JP4447327B2 - 溶融効率を改善しガラスバッチ成分のグロスセグリゲーションを減少させる選択的ガラスバッチ形成方法 - Google Patents
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Description
前記混合されたバッチを炉(メルター)に添加した後、実質的に均一な融成物が最終的に得られるまで、メルター内でバッチの原料成分の間及びバッチ原料成分とレジデント融成物との間で種々の温度で非制御反応が惹起される。十分な溶融、均一化及び精練に要する時間は、総滞留時間、又は融成物が所望の生成物に形成される前にメルタータンク内に存在する時間に相関する。
すなわち、いったんバッチが炉に導入されたら、ほぼ直ちに前記バッチをセグリゲートするいくつかの反応が発生する。フロートガラス製造では、例えば炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)及び石英(SiO2)がほぼ共通して主要な原料として用いられる。貯蔵ホッパー中のバッチのセグリゲーションを減少させるために水を添加した場合、第一の反応は通常785℃付近の温度におけるNa2CO3とCaCO3との反応による共融流動物の形成である。
図2に示すように、Na2CO3及びCaCO3は反応経路1で反応し、大量の未反応CaCO3を含む低粘度の共融流動物を生じる。この低粘度共融流動物は残留するCaCO3及び石英と反応経路2で反応し、バッチレシピによって指令された全体的ガラス組成が最終的に得られる。典型的なフロートガラス組成の例は、約73.5質量%のSiO2、12.3質量%のCaO及び14.2質量%のNa2Oである。
同様な反応が容器用ガラス組成物で発生し、ファイバーガラス製造の場合には、ホウ酸塩は溶融の初期段階で同様な問題を示す。このセグリゲーションプロセスは、ほぼ純粋なシリカの大規模なドメイン又は集塊の形成をもたらし、前記は周囲の液状融成物中に溶解するために極めて長い滞留時間を必要とする。この初期セグリゲーションはしたがって成形前にグラスタンク内での再均一化を要求する。
ガラスの大規模工業生産では(例えば、フロートガラス、容器ガラス及びファイバーガラス、この場合溶融タンクの容積は極めて大きく、収容容積は溶融ガラス数トンの規模である)、in situ融成物混合はタンク内の対流及び原料の分解から発生するガスの移動によって達成される。ある程度の混合及び精練が気泡除去に必要であるが、一方、融成物の混合を改善する高価でエネルギー集約的なプロセスはまたバッチ材料の大規模なセグリゲーションの原因となりえる。
バッチの溶融プロセスを改善するための試みの1つは生(未混合)の形態で炭酸塩及び石英の添加を減少させることを必要とする。合成透輝石(CaO.MgO.2SiO2)をCaCO3、MgCO3及び石英混合物の代わりに用いて実験を実施した。実験の結果は、最初のバッチを完全に溶解させるために必要な時間(すなわちバッチフリータイム)は温度にしたがって減少し、更に精練時間も減少することを示した。これらの改善は、溶解に要求される石英量の減少によるものであった。例えば以下の文献を参照されたい:C.C. Tournour and J.S. Shelby, “Effect of Diopside and Wollastonite on the Melting of Soda-Lime-Silicate Glasses”, Ceramic Engineering and Science Proceedings, J. Kieffer Ed., American Ceramic Society, 21(1):263-273(2000)(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
通常のガラス製造技術に関するまた別の問題は、持続的なガラス溶融工程の維持に必要なエネルギー量及び前記エネルギーを提供するために化石燃料を使用することの環境への影響にある。燃料はフロートガラス製造コストの25から30%を構成する。燃料価格の不安定さは時折この割合を突然増加させる。
ガラス工業から放出される大気汚染物質には以下が含まれる:
1)窒素酸化物(NOx) 2)硫黄酸化物(SOx)
3)一酸化炭素(CO) 4)二酸化炭素(CO2)
燃焼に用いられる化石燃料は典型的にはNOx及びいくらかのCOxの供給源である。炭酸塩及び硫酸塩原料の分解はそれぞれCOx及びSOx放出の一因となる。滞留時間を短くすることは、しかしながら生産される単位ガラスあたりの燃焼される燃料量を減少させ、エネルギー効率を改善し、このことはまた例えば生産される単位ガラスあたりのNOx並びに燃料由来のCO2及びCOの放出削減を促進する。
したがって、レジデント融成物内でガラスバッチ成分の溶融態様(すなわち反応経路)を制御する方法を提供し、エネルギー使用の削減を可能にするように溶融効率を改善し、大気汚染物質の一因となる化学的精練物質の必要性及び原料コストを下げ、公害を減らし、一方最終的にはより高品質、低コストのガラス製品を製造し、更に初期溶融段階でのバッチの脱混合及びセグリゲーションの発生を抑えることが所望されるであろう。
本発明の目的は、通常のガラスバッチ形成及び溶融方法に附随する欠点を克服することである。具体的には、本発明の目的は、全バッチ組成物を溶融タンク炉に導入する前にガラスバッチレシピの一定の成分を予め選択的に組み合わせ、タンク内での溶融反応(すなわち反応経路)を制御し溶融効率を改善する方法を提供することである。
溶融効率の改善と併せて、本発明の目的はまた、エネルギー使用の削減を促進し、大気汚染物質の一因となる化学的精練物質の必要性及び原料コストを下げ、公害を減らし、一方最終的にはより高品質、低コストのガラス製品を製造し、更に溶融時の原料バッチ構成成分のグロスセグリゲーションを抑えることである。
中間物質を含むガラス組成の場合、第一の組合せ材料は中間物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つのモディファイヤーの一部分を含むことができ、更に第二の組合せ材料は少なくとも1つのガラス形成物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つのモディファイヤーの少なくとも一部分を含むことができる。更にまた、前記第二の組合せ材料は中間物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つのモディファイヤーの少なくとも一部分を含むことができ、更に第一の組合せ材料は少なくとも1つのガラス形成物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つのモディファイヤーの少なくとも一部分を含むことができる。二重サブシステムよりはむしろ本発明の選択的バッチ形成法によって作製される三重サブシステムが、顕著なレベルのアルミナを含むガラスを扱うときには特に適切である。
“ガラス形成物質”という用語は、MxOy酸化物形(x=1又は2、y=1から5)を有し、ただ1つのO-M結合の強度が80−120kcalの規模である物質を指す。前記ガラス形成物質は、バッチ成分の原料としてその酸化形で含まれるか、又は他のバッチ成分の原料(例えば炭酸塩、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物又は多成分含有工業用鉱物)の推定分解反応生成物であってもよい。本発明のガラス形成物質には、例えばBe、Ge、Si、P及びBの酸化物形が含まれるであろう。
“モディファイヤー物質”という用語は、MxOy酸化物形を有し、ただ1つのO-M結合の強度が10−60kcalの規模であり、更に熱反応時に融解性物質として機能する物質を指す。前記モディファイヤー物質は、バッチ成分の原料としてその酸化形で含まれるか、又は他のバッチ成分の原料(例えば炭酸塩、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物又は多成分含有工業用鉱物)の推定分解反応生成物であってもよい。本発明のモディファイヤーには、例えばK、Na、Li、Ba、Pb、Sr、Ca、Mg、Mn及びFeの酸化物形が含まれるであろう。
更にまた、本発明にしたがえば中間物質及びガラス形成物質は、モディファイヤーの非存在下で選択的に組み合わせて前記組合せ材料の溶融温度を低下させてはならないことは特記する必要がある。すなわち、中間物質-ガラス形成物質の選択的組合せによって、バッチ成分の溶融温度範囲を狭めることについて何らの目立った利益は得られず、更に本発明の温度範囲で所望の粘度は示されないであろう。更に、溶融の代わりに有利な固態反応も発生しないであろう。それどころか、組合せ材料は、溶融及びレジデント融成物との均一化のためにより長時間の滞留時間を必要とするだけであり、このことは全体的な溶融効率を低下させる。
例えば、本発明の第一の態様のある特徴にしたがえば、第一の組合せは複数の個々に分離した反応メンバーを含み、第二の組合せ材料は複数の個々に分離した反応メンバーを含む。したがってこの場合には、第一及び第二の組合せ材料の各々は、メルターに添加される前に、選択的に予め混合されペッレット化され、互いに及び残りのバッチ成分と混合されてペレット化フィードストックを形成する。更に、本発明の第一の態様の別の特徴にしたがえば、第一の組合せ材料は複数の個々に分離した反応メンバーを含み、更に第二の組合せ材料は予め反応させた材料を含む。更にまた、本発明の第一の態様のまた別の特徴にしたがえば、第一の組合せ材料は複数の個々に分離した反応メンバーを含み、更に第二の組合せ材料はフリットを含む。
更にまた、本発明の第一の態様の別の特徴にしたがえば、第一の組合せ材料はフリットを含み、第二の組合せ材料は複数の個々に分離した反応メンバーを含む。また別には、本発明は、第一の組合せ材料はフリットを含み、更に第二の組合せ材料は予め反応させた材料を含むものを提供する。更にまた、本発明の第一の態様のまた別の特徴にしたがえば、第一の組合せ材料はフリットを含み、更に第二の組合せ材料もフリットを含むものを提供する。したがってこの場合には、メルターに添加する前に第一及び第二の組合せ材料の各々を選択的に予め混合して予め溶融し、更に焼入れを実施して、互いに及び残りのバッチ成分と混合し、フリットフィードストック材料を形成する。
レジデントガラス融成物の温度に近づけた温度であったとしても溶融によるよりはむしろ、一連の固態反応においてガラス融成物及び他のガラスバッチ成分と反応する中間化合物を形成することができる混合物バッチ(すなわち第一の態様の第二の組合せ材料)を選択的に形成することによって、バッチセグリゲーションの傾向を高める低粘度共融化合物の形成が防止される。更に、中間化合物はそれ自体本質的には溶融しないので、上記の粘度に関する考えは固態反応の観点から実際的には問題がなく、それどころか、例えば溶融効率を低下させる複雑なセグリゲーションの傾向を低下させることによって溶融効率が改善された所望の組成を有するガラス融成物が得られる。
バッチ成分の反応経路を制御して溶融効率を改善することによって、ガラスタンク内の材料の滞留時間が短縮され、バッチのフリータイムも同様に短縮される。これによって順次、製造時の単位ガラスあたりの必要エネルギー量が削減される。例えば、タンク内の材料の滞留時間が10%から20%短縮できるならば、仮定的フロートガラスプラントでは、全エネルギーが溶融に用いられると仮定して年間天然ガス使用を5.7−11.4x107立方フィート(もっとも効率的には4.7x106BTU/トン)削減することができる。全国の全てのガラス製造では、滞留時間の10%短縮は2x1013BTU又は1.6x1010立方フィーとの天然ガスの節約をもたらすことができるであろう(2.5x1014、80%天然ガス使用及び1立方フィートの天然ガスにつき1x103BTUと仮定する)。
酸化硫黄は、精練剤としてバッチに添加されるボウ硝(硫酸ナトリウム)の分解生成物である。本発明により改善された溶融効率は精練剤(例えばボウ硝(Na2SO4))の必要性を減少させ、したがってSOxの放出を直接的に削減する。前記及び他の有害な放出の削減によって、環境への放出基準に関する規制遵守の必要性及びコスト(例えば履行措置及び/又は規制違反科料)が削減される。
本発明のこの態様は、第一の態様について上記で述べたように、選択的に原料バッチ成分を組合せ、添加されるバッチの融点範囲を狭め、更に溶融時に添加されるバッチの粘度を制御して溶融効率を改善し、更にバッチのセグリゲーションを防止することを主要な目的とする。
本発明の第二の態様にしたがって第一及び第二の組合せ材料を形成する種々の原料バッチ成分の組合せは、第一の態様について上記で述べた通りであり、したがってその繰返しの記述は省略する。同様に、本発明の第二の態様の第一及び第二の組合せ材料が、互いに及び一切の残りのバッチ成分と混合される前に安定化される種々の形態も第一の態様について上記で述べたものと同様であり、したがってその繰返しの記述は省略する。
本発明のこの第三の態様は、第一の態様の第二の組合せ材料について上記で述べたように、原料バッチ成分の一部分を選択的に組み合わせてレジデント融成物温度の一定の温度範囲内でガラス融成物と固態反応を介して中間化合物を形成することができる組合せ材料を形成し、溶融効率を改善し、更にバッチのセグリゲーションを防止することを主要な目的とする。
本発明の第三の態様にしたがって第一及び第二の組合せ材料を形成する種々の原料バッチ成分の組合せは、第一の態様について上記で述べたものと同様であり、したがってその繰返しの記述は省略する。同様に、本発明の第三の態様の第一及び第二の組合せ材料が、互いに及び一切の残りのバッチ成分と混合される前に安定化される種々の形態も、第一の態様について上記で述べたものと同様であり、したがってその繰返しの記述は省略する。
本発明にしたがえば、その中に溶融ガラス(以下では“融成物”と称する)が滞留するガラスメルターに導入する前に全バッチ組成物を完全に混合するのではなく、全体的バッチレシピに一致するバッチ原料の特定の組合せを含む選択的混合が実施される(以下ではまた“選択的バッチ形成”と称する)。前記態様では選択的にバッチを形成することによって、中間バッチ反応生成物が提供される。前記中間生成物の熱に関する性状(すなわち融点)及びレオロジー特性(すなわち粘度)又は高温での反応態様は溶融効率を改善し、更にバッチ構成成分のセグリゲーションの発生(規模に関係なく)を減少させる。
図4の工程図で示されるように、本発明のある実施態様は、バッチ成分の第一の部分を選択的に組み合わせることによって前記バッチ構成成分の融点の範囲を狭めることを目的とし、前記の選択的組合せは、狭められた融点範囲で形成される溶融相において所望のレオロジー特性(すなわち粘度の増加)が示されるように実施される。更にまた、バッチ成分の第二の部分が選択的に組み合わされ、前記選択的組合せが、前記組合せ材料とレジデント融成物との間で固態反応を介して中間化合物が形成される特定の反応温度範囲をもつことができるように前記選択的組合せが実施される。
図4は、バッチレシピが特定の質量%のガラス形成物質A、モディファイヤーB、及びモディファイヤーCを要求することを示している。ガラス形成物質Aの少なくとも一部分及びモディファイヤーBの少なくとも一部分を質量%ベースで選択的に組み合わせ、第一の組合せ材料ABを形成する。前記組合せ材料は、レジデント融成物温度Tmの60から90%の範囲の溶融温度TAB及びレジデント融成物粘度ηm/100に等しいかそれよりも大きい粘度ηABを有するであろう。好ましくはηABは150センチポアから15,000センチポアの範囲であるが、ただし15,000センチポアを越える粘度も本発明の範囲内に包含される。前記第一の組合せ材料の好ましい粘度ηABはまたηmの少なくとも1%のものとして表すことができる。バッチセグリゲーションの要因となる(したがって避ける必要がある)上記の通常遭遇される低粘度共融流動体の粘度は、レジデント融成物の粘度の1%よりも顕著に小さい。例えば、CaCO3及びNaCO3との間の反応によって形成される共融流動体はレジデント融成物の粘度のほぼ0.03%である。
同様に、ガラス形成物質Aの少なくともまた別の部分及びモディファイヤーCの少なくとも一部分を質量%ベースで選択的に組み合わせて、第二の組合せ材料ACが形成される。前記組合せ材料ACは、融成物の均一化及び拡散が、第二の組合せ材料ACを溶融させるのではなくむしろ固態反応を介して発生させることができるように、レジデント融成物温度Tmの60から100%の範囲の反応温度TACを有するであろう。前記第一のAB及び第二のAC組合せ材料の各々が続いてペレット化される。
ペレット化AB、ペレット化AC及びA、B及び/又はCの残りの一切の部分を続いて例えば混合ホッパー内で混合し、続いてメルターに添加する。AB及びACはまた予め反応させるか、又は予め溶融することもできる。制御された反応が、前記選択的組合せバッチ原料成分AB及びAC並びにレジデント融成物間で種々の温度でメルター内で発生し、実質的に均一な融成物が最終的に得られるまで続く。伝統的な非制御反応もなお、選択的に組み合わされなかったバッチ成分A、B及びCの部分間で限定的レベルで生じるであろうが、これらの反応は比率的には減少し、例えばセグリゲーションを生じる融成物内での低粘度相の形成により改善溶融効率を顕著に低下させることはない。
図5は、バッチレシピは特定の質量%のガラス形成物質D、モディファイヤーE及びモディファイヤーFを必要とすることを示している。ガラス形成物質Dの少なくとも一部分及びモディファイヤーEの少なくとも一部分を質量%ベースで選択的に組み合わせて、レジデント融成物温度Tmの60−90%の範囲の溶融温度TDE及び粘度ηDE≧レジデント融成物粘度ηmを有する第一の組合せ材料DEを形成する。同様に、ガラス形成物質Dの少なくともまた別の部分及びモディファイヤーFの少なくとも一部分を質量%ベースで選択的に組み合わせて、レジデント融成物温度Tmの60−90%の範囲の溶融温度TDE及び粘度ηDF≧レジデント融成物粘度ηmを有する第二の組合せ材料DFを形成する。前記第一の組合せ材料DEは上記で述べたようにペレット化し、更に第二の組合せ材料DFは予め反応させる。
続いてペレット化DE、予め反応させた微粒子DF及びD、E及び/又はFの一切の残りの部分を例えば混合ホッパー内で混合し、メルターに添加する。更にDE及びDFも予め溶融することができることも特記されるべきであろう。制御された反応が、選択的に組み合わされたバッチ原料成分DE、DF及びレジデント融成物間で種々の温度でメルター内で生じ、実質的に均一な融成物が最終的に得られるまで続く。伝統的な非制御反応もなお、選択的に組み合わされなかったバッチ成分D、E及びFの部分間で限定的レベルで生じるであろうが、これらの反応は比率的には減少し、本発明に附随する改善溶融効率の利益に顕著には反せず、またセグリゲーションを生じる融成物内での低粘度相の形成の顕著な要因とはならない。
図6の工程図に示したように、本発明のまた別の態様は、原料バッチ成分の一部分を選択的に組み合わせて、前記選択的組合せが、前記組合せ物とレジデント融成物との間の固態反応を介して中間化合物が形成される特定の反応温度を有することができるようにすることを目的とする。図6は、バッチレシピは特定の質量%のガラス形成物質G、モディファイヤーH及びモディファイヤーIを必要とすることを示している。ガラス形成物質Gの少なくとも一部分及びモディファイヤーHの少なくとも一部分を質量%ベースで選択的に組み合わせて第一の組合せ材料GHを形成する。前記は、融成物の均一化が第二の組合せ材料GHの溶融によってではなく固態反応を介して生じることができるようにレジデント融成物温度Tmの60−100%の範囲の反応温度TGHを有するであろう。同様に、ガラス形成物質Gのまた別の少なくとも一部分及びモディファイヤーIの少なくとも一部分を質量%ベースで選択的に組み合わせて第二の組合せ材料GIを形成する。前記は、融成物の均一化が第二の組合せ材料GIの溶融によってではなく固態反応を介して生じることができるようにレジデント融成物温度Tmの60−100%の範囲の反応温度TGIを有するであろう。前記第一の組合せ材料GHは上記で述べたように予め反応されてあり、前記第二の組合せ材料GIは予め溶融されてフリットを形成する。
予め反応させた微粒子GH、予め溶融させたフリットGI及びG、H及び/又はIの残りの一切の部分を続いて例えば混合ホッパー内で混合し、続いてメルターに添加する。GH及びGIはまたペレット化することもできる。制御された固態反応が、前記選択的組合せバッチ原料成分GH、GI及びレジデント融成物間で種々の温度でメルター内で発生し、実質的に均一な融成物が最終的に得られるまで続く。伝統的な非制御反応もなお、選択的に組み合わされなかったバッチ成分G、H及びIの部分間で限定的レベルで生じるであろうが、これらの反応は比率的には減少し、改善された溶融効率に顕著に反したり、またセグリゲーションをひき起こす融成物内での低粘度相の形成を顕著に助長することはない。
バッチ成分が選択される原料は、酸化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩又は混合された工業用鉱物(例えば長石又は粘土)でもよいことはまた特記されるべきである。しかしながら、有害な副生物の放出の可能性を減少させるために、選択的に予めバッチ形成した組合せによって形成される中間生成物が、溶融及び精練プロセスの結果として気体(例えばSOx及びNOx)を生じないことが望ましい。
すなわち、Na2O-SiO2系の共融比率で石英とともに選択的にNa2CO3のバッチを形成して第一の組合せ材料を提供し、Na2CO3と他の原料(例えばCaCO3)との共融反応(前記反応は本発明の選択的バッチ形成が行われないときに通常発生する)を防止することによって低粘度流動物形成の可能性を最小限にする。CaCO3を石英とともに選択的に組み合わせ、予め反応させて第二の組合せ材料(すなわち中間反応生成物)を形成する。この場合には、前記第二の組合せ材料は珪灰石(CaO・SiO2)であり、前記は第一の組合せ材料及び残りのバッチ成分(すなわち遊離石英)と混合され、融成物に導入された後溶融しないであろう。むしろ前記珪灰石は固態反応を介して融成物及び他のバッチ成分と反応する。
すなわち、Na2O-SiO2共融物の融点は785℃(1058K)であり、前記はレジデント融成物の全体的温度(1400℃(1673K))の60−90%の範囲内である。Na2O-SiO2共融物の粘度は1000mPa.s(1000センチポア)のオーダーであり、前記はレジデント融成物の粘度の約7%である。珪灰石は1550℃の融点を有するので、前記は1400℃のオーダーのレジデント融成物温度であってもそれ自体は溶融しないであろう。その代わりに、バッチは、レジデント融成物温度の60−100%内の温度で固態反応を介して均一化され、このことによって溶融効率が改善され、更にバッチセグリゲーションを助長する低粘度流動層の形成が防止される。しかしながら、ガラスタンク内の温度はレジデント融成物の温度を超えることは特記されるべきである。例えば、融点が1100℃のガラスにとってガラスタンク温度が1300から1500℃の範囲であることは珍しくない。
上記に示し更に記載したように、伝統的な原料バッチ成分が伝統的な系で反応するよりも、前記組合せ材料(及び中間反応生成物)は固有のサブシステムでより容易に反応し、均一な融成物を形成するために要する全体的なエネルギーの必要性及び時間は顕著に削減される。このことは拡散距離を短く維持し、実質的に溶融及び均一化に必要な時間を減少させ、精練時間を短縮し、大規模セグリゲーションの傾向を低下させることができる。また別には、反応時間の削減により、従来炉の設定で更なる精練時間が提供され(一定の滞留時間が維持されると仮定して)、このことは更に核の潜在的可能性を排除し、融成物の全体的な均一性を更に改善し、より高品質のガラス製品をもたらす。
本発明は、バッチ成分原料の融成物中でのセグリゲーション傾向を低下させることによって溶融効率を改善させるために有用であるが、本発明の方法及び長所は、必ずしもグロスセグリゲーションの問題を被むらないガラス系に対しても等しく適用される。すなわち、本発明にしたがってバッチ成分を選択的に組み合わせることによって、グロスセグリゲーションが存在しない場合でさえ上記に述べたように溶融効率、材料効率及び燃料効率の改善が可能になる。
本発明は図面で例示した好ましい態様を参考に記載してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更を実施することができることは当業者には理解されよう。
Claims (10)
- ガラスメルターに存在するレジデント融成物温度Tm(K)で融成物粘度ηmを有するガラス融成物に添加されるガラスバッチ成分の反応経路を制御する方法であって、以下の工程、
1.バッチレシピに一致する量の複数の原料バッチ成分を提供する工程であって、前記複数の原料バッチ成分は少なくとも1つのガラス形成物質及び少なくとも1つのモディファイヤー物質であって、炭酸塩、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物又はK、Na、Li、Ba、Pb、Sr、Ca、Mg、Mn及びFeの酸化物から選択されるモディファイヤー物質を含む工程、
2.前記複数の原料バッチ成分の第一の部分を選択的に組み合わせて、前記レジデント融成物温度Tmの60から90%の範囲内にある溶融温度、及び前記融成物粘度ηm/100と等しいか又はそれより大きい前記融成物温度での粘度を有する第一の組合せ材料であって、ペレット化されて複数の個々に分離した反応メンバーを含む第一の組合せ材料を提供する工程、
3.前記複数の原料バッチ成分の第二の部分を選択的に組み合わせて、前記レジデント融成物温度の60から100%の範囲内の反応温度を有し、それによって前記第二の組合せ材料が前記ガラス融成物と反応する前に固態反応を介して中間化合物を形成することができる第二の組合せ材料であって、ペレット化されて複数の個々に分離した反応メンバーを含む第二の組合せ材料を提供する工程、
4.前記第一の組合せ材料、前記第二の組合せ材料、及び前記複数の原料バッチ成分の一切の残りの部分を混合してバッチ混合物を形成する工程、更に
5.前記バッチ混合物をガラスメルターに導入する工程、
を有することを特徴とする方法。 - ペレット化された前記第一の組合せ材料が、前記第一の組合せ材料の固有の反応温度に非常に近い温度で前記第一の組合せ材料を予め反応させ、前記予め反応させた第一の組合せ材料を冷却し、更に前記予め反応させた第一の組合せ材料をすり潰して複数の予め反応させた微粒子を含む請求項1に記載の方法。
- ペレット化された前記第二の組合せ材料が、前記第二の組合せ材料の固有の反応温度に非常に近い温度で前記第二の組合せ材料を予め反応させ、前記予め反応させた第二の組合せ材料を冷却し、更に前記予め反応させた第二の組合せ材料をすり潰して複数の予め反応させた微粒子を含む請求項1に記載の方法。
- 前記複数の原料バッチ成分が更に中間物質であって、炭酸塩、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物又はMn、Mg、Zr、Be、Fe、Al及びTiの酸化物から選択される中間物質を含む請求項1に記載の方法。
- ガラスメルター内に存在するガラス融成物に添加されるガラスバッチ成分の反応経路を制御する方法であって、前記ガラス融成物がレジデント融成物温度Tm(K)で融成物粘度ηmを有する方法であって、以下の工程、
1.バッチレシピに一致する量の複数の原料バッチ成分を提供し、前記複数の原料バッチ成分は少なくとも1つのガラス形成物質及び少なくとも1つのモディファイヤー物質であって、炭酸塩、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物又はK、Na、Li、Ba、Pb、Sr、Ca、Mg、Mn及びFeの酸化物から選択されるモディファイヤー物質を含む工程、
2.前記複数の原料バッチ成分の第一の部分を選択的に組み合わせて、前記レジデント融成物温度の60から100%の範囲の反応温度を有し、それによって前記第一の組合せ材料が固態反応を介して中間化合物を形成することができる前記第一の組合せ材料を提供する工程、
3.前記第一の組合せ材料の前記反応温度に非常に近い温度で前記第一の組合せ材料を予め反応させ、前記予め反応させた第一の組合せ材料を冷却し、更に前記予め反応させた第一の組合せ材料をすり潰して中間化合物を形成し、前記中間化合物は前記第一の組合せ材料を基にした組成、前記レジデント融成物温度Tmの60から100%の範囲の反応温度、及び、Tmよりも高い溶融温度を有し、それによって前記中間化合物は前記ガラス融成物に添加されたとき溶融することなく1つ又は2つ以上の固態反応を介して反応する工程、
4.前記中間化合物をペレット化して複数の個々に分離した反応メンバーを含むペレット化中間物質を生成し、前記反応メンバーの各々は前記中間化合物を基にした組成を有する工程、
5.前記複数の原料バッチ成分の第二の部分を選択的に組み合わせて、前記レジデント融成物温度Tmの60から90%の範囲の溶融温度及び前記溶融温度で前記融成物粘度ηm/100に等しいか又はそれより大きい粘度を有する第二の組合せ材料を提供し、
6.前記第二の組合せ材料をペレット化して複数の個々に分離した反応メンバーを含むペレット化第二組合せ材料を生成し、前記反応メンバーの各々は前記第二の組合せ材料を基にした組成を有する工程、
7.前記ペレット化中間化合物、前記ペレット化第二組合せ材料、及び前記複数の原料バッチ成分の残りの部分を混合してバッチ混合物を形成する工程、更に
8.前記バッチ混合物をガラスメルターに導入する工程、
を有することを特徴とする方法。 - 前記第一の組合せ材料が、少なくとも1つの前記ガラス形成物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つの前記モディファイヤー物質の少なくとも一部分を含む請求項5に記載の方法。
- 前記第二の組合せ材料が、少なくとも1つの前記ガラス形成物質の少なくとも一部分及びまた別の前記モディファイヤー物質の少なくとも一部分を含む請求項6に記載の方法。
- 前記複数の原料バッチ成分が更に中間物質であって、炭酸塩、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物又はMn、Mg、Zr、Be、Fe、Al及びTiの酸化物から選択される中間物質を含む請求項5に記載の方法。
- 前記第一の組合せ材料が、前記中間物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つの前記モディファイヤー物質の少なくとも一部分を含む請求項8に記載の方法。
- 前記第二の組合せ材料が、少なくとも1つの前記ガラス形成物質の少なくとも一部分及び少なくとも1つの前記モディファイヤー物質の少なくとも一部分を含む請求項9に記載の方法。
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