JP4454590B2 - ボールキャスタ - Google Patents

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Description

本発明はボールキャスタに関し、特にボールを用いたキャスタの改良に関するものである。
従来のボールキャスタ構造の一例を、図6を参照して説明する。図6において、ベース63に固定されたボール受け64には、ボール61を受けるための受け皿67が取付けられており、この受け皿67とキャップ66の間において、ボール61はベアリング65を介して回転自在に設けられている。そして、ボール61の衝撃緩衝のためにバネ62が用いられるようになっている。
他のボールキャスタの構造の例として、特許文献1に開示のものがある。この例では、図6のバネ62の代りに、油圧シリンダを用いてボールの衝撃緩衝をなす構造である。
また、更に他のボールキャスタ構造の例として、特許文献2に開示のものがある。この例では、球形の磁性体を車輪とし、この車輪を嵌め込むための車輪嵌め込み穴を磁石で構成し、この車輪嵌め込み穴に当該車輪を嵌め込んで、着脱自在に着磁させて、無軸キャスタを構成している。
実開平7−005807号公報 特開2000−016004号公報 実開平6−030528号公報
図6に示したボールキャスタにおいては、衝撃緩衝にバネ62を使用しているので、経年変化によりバネ材の弾性特性の劣化によって衝撃緩衝力が低下し、また、ボールキャスタを取付ける装置の重量が異なる場合には、バネ62のバネ定数変更に伴って、強度や剛性の観点から、バネ以外の構成部品の形状を共通化できないという欠点がある。更には、ボール61が容易に取外し可能な構造にはなっていないために、異物混入によりボール回転不良が生じ、清掃が困難であるという欠点もある。
特許文献1の油圧シリンダを用いたボールキャスタにおいては油圧シリンダのための構造が複雑であり、また油という媒体も必要となって組立てや保守が煩雑であり、更にボールが容易に取外し可能ではないために、上記と同様に異物混入時に、ボール回転不良が生じるという欠点がある。
特許文献2の着磁による無軸キャスタにおいては、キャスタとこのキャスタを嵌め込む嵌め込み穴の双方が同極性になるように着磁されており、両者の吸引力により無軸キャスタを構成しているために、衝撃緩衝に対する対策は全く考慮されていなし、また両者が互いに吸着するものであるから、両者間の接触面には大きな摩擦が発生し、装置のキャスタとしては適しないという欠点がある。
なお、特許文献3を参照すると、磁気軸受のダンパ装置が開示されており、流体圧と磁力の反発力とによりダンパ機能を発生させているが、ボールキャスタに適用する示唆などはないものである。
本発明の目的は、衝撃緩衝に磁力を用いることにより、安定かつ磁力変更のみによる部品の共通化が図れ、かつ異物混入による回転不良時の清掃が容易なボールキャスタを提供することである。
本発明によるボールキャスタは、
ボールと、
ベース部材に固定されシリンダ状空間に前記ボールを収容したボール受けと、
前記シリンダ状空間内で前記ベース部材に固定された第一の磁石と、
前記シリンダ状空間内において、前記ボールの径よりもやや大きい径を有して前記ボールと点接触する球面を有するボール受け皿に固定され前記ボールの上下動に従って上下自在でかつ前記第一の磁石との間に反発力を生ずる第二の磁石と、
前記ボールの径よりも小なる径を有して前記ボールの落下を防止するリング状のキャップとを含み、
前記キャップを前記ボール受けに対して回転させることにより着脱自在としたことを特徴とする。
本発明による第一の効果は、衝撃緩衝に磁石の反発力を利用することにより、経時劣化なく安定した衝撃緩衝効果が得られることである。また、第二の効果は、衝撃緩衝に磁石の反発力を利用することにより、取付ける装置の重量が異なる場合にも、磁石の変更以外は全て同一部品で対応が可能となることである。第三の効果は、ボール受けキャップを着脱自在な構成とすることにより、異物混入によるボール回転不良時において、容易に分解清掃が可能となることである。
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例の分解斜視図であり、図2は組立後の側面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図である。図1〜図3において、同等部分は同一符号により示している。
図1を参照して本実施例のボールキャスタの組立て順序を説明する。先ず、円板状のベース1にリング状の第一の磁石2を取付けて固定する。次に、リング状の第二の磁石3をボール6の受け皿4に取付け固定する。この受け皿4はリング状材質にボール6の球面の一部と接触するボール接触面4a(図3参照)を有している。
次に、ボールの径より大なる径を有するシリンダ状のボール受け5に受け皿4を挿入するのであるが、ボール受け5の内周面の略中央部分には中央フランジ5aが設けられているので、この中央フランジ5aに受け皿4を載置するようにして挿入することになる。そして、ベース1にボール受け5の上部のリング5bを取付けて固定し、ボール6をボール受け5のシリンダ部に挿入し、ボールの径より小なる径を有するリング状のボール受けキャップ7により、ボール6の落下を防止する。
このとき、ボール受け5の底面フランジ5dには、互いに対向して一対の嵌合用凹部5cが予め設けられており、ボール受けキャップ7には、互いに対向して一対の嵌合用凸部7aが設けられている。これら嵌合用凹部5cに、嵌合用凸部7aを嵌合して、右または左方向に回転させることにより、ボール受け5とボール受けキャップ7とは容易に固定される。また、ボール受けキャップ7を逆方向に回転させて、嵌合凸部7aを嵌合凹部5cからはずすことにより、ボール受けキャップ7はボール受け5から極めて簡単に離脱して、ボールの取外しができることになる。
このように、ボール受けキャップ7を回転させるのみで、容易にボール受け5から当該キャップ7を着脱可能であるために、ボール6を取り出すことが極めて容易であり、ボール受け5及びボール6などの清掃が可能となるのである。
磁石3を固定した受け皿4は、ボール受け5の中央フランジ5aとベース1との間を、磁石2の反発力を受けつつボール6の上下動に従って上下可動する。なお、上方向は、受け皿4のリング上面4bがベース1に接触するまで可動するようになっている。また、受け皿4のボール6との接触面4aは、ボール6の球の径Rよりもやや大きい径を有する球面とすることにより、受け皿4とボール6とは常に、面接触ではなく、点接触となって、両者間の転がり摩擦を小とすることができるものである。
本例における実装条件としては、磁石2と磁石3とは磁力が互いに反発するようにすることは当然である。また、磁石2と3以外の構成部品の材料としては、磁界の影響を受けないように非鉄系の材料、すなわち非磁性材とする。更に、受け皿4の材料は、受け皿4とボール6との接触面が、床面とボール6との転がり摩擦係数よりも小さいものとする。
本発明の他の実施例として、基本構成は上記のとおりであるが、図3に示したボール6と受け皿4との接触により転がり摩擦を、更に軽減するために工夫したものを、図4に示している。図4はその断面図であり、図1〜図3と同等部分は同一符号により示している。
図4において、ボール11を磁性化された球面体とし、受け皿12の接触面13がボール11の外周面と同一の磁極とすることにより、受け皿12とボール11の磁力の反発により、常に非接触状態となり、転がり摩擦は極めて小となる。従って、ボール11は滑らかな転がりが可能となる。
なお、ボール11の構成例としては、外面及び内面に極性のある磁性体11a及び11bを、これらが互いに磁力の反発によって釣り合った位置で磁力の影響を受けない非磁性体11cを介して固定することにより、ボール11の外周面が同一極性の中空球面体となる。すなわち、半円球状の磁性体11aと11bとのそれぞれの外周面を同一磁極(例えば、S極)とし、それぞれの内周面を他の同一磁極(例えば、N極)とし、これら両半球面の磁性体11a,11bをリング状の非磁性体(非鉄系)11cで固定する構造である。このとき、受け皿12の磁石の極性も同一磁極(例えば、S極)とすることにより、反発力が生じて、ボール11は浮いた状態となる。
図5は本発明の更に他の実施例を示す断面図であり、図4と同等部分は同一符号により示している。図4の例では、受け皿12を磁石としているが、本例では、これを電磁石14として、衝撃緩衝効果について更に工夫している。受け皿である電磁石14は、鉄心14aとコイル14bとからなり、ボールキャスタを取付ける装置(図示せず)から電力供給を受けることにより、電磁石として動作する。これにより、ボールキャスタを取付ける装置が、それぞれ異なる重量であっても、磁力の調整が容易に可能となる。
自律走行型ロボットなどに、本発明のボールキャスタを取付けた場合、段差センサにより段差を検出し、走行面に合わせた最適な電流値に制御することによって、ダンパ力を調整することができ、いわゆるアクティブ制御が可能なボールキャスタとなる。更に、受け皿14が電磁石であるために、コイル14bに電流が流れていない状態でボールキャスタを組立てるようにすれば、磁力の反発は生じないので、組立てが容易となる。
本発明の一実施例の分解斜視図である。 本発明の一実施例の組立て状態の側面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 本発明の他の実施例の断面図である。 本発明の更に他の実施例の断面図である。 従来のボールキャスタの例を示す図である。
符号の説明
1 ベース
2,3 磁石
4 受け皿
5 ボール受け
6,11 ボール
7 ボール受けキャップ
12 受け皿(磁石)
13 接触面
14 受け皿(電磁石)

Claims (1)

  1. ボールと、
    ベース部材に固定されシリンダ状空間に前記ボールを収容したボール受けと、
    前記シリンダ状空間内で前記ベース部材に固定された第一の磁石と、
    前記シリンダ状空間内において、前記ボールの径よりもやや大きい径を有して前記ボールと点接触する球面を有するボール受け皿に固定され前記ボールの上下動に従って上下自在でかつ前記第一の磁石との間に反発力を生ずる第二の磁石と、
    前記ボールの径よりも小なる径を有して前記ボールの落下を防止するリング状のキャップとを含み、
    前記キャップを前記ボール受けに対して回転させることにより着脱自在としたことを特徴とするボールキャスタ。
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