JP4461077B2 - 発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、ラジオアイソトープを熱源とし、外燃機関を駆動して発電を行う発電システムに関する。
深海へ潜水して調査などを行う船舶や作業機械、また、宇宙へ飛行して調査などを行う宇宙探査船などにあっては、長期間にわたって燃料の補充なしに各種の作業を行う必要があることから、自然エネルギを利用した、若しくは必要容量の燃料を格納した発電システムを搭載する必要がある。ところが、自然エネルギ利用として現状技術で普及している太陽光発電は深海や遠い宇宙では利用できず、蓄電池は容量上使用期間に制限が多い。また、燃料電池は、運用が長期間に及ぶ場合は、燃料を格納する容器が大型化し、発電システムを十分に小型化することができず、船舶や作業機械、宇宙探査船などに搭載することが困難である。そこで、ラジオアイソトープを熱源とした発電システムが、例えば、下記特許文献1、2に提案されている。
特許文献1、2に記載された発電システムは、ラジオアイソトープを格納した多数のカプセルを熱源容器に収納し、熱源容器の外側を断熱材で覆うと共に、この断熱材の外側を遮蔽体で覆って耐圧殻内に格納して構成し、この熱源容器を高温側ヒートパイプの蒸発部として機能させ、熱出力をこのヒートパイプによりスターリングエンジンの受熱部へ伝達し、このスターリングエンジンの作動流体と熱交換することで駆動し、スターリングエンジンに直結された発電機を駆動して電気出力に変換するものである。
また、特許文献3に記載された発電システムは、熱源としてのラジオアイソトープをセグメント内に格納し、発電機が接続された熱交換器としてのスターリングエンジンのヘッド部の外側にこのセグメントを配設し、ラジオアイソトープが発生した熱をスターリングエンジンに伝達して駆動し、発電機を駆動して発電を行うものである。
特開平6−199283号公報 特開平6−199284号公報 米国特許第6,365,822号明細書
ところが、上述した特許文献1、2に記載された発電システムにあっては、ラジオアイソトープで発生した熱をヒートパイプによりスターリングエンジンへ伝達し、このスターリングエンジンにより発電機を駆動して発電している。即ち、熱伝達のために、ヒートパイプが必要となり、構造が複雑になるばかりでなく、十分な性能を発揮するためには、使用環境として安定した姿勢や重力が必要となり、船舶や作業機械、宇宙探査船などに搭載することが困難となる。また、高温において使用可能なヒートパイプは液体金属を作動流体として使用している場合が多く、製造が非常に困難であり、信頼性の高いシステムの構築は困難である。また、特許文献3に記載された発電システムにあっては、熱源であるラジオアイソトープとしてプルトニウムを使用しているものと考えられる。このプルトニウムはα線源であり、放射する電磁波エネルギのほとんどは自己遮蔽により、燃料内で熱エネルギに変換されるため、熱源としては活用が容易であるが、一方で非常に高価であり、また、国内では規制上取り扱いが制限されており、現実的には使用できない。
本発明は上述した課題を解決するものであり、使用環境や装置の姿勢や重力の有無に制限が少なく、燃料も国内での取り扱いが可能であり、且つ、入手性の良いラジオアイソトープを適用することを目的とする。更に、多重化による高い信頼性、放熱量をパッシブに制御することによる高い安全性を可能とした発電システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1の発明の発電システムは、ガンマ線を放射するラ
ジオアイソトープと、該ラジオアイソトープを囲繞して放射されるガンマ線を遮蔽する遮
蔽体、ガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱を伝達する熱伝達体として機能する
外殻部と、該外殻部を囲繞する断熱部と、前記外殻部により伝達された熱により駆動する
外燃機関と、該外燃機関により発電する発電機とを備え、前記外殻部は、全体としてリング形状をなし、且つ、扇形状をなすように周方向に複数に分割されると共に、分割された前記各外殻部の間に熱膨張吸収手段が介装されたことを特徴とするものである。
請求項1の発明の発電システムによれば、ガンマ線を放射するラジオアイソトープと、このラジオアイソトープを囲繞して放射されるガンマ線を遮蔽する遮蔽体、ガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱を伝達する熱伝達体として機能する外殻部を設け、この外殻部を囲繞する断熱部を設け、外殻部により伝達された熱により駆動する外燃機関を連結し、この外燃機関により発電する発電機を連結し、外殻部を全体としてリング形状とし、且つ、扇形状をなすように周方向に複数に分割することにより、と共に、分割した各外殻部の間に熱膨張吸収手段を介装したので、ラジオアイソトープから放射されるガンマ線が外殻部により遮蔽されると共に、ガンマ線の持つエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、発生した熱エネルギが外殻部を伝って外燃機関に伝達され、この外燃機関が駆動して発電機による発電が実行することとなり、外殻部が遮蔽機能と発熱機能と熱伝達機能を兼ねることで、装置の簡素化を図ることができ、高い信頼性を確保することができる。更に、固体熱伝導による熱伝達であるため、装置の姿勢や重力の有無に影響をうけず、使用環境に対し広範な適用性を確保することができる。また、外殻部を分割することで温度偏差の発生を緩和抑制することができ、外殻部に対する応力を低減できると共に、外殻部の熱膨張を熱膨張吸収手段により吸収することで、装置の耐久性を向上することができる。
なお、本発明の発電システムでは、外殻部をモリブデンまたはタングステンの少なくともいずれか一方を含む金属により構成したので、融点、密度及び熱伝導率の高い外殻部を実現し、安全性の向上(高融点による外殻部溶融可能性の低減)、燃料の有効利用(高い遮蔽性による漏洩放射線の低減)、外殻部に対する応力の緩和(高い熱伝導率による外殻部温度偏差の低減)を可能とすることができる。
また、本発明の発電システムでは、外燃機関をスターリングエンジンとし、外殻部に対して互いに対向して複数設けたので、外殻部における温度偏差の発生を緩和することができると共に、外殻部で発生した熱エネルギを効率よくスターリングエンジンに伝達することができる。更に、複数あるスターリングエンジンの一部が故障等により停止した場合でも、停止したスターリングエンジンが受熱していた熱量を、他のスターリングエンジンが受熱することにより、複数あるスターリングエンジンの一部が故障等により停止する前と同等の出力を取り出すことが可能であり、定格出力に対する信頼性を向上することができる。
また、本発明の発電システムでは、発電機に対する要求負荷電力に応じて複数のスターリングエンジンの一部を冷凍機として機能させるので、負荷側の電力が低下したときには、複数のスターリングエンジンの一部を冷凍機として機能させることで、外殻部で発生した熱のうち、負荷側の電力を供給した上で余剰となった熱量を冷凍機として機能するスターリングエンジンにより除熱することができ、別途、余剰熱用の冷却装置を不要とすることができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る発電システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る発電システムを表すブロック構成図、図2は、実施例1の発電システムの概略構成図、図3は、図2のIII−III断面図、図4及び図5は、実施例1の発電システムにおける外燃機関が異常により停止した時の除熱機能を表す概略図である。
実施例1の発電システムは、図1乃至図3に示すように、ラジオアイソトープ11と、このラジオアイソトープ11を囲繞する外殻部12と、この外殻部12を囲繞する断熱部13と、外殻部12により伝達された熱エネルギにより駆動する外燃機関としてのスターリングエンジン14とから構成され、このスターリングエンジン14は、原動機15aとこの原動機15aにより発電する発電機15bとから構成されている。
ラジオアイソトープ11はガンマ線源であり、具体的には、コバルト60(Co−60)であって、円筒形状をなすカプセルに密閉された状態に維持されている。そして、このラジオアイソトープ11は、周方向にほぼ等間隔で、複数のリング状に配設され、外殻部12によって囲繞されている。
この外殻部12は、各ラジオアイソトープ11を隙間なく囲繞する円筒形状をなし、放射されたガンマ線を遮蔽する遮蔽体、遮蔽したガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱エネルギを伝達する熱伝達体として機能するものである。即ち、ラジオアイソトープ11はガンマ線を放射しており、このガンマ線が外殻部12に当接することで、ガンマ線が持つエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、発生した熱エネルギをスターリングエンジン14に伝達する。また、外殻部12は、ラジオアイソトープ11が発生したガンマ線が外部に漏洩するのを低減させる。
この場合、外殻部12は、ラジオアイソトープ11による発熱で750℃程度まで上昇し、発生した熱エネルギを効率よく伝達する必要から、この外殻部12を高融点で高熱伝導率の材料で形成することが望ましい。具体的には、外殻部12を、モリブデンまたはタングステンなどの金属により構成しているが、少なくともこのモリブデンまたはタングステンのいずれか一方を含む合金によって構成すればよい。
なお、ラジオアイソトープ11は放射線源であればよく、コバルト60に限らず、例えば、セシウム137(Cs−137)などであってもよく、また、ガンマ線源に限らず、別の放射線としてベータ線源あるいはアルファ線源であってもよく、例えば、ストロンチウム90(St−90)などであってもよい。
断熱部13は、ラジオアイソトープ11を囲繞した円筒形状の外殻部12の上面、下面、外周面を覆うように設けられている。そして、外殻部12の内周面が伝熱部21として機能するように平面状に形成されている。この場合、外殻部12と伝熱部21は、同材料で構成された一体物であり、伝熱部21を有する外殻部12が所定の形状で鋳造されるか、または、ブロックから削りだされて製造される。なお、外殻部12の伝熱部21を平面状に形成したが、後述するスターリングエンジン14の受熱部22に密着するような形状であればよい。
従って、ラジオアイソトープ11からガンマ線が放射されると、このガンマ線は外殻部12に当接することでエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、この外殻部12で発生した熱エネルギが外側に伝達され、伝熱部21からスターリングエンジン14に伝達され、このスターリングエンジン14を駆動することで発電機15により発電を行うことができる。
スターリングエンジン14は原動機15aと発電機15bとからなり、外殻部12から伝達された熱エネルギにより原動機15aが駆動し、この原動機15aにより発生する駆動力により発電機15bが発電することができるものであり、本実施例にて、フリーピストン式のスターリングエンジン14を適用している。
そして、このスターリングエンジン14は、受熱部22が外殻部12を囲繞する円筒形状の断熱部13内に嵌入し、この受熱部22が外殻部12の伝熱部21に接触してラジオアイソトープ11により発生した熱エネルギを受取り、スターリングエンジン14の内部の原動機15aを駆動して発電機15bにより発電する。
従って、ラジオアイソトープ11からのガンマ線が外殻部12に当接して熱エネルギが発生すると、この熱エネルギは伝熱部21から受熱部22を介してスターリングエンジン14に伝達される。すると、このスターリングエンジン14では、この熱エネルギにより内部の作動媒体が加熱され、この加熱により膨張した作動媒体によりパワーピストンが発電機15bを駆動して発電する。ディスプレーサはエンジン内部の封入圧の変化に応じて移動し、このディスプレーサが膨張空間へ移動すると、膨張空間にある膨張した作動媒体は、再生熱交換器を介して圧縮空間へ移動する。圧縮空間では、冷却水循環路23を流れる冷却水により作動媒体が冷却されることで作動媒体が圧縮する。ディスプレーサが圧縮空間へ移動すると、圧縮空間にある圧縮した作動媒体は、再生熱交換器を介して膨張空間へ移動する。この膨張/圧縮のサイクルを繰り返しにより発電する。
なお、本実施例の発電ユニットでは、上述したように、ラジオアイソトープ11により発生した熱エネルギをスターリングエンジン14に伝達し、この原動機15aの駆動力により発電機15bを作動して発電を行うものであるが、スターリングエンジン14が故障などにより停止した状態では、発生した熱エネルギを除熱する機能が喪失し、外殻部12の温度が上昇して健全性を確保できなくなる可能性がある。そこで、本実施例では、スターリングエンジン14が停止した状態では、発生した熱エネルギを断熱部13を介して外部に放熱するようにしている。
即ち、図4に示すように、スターリングエンジン14の正常時、断熱部13により断熱されることで、ラジオアイソトープ11により発生した熱エネルギはスターリングエンジン14に伝達されて一部は電気出力に変換され、残りは冷却水により除熱される。そして、スターリングエンジン14が停止した状態では、ラジオアイソトープ11により発生した熱エネルギがスターリングエンジン14により除熱されずに外殻部12が高温となるため、断熱部13の断熱機能を制御することで、外殻部12の表面より直接外部に放熱し、外殻部12の健全性が確保できる温度領域で飽和する。この場合、断熱部13における断熱機能の制御は、外殻部12の健全性が維持できる温度以下で、断熱機能が低下する材料を適用したり、この温度以下で断熱材の溶融等により断熱機能が喪失する材料を選定すればよい。
また、図5に示すように、外殻部12の断熱部13を真空断熱部13aにより構成し、スターリングエンジン14の異常時には、ラジオアイソトープ11により発生した熱エネルギがスターリングエンジン14により除熱されずに外殻部12が高温となるため、真空断熱部13aからなる断熱部13の断熱機能を制御することで、外殻部12の表面より直接外部に放熱し、外殻部12の健全性が確保できる温度領域で飽和する。この場合、真空断熱部13aにおいて、高温時の輻射熱増大による断熱機能の低下特性を活用する。
また、断熱部の一部に熱電素子を配設し、エンジン停止に伴う外郭部の温度上昇に従い前記熱電素子により発電し、外郭部12を冷却するための装置(冷却ファン等)を駆動させてもよい。冷却装置の作動により、外郭部の温度を、健全性が確保できる領域に維持できる。熱電素子による発電は、燃料であるラジオアイソトープを共有することが可能であり、別の駆動源を必要とする冷却装置を設けることによる設備の大型化を低減できる。また、スターリングエンジンと発電手段が異なるため、多様性を有し、信頼性の高いシステムを構築することが可能である。
また、図1に示すように、上述した本実施例の発電システムにて、発電機15bの出力端子31a,31bには、蓄電池32が接続されており、この蓄電池32に電気モータ33、制御装置34、各種の観測機器35,36などが接続されている。この電気モータ33は、本実施例の発電システムが搭載される深海探査船や宇宙探査船などの駆動源であり、制御装置34はこの電気モータ33や観測機器35,36などを制御するものである。
このように実施例1の発電システムにあっては、ラジオアイソトープ11をガンマ線源としてのコバルト60により構成し、このラジオアイソトープ11を周方向にほぼ等間隔で配設し、外殻部12によって隙間なく囲繞すると共に、この外殻部12を断熱部13により囲繞することで、外殻部12を、放射されたガンマ線を遮蔽する遮蔽体、遮蔽したガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱エネルギを伝達する熱伝達体として機能させ、円筒形状をなす外殻部12の中央部に、伝達された熱エネルギにより駆動するスターリングエンジン14を配設し、このスターリングエンジン14に発電機15bを内蔵している。
従って、ラジオアイソトープ11からのガンマ線が外殻部12に放射されることで、ここで、ガンマ線が遮蔽されると共にエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、発生した熱エネルギがこの外殻部12を伝ってスターリングエンジン14に伝達され、このスターリングエンジン14が駆動して発電機15bによる発電を実行することとなり、外殻部12が遮蔽機能と発熱機能と熱伝達機能を兼ねることで、装置の簡素化を図り、高い信頼性を確保し、さらに、姿勢や重力の有無に依存しない装置を実現し、環境に対する高い適用可能性を実現することができる。
この場合、外殻部12をモリブデンまたはタングステンの少なくともいずれか一方を含む金属により構成している。従って、融点及び熱伝導率の高いモリブデンまたはタングステンを外殻部に用いることで、発生した熱エネルギによる外殻部12の溶解を防止することができる共に、熱伝達効率を向上して発電性能を向上することができる。
即ち、ガンマ線などの透過性の高い放射線を放射するラジオアイソトープ11を使用する場合、放射線のエネルギを熱エネルギに変換するために遮蔽が必要である。この遮蔽機能は重金属が優れており、鉛の遮蔽が一般的であるが、タングステンやモリブデン等の熱伝導度の高い重金属を遮蔽体として適用することで、遮蔽機能と発熱機能と熱伝達機能を一つの外殻部12により実現可能となる。また、外殻部12への重金属の適用は、外部への放射線の放出を低減できるため、人体や各種機器への放射線防護設計としても有効であり、更に、タングステンやモリブデン等の重金属は高い耐熱特性を有しており、高温度にも対応可能である。
そして、ラジオアイソトープ11をコバルト60などのガンマ線源とし、また、外殻部12をモリブデンやタングステンなどの高い熱伝導度を有する固体金属により構成し、ラジオアイソトープ11からのガンマ線が外殻部12に照射されることで発生した熱エネルギをスターリングエンジン14の受熱部22に直接伝達し、このスターリングエンジン14が駆動して発電機15bによる発電を行うことで、熱エネルギを電気エネルギ変換するようにしている。
従って、熱エネルギの伝達がラジオアイソトープ11、外殻部12、スターリングエンジン14の姿勢に影響されることはなく、確実に、且つ、効率良く行うことができ、本実施例の発電システムが適用される環境を、揺動状態にある深海や無重力状態にある宇宙などを想定した場合であっても、安定的な熱エネルギの伝達を可能とすることができる。
また、ラジオアイソトープ11から発生する熱エネルギは長期にわたり半減期から決まる一定の減少を示し、これを制御することはできない。本実施例では、この熱エネルギを制御せずにスターリングエンジン14及び発電機15bで発生する機械エネルギを電気エネルギに変換し、この電気エネルギを一旦蓄電池32に貯蔵し、この蓄電池32の出力を制御するようにしている。そして、ラジオアイソトープ11で発生する熱エネルギがスターリングエンジン14側に要求される負荷要求より多い場合、発生する電気エネルギを蓄電池32に一時的に蓄える一方、ラジオアイソトープ11で発生する熱エネルギがスターリングエンジン14側に要求されるに負荷要求より小さい場合、必要とされる電気エネルギを蓄電池32から補って供給する。従って、ラジオアイソトープ11を、スターリングエンジン14側に要求される負荷の変動に応じて制御する必要はなく、常に一定の熱量を発生していても効率の良い電気エネルギの供給が可能となる。
図6は、本発明の実施例2に係る発電システムを表す概略構成図である。
実施例2の発電システムは、図6に示すように、ラジオアイソトープ41と、多数のラジオアイソトープ41を囲繞する外殻部42と、この外殻部42を囲繞する断熱部43と、外殻部42により伝達された熱エネルギにより駆動する外燃機関としての2つのスターリングエンジン44a,44bと、このスターリングエンジン44a,44bにより発電する各発電機45a,45bとから構成されている。
ラジオアイソトープ41はコバルト60であって、円筒形状をなすカプセルに密閉された状態に維持される。そして、多数のラジオアイソトープ41が周方向に沿って配設された状態で外殻部42によって囲繞され、この外殻部42が断熱部43により囲繞されることで、円筒形状をなしている。なお、この外殻部42は、ラジオアイソトープ41から放射されたガンマ線を遮蔽する遮蔽体、遮蔽したガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱エネルギを伝達する熱伝達体として機能するものであり、モリブデンまたはタングステンなどの金属により構成されている。
2つのスターリングエンジン44a,44bは同様の構成をなし、スターリングエンジン44aは、受熱部が外殻部42を囲繞する円筒形状の断熱部43内に軸方向の一方から嵌入し、スターリングエンジン44bは、受熱部が外殻部42を囲繞する円筒形状の断熱部43内に軸方向他方から嵌入している。このスターリングエンジン44a,44bは、ラジオアイソトープ41により発生した熱エネルギにより駆動するものであり、各発電機45a,45bは、このスターリングエンジン44a,44bにより発生する駆動力で発電することができるものである。
従って、ラジオアイソトープ41からガンマ線が照射されると、このガンマ線は外殻部42に当接することでエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、この外殻部42で発生した熱エネルギが外側中心方向に伝ってスターリングエンジン44a,44bに伝達され、このスターリングエンジン44a,44bを駆動することで発電機45a,45bにより発電を行うことができる。
このように実施例2の発電システムにあっては、周方向に沿って配設された多数のラジオアイソトープ41を外殻部42によって囲繞し、この外殻部42を断熱部43により囲繞することで円筒形状とし、スターリングエンジン44aを断熱部43の一方から嵌入し、スターリングエンジン44bを断熱部43の他方から嵌入することで、2つのスターリングエンジン44a,44bを外殻部42に対して互いに対向して設けている。従って、外殻部42における温度偏差の発生を低減することができると共に、一方のエンジン停止時に、停止したエンジンが受熱していた熱量を他方のエンジンが受熱して発電することで、安定した出力を確保することができる。
即ち、ラジオアイソトープ41を囲繞する外殻部42が大きくなると、この外殻部42内に大きな温度偏差が発生し、部分的に非常に高温状態となる。また、外殻部42が高温状態になると、外殻部42に適用する材料の応力が大きくなり、十分な剛性を確保できないおそれがある。そのため、本実施例では、ラジオアイソトープ41を囲繞する外殻部42の熱エネルギを電気エネルギに変換するスターリングエンジン44a,44bを、1つの外殻部42に対して配設することで、外殻部42での熱分布が小さくなるようにし、温度偏差を低減している。また、スターリングエンジン44a,44bは入熱量の変化に追従できるという特性を有しているため、スターリングエンジン44a,44bの多重化により、一方のスターリングエンジン44aが故障したときには、他方のスターリングエンジン44bエンジンが余剰熱(故障したスターリングエンジン44aが受熱していた熱量)を電気エネルギに変換するため、信頼性を向上することができると共に、安定出力の確保が実現可能となる。
図7は、本発明の実施例3に係る発電システムを表す概略構成図、図8は、実施例3の発電システムにおける通常時のスターリングエンジンによる熱エネルギの伝達状態を表す概略図、図9は、実施例3の発電システムにおける低負荷時のスターリングエンジンによる熱エネルギの伝達状態を表す概略図である。
実施例3の発電システムは、図7に示すように、ラジオアイソトープ51と、多数のラジオアイソトープ51を囲繞する外殻部52と、この外殻部52を囲繞する断熱部53と、外殻部52により伝達された熱エネルギにより駆動する外燃機関としての4つのスターリングエンジン54a,54b,54c,54dと、このスターリングエンジン54a,54b,54c,54dにより発電する各発電機55a,55b,55c,55dとから構成されている。
ラジオアイソトープ51はコバルト60であって、円筒形状をなすカプセルに密閉された状態に維持される。そして、多数のラジオアイソトープ51がスターリングエンジン54a,54b,54c,54dと交差する方向に沿って配設された状態で外殻部52によって囲繞され、この外殻部52が断熱部53により囲繞される。なお、この外殻部52は、各ラジオアイソトープ51から放射されたガンマ線を遮蔽する遮蔽体、遮蔽したガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱エネルギを伝達する熱伝達体として機能するものであり、モリブデンまたはタングステンなどの金属により構成されている。
4つのスターリングエンジン54a,54b,54c,54dは同様の構成をなし、スターリングエンジン54aの受熱部が外殻部52を囲繞する断熱部53に一方から嵌入し、スターリングエンジン54bの受熱部が外殻部52を囲繞する断熱部53に他方から嵌入している。また、スターリングエンジン54a,54bと直交するように、スターリングエンジン54cの受熱部が断熱部53に一方から嵌入し、スターリングエンジン54dの受熱部が断熱部53に他方から嵌入している。即ち、各スターリングエンジン54a,54b,54c,54dは同一平面状に直交するように配置されており、ラジオアイソトープ51により発生した熱エネルギにより駆動するものであり、各発電機55a,55b,55c,55dは、このスターリングエンジン54a,54b,54c,54dにより発生する駆動力で発電することができるものである。
従って、ラジオアイソトープ51からガンマ線が照射されると、このガンマ線は外殻部52に当接することでエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、この外殻部52で発生した熱エネルギが外側に伝って各スターリングエンジン54a,54b,54c,54dに伝達され、このスターリングエンジン54a,54b,54c,54dを駆動することで発電機55a,55b,55c,55dにより発電を行うことができる。
ところで、本実施例では、発電機55a,55b,55c,55dに対する消費電力に応じて4つのスターリングエンジン54a,54b,54c,54dの一部を冷凍機として機能させることで、要求する負荷側の電力に対し、発熱量が多い場合に外殻部52で発生した余剰熱を冷凍機として機能させたスターリングエンジンにより除熱することができるようになっている。
即ち、フル発電モードでは、図8に示すように、通常時はラジオアイソトープ51により外殻部52で発生した熱エネルギQが4つのスターリングエンジン54a,54b,54c,54dに伝達されて駆動し、4つの発電機55a,55b,55c,55dが作動して発電を行うことで、発電量ηQ(ηは、発電効率)を得ることができる。
一方、負荷側の電力に対し、発熱量が多い場合に、図9に示すように、発電した電力の一部を冷凍機として機能するスターリングエンジンの電源とする。ラジオアイソトープ51により外殻部52で発生した熱エネルギQを3つのスターリングエンジン54a,54b,54cが、フル発電モードと同様に、熱エネルギQを受けて駆動し、3つの発電機55a,55b,55cが作動して発電を行う。一方、スターリングエンジン54dにて、発電機55dが発電機55cから給電されてモータとして駆動することで、スターリングエンジン54dを冷凍機として作動させ、ラジオアイソトープ51により外殻部52で発生した熱エネルギQのうちの1/4の熱エネルギを消費させる。その結果、負荷側の必要な電力に応じて、発電量を制御すると共に、外殻部で発生した熱を除去することができる。
このように実施例3の発電システムにあっては、多数のラジオアイソトープ51を外殻部52によって囲繞し、この外殻部52を断熱部53により囲繞し、スターリングエンジン54a,55bの受熱部を断熱部43に嵌入し、スターリングエンジン54c,55dの受熱部をスターリングエンジン54a,55bと交差するように断熱部43に嵌入することで、4つのスターリングエンジン54a,54b,54c,54dを同一平面状に直行するように外殻部52に対して対向して設けている。従って、外殻部52における温度偏差の発生を低減することができると共に、外殻部52で発生した熱エネルギを効率良くスターリングエンジン54a,54b,54c,54dに伝達することができる。
また、実施例3の発電システムでは、発電機55a,55b,55c,55dに対する消費電力、つまり、蓄電池や電気モータの負荷に応じてスターリングエンジン54a,54b,54c,54dの一部を冷凍機として機能させるようにしている。従って、消費電力が低下したときには、4つのスターリングエンジン54a,54b,54c,54dの一部を冷凍機として機能させることで、外殻部52で発生した余剰熱をスターリングエンジン54a,54b,54c,54dにより除熱することができ、別途、冷却装置を不要とすることができる。
即ち、蓄電池がフル充電状態で、ラジオアイソトープ51で発生する熱エネルギがスターリングエンジン54a,54b,54c,54d側に要求される負荷要求より多い場合、多重化されたスターリングエンジン54a,54b,54c,54dの一部を、発電機から冷凍機へ切替え、発生する余剰熱を冷凍機へ切り替えたスターリングエンジンにより除熱することとなる。
図10は、本発明の実施例4に係る発電システムを表す水平断面図、図11は、実施例4の発電システムにおける分割ユニットの斜視図である。
実施例4の発電システムは、図6に示すように、ラジオアイソトープ61と、多数のラジオアイソトープ61を囲繞する外殻部62と、この外殻部62を囲繞する断熱部63と、外殻部62により伝達された熱エネルギにより駆動する外燃機関としてのスターリングエンジン64と、このスターリングエンジン64により発電する発電機(図示略)とから構成されている。
そして、本実施例では、外殻部62を、全体としてリング形状とし、且つ、扇形状をなすように周方向に複数(本実施例では8つ)に分割したユニットとなっている。即ち、外殻部62は、8つに分割された外殻分割部62a〜62hは、扇形状をなし、ラジオアイソトープ61としてのコバルト60が密閉されたカプセルが周方向に沿って配設された状態で、囲繞している。そして、この各外殻分割部62a〜62hがリング形状をなすように配設された状態で、断熱部63により囲繞されることで円筒形状をなしている。この場合、各外殻分割部62a〜62hの間には熱膨張吸収手段としての空隙部66が介装されている。
従って、ラジオアイソトープ61からガンマ線が照射されると、このガンマ線は外殻部62に当接することでエネルギが熱エネルギに変換されて発熱し、この外殻部62で発生した熱エネルギが外側に伝ってスターリングエンジン64に伝達され、このスターリングエンジン64を駆動することで発電機により発電を行うことができる。
このように実施例4の発電システムにあっては、ラジオアイソトープ61を囲繞した外殻部62を全体としてリング形状とすると共に、扇形状をなすように周方向に複数の外殻分割部62a〜62hとして分割して構成し、この外殻部62を断熱部63により囲繞することで円筒形状とし、スターリングエンジン64を断熱部63に嵌入している。従って外殻部62を分割することで温度偏差により発生する応力を緩和することができる。また、各外殻分割部62a〜62hの間に空隙部66を介装したことで、外殻部62の熱膨張をこの空隙部66により吸収し、熱膨張による外殻部62の破損を防止して装置の耐久性を向上することができる。
即ち、ラジオアイソトープ61として適用する放射線源や、目標とする発電量によっては、外殻部62が非常に大型となり、タングステンやモリブデン等の重金属や、熱伝導性に優れたセラミック等の特殊材料において、現状の設備では製造が困難である。そのため、外殻部62を、熱伝達方向に対し平行に分割する分割構造とすることで、外殻部62を構成する個々の構成部品を小型化し、製造技術の制約を緩和することができる。また、熱伝達方向を妨害しないため、熱伝達特性が維持可能となる。更に、分割された外殻分割部62a〜62hの間に空隙部66を介装しており、外殻部62の熱膨張による材料への応力を緩和することができる。
また、外殻部62がタングステン等、酸化しやすい特性を有している材料で構成されている場合は、空隙部66にヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスを内封ガスとして充填することで酸化を防止し、酸化による剛性の劣化を防止することができる。
なお、本実施例では、熱膨張吸収手段を空隙部66として説明したが、メタルメッシュシートやカーボンシートなどの弾性を有する部材を適用してもよい。
なお、上述した各実施例では、スターリングエンジンを原動機と発電機により構成、つまり、発電機をスターリングエンジンに内蔵したが、外部に設けて連結してもよい。また、各実施例では、複数のスターリングエンジンを設けたり、外殻部を複数に分割したが、その個数は各実施例に限るものではない。
また、各実施例において、ラジオアイソトープを外殻部で囲繞したが、このラジオアイソトープの崩壊に伴う緩やかな発生熱量の変化(各放射線源の半減期で発生熱量は1/2)を回避することはできない。従って、運用の末期にも所定のエネルギが供給できるように、ラジオアイソトープの初期装荷量は崩壊による熱量の減衰を考慮して多量に装荷するため、装荷初期にはスターリングエンジンは過剰な熱供給を受ける。この過剰な熱供給は、スターリングエンジンの許容受熱温度範囲に余裕を確保することにより、電気エネルギに変換可能とする。
本発明に係る発電システムは、ラジオアイソトープを外殻部により囲繞することで照射される放射線を遮蔽すると共に発生した熱を外燃機関に伝達して発電を行うものであり、いずれの発電システムにも適用することができる。
本発明の実施例1に係る発電システムを表すブロック構成図である。 実施例1の発電システムの概略構成図である。 図2のIII−III断面図である。 実施例1の発電システムにおける外燃機関が異常により停止した時の除熱機能を表す概略図である。 実施例1の発電システムにおける外燃機関が異常により停止した時の除熱機能を表す概略図である。 本発明の実施例2に係る発電システムを表す概略構成図である。 本発明の実施例3に係る発電システムを表す概略構成図である。 実施例3の発電システムにおける通常時のスターリングエンジンによる熱エネルギの伝達状態を表す概略図である。 実施例3の発電システムにおける低負荷時のスターリングエンジンによる熱エネルギの伝達状態を表す概略図である。 本発明の実施例4に係る発電システムを表す水平断面成図である。 実施例4の発電システムにおける分割ユニットの斜視図である。
符号の説明
11,41,51,61 ラジオアイソトープ
12,42,52,62 外殻部
13,43,53,63 断熱部
14,44a,44b,54a,54b,54c,54d,64 スターリングエンジン(外燃機関)
15,45a,45b,55a,55b,55c,55d 発電機
21 伝熱部
22 受熱部
32 蓄電池
33 電気モータ
66 空隙部(熱膨張吸収手段)

Claims (1)

  1. ガンマ線を放射するラジオアイソトープと、該ラジオアイソトープを囲繞して放射されるガンマ線を遮蔽する遮蔽体、ガンマ線を受けて発熱する発熱体、発生した熱を伝達する熱伝達体として機能する外殻部と、該外殻部を囲繞する断熱部と、前記外殻部により伝達された熱により駆動する外燃機関と、該外燃機関により発電する発電機とを備え、
    前記外殻部は、全体としてリング形状をなし、且つ、扇形状をなすように周方向に複数に分割されると共に、分割された前記各外殻部の間に熱膨張吸収手段が介装されたことを特徴とする発電システム。
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