JP4474134B2 - ポリマー碍子用樹脂組成物及びポリマー碍子 - Google Patents

ポリマー碍子用樹脂組成物及びポリマー碍子 Download PDF

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Description

本発明は、新規のポリマー碍子外被部用樹脂組成物及びそれを成形してなる外被部分をもつポリマー碍子に関し、更に詳しくは、優れた耐トラッキング性、良好な耐電圧性及び成形性を持つポリマー碍子外被部用樹脂組成物及びそれを用いて得られたポリマー碍子に関する。
送電用の碍子としては、磁器碍子が使用されてきたが、省スペース化や軽量化が求められて、ポリマー碍子が開発されている。
ポリマー碍子は、複合碍子とも呼ばれ、大きく分けて中心部の絶縁芯材(ロッド部分)、その周りに設けた胴部と複数の笠からなる外被部分、そして固定するための端部に取り付けられた取り付け部分の3構成部分からなり、外被部分は、エポキシ樹脂、シリコーンゴム(例えば、特許文献1、2参照。)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー共重合体(EPDM)(例えば、特許文献3参照。)等が、押出成形法、射出成形法、プレス成形法、スラッシュ成形法等の成形法で形成されている。
しかしながら、エポキシ樹脂やEPDMを用いると、経時的に成形物の表面にクラックが発生し、これがトラッキング(表面の絶縁性を失い短絡事故につながる現象)の要因になり、また、シリコーンゴムでは、加工性が悪く、コストも高いという問題があった。
このため、例えば、特許文献4、5では、ベース樹脂として絶縁性と加工性のよいエチレン系樹脂を用い、オルガノポリシロキサン、有機過酸化物、及び水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムからなるポリマー碍子用樹脂組成物が提案されているが、更に耐トラックング性の高いものの開発が求められている。
特開平9−171729号公報(特許請求の範囲等) 特開平11−263913号公報(特許請求の範囲等) 特開平5−314839号公報(特許請求の範囲等) 特開平7−179681号公報(特許請求の範囲等) 特開平7−179680号公報(特許請求の範囲等)
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、優れた耐トラッキング性、良好な耐電圧性及び成形性を持つポリマー碍子外被部用樹脂組成物及びそれを用いて得られたポリマー碍子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、ビニルエステル、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、又は不飽和カルボン酸金属塩の共重合体から選ばれるエチレン系樹脂(A)100重量部に対して、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)を10〜150重量部、及びアミン変性シリコーン又はパーフルオロポリエーテル、若しくはヘキサフルオロプロピレンエポキシドから選択されるフッ素系オイルから選ばれた撥水剤(C)0.1〜5重量部を少なくとも含むことを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、更に、ホウ酸亜鉛(D)を5〜75重量部含むことを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、更に、酸化チタン(E)を1〜25重量部含むことを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、更に、紫外線吸収剤又はヒンダードアミン光安定剤から選ばれた1種以上の安定化剤(F)を0.05〜5重量部含むことを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、更に、有機過酸化物(G)を0.2〜5重量部含むことを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)は、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、アミノシランカップリング剤又はチタネートカップリング剤で表面処理されていることを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)の平均粒径は、0.5〜1.2μmであることを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、撥水剤(C)は、パーフルオロポリエーテルであることを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物が提供される。
一方、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明に係るポリマー碍子外被部用樹脂組成を形成してなる外被部分をもつことを特徴とするポリマー碍子が提供される。
本発明は、上記した如く、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)、及びアミン変性シリコーン又はフッ素系オイルから選ばれた撥水剤(C)を特定量配合することを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、エチレン系樹脂(A)は、メルトマスフローレートが0.5〜30g/10分の超低密度(密度0.87〜0.94g/cm)エチレン−α−オレフィン共重合体、メルトマスフローレートが0.5〜30g/10分、コモノマー含有量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、又はメルトマスフローレートが0.5〜30g/10分、コモノマー含有量が5〜30重量%のエチレン−アクリル酸エチル共重合体であることを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
(2)第1の発明において、水酸化アルミニウム(B)と、撥水剤(C)としてフッ素系オイルを配合することを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
(3)第2の発明において、ホウ酸亜鉛(D)は、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)の3〜50重量%を配合することを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
(4)第2の発明において、ホウ酸亜鉛(D)の平均粒径は、40μm以下であることを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
(5)第3の発明において、酸化チタン(E)の平均粒径は、40μm以下であることを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
(6)第4の発明において、安定化剤(F)として、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤を組合わせて配合することを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
(7)第1〜5のいずれかの発明において、更に、酸化防止剤を0.001〜5重量部配合することを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
上記のように、本発明は、エチレン系樹脂(A)に、それぞれ特定量の水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)、及びアミン変性シリコーン又はフッ素系オイルから選ばれた撥水剤(C)を配合したポリマー碍子外被部用樹脂組成物、あるいは、これにホウ酸亜鉛(D)、酸化チタン(E)、紫外線吸収剤又はヒンダードアミン光安定化剤から選ばれた安定化剤(F)、及び有機過酸化物(G)を、個別にあるいは同時に、追加配合したポリマー碍子外被部用樹脂組成物であり、このポリマー碍子外被部用樹脂組成物から成形された外被部分を持つポリマー碍子であるので、絶縁性、加工性及び機械特性が良好で、更に優れた耐トラッキング性を持ち、屋外で使用したときに、耐候性も長期に良好である。
以下、本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物及びポリマー碍子について、各項目毎に詳細に説明する。
1.エチレン系樹脂(A)
本発明においてベース樹脂として使用されるエチレン系樹脂(A)は、エチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、ビニルエステル、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸金属塩等との共重合体であって、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、中・低圧法高密度・中密度・低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−ノネン−1共重合体、エチレン−デセン−1共重合体、エチレン−ドデセン−1共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、アイオノマー等を例示することができる。
これらの中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等、他の構成成分との相溶性に優れ、良好な加工性、絶縁性、機械特性を持つ、それぞれメルトマスフローレートが0.5〜30g/10分、好ましくは1〜10g/10分程度の超低密度(密度0.87〜0.94g/cm)のエチレン−α−オレフィン共重合体、コモノマー含有量が5〜30重量%、好ましくは10〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、及びコモノマー含有量が5〜30重量%、好ましくは10〜30重量%のエチレン−アクリル酸エチル共重合体を、好適に使用することができる。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体とエチレン−アクリル酸エチル共重合体の場合、コモノマー含有量が5重量%未満であると、柔軟性や耐衝撃性が不十分となり、一方、30重量%を超えると、剛性が不十分となり望ましくない。
本発明において、エチレン系樹脂は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
2.水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B
本発明において、耐トラッキング性を付与する機能を有する水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)は、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、シランカップリング剤、アミノシランカップリング剤あるいはチタネートカップリング剤で表面処理されていることが、ベース樹脂との相溶性、機械強度及び耐トラッキング性の効果から望ましい。
表面処理剤の具体例として、高級脂肪酸としては、飽和及び不飽和脂肪酸が挙げられ、具体的には、炭素数が6〜22の脂肪酸が挙げられるが、特に炭素数18のステアリン酸、オレイン酸が好適に使用される。
高級脂肪酸塩としては、直鎖飽和型、不飽和型を問わず側鎖部分が金属、アミン、アンモニウム等と結合したものでもよいが、特にステアリン酸、オレイン酸等のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が好適に使用される。
シランカップリング剤としては、分子内の一方の末端に、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムと反応できる反応基(メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、セロソルブ基等)をもつものであり、一般には3官能基を有するものが多いが、もちろん2官能や1官能を有するものでもよい。また、もう一方の末端には、ベース樹脂と化学結合できる基(ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基等)を有するもので、主鎖がアルコキシオリゴマー骨格を持つものが挙げられ、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
アミノシランカップリング剤は、上記シランカップリング剤の構造中にアミノ基又はその誘導体を含むもので、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としては、イソプロピル−トリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、チタニウムジ(オクチルホスフェート)オキシアセテート等が挙げられる。
表面処理量は、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%である。これが0.05重量%未満であると、表面処理が不十分となり、表面処理の効果が得られず、一方、10重量%を超えると、効果が飽和するとともに樹脂組成物の機械特性が低下する。
更に、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムの平均粒径は、分散性、耐トラッキング性、絶縁破壊電圧への効果から、40μm以下、好ましくは0.2〜6μm、更に好ましくは0.5〜1.2μmであることが望ましい。
水酸化マグネシウムとしては、海水から製造される合成法によるもの、及び天然鉱物(ブルーサイト等)を粉砕した天然品のどちらも使用することができる。
耐トラッキング性の点からは、水酸化アルミニウムが好適である。
本発明において、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)の配合量は、エチレン系樹脂(A)100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは30〜120重量部、更に好ましくは50〜100重量部である。これが10重量部未満であると、耐トラッキング性が不十分となり、一方、150重量部を超えると、成形性や機械特性が不十分となるので望ましくない。
本発明において、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムは、1種あるいは2種以上を混合して、又は水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの各々1種以上を混合して使用することができる。
3.撥水剤(C)
本発明において使用される撥水剤(C)としては、アミン変性シリコーン又はフッ素系オイルを挙げることができる。
アミン変性シリコーンは、アミン基を持つ誘導体で変性されたオルガノポリシロキサンを意味する。そのアミン変性シリコーンとしては、下記一般式(1)で表されるジアミノ基を持つものが好適である。
Figure 0004474134
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、同一でも異なっていてもよい。mは100〜1,000であり、nは1〜30である。)
アミン変性シリコーンのポリシロキサン部分は、撥水性を付与し、一方、アミン変性部分は、ベース樹脂との親和力を高め、ブリード(樹脂からアミン変性シリコーンが浸出し表面に出てくる現象)を抑え、よって、耐トラックング効果が長時間保持されると、考えられている。
特に、CNHCNHで変性されたシリコーンが好ましく、具体的には、日本ユニカー製FZ−3710、FZ−3785等として、入手できる。
フッ素系オイルとしては、パーフルオロ基をもつ重合体が挙げられ、具体的にはパーフルオロポリエーテル、ヘキサフルオロプロピレンエポキシド等が例示できる。フッ素系オイルとしては、パーフルオロポリエーテルであるデュポン社製フルオロガードを好適に使用することができる。
なお、アミン変性シリコーン及びフッ素系オイルの分子量としては、1,000〜6,000程度を例示でき、粘度は、200〜6,000mm/秒(25℃)程度が好適である。
本発明においては、フッ素系オイル、特にパーフルオロポリエーテルは、撥水効果が高く、ブリード現象が少なく、耐トラッキング性が優れていて、特に好適に使用することができる。
撥水剤(C)の配合量は、ベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部、更に好ましくは0.8〜1.5重量部である。配合量が0.1重量部未満では、耐トラッキング性への効果が低下し、一方、3重量部を超えても、耐トラッキング性への効果が飽和し、かつコストも上がるので望ましくない。
撥水剤の配合は、これにより付与される撥水性により、ポリマー碍子の表面のうち濡れる部分が最小となり、これが短絡を抑え、耐トラキング性に効果があると、考えられている。
4.ホウ酸亜鉛(D)
本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物において、ホウ酸亜鉛(D)を配合することにより、耐トラッキング性を強めることができる。即ち、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムと組み合わせることにより、その耐トラッキング性への相乗効果が認められる。
この場合、ホウ酸亜鉛は、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムの3〜50重量%程度、好ましくは15〜40重量%程度を配合することが望ましい。
本発明で使用するホウ酸亜鉛の平均粒径は、分散性、耐トラッキング性への効果から、40μm以下、好ましくは0.2〜6μm、更に好ましくは0.5〜1.2μmであることが望ましい。
ホウ酸亜鉛(D)の配合量は、ベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して5〜75重量部、好ましくは10〜50重量部、更に好ましくは15〜30重量部である。配合量が5重量部未満では、耐トラッキング性への効果が低下し、一方、75重量部を超えると、耐トラッキング性が低下することがあるので望ましくない。
5.酸化チタン(E)
本発明において、酸化チタン(E)は、ポリマー碍子が屋外において使用されるとき、太陽光を遮蔽し、太陽光による劣化を防止し、長期に渡り、安定した品質を保持する効果を有する。
耐候剤としては、通常、カーボンブラックを配合し、樹脂組成物を黒色とすることが行われているが、ポリマー碍子の作用は、絶縁であり、そのため、導電性を有するカーボンブラックの配合は望ましくないので、本発明においては、酸化チタンが使用される。
本発明で使用する酸化チタンの平均粒径は、分散性、耐候性への効果から、40μm以下、好ましくは0.2〜6μm、更に好ましくは0.2〜1.2μmであることが望ましい。
酸化チタンは、アルミナ、シリカ等による耐候性処理がなされているものが好適であり、具体的には、デュポン社製R−105及びR−960が、効果が高く、好ましく使用することができる。
酸化チタン(E)の配合量は、ベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは2〜15重量部、更に好ましくは3〜12重量部である。配合量が1重量部未満では、遮光効果が低く、一方、25重量部を超えると、その効果が飽和し、加工性等に影響を及ぼすことがあるので望ましくない。
6.安定化剤(F)
本発明においては、紫外線吸収剤又はヒンダードアミン光安定剤から選ばれた1種以上の安定化剤(F)を配合し、ポリマー碍子の使用環境における効果の劣化を防止し、長期間使用を確実なものとすることができる。この場合、配合する安定化剤は、公知のものを、その有効量配合すればよく、特に制限はないが、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤を、組み合わせて配合することが望ましい。
本発明において使用できる紫外線吸収剤としては、サルチル酸系、ベンゾフェノン系、べンゾトリアゾール系、その他の紫外線吸収剤等を挙げることができ、具体的には、サルチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート;4−t−ブチルフェニルサリシレート等を例示できる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸3水和物;2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン;4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン;4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン;2,2’,4’,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン;2,2’−ジメトキシベンゾフェノン;オクタベンゾン等を例示できる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール;2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノール;2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール等を例示できる。
その他の紫外線吸収剤としては、蓚酸アニリド誘導体;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−4−ヒドロキシべンゾエート;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート;1,3−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピルメタクリレート;o−ベンゾイル安息香酸メチル;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等を例示できる。
紫外線吸収剤の配合量は、その有効量を用いればよいが、一般にベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部程度である。
本発明において使用できるヒンダードアミン光安定剤は、低分子量タイプとしては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキシド及びオクタンの反応生成物(分子量737)70重量%とポリプロピレン30重量%からなるもの;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(分子量685);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物(分子量509);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量481);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791);テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量847);2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900);1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900)等を例示できる。
ヒンダードアミン光安定剤の高分子量タイプとしては、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](分子量2,000〜3,100);コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(分子量3,100〜4,000);N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(分子量2,286)と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物;ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)等を例示できる。
ヒンダードアミン光安定剤は、上記の様に低分子量タイプと高分子量タイプのものとがあるが、ベース樹脂との相溶性がよい、したがってブリードし難い特徴を持つ、高分子量タイプ(分子量が1,900以上のもの)のものを好適に使用することができる。
ヒンダードアミン光安定剤の配合量は、その有効量を用いればよいが、一般にベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部程度である。
安定化剤(F)の総配合量は、ベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部である。配合量が0.05重量部未満では、安定化への効果が低く、一方、5重量部を超えると、その効果が飽和し、加工性、他の特性等に影響を及ぼすことがあるので望ましくない。
7.有機過酸化物(G)
ポリマー碍子は、機械強度、硬度、耐熱変形、耐傷付性等の観点から、通常は架橋される。
その架橋方法としては、電子線による架橋も行われるが、成形法によっては、化学架橋の方が望ましい。例えば、押出成形法や射出成形法を採用する場合には、予め架橋剤として有機過酸化物を配合する。
有機過酸化物(G)としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3等が挙げられ、その配合量は、ベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して0.2〜4重量部、好ましくは0.5〜3重量部、更に好ましくは1〜2重量部である。配合量が0.5重量部未満では、架橋度が不十分となる場合があり、一方、4重量部を超えると、機械強度の引張破壊応力は大きくなるが、延性が低下し、ポリマー碍子が割れやすくなるので望ましくない。
また、本発明においては、架橋度や架橋時間を調整するために、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート等の有効量の架橋助剤を配合することもできる。
8.その他の配合物
本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物には、その使用環境に応じて、その他の各種配合物を配合することができる。各種配合物としては、酸化防止剤、帯電防止剤、加工性改良剤、充填剤、難燃剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、核剤、気泡防止剤、着色剤、顔料、染料、水トリー防止剤、電圧安定剤、殺菌剤、防カビ剤などを挙げることができる。
本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物には、製造時や成形時の熱暴露等に対するために、酸化防止剤を配合することが望ましい。酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等を挙げることができ、単独でも2種以上を混合して使用してもよく、その配合量は、ベース樹脂、すなわちエチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部程度である。
9.ポリマー碍子外被部用樹脂組成物の調製
本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物は、それぞれ所定量の上記の成分と使用目的に応じて配合する成分を配合して、一般的な方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、コンティニュアスミキサー、ロールミルあるいは押出機を用いて均一に溶融混合(有機過酸化物を配合する場合にあっては、好ましくはその分解温度より少なくとも50℃程度低い温度で)することによって、製造することができる。また、有機過酸化物を配合する場合は、これ以外の成分を溶融混練し得られた、好ましくはペレットに造粒された樹脂組成物を、有機過酸化物と共に密閉容器に入れ、40〜90℃程度で6〜12時間混合し、後から有機過酸化物をソーキングして、本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物を調製することができ、これは、本発明の好ましい調製方法である。
製造した本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物は、スラッシュ成形法を採用する場合を除き、粒径2〜7mm程度のペレットに造粒し、これを成形に用いることが望ましい。
10.ポリマー碍子の製造
本発明に係るポリマー碍子は、本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物を、予め準備された中心部の絶縁芯材(ロッド部分)の周囲に外被部分として、公知の押出成形法、射出成形法、プレス成形法、スラッシュ成形法等で成形すればよい。また、直接絶縁芯材上に成形せずに、チューブ状に成形し、これを絶縁芯材に被せ、熱収縮させて形成してもよい。
成形は、有機過酸化物を使用する場合にあっては、その分解温度より50℃以上低い温度(例えば100〜150℃)で行うことが望ましく、成形後、分解温度以上(例えば160〜210℃)に加熱し、架橋すればよい。
次に実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中で用いられた評価は、それぞれ以下の方法によるものである。
I.耐トラッキング性
IEC(International Electrotechnical Commission)60587「汚損液傾斜平板法(段階昇圧トラッキング法)」に準拠して、耐トラッキング性の評価を行った。
プレス成形で作成した118×50×6mmの試験片に、電極を2個取り付け、試験片を45°に傾斜させ固定し、上側電極にはろ紙を8枚挟み込み、このろ紙に汚損液としてNHCl0.1重量%水溶液を滴下し、試験電圧2.5kVを1時間印加し、破壊検出電流60mA、2秒間を超えない場合は、2.5kV合格となる(class2.5)。
次に、電圧を250Vごとステップで昇圧させて同様な試験を行い、破壊が検出される電圧を求め評価した。例えば、6kVに耐えればclass6.0と評価される。
II.絶縁破壊電圧
JIS C2110「固体電気絶縁材料の絶縁耐力試験方法」に記載されている方法のうち、段階破壊試験を採用し、評価した。試験片の厚みは1mmとし、上部電極に直径20mmの球を、下部電極として直径25mmの円形平板を用いた。試験開始電圧は16kVから始め、20秒間印加しても絶縁破壊が起きなければ次の電圧へ昇圧した。20kVまでは1kVずつ昇圧し、20kV以上では2kVずつ昇圧した。20秒間印加しても絶縁破壊が認められなかった最も高い電圧を、絶縁破壊電圧とした。
III.機械特性
III−1.引張破壊応力
JIS K6301に準拠して行った。5試験片を測定し平均値で評価した。
III−2.引張破壊歪
引張破壊応力試験と同様にJIS K6301に準拠して行った。5試験片を測定し平均値で評価した。
[比較例1、実施例1〜3]
メルトマスフローレート2g/10分、酢酸ビニルコモノマー含有量18重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ユニカー製、DQDJ−1868)100重量部に、水酸化アルミニウム(日本軽金属製、B703、平均粒径2μm、表面未処理)80重量部、酸化防止剤として4,4’−チオビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)0.3重量部を加え、バンバリーミキサーを使用して130℃で10分間混練し、得られた樹脂組成物を粒径約3mmに造粒した。得られたペレットを密閉できる攪拌機中で60℃で30分間攪拌した後、有機過酸化物をベース樹脂100重量部に対して1.5重量部となるように添加し、70℃で10時間攪拌し、ペレット内部へ有機過酸化物の2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3をソーキングさせた。
このペレットを熱プレス成形機に入れ、120℃で5分間加熱し、ついて150kg/cmに加圧すると同時に200℃まで20℃/分の速度で昇温し、200℃で10分間保持後、加圧を保ちながら10℃/分で室温まで冷まし、シートを成形し、これを比較例1として評価した。
次いで、アミン変性シリコーン(日本ユニカー製ジアミノ変性シリコーン、FZ−3710)を使用して、表1に示す実施例1〜3の樹脂組成物・重量部に記載した構成とし、撥水剤として、アミン変性シリコーンを1.0重量部加えた以外は、比較例1と同様にしてシートを成形し、これらを実施例1〜3として評価した。
評価結果は、表1に示したが、実施例1〜3のものは、耐トラッキング性において比較例1に比べて優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び機械特性をもつものであった。
[比較例2、実施例4]
水酸化アルミニウムを、アミノシラン表面処理水酸化アルミニウム(マーチンスベルク製、OL−104/I、平均粒径1.5μm)に替えた以外は、比較例1及び実施例2と同様にして、シートを成形し、比較例2及び実施例4として評価した。
結果は表1に示したが、実施例4のものは、耐トラッキング性において比較例2に比べて優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び機械特性をもつものであった。
Figure 0004474134
[比較例3、実施例5]
水酸化アルミニウムとして、ステアリン酸表面処理水酸化アルミニウム(マーチンスベルク製、OL−104/C、平均粒径1.5μm)に替え、酸化チタン、安定化剤の紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルベンゾフェノン(シプロ化成製、SEESORB 102)及びヒンダードアミン光安定剤としてポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](チバスペシャルティケミカル製、CHIMASSORB 944LD)を使用し、実施例5では、更にホウ酸亜鉛を配合し、表2に示す比較例3及び実施例5の樹脂組成物・重量部に記載した構成とした以外は、比較例1と同様にして、シートを成形し、これらを比較例3及び実施例5として評価した。
評価結果は、表2に示したが、実施例5のものは、耐トラッキング性において比較例3に比べて顕著に優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。
[比較例4、実施例6]
水酸化アルミニウムを、ビニルシラン表面処理水酸化アルミニウム(マーチンスベルク製、平均粒径1.2μm)に替えた以外は、比較例3及び実施例5と同様にして、比較例4及び実施例6として、評価試験した。
樹脂組成物の構成及び結果は、表2に示したが、実施例6のものは、耐トラッキング性において比較例4に比べて顕著に優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。
[比較例5、実施例7]
水酸化アルミニウムを、アミノシラン表面処理水酸化アルミニウム(マーチンスベルク製、OL−104/I、平均粒径1.5μm)に替えた以外は、比較例3及び実施例5と同様にして、比較例5及び実施例7として、評価試験した。
樹脂組成物の構成及び結果は、表2に示したが、実施例7のものは、耐トラッキング性において比較例5に比べて顕著に優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。
[実施例8、9]
撥水剤を、実施例8ではフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業製、L−5)に、実施例9ではフッ素系オイルであるフルオロポリエーテル(デュポン社製、フルオロガード)に替えた以外は、実施例5と同様にして試験した。
樹脂組成物の構成及び結果は、表2に示したが、これらの実施例8、9は、耐トラッキング性において顕著に優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。特に、フッ素系オイルを用いた実施例9は、耐トラッキング性は6.0であったが、試験片のエロージョン(耐トラッキング性試験により、試験片の表面が放電により浸食される現象)が、撥水剤としてアミン変性シリコーンやフッ素樹脂を配合した場合の1.8mm程度に比べ、1.2mm程度と、更に優れた傾向をもつものであった。なお、実施例8は、参考例である。
[実施例10]
水酸化アルミニウムの平均粒径を1.0μmのもの(日本軽金属製、B1403S、ステアリン酸表面処理品)に替えた以外は、実施例5と同様にして試験した。
樹脂組成物の構成及び結果は、表2に示したが、この実施例10は、耐トラッキング性において顕著に優れると共に、絶縁破壊電圧においても顕著に優れており、更に優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。
[実施例11]
ベース樹脂の50重量%を、メルトマスフローレート1.5g/10分、アクリル酸エチルコモノマー含有量24重量%のエチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ユニカー製、NUC−6520)に替えた以外は、実施例9と同様にして試験した。
樹脂組成物の構成及び結果は、表2に示したが、この実施例11は、耐トラッキング性において顕著に優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。
[実施例12、13]
撥水剤及びホウ酸亜鉛の配合量を替えた以外は、実施例9と同様にして試験した。
樹脂組成物の構成及び結果は、表2に示したが、これらの実施例12、13は、耐トラッキング性において顕著に優れると共に、良好な絶縁破壊電圧及び優れた引張破壊歪を持つ機械特性も、良好なものであった。
Figure 0004474134
本発明のポリマー碍子外被部用樹脂組成物は、上記のように優れた耐トラッキング性、絶縁性、加工性及び機械特性をもつので、ポリマー引留碍子やポリマー通り碍子等のポリマー碍子の外被部分を構成する材料として、有効に使用することができ、かつこれより製造されたポリマー碍子は、長期の安定性を持ち、コンパクトで軽量であり、かつ環境負荷も小さい優れた実用価値を有する。

Claims (9)

  1. エチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、ビニルエステル、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、又は不飽和カルボン酸金属塩の共重合体から選ばれるエチレン系樹脂(A)100重量部に対して、水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)を10〜150重量部、及びアミン変性シリコーン又はパーフルオロポリエーテル、若しくはヘキサフルオロプロピレンエポキシドから選択されるフッ素系オイルから選ばれた撥水剤(C)0.1〜5重量部を少なくとも含むことを特徴とするポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  2. 更に、ホウ酸亜鉛(D)を5〜75重量部含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  3. 更に、酸化チタン(E)を1〜25重量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  4. 更に、紫外線吸収剤又はヒンダードアミン光安定剤から選ばれた1種以上の安定化剤(F)を0.05〜5重量部含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  5. 更に、有機過酸化物(G)を0.2〜5重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  6. 水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)は、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、アミノシランカップリング剤又はチタネートカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  7. 水酸化アルミニウム(B)又は水酸化マグネシウム(B)の平均粒径は、0.5〜1.2μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  8. 撥水剤(C)は、パーフルオロポリエーテルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリマー碍子外被部用樹脂組成を形成してなる外被部分をもつことを特徴とするポリマー碍子。
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