JP4469926B2 - カフ型アクチュエータおよびカフ型インタフェース装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、神経、血管等の生体組織等と物理的にインタフェースする技術に関し、さらに詳しくは、神経、血管等の生体組織等を適切な接触圧力で保持して電気刺激を与え、あるいは、逆に電気信号を取り出すカフ型インタフェース装置、それに好適なカフ型アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
脊髄等の中枢神経は、一度損傷すると、もう二度と治癒することはない。したがって、一度中枢神経を損傷すると、脳からの信号を神経を通じて筋肉に送ることができず、筋肉を動かすことができなくなる。そこで、脳から送られる信号が電気的なものであることを利用し、神経を電気的に刺激することにより神経を興奮させ、それに対応する筋肉を動かすFES(Functional Electrical Stimulation)が考えだされた。FESを用いることにより、脳からの信号無しで体の外部から筋肉の動きを制御することができる。
【0003】
従来のFESでは、図12に示されるように、収縮させたいそれぞれの筋肉28に対応する神経線維29に電極30を設置し、電気刺激を行って興奮を起こさせるものであった。しかし、これでは、電極30を設置する箇所が多くなってしまうという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本件発明者らは、図13に示されるように、より中枢部分で神経束31のある特定の神経繊維のみを選択的に刺激する方法を検討した。
【0005】
神経繊維に電気刺激を与えると、神経繊維は興奮を起こし、それにより対応する筋肉が収縮する。このとき、神経繊維が興奮を起こすためには、刺激電流の強さ、持続時間がある条件を満たしていなければならない。
【0006】
神経繊維は、図14のような電気的等価回路として表すことができる。神経繊維に電流Imを流すことにより電気刺激を行うと、電位差Vmが生じる。Vmがある一定の値を越えると、神経繊維は興奮を起こし、筋肉が収縮する。
【0007】
本件発明者らが提案する選択的刺激は、数回の刺激を加算することにより実現するものである。
【0008】
すなわち、図15は、神経束31およびそれに電気刺激を与える電極32の断面図であり、同図において、先ず、第1回目は、電極321−322間で興奮を起こさない時間の刺激を行う。第1回目の電極321−322間には、神経繊維は、E,A,Bの3本存在するが、どれも興奮を起こさない。続いて第2回目は、電極323−324間で興奮を起こさない時間の刺激を行う。第2回目の電極323−324間には、神経繊維は、D,A,Cの3本存在するが、神経繊維Aのみが、図16に示されるように、第1回目と第2回目との刺激が加算されて興奮電位に達して発火し、対応する筋肉が収縮する。従って、神経線維Aのみが選択的に刺激されたことになる。
【0009】
このような神経束の選択的刺激方法を、実用化していく上で、電気刺激を与える電極デバイスおよびこの電極デバイスを神経束に適切な圧力で接触させて保持するアクチュエータの開発が必須である。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、神経、血管等の生体組織等を適切な接触圧力で保持して電気刺激を与えるカフ型インタフェース装置、それに好適なカフ型アクチュエータを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0012】
すなわち、本発明のカフ型アクチュエータは、複数のバルーンを備え該バルーンの膨張によって、生体の神経束に電気刺激を与える電極デバイスを、前記神経束に所要の接触圧力で巻き付けた状態で保持するものである。
【0013】
本発明によると、電極デバイスを所要の接触圧力で生体の神経束に巻き付けた状態で保持することができ、電極デバイスを介して神経束に電気刺激を与えることができる。
【0015】
本発明によると、複数のバルーンの膨張によって電極デバイスを、神経束に接触させるので、バルーンの膨張の度合いを調整することにより、電極デバイスの神経束に対する接触圧力を調整できることになる。
【0016】
本発明の他の実施態様においては、前記バルーンには、紫外線硬化型のシリコーンが注入されて膨張するとともに、前記シリコーンが硬化して前記巻き付けた状態で前記電極デバイスを保持するものである。
【0017】
本発明によると、シリコーンの注入圧力の調整によって電極デバイスの神経束に対する接触圧力を調整できることになる。
【0018】
本発明のさらに他の実施態様においては、形状記憶合金を備え、該形状記憶合金は、前記電極デバイスを前記神経束に巻き付けるように形状記憶されるものである。
【0019】
本発明によると、形状記憶合金の形状記憶を利用して電極デバイスを神経束に巻き付けるので、操作が容易となる。
【0020】
本発明のカフ型インタフェース装置は、生体の神経束に電気刺激を与える電極デバイスと、本発明に係るカフ型アクチュエータとを備えるものである。
【0021】
本発明によると、生体の神経束に電気刺激を与える電極デバイスを所要の接触圧力で生体の神経束に巻き付けた状態で保持することができ、電極デバイスを介して神経束に電気刺激を与えることができる。
【0022】
本発明の一実施態様においては、前記電極デバイスは、フィルム基板に複数の刺激電極が形成され、前記巻き付けた状態では、前記複数の刺激電極が、前記神経束を囲むものである。
【0023】
本発明によると、半導体製造技術を利用して電極デバイスを作成できるとともに、薄いフィルムであるので、柔軟性を有する。
【0024】
本発明の他の実施態様においては、前記電極デバイスは、複数の刺激電極が、繊維で編み込まれたメッシュ構造であって、前記巻き付けた状態では、前記複数の刺激電極が、前記神経束を囲むものである。
【0025】
本発明によると、メッシュ構造であるので、十分な柔軟性を有するとともに、血液や体液が刺激電極付近に滞留することがない。
【0026】
本発明のカフ型アクチュエータおよびカフ型インタフェース装置の他の実施態様においては、前記電極デバイスは複数の刺激電極を有し、前記刺激電極を介して前記神経束の一部に電気刺激を加算的に与えることにより、前記一部を選択的に刺激するものである。
【0027】
本発明によると、神経束に電気刺激を与える電極デバイスを所要の接触圧力で神経束に巻き付けた状態で保持し、その神経束の一部を選択的に刺激することができ、個々の神経線維毎に刺激電極を設ける必要がない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一つの実施の形態に係るカフ型インタフェース装置1の概略構成を示す斜視図である。
【0030】
この実施の形態に係るカフ型インタフェース装置1は、神経束2を選択的に刺激する方法に用いられるものであり、神経束2に電気刺激を与える電極デバイス3と、この電極デバイス3を外側から神経束2に巻き付けるように保持するカフ型アクチュエータ4とを基本的に備えている。
【0031】
電極デバイス3は、複数の刺激電極5を備えるメッシュ構造となっており、カフ型アクチュエータ4は、電極デバイス3を神経束2に巻き付けるように形状記憶された形状記憶合金からなるワイヤ6が埋め込まれているとともに、後述のシリコーンなどの注入によって膨張して電極デバイス3を神経束2に対して締め付ける複数のバルーン7を備えている。
【0032】
このカフ型インタフェース装置1は、後述の図2(c)の神経束2に対する装着手順の断面図に示されるように、電極デバイス3の複数の刺激電極5が、神経束2を囲んで所要の接触圧力で接触するようにカフ型アクチュエータ4で締め付け保持するものであり、この締め付け保持された状態で、上述の図15で説明したように所要の刺激電極5間に電流を流し、神経束2の一部に電気刺激を加算的に与えて前記一部を選択的に刺激するものである。
【0033】
この実施の形態の電極デバイス3は、図3の一部拡大図に示されるように、例えば、Au(金)からなる刺激電極5を有する電極用配線8が、例えば、ポリエステル繊維9で編み込まれたメッシュ構造となっており、電極用配線8は、銅線にコーティングが施されて構成されており、刺激電極5の部分は、銅線にAuがめっきされて構成されている。
【0034】
このようにメッシュ構造とすることにより、神経の形に対応できる十分な柔軟性を有することができるとともに、電極と神経間において、体液、血液等を吸収し、それらが滞留するのを防止できる。
【0035】
この実施の形態では、電極用配線8の外径は、例えば、100μm、ポリエステル繊維9の外径は、例えば、150μmであり、隣り合う電極用配線8,8の間隔は、例えば、900μmであり、Auからなる刺激電極5の部分の長さは、例えば、1mmである。
【0036】
なお、刺激電極5が、ポリエステル繊維9よりも突出して神経束に接触し易いように、刺激電極5の部分とポリエステル繊維9との間には、シリコンゴムを介在させるようにしてもよい。
【0037】
図4は、この実施の形態のカフ型アクチュエータ4の分解斜視図であり、このカフ型アクチュエータ4は、ポリイミドフィルム10上に、所要のパターンのテフロンやパリレンなどの非接着性膜、この実施の形態では、テフロン11を載置した下部構造体12に、窓13aの開いたポリイミドフィルム13にシリコンゴムフィルム14が接合された上部構造体15を、形状記憶合金のワイヤ6を挟んで貼り合わせることによって製作される。
【0038】
非接着性膜であるテフロン11のパターンの部分だけは、上部構造体15と下部構造体12とが接着しないので、この部分が、カフ型アクチュエータ4に後述のように注入される紫外線硬化型のシリコーンの流路およびシリコンゴムフィルム14が膨らんでバルーンとなる。
【0039】
上部構造体のポリイミドフィルム13の窓13aからは、シリコンゴムフィルム14が臨み、この部分のシリコンゴムフィルム14が、紫外線硬化型のシリコーンの注入によって脹らむバルーンとなる。
【0040】
上部構造体15は、図5に示されるように、ポリイミドフィルム13に、反応性イオンエッチングのエッチングマスクとなるAl膜17を蒸着し、レジストマスク18を形成し、Al膜17をエッチングし、さらに、Al膜17をマスクとして反応性イオンエッチングにより、窓13aの開いたポリイミドフィルム13を得てシリコンゴムフィルム14と接合する。
【0041】
この実施の形態では、下部構造体12は、予め所要のパターンに形成されたテフロン11を、ポリイミドフィルム13上に載置した状態で上部構造体15を貼り合わせたけれども、本発明の他の実施の形態として、ポリイミドフィルム13上に、テフロン等の非接着性フィルムを接合し、X照射パターニングあるいは反応性イオンエッチングパターニングによって所要のパターンの非接着性フィルムを形成してもよい。
【0042】
上部構造体15と下部構造体12との間にその周縁に沿って配設される形状記憶合金のワイヤ6は、例えば、Ti−Ni合金であって、変態温度、例えば、体温では、電極デバイス3を神経束2に巻き付けるように円形に戻るように形状記憶されている。
【0043】
神経束2は、非常に柔らかく、形状を円形に保つのは難しく、そこで、カフ型アクチュエータ4のワイヤ6によって、電極デバイス3を神経束2に円形に巻き付けるものである。
【0044】
形状記憶効果を示す合金には、上述のTi−Ni合金以外に、Cu−Al−Ni、Cu−Zn等様々な種類があるが、この実施の形態で使用したTi−Ni合金は、熱処理が広範囲で行なわれても、形状記憶効果が現れる。また、圧延などの冷間加工が可能で、50%の大きな変形にも耐え、生体適合性において重要となる耐食性にも優れている。
【0045】
次に、以上の構成を有するカフ型インタフェース装置1の神経束2に対する装着の手順を上述の図2に基づいて説明する。
【0046】
この実施の形態のカフ型インタフェース装置1は、先ず、神経束2を囲むように電極デバイス3を入れ、さらに、それを囲むようにカフ型アクチュエータ4を入れる。カフ型アクチュエータ4は、形状記憶合金のワイヤ6が、例えば、体温によって電極デバイス3を、図2(a)に示されるように、神経束2に巻き付けるように円形に復帰し、神経束2に対して、電極デバイス3およびカフ型アクチュエータ4が巻き付けられる。
【0047】
次に、カフ型アクチュエータ4のテフロン11のパターンによる流路から紫外線硬化型のシリコーンを図2(b)に示されるように注入し、複数のバルーン7を膨らませて電極デバイス3を、図2(c)に示されるように内側の神経束2に対して所要の接触圧力で接触するように締め付け、その後、バルーン7内のシリコーン16を硬化させてその状態を保持して固定するものである。なお、必要に応じて、手術用のホッチキスなどを用いてカフ型アクチュエータ4の端部を留めてもよい。
【0048】
この実施の形態では、体温によって、形状記憶合金のワイヤ6が円形に復帰したけれども、本発明の他の実施の形態として、生体に影響を与えない程度に加熱することによって、形状記憶合金のワイヤ6が円形に復帰するように構成してもよい。
【0049】
ここで、所要の接触圧力とは、神経に過剰な負荷を加えない程度、すなわち、神経に許容変形以上の変形を生じさせない程度であって、完全に神経表面に接触する圧力をいい、例えば、0.25〜0.35kgf/cm2あたりが適していると思われる。
【0050】
なお、神経束2は、個体差があり、また、体の何処にある神経束であるかによって、許容負荷圧力は、変わってくると考えられるが、この実施の形態のカフ型アクチュエータ4によって、バルーン7を膨らませる圧力を調整することで対応できることになる。
【0051】
また、複数のバルーン7に対する圧力を個別に調整できるようにし、各バルーン7毎に膨らませる度合いを調整し、これによって、個体差のある神経束の断面形状に応じて電極デバイス3を保持できるようにしてもよい。
【0052】
このようにして神経束2に電気刺激を与える電極デバイス3を、カフ型アクチュエータ4によって所要の接触圧力で接触させて締め付けて保持できることになる。その後は、電極デバイス3の電極用配線8が接続されている図示しない電気刺激装置から試験的に電極デバイス3の刺激電極対間に電流を流して、神経束2のどの神経線維が、どの刺激電極5に対応する位置にあるかを確認し、その後、所望の神経線維を、上述の加算的な電気刺激によって選択的に刺激するのである。
【0053】
以上の構成を有するカフ型インタフェース装置の評価について、以下に説明する。
【0054】
図6は、カフ型アクチュエータ4に注入される空気圧とバルーン7の変位との関係を示す図であり、ほぼリニアな特性が得られた。
【0055】
また、図7は、カフ型アクチュエータ4に注入される空気圧と、疑似神経の内圧との関係を示す図である。これは、図8に示される評価装置を用いたものであり、片側をシリコーンにより密封した疑似神経としてのタイゴンチューブ19を、アクリル製の冶具20によって圧力センサ21に接続し、このタイゴンチューブ19を、本発明のカフ型アクチュエータ4によって、締め付けた場合の疑似神経であるタイゴンチューブ19の内圧の変化を示したものである。
【0056】
この図7に示されるように、カフ型アクチュエータ4に注入される空気圧が、0.2kgf/cm2未満までは、疑似神経であるタイゴンチューブ19にカフ型アクチュエータ4のバルーン7が、ほとんど接触しておらず、0.2kgf/cm2あたりからカフ型アクチュエータ4のバルーン7とタイゴンチューブ19とが接触し、タイゴンチューブ19の内圧が上昇し始める。つまり、神経に過剰な負荷を加えないカフ型アクチュエータ4の圧力は、神経に許容変形以上の変形を生じさせることなく、完全に神経表面に接触する0.25〜0.35kgf/cm2あたりが適していると考えられる。
【0057】
この実施の形態の電極デバイス3およびカフ型アクチュエータ4を用いてビーグル犬の坐骨神経の刺激実験を行なった。用いた電極デバイス4の刺激電極数は、16極であったが、16極全ての電極の接触が確認できた。
【0058】
上述の実施の形態では、電極デバイス3として、メッシュ構造のものを用いたけれども、本発明の他の実施の形態として、図9に示されるように、例えば、ポリイミドフィルムの基板22に、刺激電極5および電極用配線8を形成し、刺激電極5の部分および図示しない電気刺激装置に接続される接続部23のみを露出させた電極デバイス24を用いてもよい。
【0059】
この電極デバイス24は、図10に示されるように、ポリイミドフィルムの基板22に、銅25のパターンを形成し、さらに、厚膜レジスト26のパターンを形成して刺激電極および接続部の銅25が露出されて、その露出した部分に金27が形成されて構成される。
【0060】
本発明のさらに他の実施の形態として、ポリイミドフィルムの基板22に、例えば、直径100μm程度の微小孔を多数形成し、柔軟性および通気性を向上させるようにしてもよい。
【0061】
本発明のカフ型インタフェース装置1は、例えば、図11に示されるバイオニック動脈圧反射システムなどに適用することができる。
【0062】
正常な場合には、同図(a)に示されるように、時々刻々と変化する動脈圧は、圧受容器で検知され、圧受容器神経活動として脳幹部の血管運動中枢にフィードバックされる。血管運動中枢は、この圧受容器神経活動に応じて自律神経活動を変化させる。その結果、血管の収縮・弛緩あるいは心拍数や収縮性が変化し、外乱の影響が抑制されることになる。
【0063】
これに対して、頭頸部腫瘍に対する外科的切除術などにより圧受容器機能が障害されることがある。このような場合、原理的には、人工的圧受容器を用いて正常の動脈圧反射機能の回復を図ることができる。すなわち、同図(b)に示されるように、人工的圧受容器は、圧センサー、動脈圧情報の神経刺激頻度への符号化装置、電気刺激装置および本発明の係るカフ型インタフェース装置1とからなる。
【0064】
このカフ型インタフェース装置1を用いた人工的圧受容器によれば、動脈圧を、符号化装置、電気刺激装置等を介して圧受容器神経線維に伝達して動脈圧反射機能の回復を図ることができる。
【0065】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、電極デバイスとカフ型アクチュエータとは、別体であったけれども、本発明の他の実施の形態として、一体構成としてもよい。
【0066】
電極デバイスに対して電気刺激信号を与える電気刺激装置は、生体外から無線によって電気刺激信号を与えるようにしてもよい。
【0067】
さらに、本発明の他の実施の形態として、電極デバイスを介して生体の電気信号を外部に取り出すようにしてもよい。また、この場合、電気刺激は与えることなく、外部に信号を取り出す専用の装置としてもよい。
【0068】
本発明のカフ型インタフェース装置は、運動機能の制御に限らず、自律神経が機能しない場合に、その自律神経の制御にも適用できるものである。
【0069】
上述の実施の形態では、紫外線硬化型のシリコーンをカフ型アクチュエータに注入してバルーンを膨張させたけれども、本発明は、紫外線硬化型のシリコーンに限らず、他の流体を注入してもよく、また、例えば、液体で沸点の低い不活性なフロリナートを封入し、このフロリナートの相変化を利用してバルーンを膨張させるようにしてもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明のカフ型アクチュエータによれば、電極デバイスを所要の接触圧力で変形し易い神経束に巻き付けた状態で保持することができ、しかも、バルーンの膨張の度合いを調整することにより、電極デバイスの神経束に対する接触圧力を調整できることになる。さらに、形状記憶合金を用いて電極デバイスを神経束に巻き付けるので、操作が容易となる。
【0071】
また、本発明のカフ型インタフェース装置によれば、生体の神経束に電気刺激を与える電極デバイスを所要の接触圧力で生体の神経束に巻き付けた状態で保持することができ、しかも、複数の刺激電極が、前記神経束を囲むように保持することができる。さらに、半導体製造技術を利用して電極デバイスを作成できるとともに、薄いフィルムであるので、柔軟性を有する。また、電極デバイスを、メッシュ構造とすることにより、十分な柔軟性を有するとともに、血液や体液が刺激電極付近に滞留することがない。
【0072】
本発明のカフ型アクチュエータおよびカフ型インタフェース装置によれば、電極デバイスを神経束に巻き付けた状態で保持し、その神経束の一部を選択的に刺激することができ、個々の神経線維毎に刺激電極を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係るカフ型インタフェース装置1の概略構成を示す斜視図である。
【図2】カフ型インタフェース装置1の神経束2に対する装着の手順を示す断面図である。
【図3】図1の電極デバイスの一部を拡大して示す図である。
【図4】図1のカフ型アクチュエータの分解斜視図である。
【図5】カフ型アクチュエータの上部構造体の製造手順を示す斜視図である。
【図6】カフ型アクチュエータに注入される空気圧とバルーンの変位量との関係を示す図である。
【図7】カフ型アクチュエータに注入される空気圧と疑似神経の内圧との関係を示す図である。
【図8】図7に用いた評価装置の概略構成図である。
【図9】本発明の他の実施の形態の電極デバイスの平面図である。
【図10】図9の製造工程を示す断面図である。
【図11】本発明のカフ型インタフェース装置が適用されるバイオニック動脈圧反射システムの構成図である。
【図12】従来例のFESの構成図である。
【図13】本発明のFESの構成図である。
【図14】神経線維の等価回路である。
【図15】本発明の神経束の選択的刺激方法を説明するための神経束の断面図である。
【図16】図15の神経線維に生じる電位差の時間的変化を示す図である。
【符号の説明】
1 カフ型インタフェース装置
2,31 神経束
3,24 電極デバイス
4 カフ型アクチュエータ
5 刺激電極
6 ワイヤ
7 バルーン
Claims (8)
- 複数のバルーンを備え該バルーンの膨張によって、生体の神経束に電気刺激を与える電極デバイスを、前記神経束に所要の接触圧力で巻き付けた状態で保持することを特徴とするカフ型アクチュエータ。
- 前記バルーンには、紫外線硬化型のシリコーンが注入されて膨張するとともに、前記シリコーンが硬化して前記巻き付けた状態で前記電極デバイスを保持する請求項1記載のカフ型アクチュエータ。
- 形状記憶合金を備え、該形状記憶合金は、前記電極デバイスを前記神経束に巻き付けるように形状記憶される請求項1または2に記載のカフ型アクチュエータ。
- 前記電極デバイスは複数の刺激電極を有し、前記刺激電極を介して前記神経束の一部に電気刺激を加算的に与えることにより、前記一部を選択的に刺激することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカフ型アクチュエータ。
- 生体の神経束に電気刺激を与える電極デバイスと、
前記請求項1ないし4のいずれかに記載のカフ型アクチュエータとを備えることを特徴とするカフ型インタフェース装置。 - 前記電極デバイスは、フィルム基板に複数の刺激電極が形成され、前記巻き付けた状態では、前記複数の刺激電極が、前記神経束を囲むものである請求項5記載のカフ型インタフェース装置。
- 前記電極デバイスは、複数の刺激電極が、繊維で編み込まれたメッシュ構造であって、前記巻き付けた状態では、前記複数の刺激電極が、前記神経束を囲むものである請求項5記載のカフ型インタフェース装置。
- 前記刺激電極を介して前記神経束の一部に電気刺激を加算的に与えることにより、前記一部を選択的に刺激することを特徴とする請求項6または7に記載のカフ型インタフェース装置。
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