JP4460171B2 - 無線位置検出のシステム用の帯域幅の合成 - Google Patents

無線位置検出のシステム用の帯域幅の合成 Download PDF

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Description

【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、1999年1月8日に提出された「無線ロケーション・システム用の較正」と題する米国特許出願第 (弁護士事件記録番号ACOM−0091)の継続出願である。
発明の分野
本発明は、一般的に言って、アナログまたはデジタル・セルラー・システム、パーソナル・コミュニケーション・システム(PCS)、強化特殊移動無線(ESMR)およびその他のタイプの無線通信システムに使用されるものなど無線送信器の位置を突き止めるための方法および装置に関するものである。この分野は、現在一般的に無線ロケーションとして知られており、無線E−9−1−1、車両管理、RF最適化およびその他の貴重な用途を持つ。
発明の背景
本発明に関する初期の作業は、新規の到着時間差(TDOA)技法を使用してセル式無線電話の位置を突き止めるためのシステムを開示する1994年7月5日付の米国特許第5,327,144号「無線ロケーション・システム」において説明されている。’144号特許において開示されたシステムのエンハンスメントは、1997年3月7日付の米国特許第5,608,410号「バースト送信源の位置を突き止めるためのシステム」において開示されている。どちらの特許も本発明の譲受人が所有しており、両方とも参照により本文書に組み込まれる。本発明の発明者は、オリジナルの発明的概念に大幅な強化を加えつづけており、無線ロケーション・システムのコストを大幅に削減しながらこのシステムの正確度をさらに改良するための技法を開発してきた。
【0002】
過去数年間に、セル式電話産業は、無線電話が使用できるエア・インターフェイス・プロトコルの数を増大し、無線または移動電話が動作できる周波数帯域の数を増大し、移動電話を意味する語句の数を拡大して、「パーソナル・コミュニケーション・サービス」、「無線」およびその他を含むまでになった。エア・インターフェイス・プロトコルは、現在、AMPS、N−AMPS、TDMA、CDMA、GSM(登録商標)、TACS、ESMRおよびその他を含んでいる。用語の変化およびエア・インターフェイスの数の増大は、発明者が発見し強化する基本原理および発明を変えるものではない。しかし、現在業界で使用される用語に合わせて、発明者は、今後本文書において説明されるシステムを「無線ロケーション・システム」と呼ぶ。
【0003】
発明者は、本文書において開示される無線ロケーション・システムのテクノロジーの実現可能性並びに価値を立証するためにこのテクノロジーについて広範な実験を行った。例えば、1995年および1996年の数ヶ月間にフィラデルフィアおよびボルチモア市において、大都市環境における多重通路を軽減するためのシステムの能力を確認するためにいくつかの実験が行われた。その後、1996年に、発明者は、ヒューストンにおいてシステムを組み立て、このシステムが、上記のエリアにおけるテクノロジーの有効性および直接E9−1−1とインターフェイスする能力をテストするために使用された。その後、1997年、ニュージャージーの350平方マイルのエリアでこのシステムがテストされ、実際にトラブルに巻き込まれた人からの実際の9−1−1呼び出しの位置を突き止めるために使用された。それ以降、システムのテストは、2,000平方マイルを超える面積をカバーする125のセル・サイトを含むまでに拡大された。これらのテスト中、本文書において論証され開示される技法の有効性がテストされ、さらに開発されて、このシステムは無線電話の位置を突き止めるためにこれまでに提案された他の方法の限界を克服することが立証された。実際、1998年12月現在、生きている9−1−1発呼者の位置を突き止めることのできる他の無線ロケーション・システムは世界の他のどこにも設置されていない。本文書において開示される無線ロケーション・システムの革新は、このシステムの機能についてのメディアの報道の量および受賞により無線業界において認められている。例えば、1997年10月に無線電話企業組合によりこのシステムに有名なワイヤレス・アッピー賞が与えられ、クリストファー・コロンブス研究奨励財団およびディスカバー・マガジンは、無線ロケーション・システムを4,000点のノミネーションのうち1998年の上位4つの革新の1つと認めた。
【0004】
無線ロケーション・システムの価値および重要性は、無線通信業界によって認められている。1996年6月、連邦通信委員会は、2001年10月をデッドラインとして、無線9−1−1発呼者の位置の突き止めに使用するためにロケーション・システムを配備するよう無線通信業界に要求を発した。無線E9−1−1発呼者の位置の突き止めは、応答時間を削減し、命を救い、緊急応答資源の使用を減少するので多額のコスト削減となる。さらに、多くの調査および研究の結果、位置感知の請求書作成、車両管理その他の様々な無線の用途が今後大きな商業的価値を持つという結論が下された。
【0005】
無線通信システムの背景
無線通信システムに使用されるエア・インターフェイス・プロトコルのタイプは多様である。これらのプロトコルは、米国においても国際的にも様々な周波数帯域で使用される。周波数帯域は、無線ロケーション・システムが無線電話の位置を突き止める効力に影響を及ぼさない。
【0006】
全てのエア・インターフェイス・プロトコルは、2つのタイプの「チャネル」を使用する。第一のタイプは、無線電話または送信器に関する情報を搬送するため、通話を開始または終結するためまたはバースト・データを転送するために使用される制御チャネルを含む。例えば、一部のタイプのショート・メッセージ・サービスは、制御チャネルを通じてデータを転送する。エア・インターフェイスごとに、制御チャネルは異なる用語で知られているが、各エア・インターフェイスにおける制御チャネルの使用は同様である。制御チャネルは、一般に言って、無線電話または送信器に関する識別情報を送信に含ませる。
【0007】
第二のタイプは、一般にエア・インターフェイスを通じて音声通信を搬送するために使用される音声チャネルを含む。このチャネルは、制御チャネルを使って通話がセットアップされた後初めて使用される。音声チャネルは、一般に、無線通信システム内の専用資源を使用するのに対して、制御チャネルは共有資源を使用する。この差は、一般に、無線ロケーションのために制御チャネルを使用することを音声チャネルの使用よりコスト効率よくするが、音声チャネルでの定期ロケーションが望ましい用途がいくつかある。音声チャネルは、一般に、送信において無線電話または送信器に関する識別情報を含まない。エア・インターフェイス・プロトコルにおける差異の一部について下に論じる:
【0008】
AMPS−これは、米国においてセル式通信に使用されたオリジナルのエア・インターフェイス・プロトコルである。AMPSシステムにおいては、制御チャネル(RCC)が使用するために別個の専用チャネルが割り当てられる。TIA/EIA規格IS−553Aに従って、各制御チャネル・ブロックは、セルラー・チャネル333または334から始まらなければならないが、ブロックは可変長さとすることができる。米国においては、規約により、AMPS制御チャネル・ブロックは21チャネル幅であるが、26チャネル・ブロックの使用も知られている。逆音声チャネル(RVC)は、制御チャネルに割り当てられていないどのチャネルを占有することもできる。制御チャネル変調は、FSK(周波数偏移キーイング)であるが、音声チャネルはFM(周波数変調)を使って変調される。
【0009】
N−AMPS−このエア・インターフェイスは、AMPSエア・インターフェイス・プロトコルの拡張であり、EIA/TIA規格IS−88において定義されている。制御チャネルは、AMPSの場合と本質的に同じであるが、音声チャネルが異なっている。音声チャネルは、AMPSの場合には30KHzが使用されるのに対して10KHz未満の帯域幅を占有し、変調はFMである。
【0010】
TDMA−このインターフェイスはD−AMPSとしても知られるものであり、EIA/TIA規格IS−136において定義されている。このエア・インターフェイスは、周波数分離および時分離の両方を使用することを特徴とする。制御チャネルはデジタル制御チャネル(DCCH)として知られ、DCCHが使用するために割り当てられるタイムスロットにバーストモードで送信される。確率ブロックの使用に基づいて他に比べてより好ましい周波数割り当てがいくつかあるが、AMPSと異なり、DCCHは、周波数帯域のどこにでも割り当てることができる。音声チャネルは、デジタル・トラフィック・チャネル(DTC)として知られる。DCCHおよびDTCは、同じ周波数割り当てを占有することができるが、ある周波数割り当てにおいて同一のタイムスロット割り当ては占有できない。DCCHおよびDTCは、π/4DQPSK(微分求積位相偏移キーイング)として知られる同一の変調スキームを使用する。セルラー帯域においては、各プロトコルごとの周波数割り当てが分離されている限り、キャリアはAMPSおよびTDMAプロトコルの両方を使用できる。
【0011】
CDMA−このエア・インターフェイスは、EIA/TIA規格IS−95Aにおいて定義されている。このエア・インターフェイスは、周波数分離およびコード分離の両方を使用することを特徴とする。ただし、隣接するセル・サイトが同じ周波数セットを使用する場合があるので、CDMAは、非常に慎重な出力制御も特徴とする。この慎重な出力制御によって、当業者には近遠問題として知られる状況が生じる。この問題は、無線ロケーションのほとんどの方法が適切に機能するのを困難にする。制御チャネルはアクセス・チャネルとして知られ、音声チャネルはトラフィック・チャネルとして知られる。アクセス・チャネルおよびトラフィック・チャネルは同じ周波数帯域を共有することができるが、コードによって分離される。アクセス・チャネルおよびトラフィック・チャネルは、OQPSKとして知られる同一の変調スキームを使用する。
【0012】
GSM−このエア・インターフェイスは、国際規格である移動通信用グローバル・システムによって定められる、TDMAと同様、GSMは、周波数分離および時分離の両方を使用することを特徴とする。チャネル帯域幅は200KHzであり、TDMAに使用される30KHzより広い。制御チャネルは独立型専用制御チャネル(SDCCH)として知られ、SDCCHが使用するために割り当てられるタイムスロットにバーストモードで転送される。SDCCHは、周波数帯域のどこにでも割り当てることができる。音声チャネルはトラフィック・チャネル(TCH)として知られる。SDCCHおよびTCHは同じ周波数割り当てを占有することができるが、ある周波数割り当てにおいて同一のタイムスロット割り当てを占有することはできない。SDCCHおよびTCHは、GMSKとして知られる同一の変調スキームを使用する。
【0013】
本明細書において、エア・インターフェイスの任意の1つに言及することは、特に指定されない限り全てのエア・インターフェイスを意味する。さらに、ある制御チャネルまたは音声チャネルに言及することは、特定のエア・インターフェイスに望ましい用語が何であろうと、全てのタイプの制御チャネルまたは音声チャネルを意味する。最後に、世界中で使用されるエア・インターフェイスのタイプはもっとたくさんあり、本明細書において説明される発明的概念からどのエア・インターフェイスも排除するつもりはない。実際、当業者であれば、他の場所で使用される他のインターフェイスが上に説明したものの派生物または同様のクラスのものであることが分かるだろう。
【0014】
本文書において開示される本発明の望ましい実施態様は、無線電話の位置を突き止めるための他の技法に比べて多くの利点を持っている。例えば、他の技法の一部は、電話へのGPS機能の付加を伴い、そのために電話に大幅な変更を加える必要がある。本文書において開示される望ましい実施態様は、無線電話に変更を加える必要がないので、米国において6500万台および世界で2億5000万台を超える現在の無線電話の設置ベースに接続してこれを使用することができる。
【0015】
発明の概要
従って、本発明の第1の目的は、無線ロケーションシステム(WLS)が非常に正確な到達時間差(TDOA)および到達周波数差(FDOA)測定を行うことができるようにこのシステムを校正するための方法および装置を提供することである。本発明の現在望ましい実施態様においては、セル式無線電話など複数の無線送信器が無線ロケーションシステムの到達領域全体の既知の位置に置かれることにより、計装誤差が校正プロセスによって減少する。これらの電話は、周期的登録またはページ応答など、他の電話と同様の方法で送信を行う。しかし、その位置および任意の対のSCSについての理論上のTDOA値は先験的に既知なので、TLP 12は、特定の対のSCSに関連して行われるTDOA測定の正確な誤差を決定できる。さらに、前記の電話は固定位置にあり、ドップラー偏移はないので、理論上のFDOA値はゼロである。測定誤差があれば、それは各SCSの発振器におけるドリフト、アナログコンポーネント(例えば、アンテナ、ケーブル配線およびフィルタ)の特性の変化および多重通路など環境ファクタによるものであろう。これらの個々の誤差源を大幅に変更しようとすると、システムに付加的な位相雑音を引き起こすことになるので、本発明の外部的な校正の方法は、SCSおよびTLPのデジタル信号処理段階において算定TDOAおよびFDOA値を補正する。これは上記のような位相雑音を引き起こさない。
本発明に従った外部的な校正の方法は、基準送信器から第1の基準信号を送信するステップ、第1および第2の受信器システムにおいて第1の基準信号を受信するステップ、測定TDOA(またはFDOA)値を受信器システムの既知の位置および基準送信器の既知の位置に関連する理論上のTDOA(またはFDOA)値と比較することにより第1の誤差値を決定するステップ、およびロケーションの対象である移動送信器に関するその後のTDOA(またはFDOA)測定値を補正するために第1の誤差値を利用するステップ、を含む。この方法の望ましい実施は、さらに、第2の基準送信器から第2の基準信号を送信するステップ、第1及び第2の受信器システムにおいて第2の基準信号を受信するステップ、第2の測定TDOA(またはFDOA)値を受信器システムの既知の位置および第2の基準送信器の既知の位置に関連する第2の理論上のTDOA(またはFDOA)値と比較することにより第2の誤差値を決定するステップ、およびロケーションの対象である移動送信器に関するその後のTDOA(またはFDOA)測定値を補正するために第1の誤差値と組み合わせて第2の誤差値を利用するステップ、を含む。第1および第2の誤差値は加重平均で結合されることが望ましい。
【0016】
本発明の外部校正態様の現在望ましい実施態様においては、誤差値はロケーションシステムにおいて各基準線についてテーブル形式で記憶される。誤差値は、その後のTDOA測定値を補正するために使用される前に、時系列加重平均法で結合される。また時系列加重平均法は、カルマンフィルタに基づく。誤差値は、その後のTDOA測定の補正に使用される前に品質係数によって加重されることが望ましく、この場合、品質係数は第1の受信器と第2の受信器が受信する基準信号の相互相関関数の出力に基づき、誤差値は、品質係数が定められた閾値を超える場合のみロケーションシステムによって使用される。さらに、望ましい実施態様においては、ロケーションシステムは、誤差値の変化の速度を監視して、較正の速度または校正と校正の間隔を変更して、校正速度が誤差値の変化の速度を上回るようにする。校正速度は、例えば、基準送信器を自動的にページングすることにより制御することができる。
本発明による内部的な校正の方法は、SCS内の第1の受信器システムを校正するために使用されるものであり、第1の受信器システムは時間変動および周波数変動伝達関数を特徴とする。伝達関数は、受信される信号の振幅および位相が第1の受信器システムによってどのように変えられるかを定義し、位置の推定値の正確度は、部分的に受信器システムによって行われる時間測定の正確度に依存する。この発明的方法は、既知の安定した信号特性を持つ内部生成される広帯域信号を第1の受信器システムに送り込むステップ、伝達関数が第1の受信器システムの帯域幅全体で変動する様子の推定値を得るために、生成された広帯域信号を利用するステップ、および第1の受信器システムによって行われる時間および周波数測定に対する第1の伝達関数の変動の影響を軽減するために前記の推定値を利用するステップ、を含む。内部校正に使用される安定した広帯域信号の一例は、櫛形信号として知られるもので、5KHzなど既知の間隔で等振幅の複数の個々の周波数成分によって較正される。
【0017】
本発明の内部的な校正の態様の現在望ましい実施態様においては、伝達関数が第1の受信器システムの帯域幅全体で変動する様子の推定値は、伝達関数の影響を軽減するために使用される前に品質係数によって加重される。品質係数は、内部生成される校正信号と伝達関数を通過した後の同じ信号の相互相関関数の出力に基づく。さらに、アンテナは、内部生成される校正信号の送り込み前にまず受信器システムから隔離される。受信器システムからアンテナを自動的に隔離するために、電気的に制御されるRFリレーが使用されることが望ましい。
本発明のその他の技術特徴および利点については、下記に説明される。
【0018】
好適な実施態様の詳細な説明
無線ロケーションシステムは、セル式、PCSまたはESMRシステムなど無線通信システムの受動オーバーレイとして動作するが、その概念は単にこれらの通信システムのタイプに限定されない。無線通信システムは、一般的に言って、無線送信器およびセルサイトの設計が正確なロケーションを行うために必要な機能性を含まないので、無線装置の位置を突き止めるのに適さない。この用途において正確なロケーションは100から400フィートRMS(二乗平均平方根)の正確度として定義される。この正確度は、既存のセルサイトが達成可能なロケーション正確度(一般的に言ってセルサイトの半径に限定される)と区別される。一般的に、セルサイトは、無線送信器の位置を決定するために相互に協同するように設計またはプログラミングされていない。さらに、セル式およびPCS電話など無線送信器は、低コストになるように設計されているので、一般的言って、ロケート機能が組み込まれていない。無線ロケーションシステムは、セルサイトへの変更はごく僅かで標準無線送信器への変更は全く伴わずに無線通信システムに低コストが加わるよう設計されている。無線ロケーションシステムは送信器を含まないため受動的であり、従って無線通信システムに対してどのような干渉も生じる可能性はない。無線ロケーションシステムは、セルサイトまたはその他の受信位置において自身の専用受信器しか使用しない。
【0019】
無線ロケーションシステムの概要
図1に示される通り、無線ロケーションシステムは、主要な4つの種類のサブシステム、すなわち信号収集システム(SCS)10、TDOAロケーションプロセッサ(TLP)12、アプリケーションプロセッサ(AP)14、およびネットワークオペレーションコンソール(NOC)16を有する。各SCSは、制御チャネルおよび音声チャネルの両方で無線送信器によって送信されるRF信号を受信する役割を持つ。一般的に言って、各SCSは、無線キャリアのセル・サイトに設置され、従って基地局と並列に動作することが望ましい。各TPL12は、SCS 10のネットワークを管理し、ロケーション計算に使用できるデジタル信号処理(DSP)の集中プールを提供する役割を持つ。SCS 10およびTLP 12は、下にさらに詳しく論じる通り、無線送信器の位置を決定するために一緒に動作する。デジタル信号処理は、比較的低コストであり、一定の性能を示し、多くの異なるタスクを処理するために再プログラムが容易なので、無線信号を処理するための望ましい方法である。SCS 10およびTLP 12は両方とも、大量のDSP資源を含んでおり、これらのシステム内のソフトウェアは、処理時間、通信時間、待ち時間およびコストに関する考量に基づいてどこで特定の処理機能を実施すべきかを決定するために動的に動作することができる。各TLP 12は、主に無線ロケーションシステムを実現するための全体コストを抑えるために中央にあるが、本文書で論じられる技法は、図に示される望ましいアーキテクチャに限定されない。すなわち、DSP資源は、開示される基本概念および機能性を変更することなく、無線ロケーションシステム内で再配置することができる。
【0020】
AP 14は、全てのSCS 10およびTLP 12を含めて無線ロケーションシステムの資源全てを管理する役割を持つ。各AP 14は、無線ロケーションシステム用の「トリガ」を含んでいる専用データベースも含んでいる。資源を節約するために、無線ロケーションシステムは、特定の予め決められたタイプの送信の位置のみを突き止めるようプログラムすることができる。予め決められたタイプの送信があると、無線ロケーションシステムはトリガされてロケーション処理を開始する。さもなければ、無線ロケーションシステムを送信を無視するようにプログラムすることができる。各AP14は、多様なアプリケーションが安全に無線ロケーションシステムにアクセスできるようにするアプリケーションインターフェイスも含んでいる。これらのアプリケーションは、例えば、リアルタイムまたは非リアルタイムにロケーション記録にアクセスしたり、特定のタイプのトリガを生成または削除したり、または無線ロケーションシステムに他の動作を行わせることができる。各AP 14は、また、AP 14が多数のロケーション記録を結合して、トラフィック監視またはRF最適化などのアプリケーションに有益な拡張レポートまたは分析を生成できるようにする、ある種の後処理機能も有する。
【0021】
NOC 16は、無線ロケーションシステムのオペレータが無線ロケーションシステムのプログラミングパラメータに容易にアクセスできるようにするネットワーク管理システムである。例えば、都市によっては、無線ロケーションシステムは、数百かあるいは数千ものSCS 10を含むかも知れない。NOCは、グラフィックユーザーインターフェイス機能を使って大規模無線ロケーションシステムを管理するための最も効果的方法である。NOCは、無線ロケーションシステム内の特定の機能が適切に動作しない場合にはリアルタイムの警報も受ける。オペレータはリアルタイムの警報を使用して、補正措置を迅速に講じてロケーションサービスの低下を防ぐことができる。無線ロケーションシステムの試運転の経験から、適正なロケーションの正確度を時間を経ても維持することのできるこのシステムの能力は、予め決められたパラメータの範囲内にシステムの動作を維持するオペレータの能力と直接関係することが明らかである。
【0022】
米国特許第5,327,144号および5,608,410号および本明細書の読者は、それぞれのシステムの類似に気がつくだろう。実際、本文書において開示されるシステムは、上記の特許において開示されるシステムに大いに基づいており、これを大幅に強化したものでもある。例えば、SCS 10は、第5,608,410号特許において説明されるアンテナサイトシステムから拡張され、強化されている。SCS 10は、現在、単一のセルサイトでより多くのアンテナをサポートする能力を持ち、さらに下に説明する通り拡張アンテナの使用をサポートできる。これにより、SCS 10は、現在一般的に使用されているセクタ化セルサイトで動作することができる。SCS10は、転送前に必ず複数のアンテナからのデータを結合する代わりに、1つのセルサイトの複数のアンテナからTLP 12にデータを転送することもできる。さらに、SCS 10は、複数のエアインターフェイスプロトコルをサポートできるので、それにより、SCS 10は、無線キャリアが絶え間なくそのシステムの構成を変えても機能することが可能である。
【0023】
TLP 12は、第5,608,410号特許において開示される中央サイトシステムと類似するが、これも拡張され強化されている。例えば、TLP 12は、スケーラブルに作られているので、各TLP 12が必要とするDSP資源の量を、無線ロケーションシステムのカスタマが必要とする秒当たりのロケーション回数に合わせて適切にスケーリングすることができる。様々な無線ロケーションシステム容量に合わせたスケーリングをサポートするために、TLP 12にはネットワーキングスキームが付加されているので、複数のTLP 12が協同して、無線通信システムネットワークの境界を越えてRFデータを共有することができる。さらに、TLP 12は、特定のロケーションを処理するためにTLP 12がデータを受け取る先のSCS 10およびさらに重要なのは各SCS 10のアンテナを決定するための制御手段を与えられている。以前は、中央サイトシステムが要求するか否かを問わず、アンテナサイト・システムは自動的にデータを中央サイトシステムに送った。さらに、SCS 10およびTLP 12結合は、受信する送信から多重通路を取り除くための付加的手段を備えるよう設計されている。
【0024】
中央サイトシステムのデータベースサブシステムは、拡張され開発されてAP 14になった。AP 14は、複数の無線送信器からの大量のロケーション記録を後処理する能力を含めて、第5,608,410号特許において以前に開示されたより多様なアプリケーションをサポートできる。この後処理されたデータから、例えば、通信システムのRF設計を改良し最適化するために無線キャリアが使用できる非常に効果的なマップを作ることができる。これは、例えば、あるエリアの全ての発呼者の位置および多数のセル・サイトでの受信信号の強さをプロットすることによって可能となる。キャリアは、その後各セル・サイトが実際にキャリアが希望する正確なサービス提供エリアにサービスを提供しているかどうか決定することができる。AP 14は、また、ロケーション記録を匿名ですなわちMINおよび(または)その他のアイデンティティ情報をロケーション記録から取り除いて記憶することができるので、個々のユーザーのプライバシーに関する問題を生じることなく、ロケーション記録をRF最適化またはトラフィック監視に使用することができる。
【0025】
図1Aに示される通り、無線ロケーション・システムの現在望ましい実施は、複数のSCS領域を含んでおり、その各々が複数のSCS 10を含んでいる。例えば、「SCS領域1」は、それぞれのセル・サイトに配置されそのセル・サイトの基地局とアンテナを共有するSCS 10Aおよび10B(および図には示されないその他)を含む。ドロップ&インサート・ユニット11Aおよび11Bは、断片T1/E1ラインを完全T1/E1ラインにインターフェイスするために使用され、完全T1/E1ラインは、デジタル・アクセス&制御システム(DACS)13Aに結合される。DACS 13Aおよび別のDACS 13Bは、SCS 10A、10Bなどと複数のTLP 12A、12Bなどの間の通信のために、下にさらに詳細に説明される方法で使用される。図に示される通り、TLPは、一般に、イーサネット・ネットワーク(バックボーン)および第二の冗長イーサネット・ネットワークを通じて並置され、相互に接続される。また、複数のAP14Aおよび14B、複数のNOC 16Aおよび16B、およびターミナル・サーバ15がイーサネット・ネットワークに結合される。ルータ19Aおよび19Bは1つの無線ロケーション・システムを1つまたはそれ以上の他の無線ロケーション・システムに結合するために使用される。
【0026】
信号収集システム10
一般的に言って、セル・サイトは、以下のアンテナ構成のうち1つを有する:(1)1つまたは2つの受信アンテナを持つ全方向性サイト、または(2)1つ、2つまたは3つのセクタを持ち各セクタにおいて1つまたは2つの受信アンテナが使用されるセクタ化サイト米国においてまた国際的にセル・サイトの数が増大するにつれて、セクタ化セル・サイトが優勢な構成になっている。しかし、マイクロセルおよびピコセルの数も増えており、これらは全方向性である可能性がある。従って、SCS 10は、これらの典型的セル・サイトのどれのためにも構成できるように設計されており、1つのセル・サイトにアンテナをいくつでも採用できるメカニズムを備えている。
【0027】
SCS 10の基本的アーキテクチャ・エレメントは、第5,608,410号特許において説明されるアンテナ・サイト・システムと同じであるが、SCS 10のフレキシビリティを増しシステムの商業的配備コストを削減するために、いくつかのエンハンスメントが加えられている。本文書においては、SCS 10の現在最も望ましい実施態様について説明されている。図2にその概略が示されているSCS 10は、デジタル受信器モジュール10−2Aから10−2Cまで、DSPモジュール10−3Aから10−3Cまで、シリアル・バス10−4、制御&通信モジュール10−5、GPSモジュール10−6、およびクロック配給モジュール10−7を含んでいる。SCS 10は、次の外部接続を有する:電源、断片T1/E1通信、アンテナへのRF接続、およびタイミング生成(またはクロック配給)モジュール10−7のためのGPSアンテナ接続。SCS 10のアーキテクチャおよびパッケージングにより、SCS 10を、物理的にセル・サイトと並置するか(最も一般的な設置場所)、他のタイプのタワー(FM、AM、二方向緊急通信、テレビなど)に配置するか、または他の建物構造(屋上、サイロなど)に配置することが可能である。
【0028】
タイミング生成
無線ロケーション・システムは、ネットワーク内に含まれる全てのSCS 10における正確な時間決定に依存している。これまでの開示においていくつもの異なるタイミング生成システムが説明されてきたが、現在最も望ましい実施態様は、強化GPS受信器10−6を基盤とするものである。強化GPS受信器は、受信器がGPS信号のタイミング不安定性を取り除くアルゴリズムを含んでいる点で伝統的GPS受信器と異なっており、ネットワーク内に含まれる任意の2つのSCS 10が相互に約10ナノ秒の範囲内でタイミング・パルスを受け取ることができるようにする。この強化GPS受信器は現在市販されており、無線ロケーション・システムのこれまでの実現において見られた時間基準関係の誤差の一部をさらに減少する。この強化GPS受信器は非常に正確な時間基準を生成することができるが、受信器の出力はまだ許容できない位相雑音を発する可能性がある。従って、受信器の出力は、位相雑音が0.01度RMS未満で10MHzおよび秒あたり1パルス(1PPS)の基準信号を生成することができる低位相雑音の水晶発振器駆動の位相ロック・ループ回路に入力されて、無線ロケーション・システム・ネットワーク内の任意のSCS 10でのパルス出力は別のSCS 10での他のパルスから10ナノ秒以内にある。このような強化GPS受信器、水晶発振器および位相ロック・ループの組み合わせは、安定した時間および周波数基準信号を低位相雑音で生成するための現在最も望ましい方法である。
【0029】
SCS 10は、同一のセル・サイトに設置された設備を使って複数の周波数帯域および複数のキャリアをサポートするよう設計されている。これは、単一のSCSシャーシ内部の複数の受信器を使用することによりまたは各々別個の受信器を持つ複数のシャーシを使用することにより、可能である。複数のSCSシャーシが同一のセル・サイトに配置される場合、SCS 10は、単一のタイミング生成/クロック配給回路10−7を共有することができるので、システム・コスト全体を削減することができる。タイミング生成回路からの10MHzおよび1PPSの出力信号は、SCS 10内部で増幅され緩衝され、その後外部コネクタを通じて使用可能になる。従って、第二のSCSは、そのタイミングを、緩衝された出力および外部コネクタを使って第一のSCSから受け取ることができる。この信号は、セル・サイトで並置される基地局設備にも利用可能にすることができる。これは、例えば、基地局が無線通信システムの周波数再利用パターンを改良する際に有益かも知れない。
【0030】
受信器モジュール10−2(広帯域の実施態様)
無線送信器が送信を行うと、無線ロケーション・システムは、地理的に分散する複数のセル・サイトに配置される複数のSCS 10で送信を受信しなければならない。従って、各SCS 10は、送信が発せられるどのようなRFチャネルでの送信も受信する能力を有する。さらに、SCS 10は複数のエア・インターフェイス・プロトコルをサポートすることができるので、SCS 10は、複数のタイプのRFチャネルもサポートする。これは、一般に1つのタイプのチャネルしか受信せず各セル・サイトにおいて選択RFチャネルでしか受信できない現在のほとんどの基地局受信器と対照的である。例えば、典型的なTDMA基地局受信器は、30KHzの帯域幅のチャネルしかサポートせず、各受信器は、あまりしばしば周波数を変えない(すなわち、比較的固定した周波数プランがある)単一のチャネルでのみ信号を受信するようプログラムされる。従って、ある所与の周波数の送信を受信するTDMA基地局の受信器は非常に少数となる。別の例として、一部のGSM基地局受信器は周波数ホッピングができるとしても、一般的言って、複数の基地局の受信器が、ロケーション処理を行うために同時に単一の周波数に同調することはできない。事実、GSM基地局の受信器は、混信を最小限に抑えるように、別の送信が使用しているRFチャネルを使用するのを避けるために周波数ホッピングを行うようにプログラムされている。
【0031】
SCS受信器モジュール10−2は、周波数帯域全体およびエア・インターフェイスのRFチャネル全てを受信できる二重広帯域デジタル受信器であることが望ましい。米国のセルラー・システムの場合、単一のキャリアの全てのチャネルまたは両方のキャリアの全てのチャネルを受信できるように、この受信器モジュールは、15MHz帯域幅または25MHz帯域幅である。この受信器モジュールは、特許第5,608,410号において以前に説明された受信器の特徴を多く持っている。図2Aは、現在望ましい実施態様のブロック図である。各受信器モジュールは、RFチューナ・セクション10−2−1、データ・インターフェイス&制御セクション10−2−2、およびアナログ−デジタル変換セクション10−2−3を含んでいる。RFチューナ・セクション10−2−1は、外部コネクタからのアナログRF入力をデジタル化データ・ストリームに変換する2つの完全独立デジタル受信器(チューナ#1およびチューナ#2を含む)を含む。ほとんどの基地局受信器と異なり、SCS受信器モジュールは、ダイバーシティ結合または切換えを行わず、各独立受信器からのデジタル化信号はロケーション処理に利用可能となる。本発明の発明者は、受信器モジュールで結合を行うより各アンテナからの信号を個別に処理するほうが、ロケーション処理特に多重通路軽減処理に有利であると、判断した。
【0032】
受信器モジュール10−2は、以下の機能を行うか、以下の機能を行うエレメントに結合される:自動利得制御(近く強い信号および遠く弱い信号の両方をサポートするため);対象となるRF帯域の範囲外からの潜在的な干渉信号を取り除くための帯域フィルタリング;RF信号と混合してサンプリングできるIF信号を生成するために必要な周波数の合成;ミキシング;およびRF信号をサンプリングし適切な帯域幅およびビット分解能を持つデジタル化データ・ストリームを出力するためのアナログ−デジタル変換(ADC)。周波数シンセサイザは、合成された周波数をクロック配給/タイミング生成モジュール10−7からの10MHz基準信号にロックする(図2)。受信器モジュールに使用される回路は全て、タイミング基準信号の低位相雑音特性を保持する。受信器モジュールは、少なくとも80dBの、スプリアスのない動的範囲を持つ。
【0033】
受信器モジュール10−2は、また、テスト周波数および較正信号を生成するための回路、並びに設置またはトラブルシューティング中技術者が測定を行うためのテスト・ポートも含んでいる。各種較正プロセスについては、下にさらに詳しく説明する。内部生成されるテスト周波数およびテスト・ポートは、エンジニアおよび技術者が受信器モジュールを素早くテストして疑わしい問題を診断するための簡単な方法を提供する。これは、また、特に製造工程中有益である。
【0034】
本文書において説明される無線ロケーション・システムの利点の1つは、セル・サイトに新しいアンテナを全く必要としないことである。無線ロケーション・システムは、全方向アンテナおよびセクタ化アンテナの両方を含めて、ほとんどのセル・サイトにすでに設置されている既存のアンテナを使用することができる。この特徴は、先行技術において説明される他の方法に比べて、無線ロケーション・システムの設置および保守のコストを大幅に節約できることになる。SCSのデジタル受信器10−2は、それぞれ図2Bおよび2Cにおいて示される2つの方法で既存のアンテナに接続できる。図2Bにおいて、SCS受信器10−2は、既存のセル・サイトのマルチカップラまたはRFスプリッタに接続されている。このようにして、SCS 10は、セル・サイトの既存の低雑音前置増幅器、帯域フィルタ、およびマルチカップラまたはRFスプリッタを使用する。このタイプの接続は、通常、SCS 10が単一のキャリアの周波数帯域をサポートするように制限する。例えば、A側セルラー・キャリアは、一般に、B側キャリアのカスタマからの信号をブロックするために帯域フィルタを使用する。またその逆が行われる。
【0035】
図2Cにおいて、セル・サイトの既存のRF経路が中断されて、新しい前置増幅器、帯域フィルタおよびRFスプリッタが、無線ロケーション・システムの一部として追加されている。新しい帯域フィルタは、A側およびB側の両方のセルラー・キャリアなど複数の隣接する周波数帯域を通すので、無線ロケーション・システムは、両方のセルラー・システムを使って、しかし単一のセル・サイトのアンテナを使って、無線送信器の位置を突き止めることができる。この構成においては、無線ロケーション・システムは、各セル・サイトにおいて整合するRFコンポーネントを使用するので、位相対周波数応答が同一である。これは、セル・サイトによって製造者が異なるか異なる型番を使用する場合がある既存のRFコンポーネントと対照的である。無線ロケーション・システムはロケーション処理の誤差源を補正する機能を有するが、RFコンポーネントの応答特性を整合させることにより、可能な誤差源が減少する。最後に、無線ロケーション・システムと一緒に設置される新しい前置増幅器は非常に低い雑音値を持ち、セル・サイトのSCS 10の感度を改良する。SCSデジタル受信器10−2の全体雑音値は、低雑音増幅器の雑音値によって左右される。無線ロケーション・システムはロケーション処理において弱い信号を使用することができ、基地局は一般に弱い信号を処理できないので、無線ロケーション・システムは高品質の非常に低雑音の増幅器の恩恵を大いに受けることができる。
【0036】
無線ロケーション・システムが無線送信についてTDOAを正確に決定する能力を改良するために、セル・サイトのRFコンポーネントの位相対周波数応答は、設置時に決定され、他の特定の時点で更新され、その後無線ロケーション・システムのテーブルに記憶される。このことは、例えば一部の製造者が作る帯域フィルタおよび(または)マルチカップラは帯域のエッジ付近で急勾配の非線形の位相対周波数応答を持つので、重要となりうる。帯域のエッジが逆制御または音声チャネルに非常に近いかこれと一致する場合、無線ロケーション・システムは、記憶される特性を使って測定を補正しなければ、送信される信号の位相特性を不正確に測定することになるだろう。キャリアが複数の製造者のマルチカップラおよび(または)帯域フィルタを設置している場合、各サイトの特性が異なる可能性があるので、このことはさらに重要になる。位相対周波数応答を測定する他に、他の環境ファクタがADC以前にRF経路の変化を生じるかも知れない。このファクタのため、SCS 10において随時のときには定期的な較正が必要となる。
【0037】
受信器モジュール10−2の狭帯域の代替実施態様
広帯域受信器モジュールに加えてまたはその代替として、SCS 10は、受信器モジュール10−2の狭帯域実施態様もサポートする。無線通信システムが使用するRFチャネル全てを同時に受信できる広帯域受信器モジュールと対照的に、狭帯域受信器は、1回に1つまたは少数のRFチャネルしか受信できない。例えば、SCS 10は、2つの隣接する30KHzチャネルをカバーするAMPS/TDMAシステム用の60KHz狭帯域受信器をサポートする。この受信器は、広帯域モジュールについて説明したのと同様デジタル受信器であるが、受信器モジュールをコマンドに応じて様々なRFチャネルに動的に同調するために周波数合成および混合回路が使用される。この動的同調は、一般に、1ミリ秒以下で行うことができ、受信器は、ロケーション処理のためにRFデータを受け取りデジタル化する必要がある限り、特定のRFチャネルにとどまることができる。
【0038】
狭帯域受信器の目的は、広帯域受信器の場合にかかるコストから無線ロケーション・システムの実現コストを下げることである。当然、ある程度の性能は失われるが、複数の受信器が利用可能なので、無線キャリアはより多くのコスト/性能の選択肢を持つことができる。無線ロケーション・システムには、この新しいタイプの狭帯域受信器をサポートするために付加的な発明的機能およびエンハンスメントが加えられている。広帯域受信器が使用されているとき全てのRFチャネルは全てのSCS 10において連続的に受信され、送信後、無線ロケーション・システムは、DSP 10−3(図2)を使って、デジタル・メモリから任意のRFチャネルを動的に選択することができる。狭帯域受信器の場合、無線ロケーション・システムは、先験的に、複数のセル・サイトの狭帯域受信器が同時に同一のRFチャネルに同調されて、全ての受信器が同時に同一の無線送信を受信し、デジタル化し、記憶することができるようにしなければならない。このため、狭帯域受信器は、一般的にいって、音声チャネル送信の位置を突き止めるためにだけ使用される。音声チャネル送信は、先験的に送信を行っていることを知ることができる。制御チャネル送信は任意の時点に非同期的に生じる可能性があるので、送信を受けるために狭帯域受信器を正確なチャネルに同調できない可能性がある。
【0039】
狭帯域受信器がAMPS音声チャネル送信の位置を突き止めるために使用される場合、無線ロケーション・システムは、ロケーション処理を助けるために一時的にAMPS無線送信器の変調特性を変える能力を有する。AMPS音声チャネルはSATとして知られる低レベル監視トーンを追加しない限りFM変調されないので、上記の通り変調特性を変える能力が必要な場合がある。技術上既知の通り、AMPS FM変調のCramer−Rao下界は、音声チャネルのおける「ブランク・アンド・バースト」送信およびAMPS逆チャネルに使用されるマンチェスター・コード化FSK変調よりかなり悪い。さらに、AMPS無線送信器は、変調入力信号がなければ(すなわち、誰も話していなければ)大幅にエネルギーを削減して送信できる。入力変調信号の存在または振幅に依存することなく変調特性を改良することにより位置推定値を改良するために、無線ロケーション・システムは、複数のSCS 10の狭帯域受信器がメッセージが送られるRFチャネルに同調される時点でAMPS無線送信器が「ブランク・アンド・バースト」メッセージを送信するようにすることができる。これについては、後でさらに説明する。
【0040】
無線ロケーション・システムは、狭帯域受信器モジュールを使用する場合、以下のステップを実施する(図2C−1のフローチャートを参照のこと):
第一の無線送信器は先験的に特定のRFチャネルでの送信に関わる;
無線ロケーション・システムは、第一の無線送信器の位置推定をトリガする(トリガは、内部的にまたはコマンド/応答インターフェイスを通じて外部的に生じる);
無線ロケーション・システムは、現在第一の無線送信器が使用中のセル・サイト、セクタ、RFチャネル、タイムスロット、ロング・コード・マスク、および暗号化キー(全てのインターフェイス・プロトコルのために全ての情報エレメントが必要であるとは限らない)を決定する;
【0041】
無線ロケーション・システムは、適切な第一のSCS 10の適切な第一の狭帯域受信器を指定されるセル・サイトおよびセクタのRFチャネルおよびタイムスロットに同調する。ここで、適切とは一般に利用可能でかつ並置されるまたは近接することを意味する;
第一のSCS 10は、一般には数マイクロ秒から数十ミリ秒のRFデータのタイム・セグメントを第一の狭帯域受信器から受け取り、送信の出力、SNRおよび変調特性を評価する;
送信の出力またはSNRが予め決められた閾値より低い場合、無線ロケーション・システムは、予め決められた長さの時間待った後、上記の第三のステップ(無線ロケーション・システムがセル・サイト、セクタなどを決定するステップ)に戻る;
【0042】
送信がAMPS音声チャネル送信であり、変調が閾値より低い場合、無線ロケーション・システムは、第一の無線送信器において「ブランク・アンド・バースト」を生じるために第一の無線送信器にコマンドを送るよう無線通信システムに命じる;
無線ロケーション・システムは、予め決められた長さの時間無線送信器を別のRFチャネルにハンドオフするのを防ぐよう、無線通信システムに要求する;
無線ロケーション・システムは、第一の無線送信器がハンドオフを防止される時間的長さおよび命じられる場合には無線通信システムが「ブランク・アンド・バースト」を生じるために第一の無線送信器にコマンドを送る時間的長さを指示する無線通信システムからの応答を受け取る;
【0043】
無線ロケーション・システムは、ロケーション処理に使用されるアンテナのリストを決定する(アンテナ選択プロセスについては下に説明する);
無線ロケーション・システムは、選択されたアンテナに接続される狭帯域受信器が第一の無線送信器が現在使用中のRFチャネルからのRFデータを同時に収集し始めるために使用可能となる時点である初期無線ロケーション・システム・タイムスタンプを決定する;
初期無線ロケーション・システム・タイムスタンプおよび無線通信システムからの応答の時間的長さに基づいて、無線ロケーション・システムは、ロケーション処理に使用されるアンテナに接続される狭帯域受信器に、現在第一の無線送信が使用中のセル・サイト、セクタおよびRFチャネルに同調し、予め決められた滞留時間(信号の帯域幅、SBRおよび積分要件に基づき)RFデータを受け取るよう命じる;
【0044】
狭帯域受信器が受け取ったRFデータは、デュアル・ポート・メモリに書き込まれる;
受け取ったRFデータについてのロケーション処理は、特許第5,327,144号および5,608,410号および下の節において説明されるとおりに始まる;
無線ロケーション・システムは、再び、第一の無線送信器が現在使用中のセル・サイト、セクタ、RFチャネル、タイムスロット、ロング・コード・マスク、および暗号化キーを決定する;
第一の無線送信器が現在使用中のセル・サイト、RFチャネル、タイムスロット、ロング・コード・マスクおよび暗号化キーが問い合わせ中に(すなわちRFデータ収集の前後に)変わった場合、無線ロケーション・システムは、ロケーション処理を中止し、RFデータ受信時間中に無線送信器が送信状態を変えたためロケーション処理が失敗したという警告メッセージを発し、このプロセス全体を再トリガする;
受け取ったRFデータに関するロケーション処理は、下に説明するステップに従って完了する。
【0045】
セルサイト(cell site)、セクタ、RFチャネル、タイムスロット、ロングコードマスク(long code mask)、暗号化キーを含む情報要素(全ての情報要素がエアーインタフェースプロトコル(air interface protocol)にとって必要というわけではない)の決定は、通常は、無線ロケーションシステムと無線通信システムとの間のコマンド/応答インタフェースを経由して無線ロケーションシステムによって行われる。
【0046】
上述の仕方での狭帯域受信機の使用はランダムチューニングとして知られているが、これは、この受信機がシステムからのコマンドにしたがって任意のRFチャネルに向けられるからである。ランダムチューニングの利点の1つは、無線ロケーションシステムがトリガされる無線送信機だけに関してロケーション処理が行われるということである。ランダムチューニングの欠点の1つが、無線通信システムと無線ロケーションシステムとの間のインタフェースと、システム全体にわたって必要な受信機をスケジュール設定する際の待ち時間とを含む様々な同期化因子が、総ロケーション処理スループットを制限する可能性があるということである。例えば、TDMAシステムでは、無線ロケーションシステム全体において使用されるランダムチューニングは、通常は、ロケーション処理スループットをセルサイトセクタ1つ当たり毎秒約2.5個の位置に制限することになるだろう。
【0047】
したがって、狭帯域受信機は、より高いスループットでロケーション処理を行うことが可能な、自動順次チューニングとして知られている別のモードもサポートする。例えば、TDMAシステムでは、上述の狭帯域受信機動作の場合に類似した休止時間とセットアップ時間とに関する仮定条件を使用する場合に、順次チューニングは、セルサイトセクタ1つ当たり毎秒約41個の位置というロケーション処理スループットを実現することが可能であり、このことは、395個のTDMA RFチャネルすべてが約9秒間で処理されることが可能なことを意味する。この増大した速度は、例えば同時に受信できる2つの連続したRFチャネルを使用することと、RFチャネルにおいて3つのTDMAタイムスロットすべてをロケーション処理することと、無線通信システムとの同期化の必要性を排除することとによって、実現されることが可能である。無線ロケーションシステムが順次チューニングのために狭帯域受信機を使用している時には、その無線ロケーションシステムは無線送信機の識別情報に関する知識を持たないが、これは、その無線ロケーションシステムがトリガを待っておらず、かつ、送信を受信する前に無線通信システムに識別情報を問い合わせないからである。この方法では、無線ロケーションシステムは各々のセルサイトとRFチャネルとタイムスロットとを順番付け、ロケーション処理を実行し、タイムスタンプとセルサイトとRFチャネルとタイムスロットとロケーションとを識別する位置レコードを報告する。
【0048】
位置レコードの報告の後に、無線ロケーションシステムと無線通信システムは、どの無線送信機がその時点で使用中であったかということと、どのセルサイトと、どのRFチャネルと、どのタイムスロットとが各無線送信機によって使用されたかということとを示す無線通信システムのデータに位置レコードを突き合わせる。その次に、無線ロケーションシステムは、対象である無線送信機に関する位置レコードを保持し、その他の無線送信機に関する位置レコードを放棄することが可能である。
【0049】
ディジタル信号プロセッサモジュール10−3
SCSディジタル受信機モジュール10−2は、特定の帯域幅とビット分解を有するディジタル化されたRFデータストリームを出力する。例えば、15MHzの広帯域受信機の具体例は、サンプル1つ当たり14ビット分解で、毎秒6000万個のサンプルを含むデータストリームを出力することができる。このRFデータストリームは、無線通信システムによって使用されるRFチャネルのすべてを含むだろう。DSPモジュール10−3はディジタル化データストリームを受け取って、ディジタルミキシングおよびフィルタリングによって任意の個別のRFチャネルを抽出することが可能である。さらに、DSPは、SCS 10とTLP 12との間の帯域幅要件を低減させることが必要な場合に、無線ロケーションシステムからのコマンドに基づいてビット分解を低減させることも可能である。無線ロケーションシステムは、各ロケーションに関する処理要件に基づいて、ディジタル化されたベースバンドRFデータを転送する際のビット分解を動的に選択することが可能である。DSPは、アナログ構成部品を使用してミキシングとフィルタリングとを行う結果として生じる可能性があるシステミック誤差を低減させるために、これらの機能のために使用される。DSPの使用は、任意の2つのSCS 10の間の処理における完全な整合を可能にする。
【0050】
DSPモジュール10−3のブロック図を図2Dに示し、このDSPモジュールの動作を図2Eの流れ図によって示す。図2Dに示すように、DSPモジュール10−3は、次の構成部品を含み、すなわち、一括して「第1の」DSPと呼ぶ1対のDSP素子10−3−1A、10−3−1Bと、直並列変換器10−3−2と、デュアルポートメモリ素子10−3−3と、第2のDSP 10−3−4と、並直列変換器と、FIFOバッファと、検出のためのDSP 10−3−5(RAMを含む)と、復調のための別のDSP 10−3−6と、正規化と制御のための別のDSP 10−3−7と、アドレスジェネレータ10−3−8とを含む。現時点で好ましい実施形態では、DSPモジュール10−3は広帯域ディジタル化データストリームを受信し(図2E、ステップS1)、第1のDSP(10−3−1A、10−3−1B)を使用してチャネルのブロックを抽出する(ステップS2)。例えば、ディジタルドロップ受信機として動作するようにプログラムされている第1のDSPが、少なくとも1.25MHzの帯域幅を各ブロックが含む4つのチャネルブロックを抽出することが可能である。この帯域幅は、42個のAMPSまたはTDMAチャネル、6個のGSMチャネル、または、1個のCDMAチャネルを含むことが可能である。このDSPは、広帯域ディジタル化データストリームの帯域幅内で任意のセットのRFチャネルに個別にディジタル的に同調することが可能なので、チャネルブロックが連続していることを必要としない。さらに、このDSPは、ブロック内の全てまたは任意のチャネルに対して広帯域または狭帯域のエネルギー検出を行うことと、チャネル毎の電力レベルをTLP 12に報告することが可能である(ステップS3)。例えば、10ms毎に、DSPは、広帯域エネルギー検出を行って、全受信機に関して全チャネルのRFスペクトルマップを作成することが可能である(ステップS9)。このスペクトルマップは、SCS 10とTLP 12とを接続する通信リンクを経由して10ms毎にSCS 10からTLP 12に送られることが可能なので、大きなデータオーバヘッドが存在する可能性がある。したがって、DSPは、有限個のレベルにデータを圧伸(companding)することによってデータオーバヘッドを低減させる。通常は、例えば、84 dBのダイナミックレンジは14ビットを必要とする可能性がある。
【0051】
DSPによって実施されるこの圧伸プロセスでは、データが、例えば、TLP 12に送るための16個の重要なRFスペクトルレベルを選択することによって、たった4ビットに圧縮される。レベル数の選択と、したがって、ビット数の選択と、レベルの表現の選択とが、無線ロケーションシステムによって自動的に調整されることが可能である。こうした調整は、TLP 12に送られるRFスペクトルメッセージの情報値を最大化するために、および、SCS 10とTLP 12の間の通信リンク上で使用可能な帯域幅の使用を最適化するために行われる。
【0052】
変換後に、RFチャネルの各ブロック(各々に少なくとも1.25MHz)が直並列変換器10−3−2を通過させられ、その次にデュアルポートメモリ10−3−3内に記憶される(ステップS4)。このディジタルメモリは循環メモリであり、このことは、DSPモジュールが第1のメモリアドレスの中にデータを書き込み始めて、最後のメモリアドレスに達するまで逐次的に書き込み続けるということを意味する。最後のメモリアドレスに達すると、DSPは第1のメモリアドレスに戻り、データをメモリの中に逐次的に書き込み続ける。各DSPモジュールは、典型的には、ロケーション処理における待ち時間と待合わせ時間とをサポートするために、RFチャネルの各ブロックに関する数秒分のデータを記憶するのに十分なメモリを含む。
【0053】
このDSPモジュールでは、ディジタル化され変換されたRFデータがメモリに書き込まれる際のメモリアドレスは、無線ロケーションシステム全体にわたって使用されかつロケーション処理がTDOAを決定する際に参照するタイムスタンプである。このタイムスタンプが無線ロケーションシステムにおいて各SCS 10で整合させられることを確実にするために、アドレスジェネレータ10−3−8は、タイミング発生/クロック配給モジュール10−7から毎秒1パルスの信号を受け取る(図2)。周期的に、無線ロケーションシステム内の全SCS 10のアドレスジェネレータはそれ自体を既知のアドレスに同時にリセットする。このことは、各ディジタル化データ要素に関してタイムスタンプの記録において蓄積されたタイミング誤差をロケーション処理が低減させるか排除することを可能にする。
【0054】
アドレスジェネレータ10−3−8はデュアルポートディジタルメモリ10−3−3に対する書き込みと読み取りの両方を制御する。ADCがRF信号を連続的にサンプリングおよびディジタル化し、第1のDSP(10−3−1Aと10−3−1B)がディジタルドロップ受信機機能を連続的に果たすので、書き込みが連続的に生じる。しかし、無線ロケーションシステムが復調とロケーション処理とを行うためにデータを要求するので、読み取りはバーストで生じる。無線ロケーションシステムは、単一の送信においてさえロケーション処理を反復的に行うことがあり、したがって同一のデータに何度もアクセスすることを必要とする。無線ロケーションシステムの様々な要求を満たすために、アドレスジェネレータは、書き込みが生じる速度よりも早い速度でデュアルポートディジタルメモリが読み取られることを可能にする。典型的には、読み取りは書き込みよりも8倍早く行われることが可能である。
【0055】
DSPモジュール10−3は、ディジタルメモリ10−3−3からデータを読み取るために第2のDSP 10−3−4を使用し、その次に、RFチャネルブロックからベースバンドデータを抽出するために第2のディジタルドロップ受信機の機能を果たす。例えば、第2のDSPが、ディジタル化されてメモリ内に記憶されているRFチャネルの任意のブロックから任意の単一の30KHzのAMPSまたはTDMAを抽出することが可能である。同様に、第2のDSPは任意の単一のGSMチャネルを抽出することが可能である。チャネル帯域幅が記憶されたRFデータの全帯域幅を占めるので、CDMAチャネルを抽出するためにはこの第2のDSPは必要ない。第1のDSP 10−3−1A、10−3−1Bと第2のDSP 10−3−4との組合せが、DSPモジュールが無線ロケーションシステムにおける任意の単一のRFチャネルを選択し、記憶し、回復することを可能にする。DSPモジュールは典型的には4つのチャネルブロックを記憶するだろう。
【0056】
デュアルモードAMPS/TDMAシステムでは、単一のDSPモジュールが、42個までのアナログ逆制御チャネルと、84個までのディジタル制御チャネルとを連続的にかつ同時に監視することが可能であり、さらには、あらゆる音声チャネル送信を監視し位置発見するタスクを課せられることが可能である。典型的には、単一のSCSシャーシが、2つのアンテナ各々の3つのセクタをカバーするように3つまでの受信機モジュール10−2をサポートし(図2)、および、9つまでのDSPモジュールをサポートする(受信機1個当たり3つのDSPモジュールが、15MHz帯域幅全体が同時にディジタルメモリ内に記憶されることを可能にする)。こうして、SCS 10は、あらゆるタイプのセルサイト構成と処理負荷とに適合するように容易に拡大縮小されることが可能な高度にモジュール方式のシステムである。
【0057】
DSPモジュール10−3は、各セクタで使用される稼働中のチャネルの自動検出(ステップS6)と、復調(ステップS7)と、局ベースのロケーション処理(ステップS8)とを含む他の機能をも果たす。無線ロケーションシステムは、無線通信システムにおけるRFチャネルの使用のアクティブマップ(active map)を維持し(ステップS9)、このことは、無線ロケーションシステムが受信機と処理リソースとを管理して、対象である特定の送信が生じた時に処理を迅速に開始させることを可能にする。このアクティブマップは、SCS 10に割り当てられている1次チャネルとこれらのチャネルで使用されるプロトコルとをそのSCS 10に接続された各アンテナ毎にリストする、無線ロケーションシステム内に維持されたテーブルを含む。1次チャネルとは、無線送信機との通信のために基地局が使用する、配置されたまたは付近の基地局に割り当てられたRF制御チャネルである。例えば、セクタに区切られたセルサイトを伴う典型的なセルラーシステムでは、各セクタでの使用のために割り当てられた1つのRF制御チャネル周波数が存在するだろう。こうした制御チャネル周波数は、典型的には、配置されたSCS 10のための1次チャネルとして割り当てられるだろう。
【0058】
他のSCS 10も同じ割当て1次チャネルを有する場合にさえ、同じSCS 10が、他の付近の基地局のRF制御チャネルを1次チャネルとして監視するために割り当てられてもよい。こうして、無線ロケーションシステムは、任意の特定の無線送信が無限小の紛失の確率を有することを確実にするシステム復調冗長性を実現する。この復調冗長性という特徴が使用される場合には、無線ロケーションシステムは、2つ以上のSCS 10において2回以上の回数にわたって同一の無線送信を受け取り、検出し、復調するだろう。無線ロケーションシステムは、この多重復調が生じた時点を検出してロケーション処理を1回だけトリガするための手段を含む。この機能は、さらに詳細に後述するように、無線ロケーションシステムの処理および通信リソースを保全する。SCS 10と共に配置されていないセルサイトで生じる無線送信を単一のSCS 10が検出し復調するというこの能力は、無線ロケーションシステムのオペレータが、効率がより高い無線ロケーションシステムネットワークを配備することを可能にする。例えば、無線ロケーションシステムは、無線通信システムが基地局を有する場合よりも著しく少ないSCS 10をその無線ロケーションシステムが使用するように設計されてもよい。
【0059】
この無線ロケーションシステムでは、直接プログラミングと自動検出という2つの方法を使用して、1次チャネルがテーブルの中に入力されて維持される。直接プログラミングは、ネットワーク操作コンソール(network operations console)16(図1)のような無線ロケーションシステムのユーザインタフェースの1つを使用して、または、無線ロケーションシステムから無線通信システムインタフェースへのチャネル割当てデータを受け取ることによって、テーブルの中に1次チャネルデータを入力することを含む。あるいは、DSPモジュール10−3は自動検出として知られているバックグラウンドプロセスも実行し、このプロセスでは、DSPは、発生の可能性がある様々なRFチャネル上の送信を検出して有望なプロトコルを使用してこの送信の復調を試みるために、予備のまたはスケジュール設定された処理容量を使用する。その次に、DSPモジュールは、直接プログラミングされた1次チャネルが適正であることを確認することが可能であり、さらには、基地局でチャネルに対して行われた変更を迅速に検出して、無線ロケーションシステムのオペレータに警報を送ることが可能である。
【0060】
DSPモジュールは自動検出において下記の諸ステップを行う(図2E−1を参照されたい)。
SCS 10のサービスエリア内で使用されてよい起こり得る制御および/または音声チャネルの各々に関して、ペグカウンタ(peg counter)が設定され(ステップS7−1)、
検出期間の開始時に、全ペグカウンタがゼロにリセットされ(ステップS7−2)、
特定のRFチャネルで送信が生じ、かつ、受信した電力レベルが特定のプリセット閾値を上回る毎に、そのRFチャネルに関するペグカウンタが増分され(ステップS7−3)、
特定のRFチャネルで送信が生じ、かつ、受信した電力レベルが第2の特定のプリセット閾値を上回る毎に、DSPモジュールが、第1の好ましいプロトコルを使用して送信の特定の部分の復調が試みられる(ステップS7−4)。
【0061】
復調が成功した場合には、そのチャネルに関する第2のペグカウンタが増分され(ステップS7−5)、
復調に失敗した場合には、DSPモジュールが第2の好ましいプロトコルを使用して送信の一部分の復調が試みられ(ステップS7−6)、
復調が成功した場合には、そのチャネルに関する第3のペグカウンタが増分され(ステップS7−7)、
検出期間の終了時に、無線ロケーションシステムが全ペグカウンタが読み取られ(ステップS7−8)、
無線ロケーションシステムがペグカウンタに基づいて1次チャネルが自動的に割り当てられる(ステップS7−9)。
【0062】
無線ロケーションシステムのオペレータは、ペグカウンタと1次チャネルの自動割当てと復調プロトコルとを調べて、自動的に行われたすべての設定を無効にすることが可能である。さらに、3つ以上の好ましいプロトコルが無線通信事業者によって使用されてもよい場合には、追加のプロトコルを検出するためにDSPモジュール10−3にソフトウェアがダウンロードされることが可能である。広帯域受信機10−2とDSPモジュール10−3とダウンロード可能なソフトウェアとに基づいたSCS 10のアーキテクチャが、無線ロケーションシステムが単一のシステムにおいて複数のプロトコルをサポートすることを可能にする。単一のシステムにおいて複数のプロトコルをサポートすることは、セルサイトにおいて単一のSCS 10しか必要ないので、コスト上の大きな利点がある。このことは、異なった変調プロトコルのために異なったトランシーバモジュールを必要とすることがある多くの基地局アーキテクチャとは対照的である。例えば、SCS 10は同一のSCS 10において同時にAMPSとTDMAとCDMAとをサポートすることが可能であるが、現時点でこの機能性をサポート可能である基地局は存在しない。
【0063】
複数のプロトコルを検出して復調するという能力は、さらに、特定のエアインタフェースプロトコルによって送信されるメッセージにおける認証の使用を個別に検出する能力を含む。無線送信機における認証フィールドの使用は、無線通信システムにおける不正行為の発生を低減させるための手段として、この数年において普及し始めた。しかし、無線通信機のすべてが認証を実現しているわけではない。認証が使用される時には、一般的に、プロトコルが送信メッセージの中に追加のフィールドを挿入する。このフィールドは、無線送信機の識別情報と送信メッセージ内のダイヤル呼出数字との間に挿入されることが多い。無線送信を復調する時には、無線ロケーションシステムは、送信されるメッセージの中のフィールドの数と、メッセージタイプ(すなわち、登録、発信、ページ応答等)とを求める。無線ロケーションシステムはすべてのフィールドを復調し、余分なフィールドが存在するように見える場合には、送信されるメッセージのタイプを考慮し、その次に、無線ロケーションシステムはトリガ条件に関してすべてのフィールドを検査する。例えば、ダイヤル呼出数字「911」がフィールド内の適正な場所に現れ、かつ、そのフィールドが認証を伴わないその適正な場所または認証を伴うその適正な場所に位置している場合には、無線ロケーションシステムは正常にトリガする。
【0064】
この例では、数字「911」が、他の数字が前後に付かないシーケンス「911」または「*911」として現れることが必要だろう。この機能性が、認証フィールドの一部分として現れる数字「911」によって引き起こされる誤ったトリガを減少させるか取り除く。
【0065】
無線発呼者が「911」をダイヤル呼出し終わった時にロケーション処理が迅速にトリガされなければならないので、複数の復調プロトコルをサポートすることは、無線ロケーションシステムが適切に動作するために重要である。無線ロケーションシステムは2つの方法を使用してロケーション処理をトリガすることが可能であり、すなわち、無線ロケーションシステムは、制御チャネル送信を個別に復調し、ダイヤル呼出数字のような任意の数の基準を使用してロケーション処理をトリガするか、または、無線ロケーションシステムは、通信事業者の無線通信システムのような外部ソースからトリガを受け取ってもよい。本発明者は、SCS 10による個別の変調が、無線ユーザが無線送信機上の「送信」ボタンまたは「通話」(または類似の)ボタンを押す瞬間から測定した場合に、最も早い時間でトリガを引き起こすことを結果的にもたらすということを発見している。
【0066】
制御および通信モジュール10−5
図2Fに示す制御および通信モジュール10−5が、データバッファ10−5−1と、コントローラ10−5−2と、メモリ10−5−3と、CPU 10−5−4と、T1/E1通信チップ10−5−5とを含む。このモジュールは、特許第5,608,410号にすでに開示されている多くの特徴を有する。この実施形態では幾つかの強化策が加えられている。例えば、SCS 10は、制御および通信モジュール上のCPUがそのプログラムされたソフトウェアを実行することを停止する場合にさえ、自動遠隔リセット能力を含む。この能力は、SCS 10が正常に動作しなくなった場合に技術者がSCS 10をリセットするためにセルサイトに行くことを不要にするので、無線ロケーションシステムの稼働コストを低減させることが可能である。自動遠隔リセット回路が、特定のビットシーケンスに関してSCS 10とTLP 12の間の通信インタフェースを監視することによって動作する。このビットシーケンスは、SCS 10とTLP 12の間の正常な通信の最中には生じないシーケンスである。
【0067】
例えば、このシーケンスは、すべて「1」のパターンから成ってもよい。リセット回路はCPUとは無関係に動作し、したがって、CPUがロック状態または他の非動作状態になっている場合でさえ、このリセット回路は依然としてSCS 10のリセットを実現してCPUを動作状態に戻すことが可能である。
【0068】
このモジュールは、SCS 10の性能を監視または診断する際に使用される様々な統計値と変数とを記録して報告する能力をも有する。例えば、SCS 10は、SCS 10内の各DSPまたは他のプロセッサの容量使用率と、SCS 10とTLP 12の間の通信インタフェースとを監視することが可能である。これらの値はAP 14とNOC 16に定期的に報告され、追加の処理と通信リソースとが何時システムで必要となるかを判定するために使用される。例えば、何らかのリソースがプリセットされた閾値を一貫して上回っているかどうかをオペレータに知らせるように、警報閾値がNOCにおいて設定されてもよい。さらに、SCS 10は、送信が適切に復調された回数と、復調の失敗の回数とを監視することも可能である。これは、復調のための信号閾値が最適に設定されているかどうかをオペレータが調べることを可能にする上で有益である。
【0069】
このモジュールと、その他のモジュールは、TLP 12にその識別情報を自己報告することも可能である。後述するように、多くのSCS 10が単一のTLP 12に接続されることが可能である。典型的には、SCS 10とTLP 12の間の通信が基地局とMSCの間の通信と共有される。どのSCS 10が特定の回路に割り当てられているかを迅速に正確に判定することが困難である場合が多い。したがって、SCS 10は、設置時点で記録されているハードコード化(hard coded)された識別情報を含む。この識別情報は、どのSCS 10が通信事業者によって幾つかの異なった通信回路の各々に割り当てられているかを明確に確定するために、TLP 12によって読み出されて検査されることが可能である。
【0070】
SCS対TLPの通信は、コマンドおよび応答、ソフトウェアダウンロード、状態および心拍(heartbeat)、パラメータダウンロード、診断、スペクトルデータ、位相データ、1次チャネル復調、並びに、RFデータを含む様々なメッセージをサポートする。この通信プロトコルは、プロトコルのオーバヘッドを最小限にすることによって無線ロケーションシステムの動作を最適化するように設計されており、このプロトコルはメッセージ優先順位処理方式を含む。各メッセージタイプに優先順位が割り当てられ、SCS 10とTLP 12は、優先順位のより高いメッセージが優先順位がより低いメッセージが送られる前に送られるように、優先順位にしたがってメッセージを待ち行列の形に並べるだろう。例えば、無線ロケーションシステムが遅延なしに特定のタイプの呼出(すなわち、E9−1−1)に基づいてロケーション処理をトリガしなければならないので、復調メッセージは一般的に高い優先順位に設定される。優先順位がより高いメッセージが優先順位がより低いメッセージの前に並べられるが、このプロトコルは、一般的に、既に通過中であるメッセージは差し替えない。すなわち、SCS 10/TLP 12通信インタフェースを介した送信過程中にあるメッセージは完全に完了されるが、この場合に、送られるべきその次のメッセージが、最も早いタイムスタンプを有する優先順位が最も高いメッセージであるだろう。
【0071】
優先順位が高いメッセージの待ち時間を最小にするために、RFデータのような長いメッセージがセグメントの形で送られる。例えば、全体で100ミリ秒のAMPS送信のためのRFデータが10ミリ秒のセグメントに分割される。この仕方で、優先順位が高いメッセージがRFデータのセグメントの間に並べられてもよい。
【0072】
校正および性能監視
SCS 10のアーキテクチャは、ディジタル受信機とディジタル信号プロセッサとを含むディジタル技術に主に基づいている。RF信号がディジタル化され終わると、タイミングと周波数と位相差とが様々なプロセスで注意深く制御されることが可能である。さらに重要なことには、あらゆるタイミングと周波数と位相差とが、無線ロケーションシステムで使用される様々な受信機と様々なSCS 10との間で完全に整合させられることが可能である。しかし、ADCの前に、RF信号は、アンテナとケーブルとローノイズ増幅器とフィルタとデュプレクサ(duplexor)とマルチカプラとRFスプリッタとを含む多数のRF構成部品を通過する。これらのRF構成部品の各々は、遅延および位相/周波数応答を含む無線ロケーションシステムにとって重要な特性を有する。RFおよびアナログ構成部品が、図2GのSCS 10AとSCS 10BのようなSCS10の対の間で完全に整合している時には、これらの特性の影響はロケーション処理において自動的に排除される。しかし、これらの構成部品の特性が整合していない場合には、ロケーション処理はこの不整合の結果として生じる機器誤差を偶発的に含む可能性がある。
【0073】
さらに、こうしたRF構成部品の多くは、電力や時間や温度に関する不安定性、または、ロケーションの算出に機器誤差を加える可能性がある他の因子の影響を受ける可能性がある。したがって、無線ロケーションシステムのRF構成部品を校正しかつ無線ロケーションシステムの性能を定期的に監視するために、幾つかの発明的な技術が開発されてきた。校正の次に、無線ロケーションシステムは、これらの機器誤差の補正に使用するために、こうした遅延および位相/周波数応答の値を(すなわち、RFチャネル番号によって)、無線ロケーションシステム内のテーブルに格納する。次では、こうした校正方法を説明するために図2G−2Jを参照する。
【0074】
外部的な校正の方法
図2Gを参照すると、無線ロケーションシステムのタイミングの安定性がベースラインに沿って測定され、この場合に、各ベースラインは、2つのSCS 10A、10Bと、こられの間に引かれている仮想線(A−B)とによって構成されている。TDOA/FDOAタイプの無線ロケーションシステムでは、無線送信機のロケーションが、各SCS 10が無線送信機からの信号の到着に関して記録する時間の差を測定することによって算出される。したがって、各ベースラインに沿ってSCS 10によって測定される時間の差は、無線送信機からの信号の送信時間に大きく基づいており、SCS 10自体のRFおよびアナログ構成部品における変動には最小限しか基づいていないということが重要である。無線ロケーションシステムの精度目標を満たすために、任意のSCS 10対に関するタイミング安定性が100ナノ秒RMS(2乗平均平方根)よりも著しく小さい値に維持される。こうして、無線ロケーションシステムの構成部品は、無線送信機のロケーションの推定において100フィートRMS未満の機器誤差をもたらすだろう。この誤差の一部分は、無線ロケーションシステムを校正するために使用される信号の曖昧性を原因とする。この曖昧性は公知のCramer−Rao下界等式から算出できる。AMPS逆制御チャネルの場合には、この誤差は約40ナノ秒RMSである。誤差の残り部分は、主にSCS 10内のRFおよびアナログ構成部品である無線ロケーションシステムの構成部品を原因とする。
【0075】
外部的な校正の方法では、無線ロケーションシステムは、目標の無線送信機の信号特性に合致する信号特性を有する校正送信機のネットワークを使用する。これらの校正送信機は、周期的な登録信号および/またはページ応答信号を放出する通常の無線電話機であってよい。使用可能なSCS/SCSベースラインの各々が、そのベースラインに関連した両方のSCS 10に対して比較的明瞭で障害のない経路を有する校正送信機を使用して周期的に校正されることが好ましい。校正信号は目標の無線送信機からの信号と同じに処理される。TDOA値が演繹的に明らかなので、計算上のあらゆる誤差が、無線ロケーションシステムにおけるシステミック誤差を原因とする。このシステミック誤差は、目標の送信機に関する後続の位置計算において取り除かれることが可能である。
【0076】
図2Gは、タイミング誤差を最小限にするための外部校正方法を示す。図に示すように、地点「A」の第1のSCS 10Aと地点「B」の第2のSCS 10Aとが、関連したベースラインA−Bを有する。地点「C」の校正送信機によって時点Tに送られる校正信号が、理論的には、時点T+TACに第1のSCS 10Aに達するだろう。TACは、校正信号が校正送信機上のアンテナからディジタル受信機内のデュアルポートディジタルメモリへと移動するのに必要な時間量の測定値である。同様に、同じ校正信号が理論時点T+TBCに第2のSCS10Bに達するだろう。しかし、一般的には、校正信号は、正確に適正な時点において個々のSCS 10のディジタルメモリとディジタル信号処理構成部品とに到着することはないだろう。むしろ、校正信号が校正送信機からSCS 10に伝播するのに要する時間量(TAC、TBC)にはそれぞれに誤差e1、e2があり、したがって、正確な到着時点は実際にはT+TAC+e1、T+TBC+e2である。こうした誤差は、校正送信機アンテナからSCSアンテナへと空中を通過する信号の伝播における遅延をある程度は原因とするだろう。しかし、この誤差は、SCSフロントエンド構成部品の経時変化する特性を主な原因とするだろう。
【0077】
校正信号が送信された正確な時点(T)をこのシステムが知らないので、誤差e1、e2は本質的に算出できない。しかし、このシステムは、あらゆる特定のSCS 10対のそれぞれのSCS 10における校正信号の到着時点の差における誤差を算出することが可能である。このTDOA誤差値は、測定されたTDOA値と理論TDOA値τとの間の差と定義され、ここでτは理論遅延値TAC、TBCの間の理論上の差である。SCS 10および校正送信機の位置と、校正信号が伝播する速度とが既知なので、各SCS対と各校正送信機とに関する理論TDOA値は既知である。測定されたTDOAベースライン(TDOAA−B)は、TDOAA−B=τ+εとして表されることが可能であり、ここでε=e1−e2である。同様の仕方で、地点「D」の第2の校正送信機からの校正信号は、関連した誤差e3、e4を有するだろう。目標送信機に関するTDOA測定値から減算されるべきεの極限値は、1つまたは複数の校正送信機に関して導出されたε値の関数(例えば、加重平均)であるだろう。
【0078】
したがって、地点「X」、「Y」のSCS 10対と不明位置にある目標無線送信機とに関する特定のTDOA測定値(TDOAmeasued)は、次のように補正され、
TDOAX−Y = TDOAmeasued−∈
∈ =k1∈1+k2∈2+‥‥kN∈N
ここにk1、k2等は重み係数であり、e1、e2等は、各校正送信機に関する理論値から測定TDOA値を引き算することによって算出された誤差である。
【0079】
この例では、誤差値e1は、図面の地点「C」の校正送信機に関連した誤差値であってよい。重み係数は無線ロケーションシステムのオペレータによって決められ、各ベースラインに関する構成テーブルに入力される。オペレータは、各校正送信機から地点「X」、「Y」のSCS 10への距離と、実験によって求められた各校正送信機から地点「X」、「Y」のSCS 10への照準線と、各校正送信機の付近に位置している可能性がある無線送信機の位置推定値に対して各SCS「X」、「Y」が及ぼしている影響とを計算に入れるだろう。一般的に、地点「X」、「Y」のSCS 10により近い校正送信機は、これよりも遠く離れている校正送信機よりも大きい加重値を与えられ、および、地点「X」、「Y」のSCS 10に対するより適切な照準線を有する校正送信機が、これよりも劣った照準線を有する校正送信機よりも大きい加重値を与えられるだろう。
【0080】
誤差成分e1、e2等の各々と、したがってその結果としての誤差成分εは、これらの誤差成分の中には校正送信機から各SCS 10への多経路反射を原因とするものがあるので、時間の経過に応じて広範囲かつ急激に変化する可能性がある。この多経路反射は極めて経路に依存しており、したがって測定毎および経路毎に変化するだろう。この方法の目的は、これらの校正経路に関する多経路反射を求めることではなく、SCS 10の構成部品に起因する誤差の部分を求めることである。従って、典型的には、誤差値e1、e3は同じ第1のSCS 10Aに関係するので、共通の成分を有するだろう。同様に、誤差値e2、e4も、第2のSCS 10Bに関係するので、共通の成分を有するだろう。多経路成分は急激に変化する可能性があり、一方、構成部品誤差は緩慢に変化し、典型的には正弦曲線状に変化するということが知られている。したがって、外部校正方法では、急激に変化する多経路成分の重みを低下させると同時にSCS 10に起因する比較的緩慢に変化する誤差成分を保存する重み付きの時間基準のフィルタを使用して、誤差値εをフィルタリングする。外部校正方法で使用されるこうしたフィルタの具体例の1つがKalmanフィルタである。
【0081】
校正送信の間の期間は、SCS構成部品に関して算出された誤差ドリフトレートに応じて様々である。ドリフトレートの期間は校正時間間隔の期間よりも著しく長くなければならない。無線ロケーションシステムは、変化のレートを連続的に求めるためにドリフトレートの期間を監視し、必要に応じて校正の時間間隔を周期的に調整してもよい。典型的には、本発明による無線ロケーションシステムのような無線ロケーションシステムの場合の校正レートは10分間から30分間の間である。これは、無線通信システムにおける登録レートの場合の典型的な時間期間にかなり一致する。無線ロケーションシステムが、校正間隔が無線通信システムの登録レートよりも早いレートに調整されなければならないということを判定することになった場合には、AP 14(図1)が、指示された時間間隔で校正送信機をページングすることによって、自動的に校正送信機に強制送信させるだろう。各々の校正送信機は個別にアドレス可能であり、したがって、各校正送信機に関連付けられた校正時間間隔が互いに異なっていることが可能である。
【0082】
外部校正方法で使用される校正送信機が標準的な電話機であるので、無線ロケーションシステムは、様々な用途のために配置されているその他の無線送信機からこうした電話機を識別するための機構を持たなければならない。無線ロケーションシステムは、典型的にはTLP 12内とAP 14内とに、校正送信機の識別情報のリストを維持する。セルラーシステムでは、校正送信機の識別情報はモバイル識別番号(mobile identity number)すなわちMINであることが可能である。校正送信機が送信を行う時には、この送信が各SCS 10によって受け取られ、適切なSCS 10によって復調される。無線ロケーションシステムは、この送信の識別情報を、予め記憶されている全校正送信機の識別情報のタスキングリスト(tasking list)と比較する。無線ロケーションシステムが送信が校正送信であると判定する時には、この無線ロケーションシステムは外部的な校正の処理を開始する。
【0083】
内部的な校正の方法
外部的な校正の方法に加えて、本発明の目的は、無線ロケーションシステムのSCS 10で使用される広帯域ディジタル受信機の全チャネルを校正することである。外部的な校正の方法は、典型的には、広帯域ディジタル受信機に使用される多数のチャネルの中の単一のチャネルだけを校正する。これは、固定された校正送信機が、通常は、典型的には毎回同じ制御チャネルである最大電力の制御チャネルをスキャンするからである。しかし、広帯域ディジタル受信機の転送機能は、その他の関連の構成部品と共に、完全に一定不変のままではなく、時間と温度とに応じて変化するだろう。したがって、外部的な校正の方法が適切に単一のチャネルを校正することが可能であっても、残りの他のチャネルも校正されるという保証はない。
【0084】
図2Hの流れ図に示されている内部的な校正の方法は、時間および周波数に応じて変動する変換関数によって特徴付けられる個々の第1の受信機システム(すなわち、SCS 10)を校正するのに特に適しており、この変換関数は、受信信号の振幅と位相が受信機システムによってどのように変化させられるかということを定義し、および、無線送信機によって送信されかつ校正されるべき受信機システムと別の受信機システムとによって受信される信号の到着の時点の差を部分的は求めることによって無線送信機の位置を求めるために、受信機システムがロケーションシステムで使用され、および、ロケーション推定値の精度が、ロケーションシステムによって得られるTDOA測定値の精度に部分的に依存している。AMPS RCC変換関数の一例を図2Iに示してあり、この図は、変換関数の位相が630KHzに及ぶ21個の制御チャネルにおいてどのように変化するかを示す。
【0085】
図2Hを参照すると、内部的な校正の方法は、受信機システムによって使用されるアンテナをその受信機システムから一時的かつ電気的に切り離す段階(ステップS−20)と、既知の安定した信号特性を有する内部で生成された広帯域信号を第1の受信機システムに送り込む段階(ステップS−21)と、その生成された広帯域信号を使用して、第1の受信機システムの帯域幅全体にわたって変換関数が変化する仕方の推定値を得る段階(ステップS−22)と、この推定値を使用して、第1の受信機システムによって得られる時間測定値と周波数測定値に対する第1の変換関数の変化の影響を緩和する段階(ステップS−23)とを含む。内部的な校正のために使用される安定した広帯域信号の一例は櫛形信号であり、この櫛形信号は、5KHzのような既知の間隔を置いた多数の個別の等振幅の周波数要素から構成されている。この信号の一例を図2Iに示す。
【0086】
外部信号が広帯域受信機の中に入ることを防止するために、および、受信機が安定した広帯域信号だけを受信することを確実にするために、内部的な校正のプロセス中は、アンテナは一時的に切り離されなければならない。アンテナは、無線送信機からの信号が過剰に多く紛失させられる機会を最小限にするために数ミリ秒間だけ電子的に切り離される。さらに、内部的な校正は、外部的な校正と内部的な校正の間の時間間隔中にSCS 10内の何らかの構成部品がドリフトする可能性を最小限にするために、外部的な校正の直後に行われることが典型的である。アンテナは、2つの電子制御RFリレー(図示せず)を使用して広帯域受信機から切り離される。RFリレーは、その「オフ」状態にある時にさえ入力と出力の間の完全な絶縁を実現できないが、70dBまでの絶縁を実現することが可能である。絶縁の量を増大させ、かつ、校正中に信号がアンテナから広帯域受信機に漏れないことをさらに確実にするために、2つのリレーを直列に使用してもよい。同様に、内部的な校正の機能が使用されていない場合には、受信機が無線送信機からの信号を収集している時に内部的な校正の信号が広帯域受信機の中に漏れることを防止するために、内部的な校正の信号がオフにされ、2つのリレーもオフにされる。
【0087】
外部的な校正の方法が信号チャネルの絶対的な校正を実現し、その次に、内部的な校正の方法が、すでに絶対的に校正され終わったチャネルに対して相対的に他のチャネルの各々を校正する。櫛形信号は、信号の記憶された複製とD/A変換器とを使用して容易に生成可能なので、安定した広帯域信号として特に適している。
【0088】
広帯域校正信号を使用する外部的な校正
次で説明する外部的な校正の方法を、アンテナとフィルタとデュプレクサとマルチカプラとスプリッタとSCS受信機システムに関連付けられたケーブルとを含むことが好ましい、時間および周波数に応じて変動する変換関数によって特徴付けられているSCS 10受信機システムと組み合わせて使用することができる。この方法は、外部送信機から安定した既知の広帯域校正信号を送信する段階を含む。その次に、広帯域校正信号が、SCS受信機システムの指定された帯域幅全体にわたって変換関数を推定するために使用される。その次に、この変換関数の推定値が、後続のTDOA/FDOA測定値に対する変換関数の変化の影響を緩和するために使用される。無線ロケーションシステムをホストする無線通信システムに干渉することを防止するために、外部送信が短時間で低電力であることが好ましい。
【0089】
この好適な方法では、SCS受信機システムは外部送信機と同期化される。こうした同期化をGPSタイミングユニットを使用して行ってもよい。さらに、この受信機システムを、校正信号が送られている時点においてだけ校正信号の全広帯域を受信し処理するようにプログラムしてもよい。この受信機システムは、外部的な校正の送信と同期している時以外のあらゆる時点では校正処理を行わないだろう。さらに、コマンドと応答を交換するために、無線通信リンクが受信機システムと外部的な校正の送信機との間で使用される。外部送信機は、SCS受信機システムのアンテナにだけ広帯域信号を向けるために指向性アンテナを使用してもよい。こうした指向性アンテナはYagiアンテナ(すなわち、直線たて型アンテナ列)であってもよい。この校正方法は、指向性アンテナが受信機システムのアンテナに向けられておりかつ多経路反射のリスクが少ない時にだけ外部送信を行うことを含むことが好適である。
【0090】
局バイアスの校正
本発明の別の側面が、SCS受信機システムにおける局バイアスを補正する校正方法に関する。「局バイアス」とは、無線送信機からのRF信号がアンテナに到達する時点と同じ信号が広帯域受信機に到達した時点との間の有限な遅延として定義される。本発明の方法が、アンテナからフィルタまでのケーブルの長さを測定し、このケーブルの長さに関連した対応する遅延を算出する段階を含む。さらに、この方法は、既知の信号をフィルタ、デュプレクサ、マルチカプラ、または、RFスプリッタに送り込み、広帯域受信機に対する各構成部品の入力からの遅延と位相/周波数応答とを測定することを含む。その次に遅延値と位相値を組み合わせ、後続のロケーション測定値を補正するために使用する。上述のGPSベースのタイミング生成と共に使用する時には、この方法は、GPSケーブル長を補正することを含むことが好ましい。さらに、エージングと天候のために生じるかも知れない局バイアスの変化を監視するために、外部で生成された信号を使用することが好ましい。最後に、無線ロケーションシステム内の各受信機システムに関するRFチャネルによる局バイアスが、後続のロケーション処理の補正に使用するために無線ロケーションシステム内にテーブル形式で記憶されることが好ましい。
【0091】
性能の監視
無線ロケーションシステムは、定期的かつ継続的に性能を監視するために、校正と同様の方法を使用する。これらの方法を図2Kと図2Lの流れ図に示す。2つの性能監視方法、すなわち、固定電話機と測量地点の駆動検査(drive testing of surveyed points)とを使用する。固定電話機法は下記の諸ステップを含む(図2Kを参照されたい):
標準的な無線送信機を、無線ロケーションシステムのサービスエリア内の様々な地点に恒久的に配置し(この場合に、これらは固定電話機として知られている)(ステップS−30)、
固定電話機が配置された地点の位置が予め決められた距離(例えば10フィート)の範囲内で正確に判明するように、これらの地点を測量する(ステップS−31)。
【0092】
測量地点をAP 14内のテーブルの中に記憶し(ステップS−32)、
無線通信システム上の全無線通信機に関してその無線通信システムによって設定されたレートと時間間隔で、固定電話機がその無線通信システム上に登録されることが許可され(ステップS−33)、
固定電話機による登録送信の各々において、無線ロケーションシステムが、通常のロケーション処理を使用して固定電話機の位置を発見し(校正送信機の場合と同様に、無線ロケーションシステムは、テーブル内に識別情報を記憶することによって固定電話機からのものとして送信を識別することが可能である)(ステップS−34)、
無線ロケーションシステムは、ロケーション処理によって求められた計算上の位置と測量によって求められた記憶された位置との間の誤差を計算する(ステップS−35)。
【0093】
位置、誤差値、および、他の測定パラメータをタイムスタンプと共にAP 14内のデータベースに記憶し(ステップS−36)、
AP 14は瞬間誤差と他の測定パラメータ(一括して拡張位置レコードと呼ぶ)とを監視し、さらに、誤差と他の測定パラメータとの様々な統計値を計算し(ステップS−37)、
誤差または他の値のいずれかが、瞬間的に、または、指定された数の位置推定値全体における統計的フィルタリングを行った後で、予め決められた閾値または履歴統計値を上回る場合には、AP 14が無線ロケーションシステムのオペレータに警報を送る(ステップS−38)。
【0094】
拡張位置レコードは、無線ロケーションシステムの瞬間および履歴性能パラメータを分析するのに有用な多数の測定パラメータを含む。こうしたパラメータは、無線送信機によって使用されるRFチャネルと、無線送信を復調するために無線ロケーションシステムによって使用される1つまたは複数のアンテナポートと、無線ロケーションシステムがRFデータを要求したアンテナポートと、ロケーション処理のために使用される時間間隔全体にわたっての送信電力のピークと平均と分散と、ロケーション処理の基準として選択されたSCS 10とアンテナポートと、他の各SCS 10とロケーション処理に使用されるアンテナと基準SCS 10とアンテナとの間の重なりスペクトル相関からの相関値と、各ベースライン毎の遅延値と、多経路緩和パラメータと、多経路緩和計算後に残る残余値とを含む。こうした測定パラメータはどれも、どのように無線ロケーションシステムが動作しているかを調べる目的で無線ロケーションシステムによって監視されることが可能である。無線ロケーションシステムによって行われる監視のタイプの一例が、ベースライン上の相関の瞬間値と相関値の履歴範囲との間の分散であってもよい。別の例は、特定のアンテナにおける受信電力の瞬間値と受信電力の履歴範囲との間の分散であってもよい。他の多くの統計値が算出可能であり、このリストには限りがない。
【0095】
無線ロケーションシステムのサービスエリア内に配置される固定電話機の個数は、セルサイトの密度、地形の障害、および、無線通信システムがサービスエリア内で動作する際の履歴上の容易性とに基づいて決定されることが可能である。典型的には、この割合は6つのセルサイト毎に約1つの固定電話機という割合であるが、サービスエリアによっては1対1の割合が必要な場合がある。固定電話機は、無線ロケーションシステムの性能を監視し、かつ、通信事業者が作成したかも知れない周波数プランにおけるあらゆる変化を監視する連続的な手段を提供する。多くの場合に、周波数プランの変化が無線ロケーションシステムの性能の変動の原因となり、固定電話機の性能監視が無線ロケーションシステムのオペレータに即時の表示を提供する。
【0096】
測量地点の駆動検査は、固定電話機の監視に非常に類似している。固定電話機は、典型的には、電力に対するアクセスが可能な屋内だけにしか配置できない(すなわち、固定電話機は有効であるために連続的に給電されなければならない)。ロケーション性能のより完全な測定を実現するために、屋外検査地点の駆動検査も行われる。図2Lを参照すると、固定電話機の場合と同様に、無線ロケーションシステムのサービスエリア全体にわたる指定された検査地点が、10フィート範囲内で測量される(ステップS−40)。検査地点の各々にはコードが割り当てられ、このコードは、シーケンス番号が後に続く「*」または「#」から成る(ステップS−41)。例えば「*1001」から「*1099」が、検査地点に関して使用される99個のコードのシーケンスである。これらのコードは、ダイヤルされる時に無線通信システムにとって無意味であるシーケンスでなければならない(すなわち、これらのコードは、通知割込みメッセージの場合を除いて、MSCで特徴または他の翻訳が生じる原因にならない)。AP 14は、測量位置と共に各検査地点に関するコードを記憶する(ステップS−42)。これらの初期ステップの次に、これらのコードのどれかをダイヤルするあらゆる無線送信機がトリガされ、通常のロケーション処理を使用して位置発見される(ステップS−43、S−44)。
【0097】
無線ロケーションシステムは、ロケーション処理によって算出された計算上の位置と測量によって求められた記憶済みの位置との間の誤差を自動計算し、位置と誤差値とがタイムスタンプと共にAP 14内のデータベースに記憶される(ステップS−45、S−46)。AP 14は、瞬間誤差と、誤差の様々な履歴統計値とを監視する。瞬間的に、または、指定された個数の位置推定値に対して統計的フィルタリングを行った後に、誤差値が予め決められた閾値または履歴統計値を超える場合には、AP 14が無線ロケーションシステムのオペレータに警報を送る(ステップS−47)。
【0098】
TDOAロケーションプロセッサ(TLP)
図1と図1Aと図3に示されているTLP 12が、無線ロケーションシステムの様々な側面、特にSCS 10を管理しかつロケーション処理を制御する中央ディジタル信号処理システムである。ロケーション処理がDSPを多用するので、TLP 12の主な利点の1つは、DSPリソースが無線ロケーションシステム内のSCS 10のいずれかにおける送信によって開始されるロケーション処理の間で共用可能であるということである。すなわち、SCS 10におけるDSPの追加コストが、リソースを中央で利用可能にしておくことによって低減される。図3に示すように、TLP 12の3つの主要な構成部品、すなわち、DSPモジュール12−1と、T1/E1通信モジュール12−2と、コントローラモジュール12−3とが存在する。
【0099】
T1/E1通信モジュール12−2は、SCS 10に対する通信インタフェースを提供する(T1とE1は全世界で使用可能な標準通信速度である)。各SCS 10は1つまたは複数のDS0(典型的には56Kbpsまたは64Kbps)を使用してTLP 12と通信する。各SCS 10は、典型的には、例えばセルサイトにおいてドロップアンドインサートユニット(drop and insert unit)またはチャネルバンクを使用して、部分T1またはE1回路に接続する。この回路は、MSCと通信する基地局と共用されることが多い。中央サイトでは、基地局に割り当てられたDS0は、SCS 10に割り当てられたDS0から隔離されている。これは、典型的には、DS0を隔離するだけでなく多重SCS 10からのDS0を全T1またはE1回路上に適合させるディジタルアクセス/制御システム(DACS)13Aを使用して、TLP 12の外部で行われる。その次に、これらの回路はDACS 13AからDACS 13Bに接続し、さらに、TLP 12上のT1/E1通信モジュールに接続する。各T1/E1通信モジュールは、そのモジュールと通信する各SCS 10に出入りするデータのパケットをバッファリングするのに十分なディジタルメモリを含む。単一のTLPシャーシが1つまたは複数のT1/E1通信モジュールをサポートしてもよい。
【0100】
DSPモジュール12−1は、ロケーション処理のためのプールされたリソースを提供する。単一のモジュールが典型的には2つから8つの信号プロセッサを含んでよく、これらの信号プロセッサの各々はロケーション処理のために同等に利用可能である。2つのタイプのロケーション処理、すなわち、より詳細に後述する中央ベースのロケーション処理と局ベースのロケーション処理とがサポートされる。TLPコントローラ12−3は、最適のスループットを得るように1つまたは複数のDSPモジュール12−1を管理する。各DSPモジュールは、ロケーション処理のために必要なすべてのデータを記憶するのに十分なディジタルメモリを含む。ロケーション処理を開始するのに必要なデータのすべてが関連SCS 10からDSPモジュール上のディジタルメモリに移動させられ終わるまで、DSPは関与しない。この移動が完了した後にだけ、特定の無線送信機の位置を発見するための特定のタスクがDSPに与えられる。この方法を使用するので、高コストのリソースであるDSPは待機状態のままにされることは決してない。単一のTLPシャーシが1つまたは複数のDSPモジュールをサポートしてもよい。
【0101】
コントローラモジュール12−3は、無線ロケーションシステム内のロケーション処理すべてのリアルタイム管理を提供する。AP 14は無線ロケーションシステム内の最高レベルの管理エンティティであるが、そのデータベースのアーキテクチャは、送信が生じる時にリアルタイムの意思決定を行うのに十分なほど高速ではない。コントローラモジュール12−3は、状態、個々のアンテナに関する個々のチャネルのスペクトルエネルギー、復調されたメッセージ、および、診断を含む、SCS 10からのメッセージを受け取る。これによって、コントローラは、無線ロケーションシステム内で生じるイベントを連続的に判定して、特定のアクションを行うためのコマンドを送ることが可能になる。コントローラモジュールがSCS 10から復調済みのメッセージを受け取る時には、このコントローラモジュールは、ロケーション処理が特定の無線送信に必要かどうかを決定する。さらに、コントローラモジュール12−3は、中央ベースのロケーション処理と局ベースのロケーション処理のどちらを使用すべきかということを含む、どのSCS 10とアンテナをロケーション処理で使用すべきかということを判定する。コントローラモジュールは、必要なデータを返すようにSCS 10に命令し、および、ロケーション処理において必要な役割を逐次的に果たすように通信モジュールとDSPモジュールに命令する。これらのステップをさらに詳細に後述する。
【0102】
コントローラモジュール12−3は、シグナルオブインタレスト(signal of interest)テーブル(SOIT)として知られているテーブルを維持する。このテーブルは、特定の無線送信においてロケーション処理をトリガするために使用できる基準のすべてを含む。この基準は、例えば、モバイル識別番号(mobile identity number)、モバイル局ID(mobile station ID)、電子シリアル番号、ダイヤル呼出数字、システムID、RFチャネル番号、セルサイト番号またはセクタ番号、送信のタイプ、および、他のタイプのデータ要素を含んでよい。トリガイベント(trigger event)の幾つかが、処理の順序を決定する際に使用するための、これらのトリガイベントに関連付けられたより高いかより低い優先順位レベルを有してもよい。優先順位がより高いロケーショントリガ(location trigger)が、常に、優先順位がより低いロケーショントリガよりも前に処理しているだろう。しかし、すでにロケーション処理を開始している優先順位がより低いトリガが、優先順位がより高いタスクに割り当てられる前に処理を完了するだろう。
無線ロケーションシステムのためのマスタタスキングリスト(master tasking list)がAP 14上に維持され、このタスキングリストのコピーが、無線ロケーションシステム内の各TLP 12内のシグナルオブインタレストテーブルに自動的にダウンロードされる。シグナルオブインタレストテーブル全体が、TLP 12がリセットされるか最初にスタートする時にTLP 12にダウンロードされる。こうした2つのイベントの後では、通信帯域幅を維持するためにAP 14から各TLP 12に変更だけがダウンロードされる。
【0103】
TLP 12対AP 14の通信プロトコルは、好適には、シグナルオブインタレストテーブル内に誤ったデータが入力されることを防止するために十分な冗長性と誤り検査を含む。AP 14とTLP 12が利用可能な予備の処理容量を周期的に有する時に、AP 14は、無線ロケーションシステム内のシグナルオブインタレストテーブル項目のすべてが完全に同期していることを確実なものにするために、シグナルオブインタレストテーブル内の項目を再確認する。
【0104】
各TLPシャーシは、そのシャーシに関連付けられた最大の容量を有する。例えば、単一のTLPシャーシは、48個から60個のSCS 10をサポートするのに十分なだけの容量を持てばよい。無線通信システムが単一のTLPシャーシの容量よりも大きい時には、イーサネットを使用して複数のTLPシャーシが互いに接続される。コントローラモジュール12−3はTLP間の通信とネットワーキングを担い、他のTLPシャーシ内のコントローラモジュールと通信し、および、イーサネットネットワークを経由してアプリケーションプロセッサ14と通信する。異なったTLPシャーシに接続されているSCS 10の使用をロケーション処理が必要とする時には、TLP間通信が必要になる。各無線送信のためのロケーション処理が単一のTLPシャーシ内の単一のDSPモジュールに割り当てられる。TLPシャーシ内のコントローラモジュール12−3が、ロケーション処理を行うべきDSPモジュールを選択し、その次に、ロケーション処理で使用されるRFデータのすべてをそのDSPモジュールに転送する。
【0105】
RFデータが、2つ以上のTLP 12に接続されているSCS 10から要求されると、すべての必要なTLPシャーシ内のコントローラモジュールが通信して、RFデータをすべての必要なSCS 10からそのそれぞれの接続されたTLP 12に移動させ、その次に、ロケーション処理に割り当てられているDSPモジュールとTLPシャーシとに移動させる。コントローラモジュールは、冗長性のために2つの完全に独立したイーサネットネットワークをサポートする。どちらか一方のネットワークの断絶または故障が、この影響を受けたTLP 12がすべての通信を他方のネットワークに即座に移行させることを引き起こす。
【0106】
コントローラモジュール12−3は、各TLPシャーシに関連付けられているSCS 10を含む、無線ロケーションシステムの完全なネットワークマップを維持する。このネットワークマップは、ロケーション処理で使用してよい候補SCS/アンテナのリストとSCS/アンテナの各々に関連付けられている様々なパラメータとを含む、コントローラモジュール内に格納されているテーブルである。典型的なネットワークマップの構造が図3Aに示されている。SCS 10に接続されている各アンテナに関する別々の項目がテーブル内に含まれる。無線送信が、2つ以上のTLPシャーシと通信するSCS 10が有効範囲とするエリア内で生じる時には、これに関与するTLPシャーシ内のコントローラモジュールが、どのTLPシャーシが、ロケーション処理を管理するための「マスタ」TLPシャーシであるかを決定する。典型的には、無線送信のための1次チャネル割当てを有するSCS 10に関連付けられているTLPシャーシが、マスタであるように割り当てられる。しかし、そのTLPがロケーション処理に利用可能なDSPリソースを一時的に持たない場合、または、ロケーション処理に関与したSCS 10の大半が別のTLPシャーシに接続されておりかつコントローラモジュールがTLP間通信を最小限にしている場合には、代わりに別のTLPシャーシが割り当てられてもよい。この意思決定プロセスは完全に動的であるが、各々の1次チャネル割当てに関して好ましいTLPシャーシを予め決定するTLP 12内のテーブルによって補助される。このテーブルは無線ロケーションシステムのオペレータによって作成され、ネットワーク操作コンソールを使用してプログラムされる。
【0107】
本明細書で説明するネットワーク化は、同じ無線通信事業者に関連したTLPシャーシと2つの無線通信事業者の間のサービスエリアに重なるか隣接するシャーシとの両方に関して機能する。こうして、第1の無線通信事業者に属するTLP 12がネットワーク化され、したがって第2の無線通信事業者に属するTLP 12(および、TLP 12に関連したSCS 10)からRFデータを受け取ることが可能である。このネットワーク化は農村区域で特に有益であり、こうした農村区域では、無線ロケーションシステムの性能が多数の無線通信事業者のセルサイトにSCS 10を配備することによって強化されることが可能である。無線通信事業者はセルサイトを適切に配置しないことが多いので、この特徴は、無線ロケーションシステムが単一の無線通信事業者からのセルサイトだけしか使用しなかった場合に利用可能なアンテナよりも地理的に多様なアンテナに、無線ロケーションシステムがアクセスすることを可能にする。後述するように、ロケーション処理のためにアンテナを適正に選択し使用することによって、無線ロケーションシステムの性能を向上させることが可能になる。
【0108】
コントローラモジュール12−3は、位置レコードを含む様々なメッセージをAP 14に送り、これらのメッセージの多くについては後述する。しかし、一般的に、復調されたデータはTLP 12からAP 14に送られない。しかし、TLP 12が特定の無線送信機から復調済みデータを受け取り、異なったサービスエリア内の第2の無線通信事業者の登録済み顧客であるとしてその無線送信機を識別する場合には、TLP 12は復調済みデータを第1の(稼働中の)AP 14Aに送ることができる。このことは、第1のAP 14Aが第2の無線通信事業者に関連した第2のAP 12Bと通信することと、特定の無線送信機がどれかのタイプのロケーションサービスに関してすでに登録されているかどうかを判定することとを可能にする。そうである場合には、第2のAP 14Bが、シグナルオブインタレストテーブルの中にその特定の無線送信機の識別情報を入れるように第1のAP 14Aに命令してよく、その結果として、第1のAP 14Aに関連した第1の無線ロケーションシステムのサービスエリア内にその特定の無線送信機が存在する限りは、その特定の無線送信機の位置を発見することが可能だろう。第1の無線ロケーションシステムが、その特定の無線送信機が予め決められた閾値を超える時間期間内に登録されていないということを検出した時には、第1のAP 14Aに関連したサービスエリア内に存在しないという理由から、その特定の無線送信機の識別情報がシグナルオブインタレストテーブルから取り除かれているということを、第1のAP 14Aが第2のAP 14Bに指示することが可能である。
【0109】
診断ポート
TLP 12は、無線ロケーションシステム内の問題の操作と診断に非常に有効である診断ポートをサポートする。この診断ポートは、TLP 12において構内でアクセスされることも、TLP 12をAPに接続するイーサネットネットワークを介して遠隔アクセスされることも可能である。この診断ポートは、SCS 10から受け取った復調およびRFデータすべてと、すべてのロケーション処理の中間結果と最終結果とを、オペレータがファイルに書き込むことを可能にする。このデータは位置推定値の処理後にTLP 12から消去され、したがって、診断ポートは後続の後処理と分析のためのデータを保存する手段を提供する。大規模な無線ロケーションシステムを運用する際の本発明者の経験は、非常に少数の位置推定値が時として非常に大きな誤差を有する可能性があり、および、こうした大きな誤差は、あらゆる測定期間全体にわたる無線ロケーションシステムの動作統計値全体を支配する可能性があるということである。したがって、こうした誤差を診断し緩和するために、無線ロケーションシステムが非常に大きな誤差の原因を検出して捕捉することを可能にする一連のツールをオペレータに提供することが重要である。診断ポートは、すべての位置推定値、特定の無線送信機からの位置推定値もしくは特定の検査地点における位置推定値、または、特定の基準に合致する位置推定値に関して上述の情報を保存するように設定されることが可能である。
【0110】
例えば、固定電話機、または、測量地点の駆動検査の場合に、診断ポートは、位置推定値の誤差をリアルタイムで求めて、予め決められた閾値を誤差が超える位置推定値だけに関して上述の情報を書き込むことが可能である。診断ポートは、各々の固定電話機および駆動検査地点の測量された緯度/経度座標をテーブル内に記憶することと、その次に、対応する検査地点に関する位置推定値が算出される時に半径誤差を算出することとによって、リアルタイムで誤差を算出する。
【0111】
冗長性
TLP 12は、無線位置検出のシステムがMプラスNの冗長性の方法を支持することを許容しつつ、幾つかの発明的な技術を使用して冗長性を実現させる。MプラスNの冗長性は、N個の冗長な(または待機の)TLPのシャーシが、M個のオンラインTLPのシャーシに完全な冗長性のバックアップを提供するよう使用されることを意味する。例えば、Mは10であり、Nは2であることが可能である。
【0112】
第1に、個々のTLPシャーシ内のコントローラモジュールが、これらの間の予め決められた時間間隔で、TLPシャーシを監視するために割り当てられた各々のAP 14と状態メッセージおよび「心拍」メッセージを連続的に交換する。こうして、各コントローラモジュールは、無線ロケーションシステム内の他の各コントローラモジュールの連続した完全状態を有する。異なったTLPシャーシ内のコントローラモジュールは、TLPシャーシ群のためのマスタコントローラであるものとして、1つのTLP 12内の1つのコントローラモジュールを周期的に選択する。このマスタコントローラは、第1のTLP 12Aがその状態メッセージにおいて故障状態または劣化状態を報告する場合に、または、第1のTLP 12Aがその割り当てられかつ予め決められた時間内に状態メッセージまたは心拍メッセージを報告するのに失敗する場合に、第1のTLPシャーシをオフライン状態に置くことを決定することができる。マスタコントローラが第1のTLP 12Aをオフライン状態に置く場合には、このマスタコントローラは、冗長性切換を行ってオフライン状態の第1のTLP 12Aのタスクを行うように、第2のTLP 12Bを割り当てることができる。第2のTLP 12Bは、第1のTLP 12Aにロードされていた構成を自動的に送られている。この構成を、マスタコントローラから、または、TLP 12に接続されたAP 14からダウンロードしてもよい。マスタコントローラは、オフライン状態にないどれか1つのTLP 12上のコントローラモジュールであってよいが、マスタコントローラはスタンバイ状態のTLP 12内のコントローラモジュールであることが好ましい。マスタコントローラがスタンバイ状態のTLP 12内のコントローラモジュールである場合には、故障した第1のTLP 12Aを検出し、この第1のTLP 12Aをオフライン状態に置き、その次に冗長性切換を行うために必要な時間が加速されることが可能である。
【0113】
第2に、SCS 10と各TLP T1/E1通信モジュール12−2との間のT1/E1通信の全てが、冗長性制御専用の高信頼性DACSを通して転送されることが好ましい。DACS 13BはSCS 10からのDS0を含む各々の適合させられたT1/E1回路に接続されており、さらに、各TLP 12の各T1/E1通信モジュール12−2にも接続されている。各TLP 12の各コントローラモジュールは、DACSの接続リストとポート割当てとを記述するDACS 13Bのマップを含む。このDACS 13Bは上述のイーサネットネットワークに接続されており、どれか1つのTLP 12のどれか1つのコントローラモジュール12−3によって制御されることが可能である。第2のTLP 12がマスタコントローラによってオフライン状態に置かれる時には、マスタコントローラが、第1のTLP 12Aと通信する適合させられたT1/E1回路を、すでにスタンバイ状態にあった第2のTLP 12Bに切り換えるように、DACS 13Bにコマンドを送る。これと同時に、AP 14は、第2の(現在はオフライン状態の)TLP 12Bによって使用されていた完全な構成ファイルを第3の(現在はオンライン状態の)TLP 12Cにダウンロードする。故障した第1のTLPシャーシの最初の検出から第3のTLPシャーシによる処理機能の完全な切換と引き受けとまでの時間は、典型的には数秒以下である。多くの場合には、故障した第1のTLPシャーシに関連したSCS 10によってはRFデータは紛失されず、ロケーション処理が中断なく継続することが可能である。第1のTLP 12Aがオフライン状態に置かれるTLP故障の時点では、NOC 16が、このイベントが生じていることを無線ロケーションシステムのオペレータに通知するために警報を生じさせる。
【0114】
第3に、各TLPシャーシは、冗長な電源とファンと他の構成部品とを含む。さらに、TLPシャーシは多数のDSPモジュールをサポートすることが可能であり、したがって単一のDSPモジュールの故障またはDSPモジュール上の単一のDSPの故障は、利用可能な処理リソースの総量を減少させるが、TLPシャーシの故障は引き起こさない。このパラグラフで説明した事例のすべてでは、TLP 12の故障した構成部品が、TLPシャーシ全体をオフライン状態に置くことなしに交換されることが可能である。例えば、1つの電源が故障した場合には、冗長電源がそのシャーシの負荷を単独でサポートするのに十分な容量を有する。故障した電源は、そのシャーシの負荷からその電源自体を取り除くがそのシャーシのさらなる劣化は引き起こさないための必要な回路系を含む。これと同様に、故障したDSPモジュールは、バックプレーンまたは他のモジュールの故障を引き起こさないように、そのモジュール自体をシャーシの稼働中の部分から取り外すことも可能である。このことは、第2のDSPモジュールを含むシャーシの残り部分が正常に機能し続けることを可能にする。当然のことながら、このシャーシの全処理スループットは減少するが、全面的な故障は回避される。
【0115】
アプリケーションプロセッサ(AP)14
AP 14は、無線ロケーションシステム全体を管理し、外部ユーザとアプリケーションとにインタフェースを提供し、位置レコードおよび構成を記憶し、かつ、様々なアプリケーション関連の機能性をサポートする、幾つかのソフトウェアプロセスを含む集中形データベースシステムである。AP 14は、無線ロケーションシステムのスループットに適合するサイズにされている市販のハードウェアプラットホームを使用する。さらに、AP 14は市販のリレーショナルデータベースシステム(RDBMS)を使用し、このリレーショナルデータベースシステムは、本明細書で説明する機能性を提供するように高度にカストマイズされている。SCS 10とTLP 12は、位置を算出して位置レコードを生成するように純粋にリアルタイムベースで共に動作することが好ましいが、AP 14は、位置レコードを記憶し転送するためにはリアルタイムベースで動作し、かつ、位置レコードを後処理し時間の経過に応じてアクセスと報告を提供するためには非リアルタイムベースで動作することが可能である。様々なタイプのシステムおよびアプリケーション分析のために位置レコードを記憶し検索し後処理する能力が、本発明の強力な利点であることがすでに実証されている。ソフトウェアプロセスの主要な集まりが、図4に示してあるApCoreとして知られており、これは次に機能を含む。
【0116】
APパフォーマンスガーディアン(AP performance guardian)(ApPerfGuard)が、他の大半のApCoreプロセスとNOC 16とのApCore通信とを開始させ、停止させ、監視する働きをする専用のソフトウェアプロセスである。NOCから構成更新コマンドを受け取ると、ApPerfGuardはデータベースを更新し、その変更を他のすべてのプロセスに通知する。ApPerfGuardは、NOCがApCoreに特定の実行状態に入るように命じる時に適切なプロセスを開始して停止し、および、実行中であるようにスケジュール設定された他のソフトウェアプロセスを常に監視して、これらのソフトウェアプロセスが終了している場合にはこれらのソフトウェアプロセスを再始動し、または、適切に応答していないあらゆるプロセスを停止させて再始動する。ApPerfGuardは最高の処理優先順位の1つを割り当てられ、したがってこのプロセスは、「暴走」した別のプロセスによって妨げられる可能性がない。ApPerfGuardは、さらに、他のソフトウェアプロセスのせいで生じる可能性があるあらゆる障害を防止するために、他のソフトウェアプロセスによってはアクセス不可能な専用のメモリを割り当てられる。
【0117】
APディスパッチャ(ApMnDsptch)が、TLP 12から位置レコードを受け取ってこの位置レコードを他のプロセスに転送するソフトウェアプロセスである。このプロセスは、システム内の構成された各物理TLP 12のための別々のスレッドを含み、この各スレッドはそのTLP 12から位置レコードを受け取る。システムの信頼性を得るために、ApCoreは、各TLP 12から受け取った最新の位置レコードシーケンス番号を含むリストを維持し、このシーケンス番号を初期接続時にTLP 12に送る。その次に、AP 14とTLP 12は、TLP 12が各位置レコードを固有の識別子と共に送るプロトコルを維持する。ApMnDsptchは位置レコードを、Ap911、ApDbSend、ApDbRecvLoc、および、ApDbFileRecvを含む多数のプロセッサに転送する。
【0118】
APタスキングプロセス(ApDbSend)は、無線ロケーションシステム内のタスキングリストを制御する。このタスキングリストは、どの無線送信機が位置発見されるか、どのアプリケーションが基準を生成したか、および、どのアプリケーションが位置レコード情報を受け取ることができるかを判定する全トリガ基準のマスタリストである。ApDbSendプロセスは各TLP 12のための別々のスレッドを含み、このスレッドによってApDbSendがタスキングリストを各TLP 12上のシグナルオブインタレストテーブルと同期化する。ApDbSendはアプリケーション情報をシグナルオブインタレストテーブルには送らず、トリガ基準だけを送る。したがって、TLP 12は、無線送信機が位置発見されなければならない理由を認識していない。タスキングリストは、モバイル識別番号(MIN)、モバイル局識別子(MSID)、電子シリアル番号(ESN)および他の識別番号、ダイヤル呼出される文字および/または数字のシーケンス、ホームシステムID(SID)、発呼サイトセルおよびセクタ、発呼RFチャネル、または、メッセージタイプに基づいて、無線送信機の位置が発見されることを可能にする。タスキングリストは、多数のアプリケーションが同じ無線送信機から位置レコードを受け取ることを可能にする。こうして、ダイヤル呼出「911」を有する無線送信機からの単一の位置レコードが、例えば911 PSAPと、フリート(fleet)管理アプリケーションと、トラフィック管理アプリケーションと、RF最適化アプリケーションとに送られることが可能である。
【0119】
タスキングリストは同様に、各トリガー基準についてのさまざまなフラグ及びフィールドをも内含し、そのうちのいくつかは本明細書の他の箇所で記述されている。例えば1つのフラグは、無線ロケーションシステムがそれまでに無線送信機のおおまかな又は最終的推定を提供しなければならない最大のタイムリミットを特定する。もう1つのフィールドは、特定のトリガーのための基準に対する変更を加えるために必要とされる認証を含む。この認証は、無線ロケーションシステムのオペレータが、いずれかのトリガー基準及び付随するフィールド又はフラグを付加、消去又は変更する許可をどのアプリケーションが受けているかを特定することができるようにするものである。もう1つのフィールドは、トリガー基準に結びつけられたサービスグレードロケーションを含む。このサービスグレードは、特定のトリガー基準と結びつけられたロケーション処理のために望まれる正確度レベル及び優先度レベルを無線ロケーションシステムに指示する。例えば一部のアプリケーションでは、(おそらくは減額したロケーション処理料での)おおまかなロケーション推定で十分であるかもしれず、一方その他のアプリケーションでは、いずれかの与えられた伝送を完遂することが保証されていない(又優先度の高い処理タスクのために強制排除されうる)優先度の低い処理で十分であるかもしれない。無線ロケーションシステムは同様に、タスキングリスト内でのトリガー基準のためのワイルドカードの使用をサポートするための手段も内含している。例えば、トリガー基準は「MIN=215555☆☆☆☆」として入力されうる。これにより、無線ロケーションシステムは、215555という6つの数字で始まり任意の後続する4つの数字で終わるMINをもつ任意の無線送信機についてロケーション処理をトリガーすることになる。ワイルドカード文字は、トリガー基準内の任意の位置に入れることができる。この機能は、関連する無線送信機のブロックを合わせてまとめることによりタスキングリスト及び対象信号テーブルの中に必要とされる記憶場所の数を節約できるようにする。
【0120】
ApDbSendは同様に動的タスキングをサポートする。例えば、「911」を呼出した任意の無線送信機のMIN,ESN,MSIDその他のアイデンティティは、自動的に1時間ApDbSendによりタスキングリスト上に置かれることになる。かくして、「911」を呼出した無線送信機によるさらなる伝送はすべて、同様に、さらなる緊急時のために備えてロケーションが特性されることになる。例えば1つのPSAPが、過去1時間以内に「911」を呼出した無線ページジング送信機をコールバックした場合は、無線ロケーションシステムが、無線送信機からのング応答メッセージをトリガーさせることになり、この新しいロケーション記録をそのPSAPが利用できるようにすることができる。この動的タスキングは、開始事象の後、任意の時間的間隔について又、任意のトリガー基準タイプについてセットできる。ApDbSendプロセスは同様に、その他のアプリケーションからタスキング要求を受信するためのサーバーである。フリートマネージメントといったような、これらのアプリケーションは、例えばソケット接続などを介してタスキング要求を送ることができる。これらのアプリケーションはトリガー基準を設定するか又は削除することができる。ApDbSendは、そのアプリケーションがトリガー基準を設定するか又は削除する許可をすでに受けていることを確認するべく各アプリケーションとの認証プロセスを行ない、各アプリケーションはそのアプリケーションに関係するトリガー基準だけを変更することができる。
【0121】
AP911プロセス(Ap911)は、タンデムスイッチ、選択ルータ、ALIデータベース及び/又はPSAPといったようなE9−1−1ネットワーク素子と無線ロケーションシステムの間の各インタフェースを管理する。Ap911プロセスは、1つのE9−1−1ネットワーク素子に対する各々の接続のための別々のスレッドを含み、各ネットワーク素子に対し複数のスレッドをサポートすることができる。Ap911プロセスは、本書で記述されているように、ユーザー構成に基づき数多くのモードで同時に動作できる。E9−1−1ロケーション記録の時宜を得た処理は、AP14における処理優先度が最も高いものの1つであり、従ってAp911は、最初に記憶し次に任意のタイプのディスクから1つのロケーション記録を検索することに付随する遅延を回避するため、ランダムアクセスメモリー(RAM)から全く外れて実行する。ApMnDsptchが1つのロケーション記録をAp911に転送した時点で、Ap911は直ちにルーティング決定を行ない、適当なインタフェース上で1つのE9−1−1ネットワーク素子までそのロケーション記録を転送する。並行して動作する別のプロセスがこのロケーション記録をAP14データベース内に記録する。
【0122】
AP14はAP911プロセスを通して、E9−1−1を含むアプリケーションに対しロケーション記録を提供する2つのモードつまり「プッシュ」及び「プル」モードをサポートする。プッシュモードを要求するアプリケーションは、利用可能となった時点で直ちにAP14からロケーション記録を受信する。E9−1−1ネットワークは、無線発呼者が「911」を呼出した後数秒以内に正しいPSAPに対して無線9−1−1をルーティングしなくてはならないことから、このモードはロケーション記録に対するニーズがきわめてタイムクリティカルであるE9−1−1にとって特に有効である。プルモードを要求するアプリケーションは自動的にロケーション記録を受信せず、むしろ、1つの特定の無線送信機についての最後の又は任意のその他のロケーション記録を受信するために、その無線送信機に関するAP14に対する問合せを送らなくてはならない。アプリケーションからの問合せは、伝送タイプといったような特定的な時間又はその他の基準を満たす最後のロケーション記録,一連のロケーション記録又は全てのロケーション記録を特定することができる。「911」呼出しの場合のプルモードの使用の一例としては、最初の「911」呼出しの音声部分を受信し次にAP14に問合せてその呼出しと結びつけられたロケーション記録を受信するE9−1−1ネットワークがある。
【0123】
Ap911プロセスが数多くのE9−1−1ネットワーク素子に接続されると、Ap911は、(「プッシュ」モードが選択されたものと仮定して)ロケーション記録をどのE9−1−1ネットワーク要素にプッシュするかを決定してければならない。AP14は、動的ルーティングテーブルを用いてこの決定を行なう。動的ルーティングテーブルは、地理的領域をセルの形に分割するのに使用される。動的ルーティングテーブル内の各々のセル又はエントリは、そのセルのためのルーティング命令を含んでいる。緯度の1分は6083フィートであり、これは1000分の1ミリあたり約365フィートであることは周知である。さらに、1分の経度はコサイン(緯度)×6083フィートであり、これはフィラデルフィアエリアについては約4659フィート、つまり1000分の1ミリあたり約280フィートである。1000×1000つまり100万セルのサイズのテーブルは、この例におけるフィラデルフィアのエリアよりも大きい約69マイル×53マイルのエリアについてのルーティング命令を内含することができ、各セルは、365フィート×280フィートの地理的エリアを内含することができる。テーブル内の各エントリに割当てられたビット数は、最多数のルーティングの可能性をサポートするのに充分なものであることしか必要でない。例えば、ルーティング可能性の合計数が16以下である場合には、動的ルーティングテーブルのためのメモリーは100万×4ビットつまり2分の1メガバイトである。このスキームを用いると、ペンシルバニアのサイズの1つのエリアは、充分なルーティング可能性が利用できる状態で、約20メガバイト以下のテーブルの中に内含されうる。メモリーのコストが比較的廉価であることから、この発明力ある動的ルーティングテーブルは、「911」呼出しのためのロケーション記録を、該当するE9−1−1ネットワーク要素に対し迅速にプッシュするための手段をAP14に具備させている。
【0124】
AP14は、手動又は自動手段を用いて動的ルーティング内の各エントリが占有され得るようにする。例えば自動手段を用いると、電子マップアプリケーションは、PSAPといったような特定のE9−1−1ネットワーク素子の通信エリア内の多角形定義を新規作成することができる。このとき多角形定義は、多角形内に含まれた緯度、経度点のリストの形に翻訳される。各々の緯度、経度点に対応する動的ルーティングテーブルにはこのとき、その地理的多角形を担当するE9−1−1ネットワーク素子のためのルーティング命令が与えられる。
【0125】
Ap911プロセスが、特定の無線送信機について「911」ロケーション記録を受信した時点で、Ap911は緯度、経度を、動的ルーティングテーブル内の特定セルのアドレスへと変換する。Ap911はこのとき、プッシュ又はプルのいずれのモードであってもよいルーティング命令及び「911」呼出しが発生した地理的エリアに対するサービス提供を担当するE9−1−1ネットワーク素子のアイデンティティを決定するべくセルに問合せを行なう。プッシュモードが選択された場合、そのときAp911は自動的にロケーション記録をそのE9−1−1ネットワーク素子に対しプッシュする。プルモードが選択された場合、このときAp911は、そのロケーション記録を「911」ロケーション記録の循環テーブル内に入れ、問合せを待つ。
【0126】
上述の動的ルーティング手段は、911に加えてその他のアプリケーションに対し応用可能な地理的に定義づけされたデータベースの使用を必然的に伴い、従ってAp911に加えてその他のプロセスによりサポートされている。例えば、AP14は、ロケーション依存形ビリングアプリケーションのために無線呼出しが出されたビリングゾーンを自動的に決定する。さらに、AP14は、特定の無線送信機が1つのアプリケーションによって定義された規定の地理的エリアに入ったか又はそこから出た時点で警告を自動的に送ることができる。特定の地理的データベースの使用、動的ルーティング動作、ロケーションによりトリガーされる任意のその他の動作は、各々のトリガー基準と結びつけられたフィールド及びフラグの中に定義される。無線ロケーションシステムは、規定の地理的エリアを包含する多角形を新規作成できる電子マップを用いてこれらの地理的に定義づけされたデータベースを容易に管理するための手段を内含している。無線ロケーションシステムはこの電子マップから、多角形と共に内含されている緯度、経度点のテーブルを抽出する。各々のアプリケーションは独自の多角形セットを使用でき、又そのセットの中の各々の多角形内にトリガーされた無線伝送のためのロケーション記録が内含れているときにとるべき動作セットを定義することができる。
【0127】
APデータベース受信プロセス(ApDbRecvLoc)は、共用メモリーを介してApMnDsptchから全てのロケーション記録を受信し、そのロケーション記録をAPロケーションデータベース内に入れる。ApDbRecvLocは、共有メモリーから各々の検索ロケーションが記録する10個のスレッドを開始させ、記録をデータベース内に挿入する前に各記録を妥当性検査し、次に記録をデータベース内の正しいロケーション記録区分内に挿入する。無欠性を保つために、何らかのタイプのエラーを伴うロケーション記録はロケーション記録データベース内に書き込まれず、その代り無線ロケーションシステムオペレータにより見直しされうるエラーファイル内に入れられ、その後エラーが解消した後にデータベース内に手動で入力され得る。ロケーションデータベースが故障したか又はオフライン状態に置かれた場合、ロケーション記録は単層ファイルに書き込まれ、ここでその後ApDbFileRecvにより処理され得る。
【0128】
APファイル受信プロセス(ApDbFileRecv)は、ロケーション記録を内含する単層ファイルを読取り、記録をロケーションデータベース内に挿入する。単層ファイルは、ハードディスクドライブの完全な故障を除く全てのケースにおいて、AP14の無欠性を完全に保つためにAP14によって使用される安全機構である。ApDbFileRecvにより読取られる単層ファイルとしては、Database Down、Synchronisation、Overflow及びFixed Errorを含め、いくつかの異なるタイプが存在する。Database Down単層ファイルは、ロケーションデータベースが一時的にアクセス不能である場合にAbDbRecvLocプロセスによって書込まれる;このファイルは、AP14が、そのロケーション記録がこのタイプの問題の発生中に保存されることを保証できるようにする。Synchronization単層ファイルは、冗長APシステム対の間でロケーション記録を転送するときにApLocSyncプロセス(上述)によって書込まれる。Overflow単層ファイルは、ApDbRecvLocが記録を処理しロケーションデータベース内に挿入できる速度よりも速い速度でAP14内に到達しているとき、ApMnDsptchにより書込まれる。これは、きわめて高いピーク速度期間中に発生しうる。オーバーフローファイルは、任意の記録がピーク期間中に失なわれるのを防ぐ。Fixed Error単層ファイルは、エラーを有していたが現在修正されておりロケーションデータベース内に今挿入できるロケーション記録を内含する。
【0129】
AP14は無線ロケーションシステム内で重要な集中された役割をもつことから、AP14アーキテクチャは、完全に冗長であるように設計されてきた。冗長AP4システムは、互いに対し、TLP12に対し、NOC16に対し及び外部アプリケーションに対し完全に冗長性あるハードウェアプラットフォーム、完全に冗長性あるRDBMS,冗長なディスクドライブ及び冗長なネットワークを内含する。AP14のソフトウェアアーキテクチャは同様に、障害許容冗長性をサポートするようにも設計されてきた。以下の例は、冗長なAPによってサポートされた機能性を例示している。各々のTLP12は、両方のAPがオンライン状態にあるとき、一次及び冗長AP14の両方に対しロケーション記録を送る。一次AP14のみが入タスキング要求を処理し、一次AP14のみがNOC16からの構成変更要求を受諾することになる。一次AP14はこのとき冗長AP14を入念な制御の下で同期化させる。一次及び冗長AP14は両方共、基本的開始及び停止指令をNOCから受諾することになる。両方のAPは共に、自らのシステムパラメータ及びアプリケーションの健全性を常時監視し、その他のAP14についての対応するパラメータを監視し、その後複合評点に基づきどのAP14が一次でどれが冗長となるかを決定する。この複合評点は、さまざまなプロセスにより共有メモリエリアに報告されたエラーをコンパイルし、スワップスペース及びディスクスペースを監視することによって決定される。冗長性をサポートするための専用のプロセスがいくつか存在する。
【0130】
APロケーション同期化プロセス(ApLocSync)は、各AP14上でランし、複数のAP間でロケーション記録を同期化する必要性を検出し、次に、1つのAP14からもう1つのAP14まで転送する必要のあるロケーション記録を列挙する「同期記録」を新規作成する。ロケーション記録は次に、ソケット接続を用いてAP間で転送される。
【0131】
ApLocSyncは、各々のロケーションデータベース内に記憶されたロケーション記録シーケンス番号とロケーション記録区分を比較する。通常、一次及び冗長AP14の両方が適切に作動している場合、両方のAPが共にTLP12から同時にロケーション記録を受信していることから、同期は必要とされない。しかしながら、1つのAP14が故障するか又はオフラインモードに置かれた場合には、その後に同期化が必要とされる。ApLocSyncは、ApMnDsptchがTLP12に接続した時点でつねに通知を受け、従って同期化が必要とされているか否かを決定することができる。
【0132】
APタスキング同期化プロセス(ApTaskSync)は各AP14上でランし、一次AP14と冗長AP14の間でタスキング情報を同期化する。一次AP14上のApTaskSyncは、ApDbSendからタスキング情報を受信し、次にそのタスキング情報を冗長AP14上でApTaskSyncプロセスに送る。ApTaskSyncがタスク複製を完了する前に一次AP14が故障したとすると、そのときApTaskSyncは、故障したAP14がオンライン状態に戻された時点で完全タスキングデータベース同期化を実施することになる。
【0133】
AP構成同期化プロセス(ApConfigSync)は、各AP14上でランし、一次AP14と冗長AP14の間で構成情報を同期化する。ApConfigSyncは、RDBMS複製機能を使用する。構成情報には、無線キャリアのネットワーク内での無線ロケーションシステムの適切な作動のためSCS10,TLP12及びAP14が必要とする全ての情報を内含する。
【0134】
上述のコア機能に加えて、AP14は同様に、無線ロケーションシステムのオペレーションにおいて有用である。ならびにロケーション情報を望むさまざまなアプリケーションのために有用である多数のプロセス、機能及びインタフェースをサポートする。本書に記述するプロセス、機能及びインタフェースは、この節においてはAP14に関するものであるが、これらのプロセス、機能及びインタフェースのうち多くのものの実現は、全無線ロケーションシステムを普及させ、従ってその発明的価値は、AP14にのみ制限されるものとして読取られるべきものではない。
【0135】
ローミング(Roaming)
AP14は、異なる都市内にあるか又は異なる無線キャリヤによって運営されている無線ロケーションシステム間での「ローミング」をサポートする。第1の無線送信機が第1の無線ロケーションシステム上の1つのアプリケーションに加入しており従って第1の無線ロケーションシステム内の第1のAP14内にタスキングリスト内のエントリを有する場合には、第1の無線送信機は同様にローミングに加入することもできる。各々の無線ロケーションシステム内の各々のAP14及びTLP12は、有効な「ホーム」加入者アイデンティティのリストが維持されている1つのテーブルを内含する。このリストは標準的に1つの範囲であり、例えば現行のセルラ電話についてはこの範囲は、セルラ電話のMIN又はMSIDに結びつけられたNPA/NXXコード(又はエリアコード及び交換局)により決定され得る。「ホーム」基準を満たす無線送信機が伝送を行なうとき、TLP12は単数又は複数のSCS10から復調されたデータを受信し、対象信号テーブル内のトリガー情報を検査する。いずれかのトリガー基準が満たされている場合、ロケーション処理はその伝送で始まり、そうでなければ、その伝送は無線ロケーションシステムにより処理されない。
【0136】
「ホーム」基準を満たさない第1の無線送信機が第2の無線ロケーションシステム内で伝送を行なった時点で、第2の無線ロケーションシステム内の第2のTLP12は、トリガーについて対象信号テーブルを検査する。このとき次の3つの動作のうちの1つの発生する:すなわち、(i)伝送が対象信号テーブル内の既知の基準を満たす場合、送信機はロケーションが特性され、ロケーション記録は第2の無線ロケーションシステム内の第2のAP14から第1の無線ロケーションシステム内の第1のAP14まで転送される;(ii)第1の無線送信機が対象信号テーブル内に「ローマー」エントリを有し、その第1の無線送信機が第2の無線ロケーションシステム内に「登録した」もののトリガー基準を全く有していないことが標示された場合には、その伝送は第2の無線ロケーションシステムにより処理されず、以下で記述するように期限満了タイムスタンプが調整される;(iii)第1の無線送信機が「ローマー」エントリを全くもたず従って「登録していなかった」場合には、復調されたデータはTLP12から第2のAP14まで移される。
【0137】
以上の第3のケースでは、第2のAP14は、第1の無線ロケーションシステム内の第1のAP14を第1の無線送信機の「ホーム」無線ロケーションシステムとして識別するために第1の無線送信機のアイデンティティを使用する。第2の無線ロケーションシステム内の第2のAP14は、第1の無線送信機がいずれかのロケーションアプリケーションに加入し、従って第1のAP14のタスキングリスト内に何らかのトリガー基準を有するか否かを見極めるため第1の無線ロケーションシステム内の第1のAP14に対し問合せを送る。第1のAP14内にトリガーが存在する場合、いずれかの付随するフィールド及びフラグと共にトリガー基準が第1のAP14から第2のAP14まで送られ、タスキングリスト及び対象信号テーブル内にトリガー基準と共に「ローマー」エントリとして入力される。第1のAP14が第2のAP14に応答して、第1の無線送信機がトリガー基準を全くもたないことを標示した場合、第2のAP14は、トリガー基準を全くもたない「ローマー」としてタスキングリスト及び対象信号テーブル内に第1の無線送信機を「登録する」。かくして第1の無線送信機からの現行の及び将来の伝送は共に、トリガー基準無しで登録されているものとして第2の無線ロケーションシステム内でTLP12により肯定的に識別され得、第1のAP14に対する付加的な問合せをするのに第2のAP14は必要とされない。
【0138】
第2のAP14が、トリガー基準と共に又はトリガー基準無しでタスキングリスト及び対象信号テーブル内にローマーエントリーを伴う第1の無線送信機を登録した時点で、このローマーエントリーには期限満了タイムスタンプが割当てられる。期限満了タイムスタンプは、現時刻に予め定められた第1の間隔を加えたものにセットされる。第1の無線送信機が伝送を行なう毎に、タスキングリスト及び対象信号テーブル内のローマーエントリーの期限満了タイムスタンプは、最近の伝送の現行時刻に予め定められた第1の間隔を加えたものに調整される。第1の無線送信機がそのローマーエントリーの期限満了タイムスタンプに先立ってさらなる伝送を全く行なわない場合には、そのローマーエントリーは自動的に消去される。消去の後、第1の無線送信機がもう1つの伝送を行なった場合、登録プロセスが再び発生する。
【0139】
第1のAP14及び第2のAP14は、広域ネットワーク上で通信を維持する。ネットワークは、TCP/IP又はIS−41の最近のバージョンに類似したプロトコルに基づいていてよい。その他の無線ロケーションシステム内のその他のAPと通信中の各々のAP14は、無線送信機のアイデンティティの各有効範囲に対応する無線ロケーションシステム及び各AP14のアイデンティティを提供するテーブルを維持している。
【0140】
多重パスの位置検出の記録
一部のアプリケーションでは、無線送信機の一般的ロケーションの非常に高速な推定とそれに続いてひきつづき送ることのできるロケーションのより精確な推定が必要となる可能性がある。これは、例えば、無線呼出しを取扱いかつ呼出しルーティング決定を非常に迅速に行なわなければならないものの、より正確なロケーションがE9−1−1コール・テイカー電子マップ端末上に表示されるのをわずかに長く待機することのできるE9−1−1システムにとって価値あるものであり得る。無線ロケーションシステムはこれらのアプリケーションを、以下で記述する発明力ある多重パスロケーション処理モードでサポートする。AP14はこのモードを多重パスロケーション記録でサポートする。一部のエントリについては、AP14中のタスキングリストは、特定のアプリケーションがロケーションのおおよその推定をそれ以前に受信しなければならない最大タイムリミット及び特定のアプリケーションがそれ以内に第1のロケーション推定を受信しなければならない第2の最大タイムリミットを標示するフラグを内含する。これらの一部のアプリケーションについては、AP14は、例えば第1のパス推定(すなわちおおまかなもの)又は最終的パス推定にセットされうる、記録内に内含されたロケーション推定の状態を標示するフラグをロケーション記録内に内含している。無線ロケーションシステムは一般に、そのアプリケーションによってセットされたタイムリミット内の最良のロケーション推定を決定することになる、すなわち、無線ロケーションシステムは、そのタイムリミット内にサポートできるRFデータのほとんどの量を処理することになる。いずれの特定の無線送信機でも単数又は複数のアプリケーションについての1つのロケーション記録をトリガーできることから、無線ロケーションシステムは多数のモードを同時にサポートする。例えば、特定のMINを伴う無線送信機は「911」を呼出すことができる。こうして、E9−1−1アプリケーションについては2パスロケーション記録が、ただしその特定のMINを監視しているフリートマネージメントアプリケーションについては単一パスロケーション記録がトリガーされ得る。このことは、任意の数のアプリケーションに対し拡張可能である。
【0141】
多重復調及びトリガー
都市部又は過密な郊外エリア内の無線通信システムにおいては、周波数又はチャンネルは、比較的近距離で何度も再利用できる。無線ロケーションシステムは、無線通信システムを使用することなく無線伝送を独立して検出し復調する能力をもつことから、無線ロケーションシステム内で多重SCS10において単一無線伝送を頻繁に検出しうまく復調させることができる。このことは意図的及び非意図的の両方で起こりうる。非意図的な発生は、近い周波数の再利用によってひき起こされ、従って、各SCS10が自らSCS10と同時にロケーションが特定されたセルサイト内でのみ発生する伝送のみを監視していると考えられているとき、複数のSCS10において予め定められた閾値より上で特定の無線伝送が受信される可能性がある。特定のセルサイトで及び特定の周波数上で発生する伝送を検出し復調するべく複数のSCS10をプログラミングすることによって、意図的発生がひき起こされる。前述したとおり、これは一般に、いずれかの特定の無線伝送がうまく検出され復調される確率をさらに増大させるためシステム復調冗長性を提供するべく、隣接する又は近接した複数のSCS10について使用される。
【0142】
いずれのタイプの事象も潜在的に、無線ロケーションシステム内の多数のトリガーを導き、ロケーション処理を同じ伝送について数回開始させる可能性がある。こうして処理及び通信資源の過度でかつ非効率的な使用がひき起こされる。従って、無線ロケーションシステムは、同じ伝送が検出され一度以上変調された時点でそれを検出し、ロケーション処理のための出発点として最高の復調SCS10を選択するための手段を内含している。無線ロケーションシステムが多重SLS/アンテナにおいて同じ伝送を多数回検出しうまく復調させた時点で、無線ロケーションシステムは、ロケーション処理をトリガーし可能であれば開始させるか否かを決定するプロセスを続行するために使用すべき1つの復調SCS/アンテナを選択するのに、以下のような基準を使用する(ここでも又、これらの基準は最終的決定を見極める上で重みづけされる可能性がある);(i)特定の周波数が割当てられたセルサイトにおいて同時にロケーション特定されたSCS/アンテナが、もう1つのSCS/アンテナよりも好ましいが、この選好性は、その特定の周波数が割当てられたセルサイトにおいて同時にロケーション特定された動作中の及びオンラインSCS/アンテナが全く存在しない場合調製され得る、(ii)より高い平均SNRをもつSCS/アンテナが、より低い平均SNRをもつものよりも好まれる、及び(iii)伝送を復調する上でより少ないビットエラーしかもたないSCC/アンテナが、より高いビットエラーを伴うものよりも好まれる。これらの選好性の各々に適用される重みづけは、各システムの特定の設計に適合するように無線ロケーションシステムのオペレータによって調整され得る。
【0143】
無線通信システムへのインターフェイス
無線位置検出のシステムは、移動体交換局(MSC)又は移動体位置決めコントローラ(MPC)といったような、無線通信システムへのインタフェース上で通信するための手段を内含する。このインタフェースは、例えば、IS−41又はTCP/IPプロトコルの最近のバージョンといったような標準的な安全プロトコルに基づいていてよい。これらのプロトコルの書式、フィールド及び認証アスペクトは周知のものである。無線ロケーションシステムはこのインタフェース上に、無線通信システムにロケーション記録を渡すための手段を提供するのと同様に、無線伝送の成功裡の検出、復調及びトリガーを補助するべく設計されているさまざまな指令/応答及び情報の識別子をサポートする。特に、このインタフェースは、どの無線送信機が特定のセルサイトで特定の音声チャンネルパラメータに割当てられたかについての情報を無線ロケーションシステムが得るための手段を提供している。無線通信システムに対するこのインタフェース上で無線ロケーションシステムによりサポートされる識別子の一例としては、以下のものが含まれる:
【0144】
MIN/MDN/MSID/IMSI/TMSIマッピングについての問合せ。
−すなわち、一部のタイプの無線送信機は、電話回線網上で呼出されうる周知の形態でそのアイデンティティを伝送することになる。その他のタイプの無線送信機は、電話で呼出しできないものの無線通信システムの内部のテーブルを用いて呼出しできる番号へと翻訳されるアイデンティティを伝送することになる。伝送されたアイデンティティは大部分の場合永続的であるが、一時的なものでもあり得る。AP14に接続されたロケーションアプリケーションのユーザーは標準的に、電話で呼出しできるアイデンティティを用いてタスキングリスト上にトリガーを置くことの方を好む。電話で呼出しできるアイデンティティは標準的に移動体ディレクトリ番号(MDN)として知られている。翻訳が必要とされうるその他のタイプのアイデンティティとしては、移動体アイデンティティ番号(MIN)、移動体加入者アイデンティティ(MSID),国際移動体加入者アイデンティティ(IMSI)及び一時的移動体加入者IYD(TMSI)が含まれる。無線通信システムが無線送信機により伝送された識別子内のデータフィールドのいずれかについての暗号化の使用を有効化した場合、無線ロケーションシステムは同様に、アイデンティティ情報と共に暗号化情報についても問合せすることができる。無線ロケーションシステムは、ロケーションアプリケーションによってタスキングリスト上に置かれたトリガーアイデンティティのための代替的アイデンティティについて無線通信システムに問合せるか、又はSCS10によって復調されたアイデンティティのための代替的アイデンティティについて無線通信システムに問合せるための手段を内含する。その他の事象も同様にこのタイプの問合せをトリガーすることができる。このタイプの問合せについては、標準的に、無線ロケーションシステムは指令を開始し、無線通信システムは応答する。
【0145】
音声RFチャンネル割当てにおける指令変更についての問合せ。
−すなわち、音声チャンネル上の数多くの無線伝送は、アイデンティティ情報を内含しない。従って、音声チャンネル伝送についてのロケーション処理を実施するために無線ロケーションシステムがトリガーされた時点で、無線ロケーションシステムは、それがそのためにトリガーされた特定の送信機についての現行の音声チャンネル割当て情報を得るために無線通信システムに問合せする。例えばAMPS伝送については、無線ロケーションシステムは好ましくは無線送信機が現在使用中のセルサイト、セクター及びRFチャンネル番号を要求する。例えばTDMA伝送については、無線ロケーションシステムは好ましくは、無線送信機が現在使用中のセルサイド、セクター、RFチャンネル番号及びタイムスロットを要求する。必要とされ得るその他の情報データとしては、長コードマスク及び暗号化キーが含まれる。一般に、無線ロケーションシステムは指令を開始し、無線通信システムは応答することになる。しかしながら無線ロケーションシステムは同様に、本書に記述された情報を含む無線通信システムからのトリガー指令をも受諾することになる。
【0146】
この指令/応答識別子セットについてのタイミングは、音声チャンネルハンドオフが無線通信システム内できわめて頻繁に発生しうることから、非常に重要である。すなわち、無線ロケーションシステムは、特定のチャンネル上で伝送中のあらゆる無線送信機をロケーション特定することになる − 従って無線ロケーションシステム及び無線通信システムは連帯して、無線送信機のアイデンティティ及び音声チャンネル割当て情報が完璧に同期化状態にあることを確認していなくてはならない。無線ロケーションシステムは、この目的を達成するために複数の手段を使用している。例えば、無線ロケーションシステムは、特定の無線送信機のための音声チャンネル割当て情報を問合せし、必要なRFデータを受信し、次に同じ無線送信機のための音声チャンネル割当て情報を再び問合せ、その後、RFデータが無線ロケーションシステムによって収集されていた時間中無線送信機の状態が変化しなかったということを確認することができる。正しいRFデータが受信されたことを確認することだけが重要であることから、第2の問合せの前にロケーション処理が完了していることは必要ではない。無線ロケーションシステムは同様に、例えば、第1の問合せの一部として、無線ロケーションシステムがRFデータを受信している時間中特定の無線送信機についてハンドオフが発生しないようにするべく無線通信システムに指令を与えることもできる。このとき、RFデータの収集に続いて、無線ロケーションシステムは再びその同じ無線送信機について音声チャンネル割当て情報を問合せ、無線通信システムに対し同じ無線送信機のためのハンドオフを再び許すよう指令を与え、その後、無線ロケーションシステムによりRFデータが収集されていた時間中無線送信機の状態が変化しなかったことを確認することになる。
【0147】
種々の理由から、無線ロケーションシステム又は無線通信システムのいずれかが、ロケーション処理を実施するに先立ち無線送信機がもう1つの音声RFチャンネルに割当てられることを好む可能性がある。従って、指令/応答シーケンスの一部として、無線通信システムは無線ロケーションシステムに対して、無線通信システムが無線送信機とのハンドオフシーケンスを完了し無線通信システムが無線ロケーションシステムに対しRFデータを受信できること及びデータを受信できる音声RFチャンネルを通知してしまうまで一時的にロケーション処理を中断するように命令することができる。代替的には、無線ロケーションシステムは、特定の無線送信機が現在使用している特定の音声RFチャンネルが、受諾可能なロケーション推定を得るために不適当であると決定し、無線通信システムが無線送信機にハンドオフするべく指令を与えるよう要求することができる。
【0148】
代替的には、無線ロケーションシステムは、無線通信システムが、一連のロケーション推定を実施するため順番に一連の音声RFチャンネルにハンドオフするべく無線送信機に指令することを要求でき、こうして無線ロケーションシステムは、一連のハンドオフを通してロケーション推定の精度を改善することができる。この方法については、後でさらに記述する。
【0149】
無線ロケーションシステムは同様に、特定のセルサイトで特定の時刻に特定の音声チャンネル(及びタイムスロットなど)を使用していた無線送信機のアイデンティティについて無線通信システムに問合せするためにこの指令/応答識別子セットを使用することもできる。こうして無線ロケーションシステムはまず第1にアイデンティティを知らずに伝送に対するロケーション処理を実施し、次に、伝達を行なっている無線送信機のアイデンティティを後に決定しこの情報をロケーション記録に追加することができるようになる。この特定の発明力ある機能により、音声チャンネル伝送の自動的逐次ロケーションの使用を可能にする。
【0150】
トリガーを受信する。
− 無線ロケーションシステムは、無線送信機のアイデンティティを知らずに音声チャンネル伝送についてのロケーション処理を実施するため、無線通信システムからのトリガーを受信できる。この識別子セットはタスキングリストをバイパスし、無線ロケーションシステム内のトリガー機構を使用しない。むしろ、無線通信システムは単独で、どの無線伝送のロケーションを特定すべきかを決定し、次に、特定のセルサイトで特定の音声チャンネルからのRFデータを収集しロケーション処理を実施するための指令を無線ロケーションシステムに送る。無線ロケーションシステムは、RFデータが収集された時のタイムスタンプを含む確認で応答する。無線ロケーションシステムは同様に、ロケーション処理が完了した時点で、適切な書式のロケーション記録で応答する。無線ロケーションシステムに対する指令の時刻及びRFデータ収集タイムスタンプを伴う応答に基づいて、無線通信システムは、無線送信機の状態が指令の後に変化したか否か及びRFデータ収集に成功する確率が高いか否かを決定する。
【0151】
伝送を行なう。
− 無線ロケーションシステムは、無線通信システムに対し、特定の時刻に又は規定の時間範囲内で伝送を行なうように特定の無線送信機を強制するよう指令することができる。無線通信システムは、確認及びその伝送が予定される時刻又は時間範囲で応答する。無線ロケーションシステムが強制しうる伝送のタイプとしては、例えば、監査応答及びページング応答がある。この識別子セットを用いて、無線ロケーションシステムは同様に、より高いパワーレベル設定値を用いて伝送するべく無線送信機を強制するよう、無線通信システムに指令することもできる。数多くのケースにおいて、無線送信機は、バッテリ寿命を保存するため伝送する時点で最低のパワーレベル設定値を使用するよう試みることになる。ロケーション推定の精度を改善するため、無線ロケーションシステムは、無線送信機がより高いパワーレベル設定値を使用することを選好する可能性がある。無線通信システムは、無線ロケーションシステムに対し、より高いパワーレベル設定値が使用される予定であるという確認と伝送が予想される時刻又は時間範囲で応答する。
【0152】
移動体へのアクセスへの無線通信システムの応答を遅延させる。
− CDMAといったような一部のエアインタフェースプロトコルは、無線送信機が例えば最低の又は非常に低いパワーレベル設定値でアクセスチャンネルといったようなチャンネル上での伝送を開始し、次に(i)無線送信機がアクセス伝送を行なう、(ii)無線送信機が無線通信システムからの応答を待つ;(iii)予め定められた時間内に無線通信システムからのいかなる応答も無線送信機が受信しなかった場合、無線送信機はそのパワーレベル設定値を予め定められた量だけ増大させ次にステップ(i)に戻る;(iv)予め定められた時間内に無線通信システムからの応答を無線送信機が受信した場合、無線送信機は次に通常の識別子交換を入力する、という一連のステップを入力するメカニズムを使用している。このメカニズムは、無線送信機が伝送のために最低の有用なパワーレベル設定値のみを使用し、さらにエネルギー又はバッテリ寿命を浪費しないことを確実にするために有用である。しかしながら、無線送信機が無線通信システムとうまく通信できる最低パワーレベル設定値が、受諾可能なロケーション推定を得るのに充分なものでない可能性もある。従って、無線ロケーションシステムは、無線通信システムに対しこれらの伝送に対するこの応答を予め定められた時間又は量だけ遅延させることができる。この遅延動作は、無線送信機に通常よりも1回又は通常よりも多い回数だけステップ(i)〜(iii)のシーケンスを反復させることになり、その結果、アクセス伝送のうちの単数又は複数のものが通常よりも高いパワーレベルにあることになる。より高いパワーレベルは好ましくは、無線ロケーションシステムがより正確なロケーション推定を決定できるようにする可能性がある。無線ロケーションシステムは、特定の無線送信機のため、特定のタイプの無線伝送(例えば全ての「911」呼出しについて)のため、その送信機がそれに対し通信しようとしている基地局から特定された1つの範囲内にある無線送信機のため、又は特定のエリア内の全ての無線送信機のためにこのタイプの遅延動作を指令することができる。
【0153】
無線送信機へ確認を送出する。
− 無線ロケーションシステムは、伝送ができない、すなわち前述のとおり、無線ロケーションシステムは伝送を受信することしかできないことから、1つの動作について無線送信機に通知するための手段を中に内含していない。従って、無線ロケーションシステムが例えば或る動作の完了時点での確認音を送ることを望む場合、無線ロケーションシステムは無線通信システムに特定の識別子を伝送するよう指令する。識別子には例えば、可聴確認音、音声識別子又は無線送信機への合成識別子又は短メッセージサービス又はページングを介して送られるテキスト識別子が含まれ得る。無線ロケーションシステムは、その識別子が受諾され無線送信機に送られたことの確認を無線通信システムから受信する。この指令/応答識別子セットは、ロケーション処理の禁止といったような或る種のエンドユーザーアプリケーション機能を無線ロケーションシステムがサポートすることを可能にする上で重要である。
【0154】
位置検出の記録を報告する。
− 無線ロケーションシステムは無線通信システムに対し報告するタスクをもつ無線送信機についてならびに無線通信システムがトリガーを開始した伝送について、無線通信システムに対してロケーション記録を自動的に報告する。無線ロケーションシステムは同様に、無線通信システムにより問合せされ無線通信システムが受信する許可を得ている任意の履歴ロケーション記録について報告する。
【0155】
内部的な無線通信システムのインターフェイス,状態テーブルを監視する。
無線ロケーションシステムと無線通信システムの間のこの上述のインタフェースに加えて、無線ロケーションシステムは同様に、無線送信機及びこれらの送信機が使用中のRFチャンネルを識別するために無線ロケーションシステムにとって重要である識別子を傍受する目的で無線通信システム内の既存のインタフェースを監視する手段も内含している。これらのインタフェースとしては、例えば、GSMエアインタフェースプロトコルを利用する無線通信システム内で使用される「a−インタフェース」及び「a−bisインタフェース」などが含まれる可能性がある。これらのインタフェースは周知であり、さまざまな規格の中で公表されている。基地局(BTS),基地局コントローラ(BSC)及び移動体交換局(MSC)及びその他のポイント間のこれらのインタフェース上の双方向識別子を監視することにより、無線ロケーションシステムは、無線通信システム自体が知っているものと同じ特定チャンネルに対する無線送信機の割当てについての情報を得ることができる。無線ロケーションシステムはさまざまなポイントで、これらのインタフェースを監視する手段を内含している。例えば、SCS10は、BTSからBSCのインタフェースを監視できる。代替的には、TLP12又はAP14は又、一定数のBTS対BSCのインタフェースが集中させられたBSCを監視することもできる。無線通信システム内部のインタフェースは暗号化されず、階層プロトコルは当業者にとって既知のものである。これらのインタフェースを監視することに関する無線ロケーションシステムの利点は、無線ロケーションシステムには無線送信機からの制御チャンネル識別子を独立して検出し復調することが必要とされない可能性があるという点にある。さらに、無線ロケーションシステムは、これらのインタフェースから全ての必要な音声チャンネル割当て情報を得ることができる。
【0156】
制御チャンネル伝送のためにこれらの手段を用いて、SCS10は前述のように伝送を受信し、検出及び復調無く制御チャンネルRFデータをメモリー内に記録する。別途、無線ロケーションシステムは、無線通信システム内の規定のインタフェース上で発生した識別子を監視し、無線ロケーションシステムがトリガー事象を内含する識別子を発見した時点で無線ロケーションシステム内でトリガーをひき起こす。トリガー事象によって開始され、無線ロケーションシステムは無線伝送が発生したおおよその時刻を決定し、各々伝送開始のためのそのメモリーをサーチするべく第1のSCS10及び第2のSCS10Bに指令する。選ばれたこの第1のSCS10Aは、無線送信機がそれに対し通信を行なった基地局と同時にロケーションが特定されるSCSか又は無線送信機が通信を行なった基地局に隣接するSCSである。すなわち、第1のSCS10Aは一次チャンネルとして制御チャンネルが割当てられたはずのSCSである。第1のSCS10Aが伝送の開始を成功裡に決定し報告した場合には、ロケーション処理は、以下で記述する手段を用いて通常通りに進行する。第1のSCS10Aが伝送の開始を成功裡に決定できない場合には、第2のSCS10Bは伝送の開始を報告し、その後ロケーション処理が通常通りに進行する。
【0157】
無線ロケーションシステムはまた、音声チャンネル伝送のためにもこれらの手段を使用する。タスキングリスト内に含まれた全てのトリガーについて、無線ロケーションシステムはこれらのトリガーに関する識別子のための規定のインタフェースを監視する。対象の識別子としては例えば、音声チャンネル割当て識別子、ハンドオフ識別子,周波数ホッピング識別子,パワーアップ/パワーダウン識別子,有向再試行識別子,終了識別子及びその他の類似の動作及び状況識別子が含まれる。無線ロケーションシステムは、AP14の状態テーブル内にこれらの無線送信機の状態及び状況のコピーを連続的に維持する。無線ロケーションシステムがタスキングリスト内のエントリのうちの1つに関係する識別子を検出する毎に、無線ロケーションシステムは、自らの状態テーブルを更新する。その後、無線ロケーションシステムは、例えば規則的な時間的間隔でロケーション処理を実施するべくトリガーし、状態テーブルにアクセスしてどのセルサイト、セクター、RFチャンネル、及びタイムスロットが現在無線送信機により使用されているかを精確に決定することができる。本書に含まれている例は、無線ロケーションシステムがGSMベースの無線通信システムにインターフェイスするのに用いる手段を記述していた。無線ロケーションシステムは同様に、その他のエアインターフェイスに基づくシステムを用いた類似の機能をサポートすることもできる。
【0158】
CDMAといったような或る種のエアインターフェイスのためには、無線ロケーションシステムは同様に、状態テーブル内に制御チャンネル内のアクセスバーストから得られた或る種のアイデンティティ情報をも保持する。この情報は後に、音声チャンネルのために使用されたマスクを復号するために使用される。例えば、CDMAエアインターフェイスプロトコルは、一部には音声チャンネル伝送の符号化で使用される長コードマスクを決定するために無線送信機の電子通し番号(ESN)を使用する。数多くの無線送信機が情報を1度しか伝送できない、すなわち例えば数多くのCDMA移動体が地理的エリア内で無線送信機が活動状態となった後最初のアクセスバーストの間にそのESNを伝送するだけとなることから、無線ロケーションシステムはタスキングリスト内へのエントリのために状態テーブル内にこの情報を維持する。長コードマスクを独立して決定するこの能力は、無線ロケーションシステムと無線通信システムの間のインタフェースが作動状態にない場合及び/又は無線ロケーションシステムが無線通信システムの内部のインタフェースの1つを監視できない場合にひじょうに有用である。無線ロケーションシステムのオペレータは、全ての無線送信機についてアイデンティティ情報を維持するべく無線ロケーションシステムを任意にセットすることができる。上述の理由に加えて、無線ロケーションシステムは、「911」を呼出すことによりロケーション処理をトリガーする全ての無線送信機のための音声チャンネル追跡を提供することができる。前述のように、無線ロケーションシステムは、例えば「911」を呼出した後規定の時間中1つの無線送信機に対するロケーションを提供するのに動的タスキングを使用する。状態テーブル内に全ての無線送信機についてのアイデンティティ情報を維持することにより、無線ロケーションシステムは、規定のトリガー事象の場合に、タスキングリスト内に先行エントリを伴うものだけではなく全ての送信機について音声チャンネル追跡を提供することができる。
【0159】
アプリケーションのインターフェイス
AP14を用いて、無線ロケーションシステムは、TCP/IP,X25SS7及びIS−41といったような安全プロトコルを用いたエンドユーザー及びキャリヤロケーションアプリケーションに対するさまざまな規格ベースのインタフェースをサポートする。AP14と外部アプリケーションの間の各インタフェースは、AP14に接続されたアプリケーションのアイデンティティをAP14が肯定的に確認できるようにする安全かつ認証済みの接続である。これは、各々の接続されたアプリケーションが、実時間及び/又は履歴ベースでロケーション記録に対する制限されたアクセスしか付与されていないということを理由として、必要なものとなっている。さらに、AP14は、以下でさらに詳述する付加的な指令/応答、実時間及び後処理機能をサポートする。これらの付加的な機能に対するアクセスには、同様に認証が必要とされる。AP14は、ユーザーリスト及び各ユーザーに結びつけられた認証手段を維持する。いかなるアプリケーションも、そのアプリケーションが適正な認証又はアクセス権をもたないロケーション記録又は機能にアクセスすることはできない。さらにAP14は、問題が発生したか又はその後の動作調査が必要とされる場合に各アプリケーションが行なった動作の完全なロギングをサポートする。以下のリスト中の各指令又は機能について、AP14は好ましくは、該当する場合に各々の動作又はその結果を確認するプロトコルをサポートする。
【0160】
タスキングリストを編集する。
− この指令は外部アプリケーションが、各エントリと結びつけられたあらゆるフィールド及びフラグを含めて、タスキングリスト内のエントリを付加、除去又は編集することを可能にする。この指令は、単一指令内にエントリリストが内含されているバッチエントリベースか又は単一エントリベースでサポートされ得る。後者は、例えば外部アプリケーションによりさらに大量の無線送信機をサポートしているロケーション依存形ビリングといったようなバルクアプリケーションにおいて有用であり、プロトコルオーバーヘッドを最小限におさえることが望まれる。この指令はタスキングリスト内の特定のエントリのためにアプリケーションを付加又は消去することができるが、エントリが指令を発するアプリケーションと結びつけられていないか又はこのアプリケーションにより許可されていないその他のアプリケーションをも内含する場合、そのエントリを完全に消去することはできない。
【0161】
位置検出の間隔を設定する。
− 無線ロケーションシステムは、制御チャンネル又は音声チャンネル上で、特定の無線送信機のために任意の間隔でロケーション処理を実施するようにセットされ得る。例えば、或る種のアプリケーションは、送信機が音声チャンネル上での伝送に携わっているとき数秒毎の無線送信機のロケーションを必要とする可能性がある。無線送信機が最初の伝送を行なうとき、無線ロケーションシステムは最初にタスキングリスト内の標準エントリを用いてトリガーする。このエントリ内のフィールド又はフラグの1つがセットされた間隔で更新済みロケーションを特定したならば、無線ロケーションシステムは、アイデンティティ又はその他の伝送された基準ではなくタイマーによりトリガーされるタスキングリスト内の動的タスキングを新規作成する。1秒から数時間の範囲に及び得るタイマーの期限満了毎に、無線ロケーションシステムは自動的にトリガーして無線送信機おロケーションを特定する。無線ロケーションシステムは、前述のような音声呼出しパラメータを含む無線送信機の状況を問合せするため無線通信システムに対するそのインタフェースを使用する。無線送信機が音声チャンネル上での伝送に携わっている場合には、無線ロケーションシステムはロケーション処理を実施する。無線送信機がいかなる既存の伝送にも携わっていない場合、無線ロケーションシステムは、無線送信機に直ちに伝送させるよう無線通信システムに指令を与えることになる。動的タスクがセットされた時点で、無線ロケーションシステムは同様に、動的タスキングが停止する期限満了時刻もセットする。
【0162】
エンドユーザの付加/消去。
− この指令は、ロケーション処理が有効化された状態でタスキングリスト上に無線送信機のアイデンティティを置くため、タスキングリストから無線送信機のアイデンティティを除去し従ってトリガーとしてアイデンティティを削除するため、又はロケーション処理が有効化された状態でタスキングリスト上に無線送信機のアイデンティティを置くために、無線送信機のエンドユーザーによって実行され得る。「ロケーション処理禁止」として知られているようにエンドユーザーによりロケーション処理が無効化された時点で、無線送信機のためにいかなるロケーション処理も実行されなくなる。無線ロケーションシステムのオペレータは、エンドユーザーによる「ロケーション処理禁止」指令に応答して、無線ロケーションシステムによる複数の動作のうちの1つを任意に選択することができる:すなわち(i)無効化動作は、「911」といったような緊急呼出しに起因するトリガーを含め、タスキングリスト内のその他全てのトリガーをオーバーライドすることができる。(ii)無効化動作は、「911」といったような緊急呼出しに起因するトリガーを除き、タスキングリスト内のその他のあらゆるトリガーをオーバーライドすることができる。(iii)無効化動作は、タスキングリスト内のその他のトリガー選択によってオーバーライドされ得る。第1のケースでは、何らかの理由でその送信機上でいかなるロケーション処理も実施されなくなることから、エンドユーザーには無線送信機による伝送のプライバシに関し完全な制御が付与されている。第2のケースでは、エンドユーザーは、緊急事態の間でもなおロケーションの恩恵を受けることができるが、その他の時刻には全く受けられない。第3のケースの1例においては、特定の無線送信機の実際の所有者である雇用主は、ジョブの一部として無線送信機を使用しているもののロケーションを特定されることを望まないかもしれない1人の従業員によるエンドユーザー動作をオーバーライドすることができる。無線ロケーションシステムは、その他のアイデンティティに対する無線伝送内に内含されたアイデンティティのマッピングを得るため、上述のように、無線通信システムを問合せることができる。
【0163】
エンドユーザーによる付加及び消去は、入力された文字及び数字シーケンス及び、無線送信機上で「SEND」又はその等価物のボタンを押すことによって、実施される。これらのシーケンスは任意には無線ロケーションシステムのオペレータによって選ばれ通知されてもよい。例えば、1つのシーケンスは、ロケーション処理を無効化するための「55 SEND」でありうる。その他のシーケンスも同様に可能である。エンドユーザーがこの規定のシーケンスを入力できた時点で、無線送信機は無線通信システムの規定の制御チャンネルの1つの上でそのシーケンスを伝送することになる。無線ロケーションシステムは、全ての逆制御チャンネル伝送を独立して検出し復調することから、無線ロケーションシステムは独立して、入力された規定のシーケンスを解釈し、上述のようにタスキングリストに対し適切な機能更新を行なうことができる。無線ロケーションシステムがタスキングリストに対する更新を完了した時点で、無線ロケーションシステムはエンドユーザーに対して確認を送るべく無線通信システムに指令を出す。前述のように、これは可聴音、録音された又は合成された音声又はテキスト識別子の形をとり得る。この指令は、無線ロケーションシステムと無線通信システムの間のインタフェース上で実行される。
【0164】
指令の伝送。
− この指令により、外部アプリケーションは特定の無線送信機又は無線送信機群に伝送を行なわせるべく無線通信システムに対し無線ロケーションシステムが指令を出すようにすることができる。この指令は、無線送信機(単複)が直ちに又は規定の時刻に伝送すべきフラグ又はフィールドを内含することができる。伝送は検出され復調されトリガーされロケーション処理及びロケーション記録の生成をひき起こすことになるため、この指令は、指令時点で無線送信機(単複)のロケーションを特定しようと努める。これは、無線送信機のための次の登録時間を待機すること又は独立した伝送が発生するのを待つことといったような、ロケーションを決定する上での何らかの遅延を削除又は削減する上で有用である。
【0165】
外部データベースの質問および更新。
− 無線ロケーションシステムは、外部データベースをアクセスし、無線送信機のアイデンティティ又は伝送中に含まれたその他のパラメータ又はトリガー基準を用いて前記外部データベースを問合せし、新しい増強されたロケーション記録を新規作成するべく無線ロケーションシステムにより生成されたデータと外部データベースから得られたデータを併合するための手段を内含する。このとき、増強されたロケーション記録を、要求するアプリケーションに対し転送することができる。外部データベースは例えば、顧客情報、医療情報、加入機能、アプリケーション関連情報、顧客勘定情報、コンタクト情報又はロケーショントリガー事象の時点で行なうべき規定の動作のセットといったようなデータ要素を含むことができる。無線ロケーションシステムは同様に、例えばロケーションサービスの提供に付随するビリング計数器の増減を行なうため又は特定の無線送信機に結びつけられた最新ロケーション記録を用いて外部データベースを更新するため、外部データベースに対する更新をひき起こすこともできる。無線ロケーションシステムは、複数の外部データベース上で本書に記述した動作を実行するための手段を内含している。アクセスすべき外部データベースのリスト及びシーケンス及び行なうべき後続動作は、タスキングリスト内のトリガー基準内に含まれたフィールドの1つの中に含まれている。
【0166】
ランダムな匿名の位置検出の処理。
− 無線ロケーションシステムは、大規模ランダム匿名ロケーション処理を実施するための手段を内含する。この機能は、個々の送信機の特定のアイデンティティを考慮することなく1つの無線送信機母集団について大量のデータを収集することを必要とする或るタイプのアプリケーションにとって貴重なものである。このタイプのアプリケーションとしては、1つの伝送のロケーション及びその他のパラメータを同時に決定することにより無線キャリヤが無線通信システムの性能を測定できるようにするRF最適化;政府機関及び商業的事務所が車両中で走行する無線送信機の統計的に有意の標本を用いてさまざまな公道上の交通の流れを監視できるようにする交通量管理;及び商業的企業が、特定の事業の実現性を決定する一助となりうる特定のエリア周辺の交通の流れを推定できるようにする、局所的交通量推定、がある。
【0167】
ランダムな匿名の位置検出の処理を要求するアプリケーションは任意には、次の2つのソースからロケーション記録を受けとる;すなわち(i)その他のアプリケーションのために生成されたロケーション記録のコピー及び(ii)いずれかの特定の基準を考慮することなく無線ロケーションシステムによって無作為にトリガーされたロケーション記録のいずれかのソースから生成されたロケーション記録は全て、ロケーション記録から取出されたアイデンティティ及びトリガー基準の全てと共に転送される。しかしながら、要求しているアプリケーション(単複)は、その記録が完全にランダムなプロセスから生成されたものであるか又はもう1つのトリガー基準からのコピーであるかを決定することができる。ランダムロケーション記録は、処理及び通信資源が利用可能である場合につねにランダムに選択された伝送についてロケーション処理を行ないそうでなければ特定の時点で未使用状態となる無線ロケーションシステム内の優先性の低いタスクによって生成される。要求しているアプリケーション(単複)は、ランダムロケーション処理が、無線ロケーションシステムの全通信範囲エリア全体にわたり実施されるか、規定の公道に沿ってといったような特定の地理的エリア全体にわたり実施されるか、又は特定セルサイトの通信エリアによって実施されるかを特定することができる。かくして、要求するアプリケーション(単複)は、無線ロケーションシステムの資源を各アプリケーションにとって最大の関心事であるこれらのエリアに向けることができる。アプリケーション(単複)が望むランダム度に応じて、無線ロケーションシステムは、例えば登録識別子,発信識別子,ページング応答MG又は音声チャンネル伝送といったような或るタイプの伝送をランダムに選択するため選好性を調整することができる。
【0168】
地理的なグループの匿名の追跡。
− 無線ロケーションシステムは、規定の地理的エリア内で匿名の無線送信機群のため反復的ベースでロケーション処理をトリガーするための手段を内含する。例えば、特定のロケーションアプリケーションは、規定の時間にわたり、ただし無線送信機の特定のアイデンティティを無線ロケーションシステムが開示することなく、1つの無線送信機の走行ルートを監視することを望むかもしれない。この時間は、多くの時間、日数又は週数である可能性がある。この手段を用いて、無線ロケーションシステムは、そのアプリケーションにとって関心ある地理的エリア内で伝送を開始する無線送信機をランダムに選択する;対象の伝送に対するロケーション処理を実行する;無線送信機のアイデンティティを新しい符号化された識別子へと不可逆的に翻訳し暗号化する;要求するロケーションアプリケーション(単複)に対しロケーション記録を転送する;及びその無線送信機のためのタスキングリスト内で、付随する期限満了時間を有する動的タスクを新規作成する。その後、規定の無線送信機が伝送を開始するときにはつねに、無線ロケーションシステムはこの動的タスクを用いてトリガーし、対象の伝送についてロケーション処理を実施し、その無線送信機のアイデンティティを、符号化された識別子が同じになるように同じ手段を用いて、新しい符号化された識別子へと不可逆的に翻訳及び符号化し、符号化された識別子を用いてロケーション記録を新規作成し、要求するロケーションアプリケーション(単複)へとロケーション記録を転送する。本書で記述されている手段は、制御又は音声チャンネル伝送を用いて、このタイプの監視を実施するため無線ロケーションシステムのその他の機能と組合わせることができる。さらに、本書で記述された手段は、無線送信機のプライベートアイデンティティを完全に保存し、さらに無線送信機の走行パターンを監視できるもう1つの種類のアプリケーションを有効化する。この種のアプリケーションは、新しい道路の計画設計、代替ルートの計画又は商業及び小売りペースの建設を決定する上で高い価値をもちうる。
【0169】
位置検出の記録のグループ化、分類、およびラベル付け。
− 無線ロケーションシステムは、ロケーション記録をグループ化、分類又はラベル付けするべく或る種の要求アプリケーションのためのロケーション記録を後処理する手段を内含する。無線ロケーションシステムがサポートする各インタフェースについて、無線ロケーションシステムは、そのアプリケーションがそれについて認証されているのと同時にそれを要求しているデータのタイプ及びそのアプリケーションが望む後処理動作又はフィルタのタイプのプロフィールを記憶する。本書に含まれた例のような数多くのアプリケーションは、個々の送信機の特定アイデンティティ又は個々のロケーション記録を必要としない。例えば、RF最適化アプリケーションは、それが任意の個々のロケーション記録から導き出せる以上の価値を、特定のセルサイト又はチャンネルのためのロケーション記録の大きなデータセットから導き出す。もう1つの例として、交通量監視アプリケーションは、規定の道路又は高速道路上にある送信機からのロケーション記録のみを要求し、付加的に、これらの記録が道路又は公道の区画別及び走行方向別にグループ化されることを要求する。その他のアプリケーションは、例えば、電子マップ上において道路セグメントに隣接してではなくむしろ製図された道路セグメント上に直接送信機のロケーションが現われるような形で送信機のロケーション推定を調整することにより、視覚的表示のアピール度を高めるように書式化されたロケーション記録を無線ロケーションシステムが転送することを要求するかもしれない。従って、無線ロケーションシステムは好ましくは、最寄の製図された道路セグメントに対しロケーション推定を「スナップする」。
【0170】
無線位置検出のシステムは、特定のセルサイト、セクター、RFチャンネル又はRFチャンネル群上でのみ通信する無線送信機のための1つのアプリケーションに対しロケーション記録をろ過し報告することができる。記録を要求アプリケーションに転送する前に、無線ロケーションシステムはまず最初に、記録内の適切なフィールドが必要条件を満たすことを確認する。必要条件と整合しない記録は転送されず、必要条件と整合する記録が転送される。一部のフィルタは地理的なものであり、無線ロケーションシステムにより計算されなくてはならない。例えば、無線ロケーションシステムは、最も近い道路セグメント及びその道路セグメント上の無線送信機の走行方向を決定するべくロケーション記録を処理することができる。このとき無線ロケーションシステムは、特定の道路セグメント上にあることが決定された記録のみをそのアプリケーションに転送することができ、又、決定された道路セグメントを含むフィールドを付加することによってロケーション記録をさらに増強することができる。最も近い道路セグメントを決定するために、無線ロケーションシステムには、要求アプリケーションにより対象の道路セグメントのデータベースが提供される。このデータベースは、各道路セグメントがその各地点を定義する緯度及び経度座標と共に記憶されている1つのテーブルの中に記憶される。各々の道路セグメントは、直線又は曲線としてモデリングされ得、1つ又は2つの走行方向をサポートするようにモデリングされ得る。
【0171】
次いで、無線ロケーションシステムによって決定された各位置検出の記録について、無線ロケーションシステムは、ロケーション記録内の緯度及び経度をデータベース内に記憶された各々の道路セグメントに比較し、ロケーション記録の緯度及び経度にセグメントのエンドポイントを結ぶモデリングされた線からの最短距離を決定する。この最短距離は、記憶された道路セグメントの2つのエンドポイントを結ぶ線に直交する計算上の仮想線である。最も近い道路セグメントが決定された時点で、無線ロケーションシステムはさらに、ロケーション処理により報告された無線送信機の走行方向の道路セグメントの方向性と比較することによって、道路セグメント上の走行方向を決定することができる。このとき道路セグメントの方向性との関係において最小誤差を生み出す方向が、無線ロケーションシステムにより報告される。
【0172】
ネットワークの操作のコンソール(NOC)16
NOC16は、無線ロケーションシステムのオペレータが無線ロケーションシステムのプログラミングパラメータに対し容易にアクセスできるようにするネットワーク管理システムである。例えば、一部の都市においては、無線ロケーションシステムは、何百さらには何千もの数多くのSCS10を内含している可能性がある。NOCは、グラフィカルユーザーインタフェース能力を用いて、大型無線ロケーションシステムを管理するための最も有効な方法である。NOCは同様に、無線ロケーションシステム内の或る機能が適切に作動していない場合に実時間警告を受信する。これらの実時間警告は、矯正的動作を行ないロケーションサービスの劣化を防ぐようオペレータが使用できるものである。無線ロケーションシステムの試行を伴う実験から、経時的に優れたロケーション精度を維持するシステムの能力が、その予め定められたパラメータ内でシステムを作動させ続けるオペレータの能力に直接関係づけされる、ということがわかる。
【0173】
位置検出の処理
無線ロケーションシステムは、中央ベース処理と局ベース処理として知られている2つの異なる方法を用いてロケーション処理を実施する能力をもつ。両方の技術はまず最初に特許第5,327,144号に開示されており、本明細書内でさらに増強されている。ロケーション処理は、一部には、多重アンテナ及び多重SCS10で受信された通りの信号のいくつかの位相特性を正確に決定する能力に依存している。従って、受信信号の位相特性を決定するロケーション処理の能力を妨げるフェーズエラー源を識別し取り除くことが無線ロケーションシステムの目的である。1つのフェーズエラー源は、無線送信機自体の内部にある、すなわち、伝送のため電話が特定チャンネルに同調できるようにするフェーズロックループ及び発振器(標準的には水晶発振器)である。低コストの水晶発振器は一般により高いフェーズノイズを有することになる。TS−136及びIS−95Aといったような一部のエアインタフェース仕様は、無線電話が伝送できるフェーズノイズを網羅する仕様を有する。IS−553Aといったようなその他のエアインタフェース仕様は、フェーズノイズを密に規定していない。従って本発明の目的は、一部には中央ベース処理又は局ベース処理の使用を自動的に選択することによりロケーション処理におけるフェーズエラー源としての無線送信機のフェーズノイズを自動的に低減しかつ/又は削除することにある。自動選択には同様に、SCS10とTLP12の間の通信リンクを使用する効率、及びSCS10及びTLP12の各々におけるDSP資源の利用可能性も考慮されることになる。
【0174】
中央ベース処理を使用するとき、TDOA及びフィールドOA決定及び多重経路処理は、位置及び速度の決定と合わせて、TLP12内で実施される。この方法は、無線送信機が予め定められた閾値より高いフェーズノイズを有する場合に好まれる。これらのケースでは、中央ベース処理がフェーズエラー源としての無線送信機のフェーズノイズを低減又は削除する上で最も有効であるが、これは、TDOA推定が、同じくSCS10又は異なるSCS10にありうる2本のアンテナからの実際のRF伝送のデジタル表現を用いて実施されるからである。この方法においては、当業者は、送信機のフェーズノイズがTDOA処理における同相ノイズであり、従ってTDOA決定プロセスにおいて自己取消しするものであることを認識するだろう。この方法は、例えば、高いフェーズノイズをもつ数多くの非常に低コストのAMPSセルラー電話の場合に最もうまく働く。中央ベース処理における基本ステップは、以下に列挙され図6の流れ図で表わされているステップを含む:
【0175】
無線送信機が、制御チャンネル又は音声チャンネルのいずれかの上で1つの伝送を開始させる(ステップS50);
該伝送は、無線ロケーションシステム内の多数のSCS10及び多数のアンテナにおいて受信される(ステップS51);
該伝送は、各SCS/アンテナに接続された受信機の中でデジタル書式に変換される(ステップS52);
デジタルデータは、各SCS10において受信機内のメモリーに記憶される(ステップS53);
伝送は復調される(ステップS54);
無線ロケーションシステムは、伝送のためにロケーション処理を開始すべきか否かを決定する(ステップS55);
トリガされた場合、TLP12は、多数のSCS10において受信機内のメモリーからデジタルデータのコピーを要求する(ステップS56);
デジタルデータが、多数のSCS10から選択されたTLP12まで送られる(ステップS57);
TLP12は、アンテナ対からのデジタルデータについてTDOA,フィールドOA及び多重経路軽減を実施する(ステップS58);
TLP12は、TDOAデータを用いて位置及び速度決定を実施し、次にロケーション記録を新規作成し、ロケーション記録をAP14に転送する(ステップS59)。
【0176】
無線位置検出のシステムは、SCS10からTLP12までデジタルデータを送るときその伝送を表現するために可変的数のビットを使用する。前述のとおり、SCS受信機は、充分なダイナミックレンジを達成するため、1つのデジタル標本あたりの高い解像度つまり大きいビット数で無線送信機をデジタル化する。このことは、SCS70Aの近く及びSCS10Bから離れたところで信号を同時に受信している可能性のある広帯域デジタル受信機を用いた場合に特に必要とされる。例えば、84dBのダイナミックレンジを表現するためには、最高14ビットが必要とされる可能性がある。しかしながらロケーション処理は必ずしも、デジタル標本毎に高い解像度を必要とするわけではない。往々にして、充分な精度のロケーションは、無線ロケーションシステムが一デジタル標本あたり比較的少ないビット数を用いることによって達成可能である。従って、各々のSCS10とTLP12の間で通信リンク上の帯域幅を保つことにより無線ロケーションシステムの実現コストを最小限にするため、無線ロケーションシステムは、望ましい精度レベルをさらに維持する一方で1つの伝送をデジタル表現するために必要とされる最少ビット数を決定する。この決定は例えば、無線送信機により使用された特定のエアインタフェースプロトコル、伝送のSNR,フェーディング及び/又は多重経路による伝送混乱度及び各SCS10内の処理及び通信待ち行列の現在の状態などに基づいている。SCS10からTLP12に送られたビット数は、標本あたりのビット数が最小限におさえられること、及び可能なかぎり最短の長さつまり最少限のセグメントがロケーション処理のために使用されること、といった2つの方法で削減される。TLP12は、この最少限のRFデータを用いてロケーション処理を実施し、次に望ましい精度レベルと結果を比較する。この比較は、確信間隔計算に基づいて実施される。ロケーション推定が望ましい精度限界内に入らない場合、TLP12は選択されたSCS10から再帰的に付加的データを要求することになる。付加的データには、デジタル標本あたりの付加的なビット数が含まれる可能性があり、かつ/又は伝送のより多くのセグメントが内含される可能性がある。この付加的データ要求プロセスは、TLP12が規定されたロケーション精度を達成してしまうまで再帰的に続行することができる。
【0177】
上述の基本ステップに対する付加的な詳細が存在する。これらの詳細は、本明細書のその他の部分にある特許第5,327,144号及び5,608,410号の中で記述されている。先行特許中で記述されたプロセスに対する1つの増強は、ロケーション処理において各々のベースラインのために用いられる単一基準SCS/アンテナの選択にある。先行技術においては、ベースラインは、1つのリング周囲のアンテナサイト対を用いて決定された。当該無線ロケーションシステムにおいては、使用される単一基準SCS/アンテナは一般に、最高のSNRの信号であるが、以下で記述するようにその他の判定基準も同様に使用される。高いSNRの基準を使用することは、ロケーション処理で使用されるその他のSCS/アンテナがノイズ下限(すなわち信号対雑音比がゼロ又はマイナスの)以下といったような非常に弱いものである場合に、中央ベースのロケーション処理を補助する。局ベースのロケーション処理が使用される場合、基準信号は、非常に高い信号対雑音比をもち、さらにその他のSCS/アンテナにおける非常に弱い信号のためのロケーション処理を補助するように意図的に作成された、再変調された信号である。
【0178】
無線位置検出のシステムは、直接経路成分に加えて受信された多重経路の成分をまず最初に再帰的に推定し次にこれらの成分を受信信号から差し引くことによって、多重経路を軽減する。かくして、無線ロケーションシステムは、受信信号をモデリングし、モデルを実際の受信信号と比較し、加重最小自乗差を用いてこれら2つの間の差を最小限におさえようと試みる。無線送信機からの各々の伝送信号x(t)について、各SCS/アンテナにおける受信信号y(t)は、信号の複雑な組合せである:
y(t)=Σx(t−τ)aω(t−τ)、n=0ないしNのすべてについて
ここに、式中、x(t)は無線送信機により伝送されたとおりの信号、a及びτは、多重経路成分の複合振幅と遅延、Nは受信信号内の多重経路成分の合計数、aおよびτは最も直接的な経路要素についての定数、である。
【0179】
無線ロケーションシステムのオペレータは経験的に、各々の無線ロケーションシステムが作動している特定環境に適用される多重経路の各成分についての1組の制約条件を決定する。これらの制約条件の目的は、無線ロケーションシステムが各々の多重経路軽減計算のために結果を最適化するのに費す処理時間数を制限することにある。例えば、無線ロケーションシステムは、多重経路の4つの成分のみを決定するようにセットされ得る。すなわち、第1の成分は、範囲τ1A〜τ1B内に時間的遅延をもつものと仮定されうる:第2の成分は、範囲τ2A〜τ2B内に時間的遅延をもつものとして仮定されうる;第3の成分は、範囲τ3A〜τ3B内に時間的遅延を有するものとして仮定されうる;そして第4の成分についても同様である。ただし、第4の成分は、その時間的遅延が第3の成分の範囲を越えている何十もの個々の(幾分か拡散した)多重経路成分の複雑な組合せを事実上表わす単一の値である。処理を容易にするため、無線ロケーションシステムは先行する等式を周波数ドメインへと変換し、次に加重最小自乗差が最小限となるように個々の成分について解を求める。
【0180】
局にもとづく処理を使用するとき、TDOA及びフィールドOA決定及び多重経路軽減は、SCS10内で実施され、一方位置及び速度の決定は、標準的にTLP12内で実施される。局ベース処理の主な利点は、特許第5,327,144号に記述されているように、各々のSCS10及びTLP12の間を通信リンク上で送られるデータ量が削減されるという点にある。ただし、その他の利点も同様に存在しうる。本発明の1つの新しい目的は、TDOA処理中の有効信号処理利得を増大させることにある。以上で指摘したように、中央ベースの処理は、無線送信機内のフェーズノイズによってひき起こされるフェーズエラーを削除又は減少させるという利点をもつ。しかしながら、これまでの開示のいずれも、局ベースの処理を使用した場合にいかにして同じフェーズノイズを削除又は削減するかという問題を扱っていなかった。本発明は、以下に列挙し図6で示されているステップを使用してフェーズエラーを低減させ、有効信号処理利得を増大させる:
【0181】
無線送信機は、制御チャンネル又は音声チャンネルのいずれかの上で1つの伝送を開始させる(ステップS60);
該伝送は、無線ロケーションシステム内の多数のSCS10及び多数のアンテナにおいて受信される(ステップS61);
該伝送は、各SCS/アンテナに接続された受信機の中でデジタル書式に変換される(ステップS62);
デジタルデータは、各SCS10内のメモリーに記憶される(ステップS63);
伝送は復調される(ステップS64);
無線ロケーションシステムは、伝送のためにロケーション処理を開始すべきか否かを決定する(ステップS65);
トリガされた場合、第1のSCS10Aは伝送を復調させ、適切な位相補正間隔を決定する(ステップS66);
このような各位相補正間隔について、第1のSCS10Aは適切な位相補正及び振幅補正を計算し、この位相補正パラメータ及び振幅補正パラメータを復調されたデータと共に符号化する(ステップS67);
復調されたデータ及び位相補正及び振幅補正パラメータは第1のSCS10AからTLP12まで送られる(ステップS68);
TLP12は、ロケーション処理において使用すべきSCS10及び受信アンテナを決定する(ステップS69);
TLP12は、ロケーション処理において使用されることになる各々の第2のSCS10Bに対し、復調されたデータ及び位相補正及び振幅補正パラメータを送る(ステップS70);
第1のSCS10及び各々の第2のSCS10Bは、復調されたデータ及び位相補正及び振幅補正パラメータに基づいて第1の再変調信号を新規作成する(ステップS71);
第1のSCS10A及び各々の第2のSCS10Bは、各々のSCS10内のメモリーに記憶されたデジタルデータ及び第1の再変調された信号を用いて、TDOA,フィールドOA及び多重経路軽減を実施する(ステップS72);
第1のSCS10A及び各々の第2のSCS10BからTLP12まで、TDOA,フィールドOA及び多重経路軽減データが送られる(ステップS73);
TLP12は、TDOAデータを用いて位置及び速度決定を実施する(ステップS74);及び
TLP12は、ロケーション記録を新規作成し、ロケーション記録をAP14に転送する(ステップS75)。
【0182】
位相補正及び振幅補正パラメータを決定することの利点は、IS−95Aに基づいたCDMA無線送信機のロケーションにおいて最も明らかである。周知のように、IS−95A送信機からの逆伝送は、非干渉性変調を用いて送られる。大部分のCDMA基地局は、非干渉性変調のため、単一ビット間隔にわたり積分するにすぎない。秒あたり4800ビットのビットレートをもつCDMAアクセスチャンネルについては、1ビットにつき256チップが送られ、かくして24dBの積分利得が可能となる。上述の技術を利用して、各々のSCS10内でのTDOA処理は例えば全160ミリセカンドのバースト(196,608チップ)にわたり積分し、53dBの積分利得を生み出す。この付加的な処理利得により本発明は、たとえSCS10と同時にロケーション特定された基地局が同じCDMA伝送を検出できなくても、多重SCS10を用いてCDMA伝送を検出しロケーションを特定することができるようになる。
【0183】
1つの特定の伝送について、位相補正パラメータか又は振幅補正パラメータのいずれかがゼロであると計算されるか又は必要とされない場合には、これらのパラメータは、各SCS10とTLP12の間の通信リンク上で伝送されるビット数を保ち続けるために送信されない。本発明のもう1つの実施形態においては、無線ロケーションシステムは、1つの特定の伝送又は特定のエアインタフェースプロトコルの全ての伝送又は特定のタイプの無線送信機により行なわれる全ての伝送のために、固定された位相補正間隔を使用することができる。これは、例えば、さまざまな種類の送信機が示すフェーズノイズについて適正な一貫性を示す無線ロケーションシステムが或る時間にわたり収集した経験的データに基づいていてよい。これらのケースにおいて、SCS10は、適切な位相補正間隔を決定する処理ステップをセーブすることができる。
【0184】
当業者は、無線送信機のフェーズノイズを測定する方法が数多く存在するということを認識することであろう。1つの実施形態においては、第1のSCS10Aで受信された信号の純粋なノイズの無い再変調済みコピーを、SCS内でDSPによってデジタル式に生成することができ、次に受信信号を、この純粋信号に対して、各々の位相補正間隔にわたり比較することができ、位相差を直接測定することができる。この実施形態では、位相補正パラメータは、この位相補正間隔全体にわたる位相差の負の数として計算されることになる。位相補正パラメータを表現するのに必要とされるビット数は、位相補正パラメータの絶対値と共に変動することになり、ビット数は各々の位相補正間隔について変動しうる。例えば一部の伝送が、伝送中早い時期により大きいフェーズノイズを示し、その伝送の中間及び遅い時期においてより少ないフェーズノイズを示すということが観察されてきている。
【0185】
局にもとづく処理は、比較的低いフェーズノイズをもつ無線送信機にとって最も有用である。そのそれぞれのエアインタフェース規格により必ずしも要求されているわけではないものの、TDMA,CDMA又はGSMプロトコルを使用する無線電話は標準的に比較的低いフェーズノイズを示すことになる。無線送信機のフェーズノイズが増大するにつれて、位相補正間隔の長さは減少する可能性がありかつ/又は位相補正パラメータを表現するのに必要とされるビット数は増大する。局ベースの処理は、復調済みデータ及び位相補正及び振幅パラメータを表現するのに必要とされるビット数が中央ベースの処理を実施するのに必要とされるビット数の予め定められた割合を上回る場合、有効でない。従って、本発明の目的は、中央ベースの処理又は局ベースの処理のいずれを用いてロケーションを処理すべきかを、ロケーションが望まれる各伝送について自動的に決定することにある。この決定を行なうステップは、以下に列挙され、図7に示される:
【0186】
無線送信機は、制御チャンネル又は音声チャンネルのいずれかの上で1つの伝送を開始する(ステップS80);
該伝送は、第1のSCS10Aにおいて受信される(ステップS81);
該伝送は、各アンテナに接続された受信機の中でデジタル書式に変換される(ステップS82);
無線ロケーションシステムは、伝送のためにロケーション処理を開始すべきか否かを決定する(ステップS83);
トリガーされた場合、第1のSCS10Aはその伝送を復調させ、位相補正及び振幅補正パラメータを符号化するのに必要とされるビット数及び適当な位相補正間隔を推定する(ステップS84);
第1のSCS10Aは次に、中央ベースの処理に必要とされるビット数を推定する、
各々のそれぞれの方法について必要とされるビット数に基づいて、SCS10又はTLP12は、この伝送のためのロケーション処理を実施するべく中央ベースの処理又は局ベースの処理のいずれを使用すべきかを決定する(ステップS85);
【0187】
本発明の他の1つの実施形態において、無線ロケーションシステムは、特定のエアインタフェースプロトコルの全ての伝送のため又は特定の種類の無線送信機によって行なわれる全ての伝送のために、つねに中央ベースの処理又は局ベースの処理を使用できる。
これは、例えば、さまざまな種類の送信機が示すフェーズノイズについて適正な一貫性を示す無線ロケーションシステムが或る時間にわたり収集した経験的データに基づいていてよい。これらのケースにおいて、SCS10及び/又はTLP12は、適切な処理方法を決定する処理ステップをセーブすることができる。
【0188】
CBC及び局ベースの処理の両方のために使用される本発明のさらなる増強とは、無線送信機のロケーション及び速度の最終的決定にベースラインを含み入れるために閾値基準を使用することである。各ベースラインについて、無線ロケーションシステムは、ベースラインを計算する上で基準SCS/アンテナと共に使用されるSCS/アンテナポート、ロケーション処理のために使用される間隔全体にわたりベースライン内で使用されたSCS/アンテナポートにおいて受信された通りの伝送のパワーピーク、平均及び分散、ベースライン内で使用されるSCS/アンテナと基準SCS/アンテナの間のクロススペクトル相関からの相関値、多重経路軽減パラメータ、多重経路軽減計算の後に残った残留値、最終的ロケーション解における加重GDOPに対するSCS/アンテナの貢献、及び最終的ロケーション解の中に内含されている場合のベースラインの適合の質の尺度を含めた一定数のパラメータを計算する。各ベースラインは、最終的ロケーション解の中に内含され、それは各々本書に記述したパラメータの各々についての閾値基準を満たすか又はそれを上回る。1つのベースラインは、それが単数又は複数の閾値基準を満たすことができない場合、ロケーション解から除外され得る。従って往々にして、最終的ロケーション解の中で実際に使用されるSCS/アンテナの数は考慮された合計数よりも少なくなる可能性が高い。
【0189】
以前の特許第5,327,144号及び5,608,410号は、ロケーション処理が以下の等式の最小自乗差(LSB)値を最小限にする方法を開示していた。
【数1】
Figure 0004460171
【0190】
現在の実施において、この等式は、ロケーション処理コードをより効率の良いものにするため下記の形式に再調整された。
全てのi=1〜N−1全体にわたり:
【数2】
Figure 0004460171
なお式中、N=ロケーション処理で使用されるSCS/アンテナ数、
TDOA0i=基準サイト0からi番目のサイトまでのTDOA、
τ=無線送信機からi番目のサイトまでの視覚伝播時間の現論的ライン
τ=送信機から基準までの視覚伝播時間の現論的ライン、
=i番目のベースラインに適用される重み又は品質係数、である。
【0191】
現在の実施において、無線ロケーションシステムは同様に、基準信号がさほど強くないとき又は以前の形の等式を用いたロケーション解の中にバイアスが存在することになる確率が高いとき、ロケーション解を決定する上で一助となりうるもう1つの形の等式を使用する。すなわち:
【数3】
Figure 0004460171
なお式中、N=ロケーション処理で使用されるSCS/アンテナ数、
TDOA0i=基準サイト0からi番目のサイトまでのTDOA、
τ=無線送信機からi番目のサイトまでの視覚伝播時間の現論的ライン、
b=その理論的点におけるLSD’を最小限にする各理論的点について別々に計算されたバイアスであり、
=i番目のベースラインに適用される重み又は品質係数、である。
【0192】
LSD’形態の等式は、Wをその他の重みの最大値に等しくすることによってか又はWを基準サイトにおける相対的信号強度に基づかせることによって基準サイトにおけるロケーション解の中のバイアスを取り除くより容易な手段を提供する。Wがその他の重みよりもはるかに大きい場合には、bがほぼτに等しくなるということに留意されたい。一般に、重み又は品質係数は、ベースラインを内含する上での閾値基準について上述されたものと類似の基準に基づいている。すなわち、基準計算の結果は重みのために用いられ、基準が閾値より低くなった時点で、重みはゼロに設定され、事実上最終的ロケーション解の決定には含み入れられない。
【0193】
位置検出の処理用のアンテナ選択のプロセス
以上で列挙したような以前の発明及び開示は、ロケーションを決定するために第1,第2又可能な場合には第3のアンテナサイト、セルサイト又は基地局が必要とされるような技術を記述していた。特許第5,608,410号はさらに、応答性ある送信機のロケーションを計算するのにどのアンテナサイトロケーションからのどのデータフレームが使用されることになるかを決定することを担当する動的選択サブシステム(DSS)を開示している。DSSでは、データフレームが閾値数より多いサイトから受信される場合、DSSは、どれが保持又は排除の候補であるかを決定し、次にロケーション処理のためのデータフレームを動的に組織する。DSSは、解が過剰決定されるように最低数より多いアンテナを使用することを好む。さらにDSSは、ロケーション処理内で用いられた全ての伝送が同じ送信機からそして同じ伝送から受信されたものであることを保証する。
【0194】
しかし、先行の発明の好適な実施形態は制限があった。第1に、アンテナサイト(又はセルサイト)1つにつき1つのアンテナしか使用されないか、又は2つ又は4つのダイバーシチアンテナからのデータが中央サイトへの伝送に先立ちまずアンテナサイト(セルサイト)で組合わされていた。さらに、たとえDSSが後にそのデータフレームを放棄したにせよ、伝送を受信した全てのアンテナサイトがデータフレームを中央サイトまで送っていた。かくして、使用されなかったデータを送るのに一部の通信帯域幅が浪費された可能性がある。
【0195】
本発明は、ロケーションを決定するには最低2つか3つのサイトが必要とされるものの、ロケーション処理において使用すべきアンテナ及びSCS10の実際の選択は、ロケーション処理の結果に相当の効果を有することができることを決定した。さらに、ロケーション処理において各々のSCS10で複数のアンテナを使用するための手段を含み入れることが有利である。ロケーション処理において独立して1つのセルサイトで多数のアンテナからのデータを使用する理由は、各アンテナで受信した信号が、多重経路、フェーディング及びその他の妨害によってのみ影響を受けるということにある。現場では、2つのアンテナが1波長を超える波長だけ距離的に分離されている場合に各アンテナが独立した経路上で信号を受けることになるということは周知の事実である。従って、多重アンテナを使用することにより無線送信機のロケーションについて得るべき付加的かつ唯一の情報が往々にして存在し、多重経路を軽減する無線ロケーションシステムの能力はそれに従って増強される。
【0196】
従って、本発明の目的は、ロケーション処理においてSCS10で複数のアンテナから受信した信号を使用するための改善された方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、ロケーション処理で使用される連動するアンテナ及びSCS10を選択するために使用される動的プロセスを改善するための方法を提供することにある。第1の目的は、ロケーション処理においてSCSで任意の数のアンテナから収集したデータの任意のセグメントを選択し使用するための手段をSCS10内に提供することによって達成される。前述の通り、セルサイトにある各々のアンテナは、SCS10内部の受信機に接続される。各受信機は、アンテナから受信した信号をデジタル形態に変換し、次に受信機内のメモリーに一時的にデジタル化された信号を記憶する。TLP12には、任意のSCS10に任意の受信機の一時的メモリーからデータセグメントを検索するよう指示し、ロケーション処理内で使用するためのデータを提供するための手段が具備されている。第2の目的は、無線ロケーションシステムがロケーションを希望している伝送を受信するため多数のアンテナを監視するための手段を無線ロケーションシステム内に提供し、予め定められたパラメータセットに基づいてロケーション処理において使用するためのより小さいアンテナセットを選択することによって達成される。
【0197】
この選択プロセスの1例は、図8の流れ図によって表わされている:
無線送信機が、制御チャンネル又は音声チャンネルのいずれかの上で1つの伝送を開始する(ステップS90);
該伝送は、無線ロケーションシステム内の多数のSCS10及び多数のアンテナにおいて受信される(ステップS91);
該伝送は、各SCS/アンテナに接続された受信機の中でデジタル書式に変換される(ステップS92);
デジタルデータは、各SCS10内のメモリーに記憶される(ステップS93);
少なくとも1つのSCS10Aにおいて伝送が復調され、伝送が発生したチャンネルの数及び無線送信機にサービス提供するセルサイト及びセクターが決定される(ステップS94);
サービス提供するセルサイト及びセクターに基づいて、1つのSCS10Aが、その伝送を処理するための「一次」SCS10として指定される(ステップS95);
一次SCS10Aは、復調されたデータと結びつけられたタイムスタンプを決定する(ステップS96);
無線ロケーションシステムは伝送のためにロケーション処理を開始すべきか否かを決定する(ステップS97);
ロケーション処理がトリガーされたならば、無線ロケーションシステムは、ロケーション処理内で使用すべきSCS10及びアンテナの候補リストを決定する(ステップS98);
各々の候補SCS/アンテナは、一次SCS10Aによって決定されるタイムスタンプの時刻において伝送のチャンネル番号内で複数のパラメータを測定し報告する(ステップS99)
無線ロケーションシステムは特定された基準を用いて候補SCS/アンテナを順序づけし、ロケーション処理において使用すべきSCS/アンテナ処理リスト及び基準SCS/アンテナを選択する(ステップS100);および、
無線ロケーションシステムは、SCS/アンテナの処理リストからのデータを用いて、前述のようにロケーション処理を進める(ステップS101)。
【0198】
一次のSCS/アンテナの選択
一次のSCS/アンテナを選択するためのプロセスは、SCS10及びアンテナ10−1の候補リストが一部には一次のSCS/アンテナの指定に基づいて決定されることから、きわめて重要である。無線送信機が特定のRFチャンネル上で伝送を行なうとき、伝送は往々にして、それが復調されうるレベルより低いレベルまで信号が減衰するまでに何マイルも伝播する可能性がある。従って往々にして、信号を復調する能力をもつ数多くのSCS/アンテナが存在する。このことは特に、数多くの無線通信システムの周波数再利用パターンがきわめて密度の高いものである都市及び郊外エリアで発生する。例えば無線の利用率が高くセルサイトの間隔どりが密であることから、当該発明人は、約1マイル離隔されたセルサイト上で同じRF制御チャンネル及びデジタルカラーコードが使用された無線通信システムをテストした。無線ロケーションシステムは独立してこれらの伝送を復調していることから、無線ロケーションシステムは往々にして同じ伝送を2つ、3つ又はそれ以上の別のSCS/アンテナにおいて復調させることができる。無線ロケーションシステムは、復調済みデータが受諾可能なビットエラー限界内で整合し全てが予め定められた時間的間隔内で発生している状態で、各々予め定められたビットエラー閾値より低いビットエラー値を伴う異なるSCS/アンテナから送られた多数の復調済みデータフレームを受信した時点で、多数のSCS/アンテナにおいて多数回同じ伝送が復調させられたことを検出する。
【0199】
無線ロケーションシステムは多数のSCS/アンテナから復調済みデータを検出すると、どのSCS/アンテナが一次SCSとして指定されることになるかを決定するために以下のパラメータを検査する;すなわち、ロケーション処理のために使用される伝送間隔全体にわたる平均SNR,同じ間隔全体にわたるSNRの分散、純粋プレカーソルに対する受信伝送の始めの相関(すなわちAMPSについては、ドットコード及びバーカーコード)、復調されたデータ内のビット数及び伝送の開始直前から伝送の開始までのSNRの変化の大きさ及び速度ならびにその他の類似パラメータ。平均SNRは標準的には、ロケーション処理のために使用されるべき伝送の全長にわたるか又はより短かい間隔にわたり各々のSCS/アンテナにおいて決定される。より短かい間隔にわたる平均SNRは、各SCSRによって報告されるタイムスタンプの前、途中及び後の短かい時間範囲にわたり、特定のエアインタフェースプロトコルに応じて、ドットコードシーケンス及び/又はバーカーコード及び/又は同期ワードとの相関を実施することによって決定されうる。この時間範囲は標準的には、例えばタイムスタンプを中心とした+/−200ミリセカンドであってよい。無線ロケーションシステムは一般に、最終決定を下すために基準を組合わせるときに各々重みづけ(適当な倍率が乗じられる)されうる以下の基準を用いて、SCS/アンテナを順序づけすることになる。すなわち、より少ないビットエラー数をもつSCS/アンテナは、より多いビットエラー数をもつSCS/アンテナよりも好まれ;一定の与えられたSCS/アンテナのための平均的SNRは、一次として指定されるためには予め定められた閾値より大きくなくてはならない;より高い平均SNRをもつSCS/アンテナは、より低い平均SNRをもつものよりも好まれる;より低いSNR分散をもつSCS/アンテナはより高いSNR分散をもつものより好まれる;そしてより速いSNR変化速度をもつSCS/アンテナは、より遅い変化速度のものよりも好まれる。これらの基準の各々に適用される重みづけは、各システムの特定の設計に合うように無線ロケーションシステムのオペレータにより調整され得る。
【0200】
SCS10とアンテナ10−1の候補リストは、例えば、セルサイトの型式と、セルサイトにおけるアンテナの型式と、アンテナの形状と、あるアンテナをそれ以外のアンテナよりも重視する重み係数とに基づく所定の基準一式を用いて選択される。この重み係数には、その中で無線式位置決めシステムが働いている地形についての知識と、良好な位置推定に寄与した各アンテナの貢献についての過去の経験データと、それぞれ異なる無線式位置決めシステムの設置に特有のその他の要因とが考慮されている。例えば、ある実施態様においては、無線式位置決めシステムは、予め定義された中心サイトからの最大半径(max_radius_from_primary)内の、最大サイト数(max_number_of_sites)以内の全てのSCSを含むように候補リストを選択することができる。例えば、多数のセルサイトが存在する都市または都市近郊においては、最大サイト数を19に制限することができる。19サイトには、中心サイトと、中心サイトの周りの第1リングの6サイト(典型的な6角形分布のセルサイト)と、第1リングの周りの第2リングの12サイトが含まれる。このことは図9に示されている。もう一つの実施態様においては、都市近郊または地方においては、中心サイトからの最大半径を40マイルに設定して、できるだけ広範囲の候補SCS/アンテナが使用できるようにしている。
【0201】
無線式位置決めシステムは、候補SCS10の全数を最大候補数(max_number_candidates)に制限する手段を備えているが、各候補SCSは、その使用可能なアンテナの中から最善ポートを選択することができるようになっている。このことによって、特定位置を処理する無線式位置決めシステムによって費やされる最大時間が制限される。最大候補数は、例えば、32に設定することができ、このことは、ダイバーシティを持った一般的な3セクタ無線通信システムにおいて、最大32×6=192のアンテナを特定トランスミッションのための位置処理のために考慮することができることを意味する。無線式位置決めシステムは、特定位置を処理するのに費やす時間を制限するために、位置処理に使うアンテナ数を最大処理アンテナ数(max_number_antenna_processed)に制限する手段を備えている。最大処理アンテナ数は一般に最大候補数より少なく、通常16に設定される。
【0202】
無線式位置決めシステムは、上記所定の基準一式に基いてSCS10とアンテナの候補リストをダイナミックに決定する能力を備えているが、テーブルに固定候補リストを格納しておくこともできる。このように、無線式位置決めシステムは、無線通信システムにおける各セルサイトとセクタに対して、SCS10とアンテナ10−1の候補リストを定義する別のテーブルを持っていて、無線送信機がそのセルサイトとセクタにおける送信を始めるときはそれをいつでも使用することができる。無線式位置決めシステムは、位置要求が起こる毎に候補SCS/アンテナをダイナミックに選択するよりもむしろ、位置処理を開始するときにテーブルから候補リストを直接読み出す。
【0203】
一般に、多重パスを測定し軽減する十分な機会と能力を持った無線式位置決めシステムを提供するために、多数の候補SCS10が選ばれる。任意のトランスミッションについて、一つまたはそれ以上のSCS10における一つまたはそれ以上の特定アンテナが、多重パス毎の角度変化を反映した信号を受信することができる。それゆえ、無線式位置決めシステム内にこの手段を備えて、他のアンテナよりも少ない多重パスを受信することができたアンテナ一式をダイナミックに選択することが好ましい。無線式位置決めシステムは、種々の手法を用いて、受信信号からのできるだけ多くの多重パスを軽減する。しかしながら、最少数の多重パスを含むアンテナ一式を選択するのが最も賢明である。
【0204】
基準および協力のSCS/アンテナの選択
位置処理に使うSCS/アンテナ・セットを選ぶ場合、無線式位置決めシステムは種々の基準を用いて候補SCS/アンテナに指令を与える。この基準は例えば、位置処理のために使われる送信間隔にわたっての平均SN比、同間隔にわたってのSN比の変動、純粋な(すなわち、AMPS、ドッティング、およびバーカー符号のための)先行モデルに対する受信トランスミッションの初期の係数と中心SCS/アンテナからの復調データまたはそのいずれか、トランスミッションを復調するSCS/アンテナにおいて報告されたオンセットに関するトランスミッションのオンセットの時間、トランスミッションのオンセットの少し前からトランスミッションのオンセットまでのSN比の変化の大きさと速度、およびその他の同様のパラメータである。平均SN比は、一般に、各SCSにおいて決定されると共に、位置処理のために使用されるトランスミッションの全長かまたはそれより短い間隔にわたっての候補リスト内の各アンテナに対して決定される。より短い間隔にわたる平均SN比は、特定エアインターフェースプロトコルに基き、かつ、中心SCS10によって報告されたタイムスタンプの前、間および後の短い時間範囲にわたって、ドットシーケンスと、バーカー符号と、同期ワードと、またはそのいずれかとの相関を行うことによって決定できる。その時間範囲は一般に、例えば、タイムスタンプを中心とした±200マイクロ秒の範囲とすることができる。無線式位置決めシステムは一般に、以下の基準を用いて候補SCS/アンテナに指令する。この基準の各々は、最終決定を行うための基準を兼ねるときに重み付けすることができる。この基準とは、任意のSCS/アンテナの平均SN比が、位置処理に使う所定の閾値よりも大きくなければならないこと、高平均SN比のSCS/アンテナが低平均SN比のSCS/アンテナよりも好ましいこと、低SN比変動のSCS/アンテナが高SN比変動のSCS/アンテナよりも好ましいこと、復調SCS/アンテナによって報告されるオンセットにより近いオンセットを持ったSCS/アンテナが、時間に間に合うより離れたオンセットを持ったSCS/アンテナよりも好ましいこと、高速SN比変化率のSCS/アンテナが低速SN比変化率のSCS/アンテナよりも好ましいこと、低増分重み付けGDOPを持ったSCS/アンテナが、高増分重み付けGDOPを持ったSCS/アンテナよりも好ましいこと−この重み付けは中心SCSからの推定パス損失に基いている−である。
【0205】
これらの好ましさの各々に付加される重み付けは、各システムの特定設計に合うように無線式位置決めシステムのオペレータによって調整できる。位置処理に使用する異なるSCS10の数を、所定限度まで最大化し、各SCS10で使用するアンテナの数を所定限度に制限し、SCS/アンテナの全数を最大処理アンテナ数に制限する。上記処理を用いた最高ランキングのSCS/アンテナを、位置処理のための参照SCS/アンテナと呼ぶ。
【0206】
SCS10内における最良のポートの選択
しばしば、候補リストまたは位置処理において使用するリストの中のSCS/アンテナは、特定SCS10において唯一つまたは二つのアンテナを含む。この場合、無線式位置決めシステムは、SCS10が、特定SCS10での全てまたはいくつかのアンテナから「最善ポート」を選びようにすることができる。例えば、無線式位置決めシステムが最初のSCS10において唯一つのアンテナを使うことを選択するならば、最初のSCS10は、そのSCS10に接続される一般的な6アンテナポートから最善アンテナポートを選択できるか、または、セルサイトのただ一つのセクタの二つのアンテナポートの中から最善アンテナポートを選択できる。最善アンテナポートは、最善ポートのために考慮される全てのアンテナが同じSCS10内にあることを除けば、位置処理に使用するSCS/アンテナセットを選択するための上述と同じ処理を用い、同じパラメータを比較することによって選択される。最善ポートのためのアンテナの比較において、SCS10は、自由に受信信号をセグメントに分割することもでき、それから受信信号の各セグメントにおけるSN比を別途測定できる。それから、SCS10は、(i)最大SN比の最も多いセグメントをもったアンテナポートを使うか、(ii)全てのセグメントのSN比を平均化すると共に最大平均SN比を持ったアンテナポートを使うか、(iii)いずれか一つのセグメントにおける最大SN比を持ったアンテナポートを使うかして、最大SN比を持った最善のアンテナポートを自由に選択できる。
【0207】
衝突の検出および衝突からの回復
無線式位置決めシステムは位置処理において多くのSCS/アンテナポートからのデータを使うので、一つまたはそれ以上の特定SCS/アンテナポートにおける受信信号が、もう一つの無線送信機からの同一チャンネル干渉であるエネルギーを含む(すなわち、二つの別々の無線送信機の間の部分的または全体的な干渉が生じる)。同一チャンネル干渉が、相手の無線送信機からの信号よりも大きいSN比を持つという妥当な確率もあるし、もし無線式位置決めシステムによって検出されなければ、同一チャンネル干渉が、SCS10、参照SCS/アンテナ、候補SCS/アンテナ、または位置処理に使うためのSCS/アンテナでの最善アンテナポートの間違った選択を引き起こすことがあり得る。同一チャンネル干渉はまた、貧弱なTDOA結果とFDOA結果の原因となり、失敗したまたは貧弱な位置推定に導く。衝突の確立は、上位無線通信システムにおいて、特に、周波数がしばしば再利用されると共に、加入者による無線使用が高い、密集した都市郊外または地方環境において、セルサイトの密度に伴って増大する。
【0208】
したがって、無線式位置決めシステムは、上述した形式の衝突を検出すると共にそれから回復する手段を備えている。例えば、最善ポート、参照SCS/アンテナ、または候補SCS/アンテナを選択する処理において、無線式位置決めシステムは、送信間隔にわたって受信信号の平均SN比とSN比の変動を決定する。SN比の変動が所定の閾値より大きい場合は、無線式位置決めシステムは衝突が発生した確率を割り当てる。もし、SCS/アンテナにおいて受信された信号が一足飛びに,しかも所定閾値よりも多い量だけ、そのSN比を増加または減少させたならば、無線式位置決めシステムは衝突が発生した確率を割り当てる。更に、もし遠隔のSCSで受信された信号の平均SN比が、無線送信機がその送信を開始したセルサイトと、既知の送信電力レベルおよび送受信アンテナのアンテナパターンとに与えられる伝播モデルによって予想される平均SN比よりも大きいならば、無線式位置決めシステムは衝突が発生した確率を割り当てる。衝突の発生した確率が所定の閾値よりも大きい場合は、無線式位置決めシステムは、更に以下に述べる処理を行って、衝突がSCS/アンテナでの受信信号を減じているかと、どこまで減じているかを確かめる。確率を割り当てる利点は、衝突が発生しなかった殆どのトランスミッションのための余分な処理を減ずるか省略することにある。閾値レベル、割り当てられた確率、およびここに述べられた衝突検出と回復処理のその他の詳細が設定可能であること、すなわち、特定応用、環境、システム変数などに基いて選択されることに注目しなければならない。
【0209】
衝突の確率が所定の閾値よりも大きいSCS/アンテナにおける受信トランスミッションであって、参照SCS/アンテナの決定、最善ポートの決定、または位置処理における特定アンテナポートからのRFデータを使う前の受信ランスミッションについて、無線式位置決めシステムは好適には、各アンテナポートからのRFデータが正しい無線送信機からのものであることを確認する。このことは、例えば、受信信号のセグメントを復調することによって決定され、例えば、MIN、MSID、またはその他の識別情報が正しいか、あるいは、ダイヤルされた桁数またはその他のメッセージ特性が、トランスミッションを始めに復調したSCS/アンテナによって受信されたものと一致するか確認される。無線式位置決めシステムはまた、アンテナポートでの受信信号の短かいセグメントを中心SCS10で受信した信号と関連付けて、その関連結果が所定の閾値より大きいことを確認する。無線式位置決めシステムは、もしトランスミッションの全長にわたるSN比の変動が所定の閾値よりも大きいことを検出するならば、トランスミッションをセグメントに分解すると共に各セグメントをここに述べたようにテストして、そのセグメント内のエネルギーが主として、位置処理が選択された無線送信機からの信号からのものであるか干渉送信機からの信号からのものであるかを決定する。
【0210】
無線式位置決めシステムは、例えSCS/アンテナでの部分的な衝突を検出したとしても、位置処理における個々のSCS/アンテナからのRFデータを使うことを選択できる。この場合、SCS10は、上述の手段を用いて、位置処理が選択された無線送信機からの信号を表す受信トランスミッションの部分と、同一チャンネル干渉を含む受信トランスミッションの部分を識別する。無線式位置決めシステムはSCS10に指令して、同一チャンネル干渉を含まない受信トランスミッションの選択セグメントのみを送るか使うことができる。SCS/アンテナからの選択セグメントのみを用いて基線のためのTDOAおよびFDOAを決定するとき、無線式位置決めシステムは、参照SCS/アンテナで受信されたようなトランスミッションの対応セグメントのみを使用する。無線式位置決めシステムは、衝突が検出されなかった基線のための全てのセグメントを使用し続けることができる。多くの場合、無線式位置決めシステムは、トランスミッションの一部だけを用いて、位置処理を完成し、許容可能な位置誤差を得ることができる。受信トランスミッションの適切な部分集合を選択すると共に、セグメント毎にセグメントについての位置処理を行うこの発明は、無線式位置決めシステムに、先行技術を用いて失敗したであろう場合における位置処理を成功裏に終了させることができる。
【0211】
多重パスの位置検出の処理
ある種の応用は、無線送信機の一般的な位置の非常に速い推定と、それに続くその後に送られてくる位置のより正確な推定とを必要とする。このことは、例えば、E9−1−1システムにとって有用である。このE9−1−1システムは、無線呼出しを扱うと共に呼び出しルーチン決定を非常に速やかにしなければならないが、E9−1−1の呼び出し送話者の電子地図端末上に表示されるより正確な位置のためにもう少し長く待つことができる。無線式位置決めシステムは、発明の多重パス位置処理モードを有するこれらの応用をサポートする。
【0212】
多くの場合、トランスミッションのより長いセグメントを用いると共に、より長い統合間隔にわたって処理利得を増加させることによって、位置精度が高められる。しかし、トランスミッションのより長いセグメントは、SCS10とTLP12におけるより長い処理期間のみならず、SCS10からTLP12までの通信インターフェースを通ってRFデータを送信するためのより長い時間間隔を必要とする。それゆえ、無線式位置決めシステムは、迅速ではあるがおおまかな位置推定と、それに続くより良い位置推定を生成する、より完全な位置処理とを必要とするトランスミッションを識別する手段を備えている。インタレスト信号テーブルは、多重パス位置アプローチを必要とする各インタレスト信号のためのフラッグを含んでいる。このフラグは、送られるべき最初の推定のための要求位置応用によって許容される最大時間量のみならず、送られるべき最後の位置推定のための要求位置応用によって許容される最大時間量を規定する。無線式位置決めシステムは、位置処理を行うためのトランスミッションの部分集合を選択することによっておおまかな位置推定を行う。無線式位置決めシステムは、例えば、最大平均SN比を持った中心SCS/アンテナにおいて識別されたセグメントを選択できる。TLP12は、前述の方法を用いるが、トランスミッションの部分集合だけによって大まかな位置推定を決定した後、その位置推定をAP14に転送し、AP14はそれから、そのおおまかな推定を、その推定がおおまかに過ぎないことを示すフラグと共に要求応用に転送する。無線式位置決めシステムはそれから、前述のすべての方法を用いてその標準位置処理を行い、この位置推定を、この位置推定の最終状況を示すフラグと共に転送する。
【0213】
無線式位置決めシステムは、おおまかな位置推定と最終位置推定をTLP12内の同一DSPについて順に行うか、位置処理を異なるDSPについて平行に行うことが可能である。平行処理は、要求位置応用の最大時間要求を満たすために必要である。無線式位置決めシステムは、同一無線送信のための異なる位置応用からの異なる最大時間要求を支持する。
【0214】
極めて短いベースラインのTDOA
無線式位置決めシステムは、都市、都市近郊、および地方で働くように設計されている。地方においては、単一無線搬送波から得られる十分なセルサイトがないとき、無線式位置決めシステムを、他の無線搬送波のセルサイト、または、AMまたはFMラジオ局の塔、ページング塔、および双方向無線塔を含む他の形式の塔に置かれたSCS10と共に分散させることができる。この場合、無線式位置決めシステムは、既存の無線搬送波アンテナを共用するよりもむしろ、設置されるべきインタレストの無線送信の周波数帯域に適合した適切なアンテナ、フィルタ、および低雑音増幅器の設置を必要とする。例えば、AMラヂオ局の塔は、セルラー帯域送信機を置くための800MHzアンテナを追加する必要がある。しかしながら、どのような形式の塔も妥当なコストで追加できず、無線式位置決めシステムを無線搬送波のほんの2,3の塔に分散しなければならない場合がある。この場合、無線式位置決めシステムは、非常に短い基線のTDOAとして知られるアンテナモードをサポートする。このアンテナモードは、追加アンテナが単一セルサイト塔に設置され、従って追加アンテナが一波長よりも短い距離をおいて設置される場合に有効となる。このことはセルサイトセクタ毎に一つだけのアンテナの追加を必要とするので、無線式位置決めシステムは、一つのセクタ内の一つの既設受信アンテナと、その既設受信アンテナの隣に置かれた一つの追加アンテナを使用することができる。普通、一セクタ内の二つのアンテナは、主ビームの中心軸または方向線が平行で、二つのアンテナ素子間の距離が正確にわかるように方向付けされている。また、SCS10におけるアンテナ素子から受信機までのRFパスは校正される。
【0215】
その通常モードにおいて、無線式位置決めシステムは、多波長離れたアンテナ対のためのTDOAおよびFDOAを決定する。二つの異なるセルサイトからのアンテナを用いた基線上のTDOAに対して、アンテナ対は何千波長離れている。同一セルサイトにおけるアンテナを用いた基線上のTDOAに対して、アンテナ対は何十波長離れている。いずれの場合も、TDOAの決定によって、基線を二分すると共に無線送信機の位置を通過する双曲線が効果的に得られる。アンテナが複数波長離れている場合、受信信号は、無線送信機から各アンテナまでの独立パスをとると共に、異なる多重パスとドップラーシフトを経験している。しかしながら、二つのアンテナの距離が一波長よりも近い場合は、二つの受信信号は本質的に同一パスをとり、同一のフェージング、多重パス、およびドップラーシフトを経験している。それゆえ、無線式位置決めシステムのTDOAおよびFDOA処理は一般的に、ゼロ(略ゼロ)ヘルツのドップラーシフトと、ゼロから1ナノ秒のオーダーの時間差を生成する。その短い時間差は、非常に短い基線上の二つのアンテナにおける受信信号間の明白な位相差に等しい。例えば、834MHzでは、AMPSの逆制御チャンネル送信の波長は約1.18フィートである。0.1ナノ秒の時間差は、約30度の受信位相差に等しい。この場合、TDOA測定によって、本質的に直線であり、なお無線送信機の位置を通過し、非常に短い基線上の二つのアンテナによって形成される平行線の方向から30度回転した方向にある双曲線が得られる。単一セルサイトにおけるこの非常に短い基線のTDOAの結果が二つのセルサイト間の基線上のTDOA測定と結合される場合、無線式位置決めシステムはただ二つのセルサイトを用いて位置推定を決定することができる。
【0216】
位置精度向上用の帯域幅の監視の方法
AMPSセルラー発信機は現在、米国で使用されているワイヤレス発信機の大多数を占め、AMPSリバース音声チャンネル発信は一般的に、音声および管理用音声トーン(SAT)の双方により変調されたFM信号である。音声の変調は標準的なFMであり、そのワイヤレス発信機を使用している人の話し声に直接比例している。典型的な会話では、各々の人はその時間の35%以下しか使用しておらず、それは殆どの時間でリバース音声チャンネルが音声のために使用されていないということを意味している。音声があろうがなかろうが、リバース音声チャンネルは連続してSATにより変調されており、チャンネル状況をモニターするために、ワイヤレスコミュニケーションシステムにより使用されている。SATの変調レートは、わずかに約6kHzである。音声チャンネルは、帯域遷移制御や、例えば最初の相手と既に話しているときに次の入信に答えるための三者通話を確立したり、ワイヤレスコミュニケーションシステムからの「監査」メッセージに答えるためのような、他の理由のために用いられる、バンド内メッセージをサポートしている。これらのメッセージの全てが、音声チャンネル上を搬送されているにもかかわらず、コントロールチャンネルのメッセージに似た特性を有している。これらのメッセージはそう頻繁には発信されておらず、位置探索システムはこれらのメッセージを無視し、関心のある信号と同様に、広く行われているSAT発信により焦点を当ててきていた。
【0217】
以上に記載した、FM音声とSATリバース音声チャンネル信号の帯域が限られていることから来る困難に鑑みて、本発明の目的は、ワイヤレス発信機、特に緊急事態にあるワイヤレス発信機の位置を探索するために、リバース音声チャンネル(RVC)信号が用いられる、改善された方法を提供することである。本発明の他の目的は、そこでの測定が以前に述べた精度と信頼性の要求を満たさないような状況での、RVC信号を用いた位置推定を位置探索システムがしてしまうことを避けることができるようにする、位置探索方法を提供することである。これはシステムのリソースを無駄にせず、位置探索システム全体の効率を改善する。改善された方法は、二つの技術に基づいている。図10Aは、リバース音声チャンネル信号を用いて位置を測定するための、本発明に従う第一の方法のフローチャートである。この方法は、以下の段階から構成されている。
【0218】
(i)まず最初に、あるワイヤレス発信機を携帯するユーザーが位置を探索されたい、又はその探索された位置を更新または改善してもらいたいと願っていることが、仮定されている。これは例えば、そのワイヤレスのユーザーが「119」をダイヤルして、緊急の援助を求めているような状況である。それ故、そのユーザーが論理的にしっかりしており、中央に存在するディスパッチャー(交信管理者)と交信中であることが、同様に仮定されている。
(ii)そのディスパッチャー(交信管理者)がある特定のワイヤレス発信機の位置探索を更新したい場合には、アプリケーションインターフェースを通じてワイヤレス位置探索システムに、ワイヤレス発信機の身元確認とともに位置探索更新コマンドを送信する。
(iii)ワイヤレス位置探索システムがワイヤレスコミュニケーションシステムに質問し、かつそのワイヤレス発信機のための音声チャンネル割当を得たとの確認と共に、そのワイヤレス位置探索システムはディスパッチャー(交信管理者)に応答する。
(iv)ディスパッチャー(交信管理者)はそのワイヤレス発信機のユーザーに9またはそれ以上の桁の数と、かつ「送信」ボタンをダイヤルするように指示する。このシーケンスは例えば、「123456789」または「119119119」のようなものであってもよい。そのワイヤレスのユーザーが少なくとも9桁の数字と「送信」ボタンのシーケンスをダイヤルすると、二つの機能が始められる。第一に特にAMPSセルラー音声チャンネルに、これらの桁をダイヤルしたことがその音声チャンネル全体で二重トーン多重周波数(DTMF)トーンの送信を起こさせる。DTMFトーンの変調インデックスは非常に高度で、DTMFでの各々の桁の送信中は、シーケンスは典型的には+/−10kHz以上の発信信号の帯域を押すことになる。第二の機能は、「送信」ボタンを押すことで開始される。そのワイヤレスのユーザーが3方向コールやまたは他の特別な機能を使用しているか否かに関わりなく、その発信機がFM音声とSATの送信を一時的に停止し、その代わりにコントロールチャンネル(10kビットマンチェスター)と同様の方法で変調されたバーストメッセージを送信する、「ブランクおよびバースト」モードを用いて、ワイヤレス発信機は音声上にメッセージを送る。そのワイヤレスのユーザーが9桁以下の数をダイヤルした場合は、そのメッセージは約544ビットからなる。そのワイヤレスのユーザーが9桁またはそれ以上の桁をダイヤルした場合は、そのメッセージは約987ビットからなる。
【0219】
(v)ディスパッチャー(交信管理者)による通告の後、ワイヤレス位置探索システムは音声チャンネル内の発信された信号の帯域をモニターする。以前に議論したように、SATのみが発信された場合、及び音声とSATが発信された場合であっても、発信信号の帯域は高品質の位置推定を演算するためには十分ではない。それ故、ワイヤレス位置探索システムは位置探索処理リソースに問い合わせ、発信された信号が所定の帯域を越えるまで待つことになる。これは例えば、8kHzから12kHzの範囲のどこかに設定されてもよい。DTMFでダイヤルされた数字が送信された場合、又はバーストメッセージが送信された場合は、帯域は典型的には所定の帯域を越えることになる。事実ダイヤルしている最中にワイヤレス発信機がDTMFトーンを発信すると、帯域は所定の帯域多重時間を越えると期待されている。これは、位置推定を多数回実行するための機会を与える。DTMFトーンがダイヤル中には送信されない場合でも、バーストメッセージはそれでも「送信」を押したときに送信され、帯域は所定のスレッショルドを典型的には越えることになる。
(vi)発信された信号の帯域が所定の帯域を越えたときにのみ、ワイヤレス位置探索システムは位置探索処理を起動する。
【0220】
図10Bはリバース音声チャンネル信号を用いて位置を測定するための、本発明に従う他の方法のフローチャートである。この方法は、以下の段階から構成されている。
(i)まず最初に、あるワイヤレス発信機を携帯するユーザーが位置を測定されたい、又はそれらの測定された位置を更新または改善してもらいたいと願っていることが、仮定されている。これは例えば、そのワイヤレスのユーザーが「119」をダイヤルして、緊急の援助を求めているような状況である。それ故、そのユーザーが数字をダイヤルするつもりがないか、又は先の方法に従う任意の数字をもダイヤルできないことが、同様に仮定されている。
(ii)ディスパッチャー(交信管理者)がある特定のワイヤレス発信機のユーザーの位置探索を更新したい場合には、アプリケーションインターフェースを通じてワイヤレス位置探索システムに、ワイヤレス発信機の身元確認とともに位置探索更新コマンドを送信する。
(iii)確認と共に、そのワイヤレス位置探索システムはディスパッチャー(交信管理者)に応答する。
(iv)ワイヤレス位置探索システムは、ワイヤレス発信機に「監査」または同様のメッセージを送信することによりワイヤレス発信機が発信するよう、ワイヤレスコミュニケーションシステムに指示する。この「監査」メッセージは、エンドユーザーによる動作を要求することなく、又はワイヤレス発信機にベルを鳴らす又はその他の警告を発させることなく、ワイヤレスコミュニケーションシステムがそれによってそのワイヤレス発信機から反応を得ることができるあるメカニズムである。監査メッセージの受領は、ワイヤレス発信機に音声チャンネル上での「監査応答」による応答を起こさせる。
【0221】
(v)ディスパッチャー(交信管理者)による通告の後、ワイヤレス位置探索システムは音声チャンネル内の発信された信号の帯域をモニターする。以前に議論したように、SATのみが発信された場合、及び音声とSATが発信された場合であっても、発信信号の帯域は高品質の位置推定を演算するためには十分ではない。それ故、遠隔位置探索システムは位置探索処理リソースに問い合わせ、発信された信号が所定の帯域を越えるまで待つことになる。これは例えば、8kHzから12kHzの範囲のどこかに設定されてもよい。監査への応答メッセージが送信された場合は、帯域は典型的には所定の帯域を越えることになる。
(vi)発信された信号の帯域が所定の帯域を越えたときにのみ、ワイヤレス位置探索システムは位置探索処理を起動する。
【0222】
位置精度の改善用の推計組み合わせの方法
ワイヤレス位置探索システムにより提供される位置推定の精度は、そのワイヤレス発信機がその位置を維持している間になされる、結合した統計的に独立な位置推定により改善されることがある。例えあるワイヤレス発信機が完全に静止している場合でさえも、そのワイヤレス発信機の周囲の物理的およびRFの環境は定常的に変動している。例えば、車両はその位置を変更するかもしれず、ある位置推定の間に衝突を起こしていた他のワイヤレス発信機が、その後の位置推定では発信を停止したり、またはその位置を変えているかもしれない。それ故、例え連続する発信が極めて短期間内になされ、各々の位置推定が他の推定とは統計的に独立であるとしても、ワイヤレス位置探索システムにより提供される位置推定は、環境の変化により生じる誤差に関して各々の発信毎に変化する。
【0223】
その位置を変更していない、あるワイヤレス発信機について幾つかの連続する統計的に独立な位置の推計がなされると、その位置推計は真実の位置に対して収束する傾向がある。ワイヤレス位置探索システムは、改善された推計を決定するために、重み付けした平均または他の同様の数学的構成を用いて位置推計を結合する。重み付け平均の使用は、各々の独立な位置推計に対する品質因子の割り当てにより、助成される。この品質因子は、例えば相関値、信頼区間または他の同様の各々の独立な推計のための位置探索処理から誘導される測定値に基づいている。ワイヤレス発信機から多重の独立な発信を得るために、ワイヤレス位置探索システムはオプションとして、(i)発信作成コマンドのためのワイヤレスコミュニケーションシステムに対するそのインターフェイスの使用;(ii)TDMAまたはGSMのようなエアインターフェイスプロトコルに基づくタイムスロットからの多重の連続したバーストの使用;又は(iii)ある期間にわたる音声チャンネル発信の多重セグメントへの分割および各々のセグメントに対する独立した位置探索処理の実行、等を含むいくつかの方法を用いている。ワイヤレス位置探索システムは最終の位置推計に結合される独立の位置推計の数を増加しているので、収束の質を表示する統計値をモニターしていることになる。
【0224】
その統計値が或る規定されたしきい値以下であると、ワイヤレス位置探索システムはワイヤレス発信機がその位置を維持していると仮定する。その統計値が所定のスレッショルド値以上に増加した場合は、ワイヤレス位置探索システムはワイヤレス発信機がその位置を維持していないと判断して、その結果それ以上の位置推計の実行を停止する。収束の質を表示する統計値は例えば、一緒に結合されかつ動的に計算された結合位置推計に関する、個々の位置推計に対する標準偏差計算または根二乗平均(RMS)計算であってもよい。要求するアプリケーションに位置探索記録を報告するときには、ワイヤレス位置探索システムは、位置探索記録内のフィールドを用いて、記録された位置推計を生成するために、一緒に結合された独立な位置推計の数を表示する。
【0225】
多重位置推計を得て結合するための他の1つの例のプロセスが、図11A−Dを参照して以下に説明される。図11A、11Bおよび11Cは、あるワイヤレスコミュニケーションシステムの、良く知られた「開始」「ページング応答」および「監査」のシーケンスを、模式的に描いたものである。図11Aに示されているように、開始シーケンス(交信を生成するためのワイヤレス電話による開始)が、ワイヤレス発信機からの「開始」信号と「命令確認」信号の二つの発信を要求する。ワイヤレスコミュニケーションシステム(例えばMSC)からの音声チャンネル割り当てに応じて、命令確認信号が送られる。同様に、図11Bに示されているように、ページシーケンスがワイヤレス発信機からの二つの発信を必要とする。このページシーケンスは、例えばそのワイヤレス発信機が他の電話により呼び出されたとき、ワイヤレスコミュニケーションシステムにより起動される。呼び出された後、このワイヤレス発信機はページング応答を発信し;次に音声チャンネルを割り当てられた後に、ワイヤレス発信機はオーダー確認信号を発信する。監査プロセスはそれとは対照的に、単一のリバース発信の監査応答信号を引き出す。監査および監査応答シーケンスは、反応しているワイヤレス発信機のベルをならさない利点を有している。
【0226】
改善された精度を有するある電話の位置探索法で、これらのシーケンスに用いられている方法が、以下に説明される。本発明に従えば、例えば盗まれた電話または製造番号を盗まれて偽造された電話は、その電話に何回もの監査応答を強いる監査信号で繰り返してビービー鳴らされ、そうしてその電話がより高い精度で位置を探索されることができるようにする。しかしながらこの監査シーケンスを用いるために、このワイヤレス位置探索システムがそのインターフェースを用いて、そのワイヤレス発信機に監査メッセージを送るワイヤレスコミュニケーションシステムに適宜のコマンドを送る。ワイヤレス位置探索システムはまた交信の強制終了(交信途絶)を命じることができ、標準的なANTコードを用いてそのワイヤレス発信機にかけ直させる。音声でその携帯電話のユーザーに交信を切るよう指示すること、又はその交信の中継局の末端でその交信を切断すること、又はさらに基地局に空中経由で人為的な切断メッセージを送ることのいずれかにより、その交信を強制終了させることができる。この空中経由の切断メッセージは、携帯ユニットで「終了」ボタンを押すことをシミュレートする。かけ直しは以上に記述されたページングシーケンスを発動し、位置推計を行うために用いることができる二つの発信を開始するように、携帯電話に強制する。
【0227】
図11Dを参照しつつ、本発明の高精度位置探索方法を要約する。最初に初期位置推計が行われる。次に、以上に記載した監査または「現在の交信を切断してこちらにかけ直す」プロセスが、携帯ユニットからの応答の発信を引き出させるために用いられ、次いで第2の位置推計が行われる。監査または「現在の交信を切断してこちらにかけ直す」プロセスのどちらが用いられるかは、ワイヤレスコミュニケーションシステムとワイヤレス発信機の双方が監査機能を装備しているか否かに関わっている。第2ステップと第三ステップは、必要とされるかまたは望ましいとされる多数の回数の独立した位置推計が得られるように繰り返され、最終的に統計的に独立な多重位置推計が、改善された推計を得るために、平均、重み付け平均または同様の数学的構成で結合される。重み付け平均の使用は、各々の独立な位置推計に対する品質因子の割り当てにより、助成される。この品質因子は、例えば相関百分比、信頼区間または他の同様の各々の独立な推計のための位置探索処理から誘導される測定値に基づいている。
【0228】
位置検出の精度の改良用の帯域幅合成の方法
人工的な帯域幅合成の技術を用いて、相対的に狭い帯域のワイヤレス発信機に対する位置推定値の精度を向上することが、このワイヤレス位置探索システムでは可能である。この技術は例えば、AMPS、NAMPS、TDMAおよびGSMのエアインターフェイスプロトコルを用いるワイヤレス発信機に対して適用することができ、それら対して多数の個々のRFチャンネルが、ワイヤレス発信機による使用のために利用可能である。説明のために、以下の記載はAMPSの特別な詳細に関してなされているが、その記載は容易に他のプロトコルに適用するために変更することができる。この方法は、各々のワイヤレス発信機、そのワイヤレス発信機によって発信される個々の狭い帯域の信号の帯域より広予め定義された広い周波数帯域に亘る周波数で、狭い帯域の信号のみを発信するように動作する、という原理に依拠している。この方法はまた、ワイヤレス位置探索システムとワイヤレス通信システムの間の上述のインターフェイスにも依拠しており、そのインターフェースを通してワイヤレス位置探索システム(WLS)は、あるワイヤレス発信機をの周波数又は別のRFチャンネルにハンドオフまたはスイッチするように、イヤレスコミュニケーションシステムに命令することができる一連の命令を発することにより、ワイヤレス位置探索システムはそのワイヤレス発信機に一連のRFチャンネルへ順次にかつ制御された方法でスイッチさせ、これにより位置探索処理の目的のために、WLSが一連の狭帯域の発信信号からより広い帯域の受信信号を効果的に合成できるようにする
【0229】
現在の本発明の望ましい具体例では、この帯域合成手段は、そのワイヤレス発信機からの発信についての広帯域位相と周波数との特性関係を決定するための手段を含んでいる。例えば、狭帯域信号は通常は約20kHzの帯域を有し、上記予め定義された周波数域は約125MHzに亘っているが、これは、本例でFCCにより各々のセルラーキャリアに割り当てられたスペクトルである。帯域合成により、TDOA測定値の分解能を、約1/12.5MHzに増大させることができ、これは即ち、利用可能な時間分解能が実効帯域の逆数となる
【0230】
無線発信機、較正発信機(もし使用されるならば)、SCSの10A、10Bおよび10CとTLP12が、図12Aに示されている。較正発信機および3つの全てのSCSの位置は事前に正確に知られている。図12Aにおいて点線の矢印で表されている種々の信号は、ワイヤレス発信機および較正発信機により発信され、SCS0A、10Bおよび10Cで受信されて、以上に記載した技術を用いて処理される。位置探索処理に際して、あるSCS(例えば、10B)からのRFデータは、各々の発信機に対しまたSCS10のに対し別々、他のSCS(例えば、10C)からのデータストリームと(時間ドメインまたは周波数ドメインで)相互相関されて、TDOA推定値TDOA23およびTDOA13を生成する。この位置探索処理の中間的な出力は、周波数関数として複素交差累乗を表す組の係数である(例えば、R23)
【0231】
例えば、X(f)が第一のサイトで受信された信号x(t)のフーリエ変換であり、Y(f)が第二のサイトで受信された信号y(t)のフーリエ変換であるとすると、この複素交差累乗R(f)はX(f)Y*(f)となるが、ここでY*はYの複素共役である。R(f)の任意の周波数fにおける位相角は、X(f)の位相からY(f)の位相を差し引いたものに等しい。R(f)の位相角は、フリンジ位相とも呼ばれる。ノイズ、干渉およびその他の誤差がないときには、フリンジ位相は観察されているある(隣接した)周波数帯域内の周波数の完全に線形な関数でありその線の傾斜はマイナスの干渉群遅延またはTDOAであり、その帯域中心周波数とのその線の交点はR(f)の位相の平均値に等しいが、これは、その帯域全体に亘って参照されている場合にはその観察のフリンジ位相と呼ばれる。ある帯域内ではこのフリンジ位相は、周波数の関数と考えることもできる。
【0232】
較正発信機について得られた係数はワイヤレス発信機について得られたものと結合され、そしてそれら結合されたものが解析されて、較正たTDOA測定TDOA23およびTDOA13を得る。この較正プロセスでは、較正発信機のフリンジ位相は、ワイヤレス発信機のフリンジ位相から差し引かれれて、その両者に共通な系統的誤差をキャンセルする。各々の元のフリンジ位相はそれ自身が二つのSCS10で受信された信号の位相間のであるので、この較正プロセスはしばしば二重差分と呼ばれ、較正された結果は二重差分されたと言われる。TDOA推定値T−ijは、そのワイヤレス発信機により発信され、較正され、かつ信号に対するマルチパス伝搬効果に対して修正された信号の、サイトiおよびサイトj間の到達時間差(TDOA最尤の推定値である。セルサイトの異なるからのTDOA推定値は、位置推定値を導出するために結合される。より広い帯域を観察することによりより正確なTDOA推定値が得られることは良く知られている。あるワイヤレス発信機により発信された信号の「瞬時的な」帯域を増大することは、一般的には不可能であるが、そのワイヤレス発信機にある周波数チャンネルから他の周波数チャンネルにスイッチするように命ずることは可能であり、それによって短時間で広い帯域を観察することができる。
【0233】
例えば、代表的な非ワイヤラインのセルラーシステムではチャンネル313−333が制御チャンネルであり、残りの395チャンネルが音声チャンネルである。音声RFチャンネル番号1(RVC1)上で発信していワイヤレス発信機の中心周波数は826.030MHzであり、連続するチャンネルの中心周波数間の間隔は0.030MHzである。典型的な7セル周波数再使用ブロック各々のセルに割り当てられている音声チャンネルの数は、約57(即ち3957)であり、これらのチャンネルは7チャンネルごとを隔てて、395チャンネル全体に配分されている。ここで、AMPSシステムに使用されている各々のセルサイトは、FCCにより割り当てられた12.5MHz帯の全体に亘るチャンネルを有していることに、留意するべきである。例えば、再使用パターンにおける各々の周波数組のセル「A」から「G」までのセルとして表示した場合、「A」のセルに割り当てられるチャンネル番号は、1、8、15、22、、、、309となり「B」のセルに割り当てられるチャンネル番号は、Aのチャンネル番号に1を加えることにより決定され、そしてこのようにして「G」まで決定される。
【0234】
方法はワイヤレス発信機がある音声RFチャンネルに割り当てられ、そしてワイヤレス位置探索システムが、そのワイヤレス発信機からの送信に対する位置探索処理をトリガしたときに始まる。その位置探索処理の一部として、TDOA推定値TDOA13とTDOA23は、結合されると、例えば0.5マイクロセカンドの標準偏差誤差を有す。異なるRFチャンネルからの測定値を結合する方法は、TDOA、フリンジ位相および無線周波数の間の関係を利用する。群遅延またはTDOAの「真の値」、すなわちノイズ、マルチパスおよび機器誤差がないときに観察される値例えばτで同様にフリンジ位相の真の値をφで、無線周波数をfで示すとする。
【0235】
フリンジ位相φはτとfとに関係し
φ=−fτ+n (等式1)
により表わされる。ここ、φはサイクルで、fはHzで、τは秒で測定されnは二重差分位相測定の固有整数サイクル・アンビギティを表整数である。nの値は事前には分かないが、隣接した周波数、即ち任意の一つの周波数チャンネル内での観察に対しては同じである。分離した周波数での観察に対しては、nの値は一般的に異なっている。τは一つの周波数チャンネル内での観察から推定することができ、実際上そのチャンネル内で周波数の関数として観察されたフリンジ位相に、ある直線を当てはめることによりτが推定される。最もよく当てはまる直線の傾きが、τの望ましい推定マイナス符号を付けたものに等しい。
【0236】
単一のチャンネルの場合においては、nは定数であり、等式1は微分されると、
dφ/df=−τ (等式2)
が得られる。
【0237】
各々のチャンネルに対し個別にφ対f観察に直線を当てはめることにより、τの独立の推定値を得ることができるが、二つの分離した(隣り合わない周波数チャンネルが観察されたときは、これら二つのチャンネルに対して整数nが一般的に異なった値を有するので、二つのチャンネルからのφ対fの観察に対しある単一の直線が当てはまることは一般的にない。しかしながらある特定の条件の下では、これら二つの整数値の間の差を求めて取り除き、それによってそれら双方のチャンネルに亘る位相データ全体に対し、ある一つの直線を当てはめることが可能であるその直線は、それがより広い周波数帯域に基づので、の直線の傾きはより良く求められる。ある特定の条件の下では、傾斜の推定値の不確定性はその周波数スパンに逆比例する。
【0238】
この例においては、ワイヤレス発信機は音声RFチャンネル1に割り当てられていると仮定する。チャンネル1とチャンネル416との間の無線周波数は非常に大きいので、当初はこれらのチャンネルに対応する整数n1およびn416の間の差を求めることができない。しかしながら、どちらか一つまたは双方のチャンネルに個別に行われた観察から、TDOA推定初期値τ0を導出することができる。ここで、そのワイヤレス発信機をチャンネル1からチャンネル8にスイッチするように、ワイヤレス位置探索システムワイヤレス通信システムに命令する。のワイヤレス発信機の信号はチャンネル8で受信され、そして推定値τ0を更新または洗練するために処理される。τ0からは、「理論的」フリンジ位相φ0を周波数の関数とし計算することができ、(−fτ0)に等しい
【0239】
実際に観察された位相φとこの理論的位相φ0の差を計算することがで、ここで実際に観察された位相は、典型的にはサイクルの1/50程度の非常に小さな区域内で真の位相に等しく
φ−φ=−f(τ−τ)+n 又は (チャンネルに依存) (等式3)
または
Δφ=−Δfτ−n 又は (チャンネルに依存) (等式4)
である。ここ、Δφ=φ−φ0、Δτ=τ−τ0である。等式4は、図12Bにグラフ化されており、これは、チャンネル18に関してTDOA推定初期値τ0から計算したところの、観察されたフリンジ位相φと値φ0の間の差Δφを、周波数fに関して示している
【0240】
チャンネル1に対応する20kHz巾の周波数帯域については、Δφ対fのグラフは典型的に水平な直線である。チャンネル8に対応する20kHz巾の周波数帯域についても同様に、Δφ対fのグラフは典型的に水平な直線である。これらの直線セグメントの傾斜は一般的に殆どゼロであるが、それは、20kHz内では値(fΔτ)は、Δτは推定値τ0の誤差にマイナス符号をつけたものなので、1サイクルの何分の一も普通変化しないからである。その誤差の大きさは、普通1.5マイクロセカンド(この具体例での0.5マイクロセカンドの標準偏差の3倍)を越えることはなく、1.5マイクロセカンドと20kHzの積は、1サイクルの4%以下である。図12Bでは、n1とn8の差が任意に大きいので、チャンネル1に対するΔφのグラフはチャンネル8に対するΔφのグラフと相対的に大きく垂直にずれている。この縦のずれ即ちチャンネル1と8についてのΔφの平均値の間の差は、(非常に高い確率で)、その差の真の値の±0.3サイクル以内であるが、それは、Δτの最尤強度(1.5マイクロセカンド)とチャンネル1および8の間隔(210kHz)との積が0.315サイクルであるからである。言いかえれば、差n1−n8は、チャンネル1および8に対するΔφの平均値の間の差を、最も近い整数に丸めたものに等しい。この丸め込み処理により整数の差n1−n8が決定された後に、整数Δφがチャンネル8に加算されるか、又は整数Δφがチャンネル1から減算される。チャンネル1および8についてのΔφの平均値の間の差は、一般的にTDOA推定の初期値τ0における誤差210kHzを掛けたものに等しい。チャンネル1および8についてのΔφの平均値の間の差は、210kHzで除算され、その結果がτ0に加算されてTDOAの真値であるτの推定値を得この新たな推定は、τ0よりかなり高精度となり得る
【0241】
この周波数ステッピング及びTDOA練化の方法は、さらに高精度な結果を得るためにより広く隔たったチャンネル間に拡張することができる。τ1がチャンネル1および8から得られた洗練された結果を表すために用るとすると、τ0は丁度説明された方法でτ1により置き換えられることができ、そしてワイヤレス位置探索システムがワイヤレス通信システムに命令して、ワイヤレス発信機を例えばチャンネル8からチャンネル36にスイッチさせ、これにより、τ1は整数n8−n36を決定するために使用されることができ、チャンネル1とチャンネル36の間の1.05MHz周波数スパンに基づいて一つのTDOA推定を得ることができる。この推定値は、τ2と名付けることができ、そしてワイヤレス発信機を例えば、チャンネル36からチャンネル112スイッチさせる。原理的には、そのセルラーキャリアに割り当てられた周波数の全範囲亘らせることができる。この例に用たチャンネル番号(1、8、36、112)は、勿論任意ある。一般的な原理は、(単一チャンネルで始まる)ある小さな周波数スパンに基づくTDOAの推定値を用いて、より広く分離した周波数間のフリンジ位相の整数アンビギティを解決できる、ということである。その後者の周波数分離は、あまり大きくすべきではなく、それはTDOAの先の推定値の不確定性により制限される。一般的に、周波数を乗算された先の推定値の最悪の場合の誤差、0.5サイクルを越えないであろう
【0242】
つのチャンネルのTDOA推定値最悪の場合の不確定性が、2.38マイクロセカンド(0.5サイクルを0.210MHzで割ったものに等しい)を越えるために、ある特定のセルに割り当てられた最も間隔が近接しチャンネル間の最小の周波数ギャップ(例えば、210kHz)を埋めることができない場合、ワイヤレス位置探索システムはワイヤレス通信システムに命令を発して、ワイヤレス発信機があるセルサイトから別のセルサイトに(例えばある周波数グループから他のグループへ)ハンドオフされるようにして、その周波数ステップがより小さくなるようにする。例えば、そのワイヤレス発信機があるチャンネルから他のチャンネルへのハンドオフの間に移動したために、二つのチャンネルに対する二つの位相差(Δφ)の間の整数差の特定を誤る可能性がある。それ故チェックとして、ワイヤレス位置探索システムは各々のハンドオフを逆転(例えば、チャンネル1からチャンネル8に切り換えた後に、チャンネル8からチャンネル1に戻す)して、整数サイクル差が順方向ハンドオフに対し決定されたものとは全く同じ大きさでかつ反対の符号を有することを確認する。チャンネル変更に関係する期間に渡って外挿するために、単一チャンネルのFDOA観察からの、有意に非ゼロ速度推定値を用いることができる。この期間は普通は、1秒の数分の1の短期間に抑えるすることができる。チャンネル間のこの期間を乗算したFDOA推定値誤差は、0.5サイクルに較べて小さくなければならない。ワイヤレス位置探索システムは、好ましくは、この整数の特定ミスに対して様々な冗長処理や検査を用いる。
【0243】
119へ指向される再試行
ワイヤレス位置探索システムの別の発明的な態様は、少なくとも第1の変調方式と第2の変調方式とをサポートする、デュアルモードワイヤレスコミュニケーションシステムに関係する使用のための「直接再接続」に関したものである。そのような状況ではその第1と第2の変調方式は、異なったRFチャンネル(即ちWLSおよびPCSシステムをそれぞれサポートするワイヤレスコミュニケーション用のチャンネル)で使用されていると仮定されている。位置を推計されるワイヤレス発信機が双方の変調方式をサポートする、即ちそのワイヤレス発信機がワイヤレス位置探索システムのサポートを有するワイヤレスコミュニケーションシステムで「119」にダイヤルすることができることも、同様に仮定されている。
【0244】
例えばこの直接再接続法は、あるワイヤレス位置探索システムをサポートするには少し不十分な数の基地局しかないが、他のワイヤレスコミュニケーションシステムと関連するワイヤレス位置探索システムによりカバーされている地域で運営されているような、システムで用いられることができる。この「第1」のワイヤレスコミュニケーションシステムはセルラー電話システムであることができ、「第2」のワイヤレスコミュニケーションはその第1のシステムと同じ地域内で運営されているPCSシステムシステムであることができる。本発明に従えば、現在第2の変調方式(PCS)を使用しているモバイル発信機が、119にダイヤルしようと企てた場合、そのモバイル発信機は自動的に第1の変調方式に切り替えるようにされ、次いで第1のワイヤレスコミュニケーションシステムによる使用のために予め指定された、一群のRFチャンネルの内の一つで第1の変調方式を用いて、119への交信を開始するようにされる。この方法で、PCSまたはそれが行うものと同様のことをするシステムの顧客に対し、位置サービスはそれ自身のワイヤレス位置探索システムによらないサービスを行う。
【0245】
結論
本発明の真の範囲は、以上に開示された現在望ましい具体例に限定されない。例えば、先に記載されたワイヤレス位置探索システムの現在望ましい具体例は説明のために以下の用語、例えば信号収集システム(SCS)、TDOA位置プロセッサ(TLP)、アプリケーションプロセッサ(AP)等を使用しているが、それらは以下の請求項の保護範囲を限定したり、又はこのワイヤレス位置探索システムがここに開示された特定の方法や装置に限定されると、暗に意味するように解釈されるべきではない。さらに、当業者に理解されるように、以上に開示された多くの発明の態様がTDOA技術に基づいていない位置探索システムに適用可能である。例えば、このワイヤレス位置探索システムがタスクリストを使用する等のプロセスは、TDOAでないシステムに適用することができる。そのようなTDOAでないシステムでは、以上に記載したTLPはTDOAの計算を実行するために必要とされない。同様に、以上に記載したようなSCSを用いて構成されたシステムや、上記の特定の記述の全てに適合するAPを用いたシステムに、本発明が限定されることもない。SCS、TLPおよびAPは、本質的に、以上に開示された本発明の概念から離れることなく、種々の形態を取りうるプログラム可能なデータ収集と処理のデバイスである。
【0246】
このシステムの発明の動作を変更することなく、特定の機能のための処理を、以上に記載されたある機能要素(例えばTLPのような)から他の機能要素(例えばSCSまたはAPのような)に変更することが、急速に低下するディジタル信号処理およびその他の処理機能の費用を与えられることにより、容易に可能となる。多くの場合、以上に記載した具体化の形態(即ち機能要素)は、単に設計者の好みの問題であり、困難な要請ではない。従って、明示的に限定される可能性があるものを除き、添付の特許請求の範囲の保護の範囲は、前述に開示される特定の具体例に限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に従った無線ロケーションシステムを略図的に示している。
【図1A】 図1Aは図1と同様の図である。
【図2】 図2は、本発明に従った信号収集システム(SCS)10を略図的に示している。
【図2A】 図2Aは、信号収集システムが使用する受信器モジュール10−2を略図的に示している。
【図2B】 図2Bは、受信器モジュール10−2をアンテナ10−1に結合する代替方法を略図的に示している。
【図2C】 図2Cは図2Bと同様の図である。
【図2C−1】 図2C−1は、狭帯域受信器モジュールを使用する際に無線ロケーション・システムが採用するプロセスのフローチャートである。
【図2D】 図2Dは、本発明に従った信号収集システムに採用されるDSPモジュール10−3を略図的に示している。
【図2E】 図2Eは、DSPモジュール10−3の動作のフローチャートである。
【図2E−1】 図2E−1は、アクティブチャネルを探知するためにDSPモジュールが採用するプロセスのフローチャートである。
【図2F】 図2Fは、本発明に従った制御および通信モジュール10−5を略図的に示している。
【図2G】 図2Gは、現在の望ましいSCS較正方法の態様を示し、本発明に従った外部較正方法を説明するために使用される基準線および誤差値の略図である。
【図2H】 図2Hは、内部較正方法のフローチャートである。
【図2I】 図2Iは、AMPS制御チャネルの伝達関数例である。
【図2J】 図2Jは、櫛形信号例を示している。
【図2K】 図2Kおよび2Lは、本発明に従った無線ロケーションシステムの性能を監視するための2つの方法のフローチャートである。
【図2L】 図2Lは図2Kと同様の図である。
【図3】 図3は、本発明に従ったTDOAロケーションプロセッサを略図的に示している。
【図3A】 図3Aは、本発明に従ったTLPコントローラが保存するネットワークマップ例の構造を示している。
【図4】 図4は、本発明に従ったアプリケーションプロセッサ14の異なる態様を略図的に示している。
【図4A】 図4Aは図4と同様の図である。
【図5】 図5は、本発明に従った中央局ベースのロケーション処理方法のフローチャートである。
【図6】 図6は、本発明に従った局ベースのロケーション処理方法のフローチャートである。
【図7】 図7は、ロケーションが望ましい送信ごとに中央局ベースの処理を採用するか局ベースの処理を採用するかを決定するための方法のフローチャートである。
【図8】 図8は、ロケーション処理に使用される協同するアンテナおよびSCS 10を選択するために使用される動的プロセスのフローチャートである。
【図9】 図9は、予め定められた基準セットを使ってSCSおよびアンテナの候補リストを選択するための方法を説明する際に下で言及される図である。
【図10A】 図10Aは、ロケーションの正確度を改良するために送信される信号の帯域幅を増大するための代替方法のフローチャートである。
【図10B】 図10Bは図10Aと同様の図である。
【図11A】 図11Aは信号動線図である。
【図11B】 図11Bは図11Aと同様の図である。
【図11C】 図11Cは図11Aと同様の図である。
【図11D】 図11Dはフローチャートである。図11A〜図11Dは、統計的に独立した複数の位置推定値を結合して改良された正確度を持つ1つの推定値を与えるための発明的方法を説明するために使用される。
【図12A】 図12Aは、帯域幅合成方法を説明するためのブロック図およびグラフである。
【図12B】 図12Bは図12Aと同様の図である。

Claims (24)

  1. 移動送信器の地理的位置を推定するための無線ロケーション・システムであって、前記移動送信器は、予め定められた広周波数帯域にわたる複数の周波数チャンネルで狭帯域信号を送信するよう動作し、前記予め定められた広周波数帯域は前記移動送信器が送信する個々の前記狭帯域信号の帯域幅より広く、前記システムが、
    (a) 前記複数の周波数チャンネルのうちの1つの周波数チャンネルで前記移動送信器によって送信され狭帯域信号を受信するための少なくとも3つの地理的に分離した受信器と、
    (b) 前記移動送信器が送信に使用する周波数チャンネルを、前記複数の周波数チャンネル内でスイッチさせる手段であって、これにより前記送信に使用する周波数チャンネルが第1の周波数チャンネルから第2の周波数チャンネルへとスイッチされる、手段と、
    (c) フリンジ位相検出手段であって、前記第1の周波数チャンネルで前記移動送信器によって送信された第1の狭帯域信号を受信した前記受信器からの信号を相互相関させて第1のフリンジ位相を検出し、前記第1フリンジ位相は、第1の整数サイクル・アンビギティを含み、前記第2の周波数チャンネルで前記移動送信器によって送信された第2の狭帯域信号を受信した前記受信器からの信号を相互相関させて第2のフリンジ位相を検出し、前記第2フリンジ位相は、第2の整数サイクル・アンビギティを含む、フリンジ位相検出手段と、
    (d) 前記第1フリンジ位相から、前記移動送信器の位置推定のための第1の到達時間差(TDOA)推定値を求める手段と、
    (e) 前記第1と第2の整数サイクル・アンビギティの差に基づいて前記第1TDOA推定値を修正して、前記移動送信器の位置推定のための第2のTDOA推定値を求める手段と
    を備えた、無線ロケーション・システム。
  2. 前記スイッチさせる手段は、前記第1の周波数チャンネルから前記第2の周波数チャンネルへの前記移動送信器のスイッチを行うために、前記無線ロケーション・システムと無線移動電話切換え局の間の動作上のカップリングを含む、請求項1に記載の無線ロケーション・システム。
  3. 前記スイッチさせる手段のための前記動作上カップリングは、
    前記移動送信器がどの波数チャンネルを使用するかを無線ロケーション・システムが予め定めるための手段、および
    前記移動送信器がどの周波数チャネルを使用したかを前記移動電話切換え局が前記無線ロケーション・システムに報告するための手段
    を含む、請求項2に記載の無線ロケーション・システム。
  4. 前記フリンジ位相検出手段は、式φ=−fτ+nを解くための手段を含み、φはサイクルを単位とするフリンジ位相であり、fはHzを単位とする周波数であり、τは秒を単位とするTDOA値であり、nは到達時間差位相測定の固有の整数サイクルアンビギティを表す整数である、請求項1に記載の無線ロケーション・システム。
  5. 記無線ロケーション・システムが較正送信器を含み、前記移動送信器から得る前記フリンジ位相における系統的誤差をキャンセルするために前記較正送信器を使用する、請求項1に記載の無線ロケーション・システム。
  6. 移動送信器の地理的位置を推定するための方法であって、前記移動送信器が、予め定められた広周波数帯域にわたる複数の周波数チャンネルで狭帯域信号を送信するよう動作し、前記予め定められた広周波数帯域が前記移動送信器が送信する個々の前記狭帯域信号の帯域幅より広く、該方法が、
    (a) 前記複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルで前記移動送信器によって送信された第1の狭帯域信号を、地理的に分離した3つの受信器サイトで受信するステップと、
    (b) 前記第1の狭帯域信号を受信した前記受信器サイトからの信号を相互相関させて第1のフリンジ位相を検出するステップであって、前記第1フリンジ位相は、第1の整数サイクル・アンビギティを含む、ステップと、
    (c) 前記第1フリンジ位相から、前記移動送信器の位置推定のための第1の到達時間差(TDOA)推定値を求めるステップと、
    (d) 前記移動送信器が送信に使用する周波数チャンネルを、前記第1の周波数チャンネルから前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルへとスイッチさせるステップと、
    (e) 前記第2の周波数チャンネルで前記移動送信器よって送信された第2の狭帯域信号を、地理的に分離した3つの受信器サイトで受信するステップと、
    (f) 前記第2の狭帯域信号を受信した前記受信器サイトからの信号を相互相関させて第2のフリンジ位相を検出するステップであって、前記第2フリンジ位相は、第2の整数サイクル・アンビギティを含む、ステップと、
    (g) 前記第1と第2の整数サイクル・アンビギティの差に基づいて前記第1TDOA推定値を修正して、前記移動送信器の位置推定のための第2のTDOA推定値を求めるステップと、
    を含む、方法。
  7. ステップ()は、前記第1の周波数チャンネルから前記第2の周波数チャンネルへの前記移動送信器のスイッチを行ために無線移動電話切換え局の使用を含む、請求項に記載の方法。
  8. ステップ()は、さらに、前記移動送信器がどの波数チャンネルを使用するか予め定め、前記移動送信器がどの周波数チャネルを使用したかについての報告を前記移動電話切換え局から受け取ることを含む、請求項に記載のシステム。
  9. ステップ()は式
    φ=−fτ+n
    を解くことを含み、ここでφはサイクルを単位とするフリンジ位相であり、fはHzを単位とする周波数であり、τは秒を単位とするTDOA値であり、nは到達時間差位相測定の固有の整数サイクルアンビギティを表す整数である、請求項に記載の方法。
  10. さらに、前記移動送信器からの前記フリンジ位相における系統的誤差をキャンセルするために較正送信器を使用するステップを含む、請求項に記載の方法。
  11. 予め定められた広周波数帯域にわたる複数の周波数チャンネルで狭帯域の信号を送信する移動送信器の位置を突き止めるための無線ロケーション・システム(WLS)であって、前記広帯域が前記狭帯域より広く、該システムが、
    狭帯域信号を受け取るための地理的に分離した3つの受信器と、
    記移動送信器送信に使用する周波数チャンネルを、前記複数の周波数チャンネル内でスイッチさせるための手段であって、これにより前記送信に使用する周波数チャンネルが第1の周波数チャンネルから第2の周波数チャンネルへとスイッチされる、手段と、
    フリンジ位相検出手段であって、前記第1の周波数チャンネルで前記移動送信器によって送信された第1の狭帯域信号を受信した前記受信器からの信号を相互相関させて第1のフリンジ位相を検出し、前記第1フリンジ位相は、第1の整数サイクル・アンビギティを含み、前記第2の周波数チャンネルで前記移動送信器によって送信された第2の狭帯域信号を受信した前記受信器からの信号を相互相関させて第2のフリンジ位相を検出し、前記第2フリンジ位相は、第2の整数サイクル・アンビギティを含む、フリンジ位相検出手段と、
    前記第1フリンジ位相から、前記移動送信器の位置推定のための第1の到達時間差(TDOA)推定値を求める手段と、
    前記第1と第2の整数サイクル・アンビギティの差に基づいて前記第1TDOA推定値を修正して、前記移動送信器の位置推定のための第2のTDOA推定値を求める手段と、
    を備えた無線ロケーション・システム。
  12. 前記スイッチさせる手段は、前記移動送信器を前記第1の周波数チャンネルから前記第2の周波数チャンネルスイッチさせるために無線ロケーション・システムから移動切換え局(MTSOまたはMSC)へのカップリングを含む、請求項11に記載の無線ロケーション・システム。
  13. 前記無線ロケーション・システムは、前記移動送信器がどの波数チャンネルを使用するかを予め定めることができ、前記移動切換え局が、どの周波数チャンネルが使用されたかを前記無線ロケーション・システムに報告する、請求項12に記載の無線ロケーション・システム。
  14. 前記無線ロケーション・システムは無線送信器から得る前記フリンジ位相における系統的誤差をキャンセルするための手段を含む、請求項11に記載の無線ロケーション・システム。
  15. 前記フリンジ位相検出手段は、式
    φ=−fτ+n
    を解くための手段を備え、φはサイクルを単位とするフリンジ位相であり、fはHzを単位とする周波数であり、τは秒を単位とするTDOA値であり、nは到達時間差位相測定の固有の整数サイクルアンビギティを表す整数である、請求項11に記載の無線ロケーション・システム。
  16. 前記個々の狭帯域信号の前記帯域幅はおよそ20KHzである、請求項1に記載の無線ロケーション・システム。
  17. 前記広周波数帯域の前記帯域幅はおよそ12.5MHzである、請求項16記載の無線ロケーション・システム。
  18. 前記移動送信器は、AMPS、NAMPS、TDMAおよびGSMからなるグループから選択したエア・インターフェース・プロトコルを使用する、請求項1記載の無線ロケーション・システム。
  19. 前記個々の狭帯域信号の前記帯域幅はおよそ20KHzである、請求項に記載の方法。
  20. 前記広周波数帯域の前記帯域幅はおよそ12.5MHzである、請求項19記載の方法。
  21. 前記移動送信器は、AMPS、NAMPS、TDMAおよびGSMからなるグループから選択したエア・インターフェース・プロトコルを使用する、請求項記載の方法。
  22. 前記個々の狭帯域信号の前記帯域幅はおよそ20KHzである、請求項11に記載の無線ロケーション・システム。
  23. 前記広周波数帯域の帯域幅はおよそ12.5MHzである、請求項22記載の無線ロケーション・システム。
  24. 前記移動送信器は、AMPS、NAMPS、TDMAおよびGSMからなるグループから選択したエア・インターフェース・プロトコルを使用する、請求項11記載の無線ロケーション・システム。
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