本発明は、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置、コンテンツ配信プログラムおよびコンテンツ配信方法に関し、特に、さまざまなコンテンツの配信基準を用いてユーザが快適にコンテンツを受信できるようにするコンテンツ配信装置、コンテンツ配信プログラムおよびコンテンツ配信方法に関する。
近年、インターネットのユーザの増加や、利用時間の増大に伴って、様々な形態のコンテンツ(インターネット広告、画像、動画、音声等)の配信に関するニーズが高まっている。
ここで、通信速度が接続環境の変化に大きく影響されないテレビジョン電波と比較して、インターネットの場合には、オンラインでの接続が主流であるが故にその接続環境(モデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line )、光ファイバ等)が通信速度(帯域幅と同義。以下同様)に大きく影響する。
例えば、モデムを用いた接続環境における通信速度は、およそ56Kbpsである。また、ISDNを用いた接続環境における通信速度は、およそ64Kbpsである。これらの通信速度(56Kpbsおよび64Kbps)は、低速に分類される。
これらに対して、ADSLや光ファイバを用いた接続環境における通信速度は、数百Kbps〜数百Mbpsであり、高速に分類される。
図11は、従来における通信速度の分布を示す図である。図11に示した分布は、出願人が擁する約380万人のユーザに対して各接続環境における通信速度を測定した結果に基づくものである。
同図において、横軸は、通信速度である。縦軸は、ユニークブラウザ数である。同図からわかるように、1Mbps以下の通信速度しか得られないユーザがほとんど(78.5%)を占め、1Mbps以上の通信速度を得られるユーザは、21.5%である。
ここで、上述した高速用コンテンツを快適に取得できるか否かについて、通信速度のしきい値を50Kbpsとした場合には、14.1%のユーザが高速用コンテンツを快適に取得できないのである。また、通信速度のしきい値を500Kbpsとした場合には、59.1%ものユーザが高速用コンテンツを快適に取得できないのである。
そのため、低速用コンテンツを送信して通信速度を測定し、通信速度が所定のしきい値よりも大きい場合には高速用コンテンツを配信し、通信速度が所定のしきい値よりも小さい場合にはそのまま低速用コンテンツを表示させる技術が開示されている(特許文献1を参照)。
ここで、上記しきい値は、低速用コンテンツの容量に応じて動的に設定することとしてもよい。具体的には、低速用コンテンツにより通信速度を測定する場合、その容量が小さいほど測定結果のばらつきが大きくなるため、容量の大小に応じてしきい値を変更するようにする。
しかしながら、上述した特許文献1の従来技術は、あらかじめ固定されたコンテンツ配信帯域に対して、測定精度を上げる目的で低速用コンテンツの容量に応じてそのしきい値が設定されるものであり、その技術を適用する適用範囲が限定されているという問題があった。
すなわち、しきい値を決める基準は、あらかじめ固定されるべきではなく、(広告主などの)コンテンツホルダーがターゲットとするユーザにコンテンツを配信する方針に基づいて決定されるべきものであり、低速用コンテンツの容量によりしきい値を設定する場合には、通信速度の測定のばらつきを考慮して、より精度よく低速用コンテンツを配信するのか高速用コンテンツを配信するのかの判定をおこなうことができるものの、あらかじめ固定されたコンテンツ配信帯域では必ずしもコンテンツホルダーの要求を満たすことはできず、また、それだけでは必ずしもユーザが快適にコンテンツを受信できるとは限らないという問題があった。
そのため、他のさまざまなコンテンツの配信基準を用いることにより、いかにコンテンツホルダーのコンテンツの配信方針を満足させ、かつ、ユーザが快適にコンテンツを受信することができるコンテンツの配信システムを開発することができるかが重要な課題となってきている。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、さまざまなコンテンツの配信基準を用いてコンテンツホルダーのコンテンツの配信方針を満足させ、かつ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにするコンテンツ配信装置、コンテンツ配信プログラムおよびコンテンツ配信方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、端末装置へコンテンツを配信するコンテンツ配信装置であって、入稿されたコンテンツのバイナリを解析して前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得された前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報を前記コンテンツに対応付けて記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段により前記コンテンツに対応付けて記憶された前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報に基づいて、前記端末装置へ前記コンテンツを配信するか否かを判定するしきい値を設定するしきい値設定手段と、前記しきい値設定手段により設定されたしきい値を前記コンテンツに対応付けて記憶するしきい値記憶手段と、前記しきい値記憶手段により前記コンテンツに対応付けて記憶されたしきい値を前記端末装置へ送信するしきい値送信手段と、前記端末装置において、前記端末装置に対して前記コンテンツよりも小容量の低速用コンテンツを送信することにより測定された前記端末装置との間の通信経路の通信速度が、前記しきい値送信手段により前記端末装置へ送信されたしきい値以上であると判定された場合に、前記端末装置へ前記コンテンツを送信するコンテンツ送信手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段により前記コンテンツに対応付けて記憶された前記コンテンツのフレームごとの通信帯域に係る情報の最大値又は平均値を算出する算出手段をさらに備え、前記しきい値設定手段は、前記算出手段により算出された前記コンテンツのフレームごとの通信帯域に係る情報の最大値又は平均値を前記しきい値として設定することを特徴とする。
また、本発明は、端末装置へコンテンツを配信するコンテンツ配信プログラムであって、入稿されたコンテンツのバイナリを解析して前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報を取得する情報取得手順と、前記情報取得手順によって取得された前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報を前記コンテンツに対応付けて情報記憶手段に記憶する情報記憶手順と、前記情報記憶手順により前記コンテンツに対応付けて前記情報記憶手段に記憶された前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報に基づいて、前記端末装置へ前記コンテンツを配信するか否かを判定するしきい値を設定するしきい値設定手順と、前記しきい値設定手順により設定されたしきい値を前記コンテンツに対応付けてしきい値記憶手段に記憶するしきい値記憶手順と、前記前記しきい値記憶手順により前記コンテンツに対応付けて前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値を前記端末装置へ送信するしきい値送信手順と、前記端末装置において、前記端末装置に対して前記コンテンツよりも小容量の低速用コンテンツを送信することにより測定された前記端末装置との間の通信経路の通信速度が、前記しきい値送信手順により前記端末装置へ送信されたしきい値以上であると判定された場合に、前記端末装置へ前記コンテンツを送信するコンテンツ送信手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明は、コンテンツ配信装置が端末装置へコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって、入稿されたコンテンツのバイナリを解析して前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報を取得する情報取得工程と、前記情報取得工程によって取得された前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報を前記コンテンツに対応付けて情報記憶手段に記憶する情報記憶工程と、前記情報記憶工程により前記コンテンツに対応付けて前記情報記憶手段に記憶された前記コンテンツに含まれるフレームごとの通信帯域に係る情報に基づいて、前記端末装置へ前記コンテンツを配信するか否かを判定するしきい値を設定するしきい値設定工程と、前記しきい値設定工程により設定されたしきい値を前記コンテンツに対応付けてしきい値記憶手段に記憶するしきい値記憶工程と、前記前記しきい値記憶工程により前記コンテンツに対応付けて前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値を前記端末装置へ送信するしきい値送信工程と、前記端末装置において、前記端末装置に対して前記コンテンツよりも小容量の低速用コンテンツを送信することにより測定された前記端末装置との間の通信経路の通信速度が、前記しきい値送信工程により前記端末装置へ送信されたしきい値以上であると判定された場合に、前記端末装置へ前記コンテンツを送信するコンテンツ送信工程とを含んだことを特徴とする。
本発明によれば、入稿されたコンテンツの通信帯域に係る情報を記憶し、コンテンツを配信するか否かを通信経路の通信速度としきい値との間の大小関係に基づいて判定する場合に、記憶した通信帯域に係る情報に基づいてしきい値を設定することとしたので、通信帯域に係る情報に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定することにより、コンテンツの通信帯域を用いてコンテンツを配信するか否かを動的に判定するというコンテンツホルダーの配信方針を満足することができるとともに、通信経路の通信速度が小さい場合でもコンテンツの配信が途切れることを抑制し、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、コンテンツの通信帯域の最大値に係る情報を記憶し、記憶した最大値に係る情報に基づいてしきい値を設定することとしたので、通信帯域の最大値の情報に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定することにより、コンテンツの通信帯域が最大となる場合でも配信が途切れないコンテンツを選択できるようになるため、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、コンテンツの通信帯域の平均値に係る情報を記憶し、記憶した平均値に係る情報に基づいてしきい値を設定することとしたので、通信帯域の平均値に係る情報に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定することにより、通信経路の通信速度がコンテンツの通信帯域を平均的に上回る場合にコンテンツを送信することによりコンテンツを送信する基準を緩め、ユーザにできるだけ当該コンテンツを送信できるように調整することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、設定されたしきい値を記憶し、コンテンツを配信するための通信経路の通信速度を、当該コンテンツよりも小容量の低速用コンテンツを送信することにより計測し、通信速度が記憶されたしきい値以上である場合に当該コンテンツを送信することとしたので、通信速度がしきい値未満である場合には、低速用コンテンツをそのまま出力させることができ、無用なトラヒック量の増加を伴うことなく、通信速度に応じた最適なコンテンツを配信することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、入稿されたコンテンツの配信時間に係る情報を記憶し、ユーザのネットワークに対する接続環境に係る情報が取得され、当該接続環境に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定する場合に、記憶した配信時間に係る情報に基づいてユーザの接続環境に対応する配信用のコンテンツを選択することとしたので、コンテンツの配信時間を用いてコンテンツを配信するか否かを動的に判定するというコンテンツホルダーの配信方針を満足することができるとともに、ユーザの接続環境に適したコンテンツを配信時間の長短に応じて選択することができ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、入稿されたコンテンツの容量に係る情報を記憶し、ユーザのネットワークに対する接続環境に係る情報が取得され、当該接続環境に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定する場合に、記憶したコンテンツの容量に係る情報に基づいてユーザの接続環境に対応する配信用のコンテンツを選択することとしたので、コンテンツの容量を用いてコンテンツを配信するか否かを動的に判定するというコンテンツホルダーの配信方針を満足することができるとともに、ユーザの接続環境に適したコンテンツをコンテンツの容量の大小に応じて選択することができ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、低速用コンテンツと低速用コンテンツよりも大容量の高速用コンテンツとが選択された場合に、コンテンツを配信するための通信経路の通信速度を、低速用コンテンツを送信することにより計測し、通信速度が所定のしきい値以上である場合に低速用コンテンツよりも大容量の高速用コンテンツを送信することとしたので、通信速度がしきい値未満である場合には、低速用コンテンツをそのまま出力させることができ、無用なトラヒック量の増加を伴うことなく、通信速度に応じた最適なコンテンツを配信することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るコンテンツ配信装置、コンテンツ配信プログラムおよびコンテンツ配信方法の好適な実施例を詳細に説明する。このコンテンツ配信装置、コンテンツ配信プログラムおよびコンテンツ配信方法は、コンテンツの配信基準を、コンテンツを配信する側ではなく、(広告主などの)コンテンツを入稿する側に、ターゲットとするユーザに対するコンテンツの配信方針に基づいて決定させることにより、コンテンツホルダーのコンテンツの配信方針を満足させ、かつ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにするものである。
まず、本実施例1に係るコンテンツ配信システムの構成について説明する。図1は、本実施例1に係るコンテンツ配信システム20の構成を示す図である。図1に示すように、コンテンツ配信システム20は、クライアント101〜10nとネットワーク30を介して接続されている。
クライアント101〜10nは、ネットワーク30を介して、コンテンツ配信システム20から通信速度に応じたコンテンツ(低速用コンテンツまたは高速用コンテンツ)が配信されるコンピュータ端末であり、コンピュータ本体、キーボード、マウスおよびディスプレイから構成されている。また、クライアント101〜10nは、データ通信が可能な携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯情報端末であってもよい。
このクライアント101〜10nは、異なる接続環境(モデム、ISDN、ADSL、光ファイバ、無線LAN、携帯電話無線通信等)でネットワーク30に接続されている。また、コンテンツとは、配信可能な各種情報・データの全てを含み、インターネット広告(バナー広告等)、画像、動画、音声等のことである。
これらのクライアント101〜10nには、OS(Operating System)、ブラウザおよびマルチメディア再生ソフトウェアが実装されている。OSは、ファイルの管理、メモリの管理、入出力の管理、ユーザインターフェースの提供などを行なう基本ソフトウェアである。
ブラウザは、コンテンツ配信装置10(Webサーバ)にアクセスするためのソフトウェアであり、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)プロトコルによるファイル転送をおこない、HTML(Hypertext Markup Language)で記述されたハイパーテキストを解読し、Webページやコンテンツ(インターネット広告等)を表示する機能を備えている。マルチメディア再生ソフトウェアは、マルチメディア(動画、音声等)をクライアントで再生するためのソフトウェアである。
ここで、OS、ブラウザおよびマルチメディア再生ソフトウェアについては、所定のバージョン未満である場合、低速対応とされ、所定のバージョン以上である場合、高速対応とされる。
コンテンツ配信システム20は、クライアント10
1
〜10
n
側の通信速度に応じたコンテンツ(高速用コンテンツまたは低速用コンテンツ)を配信するシステムである。
本実施例1においては、しきい値は、コンテンツの各フレームの通信帯域の情報に基づいて設定される。コンテンツが、通信帯域が時間的に(フレームごとに)変化するストリーミングコンテンツである場合は、コンテンツ全体の容量が小さくとも、一時的に大きな通信帯域が配信に必要になり、通信回線の通信速度が小さい場合には配信が途切れる可能性があったが、通信帯域の情報に基づいてしきい値を設定することによりそれを抑制し、ユーザがコンテンツの受信を快適に実行できるようになる。
このコンテンツ配信システム20では、コンテンツ入稿受付装置40とコンテンツ配信装置50とが、ネットワーク60を介して接続されている。また、コンテンツ入稿受付装置40およびコンテンツ配信装置50は、ネットワーク30を介して、クライアント101〜10nや、コンテンツの製作者などにより入稿されたコンテンツのデータをコンテンツ入稿受付装置40に送信するコンテンツ入稿装置(図示略)などと接続される。
コンテンツ入稿受付装置40は、コンテンツ入稿装置(図示略)からコンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)の入稿を受け付ける装置である。このコンテンツ入稿受付装置40は、単にコンテンツの入稿を受け付けるだけでなく、入稿を受け付けたコンテンツの時間的に変化する通信帯域を検出し、その通信帯域に基づいて、上記しきい値を動的に設定する処理をおこなう。
コンテンツ入稿受付装置40は、入力部41、表示部42、記憶部43、通信部44、コンテンツデータベース45、および、制御部46を有する。
入力部41は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。表示部42は、LCD(Liquid Crystal Display)やCTR(Cathode Ray Tube)等の表示デバイスである。記憶部43は、制御部46などで用いられる各種情報を記憶するメモリなどの記憶デバイスである。通信部44は、ネットワーク30およびネットワーク60に接続されており、所定の通信プロトコルにしたがって通信を制御する。
コンテンツデータベース45は、ハードディスク装置などの記憶デバイスであり、入稿されたコンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)と、高速用コンテンツに対して設定されたしきい値とを対応付けて記憶する。
ここで、低速用コンテンツは、クライアント101〜10n側の環境が低速用または計測された通信速度が低速(しきい値未満)である場合に当該クライアント101〜10nに対して表示される小容量のコンテンツであり、例えば、小容量のインターネット広告である。この低速用コンテンツは、前述したように、計測用データそのものであって、信頼性が高い計測結果を得るのに充分な容量のものとされる。
一方、高速用コンテンツは、クライアント101〜10n側の環境が高速用または計測された通信速度が高速(しきい値以上)である場合に当該クライアント101〜10nへ配信される大容量のコンテンツであり、例えば、大容量のインターネット広告である。また、しきい値は、後に説明するしきい値設定部46bにより設定されたしきい値である。
制御部46は、コンテンツ入稿受付装置40を全体制御する制御部であり、バイナリ解析実行部46aとしきい値設定部46bとを有する。バイナリ解析実行部46aは、入稿された高速用コンテンツのデータをコンテンツデータベース45から読み出して、バイナリ解析を実行することによりコンテンツのフレームごとの通信帯域を算出する。
しきい値設定部46bは、バイナリ解析実行部46aにより算出された通信帯域を参照し、通信帯域の最大値を抽出して、抽出した最大値を当該高速用コンテンツのしきい値として設定する。そして、しきい値設定部46bは、高速用コンテンツのデータとしきい値とを対応付けてコンテンツデータベース45に記憶するとともに、それらをコンテンツ配信装置50に送信する。
図2は、通信帯域の最大値をしきい値として設定した場合の一例を示す図である。図2には、ある高速用コンテンツにおける時間的に変化する通信帯域が示されている。この通信帯域の情報は、バイナリ解析実行部46aが高速用コンテンツのバイナリ解析を実行することにより得られたものである。そして、しきい値設定部46bは、最大の通信帯域の値を当該高速用コンテンツのしきい値として設定する処理をおこなう。
図1の説明に戻ると、コンテンツ配信装置50は、クライアント101〜10n側の通信速度に応じたコンテンツを配信する装置である。なお、実際には、コンテンツ配信装置50は、Webサーバ、広告サーバ、ファイルサーバ等の複数のサーバから構成されている。このコンテンツ配信装置50は、入力部51、表示部52、記憶部53、通信部54、コンテンツデータベース55、および、制御部56を有する。
入力部51は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。表示部52は、LCDやCTR等の表示デバイスである。記憶部53は、制御部56などで用いられる各種情報を記憶するメモリなどの記憶デバイスである。通信部54は、ネットワーク30およびネットワーク60に接続されており、所定の通信プロトコルにしたがって通信を制御する。
コンテンツデータベース55は、ハードディスク装置などの記憶デバイスであり、コンテンツ入稿受付装置40から受信した、配信対象となる低速用コンテンツ55a、高速用コンテンツ55b、および、高速用コンテンツに対して設定されたしきい値の情報であるしきい値情報55cとを対応付けて記憶する。
制御部56は、コンテンツ配信装置50を全体制御する制御部であり、通信速度測定部56aおよび配信実行部56bを有する。
つぎに、本実施例1に係るしきい値設定処理の処理手順について説明する。図3は、本実施例1に係るしきい値設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
まず、図3に示したステップSA1では、コンテンツ入稿受付装置40の通信部44は、コンテンツ(低速用コンテンツおよび高速用コンテンツ)の入稿を受け付ける。そして、ステップSA2では、コンテンツデータベース45は、受け付けたコンテンツを記憶する。
その後、ステップSA3では、バイナリ解析実行部46aは、コンテンツデータベース45に記憶された高速用コンテンツを読み出して、高速用コンテンツのバイナリ解析をおこなう。
具体的には、バイナリ解析実行部46aは、コンテンツの種類(動画コンテンツか、フラッシュにより作成されたコンテンツかなど)、各フレームの容量(ビット数)、各フレームの再生速度、コンテンツの配信時間などを解析する。
そして、ステップSA4では、バイナリ解析実行部46aは、各フレームの容量と各フレームの再生速度とから、コンテンツのフレームごとの通信帯域を算出し、算出した通信帯域を記憶部43に記憶する。
続いて、ステップSA5では、しきい値設定部46bは、記憶部43に記憶されたフレームごとの通信帯域の情報を読み出して、最大帯域を検出する。そして、ステップSA6では、しきい値設定部46bは、検出した最大帯域をしきい値として設定する。
続いて、ステップSA7では、しきい値設定部46bは、高速用コンテンツを配信することが可能なユーザの割合を表示部43に表示する。具体的には、しきい値設定部46bは、多数のユーザの回線速度の集計結果を記憶したデータベース(図示略)を参照し、しきい値よりも回線速度が大きいユーザの割合を算出して表示する。
その後、ステップSA8では、しきい値設定部46bは、コンテンツ(低速用コンテンツおよび高速用コンテンツ)のデータとしきい値の情報とをコンテンツ配信装置50に送信し、コンテンツ配信装置50の通信部54は、ステップSA9において、コンテンツ入稿受付装置40から受信したコンテンツとしきい値の情報とをコンテンツデータベース55に記憶する。
つぎに、実施例1に係るコンテンツ配信処理の詳細な処理について、図4〜図6を参照しつつ説明する。図4は、実施例1に係るコンテンツ配信処理の処理手順を示すフローチャート(1)であり、図5は、図4に示したクライアント情報判定処理を説明するフローチャートであり、図6は、実施例1に係るコンテンツ配信処理の処理手順を示すフローチャート(2)である。以下では、コンテンツ配信装置50からクライアント101へコンテンツが配信される場合の動作について説明する。
まず、図4に示したステップSB1では、クライアント101は、コンテンツ配信装置50に対して、ネットワーク30を介して、コンテンツ配信に関するHTTPリクエストを送信する。ステップSB2では、コンテンツ配信装置50の通信速度測定部56aは、スクリプトをHTMLファイルに設定する。
このスクリプトは、クライアント101とコンテンツ配信装置50との間の通信経路Lにおける通信速度(帯域幅)を計測し、通信速度に応じて配信済みの低速用コンテンツ55aを表示またはコンテンツ配信装置50に対して高速用コンテンツ55bを要求するためのプログラムである。
ステップSB3では、通信速度測定部56aは、上述したスクリプトが設定されたHTMLファイルをクライアント101へ送信する。これにより、クライアント101は、HTMLファイルに設定されたスクリプトに基づいて、ステップSB4以降の処理と、ステップSB9のクライアント情報判定処理とを並列的に実行する。
ステップSB4では、クライアント101は、タイマ(図示略)から開始時刻の情報を取得する。開始時刻は、コンテンツ配信装置50から低速用コンテンツ55aの配信(ダウンロード)が開始される基準時刻とされる。
ステップSB5では、クライアント101は、コンテンツ配信装置50に対して、低速用コンテンツをリクエストする。
これにより、ステップSB6では、コンテンツ配信装置50の通信速度測定部56aは、コンテンツデータベース55から低速用コンテンツ55aを取得する。この低速用コンテンツ55aは、通信速度の計測に用いられる。
ステップSB7では、通信速度測定部56aは、通信経路Lを介して低速用コンテンツ55aをクライアント101へ配信する。これにより、低速用コンテンツ55aは、通信経路Lにおける通信速度に応じて徐々にクライアント101に受信される。
ステップSB8では、クライアント101は、低速用コンテンツ55aの配信が完了したか否かを判断し、この場合、判断結果を「No」として、同判断を繰り返す。
一方、ステップSB9では、クライアント101は、クライアント情報判定処理を実行する。具体的には、図5に示したステップSC1では、クライアント101は、自身のクライアント情報(OS、ブラウザ、マルチメディア再生ソフトウェアのバージョン、接続環境)を記憶部(図示略)から取得する。
ステップSC2では、クライアント101は、OSが所定のバージョン以上(高速対応)であるか否かを判断する。
当該OSが所定のバージョン未満(低速対応)である場合、クライアント101は、ステップSC2の判断結果を「No」とする。ステップSC5では、クライアント101は、低速用コンテンツ55aの配信が完了したか否かを判断する。
既に、低速用コンテンツ55aの配信が完了している場合、クライアント101は、ステップSC5の判断結果を「Yes」として、ステップSC6で、配信された低速用コンテンツ55a(例えば、小容量のインターネット広告)をディスプレイ(図示略)に表示させる。なお、ステップSC5の判断結果が「No」である場合、クライアント101は、同判断を繰り返す。
一方、ステップSC2の判断結果が「Yes」、すなわち、OSが所定のバージョン以上(高速対応)である場合、ステップSC3では、クライアント101は、ブラウザが所定のバージョン以上であるか否かを判断する。
当該ブラウザが所定のバージョン未満(低速対応)である場合、クライアント101は、ステップSC3の判断結果を「No」とする。ステップSC5では、クライアント101は、低速用コンテンツ55aの配信が完了したか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。ステップSC6では、クライアント101は、配信された低速用コンテンツ55aをディスプレイ(図示略)に表示させる。
一方、ステップSC3の判断結果が「Yes」、すなわち、ブラウザが所定のバージョン以上(高速対応)である場合、ステップSC4では、クライアント101は、マルチメディア再生ソフトウェアが所定のバージョン以上(高速対応)であるか否かを判断する。
当該マルチメディア再生ソフトウェアが所定のバージョン未満(低速対応)である場合、クライアント101は、ステップSC4の判断結果を「No」とする。ステップSC5では、クライアント101は、低速用コンテンツ55aの配信が完了したか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。ステップSC6では、クライアント101は、配信された低速用コンテンツ55aをディスプレイ(図示略)に表示させる。
一方、ステップSC4の判断結果が「Yes」である場合、クライアント101は、図4に示したステップSB8で低速用コンテンツ55aの配信が完了したか否かを判断する。
そして、低速用コンテンツ55aの配信が完了すると、クライアント101は、ステップSB8の判断結果を「Yes」とする。図6に示したステップSB10では、クライアント101は、タイマ(図示略)から完了時刻の情報を取得する。完了時刻は、コンテンツ配信装置50からの低速用コンテンツ55aの配信(ダウンロード)が完了した基準時刻とされる。
ステップSB11では、クライアント101は、通信経路L経由の低速用コンテンツ55aの配信について、通信経路Lにおける通信速度(実測値)をつぎの(1)式から計算する。
通信速度=(低速用コンテンツ55aの容量)/((完了時刻−開始時刻)−セットアップ時間)・・・・(1)
(1)式において、完了時刻は、ステップSB10で取得された完了時刻の情報に対応している。開始時刻は、ステップSB4で取得された開始時刻の情報に対応している。低速用コンテンツ55aの容量は、ステップSB7で配信された低速用コンテンツ55aの容量(Kバイト)である。
セットアップ時間は、低速用コンテンツ55aをリクエストしてから実際に配信が開始されるまでの時間であり、上述したスクリプトで定義されている。このセットアップ時間は、最も接続環境が良いクライアントでの実測値(例えば、0.09)であり、複数の実測値に基づく値である。
これは、低速用コンテンツ55aの容量が小さい場合にセットアップ時間が長いほど、通信速度に与える影響が大きくなるためである。そこで、ここでは、通信速度に与える影響を最小限にするために、セットアップ時間を最小の値としているのである。
ステップSB12では、クライアント101は、ステップSB11で計算された通信速度が、当該低速用コンテンツ55aに対応する高速用コンテンツ55bに対して設定されたしきい値以上であるか否かを判断する。このしきい値は、上述したスクリプトで定義されている。
ステップSB12の判断結果が「No」である場合、すなわち、通信速度が低速である場合、ステップSB13では、クライアント101は、ステップSB7で配信済みの低速用コンテンツ55aをディスプレイ(図示略)に表示させる。
一方、ステップSB12の判断結果が「Yes」である場合、すなわち、通信速度が高速である場合、ステップSB14では、クライアント101は、コンテンツ配信装置50に対して、高速用コンテンツをリクエストする。
これにより、ステップSB15では、コンテンツ配信装置50の配信実行部56bは、コンテンツデータベース55から高速用コンテンツ55bを取得する。
ステップSB16では、配信実行部56bは、通信経路Lを介して高速用コンテンツ55bをクライアント101へ配信する。ステップSB17では、クライアント101は、配信された高速用コンテンツ55bをディスプレイ(図示略)に表示させる。
上述してきたように、本実施例1では、コンテンツ入稿受付装置40の記憶部43が、入稿されたコンテンツの通信帯域に係る情報を記憶し、コンテンツを配信するか否かを通信経路の通信速度としきい値との間の大小関係に基づいて判定する場合に、しきい値設定部46bが、記憶部43に記憶された通信帯域に係る情報に基づいてしきい値を設定することとしたので、通信帯域の情報に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定することにより、コンテンツの通信帯域を用いてコンテンツを配信するか否かを動的に判定するというコンテンツホルダーの配信方針を満足することができるとともに、通信経路の通信速度が小さい場合でもコンテンツの配信が途切れることを抑制し、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができる。
また、本実施例1では、コンテンツ入稿受付装置40の記憶部43が、コンテンツの通信帯域の最大値に係る情報を記憶し、しきい値設定部46bが、記憶部43に記憶された最大値に係る情報に基づいてしきい値を設定することとしたので、通信帯域の最大値の情報に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定することにより、コンテンツの通信帯域が最大となる場合でも配信が途切れないコンテンツを選択できるようになるため、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができる。
なお、上記実施例1では、コンテンツの最大の通信帯域にしきい値を設定することとしたが、コンテンツの通信帯域の平均値を算出し、その値をしきい値に設定することにしてもよい。
この場合、図1に示したコンテンツ入稿受付装置40のしきい値設定部46bは、バイナリ解析部46aにより解析されたフレームごとの通信帯域の情報から通信帯域の平均値を算出し、算出した平均値をしきい値として設定する。
図7は、通信帯域の平均値をしきい値として設定した場合の一例を示す図である。図7に示すように、通信帯域の平均値をしきい値として設定する。この方法は、たとえ一時的に通信帯域が不足するとしても、平均的にみてクライアント101〜10n側の通信速度がコンテンツの帯域よりも大きければ情報量の多い高速用コンテンツをできるだけ送りたい場合に有効なものとなる。
すなわち、この変形例においては、コンテンツ入稿受付装置40の記憶部43が、コンテンツの通信帯域の平均値に係る情報を記憶し、しきい値設定部46bが、記憶部43に記憶された平均値に係る情報に基づいてしきい値を設定することとしたので、通信帯域の平均値の情報に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定することにより、通信経路の通信速度がコンテンツの通信帯域を平均的に上回る場合にコンテンツを送信することによりコンテンツを送信する基準を緩め、ユーザにできるだけ当該コンテンツを送信できるように調整することができる。
また、上記実施例1では、コンテンツの最大の通信帯域をしきい値に設定したが、クライアント101〜10n側の通信速度の測定誤差を考慮して、測定誤差分の幅を持たせてしきい値を設定することとしてもよい。具体的には、測定誤差の大きさをあらかじめ統計的に求めておき、通信帯域の最大値に測定誤差を加えるなどしてしきい値を設定する。
ところで、上記実施例1では、コンテンツの通信帯域に基づいてコンテンツの配信基準を設定することとしたが、コンテンツの配信時間(図2を参照)に基づいてコンテンツの配信基準を設定することとしてもよい。そこで、本実施例2では、コンテンツの配信時間に基づいてコンテンツの配信基準を設定する場合について説明する。
まず、本実施例2に係るコンテンツ配信システムの構成について説明する。図8は、本実施例2に係るコンテンツ配信システム60の構成を示す図である。図8に示すように、コンテンツ配信システム60は、クライアント101〜10nとネットワーク30を介して接続されている。
クライアント101〜10nは、図1で説明したクライアント101〜10nと同様の装置であり、同一の符号を付している。
コンテンツ配信システム60は、コンテンツの配信時間に基づいて、クライアント101〜10n側の接続環境(モデム、ISDN、ADSL、光ファイバ、無線LAN、携帯電話無線通信等)に適したコンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)を選択し、選択されたコンテンツの中からクライアント101〜10n側の通信速度に応じたコンテンツ(高速用コンテンツまたは低速用コンテンツ)を配信する。
たとえば、モデムや無線LAN、携帯電話無線通信などの接続環境においてコンテンツを配信する場合の配信時間は短い方が好ましい。一方、ISDN、ADSL、光ファイバなどの接続環境でコンテンツを配信する場合には配信時間は長くともかまわない。本実施例2では、このようにして、クライアント101〜10n側の接続環境に適したコンテンツを選択する。
さらに、選択されたコンテンツについて、実施例1で説明したような方法でクライアント101〜10n側の通信速度に応じたコンテンツ(高速用コンテンツまたは低速用コンテンツ)を配信するようにする。これにより、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができる。
このコンテンツ配信システム60では、コンテンツ入稿受付装置70とコンテンツ配信装置80とが、ネットワーク90を介して接続されている。また、コンテンツ入稿受付装置70およびコンテンツ配信装置80は、ネットワーク30を介して、クライアント101〜10nや、コンテンツの製作者などにより入稿されたコンテンツのデータをコンテンツ入稿受付装置70に送信するコンテンツ入稿装置(図示略)などと接続される。
コンテンツ入稿受付装置70は、コンテンツ入稿装置(図示略)からコンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)の入稿を受け付ける装置である。このコンテンツ入稿受付装置70は、単にコンテンツの入稿を受け付けるだけでなく、入稿を受け付けた高速用コンテンツの配信時間を検出し、コンテンツ配信装置80に配信時間の情報をコンテンツのデータとともに送信する。
コンテンツ入稿受付装置70は、入力部71、表示部72、記憶部73、通信部74、コンテンツデータベース75、および、制御部76を有する。入力部71、表示部72、記憶部73、通信部74は、図1で説明したコンテンツ入稿受付装置40の入力部41、表示部42、記憶部43、通信部44と同様の機能を有する機能部である。
コンテンツデータベース75は、ハードディスク装置などの記憶デバイスであり、入稿されたコンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)のデータと、高速用コンテンツに対応する配信時間の情報とを対応付けて記憶する。
ここで、低速用コンテンツは、クライアント101〜10n側の環境が低速用または計測された通信速度が低速(しきい値未満)である場合に当該クライアント101〜10nに対して表示される小容量のコンテンツであり、例えば、小容量のインターネット広告である。
一方、高速用コンテンツは、クライアント101〜10n側の環境が高速用または計測された通信速度が高速(しきい値以上)である場合に当該クライアント101〜10nへ配信される大容量のコンテンツであり、例えば、大容量のインターネット広告である。
制御部76は、コンテンツ入稿受付装置70を全体制御する制御部であり、バイナリ解析実行部76aと配信時間出力部76bとを有する。バイナリ解析実行部76aは、入稿されたコンテンツをコンテンツデータベース75から読み出して、バイナリ解析を実行し、コンテンツの配信時間などの情報をコンテンツデータベース75に記憶する。
配信時間出力部76bは、コンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)のデータとバイナリ解析の結果得られた高速用コンテンツの配信時間の情報とをコンテンツ配信装置80に送信する。
コンテンツ配信装置80は、クライアント101〜10n側の接続環境(モデム、ISDN、ADSL、光ファイバ、無線LAN、携帯電話無線通信等)および通信速度に応じたコンテンツを配信する装置である。なお、実際には、コンテンツ配信装置80は、Webサーバ、広告サーバ、ファイルサーバ等の複数のサーバから構成されている。
このコンテンツ配信装置80は、入力部81、表示部82、記憶部83、通信部84、コンテンツデータベース85、および、制御部86を有する。入力部81、表示部82、記憶部83、通信部84は、図1で説明したコンテンツ配信装置50の入力部51、表示部52、記憶部53、通信部54と同様の機能を有する機能部である。
コンテンツデータベース85は、ハードディスク装置などの記憶デバイスであり、コンテンツ入稿受付装置70から受信した、配信対象となる低速用コンテンツ85a、高速用コンテンツ85b、コンテンツに対して設定されたしきい値の情報であるしきい値情報85c、および、コンテンツの配信時間の情報である配信時間情報85dとをコンテンツごとに対応付けて記憶する。
制御部85は、コンテンツ配信装置80を全体制御する制御部であり、接続環境検出部85a、通信速度測定部85bおよび配信実行部85cを有する。
接続環境検出部85aは、クライアント101〜10nからHTTPリクエストを受信した場合に、クライアント101〜10nから送信された情報に基づいて、クライアント101〜10n側の接続環境(モデム、ISDN、ADSL、光ファイバ、無線LAN、携帯電話無線通信等)を検出する。
通信速度測定部85bは、クライアント101〜10nのうち、コンテンツの配信に関するリクエストを出したクライアント101〜10nとコンテンツ配信装置80との間の通信経路における通信速度を検出する。
配信実行部86cは、クライアント101〜10nからHTTPリクエストを受信した場合に、クライアント101〜10n側の接続環境に応じて配信するコンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)を選択する。
たとえば、配信実行部86cは、接続環境が無線LANである場合には、配信時間が3分以内の高速用コンテンツおよびその高速用コンテンツに対応する低速用コンテンツを配信用のコンテンツとして選択する。
また、配信実行部86cは、接続環境がモデムである場合には、配信時間が1分以内の高速用コンテンツおよびその高速用コンテンツに対応する低速用コンテンツを配信用のコンテンツとして選択する。
さらに、配信実行部86cは、実施例1で説明したような方法に基づいて、低速用コンテンツを用いて測定されたクライアント101〜10n側の通信速度としきい値とを比較することによりコンテンツの配信制御をおこなう。
つぎに、本実施例2に係るコンテンツ選択処理の処理手順について説明する。図9は、本実施例2に係るコンテンツ選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
まず、図9に示したステップSD1では、コンテンツ入稿受付装置70の通信部74は、コンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)の入稿を受け付ける。そして、ステップSD2では、コンテンツデータベース75は、受け付けたコンテンツのデータを記憶する。
その後、ステップSD3では、バイナリ解析実行部76aは、コンテンツデータベース75に記憶されたコンテンツのデータを読み出して、コンテンツのバイナリ解析をおこなう。
具体的には、バイナリ解析実行部76aは、コンテンツの種類(動画コンテンツか、フラッシュにより作成されたコンテンツかなど)、各フレームの容量(ビット数)、各フレームの再生速度、高速用コンテンツの配信時間などを解析する。
そして、ステップSD4では、バイナリ解析実行部76aは、バイナリ解析の結果(高速用コンテンツの配信時間の情報等)をコンテンツのデータに対応付けてコンテンツデータベース75に記憶し、ステップSD5では、バイナリ解析実行部76aは、コンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)のデータと高速用コンテンツの配信時間の情報とをコンテンツ配信装置に送信する。
ステップSD6では、コンテンツ配信装置80のコンテンツデータベース85は、コンテンツ入稿受付装置70から受信したコンテンツのデータと、配信時間の情報とを記憶する。
そして、ステップSD7では、クライアント101〜10nは、コンテンツ配信装置80にコンテンツ配信に関するHTTPリクエストを送信する。このHTTPリクエストは、実施例1で説明したHTTPリクエストと同様のものである。
続いて、ステップSD8では、コンテンツ配信装置80の接続環境検出部86aは、クライアント101〜10nからHTTPリクエストを受信した場合に、クライアント101〜10nから送信された情報から、クライアント101〜10n側の接続環境(モデム、ISDN、ADSL、光ファイバ、無線LAN、携帯電話無線通信等)の情報を取得する。
ステップSD9では、配信実行部86cは、クライアント101〜10n側の接続環境に適した配信用の高速用コンテンツ、および、当該高速用コンテンツに対応する低速用コンテンツを選択する。
その後、配信実行部86cは、図4〜図6のステップSB以降で説明したような方法に基づいて、クライアント101〜10n側の通信速度としきい値とを比較することによりコンテンツの配信制御をおこなう。
上述してきたように、本実施例2では、コンテンツ配信装置80のコンテンツデータベース85が、入稿されたコンテンツの配信時間に係る情報を記憶し、ユーザのネットワーク30に対する接続環境(モデム、ISDN、ADSL、光ファイバ、無線LAN、携帯電話無線通信等)に係る情報が取得され、当該接続環境に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定する場合に、配信実行部86cが、コンテンツデータベース85に記憶された配信時間に係る情報に基づいてユーザの接続環境に対応する配信用のコンテンツを選択することとしたので、コンテンツの配信時間を用いてコンテンツを配信するか否かを動的に判定するというコンテンツホルダーの配信方針を満足することができるとともに、ユーザの接続環境に適したコンテンツを配信時間の長短に応じて選択することができ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができる。
また、本実施例2では、低速用コンテンツと低速用コンテンツよりも大容量の高速用コンテンツとが選択された場合に、コンテンツ配信装置80の通信速度測定部86bが、コンテンツを配信するための通信経路の通信速度を、低速用コンテンツを送信することにより計測し、配信実行部86cが、通信速度が所定のしきい値以上である場合に低速用コンテンツよりも大容量の高速用コンテンツを送信することとしたので、通信速度がしきい値未満である場合には、低速用コンテンツをそのまま出力させることができ、無用なトラヒック量の増加を伴うことなく、通信速度に応じた最適なコンテンツを配信することができる。
なお、上記実施例2では、コンテンツの配信時間に基づいてクライアント101〜10n側の接続環境に適した配信用のコンテンツを選択することとしたが、コンテンツの容量に基づいてクライアント101〜10n側の接続環境に適した配信用のコンテンツを選択することとしてもよい。
この場合、図8に示したコンテンツ入稿受付装置70の制御部76には、コンテンツ(高速用コンテンツおよび低速用コンテンツ)のデータと高速用コンテンツの容量の情報とをコンテンツ配信装置80に出力する機能部が備えられる。
そして、コンテンツ配信装置80のコンテンツデータベース85は、コンテンツ入稿受付装置70から受信したコンテンツのデータと高速用コンテンツの容量の情報とを記憶する。
また、配信実行部86cは、クライアント101〜10nからHTTPリクエストを受信した場合に、コンテンツの容量の情報に基づいて、クライアント101〜10n側の接続環境に応じて配信するコンテンツを選択する。
たとえば、配信実行部86cは、接続環境が無線LANである場合には、コンテンツの容量が100KB以下の高速用コンテンツ、および、当該高速用コンテンツに対応する低速用コンテンツを配信用のコンテンツとして選択する。
また、配信実行部86cは、接続環境がモデムである場合には、コンテンツの容量が30KB以下の高速用コンテンツ、および、当該高速用コンテンツに対応する低速用コンテンツを配信用のコンテンツとして選択する。
その後、配信実行部86cは、実施例1で説明したような方法に基づいて、低速用コンテンツを用いて測定されたクライアント101〜10n側の通信速度としきい値とを比較することによりコンテンツの配信制御をおこなう。
このように、この変形例によれば、コンテンツ配信装置80のコンテンツデータベース85が、入稿されたコンテンツの容量に係る情報を記憶し、ユーザのネットワーク30に対する接続環境に係る情報が取得され、当該接続環境に基づいてコンテンツを配信するか否かを判定する場合に、配信実行部86cが、コンテンツデータベース85に記憶されたコンテンツの容量に係る情報に基づいてユーザの接続環境に対応する配信用のコンテンツを選択することとしたので、コンテンツの容量を用いてコンテンツを配信するか否かを動的に判定するというコンテンツホルダーの配信方針を満足することができるとともに、ユーザの接続環境に適したコンテンツをコンテンツの容量の大小に応じて選択することができ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることができる。
以上、上記実施例において、コンテンツ配信判定処理をコンピュータ上で実現する場合について説明してきたが、本処理を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行することにより本処理を実現してもよい。
図10は、コンテンツ配信判定処理を実現するコンピュータ100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10に示すように、このコンピュータ100は、上記プログラムを実行するCPU110と、データを入力する入力装置120と、各種データを記憶するROM130と、演算パラメータ等を記憶するRAM140と、本処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体200からプログラムを読み取る読取装置150と、ディスプレイ等の出力装置160と、ネットワーク300を介して他のコンピュータとの間でデータの授受をおこなうネットワークインターフェース170とが、バス180で接続された構成となっている。
CPU110は、読取装置150を経由して記録媒体200に記録されているプログラムを読み込んだ後、プログラムを実行することにより、本処理を実現する。なお、記録媒体200としては、光ディスク、光磁気ディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、ハードディスク等が挙げられる。また、このプログラムは、ネットワーク300を介してコンピュータ100に導入することとしてもよい。
また、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
たとえば、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
さらに、各装置にて行なわれる処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
以上のように、本発明に係るコンテンツ配信装置、コンテンツ配信プログラムおよびコンテンツ配信方法は、さまざまなコンテンツの配信基準を用いてコンテンツホルダーのコンテンツの配信方針を満足させ、かつ、ユーザが快適にコンテンツを受信できるようにすることが必要とされるコンテンツ配信システムに有用である。
本実施例1に係るコンテンツ配信システム20の構成を示す図である。
通信帯域の最大値をしきい値として設定した場合の一例を示す図である。
本実施例1に係るしきい値設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
実施例1に係るコンテンツ配信処理の処理手順を示すフローチャート(1)である。
図4に示したクライアント情報判定処理を説明するフローチャートである。
実施例1に係るコンテンツ配信処理の処理手順を示すフローチャート(2)である。
通信帯域の平均値をしきい値として設定した場合の一例を示す図である。
本実施例2に係るコンテンツ配信システム60の構成を示す図である。
本実施例2に係るコンテンツ選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
コンテンツの配信基準を設定する処理を実現するコンピュータ100のハードウェア構成を示すブロック図である。
従来における通信速度の分布を示す図である。
符号の説明
101〜10n クライアント
20 コンテンツ配信システム
30,60,90 ネットワーク
40,70 コンテンツ入稿受付装置
41,71 入力部
42,72 表示部
43,73 記憶部
44,74 通信部
45,75 コンテンツデータベース
46,76 制御部
46a,76a バイナリ解析実行部
46b しきい値設定部
50,80 コンテンツ配信装置
51,81 入力部
52,82 表示部
53,83 記憶部
54,84 通信部
55,85 コンテンツデータベース
55a,85a 低速用コンテンツ
55b,85b 高速用コンテンツ
55c,85c しきい値情報
56,86 制御部
56a,86b 通信速度測定部
56b,86c 配信実行部
76b 配信時間出力部
85d 配信時間情報
86a 接続環境検出部