JP4448820B2 - 脱硝触媒組成物、一体構造型脱硝触媒、及びそれを用いた脱硝方法 - Google Patents
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Description
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O
2NO2+4NH3+O2→3N2+6H2O
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O
また、鉄、あるいは鉄とセリウムを含有させたゼオライトを触媒として用い、排気ガスにアンモニアを還元剤として加えて接触させ、窒素酸化物を還元する排気ガス浄化方法が提案されている(特許文献1参照)。これにより、窒素酸化物をより安定的に還元することが可能となった。
自動車の排気ガス規制においては、実際の道路での走行を想定した規制基準が設けられており、排気ガス濃度は、定常状態のエンジン稼動条件で測定されるものではない。このような実際の道路の走行を想定した規制基準では、燃焼状態が安定した高速走行だけでなく、市街地などアクセル開度が少なく、エンジン回転数の低い条件で走行する事も想定されている。一般に触媒活性を高めるためには、ある程度高い温度条件が望ましいのであるが、ディーゼル自動車では、市街地走行条件における排気ガスの温度が300℃以下と低くなることが多い。このような低温時には触媒の活性が充分ではなく、満足すべき排気ガスの浄化効果が得られないことがあった。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記鉄元素の担持量が、酸化物換算で、0.1〜10重量%であることを特徴とする脱硝触媒組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記セリウム元素の担持量が、酸化物換算で、0.05〜5重量%であることを特徴とする脱硝触媒組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、ゼオライト(A)が、βゼオライトであることを特徴とする脱硝触媒組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、多孔質無機酸化物(B)が、アルミナまたはシリカ−アルミナのいずれかであることを特徴とする脱硝触媒組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、前記脱硝触媒組成物が、MFI型、H−β型、A型、X型、Y型、またはMOR型ゼオライトから選ばれる一種以上のゼオライト(C)をさらに含むことを特徴とする脱硝触媒組成物が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第10の発明において、前記脱硝触媒組成物の被覆量が、ハニカム構造担体の容積に対して、80〜280g/Lであることを特徴とする一体構造型脱硝触媒が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第10又は11のいずれかの発明において、ゼオライト(A)、およびゼオライト(C)の被覆量が、ハニカム構造担体の容積に対して、いずれも10〜100g/Lであり、また、多孔質無機酸化物(B)の被覆量が、10〜150g/Lであることを特徴とする一体構造型脱硝触媒が提供される。
さらに、本発明の脱硝触媒組成物は、高価な活性金属の使用量が少なくて済むため低コストで製造する事ができ、排気ガス浄化装置を安定的に生産し供給することができる。
本発明の脱硝触媒組成物は、排気ガス中の窒素酸化物を炭化水素系還元剤によって還元するための脱硝触媒組成物であって、鉄元素及びセリウム元素を担持したゼオライト(A)と、貴金属元素の1種以上を担持した多孔質無機酸化物(B)とを含むことを特徴とする。
すなわち、本発明は、軽油やガソリン、あるいは燃焼機関中に一時的に多量の燃料を供給して発生させた未燃炭化水素や、排気ガス中に軽油やガソリンそのものを供給し、それらを還元剤として、排気ガス中の窒素酸化物を浄化するものである。なお、本発明においては、以下、特にことわりの無いかぎり、これら軽油などの炭化水素からなる還元剤を、包括して炭化水素系還元剤という。
本発明においてゼオライトは、排気ガス中の窒素酸化物の還元に対して活性を有する鉄元素及びセリウム元素を含有していれば特に限定されない。ゼオライトに対する鉄元素、セリウム元素の含有量は、鉄として0.1〜10重量%(酸化物換算)、セリウムとして0.05〜5重量%(酸化物換算)である事が好ましく、より好ましくは鉄として0.5〜5重量%(酸化物換算)、セリウムとして0.1〜3重量%(酸化物換算)である。鉄元素の量が10重量%を超えると、活性な固体酸点数が確保できなくなり活性が下がるだけでなく、耐熱性が低下する場合もあり、0.1重量%未満では、充分なNOx浄化性能が得られず排気ガスの浄化性能が低下する場合があるので好ましくない。一方、セリウム元素の量が5重量%を超えると、活性な固体酸点数が確保できなくなり活性が下がるだけでなく、耐熱性も低下し、0.05重量%未満では、HC被毒抑制効果が促進されず排気ガスの浄化性能が低下するので好ましくない。
なお、鉄元素、セリウム元素で促進されたゼオライトとして、市販のものを用いる場合も、鉄元素成分、セリウム元素成分の含有量が上記範囲内にあるものを選択することが好ましい。
そして、ゼオライトは、鉄元素、セリウム元素の他に、遷移金属、希土類金属、貴金属などを含んでいてもよい。具体的には、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、銅などの遷移金属、ランタン、プラセオジム、ネオジウムなどの希土類金属、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属などを挙げることができる。
ただし、白金などの酸化活性の高い貴金属は、ゼオライトに対する担持量は4重量%以下(酸化物換算)が望ましい。4重量%以下であれば、HCによるNOxの還元が良好に進行する。
Mm/x[AlmSi(64−m)O128]・pH2O
(式中、Mはカチオン種であり、xは前記Mの価数であり、mは0を越え64未満の数であり、pは0以上の数である)
本発明において、βゼオライトを用いる場合、鉄元素、セリウム元素によるイオン交換の割合としては、鉄元素(イオン)、セリウム元素(イオン)のうち1個と、ゼオライト中の一価のイオン交換サイトである上記[AlO4/2]−単位の3個とがイオン対を形成することに基づいて、次式(1)で表されることが好ましい。
[単位重量のゼオライト中にイオン交換により含まれている鉄イオン・セリウムイオンのモル数/{(単位重量のゼオライト中に存在するAl2O3のモル数)×(2/3)}]×100 ………(1)
ここで、イオン交換される鉄イオン、セリウムイオンの割合は、酸化物換算の重量比でFe/Ce=0.5〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。Fe/Ceが0.5未満では、脱硝性能が不十分となり、Fe/Ceが30以下であるとゼオライトの骨格構造が安定化し、触媒の耐熱性が向上するので好ましい。
このようなイオン交換されたゼオライトでは、炭化水素系還元剤を用いた脱硝反応における高温耐性、高温活性、低温活性が向上し、排気ガス中の窒素酸化物に対して優れた浄化能力を発揮する。
このような貴金属元素(触媒活性種)の含有量は、後述するハニカム構造体に本発明の脱硝触媒組成物を被覆した場合の担持量で換算すると、0.5〜5g/Lが好ましく、1.5〜3g/Lがより好ましい。
使用できるゼオライト(C)としては、H−β型、A型、X型、Y型、MFI型(ZSM−5)、MOR型等が挙げられる。これらのうち一種以上を含ませることで、活性金属で促進されたゼオライト(A)のみを用いる場合よりも優れた脱硝性能を発揮することができる。なお、これらゼオライト(C)はFe、Ce、Cu、Mo,Co,Mnなど、活性な金属により促進されたものであっても良い。
2CeO2⇔Ce2O3+O2・・・・・・(2)
このように、本発明の触媒にOSC材が添加されたものでは、OSC材と白金、パラジウムとの併用により、OSC材が本来もつ酸素の吸蔵放出機能により、排気ガス中のHC、CO、可溶性有機成分の酸化機能も発揮され、NOxの浄化機能も発揮される。
本発明における、鉄元素、およびセリウム元素で促進されたゼオライトは、主要なゼオライトメーカーから様々なグレードのものが購入でき、また、特表2004−536756号公報に記載された要領で製造できる。
なお、焼成条件は、金属触媒成分が安定して担持されたゼオライトが得られるのに十分な程度であればよく、特に限定されない。焼成温度は、300〜700℃が好ましく、400〜600℃がより好ましい。加熱手段については、電気炉やガス炉等の公知の加熱手段によって行う事ができる。
本発明においては、このような貴金属元素(触媒活性種)の含有量は、後述するハニカム構造担体に脱硝触媒組成物を被覆した場合の担持量で換算すると、0.5〜5g/Lが好ましく、1.5〜3g/Lがより好ましい。
本発明の一体構造型脱硝触媒は、上記脱硝触媒組成物を、一体構造型担体の表面に被覆した脱硝触媒である。一体構造型担体の全体形状は任意であり、円柱型、四角柱型、六角柱型など適用する排気系の構造に応じて適宜選択できる。
すなわち、上記脱硝触媒組成物を自動車から排出される窒素酸化物の浄化に適用するためには、上記特定のゼオライト(A)および多孔質無機酸化物(B)を含む脱硝触媒組成物を、ステンレスやセラミック等の耐熱性材で出来たモノリス状のハニカム構造体に被覆し、一体構造型の脱硝触媒として構成する。
また、このようなハニカム構造担体としては、さらに開口部の孔数についても処理すべき排気ガスの種類、ガス流量、圧力損失あるいは除去効率などを考慮して適正な孔数が決められるが、そのセル密度は100〜900セル/inch2であることが好ましく、200〜600セル/inch2である事がより好ましい。セル密度が900セル/inch2を超えると、付着したPMで目詰まりが発生しやすく、100セル/inch2未満では幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下してしまう。なお、セル密度とは、ハニカム構造担体を気体流路に対して直角に切断した際の断面における単位面積あたりのセル数のことである。
また、ハニカム構造担体には、気体流路が連通しているフロースルー型構造体と、気体流路の一部端面が目封じされ、かつ気体流路の壁面を通して気体が流通可能になっているウォールフロー型構造体とが広く知られている。フロースルー型構造体であれば空気抵抗が少なく、排気ガスの圧力損失が少ない。また、ウォールフロー型構造体であれば、排気ガス中に含まれる粒子状成分を濾し取ることが可能である。本発明の脱硝触媒組成物は、そのどちらの構造体にも用いる事ができる。
この際、必要に応じてpH調整のための酸、アルカリを配合し、粘性の調整やスラリー分散性向上のための界面活性剤、分散用樹脂等を配合する事ができる。スラリーの混合方法としては、ボールミルなどによる粉砕混合が適用可能であるが、他の粉砕、もしくは混合方法を適用しても良い。
本発明の脱硝触媒組成物は、このようなハニカム構造担体に対して、80〜280g/Lの担持量で被覆される事が好ましく、140〜220g/Lである事がより望ましい。また、ゼオライト(A)、およびゼオライト(C)の被覆量は、ハニカム構造担体の容積に対して、いずれも10〜100g/Lとすることが好ましく、ゼオライト(A)は20〜50g/L、ゼオライト(C)は40〜90g/Lであることがより望ましい。被覆量が100g/Lを超えると、生産コストが上昇してしまい、10g/L未満では、炭化水素の選択性が低下し窒素酸化物の還元性能が低下する。また、多孔質無機酸化物(B)の被覆量は、10〜150g/Lが好ましく、40〜120g/Lがより好ましい。被覆量が150g/Lを超えると、生産コストが上昇してしまい、10g/L未満では、低温時、つまり排気ガス温度が適当な温度域に無いときにおける窒素酸化物の還元性能が低下する。
塗工した後、乾燥、焼成を行う事により脱硝触媒組成物が担持された一体構造型脱硝触媒が得られる。なお、乾燥温度は、100〜300℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。また、焼成温度は、300〜700℃が好ましく、さらには400〜600℃が好ましい。加熱手段については、電気炉やガス炉等の公知の加熱手段によって行う事ができる。
本発明の脱硝方法は、窒素酸化物を含む排気ガスに炭化水素系還元剤を混合し、200〜400℃の温度範囲で、前記脱硝触媒組成物又は一体構造型脱硝触媒と接触させることを特徴とする。
一方、ディーゼルエンジンを搭載した自動車からの排気ガスであれば、本発明の一体構造型脱硝触媒は、エンジンで発生した排気ガスがマフラーから排出されるまでの流路に設置される。その際の排気ガスの流速、並びに排気ガスの温度は走行条件によっても異なるが、空間速度は概ね40000〜200000/hrであり、排気ガスの温度は概ね150〜400℃である。本発明の脱硝方法は、このような空間速度域、温度域において浄化性能を発揮できる。なお、前記温度範囲150〜400℃とは、その範囲で本発明の顕著な効果が確認されることを意味している。
また、本発明において、排気ガスの温度が150℃より多少下がることがあっても、他の条件を最適化することで一定の脱硝効果を期待することができる。このことは今まで難しいとされていた、ディーゼル自動車の始動直後や低回転域など排気ガスが低温時においても浄化機能が得られるということである。
ここで、脱硝のために供給される炭化水素系還元剤は、排ガス管路中のノズルに圧送され噴霧されるように構成しているが、通常は燃焼機関の燃料として消費されるものであるから、排ガス管路中のノズルに圧送・噴霧するのではなく、燃焼機関中に一時的に多量の燃料を供給して未燃炭化水素を発生させ、それを還元剤として利用することもできる。
アルミナに塩化白金水溶液を含浸させた後で乾燥させた粉末に、鉄元素、セリウム元素でイオン交換されたβゼオライトと、MFI型ゼオライト、およびH−β型ゼオライトと水を加え、アルミナボールを用いてミリングしスラリー化した。このイオン交換されたβゼオライト中の鉄元素、セリウム元素の含有量は、それぞれ、酸化物換算で1.0wt%、酸化物換算で0.15wt%、イオン交換率は、それぞれ60%、20%であった。
=一体構造型脱硝触媒の製造=
このスラリーをウオッシュコート法により、5.66φ×3インチ(1249cc)、セル密度400/inch2のコーディエライト製フロースルー型ハニカム構造体にコーティングし、不要なスラリーをエアガンで吹き飛ばした後に乾燥後、下記焼成条件で焼成した。
このようにして得られた脱硝触媒組成物が被覆されたハニカム構造体を、下記エージング条件でエージング処理し、実施例1の一体構造型脱硝触媒を得た。表1に、この一体構造型脱硝触媒の組成を記す。
=焼成条件=
・焼成装置:電気炉
・焼成温度:450℃
・焼成時間:30分
=エージング条件=
・エージング装置:水熱耐久炉
・エージング雰囲気:10%H2O / 空気
・エージング温度:700℃
・エージング時間:20時間
実施例1における鉄元素とセリウム元素でイオン交換されたβゼオライトに代えて、鉄元素でイオン交換されたβゼオライトと、セリウム元素でイオン交換されたβゼオライトを用いた以外は、実施例1と同様にして脱硝触媒が被覆されたハニカム構造体を得た。表1に一体構造型脱硝触媒における材の組成を記す。
=測定条件=
・エンジン:2000ccディーゼルエンジン
・エンジン回転数:1500rpm
・空間速度:72000/hr
・評価温度:220℃
・軽油噴霧量:5cc/min
・軽油噴霧時間:5min
・測定装置:HORIBA製MEXA9500
このことから、本発明の脱硝触媒組成物は、軽油などを還元剤とした場合の脱硝触媒材料として優れた機能を発揮するもので、一体構造型脱硝触媒としてディーゼル機関等の排気ガス浄化に用いても優れた効果を発揮するといえる。
Claims (13)
- 炭化水素系還元剤によって排気ガス中の窒素酸化物を還元するのに用いられる、脱硝触媒組成物であって、
鉄元素及びセリウム元素を担持したゼオライト(A)と、貴金属元素の1種以上を担持した多孔質無機酸化物(B)とを含むことを特徴とする脱硝触媒組成物。 - 前記鉄元素及びセリウム元素の少なくとも一部が、イオン交換によってゼオライト(A)に担持されていることを特徴とする請求項1に記載の脱硝触媒組成物。
- 前記鉄元素の担持量が、酸化物換算で、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の脱硝触媒組成物。
- 前記セリウム元素の担持量が、酸化物換算で、0.05〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱硝触媒組成物。
- ゼオライト(A)が、βゼオライトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脱硝触媒組成物。
- 前記貴金属元素が、白金、パラジウム、またはロジウムから選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の脱硝触媒組成物。
- 多孔質無機酸化物(B)が、アルミナまたはシリカ−アルミナのいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の脱硝触媒組成物。
- さらに、MFI型、H−β型、A型、X型、Y型、またはMOR型ゼオライトから選ばれる一種以上のゼオライト(C)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の脱硝触媒組成物。
- 前記炭化水素系還元剤が、軽油またはガソリンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の脱硝触媒組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の脱硝触媒組成物を、ハニカム構造担体の表面に被覆してなる一体構造型脱硝触媒。
- 前記脱硝触媒組成物の被覆量が、ハニカム構造担体の容積に対して、80〜280g/Lであることを特徴とする請求項10に記載の一体構造型脱硝触媒。
- ゼオライト(A)、およびゼオライト(C)の被覆量が、ハニカム構造担体の容積に対して、いずれも10〜100g/Lであり、また、多孔質無機酸化物(B)の被覆量が、10〜150g/Lであることを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の一体構造型脱硝触媒。
- 窒素酸化物を含む排気ガスに炭化水素系還元剤を混合し、150〜400℃の温度範囲で、請求項1〜9のいずれかに記載の脱硝触媒組成物、又は請求項10〜12のいずれかに記載の一体構造型脱硝触媒と接触させることを特徴とする脱硝方法。
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