JP4451399B2 - 電子デバイスの冷却制御のためのプログラムを格納した記録媒体、電子デバイス冷却装置および電子デバイス冷却方法 - Google Patents

電子デバイスの冷却制御のためのプログラムを格納した記録媒体、電子デバイス冷却装置および電子デバイス冷却方法 Download PDF

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Description

本発明は電子デバイスを冷却するための技術、特に、電子デバイスの表面を噴流熱伝達の原理を応用して冷却するための技術、に関する。
電子機器を制御するCPU(Central Processiong Unit)やDSP(Digital Signal Processer)を始めとする各種の電子デバイスは、トランジスタなどの能動素子やコンデンサなどの受動素子を含めたさまざまな電子部品によって構成される。これらの電子部品を駆動する電気エネルギーの一部は熱エネルギーに変換されて放熱される。電子部品の性能は、通常、温度依存性を有するため、この放散された熱は、電子部品、ひいては電子デバイスの性能に影響を及ぼす。したがって、電子デバイスを冷却するための技術は、電子デバイスを正常に制御する上で極めて重要な技術である。
冷却技術の一例として、電動ファンによる空冷方法がある。この方法においては、電子デバイスの表面に対向して電動ファンを配設する。空気取り入れ口から吸入した冷たい空気を、電動ファンにより電子デバイス表面に吹き付ける。電子デバイス表面からの発生した熱を吸収して温められた空気は、空気排出口から排出される。このように、電子デバイス表面から発生する熱を電動ファンによって排除することにより、電子デバイスを冷却する。
別の例として、冷却水による電子デバイスの冷却方法がある。電子デバイスの表面を防水ケースで覆い、冷却水を電子デバイス表面に導く。電子デバイス表面からの発生した熱を吸収して温められた冷却水は、冷却水排出口から排出される。電子デバイス表面から発生する熱を冷却水に吸熱させることにより、電子デバイスを冷却する。
特開2002−026555号公報 特開2001−221529号公報
近年の電子デバイスは、高速、高機能、高集積化し、電子デバイスから発生する熱はますます増加する傾向にある。従来の空冷や液冷による冷却方法では、電子デバイスの充分な冷却は困難になりつつある。
上記に示した従来の冷却方法は、マクロの視点からみて、電子デバイスの表面から発生した熱をいかに排除するかを主眼としている。しかし、ミクロの視点からみれば、電子デバイスの熱はその表面から一様に発生しているのではない。電子デバイスを構成する電子部品は、通常、機能ごとにモジュール化されている。したがって、電子デバイスが実行する処理によっては、表面から発生する熱の分布が変化する。処理によって、電子デバイスが発揮すべき機能が異なるからである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子デバイスを効果的に冷却するための技術、を提供することにある。
本発明のある態様は、電子デバイス冷却装置である。この装置は、電子デバイスの表面に対向するよう近接配置された複数の冷却ノズルを有するノズルユニットと、そのノズルユニットに導入された冷媒に作用し、当該冷媒を冷却ノズルから噴射せしめる駆動ユニットと、駆動ユニットによる噴射駆動能力を制御する噴射駆動制御部を備える。
「冷媒」とは、空気などの気体や水などの液体であって、電子デバイスの表面から発生する熱を吸排熱するための媒体をいう。本態様においては、ノズルユニットに導入された冷媒を、冷却ノズルから電子デバイスの表面に噴射することにより、電子デバイス表面から発生した熱を排除する。後に詳述するように、冷媒を電子デバイス表面に噴流として吹き付けることにより、局所的な熱伝達率を大きく取ることができる。電子デバイス表面に直接冷媒を吹き付けて冷却してもよいし、電子デバイス表面を皮膜するケースに吹き付けることにより間接的に冷却してもよい。以下、冷媒を電子デバイスなどの発熱体に噴射することにより発熱体を冷却する方法を「噴流冷却」とよぶ。また、電子デバイス表面において冷却ノズルの噴射軸と交わる点のことを「噴射軸点」とよぶ。
冷却ノズルによる噴流冷却によれば、特に噴射軸点近傍に発生した熱を効果的に排除できる。冷却ノズルを多く配置するほど、また、冷却ノズルの冷媒噴射能力が高いほど、冷却効果も高くなる。電子デバイス中で、特に発熱量が大きい箇所をあらかじめ想定できる場合には、その箇所の近傍に冷却ノズルを集中的に配置してもよい。このような箇所の近傍を噴射軸点とする冷却ノズルは、より強力に噴射するように設計してもよい。たとえば、冷却ノズルの冷媒噴出口面積や、噴流の速度が大きくなるように設定してもよい。電子デバイス冷却装置は、電子デバイスと一体化して形成してもよいし、単体のモジュールとして提供されてもよい。
この装置のノズルユニットは、主ノズル群と副ノズル群を備え、主ノズル群と前記副ノズル群はともに、密に配置された複数の冷却ノズルを有し、電子デバイスの表面に水平な方向においては、それぞれのノズル群をずらして配置してもよい。主ノズル群と副ノズル群は電子デバイスの表面に垂直な方向においては段違いに置かれてもよい。
ノズルユニットが、多くの冷却ノズルを有するほど電子デバイスの噴射軸点が多くなり、電子デバイス全体としての冷却に効果がある。本態様においては、ノズルユニットを主ノズル群と副ノズル群にわける。主ノズル群の冷却ノズルの隙間に副ノズル群の冷却ノズルの冷媒噴出口がくるように配置する。これによって、冷却ノズルをより密に設置できる。また、主ノズル群と副ノズル群は電子デバイス表面の対向方向においては、段違いに配置されてもよい。
この装置は、電子デバイスの表面における熱分布状態を検知する熱分布検出センサを更に備え、噴射駆動制御部は、その検知した熱分布状態に応じて、駆動ユニットを制御してもよい。
「熱分布状態」とは、電子デバイスの表面の温度分布のように発生している熱の分布であってもよいし、発熱量の変化率の分布であってもよい。「熱分布検出センサ」とは、たとえば、電子デバイスの内部に埋設される温度センサであってもよい。あるいは、電子デバイス表面から放射される赤外線を外部から検出する赤外線センサであってもよい。電子デバイス表面の熱分布状態に応じて、冷却ノズルを駆動することにより、電子デバイスを効果的に冷却できる。たとえば、発熱量が大きい箇所の近傍を噴射軸点とする冷却ノズルを選択して、冷媒を噴射するように駆動すれば、他の冷却ノズルを一斉に駆動するよりも更に効果的に冷却できる場合もある。また、冷却ノズルを選択的に駆動することにより、使用する冷媒や、駆動ユニットを駆動するための消費電力を抑制する効果もある。
この装置の噴射駆動制御部は、更に、その検知した熱分布状態に応じて、駆動ユニットが冷却ノズルに冷媒を噴射せしめる冷媒噴射時間を制御してもよい。
たとえば、発熱量が大きい箇所の近傍を噴射軸点とする冷却ノズルについては、冷媒を噴射する時間が長くなるように制御すれば、更に電子デバイスを効果的に冷却できる。
この装置の噴射駆動制御部は、最も冷却したい位置に対応する冷却ノズルから周囲に向けて順に冷却ノズルを噴射せしめるよう駆動ユニットを制御することにより、所期の方向に冷媒の脈流を形成してもよい。
ある冷却ノズルを駆動して、電子デバイス表面に冷媒を噴射した場合、その噴射軸点の近傍に発生していた熱は冷媒に吸収されて周辺に放散される。この放散された熱は、噴射軸点のまわりに滞留しつづける可能性もある。このような場合、ある冷却ノズルを駆動したあと、その冷却ノズルの周囲に位置する冷却ノズルを順次駆動する。これにより、噴射軸点の近傍に発生していた熱は、電子デバイスの外に脈流として放散される。したがって、放散された熱が効果的に電子デバイスの表面上から排出される。この制御により、更に電子デバイス表面に発生する熱を効果的に排除できる。
この装置の噴射駆動制御部は、その形成した冷媒の脈流を、排熱孔に向かうよう、駆動ユニットを制御してもよい。
電子デバイス表面から発生する熱を回収するための排熱孔が形成されている場合には、吸熱した冷媒が排熱孔に誘導されるように冷却ノズルを駆動すれば、更に、電子デバイスの表面から発生する熱を効果的に排出できる。
この装置は、電子デバイスの表面における熱分布状態を予測する熱分布予測部を更に備え、噴射駆動制御部は、その予測した熱分布状態に応じて、駆動ユニットを制御してもよい。
たとえば、電子デバイス表面の熱分布状態を熱検知センサにより適宜検出し、その取得した熱分布状態に関する情報を記録媒体に履歴として記録してもよい(以下、この記録された熱分布状態の履歴情報を「熱分布履歴情報」とよぶ)。この熱分布履歴情報をもとに、将来の熱分布状態を予測し、発熱量が多くなると予測される箇所の近傍を噴射軸点とする冷却ノズルを選択して、冷媒を噴射せしめてもよい。本態様によれば、実際に電子デバイスの所定の箇所が高温になる前に先回りして冷却できる。
この装置の熱分布予測部は、電子デバイスが実行すべき内容に応じて、熱分布状態を予測してもよい。
電子デバイス表面の熱分布は、電子デバイスが実行する処理によって変化する。たとえば、CPUの特定のモジュールは、CPUが実行する命令の内容によって、頻繁に駆動される場合もあれば、ほとんど駆動されない場合もある。そのため、電子デバイスが実行する処理により、熱分布を予測できる場合もある。その予測は、実行されるソフトウェアの種類や、ソフトウェアのうち発揮されている機能に基づいて行ってもよい。たとえば、あるソフトウェア内の通信モジュールと3次元レンダリングモジュールでは、それぞれの実行時に主として駆動される電子デバイス内のモジュールは異なると考えられる。
熱分布予測部は、電子デバイスが実行する処理の内容に対応して、電子デバイスの予測される熱分布状態を定義したデータ(以下、「熱分布相関データ」と呼ぶ)に基づいて熱分布を予測してもよい。すなわち、電子デバイスが実行すべき処理の内容に応じて、この熱分布相関データから該当する予測情報を読み出すことにより、熱分布を予測してもよい。
本発明の別の態様も電子デバイス冷却装置である。この装置は、電子デバイスの表面に対向するよう近接配置された複数の冷却ノズルを有するノズルユニットと、ノズルユニットに導入された冷媒に作用し、その冷却ノズルごとに当該冷媒を噴射せしめる駆動ユニットと、電子デバイスの表面における熱分布状態を検知する熱分布検出センサと、検知した熱分布状態に応じて、冷却すべき位置を特定し、特定した位置に対応した冷却ノズルを選択するノズル選択部と、選択した冷却ノズルについて、駆動ユニットにより冷媒を噴射せしめる噴射駆動制御部を備える。
電子デバイスの表面の熱分布状態に応じて、駆動すべき冷却ノズルを選択する。たとえば、発熱量が最も大きい箇所の近傍を噴射軸点とする冷却ノズルにより冷媒を噴射せしめれば、他の冷却ノズルに比べて吸熱効果が高いと考えられる。これにより、冷却ノズルの最適制御が実現される。
この装置は、検知した熱分布状態に応じて、選択した冷却ノズルの冷媒噴射時間を計算する噴射時間計算部を更に備え、噴射駆動制御部は、選択した冷却ノズルについて、計算した冷媒噴射時間、駆動ユニットにより冷媒を噴射せしめてもよい。また、この装置は、検知した熱分布状態に応じて、選択した冷却ノズルの冷媒噴射タイミングを計算する噴射タイミング計算部を更に備え、噴射駆動制御部は、選択した冷却ノズルについて、計算した冷媒噴射タイミングに応じて、駆動ユニットにより冷媒を噴射せしめてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムにより表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、電子デバイスを効果的に冷却することができる。
CPUやDSPなどの電子デバイスの表面から発生する熱は、電子デバイス内の電子部品や電子部品間を接続する導線に供給される電気エネルギーが熱エネルギーに変換されて放散されたものである。この熱は電子デバイスの表面から均一に発生するものではない。
電子デバイスの表面を冷却するための技術としては、電動ファンによる空冷方式や冷却水の循環による液冷方式があることは先述の通りである。これらの方式は、電子デバイス表面から発生した総熱量を排出することを主眼としたものであり、電子デバイス表面から発生する熱の偏在性に着目したものではない。
通常、空冷方式よりも液冷方式の方が冷却効果が高い。しかし、液冷方式においては、電子デバイスのチップパッケージと冷却モジュールが別体であるため、電子デバイス表面から発生した熱が冷却モジュールに伝導する上でインタフェース熱抵抗が大きいという問題がある。冷却モジュールとチップパッケージとの接合部には、通常、わずかな空気が入り込み、これが断熱材の役割を果たす。この空気が冷却モジュールによる吸熱を妨げる。接合部にグリースを塗布して、この空気を排除することにより、吸熱効率はいくばくかは改善される。しかし、電子デバイスの高性能化に伴い、従来の液冷方式の冷却も限界に近づきつつある感がある。
本発明は、このような現状に鑑み、噴流冷却の原理を応用した新しいパラダイムの電子デバイス冷却技術を提案するものである。
実施の形態の説明に先立ち、噴流冷却の原理について説明する。
噴流冷却は、局所的な熱伝達効率を大きく取ることができる冷却方法として知られている。この方法は、たとえば、切削加工など部分的に大きく発生する熱に対する冷却方法として有効であり、冷媒を冷却ノズルから噴射して発熱体に吹き付けることにより冷却する。噴射される冷媒の流れに対する垂直面の熱伝達は、噴流軸点を中心にして、同心円上に広がる。
噴流半径r0[m]、冷媒の熱伝導率λf[W/mK]における熱伝達率h0[W/m2K]は、
(数1)
0f・Nu0/r0
と表される。ここで、Nu0は、噴流半径r0[m]における平均ヌセルト数であり、これは、
(数2)
Nu0=1.25・Pr0.45・Re0.45
と表される。Prはプラントル数と呼ばれる定数であり、Reはレイノルズ数である。Reは、以下の式で表される。
(数3)
Re=u0・d0
ここで、u0[m/s]は、噴流の体積流量を冷却ノズル噴出口の断面積で割った代表速度である。d0[m]は、噴出口の直径、ν[s/m2]は、流体の粘性を表す。
図1は、電子デバイス表面に対して格子状に配置された冷却ノズルから冷媒を噴射したときの熱伝達の様子をコンピュータシミュレーションにより計算した図である。同図の濃い部分ほど熱伝達率が高い、すなわち、冷却効果が大きいことを示す。同図では、濃い部分が、噴流軸点に対応する。すなわち、噴流冷却によれば、噴流軸点近傍において高い冷却効果が得られることが分かる。複数のプロセッサを含む電子デバイスの場合には、電子デバイス表面からの発熱に局所性を生じやすい。このような電子デバイスには、特に噴流冷却による冷却効果が高い。中でも、複数のプロセッサを埋め込むことより、複数の処理を独立に並行処理する機能を有するチップのような電子デバイスの場合には、そのチップにおいて処理を実行しているプロセッサが発熱するため、結果として、チップの表面における発熱に局所性を生じやすい。このような場合には、そのチップに埋め込まれる各プロセッサの直上が噴流軸点に対応するように冷却ノズルを配置すればよい。チップ内において、処理を実行中のプロセッサと、処理を実行していないプロセッサとでは発熱量が異なる。このような場合、処理を実行中のプロセッサの直上を噴流軸点とする冷却ノズルを選択的に駆動して、冷媒を噴射せしめることにより、チップ全体を冷却するよりも効率的にチップを冷却することができる。
図2は、本実施の形態における電子デバイス冷却装置100の機構を示す模式図である。電子デバイス冷却装置100には、主ノズル110aや補助ノズル110bがそれぞれ複数個埋設される。電子デバイス冷却装置100から電子デバイス200の表面に冷媒を噴射することにより、電子デバイス200が冷却される。冷媒が液体である場合には、電子デバイス200の表面は防水用のケースで覆われる。主ノズル110aと補助ノズル110bは、同様の機構である。主ノズル110aは、補助ノズル110bよりも冷媒噴出口が電子デバイス200に近いため冷却効果が高い。電子デバイス200の表面のうち、あらかじめ高温になりやすい箇所が分かっている場合には、その箇所に主ノズル110aが対応するように設置してもよい。冷却ノズル110を電子デバイス冷却装置100に高密度に実装する場合には、同図に示すように主ノズル110aと互い違いに補助ノズル110bを埋設してもよい。
電子デバイス冷却装置100は、シリコン加工技術、いわゆる、マイクロ製造技術によって実現される。冷却ノズル110は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によるメカニカル駆動によって冷媒を噴射する。具体的には、冷媒供給路102を介して冷媒がチャンバー104に導入される。チャンバー104は冷媒を少量ながらも貯蔵することによりドライアウトを防止する。可動膜駆動部108は、外部からの制御信号に応じて可動膜106を駆動する。可動膜106はチャンバー104に溜められた冷媒を電子デバイス200に向けて押し出すことにより冷媒を噴射する。電子デバイス200に噴射された冷媒は図示しない冷媒回収孔に回収される。回収された冷媒はそのまま廃棄されてもよいし、循環して再び電子デバイス200に噴射されてもよい。可動膜駆動部108は、外部から制御信号を受け、静電力や圧電素子、磁気などの力により可動膜106を駆動してもよい。冷媒となる流体は空気などの気体でも水などの液体であってもよい。冷媒が液体である場合には、冷媒の液滴を局所加熱して沸騰熱膨張させることにより冷媒を噴射してもよい。
図3は、電子デバイスの対向方向から見た図2の主ノズル110aおよび補助ノズル110bの配列を示す図である。冷媒供給管112は主ノズル110aに冷媒を供給する。冷媒供給管112内の冷媒は、冷媒供給路102を介してチャンバー104に導かれる。補助ノズル110bに冷媒を供給するための冷媒供給路(図示せず)も別に存在する。同図に示すように主ノズル110aおよび補助ノズル110bは互い違いに配置されるため、主ノズル110aだけを配置するよりも噴射軸点が密になる。主ノズル110aおよび補助ノズル110bは同図に示すように格子状に配置してもよいし、電子デバイスの特定の箇所における冷却ノズルの配置が最密になるよう調整して配置してもよい。
図4は、電子デバイス冷却装置100の使用状態を示す模式図である。ここでは、冷媒が空気であり、電子デバイス冷却装置100は単体のモジュールとして提供される場合を示す。電子デバイス200は、通常基板220上に設置される。電子デバイス冷却装置100は、電子デバイス200の上方に設置される。電子デバイス冷却装置100を駆動する電力は、基板220から供給される。同図では、電子デバイス冷却装置100の上部から外気が導入される。そして、電子デバイス冷却装置100から電子デバイス200に、先述の方法により空気が噴射される。
図5は、冷媒が空気である場合における電子デバイス冷却装置100の使用状態を示す模式図である。外気供給路130は外部の空気を電子デバイス冷却装置100に供給する。電子デバイス冷却装置100はこの空気を電子デバイス200に噴射する。空気排出路132は噴射されて温められた空気を排出する。外気供給路130は、この排出された空気を更に冷却して電子デバイス冷却装置100に供給してもよい。
図6は、冷媒が水である場合における電子デバイス冷却装置100の使用状態を示す模式図である。バッファ140は、冷却水を貯蔵する。これにより、電子デバイス冷却装置100に供給すべき冷却水に不足が生じないようにする。液体供給路134は冷却水を電子デバイス冷却装置100に供給する。電子デバイス冷却装置100はこの冷却水を電子デバイス200に噴射する。電子デバイス200の表面から発生する熱により温められた冷却水は帰還路136を通って回収され、凝縮部138に導かれる。この冷却水の帰還は、既知の方法であるキャピラリー力を用いてもよいし、ポンプなどの動力を用いてもよい。凝縮部138は、帰還した冷却水を外気によって冷却する。冷却水は、バッファ140を介して再び電子デバイス冷却装置100に供給される。冷媒は、たとえば、アルコールなどの揮発性の高い液体であってもよい。
液体供給路134や帰還路136などの液体が流れる経路を減圧し、電子デバイス200の表面から発生する熱で冷却水を気化させてもよい。帰還路136にける液体は、キャピラリー力やポンプなどにより回収してもよい。冷媒が水のように熱容量が大きな液体である場合には、液体として電子デバイスから発生した熱を奪う。冷媒がアルコールのように揮発性の高い液体であれば、電子デバイスから発生した熱を液体の気化熱により奪う。本実施の形態においては、冷媒が気体か液体かで供給方法が異なるが、冷媒の噴射に関しては同様である。
図7は、電子デバイス冷却装置100の取付例について示す図である。電子デバイス冷却装置100は、天井基板150により電子デバイス200に対向するように設置される。コネクタ152は、電子デバイス冷却装置100の電子デバイス200に対する位置決めを行う。電子デバイス冷却装置100を駆動する電力は基板220からコネクタ152、天井基板150を介して電子デバイス冷却装置100に供給される。おなじく、電子デバイス冷却装置100に埋設される冷却ノズル110の駆動に関する制御信号も基板220から同様の経路を経て伝達される。電子デバイス冷却装置100内に埋設される各可動膜駆動部108は、基板220からの制御信号に基づいて可動膜106を駆動し、冷媒を噴射せしめる。電子デバイス200の内部には熱分布状態を検出するための温度センサ246が各所に埋設される。
図8は電子デバイス冷却装置100の機能ブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
噴射制御部160は、冷却ノズル110の制御を統合して行う。駆動ユニット182は、噴射制御部160からの指示に応じて、冷却ノズル110を含むノズルユニット184を駆動し冷媒を噴射せしめる。噴射制御部160は、シャワーの様に、すべての冷却ノズル110に対して同一の制御がなされるよう駆動ユニット182を制御してもよい。噴流冷却によれば、図1に示したように噴流軸点近傍において高い冷却効果が得られる。特に、冷却ノズル110が電子デバイス冷却装置100において密に埋設されている場合や、電子デバイス200の表面から発生する熱の局所性を予め想定して冷却ノズル110が配置される場合には、このような制御でも効果が大きい。制御がシンプルであるため、低コストで実現できるメリットがある。実施の形態には、更にいくつかのバリエーションがある。以下、図8から図10の各ブロック図を用いて典型的な3つの実施の形態について説明する。
実施の形態1:
図8により、電子デバイス200の熱分布状態に応じて噴射制御部160がノズルユニット184を制御する場合について説明する。ノズルマップ格納部162は、各冷却ノズル110の配置に関するデータ(以下、「ノズルマップ」とよぶ)を格納する。具体的には、各冷却ノズル110の電子デバイス200に対する座標情報を格納する。ノズルマップ格納部162のデータ構造については図11に関連して後に詳述する。ノズル選択部180は、冷却すべき箇所の近傍を噴射軸点とする冷却ノズル110をノズルマップ格納部162が格納するノズルマップに基づいて選択する。
熱分布検出部178は、電子デバイス200の表面の熱分布状態を検出する。電子デバイス200の各所に埋設される温度センサ246により、熱分布検出部178は、電子デバイス200の表面の熱分布状態を検出する。熱分布検出部178は、定期的にこの熱分布状態を検出する。噴射制御部160は、熱分布検出部178が検出した熱分布状態に基づき、最も発熱量が大きい箇所を冷却するようノズル選択部180に冷却ノズル110の選択を指示する。ノズル選択部180は、検出された熱分布状態と、ノズルマップ格納部162に格納されるノズルマップに基づいて、駆動すべき冷却ノズル110を選択する。噴射制御部160は、この選択された冷却ノズル110が冷媒を噴射するよう駆動ユニット182を制御する。
噴射時間演算部168は、冷却ノズル110の冷媒噴射時間を計算する。電子デバイス200の表面のうち発熱量が大きい箇所に近い冷却ノズル110ほど冷媒を長時間噴射することにより、より高い冷却効果を発揮できる。噴射制御部160が、各冷却ノズル110に繰り返し冷媒を噴射せしめるよう制御する場合には、各冷却ノズル110の冷媒噴射時間と、冷媒を噴射していない時間の時間比(以下、「デューティ」とよぶ)を計算してもよい。
脈流演算部164は、冷却ノズル110の噴射する冷媒を脈流させるため、各冷却ノズル110の制御方法を計算する。電子デバイス200の表面のうち、発熱量の大きい箇所に最も近い噴射軸点に対応する冷却ノズル110から、冷媒を噴射させるとその噴射軸点の近傍の温度は低下する。冷媒の噴射によって、噴射軸点近傍から発生していた熱は冷媒が吸熱するが、この温められた冷媒は、噴射軸点の周りに放散される。冷媒を噴射したその冷却ノズル110の近傍の冷却ノズル110から、一定の時間経過後に更に冷媒を噴射させることにより、この周りに放散された冷媒をさらに外部に押し出すように放散させることができる。同様に制御して、冷却ノズル110から順次冷媒を噴射せしめることにより冷媒の脈流を形成させれば、冷媒が吸熱した熱量を効果的に排出できる。
たとえば、図5や図6に示したように、冷媒を回収する排熱孔がある場合には、この吸熱した冷媒が排熱孔に向かうように制御してもよい。また、熱分布状態に関わらず、すべての冷却ノズル110を一斉に制御する場合であっても、電子デバイス200の中心から外部や排熱孔に向かって冷媒が排出されるように制御してもよい。
実施の形態2:
図9により、電子デバイス200の熱分布状態を予測して噴射制御部160がノズルユニット184を制御する場合について説明する。ここでは、熱分布履歴情報によって予測を行う場合について説明する。図9に示す機能ブロックで図8に対応するものは同様である。熱分布履歴情報格納部166は、熱分布検出部178が定期的に検出した熱分布状態に関する情報をもとに、熱分布履歴情報を格納する。熱分布履歴情報格納部166のデータ構造については後に詳述する。熱分布予測部170は、熱分布履歴情報格納部166に格納される熱分布履歴情報に基づいて、将来の熱分布状態を予測する。たとえば、電子デバイス200の表面のうち、発熱量が増大しつづけている箇所は、将来においては更に発熱する可能性が高いといえる。そのような箇所を前もって冷却することにより、事前に発熱量が所定値を超える箇所が生じるのを防ぐよう制御する。
熱分布状態の予測は、たとえば、電子デバイス200の表面の所定の箇所について、過去数回検出された温度から、移動平均法により将来の温度を予測してもよい。噴射制御部160は、冷媒の噴射履歴情報を記録媒体に記録してもよい。この噴射履歴情報とは、各冷却ノズル110の冷媒噴射のタイミングや冷媒噴射時間についての情報である。熱分布予測部170は、冷媒の噴射履歴情報に鑑みて熱分布予測を行ってもよい。たとえば、その近傍に冷媒を噴射しているにもかかわらず、発熱量が減少傾向にない箇所には、さらに冷媒を噴射する必要がある。この場合には、対応する冷却ノズル110の冷媒噴射時間を更に延長したり、対象箇所近傍の複数の冷却ノズル110から同時に冷媒を噴射させてもよい。また、その近傍に冷媒をほとんど噴射していない箇所において発熱量が増加している場合には、冷媒を短時間噴射させてみて、温度変化の様子をみて次の制御を決めてもよい。これにより、短期的に発熱する箇所と、定常的に発熱する箇所に応じて冷媒の噴射を調整できる。
実施の形態3:
図10により、電子デバイス200の熱分布状態を予測して噴射制御部160がノズルユニット184を制御する場合について説明する。ここでは、電子デバイス200が実行する処理の内容に応じて熱分布状態の予測を行う場合について説明する。図10に示す機能ブロックで図8、図9に対応するものは同様である。処理実行検出部174は電子デバイス200が実行する処理の内容を判断する。熱分布相関データ格納部172は、電子デバイス200が実行する処理の内容と、それにともなって予測される発熱分布の予測データである熱分布相関データを格納する。この熱分布相関データは、電子デバイス200が実行する処理の内容と、それらの処理の実行による電子デバイス200の表面の発熱分布をあらかじめ予測した熱分布予測情報をそれぞれ対応づけて格納したコンピュータにて読み取り可能な記録媒体により提供される。このデータは、電子デバイス200が実行するコンピュータプログラムごとに提供されてもよい。また、電子デバイス100が実際に各処理を実行するときの電子デバイス200の表面における発熱分布に基づいて、熱分布相関データは適宜補正されてもよい。熱分布相関データ格納部172のデータ構造については後に詳述する。熱分布予測部170は、処理実行検出部174により取得した電子デバイス200の実行内容に対応する熱分布相関データを熱分布相関データ格納部172から取得することにより、電子デバイス200の各箇所の発熱量を予測する。
次にデータ構造について説明する。
図11は、ノズルマップ格納部162のデータ構造を示す図である。ノズルマップ格納部162は、図3に示したように、冷却ノズル110の電子デバイス200に対するノズルマップを格納する。ノズルID欄188は、各冷却ノズル110を識別するID番号であるノズルIDを示す。主補欄183は、各冷却ノズル110が、主ノズルか補助ノズルかを示す。X座標欄185は、各冷却ノズル110のX座標を示す。Y座標欄186は、各冷却ノズル110のY座標を示す。ここでいう座標とは、対向する電子デバイス200を基準とした座標である。同図では、電子デバイス200の中心座標を(0,0)とし、(−50,50)、(50,−50)、(−50,50)、(50,50)を4頂点として冷却ノズル110が格子状に配置されている。同図によれば、たとえば、ノズルIDが「03」の冷却ノズル110は、主ノズルであり、その座標は(−30,−50)である。
図12は、熱分布履歴情報格納部166のデータ構造を示す図である。熱分布履歴情報格納部166は、熱分布検出部178が定期的に検出した電子デバイス200の表面の熱分布状態を熱分布履歴情報として格納する。先述のように電子デバイス200の複数の箇所に埋設された温度センサ246が、電子デバイス200の表面の熱分布状態を検出する。これに対応して、電子デバイス200の表面にはいくつかの温度検出位置が設定される。位置ID欄190は、この温度検出位置を識別するためのID番号である位置IDを示す。X座標欄192は、温度検出位置のX座標を示す。Y座標欄194は、温度検出位置のY座標を示す。ここでいう座標とは、対向する電子デバイス200を基準とした座標である。時刻t1欄196は、熱分布検出部178が定期的に取得する熱分布情報のうち、前回取得した各温度検出位置における温度(℃)を示す。時刻t2欄198は、前々回取得した各温度検出位置における温度を示す。このように、時刻t1欄196〜時刻t10欄208の各欄は、各温度検出位置における温度を示す。
たとえば位置IDが「01」の温度検出位置の座標は(−50,−50)である。そして、その位置の温度は、・・・50.0℃、60.0℃、68.5℃のように急上昇している。したがって、図9の熱分布予測部170は、座標(−50,−50)の温度は更に上昇する可能性が高いと予測する。ノズル選択部180は、この位置ID「01」の近傍を噴射軸点とする冷却ノズル110をノズルマップ格納部162に格納されるノズルマップから検索する。図11によれば、ノズルID「01」の冷却ノズル110(主ノズル)の噴射軸点がちょうど対応しているため、噴射制御部160は、この冷却ノズル110から重点的に冷媒が噴射されるよう制御する。
図13は、熱分布相関データ格納部172のデータ構造を示す図である。熱分布相関データ格納部172は、電子デバイス200が実行する処理の内容ごとの熱分布相関データを格納する。処理ID欄230は、電子デバイス200が実行する処理の内容を識別するためのID番号である処理IDを示す。位置ID01欄232は、図12の位置ID欄190に示す位置ID「01」についての温度予測情報を示す。同様に、位置ID02欄232〜位置ID36欄244も、各位置IDにおける予測温度情報を示す。ここで「A」とあるのは、処理に伴って高温になることが予測される箇所であることを示す。「B」は、「A」ほどではないにしろ温度上昇が予測される箇所であり、「C」は、有意な温度上昇がないと予測される箇所であることを示す。
たとえば、処理ID「0004」の処理が実行されると、位置ID「02」および「03」に対応する箇所が特に高温になることを示す。図10の処理実行検出部174は、電子デバイス200が処理ID「0004」の処理を実行または実行予定であると検出すると、熱分布予測部170は、熱分布相関データ格納部172が格納する熱分布相関データから対応するデータを取得する。図13より、処理ID「0004」の処理の実行にともない、位置ID「02」および「03」が特に高温になると予測される。ノズル選択部180は、ノズルマップ格納部162にアクセスして、この位置ID「02」および「03」の近傍を噴射軸点とする冷却ノズル110を選択する。そして、噴射制御部160は所定のタイミングで、この選択した冷却ノズル110に冷媒を噴射せしめるよう制御する。熱分布予測部170は、電子デバイス200が実行する処理の内容に応じてあらかじめ温度上昇が見込まれる箇所を予測するので、事前にその箇所を冷却しておくことができる。熱分布相関データは、冷却すべき電子デバイス200に応じて予めユーザにより設定されてもよい。あるいは、アプリケーションソフトウェアが自らの熱分布相関データを有してもよい。この場合、そのアプリケーションソフトウェアのインストールに伴って、この熱分布相関データが熱分布相関データ格納部172に格納されてもよい。
実施の形態として1から3をそれぞれ示したが、これらは互いに組み合わされて実施されてもよい。たとえば、通常は、すべての冷却ノズル110から同時に冷媒が噴射されるように制御するが、熱分布検出部178が熱分布の偏りを検出するとそれに対応して、各冷却ノズル110を個別に制御する方式に切り換えることとしてもよい。また、噴射制御部160は、熱分布検出部178が検出した熱分布の情報と熱分布予測部170が予測した熱分布の情報の両方に基づいて、ノズルユニット184を制御してもよい。その予測は、熱分布履歴情報に基づいてもよいし、熱分布相関データに基づいてもよいし、その両方に基づいてもよい。熱分布相関データは、熱分布検出部178が検出した熱分布状態に基づいて、適宜修正されてもよい。これによって、熱分布相関データはさらに精度が高くなる。これらのさまざまな組み合わせが本発明の範囲に含まれることは当業者には理解されるところである。
図14は、実施の形態1について、熱分布の検出から冷媒の噴射までの過程を示すフローチャートである。図8と対応して説明する。まず、熱分布検出部178は、電子デバイス200の表面の熱分布状態を検出する(S10)。噴射制御部160は、この検出した熱分布状態に応じて冷却すべき箇所を特定する(S12)。ノズル選択部180は、噴射制御部160の指示を受け、ノズルマップ格納部162が格納するノズルマップに基づいて、冷媒を噴射すべき冷却ノズル110を特定する(S14)。噴射時間演算部168は、噴射制御部160からの指示を受け、冷媒噴射のデューティを決定する(S16)。噴射時間演算部168は冷媒を噴射するタイミングも決定する。前述のように、冷媒が脈流を形成するよう制御する場合には(S18のY)、脈流演算部164は、その制御のために冷却ノズル110を駆動するタイミングの演算を行う(S20)。噴射制御部160は、駆動ユニット182に所定の冷却ノズル110をこれらの演算に基づいて駆動するよう指示する(S22)。
図15は、実施の形態2について、熱分布の検出から冷媒の噴射までの過程を示すフローチャートである。図9と対応して説明する。熱分布検出部178は、電子デバイス200の表面の熱分布状態を検出し(S10)、熱分布履歴情報格納部166に熱分布履歴情報を記録する(S24)。熱分布予測部170は、この熱分布履歴情報格納部166が格納する熱分布履歴情報をもとに将来の熱分布を予測する(S26)。以降は、図14と同様である。
図16は、実施の形態3について、電子デバイス200が実行する処理の検出から冷媒の噴射までの過程を示すフローチャートである。図10に対応して説明する。まず、処理実行検出部174は、電子デバイス200が実行する処理を検出する(S28)。熱分布予測部170は、熱分布相関データ格納部172が格納する熱分布相関データをもとに、熱分布を予測する(S30)。以降は、図14と同様である。
以上、実施の形態においては、熱分布に偏りを生じる電子デバイスの冷却を噴流冷却により低い熱抵抗で実現できる。発熱量が大きい箇所、発熱量が大きくなると予測される箇所に対応して冷媒の噴射を制御するので、電子デバイスの表面の温度を均一化できる。これにより、電子デバイス内における、特に、トランジスタ等の半導体素子が高温になり異常動作する事態を回避する上で効果がある。ひいては、電子デバイスそのものの耐久性や処理の信頼性を高める効果がある。
電子デバイスの必要な箇所だけを冷却するように制御できるため、噴射に使用する冷媒の量や噴射に要する電力を抑制できる。また、電子デバイス冷却装置に冷媒を供給するシステムや、使用した冷媒を回収するシステムについては、従来の空冷方式や液冷方式において使用されてきた技術をそのまま用いることができる。温度センサが検出した熱分布状態をもとにフィードバック制御を行えば、電子デバイス冷却装置だけで自律的な温度制御を実現することも可能である。電動ファンなどの放熱機構と連携してさらに高度な温度制御を行うことも可能である。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。なお本発明はこの実施の形態に限定されることなく、そのさまざまな変形例もまた、本発明の態様として有効である。
そうした変形例として、冷媒の温度に応じて、電動ファンと冷媒噴射のいずれを重点的に使うべきかを選択的に制御してもよい。たとえば、電子デバイスの熱によって冷媒が温まっているときには、温まった冷媒が冷却されるまで、電動ファンによる冷却にシフトするように制御してもよい。あるいは、電子デバイスが全体的に発熱しているときには、電動ファンによる冷却を行い、電子デバイスの発熱が局所性を有する場合には、冷媒噴射を行うように制御してもよい。
また、冷媒の噴射履歴、熱分布履歴情報、熱相関データ、熱分布情報に基づいて、効果的な冷却ノズルの制御方法を装置が学習できてもよい。主ノズルと補助ノズルとで冷媒の種類は別であってもよい。
電子デバイス表面に対して冷却ノズルを格子状に配置したときの熱伝達をコンピュータシミュレーションにより計算した図である。 電子デバイス冷却装置の機構を示す模式図である。 電子デバイスの対向方向から見た冷却ノズルの配置を示す図である。 冷媒が空気である場合において電子デバイス冷却装置の使用状態を示す図である。 冷媒が気体である場合における電子デバイス冷却装置の外観を示す図である。 冷媒が液体である場合における電子デバイス冷却装置の外観を示す図である。 電子デバイス冷却装置の取付の一例を示す図である。 実施の形態1における電子デバイス冷却装置の機能ブロック図である。 実施の形態2における電子デバイス冷却装置の機能ブロック図である。 実施の形態3における電子デバイス冷却装置の機能ブロック図である。 ノズルマップ格納部のデータ構造図である。 熱分布履歴情報格納部のデータ構造図である。 熱分布相関データ格納部のデータ構造図である。 実施の形態1における熱分布の検出から冷媒の噴射までの過程を示すフローチャートである。 実施の形態2における熱分布の検出から冷媒の噴射までの過程を示すフローチャートである。 実施の形態3における電子デバイスの実行処理の検出から冷媒の噴射までの過程を示すフローチャートである。
符号の説明
100 電子デバイス冷却装置、104 チャンバー、106 可動膜、110 冷却ノズル、150 天井基板、152 コネクタ、160 噴射制御部、162 ノズルマップ格納部、164 脈流演算部、166 熱分布履歴情報格納部、168 噴射時間演算部、170 熱分布予測部、172 熱分布相関データ格納部、174 処理実行検出部、178 熱分布検出部、180 ノズル選択部、182 駆動ユニット、184 ノズルユニット、200 電子デバイス、246 温度センサ。

Claims (4)

  1. コンピュータにて読み取り可能な記録媒体であって、
    複数のプロセッサモジュールが集積された電子デバイスが実行する処理内容に応じて、前記電子デバイスに集積されたプロセッサモジュールからの発熱により発生する前記電子デバイス表面における熱分布状態をあらかじめ予測した熱分布予測情報を取得し、前記電子デバイスの処理の実行により前記熱分布予測情報から予測される熱分布状態に応じて前記電子デバイスの表面における冷却すべき箇所を特定し、前記電子デバイスの表面に対向するよう近接配置された複数の冷却ノズルのうち冷媒を噴射すべき冷却ノズルとして、前記特定した箇所の近傍と噴射軸が交わる冷却ノズルを選択するコンピュータプログラム、を格納した記録媒体。
  2. 前記電子デバイスが実行する処理の内容と、
    前記処理の実行により前記電子デバイスに集積されたプロセッサモジュールからの発熱により発生する前記電子デバイス表面における熱分布状態をあらかじめ予測した熱分布予測情報と、
    をそれぞれ対応づけて、更に格納することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
  3. 複数のプロセッサモジュールが集積された電子デバイスの表面に対向するよう近接配置された複数の冷却ノズルを有するノズルユニットと、
    前記ノズルユニットに導入された冷媒に作用し、当該冷媒を前記冷却ノズルから噴射せしめる駆動ユニットと、
    前記電子デバイスが実行する処理内容に応じて、前記電子デバイスに集積されたプロセッサモジュールからの発熱により発生する前記電子デバイス表面における熱分布状態をあらかじめ予測した熱分布予測情報を取得する熱分布予測情報取得部と、
    前記電子デバイスにより実行された処理を検出する処理実行検出部と、
    前記電子デバイスの実行により前記熱分布予測情報から予測される熱分布状態に応じて前記電子デバイスの表面における冷却すべき箇所を特定し、特定した箇所の近傍と噴射軸が交わる冷却ノズルを選択し、選択した冷却ノズルから冷媒を噴射せしめるように前記駆動ユニットによる噴射駆動能力を制御する噴射駆動制御部と、
    を備えることを特徴とする電子デバイス冷却装置。
  4. 複数のプロセッサモジュールが集積された電子デバイスが実行する処理内容に応じて、前記電子デバイスに集積されたプロセッサモジュールからの発熱により発生する前記電子デバイス表面における熱分布状態をあらかじめ予測した熱分布予測情報を取得するステップと、
    前記電子デバイスにより実行された処理を検出するステップと、
    前記電子デバイスの実行により前記熱分布予測情報から予測される熱分布状態に応じて前記電子デバイスの表面における冷却すべき箇所を特定し、電子デバイスの表面に対向するように近接配置された複数の冷却ノズルのうち、特定した箇所の近傍と噴射軸が交わる冷却ノズルを選択し、選択した冷却ノズルから冷媒を噴射せしめるように冷媒噴射機構を制御するステップと、
    を含むことを特徴とする電子デバイス冷却方法。
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