JP4454906B2 - ヒ素耐性に関わる遺伝子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、藻類のリン酸高親和性トランスポーターを抑制しているタンパク質をコードする遺伝子であり、藻類のヒ素耐性に関与する遺伝子PTB1に関する。
また本発明は、PTB1を破壊することによりヒ素耐性の藻類を得る技術に関する。更に本発明は、PTB1を破壊して得られたヒ素耐性藻類を用いてヒ素を回収・無毒化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒ素は生物に有毒な元素であり、インド、バングラデッシュなどの国では、河川のヒ素汚染に非常に悩まされている。日本においても地域的にヒ素の多いところがあり、対策が求められている。また、近年の急速なコンピューター産業の発達のため、発光素子に用いられるガリウムヒ素やインジウムヒ素の生産が増加しつつある。これらのヒ素化合物が産業廃棄物として工場から流出してしまうことが危惧されるが、これらの毒性についての研究も始まったばかりである(Flora et al.,1999,Chem Biol Interact,122(1)1-3; Bustamante et al.,1997,Toxicol,118(2-3)129-136;Omura et al.,1996,Toxicol-Lett,89(2)123-129)。
そのため、環境中に流出しているヒ素を迅速に除去する必要性に迫られている。
ヒ素の除去法は数多く開発されているが、現在日本国内でもっとも多く採用されているのは共沈法と呼ばれている方法である。これは原水に鉄やアルミニウムなどを添加し、ヒ素を抱き込ませて沈める方法であるが、沈殿には大きな槽を必要とし、またヒ素を抱き込んだ汚泥が大量に発生する。井戸水など飲料水中に含まれるヒ素の除去については、億単位に上る費用などがネックとなり、対策が遅れているのが現状である。
【0003】
自然界には周辺の水に含まれるヒ素を濃縮する藻類の種がいくつか存在する。ヒ素の除去方法の一つとして藻類などを用いた生物濃縮が考えられ、ヒ素の無毒化や回収技術の開発を視野に入れてこれらの藻類に関する研究が進められてきた。
ヒ素は細胞内でさまざまな分子形態をとることが知られている。無機のヒ素はヒ酸(AsO 2−)、亜ヒ酸(AsO )などだが、自然界に存在するヒ素化合物のなかでも毒性が特に強いものである。
海藻では蓄積された無機ヒ素が生理反応により、ヒ素含有糖類などのヒ素化合物へ転換されることが明らかとなっている(Edmonds and Francesconi,1981,Nature,289,602-604: Shibata et al.,1987,Agric.Biol.Chem.,51,391-398: Edmonds et al.,1987,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,577-580: Kaise et al.,1998,Organomet.Chem.,12,137-143)。そして、無機ヒ素を高度にアルキル化したヒ素化合物は、哺乳類の細胞にたいして無機のヒ素よりも低い毒性を示すことが確かめられている(Kaise et al.,1996,J.Food Hyd.Soc.Japan,37,135-141: Oya-Ohta et al.,1996,Mutat.Res.,357,123-129: Kaise et al.,1998,Appl.Organomet.Chem.,2,539-546)。
微細藻類に関し、生理学的、遺伝学的な研究が詳細に行われている。しかしながら、微細藻類のヒ素への耐性メカニズムについてはいまだ明らかにされていない。クロレラ(Chlorella)、クリプトモナス(Cryptomonas)、ヒメノモナス(Hymenomonas)、シネココッカス(Synechococcus)、ホルミジウム(Phormidium)、およびアナベナ(Anabaena)を含む、いくつかの種の微細藻類とシアノバクテリアが自然の水よりも何桁も高い濃度のヒ素にも耐性があると報告されている(Bottino et al.,1978、J.Exp.Mar.Biol.Ecol.,33,153-168: Planas and Healey,1978,J.Phycol.,14,337-341: Budd and Craig,1981,Can.J.Bot.,59,1518-1521: Maeda et al.,1983,Separation Sci.Technol.,18,375-385)。これらの種においては、ヒ素は無機体あるいはメチル化された化合物として蓄積される(Andreae and Klumpp,1979,Environ.Sci.Technol.,13,738-741: Maeda et al.1990,Appl.Organomet.Chem.4,251-254: Kaise et al.,1997,Appl.Organomet.Chem,11,297-304: Kuroiwa et al.,1994,Appl.Organomet.Chem,8,325-333: Gossler et al.,1997,Appl.Organomet.Chem,11,57-66)。緑藻のドナリエラ(Dunaliella sp.)では、培地の中のヒ酸塩は細胞に吸収されて、亜ヒ酸塩に還元される(Takimua et al.,1996,Appl.Organomet.Chem,10,753-756)。別の緑藻、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、および、ホルミジウム(Phormidium sp.)では、少なくともヒ素の95%は無機のヒ素として存在しているが、残りはジメチル化された形態となっていると報告されている(Maeda et al.,1990,Appl.Organomet.Chem.4,251-254: Gossler et al.,1997,Appl.Organomet.Chem,11,57-66)。従って、微細藻類においては、無機のヒ酸塩は亜ヒ酸塩に還元されてからジメチル化されたヒ素化合物へと変換されるのではないかと推定できる。ジメチル化されたヒ素化合物は無機のヒ素よりも毒性が低いため、藻類はある程度の量のヒ素を吸収しても生存できるのである。
【0004】
一部の藻類によりヒ素が無毒化されることについては明らかとなっているが、微細藻類は大型藻類に比べてヒ素毒性に対する感受性が強く、高濃度のヒ素の含まれる環境では生存できないものである。微細藻類を用いたヒ素の回収あるいは無毒化技術に関しては、より強いヒ素耐性能を持つ微細藻類を得る必要があった。
【0005】
本発明者らは以前に微細藻類の一種である緑藻クラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)のゲノムにに無作為挿入変異法によって変異を導入した変異株を、いろいろな濃度のヒ酸塩存在下で生育させてヒ酸抵抗性株のスクリーニングを行った。このスクリーニングによりクラミドモナス・ラインハルディのヒ酸抵抗性株を得た(Fujiwara,et al., 2000, Plant Cell Physiol., 41(1),77-83 )。
さらにクラミドモナス・ラインハルディでは、吸収されたヒ酸がジメチルヒ酸へと代謝されることが確かめられた(Fujiwara,et al.,2000,Plant Cell Physiol., 41(1),77-83)。
緑藻であるクラミドモナスは淡水域に生息する真核単細胞の藻類で、2本の鞭毛、眼点、ピレノイド、一つの葉緑体などを持っているのが特徴である。クラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)という種は、クラミドモナスの一種であり、掛け合わせや形質転換が比較的容易であるため、分子レベル・細胞レベルでの植物生理生化学の研究材料として適したものである。
【0006】
ヒ素の同族元素であるリンは、生物において核酸の成分となっているほか、代謝調節に関与するとともに、呼吸で生産されたエネルギーを貯蔵して、必要とする酵素に伝達するATP(アデノシン三リン酸)の成分である。また、酵素のはたらきに不可欠な補酵素の成分になるなどの働きもあり、生体に必須の元素である。このように生体に必須の元素であるため、リンは窒素、カリウムとともに化学肥料として多量に消費される元素である。農業のほか、洗浄剤など工業においても重要な資源である。リンの供給源としてはリン鉱石に頼っているが、リン鉱石は21世紀中あるいは22世紀には枯渇することが予想されている。リン資源の枯渇は農業及び人類の生存に深刻な障害となるため、リン回収技術の開発が活発に行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遺伝子破壊した緑藻クラミドモナスの系から得られたヒ素耐性変異株の一つであるAR3より、ヒ素耐性に関わる遺伝子を単離・同定することを目的とする。また、本発明はヒ素耐性変異株AR3のヒ素耐性メカニズムと、ヒ素耐性に関わるPTB1遺伝子の役割を解明することにより、藻類によるヒ素の無毒化・回収技術を開発することを目的とする。
その他の目的については、以下の記載により明らかである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、遺伝子破壊した緑藻クラミドモナスの系から得られたヒ素耐性変異株の一つであるAR3より、ヒ素耐性に関わる遺伝子PTB1を同定・単離した。
また、PTB1遺伝子の破壊されたヒ素耐性変異株AR3について生理学的実験を行った結果、PTB1は緑藻のリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をコードする遺伝子であることが判明した。
ヒ素耐性変異株AR3ではリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をコードしている遺伝子PTB1が破壊されている。このタンパク質が機能しないことによりリン酸高親和性トランスポーターが発現して細胞内のリン酸濃度が上昇する。次に、細胞内リン酸濃度の上昇によりフィードバック阻害がおこり、他のリン酸トランスポーターの発現または活性が抑制される。リン酸高親和性トランスポーターにより細胞内のリン酸濃度が高く保たれているため、リン酸低親和性トランスポーターにより取り込まれるヒ酸の影響は抑えられて、AR3はヒ素耐性となる。
以上のことを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0009】
すなわち本発明は、リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するるタンパク質、それをコードする遺伝子、ヒ素耐性のメカニズム、及びこれらを利用する方法に関する。
【0010】
本発明のタンパク質は、以下の(A)及び(B)から選択されるタンパク質であって、リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質である。
(A)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(B)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
本発明の遺伝子は、以下の(a)及び(b)から選択されるDNAであって、リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子である。
(a)配列番号2で示される塩基配列からなるDNA。
(b)配列番号2で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
本発明の遺伝子はまた、以下の(c)及び(d)から選択されるゲノムDNAであって、そのゲノムDNAを破壊することによりヒ素耐性能が得られるゲノムDNAからなる遺伝子である。
(c)配列番号3で示される塩基配列からなるゲノムDNA
(d)配列番号3で示される塩基配列からなるゲノムDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするゲノムDNA。
【0011】
本発明により明らかとなったヒ素耐性メカニズムは次のとうりである。
ヒ素耐性変異株AR3ではリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をコードしている遺伝子PTB1が破壊されている。このタンパク質が機能しないことによりリン酸高親和性トランスポーターが発現して細胞内のリン酸濃度が上昇する。次に、細胞内リン酸濃度の上昇によりフィードバック阻害がおこり、他のリン酸トランスポーターの発現または活性が抑制される。リン酸高親和性トランスポーターにより細胞内のリン酸濃度が高く保たれているため、リン酸低親和性トランスポーターにより取り込まれるヒ酸の影響は抑えられて、AR3はヒ素耐性となる。
【0012】
本発明は、PTB1遺伝子を破壊してヒ素耐性形質転換体及びリン蓄積能を有する形質転換体(以下、単に「リン蓄積性形質転換体」と略す)を得る方法を提供するものである。さらに、この方法により得られたヒ素耐性藻類を用いて環境中のヒ素を回収しジメチルヒ酸へと無毒化する方法、及びこの方法により得られたリン蓄積性形質転換体を用いて環境中のリンを回収する方法を提供するものである。
また本発明は、リン吸収能を活性化させて細胞にヒ素耐性能を与える方法、本発明のDNA及びその一部を含むベクター、本発明のDNAの部分配列及びその相補配列からなるポリヌクレオチド、本発明のタンパク質に対する抗体、並びに本発明のタンパク質、その特異抗体、その機能促進物質あるいは機能抑制物質を用いて、細胞内のヒ素及びリンの濃度を制御する方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の遺伝子はヒ素耐性に関与する遺伝子であり、その遺伝子を破壊することによりヒ素耐性能を与えることができる遺伝子である。本発明の遺伝子配列を後期配列表の配列番号2と配列番号3に示す。配列番号2は本発明の遺伝子のcDNAの塩基配列を示す。配列番号3は本発明の遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を示す。
また本発明の遺伝子はリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をコードする遺伝子である。本発明の遺伝子のコードするタンパク質のアミノ酸配列を後期配列表の配列番号1に示す。
【0014】
本発明の遺伝子PTB1は次の方法により同定・単離されたものである。
まず、クラミドモナス・ラインハルディのアルギニン要求性変異株CC425にアルギニン合成酵素の遺伝子ARG7を染色体上に無作為に導入することにより、種々の変異株を作製した。次に、変異株をヒ酸含有培地でスクリーニングすることによりヒ素耐性株AR3を得た。
AR3ゲノムの中から、ARG7遺伝子を目印としてARG7周辺領域をクローニングした。このDNA断片をプローブとして野生型cDNAライブラリーよりcDNAの3’端を含む部分を単離した。また5’−RACEにより5’端を含む部分を単離した。このcDNAの塩基配列を決定したところ、全長6032塩基であった。
このcDNA配列塩基配列より推定されるアミノ酸配列を後期配列表の配列番号1に示す。1666アミノ酸残基からなるタンパク質をコードするものと推定される。生理学的解析によりこのタンパク質は、リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制しているタンパク質であることが明らかとなった。その生理学的解析の詳細については後述する。
次に、上記のcDNA配列をもとに、ゲノムDNAライブラリーから相同性のある配列を持つクローンをスクリーニングし、その塩基配列を決定した。このPTB1遺伝子のゲノムDNA配列を後期配列表の配列番号3に示す。配列決定部分の長さが12851塩基であり、PTB1をコードする19個のエクソン領域を含むゲノムDNA塩基配列である。染色体上のPTB1遺伝子のエクソン/イントロン構造を図1に示す。
PTB1遺伝子の同定・単離方法については、実施例においてより詳細に記載する。
【0015】
後記配列番号1に示されるアミノ酸配列もしくは配列番号2に示される塩基配列について、既知プロテインデータベース(NBRF及びSWISS−PROT)及びDNAデータベース(GenBankおよびEMBL)に含まれるすべての配列に対してホモロジー検索を行った結果、一致するものはなく、この配列は、新規なものであると考えられる。
【0016】
本発明のタンパク質としては、配列番号1で示されたアミノ酸配列を有するもののほか、例えば配列番号1で示されたアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。アミノ酸の欠失、置換もしくは付加は、リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制する機能が失われない程度であればよく、通常1〜約333個、好ましくは1〜約167個である。このようなタンパク質は、配列番号1で示されたアミノ酸配列と通常、1〜80%、好ましくは1〜90%のアミノ酸配列のホモロジーを有する。
【0017】
また、本発明の遺伝子としては、配列番号2で示された塩基配列を有するもののほか、配列番号2で示された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAを含むものが挙げられる。このようにハイブリダイズし得るDNAは、そのDNAにコードされるタンパク質がリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するものであればよい。このようなDNAは配列番号2で示された塩基配列と通常、70%以上、好ましくは80%以上の塩基配列のホモロジーを有する。このようなDNAとしては、自然界で発見される変異型遺伝子、人為的に改変した変異型遺伝子、異種生物由来の相同遺伝子等が含まれる。
本発明において、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、通常、ハイブリダイゼーションを、5×SSC又はこれと同等の塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、37〜42℃の温度条件下、約12時間行い、5×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液などで必要に応じて予備洗浄を行った後、1×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液中で洗浄を行うことにより実施できる。
【0018】
本発明のリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をコードする遺伝子は、適当な藻類の組織や細胞を遺伝子源として用いてスクリーニングを行うことにより単離取得できる。藻類としては、クラミドモナス、ドナリエラ、コナミドリムシ、クロロモナス、クロレラ、クリプトモナス、ヒメノモナス、シネココッカス、ホルミジウム、およびアナバエナが挙げられる。
遺伝子のスクリーニング及び単離は、ホモロジークローニング法などにより好適に実施できる。
例えば、紅藻スサビノリを遺伝子源として用い、これからmRNA(ポリ(A)RNA)を調製する。これからcDNAライブラリーを構築し、EST(expressed sequence tag) データベースの検索によって得られるPTB1類似配列(例えば、GenBankTM/EBI/DDBJ accession No. AV430785) に相当するプローブを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることによってリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制しているタンパク質のcDNAを含むクローンを得ることができる。
得られたcDNAについては、常法により塩基配列を決定し、翻訳領域を解析して、これにコードされるタンパク質のアミノ酸配列を決定することができる
【0019】
得られたPBT1遺伝子のcDNAから調製した、これに相補的なRNA(cRNA)を用いて、インビトロ翻訳法[Hedigerら、Biochim. Biophys. Acta、第1064巻、360項、1991年]により、PTB1タンパク質を合成し、電気泳動によりタンパク質のサイズ、糖付加の有無等を検討することができる。
【0020】
得られたPBT1遺伝子のcDNAを用いて、異なる遺伝子源で作製された適当なcDNAライブラリー又はゲノミックDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、異なる組織、異なる生物由来の相同遺伝子や染色体遺伝子等を単離することができる。
また、開示された本発明の遺伝子の塩基配列(配列番号2に示された塩基配列、もしくはその一部)の情報に基づいて設計された合成プライマーを用い、通常のPCR(Polymerase Chain Reaction)法によりcDNAライブラリー又はゲノミックDNAライブラリーから遺伝子を単離することができる。
cDNAライブラリー又はゲノミックDNAライブラリー等のDNAライブラリーは、例えば、「Molecular cloning」[Sambrook, J., Fritsch, E.F.及びManiatis, T.著、Cold Spring Harbor Pressより1989に発刊] に記載の方法により調製することができる。あるいは、市販のライブラリーがある場合はこれを用いてもよい。
【0021】
本発明のDNAは、PTB1遺伝子が破壊されたヒ素耐性株の作製に用いることができる。本発明のDNAまたはその一部を薬剤耐性遺伝子などのマーカーと結合した後ベクターに組み込み、PTB1遺伝子を破壊するためのベクターとすることができる。ベクター及び宿主への形質転換法は、宿主に応じて適したものが選択される。マーカーとしてはカナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子が挙げられ、形質転換方法としてはエレクトロポレーション法、パーティクルガン法などが挙げられる。
相同組み換えを行うための本発明のDNAとは、リン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質をコードする必要はなく、生理的条件下、すなわち細胞内で、ゲノム上のPTB1遺伝子と相同組み換えを起こすことができ、それによってPTB1遺伝子を破壊することができる程度の相同性を有していればよい。このような相同性としては、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性があげられる。また、PTB1のエクソン部分と相同性を有するDNAを必ず含む必要はなく、PTB1のゲノムDNAと相同性を有するDNAであればよい。また相同組み換えを行うためのDNAは本発明のDNAの一部であってもよい。ここで一部とは、好ましくは50塩基以上、より好ましくは100塩基以上の長さを有するものが挙げられる。
【0022】
本発明のリン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質は、それをコードするcDNAを用い、遺伝子組換え技術により生産することができる。例えば、PBT1をコードするDNA(cDNA等)を適当な発現ベクターに組み込み、得られた組換えDNAを適当な宿主細胞に導入することができる。ポリペプチドを生産するための発現系(宿主−ベクター系)としては、例えば、細菌、酵母の発現系等が挙げられる。このうち、機能タンパクを得るためには、酵母を用いることが好ましい。
本発明は、前記した本発明の遺伝子もしくは該遺伝子の中のタンパク質をコードする遺伝子を含むベクター、好ましくは相同組み換えのためのベクター又は発現ベクター、及び当該ベクターを用いて形質転換された宿主細胞(形質転換体)を提供する。
【0023】
リン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、配列番号2で示される塩基配列を有するcDNAを用いることができるほか、前記のcDNA配列に限定されることなく、アミノ酸配列に対応するDNAを設計し、ポリペプチドをコードするDNAとして用いることもできる。この場合、ひとつのアミノ酸をコードするコドンは各々1〜6種類知られており、用いるコドンの選択は任意で良いが、例えば発現に利用する宿主のコドン使用頻度を考慮して、より発現効率の高い配列を設計することができる。設計した塩基配列を持つDNAは、DNAの化学合成、前記cDNAの断片化と結合、塩基配列の一部改変等によって取得できる。人為的な塩基配列の一部改変、変異導入は、所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチドからなるプライマーを利用して部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)[Mark, D.F. et al.、Proceedings of National Academy of Sciences、第81巻、第5662項(1984年)] 等によって実施できる。
【0024】
本発明はまた、配列番号2で示される塩基配列の中の連続する14塩基以上、好ましくは20塩基以上の部分配列もしくはその相補的な配列を含むヌクレオチドを提供するものである。
本発明のヌクレオチドは、リン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質コードする遺伝子を検出するためのプローブとして使用することができ、また、当該タンパク質をコードする遺伝子やそれと相同性の高いタンパク質をコードする遺伝子などを入手する際のプライマーとして使用することができ、さらに、そのアンチセンス鎖などによりリン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質をコードする遺伝子の発現を変調させるために使用することもできる。
【0025】
本発明のリン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質又はこれと免疫学的同等性を有するポリペプチドを用いて、その抗体を取得することができる。抗体は、リン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質検出や精製などに利用できる。抗体は、本発明のリン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質、その断片、またはその部分配列を有する合成ペプチドなどを抗原として用いて製造できる。ポリクロナール抗体は、宿主動物(例えば、ラットやウサギ等)に抗原を接種し、免疫血清を回収する、通常の方法により製造することができ、モノクロナール抗体は、通常のハイブリドーマ法などの技術により製造できる。
【0026】
本発明は、ヒ素耐性に関わる遺伝子を提供するのみならず、ヒ素耐性のメカニズムをも提供するものである。そのメカニズムは次のとうりである。
ヒ素耐性変異株AR3ではリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制しているタンパク質をコードしている遺伝子PTB1が破壊されている。このタンパク質が機能しないことによりリン酸高親和性トランスポーターが発現して細胞内のリン酸濃度が上昇する。次に、細胞内リン酸濃度の上昇によりフィードバック阻害がおこり、他のリン酸トランスポーターの発現または活性が抑制される。リン酸高親和性トランスポーターにより細胞内のリン酸濃度が高く保たれているため、リン酸低親和性トランスポーターにより取り込まれるヒ酸の影響は抑えられて、AR3はヒ素耐性となる。
【0027】
本発明のヒ素耐性のメカニズムは、クラミドモナスの野生株CC125とヒ素耐性株AR3について生理学的な比較をすることにより解明された。
図3に、野生株CC125とヒ素耐性株AR3のヒ酸による生育阻害を示す。AR3は野生株の10倍以上ヒ酸に対する耐性能力を持っていた。
図5に、野生株CC125とヒ素耐性株AR3のヒ素蓄積量の経時変化、並びにそのときの光合成活性を示す。AR3のヒ酸取り込みはヒ酸添加後すぐに抑制され、その蓄積量は低いままであった。またAR3はヒ酸取り込みの抑制に平行して光合成活性が回復した。
図6に、野生株CC125とヒ素耐性株AR3のリン酸蓄積量を示す。AR3はCC125の約2倍のリン含量を示した。AR3では細胞内に多量に存在するリンが、ヒ素の取り込みの抑制に役立っている可能性が考えられた。
図7に、ヒ酸の取り込みに対するリン酸の阻害と、リン酸の取り込みに対するヒ酸の阻害を示す。培地中のヒ酸濃度が増すにつれ細胞に取り込まれるリン酸の濃度は低下した。逆に、培地中のリン酸の濃度が増すにつれ細胞に取り込まれるヒ酸の濃度は低下した。すなわち、ヒ酸の取り込みはリン酸により阻害され、リン酸の取り込みはヒ酸により阻害された。このことから、ヒ酸とリン酸は同じ取り込み経路を通じて競合的に取り込まれていることが明らかとなった。
図8に、いろいろな濃度のリン酸を含む培地中でのヒ酸による生育の阻害を示す。野生株では、培地中のリン酸濃度が高いと(5あるいは10mM)、1mMヒ酸存在下でも生育できた。この実験からもヒ酸とリン酸が競合的に取り込まれることが示された。
図9に、リン酸取り込み活性を測定してミカエリスメンテンプロットを描いて解析を行った結果を示す。リン酸高親和性トランスポーターとリン酸低親和性トランスポーターの二つの経路が存在することが確認された。そして、AR3ではリン酸高親和性トランスポーターの活性がCC125の4倍以上高まっていることが明らかとなった。
クラミドモナスの野生株CC125とヒ素耐性株AR3について生理学的な解析については、実施例においてより詳細に記載する。
【0028】
上記の生理学的解析により、リン酸とヒ酸は競合的に取り込まれることが明らかとなった。また、AR3では高親和性トランスポーターの活性が野生株の約5倍高まっており、細胞内のリン濃度も野生株の2倍となっていることが明らかとなった。AR3では細胞内のリン濃度が上昇してリン酸トランスポーターにフィードバック阻害がかかる。リン酸高親和性トランスポーターにより細胞内のリン酸濃度が高く保たれているため、リン酸低親和性トランスポーターにより取り込まれるヒ酸の影響は抑えられて、AR3はヒ素耐性となる。
従って、ヒ素耐性株AR3において変異の導入されている遺伝子PTB1は、リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質であることが明らかとなった。
【0029】
本発明のPTB1遺伝子を破壊または改変して細胞内のヒ素及びリンの濃度を制御する方法としては、遺伝子の相同組み換えを利用したPTB1遺伝子の破壊法などが挙げられる。
本発明のDNAの一部と選択マーカーをプラスミドに組み込んで相同組み換えのためのベクターとし、これを宿主に導入して形質転換することによりPTB1遺伝子を破壊することが可能である。ベクター及び宿主への形質転換法は、宿主に応じて適したものが選択される。マーカーとしてはカナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子が挙げられ、形質転換方法としてはエレクトロポレーション法、パーティクルガン法などが挙げられる。ベクターとしてはシャトルベクターが好ましい。
相同組み換えを行うための本発明のDNAとは、リン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質をコードする必要はなく、生理的条件下、すなわち細胞内で、染色体上のPTB1遺伝子と相同組み換えを起こすことができ、それによってPTB1遺伝子を破壊することができる程度の相同性を有していればよい。このような相同性としては、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性があげられる。また、PTB1遺伝子のエクソン部分と相同性を有するDNAを必ず含む必要はなく、PTB1のゲノムDNAと相同性を有するDNAであればよい。相同組み換えを行うためのDNAは本発明のDNAの一部であってもよい。ここで一部とは、好ましくは50塩基以上、より好ましくは100塩基以上の長さを有するものが挙げられる。
相同組み換えのベクターを作製する前に、本発明のDNAを用いて宿主の遺伝子構造を明らかにするのもより好ましい形態である。すなわち、EST(expressed sequence tag) データベースの検索によって得られるPTB1類似配列に相当するプローブを用いて、宿主のゲノミックライブラリーをスクリーニングすることによってPTB1遺伝子のコピー数及びその塩基配列を決定する。決定された塩基配列からなるDNAを相同組み換えベクターに用いるDNAとすることができる。
【0030】
PTB1遺伝子を破壊して細胞にヒ素耐性能を与える方法、PTB1遺伝子を破壊して細胞にリン酸蓄積能を与える方法としては、前段落番号の段落に記載した遺伝子破壊方法が挙げられる。遺伝子を破壊する細胞としてはPTB1遺伝子を持つものであれば可能であるが、PTB1遺伝子を持つ藻類が好ましく、PTB1遺伝子を持つクラミドモナス等の緑藻がより好ましい。
【0031】
細胞の有するリン吸収能を活性化させて細胞にヒ素耐性能を与える方法としては、リン酸トランスポーターを過剰発現させる方法、リン酸トランスポーターの活性促進剤を用いる方法などが挙げられる。またリン酸の投与も細胞へのリン吸収能を活性化させる効果があるものである。
過剰発現させるリン酸トランスポーターとしては、ヒ酸の輸送能力の低いものが好ましい。リン酸トランスポーターのリン酸取り込みに対するヒ酸の阻害定数の測定などによりヒ酸に対するリン酸トランスポーターの親和性の測定が可能である。
【0032】
PTB1遺伝子を破壊されたヒ素耐性形質転換体を用いたヒ素の回収方法としては、高濃度のヒ素を含む水溶液中において、光照射下でヒ素耐性形質転換体を培養することによりこのヒ素耐性形質転換体にヒ素を取り込ませ、次に培養したヒ素耐性形質転換体を回収することによってヒ素を除去する方法が挙げられる。
ヒ素耐性形質転換体としては、高濃度のヒ素を含む水溶液では生育できない藻類のPTB1遺伝子を破壊することにより得られたヒ素耐性藻類が挙げられる。また鉱山などのヒ素濃度の高い環境中からサンプリングされた藻類のPTB1遺伝子を破壊してヒ素耐性がより強化されたものであってもよい。藻類の中でも微細藻類である緑藻が形質転換に好ましく、また培養も容易であるためこの方法に使用するのに好ましいものである。
ヒ素耐性形質転換体を回収する方法としては、培養液を必要に応じ冷却したのち、遠心分離などの手段によりヒ素耐性形質転換体を沈殿、濃縮させ回収する方法が挙げられる。
【0033】
PTB1遺伝子を破壊されたヒ素耐性藻類を用いてヒ素を無毒化する方法としては、クラミドモナス、クロレラ、クリプトモナス、ヒメノモナス、シネココッカス、ホルミジウム、及びアナバエナなどの無機ヒ素を有機ヒ素に無毒化する能力をもつ藻類を用いる方法が挙げられる。これらの藻類のPTB1遺伝子を破壊することによりヒ素耐性を付与し、高濃度のヒ素を含む水溶液中にて培養することにより、ヒ素を無毒化することが可能である。
ヒ素耐性藻類としてPTB1遺伝子を破壊した糸状緑藻を用い、これを処理槽に固定化させてヒ素の無毒化を行う方法も好ましい形態である。
【0034】
PTB1遺伝子を破壊されたリン蓄積性形質転換体を用いてリンを回収する方法としては、リンを含む水溶液中において、光照射下でリン蓄積性形質転換体を培養することによりこのヒ素耐性形質転換体にリンを取り込ませ、培養したリン蓄積性形質転換体を回収することによりリンを回収する方法が挙げられる。
PTB1遺伝子を破壊されたリン蓄積性形質転換体としてはPTB1遺伝子を持つ藻類が好ましく、PTB1遺伝子を持つ緑藻がより好ましい。
リン蓄積性形質転換体を回収する方法としては、培養液を必要に応じ冷却したのち、遠心分離などの手段によりリン蓄積性形質転換体を沈殿、濃縮させ回収する方法が挙げられる。回収されたリン蓄積性形質転換体の生体内に取り込まれたリンは、適当な処理を施すことにより該生体内から取り出し有用リン資源として回収することができる。
【0035】
本発明のリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質、その特異抗体、その機能促進物質あるいは機能抑制物質を用いて、細胞内のヒ素及びリンの濃度を制御する方法としては、当該タンパク質をリン酸高親和性トランスポーターの発現抑制剤として用いる方法が挙げられる。また、本発明のタンパク質の特異抗体を作製してそれを使用する方法、本発明のタンパク質の機能促進物質または機能抑制物質をスクリーニングにより発見して使用する方法が挙げられる。
リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質の特異抗体を作製する方法としては、本発明のリン酸高親和性トランスポーターを抑制するタンパク質、その断片、またはその部分配列を有する合成ペプチドなどを抗原として用いて製造できる。ポリクロナール抗体は、宿主動物(例えば、ラットやウサギ等)に抗原を接種し免疫血清を回収する通常の方法により製造することができ、モノクロナール抗体は通常のハイブリドーマ法などの技術により製造できる。
リン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質の機能促進物質または機能抑制物質をスクリーニングする方法としては、当該タンパク質に結合する物質をスクリーニングすることにより機能促進物質または抑制物質の候補となる物質を得た後、その薬剤活性を検定する方法が挙げられる。例えば、本発明のリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質をフィルター及びメンブレンなどの担体に結合させ、このタンパク質に親和性を有する物質をドラッグライブラリーの中から分離・検出する。この親和性を有する物質は薬剤としての有用性が期待される物質であり、その作用を実際に確かめることにより本発明のタンパク質の機能促進物質または機能抑制物質として使用することが可能となる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
【0037】
実施例1
ヒ素耐性に関わる遺伝子PTB1のクローニング
(1)ヒ素耐性株のスクリーニング
本発明者らにより以前に、無作為挿入変異法で得られたクラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)の変異株をいろいろな濃度のヒ酸塩存在下で生育させてスクリーニングを行い、ヒ酸耐性変異株AR3を得た(Fujiwara,et al., 2000, Plant Cell Physiol., 41(1),77-83)。
すなわち、クラミドモナス・ラインハルディの株であるCC425(アルギニン琥珀酸エステル脱離酵素遺伝子を欠損している)にプラスミドpJD67をエレクトロポレーション法により形質転換した。プラスミドpJD67はアルギニン琥珀酸エステル脱離酵素遺伝子ARG7を持っており、CC425の染色体上にランダムに挿入される。プラスミドpJD67が挿入されたものは、アルギニン無添加培地で生育できる株として選抜された。この無作為挿入変異法により、さまざまな遺伝子破壊されたCC425の系が作製された。
上記の遺伝子破壊されたCC425の系からヒ酸耐性変異株のスクリーニングを行った。プラスミドpJD67で形質転換処理された約10個の細胞を直接、0.1mMの無機リン酸と0.3mMのヒ酸ナトリウムを含むTAP培地上に移した。プレート上でよく生育するコロニーとして13の系が得られた。それぞれAR1〜AR13と名付けられた。抵抗性変異株は光合成活性が損なわれていないかどうかを調べた。なぜなら、光合成がヒ酸に影響を受けない変異株が選抜されることも考えられたからである(Togasaki and Hudock,1972,Plant Physiol,49,s52; Harris et al.,1974,J.Cell Biol.,63,106-179; Shepherd et al.,1979,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76,1353-1357; Hudock et al.,1979,Biochem.Biophys.Res.Commun.,87,66-71)。この実験により得られたすべての変異株は光合成に関する変異株ではなかった、それは3/10 HSM培地(Sueoka et al.,1967,J.Mol.BIol.,25,44-67)上で独立栄養により生育することにより確かめられた。
変異株はARG7遺伝子が染色体に外部から挿入されたものであるかどうかを確認するために、サザンブロット解析を行った。その結果、ヒ素耐性変異株AR3は染色体上に1コピーの外来性のARG7タグが挿入されたものであることが明らかとなった。
また野生株CC125とCC124を用いて4回戻し交配して得られたF4世代のAR3の6つの接合子について4分子分析を行ったところ、このタグとヒ酸耐性は共分離していた。このことから、ヒ酸耐性はタグによって変異をうけた遺伝子によるものであることが示唆された。
【0038】
(2)cDNAの塩基配列の決定
AR3に挿入されたARG7遺伝子のDNA断片をプローブとして、AR3のゲノムDNAのARG7挿入部位周辺領域をクローニングした。このDNA断片をプローブとして野生型クラミドモナスのcDNAライブラリーよりcDNAの3’末端を含む部分を単離した。また、5’−RACE法により5’端を含む部分を単離した。
ダイターミネーターサイクルシーケンシング法により、得られたcDNA断片の全長の塩基配列を決定した。この配列を後期配列表の配列番号2に示した。
cDNA全塩基配列より、この遺伝子のコードするタンパク質のアミノ酸配列を推定した。1666のアミノ酸残基からなり分子量172kDのポリペプチドからなるタンパク質をコードしているものと推定された。この配列を後期配列表の配列番号1に示した。
【0039】
(3)ゲノム塩基配列の決定
cDNA配列をプローブとして、クラミドモナスの野生型ゲノムDNAライブラリーから相同性のある配列を持つクローンをスクリーニングした。これらの断片の塩基配列を一部決定したところ、これらの断片の一つがcDNAの塩基配列とほぼ完全に一致する塩基配列を持つものであった。このクローンの塩基配列を決定し遺伝子の全塩基配列を決定した。この配列を後期配列表の配列番号3に示した。この遺伝子をPTB1と命名した。
図1にPTB1のエクソン/イントロン構造を示す。PTB1の構造遺伝子は19個のエクソン領域からなるものである。図1はまた、ヒ素耐性変異株AR3においてタグ(ARG7遺伝子からなる)が挿入されていた場所を示す。
図2にPTB1遺伝子がコードするタンパク質の予想されるアミノ酸配列についてハイドロパシー分析を行った結果を示す。PTB1のコードするタンパク質は12回の膜貫通領域を持つことが推測された。
PTB1遺伝子がコードするタンパク質の予想されるアミノ酸配列について相同性検索を行ったところ、酵母(Saccharomyces)のナトリウム依存性リン酸トランスポーターであるPHO89と有意の相同性を示すが、中央部分にグルタミンとグリシンに富む大きな挿入領域があることがわかった。
【0040】
実施例2
ヒ素耐性変異株AR3と野生型株CC125の生理学的な比較による解析
(1)ヒ酸に対する耐性の評価
ヒ酸耐性以外の変異を取り除くために、AR3を野生株CC125と3回戻し交配させた。以後の実験には、この戻し交配を行ったAR3(F3世代)を用いることにした。
図3に、野生株CC125とヒ素耐性株AR3のヒ酸による生育阻害を示す。1mMのリン酸を含む培地において、いろいろな濃度のヒ酸を添加しヒ酸による生育阻害を調べた。AR3は野生株の10倍以上ヒ酸に対する耐性能力を持っていた。
野生株CC125及びヒ素耐性株AR3の培養にはTAP培地(リン酸を含む、Harris1989)を用い、80μmol光子/m・sの光照射下、27℃で培養を行った。
図4にヒ酸含有培地で生育した細胞のヒ素蓄積量を調べた結果を示す。野生株CC125と耐性株AR3ではヒ素蓄積量が異なっており、CC125は0.2mMヒ酸含有培地で培養すると、50nmol/mg以上のヒ素蓄積量があるのに対して、AR3は培地のヒ酸濃度が高くなってもヒ素蓄積量は低いままであり、2mMヒ酸含有培地では30nmol/mg以下であった。
ヒ酸含有培地で生育している細胞のヒ素蓄積量は、以下のように定量した。指数増殖期の細胞を各濃度(0.1,0.2,0.4,1,2,4,8mM)のヒ酸(NaAsHO・7HO、和光純薬)を含むTAP培地で約10倍に希釈した後、指数増殖期まで培養し、培養液40mLを1,500×g、15分、4℃で遠心分離して細胞を集め、細胞外のヒ酸を除去するために洗浄バッファー1(TAP、20mMリン酸、0.005%tween20,pH6.0)で細胞を3回洗浄した。得られたヒ素溶液を、貝瀬らの方法(Kaise et al.,1999,Appl.Organomet.Chem,13,107-111)を用いて湿式分解による還元気化原子吸光法によりヒ素を定量した。
次に、この蓄積量の違いがヒ酸添加後どの時期に起こるものなのかを調べるために、指数増殖期の細胞培養液に1mMヒ酸になるように添加し、ヒ素蓄積量の経時変化、並びにそのときの光合成活性を調べた。その結果を図5に示す。CC125は2時間目までヒ酸を取り込み続けるが、AR3のヒ酸取り込みはヒ酸添加後10分後から抑制され、その蓄積量は低いまま一定に保たれていた。またAR3はヒ酸取り込みの抑制に平行して光合成活性が回復した。光合成活性の測定はWykoffらの方法(Wykoff et al.,1998,Plant Physiol,117,129-139)を参考とした。酸素発生量と酸素消費量をClark-type oxygen electrode units(Hansatech,King's Lynn, UK)を用いて測定し、その和を光合成活性とした。
【0041】
(2)リン含量の測定
図6に、野生株CC125とヒ素耐性株AR3のリン蓄積量を示す。ヒ素耐性株AR3は野生株CC125に比べて細胞内のリン蓄積量が2倍であった。
細胞のリン含量は以下のようにして測定した。指数増殖期にある細胞1mlをTAP培地(32P−リン酸を含む)9mLで1/10に希釈し、指数増殖期まで生育させた後、培養液1mLを18,500×g、2分、4℃で遠心して細胞を集め、洗浄バッファー1で4回洗浄して、細胞内32Pを測定した。
【0042】
(3)リン酸によるヒ酸吸収の阻害について
図7にヒ酸の取り込みに対するリン酸の阻害、及びリン酸の取り込みに対するヒ酸の阻害を調べた結果を示す。Aはいろいろな濃度のリン酸を含む培地中でのヒ酸の取り込み速度の測定を行った結果である。Bはいろいろな濃度のヒ酸を含む培地中でのリン酸の取り込み速度の測定を行った結果である。
ヒ酸の取り込みに対するリン酸の阻害を調べる場合には、細胞をTAP−P培地で2回洗浄し、20分後、10mLずつ分注し、1mMヒ酸と各濃度(0,1,10mM)のリン酸(カリウム塩、pH7.0)になるように同時に添加した。各時間ごとに細胞に取り込まれたヒ素を測定した。
リン酸の取り込みに対するヒ酸の阻害を調べる場合は、タイタープレートに0.25mLずつ分注した細胞に、1mM32P−リン酸と各濃度(0,1,10mM)のヒ酸になるように同時に添加した。各時間(5,10分)ごとに0.1mLずつ1.5mLマクロチューブに移し、1mLの洗浄バッファー1を添加し、リン酸の取り込みを停止させた。チューブの底に洗浄バッファー2(TAP、20mMリン酸、0.005%tween20、10%ショ糖、適量のブロモフェノールブルー、pH6.0)を0.2mL入れ、18,500×g、2分、4℃で遠心した。この操作を4回繰り返して細胞を洗浄した後、細胞内32Pを測定した。
図8に、いろいろなリン酸濃度の培地中でのヒ酸による生育阻害を調べた結果を示す。培地中のリン酸濃度が高い時には、CC125でもヒ酸による生育阻害を受けなかった。
【0043】
(4)リン酸取り込みのミカエリスメンテンプロット解析
図9に、野生株CC125とヒ素耐性株AR3についてリン酸取り込み活性のミカエリスメンテンプロット解析を行った結果を示す。横軸を培地中のリン酸濃度、縦軸をリン酸の取り込み速度としてプロットを描き、ミカエリスメンテン式からVmaxとK値を求めた。CC125、AR3ともにリン酸高親和性トランスポーターによるものとリン酸低親和性トランスポーターによるものの二つの取り込み経路が確認されたが、リン酸高親和性トランスポーターの活性(Vmax値)が、AR3ではCC125の4倍以上高まっていた。また、AR3のリン酸低親和性トランスポーターのKm値がCC125のKm値よりも大きくなっていた。
リン酸取り込み速度は、フリハタらの方法(Furihata et al.,1992,Plant Cell Physiol.,33(8),1151-1157)を参考にして以下のように測定した。細胞10mLをTAP−P培地で2回洗浄し、細胞懸濁液をタイタープレート(24ウェル)に0.25mLずつ分注し、27℃、20分、インキュベーションした後、各濃度(0.01,0.1,1,10,100,1000mM)の32P−リン酸を添加した。リン酸添加後2分後に、各ウェルに0.75mL洗浄バッファー1を加え、リン酸の取り込みを停止させた。0.8mLを1.5mLマイクロチューブに移し、チューブの底に洗浄バッファー2を0.2mL混ざらないように静かに入れ、18,500×g、2分、4℃で遠心した。沈殿した細胞を洗浄バッファー1で懸濁し、再びチューブの底に洗浄バッファー2を入れて、18,500×g、2分、4℃で遠心分離した。この操作を3回繰り返して細胞を洗浄した後、細胞内32Pを測定した。取り込みの速度は、次の式
V=S・Vmax1/(Km1+S)+S・Vmax2/(Km2+S)
からリン酸と親和性の低いトランスポーターのVmax1m1と、リン酸と親和性の高いトランスポーターのVmax2とKm2を求めた。
【0044】
【発明の効果】
本発明のリン酸高親和性トランスポーターの発現を抑制するタンパク質及びそそれをコードする遺伝子を利用することにより、細胞に取り込まれるヒ素及びリン酸の濃度を制御することが可能となる。すなわち、本発明の遺伝子PTB1を破壊することにより、ヒ素耐性能及びリン酸蓄積能を細胞に与えることができる。さらに、この方法を用いて得られたヒ素耐性藻類を用いることにより環境中又は排水中のヒ素を回収・無毒化することが可能となる。
【0045】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】PTB1のエクソン/イントロン構造を示す。また、ヒ素耐性変異株AR3においてTAG(ARG7遺伝子からなるもの)が挿入されていた場所を示す。
【図2】PTB1遺伝子がコードするタンパク質の予想されるアミノ酸配列についてハイドロパシー分析を行った結果を示す。
【図3】野生株CC125とヒ素耐性株AR3のヒ酸による生育阻害を示す。
【図4】いろいろな濃度のヒ酸を含有する培地で生育した細胞のヒ素蓄積量を示す。
【図5】ヒ酸含有培地で野生株CC125及びヒ素耐性株AR3を培養したときに、ヒ素蓄積量の経時変化とそのときの光合成活性を示す。
【図6】野生株CC125とヒ素耐性株AR3の細胞内リン蓄積量を示す。
【図7】野生株CC125及びヒ素耐性株AR3においてのヒ酸の取り込みに対するリン酸の阻害、及びリン酸の取り込みに対するヒ酸の阻害を示す。
(A)いろいろな濃度のリン酸を含む培地中でのヒ酸の取り込み速度
(B)いろいろな濃度のヒ酸を含む培地中でのリン酸の取り込み速度
【図8】いろいろなリン酸濃度の培地中でのヒ酸による生育阻害を調べた結果を示す。
【図9】野生株CC125とヒ素耐性株AR3についてリン酸取り込み活性のミカエリスメンテンプロット解析を行った結果を示す。横軸を培地中のリン酸濃度、縦軸をリン酸の取り込み速度としてプロットを描き、ミカエリスメンテン式からVmaxとK値を求めた。

Claims (17)

  1. 以下の(a)及び(b)から選択されるゲノムDNAであって、そのゲノムDNAを破壊することによりヒ素耐性能が得られるゲノムDNAからなる遺伝子。
    (a)配列番号3で示される塩基配列からなるゲノムDNA
    (b)配列番号3で示される塩基配列からなるゲノムDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするゲノムDNA。
  2. 以下の(a)及び(b)から選択されるゲノムDNAであって、そのゲノムDNAを破壊することによりリン蓄積能が得られるゲノムDNAからなる遺伝子。
    (a)配列番号3で示される塩基配列からなるゲノムDNA
    (b)配列番号3で示される塩基配列からなるゲノムDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするゲノムDNA。
  3. 藻類由来である請求項1又は2に記載の遺伝子。
  4. 緑藻由来である請求項1又は2に記載の遺伝子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子もしくは該遺伝子の中のタンパク質をコードする遺伝子を含むベクター。
  6. ベクターが発現プラスミドである請求項に記載のベクター。
  7. 請求項5又は6に記載のベクターで形質転換された形質転換藻類。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子を検出するためのプローブとして使用するものである、配列番号2又は3で示される塩基配列の中の連続する20塩基以上の部分配列もしくはその相補配列を含むヌクレオチド。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子を破壊して、藻類細胞内のヒ素及びリンの濃度を制御する方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子を破壊して、藻類にヒ素耐性能を与える方法。
  11. 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子を破壊して、藻類にリン蓄積能を与える方法。
  12. 請求項11に記載の方法により、細胞の有するリン吸収能を活性化させて、藻類にヒ素耐性能を与える方法。
  13. 請求項10又は12に記載された方法により得られたヒ素耐性形質転換藻類。
  14. 請求項11に記載された方法により得られたリン蓄積能を有する形質転換藻類。
  15. 請求項13に記載のヒ素耐性形質転換藻類を用いて、ヒ素を回収する方法。
  16. 請求項13に記載のヒ素耐性形質転換藻類を用いて、ヒ素を無毒化する方法。
  17. 請求項14に記載のリン蓄積能を有する形質転換藻類を用いて、リンを回収する方法。
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