JP4443676B2 - 光ファイバケーブルの接続構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に使用される光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルおよびその接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1にはスロット型の光ファイバケーブルの一例が模式的な断面図により示されている。このスロット型の光ファイバケーブル1はスロットロッド2を内蔵しており、このスロットロッド2の外周部には光ファイバ収容溝3が複数本(図示の例では5本)形成され、また、このスロットロッド2の中心部には抗張力体4が形成されている。
【0003】
上記光ファイバ収容溝3は光ファイバ5を収容するための溝である。この光ファイバ収容溝3に光ファイバ5が収容されてスロットロッド2の外側に繊維層6が形成され、さらに、その繊維層6の外側が被覆層7によって被覆されて光ファイバケーブル1が形成される。
【0004】
図1に示す例では、上記光ファイバ5は図3に示すような光ファイバテープ心線8の形態でもって光ファイバ収容溝3に収容されている。上記光ファイバテープ心線8は図3に示すように光ファイバ5を複数本並列させてテープ状に形成したものである。なお、図1に示す例では、上記のように、光ファイバ収容溝3に収容される光ファイバ5は光ファイバテープ心線8の形態であったが、光ファイバ収容溝3に収容される光ファイバ5は光ファイバテープ心線8以外の形態である場合もあり、例えば、図示されていないけれども複数の光ファイバ5を撚り合わせた光ファイバ撚り線や、単体の光ファイバの形態である場合もある。
【0005】
上記抗張力体4は上記光ファイバ収容溝3に収容される光ファイバ5に加えられる張力を低減して光ファイバ5を保護する機能を有しており、金属線や繊維強化プラスチック線等の単線や、それら金属線や繊維強化プラスチック線等を複数本撚り合わせた撚り線等が抗張力体として採用される。
【0006】
また、図2にはチューブ型の光ファイバケーブルの一例が模式的な断面図により示されている。この光ファイバケーブル1は複数のチューブ10を内蔵しており、これらチューブ10の内部には、光ファイバ5とゼリー状の物質(ジェリー)11が収容されている。上記光ファイバ5とジェリー11が収容された複数のチューブ10は上記したような抗張力体4の周りに配設され、その外側には繊維層6が形成され、さらに、その外側は被覆層7によって被覆されている。なお、図2に示す例では、チューブ10の内部には単体状態の光ファイバ5が収容されていたが、例えば、光ファイバ5が前記光ファイバテープ心線8等の形態でもってチューブ10の内部に収容されているもの等もあり、チューブ型の光ファイバケーブル1において光ファイバ5の収容形態は図2に示す形態に限定されない。
【0007】
ところで、最近では、上記のような光ファイバケーブル1を利用して波長多重WDM(wavelength division multiplexing)通信による信号の長距離伝送が行われている。この場合、光ファイバ5の持つ分散特性の悪影響を回避するために、次に示すような手段が講じられる場合がある。例えば、信号を長距離伝送する伝送側の光ファイバケーブルの光ファイバ5に次に示すような受信側の光ファイバ5を接続する。上記受信側の光ファイバ5は、上記伝送側の光ファイバ5が持つ分散特性と正負が逆の分散特性を有する光ファイバ(DCF(dispersion compensating fiber))であり、上記伝送側の光ファイバ5を通ってきた信号を上記受信側の光ファイバ5に通すことによって、全分散を等価的に零にして光ファイバ5の分散特性の悪影響を回避することができる。
【0008】
また、次に示すような手段が講じられる場合もある。例えば、次に示すような光ファイバ5(+)と光ファイバ5(−)を交互に接続する。上記光ファイバ5(+)は伝送波長で正の分散値を示す正の分散特性を持つ光ファイバ5であり、上記光ファイバ5(−)は上記光ファイバ5(+)の分散値と正負が逆で、かつ、絶対値がほぼ等しい光ファイバ5である。これら光ファイバ5(+)と光ファイバ5(−)を上記のようにほぼ1対1の長さ割合で交互に接続することにより、全分散を等価的に零にすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来では、一般的に使用される同種の光ファイバ5における伝送波長での分散値は、全てほぼ等しいと見なされて使用されていた。しかしながら、例えば、光ファイバ5の分散値が15ps/nm/kmであると見なされていても、実際には、同種の光ファイバ5間の分散値には、5ps/nm/km〜25ps/nm/kmというように大きなばらつきがあった。
【0010】
この光ファイバ5の分散値ばらつきのために、次に示すような問題が生じていた。例えば、上記の如く正の分散特性を持つ光ファイバ5(+)と負の分散特性を持つ光ファイバ5(−)とを接続して、全分散を等価的に零にする手段を講じる場合に、例えば、分散値が15ps/nm/kmである光ファイバ5(+)に、−15ps/nm/kmの分散値を持つ光ファイバ5(−)を接続したつもりでも、実際には、分散値が10ps/nm/kmである光ファイバ5(+)に、−20ps/nm/kmの分散値の光ファイバ5(−)が接続されているという事態が多発してしまうこととなる。
【0011】
このように、接続し合う一方側の光ファイバ5の分散値の絶対値と、他方側の光ファイバ5の分散値の絶対値が大きくずれてしまうと、全分散を等価的に零にすることはできないことから、従来では、上記の如く正の分散特性を持つ光ファイバ5(+)と負の分散特性を持つ光ファイバ5(−)とを接続して全分散を等価的に零にしようとしても、なかなか、全分散を等価的に零にすることが困難であり、光ファイバケーブル1の伝送品質を向上させることができないという問題があった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、波長多重通信を行う光ファイバケーブルの伝送品質の向上を容易にする光ファイバケーブルの接続構造に関するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、正の分散を有する光ファイバである正分散ファイバを収納して成る第1の光ファイバケーブルと、負の分散を有する光ファイバである負分散ファイバを収納して成る第2の光ファイバケーブルとの接続構造であって、前記第1の光ファイバケーブルと前記第2の光ファイバケーブルはそれぞれスロットロッドを内蔵し、このスロットロッドには複数の光ファイバ収容溝が形成され、該光ファイバ収容溝に光ファイバが収容されて、前記光ファイバケーブルはスロット型の光ファイバケーブルと成しており、前記第1の光ファイバケーブルおよび前記第2の光ファイバケーブルには、それぞれ、ほぼ同じ分散値を持つ複数本の光ファイバを1つのグループとして、分散値に応じてグループ分けされた光ファイバが、複数の光ファイバを並列させてテープ状に形成した光ファイバテープ心線の形態でもってそれぞれ予め定められた配設設定位置の光ファイバ収容溝に配設されており、前記第1の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記正分散ファイバが、前記各配設設定位置に対向する前記第2の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記負分散ファイバに接続されることにより、前記正分散ファイバと前記負分散ファイバは分散の絶対値がほぼ等しいもの同士が接続されるように各配設設定位置に配置されている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0014】
第2の発明は、正の分散を有する光ファイバである正分散ファイバを収納して成る第1の光ファイバケーブルと、負の分散を有する光ファイバである負分散ファイバを収納して成る第2の光ファイバケーブルとの接続構造であって、前記光ファイバケーブルは複数のチューブを内蔵し、該チューブの内部に光ファイバが収容されて、前記光ファイバケーブルはチューブ型の光ファイバケーブルと成しており、前記第1の光ファイバケーブルおよび前記第2の光ファイバケーブルには、それぞれ、ほぼ同じ分散値を持つ複数本の光ファイバを1つのグループとして、分散値に応じてグループ分けされた光ファイバが、複数の光ファイバを並列させてテープ状に形成した光ファイバテープ心線の形態でもってそれぞれ予め定められた配設設定位置のチューブの内部に配設されており、前記第1の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記正分散ファイバが、前記各配設設定位置に対向する前記第2の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記負分散ファイバに接続されることにより、前記正分散ファイバと前記負分散ファイバは分散の絶対値がほぼ等しいもの同士が接続されるように各配設設定位置に配置されている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0019】
上記構成の発明において、例えば、従来では同じ分散値を持つと見なされていた同種の光ファイバを、分散値に応じて複数のグループに分類し、光ファイバを光ファイバテープ心線の形態でもっ、上記同一グループ内の光ファイバのみを、つまり、ほぼ同じ分散値を持つ光ファイバのみを並列させて構成する。
【0020】
そして、光ファイバケーブルにおいては、正の分散を有する正分散ファイバを収納して成る第1の光ファイバケーブルと、負の分散を有する負分散ファイバを収納して成る第2の光ファイバケーブルとが形成され、前記第1の光ファイバケーブルおよび前記第2の光ファイバケーブルには、それぞれ、ほぼ同じ分散値を持つ1本以上の光ファイバを1つのグループとし、分散値に応じてグループ分けされた光ファイバがそれぞれ予め定められた配設設定位置に配設される。
【0021】
その状態で、前記第1の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記正分散ファイバが、前記各配設設定位置に対向する前記第2の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記負分散ファイバに接続されることにより、前記正分散ファイバと前記負分散ファイバは分散の絶対値がほぼ等しいもの同士が接続される。つまり、それぞれの配設設定位置に定められた、ほぼ同じ値で正負が逆の分散特性を持つ第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとがそれぞれ(対向して)接続される。
【0022】
このように、本発明の光ファイバケーブルの接続構造を適用することにより、互いに分散値の正負が逆で、かつ、絶対値が等しい光ファイバ同士を確実に接続することができることとなり、全分散を等価的に零にすることが容易となり、光ファイバケーブルの伝送品質を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づき説明する。
【0024】
この実施形態例において特徴的なことは、従来では分散値が等しいと見なされていた同種の光ファイバを分散値に応じて複数のグループに分類し、このようにグループ分けされた光ファイバを利用して、光ファイバテープ心線や光ファイバケーブルを構成し、その光ファイバケーブル同士を接続することである。なお、この実施形態例の説明において、前記従来例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0025】
この実施形態例では、従来においては同じ分散値を持つと見なされていた同種の光ファイバ5を、より細かく分散値に応じてグループ分けし、例えば、図1に示すような光ファイバ5の配設設定位置である各光ファイバ収容溝3内に、あるいは、図2に示すような光ファイバ5の配設設定位置である各チューブ10内に、それぞれ選択された分散値の同一グループ内の光ファイバ5のみを収容して光ファイバケーブル1が形成されている。
【0026】
具体的に述べれば、例えば、図1や図2に示すような光ファイバケーブル1に収容される複数の光ファイバ5における分散値のばらつき範囲は予め求まり、そのばらつき範囲は適宜設定した2以上の数(例えば、光ファイバ収容溝3の数やチューブ10の数)のグループ(階級)に細分化される。表1には、光ファイバ5の分散値のばらつき範囲がほぼ5ps/nm/km〜25ps/nm/kmである場合に、その分散値のばらつき範囲を5つの分散値階級に細分化する際の階級分け(グループ分け)の一例が示されている。
【0027】
【表1】
Figure 0004443676
【0028】
また、表2には光ファイバ5の分散値のばらつき範囲がほぼ−10ps/nm/km〜−20ps/nm/kmである場合に、そのばらつき範囲を5つの分散値階級に細分化する際の階級分けの一例が示されている。
【0029】
【表2】
Figure 0004443676
【0030】
さらに、表3には光ファイバ5の分散値のばらつき範囲がほぼ−5ps/nm/km〜−25ps/nm/kmである場合に、そのばらつき範囲を5つの分散値階級に細分化する際の階級分けの一例が示されている。
【0031】
【表3】
Figure 0004443676
【0032】
さらに、表4には光ファイバ5の分散値のばらつき範囲がほぼ5ps/nm/km〜25ps/nm/kmである場合に、そのばらつき範囲を6つの分散値階級に細分化する際の階級分けの一例が示されている。
【0033】
【表4】
Figure 0004443676
【0034】
さらに、表5には光ファイバ5の分散値のばらつき範囲がほぼ−10ps/nm/km〜−20ps/nm/kmである場合に、そのばらつき範囲を6つの分散値階級に細分化する際の階級分けの一例が示されている。
【0035】
【表5】
Figure 0004443676
【0036】
この実施形態例では、従来では同一の分散値を持つと見なされていた同種の光ファイバ5は分散値に応じて上記のような分散値階級に、より細かく分類される。
【0037】
この実施形態例では、光ファイバケーブル1において、光ファイバ5の各配設設定位置(光ファイバ収容溝3やチューブ10)にはそれぞれ予め対応する上記分散値階級が定められている。具体的には、例えば、図1に示す光ファイバケーブル1では、トレーサマーク12aとトレーサマーク12bに挟まれている第1の光ファイバ収容溝3aには前記表1や表2や表3に示すような第1の分散値階級を対応させ、その右隣の第2の光ファイバ収容溝3bには前記表1や表2や表3に示すような第2の分散値階級を対応させ、さらに、その右隣の第3の光ファイバ収容溝3cには前記表1や表2や表3に示すような第3の分散値階級を対応させ、さらに、その右隣の第4の光ファイバ収容溝3dには前記表1や表2や表3に示すような第4の分散値階級を対応させ、さらにまた、その右隣の第5の光ファイバ収容溝3eには前記表1や表2や表3に示すような第5の分散値階級を対応させる。
【0038】
また、図2に示す光ファイバケーブル1では、例えば、第1のチューブ10aには前記表4や表5に示す第1の分散値階級を対応させ、その右隣の第2のチューブ10bには前記表4や表5に示す第2の分散値階級を対応させ、さらに、その右隣の第3のチューブ10cには前記表4や表5に示す第3の分散値階級を対応させ、さらに、その右隣の第4のチューブ10dには前記表4や表5に示す第4の分散値階級を対応させ、さらに、その右隣の第5のチューブ10eには前記表4や表5に示す第5の分散値階級を対応させ、その右隣の第6のチューブ10fには前記表4や表5に示す第6の分散値階級を対応させる。
【0039】
上記のように、この実施形態例では、光ファイバケーブル1における光ファイバ5の各配設設定位置にはそれぞれ対応する分散値階級が定められており、各配設設定位置にはそれぞれ対応する分散値階級の光ファイバ5により形成される、次に示すような光ファイバテープ心線8が配設されている。
【0040】
つまり、上記実施形態例においては、上記同一の分散値階級の光ファイバ5のみを、つまり、ほぼ同じ分散値を持つ光ファイバ5のみを並列させてテープ状に形成した光ファイバテープ心線8を適用する。
【0041】
この実施形態例では、上記構成の光ファイバケーブル1を利用して、正の分散を有する光ファイバ(正分散ファイバ)5を収納して成る第1の光ファイバケーブルと、負の分散を有する光ファイバ(負分散ファイバ)5を収納して成る第2の光ファイバケーブルとの接続により、前述したような正の分散特性を持つ光ファイバ5と、負の分散特性を持つ光ファイバ5とを交互に接続して全分散を等価的に零にすることができる光ファイバケーブルの接続構造例を示す。
【0042】
例えば、接続し合う図1に示すようなスロット型の光ファイバケーブル1の一方側の光ファイバケーブル1(第1の光ファイバケーブル)では、図1に示す第1の光ファイバ収容溝3aには表1に示す第1の分散値階級の光ファイバ5が、第2の光ファイバ収容溝3bには表1に示す第2の分散値階級の光ファイバ5が、第3の光ファイバ収容溝3cには表1に示す第3の分散値階級の光ファイバ5が、第4の光ファイバ収容溝3dには表1に示す第4の分散値階級の光ファイバ5が、第5の光ファイバ収容溝3eには表1に示す第5の分散値階級の光ファイバ5が、それぞれ配設されている。
【0043】
また、他方側の光ファイバケーブル1(第2の光ファイバケーブル)では、第1の光ファイバ収容溝3aには表3に示す第1の分散値階級の光ファイバ5が、第2の光ファイバ収容溝3bには表3に示す第2の分散値階級の光ファイバ5が、第3の光ファイバ収容溝3cには表3に示す第3の分散値階級の光ファイバ5が、第4の光ファイバ収容溝3dには表3に示す第4の分散値階級の光ファイバ5が、第5の光ファイバ収容溝3eには表3に示す第5の分散値階級の光ファイバ5が、それぞれ配設されている。
【0044】
上記一方側の光ファイバケーブル1のトレーサマーク12a,12bと、他方側の光ファイバケーブル1のトレーサマーク12a,12bとがそれぞれ対向するように位置合わせされており、つまり、一方側の第1の光ファイバ収容溝3aが他方側の第1の光ファイバ収容溝3aに、また、一方側の第2の光ファイバ収容溝3bが他方側の第2の光ファイバ収容溝3bにそれぞれ対向するというように、一方側の光ファイバ5の各光ファイバ収容溝3にはそれぞれ他方側の選択された光ファイバ5の光ファイバ収容溝3が対向されており、互いに対向し合う光ファイバ収容溝3に配設されている光ファイバ5同士が接続されている。
【0045】
このように、この実施形態例において特徴的な光ファイバケーブル1の接続構造を採ることによって、互いに分散値の正負が逆で、かつ、分散値の絶対値が等しい光ファイバ5同士確実に接続することができる。
【0046】
この実施形態例によれば、従来では同じ分散値を持つと見なされていた同種の光ファイバ5をより細分化した分散値階級に応じてグループ分けし、同一グループ内の光ファイバ5のみにより光ファイバテープ心線8を構成し、あるいは、光ファイバケーブル1における各配設設定位置にはそれぞれ予め対応する分散値階級のグループ内の光ファイバ5のみを配設する構成であることから、光ファイバテープ心線8を構成する複数の光ファイバ5間の分散値のばらつきや、各配設設定位置内に配設されている複数の光ファイバ5の分散値のばらつきを殆ど無くすことができる。
【0047】
また、光ファイバケーブル1における各光ファイバ収容溝3や各チューブ10にはそれぞれ対応する分散値階級が定められており、その定められた分散値階級の光ファイバ5がそれぞれ対応する光ファイバ収容溝3やチューブ10に配設されるので、各光ファイバ収容溝3やチューブ10に配設されている光ファイバ5の詳細な分散値を明確化することができ、このことによって、光ファイバケーブル1内に収容されている多数の光ファイバ5の中から、所望の分散値を持つ光ファイバ5を容易に選択することができる。
【0048】
また、この実施形態例では、接続し合う一方側の光ファイバケーブル1(第1の光ファイバケーブル)の各光ファイバ収容溝3や各チューブ10と、それら各光ファイバ収容溝3や各チューブ10に対向する他方側の光ファイバケーブル1(第2の光ファイバケーブル)の光ファイバ収容溝3やチューブ10とにはそれぞれ互いに正負が逆となる分散値階級が定められており、それら対向している光ファイバ収容溝3やチューブ10の光ファイバ5同士接続するので、例えば、正の分散特性を持つ光ファイバ5(+)に、該光ファイバ5(+)の分散値と正負が逆で、かつ、絶対値が等しい分散値を持つ光ファイバ5(−)を簡単、かつ、正確に接続することができることとなり、このことにより、前述したように光ファイバ5(+)と光ファイバ5(−)を交互に接続して全分散を等価的に精度良く零にすることが可能となり、光ファイバケーブル1の伝送品質を格段に向上させることができる。
【0049】
なお、この発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記実施形態例では、図1に示すスロット型の光ファイバケーブル1では、スロットロッド2には光ファイバ収容溝3が5本形成されていたが、光ファイバ収容溝3の本数は適宜設定されるものであり、4本以下でもよいし、また、6本以上でもよい。また、各光ファイバ収容溝3に収容される光ファイバ5の本数も適宜設定されるものである。また、同様に、チューブ型の光ファイバケーブル1においても、光ファイバケーブル1内に内蔵されるチューブ10の本数や、チューブ10内に収容される光ファイバ5の本数は適宜設定されるものである
【0050】
さらに、上記実施形態例では、光ファイバ5の分散値のばらつき範囲は光ファイバ収容溝3の本数や、チューブ10の本数に応じた階級数でもって区分されていたが、もちろん、光ファイバ収容溝3の本数や、チューブ10の本数以外の数でもって分散値のばらつき範囲を区分し、それら区分された分散値階級でもって光ファイバ5を分類してもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態例では、光ファイバケーブル1内の各光ファイバ収容溝3や各チューブ10にはそれぞれ互いに異なる分散値階級が定められていたが、例えば、図2に示す第1のチューブ10aと第4のチューブ10dのように、対向し合う位置に配置されている光ファイバ収容溝3やチューブ10には同じ分散値階級を与えてもよいという如く、1つの分散値階級を複数の光ファイバ収容溝3やチューブ10に対応させてもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態例では、光ファイバ5の分散値のばらつき範囲は光ファイバ収容溝3の本数やチューブ10の本数に応じた階級数に区分され、それら定められた各分散値階級は必ずそれぞれ1対1に対応する光ファイバ収容溝3やチューブ10が定められていたが、例えば、光ファイバ5の分散値のばらつき範囲を、光ファイバ収容溝3の数やチューブ10の数よりも大きい数の階級に区分し、それら分散値階級の中の選択された一部の階級だけがそれぞれ対応する光ファイバ収容溝3やチューブ10を持つようにしてもよい。
【0053】
さらに、図3に示す例では、光ファイバテープ心線8は4本の光ファイバ5を並列させて形成された4心の光ファイバテープ心線であったが、もちろん、この発明は4心以外の多心光ファイバテープ心線適用して光ファイバケーブル1を形成してもよい
【0055】
【発明の効果】
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。つまり、従来では同じ分散値を持つと見なされていた同種の光ファイバには、実際には、分散値に大きなばらつきがあったことから、光ファイバケーブルに収納される複数の光ファイバ間に分散値の大きなばらつきが生じている場合があったのに対して、この発明では、光ファイバを分散値に応じて、より細かくグループ分けするので、複数の光ファイバ間における分散値ばらつきが非常に少ない状態で、それぞれ予め定められた配設設定位置に配設される。
【0056】
また、前記光ファイバは、複数の光ファイバを並列させてテープ状に形成した光ファイバテープ心線の形態でもって光ファイバの配設設定位置に配設されていることにより、光ファイバテープ心線は上記同一グループの光ファイバのみを用いて形成されることとなるので、ほぼ同じ分散値を持つ光ファイバのみによって形成された光ファイバテープ心線として、光ファイバケーブルの配設設定位置に配置できる。また、光ファイバケーブルを、スロット型の光ファイバケーブルや、チューブ型の光ファイバケーブルとすることにより、光ファイバ収容溝やチューブ等の各配設設定位置に配設されている複数の光ファイバの分散値をほぼ等しく、各配設設定位置における複数の光ファイバ間の分散値ばらつきを防止することができる。
【0057】
このように、各配設設定位置にはほぼ同じ分散値を持つ光ファイバが配設されることによって、次に示すような光ファイバケーブルの接続構造を採り得ることが可能となる。
【0058】
つまり、この発明によれば、上記のように、光ファイバをグループ分けして配置して、第1の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記正分散ファイバを、前記各配設設定位置に対向する前記第2の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記負分散ファイバに接続し、前記正分散ファイバと前記負分散ファイバは分散の絶対値がほぼ等しいもの同士が接続されるように各配設設定位置に配置するので、各光ファイバには該光ファイバの分散値と正負が逆で、かつ、絶対値がほぼ等しい分散値を持つ光ファイバが接続されている光ファイバケーブルの接続構造を採り得ることができる。
【0059】
このような光ファイバケーブルの接続構造を採り得ることによって、換言すれば、接続し合う第1の光ファイバケーブルの光ファイバの各配設設定位置と、それら各配設設定位置に対向する第2の光ファイバケーブルの光ファイバの配設設定位置とに、それぞれ互いに正負が逆で、かつ、絶対値が同じとなる分散値のグループの光ファイバを配設しておき、それら対向する配設設定位置の光ファイバ同士を接続することによって、全分散を等価的に精度良く零にすることができ、この発明の光ファイバケーブルの接続構造を適用して接続した光ファイバケーブルの伝送品質を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロット型の光ファイバケーブルの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】チューブ型の光ファイバケーブルの一例を模式的に示す断面図である。
【図3】光ファイバテープ心線の一例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 光ファイバケーブル
2 スロットロッド
3 光ファイバ収容溝
5 光ファイバ
8 光ファイバテープ心線
10 チューブ

Claims (2)

  1. 正の分散を有する光ファイバである正分散ファイバを収納して成る第1の光ファイバケーブルと、負の分散を有する光ファイバである負分散ファイバを収納して成る第2の光ファイバケーブルとの接続構造であって、前記第1の光ファイバケーブルと前記第2の光ファイバケーブルはそれぞれスロットロッドを内蔵し、このスロットロッドには複数の光ファイバ収容溝が形成され、該光ファイバ収容溝に光ファイバが収容されて、前記光ファイバケーブルはスロット型の光ファイバケーブルと成しており、前記第1の光ファイバケーブルおよび前記第2の光ファイバケーブルには、それぞれ、ほぼ同じ分散値を持つ複数本の光ファイバを1つのグループとして、分散値に応じてグループ分けされた光ファイバが、複数の光ファイバを並列させてテープ状に形成した光ファイバテープ心線の形態でもってそれぞれ予め定められた配設設定位置の光ファイバ収容溝に配設されており、前記第1の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記正分散ファイバが、前記各配設設定位置に対向する前記第2の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記負分散ファイバに接続されることにより、前記正分散ファイバと前記負分散ファイバは分散の絶対値がほぼ等しいもの同士が接続されるように各配設設定位置に配置されていることを特徴する光ファイバケーブルの接続構造。
  2. 正の分散を有する光ファイバである正分散ファイバを収納して成る第1の光ファイバケーブルと、負の分散を有する光ファイバである負分散ファイバを収納して成る第2の光ファイバケーブルとの接続構造であって、前記光ファイバケーブルは複数のチューブを内蔵し、該チューブの内部に光ファイバが収容されて、前記光ファイバケーブルはチューブ型の光ファイバケーブルと成しており、前記第1の光ファイバケーブルおよび前記第2の光ファイバケーブルには、それぞれ、ほぼ同じ分散値を持つ複数本の光ファイバを1つのグループとして、分散値に応じてグループ分けされた光ファイバが、複数の光ファイバを並列させてテープ状に形成した光ファイバテープ心線の形態でもってそれぞれ予め定められた配設設定位置のチューブの内部に配設されており、前記第1の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記正分散ファイバが、前記各配設設定位置に対向する前記第2の光ファイバケーブルの各配設設定位置に配設されている前記負分散ファイバに接続されることにより、前記正分散ファイバと前記負分散ファイバは分散の絶対値がほぼ等しいもの同士が接続されるように各配設設定位置に配置されていることを特徴する光ファイバケーブルの接続構造。
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