JP4470074B2 - 保冷用パーライトの処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、保冷用パーライトの処理方法に関し、低温タンクの解体にともなって大量に出る保冷材としてのパーライトを効率的に処理できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
LNG(液化天然ガス)等を貯蔵する地上式低温タンクでは、二重殻構造とされ、多くは内外槽間に保冷材としてパーライトを充填している。
【0003】
このパーライトは球状の多孔質の微粒子で、多くの空洞が保冷性能に寄与しており、その比重は0.06程度である。
【0004】
このような保冷材としてパーライトが用いられている低温タンクを寿命等のため解体しようとすると、大量のパーライトが排出されることになる。
【0005】
従来、このような大量に発生するパーライトは産業廃棄物として土中に埋めることで処理されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、パーライトをそのままの状態で地中に埋立て処理する方法では、大型タンクの場合に非常に大量のパーライトが使用されていることから処分場までトラックなどで運搬するための費用が嵩むとともに、埋立てのために広大な土地が必要になり、例えば6万KLタンクで約6000m3 のパーライトが使用されており、そのまま運搬するとトラック750台分に相当し、費用も嵩む。
【0007】
そこで、特開平8−318245号公報には、パーライトを水と混合し、プレス成形のように圧縮することで減容化することが提案されているが、プレス成形用のような圧縮処理では、大量処理を行う場合に、減容に必要な圧縮力を発生させる機構が大きく、大型タンクの解体現場に仮設しにくく、しかも高価となるという問題がある。
【0008】
この発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、保冷用パーライトを運搬や埋立て処理に適した状態まで簡単かつ効率的に処理できる保冷用パーライトの処理方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の保冷用パーライトの処理方法は、低温タンクの保冷用パーライトを処理するに際し、保冷用パーライトを機械的に粉砕し、粒径が700μm以上のものを除いた微粒子の粒径分布の中心粒径が10〜50μmとなるようにした後、袋内にいれ、袋内の空気を吸引排気すると同時に、加振して嵩比重を高めるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
この保冷用パーライトの処理方法によれば、ボールミル等の粉砕機械を用いてパーライトを機械的に粉砕し、粒径が700μm以上のものを除いた微粒子の粒径分布の中心粒径が10〜50μmとなるようにしたのち、これを袋内にいれ、袋内の空気を吸引排気すると同時に、加振して嵩比重を高めるようにしており、運搬や埋立て処理に適した状態まで簡単かつ効率的に処理するようにしている。
また、ボールミル等の粉砕機械を用いてパーライトを機械的に粉砕した後の保冷用パーライトの粒径分布の中心粒径が10〜50μmとなるようにすることで、一層効率的に機械的な粉砕を行い、運搬や埋立て処理に適した状態まで処理できるようにしている。
さらに、袋内の空気の吸引排気と同時に、加振することで、一層効率的に空気を排気して減容化できるようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1はこの発明の保冷用パーライトの処理方法の一実施の形態にかかる概略工程図である。
【0016】
この保冷用パーライトの処理方法は、地上式2重殻低温貯槽1の内槽2と外槽3との間に充填されている保冷用パーライト4を処理対象としており、外槽3の側壁下部に取出口5を形成し、保冷用パーライト4を外部に取り出すようにする(図1(a),(b)参照)。
【0017】
こうして取り出された保冷用パーライト4は、球状の多孔質の微粒子で、多くの空洞が有しており、その比重は0.06程度であることから、機械的に粉砕することで減容処理される。
【0018】
そこで、この機械的な粉砕によるパーライトの減容化方式について検討を行った。
【0019】
減容化方式として、ボールミル方式、ローラ方式、エキストリューダ方式、およびピンミル方式の4つの方式を選び、それぞれについて実験を行ってパーライトを減容化した。
【0020】
これら減容化方法のうちボールミル方式は、パーライトとボール材(鋼球や玉砂利など)をドラムの中に投入し、そのドラムを回転させて減容化する方式で、メッシュ付では、メッシュを介して粉砕物が連続的に排出される方式であり、ローラ方式は、2本のギヤ状のローラ間にパーライトを投入し、ローラ圧で減容化する方式、さらに、エキストリューダ方式は、パイプ状のキャビティ内のスクリューにより巻き込み、減容化する方式であり、ピンミル方式は、高回転するロータに取り付けられた多数の突起物(ピン)間に粉砕対象物を通過させ、粉砕を行う方式である。
【0021】
これら4方式による一定条件下での実験の結果から得られた減容比(1/x)は、表1に示すように、ローラ方式が4.0、ボールミル方式が3.2、ピンミル方式が2.0、メッシュ付ボールミル方式が1.9、エキストリューダ方式が1.8であった。
【0022】
なお、この減容比は減容前の体積(比重)を1とし、処理後の体積(比重)xとの比で表したものである。
【0023】
【表 1】
【0024】
これにより、減容効果からはローラ方式が減容比4.0で最も良好であるが、機械の製作コストや大量処理の必要から連続処理が可能なことなどを考慮すると、ピンミル方式とメッシュ付ボールミル方式6が保冷用パーライト4の処理の実用上最も有効であると考えられる(図1(c)参照)。
【0025】
次に、機械的に粉砕したパーライト4Aの粒度分布と減容比との関係について検討するため、ピンミルで粉砕したパーライトで実験を行った。
【0026】
実験では、1回粉砕したものをもう一度粉砕し、その嵩比重を調べたところ (図2(a)参照)、粒度分布としては2回粉砕したものが細かい方向に進んでいるものの、嵩比重としてはほとんど変化がなかった。さらに、ミキサーを用いて粉砕したもの(図2(b)参照)と比較したところ、ミキサーで粉砕したもののSD値が16.59とピンミルで2回粉砕したもののSD値:13.80に比べて大きいにも拘らず、嵩比重はミキサーの方が0.22とピンミルの0.13に比べて大きい。
【0027】
これらの結果から、パーライトの微粒化を進めるだけでは、高い減容効果が得られないことが分かった。
【0028】
そして、これらのミキサーで粉砕したものとピンミルで2回粉砕したものについて、粒径が700μm以上の粒子を測定対象から除いた微粒子の粒径分布について見ると、粒径が10〜50μmの範囲での頻度が多いミキサーで粉砕したものの方が嵩比重が大きいことが分かった。
【0029】
これにより、機械的な粉砕によるパーライト4Aの粒径分布では、粒径が700μm以下の微粒子についてその粒径が10〜50μmの範囲での頻度が多くなるように粉砕することが嵩比重を大きくすることに有効であり、減容比を大きくできる。
【0030】
こうして機械的に粉砕されたパーライト4Aは、気密状態の合成樹脂製などの廃棄用袋6に入れられる(図1(d)参照)。
【0031】
次いで、真空排気装置7により廃棄用袋6内の空気が吸引排気され、廃棄用袋6全体のパーライト4Aの嵩を下げるようにする(図1(e)参照)。
【0032】
そして、この廃棄用袋6内の空気を吸引排気すると同時に、廃棄用袋6を加振装置8により振動を与えることで、一層効率的に減容することができる。
【0033】
このような廃棄用袋6内の空気を吸引排気することによる減容効果は、真空排気装置7の能力によって変化するが、実験では、約18%の嵩が減少した。
【0034】
このような保冷用パーライトの処理方法によれば、機械的な粉砕により微粉砕した後、さらに袋に収納し、内部の空気を吸引排気するようにすることで、機械的な粉砕に要するエネルギを極力減らしながら、大きな減容効果を得ることができる。
【0035】
これにより、保冷用パーライトの運搬や土中への埋設を効率的に行うことができ、そのまま運搬したり、埋設する場合に比べ大幅にコスト低減を図ることができる。
【0036】
また、機械的な粉砕を連続処理可能なピンミルやメッシュ付ボールミルを用いて行うことができ、低温タンクの解体現場などでも仮設して処理することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したようにこの発明の請求項1記載の保冷用パーライトの処理方法によれば、ボールミル等の粉砕機械を用いて保冷用パーライトを機械的に粉砕し、粒径が700μm以上のものを除いた微粒子の粒径分布の中心粒径が10〜50μmとなるようにした後、袋内にいれ、袋内の空気を吸引排気すると同時に、加振して嵩比重を高めるようにしたので、運搬や埋立て処理に適した状態まで簡単かつ効率的に処理することができる。
また、ボールミル等の粉砕機械を用いてパーライトを機械的に粉砕した後の保冷用パーライトの粒径分布の中心粒径が10〜50μmとなるようにしたので、一層効率的に機械的な粉砕を行い、運搬や埋立て処理に適した状態まで処理することができる。
さらに、袋内の空気の吸引排気と同時に、加振するようにしたので、一層効率的に空気を排気して減容化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の保冷用パーライトの処理方法の一実施の形態にかかる概略工程図である。
【図2】この発明の保冷用パーライトの処理方法の一実施の形態にかかる粒度分布の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 地上式2重殻低温タンク
2 内槽
3 外槽
4 保冷用パーライト
4A 機械的粉砕後の保冷用パーライト
5 取出口
6 廃棄用袋
7 真空排気装置
8 加振装置
Claims (1)
- 低温タンクの保冷用パーライトを処理するに際し、
保冷用パーライトを機械的に粉砕し、粒径が700μm以上のものを除いた微粒子の粒径分布の中心粒径が10〜50μmとなるようにした後、袋内にいれ、袋内の空気を吸引排気すると同時に、加振して嵩比重を高めるようにしたことを特徴とする保冷用パーライトの処理方法。
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