduction of mechanical devices and equipment. For this reason, an aluminum alloy is used as a counterpart material for the sliding member. In a sliding member such as a bearing, the material of the counterpart material, surface properties, etc. are one of the important factors for obtaining excellent friction and wear characteristics.
[0005]
However, the sliding member made of the resin composition disclosed in Patent Documents 1 to 3 has a problem that the friction coefficient is high and the wear amount is large in sliding with the counterpart material made of an aluminum alloy. Depending on the conditions of use, the surface of the counterpart made of an aluminum alloy may be damaged. Therefore, it is desired to provide a sliding member that exhibits good friction and wear characteristics with respect to a sliding counterpart made of a soft metal such as an aluminum alloy.
[0006]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 51-114454 [Patent Document 2]
Japanese Patent Publication No. 58-46150 [Patent Document 3]
Japanese Patent Publication No. 63-65232 [0007]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and its purpose is to provide a sliding member resin composition and a sliding member that exhibit excellent frictional wear characteristics when a soft metal such as an aluminum alloy is used as a counterpart material. Is to provide.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
As a result of various studies, the present inventors have obtained from a resin composition comprising a polybutylene terephthalate resin as a main component and a specific amount of a hydrocarbon wax and any one of phosphate, sulfate and carbonate. It was found that the sliding member formed exhibited excellent friction and wear characteristics.
[0009]
The present invention has been completed based on the above findings, and the first gist thereof is that the polybutylene terephthalate resin is at least one selected from the group consisting of hydrocarbon waxes, phosphates, sulfates and carbonates. And blended with an aromatic polyamide resin powder or a homopolymer powder of parahydroxybenzoic acid, with respect to the total amount of these blending components, the blending amount of hydrocarbon wax is 1 to 10% by weight, phosphate, The blending amount of at least one selected from the group of sulfates and carbonates is 0.1 to 3% by weight, and the blending amount of the aromatic polyamide resin powder or the homopolymer powder of parahydroxybenzoic acid is 1 to 15% by weight. It exists in the resin composition for sliding members characterized by being.
[0011]
The second gist lies in a sliding member formed by molding the resin composition for a sliding member.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention will be described below. First, the resin composition for sliding members will be described. The resin composition for a sliding member of the present invention comprises a hydrocarbon wax, at least one selected from the group consisting of phosphate, sulfate and carbonate, and a polybutylene terephthalate resin (hereinafter referred to as “PBT”) as a main component. abbreviated as.) and, formed by blending an aromatic polyamide resin powder or an aromatic polyester resin powder as a wear-resistant filler.
[0013]
Examples of the hydrocarbon wax used include paraffin wax, polyethylene wax, and microcrystalline wax. These hydrocarbon waxes have the effect of reducing the friction coefficient and significantly reduce damage to the counterpart material.
[0014]
The blending amount of the hydrocarbon wax is usually 1 to 10% by weight, preferably 3 to 7% by weight, and more preferably 5 to 7% by weight. When the blending amount of the hydrocarbon wax is less than 1% by weight, it does not sufficiently contribute to the low friction property, and desired low friction characteristics cannot be obtained. Moreover, when a compounding quantity exceeds 10 weight%, while a moldability will worsen, the intensity | strength of the obtained sliding member will fall.
[0015]
The phosphates, sulfates and carbonates used do not exhibit lubricity by themselves, but are blended with a mixture of PBT and hydrocarbon wax, so that PBT and carbonization can be caused in sliding with the counterpart material. It promotes the formation of a mixed coating made of hydrogen-based wax on the surface of the counterpart material, improves the retention on the surface of the counterpart material, and exhibits the effect of increasing the durability.
[0016]
The blending amount of at least one selected from the group consisting of phosphates, sulfates and carbonates is usually 0.1 to 3% by weight, preferably 0.5 to 2% by weight. When the blending amount is less than 0.1% by weight, the effect of forming a film of PBT and a hydrocarbon wax on the surface of the mating material, retention on the mating material surface, and durability are not exhibited. . On the other hand, when the content exceeds 3% by weight, a problem occurs in the film-forming property of the mixed film on the surface of the counterpart material, and it becomes difficult to form a good mixed film on the surface of the counterpart material. Sometimes.
[0017]
Examples of the phosphate include trilithium phosphate, dilithium hydrogen phosphate, tricalcium phosphate, and calcium monohydrogen phosphate. Trilithium phosphate is preferable. Examples of the sulfate include magnesium sulfate, potassium sulfate, calcium sulfate, barium sulfate and the like, and barium sulfate is preferable. Examples of the carbonate include lithium carbonate, magnesium carbonate, calcium carbonate, strontium carbonate, and barium carbonate, with lithium carbonate and calcium carbonate being preferred.
[0018]
The PBT used is a thermoplastic resin obtained by polycondensation of terephthalic acid or dimethyl terephthalate and butanediol, and has the following features. (1) The friction coefficient is small and the wear resistance is excellent. (2) It has a high melting point (225 ° C.). (3) Excellent chemical resistance. (4) The water absorption is 0.1% or less. The blending amount of PBT is the remaining amount obtained by subtracting the amount of blending components other than PBT from the resin composition amount, and is preferably 72 to 95% by weight, more preferably 75 to 90% by weight.
[0019]
Examples of the aromatic polyamide resin used include meta-type polymetaphenylene isophthalamide resin, para-type polyparaphenylene terephthalamide resin, and copolyparaphenylene 3,4′-oxydiphenylene terephthalamide resin. Specific examples of the meta-type polymetaphenylene isophthalamide resin include “Conex (trade name)” manufactured by Teijin Limited and “Nomex (trade name)” manufactured by DuPont. Specific examples of the para-type polyparaphenylene terephthalamide resin include “Kevlar (trade name)” manufactured by DuPont and “Twaron (trade name)” manufactured by Teijin Twaron. Specific examples of the copolyparaphenylene 3,4′oxydiphenylene terephthalamide resin include “Technora (trade name)” manufactured by Teijin Limited. These aromatic polyamide resins are used in powder powder form.
[0020]
The aromatic polyester resin used, homopolymers of parametric hydroxybenzoic acid (homopolymer) is used. Specific examples of Kaoru aromatic polyester resin, manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd. of "Sumika Super LCP (trade name)" and the like. This aromatic polyester resin is used in the form of a powder.
[0021]
[Chemical 1]

[0022]
The aromatic polyamide resin powder or the aromatic polyester resin powder exhibits the effect of improving the wear resistance of the sliding member. The compounding quantity of an aromatic polyamide resin or an aromatic polyester resin is 1 to 15 weight% , Preferably it is 5 to 15 weight%. When the blending amount is less than 1% by weight, no effect is observed in improving the wear resistance. When the blending amount exceeds 15% by weight, not only the moldability is adversely affected but also the strength of the molded product is reduced. There is a fear.
[0023]
In the present invention, for the purpose of further improving the low friction property, a lubricating oil such as a solid lubricant, a lubricating oil or a higher fatty acid may be blended with the resin composition having the above component composition. As solid lubricant, graphite, boron nitride, tetrafluoroethylene resins, either a polyethylene resin. Examples of the lubricating oil include mineral oil such as engine oil and machine oil, vegetable oil such as castor oil, synthetic oil such as ester oil and silicone oil. Examples of higher fatty acids include saturated fatty acids having 14 or more carbon atoms, such as myristic acid, palmitic acid, stearic acid, behenic acid, and montanic acid, and unsaturated fatty acids having 18 or more carbon atoms, such as oleic acid and erucic acid. Is mentioned. The blending amount of these solid lubricants or lubricants is preferably 1 to 5% by weight.
[0024]
The resin composition for a sliding member is obtained by mixing a predetermined amount of each of the above-described components with a mixer such as a Henschel mixer, a super mixer, a ball mill, or a tumbler mixer, and molding the resulting mixture.
[0025]
The sliding member of the present invention is obtained by molding the above-described resin composition for a sliding member. The sliding member resin composition can be molded either directly by an injection molding machine or an extrusion molding machine, or by molding a pellet obtained from the sliding member resin composition by an injection molding machine or an extrusion molding machine. It may be. The latter method will be specifically described. The resin composition for a sliding member is put into an extrusion molding machine having a cylinder temperature of 150 to 260 ° C., a die temperature of 230 to 260 ° C., and a screw rotation speed of 150 to 250 rpm, and a string-like molding is performed. An article is produced, and the string-like molded article is cut to produce a pellet. Using this pellet as a molding raw material, the molding raw material is put into an injection molding machine adjusted to a cylinder temperature of 200 to 260 ° C., a mold temperature of 60 to 80 ° C., a nozzle temperature of 230 to 250 ° C., and an injection pressure of 500 to 800 kgf / cm ^2. Thus, a molded product having a desired shape is obtained.
[0026]
The sliding member of the present invention is particularly excellent in friction and wear characteristics when a soft metal such as an aluminum alloy is used as the sliding partner. For example, in a journal test, the friction coefficient (when stable) is usually 0.20 or less. , Preferably 0.186 or less, and wear amount is 25 μm or less, preferably 15 μm or less. And it is suitable as a sliding member for sliding contact such as a sliding bearing, a sliding bearing device, a sealing material, etc. for office / information equipment, electrical equipment, home appliances and the like.
[0027]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention in detail, this invention is not limited to a following example, unless the summary is exceeded.
[0028]
Reference example 1
A mixture was prepared by mixing 96.5% by weight of PBT (“Perprene N-1040 (trade name)” manufactured by Toyobo Co., Ltd.), 3% by weight of paraffin wax as a hydrocarbon wax, and 0.5% by weight of trilithium phosphate. . Subsequently, the obtained mixture was put into an extruder having a cylinder temperature of 200 to 260 ° C., a die temperature of 250 ° C., and a screw rotation speed of 200 rpm to prepare a string-like molded product. The obtained string-like molded product was cut to produce pellets composed of 96.5% by weight of PBT, 3% by weight of paraffin wax and 0.5% by weight of trilithium phosphate. Next, the pellets obtained were injected into a hopper of an injection molding machine adjusted to a cylinder temperature of 200 to 240 ° C., a mold temperature of 70 ° C., a nozzle temperature of 240 ° C., and an injection pressure of 600 kgf / cm ² . A cylindrical test piece (sliding member) having a length of 10 mm was produced.
[0029]
Reference Examples 2-11, Examples 1-12 , Comparative Examples 1-4
Reference Example 1, except for changing the composition as shown in Tables 2 to 8, in the same manner as in Reference Example 1, an inner diameter of 10 mm, an outer diameter of 14 mm, a cylindrical test piece of length 10 mm (sliding member) Was made. The component compositions are shown in Tables 2 to 8.
[0030]
About the cylindrical test piece produced by the reference examples 1-11 mentioned above , Examples 1-12, and Comparative Examples 1-4, the sliding performance was tested by the journal test. Table 1 shows the test conditions. The sliding characteristics are shown in Tables 2 to 8. In addition, about the friction coefficient, the friction coefficient in the stage which shifted from the start of a test at the time of stability was shown, and about the amount of wear, it showed by the dimensional change amount of the cylindrical test piece (sliding member) after completion | finish of a test. In addition, the evaluation of the surface condition of the mating material after the test was indicated by ◯ when no damage was observed and by × when damage was observed.
[0031]
[Table 1]
<Journal examination>
Sliding speed 20m / min
Load 5kgf
Mating material Aluminum alloy (JIS-H-4001 symbol A5052)
Test time 24hr
Lubrication No lubrication [0032]
[Table 2]

[0033]
[Table 3]

[0034]
[Table 4]

[0035]
[Table 5]

[0036]
[Table 6]

[0037]
[Table 7]

[0038]
[Table 8]

[0039]
In the table, “Perprene N-1040 (trade name)” manufactured by Toyobo Co., Ltd. as PBT, “Lublon L5 (trade name)” manufactured by Daikin Industries, Ltd. as the tetrafluoroethylene resin, and para-type polyparaphenylene terephthalate “Twaron (trade name)” manufactured by Teijin Towaron Co., Ltd. was used as an amide, and “Sumika Super LCP-E101M (trade name)” manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd. was used as a homopolymer of parahydroxybenzoic acid.
[0040]
From the above results, the sliding members of the present invention all showed good friction and wear characteristics. Further, no damage was observed on the surface of the counterpart material after the test. On the other hand, the sliding member formed by molding the resin composition of Comparative Examples 1 and 2 that does not contain one selected from the group of phosphate, sulfate, and carbonate has a high friction coefficient and a large amount of wear. The friction and wear characteristics were inferior. Further, the resin composition of Comparative Examples 3 and 4 containing a hydrocarbon wax and a solid lubricant or lubricating oil agent instead of one selected from the group consisting of phosphate, sulfate and carbonate is formed. The friction coefficient of the sliding member suddenly increased immediately after the start of the test, and scratches such as scratches were observed on the surface of the counterpart material, so the test was stopped.
[0041]
【The invention's effect】
According to the present invention described above, there are provided a resin composition for a sliding member and a sliding member that exhibit excellent frictional wear characteristics when a soft metal such as an aluminum alloy is used as a counterpart material.

Claims

Polybutylene terephthalate resin is blended with a hydrocarbon wax, at least one selected from the group consisting of phosphates, sulfates and carbonates, and an aromatic polyamide resin powder or a homopolymer powder of parahydroxybenzoic acid. The blending amount of the hydrocarbon wax is 1 to 10% by weight with respect to the total amount of these blending components, and the blending amount of at least one selected from the group of phosphate, sulfate and carbonate is 0.1 to 3 A resin composition for a sliding member, characterized in that the blending amount of an aromatic polyamide resin powder or a homopolymer powder of parahydroxybenzoic acid is 1 to 15% by weight .

The resin composition for a sliding member according to claim 1, wherein the hydrocarbon wax is paraffin wax, polyethylene wax, or microcrystalline wax.

The resin composition for a sliding member according to claim 1 or 2, wherein the phosphate is trilithium phosphate, the sulfate is barium sulfate, and the carbonate is lithium carbonate or calcium carbonate.

The slide according to any one of claims 1 to 3, wherein the aromatic polyamide resin is a polymetaphenylene isophthalamide resin, a polyparaphenylene terephthalamide resin, or a copolyparaphenylene 3,4'-oxydiphenylene terephthalamide resin. A resin composition for a moving member.

Sliding member characterized by comprising molding the resin composition for a sliding member according to any one of claims 1-4.