JP4474344B2 - 歯付きベルト - Google Patents
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Description
本実施形態を具体的に説明するために以下実施例を用いてさらに詳細に本発明について説明する。以下の各実施例および比較例においては、上述の製造方法によって歯布を製造し、その製造された歯布を用いて歯付きベルトを製造した。
実施例1においては、歯布は、経糸および緯糸を綾織で織成されたものであった。経糸はナイロン66で構成され、その重量繊度が110dtexであった。緯糸は高伸縮性繊維糸の周りに、ポリアリレート繊維糸を巻き回し、そのポリアリレート繊維糸の上にさらにカバー繊維糸を巻き回して構成した複合糸であった。ここで高伸縮性繊維には、ウレタン弾性糸を使用し、その糸の重量繊度は470dtexであった。カバー繊維糸には、ナイロン66が使用され、その糸の重量繊度は110dtexであった。ポリアリレート繊維糸には、ベクトラン(商品名.クラレ社製)を使用し、このポリアリレート繊維糸の重量繊度は280dtexであった。
実施例2においては、ゴム糊液の配合が異なる以外、実施例1と同様に、歯布および歯付きベルトを製造した。実施例2におけるゴム糊液は、表1に示すゴム配合を溶剤であるMEKに加えて作成したものであり、フッ素ゴムをゴム成分とするゴム糊液であった。
実施例3においては、ゴム糊液の配合が異なる以外、実施例1と同様に、歯布および歯付きベルトを製造した。実施例3におけるゴム糊液は、表1に示すゴム配合をMEKに加えて作成したものであり、カルボキシル化ニトリルゴムをゴム成分とするゴム糊液であった。
実施例1〜3においては、歯布にゴム糊処理を施して、そのゴム糊処理を施した歯布を用いて歯付きベルトを製造したが、実施例4においては、歯布にゴム糊処理を施す代わりにRFL処理を施し、そのRFL処理を施した歯布を用いて歯付きベルトを製造した。ここで、RFL処理は、歯布をRFL液に浸漬した後、加熱乾燥することにより行った。実施例4で使用されるRFL液は、表3に示す配合のものを用い、ラテックスには水素添加ニトリルゴムラテックスを使用した。
実施例5においては、RFL液の配合が異なる以外、実施例4と同様に、歯布および歯付きベルトを製造した。実施例5におけるRFL液は、表3に示す通りで、ラテックスにカルボキシル化ニトリルゴムラテックスを使用したものであった。
比較例1は、緯糸のポリアリレート繊維糸をアラミド繊維糸に置き換えた点以外は、実施例1と同様であった。すなわち、比較例1においては、表1に示すように、ゴム糊処理において、水素添加ニトリルゴムを主成分とするゴム糊液を使用した。また、歯布は、経糸および緯糸を綾織で織成されたものであった。経糸はナイロン66で構成され、その重量繊度が110dtexであった。緯糸は高伸縮性繊維糸の周りに、アラミド繊維糸を巻き回し、そのアラミド繊維糸の上にさらにカバー繊維糸を巻き回して構成した糸であった。ここで高伸縮性繊維には、ウレタン弾性糸を使用し、その重量繊度は470dtexであった。カバー繊維糸には、ナイロン66で構成される糸を使用し、その糸の重量繊度は110dtexであった。アラミド繊維糸にはパラ系アラミド繊維糸のテクノーラ(商品名.帝人社製)を使用し、このアラミド繊維糸の重量繊度は220dtexであった。
比較例2においては、ゴム糊液の配合が異なる以外、比較例1と同様に、歯布および歯付きベルトを製造した。比較例2におけるゴム糊液は、実施例1のゴム糊液と同一であり、フッ素ゴムを主成分とするゴム糊液であった。
比較例3においては、歯布の構成以外は、実施例1と同様であった。比較例3の歯布は、経糸および緯糸を綾織で織成されたものであった。比較例3においては、経糸および緯糸ともに、ナイロン66糸で構成され、その重量繊度は、経糸が235dtex、緯糸が470dtexであった。
水素添加ニトリルゴム:結合アクリロニトリル量=36.2%、比重=0.95の中高ニトリルタイプ
フッ素ゴム:フッ素含量=67%、比重1.86
カルボキシル化ニトリルゴム:結合アクリロニトリル量=27.0%、比重=0.98の中ニトリルタイプ
水素添加ニトリルゴムラテックス:pH=10.0、粘度=30mPa・s、比重0.99、平均粒子径=0.20μmの中高ニトリルタイプ
カルボキシル化ニトリルゴムラテックス:pH=8.5、粘度=15mPa・s、比重=1.00、平均粒子径=0.12μmの高ニトリルタイプ
各実施例及び比較例を以下説明するように、接着強度試験、熱老化試験、及び高負荷耐久性試験により評価した。接着強度試験及び高負荷耐久性試験の結果を、表4に示すとともに、熱老化試験の結果を表5に示す。以下、各試験方法及び試験結果について詳細に説明する。なお、表4においては、歯布、処理液(ゴム糊液、RFL液)の構成についても記載した。
実施例1〜5、および比較例1〜3に係る歯布について、それぞれ接着強度試験により接着強度を評価した。接着強度試験においては、上記実施例1〜5、および比較例1〜3のゴム糊処理またはRFL処理を施した歯布を使用した。本試験においては、未加硫ゴムシートの上に歯布を配置し、プレス機により圧力を作用させつつ加熱することにより加硫し、ゴムシート51に歯布52が加硫接着して構成される接着試験サンプル50(図4参照)を得た。接着試験サンプル50は、長さ100mm、幅25mm、厚さ4mmであった。なお、接着試験サンプル50の製造においては、加熱温度160℃、加熱時間20分間で行った。また、本試験における未加硫ゴムは、表2に示す配合のものを使用した。
実施例1〜5、および比較例1〜3で製造された歯布を用いて、熱老化試験を実施した。熱老化試験においても、ゴム糊処理またはRFL処理を施した歯布を使用した。各実施例、比較例においては、ゴム糊処理を施した歯布を切断し、長さ550mm、幅25mmの測定用歯布をそれぞれ作製した。このとき、緯糸が延在する方向が長さ方向に、経糸が延在する方向が幅方向になるようにした。これら測定用歯布を、140℃の条件下で放置し、0、70、280、560、1000、および2000時間経過後それぞれにおいて、破断強度を測定した。ここで、破断強度とは、測定用歯布を長さ方向に200mm/分の引張速度で引っ張っていき、破断したときに長さ方向に作用されている引張力をいう。
実施例1〜5、および比較例1〜3に係る歯付きベルトについて、それぞれ高負荷耐久性試験により、高負荷作用時における耐久性を評価した。図6は、高負荷耐久性試験に使用した走行試験装置90である。走行試験装置90は、原動歯付きプーリ91、従動歯付きプーリ92、アイドラプーリ93、およびアイドラ歯付きプーリ94を有する。本試験において、原動歯付きプーリ91および従動歯付きプーリ92に、歯付きベルト95を掛け回し、100℃の雰囲気下で歯付きベルト95を時計回りに回転させた。ベルトの緩み側には、外側からアイドラプーリ93によって、内側からアイドラ歯付きプーリ94によってテンションを作用させた。なお、原動歯付きプーリ91の歯数は18歯、従動歯付きプーリの歯数は36歯であり、原動歯付きプーリ91を3500rpmで回転させた。そして、歯付きベルト95が回転中、各歯には、従動歯付きプーリ92によって、1歯当たり7.3N/mの荷重を作用させた。
11 ベルト本体
12 歯ゴム層
14 心線
19 歯布
22 背ゴム層
Claims (6)
- エラストマーから形成され、一方の面に歯部と歯底部が交互に設けられて構成される歯ゴム層を有するベルト本体と、前記ベルト本体の歯部と歯底部の表面を覆うように積層される歯布とを備え、前記歯布はポリアリレート繊維を含み、かつゴム又はラテックスを含む配合物が付着されており、
前記歯布は、ベルトの長手方向に延在する糸と、幅方向に延在する糸によって構成されるとともに、前記ベルトの長手方向に延在する糸は、ポリアリレート繊維よりも伸縮性が高い高伸縮性繊維糸を中心に、その高伸縮性繊維糸の周りにポリアリレート繊維糸が巻き回され、さらにそのポリアリレート繊維糸の周りにカバー繊維糸が巻き回されて構成され、噛み合いにより動力を伝達することを特徴とする歯付きベルト。 - 前記配合物は、水素添加ニトリルゴム、フッ素ゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、またはこれらゴムのラテックスの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記配合物は、水素添加ニトリルゴムまたは水素添加ニトリルゴムラテックスを含むことを特徴とする請求項2に記載の歯付きベルト。
- 前記配合物は、RFLまたはゴム糊のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の歯付きベルト。
- 前記配合物は、ゴム糊であることを特徴とする請求項4に記載の歯付きベルト。
- 前記カバー繊維糸は、ナイロン繊維又はポリエステル繊維で構成されることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
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