JP4460260B2 - 低リン量ホウ酸塩含有潤滑油で潤滑する内燃機関の摩耗を低減する方法および組成物 - Google Patents

低リン量ホウ酸塩含有潤滑油で潤滑する内燃機関の摩耗を低減する方法および組成物 Download PDF

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Description

本発明は、部分的には、低リン量の潤滑油で潤滑して内燃機関における摩耗を低減するための潤滑剤組成物、およびそれを用いた方法に関するものである。本発明の潤滑剤組成物は、耐摩耗有効量の分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩と少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物との相乗作用的な組合せからなり、そして組成物に用いられる全リン量は、組成物の全重量に基づいて約0.08重量%以下である。
自動車の排気から生じる排気ガスは数十年来の問題であり、この問題を処理する試みとしては、無鉛燃料(部分的には、加鉛燃料から生じる鉛汚染を処理するため)や酸素付加燃料(炭化水素排気ガスを低減するため)の使用、触媒コンバータの使用(これも炭化水素排気ガスを低減するため)等がある。
触媒コンバータは、今日ではガソリン出力の車両に例外なく使用され、これらコンバータの効率は、燃焼して二酸化炭素と水になる過程で発生する未燃焼又は部分燃焼の炭化水素の転化に影響を及ぼす触媒の能力に直接に関係している。そのようなコンバータの使用で生じる一つの問題は、触媒効率の低下をもたらす触媒の被毒にある。触媒コンバータは長期間の使用を予定しているので、触媒の被毒の結果、汚染物質が長期間にわたって内燃機関から大気中に高レベルで放出されることになる。
そのような触媒の被毒を最小に抑えるために、産業界では、燃料と潤滑剤含有物の両方に基準を設けている。例えば、燃料の基準としては、触媒の鉛被害を避け(特許文献1)並びに環境中への鉛の放出を避けるために、無鉛ガソリンの使用が挙げられる。
潤滑剤に関しては、現在の産業基準によって取り扱われている添加剤の一群は、内燃機関を潤滑にするために用いられる潤滑剤組成物に使用されるリン含有添加剤である。つまり、リン含有添加剤は、例えば排気ガスの再循環工程および/または油吹き抜け工程、並びにその他当該分野で公知の方法の結果として、触媒コンバータに達する。例えば、ベック、外およびジョンソン、外(非特許文献1、2)を参照されたい。いずれにしても、リンが触媒コンバータ内の活性金属部位に蓄積して、それにより触媒効率を下げ、事実上長期間触媒に害を与えることは分かっている。上記の結果として、新たな焦点は潤滑油中のリンを低減することにある。例えば、潤滑剤組成物についてのGF−4規格草案では、これまで用いられていたのよりも著しく低いリン量が提案されている。
油溶性のリン含有耐摩耗性化合物を含む潤滑剤組成物におけるリンのレベルを低減するとき、問題は、このリン量の減少によって耐摩耗性能の顕著な低下が起こるということにある。耐摩耗性添加剤のよく知られた一部類に金属アルキルリン酸塩、特にジアルキルジチオリン酸亜鉛があり、それらは摩耗抑制のために使用されるときは、一般に潤滑油に0.1重量%を越えるリンレベルで用いられている。それより低い使用レベルでは、有効な耐摩耗性添加剤であるとは認められない。例えば、本明細書で例示するように、潤滑剤組成物中のジチオリン酸亜鉛添加剤の存在によるリンのレベルを、リン0.095重量%からその半分の0.048重量%に下げることは、結果としてエンジン摩耗を約7倍に増加させることになる。
本発明は、分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩の錯体と低レベルの一種以上の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物との組合せを含む潤滑剤組成物が、ガソリンエンジンを潤滑にするために使用されるとき、摩耗レベルを相乗作用的に低減するという発見に基づく。
上記に関しては、金属ジアルキルジチオリン酸塩とスルホン酸及びカルボン酸のホウ酸化エステルの両方を含む潤滑剤組成物が、例えば特許文献3に開示されている。
さらに、ギヤ潤滑剤として有用な機能液は以前より、二炭化水素ジチオリン酸亜鉛等のリン化合物と水和アルカリ金属ホウ酸塩の組合せを使用している(特許文献4、5、6)。そのような組成物では、リン化合物を5重量%まで用いることができ(特許文献4、5)、あるいはストッファ、外(特許文献6)の場合にはリン化合物を4重量%まで用いることができる。
分散状の水和ホウ酸カリウム、ジチオリン酸アンチモンおよび液体塩素化パラフィンからなる三種の極圧耐摩耗剤の組合せを含む潤滑剤組成物が、クラーク(特許文献7)により開示されている。そのような組成物は、完成潤滑剤組成物中にジチオリン酸アンチモンを1.4容量%まで含有することができる。
米国特許第4975096号明細書、バックリー、「III、オキシアルキレンヒドロキシ結合基を持つ長鎖脂肪族炭化水素アミン添加剤」、1990年12月4日発行 米国特許第4495075号明細書、バックリー、「低級アルキル基を高比率で含むジアルキルジチオリン酸亜鉛の沈殿を防止する方法及び組成物」、1985年1月22日発行 米国特許第5962377号明細書、バウムガルト、外、「潤滑剤添加剤配合物」、1999年10月5日発行 米国特許第4089790号明細書、アダムス、「水和ホウ酸カリウム、耐摩耗剤及び有機スルフィド酸化防止剤の相乗作用的組合せ」、1978年5月16日発行 米国特許第4163729号明細書、アダムス、「水和ホウ酸カリウム、耐摩耗剤及び有機スルフィド酸化防止剤の相乗作用的組合せ」、1979年8月7日発行 米国特許第5635459号明細書、ストッファ、外、「機能液のギヤ性能改善のための過塩基性ホウ酸化スルホネート」、1997年6月3日発行 米国特許第4534873号明細書、クラーク、「自動車用摩擦低減組成物」、1985年8月13日発行 SAE技術誌972842、ベック、外、「LEV触媒系のFTP性能への油誘導触媒被害の影響」、1997年 SAE200−01−1881、ジョンソン、外、「TWC装備車両の排気ガスへの油誘導夾雑物の影響」、2000年
上記の参考文献は全て、個々の文献を特定してかつ独立して全部参照事項として記載するように指示したのと同じ程度にまで、その全内容を参照として本明細書の記載とするものである。
本発明は、部分的には、低リン量の潤滑油で潤滑する内燃機関における摩耗を低減するための潤滑剤組成物、およびそれを用いた方法に関するものである。
上述したように、本発明は、部分的には、分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩と少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物の組合せを含有し、組成物に用いられる全リン量が組成物の全重量に基づいて約0.08重量%以下である潤滑剤組成物に関するものである。この添加剤の組合せは、内燃機関を潤滑にする潤滑剤組成物に使用されたときに、摩耗レベルを相乗作用的に低減する。
従って、その組成物の観点の一つでは、本発明は、
主要量の潤滑粘度の油、
少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物、ただし、組成物中の全リンの重量%が組成物の全重量に基づいて約0.08重量%以下である、および
潤滑油組成物の全重量を基準として0.5乃至2重量%の分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩、
からなる内燃機関の潤滑用の潤滑油組成物に関する。
好ましい態様では、組成物中の全リン量は組成物の全重量に基づいて0.06重量%以下であり、より好ましくは約0.05重量%以下である。
油溶性のリン含有耐摩耗性化合物は、金属ジチオリン酸塩、リンエステル(リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、酸化ホスフィン、亜リン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、亜ホスフィン酸エステルおよびホスフィン等を含む)、リン酸アミンおよびホスフィン酸アミン、リンモノチオン酸塩およびリン酸ジチオン酸塩を含む硫黄含有リンエステル、リンアミドおよびホスホンアミド等からなる群より選ばれることが好ましい。リン含有化合物は、より好ましくは金属ジチオリン酸塩であり、更に好ましくはジチオンリン酸亜鉛である。
分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩は、潤滑剤組成物の全重量の約0.5乃至2重量%の量である。
分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩は、分散状の水和ホウ酸カリウムであることが好ましい。
また、本発明は、内燃機関の作動中における摩耗を抑制する方法であって、該方法が、主要量の潤滑粘度の油、少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物、ただし、組成物中の全リンの重量%が組成物の全重量に基づいて約0.08重量%以下である、および潤滑油組成物の全重量を基準として0.5乃至2重量%の分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩からなる潤滑剤組成物を用いて、内燃機関を作動させることからなる方法に関する。
本発明は、分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩の錯体と低レベルの一種以上の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物との組合せを含有する潤滑剤組成物が、ガソリンエンジンを潤滑にするために使用されるとき、摩耗レベルを相乗作用的に低減するという発見に基づく。
本発明は、部分的には、分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩と少なくとも一種の油溶性の耐摩耗性リン含有化合物との組合せを含有し、そして組成物に用いられる全リン量が組成物の全重量に基づいて約0.08重量%以下である新規な潤滑剤組成物に関する。
本発明の組成物中のこれらの成分それぞれについて、以下に詳細に述べる。しかしながら、その記述に先立って、まず以下の用語について定義する。
「油溶性のリン含有耐摩耗性化合物」は、リンを含む潤滑剤組成物の添加剤を意味し、そして単独であるいは他の添加剤と組み合わせて使用したときに、そのような潤滑剤組成物で潤滑にした内燃機関の作動中に耐摩耗有益性を示すものである。そのような添加剤においてリンは、一般に添加剤の機能に不可欠である。
「全リン量」は、リンが油溶性のリン含有耐摩耗性化合物の一部として存在するか、あるいは金属二炭化水素ジチオリン酸塩を製造するのに用いたP25の存在ゆえに残存している残留リンなど、潤滑剤組成物中の夾雑物の形で存在するかに関係なく、潤滑剤組成物中のリンの全量を意味する。いずれにしても、潤滑剤組成物に許容されるリンの量は原料には依存しない。しかしながら、リンは潤滑剤添加剤の一部であることが好ましい。
[水和アルカリ金属ホウ酸塩]
水和アルカリ金属ホウ酸塩は当該分野ではよく知られている。好適なホウ酸塩および製造方法が開示されている代表的な特許としては下記のものが挙げられ:米国特許第3313727号、第3819521号、第3853772号、第3912643号、第3997454号及び第4089790号、これらの内容全部を参照事項として本明細書の記載とする。
本発明での使用に適した水和アルカリ金属ホウ酸塩は、下記一般式で表すことができる。

2O・xB23・yH2
式中、Mはアルカリ金属、好ましくはナトリウムまたはカリウムであり、xは2.5〜4.5の数であり(整数でも分数でも可)、そしてyは1.0〜4.8の数である。より好ましいのは水和ホウ酸カリウムであり、特には水和三ホウ酸カリウムである。水和ホウ酸塩粒子の平均粒径は一般に1ミクロン以下である。
本発明に用いられるアルカリ金属ホウ酸塩において、ホウ素とアルカリ金属の比は約2.5:1乃至約4.5:1の範囲にあることが好ましい。
水和アルカリ金属ホウ酸塩の油分散物は一般に、脱イオン水中で、任意に少量の対応するアルカリ金属炭酸塩を存在させて、アルカリ金属水酸化物とホウ酸の溶液を形成することにより製造する。次に、溶液を、潤滑粘度の油、分散剤および含有されるべき任意の添加剤(例えば、清浄剤またはその他任意の添加剤)を含む潤滑剤組成物に加えて、乳化液を形成し、次いで脱水する。
ホウ酸塩錯体のヒドロキシル基の保持のために、これら錯体は「水和アルカリ金属ホウ酸塩」と称され、そしてこれら水和アルカリ金属ホウ酸塩の油/水乳化液を含む組成物は、「水和アルカリ金属ホウ酸塩の油分散物」と称される。
好ましいアルカリ金属ホウ酸塩の油分散物は、ホウ素とアルカリ金属の比が約2.5:1乃至約4.5:1である。別の好ましい態様では、水和アルカリ金属ホウ酸塩粒子の平均粒径は一般に1ミクロン以下である。これに関しては、本発明に用いられる水和アルカリ金属ホウ酸塩は、粒子の90%かそれ以上が0.6ミクロン以下であるような粒径を有するのが好ましいことが分かっている。
水和アルカリ金属ホウ酸塩の油分散物において、水和アルカリ金属ホウ酸塩は、一般に水和ホウ酸塩油分散物の全重量の約10乃至75重量%を占め、好ましくは25乃至50重量%、より好ましくは約30乃至40重量%を占める(特に断わらない限りは、パーセントは全て重量%である)。この組成物または濃縮物は、しばしば添加剤パッケージの形で使用されて調製潤滑剤組成物を形成する。完成潤滑剤組成物が好ましくは潤滑剤組成物の全重量の約0.2乃至約5重量%、より好ましくは約0.5乃至2重量%を占めるように、濃縮物は充分な量で添加される。
本発明の潤滑剤組成物には更に、後述するような当該分野の熟練者には公知の界面活性剤、清浄剤、他の分散剤およびその他の条件を用いることができる。
本発明に用いられる水和アルカリ金属ホウ酸塩の油分散物は一般に、分散剤、潤滑粘度の油、および任意に清浄剤を含有する。
[リン含有化合物]
本発明の組成物及び方法に用いられる油溶性のリン含有耐摩耗性化合物は、金属ジチオリン酸塩、リンエステル(リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、酸化ホスフィン、亜リン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、亜ホスフィン酸エステルおよびホスフィン等を含む)、リン酸アミンおよびホスフィン酸アミン、リンモノチオン酸塩およびリンジチオン酸塩を含む硫黄含有リンエステル、リンアミドおよびホスホンアミド等からなる群より選ばれることが好ましく、それらは全て当該分野ではよく知られている。リン含有化合物は、より好ましくは金属ジチオリン酸塩であり、更に好ましくはジチオリン酸亜鉛である。最も好ましくはリン含有化合物は、アルキル基が独立にC3〜C13の分枝鎖又は直鎖炭素基(その混合物を含む)から選ばれるジアルキルジチオリン酸亜鉛である。更に好ましくはリン含有化合物は、ビス(O,O’−ジ−(2−ブチル/4−メチル−2−ペンチル)ジチオリン酸亜鉛(II)である。
金属ジチオリン酸塩は、I式により特徴付けられる:
Figure 0004460260
式中、Rは独立に、炭素原子3〜約13個を含む炭化水素基であり、Mは金属であり、そしてnはMの価数に等しい整数である。
ジチオリン酸塩中の(あるいは、本出願の他の箇所に記載される)炭化水素基Rは、C3〜C13のアルキル基、C3〜C13のシクロアルキル基、C7〜C13のアラルキル基、またはC7〜C13のアルカリール基、もしくは実質的に同様の構造の炭化水素基であることができる。「実質的に炭化水素」とは、基の炭化水素特性に実質的に影響を与えない置換基、例えばエーテル、エステル、ニトロまたはハロゲンを含む炭化水素を意味する。
アルキル基の例としては、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、各種のアミル基、n−ヘキシル、メチルイソブチル、カルビニル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、ジイソブチル、イソオクチル、ノニル、ベヘニル、デシル、ドデシル、トリデシル等を挙げることができる。低級アルキルフェニル基の例としては、ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘプチルフェニル等を挙げることができる。シクロアルキル基も同様に使用でき、これには主としてシクロヘキシル基、および低級アルキル−シクロヘキシル基がある。多数の置換炭化水素基、例えばクロロフェニル、ジクロロフェニルおよびジクロロデシルも使用できる。
別の態様では、少なくとも一つのR基はイソプロピル基または第二級ブチル基である。また別の態様では、R基は両方とも第二級アルキル基である。
本発明で使用できる金属塩が製造されるリンジチオン酸はよく知られている。二炭化水素リンジチオン酸及び金属塩の例、およびそのような酸及び塩の製造方法については、例えば米国特許第4263150号、第4289635号、第4308154号及び第4417990号に見られる。これら特許の開示内容も参照として本明細書の記載とする。
リンジチオン酸は一般に、五硫化リンと、アルコールまたはフェノールまたはアルコール及び/又はフェノールの混合物との反応によって合成される。反応は、五硫化リンモル当りアルコール又はフェノール4モルを含み、そして約50℃乃至約200℃の温度範囲内で行うことができる。よって、O,O−ジ−n−ヘキシルリンジチオン酸の合成には、五硫化リンと4モルのn−ヘキシルアルコールを約100℃で約2時間反応させることが含まれる。硫化水素が遊離して、その残留物が上記の酸である。この酸の金属塩の合成は、金属酸化物との反応によってもたらされる。反応を起こさせるにはこれら二つの反応物を単に混合し加熱するだけで充分であり、そして得られた生成物は本発明の目的には充分に純粋である。
本発明に使用できる金属二炭化水素ジチオリン酸塩としては、I族金属、II族金属、亜鉛、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、コバルトおよびニッケル、またはそれらの混合物を含むそのような塩を挙げることができる。II族金属、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、マンガン、ニッケルおよび銅は好ましい金属に含まれる。亜鉛および銅は、単独でもあるいは組み合わせても特に有用な金属である。特に好ましいのは亜鉛である。ある態様では、本発明の潤滑剤組成物において、酸と反応しうる金属化合物の例としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、酸化銀、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、炭酸鉄、水酸化銅、水酸化鉛、ブチル化スズ、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル等を挙げることができる。
ある例では、ある成分、例えば金属反応物と結合する少量の金属酢酸塩または酢酸(氷酢酸)の導入は、反応を促して良好な生成物をもたらす。例えば、必要量の酸化亜鉛と組み合わせて約5%までの酢酸亜鉛を使用することは、リンジチオン酸亜鉛の生成を促進する。
好ましい態様では、アルキル基Rは、第二級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、第二級ブチルアルコール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール等から誘導される。好ましくはRは、第二級アルコールの混合物、例えば2−ブタノールと4−メチル−2−ペンタノールから誘導される。特に好ましいRは、約65−75重量%の2−ブタノールとその残りの4−メチル−2−ペンタノールを含む上記混合物から誘導される。
特に有用な金属リンジチオン酸塩は、順に五硫化リンとアルコールの混合物との反応から合成されたリンジチオン酸から製造することができる。さらに、このような混合物の使用は、それら自体では油溶性のリンジチオン酸を生じないような安価なアルコールの利用を可能にする。
使用できる二ハイドロカルビルジチオリン酸の金属塩の混合物は、五硫化リンと、(a)イソプロピル又は第二級ブチルアルコールおよび(b)炭素原子を少なくとも5個含むアルコールの混合物、ただし、混合物中のアルコールの少なくとも10モル%、好ましくは20又は25モル%以上がイソプロピルアルコール、第二級ブチルアルコールまたはそれらの混合物である、との反応によって得られる。
従って、イソプロピルとヘキシルアルコールの混合物は、非常に有効な油溶性の金属リンジチオン酸塩を生成させるのに使用することができる。同じ理由で、リンジチオン酸の混合物も、金属化合物と反応してそれほど高価ではない油溶性塩を形成することができる。
アルコールの混合物は、異なる第一級アルコールの混合物、異なる第二級アルコールの混合物、または第一級と第二級アルコールの混合物であってもよい。使用できる混合物の例としては、n−ブタノールとn−オクタノール、n−ペンタノールと2−エチル−1−ヘキサノール、イソブタノールとn−ヘキサノール、イソブタノールとイソアミルアルコール、イソプロパノールと4−メチル−2−ペンタノール、イソプロパノールとsec−ブチルアルコール、イソプロパノールとイソオクチルアルコール、sec−ブチルアルコールと4−メチル−2−ペンタノール等を挙げることができる。特に有用なアルコール混合物は、イソプロピルアルコールを少なくとも約20モル%、好ましくは少なくとも40モル%含む第二級アルコールの混合物である。好ましい態様では、sec−ブチルアルコールが少なくとも75モル%使用され、また4−メチル−2−ペンタノールと好ましく組み合わされ、そして最も好ましくは更に金属亜鉛と組み合わされる。
特に好ましい金属二炭化水素リンジチオン酸塩としては、ジチオリン酸亜鉛が挙げられる。そのようなジチオリン酸亜鉛の合成が記載された特許としては、米国特許第2680123号、第3000822号、第3151075号、第3385791号、第4377527号、第4495075号及び第4778906号を挙げることができる。これらの各特許も全て参照として本明細書の記載とする。
以下の実施例では、金属リンジチオン酸塩の製造およびアルコールの混合物から製造して得られた金属ジアルキルジチオリン酸塩について説明する。
[実施例B1]
4−メチル−2−ペンタノール6モルとイソプロピルアルコール4モルからなるアルコールの混合物と五硫化リンとを反応させて、リンジチオン酸を合成する。次いで、リンジチオン酸を酸化亜鉛の油スラリーと反応させる。スラリー中の酸化亜鉛の量は、リンジチオン酸を完全に中和するのに必要な理論量の約1.08倍である。このようにして得られたリンジチオン酸亜鉛の油溶液(油10%)は、リン9.5%、硫黄20.0%、および亜鉛10.5%を含む。
[実施例B2]
微粉末状の五硫化リンを、イソプロピルアルコール11.53モル(692重量部)とイソオクタノール7.69モル(1000重量部)を含むアルコール混合物と反応させて、リンジチオン酸を合成する。このようにして得られたリンジチオン酸は、酸価が約178−186であり、リン10.0%と硫黄21.0%を含む。次いで、このリンジチオン酸を酸化亜鉛の油スラリーと反応させる。油スラリーに含まれる酸化亜鉛の量は、リンジチオン酸の酸価の理論当量の約1.10倍である。このようにして製造された亜鉛塩の油溶液は、油12%、リン8.6%、硫黄18.5%、および亜鉛9.5%を含む。
[実施例B3]
イソオクチルアルコール1560部(12モル)とイソプロピルアルコール180部(3モル)の混合物を、五硫化リン756部(3.4モル)と反応させて、リンジチオン酸を合成する。アルコール混合物を約55℃に加熱し、その後に反応温度を約60−75℃に維持しながら、五硫化リンを1.5時間かけて加えることにより反応を行う。五硫化リン全部を添加した後、混合物を更に1時間70−75℃に加熱し撹拌し、その後に濾過助剤に通して濾過する。
酸化亜鉛(282部、6.87モル)を、鉱油278部と一緒に反応器に入れる。酸化亜鉛スラリーに、合成したリンジチオン酸(2305部、6.28モル)を60℃に発熱させながら30分かけて加える。次いで、混合物を80℃に加熱し、この温度で3時間維持する。100℃、6mmHgでストリッピングした後、混合物を濾過助剤で2回濾過すると、濾液は、油10%、亜鉛7.97%(理論7.40)、リン7.21%(理論7.06)、および硫黄15.64%(理論14.57)を含む所望の亜鉛塩の油溶液である。
[実施例B4]
イソプロピルアルコール(396部、6.6モル)、およびイソオクチルアルコール1287部(9.9モル)を反応器に入れ、撹拌しながら59℃に加熱する。次いで、五硫化リン(833部、3.75モル)を窒素流下で加える。五硫化リンの添加は59−63℃の反応温度で約2時間で完了する。次いで、混合物を45−63℃で約1.45時間撹拌し、濾過する。濾液は所望のリンジチオン酸である。
反応器に、酸化亜鉛312部(7.7当量)および鉱油580部を加える。室温で撹拌しながら、合成したリンジチオン酸(2287部、6.97当量)を54℃に発熱させながら約1.26時間かけて加える。混合物を78℃に加熱し、75−85℃で3時間維持する。反応混合物を100℃、19mmHgで減圧ストリッピングする。残留物を濾過助剤で濾過すると、濾液は、亜鉛7.86%、リン7.76%、および硫黄14.8%を含む所望の亜鉛塩の油溶液(油19.2%)である。
[実施例B5]
イソプロピルアルコールとイソオクチルアルコールのモル比を1:1とすること以外は、実施例B4の一般操作を繰り返す。このようにして得られた生成物は、亜鉛8.96%、リン8.49%、および硫黄18.05%を含むリンジチオン酸亜鉛の油溶液(油10%)である。
[実施例B6]
イソオクチルアルコール520部(4モル)とイソプロピルアルコール360部(6モル)を含むアルコール混合物を、五硫化リン504部(2.27モル)と共に用いて、実施例B4の一般操作に従ってリンジチオン酸を合成する。鉱油116.3部と酸化亜鉛141.5部(3.44モル)の油スラリーを、合成したリンジチオン酸950.8部(3.20モル)と反応させて、亜鉛塩を製造する。このようにして製造された生成物は所望の亜鉛塩の油溶液(鉱油10%)であり、油溶液は亜鉛9.36%、リン8.81%、および硫黄18.65%を含む。
[実施例B7]
イソオクチルアルコール520部(4モル)とイソプロピルアルコール559.8部(9.33モル)の混合物を調製して60℃に加熱し、その時点で、五硫化リン672.5部(3.03モル)を撹拌しながら15回に分けて加える。次いで、反応を60−65℃で約1時間維持し、濾過する。濾液は所望のリンジチオン酸である。
酸化亜鉛188.6部(4モル)と鉱油144.2部の油スラリーを調製し、そして合成したリンジチオン酸1145部を少しずつ加えながら、混合物を約70℃に維持する。酸全部を添加した後、混合物を80℃で3時間加熱する。次いで、反応混合物を110℃でストリッピングして水を除去する。残留物を濾過助剤で濾過すると、濾液は、亜鉛9.99%、硫黄19.55%、およびリン9.33%を含む所望の生成物の油溶液(鉱油10%)である。
[実施例B8]
イソオクチルアルコール260部(2モル)、イソプロピルアルコール480部(8モル)、および五硫化リン504部(2.27モル)を用いて、実施例B4の一般操作によりリンジチオン酸を合成する。酸化亜鉛181部(4.41モル)と鉱油135部を含む油スラリーに、リンジチオン酸(1094部、3.84モル)を30分かけて加える。混合物を80℃に加熱し、この温度で3時間維持する。100℃、19mmHgでストリッピングした後、混合物を濾過助剤で2回濾過すると、濾液は、亜鉛10.06%、リン9.04%、および硫黄19.2%を含む亜鉛塩の油溶液(鉱油10%)である。
[実施例B9]
イソプロピルアルコール(410部、6.8モル)と2−エチルヘキシルアルコール590部(4.5モル)を反応器に入れ、50℃に加熱する。五硫化リン(541部、2.4モル)を窒素流下で加える。添加は50−65℃の反応温度で1.5時間で完了する。内容物を2時間撹拌し、55℃で濾過して所望のリンジチオン酸を得る。
反応器に、酸化亜鉛145部(3.57当量)および油116部を加える。撹拌を開始し、そして得られたリンジチオン酸1000部(3.24当量)を、室温で開始して1時間かけて加える。添加は52℃の発熱を生じる。内容物を80℃に加熱し、この温度で2時間維持する。次いで、内容物を100℃、22mmHgで減圧ストリッピングする。油60部を加えて内容物を濾過すると、油12%、亜鉛9.5%、硫黄18.5%、およびリン8.6%を含む所望の生成物を得る。
[実施例B10]
2−ブタノール(237部、77モル)と4−メチル−2−ペンタノール(98部、23モル)の混合物を、五硫化リン222部と一緒に約75℃の温度で反応器に入れ、約2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、濾過して、中和価193(mgKOH/g)、100°F粘度35.7SSU、比重1.04(60/60)を有し、硫黄24.0%とリン11.9%を含む所望のリンジチオン酸を得た。
上記の混合物に酸化亜鉛87重量部を加え、その後に全体を撹拌しながらpH6.7に達するまで約54℃で4時間加熱した。中和水を除去した後、油溶液は、亜鉛7.6%、硫黄15.0%、およびリン7.2%を含んでいた。
油溶性のリン含有耐摩耗性化合物の別の部類は、チオリンアミドおよびチオホスホンアミド、例えば米国特許第3909430号及び第3968157号に開示されているものを含む、リンアミドおよびホスホンアミドの部類である。なお、その開示内容も参照として本明細書の記載とする。これらの化合物は、少なくとも1個のP−N結合を持つリン化合物を形成することによって製造することができる。例えば、酸塩化リンと炭化水素ジオールをモノアミンの存在下で反応させることにより、あるいは酸塩化リンと二官能価第二級アミンおよび一官能価アミンとを反応させることにより製造することができる。チオリンアミドは、炭素原子2〜450個かそれ以上を含む不飽和炭化水素化合物、例えばポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、エチレン、1−ヘキセン、1,3−ヘキサジエン、イソブチレンおよび4−メチル−1−ペンテン等と、五硫化リンおよび上記の窒素含有化合物、特にアルキルアミン、アルキルジアミン、アルキルポリアミンまたはアルキレンアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンおよびテトラエチレンペンタアミン等とを反応させることにより製造することができる。
また別のリン含有化合物は、II式で表される油溶性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステルまたは酸化ホスフィンである:
Figure 0004460260
式中、R10、R20およびR30は独立に水素または炭化水素基であり、Xは酸素または硫黄であり、そしてa、bおよびcは独立に0または1である。
リン含有化合物は、III式で表される油溶性の亜リン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、亜ホスフィン酸エステルまたはホスフィン化合物であってもよい:
Figure 0004460260
式中、R10、R20、R30、a、bおよびcは前に定義した通りである。
上記II及びIII式それぞれにおいてR10、R20およびR30の炭素原子の総数は、本発明の組成物の配合に使用する潤滑油中に化合物を溶解させるのに充分なものでなければならない。一般にR10、R20およびR30の炭素原子の総数は、少なくとも約8個であり、ある態様では少なくとも約12個、またある態様では少なくとも約16個である。R10、R20およびR30の炭素原子の要求される総数に制限はなく、実用上の上限は炭素原子約400個または約500個である。ある態様では、上記の各式においてR10、R20およびR30は独立に、総炭素数は少なくとも約8個であるという条件で、炭素原子数1〜約100、または炭素原子数1〜約50、または炭素原子数1〜約30の炭化水素基である。R10、R20およびR30はそれぞれ互いに同じであってもよいが、異なっていてもよい。使用できるR10、R20およびR30基の例としては、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、アミル、4−メチル−2−ペンチル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ペンチル、ドデセニル、フェニル、ナフチル、アルキルフェニル、アルキルナフチル、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、アルキルフェニルアルキル、およびアルキルナフチルアルキル等を挙げることができる。
II及びIII式で表されるリン化合物は、亜リン酸またはその無水物と、II及びIII式のR10、R20およびR30に対応するアルコールまたはアルコールの混合物とを反応させることにより製造することができる。亜リン酸またはその無水物は、一般に無機リン試薬であり、例えば五酸化リン、三酸化リン、四酸化リン、亜リン酸、ハロゲン化リン、または低級亜リン酸エステル等である。低級亜リン酸エステルは、各エステル基中に炭素原子1〜約7個を含む。亜リン酸エステルはモノ、ジ又はトリリン酸エステルであってもよい。
II及びIII式の化合物の更なる記述については、例えば米国特許第5712230号を参照されたい。その内容も全て参照として本明細書の記載とする。
リン含有化合物のまた別の部類は、IV式の油溶性の硫黄含有リンエステルの部類である:
Figure 0004460260
式中、R11、R21、R31およびR41は独立に炭化水素基であり、X1およびX2は独立にOまたはSであり、そしてnは0乃至3である。ある態様では、X1およびX2は各々Sであり、nは1である。R11、R21、R31およびR41は独立に、好ましくはアセチレン不飽和を含まず、通常はエチレン不飽和も含まない炭化水素基である。R11、R21、R31およびR41は独立に、ある態様では炭素原子数約1〜約50であり、ある態様では炭素原子数約1〜約30であり、ある態様では炭素原子数約1〜約18であり、そしてある態様では炭素原子数約1〜約8である。R11、R21、R31およびR41はそれぞれ互いに同じであってもよいが、異なっていてもよく、混合物を使用してもよい。R11、R21、R31およびR41基の例としては、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、アミル、4−メチル−2−ペンチル、オクチル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ペンチル、ドデセニル、フェニル、ナフチル、アルキルフェニル、アルキルナフチル、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、アルキルフェニルアルキル、アルキルナフチルアルキル、およびそれらの混合物を挙げることができる。
IV式の化合物の製造方法については当該分野では公知であり、例えば米国特許第5712230号に記載されていて、その内容も全て参照として本明細書の記載とする。
油溶性のリン含有耐摩耗性添加剤のまた別の部類としては、リン酸及びチオリン酸アミンがあり、当該分野では知られていて、例えば米国特許第3859218号、第5585029号及び第6040279号に開示されている。その内容も全て参照として本明細書の記載とする。
本発明の組成物及び方法に使用されるリン酸アミンとしては、市販されている混合一及び二酸リン酸塩の一塩基性炭化水素アミン塩、および二酸リン酸塩のアミン塩が挙げられる。一及び二酸リン酸塩は構造式VA及びVBを有することが好ましい:
Figure 0004460260
式中、各Rは独立に、同じであってもよいしあるいは異なっていてもよく、好ましくはC1〜C12の線状又は分枝鎖アルキルであり、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素またはC1〜C12の線状又は分枝鎖アルキルであり、R3は、C4〜C12の線状又は分枝鎖アルキル、またはアリール−R4またはR4−アリールである(ただし、R4は水素またはC1〜C12の線状又は分枝鎖アルキルであり、アリールはC6である)。
本発明に使用される市販のリン酸アミンにおける一酸と二酸リン酸塩のモル比は、3:1乃至1:3の範囲にある。
混合一/二酸リン酸塩も、また二酸リン酸塩だけでも使用することができるが、好ましくは後者である。酸脂肪族芳香族アミン−リン酸塩の一態様は、R.T.バンダービルト(株)から市販されているバンリューブRTM692である。
[潤滑粘度の油]
本発明の組成物及び方法に使用される潤滑粘度の油は、内燃機関のクランクケースに使用するのに適した粘度の鉱油でも、あるいは合成油であってもよい。基油は合成または天然の原料から誘導することができる。本発明で基油として使用される鉱油としては、パラフィン系、ナフテン系、および通常潤滑油組成物に使用されるその他の油を挙げることができる。合成油としては、炭化水素合成油と合成エステルの両方を挙げることができる。使用できる合成炭化水素油としては、適正な粘度を有するアルファオレフィンの液体重合体が挙げられる。特に有用なものはC6〜C12のアルファオレフィンの水素化液体オリゴマー、例えば1−デセン三量体である。同様に、適正な粘度のアルキルベンゼン、例えばジドデシルベンゼンも使用することができる。使用できる合成エステルとしては、モノカルボン酸およびポリカルボン酸と、モノヒドロキシアルカノールおよびポリオールとのエステルが挙げられる。代表的な例としては、ジドデシルアジペート、ペンタエリトリトールテトラカプロエート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、およびジラウリルセバケート等がある。モノ及びジカルボン酸とモノ及びジヒドロキシアルカノールとの混合物から合成された複合エステルも使用することができる。鉱油と合成油のブレンドも使用できる。
[配合物]
本発明の組成物は下記成分からなる:
潤滑粘度の油、
少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物、ただし、組成物に使用される全リン量は組成物の全重量に基づいて約0.08重量%以下である(好ましくは、0.06重量%以下である)、
耐摩耗有効量の分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩、および
任意の添加剤。
特に好ましい態様では、本発明の組成物に用いられる任意の一つの添加剤は過塩基性清浄剤である。
これら組成物に用いられる分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩の量は、組成物の全重量に基づいて約0.2乃至約5重量%であることが好ましい(好ましくは、組成物の全重量に基づいて約0.5乃至約2重量%である)。
潤滑粘度の油の量は、組成物の全重量に基づいて組成物の約99重量%までであることが好ましい。
これら組成物は、これらの各成分を適当な量で、均質な組成物が得られるまで単に混合することにより製造される。
以下の添加剤成分は、本発明の組成物に任意に用いることができる成分の幾つかの例である。これら添加剤の例は、本発明を説明するために記されるのであって本発明を限定するものではない:
(1)金属清浄剤:硫化又は未硫化のアルキル又はアルケニルフェネート、アルキル又はアルケニル芳香族スルホネート、多ヒドロキシアルキル又はアルケニル芳香族化合物の硫化又は未硫化金属塩、アルキル又はアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート、硫化又は未硫化のアルキル又はアルケニルナフテネート、アルカノール酸の金属塩、アルキル又はアルケニル多酸の金属塩、およびそれらの化学的および物理的混合物。
金属清浄剤の好ましい部類は過塩基性清浄剤である。過塩基性清浄剤としては、TBNが好ましくは約50以上、より好ましくは約200以上、更に好ましくは約250以上である過塩基性金属系清浄剤が挙げられる。そのような金属系清浄剤の好ましい金属としては、アルカリ及びアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムを挙げることができる。特に好ましい金属としてはカルシウムおよびマグネシウム、特にカルシウムが挙げられる。代表的な過塩基性清浄剤としては、一般にTBNが約550までの過塩基性フェネート、サリチレート及びスルホネートを挙げることができる。
(2)酸化防止剤
(a)フェノール型酸化防止剤:4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチレンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチレンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−アルファ−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、およびビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)−スルフィド。
(b)ジフェニルアミン型酸化防止剤:アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチルアミン、およびアルキル化アルファ−ナフチルアミン。
(c)その他の型:金属ジチオカルバメート(例えば、亜鉛ジチオカルバメート)、およびメチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)。
(3)錆止め添加剤(錆止め剤)
(a)非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、およびポリエチレングリコールモノオレエート。
(b)その他の化合物:ステアリン酸およびその他の脂肪酸、ジカルボン酸、金属石鹸、脂肪酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールの部分カルボン酸エステル、およびリン酸エステル。
(4)抗乳化剤:
アルキルフェノールと酸化エチレンの付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレンソルビタンエステル。
(5)極圧剤(EP剤):
硫化油、硫化ジフェニル、メチルトリクロロステアレート、弗化アルキルポリシロキサン、およびナフテン酸鉛。
(6)摩擦緩和剤:
脂肪アルコール、脂肪酸、アミン、ホウ酸化エステル(ホウ酸化グリセロールモノオレエート等)、およびその他のエステル。
(7)多機能添加剤:
硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデン有機リンジチオエート、オキシモリブデンモノグリセリド、オキシモリブデンジエチレートアミド、アミン−モリブデン錯化合物、および硫黄含有モリブデン錯化合物。
(8)粘度指数向上剤:
ポリメタクリレート型重合体、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水和スチレン−イソプレン共重合体、ポリイソブチレン、および分散剤型粘度指数向上剤。
(9)流動点降下剤:
ポリメチルメタクリレート。
(10)消泡剤:
アルキルメタクリレート重合体、およびジメチルシリコーン重合体。
本発明の組成物は、如何なる液体塩素化パラフィンも含まないことが好ましい。
本発明について、以下の実施例により更に説明するが、これらの実施例は特に有利な方法の態様を示すものである。なお、実施例は本発明を説明するために記されるのであって、それによって本発明が限定されるものではない。
下記の略語は、これら実施例および本明細書の別の箇所で使用するとき下記の意味である。定義されていない場合には、略語は当該分野で認知されている意味である。
cSt = センチストークス
mL = ミリリットル
mm = ミリメータ
MW = 分子量
ppm = 百万分の部
s = 秒
TBN = 全塩基価
VI = 粘度指数
さらに、特に断わらない限りは、下記の%は全て上記組成物の全重量に基づく重量%である。
[比較実施例1]
この比較実施例の目的は、内燃機関を潤滑にするのに用いられる潤滑剤組成物中の公知の耐摩耗剤(ジチオリン酸亜鉛)の量を約50%に減らすことから生じる、内燃機関の摩耗への影響を測定することにある。
つまり、下記の添加剤を用いて二つの完全配合潤滑油組成物を製造した:
コハク酸イミド分散剤(MW2300) 2.9重量%
ホウ酸化コハク酸イミド分散剤(MW1300) 1.8重量%
高過塩基性カルシウムフェネート清浄剤(TBN250) 55ミリモル
ジチオリン酸亜鉛(リン0.0475又は0.095
重量%を与えるのに充分な)
酸化防止剤 1.0重量%
VI向上剤 4.5重量%
消泡剤 5 ppm
流動点降下剤 0.3重量%
各ケースにおいて、組成物の残余は、100℃の動粘度が4.5cStであって5W20油を与えるII種基油からなる基油原料であった。
ジチオリン酸亜鉛として0.0475重量%のリンを含む組成物を、これ以降「0.0475%P」と呼び、そしてジチオリン酸亜鉛として0.095重量%のリンを含む組成物を、これ以降「0.095%P」と呼びことにする。
上記のこれら比較組成物について、
シーケンスIVAエンジン試験にて摩耗性能の試験を行った。シーケンスIVA試験は、頭上カム軸型エンジンのカム軸の丸い突出部の摩耗を防止することに関して潤滑剤の性能を評価するものである。つまり、試験は、頭上動弁装置および移動カム従動子を備えた火花点火エンジンのカム軸の丸い突出部の摩耗を抑制するための、クランクケース油の能力を測定するものである。この試験は、タクシ・キャブ、軽量配達トラックまたは通勤車両のサービスをシュミレーションすることにある。
シーケンスIVA試験法は、1時間サイクル100回を含む100時間試験であり、各サイクルは二つの作動様式又は段階からなる。無鉛の「ハルターマンKA24Eグリーン」燃料を使用する。試験設備は、KA24E日産2.4L水冷燃料噴射式エンジン、四シリンダ直列、頭上カム軸型で、2つの吸気弁とシリンダ当り1つの排気弁があるものである。
この試験の終了時点で、12個のカムの丸い突出部それぞれについて7箇所で断面測定機を用いて測定して、摩耗の最大深さを求める。各突出部の7つの位置全てにおける摩耗の測定値を足し算し、次いで12個の突出部の測定値全てを平均して摩耗結果とする。この結果は試験の第一の評価である。第二の結果としては、カム突出部の先端摩耗とエンジン油パラメータが挙げられる。100時間で使用した油の評価を行う:動粘度、燃料希釈度、および摩耗金属鉄(Fe)と銅(Cu)。合格/不合格の判定基準としては、最大120mmの平均カム摩耗が挙げられる。この試験は現在、ASTM規格標準として考慮されていて、改訂日が2002年1月の草案No.6に従って市販エンジンの試験研究所により実施されている。
このエンジン試験では、摩耗についてカムの丸い突出部から取り除かれた金属をミクロンで測定して、補正無しのACWとして報告する。除去された金属の値が高いことは、油の摩耗特性が不充分であることに相当する。この評価の結果を下記表に示す。
──────────────────────────────
実施例 摩耗量
──────────────────────────────
比較実施例(0.0475%P) 332.3ミクロン
比較実施例(0.095%P) 45.6ミクロン
──────────────────────────────
これらの結果は、組成物中の(ジチオリン酸亜鉛による)リンの量を50%に減らすことによって、摩耗が約7倍に増加することを明らかにしている。
[実施例1]
この実施例の目的は、潤滑剤組成物が分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩を含むとき、組成物に0.08重量%以下のリンを用いて許容可能な摩耗性能が達成されることを明らかにすることにある。
つまり、下記の添加剤を用いて二つの完全配合潤滑油組成物を製造した:
コハク酸イミド分散剤(MW2300) 2.8重量%
低過塩基性カルシウムスルホネート清浄剤 5.5ミリモル
高過塩基性カルシウムフェネート清浄剤 55ミリモル
ジチオリン酸亜鉛(リン0.03又は0.095
重量%を与えるのに充分な)
VI向上剤 9.4重量%
各ケースにおいて、組成物の残余は、100℃の動粘度が10.4cStであってSAE粘度グレード5W30油を与えるII種基油からなる基油原料であった。
これらの組成物は如何なる分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩も含まなかったので、これら組成物を「比較実施例C」(0.03重量%リン)および「比較実施例D」(0.095重量%リン)と呼ぶことにする。
これら組成物が更に、2重量%の分散状の水和ホウ酸カリウム組成物(商品名:OLOA9750、シェブロン・オロナイト(株)製、テキサス州ヒューストン、米国)を含んだこと以外は、上記比較実施例C及びDと同一の更に二つの配合物を製造した。これら組成物は両方とも本発明の組成物であり、実施例2A(0.03重量%リン)及び参考例2B(0.095重量%リン)と呼ぶことにした。
上記の組成物について、
ミニ−トラクションマシン(MTM)ベンチ試験にて摩耗性能の試験を行った。MTMは、PCSインスツルメントにより製作され、そしてピン・オン・ディスク構造で作動して、静止したピン(0.25インチの8620鋼球)で荷重を回転ディスク(32100鋼鉄製)に掛けるものである。条件として荷重25ニュートン、速度500mm/s、および温度150℃を用いた。
このベンチ試験では、摩耗についてピンとディスクの間から取り除かれた金属をミクロンで測定した。除去された金属の値が高いことは、油の摩耗特性が不充分であることに相当する。この評価の結果を下記表に示す。
────────────────────
実施例 摩耗量
────────────────────
比較実施例C 22.7ミクロン
比較実施例D 7.3ミクロン
実施例2A 8.6ミクロン
参考例2B 7.4ミクロン
────────────────────
これらの結果は、分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩無添加では、リンレベル約0.03重量%で重大な摩耗が生じたこと、そして摩耗を7.3ミクロンまで低減するには約3倍のリン量が必要であったことを明らかにしている。さらにこれらの結果は、分散状の水和ホウ酸カリウム組成物2重量%の添加では、リンを0.03重量%しか用いないで許容可能な摩耗結果が達成された(8.6ミクロン)ことを明らかにしている。
以上の記述から、上述した本発明の様々な修正や変更は当該分野の熟練者にとって起こりうることである。添付した特許請求の範囲内となるそのような変更は全て、請求の範囲に包含されるものである。

Claims (17)

  1. 下記の成分を含む内燃機関の潤滑用の潤滑油組成物:
    主要量の潤滑粘度の油、
    少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物、ただし、組成物中の全リンの重量%が組成物の全重量に基づいて0.08重量%以下である、
    および
    潤滑油組成物の全重量を基準として0.5乃至2重量%の分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩。
  2. 組成物中の全リン量が組成物の全重量に基づいて0.05重量%以下である請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 油溶性のリン含有耐摩耗性化合物が、金属ジチオリン酸塩、リン含有エステル、リン酸アミン、ホスフィン酸アミン、硫黄とリンを含有するエステル、酸化ホスフィン、ホスフィン、およびリンアミドからなる群より選ばれる請求項1に記載の潤滑油組成物。
  4. リン含有エステルが、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、および亜ホスフィン酸エステルからなる群より選ばれる請求項3に記載の潤滑油組成物。
  5. 硫黄とリンを含有するエステルが、リンモノチオン酸塩およびリンジチオン酸塩からなる群より選ばれる請求項3に記載の潤滑油組成物。
  6. 油溶性のリン含有耐摩耗性化合物が金属ジチオリン酸塩である請求項に記載の潤滑油組成物。
  7. 金属ジチオリン酸塩がジアルキルジチオリン酸亜鉛である請求項6に記載の潤滑油組成物。
  8. 分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩が、分散状の水和ホウ酸ナトリウムおよび分散状の水和ホウ酸カリウムからなる群より選ばれる請求項1に記載の潤滑油組成物。
  9. 分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩が分散状の水和ホウ酸ナトリウムである請求項8に記載の潤滑油組成物。
  10. 分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩が分散状の水和ホウ酸カリウムである請求項8に記載の潤滑油組成物。
  11. 内燃機関の作動中における摩耗を抑制する方法であって、該方法が、主要量の潤滑粘度の油、少なくとも一種の油溶性のリン含有耐摩耗性化合物、ただし、組成物中の全リンの重量%が組成物の全重量に基づいて0.08重量%以下である、および潤滑油組成物の全重量を基準として0.5乃至2重量%の分散状の水和アルカリ金属ホウ酸塩からなる潤滑剤組成物を用いて、内燃機関を作動させることからなる方法。
  12. 組成物中の全リン量が組成物の全重量に基づいて0.05重量%以下である請求項11に記載の方法。
  13. 油溶性のリン含有耐摩耗性化合物が、金属ジチオリン酸塩、リン含有エステル、リン酸アミン、ホスフィン酸アミン、硫黄とリンを含有するエステル、酸化ホスフィン、ホスフィン、およびリンアミドからなる群より選ばれる請求項11に記載の方法。
  14. リン含有エステルが、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、および亜ホスフィン酸エステルからなる群より選ばれる請求項13に記載の方法。
  15. 硫黄とリンを含有するエステルが、リンモノチオン酸塩およびリンジチオン酸塩からなる群より選ばれる請求項13に記載の方法。
  16. 油溶性のリン含有耐摩耗性化合物が金属ジチオリン酸塩である請求項11に記載の方法。
  17. 金属ジチオリン酸塩がジアルキルジチオリン酸亜鉛である請求項16に記載の方法。
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