JP4458697B2 - 光起電力装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電極間の短絡部分を除去するエッチング方法、集積型の光起電力装置の製造方法及び光起電力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非晶質又は微結晶シリコン系半導体を光活性層に用いた集積型の光起電力装置は、高電圧を取り出すために、多数の光起電力素子をカスケード接続してある。該光起電力素子は、例えば透光板の一面に第1電極膜を形成して分割し、分割した第1電極膜に半導体層を形成して分割し、分割した半導体層に第2電極膜を形成して半導体層及び第2電極膜を分割して形成する。第1電極膜、半導体層、第2電極膜を分割する方法としては、主に、エネルギービームを用いたパターニング法、特にレーザビームを用いたレーザパターニング法が用いられる(例えば特公平4−64473号公報)。
【0003】
図16(a)〜(c)及び図17(a)〜(b)は従来の光起電力装置の製造方法の説明図であり、隣り合う光起電力素子を直列接続する部分を中心とする模式的断面図を示している。
絶縁性の透光板1の一面上に第1電極膜2を形成し、該第1電極膜2にレーザビーム6を照射して、第1電極膜2を任意の個数の短冊状に分割する分割溝21を形成する(図16(a))。
分割された第1電極膜2上に、水素を含有する半導体を用いた半導体層3を形成する。このとき、分割溝21にも前記半導体が堆積する(図16(b))。
【0004】
半導体層3に、分割溝21に沿い、分割溝21に接触又は交叉をしないようにレーザビーム6を照射して、レーザビーム6を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって半導体層3の一部を飛散して除去して、半導体層3を前記個数の短冊状に分割する分割溝31を形成する(図16(c))。
分割された半導体層3上に、導電性材料(例えばアルミニウム)を用いた第2電極膜4を形成する。このとき、分割溝31にも導電性材料が堆積して、第1電極膜2と第2電極膜4とを接続する接続部40となる(図17(a))。
【0005】
第2電極膜4及び半導体層3に、分割溝31に沿い、分割溝31に接触又は交叉をしないようにレーザビーム6を照射して、レーザビーム6を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって第2電極膜4の一部及び半導体層3の一部を飛散して除去して、第2電極膜4及び半導体層3を前記個数の短冊状の光起電力素子10,10,…に分割する分割溝41を形成する。分割溝41は、分割溝31に対する分割溝21側の反対側に形成する(図17(b))。
ところで、斯かる光起電力装置にあっては、長時間の光照射により光電変換特性が低下することを抑制するために、半導体層3の膜厚を薄くすることが検討されている。
【0006】
図18は、光活性層の厚さを薄くしたときにレーザパターニング法を用いて12個の光起電力素子を形成した従来の光起電力装置の各光起電力素子の開放電圧を示すグラフである。
横軸は1〜12までの光起電力素子の番号、縦軸は各光起電力素子が出力する開放電圧(V)であり、図中のプロットは1万ルクス蛍光灯下で夫々の光起電力素子が出力する低照度開放電圧の値を表わしている。また、実線はレーザビームによる分割形成を必要としないリファレンスの1cm角シングルセルの低照度開放電圧を表わしている。
図より、シングルセルは一定(1.2V)の開放電圧を出力しているが、光起電力素子は半数が約1.2V、半数が0.2V以下の開放電圧を出力しており、従来の光起電力装置の光起電力素子の開放電圧はバラツキが大きく、一定していないことがわかる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光起電力装置の製造方法は、レーザパターニング法を用いる場合、分割溝41形成の際に、半導体層3にレーザビーム6を照射することによって該レーザビーム6を照射した部分の半導体層3内部の水素を急激に放出させ、該水素の放出に伴って前記半導体層3を構成している半導体と第2電極膜4を構成している導電性材料とが飛散することによって前記半導体及び前記導電性材料が除去されて半導体層3及び第2電極膜4を分割する分割溝41が形成されるが、半導体層3の膜厚が薄いとき、半導体層3内部の水素の絶対量が少ないため、該半導体層3内部から放出される水素の量が少なく、そのため前記導電性材料を完全に除去することができず、飛散した前記導電性材料の一部が残留物として再付着し、また、分割溝41に第2電極膜4の溶融だれが残留し、このとき残留物又は溶融だれが第2電極膜4と第1電極膜2とに接触して、該第2電極膜4と第1電極膜2とを短絡させる短絡部分4aとなる場合があるという問題があった。
【0008】
また、短絡部分4aによって第2電極膜4と第1電極膜2とが短絡した場合、光起電力素子10,10,…の開放電圧が一定せずに大きなバラツキを起こして充分な特性を得ることができないという問題もあった。
【0009】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、第1電極と第2電極とを電解液中に浸漬し、該電解液と第1電極とに電圧を印加することにより、電極同士の短絡部分を効率良く除去できるエッチング方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、第1電極膜と第2電極膜とを電解液中に浸漬し、該電解液と第1電極膜とに電圧を印加することにより、残留物、溶融だれ等の付着による短絡を防止することができる光起電力装置の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、第1電極膜と第2電極膜との短絡部分を除去した後に、第1電極膜と第2電極膜とを溶着することにより、第2電極膜の過剰なエッチングを防止することができる光起電力装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、第1電極膜と第2電極膜との短絡部分を除去した後に、絶縁体層を形成し、該絶縁体層と第2電極膜と半導体層とを夫々一部除去してから、第1電極膜と第2電極膜とを接続することにより、第2電極膜の過剰なエッチングを防止し、また、第1電極膜と第2電極膜とを確実に接続することができる光起電力装置の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、あらかじめ接続されている第1電極膜と第2電極膜とを電解液中に浸漬し、該電解液と第1電極膜とに電圧を印加することにより、従来の光起電力装置の製造方法を用いて形成した光起電力素子の短絡部分を除去することができ、残留物、溶融だれ等の付着による短絡を防止することができる光起電力装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、エッチングの条件として前記電圧を印加する時間を用いることにより、短絡部分を完全に除去することができ、また、エッチングによって第2電極膜が所要の厚さより薄くなることを防止する光起電力装置の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、短絡部分を除去するために用いる電圧印加部を設けてあることにより、製造時の便宜をはかり、また、残留物、溶融だれ等の付着によって各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する光起電力装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、第1電極膜、第2電極膜、及び該第2電極膜上に形成されている絶縁体層を分割している第2分割溝に、第2電極膜と第1電極膜とを接続する接続部が形成されていることにより、製造時の便宜をはかり、また、より確実に、残留物、溶融だれ等の付着によって各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する光起電力装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係るエッチング方法は、第1電極と、前記第1電極と短絡している短絡部分を有する第2電極とを電解液中に浸漬し、前記短絡部分を構成している導電性材料を溶解すべく前記電解液及び前記第1電極に電圧を印加することを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る光起電力装置の製造方法は、絶縁性表面を有する透光板の一面に、複数の光起電力素子を形成する光起電力装置の製造方法において、前記一面に、第1分割溝によって互いに分割された複数の第1電極膜を形成し、前記第1分割溝及び前記第1電極膜上に半導体層及び第2電極膜を形成し、該半導体層及び第2電極膜を分割する第2分割溝を前記第1分割溝から適宜の距離を隔てて形成し、次いで、前記第1電極膜を一部露出させて各第1電極膜に電圧印加部を形成し、前記第1電極膜、前記半導体層、及び前記第2電極膜を備えた前記透光板を電解液に浸漬し、前記第1電極膜と短絡している前記第2電極膜の短絡部分を溶解すべく前記電解液及び前記電圧印加部に電圧を印加することを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る光起電力装置の製造方法は、前記短絡部分の溶解後、前記第1分割溝と前記第2分割溝との間の前記第1電極膜と前記第2電極膜とを溶着することを特徴とする。
第4発明に係る光起電力装置の製造方法は、前記短絡部分の溶解後、前記第2分割溝及び前記第2電極膜上に絶縁体層を形成し、前記第1分割溝と前記第2分割溝との間に、前記半導体層、前記第2電極膜及び前記絶縁体層を分割する第3分割溝を形成し、前記第2電極膜を構成する導電性材料を前記第3分割溝に堆積して前記第1電極膜と前記第2電極膜とを接続することを特徴とする。
【0015】
第5発明に係る光起電力装置の製造方法は、絶縁性表面を有する透光板の一面に、第1分割溝によって互いに分割された複数の第1電極膜を形成し、前記第1分割溝及び前記第1電極膜上に、前記第1分割溝と隣り合う分割溝によって互いに分割された複数の半導体層を形成し、次いで、前記分割溝及び前記半導体層上に第2電極膜を形成し、前記分割溝に対する前記第1分割溝側とは反対側に、前記分割溝に隣り合って前記第2電極膜及び前記半導体層を分割する第2分割溝を形成する光起電力装置の製造方法において、前記第2分割溝を形成した後、前記第1電極膜を一部露出して各第1電極膜に電圧印加部を形成し、前記第1電極膜と短絡している短絡部分を有する前記第2電極膜、前記半導体層、及び前記第1電極膜を備えた前記透光板を電解液に浸漬し、前記短絡部分を溶解すべく前記電解液及び前記電圧印加部に電圧を印加することを特徴とする。
【0016】
第6発明に係る光起電力装置の製造方法は、前記電圧を印加する時間は、前記短絡部分は消失し、前記第2電極膜は残存している時間であることを特徴とする。
第7発明に係る光起電力装置は、絶縁性表面を有する透光板の一面に、第1分割溝によって互いに分割されている複数の第1電極膜を有し、該第1電極膜上に、半導体層及び第2電極膜が積層してあり、該半導体層及び第2電極膜は前記第1分割溝から適宜の距離を隔てて形成されている第2分割溝によって互いに分割されており、また、前記第1電極膜と前記第2電極膜とは前記第1分割溝と前記第2分割溝との間で接続してある光起電力装置において、前記第1電極膜が夫々一部露出していることを特徴とする。
【0017】
第8発明に係る光起電力装置は、絶縁性表面を有する透光板の一面に、第1分割溝によって互いに分割されている複数の第1電極膜を有し、該第1電極膜上に、半導体層及び第2電極膜が積層してあり、該半導体層及び第2電極膜は前記第1分割溝から適宜の距離を隔てて形成されている第2分割溝によって互いに分割されている光起電力装置において、前記第2分割溝には絶縁体が充填されており、前記第2電極膜上に、前記絶縁体を用いてなる絶縁体層が形成されており、前記第1分割溝と前記第2分割溝との間に、前記半導体層、前記第2電極膜、及び絶縁体層を分割し、前記第2電極膜を構成する導電性材料が充填されている第3分割溝が形成されていることを特徴とする。
【0018】
第1発明にあっては、第2電極を構成している導電性材料が短絡部分となって第1電極と第2電極とを短絡している場合、直流電源を用いて、第1電極側が正、電解液側が負になるよう電解液と第1電極とに電圧を印加するよう回路を構成したとき、前記導電性材料の電子が短絡部分を通って第1電極へ移動するため、前記導電性材料がイオン化して電解液中に溶解し、短絡部分及び第2電極がエッチングされる。第1電極と第2電極とが短絡部分以外に接続部分を持たない場合、短絡部分を構成している導電性材料が溶解することによって第1電極と第2電極との短絡が消失したとき、第1電極への前記電子の移動が止まり、前記導電性材料の溶解が止まって、第2電極のエッチングが終了する。また、第1電極と第2電極とが短絡部分及び接続部分を持たない場合は、前記電圧を印加したときであっても第1電極への電子の移動が起こらないため、前記導電性材料はイオン化して溶解せず、第2電極はエッチングされない。このため、電極同士の短絡部分を効率良く除去できる。
【0019】
第2発明にあっては、第1発明のエッチング方法を用いて光起電力素子の短絡部分を除去する方法であって、第2電極膜を構成している導電性材料が短絡部分となって第1電極膜と第2電極膜とを短絡している場合、直流電源を用い、第1電極膜側が正、電解液側が負になるよう電解液と第1電極膜とに電圧を印加するよう回路を構成したとき、前記導電性材料の電子が短絡部分を通って第1電極膜へ移動するため、前記導電性材料がイオン化して電解液中に溶解し、短絡部分及び第2電極膜がエッチングされる。この場合、短絡部分を構成している導電性材料が溶解することによって第1電極膜と第2電極膜との短絡が消失したとき、第1電極膜への前記電子の移動が止まり、前記導電性材料の溶解が止まって、第2電極膜のエッチングが終了する。また、第1電極膜と第2電極膜との間に短絡部分がない場合は、前記電圧を印加したときであっても第1電極膜への電子の移動が起こらないため、前記導電性材料はイオン化して溶解せず、第2電極膜はエッチングされない。以上のようにして第1電極膜と第2電極膜とを短絡している短絡部分を除去するため、残留物、溶融だれ等の付着による短絡を防止することができる。
【0020】
第3発明にあっては、エッチング処理を行なった後で接続部を形成することによって、短絡部分が除去されたときにエッチングが終了するため、第2電極膜の過剰なエッチングを防止することができる。
【0021】
第4発明にあっては、エッチング処理を行なった後で接続部を形成することによって、短絡部分が除去されたときにエッチングが終了する。また、第2分割溝及び第2電極膜上に絶縁体層を形成し、該絶縁体層と第2電極膜と半導体層とを除去することによって、底部に第1電極膜が露出する第3分割溝を形成し、前記第2電極膜を構成する導電性材料と同じ導電性材料を、該導電性材料が第2電極膜に完全に接触するよう第3分割溝に堆積して接続部を形成するため、第2電極膜の過剰なエッチングを防止し、また、第1電極膜と第2電極膜とを確実に接続することができる。
また、第2分割溝及び第2電極膜上に絶縁体層を形成するため、前記導電性材料を堆積する際、該導電性材料が第2分割溝に堆積して第2電極膜と第1電極膜とが短絡すること、又は第2電極膜同士が短絡することを防止できる。
【0022】
第5発明にあっては、第1発明のエッチング方法を用いて光起電力素子の短絡部分を除去する方法であって、第2電極膜を構成している導電性材料が短絡部分となって第1電極膜と第2電極膜とを短絡している場合、第1電極膜側が正、電解液側が負になるよう電解液と第1電極膜とに電圧を印加したとき、前記導電性材料の電子が短絡部分を通って第1電極膜へ移動するため、前記導電性材料がイオン化して電解液中に溶解し、短絡部分及び第2電極膜がエッチングされて、短絡部分を除去するため、従来の光起電力装置の製造方法を用いて形成した光起電力素子の短絡部分を除去することができ、残留物、溶融だれ等の付着による短絡を防止することができる。
【0023】
第6発明にあっては、短絡部分を構成している導電性材料は第2電極膜を構成している導電性材料に比べて非常に微量であるため、短絡部分を除去するために必要な短時間の間、電圧を印加することによって、第2電極膜の過剰なエッチングを防止することができる。
また、短絡部分を除去するために必要な時間より長く電圧を印加する場合、第2電極膜が過剰にエッチングされるため、例えば過剰にエッチングされる分を考慮してあらかじめ第2電極膜を厚く形成しておくことによって、前記時間より長く電圧を印加して短絡部分を完全に除去し、また、エッチングによって第2電極膜が過剰にエッチングされることを防止する。
【0024】
第7発明にあっては、第3発明、第5発明又は第6発明に記載の光起電力装置の製造方法を用いて製造され、第1発明に記載のエッチング方法を用いて光起電力素子の短絡部分が除去されているため、残留物、溶融だれ等の付着によって各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する。
また、分割されている各第1電極膜に電圧印加部を夫々設け、該電圧印可部に開放電圧測定用及び電圧印加用の端子を接触させたときに該端子が半導体層又は第2電極膜に接触しない面積を電圧印可部が有する場合は、電圧印可部を用いて各光起電力素子の開放電圧を測定すること又は第1発明に記載のエッチング方法を用いて短絡部分をエッチングすることができ、また、開放電圧を測定することによって、該開放電圧の値が良好でない光起電力素子に短絡部分が存在することがわかり、短絡部分が存在する光起電力素子だけエッチングすることができるため、製造時の便宜をはかることができる。
【0025】
第8発明にあっては、第4発明に記載の光起電力装置の製造方法を用いて製造され、第1発明に記載のエッチング方法を用いて光起電力素子の短絡部分が除去され、また、第2分割溝に絶縁体が充填されているため、より確実に、残留物、溶融だれ等の付着によって各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する。
また、接続部を形成する際、高精度の分割作業が必要ないため、製造時の便宜をはかることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態 1.
図1〜図5、及び図7は本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
図1(a)〜(c)及び図2(a)は、隣り合う光起電力素子を直列接続する部分を中心とする模式的断面図を示している。
【0027】
絶縁性表面を有する矩形の透光板(例えば強化ガラス)1の一面上に、透明導電膜2を形成する。該透明導電膜2の材料としては、例えばSnO2 、ITO又はZnO等の透光性導電材料を用いる。
該透明導電膜2に波長1.06μmのYAGレーザを用いたレーザビーム61を照射して透光板1の一部を露出させ、透明導電膜2を任意の個数の短冊状に分割する分割溝21を透光板1の一端辺に対して平行に形成する(図1(a))。
分割された透明導電膜2上に、水素を含有する半導体(例えば内部にpin接合を有する非晶質又は微結晶のSi、SiC、SiGe等)からなる半導体層3をプラズマCVD法を用いて形成する。このとき、分割溝21にも半導体が堆積する。半導体の水素含有率は例えば10at.%、厚さは0.3μmである(図1(b))。
【0028】
半導体層3上に、常温(300K)の電気抵抗率が50.0μΩ・cm以下の金属として例えばAlを用い、スパッタ法によって膜厚3000Åの金属電極膜4を形成する。(図1(c))。
金属電極膜4及び半導体層3に、分割溝21に沿い、該分割溝21から適宜の距離を隔ててレーザビーム62を照射して、レーザビーム62を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって金属電極膜4の一部及び半導体層3の一部を飛散して除去して透明導電膜2を露出させ、金属電極膜4及び半導体層3を前記個数の短冊状の段に分割する分割溝41を形成する。このとき、レーザビーム62として波長0.53μmのYAG/SHGレーザを用い、レーザパワー密度6×106 W/cm2 〜10×106 W/cm2 の範囲で照射することによって溶融だれの発生を抑制し、また、レーザビーム62の影響が他に及ぶことを防止する(図2(a))。
【0029】
図2(b)は、透光板1の前記一面側の模式的平面図である。図3(c)は、該図2(b)のc−c線の断面図である。なお、図2(b)のa−a線の断面図は図2(a)に相当する。
前記分割溝41の形成後、各段の金属電極膜4及び半導体層3の一部を除去することによって、分割されている各透明導電膜2の一部を夫々露出して、開放電圧測定用及び電圧印加用の端子を接触させたときに該端子が半導体層3又は金属電極膜4に接触しない面積を有する電圧印加部7となす。電圧印加部7を形成する際は、作業性、光起電力装置の外観等を考慮し、分割溝41に直角に交わる方向の透光板1の一端辺に沿って前記レーザビーム62を照射して、レーザビーム62を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって金属電極膜4及び半導体層3の段の一端部を飛散して除去する(図2(b),図3(c))。
【0030】
図4(a),(b)及び図5(a),(b)は、電圧印加部7の形成後、透光板1を、該透光板1の他面側を下にして透光性の液槽81の内部に置き、液槽81の下側に低照度(1万ルクス)の蛍光灯82が設置されている状態が示してある。このとき、液槽81は前記透光板1及び該透光板1に積層されている透明導電膜2、半導体層3、金属電極膜4を収納することができる大きさを有する。
【0031】
蛍光灯82を用いて液槽81の底面側から該液槽81の内部を照らし、蛍光灯82の光によって分割溝41に分割されている各段に生じた起電力の低照度開放電圧を、電圧計91を用い、該電圧計91に接続されている2本の端子のうち、一方を各段の金属電極膜4に、他方を前記段に対応する電圧印加部7に接触させることによって測定する。開放電圧の値が所定の値に比べて極端に小さい場合は、例えば金属電極膜4及び半導体層3にレーザビーム62を照射したときに金属電極膜4の溶融だれが発生して該溶融だれが金属電極膜4と透明導電膜2とに接触することによって、短絡部分4a,4a,…が生じて前記段の金属電極膜4と透明導電膜2とが短絡していると考えられる。即ち、電圧計91を用いて各段の開放電圧を測定することによって、金属電極膜4と透明導電膜2とが短絡部分4a,4a,…によって短絡している段を特定する(図4(a))。
【0032】
蛍光灯82を消灯し、金属電極膜4が完全に浸漬するまで液槽81に電解液8を注入する。次に、電源92と電流計93とを直列に接続した回路を用い、正側の端子を前記段に対応する電圧印加部7に接触させ、負側の端子を電解液8に接触させて電圧を印加する。このとき、金属電極膜4から透明導電膜2へ金属電極膜4を構成している金属の電子が移動し、このため金属電極膜4及び短絡部分4aを構成している金属がイオン化して電解液8中に溶解し、金属電極膜4及び短絡部分4aがエッチングされる。
エッチング条件は、金属電極膜4にAlが用いられている場合、電解液としてNaCl(58g/l)、NH4 Cl(210g/l)、CuCl2 又はSnCl2 (18g/l)を用い、電流密度100〜150mA/cm2 で処理する。また、水中に僅かに電離しているOH- イオンを用い、水を電解液として利用しても良い(図4(b))。
【0033】
短絡部分4aを構成している金属が全部イオン化して溶解し、短絡部分4aが消失したとき、透明導電膜2への前記電子の移動が止まり、前記金属の溶解が止まって、金属電極膜4のエッチングが終了する。このとき、電流計93の値が0になるため、短絡部分4aが消失したことがわかる(図5(a))。
電流計93の値が0になったとき、前記電圧の印加を終了し、電解液8を排出する。次に、再び蛍光灯82を点灯して前記低照度開放電圧を測定し、良好な値が得られることを確認する(図5(b))。
【0034】
図6は本発明の実施の形態1に係る光起電力装置のエッチング時間と電流との関係を示すグラフである。
横軸はエッチング時間であり、縦軸は電流計93が計測した値である。エッチング開始後、時間T1 まで電流値は徐々に大きくなり、時間T1 から時間T2 まで電流値は一定し、時間T2 から電流値は急速に小さくなり、時間T3 で電流値は0になる。即ち、エッチング開始後、前記金属が徐々にイオン化を始めるため電流値も徐々に大きくなり、イオン化が安定すると電流値も一定し、短絡部分4aを構成する金属がほとんど溶解すると電流値は急速に小さくなり、短絡部分4aが消失すると電流値は0になる。
【0035】
図7(a)及び(b)は、隣り合う光起電力素子を直列接続する部分を中心とする模式的断面図を示している。
金属電極膜4と透明導電膜2とが短絡している全ての段のエッチングが終了したとき、各分割溝41内の短絡部分4a,4a,…は全て除去される(図7(a))。
最後に、分割溝21と分割溝41との間の金属電極膜4及び半導体層3に、分割溝21又は分割溝41に沿い、分割溝21又は分割溝41に接触又は交叉をしないようにレーザビーム63(レーザ波長1.06μmのYAGレーザ、レーザパワー密度1×106 W/cm2 〜3×106 W/cm2 )を照射して、レーザビーム63に照射された部分の金属電極膜4と透明導電膜2とを溶着して接続部42を形成して、光起電力素子10,10,…となす(図7(b))。
【0036】
以上のような光起電力装置の製造方法は、短絡部分4a,4a,…を電解液8中でエッチングすることによって除去することができる。また、短絡部分4a,4a,…の消失と同時にエッチングが終了するため、金属電極膜2の過剰なエッチングを防止することができる。
【0037】
図8は、本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の各光起電力素子の開放電圧を示すグラフである。該光起電力装置は、本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造法を用いて37個の光起電力素子を形成してある。
横軸は1〜37までの光起電力素子の番号、縦軸は各光起電力素子が出力する開放電圧(V)であり、図中のプロットは1万ルクス蛍光灯下で夫々の光起電力素子が出力する低照度開放電圧の値を表わしている。また、実線はレーザビームによる分割形成を必要としないリファレンスの1cm角シングルセルの低照度開放電圧を表わしている。
【0038】
図より、各光起電力素子は、一定(1.2V)の開放電圧を出力しているシングルセル同様に、略一定(約1.2V)の開放電圧を出力しており、光起電力素子の短絡が防止されていることがわかる。
即ち、前記光起電力装置は、残留物、溶融だれ等の付着による加工不良がないため各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する光起電力装置である。
【0039】
実施の形態 2.
図9は本発明の実施の形態2に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
実施の形態1と同様にして、絶縁性の透光板1の一面上に透明導電膜2を形成し、該透明導電膜2を任意の個数の短冊状に分割する分割溝21を形成し、分割溝21及び透明導電膜2上に半導体層3を形成し、該半導体層3上に金属電極膜4を形成し、該金属電極膜4及び半導体層3に、分割溝21に沿い、該分割溝21から適宜の距離を隔てて分割溝41を形成し、このとき生じた短絡部分を、電解液中でエッチングして除去する(図9(a))。
【0040】
次に、金属電極膜4上に、真性の非晶質半導体(アモルファスシリコン半導体、アモルファスゲルマニウム半導体、アモルファスシリコン系アロイ半導体、アモルファスカーボン等)、酸化金属(Al2 O3 、SiO2 等)、窒化金属(AlN、TiN等)、又は炭化金属(SiC、TiC等)等の絶縁体を用いて絶縁体層5を形成する。このとき、分割溝41にも前記絶縁体が堆積する(図9(b))。
【0041】
次に、分割溝21と分割溝41との間の絶縁体層5、金属電極膜4及び半導体層3に、分割溝21又は分割溝41に沿い、分割溝21又は分割溝41に接触又は交叉をしないようにレーザビーム64を照射して、レーザビーム64を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって絶縁体層5、金属電極膜4及び半導体層3の一部を飛散して除去して透明導電膜2を露出させ、絶縁体層5、金属電極膜4及び半導体層3を前記個数の短冊状に分割する分割溝32を形成する。
このとき、レーザビーム64として波長0.53μmのYAG/SHGレーザを用い、レーザパワー密度7×106 W/cm2 〜11×106 W/cm2 の範囲で照射することによって、レーザビーム62の影響が他に及ぶことを防止する(図9(c))。
【0042】
最後に、分割溝32に、金属電極膜4を構成している金属を堆積する。このとき該金属は分割溝32の壁面に露出している金属電極膜4と一体化して、該金属電極膜4と透明導電膜2とを接続する接続部43となる。
接続部43を形成するとき、例えば分割溝32及び金属電極膜4上に金属を堆積して金属層を形成し、該金属層を、分割溝32と、該分割溝32に隣り合う分割溝32との間で分割することによって接続部43を形成する(図9(d))。
【0043】
以上のような実施の形態による場合は、透明導電膜と金属電極膜との短絡部分を除去した後に、透明導電膜と金属電極膜とを溶着している実施の形態1と異なり、短絡部分を除去した後に、透明導電膜2、金属電極膜4、及び絶縁体層5を分割している分割溝32に、金属電極膜4と透明導電膜2とを接続する接続部43を形成しているが、実施の形態1と同様の効果を得ることができ、更に、透明導電膜と金属電極膜との接続部を形成する際に加工不良が生じて透明導電膜と金属電極膜とが完全に接続されないことによる前記開放電圧のバラツキを防止することができる。
【0044】
実施の形態 3.
本実施の形態は、従来の光起電力装置の製造方法を用いて製造された光起電力装置における光起電力素子の短絡部分のエッチング方法である。
図10〜図15は本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
図10(a)〜(d)及び図11(a)は、隣り合う光起電力素子を直列接続する部分を中心とする模式的断面図を示している。
絶縁性の透光板(例えば強化ガラス)1の一面上に、熱CVD法を用いてSnO2 からなる膜厚0.4μmの透明導電膜2を形成し、該透明導電膜2に波長1.06μmのYAGレーザを用いたレーザビーム61を照射して透光板1の一部を露出させ、透明導電膜2を任意の個数の短冊状に分割する分割溝21を形成する(図10(a))。
【0045】
分割された透明導電膜2上に、水素を含有する半導体(例えば内部にpin接合を有するa−Si及びa−SiGe)からなる半導体層3をプラズマCVD法を用いて形成する。このとき、分割溝21にも半導体が堆積する。半導体の水素含有率は10at.%、厚さは0.3μmである(図10(b))。
半導体層3に、分割溝21に沿い、分割溝21に接触又は交叉をしないようにレーザビーム60を照射して、レーザビーム60を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって半導体層3の一部を飛散して除去して透明導電膜2を露出させ、半導体層3を前記個数の短冊状に分割する分割溝31を形成する(図10(c))。
【0046】
分割された半導体層3上に、常温(300K)の電気抵抗率が50.0μΩ・cm以下の金属としてAlを用い、スパッタ法によって膜厚3000Åよりも厚く金属電極膜4を形成する。このとき、分割溝31にも金属が堆積し、透明導電膜2と金属電極膜4とを接続する接続部40となる(図10(d))。
【0047】
金属電極膜4及び半導体層3に、分割溝31に沿い、分割溝31に接触又は交叉をしないようにレーザビーム62を照射して、レーザビーム62を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって金属電極膜4の一部及び半導体層3の一部を飛散して除去して透明導電膜2を露出させ、金属電極膜4及び半導体層3を前記個数の短冊状の光起電力素子10,10,…に分割する分割溝41を形成する。分割溝41は、分割溝31に対する分割溝21側の反対側に形成する。
このとき、レーザビーム62として波長0.53μmのYAG/SHGレーザを用い、レーザパワー密度6×106 W/cm2 〜10×106 W/cm2 の範囲で照射することによって溶融だれの発生を抑制し、また、レーザビーム62の影響が他に及ぶことを防止する(図11(a))。
【0048】
図11(b)は、透光板1の前記一面側の平面図である。図12(c)は、該図11(b)のc−c線の断面図である。なお、図11(b)のa−a線の断面図は図11(a)に相当する。
前記分割溝41の形成後、各光起電力素子10,10,…の金属電極膜4及び半導体層3の一部を除去することによって、分割されている透明導電膜2の一部を夫々露出して、開放電圧測定用及び電圧印加用の端子を接触させたときに該端子が半導体層3又は金属電極膜4に接触しない面積を有する電圧印加部7となす。
【0049】
電圧印加部7は、作業性、光起電力装置の外観等を考慮し、例えば、分割溝41に直角に交わる方向の透光板1の一端辺に沿って前記レーザビーム62を照射して、レーザビーム62を照射した部分の半導体層3内部から水素を急激に放出させ、放出された水素によって光起電力素子10,10,…の金属電極膜4及び半導体層3の一端部を飛散して除去して形成する(図11(b),図12(c))。
【0050】
図13(a),(b)及び図14(a),(b)は、電圧印加部7の形成後、透光板1を、該透光板1の他面側を下にして透光性の液槽81の内部に置き、液槽81の下側に低照度(1万ルクス)の蛍光灯82が設置されている状態が示してある。このとき、液槽81は前記透光板1及び該透光板1に積層されている透明導電膜2、半導体層3、金属電極膜4を収納することができる大きさを有する。
【0051】
蛍光灯82を用いて液槽81の底面側から該液槽81の内部を照らし、蛍光灯82の光によって各光起電力素子10,10,…に生じた起電力の低照度開放電圧を、電圧計91を用いて、該電圧計91に接続されている2本の端子のうち、一方を各光起電力素子10,10,…の金属電極膜4に、他方を前記光起電力素子10,10,…に対応する電圧印加部7に接触させることによって測定する。開放電圧の値が所定の値に比べて極端に小さい場合は、例えば金属電極膜4及び半導体層3にレーザビーム62を照射したときに金属電極膜4の溶融だれが発生して該溶融だれが金属電極膜4と透明導電膜2とに接触することによって、短絡部分4a,4a,…が生じて前記段の金属電極膜4と透明導電膜2とが短絡していると考えられる。即ち、電圧計91を用いて各光起電力素子10,10,…の開放電圧を測定することによって、金属電極膜4と透明導電膜2とが短絡部分4a,4a,…によって短絡している光起電力素子10,10,…を特定する(図13(a))。
【0052】
蛍光灯82を消灯し、金属電極膜4が完全に浸漬するまで液槽81に電解液8を注入する。次に、電源92を用い、正側の端子を前記光起電力素子10,10,…に対応する電圧印加部7に接触させ、負側の端子を電解液8に接触させて電圧を印加する。このとき、金属電極膜4から透明導電膜2へ金属電極膜4を構成している金属の電子が移動し、このため金属電極膜4及び短絡部分4aを構成している金属がイオン化して電解液8中に溶解し、金属電極膜4及び短絡部分4aがエッチングされる。
【0053】
本実施の形態では、金属電極膜4と透明導電膜2との間に接続部40があらかじめ形成されているため、短絡部分4aが消失しても、接続部40が消失するまで金属電極膜4のエッチングが進行する。そのため、短絡部分4aが完全に消失するだけの時間をあらかじめ測定しておき、該時間より長く前記電圧を印加する。
エッチング条件は、金属電極膜4にAlが用いられている場合、電解液としてNaCl(58g/l)、NH4 Cl(210g/l)、CuCl2 又はSnCl2 (18g/l)を用い、電流密度100〜150mA/cm2 で5〜20秒間処理する。また、水中に僅かに電離しているOH- イオンを用い、水を電解液として利用しても良い(図13(b))。
【0054】
前記時間より長く前記電圧を印加した後、前記電圧の印加を終了する。
短絡部分4aが完全に消失してからも金属電極膜4がエッチングされ続けていた場合であっても、金属電極膜4はあらかじめ厚く形成されているため、所要の厚さ(膜厚3000Å)以下までエッチングされることはない(図14(a))。
電解液を排出し、再び蛍光灯82を点灯して前記低照度開放電圧を測定し、良好な値が得られることを確認する。良好な値が得られない場合は、短絡部分4aが全部消失していないと考え、再びエッチング処理を行なう(図14(b))。
【0055】
図15は、隣り合う光起電力素子を直列接続する部分を中心とする模式的断面図を示している。
金属電極膜4と透明導電膜2とが短絡している全ての光起電力素子10,10,…のエッチングが終了したとき、各分割溝41内の短絡部分4a,4a,…が全て除去される(図15)。
以上のような光起電力装置の製造方法及び該製造方法を用いて製造された光起電力装置は、従来の光起電力装置の製造方法を用いて形成した光起電力素子の短絡部分を除去して、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明のエッチング方法によれば、第1電極と第2電極とを電解液中に浸漬し、該電解液と第1電極とに電圧を印加することにより、第2電極を構成している導電性材料が短絡部分となって第1電極と第2電極とを短絡している場合、直流電源を用いて、第1電極側が正、電解液側が負になるよう電解液と第1電極とに電圧を印加するよう回路を構成したとき、前記 導電性材料の電子が短絡部分を通って第1電極へ移動するため、前記導電性材料がイオン化して電解液中に溶解し、短絡部分及び第2電極がエッチングされる。第1電極と第2電極とが短絡部分以外に接続部分を持たない場合、短絡部分を構成している導電性材料が溶解することによって第1電極と第2電極との短絡が消失したとき、第1電極への前記電子の移動が止まり、前記導電性材料の溶解が止まって、第2電極のエッチングが終了する。また、第1電極と第2電極とが短絡部分及び接続部分を持たない場合は、前記電圧を印加したときであっても第1電極への電子の移動が起こらないため、前記導電性材料はイオン化して溶解せず、第2電極はエッチングされない。このため、電極同士の短絡部分を効率良く除去できる。
【0057】
本発明の光起電力装置の製造方法によれば、第1電極膜と第2電極膜とを電解液中に浸漬し、該電解液と第1電極膜とに電圧を印加することにより、第2電極膜を構成している導電性材料が短絡部分となって第1電極膜と第2電極膜とを短絡している場合、直流電源を用い、第1電極膜側が正、電解液側が負になるよう電解液と第1電極膜とに電圧を印加するよう回路を構成したとき、前記導電性材料の電子が短絡部分を通って第1電極膜へ移動するため、前記導電性材料がイオン化して電解液中に溶解し、短絡部分及び第2電極膜がエッチングされる。この場合、短絡部分を構成している導電性材料が溶解することによって第1電極膜と第2電極膜との短絡が消失したとき、第1電極膜への前記電子の移動が止まり、前記導電性材料の溶解が止まって、第2電極膜のエッチングが終了する。また、第1電極膜と第2電極膜との間に短絡部分がない場合は、前記電圧を印加したときであっても第1電極膜への電子の移動が起こらないため、前記導電性材料はイオン化して溶解せず、第2電極膜はエッチングされない。以上のようにして第1電極膜と第2電極膜とを短絡している短絡部分を除去するため、残留物、溶融だれ等の付着による短絡を防止することができる。
【0058】
また、第1電極膜と第2電極膜との短絡部分を除去した後に、第1電極膜と第2電極膜とを溶着することにより、第1電極膜と第2電極膜とを接続する接続部をあらかじめ形成してからエッチング処理を行なった場合は、短絡部分が除去されても接続部を介して第2電極膜を構成する導電性材料の電子が第1電極膜に供給され、第2電極膜が過剰にエッチングされるので、エッチング処理を行なった後で接続部を形成することによって、短絡部分が除去されたときにエッチングが終了するため、第2電極膜の過剰なエッチングを防止することができる。
【0059】
また、第1電極膜と第2電極膜との短絡部分を除去した後に、絶縁体層を形成し、該絶縁体層と第2電極膜と半導体層とを夫々一部除去してから、第1電極膜と第2電極膜とを接続することにより、エッチング処理を行なった後で接続部を形成することによって、短絡部分が除去されたときにエッチングが終了する。また、第2分割溝及び第2電極膜上に絶縁体層を形成し、該絶縁体層と第2電極膜と半導体層とを除去することによって、底部に第1電極膜が露出する第3分割溝を形成し、前記第2電極膜を構成する導電性材料と同じ導電性材料を、該導電性材料が第2電極膜に完全に接触するよう第3分割溝に堆積して接続部を形成するため、第2電極膜の過剰なエッチングを防止し、また、第1電極膜と第2電極膜とを確実に接続することができる。
また、第2分割溝及び第2電極膜上に絶縁体層を形成するため、前記導電性材料を堆積する際、該導電性材料が第2分割溝に堆積して第2電極膜と第1電極膜とが短絡すること、又は第2電極膜同士が短絡することを防止できる。
【0060】
また、あらかじめ接続されている第1電極膜と第2電極膜とを電解液中に浸漬し、該電解液と第1電極膜とに電圧を印加することにより、第2電極膜を構成している導電性材料が短絡部分となって第1電極膜と第2電極膜とを短絡している場合、第1電極膜側が正、電解液側が負になるよう電解液と第1電極膜とに電圧を印加したとき、前記導電性材料の電子が短絡部分を通って第1電極膜へ移動するため、前記導電性材料がイオン化して電解液中に溶解し、短絡部分及び第2電極膜がエッチングされて、短絡部分を除去するため、従来の光起電力装置の製造方法を用いて形成した光起電力素子の短絡部分を除去することができ、残留物、溶融だれ等の付着による短絡を防止することができる。
【0061】
また、エッチングの条件として前記電圧を印加する時間を用いることにより、短絡部分を構成している導電性材料は第2電極膜を構成している導電性材料に比べて非常に微量であるため、短絡部分を除去するために必要な短時間の間、電圧を印加することによって、第2電極膜の過剰なエッチングを防止することができる。
また、短絡部分を除去するために必要な時間より長く電圧を印加する場合、第2電極膜が過剰にエッチングされるため、例えば過剰にエッチングされる分を考慮してあらかじめ第2電極膜を厚く形成しておくことによって、前記時間より長く電圧を印加して短絡部分を完全に除去し、また、エッチングによって第2電極膜が過剰にエッチングされることを防止する。
【0062】
本発明の光起電力装置によれば、請求項3、請求項5又は請求項6に記載の光起電力装置の製造方法を用いて製造され、請求項1に記載のエッチング方法を用いて光起電力素子の短絡部分が除去されているため、残留物、溶融だれ等の付着によって各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する。
また、分割されている各第1電極膜に電圧印加部を夫々設け、該電圧印可部に開放電圧測定用及び電圧印加用の端子を接触させたときに該端子が半導体層又は第2電極膜に接触しない面積を電圧印可部が有する場合は、電圧印可部を用いて各光起電力素子の開放電圧を測定すること又は請求項1に記載のエッチング方法を用いて短絡部分をエッチングすることができ、また、開放電圧を測定することによって、該開放電圧の値が良好でない光起電力素子に短絡部分が存在することがわかり、短絡部分が存在する光起電力素子だけエッチングすることができるため、製造時の便宜をはかることができる。
【0063】
また、請求項4に記載の光起電力装置の製造方法を用いて製造され、請求項1に記載のエッチング方法を用いて光起電力素子の短絡部分が除去されているため、より確実に、残留物、溶融だれ等の付着によって各光起電力素子が短絡しておらず、開放電圧のバラツキを防止する。
また、接続部を形成する際、例えば分割溝及び第2電極膜上に前記第2電極膜を構成する導電性材料と同じ導電性材料を堆積して導電性材料層を形成し、該導電性材料層を、第2分割溝と、該第2分割溝に隣り合う第2分割溝との間で分割することによって形成する場合は、第2分割溝を形成するときのような高精度の分割作業が必要ないため、製造時の便宜をはかることができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置のエッチング時間と電流との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光起電力装置の各光起電力素子の開放電圧を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図16】従来の光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図17】従来の光起電力装置の製造方法の説明図である。
【図18】従来の光起電力装置の各光起電力素子の開放電圧を示すグラフである。
【符号の説明】
1 透光板
2 透明導電膜
3 半導体層
4 金属電極膜
4a 短絡部分
5 絶縁体層
7 電圧印加部
8 電解液
10 光起電力素子
Claims (5)
- 絶縁性表面を有する透光板の一面に、複数の光起電力素子を形成する光起電力装置の製造方法において、
前記一面に、第1分割溝によって互いに分割された複数の第1電極膜を形成し、前記第1分割溝及び前記第1電極膜上に半導体層及び第2電極膜を形成し、該半導体層及び第2電極膜を分割する第2分割溝を前記第1分割溝から適宜の距離を隔てて形成し、次いで、前記第1電極膜を一部露出させて各第1電極膜に電圧印加部を形成し、次いで、光を照射することによって前記第2電極膜と前記電圧印加部との間に生じる開放電圧を測定することにより短絡部分の位置を特定し、次いで、前記第1電極膜、前記半導体層、及び前記第2電極膜を備えた前記透光板を電解液に浸漬し、前記位置が特定された短絡部分を溶解すべく前記電解液及び位置が特定された短絡部分に対応する前記電圧印加部に電圧を印加することを特徴とする光起電力装置の製造方法。 - 前記短絡部分の溶解後、前記第1分割溝と前記第2分割溝との間の前記第1電極膜と前記第2電極膜とを溶着することを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
- 前記短絡部分の溶解後、前記第2分割溝及び前記第2電極膜上に絶縁体層を形成し、前記第1分割溝と前記第2分割溝との間に、前記半導体層、前記第2電極膜及び前記絶縁体層を分割する第3分割溝を形成し、前記第2電極膜を構成する導電性材料を前記第3分割溝に堆積して前記第1電極膜と前記第2電極膜とを接続することを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
- 絶縁性表面を有する透光板の一面に、第1分割溝によって互いに分割された複数の第1電極膜を形成し、前記第1分割溝及び前記第1電極膜上に、前記第1分割溝と隣り合う分割溝によって互いに分割された複数の半導体層を形成し、次いで、前記分割溝及び前記半導体層上に第2電極膜を形成し、前記分割溝に対する前記第1分割溝側とは反対側に、前記分割溝に隣り合って前記第2電極膜及び前記半導体層を分割する第2分割溝を形成する光起電力装置の製造方法において、
前記第2分割溝を形成した後、前記第1電極膜を一部露出して各第1電極膜に電圧印加部を形成し、次いで、光を照射することによって前記第2電極膜と前記電圧印加部との間に生じる開放電圧を測定することにより短絡部分の位置を特定し、次いで、前記第1電極膜と短絡している短絡部分を有する前記第2電極膜、前記半導体層、及び前記第1電極膜を備えた前記透光板を電解液に浸漬し、前記位置が特定された短絡部分を溶解すべく前記電解液及び位置が特定された短絡部分に対応する前記電圧印加部に電圧を印加することを特徴とする光起電力装置の製造方法。 - 前記電圧を印加する時間は、前記短絡部分は消失し、前記第2電極膜は残存している時間であることを特徴とする請求項4に記載の光起電力装置の製造方法。
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