JP4449026B2 - 独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法、詳しくは、断熱材などとして用いられる硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは、優れた断熱性能、物理的強度、加工性および自己接着性などを有し、電気冷蔵庫、冷凍・冷蔵庫、建材などの断熱材として広く用いられている。
【0003】
一方、硬質ポリウレタンフォームの断熱性能、すなわち、熱伝導率は、発泡直後から比較的短期間内に数%、場合によっては、数10%程度劣化することが知られている。
【0004】
例えば、1999年9月12〜15日に開催されたPOLYURETHANES EXPO 99の講演予稿集の第227〜236頁および第247〜255頁の2件の報文中にも、この事実が記載されており、より具体的には、後者の報文の第6表および第7表には、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率の初期値と7日間放置後の測定値が公表されており、表の数値でも、10%強(0.144から0.159(単位はBTU−in/hr.ft2・F))、大きいものでは、約30%(0.139から0.180(単位はBTU−in/hr.ft2・F))程度の熱伝導率の劣化が示されている。
【0005】
また、2000年3月28日〜30日に開催されたUTECH2000の講演予稿集中、Long−term Energy Efficiency of PU−insulation for Refrigerationと題した報文にも、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率の経時変化が詳細に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの熱伝導率の経時変化、特に変化の大きい初期段階の熱伝導率の経時的な劣化については、その原因すら記載されていない。
【0007】
一方、省エネルギーおよび性能保証の観点から、このような経時的な劣化がないか、あるいは、極めて少ない硬質ポリウレタンフォームの開発が要求されている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、熱伝導率の経時的な劣化がないか、あるいは、極めて少ない、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、少なくとも発泡剤の存在下に発泡し、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを成形した後、次いで、得られた独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを、窒素雰囲気下、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する、アンモニア、アミン類、アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性低分子量化合物からなる処理剤の蒸気の存在下でエイジング処理することを特徴としている。
【0010】
また、本発明の製造方法では、70℃以下でエイジング処理することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法では、先ず、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを成形する。
【0012】
硬質ポリウレタンフォームの成形は、特に制限はなく、従来より公知の方法を用いることができる。一般的には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、触媒、整泡剤、発泡剤および必要によりその他の添加剤の存在下において、発泡させればよい。
【0013】
ポリオール成分としては、硬質ポリウレタンフォームの原料として通常使用されるポリオール成分であれば、特に制限はなく、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、2〜8個の活性水素基を有する低分子ポリオールおよび/または低分子ポリアミンを開始剤として、これにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを開環付加重合させることにより得ることができ、その水酸基価が、300〜700mgKOH/g程度のものが好ましく用いられる。
【0014】
また、ポリエステルポリオールとしは、例えば、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水マレイン酸などの二塩基酸またはその無水物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのグリコールやトリオールとを重合させることにより得ることができ、その水酸基価が、200〜450mgKOH/g程度のものが好ましく用いられる。また、ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂の廃材を、上記したグリコールで解重合することによって得られたものも用いることができ、さらには、ポリオール成分として、反応性のメチロール基を有するフェノールレジンなどを用いることもできる。これらポリオール成分は、同種または異種のものを、単独または併用して用いることができる。
【0015】
ポリイソシアネート成分としては、硬質ポリウレタンフォームの原料として通常使用されるポリイソシアネート成分であれば、特に制限はなく、一般的には、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)が用いられる。また、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、クルードTDI、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や、これらのポリオール変性体、トリマー変性体、カルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ウレットジオン変性体などを用いてもよい。これらポリイソシアネート成分は、同種または異種のものを、単独または併用して用いることができる。また、ポリイソシアネート成分の使用量は、例えば、ポリオール成分の水酸基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、1.0〜3.0の範囲で用いられる。
【0016】
触媒としては、硬質ポリウレタンフォームの触媒として通常使用されるものであれば、特に制限はなく、例えば、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミンなどの3級アミン類およびこれらのカルボン酸塩または4級アンモニウム塩、例えば、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどの有機金属化合物などが用いられる。これらの触媒は、単独または併用して用いることができる。触媒の使用量は、例えば、ポリオール成分100重量部に対して、0.01〜20重量部程度である。
【0017】
整泡剤としては、硬質ポリウレタンフォームの整泡剤として通常使用されるものであれば、特に制限はなく、例えば、ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン鎖とを有する、いわゆるシリコーン系界面活性剤が用いられる。整泡剤の使用量は、例えば、ポリオール成分100重量部に対して、0.2〜10重量部程度である。
【0018】
また、発泡剤としては、硬質ポリウレタンフォームの発泡剤として通常使用されるものであれば、特に制限はなく、例えば、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcなどのフロン系化合物、例えば、シクロペンタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ブタンなどの低沸点炭化水素化合物が用いられる。これらの発泡剤は、単独または併用して用いることができる。発泡剤の使用量は、例えば、ポリオール成分100重量部に対して、5〜50重量部程度である。
【0019】
また、これらの発泡剤とともに、水を併用することもできる。水を併用した場合には、フォームの流動性、強度、耐熱性、低温寸法安定性の向上を図ることができる。すなわち、水を併用すると、水とイソシアネート基との反応で炭酸ガスを発生するとともに尿素結合を生成し、その尿素結合の生成によって、極性基が増加してフォーム骨格の強度や耐熱性が向上するとともに、生成する炭酸ガスが、セル内で冷凍温度である−30℃といった低温下でも気体として存在して、セル内圧力を保持するため、低温寸法安定性の向上を図ることができる。水を併用する場合には、最終製品の密度や断熱性にもよるが、通常の25〜50kg/m3程度の硬質ポリウレタンフォームにおいては、ポリオール100重量部に対して、0.1〜2.5重量部程度で用いることが好ましい。
【0020】
その他の添加剤としては、その目的および用途によって、粘度やプレミックスとポリイソシアネート成分との配合比率の調整、フォーム発泡時のスコーチ防止、フォームの難燃性付与などの目的で、例えば、プロピレンカーボネートなどの粘度調整剤、酸化防止剤、難燃剤などが適宜用いられる。
【0021】
そして、硬質ポリウレタンフォームを得るには、特に制限はなく、公知の発泡方法を用いることができ、例えば、ポリイソシアネート成分以外の成分、すなわち、ポリオール成分、触媒、整泡剤、発泡剤および必要によりその他の添加剤を、予め混合してプレミックスを調製し、発泡機などを用いて、このプレミックスとポリイソシアネート成分と混合して、所定の金型などに注入することにより、発泡成形すればよい。
【0022】
次いで、本発明の製造方法では、得られた硬質ポリウレタンフォームを、発泡成形後あまり時間を経過していない時期に、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する極性低分子量化合物からなる処理剤の蒸気の存在下においてエイジング処理する。
【0023】
イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する極性低分子量化合物としては、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有し、かつ、容易に蒸気となり得る極性の低分子量化合物であって、アンモニア、アミン類およびアルコール類が用いられる。アミン類としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミンなどの1級モノアミン類、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどの2級モノアミン類、例えば、エチレンジアミン、ブチレンジアミンなどの1級ジアミン類などが用いられる。また、アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ブタノールなどのモノアルコール類などが用いられる。これらのイソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する極性低分子量化合物は、その目的および用途により、単独または併用して用いることができる。
【0024】
エイジング処理は、例えば、密閉容器中に硬質ポリウレタンフォームを封入するとともに、その密閉容器内を、乾燥窒素ガス雰囲気とし、密閉容器内に処理剤を導入して、その蒸気を硬質ポリウレタンフォームに接触させればよい。処理剤の導入量は、適宜、具体的に決定すればよいが、密閉容器内において、必ずしも処理剤の100%雰囲気下とする必要はなく、密閉容器内においてある程度の蒸気圧を占める程度でよい。また、処理時間は、処理剤の種類や処理温度により適宜決定される。処理温度は、高い程、処理時間を短縮することができるが、好ましくは、70℃以下、さらに好ましくは、10〜50℃である。10℃より低いと、処理に長時間を要する場合があり、70℃より高いと、硬質ポリウレタンフォームが変形する場合がある。
【0025】
また、このようなエイジング処理は、例えば、発泡成形される場所の雰囲気(温度、湿度など)によっても異なるが、通常、硬質ポリウレタンフォームの発泡成形後から、0.5〜12時間以内に行なうことが好ましい。発泡成形直後0.5時間以内に処理すると、硬質ポリウレタンフォームの収縮を伴なう場合があり、発泡成形後12時間経過後に処理すると、湿分の透過により効果が発揮されない場合がある。
【0026】
そして、このようなエイジング処理によって、断熱性能の経時的な劣化がないか、あるいは、極めて少ない硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0027】
すなわち、硬質ポリウレタンフォームは、上記したように、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応で生成する反応熱によって、発泡剤を気化させて、発泡、固化(樹脂化)させることにより発泡成形される。そのため、得られた硬質ポリウレタンフォームは、ポリウレタン樹脂からなる独立気泡骨格(セル)と、このセル内に、発泡剤として用いられたガスおよび水を併用した場合には炭酸ガスが封入された構造となる。また、通常、断熱材として用いられる硬質ポリウレタンフォームの密度は、30〜50kg/m3(0.03〜0.05g/mL)程度であり、95%以上が気体で占められている。したがって、硬質ポリウレタンフォームの断熱性能は、セル内に封入されているガスの熱伝導率によって決定される。
【0028】
また、硬質ポリウレタンフォームの発泡成形時には、反応の進行に伴ない、活性基(水酸基およびイソシアネート基)の自由度が損なわれ、活性基自体が未反応のまま固定化され、残存してくる。特に、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基は、上記したように、ポリオール成分の水酸基よりも過剰に処方されるので、硬質ポリウレタンフォームの独立気泡骨格には、未反応のイソシアネート基が不回避的に残存する。
【0029】
一方、硬質ポリウレタンフォームの独立気泡骨格は、極性の高いウレタン結合により形成されており、これらウレタン結合同士が水素結合によってハードセグメントを構成している。そのため、極性の高い水との親和性が高く、水蒸気はフォーム内に容易に透過する。水蒸気がフォーム内に透過してくると、その独立気泡骨格には、未反応のイソシアネート基が残存しており、しかも、通常は、3級アミン類などの触媒も残存しているので、その水蒸気の水が、残存するイソシアネート基と容易に反応し、炭酸ガスを生じるとともに、イソシアネート基自身がアミノ基となる。
【0030】
そうすると、水蒸気の透過は、外気とセル内部との蒸気圧が平衡に達すれば、通常、それ以上生じないが、このように透過した水蒸気が炭酸ガスに変換されることにより、外気とセル内とに蒸気圧差が生じ、それに起因して、残存イソシアネート基が存在する限り、水蒸気がセル内に浸入する。その結果、セル内において、熱伝導率の高い炭酸ガスの分圧が増加して、それに伴なって、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率が高くなり、断熱性能が劣化する。
【0031】
したがって、このような断熱性能の劣化を防止するには、未反応イソシアネート基を低減すればよく、例えば、ポリオール成分やイソシアネート成分の官能基を下げたり、あるいは、水酸基に対するイソシアネート基の当量比を小さくするなど、処方を調整することで、未反応イソシアネート基を低減することも考えられる。しかし、このような方法では、フォームの強度や耐熱性などの物性が低下してしまう。
【0032】
一方、硬質ポリウレタンフォームの独立気泡骨格は、上記したように、極性の高いウレタン結合により形成されているため、極性の高いガスを容易に浸透させることができる。そのため、上記したように、硬質ポリウレタンフォームを、発泡成形後あまり時間を経過していない時期に、窒素雰囲気下、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する、アンモニア、アミン類、アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性低分子量化合物からなる処理剤の蒸気の存在下においてエイジング処理すれば、その処理剤が、フォームの独立気泡骨格内に容易に浸透して、独立気泡骨格内に残存する未反応のイソシアネート基と反応する。そのため、残存するイソシアネート基と水蒸気との反応によって生じる炭酸ガスの生成を、効率よく抑制することができる。したがって、このようなエイジング処理をすれば、セル内における炭酸ガスの増加を抑制することができるので、それに伴なう、熱伝導率の経時的な劣化を防止することができる。そのため、本発明の製造方法によれば、硬質ポリウレタンフォームの断熱性能の経時的な劣化がないか、あるいは、極めて少ない硬質ポリウレタンフォームを提供することができる。
【0033】
【実施例】
実施例1
1)硬質ポリウレタンフォームの成形
トリレンジアミンおよびジエタノールアミンを開始剤として、プロピレンオキサイドを開環付加重合させることによって得られた水酸基価460mgKOH/gのポリエーテルポリオール100重量部に、水0.3重量部、整泡剤(B−8462:ゴールドシュミット社製、シリコン系界面活性剤)2.0重量部、テトラメチルヘキサメチレンジアミン2.0重量部、シクロペンタン18重量部を混合してプレミックスを調製した。このプレミックスに、ポリメリックMDI(M−200、三井化学社製)127重量部を加えて撹拌機で混合し、予め45℃に加熱した50×50×5cmのアルミ製ジグに注入することにより、全体密度45kg/m3の硬質ポリウレタンフォームのパネルを得た。発泡成形後、室温で24時間放置した後、パネルから厚み25mm、20cm角のコアフォームサンプルを切り出し試料とした。
【0034】
2)エイジング処理
上記で得られたコアフォームサンプルを、アルミラミネートフィルム製の40×50cmの袋に入れ、窒素ガスで置換後、開口部をヒートシールした。同様にして5個のサンプルを作製し、各サンプルに注射器を用いて下記の処理剤を封入した。
【0035】
a−1:無処理(ブランク)
a−2:アンモニアガス 約1.5L 封入
a−3:メタノール 3mL 封入
a−4:n−プロピルアミン 3mL 封入
a−5:エチレンジアミン 3mL 封入
各処理剤を封入後、封入孔をアルミ接着テープで塞ぎ、30℃の恒温室に3日間放置した。
【0036】
3)湿熱試験
上記の処理がなされた試料を袋から取り出し、1時間室内に放置後、初期熱伝導率(測定器:オートラムダーHC−074モデル、英弘精機社製、平均温度24℃)を測定し、その後、30℃、50%RHの恒温高湿室内に放置し、一定期間ごとに熱伝導率を測定した。熱伝導率の測定結果を、無処理の試料の初期値を100とした相対値によって、表1に示す。
【0037】
【表1】
表1に示すように、無処理の試料a−1は、比較的マイルドな湿熱条件でも、1日で10%近い熱伝導率の劣化が見られるのに対し、処理された試料a−2〜試料a−5は、初期値では、試料a−1より高くなっているものもあるが、その後の経時変化が小さいことがわかる。なお、試料a−2〜試料a−4で、無処理に比べて初期値が高くなっているのは、これらの処理剤の過剰分が、セル内にガスとして存在し、熱伝導率に影響したものと考えられる。なお、試料a−2および試料a−4において、一時的な数値の低下が見られるが、これは、処理剤のガスがセル内から外部に移行したものと考えられる。
【0038】
なお、湿熱試験前に試料表面のIRスペクトルを測定したところ、試料a−1については、イソシアネート基に基づく2250cm−1の吸収が認められたのに対し、試料a−2、試料a−3については、この吸収が消失していることが確認された。
【0039】
以上の結果から、発泡成形後のフォームを、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する極性低分子量化合物からなる処理剤の蒸気の存在下においてエイジング処理することにより、初期の熱伝導率の経時的な劣化がないか、あるいは、極めて少ない硬質ポリウレタンフォームが得られることがわかった。
【0040】
実施例2
1)硬質ポリウレタンフォームの成形
高圧発泡機(CANNON HC−40)を用い、芳香族アミン系ポリエーテルポリオールおよびフタル酸系ポリエステルポリオールの混合ポリオールに、整泡剤、3級アミン触媒、水およびシクロペンタンを配合したプレミックスと、タケネート4040MC(ポリメリックMDIと変性TDIとの混合物)とを混合し、混合した原料を、45℃に加熱された厚さ45mm、50cm角のアルミ製モールドに注入し、全体密度43kg/m3の硬質ポリウレタンフォームのパネルを得た。発泡成形後、室温で24時間放置した後、パネルから厚み25mm、20cm角のコアフォームサンプルを切り出し試料とした。
【0041】
2)エイジング処理
上記で得られたコアフォームサンプルを、アルミラミネートフィルム製の40×50cmの袋に入れ、窒素ガスで置換後、開口部をヒートシールした。同様にして5個のサンプルを作製し、各サンプルに注射器を用いて下記の処理剤を封入した。
【0042】
b−1:無処理(ブランク)
b−2:アンモニアガス 約1.0L 封入
b−3:メタノール 2mL 封入
b−4:エチルアミン 2mL 封入
b−5:エチレンジアミン 3mL 封入
各処理剤を封入後、封入孔をアルミ接着テープで塞ぎ、40℃の恒温室に1日間放置した。
【0043】
3)湿熱試験
上記の処理がなされた試料を袋から取り出し、1時間室内に放置後、初期熱伝導率(測定器:オートラムダーHC−074モデル、英弘精機社製、平均温度24℃)を測定し、その後、30℃、50%RHの恒温高湿室内に放置し、一定期間ごとに熱伝導率を測定した。熱伝導率の測定結果を、無処理の試料の初期値を100とした相対値によって、表2に示す。
【0044】
【表2】
表2に示すように、無処理の試料b−1は、比較的マイルドな湿熱条件でも、1日で10%近い熱伝導率の劣化が見られるのに対し、処理された試料b−2〜試料b−5は、上記と同様に、初期値では、試料b−1より高くなっているものもあるが、その後の経時変化が小さいことがわかる。
【0045】
参考例1
現在、電気冷蔵庫用途に用いられている処方(発泡剤としてシクロペンタンが用いられている処方)において、水を、下記の3通りの割合で配合したものを用いて、一方の面に厚さ0.6mmの塗装鋼板を、他方の面に厚さ0.5mmのABS面材を貼着した厚さ35mmの硬質ポリウレタンフォームを芯材とするサンドイッチパネルを作製した。このサンドイッチパネルの周囲をアルミ接着テープでシールして、30cm角のパネルを作製した。
【0046】
P−1:ポリオール100重量部に水0.3重量部を用いた処方
P−2:ポリオール100重量部に水1.0重量部を用いた処方
P−3:ポリオール100重量部に水1.5重量部を用いた処方
上記で得られたパネルを、30℃、50%RHの恒温高湿室内に放置し、一定期間ごとに、パネルの芯材部より少量のフォームを切り出し、これを、秤量後直ちに溶媒と炭酸ガストラップ剤の存在下に分解して、その分解液を、GC/MSを用いて分析することにより炭酸ガスおよびシクロペンタンの定量を行なった。
【0047】
2週間の追跡調査の結果、シクロペンタンの量には、P−1〜P−3のいずれにも、変化は見られなかったが、炭酸ガスの量は、P−1〜P−3のいずれもが表3に示すように増加傾向が認められた。この結果より、時間の経過とともに、各フォームのセル中の炭酸ガス濃度が増加することがわかる。なお、表3中の数値の単位は、フォーム1Lについての炭酸ガスの量(mL)である。
【0048】
【表3】
参考例2
実施例1で用いた試料a−1と同じコアフォームサンプル(サイズも同じ)を、38℃、95%RHの恒温高湿室内に24時間放置後、24℃における熱伝導率を測定した。その結果、初期値(相対値)100に対し108となった。また、この試験前後の炭酸ガス量を測定した結果、試験前の初期値105mL/フォーム1Lに対し、試験後は、200mL/フォーム1Lとなり、ほぼ2倍に増加していることが確認された。一方、同じコアフォームサンプルを、アルミラミネートフィルム製の40×50cmの袋に入れ、乾燥空気で置換後、開口部をヒートシールして、38℃、95%RHの恒温高湿室内に24時間放置後、上記と同様に、24℃における熱伝導率および炭酸ガス量を測定した。その結果、試験前後での値はともに変化がなかった。
【0049】
以上の結果より、硬質ポリウレタンフォームの初期の熱伝導率の劣化は、水蒸気(湿気)がフォーム内に浸透して、セル中の残存イソシアネート基と反応することによって、セル中の炭酸ガス量が増加することに起因するものと推測された。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、得られた独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを、窒素雰囲気下、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する、アンモニア、アミン類、アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性低分子量化合物からなる処理剤の蒸気の存在下でエイジング処理するので、その処理剤が、フォームの独立気泡骨格内に容易に浸透して、独立気泡骨格内に残存する未反応のイソシアネート基と反応する。そのため、残存するイソシアネート基と水蒸気との反応によって生じる炭酸ガスの生成を効率よく抑制することができ、セル内における炭酸ガスの増加を抑制することができる。したがって、熱伝導率の経時的な劣化がないか、あるいは、極めて少ない、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを提供することができる。
Claims (2)
- ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、少なくとも発泡剤の存在下に発泡し、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを成形した後、
次いで、得られた独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを、窒素雰囲気下、イソシアネート基と反応可能な活性水素基を有する、アンモニア、アミン類、アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性低分子量化合物からなる処理剤の蒸気の存在下でエイジング処理することを特徴とする、独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法。 - 70℃以下でエイジング処理することを特徴とする、請求項1に記載の独立気泡を有する硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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