JP4459088B2 - 異鋼種連々続鋳造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、タンディッシュ内の前チャージを鋳型に供給して前チャージの鋳造を行った後、鋳型への前チャージの供給を一旦停止して、鋳型にシーケンスブロック(継ぎ手金物)を投入すると共に、鋼種の異なる後チャージをタンディッシュに供給し、タンディッシュ内の後チャージを鋳型に供給することで、前チャージに引き続き後チャージの鋳造を連続的に行っている。
凝固シェルの倒れ込み量が大きい状態で後チャージを鋳型に供給した場合、凝固シェルと鋳型の側壁との間に、後チャージが入り込んで鋳型から後チャージが漏れ出すという湯漏れ(漏鋼)を引き起こしてしまう可能性が大である。
さらに、凝固シェルの倒れ込み量が大きいと、凝固シェルの倒れ込みにより前チャージの浴面の面積が小さくなり、シーケンスブロックをその浴面に投入しようとしても、そのシーケンスブロックが投入できない可能性があった。
まず、発明者らは、前チャージの供給を停止したとき、凝固シェルが鋳型内で十分に成長してその厚みが大きければ、前チャージの供給を停止しても凝固シェルの倒れ込みが少なくなると考え、前チャージの供給停止時に凝固シェルの厚みを増加させるためには、鋳型への前チャージの供給を停止する前(最終の前チャージを鋳造する際)に、鋳造速度を定常状態から減速させれば良いと考えた。
さて、鋳造速度は様々な鋳造条件で決定されるが、最終の前チャージを鋳造するときは、タンディッシュ内の前チャージ量は徐々に少なくなりタンディッシュ重量は徐々に減少するので、発明者らは、タンディッシュ重量に基づいて前チャージの鋳造速度を減速すれば、凝固シェルの倒れ込みの抑制ができることを見いだした。
前チャージの炭素含有量が0.2%以上のとき,
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.45 ・・・(1)
前チャージの炭素含有量が0.2%未満のとき,
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.27 ・・・(2)
ただし、TD:前チャージを貯留したタンディッシュ重量(ton),0≦TD≦30 V:鋳造速度(m/min)
発明者らは、最終の前チャージを鋳造する工程において、前チャージを貯留したタンディッシュ重量をパラメータとし、そのタンディッシュ重量に応じて前チャージにおける鋳造速度を徐々に低減した実験を数々行った。その結果、凝固シェルの倒れ込みを所定値以下、即ち、凝固シェルの倒れ込みによる湯漏れをなくするためには、前チャージの炭素含有量が0.2%以上のときは、その鋳造速度(V)を0.017×TD+0.45m/min以下にすることで達成でき、前チャージの炭素含有量が0.2%未満のときは、その鋳造速度(V)を0.017×TD+0.27m/min以下にすることで達成できることを見いだした。
そこで、発明者らは様々な実験を繰り返し、浸漬ノズルの詰まりが発生しないようにす
るには、前チャージの鋳造速度の下限値を、前チャージの炭素含有量が0.2%以上のときは、0.017×TD+0.1m/minにすることで達成でき、前チャージの炭素含有量が0.2%未満のときは、0.017×TD+0.1m/minにすることで達成できることを見いだした。
なお、本発明における課題解決のための最も好ましい技術的手段として、タンディッシュ内の前チャージを鋳型に供給して前チャージの鋳造を行った後に、鋳型への前チャージの供給を停止し、鋼種の異なる後チャージを前記タンディッシュに供給し、タンディッシュ内の後チャージを鋳型に供給することで後チャージの鋳造を連続的に行う異鋼種連々続鋳造方法において、前記鋳型内での前チャージの凝固シェルの倒れ込みを抑制するために、前記鋳型への前チャージの供給を停止する前から前チャージを貯留したタンディッシュ重量に基づいて前チャージの鋳造速度を減速しつつ鋳造を行い、前記前チャージの鋳造速度Vを、前チャージの炭素含有量が0.2%以上のとき、式(1)を満たしつつ減速し、前チャージの炭素含有量が0.2%未満のとき、式(2)を満たしつつ減速することを採用できる。
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.45 ・・・(1)
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.27 ・・・(2)
ただし、
TD:前チャージを貯留したタンディッシュ重量(ton),0≦TD≦30
V:鋳造速度(m/min)
図1に示すように、連続鋳造装置1は、転炉(図示省略)で精錬された溶鋼(チャージ)2を貯留する取鍋3と、該取鍋3を載置する受台4と、取鍋3から注入されるチャージ2を貯留するタンディッシュ5と、該タンディッシュ5から供給されるチャージ2を成型する鋳型6と、該鋳型6により成型された鋳片7を引き出し且つサポートする複数のサポートロール8とを有している。
連続鋳造装置1では、図2に示すように、先のチャージ(以降、前チャージ2a)を鋳造した後に、この前チャージ2aの後に鋼種の異なるチャージ(以降、後チャージ2b)鋳造することが可能である。
具体的には、最後の前チャージ2aを鋳造する工程での鋳造速度Vを、下記[式1],[式2]の範囲内で減速している。
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.45 ・・・(1)
前チャージの炭素含有量が0.2%未満のとき,
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.27 ・・・(2)
ただし、
TD:前チャージを貯留したタンディッシュ重量(ton),0≦TD≦30 V:鋳造速度V(m/min)
前記[式1],[式2]の導出過程について説明する。
図4に示すように、発明者らの実験では、鋳造条件が一定であっても、チャージ2の炭素含有量が0.2%を境として倒れ込み量が異なることが分かった。即ち、実験では、炭素含有量が0.2%以上のものは、炭素含有量が0.2%未満のものに比べ、凝固シェル13の倒れ込み量が小さかった。
即ち、図5に示すように、炭素含有量が0.2%以上の前チャージ2aを鋳造する際に、タンディッシュ重量の変化に応じて定常状態から鋳造速度Vを減速するという実験を行った。
ケース4〜8では、前チャージの供給を停止した後、後チャージ2bを鋳型6に供給しても湯漏れは発生しなかった。これは前チャージ2aを鋳造する際に、鋳造速度Vの減速を十分に行ったことで、鋳造終了後における凝固シェル13の厚みがケース1〜3に比べ厚くなり、その結果、凝固シェル13の倒れ込み量が小さくなり、湯漏れが発生しなかったと考えられる。
一方で、ケース6〜8では、鋳造速度Vの減速を十分に行ったことで湯漏れが発生しなくなったものの、前チャージ2aを鋳型6に供給する際に、タンディッシュ5の浸漬ノズル10が詰まってしまう問題が発生した。これは、急激に鋳造速度Vの減速を行ったために、浸漬ノズル10内に前チャージ2aが長い間滞ることになり、浸漬ノズル10内の前チャージ2aの温度が低下して凝固してしまったことが要因と考えられる。
以上の実験により、湯漏れやノズル詰まりを起こさないようにするためには、炭素含有量が0.2%以上の前チャージ2aでは、その鋳造速度Vとタンディッシュ重量との関係は最適範囲A[0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.45]であることが必要で、鋳造速度Vを最適範囲A内に留めつつ徐々に減速すればよいことが分かった。
図7のケース15では、前チャージ2aを鋳造するにあたって、タンディッシュ重量が約19トンになった時点から前チャージ2aの鋳造速度Vをケース15の直線に沿うように徐々に減速していき、タンディッシュ5内の溶鋼重量が0になった時に前チャージ2aの鋳造を完了して、前チャージ2aの鋳型6への供給停止し、その後、後チャージ2bをタンディッシュ5を介して鋳型6に供給した。
したがって、炭素含有量が0.2%未満の前チャージ2aを鋳造する場合は、その鋳造速度Vをケース18の直線式である0.017×TD+0.27m/min以下になるように減速すれば良いことが分かった。
一方で、上記ケース6〜8と同様に、ケース20〜22では湯漏れが発生しないものの、前チャージ2aを鋳型6に供給する際に、タンディッシュ5の浸漬ノズル10が詰まってしまう問題が発生した。炭素含有量が0.2%未満の前チャージ2aを鋳造する場合でも、上記と同様に、鋳造速度Vの下限値をケース19の直線式である0.017×TD+0.1にする必要であることが分かった。
図8,9(a)に示すように、パターンAでは、タンディッシュ重量が12.5トンになるまでは、鋳造速度Vを0.6m/minと一定にしておき、タンディッシュ重量が12.5トンになった時点で鋳造速度Vを0.6m/minから0.5m/minに減速し、タンディッシュ重量が7.2トンになった時点で鋳造速度Vを0.5m/minから0.4m/minに減速し、タンディッシュ重量が4.7トンになった時点で鋳造速度Vを0.4m/minから0.3m/minに減速し、最終的に、タンディッシュ重量が2.0トンになるまで前チャージ2aの鋳造を行い、タンディッシュ重量が2.0トンになったところで鋳造を停止した。
図10は、前チャージ2aの供給停止時におけるパターンA〜Cでの凝固シェル13の倒れ込み量を示している。これから分かるように、パターンA,Bのように鋳造速度Vを[式1][式2]を満たす範囲で減速した場合は倒れ込み量は10mm以下であり、湯漏れと共に浸漬ノズル10の詰まりも発生しなかった。パターンCでは倒れ込み量は20mmであり、後チャージ2bを鋳型6に供給した場合、湯漏れが発生する危険性が非常に大であるため鋳造を中止した。
本発明上記の実施の形態に限定されるものではない。即ち、前チャージ2aを鋳造する際の鋳造速度Vの減速は、上記実施の形態に示したように、最適範囲A又はB内であれば段階的に行っても良いし、タンディッシュ重量に応じて連続的に行っても良い。また、前チャージ2aを鋳造する際の鋳造速度Vは、最適範囲A又はB内であれば一時的に増加してもよい。
2b 後チャージ
5 タンディッシュ
6 鋳型
13 凝固シェル
Claims (1)
- タンディッシュ内の前チャージを鋳型に供給して前チャージの鋳造を行った後に、鋳型への前チャージの供給を停止し、鋼種の異なる後チャージを前記タンディッシュに供給し、タンディッシュ内の後チャージを鋳型に供給することで後チャージの鋳造を連続的に行う異鋼種連々続鋳造方法において、
前記鋳型内での前チャージの凝固シェルの倒れ込みを抑制するために、前記鋳型への前チャージの供給を停止する前から前チャージを貯留したタンディッシュ重量に基づいて前チャージの鋳造速度を減速しつつ鋳造を行い、
前記前チャージの鋳造速度Vを、前チャージの炭素含有量が0.2%以上のとき、式(1)を満たしつつ減速し、前チャージの炭素含有量が0.2%未満のとき、式(2)を満たしつつ減速する
ことを特徴とする異鋼種連々続鋳造方法。
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.45 ・・・(1)
0.017×TD+0.1≦V≦0.017×TD+0.27 ・・・(2)
ただし、
TD:前チャージを貯留したタンディッシュ重量(ton),0≦TD≦30
V:鋳造速度(m/min)
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---|---|---|---|
JP2005061291A JP4459088B2 (ja) | 2005-03-04 | 2005-03-04 | 異鋼種連々続鋳造方法 |
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JP2005061291A JP4459088B2 (ja) | 2005-03-04 | 2005-03-04 | 異鋼種連々続鋳造方法 |
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JP2006239758A JP2006239758A (ja) | 2006-09-14 |
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