JP4448707B2 - 感光性平版印刷版 - Google Patents
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Description
例えば、印刷版を作製する方法として、付加重合可能なエチレン性2重結合を含む化合物(エチレン性不飽和結合含有化合物ともいう)と光重合開始剤、有機高分子化合物(バインダー、結合剤または重合体ともいう)、熱重合禁止剤からなる光重合性組成物を、支持体上に被膜層(光重合層、画像記録層、光重合性感光層または感光層ともいう)として設け、所望画像を像露光して露光部分を重合硬化させ、未露光部分を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法が一般的に使用されている。
これらの組成物の有機高分子として、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を用いることは、従来数多く知られている(例えば、特許文献1、2、3および4参照。)。
しかし、これらの従来の組成物の性能は十分と言えず、特に感度、硬化度、現像性、耐刷力の点で改良が望まれていた。
また、近年、光重合性感光材料を用いた高感度感材の研究が進み、種々の応用分野に適用されている。その中でも特にレーザー直接製版システムは実用化の領域に入り、アルゴンイオンレーザー(488nm)、FD−YAGレーザー(532nm)、バイオレットレーザー(405nm)で描画可能なCTP版が実用化されている(例えば、特許文献6、7および8参照。)。
しかし、特許文献6、7および8等に記載のCTP版は、感度、現像性、インキ着肉性、印刷での汚れ難さ、耐刷力の全ての性能を満足するものがなく、印刷版としてバランスの良い性能を有するものが望まれていた。
また、光重合層の塗布量及び増感色素の光学濃度を所定の値に調整することにより、感度、汚れ難さ、水上がりの見易さ、耐刷性の向上とともに、ベタ部横のカブリ抑制、露光ラチチュードが広くなることを見出し、本発明の感光性平版印刷版(第二の態様)に到達した。
(1)アルミニウムまたはアルミニウム合金板を少なくとも塩酸を含有する水溶液を用いて電気化学的に粗面化処理した後、陽極酸化処理をした支持体上に、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、増感色素、光重合開始剤、高分子バインダーを含有する光重合層を設けた感光性平版印刷版であって、該支持体が大小ピットの2重構造を有し、大ピットの
平均開口径が2〜10μmかつ小ピットの平均開口径が0.1〜0.8μm、小ピットの径と深さの比が小ピットの径:深さとして1:0.2〜1:0.6、下記式で表される表面積ΔSが40以下であり、光重合層の塗布質量が0.5〜2.0g/m 2 、光重合層の増感色素の光学濃度が0.2〜1.0の範囲にあり、光重合層の高分子バインダーが下記一般式(M1)で表されるアミド基を側鎖に有する有機高分子化合物及び少なくとも下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の化合物より合成されるポリウレタン樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする感光性平版印刷版(第一の態様)。
ΔS= (Sx−So)/So ×100%
(Sxは表面の50μm□を512×512点測定して求められる実表面積を、Soは幾何学的測定面積を表す。)
(i)少なくとも1種のジイソシアネート化合物、
(ii)少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物、
(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物、及び
(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物、
ただし、(iii)及び(iv)の化合物はカルボキシル基を有するジオール化合物を除く化合物である。
(4) 前記(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物における該logP値が、−8〜−1であり、かつ、前記(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物における該logP値が、2〜15であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
(5)前記ポリウレタン樹脂が、下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の化合物より合成され、酸価が0.6〜1.2meq/gのポリウレタン樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
(i)脂肪族ジイソシアネート化合物(下記式(1)においてLが脂肪族炭化水素基)の少なくとも一種、芳香族ジイソシアネート化合物(下記式(1)においてLが芳香族炭化水素基)の少なくとも1種の組み合わせである2種以上のジイソシアネート化合物、
(ii)少なくとも一種の下記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物、
(iii)logP値が−5〜−1.2の少なくとも1種のジオール化合物、及び
(iv)logP値が3〜10の少なくとも1種のジオール化合物。
式(1)中、Lはイソシアネート基と反応しない他の官能基を有していてもよい。
式(2)中、R 1 は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、L 10 、L 11 、L 12 はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。なおL 10 、L 11 、L 12 中にイソシアネート基と反応しない他の官能基を有していてもよく、R 1 、L 10 、L 11 、L 12 のうちの2または3個で環を形成してもよい。
(6)前記(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物が、下記式(A)、(B)、(C)、(D)または(E)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
式中、R 6 は水素原子またはメチル基を表す。ただし、式(A)においてはR 6 はメチル基を表す。また、Xは、以下の基を表す。
式中、a,b,c,d,e,f,gはそれぞれ2以上の整数を示す。
(7)前記(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物が、前記式(A)で表される化合物であり、かつaが15〜30を示すことを特徴とする上記(6)に記載の感光性平版印刷版。
(8)前記(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物が、下記一般式(A’)で表されるエチレングリコール化合物であることを特徴とする上記(1)〜(
7)のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
HO−(CH 2 CH 2 O) n −H (A’)(式中、nは4〜10を表す。)
以下、本発明の感光性平版印刷版について詳細に説明する。
本発明の感光性平版印刷版は、支持体上に光重合層を有し、必要により、支持体と光重合層の間に下塗り層、光重合層の上に保護層等を有する。
以下、本発明の感光性平版印刷版を構成する支持体及び各層について説明する。
本発明の感光性平版印刷版が有する支持体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金板を少なくとも塩酸を含有する水溶液を用いて電気化学的に粗面化処理した後、陽極酸化処理をした支持体であり、支持体構造は大小ピットの2重構造を有し、大ピットが2〜10μmかつ小ピットの平均開口径が0.1μm〜0.8μmである。即ち、大ピットの中に小ピットが存在する2重構造を有している。尚、第一の態様の感光性平版印刷版が有する支持体については、更に、小ピットの径と深さの比が0.2〜0.6である。
本発明においては大ピットが2〜10μmが望ましく、更には4〜8μmが望ましい。小ピットは、0.1〜0.8μmが望ましく、更には0.2μm〜0.6μmが望ましい。小ピットの径と深さの比は0.2〜0.6が望ましく、更には0.3〜0.5が望ましい。
ΔSは原子間力顕微鏡を用いて、表面の50μm□(50μm×50μm)を512×512点測定して求められる3次元データから得られ、40%以下であることを特徴とする。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)により表面形状を測定し、3次元データを求める。
測定は、例えば、以下の条件で行うことができる。即ち、感光性平版印刷版の支持体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用する。カンチレバーは共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのもの(SI−DF20、NANOPROBE社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求める。
計測の際は、表面の50μm□を512×512点測定する。XY方向の分解能は1.9μm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は60μm/secとする。
表面積比ΔSは、得られた実面積Sxと幾何学的測定面積Soとから、下記式により求められる。
<アルミニウム合金板(圧延アルミニウム)>
本発明に使用されるアルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分として微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウムがラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムの中から選ばれる。アルミニウム板に含まれる微量の異元素は、元素周期表に記載されているものの中から選択された、1種以上で、その含量は0.001質量%〜1.5質量%である。該アルミニウム合金に含まれる異元素の代表例には、ケイ素、鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、バナジウムなどがある。通常はアルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会)に記載の、従来より公知の素材のもの、例えばJIS A 1050材、JIS A 3103
材、JIS A 3005材、JIS A 1100材、JIS A 3004材または引っ張り強度を増す目的でこれらに5質量%以下のマグネシウムを添加した合金を用いることができる。
本発明の感光性平版印刷版のアルミニウム支持体の製造方法では、上記微量元素が多く含まれていても、塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化で均一な砂目形状(ハニカムピット)が得られる。また、Si成分が多く含まれていても、粗面化処理後に陽極酸化処理を施したときに、陽極酸化皮膜の欠陥が発生せず、印刷時に紙が汚れることもない。さらに、Cu成分が多く含まれても、ハニカムピットが生成しない部分の面積が少なく外観故障となることもない。
本発明においては、これらの処理の前に機械的粗面化処理を施すのも好ましい。また、各電気化学的粗面化処理を2回以上行ってもよい。また、塩酸を含有する水溶液を用いた電気化学的粗面化処理に加え、例えば硝酸を含有する水溶液を用いた電気化学的粗面化処理を組合わせても良い。また、これらの後に、陽極酸化処理、封孔処理、親水化処理などを施すのも好ましい。
処理および親水化処理のそれぞれについて、詳細に説明する。
また、最初にアルカリエッチング処理を行うときを、第1とし、異なる処理を行った後に再度行うときを第2とし、順次第n次とする。
デスマット処理も同様に、第1、第2、……、第n次という場合がある。なお、デスマット処理は、アルカリエッチング処理の後に行うのが好ましい。
本発明においては、機械的粗面化処理は電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。機械的粗面化処理によりアルミニウム板の表面積が増大する。
まず、アルミニウム板をブラシグレイニングするに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための脱脂処理、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。但し、圧延油の付着が少ない場合脱脂処理は省略することができる。
引き続いて、1種類または毛径が異なる少なくとも2種類のブラシを用いて、研磨スラリー液をアルミニウム板表面に供給しながら、ブラシグレイニングを行う。
該ブラシの好ましい毛径は、0.24〜0.83mmであり、更に好ましくは0.295〜0.72mmである。毛の断面形状は円が好ましい。毛径が0.24mmよりも小さいとシャドウ部での汚れ性能が悪くなり、0.83mmよりも大きいとブランケット上の汚れ性能が悪くなる場合がある。毛の材質はナイロンが好ましく、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10などが用いられるが、引っ張り強さ、耐摩耗性、吸水による寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性などでナイロン6・10が最も好ましい。
次にブラシローラの回転は好ましくは100rpmから500rpmで任意に選ばれる
。支持ローラはゴムあるいは金属面を有し真直度のよく保たれたものが用いられる。ブラシローラの回転方向は図4に示すようにアルミニウム板の搬送方向に順転に行うのが好ましいが、ブラシローラが多数本の場合は一部のブラシローラを逆転としてもよい。ブラシの押し込み量は、ブラシの回転駆動モーターの負荷で管理することが好ましく、回転駆動モーターの消費電力が1.0〜15kw、更に2〜10kwとなるように管理することが好ましい。
本発明に用いられる研磨スラリー液は、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、火山灰、軽石、カーボランダム、金剛砂などの平均粒子径1〜50μm(好ましくは20〜45μm)の研磨剤を、比重1.05〜1.3となるような範囲で水に分散させたものが好ましい。平均粒子径とは、スラリー液中に含まれる全研磨材の体積に対し、各径の粒子の占める割合の累積度数をとったとき、累積割合が50%となる粒子径をいう。
なお、機械的な粗面化後の中心線平均粗さ(Ra)は0.3〜1.0μmとなる様に処理されることが好ましい。
もちろんスラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写する方式などを用いても良い。その他の方式としては、特開昭55−074898号公報、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報などに記載されている。
第1アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。第1アルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、前記アルミニウム合金板(圧延アルミニウム)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜を除去することを目的として、また、機械的粗面化処理を行った場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、滑らかなうねりを持つ表面を得ることを目的として行われる。
アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
上記のアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが含まれる。塩基の水溶液を使用するとエッチング速度が早い。
1〜30質量%が好ましく、アルミニウムは勿論アルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜10質量%含有していてもよい。アルカリ水溶液としては、特に苛性ソーダを主体とする水溶液が好ましい。液温は常温〜95℃で、1〜120秒間処理することが好ましい。
アルミニウム板の化学的なエッチング量としては片側のアルミニウム板の溶解量が0.001〜30g/m2が好ましく、より好ましくは、1〜15g/m2であり、特に好ましくは、3〜12g/m2である。
酸性エッチング処理は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の後に行うのが好ましい。また、上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理の後に酸性エッチング処理を行うのも好ましい。
アルミニウム板に上記アルカリエッチング処理を施した後に、上記酸性エッチング処理を施すと、アルミニウム板表面のシリカを含む金属間化合物または単体Siを除去することができ、その後の陽極酸化処理において生成する陽極酸化皮膜の欠陥をなくすことができる。その結果、印刷時にチリ状汚れと称される非画像部に点状のインクが付着するトラブルを防止することができる。
また、酸性エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
化学的なエッチングをアルカリ水溶液を用いて行うと、一般にアルミニウムの表面にはスマットが生成するので、この場合にはリン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸でデスマット処理をする。酸性水溶液の濃度は0.5〜60質量%が好ましい。さらに酸性水溶液中にはアルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜5質量%溶解していても良い。
また、デスマット処理液として、電気化学的な粗面化処理で発生した廃液、陽極酸化処理で発生した廃液を用いることが特に好ましい。
ができる。
また、電気化学的な粗面化処理に用いる装置で、電極の溶解防止と粗面化形状のコントロールのために補助陽極槽を使用するとき、補助陽極槽をアルミニウム板に交流が流れて電気化学的粗面化処理を行う槽の前に持ってくる場合は、電気化学的な粗面化処理の前の酸性水溶液中でのデスマット工程を省略することもできる。
本発明における電気化学的な粗面化処理は、塩酸を主体とする水溶液中で特定条件下における電気化学的な粗面化処理に特徴がある。
これらの特定条件下における電気化学的な粗面化処理および陽極酸化処理、必要により、機械的粗面化処理、本明細書で説明する各表面処理を行うことにより、本発明の目的を達成することができる。
また、電気化学的な粗面化処理は複数回行ってもよいし、硝酸を主体とする水溶液中での電気化学的な粗面化処理を行った後塩酸を主体とする水溶液中での電気化学的な粗面化処理を行ってもよい。
以下、特定条件下における電気化学的な粗面化処理について説明する。
本発明でいう塩酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、5〜25g/Lの塩酸水溶液に、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの硫酸イオン、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなどの硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムなどの塩酸イオンを有する硫酸または塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/L〜飽和まで添加して使用することができる。また、銅、錯体を形成する化合物を1〜200g/Lの割合で添加することもできる。塩酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカなどのアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。
塩酸水溶液は、液温15〜50℃、塩酸を1〜10g/L含有する水溶液に、アルミニウム塩(塩化アルミニウム、AlCl3・6H2O)を10〜70g/Lの割合で添加してアルミニウムイオン濃度を5〜20g/Lにした水溶液であることが特に好ましい。このような塩酸水溶液を用いて電気化学的粗面化処理を行うと、該粗面化処理による表面形状が均一になり、低純度のアルミニウム圧延板(合金成分を多く含むアルミニウム板または合金成分を調製していないアルミニウム板)を使用しても、該粗面化処理による処理ムラが発生せず、平版印刷版としたときに優れた耐刷性および印刷性能(汚れ性能)を両立できる。
添加する塩化アルミニウム6水和物は、10〜70g/Lであるのが好ましく、20〜50g/Lであるのがより好ましく、35〜45g/Lであるのが特にましい。
塩化アルミニウム6水和物を添加した塩酸水溶液のアルミニウムイオン濃度は、1〜8g/Lであるのが好ましく、2〜6g/Lであるのがより好ましく、4〜5g/Lであるのが特に好ましい。
塩酸を主体とする水溶液中への添加物、装置、電源、電流密度、流速、温度としては公知の電気化学的な粗面化に使用するものが用いることができる。電気化学的な粗面化に用いる電源は交流または直流が用いられるが、交流が特に好ましい。塩酸を主体とする水溶
液中での電気化学的な粗面化でアルミニウム板が陽極反応にあずかる電気量は、電気化学的な粗面化処理が終了した時点で、10〜1000C/dm2の範囲から選択でき、20〜80C/dm2が好ましく、25〜60C/dm2が特に好ましい。
硝酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、1〜100g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなどの硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムなどの塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/L〜飽和まで添加して使用することができる。また、銅、錯体を形成する化合物を1〜200g/Lの割合で添加することもできる。硝酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカなどのアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。
液温15〜90℃、硝酸を5〜15g/L含有する水溶液にアルミニウム塩(硝酸アルミニウム)を添加してアルミニウムイオンを3〜50g/Lにした水溶液であることが特に好ましい。硝酸を主体とする水溶液中への添加物、装置、電源、電流密度、流速、温度としては公知の電気化学的な粗面化に使用するものが用いることができる。電気化学的な粗面化に用いる電源は交流または直流が用いられるが、交流が特に好ましい。硝酸を主体とする水溶液中での電気化学的な粗面化でアルミニウム板が陽極反応にあずかる電気量は、電気化学的な粗面化処理が終了した時点で、10〜1000C/dm2の範囲から選択でき、30〜500C/dm2が好ましく、45〜300C/dm2が特に好ましい。
電気化学的な粗面化処理とは、酸性水溶液中で、アルミニウム板とこれに対向する電極との間に、直流または交流を加えて電気化学的に粗面化処理することをいう。本発明では、交流が特に好ましいが、該交流は単相、二相、三相などのいずれでもよい。また、交流と直流とを重畳した電流を用いることもできる。
電解処理槽は公知のものが何れも使用でき、電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能である。電解処理槽は複数個設けても良い。また、酸またはアルカリ水溶液中でのエッチング処理、酸性水溶液中でのデスマット処理、酸または中性塩水溶液中でのアルミニウム板のカソード電解処理などを挟んで電気化学的な粗面化処理を繰り返し行っても良い。
アルミニウム板への給電方式はコンダクタロールを用いた直接給電方式またはコンダクタロールを用いない液給電方式(間接給電方式)を用いることができる。電解槽内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラレルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個以上の交流電源が接続することができる。間接給電方式を用いるときは、特公平6−37716号公報、特公平5−42520号公報に記載の補助陽極を用いた方法で、アルミニウム板に加わる陽極時の電気量と陰極時の電気量の比を調整することが好ましい。補助陽極に流れる電流はサイリスタ、ダイオード、GTOなどの整流素子を用いて制御することが特に好ましい。特公平6−37716号公報に記載の方法を用いれば、電気化学的な粗面化反応が行われる主極のカーボン電極に対向するアルミニウム板表面における交流電流の陽極時の電気量と陰極時の電気量(電流値)を容易に制御できる。また、電源装置制作上も変圧器の偏磁の影響も小さく非常にコスト的に有利である。
アルミニウムウェブと電極の距離は5〜100mm、特に8〜15mmが特に好ましい。この距離を一定に保つために特公昭61−30036号公報に記載の、走行するウェブを摺動しうる面に静圧を利用してウェブを摺動面に圧接させつつ走行させる方式が用いられる。または特開平8−300843号公報に記載のように直径の大きなローラーを用いて電極とアルミニウム板の距離を一定に保つ方法も用いることができる。
アルミニウム板がコンダクタロールに接する長さは、アルミニウム板の進行方向に対して1〜300mmが好ましい。アルミニウム板を挟んでコンダクタロールに対向するパスロールはゴム製のロールであることが好ましい。押しつけ圧、ゴムロールの硬度はアークスポットの発生しない条件で任意に設定する。コンダクタロールをアルミニウム板の上面に設置することで、コンダクタロールの交換作業・点検作業が簡単になる。コンダクタロールの端部には給電ブラシを回転体に摺動させながら通電する方式を用いるのが好ましい。
アルミニウム板に押しつけられたコンダクタロールにはアークスポットの発生を防止するために常に電気化学的な粗面化に用いる電解液と同じ組成、同じ温度の電解液により常に冷却する事が好ましい。電解液の中に異物が入るとアークスポットの原因になりやすいので、冷却に用いるスプレーに濾布などを巻いたり、スプレー管の上流側の配管にメッシュの細かいフィルターを入れるなどする事が好ましい。
電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形は、サイン波、矩形波、台形波、三角波などを用いることができるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。周波数は0.1〜500Hzが好ましく、40〜120Hzが更に好ましく、45〜65Hzが特に好ましい。
台形波を用いる場合は、電流が0からピークに達するまでの時間tpは0.1〜2msecが好ましく、0.2〜1.5msecが特に好ましい。電源回路のインピーダンスの影響のため、tpが0.1msec以上であると電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が不要となり、電源の設備コストを低くすることができる。2msec以下であると、電解液中の微量成分の影響を受け難くなり均一な粗面化が行われ易くなる。電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイクルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間taが交流の周期Tに占める割合(本発明において「duty」という。)ta/Tは、0.33〜0.66が好ましく、0.45〜0.55が更に好ましく、0.5が特に好ましい。
アルミニウム合金板の表面には、カソード反応時に、水酸化アルミニウムを主体とする
酸化皮膜が生成し、更に、酸化皮膜の溶解や破壊が生じることがある。
そして、酸化皮膜の溶解や破壊が生じると、溶解や破壊が生じた部分は、次のアルミニウム合金板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始点となる。
したがって、交流のdutyの選択は均一な電解粗面化処理を行う点で、特に重要である。
電解粗面化処理を主極のアソード電流を分流する補助電極を有する交流電解槽を用いて行う場合には、特開昭60−43500号公報および特開平1−52098号公報に記載されているように、補助電極に分流するアノード電流の電流値を制御することにより、Qc/Qaを制御することができる。
電流密度は台形波のピーク値で電流のアノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10〜200A/dm2が好ましい。Ia/Icは0.5〜3の範囲にあることが好ましい。
本発明で交流を用いた電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載のようなラジアル型電解槽またはフラット型が特に好ましい。電極はカーボンを主電極とし、補助陽極としてフェライトを用いることが特に好ましい。
また、交流電解槽を複数台直列に配設した電解粗面化処理装置も好適に用いることができる。
また、補助電極を有する電解槽の入口(液面)と主極を有する電解槽の入口(液面)までの距離があまり長いと塩酸の化学的な溶解反応でアルミニウム板中の金属間化合物が溶解して深い穴となり、その部分の感光層が厚塗りとなって印刷時のムラとなる。そのためアルミニウム板が補助電極を有する電解槽の入口(液面)から主極を有する電解槽の入口(液面)までの時間を3秒以下とすることが好ましい。
01〜20秒とするのが好ましい。より好ましくは0.1〜15秒、更に好ましくは1〜12秒である。
しつつ三相の交流(以下「三相交流電流」ともいう。)印加して電解粗面化処理を施す電解粗面化処理装置である。
主極4A、4Bおよび4Cは、それぞれ三相の交流を発生させる交流電源TacのU端子、V端子およびW端子に接続されている。したがって、主極4A、4Bおよび4Cに印加される交流は、位相が120°づつずれている。
アルミニウムウェブWは、導入ローラ8Aによって交流電解槽2の内部に導入され、搬送ローラ6Aおよび6Bによって搬送方向aに沿って一定速度で搬送される。
交流電解槽2の内部において、アルミニウムウェブWは、主極4A、4Bおよび4Cに対して平行に移動するとともに、主極4A、4Bおよび4Cから交流を印加される。これにより、アルミニウムウェブWにおいて、アノード反応とカソード反応とが交互に起き、アノード反応が起きているときには主にハニカムピットが生じ、カソード反応が起きているときには主に水酸化アルミニウムの皮膜が生じて、表面が粗面化される。
主極4A、4Bおよび4Cに印加される交流は、上述したように位相が120°ずつずれているから、主極4Bにおいては、主極4Aの位相(U相)よりも120°遅れた位相(V相)でアノード反応とカソード反応とが繰り返され、主極4Cにおいては、主極4Bよりも120°遅れた位相(W相)でアノード反応とカソード反応とが繰り返される。
したがって、アルミニウムウェブWにおいては、周波数の同一の単相の交番波形電流を印加した場合に比べて、3倍の頻度でアノード反応とカソード反応とが繰り返されるから、高い搬送速度および電流密度で電解粗面化処理を行う場合においても、幅方向の縞であるチャタマークが生じにくい。
補助電解槽10は、上面が開放された箱型であり、底面近傍に、アルミニウムウェブWの搬送面Tに対して平行に板状の補助電極12が設けられている。
補助電解槽10の上流側壁面の近傍と下流側壁面の近傍とには、アルミニウムウェブWを補助電極12の上方において搬送する搬送ローラ14Aおよび14Bが配設されている。また、補助電解槽10の上方における上流側には、アルミニウムウェブWを補助電解槽10の内部に導入する導入ローラ16Aが設けられ、補助電解槽10の上方における下流側には、補助電解槽10内部を通過したアルミニウムウェブWを外部に導出する導出ローラ16Bが設けられている。補助電解槽10内部には、上述した酸性水溶液が貯留されて
いる。
電解粗面化処理装置104は、酸性水溶液が貯留される交流電解槽本体22を備える交流電解槽20と、交流電解槽本体22内部に収容され、水平方向に伸びる軸線の周りに回転可能に配設され、アルミニウムウェブWを、図3における左方から右方に向かって、搬送方向aで送る送りローラ24とを備えている。交流電解槽本体22内部には、上述した酸性水溶液が貯留されている。
交流電解槽本体22の内壁面は、送りローラ24を囲むように略円筒状に形成されており、前記内壁面上には、半円筒状の主極26Aおよび26Bが送りローラ24を挟んで設けられている。主極26Aおよび26Bは、複数の小電極に分割され、それぞれの小電極の間には、絶縁性のスペーサーが介装されている。小電極は、例えば、グラファイトや金属を用いて形成することができ、スペーサーは、例えば、塩化ビニル樹脂により形成することができる。スペーサーの厚さは1〜10mmであるのが好ましい。また、図3においては簡略的に示したが、主極26Aおよび26Bのいずれにおいても、スペーサーにより分割された小電極のそれぞれが交流電源Tacに接続されている。
交流電解槽20の上方における開口部22A近傍には、アルミニウムウェブWを交流電解槽本体22内部に案内する一群の上流側案内ローラ30Aと、交流電解槽本体22内で電解粗面化処理されたアルミニウムウェブWを外部に案内する一群の下流側案内ローラ30Bとが配設されている。
補助電解槽34は、交流電解槽本体22よりも浅く、底面34Aが平面状に形成されている。そして、底面34A上には、円柱状の補助電極36が複数本設けられている。補助電解槽34内部には上述した酸性水溶液が貯留されている。
補助電極36は、白金などの高耐食性の金属、フェライトなどにより形成されているの
が好ましい。また、補助電極36は板状であってもよい。
補助電極36は、交流電源Tacにおける主極26Aが接続される側に、主極26Aに対して並列に接続され、中間には、サイリスタTh4が点弧時に交流電源Tacにおける前記側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続されている。
また、交流電源Tacにおける主極26Bが接続された側も、サイリスタTh5を介して補助電極36に接続されている。サイリスタTh5も、点弧時に交流電源Tacにおける主極26Bが接続された側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続されている。
サイリスタTh4およびTh5のいずれを点弧したときも、補助電極36にはアノード電流が流れる。したがって、サイリスタTh4およびTh5を位相制御することにより、補助電極36に流れるアノード電流の電流値を制御することができ、したがって、Qc/Qaの値も制御することができる。
図3における左方から、アルミニウム合金板Wは、まず、上流側案内ローラ35によって補助電解槽34内に案内され、次いで上流側案内ローラ30Aによって交流電解槽本体22に案内される。そして、送りローラ24によって図3における左方から右方に向かって送られ、下流側案内ローラ30Bによって導出される。
交流電解槽本体22および補助電解槽34の内部において、アルミニウムウェブWは、主極26Aおよび26Bに印加された交流電流と、補助電極36に印加されたアノード電流とにより、主極26Aおよび26Bに面する側の表面が粗面化され、ほぼ均一なハニカムピットが形成される。
各粗面化処理に用いた液(廃液)は可能な限りリサイクルすることが好ましい。アルミニウムイオンが溶けた苛性ソーダ水溶液では晶析法によるアルミニウムと苛性ソーダの分離を行うことができる。アルミニウムイオンが溶けた硫酸水溶液、硝酸水溶液または塩酸水溶液では電気透析法やイオン交換樹脂による硫酸または硝酸の回収を行うことができる。
アルミニウムイオンが溶けた塩酸水溶液では特開2000−282272号公報に記載されているような蒸発による回収を行うこともできる。
本発明では、電気化学的粗面化処理で用いた電解液の廃液をデスマット処理(第1、第2および第3デスマット処理)に用いるのが好ましい。
また、電気化学的な粗面化処理、または、陽極酸化処理の前に行うデスマット処理は、デスマット処理の後に行う粗面化処理または陽極酸化処理と同じ種類の液を用いることが好ましく、同じ組成の液を用いることが特に好ましい。そうすることで、デスマット処理とその次の工程の間に設ける水洗工程を省略することができ、設備の簡素化と廃液量の低減が可能となる。
第1電気化学的粗面化処理の後で第2電気化学的粗面化処理の前に第2アルカリエッチング処理を行うのが好ましい。この処理により第2電気化学的粗面化処理を均一に行うことができ、かつ、アルミニウム板の表面形状が均一で耐刷性および印刷性能に優れた平版印刷版が得られる。
また、第2電気化学的粗面化処理の後で陽極酸化処理の前に第3アルカリエッチング処理を行うのが好ましい。この処理により第2電気化学的粗面化処理で生成したスマット成分(水酸化アルミニウムが主成分)を除去でき、かつ、アルミニウム板の表面形状が均一で耐刷性および印刷性能に優れた平版印刷版が得られる。
第2アルカリエッチング処理および第3アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム
合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。アルカリの種類、アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法およびそれに用いる装置は、第1アルカリエッチング処理の場合と同様のものが挙げられる。
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、0.01〜80質量%であるのが好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜60秒であるのが好ましい。
第2アルカリエッチング処理においては、アルミニウム板(電解粗面化処理を施した面)の溶解量は、好ましくは、0.001〜30g/m2であり、より好ましくは、0.1〜2g/m2であり、特に好ましくは、0.1〜0.6g/m2である。
第3アルカリエッチング処理においては、アルミニウム板(電解粗面化処理を施した面)の溶解量は、好ましくは、0.001〜30g/m2であり、より好ましくは、0.1〜4g/m2であり、特に好ましくは、0.2〜1.5g/m2である。
第2アルカリエッチング処理の後に第2デスマット処理を行うのが好ましい。第2電気化学的粗面化処理をより均一に行うことができる。
また、第3アルカリエッチング処理の後に第3デスマット処理を行うのが好ましい。第3アルカリエッチング処理で発生した水酸化物を除去でき、かつ、印刷時に支持体と感光層の密着性が高い平版印刷版が得られる。
第2デスマット処理および第3デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム合金板をリン酸、塩酸、硝酸、硫酸などの濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる方法は、第1デスマット処理の場合と同様のものが挙げられる。
第2デスマット処理および第3デスマット処理においては、酸性溶液として、後述する陽極酸化処理において排出させる硫酸溶液の廃液を用いるのが好ましい。また、該廃液の代わりに、硫酸濃度が100〜600g/L、アルミニウムイオン濃度が1〜10g/Lであり、液温が60〜90℃である硫酸溶液を用いることもできる。
第2デスマット処理および第3デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、第2デスマット処理および第3デスマット処理の処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。第2デスマット処理および第3デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるものでも使用することができる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用いられる。
それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質によって変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜300秒の範囲にあれば適当である。硫酸法は通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2の範囲が適当である。1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷がつきやすくなって、同時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる傷汚れが生じやすくなることがある。また、陽極酸化皮膜量が多くなると、アルミニウムエッチ部分へ酸化皮膜が集中しやすくなるので、アルミニウム板のエッチの部分と中心部分の酸化皮膜量の差は、1g/m2以下であることが好ましい。
液温は15〜60℃が好ましい。直流法を用いるとき、電流密度1〜60A/dm2、特に4〜40A/dm2が好ましい。連続的にアルミニウムシートを陽極酸化する場合は、アルミニウム板の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐために最初5〜10A/dm2の低電流密度で陽極酸化処理を行い、後半に行くに従い徐々に電流密度を上げて30〜50A/dm2になるまで、あるいはそれ以上に電流密度を設定することが特に好ましい。電流密度は5〜15ステップで徐々に上げることが好ましい。各ステップごとには独立した電源装置を持ち、この電源装置の電流値で電流密度をコントロールする。給電方法はコンダクタローラを用いない液給電方式が好ましい。特開2001−11698号公報にはその一例が示されている。
硫酸濃度 100〜200g/L(更に130〜180g/L)
アルミニウムイオン濃度 2〜10g/L(更に3〜7g/L)
液温 15〜40℃(更に33〜38℃)
(その2)
硫酸濃度 50〜125g/L(更に80〜120g/L)
アルミニウムイオン濃度 2〜10g/L(更に3〜7g/L)
液温 40〜70℃(更に50〜60℃)
である。
直接給電方式はライン速度30m/min以下の比較的低速・低電流密度の陽極酸化装置で、間接給電方式はライン速度30m/minを越える高速・高電流密度の陽極酸化装置で用いられることが多い。
間接給電方式は、連続表面処理技術(総合技術センター、昭和61年9月30日発行)の289頁にあるように、山越型またはストレート型の槽レイアウトをも用いることができる。高速・高電流密度になるとコンダクタロールとアルミニウムウェブ間のスパーク発生の問題が発生するため、直接給電ロール方式は不利である。
直接給電方式を用いる場合は、コンダクタロールはアルミニウム製のものを用いるのが
一般的である。ロールの寿命を長くするために、特公昭61−50138号公報に記載されているような、工業用純アルミニウムを用いて鋳造したのち、高温均質化処理を施してAl−Fe系晶出物をAl3Feの単一層として耐食性を向上させたものを用いることが特に好ましい。
陽極酸化処理工程においては大電流を流すため、ブスバーに流れる電流により発生する磁界により、アルミニウム板にローレンツ力が働く。その結果ウェブが蛇行する問題が生じるため、特開昭57−51290号公報に記載されているような方法を用いることが特に好ましい。
また、陽極酸化皮膜はアルミニウム板の幅方向で生成量が異なり、エッチに近づくほど生成量が多くなり厚さが厚くなる。その結果巻き取り装置にてアルミニウム板をうまく巻き取れない問題が生じる。これを解決するには、特公昭62−30275号公報または特公昭55−21840号公報に記載の方法で液流を撹拌することにより解決できる。その方法においても不十分な場合は、アルミニウム板の巻き取り装置を0.1〜10Hzの周期で5〜50mmの振幅でアルミニウムウェブの幅方向にオシレートさせて巻き取る方法を併用して用いることが特に好ましい。
親水化処理は、平版印刷版用アルミニウム支持体の製造に一般的に用いられる公知の親水化処理を用いることができるが、アルカリ金属ケイ酸塩で処理するのが好ましく、以下に詳細に説明する。
陽極酸化処理された支持体は、水洗処理された後、現像液への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感光層成分の残膜抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮膜の親水性向上、感光層との密着性向上などを目的に、以下のような処理を行うことができる。そのひとつとしては
陽極酸化皮膜をアルカリ金属のケイ酸塩水溶液と接触させて処理するシリケート処理が挙げられる。この場合、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は通常0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜5質量%であり、25℃でのpHが通常10〜13.5である水溶液に5〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒間接触させる。接触させる方法は、浸せきでもスプレーによる吹き付けでも、いかなる方法によってもかまわない。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液はpHが10より低いと液はゲル化し、13.5より高いと陽極酸化皮膜が溶解されてしまう場合がある。
Si付着量としては1.0〜12.0mg/m2付着させることが望ましい。2.0から9.0mg/m2がより望ましい。1.0mg/m2以上であると感度が良好になり、12.0mg/m2以下であると耐刷性、バーニング耐刷性が良好となる。
X線管球 :Rh
測定スペクトル :Si−Kα
管電圧 :50kV
管電流 :50mA
スリット :COARSE
分光結晶 :RX4
検出器 :F−PC
分析面積 :30mmφ
ピーク位置(2θ) :144.75deg.
バックグランド(2θ) :140.70deg.,146.85deg.
積算時間 :80秒/sample
他には、各種封孔処理も挙げられ、一般的に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知られている。水蒸気封孔、沸騰水(熱風)封孔、金属塩封孔(クロム酸塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ土類塩などによる)などを用いる事ができるが、印刷用支持体としての性能(感光層との密着性や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性などの面から水蒸気封孔が比較的好ましい。その方法としては、例えば特開平4−176690号公報にも記載されている加圧または常圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70%以上・蒸気温度95℃以上
で2秒〜180秒程度陽極酸化皮膜に接触させる方法などが挙げられる。他の封孔処理法としては、支持体を80〜100℃程度の熱水またはアルカリ水溶液に浸漬または吹き付け処理する方法や、これに代えるか、あるいは引き続き、亜硝酸溶液で浸漬または吹き付け処理することができる。亜硝酸溶液に含有する亜硝酸塩などの例としては、例えばLiO2、NaNO2、KNO2、Mg(NO2)2、Ca(NO2)2、Zn(NO3)3、Al(NO2)3、Zr(NO2)4、Sn(NO2)3、Cr(NO2)3、Co(NO2)2、Mn(NO2)2、Ni(NO2)2などが好ましく挙げられ、特にアルカリ金属硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩などは2種以上併用することもできる。
アルミニウム板を酸またはアルカリ水溶液中での処理、または研磨剤を用いて機械的に粗面化した後には、薬液や研磨剤をアルミニウム板表面から除去する目的で洗浄工程を設けるのが常法である。
洗浄は薬液の種類、組成の異なる処理槽の中間に設けるのが普通であるが、処理槽から洗浄工程に入る時間、または、洗浄から次の処理槽に入るまでの時間は10秒以下が好ましく、0.1〜10秒が特に好ましい。10秒以下であれば表面の化学的な変性が進まず、処理ムラが発生し難くなる。
また水洗工程を挟んだ処理槽と処理槽の間隔は、アルミニウムウェブの通過時間で15秒以下、特に5秒以下が好ましい。15秒以下であると表面の化学的な変性が進まず次工程で均一な粗面化処理が行われ易くなる。
アルミニウム板を洗浄するにあたっては、以下の方法を用いることが好ましく、排水量を減少させるという目的で、ドライアイスパウダーを用いた水洗方式が好ましい。
平版印刷版用アルミニウム支持体の洗浄方法としては、ニップローラーにて液切りした表面を、スプレーチップから噴射した水を用いて洗浄する方法を用いるのが一般的である。水はアルミニウム板の走行方向の下流に向かって45〜90度の角度で噴射することが好ましい。水の噴射圧力は、噴射ノズル直前の圧力で、通常0.5〜5kg/cm2、液温は10〜80℃が好ましい。走行するアルミニウム板の移動速度は20〜200m/minであることが好ましい。アルミニウム板に吹き付けられる水の液量は、一つの洗浄工程で0.
1〜10L/m2の液量が吹き付けられることが好ましい。一つの洗浄槽には、アルミニウム板の表面に最低2本以上、裏面に最低2本以上のスプレー管から洗浄水が噴射される。一つのスプレー管にはピッチ50〜200mmの間隔でスプレーチップが5〜30本設置される。スプレーチップの噴霧角度は10〜150度、アルミニウム板とスプレーチップ噴射面の間隔は10〜250mmが好ましい。スプレーチップの噴霧の断面形状(スプレーパターン)は環状、円形、楕円形、正方形、長方形などがあるが、円形・楕円形または正方形・長方形が好ましい。流量分布(アルミニウム板の表面における噴霧の水量分配状態)は環状分布、均等分布、山型分布などがあるが、スプレーチップをスプレー管に複数並べて使用するときは、幅全域での均一な流量分布を容易にする山型分布が好ましい。流量分布は噴霧圧力とスプレーチップとアルミニウム板の距離により変化する。噴霧の粒子径はスプレーチップの構造、噴霧圧力、噴霧量によって変わるが、10〜10000μm、特に100〜1000μmが好ましい。スプレーノズルの材質は高速で流れる液体に対して耐摩耗性があることが好ましい。その材質は真鍮、ステンレス、セラミックなどが用いられるが、セラミックノズルが特に好ましい。
水洗処理工程を通過する洗浄時間は、工業的に10秒以下が好ましく、特に好ましくは0.5〜5秒が好ましい。
ドライアイスパウダーをアルミニウム板の両面に噴射して洗浄する方法には、特開平10−66905号公報に記載されているような公知のショットブラスト装置を用いることができる。噴射ノズルは特開平10−28901号公報、特開平10−28902号公報に記載されているような公知の噴射ノズルをアルミニウム板の両面に複数個並べることができる。噴射ノズルは横一直線に配置しても良いが、アルミニウム板表面の噴射パターンがアルミニウム板の巾方向で重なるように斜めに設置することが好ましい。噴射ノズルとアルミニウム板の間隔は1〜100mmが好ましく、特に10〜50mmが好ましい。
また、パウダー状のドライアイスを製造する方法は実開平7−38104号公報に記載されているような製造装置を用いることができる。噴射用の気体はGN2ガス、または空気を用いることができる。パウダー状のドライアイスは1〜1000μmであり、その平均粒径は10〜100μmが好ましい。噴射ノズル一個あたりのLCO2(液化炭酸ガス)供給量は0.1〜1kg/minが好ましく、その供給圧力は1〜20MPaが好ましい。アルミニウム板での洗浄圧力は1〜20MPaが好ましい。
ロールは、表面にメッキ処理またはライニング処理された公知の鉄鋼、メッキ、電解コンデンサ、PS板などの連続生産ラインに用いる金属ロール、樹脂ロール、ゴムロール、不織布ロールから選定して用いることができる。
ロールの材質、表面の物性値は薬液やそのときのアルミニウム表面の状態に応じて耐食性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性などを考慮して選定する。金属ロールではハードクロムメッキロールが一般的に用いられる。ゴムロールでは天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴムなどは勿論それらに微量の添加物を添加したものを用いる事ができる。ゴムロールの硬度は60〜90が特に好ましい。
していないアルミニウム板)を用いた場合であっても、表面の凹凸が均一な平版印刷版用アルミニウム支持体を得ることができる。また、本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法により得られた平版印刷版用アルミニウム支持体は、後述するように感光層を設け感光性平版印刷版とすると、これを製版して平版印刷版としたときに、印刷性能に優れ、かつ、耐刷性に優れる。
本発明においては、上記のようにして得られた支持体上に、感光層を設ける前に、必要に応じて、例えば、ホウ酸亜鉛などの水溶性金属塩のような無機下塗層や、有機下塗層を設けてもよい。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2であるのが好ましく、5〜
100mg/m2であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性がより良好になる。
本発明の感光性平版印刷版に用いる光重合層を構成する光重合型感光性組成物は、高分子バインダー(結合剤)、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤(系)を必須成分とし、必要に応じ、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を併用することができる。
高分子バインダーとしては、光重合層に用いられる光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、アルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用される。該有機高分子重合体は、例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭54-92723号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、
部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
高分子バインダーは感光層用組成物中に任意な量を混和させることができる。特に90質量%以下であれば、形成される画像強度等の点で好ましい結果を与える。好ましくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。
また、光重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物と高分子バインダーは、質量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましくは3/7〜7/3である。
アミド基を側鎖に有する有機高分子化合物(以降、アミド基含有高分子バインダーともいう)は、アミド基を側鎖に有する、実質的にアルカリ水に可溶性である高分子バインダーである。
該アミド基含有高分子バインダーは重量平均分子量で1万〜100万であるものが好ましい。このアミド基含有高分子バインダーは側鎖にアミド基を有するラジカル重合性化合物又は側鎖にアミド基を有するラジカル重合性化合物と他の重合性化合物とを通常のラジカル重合法によって製造可能であり、一般的に懸濁重合法あるいは溶液重合法などを用いる。
側鎖アミド基の効果としては、アミド基の水素結合性の性質により、高分子間の凝集が強化され、強靭な被膜となるので、光重合後の画像強度が高くなり印刷での耐刷性が向上する。さらにアミド基の親水的性質により、現像性に優れた光重合性組成物を与えることができる。
アミド基含有高分子バインダーは、好ましくは下記一般式(M1)で表されるアミド基を側鎖に有するポリマーであり、より好ましくは、更に下記一般式(M2)で表されるアルケニル含有基を含有するアミド基含有高分子バインダーであり、さらに好ましくは下記一般式(M2)で表されるアルケニル含有基とともにカルボキシル基を側鎖に有するアミド基含有高分子バインダーである。
ii)一般式(M2)の基を含有するラジカル重合性化合物、
iii)カルボキシル基を含有するラジカル重合性化合物
好ましくは20〜80モル%、iii)3〜30モル%、より好ましくは5〜25モル%である。
キシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3 H)およびその共役塩基基(スルホナト基と称す)、
ルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO3 H2 )およびその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3 (alkyl )2:alkyl=アルキル基、以下同)、ジアリールホスホノ基(−PO3 (aryl)2 :aryl=アリール基、以下同)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl )(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3 (alkyl ))およびその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3 H(aryl))およびその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO3 H2 )およびその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3 H(alkyl )2 )、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3 (aryl)2 )、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3 (alkyl )(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3 H(alkyl))およびその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3 H(aryl))およびその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
ルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。このような置換基とアルキレン基を組み合わせることで得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。次に、R1〜R7としてのアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
リール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基おけるアシル基(R07CO−)のR07は前述のとおりである。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
このような共重合体の具体例については後記合成例で示す。
また光重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物と全高分子バインダーは、質量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましくは3/7〜7/3である。
次に、ポリウレタン樹脂について説明する。
高分子バインダーとしてのポリウレタン樹脂は、少なくとも下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の化合物より合成されるポリウレタン樹脂バインダーである。このようなポリウレタン樹脂バインダーは、少なくとも下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の化合物からなるポリウレタン構造を有するものである。
(i)少なくとも1種のジイソシアネート化合物、
(ii)少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物、
(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物、及び
(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物。
ただし、(iii)及び(iv)の化合物はカルボキシル基を有するジオール化合物を除く化合物である。
これを用いることにより、低い感光層酸価であっても未露光部の現像性を低下させることなく、露光部の現像ダメージを抑制することができ、良好な汚れ性と高い耐刷性を兼ね備えることができる。
ジイソシアネート化合物としては、式(1)で表されるジイソシアネート化合物が挙げられる。
より具体的にはLは、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの
二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環式ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐刷性と汚れ性のバランスの点で、2種以上を組み合わせて用いるのが好ましく、芳香族ジイソシアネート化合物(Lが芳香族基)と脂肪族ジイソシアネート化合物(Lが脂肪族基)をそれぞれ少なくとも1種ずつ用いることが特に好ましい。
ジイソシアネートの使用量は、ジオール化合物に対してモル比で好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1である。ジイソシアネート化合物をジオール化合物に対して過剰に用い、ポリマー末端にイソシアネート基が残存するような場合には、ウレタン化反応終了後にアルコール類またはアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成されることが好ましい。
少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物としては、式(2)、(3)、(4)のジオール化合物および/または、テトラカルボン酸2無水物をジオール化合物で開環させた化合物が挙げられる。カルボン酸2無水物を開環させるために使用されるジオール化合物としては、後述する(iii)または(iv)として記載されるジオール化合物を使用することができる。
ていてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。
L10、L11、L12はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L10、L11、L12中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なおR1、L10、L11、L12のうちの2または3個で環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
ノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
(iii)及び(iv)のジオール化合物におけるlogP値とは、(iii)及び(iv)のジオール化合物におけるlogP値とは、C.Hansch,A.Leo,"Substituent Constants for CorrelationAnalysis in Chemistry and Biology",J.Wile&Sons,1979に記載の疎水性パラメータとして一般的に使用されるものであり、後述する現像液中の非イオン性化合物に関して記載したものと同じ定義を有し、同様に既知データから計算できる値である。
さらに、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が27以上100以下)、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が22以上100以下)、水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が23以上100以下)、水添ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が18以上100以下)も用いることができる。logP値が0未満のジオール化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、印刷版の安定性(感度、耐刷性など)の点で、単独で用いることが好ましい。
logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物のポリウレタン樹脂バインダー中における含有量は、用いるジオール化合物のlogP値、他のジオール成分として何を用いるか、得られるポリウレタン樹脂バインダーの酸価や分子量、現像液の組成やpH等によって適宜選択されるが、好ましくは1〜45モル%、より好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは10〜35モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。
logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物としては、logP値が0より大きいものであれば特に制限なく用いることができる。ただし、logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物には、カルボキシル基を有するジオール化合物を含まれない。
具体的には、1,2−プロピレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、平均分子量400のポリプロピレングリコール、平均分子量700のポリプロピレングリコール、平均分子量1000のポリプロピレングリコール、平均分子量2000のポリプロピレングリコール、平均分子量3000のポリプロピレングリコール、平均分子量4000のポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が26以下)、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が21以下)、水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が22以下)、水添ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が17以下)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエ
チル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
このようなジオール化合物としては、以下に示すものが含まれる。
HO−L6−O−CO−L7−CO−O−L6−OH (11)
HO−L7−CO−O−L6−OH (12)
応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基などを有していてもよい。なおL6、L7で環を形成してもよい。
CONH2、−COOR、−OR、(ここで、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアリ−ル基、アラルキル基を示す。)などの各基を置換基として有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
式(16)で示されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
また、下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
HO−L8−NH−CO−L9−CO−NH−L8−OH (19)
HO−L9−CO−NH−L8−OH (20)
HO−Ar2−(L16−Ar3)n−OH (21)
HO−Ar2−L16−OH (22)
炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
nは0〜10の整数を示す。
また式(21)または(22)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物由来の構造のウレタン樹脂バインダー中における含有量は、用いるジオール化合物のlogP値、他のジオール成分として何を用いるか、得られるウレタン樹脂バインダーの酸価や分子量、現像液の組成やpH等によって適宜選択されるが、好ましくは1〜45モル%、より好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは、10〜35モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。
logP値が0より大きいジオール化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、印刷版の安定性(感度、耐刷性など)の点で単独で用いることが好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂バインダーにおいて、さらに下記に示すアミノ基含有化合物を組み合わせて式(1)で表されるジイソシアネート化合物と反応させ、ウレア構造を形成してポリウレタン樹脂の構造に組み込んでもよい。
てもよい。
ノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはアミノフェノール化合物。
(i)脂肪族ジイソシアネート化合物(Lが脂肪族基)の少なくとも一種、芳香族ジイソシアネート化合物(Lが芳香族基)の少なくとも1種の組み合わせである2種以上のジイソシアネート化合物、
(ii)少なくとも一種の一般式(2)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物、(iii)logP値が−5〜−1.2の少なくとも1種のジオール化合物、及び
(iv)logP値が3〜10の少なくとも1種のジオール化合物。
感光性組成物中に含まれる、これらポリウレタン樹脂の含有量は10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは25〜60質量%、最も好ましくは30〜50質量%である。
本発明の感光層の感光層酸価は1.0meq/g以下であることが好ましい。酸価0.20〜0.60meq/gの感光層を有する平版印刷版に適用する方が効果的である。さらに画像形成性の点でより好ましくは0.30〜0.50meq/gの感光層を有するものである。
なお、本発明でいう感光層酸価とは、感光性平版印刷版(平版印刷版用原版)の支持体上に塗設されている感光性組成物(感光層の上に塗設されるオーバーコート層、例えば、酸素遮断層は含まない)の層、1gあたりに含有されるpKa9以下の酸の等量である。実験的には感光層を水酸化ナトリウム水溶液により直接、滴定して求めることができるが、感光性組成物中のpKa9以下の酸基を有する化合物の含有量から計算により求めることもできる。
具体的に感光層酸価を変える方法としては、感光層成分である架橋剤モノマー/酸基を有するバインダーポリマー(線状高分子)の含有比の変更および酸基の少ない低酸価バインダーポリマーの使用などが考えられる。
低酸価バインダーポリマーとしては、通常0.2〜4.0meq/g、より好ましくは0.3〜3.0meq/g、さらに好ましくは0.4〜2.0meq/g、特に好ましくは0.5〜1.5meq/g、最も好ましくは0.6〜1.2meq/gの範囲で用いられる。
エチレン性不飽和結合含有化合物とは、光重性組成物が活性光線の照射を受けた時、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋、硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。付加重合可能なエチレン性不飽和結合を含む化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものである。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキ
サンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
(ただし、RおよびR'はHあるいはCH3を示す。)
されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。さらに日本接着協会誌Vo1.20, No.7, 300〜308ぺ−ジ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらエチレン性不飽和結合含有化合物の使用量は、光重合性感光層全成分の5〜80質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲で使用される。
また本発明における感光性平版印刷版の光重合性感光層に含有させる光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光重合開始剤、あるいは2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができる。以下に具体例を列挙するがこれらに制限されるものではない。400nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SHG-YAGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されており、例えば、米国特許第2,850,445号に記載のある種の光還元性染料、例えばローズベンガル、エオシン、エリスロジンなど、あるいは、染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44-20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45-37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47-2528号、特開昭54-155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48-84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54-151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58-15503号)、ビイミダジール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59-1504号、特開昭59-140203号、特開昭59-189340号、特開昭62-174203号、特公昭62-1641号、米国特許第4766055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63-258903号、特開平2-63054号など)、染料とボレート化合物の系(特開昭62-143044号、特開昭62-150242号、特開昭64-13140号、特開昭64−13141号、特開昭64-13142号、特開昭64-13143号、特開昭64-13144号、特開昭64-17048号、特開平1-229003号、特開平1-298348号、特開平1-138204号など)、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2-179643号、特開平2-244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63-221110号)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物を組み合わせた系(特開平4-221958号、特開平4-219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6-295061号)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8-334897号)等を挙げることができる。
増感色素は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(SD−1)または下記一般式(SD−2)で表される化合物が好ましい。
−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、
2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
ォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
以下に一般式(SD−1)で表される化合物の好ましい具体例(D1)から(D28)を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については明らかでなく、本発明はどちらかの異性体に限定されるものでもない。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10の好ましい例は、、前記一般式(SD−1)のR1、R2およびR3と同じである。
4−チアゾリジノン、3−エチル−4−チアゾリジノン、2−エチルメルカプト−4−チアゾリジノン、2−メチルフェニルアミノ−4−チアゾリジノン等)、2−イミノ−2−オキサゾリン−4−オン核(即ち、擬ヒダントイン核)、2,4−イミダゾリジンジオン核(即ち、ヒダントイン核、例えば、2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン、1,3−ジエチル−2,4−イミダゾリジンジオン等)、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核(即ち、チオヒダントイン核、例えば、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、1,3−ジエチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等)、イミダゾリン−5−オン核(例えば、2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等)、フラン−5−オン核、チオインドキシル核(例えば、5−メチルチオインドキシル等)が挙げられ、これらの酸性核はさらに置換基を有してもよい。
また、本発明においては以上の基本成分の他に光重合層に用いる感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸
やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で光重合性感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体等の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
更に光重合性感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、15:4、15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約20質量%が好ましい。加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全組成物の10質量%以下が好ましい。
本発明における感光性平版印刷版の感光性組成物を前述の下塗層上に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート−3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は1〜50質量%が適当である。
また、通常、前記光重合性感光層の上には、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性の保護層が設けられる。酸素遮断性保護層に含まれる水溶性ビニル重合体としては、ポリビニルアルコール、およびその部分エステル、エーテル、およびアセタール、またはそれらに必要な水溶性を有せしめるような実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するその共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールとしては、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的には株式会社クラレ製PVA-105, PVA-110, PVA-117, PVA-117H, PVA-120, PVA-124, PVA-124H, PVA-CS, PVA-CST,
PVA-HC, PVA-203, PVA-204, PVA-205, PVA-210, PVA-217, PVA-220, PVA-224, PVA-217EE, PVA-217E,PVA-220E, PVA-224E, PVA-405, PVA-420, PVA-613, L-8等が挙げられる。上記の共重合体としては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体が挙げられる。その他有用な重合体としてはポリビニルピロリドン、ゼ
ラチンおよびアラビアゴム等が挙げられ、これらは単独または併用して用いても良い。
次に本発明の感光性平版印刷版からの平版印刷版の製版方法について詳細に説明する。上述した感光性平版印刷版は画像露光した後、通常pHが11.0〜12.7、好ましくは11.5〜12.5であるアルカリ現像液で現像される。
上記の平版印刷版の製版方法に使用される現像液は、特に限定されないが、例えば、無機アルカリ塩とノニオン系界面活性剤とを含有し、pHが11.0〜12.5であるものが好適に使用される。
無機アルカリ塩としては適宜使用可能であるが、例えば、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、及び同アンモニウム等の無機アルカリ剤が挙げられる。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いても良い。
タンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤等を挙げることができるが、特に好ましいのはポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤である。
ポリオキシアルキレンエーテル基を含有する界面活性剤としては、下記一般式(A)の構造を有するものが好適に使用される。
これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することができる。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20質量%の範囲が好適に使用される。
また、該現像液の導電率は、3〜30mS/cmである事が好ましい。3mS/cm以上であると、アルミニウム支持体表面の光重合性感光層の溶出が確実に可能となり、印刷で汚れがなく、30mS/cm以下であると、塩濃度が高くなり過ぎないため、光重合性感光層の溶出速度が極端に遅くなることがなく、未露光部に残膜も生じない。特に好ましい導電率は、5〜20mS/cmの範囲である。
ここで、logPとは、C. Hansch, A.Leo, "Substituent Constants for Correlation
Analysis in Chemistry and Biology", J. Wile & Sons, 1979に記載の疎水性パラメータとして一般的に使用されるものであり、目的とする分子(A−H及びW−H)のオクタノール/水2層系に対して、各層に分配される割合から算出した平衡濃度比Pの対数として定義される。ここでは、一般式(B)中のA及びWの各基を特定する指標として使用しており、A及びWの各有機基に便宜的に水素原子結合させた、A−H、W−H構造に対して、A.K.Ghose、et.al.J. Comput.Chem. 9,80(1988)に記載の方法に基づき、既知データより計算し、求めたものである。
本発明における感光性平版印刷版を、例えば、カーボンアーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザー、ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー(350nm〜600nm)等の従来公知の活性光線で画像露光した後、現像処理することにより、アルミニウム支持体表面に画像を形成することができる。画像露光後、現像までの間に、光重合性感光層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度で1秒〜5分の時間の加熱プロセスを設けることを行っても良い。
さらに自動現像機を用いて現像処理を行う場合、処理量に応じて現像液が疲労してくる
ので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させても良い。
このようにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭54-8002号、同55-115045号、同59-58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムやデンプン誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明において感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
上記のような処理により得られた印刷版は特開2000-89478号公報に記載の方法による後露光処理やバーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上させることができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
<支持体の作製>
厚さ0.3mmのJIS−A−1050のアルミニウム板を用いて、下記に示す工程を組み合わせて処理することで、支持体A、B、C、D、Eを作製した。
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、12g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを50Hzの正弦波の交番波形電流を用いて、塩酸濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃で電流密度16A/dm2、電気量400c/dm2で電解粗面化処理を行い、水洗した。次に苛性ソーダ36g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温35℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した後、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中で10秒間デスマット処理を施し、水洗した。更に液温20℃の10%硫酸水溶液中で電流密度6A/dm2の条件下で陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、Ra=0.44μmであった。
電解粗面化処理の電流密度12A/dm2、電気量300C/dm2と変更した以外は基板Aと同様に作製し、基板Bとした。表面粗さは0.34μmであった。
(基板C)
電解粗面化処理の電流密度24A/dm2、電気量600C/dm2と変更した以外は基板Aと同様に作製し、基板Cとした。表面粗さは0.34μmであった。
(基板D)
電解粗面化処理後の苛性ソーダのエッチング処理の液温を30℃と変更した以外は基板Aと同様に作製し、基板Dとした。
(基板E)
電解粗面化処理の苛性ソーダのエッチング処理の液温を45℃と変更した以外は基板Aと同様に作製し、基板Eとした。
基板Aを液温20℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液に10秒間浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.5mg/m2であった。
(基板G)
電解粗面化処理の苛性ソーダのエッチング処理の液温を60℃と変更した以外は基板A
と同様に作製し、基板Gとした。
次の(a)〜(f)の順番に処理を行い、基板Hを作製した。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
(d)50Hzの正弦波の交番波形電流を用いて、塩酸濃度15g/l、硫酸イオン濃度3000ppm、アルミイオン濃度10g/l、液温30℃で電流密度16A/dm2、電気量400C/dm2で電解粗面化処理を行い、水洗した。
(e)苛性ソーダ35g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温35℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した後、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中で10秒間デスマット処理を施し、水洗した。
(f)液温20℃の10%硫酸水溶液中で電流密度6A/dm2の条件下で陽極酸化皮膜量が2.5g/m2となるように陽極酸化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、Ra=0.46μmであった。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は50μm、最大粒径は150μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を8g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で
、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。 電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を60℃で行い、アルミニウム板を1.0g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(g)液温20℃の10%硫酸水溶液中で電流密度6A/dm2の条件下で陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、Ra=0.55μmであった。
基板Iにおいて(a)機械的粗面化処理を行わなかったこと及び(e)アルカリエッチング処理のエッチング処理温度を32℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解するように変更したことを除いて基板Iと同様に作製し、基板Jとした。
このように処理された基板上に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(60/25/15モル比、分子量Mn=3万)を、水/メタノール=5g/95gに溶解した液を塗布し、80℃、30秒間乾燥した。この下塗り層の厚みは3mg/m2であった。この上に、下記組成の高感度光重合性組成物P−1を乾燥塗布質量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.5 質量部
線状有機高分子重合体(高分子バインダー)(B1) 2.0 質量部
増感剤(C1) 0.15質量部
光重合開始剤(D1) 0.2 質量部
ε―フタロシアニン(F1)分散物 0.02質量部
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177 0.03質量部
(大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 9.0 質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 質量部
トルエン 11.0 質量部
実施例1の感光層の高分子バインダーB1を下記高分子バインダーB2に変えた以外は実施例1と同様にして感光性平版印刷版を作製した。
SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率1000倍で撮影し、得られたSEM写真においてピットの周囲が環状に連なっている大ピットを50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。
高分解能SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波構造のピット(小波ピット)を50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。
小波構造の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において開口径0.8μm以下の小波ピットを20個抽出し、開口径と深さとを読み取って比を求めて平均値を算出した。
触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均表面粗さRaを5回測定し、その平均値を平均粗さとした。2次元粗さ測定は、以下の条件で行った。
上記で得られた平版印刷版用支持体(基板)の表面について、以下のようにしてΔSを求めた。結果を第1表に示す。
原子間力顕微鏡(SP13700、セイコー電子工業社製)により表面形状を測定し、3次元データを求める。
即ち、感光性平版印刷版の支持体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用する。カンチレバーは共振周波数120〜150kHz、バ
ネ定数12〜20N/mのもの(SI−DF20、NANOPROBE社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求める。
計測の際は、表面の50μm□を512×512点測定する。XY方向の分解能は1.9μm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は60μm/secとする。
表面積比ΔSは、得られた実面積Sxと幾何学的測定面積Soとから、下記式により求められる。
蛍光X線分析装置を用いて検量線法によりSi原子の量(mg/m2)として測定した。すなわち、蛍光X線分析装置として理学電機工業(株)製RIX3000を用い、下記条件にてSi−Kαスペクトルのピーク高さよりSi原子の量を測定した。
X線管球 :Rh
測定スペクトル :Si−Kα
管電圧 :50kV
管電流 :50mA
スリット :COARSE
分光結晶 :RX4
検出器 :F−PC
分析面積 :30mmφ
ピーク位置(2θ) :144.75deg.
バックグランド(2θ) :140.70deg.,146.85deg.
積算時間 :80秒/sample
得られた感光性平版印刷版を富士写真フイルム(株)製Vx9600CTP(光源波長:405nm)にて感材上の露光量を0.01〜0.2mJ/cm2まで変化させて画像状に描き込みを行った。
その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP−850PIIを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像した。この時、十分な画像濃度が得られ、良好な画像ができる光量を調べて感度として評価とした。露光量が小さいほど感度が高い。その結果を表4に示す。
水酸化カリウム 0.15g
ポリオキシエチレンナフチルエーテル(n=13) 5.0 g
キレスト400(キレート剤) 0.1 g
水 94.75g
得られた感光性平版印刷版を富士写真フイルム(株)製Vx9600CTP(光源波長:405nm)にて感材上の露光量が0.05mJ/cm2になるように調整し画像状に描き込みを行った。
その後、上記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP−850PIIを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像した。得られた平版印刷版を、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。結果を表4に示す。
上記耐刷性の評価同様に現像して得られた平版印刷版の版面を富士写真フイルム(株)製のバーニング整面液BC−3で拭いた後、約240℃で7分間、バーニング処理を行った。その後、水洗し、富士写真フイルム(株)製ガムGU−7を水で体積を2倍に希釈した液で版面を処理した。
その後、耐刷性の評価同様に、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、バーニング処理後の耐刷性を評価した。結果を表4に示す。
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で以下のように評価した。結果を表4に示す。
○: ブランケットの汚れなし。
△: ブランケットにインキの着色が僅かにみられる。
×: ブランケットにインキの着色が著しい。
(11)水上がりの見易さ
小森コーポレーション社製のリスロン印刷機に得られた平版印刷版を取り付け、湿し水の供給量を増加させながら版面の非画像部の光り具合を目視で観察し、光り始めたときの湿し水の供給量で検版性(水上がりの見易さ)を評価した。
結果を表4に示す。
○: 中量の湿し水で版が光らない。
△: 少量〜中量の湿し水で版が光る。
×: 少量の湿し水で版が光る。
<支持体>
実施例7〜12においては、上記支持体A〜F、比較例6〜9においては上記支持体G〜Jを使用した。
各支持体上に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(60/25/15モル比、分子量Mn=3万)を、水/メタノール=5g/95gに溶解した液を塗布し、80℃、30秒間乾燥した。この下塗り層の厚みは3mg/m2であった。この上に、下記組成の高感度光重合性組成物P−2を乾燥塗布質量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
エチレン性不飽和結合含有化合物(A2) 1.5 質量部
線状有機高分子重合体(高分子バインダー)(B3) 2.0 質量部
増感剤(C1) 0.15質量部
光重合開始剤(D1) 0.2 質量部
ε―フタロシアニン(F1)分散物 0.02質量部
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177 0.03質量部
(大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 9.0 質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 質量部
トルエン 11.0 質量部
このようにして、支持体A〜Jを使用した実施例7〜12及び比較例6〜9の感光性平版印刷版を得た。
実施例7の感光層の成分A1、B1、C1を下記化合物に変えた以外は実施例7と同様に感光性平版印刷版を作製した。
得られた感光性平版印刷版のうち実施例7〜15および比較例6〜9のものを富士写真フイルム(株)製Vx9600CTP(光源波長:405nm)にて、実施例16〜17および比較例10のものをCSI社製PlateJet8にて、それぞれ感材上の露光量を0.01〜0.2mJ/cm2まで変化させて画像状に描き込みを行った。
その後、先の実施例と同様のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP−850PIIを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像した。この時、十分な画像濃度が得られ、良好な画像ができる光量を調べて感度として評価とした。露光量が小さいほど感度が高い。その結果を表6に示す。
得られた感光性平版印刷版のうち実施例7〜15および比較例6〜9のものを富士写真フイルム(株)製Vx9600CTP(光源波長:405nm)にて、実施例16〜17および比較例10のものをCSI社製PlateJet8にて、感材上の露光量が0.05mJ/cm2になるように調整し画像状に描き込みを行った。
<支持体>
実施例18〜23においては、上記支持体A〜F、比較例11〜14においては上記支持体G〜Jを使用した。
このように処理された基板上に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(60/25/15モル比、分子量Mn=3万)を、水/メタノール=5g/95gに溶解した液を塗布し、80℃、30秒間乾燥した。この下塗り層の厚みは3mg/m2であった。この上に、下記組成の高感度光重合性組成物P−3を乾燥塗布質量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.5 質量部
線状有機高分子重合体(高分子バインダー)(B1) 2.0 質量部
増感剤(C2) 0.15質量部
光重合開始剤(D1) 0.2 質量部
ε―フタロシアニン(F1)分散物 0.02質量部
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177 0.03質量部
(大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 9.0 質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 質量部
トルエン 11.0 質量部
このようにして、支持体A〜Jを使用した実施例18〜23及び比較例11〜14の感光性平版印刷版を得た。
実施例18の感光層の成分A1、B1、C1を表7に示す化合物に変えた以外は実施例18と同様に感光性平版印刷版を作製した。
各々、増感色素の量を0.05質量部及び5質量部にかえた以外は実施例18と同様にして感光性平版印刷版を作製した。
〔比較例17及び18〕
各々、感光層の塗布質量を0.4g/m2及び2.2g/m2にかえた他は実施例18と同様にして感光性平版印刷版を作製した。
(14)ベタ部横のカブリ
画像の5cm角以上のベタを作成し、非画像部との境に発生するカブリの光学濃度を目視で判定した。
○: カブリ発生なし
△: 僅かに発生
×: 明らかにカブリとして識別可能
4A、4B、4C、26A、26B 主極
6A、6B、14A、14B 搬送ローラ
8A、16A 導入ローラ
8B、16B 導出ローラ
10、34 補助電解槽
12、36 補助電極
22 交流電解槽本体
22A 開口部
24 送りローラ
28A、28B 給液ノズル
30A 上流側案内ローラ
30B 下流側案内ローラ
32 溢流槽
34A 補助電解槽の底面
35 上流側案内ローラ
51 アルミニウム合金板
52、54 ローラ状ブラシ
53 研磨スラリー液
55、56、57、58 支持ローラ
100、102、104 電解粗面化処理装置
a 搬送方向
T 搬送面
Tac 電源
Th1、Th2、Th3、Th4、Th5 サイリスタ
W アルミニウムウェブ
Claims (8)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金板を少なくとも塩酸を含有する水溶液を用いて電気化学的に粗面化処理した後、陽極酸化処理をした支持体上に、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、増感色素、光重合開始剤、高分子バインダーを含有する光重合層を設けた感光性平版印刷版であって、該支持体が大小ピットの2重構造を有し、大ピットの平均開口径が2〜10μmかつ小ピットの平均開口径が0.1〜0.8μm、小ピットの径と深さの比が小ピットの径:深さとして1:0.2〜1:0.6、下記式で表される表面積ΔSが40以下であり、光重合層の塗布質量が0.5〜2.0g/m 2 、光重合層の増感色素の光学濃度が0.2〜1.0の範囲にあり、光重合層の高分子バインダーが下記一般式(M1)で表されるアミド基を側鎖に有する有機高分子化合物及び少なくとも下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の化合物より合成されるポリウレタン樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする感光性平版印刷版。
ΔS= (Sx−So)/So ×100%
(Sxは表面の50μm□を512×512点測定して求められる実表面積を、Soは幾何学的測定面積を表す。)
(一般式(M1)中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基または置換スルホニル基を表し、R1とR2とが互いに結合して環構造を形成しても良い。)
(i)少なくとも1種のジイソシアネート化合物、
(ii)少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物、
(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物、及び
(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物、
ただし、(iii)及び(iv)の化合物はカルボキシル基を有するジオール化合物を除く化合物である。 - 該光重合層上に、酸素遮断性のオーバーコート層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版。
- 光重合層が含有する増感色素が下記一般式(SD−1)または下記一般式(SD−2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性平版印刷版。
(一般式(SD−1)中、Aは置換基を有しても良い芳香族環またはヘテロ環をあらわし、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R3)−をあらわす。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または、一価の非金属原子団であり、AとR1及びR2とR3はそれぞれ互いに、脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
〔一般式(SD−2)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。但し、R1およびR3のうちの少なくとも一つは、下記部分構造式(a)に示す一価の有機残基で表される。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に、脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
(部分構造式(a)中、R10は、水素原子または一価の非金属原子団を表し、Zは隣接す
る原子と共同して、5員環酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表す。また、R10は前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8またはR9と脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)〕 - 前記(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物における該logP値が、−8〜−1であり、かつ、前記(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物における該logP値が、2〜15であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
- 前記ポリウレタン樹脂が、下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の化合物より合成され、酸価が0.6〜1.2meq/gのポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
(i)脂肪族ジイソシアネート化合物(下記式(1)においてLが脂肪族炭化水素基)の少なくとも一種、芳香族ジイソシアネート化合物(下記式(1)においてLが芳香族炭化水素基)の少なくとも1種の組み合わせである2種以上のジイソシアネート化合物、
(ii)少なくとも一種の下記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物、
(iii)logP値が−5〜−1.2の少なくとも1種のジオール化合物、及び
(iv)logP値が3〜10の少なくとも1種のジオール化合物。
式(1)中、Lはイソシアネート基と反応しない他の官能基を有していてもよい。
式(2)中、R 1 は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、L 10 、L 11 、L 12 はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。なおL 10 、L 11 、L 12 中にイソシアネート基と反応しない他の官能基を有していてもよく、R 1 、L 10 、L 11 、L 12 のうちの2または3個で環を形成してもよい。 - 前記(iv)logP値が0より大きい少なくとも1種のジオール化合物が、前記式(A)で表される化合物であり、かつaが15〜30を示すことを特徴とする請求項6に記載の感光性平版印刷版。
- 前記(iii)logP値が0未満の少なくとも1種のジオール化合物が、下記一般式(A’)で表されるエチレングリコール化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感光性平版印刷版。
HO−(CH 2 CH 2 O) n −H (A’)(式中、nは4〜10を表す。)
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