JP4454097B2

JP4454097B2 - 低起泡性洗浄剤組成物

Info

Publication number: JP4454097B2
Application number: JP2000073961A
Authority: JP
Inventors: 有人菅波
Original assignee: Kawaken Fine Chemicals Co Ltd
Current assignee: Kawaken Fine Chemicals Co Ltd
Priority date: 2000-03-13
Filing date: 2000-03-13
Publication date: 2010-04-21
Anticipated expiration: 2020-03-13
Also published as: JP2001262183A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた洗浄力を有し、かつ低起泡性であって、しかも人体に対する安全性の優れた液体洗浄剤組成物に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
界面活性を有する洗浄剤を用いて被洗浄面を洗浄する際には、起泡は免れないところであるが、この泡を発生させず、又は、最小限に留めて、或いは短時間に破泡して、効率的な洗浄を行う事が望ましい洗浄分野がある。
例えば、自動食器洗い等に用いる洗浄剤は低起泡でなければ、効果的な洗浄は行えない。また、繊維の精練処理に用いる精練剤としては、精練工程の高速化や精練効率を高める為には低起泡性の精練剤が望まれる。
また、電子部品の洗浄剤等も、環境問題から脱フロンが要望され、フロン洗浄剤の代替として界面活性剤を用いる方法も提案されているが、この場合も、低起泡性或いは泡切れの短い洗浄剤が望まれる。
【０００３】
これらの要望を満たす為に、低起泡でかつ高い洗浄力を有する各種の洗浄剤組成物が提案されてきた。
特開昭６０−１２９６号公報には、ポリオキシエチレンアルキルフェノール型ノニオンとポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオンの組み合わせが開示されている。しかしながらアルキルフェノール類は環境ホルモンの前駆体とも考えられ、近年その使用が抑制される傾向にあり、しかも、開示された処方では充分な洗浄力が得られていない。
【０００４】
特開平７−３１０２７７号公報には、分枝鎖アルキルポリオキシアルキレングリコールエーテル類が開示されているが、油類に対する洗浄力が充分でなく、発生した泡は破泡性が悪く不満足なものであった。
さらに特表平１０−５０１２７５号公報には、アミンオキシドと分枝鎖アルキルサルフェート類を用いる処方が開示されているが、この処方も油類に対する洗浄力が不十分であって、発生した泡は破泡性が低く、不満足であった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は低起泡性であって、しかも優れた洗浄力を有し、泡の破壊速度の速い洗浄剤組成物を提供しようとするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明の低起泡性洗浄剤組成物は、下記一般式（Ｉ）により表される分岐鎖型高級脂肪酸アミドアミンオキシドの１種以上からなる成分（Ａ）：
【化３】

〔但し、一般式（Ｉ）中、Ｒ¹ 及びＲ² は、それぞれ互に独立に、４〜１２個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、Ｒ³ 及びＲ⁴ は、それぞれ互に独立に、水素原子、又は１〜３個の炭素原子を含むアルキル基を表し、ｎは２又は３の整数を表す。〕
並びに、下記一般式（II）により表されるポリオキシエチレンアセチレングリコール化合物の１種以上からなる成分（Ｂ）：
【化４】

〔但し一般式（II）中、Ｍｅはメチル基を表し、ｍ及びｐは１〜１００の整数を表す。〕
とを含有し、
前記成分（Ａ）と成分（Ｂ）との合計重量に対する前記成分（Ｂ）の含有重量の比率が５〜５０重量％であることを特徴とするものである。
本発明の低起泡性洗浄剤組成物において、前記成分（Ｂ）が、前記一般式（II）のポリオキシエチレンアセチレングリコール化合物の１種以上からなり、かつ９〜１１のＨＬＢ価を示す成分（Ｂ−１）と、前記一般式（II）のポリオキシエチレンアセチレングリコール化合物の１種以上からなり、かつ１３以上のＨＬＢ価を有する成分（Ｂ−２）との混合物であって、この混合物の平均ＨＬＢ価が１１〜１４であることが好ましい。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明の洗浄剤の成分（Ａ）に用いられる一般式（Ｉ）の化合物において、Ｒ¹及びＲ²は、それぞれ互いに独立に、４〜１２個の、好ましくは６〜１０個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖または、分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、Ｒ³及びＲ⁴は、それぞれ互いに独立に、水素原子、又は１〜３個の炭素原子を含有するアルキル基、すなわち、メチル基、エチル基及びプロピル基を表し、ｎは２または３の整数を表す。
【０００８】
一般式（Ｉ）の化合物において、Ｒ³及びＲ⁴がともにメチル基であり、ｎ＝３である場合、当該化合物は、その原料が入手しやすいという利点を有する。また、Ｒ¹及びＲ²は、それぞれ、例えばヘプチル基、２−イソヘプチル基、ノニル基、オクチル基、デシル基、イソノニル基、及びイソオクチル基等から選ばれることが好ましい。
【０００９】
一般式（Ｉ）の化合物は、イソステアリン酸アミドアミンオキシド、及びイソミリスチン酸アミドアミンオキシド（いずれもｎ＝３，Ｒ³，Ｒ⁴＝メチル基）から選ばれることが好ましい。
【００１０】
すなわち本発明の洗浄剤の成分（Ｂ）に用いられる一般式（II）の化合物は、２，４，７，９−テトラメチル−５−デシン−４，７−ジオールにエチレンオキシドを付加させた化合物の一種であって、エチレンオキシドの付加モル数ｍ及びｎは１〜１００で、好ましい付加モル数は１〜３０モルの範囲にあるものであり、このようなものは洗浄剤に使用する上で優れた特徴を有しており、特に低起泡性、消泡性、浸透力、耐薬品性及び溶剤との相溶性にすぐれている。
【００１１】
本発明者の検討によれば、成分（Ｂ）として用いられる式（II）のポリオキシエチレンアセチレングリコール類は、有機概念図から計算されるＨＬＢ価の違う２種を混合して用いた方が効果的である。ここで有機概念図から計算されるＨＬＢとは、小田、寺村らの次式：
ＨＬＢ価＝Σ無機性／Σ有機性×１０
によって得られた値である。
特に、ＨＬＢ価９〜１１のポリオキシエチレンアセチレングリコールとＨＬＢ価１３以上のポリオキシエチレンアセチレングリコールとを混合して、平均ＨＬＢ価が１１〜１４の範囲内にあるように調製した洗浄剤組成物は、優れた洗浄力を発揮する。
【００１２】
ＨＬＢ価９〜１１のポリオキシエチレンアセチレングリコールとしてはアセチレノールＥＬ（商標、平均付加モル４モル、川研ファインケミカル社製）が例示され、ＨＬＢ価１３以上のポリオキシエチレンアセチレングリコールとしては、アセチレノールＥＨ（商標、平均付加モル１０モル、川研ファインケミカル社製）が例示され、これらの混合物を用いるすぐれた性能の洗浄剤組成物が得られる。
【００１３】
本発明において、洗浄剤組成物に含まれる成分（Ａ）（一般式（Ｉ）の化合物）及び成分（Ｂ）（一般式（II）の化合物）の配合量は、成分（Ｂ）（一般式（II）で示される活性剤化合物）の配合重量％が、成分（Ａ）及び成分（Ｂ）の合計重量に対して５〜５０重量％であるようにコントロールされることが好ましく、更に好ましくは１０〜４０重量％であることが好ましい。成分（Ｂ）（一般式（II）の化合物）配合重量％が、成分（Ａ）及び成分（Ｂ）の合計量の５％未満の配合では、得られる洗浄剤組成物の消泡効果が不十分である。また成分（Ｂ）（一般式（II）の化合物）の配合量が５０重量％を超えると、得られる洗浄剤組成物の洗浄力が低下するという欠点を生ずる。
【００１５】
本発明の一般式（Ｉ）の化合物からなる成分（Ａ）及び一般式（II）で示される化合物からなる成分（Ｂ）は酸、アルカリに対して安定であるため、本発明の表面洗浄剤のpH値は任意に調整できるが、皮膚への刺激が少ない点で弱酸性ないし弱アルカリ性が好ましく、洗浄力を高める事を配合目的とする場合はpH９〜１１のアルカリ領域に設定する方が有利である。
【００１６】
本発明の洗浄剤組成物の優れた洗浄力及び低起泡性が実現する仕組みは不明であるが、本発明者らの検討によれば、成分（Ａ）に用いられる一般式（Ｉ）の分枝鎖型高級脂肪酸アミドアミンオキシドは容易に水に溶解し、かつ非常に優れた洗浄力を有する事が判明している。
【００１７】
図１はイソステアリン酸アミドアミンオキシド（ＩＳＡＡＯ、本発明例）、及びラウリン酸アミドアミンオキシド（ＬＡＡＯ、比較例）及びラウリルアミンオキシド（ＬＡＯ、比較例）の０．１５重量％濃度における各種pH（７，８，９，１０）におけるリーナッツ洗浄力をグラフに示したものである。
図１は、本発明に係るイソステアリン酸アミドアミンオキシド（ＩＳＡＡＯ）は、他のアミンオキシド類（ＬＡＡＯ及びＬＡＯ）に比較して広いpH領域できわめて高い洗浄力を発現させる事を明示している。
また、イソステアリン酸アミドアミンオキシド（ＩＳＡＡＯ）は、分子の中央部に親水基（−ＣＯＮＨ−）が位置する構造を有しているので、一般的には低起泡性であると考えられる。本発明者が測定したところ確かに起泡力は弱いが、泡の安定性は高く、イソステアリン酸アミドアミンオキシド（ＩＳＡＡＯ）の単独使用により低起泡性洗浄剤を構成させることは困難である事が判明した。
【００１８】
本発明の洗浄剤組成物において、分子鎖高級脂肪酸アミドアミンオキシドの強い洗浄力を十分に発現させながら、その起泡安定性を抑制して低起泡性を達成するために、ポリオキシエチレンアセチレングリコール類に見られる強い湿潤力及び乳化力、さらには高い破泡性を利用し、両者が相互に作用し合って、本発明の洗浄剤組成物の高い洗浄力と、低起泡性とが顕現されているものと思われる。成分（Ａ）（式（Ｉ）の化合物）と成分（Ｂ）（式（II）の化合物）との併用によって上記の効果が得られることは、本発明において初めて達成し得たことである。
【００１９】
本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損ねない範囲で、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が配合されてもよい。本発明の洗浄剤組成物の低起泡性を妨げない第三洗浄成分の配合量は、第三成分の選択により異なるが、例えば含硫黄型アニオン界面活性剤である場合、第三成分の配合量は分枝鎖高級脂肪酸アミドアミンオキシドの重量に対する比率で３０重量％未満であることが、低起泡性を維持する為に好ましい。
【００２０】
本発明の洗浄剤組成物には必要に応じて保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料などの一種又は２種以上を用いてもよい。
【００２１】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【００２２】
製造例１イソステアリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド（以後ＩＳＡＡＯと記す）の調製
４つ口フラスコに、イソステアリン酸３３１．７５ｇ（１．１５mol)を入れ、これに対して、窒素気流下に、Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピルアミン１５２．７６ｇ（１．４９５mol ：１．３当量）を滴下した。この混合液を６０℃に加熱し、２時間攬拌した後、攬拌を停止し一晩静置した。翌日この混合液を窒素気流下、１５０〜１６０℃に加熱し４時間攬拌した。その後、脱アミンのために、反応系中の圧力を０．５mmHgに減圧し、更に１．５時間攬拌した。その後反応系の温度を６０℃まで放冷し、イソステアリルアミドプロピルジメチルアミン４２２．２８ｇ（収率９８．５％）を得た。
【００２３】
４つ口フラスコに、先に製造したイソステアリルアミドプロピルジメチルアミン３１８．１７ｇ（０．８３６mol)と、蒸留水６９２．４１ｇと、ヒドロキシエタンジホスホン酸２．８７ｇ（０．００８４mol ，０．０１当量）とを加え、６０℃に加熱した。次にこの反応混合物中に過酸化水素水８６．５５ｇ（０．８８mol ，１．０５当量）を１時間かけて滴下した。反応混合物のゲル化はかなり激しく生起した。得られたゲル状態の生成物を９０℃に加熱しつつ一晩攬拌した。翌日反応液を３０℃まで放冷したところイソステアリルアミドプロピルジメチルアミンオキシドの３０％水溶液１１００ｇが得られた。
【００２４】
実施例１
製造例１で製造したイソステアリン酸アミドアミンオキシド成分（Ａ）と、ポリオキシエチレン（１０モル）アセチレングリコール類混合洗浄剤成分（Ｂ）とを、下記の表１に記載の組成で混合し、得られた洗浄剤組成物の泡沫消失性と洗浄力とをテストし評価した。評価基準は下記の通り。
【００２５】
（１）泡沫消失性測定
各サンプルの活性剤濃度０．２重量％溶液５mlを内径１８mm試験管（容積３０ml）に入れ、３０秒間で３０回倒立を行った後、初期泡高さ、及び３０分後の泡高さを計測し、泡の残存率を求め、下記評価基準に合わせて判定した。
評価基準
◎ ３０分後の残存率が３０％未満（泡沫消失性優秀）
○ ３０分後の残存率が３１〜５０％
△ ３０分後の残存率が５１〜８０％
× ３０分後の残存率が８１％以上（泡沫消失性不良）
（２）洗浄力測定法
各サンプルを活性剤純分０．２０重量％となるように蒸留水で希釈して７００mlの試験液を調製し、これをＪＩＳ規格リーナッツ洗浄力試験法に従う試験に供した。スライド６枚によるＮ＝３の測定平均値を洗浄力値とした。

テスト結果を表１に示す。
【００２６】
実施例２〜５並びに比較例１及び２
実施例２〜５並びに比較例１及び２の各々において、実施例１と同様にして、液体洗浄剤組成物を調製し、テストを行った。但し、成分（Ａ）（製造例１のアミンオキシド（３０％水溶液）と成分（Ｂ）（アセチレノールＥＨ（商標））とを、表１に記載されている組成に従って、混合した。
テスト結果を表１に示す。
【００２７】
【表１】

【００２８】
実施例６〜９並びに比較例３〜５
実施例６〜９並びに比較例３〜５の各々において、表２に記載の組成を有する液体洗浄剤組成物を調製し、前記と同様の洗浄力及び泡沫消失性テスト、及び下記起泡性テストに供した。
【００２９】
（３）非起泡性測定
各サンプルを合計界面活性剤量が、濃度０．２重量％となるように混合して測定溶液を調製して、その回転起泡力を測定した。
各測定サンプルは２００mlのメスシリンダーに正確に２００ml入れた後、メスシリンダー中の泡を物理的に破泡して取り除く。これを４０℃の恒温に保持する。
４０℃恒温のサンプル２００mlを、同じく４０℃に保温した１，０００mlトールビーカー（目盛りつき）に泡立てないように静かに移し、下記条件で攬拌した後、その起泡力を測定した。
起泡力は、泡上面の高さと泡下面の高さをビーカーの目盛りから読み取り、その差を下記評価基準に従って判定した。

【００３０】
測定結果を表２に示す。
【００３１】
【表２】

【００３２】
【発明の効果】
本発明の液体洗浄剤組成物は実用上すぐれた洗浄力を有し、しかも起泡性が低く、泡沫の安定性も不良で泡沫は容易に消失するという特性を有し、低起泡性、高洗浄力液体洗浄剤組成物として、実用上有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】界面活性剤ＩＳＡＡＯ，ＬＡＡＯ及びＬＡＯのリーナッツ洗浄力と、pHとの関係を示すグラフ

Claims

下記一般式（Ｉ）により表される分岐鎖型高級脂肪酸アミドアミンオキシドの１種以上からなる成分（Ａ）：

〔但し、一般式（Ｉ）中、Ｒ¹ 及びＲ² は、それぞれ互に独立に、４〜１２個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、Ｒ³ 及びＲ⁴ は、それぞれ互に独立に、水素原子、又は１〜３個の炭素原子を含むアルキル基を表し、ｎは２又は３の整数を表す。〕と、
並びに、下記一般式（II）により表されるポリオキシエチレンアセチレングリコール化合物の１種以上からなる成分（Ｂ）：

〔但し一般式（II）中、Ｍｅはメチル基を表し、ｍ及びｐはそれぞれ互に独立に１〜１００の整数を表す。〕とを含有し、
前記成分（Ａ）と成分（Ｂ）との合計重量に対する前記成分（Ｂ）の含有重量の比率が５〜５０重量％であることを特徴とする低起泡性洗浄剤組成物。
前記成分（Ｂ）が、前記一般式（II）のポリオキシエチレンアセチレングリコール化合物の１種以上からなり、かつ９〜１１のＨＬＢ価を示す成分（Ｂ−１）と、前記一般式（II）のポリオキシエチレンアセチレングリコール化合物の１種以上からなり、かつ１３以上のＨＬＢ価を有する成分（Ｂ−２）との混合物であって、この混合物の平均ＨＬＢ価が１１〜１４である事を特徴とする、請求項１に記載の低起泡性洗浄剤組成物。