JP4452095B2 - 軟x線式イオナイザ - Google Patents
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この問題を解決する一案として、軟X線照射領域に電圧を印加したコントロールグリッドを設置し、このコントロールグリッドへ除電に不要な荷電粒子を吸収させることで再結合の発生を抑えることが考えられる。本発明者等は、このような再結合を低減するような軟X線式イオナイザの原理を非特許文献1に開示している。
また、流路シールド部を大きいものとしたため、イオン化してから照射口に到達するまでの距離が長く、照射口に到達するまでにイオンが再結合しやすく、イオナイザとしての機能向上が図りにくいという問題もあった。
軟X線を用いてイオンを生成する軟X線式イオナイザにおいて、
一方に流入口が、また、他方に照射口が形成される筒体の流路シールド部と、
略円錐状の領域範囲の軟X線を照射する軟X線照射装置と、
流路シールド部の側面に設けられて筒体内と内部空間が連通し、その内部空間内において、略円錐状の領域範囲の軟X線の照射口側の照射領域限界線が流路シールド部の照射口面と略平行となるように軟X線照射装置が配置され、かつ、略円錐状の領域範囲の軟X線の流入口側の照射領域を流路シールド部内の照射となるように補正する軟X線反射補正部と、
流路シールド部の流入口側に配置され、流路シールド部内へ送風する送風部と、
を備え、
流路シールド部内に形成される軟X線照射領域へ送風部が空気または非反応性ガスを送風し、この軟X線照射領域内で生成したイオンを照射口から外部へ照射することを特徴とする。
軟X線を用いてイオンを生成する軟X線式イオナイザにおいて、
一方に流入口が、また、他方に照射口が形成される筒体の流路シールド部と、
略円錐状の領域範囲の軟X線を照射する軟X線照射装置と、
流路シールド部の側面に設けられて筒体内と内部空間が連通し、その内部空間内において、略円錐状の領域範囲の軟X線の全ての照射領域限界線が流路シールド部の流入口側へ傾くとともに照射口側の照射領域限界線が流路シールド部の照射口面に対して僅かに傾斜するように軟X線照射装置が配置され、かつ、略円錐状の領域範囲の軟X線の流入口側の照射領域を流路シールド部内の照射となるように補正する軟X線反射補正部と、
流路シールド部の流入口側に配置され、流路シールド部内へ送風する送風部と、
を備え、
流路シールド部内に形成される軟X線照射領域へ送風部が空気または非反応性ガスを送風し、この軟X線照射領域内で生成したイオンを照射口から外部へ照射することを特徴とする。
請求項1または請求項2に記載の軟X線式イオナイザにおいて、
流入口から照射口までの間に配置され、バイアス電圧を印加するコントロールグリッドを、
備えることを特徴とする。
軟X線式イオナイザ10は、図1で示すように、流路シールド部1、送風部2、軟X線照射装置3、軟X線反射補正部4、コントロールグリッド5、高電圧電源6、リング状対向電極7を備え、被除電物20を除電する装置である。
軟X線照射装置3は、軟X線を照射する機能を有している。軟X線照射装置3による軟X線照射領域3aは、遮蔽物がない場合は、図2で示すような略円錐状の領域範囲となる。この軟X線照射領域3aは照射領域限界線3bが軟X線照射領域の最大限度となる。ちなみに照射領域限界線3bは軟X線照射装置3の出力窓の鉛直線から最大角度θを形成するような線である。
リング状対向電極7は、接地によりグランド電位としている。リング状対向電極7とコントロールグリッド5との間に、図1中の矢印B方向(上下方向)に向かう電界を発生させている。なお、リング状対向電極7は、流路シールド部1と一体にして共通の構造としても良い。
このイオンバランス制御機能付の軟X線式イオナイザ10は、図4で示すように、流路シールド部1、送風部2、軟X線照射装置3、軟X線反射補正部4、コントロールグリッド5、高電圧電源6、リング状対向電極7を備える。
さらに、制御回路8、CPM(帯電プレートモニター)9、プローブ(被除電物20に相当)20’を備える。制御回路8では電圧の調整を行う。CPM9では、このイオンバランス制御機能付の軟X線式イオナイザ10における除電時間を測定する。
軟X線照射領域3cの有効領域の略中心線からコントロールグリッド5までの距離を50mmとした。このコントロールグリッド5に印加する電圧VGは、+2000V(+2kV)から−2000V(−2kV)の間の任意の値を設定できるようになされている。また、軟X線式イオナイザ10の送風部2による送風はその送風速度vFが0.5m/sまたは1.0m/sの何れかが選択できるようにした。またプローブ20’の静電容量CPを100pFとした。このような動作条件下で、軟X線式イオナイザ10の除電時間を測定する。ここに−1100Vが印加されてプローブ20’に帯電した負電荷と空中のプラスイオンとが結合して0Vになるまでの時間を正の除電時間te+ とし、また、+1100Vが印加されてプローブ20’に帯電した正電荷と空中のマイナスイオンとが結合して0Vになるまでの時間を負の除電時間te− とした。
図4の軟X線式イオナイザ10で距離d=200mm,風速vF =1.0m/sで除電を行い、時間が経過するにつれ、+1100Vが印加されたプローブ20’のプローブ電位VPがどのように変化するかを計測し、さらにコントロールグリッド5に印加する電圧VGをパラメータとしてどのような傾向が現れるかを探るものである。
例えば、図6で示すようにプローブ電位VP が500[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約60[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、除電時間te−を短縮できる。
また、図7で示すようにプローブ電位VP が100[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約45[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te−を短縮できる。
また、図8で示すようにプローブ電位VP が0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約30[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te−を短縮できる。
このように、プローブ電位VP がほぼ0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、除電時間te−を短くできる。
図4の軟X線式イオナイザ10で距離d=200mm,風速vF =1.0m/sで除電を行い、時間が経過するにつれ、−1100Vが印加されたプローブ20’のプローブ電位VPがどのように変化するかを計測し、さらにコントロールグリッド5に印加する電圧VGをパラメータとしてどのような傾向が現れるかを探るものである。
例えば、図10で示すようにプローブ電位VP が−500[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約70[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、除電時間te+を短縮できる。
また、図11で示すようにプローブ電位VP が−100[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約60[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te+を短縮できる。
また、図12で示すようにプローブ電位VP が0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約30[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te+を短縮できる。
このように、プローブ電位VP がほぼ0[V]のときに電圧VG=0[kV]に切り換えれば、除電時間を短くできる。
まず、負の除電時間の測定について説明する。図13〜図16は距離d=200mm,風速vF=0.5m/sとし、正電荷を蓄電したプローブを除電するときのプローブ電位VP と時間tとの関係を示す特性図である。
図4の軟X線式イオナイザ10で距離d=200mm,風速vF =0.5m/sで除電を行い、時間が経過するにつれ、+1100Vが印加されたプローブ20’のプローブ電位VPがどのように変化するかを計測し、さらにコントロールグリッド5に印加する電圧VGをパラメータとしてどのような傾向が現れるかを探るものである。
例えば、図14で示すようにプローブ電位VP が500[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約90[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、除電時間te−を短縮できる。
また、図15で示すようにプローブ電位VP が100[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約80[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te−を短縮できる。
また、図16で示すようにプローブ電位VP が0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約60[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te−を短縮できる。
この場合も、プローブ電位VP がほぼ0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、除電時間を短くできる。
図4の軟X線式イオナイザ10で距離d=200mm,風速vF =0.5m/sで除電を行い、時間が経過するにつれ、−1100Vが印加されたプローブ20’のプローブ電位VPがどのように変化するかを計測し、さらにコントロールグリッド5に印加する電圧VGをパラメータとしてどのような傾向が現れるかを探るものである。
例えば、図18で示すようにプローブ電位VP が−500[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約100[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、除電時間te+を短縮できる。
また、図19で示すようにプローブ電位VP が−100[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約80[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te+を短縮できる。
また、図20で示すようにプローブ電位VP が0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、約50[s]でプローブ電位VP が0[V]に到達し、さらに除電時間te+を短縮できる。
このように、プローブ電位VP がほぼ0[V]のときに電圧VG=0[kV]とすれば、除電時間を短くできる。
また、送風部2の風速やコントロールグリッド5に印加する電圧VG を適宜調節して最適な除電時間を得ることも可能である。
これにより、小型構造であるにも拘らず軟X線を外界に漏洩させることなくプラスイオンとマイナスイオンを高効率で取り出すことができる軟X線式イオナイザ10を提供することが可能となる。
1a:流入口
1b:照射口
2:送風部
3:軟X線照射装置
3a:軟X線照射領域
3b:照射領域限界線
3c:軟X線照射領域
4:軟X線反射補正部
5:コントロールグリッド
6:高電圧電源
7:リング状対向電極
8:制御回路
9:CPM(帯電プレートモニター)
20:被除電物
20’:プローブ
Claims (3)
- 軟X線を用いてイオンを生成する軟X線式イオナイザにおいて、
一方に流入口が、また、他方に照射口が形成される筒体の流路シールド部と、
略円錐状の領域範囲の軟X線を照射する軟X線照射装置と、
流路シールド部の側面に設けられて筒体内と内部空間が連通し、その内部空間内において、略円錐状の領域範囲の軟X線の照射口側の照射領域限界線が流路シールド部の照射口面と略平行となるように軟X線照射装置が配置され、かつ、略円錐状の領域範囲の軟X線の流入口側の照射領域を流路シールド部内の照射となるように補正する軟X線反射補正部と、
流路シールド部の流入口側に配置され、流路シールド部内へ送風する送風部と、
を備え、
流路シールド部内に形成される軟X線照射領域へ送風部が空気または非反応性ガスを送風し、この軟X線照射領域内で生成したイオンを照射口から外部へ照射することを特徴とする軟X線式イオナイザ。 - 軟X線を用いてイオンを生成する軟X線式イオナイザにおいて、
一方に流入口が、また、他方に照射口が形成される筒体の流路シールド部と、
略円錐状の領域範囲の軟X線を照射する軟X線照射装置と、
流路シールド部の側面に設けられて筒体内と内部空間が連通し、その内部空間内において、略円錐状の領域範囲の軟X線の全ての照射領域限界線が流路シールド部の流入口側へ傾くとともに照射口側の照射領域限界線が流路シールド部の照射口面に対して僅かに傾斜するように軟X線照射装置が配置され、かつ、略円錐状の領域範囲の軟X線の流入口側の照射領域を流路シールド部内の照射となるように補正する軟X線反射補正部と、
流路シールド部の流入口側に配置され、流路シールド部内へ送風する送風部と、
を備え、
流路シールド部内に形成される軟X線照射領域へ送風部が空気または非反応性ガスを送風し、この軟X線照射領域内で生成したイオンを照射口から外部へ照射することを特徴とする軟X線式イオナイザ。 - 請求項1または請求項2に記載の軟X線式イオナイザにおいて、
流入口から照射口までの間に配置され、バイアス電圧を印加するコントロールグリッドを、
備えることを特徴とする軟X線式イオナイザ。
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