JP4461938B2 - 組織分析評価装置、および組織分析評価方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

組織分析評価装置、および組織分析評価方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDF

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本発明は、組織内や組織間で伝達されるメールなどの伝達情報のログに基づいて、ある組織が他の組織に与える影響等を解析し、各組織の価値などの組織評価を行なう組織分析評価装置、および組織分析評価方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
現在、情報技術(IT)を利用した組織的なコミュニケーション(組織コミュニケーション)手段として、電子メール、電子メールシステムを利用したメーリングリスト、および、WWW(World・Wide・Web)を利用した電子掲示板などが、一般的に利用されている。これら組織コミュニケーション手段において伝達されるメッセージは、メッセージログとして蓄積されるので、必要に応じて、蓄積されたメッセージを分析したり、その分析結果を利用することができる。
組織コミュニケーションにおけるメッセージとして伝達される電子メールのヘッダには、タイトル、発言者、日付および本文などの情報が含まれており、例えば、特許文献1は、メッセージログに蓄積されたこれらの情報に対して、自然言語による検索を行うシステムを開示する。また、例えば、特許文献2は、ヘッダに含まれる情報を、ネットワーク管理(経路遅延分析・ログ蓄積)に応用する方法を開示する。また、例えば、特許文献3〜5は、ヘッダに含まれる情報を、受信側におけるエージェントの処理(電子メールの分類など)に応用する方法を開示する。
しかしながら、これらの文献に開示されたシステム・方法のいずれも、蓄積されたメッセージログを利用して、組織がもたらす影響の価値を評価することを目的としていない。従って、これらのシステム・方法のいずれによっても、ある組織が、その他の組織に対して、どのような影響を及ぼしているか、どのような情報をもたらしているか、および、どのような価値を有するかなどの評価(価値評価)を、客観的に行うことはできない。
一方、例えば、非特許文献1,2は、組織コミュニケーションの観点からメッセージログを分析する方法を提案し、学術的にその有用性を議論している。しかしながら、これら非特許文献1,2は、メッセージログを分析して、その結果をある組織の、ある組織の集合体、例えば企業の中での価値として評価する方法ではない。
また、これら非特許文献1,2は、分析に関しても、組織コミュニケーションを取得から分析までを自動的に行う方法を開示していない。また、非特許文献3は、組織コミュニケーションの結果として得られたメッセージログを分析して、発言者間の関係情報を可視化する方法を開示する。
また、特許文献6は、メッセージログを分析して、関係情報を共有する方法を開示する。また、非特許文献4は、関係情報を用いて可視化を始め、様々な指標を計算する方法を開示している。しかしながら、これらの文献に開示された方法は、組織コミュニケーションを可視化するだけであって、組織の価値評価を行わない。従って、これらの文献に開示された方法のいずれによっても、上述した組織の価値評価を、客観的に行うことはできない。
特開平11−242545号公報 特開平6−59993号公報 特開平6−259345号公報 特開平11−15757号公報 特開平6−62046号公報 特開平10−301905号公報 Advances in social network analysis:Research in the social and behavioral sciences,pp.167−203,Newbury Park,CA:Sage、1996 ACM0−89791−782−0/96/04、JCMC3(4)June 1998 Work group structures and computer support: a field experiment,pp.324−343, Portland, Oregon, United States,1988 高橋,北山,金子:ネットワーク・コミュニティにおける組織アウェアネスの計量と可視化, 情報処理学会論文誌,Vol.40,No.11,pp3988−3999,Nov 1999. Pajek:http://vlado.fmf.uni−lj.si/pub/networks/pajek/default.htm
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、組織内および組織間で伝達されるメッセージ、メールなどのログを分析して、組織の価値を客観的に評価することを可能とした組織分析評価装置、および組織分析評価方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
従来のログ分析では、組織が別の組織にあたえる影響を、ログのみによって測定しているため、組織間の中で行われたコミュニケーションが結果として、どのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを詳細に測定することができなかったという問題がある。本発明は、ログ分析におけるこのような問題を解決するために、コミュニケーションを分析する時点ではなく、コミュニケーションを行う時点で、そのコミュニケーションの行為の種類と行為の内容(なにを、どうして、どうなった等の詳細)をユーザに入力・選択させることによって、定性的な内容を含む影響の評価をログ分析のみでも実施することを可能とした組織分析評価装置、および組織分析評価方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は、評価対象となる単位内または単位間の伝達情報に基づく伝達情報ログを収集するログ収集・管理部と、前記ログ収集部の収集した伝達情報ログを格納するログ記憶部と、前記単位内の成員に対する行為情報取得のためのインタフェースを提供するユーザインタフェース部とを有し、前記ログ収集・管理部は、前記ユーザインタフェース部を介して入力する行為情報を前記伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行する構成を有することを特徴とする組織分析評価装置にある。
本構成によれば、メッセージログ解析データと、インタフェースを介して取得した行為の種類、属性を含む行為情報とに基づいて、組織間、あるいは組織内で送受信されるメッセージログに基づくログ分析のみでは取得できないコミュニケーションの結果としての行為、すなわち、コミュニケーション情報がどのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを詳細に分析することができる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記組織分析評価装置は、さらに、前記ログ記憶部に格納された前記行為情報と前記伝達情報ログとの関連付けデータに基づく分析データを生成するログ分析・評価部と、前記ログ分析・評価部における分析データを格納する分析・評価結果記憶部とを有することを特徴とする。
本構成によれば、メッセージログ解析データと、インタフェースを介して取得した行為情報とを関連付けて、データベースに格納する構成であるので、メッセージ内の情報と、その情報に対応する行為情報を効率的に取得し解析することが可能となる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記ログ収集・管理部は、前記ユーザインタフェース部を介して入力する行為情報として、行為の種類情報と行為の属性情報とを取得し、行為の種類情報と行為の属性情報とを前記伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行する構成を有することを特徴とする。
本構成によれば、メッセージログ解析データと、インタフェースを介して取得した行為の種類、属性を含む行為情報とを関連付けて、データベースに格納する構成であるので、メッセージ内の情報と、その情報に対応する行為の種類および属性を効率的に取得し解析することが可能となる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記ユーザインタフェース部は、行為の種類としての選択項目を提示したインタフェースと、行為の属性としての選択項目を提示したインタフェースを提供する構成であり、前記ログ収集・管理部は、前記ユーザインタフェース部を介して入力する行為の種類および行為の属性に関する選択データの収集および前記伝達情報ログとの関連付け処理を実行する構成を有することを特徴とする。
本構成によれば、ユーザに提供されるインタフェースは、選択入力が可能であるので、文書作成等の手間をかけることのない効率的な行為情報収集が可能となる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記組織分析評価装置は、さらに、行為情報の取得を実行するアンケート処理部と、アンケート処理部の取得した行為情報と、前記ログ収集・管理部の収集した伝達情報ログとに基づく総合分析処理を実行する総合分析部を有することを特徴とする。
本構成によれば、アンケート処理部において行為情報の取得を行なう構成であり、より詳細な行為情報の取得が可能となり、分析評価処理において、さらに高度な解析が可能となる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記組織分析評価装置は、さらに、生成した評価データを通知する結果通知部を有し、前記結果通知部は、予め定められた通知条件を満足する場合に通知処理を実行する構成であることを特徴とする。
本構成によれば、通知の必要な所定条件を満足する場合にのみ通知処理が可能となり、無駄な評価情報の提示等を省略することが可能となる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記通知条件は、取得された行為情報の解析結果に基づいて決定される条件を含むことを特徴とする。
本構成によれば、影響評価における問題点を抽出した情報通知処理が可能となり、有益な情報の提示のみを実行することが可能となる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記ログ記憶部は、電子写真の用紙の計数値を含むログを記憶し、前記ログ分析評価部は、電子写真の用紙の計数値を含むログを分析して、評価対象の単位が他の単位に与える影響を評価する構成であることを特徴とする。
本構成によれば、コピー機、ファクシミリ、プリンタなどにおいて計数される使用枚数などの計数値に基づいて、利用度、利用率、満足度を把握可能となり、実施すべきアンケートなどの判定を効率的に行なうことができる。
さらに、本発明の組織分析評価装置の一実施態様において、前記単位は、個人構成員からなる組織、該組織の構成員としての個人のいずれかであることを特徴とする。
本構成によれば、組織、個人、双方の評価単位を設定したフレキシブルな評価処理が実現される。
さらに、本発明の第の側面は、
組織分析評価処理を実行するコンピュータ・プログラムであり、評価対象となる単位内または単位間の伝達情報に基づく伝達情報ログを収集するログ収集・管理ステップと、前記ログ収集ステップにおいて収集した伝達情報ログをログ記憶部に格納するログ記憶ステップと、前記単位内の成員に対する行為情報取得のためのインタフェースを提供するユーザインタフェース提供ステップと、前記インタフェースを介して入力する行為情報を前記伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行する関連付けデータ記憶ステップと、を有することを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
本構成によれば、メッセージログ解析データと、インタフェースを介して取得した行為の種類、属性を含む行為情報とに基づいて、組織間、あるいは組織内で送受信されるメッセージログに基づくログ分析のみでは取得できないコミュニケーションの結果としての行為、すなわち、コミュニケーション情報がどのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを詳細に分析することができるコンピュータ・プログラムが提供される。
なお、本発明のコンピュータ・プログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能なコンピュータシステムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、CDやFD、MOなどの記録媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータシステム上でプログラムに応じた処理が実現される。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
本発明の構成によれば、組織内および組織間で伝達されるメッセージ、メールなどのログを取得するとともに、ユーザインタフェースを介して入力される行為情報を取得し、これらを関連付けてデータベースに格納する構成としたので、メッセージログ解析データと、インタフェースを介して取得した行為の種類、属性を含む行為情報との関連データの解析が可能となり、組織間、あるいは組織内で送受信されるメッセージログに基づくログ分析のみでは取得できないコミュニケーションの結果としての行為、すなわち、コミュニケーション情報がどのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを効率的に詳細に分析することができる。
さらに、本発明の構成においては、行為の種類、行為の属性情報についての収集態様として、ユーザインタフェースを介した収集、アンケートに基づく収集など、様々な処理態様が可能であり、アンケートに基づく行為情報の収集を行なった場合においては、詳細な情報取得により、メッセージログとのギャップ分析など高度なデータ解析が実現可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の組織分析評価装置、および組織分析評価方法、並びにコンピュータ・プログラムの詳細について説明する。なお、説明は、以下の項目に従って行なう。
1.本発明の背景
2.本発明の具体的実施形態
2.1.ネットワークシステム
2.2.ハードウェア構成
2.3.クライアントプログラム
2.4.サーバプログラム
2.5.分析・評価プログラム
2.5.(a)電子メールのメッセージログに基づく分析、評価
2.5.(b)行為情報に基づく分析、評価
2.6.アンケート分析との併用
[1.本発明の背景]
本発明の理解を容易にするため、本発明の具体的な実施形態の説明に先立ち、まず、本発明がなされるに至った背景を説明する。これまでは、組織(会社の部署など実体を伴う組織であるか、メーリングリストなど、仮想的な組織であるかを問わない)の価値は、ある組織の外部との公式な取引およびサービス提供、あるいは、外部に対する売上などにより評価されてきた。
例えば企業は、階層的に整理された解決すべき問題に対して機能分化された組織が階層的に配置されており、このような組織に対する命令を伝達することにより問題を解決する。このような企業の体制内では、組織の価値の評価は、例えば、純粋に組織に対して投入された人、物および金などのリソースのインプットと、その結果もたらされた経済的価値およびサービスなどのアウトプットとの差分および比率として評価されてきた。しかしながら、組織の価値は、インプットとアウトプットの差分および比率という観点からだけでは評価しきれないことが、学術的側面からも、実際のビジネスの側面からも指摘されている。
また、経営学などの分野においても、このような階層的組織による問題解決方法では、顧客の多種多様な要望に迅速に応えることができなくなってきている旨の指摘がある。このような問題の指摘に対して、IT(Information Technology)を導入し、企業内の組織をフラットな構造とし、各組織に自律分散的な活動を推奨し、問題解決のために、リソースの配分を柔軟に変更して最適化する解決策が提案されている。
しかし、このように、組織の構造をフラットにすると、組織およびその成員の価値を、インプットとアウトプットとの差分および比率に基づいて評価することが極めて困難になる。なぜならば、上述のように、フラットな構成の組織においては、その構造が柔軟に変化するので、何らかの問題解決を最初から目指して組織が設けられることはなく、また、組織の成員が常に変化していたり、1人の成員が、複数の組織に公式あるいは非公式に所属することがあり、さらに、問題解決の後には、組織自体が解散してしまうなどの理由から、組織に対してどのようなインプットがなされ、どのようなアウトプットがあったかを評価することが難しいからである。
本発明は、組織の価値を評価するために、公式であるか非公式であるかを問わず、組織内および組織間におけるコミュニケーション(組織コミュニケーション)に着目する。具体的には、本発明は、ある組織内で発生する(伝達される)コミュニケーションのいかなる内容が、他の組織において、どのような範囲・規模で使われているかということに着目して、組織の価値を評価する。つまり、本発明は、組織コミュニケーションに着目して、ある組織の価値を、その組織が別の組織に与える影響を用いて求める。
このような点に着目すると、ある組織に対して公式に課されていない情報・サービスの提供など、直接の経済価値を生じなかったり、あるいは、評価が困難であった組織および組織コミュニケーションの価値を、代替的に評価することができる。より具体的には、ある組織が問題を解決しているときに、この組織におけるコミュニケーションの内容を分析することにより、ある組織内の情報が、他の組織およびその成員に対して伝達されたり、他の組織およびその成員の活動に利用されたりすることに着目すると、客観的に、その組織の価値評価と組織コミュニケーションの価値評価は何が違うのかを評価することができる。
例えば、企業において、実際の収益をあげている部署の価値だけでなく、一見、収益を上げていないので価値が低そうに見えるが、実際には、会社の多くの部署にとって有益であり、間接的に大きな収益に結びついている部署の価値を正確かつ客観的に評価できるので、このような観点からの組織の価値の把握は、投資や予算の適切な配分など行うために有益であり、企業業績に貢献しうる。
本出願人は、日常的に行われている組織コミュニケーションについての様々な分析を支援する発明を、既に、特願2001−275808(組織コミュニケーション分析装置及び方法)として出願している。上記出願にかかる発明は、メーリングリスト・電子掲示板などの組織コミュニケーションに対して定量的な分析を行い、その分析結果と定性的な情報とを関連付けることにより、組織コミュニケーションを活性化あるいは不活性化させる要因を探索的に分析し、その分析結果を踏まえた組織コミュニケーションの運用を実現する。本発明は、この出願にかかる発明を、これまでに述べた観点から、さらに発展させたものであって、組織コミュニケーションに対する分析を行うことにより、組織の客観的な価値評価を実現する。
組織コミュニケーションの手段(メディア)の例としては、口頭、電話、ビデオ電話システム、および、コンピュータネットワーク(電子メール・電子掲示板・チャット・インスタントメッセージなど)を挙げることができる。本発明の実現のためには、これらのメディアを介して行われたコミュニケーションを調査し、集計することが前提となる。
このような調査、分析のための手法としては、いくつかの方法がある。第1の分析手法はアンケート分析であり、他方はログ分析である。
アンケート分析手法の実行方法には、全組織にアンケート用紙を配布し、これに記入された回答を手作業あるいはOCRにより分析・評価用装置に入力する方法、あるいは、ウェブページを利用して分析・評価用装置が、組織の各成員にオンラインで質問を出し、これに対する回答を集める方法がある。
ウェブページを利用したアンケート調査は、例えば、ウェブサーバからコンピュータ上のブラウザに表示された質問に対し、各成員が、回答を文章の形式で書き込んだり、あるいは、予め用意された選択肢を選択することにより行われる。この際、ウェブサーバなどが、応答の分析・評価に必要とされる成員の識別情報および応答日時などを、自動的に応答に付すことができ、あるいは、各成員が、ブラウザに対する明示的な操作を行って、これらの情報を応答に付すことができる。
ログ分析は、例えば企業内の電子メールのログに基づく調査、集計に基づく分析である。電子メールがコミュニケーションのために用いられる場合には、一般的に、電子メールに含まれる自然言語のメッセージと、電子メールの発信者および受信者、および、電子メールが伝送された日時などが、メッセージログに記録されうる。
インターネットにおける電子メールの配信は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバと呼ばれる送信サーバを介して行われる。従って、企業内においては、SMTPサーバで電子メールのメッセージログを一元的に記録することにより、企業内の全社員について、いつ、誰が、誰に対して、どのような内容のコミュニケーションを行ったのかを把握することができる。本発明におけるログ分析は、例えば、企業内において電子メールを配信するSMTPサーバのメッセージログを分析して、企業内の組織の価値評価を行う。
[2.本発明の具体的実施形態]
以下、本発明の実施形態を説明する。
[2.1.ネットワークシステム]
図1は、本発明にかかる組織分析としての組織評価が実行されるネットワークシステム1の構成を例示する図である。ネットワークシステム1は、例えば、同一企業内の複数の事業所にまたがって構築された広域ネットワーク(WAN)であって、図1に示すように、評価の対象となりうる複数の組織1〜nそれぞれの組織別システム2−1〜2−n(n≧2)と、分析装置3とが、ネットワーク100を介して接続された構成をとる。
なお、以下、組織別システム2−1〜2−nなど、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示す場合には、単に組織別システム2と略記する。組織別システム2のそれぞれは、例えば、各組織のm人の成員がそれぞれ用いるクライアントコンピュータ20−1〜20−m(m≧1)と、サーバ24とが、組織別LAN200を介して接続された構成をとる。
[2.2.ハードウェア構成]
図2は、図1に示したクライアントコンピュータ20、サーバ24および分析・評価装置3のハードウェア構成を示す図である。クライアントコンピュータ20、サーバ24および分析装置3は、図2に示すように、CPU202およびメモリ204などを含むデータ処理部200、LCDディスプレイ、キーボードおよびマウス(図示せず)を含む表示・入力部206、HDD・CD装置などのデータ記録部208、および、ネットワーク100および組織別LAN200との間で通信を行う通信部212から構成される。つまり、クライアントコンピュータ20、サーバ24および分析装置3は、ネットワークを介した通信が可能な一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでいる。
[2.3.クライアントプログラム]
図3は、図1,図2に示したクライアントコンピュータ20上で動作するクライアントプログラム22の構成を示す図である。図3に示すように、クライアントプログラム22は、ユーザインタフェース部(UI部)220、メールプログラム222、ウェブブラウザ224およびLAN通信制御部226から構成される。クライアントプログラム22は、例えば、記録媒体210を介してクライアントコンピュータ20のデータ記録部208に供給され、メモリ204にロードされて実行される。クライアントプログラム22は、これらの構成要素により、クライアントコンピュータ20を利用する組織の成員(ユーザ)に対して、メール送受信機能と、WWW閲覧機能とを提供する。
クライアントプログラム22において、UI部220は、表示・入力部206(図2)に対するユーザの操作を受け入れて、クライアントプログラム22の各構成部分の処理を制御する。また、UI部220は、メールプログラム222が受けた電子メール、および、ウェブブラウザ224が受けたWWWからのデータを、ユーザに対して表示する。
メールプログラム222は、クライアントコンピュータ20のユーザに対して、電子メールの送受信の機能を提供する。LAN通信制御部226は、組織別LAN200(図1)およびネットワーク100を介した、同一組織内の他のクライアントコンピュータ20あるいはサーバ24(通信の主体となる構成部分を総称して通信ノードとも記す)との間の通信、および、他の組織の通信ノードとの間の通信を制御する。
ウェブブラウザ224は、クライアントコンピュータ20のユーザに対して、WWW閲覧機能を提供する。組織コミュニケーションのアンケート調査が行われる場合、ウェブブラウザ224は、サーバ24のウェブサーバ266(図4を参照して後述)からから受けた組織コミュニケーションのアンケート調査に必要な質問事項を、表示・入力装置206に表示し、ユーザ(成員1〜m)それぞれに示す。ブラウザ上に表示された質問事項に対して、成員1〜mそれぞれが、表示・入力部206を用いて回答を入力すると、ウェブブラウザ224は、回答を受け入れ、分析・評価装置3に対して送信する。
[2.4.サーバプログラム]
図4は、図1,図2に示したサーバ24上で動作するサーバプログラム26の構成を示す図である。図4に示すように、サーバプログラム26は、LAN通信制御部260、ネットワーク通信制御部262、メールサーバプログラム264、ウェブサーバ266、ログ管理部268およびログデータベース(ログDB)270から構成される。サーバプログラム26は、クライアントプログラム22(図3)と同様に、記録媒体210(図1)を介してサーバ24のデータ記録部208(図2)に供給され、メモリ204にロードされて実行される。
サーバプログラム26は、これらの構成部分により、同じ組織別システム2(組織)に属するクライアントコンピュータ20(成員)に対して、メールサーバ機能を提供し、また、同一または異なる組織別システム2(組織)のクライアントコンピュータ20(成員)に対して、WWWサーバ機能を提供する。
サーバプログラム26において、LAN通信制御部260は、組織別LAN102(図1)との間の通信制御を行う。ネットワーク通信制御部262は、ネットワーク100との間の通信制御を行う。メールサーバプログラム264は、メールサーバ機能を実現する。ウェブサーバ266は、WWWサーバ機能を実現する。
ログ管理部268は、ネットワーク通信制御部262を介して分析・評価装置3から入力される制御データに従って、メールサーバプログラム264およびウェブサーバ266が行ったコミュニケーション(通信)を、ログDB270にメッセージログとして記録する。また、ログ管理部268は、必要に応じて、ログDB270に記録したメッセージログを、分析・評価装置3などに対して送信する。
図5は、図4に示したログDB270に記録される電子メールのメッセージログを例示する図である。ログ管理部268は、ネットワーク通信制御部262を介して分析・評価装置3から入力される制御データに従って、メールサーバプログラム264およびウェブサーバ266が行ったコミュニケーション(通信)を、ログDB270にメッセージログとして記録する。
また、ログ管理部268は、分析・評価装置3の制御に従って、ログDB270に記録したメッセージログを、分析・評価装置3に対して、ネットワーク通信制御部262およびネットワーク100を介して送信する。
ログ管理部268が記録するメッセージログには、図5に示すように、電子メールそれぞれに付されたID(通信ID)、電子メールを発信した側、および、受信する側の識別データ(ID)、電子メールのメッセージの内容(通信内容)、および、電子メールが伝達された日時などが含まれる。
[2.5.分析・評価プログラム]
図6は、図1,図2に示した分析・評価装置3上で動作する分析・評価プログラム30の機能を中心として説明する機能構成図である。図に示す各データベースは、データ記録部(図2におけるデータ記録部208)が適用され、その他のブロックに示すデータ処理は、主に図2におけるデータ処理部200において実行される処理である。分析・評価プログラム30は、クライアントプログラム22(図3)およびサーバプログラム26(図4)と同様に、記録媒体210などを介して分析・評価装置3のデータ記録部208に供給され、メモリ204にロードされて実行される。
図6に示すように、分析・評価プログラム30は、ネットワーク通信制御300、ログ収集・管理部302、ログDB304、ログ分析・評価部306、分析・評価結果DB308、個人・組織DB310およびUI部312から構成される。
分析・評価プログラム30は、これらの構成部分により、部門別システム2−1〜2−nそれぞれのサーバ24(図1)から、電子メールのメッセージログおよびWWW閲覧のログなどを収集し、収集したメッセージログなどを分析し、組織の価値評価を行う。さらに、ログ処理部301は、電子写真の用紙の計数値などのログについても取得して記憶し、ログ分析評価においては、メッセージログのみならず、電子写真の用紙の計数値を含むログを分析して、評価対象の単位が他の単位に与える影響を評価する。例えば、コピー機、ファクシミリ、プリンタなどにおいて計数される使用枚数などの計数値に基づいて、利用度、利用率、満足度を把握可能となる。なお、WWWのログを分析しても、本発明にかかる組織の価値評価を実現することができるが、実施形態の説明においては、電子メールのメッセージログに対する分析をおこなって、組織の価値を評価する方法を具体例とする。
さらに、本発明の構成において分析・評価プログラム30は、組織間の影響をより詳細に測定するために、組織の成員が、他者(ある組織に所属する)から得られる情報を活用する際、あるいは、他者とコミュニケーションを図る際に、その行為の種類を組織の成員からの情報としてネットワーク通信制御300、ログ収集・管理部302を介してログDB304に入力し、これらの記録された行為情報に基づいて、ログ分析・評価部306が分析を実行し、分析・評価結果DB308に分析結果を格納する。
行為の種類としては、例えば、他者から得られる情報の活用、ある他者とのコミュニケーションから得られた情報を別の他者に伝達、ある他者とのコミュニケーション個別連絡があり、これをボタン化してクリックさせるユーザインタフェースを提供し、行為の種類についての入力情報を集積する。
本発明では、各行為について、次の全ての項目、あるいは、任意の項目を選択させて、ログによる事実としての組織間の影響評価の詳細化を実現する。
(a)何を(各行為に用いた情報の詳細化)
各行為に用いた情報の代替可能性
(b)どうした(各行為の詳細化)
各行為をした緊急度
(c)どうなった(各行為の影響の追跡)
どこの(影響先)
何に(影響の内容)
これらの分析処理の詳細については後述する。
分析・評価プログラム30において、
ネットワーク通信制御300は、ネットワーク100との間の通信制御を行う。
UI部312は、表示・入力装置206に対するユーザの操作を受け入れ、分析・評価プログラム30の各構成部分の処理を制御する。
また、UI部312は、ユーザの操作に応じて、ログDB304に記憶されたログ、および、分析・評価結果DB308に記憶された分析結果・評価結果を、表示・入力装置206に表示する。
個人・組織DB310は、部門別システム2−1〜2−nを用いている組織1〜n(図1)それぞれの組織情報、および、組織1〜組織nの成員1〜mそれぞれの個人情報を記憶する。
個人・組織DB310に格納されるデータについて、図7〜図10を参照して説明する。
図7は、図6に示した個人・組織DB310が記憶する組織情報を示す図である。
図8は、図7に示した組織情報の具体例を示す図である。
図9は、図6に示した個人・組織DB310が記憶する個人情報を示す図である。
図10は、図9に示した個人情報の具体例を示す図である。
個人・組織DB310は、部門別システム2−1〜2−nを用いている組織1〜n(図1)それぞれの組織情報(図7,図8)、および、組織1〜組織nの成員1〜mそれぞれの個人情報(図9,図10)を記憶する。
図7,図8に示すように、個人・組織DB310は、組織1〜nそれぞれの組織情報として、組織1〜nの識別子(組織ID)、組織名、組織形態、組織が存在する期間(存在期間)、および、組織1〜nに上位組織が存在する場合には、その上位組織を記憶する。
また、図9,図10に示すように、個人・組織DB310は、組織1〜nの成員1〜mそれぞれの個人情報として、成員1〜mの識別子(個人ID・社員ID)、名前、メールアドレス、および、成員1〜mが所属する組織の組織ID(図7)を記憶する。
図7,図8に示した組織情報の組織形態の項目においては、既存の組織図に現れる組織は、フォーマルと表される。
また、組織図に現れない井戸端会議やメーリングリスト等による情報交換等を組織横断的に行うために結成された組織はインフォーマルと表される。
また、横断的な活動を時間を切って遂行する組織は、プロジェクトと表されている。
組織IDは、各組織に一意に対応づけられ、上位組織との対応を示すのに使われる。
組織名は、組織上あるいは、インフォーマルなプロジェクト組織の名称である。
組織の存続期間としては、いつから、いつまで存続しているのかが代入されている。
なお、図7,図8に示した組織形態の部分には、企業の組織図に記載しているような公式組織、ある目的を達成するために複数の公式組織が横断的に結集するプロジェクト組織、自発的な参加に基づくコミュニティのような組織、興味関心を同じくする情報共有等のグループなどの組織の属性(通常組織・プロジェクト・コミュニティなど)が格納される。
分析・評価プログラム30は、ログ収集・管理部302、ログDB304、分析・評価部306、分析・評価結果DB308を有し、ネットワーク通信部300を介して部門別システム2−1〜2−nそれぞれのサーバ24(図1)から、電子メールのメッセージログおよびWWW閲覧のログなどを収集し、収集したメッセージログなどを分析する。さらに、組織間の影響をより詳細に測定するために、組織の成員が、他者(ある組織に所属する)から得られる情報を活用する際、あるいは、他者とコミュニケーションを図る際に、その行為に関する情報、例えば、
(a)何を(各行為に用いた情報の詳細化)
各行為に用いた情報の代替可能性
(b)どうした(各行為の詳細化)
各行為をした緊急度
(c)どうなった(各行為の影響の追跡)
どこの(影響先)
何に(影響の内容)
これらの行為情報を組織の成員から入力し、これらの記録された行為情報に基づいて、組織の価値評価を行う。なお、評価単位としては、個人構成員からなる組織、該組織の構成員としての個人のいずれをも設定可能である。
なお、WWWのログを分析しても、本発明にかかる組織の価値評価を実現することができるが、本発明の実施形態の説明においては、電子メールのメッセージログに対する分析をおこなって、組織の価値を評価する方法を具体例とする。
以下では、分析・評価プログラム30の実行する処理について、以下の項目に区分して順次、説明する。
(a)電子メールのメッセージログに基づく分析、評価
(b)行為情報に基づく分析、評価
[2.5.(a)電子メールのメッセージログに基づく分析、評価]
まず、分析・評価プログラム30の実行する電子メールのメッセージログに基づく分析、評価処理について説明する。図11は、ログ収集・管理部302が、ログDB304に記憶する組織コミュニケーション情報(組織通信情報)を示す図である。図12は、図11に示した組織コミュニケーション情報(組織通信情報)の具体例を示す図である。図11,図12に示す組織コミュニケーション情報(組織通信情報)において、組織コミュニケーションIDは、コミュニケーションにそれぞれに一意に付される。発信側IDおよび受信側IDは、図9などに示した個人情報と対応し、この個人情報に対応づけられている組織情報との対応関係により、発信側組織IDと、受信側組織IDとが得られる。また、通信内容の項目には、発信側IDと受信側IDとの間で行われた会話等の情報が記録され、さらに、この通信が行われた日時が対応づけられる。
なお、図11、図12には、発信者と受信者とが1人ずつである場合が示されているが、図11に示したデータ構造を適切に変更することにより、メールリストによる1対多の電子メールの組織通信情報も、ログDB304に記憶することができる。ログ収集・管理部302は、部門別システム2−1〜2−nのサーバ24それぞれから、ネットワーク100を介して、図5に示したメッセージログを収集し、ログDB304に記憶する。
ログ収集・管理部302による組織通信情報作成処理において、ログ収集・管理部302は、個人・組織DB310を参照し、サーバ24から得たメッセージログと、図7,図8に示した組織情報および図9,図10に示した個人情報とを対応付け、組織通信情報を作成し、ログDB304に記憶する。
例えば、通常の電子メールによる通信に対する処理では、ログ収集・管理部302は、電子メールの発信側メールアドレスおよび受信側メールアドレスを用いて、個人・組織DB310に記憶された個人情報(図9)を検索し、電子メールを発信した成員iの個人ID(社員ID)、および、電子メールを受信した成員j(i,j=1〜m)の個人ID(社員ID)を得て、電子メールを発信した成員iの個人ID(社員ID)を、発信側IDとし、電子メールを受信した成員jの個人ID(社員ID)を、受信側IDとする。
さらに、ログ収集・管理部302は、発信側IDと送信側IDを用いて、個人・組織DB310に記憶されている組織情報(図7)を検索し、電子メールを発信した成員iが属する組織pの組織IDを発信側組織IDとし、電子メールを受信した成員jが属する組織q(p、q=1〜n)の組織IDを受信側組織IDとする。さらに、ログ収集・管理部302は、以上の検索の結果として得られた各情報に、識別子(組織通信ID)を付加し、電子メールのメッセージ内容を通信内容として付加し、さらに、電子メールが送られた日時および組織形態を付加し、図11に示す組織通信情報を作成し、ログDB304に記憶する。
組織通信情報は、図11に示すように、組織通信ID、発信側ID、受信側ID、発信側組織ID、受信側組織ID、通信内容、通信日時を含むデータ構成である。
次に、ログ分析・評価部306において行われる分析処理および評価処理を説明する。
<共通単語などの分析>
ログ分析・評価部306は、ログDB304に記憶された組織通信情報(図11)の内、発信側組織IDと受信側組織IDとが同じ組織通信情報を取り出す。つまり、分析・評価部306は、組織p(部門別システム2−1〜2−m)それぞれにおいて、内部の成員i,j(クライアントコンピュータ20−i,j)同士の間で伝達された電子メッセージの組織通信情報(組織内通信情報)を取り出す。
さらに、ログ分析・評価部306は、組織内通信情報に含まれる送信側(ID)と受信者側(ID)の所属する組織(送信側組織IDおよび受信側組織IDに、図7,図8に示した組織情報によって対応づけられた組織)の通信内容を分析し、組織内通信情報に含まれる全ての組織(送信者側組織ID)について、その組織内で使われている共通概念を抽出・集計する。
この組織の共通概念としては、組織内通信情報の通信内容を、自然言語処理等で単位として一般に扱われている、単語、文章、共通単語の同義語、共通単語および同義語による意味ネットワーク、および、オントロジ(組織p内で使用されている共通概念セット)その他を用いることができる。
ログ分析・評価部306は、通信に共通に使われている単語(共通単語)を共通概念として抽出・集計する処理を実行する。分析・評価部306は、例えば、組織通信情報を、最初から順に1行ずつ処理対象とし、個別集計処理を行い、個別集計の結果として得られた単語を、発信側組織(ID)の共通単語の候補として、その頻度と種類をリストとして設定する。
ログ分析・評価部306は、各組織における頻出単語の内、例えば上位5つを共通単語とする。リストは、膨大な数の単語を含みうるが、この選択処理により、単語数を制限することができる。
ログ分析・評価部306は、処理の対象とされている組織通信情報の行から通信内容を抽出し、単語単位に分割する。分析・評価部306は、例えば、通信内容を形態素解析によって品詞に分割し、その中から名詞を表現要素として取り出す。なお、分析・評価部306は、名詞だけではなく動詞など他の品詞を表現要素として用いることもでき、いくつかの品詞を組み合わせて表現要素として用いることもでき、あるいは、品詞ではなく文節などを表現要素として用いることもできる。
さらに、ログ分析・評価部306は、得られた表現要素から、単語の種類の数を集計し、単語の種類ごとに、単語の出現数を集計する。なお、ログ分析・評価部306は、個別集計処理において、単なる単語の出現頻度に限らず、固有名詞を抽出したり、固有名詞の頻度を集計の対象としてもよい。
図13(a)は、図6に示した分析・評価部306が、ログ分析・評価結果DB308に記憶する組織内通信共通単語情報を例示する第1の図である。例えば、ログ分析・評価部306は、共通単語として、組織pの組織内通信情報の通信内容に含まれている頻度が高い単語、例えば、使用頻度が多い方から3個の単語x、y、zを選択し、図13に示すように、単語x、y、zそれぞれに組織pの組織IDを付加して共通単語情報(属性)を作成し、ログ分析・評価結果DB308に記憶する。なお、共通単語情報は、組織IDと対応づけられて、リスト化されて保存されている。
図13(b)は、図6に示したログ分析・評価部306が、ログ分析・評価結果DB308に記憶する組織内通信共通単語情報として共通概念を例示する第2の例である。前述したように例えば、ログ分析・評価部306は、組織内通信情報の通信内容に含まれる文章、共通単語の同義語、共通単語および同義語による意味ネットワーク、および、オントロジ(組織p内で使用されている共通概念セット)など、共通単語のその他の概念を示す情報をさらに抽出する。
ログ分析・評価部306は、抽出した単語を、その他の概念、例えば共通単語情報と関連づけて記録する。共通概念としては、例えば共通同義語が適用される。共通同義語は、市販されている一般的な類義語辞典等を用いて、同じ意味を持つ単語をひとかたまりとして、ログ分析・評価部306が、共通単語と同様の処理(但し、マッチングする対象として、類義語辞典の該当する単語全てとマッチするステップが入る)を、組織通信情報に対して行うことにより、抽出・集計することができる。なお、ここでいうマッチングは、データベースの分野の用語でいうと「検索」に該当し、具体的には、例えば、単語Aという共通概念を、ある通信単位郡から検索することをいう。
図14(a),(b)は、ログ分析・評価部306により生成される組織間通信共通単語情報を例示する第1および第2の図である。ログ分析・評価部306は、図14に示すように、抽出した共通単語に、発信側および受信側の組織ID(発信側組織ID,受信側組織ID)を付して組織間通信共通単語情報を作成し、ログ分析・評価結果DB308に記憶する。ログ分析・評価部306は、ログ分析・評価結果DB308に、異なる2つの組織p、q(ここではp≠q)の間で交わされた(送受信された;伝達された)組織通信情報の共通概念を抽出し、登録する。
ログ分析・評価部306は、さらに、組織通信情報の共通概念を抽出するマッチング(matching)処理を実行する。ログ分析・評価部306は、例えば、組織通信情報に含まれる発信側組織IDと受信側組織IDとが異なるか否かを判断し、発信側組織IDと受信側組織IDとが異なり、かつ、受信側組織と送信側組織との間で送信側組織の単語(共通概念)が含まれていることをもって、送信側組織が受信者側組織に通信を行った(影響を与えた)とみなし、組織通信情報に含まれる発信側組織ID(=受信側組織ID)の共通単語リストを読み込み、マッチング処理対象とする共通単語iを設定する。
さらに、処理対象とされた共通単語iが、処理対象とされている組織通信情報の行に含まれるときに、処理対象とされた共通単語iを、図14に示す組織間情報として記録する。マッチング処理を要約すると、まず、ログ分析・評価部306は、組織通信情報を1行ずつ読み込み、該当する通信内容を抽出し、発信者側組織IDの共通単語と、読み込んだ行に含まれる通信内容とのマッチングを行う。このマッチング処理は、組織通信情報の処理対象とされた行に含まれる発信側組織IDと、受信側組織IDとが異なる場合に実行される。
このマッチング処理の結果、発信側組織IDの共通単語が通信内容に含まれているときには、発信側組織でやりとりされた組織内情報が、受信者側組織に影響を与えたとし、図14に示した組織間通信共通単語情報として記録される。マッチング処理は、処理対象とされている組織通信情報の行に含まれる発信側組織IDに対応づけられた共通単語リストに含まれる共通単語、全てについて実行される。
以上のマッチング処理が、全ての組織通信情報について行われることにより、どの組織がどの組織へ、どのような共通単語を介して影響を与えているのか(影響度)を示す組織間通信共通単語情報(図14(a))が作成される。なお、共通単語ではなく、概念(文章、共通単語の同義語、共通単語および同義語による意味ネットワーク、および、オントロジ)について、同様のマッチング処理が行われると、2つの組織のいずれからいずれへ、どのような影響が与えられるのかを示す組織間通信共通単語情報(図14(b))が作成される。
なお、2つ以上の組織の間で交わされた組織通信情報に関しても、共通概念(単語)の抽出・集計処理、および、マッチング処理を適応することにより、いずれの組織からいずれの組織に、どのような共通単語を介して影響が与えられるかを知ることができる。
例えば、発信側組織pから、受信側組織q、rに情報が発信された場合は、発信側組織IDを組織pの組織IDとし、受信側組織IDを組織qの組織IDとするものと、受信側の組織IDを組織rの組織IDとして、それぞれ別個に共通概念(単語)の抽出・集計処理、および、マッチング処理を行うと、組織間通信共通単語情報を得ることができる。
また、ログ分析・評価部306は、個人についても、組織内および組織間の共通単語情報と同様に、成員間で交わされた電子メールの組織通信情報の共通単語および概念を抽出することができる。ログ分析・評価部306は、図15(a),(b)に示すように、抽出した共通単語および概念に、発信側および受信側の個人ID(発信側個人ID,受信側個人ID)を付して個人通信共通単語情報を作成し、ログ分析・評価結果DB308に記憶する。
<組織の影響評価>
ログ分析・評価部306は、上述のように生成された組織内通信共通単語情報(図13)、個人共通単語情報(図15)の内、評価対象となる組織pの組織内通信共通単語情報または個人iの個人通信共通単語情報と、組織q(q=1〜n;q≠p)それぞれの組織内通信共通単語情報(図13)、および、組織間通信共通単語情報(図14)とを比較する。
さらに、ログ分析・評価部306は、評価対象の組織・個人の共通単語・概念(図13,図15)を、その組織内通信共通単語情報に共通単語・概念として含む組織、および、評価対象の組織・個人の共通単語・概念を、その組織を発信側または受信側とする組織間通信共通単語情報に共通単語・概念として含む組織を、評価対象の組織・個人が影響を与えた組織であると判定する。
図16(a),(b)は、図6に示したログ分析・評価部306が、ログ分析・評価結果DB308に記憶する影響評価結果を例示する第1および第2の図である。なお、影響は、影響範囲と影響度に分けて集計することが可能である。影響範囲とは、ある組織で共通で使われた概念(共通概念)が、他のいくつの組織で使われているかを数えることによって計算される。影響度とは、ある組織で共通で使われた概念が、他の組織でどれだけ出現するかを数えることによって計算される。
以下、組織間通信共通単語情報(図14)に基づく影響範囲の集計処理について説明する。ログ分析・評価部306は、組織間通信共通単語情報(図14)を1行ずつ読み込む。次に、分析・評価部306は、この組織間通信共通単語情報より、受信側組織の数を重複なしに数える。重複なしに受信側組織の数を数えるために、ログ分析・評価部306は、一度数えた受信側組織IDそれぞれにフラグを付し、フラグが付された受信側組織を数えない。ログ分析・評価部306は、このような計数を、組織間通信共通単語情報の全ての行それぞれについて行い、集計値を、ある組織(発信側組織)の全ての組織に対する影響範囲とする。
次に、組織間通信共通単語情報(図14)に基づく影響度の集計処理について説明する。ログ分析・評価部306は、組織間通信共通単語情報(図14)を1行ずつ読み込み、発信側組織それぞれについて、ある共通単語が受信側組織で何回使われたかを累積集計する。ログ分析・評価部306は、このような計数を、組織間通信共通単語情報の全ての行それぞれについて行い、集計値を、ある組織(発信側組織)の全ての組織に対する影響度とする。なお、ログ分析・評価部306は、発信側組織内での共通単語の頻出度合いの累積値を集計することにより、ある組織でより多く共通に使われた単語が、他の組織で使われたときに、その影響度を高く見積もって、影響度を算出してもよい。
図17(a)は、概念ごとに求められた影響範囲の具体例、図17(b)は、概念ごとに求められた影響度の具体例を示す図である。影響範囲および影響度は、図16に示したように、組織IDごとに集計値を求めることも、図17に示すように、概念ごとに集計値を求めることもできる。
なお、共通単語xの出現回数を、ネットワークシステム1(企業)全体ではなく、組織pの社員iと通信(コミュニケーション)する社員jのいる組織qだけに注目して分析してもよい。同じ単語が、単なる偶然で、組織p以外の組織qで使われていただけという場合に、組織pが、組織qから影響を受けていると判断することは誤りであるが、このような手当により、ある組織が他の影響に与える影響範囲及び影響度から、このような誤りの、影響範囲及び影響度を取り除くことができる。
さらに、組織pと組織qとが直接的に組織通信(組織コミュニケーション)していなくても、他の組織rを介して間接的にコミュニケーション(通信など)をしているなどの関係にあるときには、連鎖的に影響範囲及び影響度の評価を実施し、その合計値を、組織qに対する組織pの影響として評価することもできる。例えば、組織A〜Dそれぞれが、組織内外のコミュニケーションで単語xを使っており、組織通信情報から計算された、組織間通信共通単語情報(図14)において、組織A―B間,及びB―C間が、共通単語xを含む組織通信(コミュニケーション)でつながっていているときには、組織Cでの共通単語xの出現は、組織Aが組織Cに与える影響範囲及び影響度として数えるようにすることができる。
なお、このような連鎖的な評価のためには、評価に含める連鎖の数をあらかじめ設定するとよい。例えば、連鎖の数を2とすると、組織間通信共通単語情報(図14)の中に、単語yが、組織A−組織B間、組織B―組織C間、組織C−組織D間の通信内容に含まれているときには、組織Aの影響範囲と影響力は組織C−D間についてはカウントしない。また、組織Aから組織B、組織Bから組織Aのようなループが発生した場合は、その時点で処理を終了する。
また、さらに、このような連鎖的な影響範囲と影響度の評価については、連鎖の数に依存した重み付けを行ってもよい。例えば、組織Aから組織B、組織Bから組織D、さらに、組織Dから組織Eへの共通単語xを含む通信(コミュニケーション)が連鎖的に行われているときに、組織Aの影響範囲と影響度を評価するために、組織Bに対する影響度として組織数に1を加え、組織Bを経由する組織Dへの影響範囲と影響度を数える際には、組織数に1/2を加え、更に、組織Bを経由し更に組織Dを経由する組織Eへの影響範囲と影響度を数える際には、組織数に1/4を加えるなどして評価すればよい。
<その他の分析・評価>
ログ分析・評価部306は、図13〜図15に示した組織間通信共通単語情報、組織内通信共通単語情報および個人通信共通単語情報の数、頻度、組織形態(業務)およびいずれの組織・個人の共通単語・概念が、いずれの組織に対して発信されているかなどから、評価対象の組織・個人が、いずれの組織においてどのように活用されているかを分析することができる。
組織通信情報(図11)には、発信側の組織ID、受信側の組織ID、および、電子メールが交わされた日時の情報が含まれており、ログ分析・評価部306は、これらを追跡することにより、評価対象の組織・個人の共通単語・概念が、どのような時間経過で、どのような経路で広まったかを分析することができる。ログ分析・評価部306は、以上の各分析・評価結果を、必要に応じて組み合わせて総合的な分析結果とし、ログ分析・評価結果DB308に記憶する。
図18は、ログ分析・評価部306(図6参照)の分析・評価処理の処理手順を説明するフロー図である。ログ分析・評価部306は、このフローに従った処理により分析・評価を行い、その結果をログ分析・評価結果DB308に記憶する。UI部312は、分析・評価結果を、表示・入力部206の表示装置に表示し、あるいは、データ記録部208を介して記録媒体210に記録する。
図18に示すフローの各ステップについて説明する。ログ分析・評価部306は、ステップS200において、組織内で伝送される電子メール、メッセージなどの通信内容を分析し、組織ごとの共通単語(属性)を抽出する。この処理により図13に示す組織内通信共通単語情報が生成される。
ステップS202において、ログ分析・評価部306は、組織の間で伝送される電子メールの通信内容を分析し、組織間で伝送される電子メールの共通単語(属性)を抽出する。この処理により図14に示す組織間通信共通単語情報が生成される。
ステップS204において、ログ分析・評価部306は、個人に関する電子メールの通信内容を分析し、個人に関する電子メールの共通単語(属性)を抽出する。この処理により図15に示す個人通信共通単語情報が生成される。
ステップS206において、ログ分析・評価部306は、評価対象となる組織・個人の共通単語・概念と、他の組織の共通単語・概念とを比較する。この処理は、ステップS200〜S204で生成した各通信情報に基づいて実行される。
ステップS208において、ログ分析・評価部306は、評価対象となる組織・個人の他の組織への影響を評価する。この処理により、図16、図17を参照して説明した影響評価結果データが生成される。すなわち、前述したように、組織間通信共通単語情報(図14)を1行ずつ読み込み、発信側組織それぞれについて、ある共通単語が受信側組織で何回使われたかの累積集計を行ない、図16、図17を参照して説明した影響評価結果データを生成する。
ステップS210において、ログ分析・評価部306は、評価対象となる組織・個人の活用度を分析し、ステップS212において、評価対象となる組織・個人が影響を与える組織数および活用度などから、評価対象となる組織・個人の価値を評価する。すなわち、図13〜図15に示した組織間通信共通単語情報、組織内通信共通単語情報および個人通信共通単語情報の数、頻度、組織形態(業務)や、組織・個人の共通単語・概念の他組織に対する発信状況などから、評価対象の組織・個人が、いずれの組織においてどのように活用されているかを分析し、評価対象となる組織・個人の価値を評価する。
なお、ログ分析・評価部306は、組織通信情報(図11)の存在期間および通信の日時を参照することにより、任意の時間的範囲の組織コミュニケーションの評価も可能である。
ステップS214において、ログ分析・評価部306は、評価対象となる組織・個人の影響が経時的にどのように変化したかを分析する。
ステップS216において、ログ分析・評価部306は、以上の処理に得られた評価対象となる組織の総合的な分析・評価結果を、分析・評価結果DB308に記憶する。
[2.5.(b)行為情報に基づく分析、評価]
次に、分析・評価プログラム30の実行する行為情報に基づく分析、評価処理について説明する。前述したように、分析・評価プログラム30は、組織間の影響をより詳細に測定するために、組織の成員が、他者(ある組織に所属する)から得られる情報を活用する際、あるいは、他者とコミュニケーションを図る際に、その行為に関する情報、例えば、
(a)何を(各行為に用いた情報の詳細化)
各行為に用いた情報の代替可能性
(b)どうした(各行為の詳細化)
各行為をした緊急度
(c)どうなった(各行為の影響の追跡)
どこの(影響先)
何に(影響の内容)
これらの行為情報を組織の成員から入力し、これらの記録された行為情報に基づいて、組織の価値評価を行う。
ログ収集・管理部302は、UI部312を介して、行為の種類と、各行為に共通な、あるいは各行為に個別の属性(行為の属性)を提示し、組織構成員としてのユーザに選択・入力させる。UI部312を介して提示されるユーザインタフェースの例を図19、図20に示す。図19は、行為の種類を入力・選択するためのインタフェースである。図20は、行為の属性を入力・選択するインタフェース例を示している。
図19のインタフェースの例は、ユーザが、ある情報を組織xの構成員Aから受領した場合の行為の種類をユーザに選択・入力させるインタフェースである。行為の種類として、
(1)活用
(2)(組織x以外に)伝達
(3)(成員Aに)個別連絡
の3つが予め設定され、ユーザは自己の行為に基づいて、いずれかを選択して入力する。入力情報は、UI部312を介してログ分析・評価部306に入力されて、ログDB304に格納される。
図20は、図19のインタフェースにおいて、ユーザが選択した行為の種類が[活用]であった場合にユーザに提示される行為(活用)の属性をユーザに選択・入力させるインタフェースである。行為の属性として、例えば、以下のような属性を提示しユーザに選択・入力させることができる
(a)何を(各行為に用いた情報の詳細化)
(a−1)各行為に用いた情報の代替可能性・・・例)10段階評価
(a−2)情報の具体的な内容・・・例)カテゴリ等の選択
(b)どうした(各行為の詳細化)
(b−1)各行為をした緊急度・・・例)10段階評価
(b−2)行為の具体的な内容・・・例)カテゴリ等の選択
(c)どうなった(各行為の影響の追跡)
(c−1)どこの(影響先)・・・例)影響先組織の選択
(c−2)何に(影響内容)・・・例)案件の売上、案件の数等の入力
なお、ユーザインタフェースの構成は、これらの構成に限られるものではなく、情報を受領したユーザ(組織の構成員)が情報受領に基づいて実行した行為およびその属性を問うものであればよく、様々な選択項目の設定が可能である。図21に、ユーザが、ある情報を組織xの構成員Aから受領した場合の行為の種類をユーザに選択・入力させるインタフェースの例として、図19に示したインタフェースと異なる選択項目を持つ例を示す。
図21(a)は、行為には至らなくても、心理的影響を受けたという選択肢を用意したインタフェースの例である。図21(b)は、複数選択を可能としたインタフェースの例である。図21(b)の構成の場合には、行為の属性について、各行為について入力・選択可能な設定とする。
ログ収集・管理部302は、UI部312に提示されるこれらのインタフェースを介して入力されるユーザの応答をログDB304に格納するとともに、これらのユーザ応答と、前述したメール、メッセージ等に基づくログ情報とを関連付けて、ログDB304に格納する処理を実行する。
図22、図23を参照して、ログ収集・管理部302の実行するユーザ応答と、メール、メッセージ等に基づくログ情報とを関連付ける処理例について説明する。
図22(a)は、先に図7、図8を参照して説明した個人・組織DB310が記憶する組織情報であり、組織1〜nそれぞれの組織情報として、組織1〜nの識別子(組織ID)、組織名、組織形態、組織が存在する期間(存在期間)、および、組織1〜nの上位組織の各データが対応付けられたデータである。
図22(b)は、先に図9、図10を参照して説明した個人・組織DB310が記憶する個人情報であり、組織1〜nの成員1〜mそれぞれの個人情報として、成員1〜mの識別子(個人ID・社員ID)、名前、メールアドレス、および、成員1〜mが所属する組織の組織IDの各データが対応付けられたデータである。
図22(c)は、先に、図11、図12を参照して説明した組織コミュニケーション情報(組織通信情報)であり、ログ収集・管理部302が、ログDB304に記憶する組織コミュニケーション情報(組織通信情報)を示している。すなわち組織間、組織内で送受信されるメール、メッセージなどのログに基づくメッセージログ解析データである。
ログ収集・管理部302は、ある組織(例:組織ID=1)の成員(例:個人ID=1)が、「別の組織(例:組織ID=2)の成員(例:個人ID=3)から得られた情報を使っているのか否か」を、個人情報(図22(b))及び組織情報(図22(a))を参照し判定できる。情報を使っているまたは使うと判定された際に、UI部312に行為情報、すなわち行為の種類と属性を選択入力させるインタフェース(図19〜図21参照)を表示して、ユーザから「行為の種類」や「行為の属性」、すなわち行為の実体情報を取得し、図23(c)に示すメッセージログ解析データと関連付けて分析、ログDB304に記録する。
図23に関連付けデータの構成例を示す。図23に示すデータ例は、図22(c)に示すメッセージログ解析データと、行為情報を関連付けたデータ構成を示している。組織情報〜通信日時データは、組織間、組織内で送受信されるメール、メッセージなどのログに基づくメッセージログ解析データであり、右端にある[行為の種類]が、前述したインタフェースを介して得られるユーザ応答に基づいて取得された情報である。ログ収集・管理部302は、メッセージログ解析データと行為情報とを関連付けたデータを生成してログDB304に記録する。
さらに、図24を参照して、図23に示すデータに行為の属性を対応付けたデータ構成について説明する。図24(a)は、図23に示すデータであり、メッセージログ解析データと、行為の種類を関連付けたデータである。図24(b)は、前述のインタフェースを解したユーザからの応答に基づいて取得された行為の属性に関する情報である。すなわち、
(a)何を(各行為に用いた情報の詳細化)
代替可能性
(b)どうした(各行為の詳細化)
各行為の詳細
各行為をした緊急度
(c)どうなった(各行為の影響の追跡)
影響先(組織ID)
案件の売上
これらの行為属性情報を、メッセージログ解析データと、行為の種類を関連付けたデータにさらに関連付けたデータを生成してログDB304、または分析、評価結果DB308に記録する。
組織間、あるいは組織内で送受信されるメッセージログに基づくログ分析のみでは、組織が別の組織にあたえる影響を、ログのみによって測定しているため、組織間の中で行われたコミュニケーションが結果として、どのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを詳細に測定することができないが、本構成では、コミュニケーションを分析する時点ではなく、コミュニケーションに基づく行為を行う時点で行為情報を取得し、これらのコミュニケーション情報と、そのコミュニケーション情報がどのような形で活用、伝達されたなどの行為の実体を把握することが可能となる。
すなわち、コミュニケーションに基づく行為の種類と行為の内容(なにを、どうして、どうなった等の詳細化)をユーザに入力・選択させることによって、定性的な内容を含む影響の評価を行為情報の入力情報とメッセージログ情報の分析のみでも実施することが可能となる。なお、行為情報の取得をアンケート分析として実行することも可能であり、アンケート分析によれば、正確な現実と認識のギャップ(GAP)分析や指標補完/精度向上するための分析との連動が可能である。アンケート分析を適用した例については、後段で説明する。
ログ分析・評価部306は、ログDB304に格納されたこれらの関連付けデータに基づくデータ分析を実行する。データ分析例について図25〜図27を参照して説明する。
図25には、ログDB304に格納されたメッセージログと行為情報の関連付けデータに基づく分析の結果として取得される分析結果データ例を以下の(a)〜(c)の3種類示している。
(a)ログ分析集計結果データ構造例(基本データ)
(b)ログ分析結果データ構造例−その1(組織と行為と影響媒体毎の集計)
(c)ログ分析結果データ構造例−その2(組織と行為と影響媒体毎の集計:組織全体に対して各組織の影響)
(a)ログ分析集計結果データ構造例(基本データ)は、
ID、影響元(個人ID)、影響先(個人ID)、期間(時期)、行為の種類、影響媒体、および行為の属性としての、何を、どうした、どうなった等の各行為属性情報が対応付けられた解析データである。
この基本データは、誰が、どの人に、いつ、どのような行為によって、どのような媒体で、影響を与えたのかを解析するために適用される。
(b)ログ分析結果データ構造例−その1(組織と行為と影響媒体毎の集計)は、
ID、影響元(組織ID)、影響先(組織ID)、行為の種類、影響媒体、影響力、影響範囲、および行為の属性としての、何を、どうした、どうなった等の各行為属性情報が対応付けられた解析データである。なお、行為の属性の集計は、影響元、影響先、行為の種類、影響媒体毎に実行される。
このデータは、どの組織が、どの組織に、どのような行為によって、どのような媒体で、影響を与えたのかを解析するために適用される。
(c)ログ分析結果データ構造例−その2(組織と行為と影響媒体毎の集計:組織全体に対して各組織の影響)は、
ID、影響元(組織ID)、行為の種類、影響媒体、影響力、影響範囲、および行為の属性としての、何を、どうした、どうなった等の各行為属性情報が対応付けられた解析データである。なお、行為の属性の集計は、影響元、行為の種類、影響媒体毎に実行される。
このデータは、組織全体に対して、どの組織が、どのような行為によって、どのような媒体で、影響を与えたのかを解析するために適用される。
図25(b)、(c)のようなデータに基づいて、ログ分析・評価部306は、例えば図26、図27に示すグラフを生成する。図26は、図25(b)、(c)に示すデータのユニークID毎、例えば影響元組織ID毎、あるいは影響先組織ID毎に、行為の属性の一部を集計した例を示している。
図26(a)は、行為の属性情報として取得される[何を(カテゴリ)](図20参照)の複数ユーザからの応答を集計したヒストグラムである。
図26(b)は、行為の属性情報として取得される[どうした(行為の内容)](図20参照)の複数ユーザからの応答を集計したヒストグラムである。
図26(c)は、行為の属性情報として取得される[何を(カテゴリ)]と、[どうした(行為の内容)](図20参照)の複数ユーザからの応答のクロス集計結果である。
図27(a)は、行為の属性情報として取得される[他の組織から情報を取得される可能性](図20参照)についての複数ユーザからの応答を集計したヒストグラムである。図20を参照した説明においては、10段階評価として応答が可能なインタフェース例を説明したが、このグラフでは、3段階に区分して解析した例を示している。
図27(b)は、行為の属性情報として取得される[どうなった]に対するユーザからの応答を集計した結果を示している。図20に示すインタフェースでは、このような質問項目を設定していないが、例えば[どうなった]に対応する質問として、
[想定・期待される影響は何ですか?]
1.情報共有、人脈形成
2.意識変化、啓蒙
3.解決(業務・案件成立、案件実行、トラブル解決)
等の選択項目を設定した場合の集計結果が図27(b)に示すグラフである。
ログ分析・評価部306は、このようにメッセージログ解析データと、前述のインタフェースを介して取得した行為の種類、属性を含む行為情報ログとに基づいて、組織間、あるいは組織内で送受信されるメッセージログに基づくログ分析のみでは取得できない、コミュニケーションの結果としての行為、すなわち、コミュニケーション情報がどのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを詳細に分析することができる。
分析・評価プログラムの実行する行為情報の取得、格納および解析処理シーケンスについて図28に示すフローを参照して説明する。図28に示すフローは、行為情報の取得以降の処理シーケンスを説明するフローである。ある組織の成員から得られた情報を使ってユーザの行為を実行しようとした際に行為情報の取得処理が開始される。まず、ステップS250において、行為の種類の入力のためのインタフェース(図19、図21参照)がユーザ側に提示されユーザからの応答を受信し、ステップS252において、受信結果をログDB304に格納する。
次に、ステップS254において、行為の属性の入力のためのインタフェース(図20参照)がユーザ側に提示されユーザからの応答を受信し、ステップS256において、受信結果をログDB304に格納する。
さらに、ステップS258において、図22〜図24を参照して説明したメッセージログと行為情報との関連付けが実行され、関連付けデータがログDB304に格納する。なお、ステップS258の関連付け処理は、行為情報の取得処理時に実行するのではなく、所定の情報取得が行われた後、まとめて実行する構成でもよい。さらに、ステップS258においては、図25〜図27を参照して説明したメッセージログと行為情報との関連付け処理を実行し、その結果を分析・評価DB308に格納する処理を実行可能である。この処理についても、行為情報の取得処理時に実行するのではなく、所定の情報取得が行われた後、まとめて実行する構成が可能である。
[2.6.アンケート分析との併用]
前述したように、行為情報の取得は、アンケート分析として実行することも可能であり、アンケート分析によれば、正確な現実と認識のギャップ(GAP)分析や指標補完/精度向上するための分析との連動が可能である。アンケート分析を適用した例について説明する。
図29に、アンケート分析を実行するアンケート処理部を持つ分析・評価プログラム35の構成を示す。図29に示す分析・評価プログラム35は、以下の3つのデータ処理機能を有する。
(a)ログ処理部301
(b)アンケート処理部341
(c)総合分析・通知部350
の各データ処理部である。
(a)ログ処理部301は、上述したメッセージログ、行為情報の取得、解析を実行する。図6を参照して説明した分析・評価プログラム30と同様の構成を持つ。
(b)アンケート処理部341は、組織別システム2それぞれのクライアントコンピュータ20(図1)上で動作するクライアントプログラム22(図3)のウェブブラウザ224に、組織コミュニケーションに関するアンケート調査のための質問を表示して示し、この質問に対する組織別システム2それぞれの成員の応答を受け、応答を分析・評価して、ある組織や個人が、他の組織や個人にどのような影響を与えているかを分析し、その価値を評価する。前述した行為情報の取得をさらに詳細に実行する。
(c)総合分析・通知部350は、ログ処理部401と、アンケート処理部341の評価結果を適用し、例えばメッセージログと行為情報との差(ギャップ)などの解析処理、および評価情報の通知処理を実行する。行為情報の取得をアンケート分析として実行することにより、正確な現実と認識のギャップ(GAP)分析や指標補完/精度向上するための分析との連動が可能となる。
図29に示すアンケート処理部341の実行する処理について説明する。
アンケート処理部341は、アンケート調査部342、アンケート調査結果DB344、アンケート分析・評価部346、アンケート分析・評価結果DB348を有する。
アンケート処理部341は、組織別システム2それぞれのクライアントコンピュータ20(図1)上で動作するクライアントプログラム22(図3)のウェブブラウザ224に、組織コミュニケーションに関するアンケート調査のための質問を表示して示し、この質問に対する組織別システム2それぞれの成員の応答を受け、応答を分析・評価して、ある組織や個人が、他の組織や個人にどのような影響を与えているかを分析し、その価値を評価する。なお、評価単位としては、個人構成員からなる組織、該組織の構成員としての個人のいずれをも設定可能である。また、アンケートの手法は、ブラウザを適用する場合のみならず、アンケート用紙配布、回収などの手法を適用してもよい。
さらに、応答の分析・評価により、ある言葉やその概念(概念として、単語、文章、意味ネットワークおよびオントロジがあり、単語はその中の一例)が、組織やその成員に、どのような影響を与えるかを分析し、その価値を評価する。なお、電子メールなどを用いても、本発明にかかる評価方法を実現することができるが、上述のように、実施形態の説明においては、ウェブページを利用したアンケート調査に基づいて、組織の価値評価を行う場合を具体例とする。
以下、アンケート処理部341の各構成要素の詳細について説明する。
図30(a)は、アンケート調査部342が、アンケート調査結果DB344に記憶する「活動」に関する調査結果情報を例示する図である。
図30(b)は、アンケート調査部342が、アンケート調査結果DB344に記憶する「情報伝達」に関する調査結果情報を例示する図である。
図30(c)は、アンケート調査部342が、アンケート調査結果DB344に記憶する「心理活動(心理変化)」に関する調査結果情報を例示する図である。
さらに、アンケート調査部342は、前述した行為情報、すなわち行為の種類、行為の属性を含む行為情報を取得する。これらの行為情報をアンケートによって取得した場合のデータ構成を図31に示す。
図31(a)は、アンケート調査部342が、アンケート調査結果DB344に記憶する「活動」に関する調査結果であり、行為の属性情報を併せてアンケートとして取得した場合の情報を例示する図である。
図31(b)は、アンケート調査部342が、アンケート調査結果DB344に記憶する「情報伝達」に関する調査結果であり、行為の属性情報を併せてアンケートとして取得した場合の情報を例示する図である。
アンケート調査部342は、サーバプログラム26(図4)のウェブサーバ266と同様な機能を有しており、クライアントコンピュータ20−1〜20−m上で動作するウェブブラウザ224に、組織コミュニケーションのアンケート調査のための質問を表示し、組織別システム2の成員に示す。組織別システム2の成員が、クライアントコンピュータ20上で動作するウェブブラウザ224に表示された質問に答え、応答を送信すると、アンケート調査部342(図29)は、応答を受けて集計し、図30(a)〜(c)、図31(a),(b)に示すような調査結果情報を、応答内容および質問内容に応じて作成し、アンケート調査結果DB344に記憶する。
例えば、アンケート調査部342は、メーリングリストから得られた組織の情報が、個人の活動に、いかに活用されているかをアンケート調査する場合には、「メーリングリスト(ML)の存在や話題が、何らかの形であなたの仕事や活動に役立ったことがありましたか?」という質問を、組織別システム2の成員それぞれに出す。
この質問への成員の応答と、個人・組織DB310に記憶された個人情報および組織情報(図7〜図10)とを対応づけて、アンケート調査部342は、回答者を識別するために用いられる識別子(回答者ID;個人ID)、この回答を識別するための識別子(回答ID、後述する)、活動主体の組織を示す識別子(組織ID)、活動内容、活動の関係者の識別子(個人ID)、活動の時期および頻度などを含む調査結果情報を、図30(a)に示すような形式(「活動」に関する調査結果)として作成し、アンケート調査結果DB344に記憶する。
また、例えば、アンケート調査部342は、メーリングリストから得られた組織の情報が、どのように伝達されたかをアンケート調査する場合には、「あなたは、MLの存在や議論されている内容を、周りの人に伝えたことがありますか?」という質問を、組織別システム2の成員それぞれに出す。
この質問への成員の応答と、個人・組織DB310に記憶された個人情報および組織情報(図7〜図10)とを対応づけて、アンケート調査部342は、上記回答者ID(個人ID)、上記回答ID、情報の伝達相手を示す伝達相手(個人ID)、伝達した情報の内容(伝達内容)、情報伝達の時期および頻度などを含む調査結果情報を、図30(b)に示すような形式(「情報伝達」に関する調査結果)で作成し、アンケート調査結果DB344に記憶する。
また、例えば、各組織において成員に、どのような意識変化が生じたかをアンケート調査する場合には、「MLの存在や話題が、会社や仕事に対するあなたの意識や心境の変化につながったことがありますか?」という質問を、組織別システム2の成員それぞれに出す。
この質問への成員の応答と、個人・組織DB310に記憶された個人情報および組織情報(図7〜図10)とを対応づけて、アンケート調査部342は、上記回答者ID(個人ID)、上記回答ID、回答者に心理的な影響を与えた成員の識別子(個人ID)、心理的影響の内容、心理的影響が与えられた時期および頻度などを含む調査結果情報を、図30(c)に示すような形式(心理変化」に関する調査結果)で作成し、アンケート調査結果DB344に記憶する。
なお、例えば、回答者に心理的影響を与えた人を示す情報などについては、回答者自身が直接、回答する他に、例えば、回答者の回答に含まれる文章に対して、テキスト解析を行うことにより、アンケート調査部342が、自動的に求めることも可能である。
なお、図30(a)〜(c)に示した例においては、調査結果情報に、適宜、個人IDあるいは組織IDが用いられているが、図7〜図10に示した個人・組織DB310に記憶された情報を用いて、個人IDを組織IDに変換することができる。
従って、例えば、ある個人が他の個人に対してどのような影響を与えているかを求めるために集められた調査結果を、ある組織が、他の個人および組織に対してどのような影響を与えているかを示す調査結果に変換することもできる。
さらに、アンケート調査部342は、図30(a)〜(c)を参照して説明したようなアンケート調査の他、回答者の個人や、回答者が所属する組織の属性、回答者を取り巻く外部環境、および、回答者個人の認識などをアンケート調査することもできる。
これらのアンケート調査の内、回答者を取り巻く外部環境のアンケート調査を行う場合には、アンケート調査部342は、組織別システム2の成員それぞれに対して、「あなたのオフィスには、非公式に集まって雑談するスペースがどの程度ありますか?」、「あなたのオフィスには、関連する他組織との情報交換がしやすい場所にあると思いますか?」などの質問をする。
また、回答者個人の認識のアンケート調査を行う場合には、アンケート調査部342は、組織別システム2の成員それぞれに対して、情報の共有・活用に関する組織の資質について、「あなたの所属する部門は、何かわからないことがあればお互いに助け合う雰囲気がある」「あなたの所属する部門は、情報共有に関してはあなたの個人の成果とは別に評価される仕組みがある」などの質問をする。
さらに、前述した行為情報の取得のために、行為の種類と、各行為に共通な、あるいは各行為に個別の属性(行為の属性)を提示し、組織構成員としてのユーザに選択・入力させる。これらの質問は、先に図19、図20、図21を参照して説明した行為の種類、行為の属性を入力・選択するためのインタフェースを適用して実行することが可能である。 すなわち、図19のインタフェースの例のように、ユーザが、ある情報を組織xの構成員Aから受領した場合の行為の種類をユーザに選択・入力させる構成とし、行為の種類として、
(1)活用
(2)(組織x以外に)伝達
(3)(成員Aに)個別連絡
の3つを予め設定して、ユーザに入力させる。
さらに、図20のインタフェースに示すように、ユーザが選択した行為の種類が[活用]であった場合、行為(活用)の属性をユーザに選択・入力させる。行為の属性として、例えば、以下のような属性を提示しユーザに選択・入力させることができる
(a)何を(各行為に用いた情報の詳細化)
(a−1)各行為に用いた情報の代替可能性・・・例)10段階評価
(a−2)情報の具体的な内容・・・例)カテゴリ等の選択
(b)どうした(各行為の詳細化)
(b−1)各行為をした緊急度・・・例)10段階評価
(b−2)行為の具体的な内容・・・例)カテゴリ等の選択
(c)どうなった(各行為の影響の追跡)
(c−1)どこの(影響先)・・・例)影響先組織の選択
(c−2)何に(影響内容)・・・例)案件の売上、案件の数等の入力
このように、ログデータとしての取得ではなく、アンケート情報として行為情報を取得することが可能である。
アンケート・分析・評価部346は、個人・組織DB310を参照し、アンケート調査結果DB344に記憶された調査結果情報(図30、図31)の回答者IDを、この回答者が属する組織ごとに分類し、評価する処理を実行し、評価結果をアンケート分析・評価結果DB348に格納する。
次に、図29に示す総合分析・通知部350の処理について説明する。総合分析・通知部350は、総合分析部351、総合分析結果DB352、総合分析結果通知部353を有する。
総合分析部351は、アンケート処理部341においてアンケートに基づいて実行された分析・評価結果と、ログ処理部301によってログに基づいて実施された分析・評価結果をそれぞれ格納したアンケート分析・評価結果DB348と、ログ分析・評価結果DB308の評価結果とに基づいて総合的な分析、評価を実行して、比較分析・評価結果を生成し、生成した結果を総合分析結果DB352に記録する。
総合分析結果通知部353は、総合分析結果DB352に記録された結果を組織、または個人に通知する。通知処理は、後述する通知条件が満足された場合に実行される。たとえば、アンケート分析結果とログ分析結果の共通の分析項目に差があると判断した場合に、「ネットワーク通信」手段を介してその差を通知する処理を実行する。なお、評価単位としては、個人構成員からなる組織、該組織の構成員としての個人のいずれをも設定可能である。
総合分析結果通知部353による通知処理は、所定の通知条件が満足された場合に実行される。通知条件について図32を参照して説明する。図32には、3種類の通知条件を例として示してある。
[ID1]は、組織Aの「期待・想定していた影響先(by本発明)」の最も頻度の大きな組織と、(実際の)影響先(byアンケート分析)の最も頻度の大きな組織が違うときに通知処理を実行するという通知条件であり、具体的な条件式は下記の式である。
IF((組織Aのアンケート分析結果からの影響先で最も頻度の大きな組織)≠(組織Aの本発明による影響先で最も頻度の大きな組織))THEN 通知
[ID2]は、組織Aの影響内容"顧客"について、「行為をおこなった時点での代替可能性(by本発明)の平均値」と、「アンケート時点で認識された代替可能性(byアンケート分析)の平均値」に3以上の差が見られたときに通知処理を実行するという通知条件であり、具体的な条件式は下記の式である。
IF(|(組織Aの影響内容"顧客"について、行為をおこなった時点での代替可能性(by本発明)の平均値)−(組織Aの影響内容"顧客"について、アンケート実施時点で認識された代替可能性(byアンケート分析の平均値)|>3)THEN 通知
[ID3]は、組織Aが組織Bに対して影響内容"商品x"を介して与えた影響について、「行為をおこなった時点での行為の緊急度(by本発明)の平均値」と、「アンケート時点で認識された行為の緊急度(byアンケート分析)の平均値」に2以上の差が見られたときに通知処理を実行するという通知条件であり、具体的な条件式は下記の式である。
IF(|(組織Aが組織Bに対して影響内容"商品x"を介して与えた影響について、「行為をおこなった時点での行為の緊急度(by本発明)の平均値」)−(組織Aが組織Bに対して影響内容"商品x"を介して与えた影響について「アンケート時点で認識された行為の緊急度(byアンケート分析)の平均値」)|>2)THEN 通知
ここに示す通知条件は一例であり、この他にも様々な通知条件が設定可能である。総合分析結果通知部353は、予め定めた所定の通知条件、例えば図32に示すID1〜ID3のいずれかに設定された通知条件が満足された場合に、総合分析結果DB352に記録された結果データなどを組織、または個人、評価組織などに通知する。
なお、通知条件は任意の数設定でき、通知方法はUIに単に表示するだけでもいいし、メールやインスタントメッセージ、電話などによって実行可能である。なお、通知条件としては自然言語を含んでもよいし、通知条件に、時間的変化に関する記述を含んでも良い。
このように、所定の設定通知条件を満足した場合に、総合分析結果DB352に記録された結果が組織、または個人、評価組織などに通知される。
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
なお、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
例えば、プログラムは記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
以上、説明したように、本発明の構成によれば、組織内および組織間で伝達されるメッセージ、メールなどのログを取得するとともに、ユーザインタフェースを介して入力される行為情報を取得し、これらを関連付けてデータベースに格納する構成としたので、メッセージログ解析データと、インタフェースを介して取得した行為の種類、属性を含む行為情報との関連データの解析が可能となり、組織間、あるいは組織内で送受信されるメッセージログに基づくログ分析のみでは取得できないコミュニケーションの結果としての行為、すなわち、コミュニケーション情報がどのように、どこで、使われ、どのような影響を与えたのかを効率的に詳細に分析することができる。
さらに、本発明の構成においては、行為の種類、行為の属性情報についての収集態様として、ユーザインタフェースを介した収集、アンケートに基づく収集など、様々な処理態様が可能であり、アンケートに基づく行為情報の収集を行なった場合においては、詳細な情報取得により、メッセージログとのギャップ分析など高度なデータ解析が実現可能となる。
本発明にかかる評価方法が適用されるネットワークシステムの構成を例示する図である。 図1に示したクライアントコンピュータ、サーバおよび分析・評価装置のハードウェア構成を示す図である。 図1,図2に示したクライアントコンピュータ上で動作するクライアントプログラムの構成を示す図である。 図1,図2に示したサーバ上で動作するサーバプログラムの構成を示す図である。 図4に示したログDBに記録される電子メールのメッセージログを例示する図である。 図1,図2に示した分析・評価装置上で動作する分析・評価プログラムの構成を示す図である。 図6に示した個人・組織DBが記憶する組織情報を示す図である。 図7に示した組織情報の具体例を示す図である。 図6に示した個人・組織DBが記憶する個人情報を示す図である。 図9に示した個人情報の具体例を示す図である。 ログ収集・管理部が、ログDBに記憶する組織通信情報を示す図である。 ログ収集・管理部が、ログDBに記憶する組織通信情報の具体例を示す図である。 図6に示したログ分析・評価部が、ログ分析・評価結果DBに記憶する組織内通信共通単語情報を例示する図である。 図6に示したログ分析・評価部が、ログ分析・評価結果DBに記憶する組織間通信共通単語情報を例示する図である。 図6に示したログ分析・評価部が、ログ分析・評価結果DBに記憶する個人通信共通単語情報を例示する図である。 図6に示したログ分析・評価部が、ログ分析・評価結果DBに記憶する影響評価結果を例示する図である。 概念ごとに求められた影響範囲、影響度の具体例を示す図である。 ログ分析・評価部(図6)の実行するログ分析・評価処理シーケンスを示すフロー図である。 行為情報取得のためのインタフェース例を示す図である。 行為情報取得のためのインタフェース例を示す図である。 行為情報取得のためのインタフェース例を示す図である。 メッセージログと行為情報との関連付け処理について説明する図である。 メッセージログと行為情報との関連付け処理について説明する図である。 メッセージログと行為情報との関連付け処理について説明する図である。 メッセージログと行為情報との関連付けデータに基づくデータ解析処理例について説明する図である。 メッセージログと行為情報との関連付けデータに基づくデータ解析処理例について説明する図である。 メッセージログと行為情報との関連付けデータに基づくデータ解析処理例について説明する図である。 ログ分析・評価部の実行する行為情報取得、格納、解析処理シーケンスを示すフロー図である。 図1,図2に示した分析・評価装置上で動作する分析・評価プログラムの構成を示す図である。 アンケート調査部の取得するデータ例を示す図である。 アンケート調査部の取得するデータ例を示す図である。 総合分析・通知部の処理において適用される通知タイミングの設定例を説明する図である。
符号の説明
1 ネットワークシステム
100 ネットワーク
2 部門別システム
102 部門別LAN
20 クライアントコンピュータ
200 データ処理部
202 CPU
204 メモリ
206 表示・入力部
208 データ記録部 210 記録媒体
212 通信部
22 クライアントプログラム
220 UI部
222 メールプログラム
224 ウェブブラウザ
226 LAN通信制御部
24 サーバ
26 サーバプログラム
260 LAN通信制御部
262 ネットワーク通信制御部
264 メールサーバ
266 ウェブサーバ
268 ログ管理部
3 分析・評価装置
30 分析・評価プログラム
35 分析・評価プログラム
300 ネットワーク通信部
301 ログ処理部
302 ログ収集・管理部
304 ログDB
306 ログ分析・評価部
308 ログ分析・評価結果DB
310 個人・組織DB
312 UI部
341 アンケート処理部
342 アンケート調査部
344 アンケート調査結果DB
346 アンケート分析・評価部
348 アンケート分析・評価結果DB
350 総合分析・通知部
351 総合分析部
352 総合分析結果DB
353 総合分析結果通知部

Claims (10)

  1. 評価対象となる単位の内部の伝達情報に基づく伝達情報ログと、当該評価対象となる単位および他の単位の間の伝達情報に基づく伝達情報ログとを収集するログ収集・管理部と、
    前記ログ収集・管理部の収集した伝達情報ログを格納するログ記憶部と、
    前記評価対象となる単位の内部の成員に対する行為情報取得のためのインタフェースを提供するユーザインタフェース部とを有し、
    前記ログ収集・管理部は、
    前記評価対象となる単位の内部の成員により伝達情報ログが使用されるときに、当該伝達情報ログが当該単位とは別の単位から得られた伝達情報ログであるかどうかを判定し、当該単位とは別の単位から得られた伝達情報ログであるときに前記ユーザインタフェース部を起動して前記行為情報取得のためのインタフェースを表示し、当該ユーザインタフェースを介して入力された行為情報を該伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行することを特徴とする組織分析評価装置。
  2. 前記組織分析評価装置は、さらに、
    前記ログ記憶部に格納された前記行為情報と前記伝達情報ログとの関連付けデータに基づき、前記伝達情報ログ毎に前記行為情報を集計して分析データを生成するログ分析・評価部と、
    前記ログ分析・評価部における分析データを格納する分析・評価結果記憶部とを有することを特徴とする請求項1に記載の組織分析評価装置。
  3. 前記ログ収集・管理部は、
    前記ユーザインタフェース部を介して入力する行為情報として、行為の種類情報と行為の属性情報とを取得し、行為の種類情報と行為の属性情報とを前記伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行する構成を有することを特徴とする請求項1に記載の組織分析評価装置。
  4. 前記ユーザインタフェース部は、
    行為の種類としての選択項目を提示したインタフェースと、
    行為の属性としての選択項目を提示したインタフェースを提供する構成であり、
    前記ログ収集・管理部は、
    前記ユーザインタフェース部を介して入力する行為の種類および行為の属性に関する選択データの収集および前記伝達情報ログとの関連付け処理を実行する構成を有することを特徴とする請求項1に記載の組織分析評価装置。
  5. 前記組織分析評価装置は、さらに、
    行為情報の取得を実行するアンケート処理部と、
    アンケート処理部の取得した行為情報と、前記ログ収集・管理部の収集した伝達情報ログとに基づき、前記行為情報と前記伝達情報とを比較することで総合分析処理を実行する総合分析部を有することを特徴とする請求項1に記載の組織分析評価装置。
  6. 前記組織分析評価装置は、さらに、
    生成した評価データを通知する結果通知部を有し、
    前記結果通知部は、予め定められた通知条件を満足する場合に通知処理を実行する構成であることを特徴とする請求項1に記載の組織分析評価装置。
  7. 前記通知条件は、
    取得された行為情報の解析結果に基づいて決定される条件を含むことを特徴とする請求項6に記載の組織分析評価装置。
  8. 前記ログ記憶部は、電子写真の用紙の計数値を含むログを記憶し、
    前記ログ分析・評価部は、電子写真の用紙の計数値を含むログを分析して、評価対象の単位が他の単位に与える影響を評価する構成であることを特徴とする請求項2に記載の組織分析評価装置。
  9. 前記単位は、個人構成員からなる組織、該組織の構成員としての個人のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の組織分析評価装置。
  10. 組織分析評価処理を実行するコンピュータ・プログラムであり、
    評価対象となる単位の内部の伝達情報に基づく伝達情報ログと、当該評価対象となる単位および他の単位の間の伝達情報に基づく伝達情報ログとを収集するログ収集・管理ステップと、
    前記ログ収集・管理ステップにおいて収集した伝達情報ログをログ記憶部に格納するログ記憶ステップと、
    前記評価対象となる単位の内部の成員に対する行為情報取得のためのインタフェースを提供するユーザインタフェース提供ステップと、
    前記インタフェースを介して入力する行為情報を前記伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行する関連付けデータ記憶ステップとを有し、
    前記前記ログ収集・管理ステップは、
    前記評価対象となる単位の内部の成員により伝達情報ログが使用されるときに、当該伝達情報ログが当該単位とは別の単位から得られた伝達情報ログであるかどうかを判定し、当該単位とは別の単位から得られた伝達情報ログであるときに前記ユーザインタフェースステップを実行させて前記行為情報取得のためのインタフェースを表示し、当該ユーザインタフェースを介して入力された行為情報を該伝達情報ログに関連付けて、前記ログ記憶部に格納する処理を実行することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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