JP4471297B2 - オーガ式除雪機 - Google Patents
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従来のオーガ式除雪機100は、除雪作業部101を備えた機体102を走行部103によって走行させるようにし、除雪作業部101及び走行部103をエンジン104にて駆動するというものである。除雪作業部101はオーガ111、ブロア112及びシュータ113からなる。
また、走行速度や負荷の大きさにかかわらず、負荷が増大する度に単に一定の走行速度まで下げるのでは、低速過ぎる場合もあり、作業性を高めるには改良の余地がある。
予め設定され、エンジンの実回転数に対して最大1.0から最小0.0までの範囲で電動モータの減速補正係数の特性が互いに異なる、複数の減速補正係数マップの中から、作業駆動指令部にて除雪作業部をオンにした時点の目標速度に応じて1つを選択する、モータ減速パターン選択ステップと、
選択された減速補正係数マップに基づいて、エンジンの実回転数に対する電動モータの減速補正係数を求める、補正係数取得ステップと、
求められた減速補正係数を目標速度に乗算することで、目標速度を補正する、速度補正ステップと、
電動モータの実速度を補正された目標速度まで減速するように制御する、モータ速度制御ステップと、を備えることで、
作業駆動指令部にて除雪作業部をオンにした時点の目標速度を基準として実速度を下げるように構成したことを特徴とする。
つまり、オーガ式除雪機における現在の走行速度で作業中に、除雪作業部にかかる負荷が増大した場合には、エンジンの回転数が低下する。このときに、現在の走行速度に応じた最適なマップを選択し、低下したエンジンの回転数に応じた減速補正係数を求め、この減速補正係数に応じた分だけ走行速度を下げることができる。従って、走行速度(目標速度)に対応した負荷制御を行うことができる。
減速補正係数については、例えば最大1.0から最小0.0とすればよい。減速補正係数を1.0とすれば、減速補正係数によって補正される目標速度は変わらない。減速補正係数を0.0とすれば、減速補正係数によって補正される目標速度は0.0となる。つまり、停止する。このように、減速補正係数が小さいほど、減速補正係数によって補正される目標速度は小さくなる。つまり、減速補正係数が大きいときの目標速度は余り減少しない。一方、減速補正係数が小さいときの目標速度は大きく減少する。
これに対して請求項2に係る発明では、エンジンが高速回転をしている軽負荷のときに、減速補正係数が大きい特性とすることにより、オーガ式除雪機の走行速度が余り下がらないので、現在の作業速度をできるだけ維持することができる。一方、エンジンが低速回転をしている重負荷のときには、減速補正係数が小さい特性とすることにより、オーガ式除雪機の走行速度を大きく下げて負荷を減少させ、エンジンの負担を軽減させることができる。このように、作業者の意図に沿った作業を行うことができるので、作業性をより一層高めることができる。
作業中の走行速度(電動モータの目標速度)が大きい場合は、除雪作業部にかかる負荷が増大しても、走行速度が余り減少しないので、現在の作業速度をできるだけ維持して、手早い作業をすることができる。また、作業中の走行速度が元々小さい場合は、除雪作業部にかかる負荷が増大したときに、減速補正係数を大きく減少させても、走行速度はそれほど大きく減少しない。従って、作業速度が比較的遅い作業のときに適している。
このように、請求項3に係る発明では、作業者の作業速度の感覚に合った作業を行うことができるので、作業性がより一層高まる。
このようにすることで、電動モータの目標速度の変化に応じて、他の減速補正係数マップへ切り替わったときに、補正された目標速度の値が大きく変動することを、抑制することができる。従って、除雪機の走行速度における速度変化を円滑にすることができ、この結果、作業性がより一層高まる。
図1は本発明に係る除雪機(作業機)の側面図である。図2は本発明に係る除雪機の模式的平面図兼制御系統図である。
左の電動モータ21Lの駆動力で、左の駆動輪23Lを介して左のクローラベルト22Lを駆動することができる。右の電動モータ21Rの駆動力で、右の駆動輪23Rを介して右のクローラベルト22Rを駆動することができる。
伝動機構32は、エンジン14のクランクシャフト14aに取り付けられた電磁クラッチ31から、オーガ用伝動軸33にベルトにて動力を伝達する、ベルト式伝動機構である。エンジン14の動力は、クランクシャフト14a→電磁クラッチ31→伝動機構32→オーガ用伝動軸33の経路でオーガ27及びブロア28に伝わる。オーガ27で掻き集めた雪を、ブロア28によってシュータ29を介して遠くへ飛ばすことができる。
なお、オーガハウジング25は、後下端にスクレーパ35及び左右のそり36L,36Rを備える。
詳しく説明すると、前後に延びるオーガ用伝動軸33をオーガハウジング25及びブロアケース26で回転可能に支承し、ブロアケース26を車体フレーム15の前端部に左右回転可能(ローリング可能)に取付けたものである。
これら左右の旋回操作レバー43L,43Rは、リターンスプリングの引き作用により、図に示すフリー状態になれば旋回スイッチ43La,43Raはオフになる。作業者の左手で左の旋回操作レバー43Lを握ってグリップ18L側に上げれば、左の旋回スイッチ43Laはオンとなる。右の旋回スイッチ43Raについても同様である。このように、左右の旋回操作レバー43L,43Rが握られているか否かは旋回スイッチ43La,43Raで検出することができる。
メインスイッチ44を回してオンにすることで、エンジン14を始動させることができる。オーガスイッチ45は、電磁クラッチ31をオン・オフ切替えする手動スイッチであり、例えば押し釦スイッチからなる。
より具体的に述べると、操作ボックス41の上面41bのうち、車幅中心CLの左隣に方向速度レバー53を配置するとともに、車幅中心CLの右隣にリセットスイッチ54を配置した。
第1制御位置P1は、制御部61に「第1の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第2制御位置P2は、制御部61に「第2の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。第3制御位置P3は、制御部61に「第3の制御モード」で制御をさせるためのスイッチ位置である。
これらのモードを適宜選択することにより、1台の除雪機10を初心者から上級作業者まで、自分に最適な作業形態で容易に使用することができる。
シュータ操作レバー56は、シュータ29(図1参照)の向きを変えるための、操作部材である。
図5に示すように、方向速度レバー53(「前後進速度調節レバー53」とも言う)は、作業者の手で、矢印Ad,Baの如く前後に往復させることができ、「中立範囲」より「前進」側へ倒せば除雪機10(図1参照)を前進させることができ、且つ「前進」領域においては、Lfが低速前進、Hfが高速前進となるように、速度制御も行える。同様に、「中立範囲」より「後進」側へ倒せば除雪機10を後進させることができ、且つ「後進」領域においては、Lrが低速後進、Hrが高速後進となるように、速度制御も行える。
エンジン14の吸気系は、スロットル弁71を制御モータ72で開閉制御するとともに、チョーク弁73を制御モータ74で開閉制御する構成である。スロットル弁71の開度についてはスロットルポジションセンサ75で検出し、チョーク弁73の開度についてはチョークポジションセンサ76で検出し、これらの各検出信号を制御部61に発するようにした。
エンジン14の回転速度(回転数)については、エンジン回転センサ77にて検出し、その検出信号を制御部61に発するようにした。
本発明の除雪機10は、普通車両のパーキングブレーキに相当するブレーキとして、左右の電磁ブレーキ82L,82Rを備える。具体的には、左右の電動モータ21L,21Rの各モータ軸を左右の電磁ブレーキ82L,82Rによって制動するようにした。これらの電磁ブレーキ82L,82Rは、駐車中は制御部61の制御により、ブレーキ状態(オン状態)にある。そこで、次の手順で電磁ブレーキ82L,82Rを開放する。
右の旋回操作レバー43Rを握って右の旋回スイッチ43Raをオン操作している間は、そのスイッチオンのスイッチ信号に基づいて制御部61は右の回生ブレーキ回路85Rを作動させ、右の電動モータ21Rの速度を下げる。
すなわち、左の旋回操作レバー43Lを握っている間だけ、除雪機10を左旋回させることができる。また、右の旋回操作レバー43Rを握っている間だけ、除雪機10を右旋回させることができる。
ST01;方向速度レバー53の操作方向並びに操作量Opを読み込む。この信号は方向速度レバー53のポジションにより定まる。すなわち、方向速度レバー53のポテンショメータ53aから制御部61に発した、電動モータ21L,21Rの目標速度指令を読み込む。
ST03;電動モータ21L,21Rを停止させる又は停止状態を維持させた後に、ST01に戻る。
ST04;電動モータ21L,21Rの後進制御(逆転制御)を実行した後に、ST01に戻る。走行部11L,11Rは後進走行をする。
ST06;電動モータ21L,21Rの実際の速度Tr(実回転速度Tr。以下、「実速度Tr」と言う)を計測する。実速度Trについては、例えばモータ回転センサ83L,83Rで計測すればよい。
ST08;オーガスイッチ45がオンであるか否かを調べ、YESならST09に進み、NOならST10に進む。なお、図6では省略するが、YESの判断の場合には、電磁クラッチ31をオンにする(除雪作業部13を作動させる)。NOの判断の場合には、電磁クラッチ31をオフにする(除雪作業部13を停止させる)。
ST10;電動モータ21L,21Rの実速度Trが目標速度Tsとなるように、電動モータ21L,21Rの前進制御(正転制御)を実行した後に、ST01に戻る。走行部11L,11Rは前進走行をする。
ST101;エンジン14の実際の回転数Ne(以下、「実回転数Ne」と言う)を計測する。実回転数Neについては、例えばエンジン回転センサ77で計測すればよい。
目標速度Tsが第1速度しきい値To1を越えて第2速度しきい値To2までの範囲にあるなら(To1<Ts≦To2)、目標速度Tsが微速域にあると判断して、ST104に進む。
目標速度Tsが第2速度しきい値To2を越えて第3速度しきい値To3までの範囲にあるなら(To2<Ts≦To3)、目標速度Tsが低速域にあると判断して、ST105に進む。
目標速度Tsが第3速度しきい値To3を越えて第4速度しきい値To4までの範囲にあるなら(To3<Ts≦To4)、目標速度Tsが中速域にあると判断して、ST106に進む。
目標速度Tsが第4速度しきい値To4を越えているなら、(To4<Ts)、目標速度Tsが高速域にあると判断して、ST107に進む。
ST104;減速補正係数の特性が互いに異なる、複数の減速補正係数マップの中から、第2減速補正係数マップR2(図8参照)を選択する。
ST105;減速補正係数の特性が互いに異なる、複数の減速補正係数マップの中から、第3減速補正係数マップR3(図8参照)を選択する。
ST106;減速補正係数の特性が互いに異なる、複数の減速補正係数マップの中から、第4減速補正係数マップR4(図8参照)を選択する。
ST107;減速補正係数の特性が互いに異なる、複数の減速補正係数マップの中から、第5減速補正係数マップR5(図8参照)を選択する。
図8は本発明に係る減速補正係数マップの説明図であり、横軸をエンジンの実回転数Ne(rpm)とし縦軸を減速補正係数Rdとして、エンジンの実回転数Neに対応する減速補正係数Rdを得る、5つの減速補正係数マップR1〜R5を示す。
下限値Nsdに対応する、各減速補正係数Rd1〜Rd5については、「0<Rd1<Rd2<Rd3<Rd4<Rd5<1.0」の関係にある。
複数の減速補正係数マップR1〜R5は、エンジンの実回転数Neが上限値Nsuから下限値Nsdまで低下するにつれて、減速補正係数Rdが小さくなる。
このように、上限値Nsuから下限値Nsdまで低下するにつれて、つまり、エンジンの実回転数Neの低下に応じて、減速補正係数Rdが小さくなる度合いは、第5減速補正係数マップR5が最も小さく、第4減速補正係数マップR4、第3減速補正係数マップR3、第2減速補正係数マップR2、第1減速補正係数マップR1の順に大きくなる特性を有している。
ST108;上記ST103〜ST107において選択された減速補正係数マップR1,R2,R3,R4又はR5に基づいて、エンジン14の実回転数Neに対する電動モータ21L,21Rの減速補正係数Rdを求める。
ST109;求められた減速補正係数Rdにて目標速度Tsを補正する。すなわち、方向速度レバー53の操作量Opから求められた元の目標速度Tsに、減速補正係数Rdを乗じて補正し、この補正した値を新たな目標速度Tsとする(Ts=Ts×Rd)。
ST110;電動モータ21L,21Rの実速度Trが、補正された目標速度Tsとなるように、電動モータ21L,21Rの前進制御(正転制御)を実行した後に、図6のST09にリターンする。走行部11L,11Rは前進走行をする。
補正係数取得ステップ92は、選択された減速補正係数マップR1,R2,R3,R4又はR5に基づいて、エンジン14の実回転数Neに対する電動モータ21L,21Rの減速補正係数Rdを求める構成である。
速度補正ステップ93は、求められた減速補正係数Rdにて目標速度Tsを補正する構成である。
モータ速度制御ステップ94は、電動モータ21L,21Rの実速度Trを補正された目標速度Tsとなるように制御する構成である。
すなわち作業機10は、機体19に、エンジン14により駆動する作業部13(除雪作業部13)と、この作業部13のオン・オフを指示する作業駆動指令部45(オーガスイッチ45)と、走行用電動モータ21L,21Rにより駆動する車輪やクローラ等の走行部11L,11Rと、電動モータ21L,21Rを制御する制御部61と、この制御部61に電動モータ21L,21Rの目標速度Tsを指示する目標速度調節部53(方向速度レバー53)とを備える。
また、作業中の走行速度が元々小さい場合は、作業部13にかかる負荷が増大したときに、減速補正係数Rdを大きく減少させても、走行速度はそれほど大きく減少しない。従って、作業速度が比較的遅い作業のときに適している。
このように、作業者の作業速度の感覚に合った作業を行うことができるので、作業性がより一層高まる。
Claims (4)
- 機体に、エンジンにより駆動するオーガ式の除雪作業部と、この除雪作業部のオン・オフを指示する作業駆動指令部と、電動モータにより駆動する車輪やクローラ等の走行部と、前記電動モータを制御する制御部と、この制御部に前記電動モータの目標速度を指示する目標速度調節部とを備えたオーガ式除雪機において、前記制御部は、
予め設定され、前記エンジンの実回転数に対して最大1.0から最小0.0までの範囲で前記電動モータの減速補正係数の特性が互いに異なる、複数の減速補正係数マップの中から、前記作業駆動指令部にて前記除雪作業部をオンにした時点の前記目標速度に応じて1つを選択する、モータ減速パターン選択ステップと、
前記選択された減速補正係数マップに基づいて、前記エンジンの実回転数に対する前記電動モータの減速補正係数を求める、補正係数取得ステップと、
前記求められた減速補正係数を前記目標速度に乗算することで、前記目標速度を補正する、速度補正ステップと、
前記電動モータの実速度を前記補正された目標速度まで減速するように制御する、モータ速度制御ステップと、を備えることで、
前記作業駆動指令部にて前記除雪作業部をオンにした時点の前記目標速度を基準として前記実速度を下げるように構成したことを特徴とするオーガ式除雪機。 - 前記複数の減速補正係数マップは、前記エンジンの実回転数が大きいときには前記減速補正係数が大きく、前記エンジンの実回転数が小さいときには前記減速補正係数が小さくなる特性を有していることを特徴とした請求項1記載のオーガ式除雪機。
- 前記モータ減速パターン選択ステップは、前記除雪作業部をオンにした時点の前記目標速度が小さいときほど、前記複数の減速補正係数マップの中から、前記エンジンの実回転数の低下に応じて前記減速補正係数が小さくなる度合いの大きい特性のマップを選択するように構成したことを特徴とする請求項2記載のオーガ式除雪機。
- 前記複数の減速補正係数マップは、前記エンジンの実回転数が予め設定された上限値を越えた場合に、この上限値に対応する前記減速補正係数を維持するとともに、前記エンジンの実回転数が予め設定された下限値を下回った場合に、この下限値に対応する前記減速補正係数を維持する特性を有していることを特徴とした請求項2又は請求項3記載のオーガ式除雪機。
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